JP2018177639A - 新規化合物およびそれを含有する半導体材料 - Google Patents

新規化合物およびそれを含有する半導体材料 Download PDF

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Abstract

【課題】湿式成膜法により高い移動度を発現するトランジスタなどの半導体素子を与え、工業生産に好適な高い溶解度を与える半導体材料の提供、及び該半導体材料を与える化合物の提供。【解決手段】式(1)で表される[1,2−c;4,5−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール化合物。(Ar1及びAr2は各々独立に、置換/非置換の芳香族炭化水素基又は置換/非置換の複素芳香族基)【選択図】図1

Description

本発明は、新規化合物およびそれを含有する半導体材料に関する。
アモルファスシリコンや多結晶シリコンを半導体材料として用いてなるトランジスタが、液晶表示装置や有機EL表示装置などのスイッチング素子として広く用いられている。しかし、これらシリコンを用いるトランジスタは、その製造において、高温熱処理プロセスを有することから、プラスチック基板を用いることになる次世代型フレキシブル表示装置には耐熱性の問題から展開できない。こういった課題を解決するために、シリコンに代えて有機化合物を半導体材料(以下、有機化合物を用いてなる半導体材料を有機半導体材料ということがある。)として用いてなる有機トランジスタが提案されている。
有機半導体材料は、インク化することで、塗布法または印刷法(以下、塗布法や印刷法などを湿式成膜法ということがある。)にて、低温成膜できるため、耐熱性の乏しいプラスチック基板に適応でき、フレキシブル表示装置への応用が、さらには、フレキシブル電子装置(例えば、軽量フレキシブル化した電子タグやセンサなど)への応用が期待されている。一方、有機半導体において、p型半導体と比較してn型半導体の報告例は少なく、特に、空気中での安定性と、半導体特性と、印刷法が適用できる溶媒溶解性とを兼ね備えた、n型半導体の報告例はほとんどなかった。
非特許文献1には、n型有機半導体の材料として、4,8位置換ベンゾ[1,2−c;4,5−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(以下、[1,2−c;4,5−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールをB2Tと記載する。)骨格が記載されており、その置換基として(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チエニル基が記載されている。この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は0.77cm/Vsに達することが記載されている(湿式成膜法ではなく真空成膜法にて半導体層を形成)。このようにB2T誘導体は高半導体特性を有するという観点で高いポテンシャルを有するが、一方で、この化合物については、NMRによる構造同定がなされておらず、溶媒への溶解性低きことが推察され(溶媒への溶解性が低いと前記した有機半導体材料の特徴たる湿式成膜法に供することが難しい。また、材料を製造する過程において、溶媒抽出法、カラムクロマトグラフィー法等公知慣用の精製法等が適用できず、工業生産時に課題を有することとなり、また、有機半導体にとって必須の高純度化にも課題を有することとなる。)、後記の比較例において、一部の化合物につき再現合成し、溶解性低きことを実際に確認した。
特許文献1には、4,8−ビス(オリゴチエニル)B2T骨格を有する化合物が記載されており、この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は10−3cm/Vsのオーダーと記載されている。
特許文献2には、4,8−ジチエニルB2T骨格を有する化合物が記載されており、この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は10−2cm/Vsのオーダーと記載されている。しかし、これらの化合物について、有機溶媒への溶解性が低いことが推察される(H−NMR測定を、1,2−ジクロロベンゼン−d中、140℃で行っている。さらに、4,8−ジチエニルB2T骨格を有する化合物をクロロホルムに濃度0.1質量%となるように加え、80℃で加熱し作成した溶液を基板上に滴下しスピンコートを行い、有機半導体層を形成している。)。
特許文献3には、4,8位置換B2T骨格を有する化合物が記載されており、その置換基として、複素芳香族六員環構造を有するヘテロアリール基が記載されている。この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は0.22cm/Vsに達することが記載されている(湿式成膜法ではなく真空成膜法にて半導体層を形成)。後記の比較例において、一部の化合物につき再現合成し、溶解性低きことを確認した。
特許文献4には、4,8位置換B2T骨格を有する化合物が記載されており、その置換基として、フェニル基の置換したオリゴチエニル基が記載されている。この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は1.8cm/Vsに達することが記載されている(湿式成膜法ではなく真空成膜法にて半導体層を形成)。また湿式成膜法であるスピンコートにて半導体層を形成した場合、この化合物を用いてなるトランジスタの移動度は0.26cm/Vsに達することが記載されている。しかし、この化合物について、溶媒への溶解性が低いことが推察され(特許文献4に記載の4,8位置換B2T骨格を有する化合物1mgを1mLの溶媒(クロロベンゼン)に加えて100℃または140℃に加熱し、溶解性を評価している。さらに、4,8位置換B2T骨格を有する化合物を1,2−ジクロロベンゼンに0.3wt%となるように加え、130℃に加熱し作成した溶液を基板上に滴下し、スピンコートを行い、有機半導体層を形成している。)、後記の比較例において、一部の化合物につき再現合成し、溶解性低きことを実際に確認した。
特許文献5−7には、4,8位置換B2T骨格を有する化合物が記載されており、その置換基として、特定位置にアルキル基を有するフェニルチエニル基または分子内に芳香環が縮環した環状イミド構造を有する基等が記載されている。これらの化合物を用いてなるトランジスタの移動度は4.4cm/Vsに達することが記載されている(湿式成膜法であるスピンコートにて半導体層を形成)。これらの化合物について、有機溶媒への溶解性が低いことが推察される(特許文献5−7に記載の4,8位置換B2T骨格を有する化合物は、25℃で最高0.3質量%のトルエン等に溶解し、また60℃で最高0.5質量%クロロベンゼン等に溶解することが記載されている。)。
特許文献9には、4,8−ジアリールB2T骨格を有する化合物が記載されているが、、本発明にかかわる化合物は記載されていない。また、該文献の背景には、半導体特性および溶解性の兼備にかかわる記載はなく、また、実施例中に、半導体特性(移動度)にかかわる記載はない。
特許文献8には、一般式で「ポルフィリン-(-≡-B2T-≡-ポルフィリン)n (nは1以上の整数)」で表される化合物が開示されているが、本発明にかかわる化合物は記載されていない。また、該文献の背景には、半導体特性および溶解性の兼備にかかわる記載はなく、また、実施例中に、半導体特性(移動度)にかかわる記載はない。
非特許文献2には、4,8−ビス(トリイソプロピル)シリルエチニル)B2T骨格を有する化合物が開示されているが、原料として製造されたものであり、半導体特性については記載されていない。
特開2015−196659号 特開2016−050179号 特開2017−025047号 国際公開第2013−141182号 国際公開第2015−041026号 特開2016−096242号 国際公開第2016−024567号 国際公開第2007−081991号 特開2013−124231号 Chem.Commun.,2010年、46巻、3265頁 Journal of Materials Chemistry C,2014年,2巻,9609頁
前記したとおり、有機半導体材料の特徴は、トランジスタなどの半導体素子を湿式成膜法により与えうるところにあり、そのためには高い溶解度が必要である。また、材料を、工業生産するうえでも高い溶解度が必要である。したがって、本発明の課題は、湿式成膜法により高い移動度を発現する半導体素子を与え、かつ、工業生産に好適な、高い溶解度を有する半導体材料を提供することにあり、さらには、該半導体材料を与える化合物を提供することにある。
発明者らは前記課題を克服すべく、鋭意検討を重ね、特定構造の置換基を有するB2T誘導体が、湿式成膜法により高い移動度を発現する半導体素子を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の項目から構成される。
1. 一般式(1)で表される化合物。
Figure 2018177639
(式中、ArおよびArは、同一であっても異なっていてもよく、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい複素芳香族基を表す。)
2.1.に記載の化合物を含有する半導体材料。
3.1.に記載の化合物を含有するインク。
4.1.に記載の化合物を含有する半導体膜。
5.1.に記載の化合物を含有する半導体層を有する半導体素子。
6.1.に記載の化合物を含有する半導体層を有するトランジスタ。
本発明によって、湿式成膜法により高い移動度を発現する半導体素子を提供することができる。
ボトムゲートボトムコンタクト(BGBC)型トランジスタの概念断面図である。
(本発明の化合物)
以下、本発明の化合物について説明する。
本発明の化合物は、一般式(1)で表されるB2T誘導体である。
Figure 2018177639
(式中、ArおよびArは、同一であっても異なっていてもよく、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい複素芳香族基を表す。)
一般式(1)で表される化合物のArおよびArについて説明する。
ArおよびArとしては、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい複素芳香族基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、
フェニル基および置換基を有するフェニル基、ナフチル基および置換基を有するナフチル基、アズレニル基および置換基を有するアズレニル基、アントラセニル基および置換基を有するアントラセニル基、フェナントリル基および置換基を有するフェナントリル基、アセナフチレニル基および置換基を有するアセナフチレニル基、アセナフテニル基および置換基を有するアセナフテニル基、フルオレニル基および置換基を有するフルオレニル基、ナフタセニル基および置換基を有するナフタセニル基、ピレニル基および置換基を有するピレニル基、クリセニル基および置換基を有するクリセニル基、ペリレニル基および置換基を有するペリレニル基、ビフェニルから誘導される一価基および置換基を有するビフェニルから誘導される一価基、p−ターフェニルから誘導される一価基および置換基を有するp−ターフェニルから誘導される一価基、p−クォーターフェニルから誘導される一価基および置換基を有するp−クォーターフェニルから誘導される一価基等の単環または多環芳香族炭化水素基;
ピロリル基および置換基を有するピロリル基、イミダゾリル基および置換基を有するイミダゾリル基、ピラゾリル基および置換基を有するピラゾリル基、トリアゾリル基および置換基を有するトリアゾリル基、テトラゾリル基および置換基を有するテトラゾリル基、フリル基および置換基を有するフリル基、チエニル基および置換基を有するチエニル基、オキサゾリル基および置換基を有するオキサゾリル基、チアゾリル基および置換基を有するチアゾリル基、オキサジアゾリル基および置換基を有するオキサジアゾリル基、チアジアゾリル基および置換基を有するチアジアゾリル基、ピロロチアゾリル基および置換基を有するピロロチアゾリル基、チエノチエニル基および置換基を有するチエノチエニル基、インドリル基および置換基を有するインドリル基、インドリニル基および置換基を有するインドリニル基、インドリジニル基および置換基を有するインドリジニル基、ピロロピリダジニル基および置換基を有するピロロピリダジニル基、ベンゾトリアゾリル基および置換基を有するベンゾトリアゾリル基、ベンゾフリル基および置換基を有するベンゾフリル基、ベンゾチエニル基および置換基を有するベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基および置換基を有するベンゾオキサゾリル基、カルバゾリル基および置換基を有するカルバゾリル基、ジベンゾフランから誘導される一価基および置換基を有するジベンゾフランから誘導される一価基、ジベンゾチオフェンから誘導される一価基および置換基を有するジベンゾチオフェンから誘導される一価基、ピリジル基および置換基を有するピリジル基、ピリダジニル基および置換基を有するピリダジニル基、ピリミジニル基および置換基を有するピリミジニル基、ピラジニル基および置換基を有するピラジニル基、キノリニル基および置換基を有するキノリニル基、イソキノリニル基および置換基を有するイソキノリニル基、ベンゾキノリニル基および置換基を有するベンゾキノリニル基、ビチオフェンから誘導される一価基および置換基を有するビチオフェンから誘導される一価基、ターチオフェンから誘導される一価基および置換基を有するターチオフェンから誘導される一価基、クォーターチオフェンから誘導される一価基および置換基を有するクォーターチオフェンから誘導される一価基等の単環または多環複素芳香族基;
などを挙げることができる。
ArおよびArは、同一であっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
前記ArおよびArの置換基としては、芳香族化合物の置換基として公知慣用の置換基であれば特に限定されるものではなく、例えば、
水素原子、ハロゲノ基、ニトロ基、ニトリル基、
非環式または環式の炭素原子数1〜20のアルキル基(該アルキル基中の−CH−が、酸素原子、硫黄原子および窒素原子がおのおの直接結合しないように、−O−、−R´C=CR´−、−CO−、−OCO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR´−または−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の水素原子は、ハロゲノ基、ニトリル基または芳香族基によって置換されていてもよい(ただし、R´は炭素原子数1〜20の非環式または環式のアルキル基を表す。)。)、
芳香族基(該芳香族基は、ハロゲノ基、ニトロ基、ニトリル基、非環式または環式の炭素原子数1〜20のアルキル基、芳香族基で置換されていてもよく、該アルキル基中の−CH−が、酸素原子、硫黄原子および窒素原子がおのおの直接結合しないように、−O−、−CR´´=CR´´−、−CO−、−OCO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR´´−または−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の水素原子は、ハロゲノ基、ニトリル基または芳香族基によって置換されていてもよい(ただし、R´´は炭素原子数1〜20の非環式または環式のアルキル基を表す。)。)
等を挙げることができる。
具体的に、非環式または環式の炭素原子数1〜20のアルキル基(該アルキル基中の−CH−が、酸素原子、硫黄原子および窒素原子がおのおの直接結合しないように、−O−、−R´C=CR´−、−CO−、−OCO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−NR´−または−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の水素原子は、ハロゲノ基、ニトリル基または芳香族基によって置換されていてもよい(ただし、R´は炭素原子数1〜20の非環式または環式のアルキル基を表す。)。)は、(A−1)炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基、(A−2)炭素原子数1〜19のアルコキシ基、(A−3)炭素原子数2〜19のアルコキシアルキル基、(A−4)炭素原子数2〜20のアルケニル基、(A−5)炭素原子数2〜20のアルカノイ ル基、(A−6)炭素原子数3〜20のアルカノイルアルキル基、(A−7)炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、(A−8)炭素原子数2〜20のアルカノイルオキシ基、(A−9)炭素原子数1〜19のアルキルスルファニル基、(A−10)炭素原子数2〜19のアルキルスルファニルアルキル基、(A−11)炭素原子数1〜19のアルキルスルホニル基、(A−12)炭素原子数2〜19のアルキルスルホニルアルキル基、(A−13)炭素原子数1〜19のアルキルスルフィニル基、(A−14)炭素原子数2〜19のアルキルスルフィニルアルキル基、(A−15)炭素原子数1〜19のアルキルアミノ基、(A−16)炭素原子数2〜19のアルキルアミノアルキル基、(A−17)炭素原子数2〜20のアルキニル基である。
前記(A−1)〜(A−17)の中で、本発明の化合物の成膜性と移動度を向上させる観点からは、(A−1)炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基、(A−2)炭素原子数1〜19のアルコキシ基、(A−3)炭素原子数2〜19のアルコキシアルキル基、(A−4)炭素原子数2〜20のアルケニル基、(A−9)炭素原子数1〜19のアルキルスルファニル基、(A−10)炭素原子数2〜19のアルキルスルファニルアルキル基、または(A−17)炭素原子数2〜20のアルキニル基が好ましく、
更に高い移動度の化合物を得るためには、(A−1)炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基がより好ましい。
(A−1)の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基;
等を挙げることが出来る。
本発明の具体的な化合物として、以下の化合物を挙げることができるが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
本発明の具体的な化合物を以下に示す。
Figure 2018177639
(本発明の化合物の製造方法)
本発明の化合物の製造方法について説明する。
本発明の化合物の製造方法としては、本発明の化合物を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。以下に示すとおり、本発明の化合物は、公知慣用の合成反応を組み合わせて製造することができる。
製造スキーム(S1)式を用いて、本発明の化合物の製造方法について説明する。
Figure 2018177639
(式中、ArおよびArは、一般式(1)のArおよびArと同義である。)
まず、1,3−ジクロロベンゼンに硝酸カリウムを作用させてジニトロ化(1段階目)したのち、アンモニアを作用させてジアミノ化する(2段階目)。次に、塩化すず(II)で還元することでテトラアミノ化させ(3段階目)、しかるのちに臭化チオニルを作用させることで4,8−ジブロモB2Tを得る(4段階目)。最後に、有機すず化合物(Ar−≡−SnRsおよびAr−≡−SnRs(Rsはアルキル基を表す。))とStilleカップリング反応させ、目的の化合物Ar−≡−B2T−≡−Arとする(5段階目)。5段階目において、Ar−≡−SnRsおよびAr−≡−SnRsは同一であっても異なっていてもよく、異なっている場合は、同時に作用させてもよいし、順次作用させてもよい。
(本発明の半導体材料)
本発明の半導体材料について説明する。
本発明の化合物は、半導体素子を用途とした、半導体材料として使用することができる。本発明の半導体材料の形態としては、半導体素子の製造に供しうる形態であれば特に限定されるものではなく、単結晶、多結晶、粉末、非晶膜、多結晶膜、単結晶膜、薄膜等の固体形態;溶液、分散液、塗布液、インク等の液体形態;などを挙げることができる。中でも、有機半導体材料の特徴が、湿式成膜法によって半導体素子を与えうるところにあることを鑑みれば、塗布液またはインクであることが好ましい。
なお、本発明の半導体材料は、供された半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内で、本発明の化合物以外の材料を含有していてもよい。
(本発明のインク)
本発明のインクについて説明する。
本発明のインクとは、本発明の化合物を含有する半導体膜を、湿式成膜法によって形成するための材料であり、さらには、本発明の化合物を含有する半導体層であって、本発明の半導体素子が有する半導体層を、湿式成膜法によって形成するための材料であり、ひいては、本発明の半導体素子を湿式成膜法によって与える材料である。
本発明のインクは、本発明の化合物以外に、本発明の化合物を溶解または分散せしめることができる溶媒を含有している。
そのような溶媒としては、本発明の化合物を溶解または分散せしめることができれば特に限定されるものではなく、例えば、
酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート(EEP)、プロピレンカーボネート等のエステル系溶媒;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1,3−ブタンジオール、1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、工業用高級アルコール(例えば、ダイヤドールシリーズ(商品名、三菱化学製))等のアルコール系溶媒;
ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、n−デカン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、クメン、n−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、p−シメン、1,4−ジエチルベンゼン、メシチレン、1,3,5−トリエチルベンゼン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、1,3−ジメトキシベンゼン、3,5−ジメトキシトルエン、2,4−ジメチルアニソール、フェネトール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラリン、1,5−ジメチルテトラリン、1−メチルナフタレン、工業用芳香族系溶媒(例えば、ソルベッソ100、ソルベッソ150など(商品名、エクソンモービル製))等の芳香族系溶媒;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル(モノグライム)、ジグライム、トリグライム、エチレングリコールモノメチルエーテル(セロソルブ)、エチルセロソルブ、プロピオセロソルブ、ブチロセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテルベンゾ二トリルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;
等を挙げることできる。
なお、本発明のインクに用いられる溶媒は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
本発明のインクは、その他の成分として、用途に応じて、本発明の化合物以外の半導体材料を含有していてもよい。そのような半導体材料としては、電子供与性材料、電子受容性材料、電子輸送性材料、正孔輸送性材料、発光材料、光吸収材料等を挙げることができる。
また、本発明のインクは、その他の成分として、高分子化合物や樹脂、体質成分、界面活性剤、離型剤等を含有していてもよい。これらの成分は、本発明のインクに、印刷適性および造膜性(膜形成能)を付与するために、必要に応じて加えられる。
本発明のインクに含有しうる樹脂としては、公知慣用の絶縁性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、
シアノエチルプルラン、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパラキシリレン誘導体(例えば、パリレンシリーズ(商標名))、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、アモルファスフッ素樹脂(例えば、サイトップシリーズ(商品名、旭硝子製))、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、電子線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性アクリル系樹脂や電子線硬化性メタアクリル系樹脂)、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、メラミン樹脂、UV硬化性樹脂(例えば、UV硬化性アクリル系樹脂やUV硬化性メタアクリル系樹脂)等の高分子化合物を挙げることができる。
なお、本発明のインクに含有される樹脂は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
該樹脂のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、1〜10質量%の範囲であることが好ましく、3〜7質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明のインクに含有しうる体質成分としては、公知慣用の電気的絶縁性の無機系微粒子や公知慣用の電気的絶縁性の顔料であれば特に限定されるものではなく、例えば、
アエロジルシリーズ(商品名、エボニック製)、
サイリシア、サイロホービック、サイロピュート、サイロページ、サイロピュア、サイロスフェア、サイロマスク、シルウェル、フジバルーン(以上、商品名、富士シリシア製)、
PMA−ST、IPA−ST(以上、商品名、日産化学製)、
NANOBIC3600シリーズ、NANOBIC3800シリーズ(以上、商品名、ビックケミー製)等の無機系微粒子;
EXCEDIC BLUE0565、EXCEDIC RED0759、EXCEDIC YELLOW 0599、EXCEDIC GREEN0358、EXCEDIC YELLOW0648(以上、商品名 DIC製)等の顔料;
などを挙げることができる。
なお、本発明のインクに含有される体質成分は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
該体質成分のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0〜20質量%の範囲であることが好ましい。
本発明のインクに含有しうる界面活性剤としては、公知慣用の電気的絶縁性の界面活性剤であれば特に限定されるものではなく、例えば、
炭化水素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。中でも、鎖長がC6以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤(例えば、メガファックF−482、メガファックF−470(R−08)、メガファックF−472SF、メガファックR−30、メガファックF−484、メガファックF−486、メガファックF−172D、メガファックF178RM(以上、商品名、DIC製))が好ましい。
なお、本発明のインクに含有される界面活性剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
該界面活性剤のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0.01〜5.00質量%の範囲であることが好ましく、有効成分で0.05〜1.00質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明のインクに含有しうる離型剤としては、公知慣用の電気的絶縁性のシリコーン系化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンゴム、シリコーンレジン、有機変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、フッ素化合物とシリコーンポリマーの混合物、フッ素変性シリコーン等を挙げることができる。中でも、グラノールシリーズ(商品名、共栄社製)、KF−96Lシリーズ(商品名、信越化学製)が、離型性や前記樹脂との相溶性の観点から好ましい。
なお、本発明のインクに含有される離型剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
また、該離型剤のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、有効成分で0.0〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、有効成分で0.0〜3.0質量%の範囲であることがより好ましい。
また、本発明のインクは、その他に、任意の成分として、レベリング剤、分散剤、消泡剤等を適時含有することができる。
本発明の化合物のインク中の濃度は、本発明のインクを用いてなる半導体素子が所望の半導体特性を呈する範囲内であれば特に限定されるものではなく、通常、0.01〜20.00質量%の範囲であることが好まく、0.05〜10.00質量%の範囲であることがより好まく、0.10〜10.00質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(本発明の半導体素子)
本発明の半導体素子について説明する。
本発明の半導体素子としては、本発明の化合物を用いてなる半導体層を有する半導体素子であれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイオード;サイリスタ;フォトダイオード、太陽電池、受光素子等の光電変換素子;電界効果型トランジスタ、静電誘導型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、薄膜トランジスタ等のトランジスタ;有機EL素子、発光トランジスタなどの発光素子;メモリ;温度センサ、化学センサ、ガスセンサ、湿度センサ、放射線センサ、バイオセンサ、血液センサ、免疫センサ、人工網膜、味覚センサ、圧力センサ等のセンサ;インバータ、リングオシレータ、RFID等のロジック回路ユニット;等を挙げることができる。
(本発明のトランジスタ)
本発明のトランジスタについて説明する。
トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、半導体層を必須要素として有する半導体素子であり、各電極や各層の配置の仕方によってさまざまな構造に分類される。
本発明のトランジスタの構造としては、本発明の化合物を半導体層として含有すれば特に限定されるものではなく、例えば、ボトムゲートボトムコンタクト(以下、BGBCと略する)型トランジスタ、ボトムゲートトップコンタクト(以下、BGTCと略する)型トランジスタ、トップゲートボトムコンタクト(以下、TGBCと略する)型トランジスタ、トップゲートトップコンタクト(以下、TGTCと略する)型トランジスタ、メタルベース有機トランジスタ(以下、MBOTと略する)、静電誘導トランジスタ(以下、SITと略する)等を挙げることができる。
次に、本発明のトランジスタの構成要素である基板について説明する。
基板材料としては、板状、シート状、フィルム状等に加工できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、
シリコン;
石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の無機系ガラス;
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂や高分子化合物;
等を挙げることができる。
中でも、トランジスタの生産性を向上させるという観点からは、ガラス製の板やシリコンウエハ等無機系基板が好ましく、フレキシブルなトランジスタを得るという観点からは、ガラス製シート、樹脂製シート、プラスチックフィルム等が好ましく、フレキシブル性に加え、軽量化を図り、可搬性および耐衝撃性を高めるという観点からは、樹脂製シートやプラスチックフィルムがより好ましい。
次に、本発明のトランジスタの構成要素である電極について説明する。
ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、無機系導電性材料や有機系導電性材料などを挙げることができる。
無機系導電性材料としては、例えば、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、スズ、アンチモン、ハフニウム、タングステン、白金、金、グラファイト、グラッシーカーボン、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、ナトリウム−カリウム合金、モリブデン−タンタル合金、アルミニウム−酸化アルミニウム混合物、銀−酸化銀混合物、マグネシウム−アルミニウム混合物、マグネシウム−インジウム混合物、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−銅混合物、リチウム−アルミニウム混合物、ドープシリコン、カーボンペースト、銀インク、銀ペースト、銅インク、銅ペースト、ナノ銀、ナノ銅等を挙げることができる。
一方、有機系導電性材料としては、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリアニリン誘導体、導電性ポリピロール、導電性ポリピロール誘導体、導電性ポリチオフェン、導電性ポリチオフェン誘導体、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT−PSS)等のドーピングで電気伝導率を向上させた公知慣用の導電性高分子;
テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン錯体などの電荷移動錯体;
などを挙げることができる。
なお、各電極は、1種類の導電性材料からなるものであってもよく、2種類以上の導電性材料からなるものであってもよい。2種類以上の場合、混合して用いてもよく、積層して用いてもよい。また、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極において、同一の導電性材料が用いられていてもよく、それぞれの電極において異なる導電性材料が用いられていてもよい。
電極の厚みは、該電極を形成するために用いられる導電性材料の種類に応じて、所望の電気伝導率を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、1nm〜1μmの範囲であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲であることがより好ましく、20nm〜100nmの範囲であることがさらに好ましい。
ソース電極およびドレイン電極の形状は、互いに、実質一定の間隔(この間隔がチャネル長(L)に相当する。)を持って対抗するように形成されていれば、特に限定されるものではない。
チャネル長(L)は、通常、0.1μm〜1mmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜200μmの範囲であることがより好ましく、1μm〜100μmの範囲であることがさらに好ましい。
電極の形成方法としては、「材料科学の基礎第6号有機トランジスタの基礎(アルドリッチ社)」に記載されているような公知慣用の方法を挙げることができ、所望の形状(パターン)および所望の厚みの電極を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではなく、例えば、
まず、湿式成膜法または乾式成膜法を用いて、いったん広い範囲に導電膜を形成し(いったん、導電膜をべた(全面)形成し)、次に、該「べた導電膜」上にレジストを、フォトリソグラフィーまたは印刷法によりパターン形成し、しかるのち、エッチングする方法;
前記「べた導電膜」をレーザーアブレーションなどでパターン化する方法;
マスクを介した乾式成膜法にて、ダイレクトにパターン化する方法;
印刷法を用いてダイレクトにパターン化する方法;
等を挙げることができる。
乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;などを、
湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等を挙げることができる。
なお、前記マスクを介した方法としては、金属マスク法とリフトオフ法などを、前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレイコート法、ディスペンス法等、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、キャピラリーペン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等を挙げることができる。
中でも、製造コスト低減の観点から、真空環境が不要となる、湿式成膜法を用いる方法が好まく、湿式成膜法の中、工程数が少ない、印刷法を用いる方法がより好ましい。
次に、本発明のトランジスタの構成要素であるゲート絶縁層について説明する。
ゲート絶縁層は、ゲート電極とソース電極、ゲート電極とドレイン電極、ゲート電極と半導体層を電気的に絶縁する機能を有するものである。したがって、ゲート絶縁層の材料としては、電気的絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シアノエチルプルラン、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパラキシリレン誘導体(例えば、パリレンシリーズ(商標名))、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、アモルファスフッ素樹脂(例えば、サイトップシリーズ(商品名、旭硝子製))、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、電子線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性アクリル系樹脂や電子線硬化性メタクリル系樹脂)、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、UV硬化性樹脂(例えば、UV硬化性アクリル系樹脂やUV硬化性メタクリル系樹脂)等の高分子化合物;
Al、SiO、BaSr(1−x)TiO、BaTiZr(1−x)等の無機物;
などを挙げることができる。
なお、ゲート絶縁層は、1種類の絶縁性材料からなるものであってもよく、2種類以上の絶縁性材料からなるものであってもよい。また、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤等を含んでいてもよい。
2種類以上の絶縁性材料からなる場合、各絶縁性材料は単純に混合されていてもよく、絶縁性材料間で共有結合が形成されていてもよい。さらに、反応(重合)開始剤、架橋剤、架橋補助剤を含んでいる場合、これらの材料と絶縁性材料は単純に混合されていてもよく、これらの材料間で共有結合が形成されていてもよい。
ゲート絶縁層の厚みは、該ゲート絶縁層を形成するために用いられる絶縁性材料の種類に応じて、所望の絶縁性を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、10nm〜5μmの範囲であることが好ましい。
ゲート絶縁層の形成方法としては、ゲート電極とソース電極間、ゲート電極とドレイン電極間、およびゲート電極と半導体層間を電気的に絶縁できる膜(層)を形成することができれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法を挙げることができる。
乾式成膜法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;などを、
湿式成膜法としては、例えば、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、塗布法、印刷法等を挙げることができる。
なお、前記塗布法としては、ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレイコート法、ディスペンス法等、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等を、
前記印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、キャピラリーペン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等を挙げることができる。
中でも、製造コスト低減の観点からは、真空設備が不要となる、湿式成膜法を用いる方法が好ましい。
なお、パターン化が必要な場合、「電極」の項において説明した内容と同様の方法にてパターン化することができる。
本発明のトランジスタの構成要素である半導体層について説明する。
本発明のトランジスタの特徴は、その構成要素である半導体層に、本発明の化合物を含有することにある。なお、本発明のトランジスタの構成要素である半導体層は、所望の半導体特性を呈することができれば、本発明の化合物以外の材料を含有していてもよい。そのような材料としては、「(本発明のインク)」の項目で説明した、その他の半導体材料、高分子化合物や樹脂、体質成分、界面活性剤、離型剤等を挙げることができる。
半導体層の厚みは、半導体層を形成するために用いられる半導体材料の種類に応じて、所望の半導体特性を達成できる範囲内で適宜決定されるものであり、通常、0.5nm〜1μmの範囲であることが好ましく、5nm〜500nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜300nmの範囲であることがさらに好ましい。
半導体層の形成方法としては、少なくともチャネル領域(ソース電極とドレイン電極で挟まれた領域)を覆うように半導体層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、公知慣用の乾式成膜法および湿式成膜法を挙げることができる。
乾式成膜法としては、例えば、
プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等の化学蒸着(CVD)法;
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法;
湿式成膜法としては、例えば、
ESD(Electro Spray Deposition)法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法、エアドクターコート法、エアナイフコート法、エッジキャスト法、含浸コート法、キスコート法、キャストコート法、スクイズコート法、スピンコート法、スリットコート法、静電コート法、静電スプレイコート法、ダイコート法、超音波スプレイコート法、超臨界スプレイコート法、ディスペンス法等、ディップコート法、ドクターブレードコート法、トランスファーロールコート法、ドロップキャスト法、バーコート法、ブレードコート法、リバースコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等の塗布法;
インクジェット印刷法、オフセット印刷法、キャピラリーペン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、ディスペンス法、凸版印刷法、凸版反転印刷法、ドロップキャスト法、フレキソ印刷法、平版印刷法、マイクロコンタクト印刷法等の印刷法;等を挙げることができる。
中でも、製造コストの低減および製造プロセスの低温化の観点から、湿式成膜法を用いる方法が好ましい。
また、半導体層の形成に当たっては、半導体材料の結晶性を高め半導体特性の向上を図ることを目的に、必要に応じて、前記のようにして成膜したのちにアニーリングを実施してもよい。アニーリングの温度は50〜200℃の範囲であることが好ましく、70〜200℃の範囲であることがより好ましく、アニーリングの時間は10分〜12時間の範囲であることが好ましく、1時間〜10時間の範囲であることがより好ましく、30分〜10時間の範囲であることがさらに好ましい。
本発明のトランジスタの用途としては、表示装置を構成する画素のスイッチング素子、表示装置を構成する画素の信号ドライバ回路、メモリ回路、センサ回路、インバータ、リングオシレータ、RFID等を挙げることができる。
前記表示装置のとしては、液晶表示装置、分散型液晶表示装置、電気泳動表示装置、粒子回転表示装置、エレクトロクロミック表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明を実施例でさらに詳細に説明する。
(実施例1)
〈化合物(101)の製造方法〉
化合物(101)の製造方法について説明する。なお、化合物(101)は、一般式(1)で表される化合物において、ArおよびArが3−ヘキシルフェニル基である場合に相当する化合物である。
Figure 2018177639
製造スキームを(S101)に示す。
Figure 2018177639
化合物(101)の合成方法について説明する。
アルゴン雰囲気下、Org. Lett.,12,3340−3343(2010)に記載の方法で得た4,8−ジブロモB2T0.200g(0.568mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.080g(0.069mmol)に乾燥トルエン40mLを加え室温で撹拌した。反応液へトリメチル((3−ヘキシルフェニル)エチニル)すず(IV)0.540g(1.14mmol)を加えたのち、100℃で4時間撹拌した。反応液を水洗したのち、硫酸マグネシウムで有機相を乾燥、溶媒を留去した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)で分離精製することで、目的物33.6mg(収率、11%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ7.67−7.61(m,4H),δ7.33−7.31(m,2H),δ7.29−7.22(m,2H),δ2.66(t,J=7.6Hz,2H),δ1.71−1.63(m,4H),δ1.40−1.29(m,14H),δ0.90(t,J=7.6Hz,6H).
〈化合物(101)の溶解度の評価〉
室温(25℃)において、化合物(101)へ、目視で完全に溶解するまでp−キシレンを加えて、溶解度を評価した。結果を表1に示す。
〈化合物(101)を用いてなるトランジスタの製造方法〉
中性洗剤水溶液、蒸留水、アセトン、エタノールを用いて、この順に、超音波洗浄(各30分×3回)したガラス基板上に、スパッタリング法にて、白金を、金属マスクを介して、パターン蒸着することにより、ゲート電極を形成し(厚み:30nm)、さらに、熱CVD法にて、前記ゲート電極を覆うように、ジクロロ−ジ−p−キシリレン重合物(ポリパラキシリレン)よりなるゲート絶縁層を形成した(厚み:1μm)。
次に、前記ゲート絶縁層上に、真空蒸着法(2×10−6Torr)にて、金属マスクを介して、金をパターン蒸着することにより、ソース・ドレイン電極を形成し(厚み:20nm、チャネル長:チャネル幅=75μm:3000μm)、このものを、ペンタフルオロベンゼンチオールのエタノール溶液(濃度:0.08質量%)に1時間浸漬した後、エタノールでリンスした。
最後に、前記ソース・ドレイン電極を覆うように、化合物(101)のp−キシレン溶液(0.4質量%)0.05μLをドロップキャストし、室温で乾燥させることで半導体層を形成した。
〈化合物(101)を用いてなるトランジスタの移動度の評価方法〉
前記のようにして製造したトランジスタの移動度は、ソース電極を接地し、ドレイン電極に−80Vを印加した状態で、ゲート電極に電圧(V)をスイープ印加(+40Vから−60V)しながら、ドレイン電極に流れる電流(I)を測定し、
√I−Vの傾きから、式(Eq.101)を用いて求めた。単位はcm/Vsである。
Figure 2018177639
(式中、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、μは移動度、Cはゲート絶縁層の単位面積当たりの電気容量、Vは閾値電圧を表す。)
結果を表2に示した。
(実施例2)
〈化合物(102)の製造方法〉
化合物(102)の製造方法について説明する。なお、化合物(102)は、一般式(1)で表される化合物において、ArおよびArがフェニル基である場合に相当する化合物である。
Figure 2018177639
実施例1において、トリメチル((3−ヘキシルフェニル)エチニル)すず(IV)の代わりに、トリメチル(フェニルエチニル)すず(IV)を用いた以外は実施例1と同様にして、化合物(102)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.84−7.81(m,4H),δ7.46−7.44(m,6H).
(実施例3)
〈化合物(103)の製造方法〉
化合物(103)の製造方法について説明する。なお、化合物(103)は、一般式
(1)で表される化合物において、ArおよびArが(4−tert−ブチルフェニル)基である場合に相当する化合物である。
Figure 2018177639
実施例1において、トリメチル((3−ヘキシルフェニル)エチニル)すず(IV)の代わりに、トリメチル((4−tert−ブチルフェニル)エチニル)すず(IV)を用いた以外は実施例1と同様にして、化合物(103)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.76(d,J=8.2Hz,4H),7.47(d,J=8.2Hz,4H),1.37(s,18H).
(実施例4)
〈化合物(104)の製造方法〉
化合物(104)の製造方法について説明する。なお、化合物(104)は、一般式(1)で表される化合物において、ArおよびArが(4−(トリフルオロメチル)フェニル)基である場合に相当する化合物である。
Figure 2018177639
実施例1において、トリメチル((3−ヘキシルフェニル)エチニル)すず(IV)の代わりに、トリメチル((4−(トリフルオロメチル)フェニル)エチニル)すず(IV)を用いた以外は実施例1と同様にして、化合物(104)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.93(d,J=8.0Hz,4H),7.72(d,J=8.0Hz,4H).
(比較例1)
〈化合物(C101)の製造方法〉
化合物(C101)は特許文献4に記載の合成方法に従って製造した。
Figure 2018177639
〈化合物(C101)の溶解度の評価〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C101)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度を評価した。結果を表1に示す。
〈化合物(C101)を用いてなるトランジスタの製造方法〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C101)を用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタを製造した。
〈化合物(C101)を用いてなるトランジスタの移動度の評価方法〉
実施例1において、化合物(101)を用いてなるトランジスタの代わりに化合物(C101)を用いてなるトランジスタを用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタの移動度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
〈化合物(C102)の製造方法〉
化合物(C102)は特許文献3に記載の合成方法に従って製造した。
Figure 2018177639
〈化合物(C102)の溶解度の評価〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C102)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度を評価した。結果を表1に示す。
〈化合物(C102)を用いてなるトランジスタの製造方法〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C102)を用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタを製造した。
〈化合物(C102)を用いてなるトランジスタの移動度の評価方法〉
実施例1において、化合物(101)を用いてなるトランジスタの代わりに化合物(C102)を用いてなるトランジスタを用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタの移動度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
〈化合物(C103)の製造方法〉
化合物(C103)は非特許文献1に記載の合成方法に従って製造した。
Figure 2018177639
〈化合物(C103)の溶解度の評価〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C103)を用いた以外は実施例1と同様にして、溶解度を評価した。結果を表1に示す。
〈化合物(C103)を用いてなるトランジスタの製造方法〉
実施例1において、化合物(101)の代わりに化合物(C103)を用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタを製造した。
〈化合物(C103)を用いてなるトランジスタの移動度の評価方法〉
実施例1において、化合物(101)を用いてなるトランジスタの代わりに化合物(C103)を用いてなるトランジスタを用いた以外は実施例1と同様にして、トランジスタの移動度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2018177639
Figure 2018177639
表1より明らかなように、本発明の化合物は、1.0質量%以上という高い溶媒溶解性を示す。これに対して、比較例1−3のB2T骨格を有する化合物(非特許文献1、特許文献3−4に記載)は、0.1質量%以下と溶媒溶解性が劣る。
また、特許文献2、特許文献5−7に記載の4,8位置換B2T骨格を有する化合物は、前記したとおり溶解性低きことが推察される。以上のことから、本発明の化合物は、従来技術のB2T骨格を有する化合物(非特許文献1、特許文献2−7)と比較して、高い溶媒溶解性を示すことがわかる(溶解度が高いほどインクへの適正が高く、有機半導体材料の特徴たる湿式成膜法に供することが容易となり、産業上優位。また、材料を製造する過程において、溶媒抽出法、カラムクロマトグラフィー法等公知慣用の精製法等が適用でき、工業生産に好適となり、産業上優位(有機半導体にとって必須の高純度化も容易となる。)。)。
表2より、本発明の化合物を用いてなる、ドロップキャスト法(ドロップキャスト法は、湿式成膜法の中でも、インクジェット法と相関があり、スピンコート法等と比較して、実用性の高い成膜法である。)によって成膜された半導体層を有するトランジスタは1cm/Vs以上という高い移動度を示す(この値は、既実用化しているアモルファスシリコンの半導体特性を超える。)。これに対して、比較例の化合物(非特許文献1、特許文献3−4に記載)は、溶媒溶解性が低いため、ドロップキャスト法による半導体層の成膜が困難であり、本発明と同一条件で作製した、比較例の化合物を用いてなるトランジスタは半導体特性を示さなかった(なお、特許文献4において、比較例1の化合物については、湿式成膜法であるスピンコート法によって成膜されている。スピンコート法は、溶解性低き材料であっても成膜できることがあり、したがって材料の基礎評価に適しているが、有機半導体を用いてなるトランジスタに必須の素子分離(アイソレーション)が別工程として必要となることから、工業的には課題を有する。また、スピンコート法は、材料の利用効率が低いという課題も有する。)。特許文献1の化合物については、文献1に記載されているとおり(前記)、半導体特性は、本発明の化合物より劣る。
本発明の化合物は、B2T骨格を採用し、該B2T骨格に、適正な置換基を導入することで、高い溶解度と、高い半導体特性を両立実現したものであり、このため実用性ある製造法にて材料生産が可能となり、また、実用性ある湿式成膜法(ドロップキャスト法やインクジェット(IJ)法)で製造できる半導体としての利用が可能であり、該半導体を半導体層として用いてなる半導体素子への利用が可能である。
1.基板
2.ゲート電極
3.ゲート絶縁層
4.半導体層
5.ソース電極
6.ドレイン電極

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2018177639
    (式中、ArおよびArは、同一であっても異なっていてもよく、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい複素芳香族基を表す。)
  2. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体材料。
  3. 請求項1に記載の化合物を含有するインク。
  4. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体膜。
  5. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体層を有する半導体素子。
  6. 請求項1に記載の化合物を含有する半導体層を有するトランジスタ。
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