JP2010524983A - 有機半導体 - Google Patents

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マーティン ヒーニー、
ウェイミン チャン、
イアン マカロック、
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Abstract

【課題】有機半導体を提供する。
【解決手段】本発明は、新規な置換されたジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン類(DBBDT)、それらの合成方法、それらを含む有機半導体材料、配合物および層、およびそれらを含む有機電界効果トランジスタ(OFET)などの電子装置に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な置換されたジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン類(DBBDT)、それらの合成方法、それらを含む有機半導体材料、配合物および層、およびそれらを含む有機電界効果トランジスタ(OFET)などの電子装置に関する。
6,13−ジエチニル置換ペンタセン誘導体を溶液で加工可能な有機半導体として使用することが見出された。
Figure 2010524983
例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン1は高い溶解度(クロロホルム中において100mg/mLを超える)を示し、溶液より製造した場合、0.17cm/Vsの正孔移動度および10のオン/オフ電流比を有する有機電界効果トランジスタ(OFET)装置を生じることが報告された(J.Am.Chem.Soc、2005年、127巻、4986頁参照、非特許文献1)。しかしながら、溶液および固体のいずれの状態においても、置換されたペンタセンは[4+4]2量化および光酸化を受け、光安定性に乏しい(Adv.Mater.2005年、3001頁参照、非特許文献2)。加えて、ペンタセン1は、124℃において、望ましくない熱転移を示す。これは、結晶・結晶の相転移に関連している。このため、1の薄膜においては、フィルムをこの転移より高く加熱すると、熱膨張および亀裂に至る場合がある(J.Chem.Phys.B.2006年、110巻、16397頁参照、非特許文献3)。電界効果装置においては、そのような亀裂は性能の著しい低下の原因となる。望ましくないことに、装置の製造にとって、この相転移が起こる温度が低いため、熱安定性が増加した構造が望まれている。
J.Am.Chem.Soc、2005年、127巻、4986頁 Adv.Mater.2005年、3001頁 J.Chem.Phys.B.2006年、110巻、16397頁
従って、上記の通りの先行技術の材料の欠点を有しておらず、特に、良好な加工性、有機溶媒中での良好な溶解性および高い電荷キャリア移動度を有する有機半導体材料として使用するための化合物を提供することが本発明の目的であった。本発明のもう一つの目的は、専門家が入手可能な有機半導体材料の蓄積を広げることであった。本発明の他の目的は、以下の詳細な記載より専門家には直ちに明らかである。
本発明において特許請求される通りの化合物を提供することで、これらの目的を達成できることを見出した。本発明の発明者らは、置換されたジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン類(DBBDT、2)を半導体として使用でき、殆どの有機溶媒において非常に良好な溶解性を示し、有機電界効果トランジスタ(OFET)において半導体層として使用した場合、高い性能を示し、溶液堆積で製造することで電荷キャリア移動度は0.1〜0.5cm/Vsおよび電流オン/オフ比は10となることを見出した。
Figure 2010524983
本発明は式Iの化合物に関する。
Figure 2010524983
式中、
、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、置換されていてもよいシリル基、または置換されていてもよいカルビルまたはヒドロカルビル基で、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、隣接する基RおよびRは、それぞれと互いに、または、それらが結合するベンゼン環と環構造を形成していてもよく、および、Rおよび/またはRは、Hを表していてもよく、
は、ハロゲンであり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜20個のC原子を含む置換されていてもよい脂肪族または芳香族ヒドロカルビル基である。
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物を含む半導体または電荷輸送材料、部品または装置に関する。
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、好ましくは有機溶媒より選択される1種類以上の溶媒とを含む配合物に関する。
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、好ましくは、1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率εを有する1種類以上の有機バインダーまたはそれの前駆体と、任意成分として1種類以上の溶媒とを含む有機半導体配合物に関する。
本発明は、更に、光学的、電気光学的、電子、エレクトロルミネッセンスまたはフォトルミネッセンス部品または装置において、電荷輸送、半導体、導電、光導電または発光材料として本発明による化合物および配合物を使用することに関する。
本発明は、更に、本発明による1種類以上の化合物または配合物を含む電荷輸送、半導体、導電、光導電または発光材料または部品に関する。
本発明は、更に、本発明による1種類以上の化合物または配合物を含む光学的、電気光学的、電子、エレクトロルミネッセンスまたはフォトルミネッセンス部品または装置に関する。
前記部品または装置としては、制限することなく、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学フィルム、リターダー、コンペンセーター、偏光子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、非線形光学(NLO)装置、光学情報記憶装置、電子装置、有機半導体、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光起電(OPV)装置、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、照明装置、センサー装置、電極材料、光導電体、光検出器、電子写真記録装置、キャパシタ、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基材、導電性パターン、光導電体、電子写真または電子写真記録装置、有機記憶装置、バイオセンサーおよびバイオチップが挙げられる。
チオフェンなどの5員のヘテロ芳香族をペンタセンの直線状の骨格に導入すると、結果として骨格が僅かに非直線状となる。それのベンゼン環が全て直線状の配列に縮合されているアセン類は、同数のベンゼン環を有するそれの非直線状の構造異性体と比較して不安定であることが先行技術より既知である[(a)Clar、E.The Aromatic Sextet;Wiley−Interscience社:ロンドン、1972年。(b)Suresh、C.H.;Gadre、S.R.J.Org.Chem.1999年、64巻、2505〜2512頁。(c)Aihara、J.J.Am.Chem.Soc.2006年、128巻、2873〜2879頁を参照]。対して、本発明によるDBBDTは、溶液中および固体中のいずれの状態においても増加された光および熱安定性を示す。
ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン類のC−6/C−12位にトリアルキルシリルエチニル基などの嵩高い置換基を導入することは、溶解性に効果があることが証明された。また、溶解性を向上させ、核からパイ電子を非局在化させるために、アリールエチニル置換基も導入できる。また、分子特性を更に調節するために、2,8または3,9位に置換基を導入することもできる。
上および下で使用される場合、用語「カルビル基」は、非炭素原子を一切伴わない(例えば、−C≡C−など)か、またはN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子と組み合わされていてもよい(例えば、カルボニルなど)のいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含む任意の一価または多価有機基構造成分を表す。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子を追加的に含有し、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどのヘテロ原子を1個以上含有してもよいカルビル基を表す。
また、3個以上のC原子鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状および/または環状でもよく、スピロおよび/または縮合環を含む。
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基としては、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシが挙げられ、それぞれは置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは、1〜25個、非常に好ましくは、1〜18個のC原子を有し、更に、6〜40個、好ましくは、6〜25個のC原子を有する置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシが挙げられ、更に、アルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシが挙げられ、それぞれは置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは、7〜40個のC原子を有し、ただし、全てのこれらの基は1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、N、O、S、P、Si、Se、As、TeおよびGeより選択される。
カルビルまたはヒドロカルビル基は、飽和または不飽和の非環式基、または飽和または不飽和の環式基であってよい。不飽和非環式または環式基が好ましく、特に、アリール、アルケニルおよびアルキニル基(特に、エチニル)である。C〜C40カルビルまたはヒドロカルビル基が非環式の場合、その基は直鎖状または分枝状でよい。C〜C40カルビルまたはヒドロカルビル基としては、例えば:C〜C40アルキル基、C〜C40アルコキシまたはオキサアルキル基、C〜C40アルケニル基、C〜C40アルキニル基、C〜C40アリル基、C〜C40アルキルジエニル基、C〜C40ポリエニル基、C〜C18アリール基、C〜C40アルキルアリール基、C〜C40アリールアルキル基、C〜C40シクロアルキル基、C〜C40シクロアルケニル基などが挙げられる。上述の基の中では、C〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキニル基、C〜C20アリル基、C〜C20アルキルジエニル基、C〜C12アリール基およびC〜C20ポリエニル基のそれぞれが好ましい。また、例えば、好ましくはトリアルキルシリル基などのシリル基で置換されているアルキニル基(好ましくはエチニル)などの、炭素原子を有する基とヘテロ原子を有する基の組み合わせも挙げられる。
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、25個までのC原子の単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、また、縮合環を含んでいてもよく、1個以上の基Lで置換されていてもよい。
好ましい置換基Lは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NR00、置換されていてもよいシリルまたは4〜40個、好ましくは、6〜20個の環原子のアリールまたはヘテロアリール、および、直鎖状または分岐状で1〜20個、好ましくは、1〜12個のC原子のアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は上で定義される通りであり、Xはハロゲンである。
非常に好ましい置換基Lはハロゲン、最も好ましくは、F、または1〜12個のC原子のアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキルおよびフルオロアルコキシまたは2〜12個のC原子のアルケニル、アルキニルより選択される。
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニル(ただし、加えて1個以上のCH基はNで置き換えられていたもよく)、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレンおよびオキサゾールであり、それら全ては、無置換、または、上で定義される通りのLで一置換または多置換されていてもよい。非常に好ましい環は、ピロール、好ましくは、N−ピロール、ピリジン、好ましくは、2−または3−ピリジン、ピリミジン、チオフェン、好ましくは、2−チオフェン、セレノフェン、好ましくは、2−セレノフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾールおよびオキサジアゾール、特に好ましくは、チオフェン−2−イル、5−置換チオフェン−2−イルまたはピリジン−3−イルより選択され、それら全ては、無置換、または、上で定義される通りのLで一置換または多置換されていてもよい。
およびRが、上で定義される通りのLで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、または1〜20個のC原子の直鎖状、分岐状または環状のアルキルを表し(無置換であるか、または、F、Cl、BrまたはIで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NR−、−SiR00−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく)、または、置換されていてもよく、好ましくは、1〜30個のC原子を有するアリールまたはヘテロアリールを表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである式Iの化合物が特に好ましい。
1個以上の基RおよびR、好ましくは、両方の基Rが式−(A−B)より選択され、ただし、複数出現する場合は互いに独立に、Aは−CY=CY−または−C≡C−より選択され、Bは上で定義される通りのLで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールより選択され、YおよびYは上で定義される通りであり、aは1、2または3である式Iの化合物が更に好ましい。
1個以上の基RおよびRが、C〜C20−アルキル(1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい)、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−アルコキシまたは−オキサアルキル、C〜C20−チオアルキル、C〜C20−シリル、C〜C20−アミノまたはC〜C20−フルオロアルキルを表し、特に、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、チオアルキルまたはフルオロアルキルよりであり、全て直鎖状で1〜12個、好ましくは、5〜12個のC原子を有しており、最も好ましくは、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである式Iの化合物が更に好ましい。
2個以上の置換基R1、2が、それぞれと互いに、または、それらが結合するベンゼン環と環構造を形成している場合、これは、好ましくは、5員、6員または7員の芳香族またはヘテロ芳香族環で、好ましくは、ピロール、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、セレノフェン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾールおよびオキサジアゾール、特に好ましくは、チオフェンまたはピリジンより選択され、全て上で定義される通りのLで置換されていてもよい。
一方または両方の基Rがシリル基、または置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールを表し、好ましくは、上で定義される通りのLで置換されていてもよい式Iの化合物が特に好ましい。
シリル基は置換されていてもよく、好ましくは、式−SiR’R”R’”から選択される。そこにおいて、R’、R”、R’”は、H、C〜C40−アルキル基(好ましくは、C〜C−アルキル、最も好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル)、C〜C40−アルケニル基(好ましくはC〜C−アルケニル)、C〜C40−アリール基(好ましくはフェニル)、C〜C40−アリールアルキル基、C〜C40−アルコキシまたはオキサアルキル基、またはC〜C40−アリールアルキルオキシ基より選択される同一または異なる基であり、ただし、全てのこれらの基は上で定義される通りの1個以上の基Lで置換されていてもい。好ましくは、R’、R”、R’”は、それぞれ独立に、置換されていてもよいC1〜10−アルキル、より好ましくは、C1〜4−アルキル、最も好ましくは、C1〜3−アルキルで、例えば、イソプロピル、および置換されていてもよいC6〜10−アリール、好ましくは、フェニルより選択される。更に、1個以上のR’、R”およびR’”が、Si原子と共に、好ましくは、1〜8個のC原子を有する環状シリルアルキル基を形成しているシリル基が好ましい。
シリル基の1つの好ましい実施形態において、R’、R”、R’”は同一の基であり、例えば、トリイソプロピルシリル中のように、同一で置換されていてもよいアルキル基である。非常に好ましくは、基R’、R”、R’”は同一で、置換されていてもよいC1〜10、より好ましくは、C1〜4、最も好ましくは、C1〜3アルキル基である。この場合の好ましいアルキル基は、イソプロピルである。
上で定義される通りの式−SiR’R”R’”または−SiR’R””のシリル基は、C〜C40−カルビルまたはヒドロカルビル基にとって好ましい任意成分の置換基である。
好ましい基−SiR’R”R’”としては、限定することなく、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、ジメチルエチルシリル、ジエチルメチルシリル、ジメチルプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジプロピルメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、ジプロピルエチルシリル、ジイソプロピルエチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリメトキシメチルシリル、トリビニルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、ジフェニルエチルシリル、ジエチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニルシリルなどが挙げられ、ただし、アルキル、アリールまたはアルコキシ基は置換されていてもよい。
アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH基が−O−によって置き換えられている場合、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、更に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
1個以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2〜10個のC原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が一般に好ましい。
オキサアルキル基、即ち、1個のCH基が−O−によって置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。オキサアルキル、即ち、1個のCH基が−O−によって置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
1個のCH基が−O−によりおよび1個が−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらの基は、好ましくは、隣り合っている。従って、これらの基は、一緒となってカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有している。それは、従って、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
2個以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
チオアルキル、即ち、1個のCH基が−S−によって置き換えられている場合、好ましくは、直鎖状のチオメチル(−SCH)、1−チオエチル(−SCHCH)、1−チオプロピル(即ち、−SCHCHCH)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)または1−(チオドデシル)であり、ただし、好ましくは、sp混成ビニル炭素原子に隣接しているCH基が置き換えられている。
フルオロアルキル基は、好ましくは、直鎖状のペルフルオロアルキルC2i+1で、ただし、iは1〜15の整数で、特には、CF、C、C、C、C11、C13、C15またはC17、非常に好ましくは、C13である。
1〜3およびR’、R”、R’”は、アキラルでもキラル基でもよい。特に好ましいキラル基は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシが非常に好ましい。
好ましいアキラルな分岐状の基は、イソプロピル、イソブチル(即ち、メチルプロピル)、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、tert.ブチル、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
−CY=CY−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくは、F、ClまたはBrである。
以下のサブ式の化合物が特に好ましい。
Figure 2010524983
Figure 2010524983
式中、R’、R”、R’”は上で定義される通りであり、RはHとは異なる上で与えられるRの意味の1つを有し、XはSiR’R”R’”またはArを表し、Arは、出現する毎に互いに独立に、上で定義される通りのLで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基である。
以下のサブ式の化合物が更に好ましい。
Figure 2010524983
Figure 2010524983
Figure 2010524983
式中、Rは、上で与えられるR’の意味の1つを有する。
本発明の化合物は、既知の方法に類似するか、下に記載する方法に従い合成できる。例より、更なる方法が分かる。
式Iの置換された化合物を調製する特に適切で好ましい方法を、以下の反応スキームに示す。
式Iの化合物を調製する方法は、本発明のもう一つの様態である。以下の工程を含む方法が特に好ましい:
a)置換されていてもよいベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジアルキルアミドまたはナフト[2,3−b]チオフェン−3−カルボン酸ジアルキルアミドを、少なくとも1当量の強塩基で低温において処理する。塩基は、ベンゾ[b]チオフェンまたはナフト[2,3−b]チオフェンの2位を脱プロトン化するに十分強いものでなければならない。例として、n−ブチルリチウム(BuLi)、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムテトラメチルピペリジド(LiTMP)またはリチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)が挙げられる。この有機リチウム中間体を引き続いて加熱することで、アリールリチウムと、もう一つの分子のカルボン酸ジアルキルアミドとの間の分子内縮合反応が促進され、置換されたケトンが生成される。アリールリチウムと、結果として生じるケトンのカルボン酸ジアルキルアミドとの間の第二の分子間反応により、縮合芳香族キノン(置換されていてもよいジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン)が与えられる、
b)結果として生じる縮合芳香族キノンを、少なくとも2当量の置換されていてもよいアルキニルリチウムまたはアルキニルマグネシウム試薬と処理する。有機金属種がカルボニル基に求核付加する結果、ジオール中間体が生成される。任意成分として塩化スズ(II)またはヨウ化ナトリウム/次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤存在下において、結果として生じるジオールに酸性化操作を施す結果、式Iの所望の分子が生成される。
無置換のジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(DBBDT)の合成について、スキーム1に概要を示す。既知の各種アミド生成反応の任意の1つにより、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸4をブロモベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジメチルアミド5に転化する。引き続き、このアミドをアルキルリチウム試薬で低温において処理し、2位を脱プロトン化して、有機リチウム試薬を生成する。この中間体を加熱することで、もう一つのカルボン酸ジメチルアミドとの分子内縮合反応が促進され、ジアリールケトンが生成される。アリールリチウムと、結果として生じるケトンのカルボン酸ジメチルアミドとの間の第二の分子間反応により、キノン(ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン6)が生成される。この工程は、SlocumおよびGiererによって報告されたもの(J.Org.Chem.1976年、3668頁参照)に類似している。他の経路は報告されている(J.Heter.Chem.1997年、34巻、781〜787頁参照)が、この経路による6の合成は先に報告されていない。最終的に、6を過剰のリチウムまたはマグネシウムアセチリドと反応させ、続いて、Anthonyおよび共同研究者ら(J.Am.Chem.Soc、2005年、127巻、4986頁参照)によって記載されるものに類似の様式において塩化スズ(II)で脱水することにより、エチニル官能基の導入を達成でき、目標の分子7を与える。
Figure 2010524983
出発材料として6−ブロモベンゾチオフェン[b]カルボン酸(J.Med.Chem.2003年、46巻、2446〜2455頁参照)または5−ブロモベンゾチオフェン[b]カルボン酸(商業的に入手可)を使用し、3,9または2,8位においてDBBDT核の外周に置換基を導入する場合もある(スキーム2参照)。よって、臭素化カルボン酸をジメチルアミドに転化し、続いて、臭化アリールの遷移金属による触媒反応で、置換されていてもよい各種アリール、アルキル、アルケニルまたはアルキニル置換基を導入できる。引き続き、有機リチウム中間体と反応させてキノンを生成し、上記の通り更に反応できる。
Figure 2010524983
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、好ましくは、有機溶媒より選択される1種類以上の溶媒とを含む配合物に関する。
好ましい溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテルおよびそれらの混合物である。使用できる追加の溶媒としては、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロ−メチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、安息香酸エチル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレンまたはo−、m−およびp−異性体の混合物が挙げられる。一般に、極性の比較的低い溶媒が好ましい。インクジェット印刷には、高沸点の溶媒および溶媒混合物が好ましい。スピンコートには、キシレンおよびトルエンなどのアルキル化ベンゼンが好ましい。
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、好ましくは、1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率εを有する1種類以上の有機バインダーまたはそれの前駆体と、任意成分として1種類以上の溶媒とを含む有機半導体配合物に関する。
式Iの特定の可溶性化合物、特に、上および下に記載される通りの好ましい式の化合物を、有機バインダー樹脂(以降、「バインダー」とも言う)と組み合わせると、式Iの化合物の電荷移動度が殆どまたは全く低下しないか、場合によっては、むしろ増加する結果となる。例えば、式Iの化合物をバインダー樹脂(例えば、ポリ(α−メチルスチレン)に溶解し、堆積(例えば、スピンコーティングによって)することができ、高い電荷移動度を生じる有機半導体層を形成する。更に、それによって形成された半導体層は優れたフィルム形成特性を示し、特に、安定である。
式Iの化合物をバインダーと組み合わせることで高移動度の有機半導体層配合物が得られれば、結果として得られる配合物は幾つかの利点をもたらす。例えば、式Iの化合物は可溶性であるので、それらを液体形状で、例えば溶液から堆積できる。バインダーを追加して使用することで、高度に均一な様態で広い範囲に配合物を塗工できる。更に、バインダーを配合物中で使用する場合、配合物の特性、例えば、粘度、固体含有量、表面張力を印刷方法に合うよう制御することが可能となる。ある特定の理論に束縛されることを一切望まないが、配合物中でバインダーを使用すると、そうでなければ空洞となる結晶粒子間の容積が満たされ、有機半導体層の空気および水分に対する感受性が低くなることも予測される。例えば、本発明の方法によって形成される層は、空気中でOFET装置において非常に良好な安定性を示す。
また、本発明は、有機半導体層配合物を含む有機半導体層も提供する。
本発明は、更に、有機半導体層の調製方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:
(i)上および下で記載される通りの式Iの1種類以上の化合物、1種類以上の有機バインダー樹脂またはその前駆体、および任意成分として1種類以上の溶媒を含む配合物の液体層を基体上に堆積し、
(ii)液体層から有機半導体層である固体層を形成し、
(iii)任意に、基体から層を取り除いてもよい。
下に更に詳細に方法を記載する。
加えて、本発明は、前記有機半導体層を含む電子装置を提供する。電子装置としては、限定することなく、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、光検出器、センサー、論理回路、記憶素子、キャパシタまたは光起電(PV)セルが挙げられる。例えば、OFETにおいて、ドレインおよびソース間の活性半導体チャネルが本発明の層を含むことができる。もう一つの例として、OLED装置において、電荷(正孔または電子)注入または輸送層が本発明の層を含むことができる。本発明による配合物およびそれより形成される層は、特に本明細書で記載される好ましい実施形態に関連して、OFETにおいて特に有用である。
本発明の好ましい実施形態において、式Iの半導体化合物は、10−5cm−1−1より大きい、好ましくは、10−4cm−1−1より大きい、より好ましくは、10−3cm−1−1より大きい、更により好ましくは、10−2cm−1−1より大きい、最も好ましくは、10−1cm−1−1より大きい電荷キャリア移動度μを有する。
バインダーは、典型的には、ポリマーであり、絶縁体バインダーまたは半導体バインダーのいずれか、またはそれらの混合物を含み、本明細書においては有機バインダー、重合体バインダーまたは単にバインダーと呼ぶこともある。
本発明による好ましいバインダーは低誘電率の材料であり、即ち、1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率εを有するものである。有機バインダーは、好ましくは、1,000Hzにおいて3.0以下、より好ましくは、2.9以下の誘電率εを有する。好ましくは、有機バインダーは、1,000Hzにおいて1.7以上の誘電率εを有する。バインダーの誘電率が2.0〜2.9の範囲であることが、特に好ましい。ある特定の理論に束縛されることを望まないが、1,000Hzにおいて3.3よりも大きい誘電率εのバインダーを使用すると、電子デバイス、例えば、OFETにおけるOSC層の移動度の低下が引き起こされる場合がると考えられている。加えて、高誘電率のバインダーの結果、電流ヒステリシスが増加する場合もあり、望ましくない。
適切な有機バインダーの例は、ポリスチレンである。更なる例が下に与えられる。
好ましい実施形態の1つのタイプにおいて、有機バインダーは、原子の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特には全てが、水素、フッ素および炭素原子からなるものである。
バインダーは、通常、共役結合、特に、共役二重結合および/または芳香環を含むことが好ましい。
バインダーは、好ましくは、フィルム、より好ましくは柔軟なフィルムを形成できなければならない。スチレンおよびα−メチルスチレンのポリマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレンおよびブタジエンを含むコポリマーを好適に使用できる。
本発明において使用する低誘電率のバインダーは永久双極子を殆ど有しておらず、そうでなければ分子のサイトエネルギーの乱雑な変動が引き起こされる場合がある。誘電率ε(誘電定数)は、ASTM D 150テスト法によって決定できる。
また、このタイプの材料は低い永久双極子を有するため、本発明においては、極性および水素結合の寄与が低い溶解度パラメータを有するバインダーを使用することが好ましい。本発明に従って使用するためのバインダーの溶解度パラメータ(「ハンセンパラメータ」)の好ましい範囲を下の表1に与える。
Figure 2010524983
上に列記した3次元溶解度パラメータは:分散(δ)、極性(δ)および水素結合(δ)成分(C.M.Hansen、Ind.Eng. and Chem.、Prod.Res. and Devl.、9巻、3号、282頁、1970年)を含む。これらのパラメータは経験的に決定でき、または、Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters、A.F.M.Barton編、CRC Press社、1991年に記載される通り、既知のモル基の寄与より計算できる。また、この刊行物には、多くの既知のポリマーの溶解度パラメータも列記されている。
バインダーの誘電率は周波数に殆ど依存しないことが望ましい。このことは、非極性材料にとって典型的なことである。ポリマーおよび/またはコポリマーは、それらの置換基の誘電率によってバインダーとして選択できる。適切で好ましい低極性のバインダーのリストを(これらの例に限定されずに)表2に与える:
Figure 2010524983
バインダーとして適する他のポリマーは、ポリ(1,3−ブタジエン)またはポリフェニレンを含む。
バインダーが、ポリα−メチルスチレン、ポリスチレンおよびポリトリアリールアミンまたはこれらの任意のコポリマーより選択されており、溶媒が、キシレン(1種類または複数種類)、トルエン、テトラリンおよびシクロヘキサノンより選択されている配合物が特に好ましい。
また、上のポリマーの繰り返し単位を含むコポリマーも、バインダーとして適する。コポリマーは、式Iの化合物との適合性を改善し、最終的な層構成の形態および/またはガラス転移温度を変える可能性を与える。上の表において、ある種の材料は、層を調製するために一般に使用される溶媒に不溶であることが分かる。これらの場合には、類似体をコポリマーとして使用できる。コポリマーの幾つかの例を(これらの例に限定されずに)表3に与える。ランダムまたはブロックコポリマーの両方を使用できる。また、全体として組成物が低極性を維持するのであれば、より極性なモノマー成分を数種類で加えることも可能である。
Figure 2010524983
他のコポリマーとしては、:分枝状または非分枝状のポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン、ポリスチレン−ブロック(ポリエチレン−ランダム−ブチレン)−ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−(エチレン−プロピレン)−ジブロック−コポリマー(例えば、KRATON(登録商標)−G1701E、Shell社)、ポリ(プロピレン−co−エチレン)およびポリ(スチレン−co−メチルメタクリレート)が挙げられる。
本発明による有機半導体層配合物で使用するために好ましい絶縁体バインダーは、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニル桂皮酸、ポリ(4−ビニルビフェニル)、ポリ(4−メチルスチレン)、およびTopas(登録商標)8007(直線状オレフィン、シクロ−オレフィン(ノルボルネン)コポリマー、Ticona社、ドイツ国より入手可)である。最も好ましい絶縁体バインダーは、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニル桂皮酸およびポリ(4−ビニルビフェニル)である。
また、好ましくは、十分に低い誘電率、非常に好ましくは、3.3以下を有し、例えば、アクリレート類、エポキシ類、ビニルエーテル類、チオレン類などの架橋性バインダーよりバインダーを選択することもできる。また、バインダーはメソゲンまたは液晶でもよい。
上述のように有機バインダーは、それ自体、半導体でよく、その場合、本明細書においては半導体バインダーと呼ぶ。半導体バインダーは、更に好ましくは、本明細書で定義される通り、低誘電率のバインダーである。本発明で使用する半導体バインダーは、好ましくは、少なくとも1500〜2000以上、より好ましくは、少なくとも3000、更により好ましくは、少なくとも4000、最も好ましくは、少なくとも5000の数平均分子量(M)を有する。半導体バインダーは、好ましくは、少なくとも10−5cm−1−1、より好ましくは、少なくとも10−4cm−1−1の電荷キャリア移動度μを有する。
半導体バインダーの好ましい部類は米国特許第6,630,566号明細書で開示される通りのポリマーで、好ましくは、式1の繰り返し単位を有するオリゴマーまたはポリマーである:
Figure 2010524983
式中、
Ar、ArおよびArは同一または異なっていてよく、異なる繰り返し単位の場合は独立して、置換されていてもよい単核または多核の芳香族基を表し、および
mは、1以上、好ましくは6以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、最も好ましくは20以上の整数である。
Ar、ArおよびArの文意において、単核芳香族基は1個のみの芳香族環を有し、例えば、フェニルまたはフェニレンである。多核芳香族基は2個以上の芳香族環を有し、縮合(例えば、ナフチルまたはナフチレン)していてもよく、それぞれが共有結合(例えば、ビフェニル)していてもよく、および/または縮合およびそれぞれが結合した芳香族環の両方の組み合わせでもよい。好ましくは、Ar、ArおよびArのそれぞれは、実質的に基全体にわたって実質的に共役している芳香族基である。
更に、半導体バインダーの好ましい部類は、実質的に共役している繰り返し単位を含むものである。半導体バインダーポリマーは、一般式2のホモポリマーまたはコポリマー(ブロックコポリマーを含む)であってよい:
Figure 2010524983
式中、A、B、…、Zは、それぞれモノマー単位を表し、(c)、(d)、…、(z)は、ポリマーにおける、それぞれのモノマー単位のモル分率を表し、即ち、(c)、(d)、…、(z)は0〜1の値であり、(c)+(d)+…+(z)=1である。
適切で好ましいモノマー単位A、B、、…、Zの例は、上の式1および下で与えられる式3〜8(ただし、mは式1で定義される通り)の単位を含む:
Figure 2010524983
式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、CN、NO、−N(R)(R)または置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アシル、アリールより選択され、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、置換されていてもよいアルキル、アリール、アルコキシまたはポリアルコキシまたは他の置換基より選択され、
ただし、星印(*)は、Hを含む任意の末端またはエンドキャップ基であり、アルキルおよびアリール基はフッ化されていてもよく;
Figure 2010524983
式中、
Yは、Se、Te、O、Sまたは−N(R)、好ましくは、O、Sまたは−N(R)であり、
は、H、置換されていてもよいアルキルまたはアリールであり、
およびRは、式3で定義される通りであり;
Figure 2010524983
式中、R、RおよびYは、式3および4で定義される通りであり;
Figure 2010524983
式中、R、RおよびYは、式3および4で定義される通りであり、
Zは、−C(T)=C(T)−、−C≡C−、−N(R)−、−N=N−、(R)=N−、−N=C(R)−であり、
およびTは、それぞれ互いに独立して、H、Cl、F、−CNまたは1〜8個のC原子の低級アルキルを表し、
は、Hまたは置換されていてもよいアルキルまたはアリールであり;
Figure 2010524983
式中、RおよびRは式3で定義される通りであり;
Figure 2010524983
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、式3におけるRおよびRの意味の1つを有する。
式1〜8などの本明細書で記載される重合体の式の場合、ポリマーは任意の末端基で終わっていてよく、即ち、水素を含む任意のエンドキャップまたは脱離基である。
ブロック−コポリマーの場合、それぞれのモノマーA、B...Zは、式3〜8の単位を、例えば、2〜50個の数で含む共役オリゴマーまたはポリマーでよい。半導体バインダーは、好ましくは、:アリールアミン、フルオレン、チオフェン、スピロビフルオレンおよび/または置換されていてもよいアリール(例えば、フェニレン)基、より好ましくは、アリールアミン、最も好ましくは、トリアリールアミン基を含む。上述の基は、更なる共役基、例えば、ビニレンで結合されていてもよい。
加えて、半導体バインダーは、1個以上の上述のアリールアミン、フルオレン、チオフェンおよび/または置換されていてもよいアリール基を含有するポリマー(ホモポリマーまたはブロック−コポリマーを含むコポリマーのいずれか)を含むことが好ましい。好ましい半導体バインダーは、アリールアミン(好ましくは、トリアリールアミン)および/またはフルオレン単位を含有するホモポリマーまたはコポリマー(ブロック−コポリマーを含む)を含む。もう一つ好ましい半導体バインダーは、フルオレンおよび/またはチオフェン単位を含有するホモポリマーまたはコポリマー(ブロック−コポリマーを含む)を含む。
また、半導体バインダーは、カルバゾールまたはスチルベン繰り返し単位を含んでもよい。例えば、ポリビニルカルバゾールまたはポリスチルベンポリマーまたはコポリマーを使用できる。半導体バインダーはDBBDTセグメント(例えば、上の式Iで記載される通りの繰り返し単位)を、式の可溶性化合物との適合性を改善するために含んでもよい。
本発明における有機半導体層配合物で使用するための最も好ましい半導体バインダーは、ポリ(9−ビニルカルバゾール)およびPTAA1、即ち、以下の式のポリトリアリールアミンである。
Figure 2010524983
式中、mは式1で定義される通りである。
pチャンネルFETにおける半導体層の用途には、半導体バインダーは、式Iの半導体化合物よりも高いイオン化ポテンシャルを有していなければならないことが望ましく、そうでなければ、バインダーが正孔トラップを形成することがある。nチャンネル材料では、半導体バインダーは、電子のトラップを避けるためにn型半導体よりも低い電子親和性を有していなければならない。
本発明による配合物は、以下を含む方法によって調製できる:
(i)最初に、式Iの化合物および有機バインダーまたはその前駆体を混合する。好ましくは、混合は、溶媒または溶媒混合物と共に2種類の成分を混合することを含み、
(ii)式Iの化合物および有機バインダーを含有する溶媒(1種類または複数種類)を基体に塗布し;任意に、本発明による有機半導体層を形成するために溶媒を蒸発さててもよく、
(iii)任意に、基体より固体層を取り外してもよく、固体層より基体を取り外してもよい。
工程(i)においては、溶媒は単一溶媒であってもよく、または、それぞれ式Iの化合物および有機バインダーを別々の溶媒に溶解してもよく、続いて、化合物を混合するために2つの結果として生ずる溶液を混合する。
バインダーの前駆体、例えば、液体モノマー、オリゴマーまたは架橋性ポリマー中において式Iの化合物を、任意に溶媒存在下で、混合または溶解し、その場でバインダーを形成してもよい。液体層を形成するために、例えば、混合物または溶液を浸漬、噴霧、塗布または印刷することで、それを基体上に堆積し、次いで、固体層を生成するために、例えば、照射、熱または電子ビームに曝露して、液体モノマー、オリゴマーまたは架橋性ポリマーを硬化する。予め形成されたバインダーを使用する場合、適切な溶媒中で式Iの化合物と共にバインダーを溶解し、液体層を形成するために、例えば、溶液を浸漬、噴霧、塗布または印刷することで、それを基体上に堆積し、次いで、固体層を残存させるために溶媒を除去してもよい。バインダーおよび式Iの化合物の両者を溶解でき、溶液混合体から蒸発させれば凝集による欠陥がない層を与える溶媒を選択すると理解されるであろう。
混合物を使用する濃度においてASTM法D3132に記載される通り、材料についてコントア図を調製することで、バインダーまたは式Iの化合物に適切な溶媒を決定できる。ASTM法に記載される通り、広範な溶媒に材料を添加する。
また、本発明に従う配合物は、式Iの2種類以上の化合物および/または2種類以上のバインダーまたはバインダー前駆体を含んでもよく、配合物の調製方法は、そのような配合物にも適用できると理解されるであろう。
適切で好ましい有機溶媒の例としては、限定することなく、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダンおよび/またはそれらの混合物が挙げられる。
適切に混合および経時した後、溶液を次のカテゴリーの1つとして評価することができる:完全な溶液、可溶性および不溶性の境界上の溶液または不溶性。コントア線を、可溶性および不溶性を分ける溶解度パラメータ−水素結合限界の輪郭を得るために描く。可溶性領域内に収まる「完全な」溶媒を、「Crowley、J.D.、Teague、G.S.JrおよびLowe、J.W.Jr.、Journal of Paint Technology、38巻、496号、296頁(1966年)」で刊行されているなどの文献値より選択できる。また、溶媒混合体も使用でき、「Solvents、W.H.Ellis、Federation of Societies for Coatings Technology、9〜10頁、1986年」に記載されるように特定できる。混合体中に少なくとも1種類の真性溶媒を有することが望ましいが、そのような手順によって、バインダーおよび式Iの化合物の両者を溶解する「非」溶媒の混合物を導くこともできる。
絶縁体または半導体バインダーおよびそれらの混合物と共に、本発明による配合物において使用するために特に好ましい溶媒は、キシレン(1種類または複数種類)、トルエン、テトラリンおよびo−ジクロロベンゼンである。
本発明による配合物または層において、式Iの化合物に対するバインダーの比率は、典型的には重量比で、20:1〜1:20、好ましくは、10:1〜1:10、より好ましくは、5:1〜1:5、更により好ましくは、3:1〜1:3、更には好ましくは、2:1〜1:2、特には、1:1である。驚くべきことおよび有益なことに、先行技術から予想されたことに反して、式Iの化合物をバインダー中に希釈しても、電荷移動度に対して悪影響が殆どまたは全くないことが見出された。
本発明により、更に、OFETなどの電子装置に対して、有機半導体層配合物における固体の含有量レベルも移動度値の向上を達成する要因であることが見出された。配合物の固体含有量は一般に以下の通り示される:
Figure 2010524983
式中、
aは式Iの化合物の質量、bはバインダーの質量、cは溶媒の質量である。
配合物の固体含有量は、好ましくは、0.1〜10重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%である。
驚くべきことおよび有益なことに、先行技術から予想されたことに反して、式Iの化合物をバインダー中に希釈しても、電荷移動度に対して悪影響が殆どまたは全くないことが見出された。
コスト(より多くの装置/単位面積)および電力消費を削減するために、近代のマイクロ電子において小型構造を生成することが望ましい。本発明の層のパターニングは、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィーによって行うことができる。
電界効果トランジスタなどの有機電子装置の液体塗工は、真空蒸着技術よりも望ましい。本発明の配合物により、多くの液体塗工技術の使用が可能となる。例えば、限定されることなく、浸漬塗工、スピン塗工、インクジェット印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード塗工、ローラー印刷、逆ローラー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、噴霧塗工、はけ塗り塗工またはパッド印刷により、最終装置構造に有機半導体層を組み込むことができる。本発明は、最終装置構造に有機半導体層をスピン塗工するために使用することに特に適している。
インクジェット印刷またはミクロディスペンシングによって、本発明の選択された配合物を既製の装置基体に塗布できる。有機半導体層を基体に塗布するために、好ましくは、限定されないが、Aprion社、Hitachi−Koki社、InkJet Technology社、、On Target Technology社、、Picojet社、Spectra社、Trident社、Xaar社によって供給されるものなどの工業的圧電印刷ヘッドを使用できる。加えて、Brother社、Epson社、Konica社、Seiko Instruments Toshiba TEC社によって製造されるものなどの半工業的ヘッドまたはMicrodrop社およびMicrofab社によって製造されるものなどの単一ノズルミクロディスペンサーを使用してもよい。
インクジェット印刷またはミクロディスペンシングによって塗布するためには、最初に、式Iの化合物およびバインダーの混合物を適切な溶媒に溶解しなければならない。溶媒は上述の要件を満足していなければならず、選択された印刷ヘッドに対して何ら有害な効果を有していてはならない。加えて、溶媒は、印刷ヘッドの内側で溶液が乾燥することによって生ずる操作上の問題を防ぐために、100℃を超え、好ましくは、140℃を超え、より好ましくは、150℃を超えるる沸点を有していなければならない。適切な溶媒としては、置換および無置換のキシレン誘導体、ジ−C1〜2−アルキルホルムアミド、置換および無置換のアニソールおよび他のフェノール−エーテル誘導体、置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノンなどの置換されたヘテロ環類、置換および無置換のN,N−ジ−C1〜2−アルキルアニリンおよび他のフッ素化または塩素化された芳香族類が挙げられる。
インクジェット印刷によって本発明による配合物を堆積するのに適切な溶媒としては、1個以上の置換基によって置換されたベンゼン環を有するベンゼン誘導体が挙げられ、ただし、1個以上の置換基中の炭素原子の総数は少なくとも3個である。例えば、ベンゼン誘導体はプロピル基または3個のメチル基で置換されていてもよく、いずれの場合も、全部で少なくとも3個の炭素原子が存在する。そのような溶媒によって、噴霧の際にジェットの目詰まりおよび成分の分離を低減または防止する溶媒を、バインダーおよび式Iの化合物と共に含むインクジェット液体の形成が可能となる。溶媒(1種類または複数種)としては、以下の例の列記より選択されるものが挙げられる:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオール、リモネン、イソジュレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。溶媒は2種類以上の溶媒の組み合わせである溶媒混合物でよく、それぞれの溶媒は、好ましくは、100℃を超える沸点を有しており、より好ましくは、140℃を超える。また、そのような溶媒(1種類または複数種)は、堆積される層中のフィルム形成を促進し、層中の欠陥を減少させる。
インクジェット液体(即ち、溶媒、バインダーおよび半導体化合物の混合物)は、好ましくは、20℃で、1〜100mPa・s、より好ましくは、1〜50mPa・s、最も好ましくは、1〜30mPa・sの粘度を有する。
また、本発明においてバインダーを使用することで、塗工溶液の粘度を特定の印刷ヘッドの要件に適合するよう調整することもできる。
本発明の半導体層は、所望により厚くすることもできるが、典型的には、最大1ミクロン(=1μm)の厚みである。層の厳密な厚みは、例えば、層を使用する電子装置の要件に依存するであろう。OFETまたはOLEDにおいて使用するには、層厚は、典型的には500nm以下でよい。
本発明の半導体層においては、式Iの2種類以上の異なる化合物を使用できる。加えてまたは代わりに、半導体層において、2種類以上の本発明の有機バインダーを使用できる。
上述の通り、本発明は、更に、(i)式Iの1種類以上の化合物、1種類以上の有機バインダーまたはその前駆体および任意成分として1種類以上の溶媒を含む配合物の液体層を基体上に堆積し、および(ii)有機半導体層である固体層を液体層から形成することを含む、有機半導体層の調製方法を提供する。
その方法において、固体層は、溶媒を蒸発させるおよび/または(存在するのであれば)バインダー樹脂前駆体を反応させ、その場でバインダー樹脂を形成することで形成できる。基体としは、例えば、任意の下地装置層、電極またはシリコンウエハーまたはポリマー基体などの別々の基体が挙げられる。
本発明のある特定の実施形態においてはバインダーを配向してもよく、例えば、液晶相を形成できる。その場合、例えば、それらの芳香族核が電荷輸送の方向に沿って優先的に配向するように、式Iの化合物の配向をバインダーが助けるものでもよい。バインダーを配向する適切な方法としては重合体有機半導体を配向するために使用される方法が挙げられ、先行技術に記載されており、例えば、国際特許出願公開第03/007397号パンフレット(Plastic Logic)である。
本発明による配合物は、例えば、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散助剤、疎水化剤、粘着剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性または非反応性の希釈剤、補助、着色剤、染料または顔料、更に、特に架橋性バインダーを使用する場合、触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤または共反応性モノマーなどの1種類以上の更なる成分を加えて含んでよい。
また、本発明は、電子装置において、半導体化合物、配合物または層を使用することも提供する。配合物は、種々の装置および機構において、高移動度の半導体材料として使用できる。配合物は、例えば、半導体層またはフィルムの形態で使用できる。従って、もう一つの様態において、本発明は、電子装置において使用するための半導体層を提供し、層は本発明による配合物を含む。層またはフィルムは、約30ミクロン未満でよい。種々の電子装置の用途において、厚みは、約1ミクロン未満の厚みでよい。層は、例えば、電子装置の一部の上に、任意の上述の溶液塗工または印刷技術によって堆積できる。
化合物または配合物は、例えば、半導体チャンネルとして電界効果トランジスタ(FET)において、例えば、正孔または電子注入または輸送層またはエレクトロルミネッセンス層として有機発光ダイオード(OLED)において、光検出器、化学検出器、光起電セル(PV)、キャパシタセンサー、論理回路、ディスプレイ、記憶装置などにおいて、例えば、層またはフィルムとして使用できる。また、化合物または配合物は、電子写真(EP)機構においても使用できる。コストおよび製造の汎用性における利点を与えるために、化合物または配合物は、好ましくは、上述の装置または機構において、層またはフィルムを形成するために塗工される溶液である。本発明の化合物または配合物においては電荷キャリア移動度が向上しているため、そのような装置または機構が、より速くおよび/またはより効果的に動作することが可能となる。本発明の化合物、配合物および層は、特に、有機電界効果トランジスタOFETにおいて半導体チャンネルとして使用することに適する。従って、本発明は、ゲート電極、絶縁体(またはゲート絶縁体)層、ソース電極、ドレイン電極およびソースおよびドレイン電極をつなぐ有機半導体チャンネルを含む有機電界効果トランジスタ(OFET)も提供し、ただし、有機半導体チャンネルは、本発明による有機半導体層を含む。OFETの他の特徴は、当業者によく知られている。
ソースおよびドレイン電極が絶縁体層によってゲート電極より分離されており、ゲート電極および半導体層の両者が絶縁体層とコンタクトしており、ソース電極およびドレイン電極の両者が半導体層とコンタクトしているならば、OFET装置におけるゲート、ソースおよびドレイン電極および絶縁体および半導体層を任意の順序で配置できる。
本発明によるOFET装置は、好ましくは、
−ソース電極と、
−ドレイン電極と、
−ゲート電極と、
−有機半導体と、
−1つ以上のゲート絶縁体層と、
−任意要素として基体と
を含み、
ただし、半導体層は、好ましくは、式Iの化合物、非常に好ましくは、上よび下で記載される通り、式Iの化合物および有機バインダーを含む配合物を含む。
OFET装置は、トップゲート装置またはボトムゲート装置でよい。OFET装置の適切な構造および製造方法は当業者に既知であり、文献、例えば、国際特許出願公開第03/052841号パンフレットに記載されている。
ゲート絶縁体層は、好ましくは、例えば、商業的に入手可能なCytop809M(登録商標)またはCytop107M(登録商標)(旭硝子社製)などのフルオロポリマーを含む。好ましくは、例えば、スピンコート、ドクターブレード、ワイヤーバー塗工、噴霧または浸漬塗工または他の既知の方法により、絶縁体材料および1個以上のフッ素原子の1種類以上の溶媒(フルオロ溶媒)、好ましくは、ペルフルオロ溶媒を含む配合物より、ゲート絶縁体層を堆積する。適切なペルフルオロ溶媒は、例えば、FC75(登録商標)(Acros社より入手可能、カタログ番号12380)である。他の適切なフルオロポリマーおよびフルオロ溶媒は先行技術で既知であり、例えば、ペルフルオロポリマーTeflon AF(登録商標)1600または2400(DuPont社製)またはFluoropel(登録商標)(Cytonix社製)またはペルフルオロ溶媒類FC43(登録商標)(Acros社、番号12377)などである。
文意が他に明瞭に示唆しない限り、本明細書において使用される場合、ここで用語の複数形は単数形を含むものとして構成され、逆もそうである。
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、用語「含む」および「含有する」およびその用語の変形、たとえば、「含んでいる」および「含む」は、「限定はされることなく含む」ことを意味し、他の成分を除外することを意図するもの(除外するもの)ではない。
本発明の先述の実施形態の変形も、本発明の範囲内に収まる限り行うことができることが分かるであろう。本明細書で開示されるそれぞれの様態は、他に明言しない限り、同一、同等または同様な目的として働く代わりの様態によって置き換えることができる。よって、他に明言しない限り、開示されるそれぞれの様態は、包括的な一連の同等または同様な様態の単なる1つの例である。
本明細書で開示される全ての様態は、そのような様態および/または工程の少なくとも幾つかが互いに両立しない組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせてもよい。特に、本発明の好ましい様態は、本発明の全ての態様で適用でき、任意の組み合わせで使用できる。同様に、必須ではない組み合わせにおいて記載される様態を、(組み合わせることなく)別々に使用してもよい。
上に記載される様態、特に好ましい実施形態の多くは、それら自体で発明であり、本発明の実施形態の単なる一部分ではないことが分かるであろう。本願において特許請求される任意の発明に追加するか代わりに、これらの様態に対しても独立した特許保護を考えることができる。
ここで、以下の例を参照して、本発明を更に詳細に記載するが、それは単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
<例1>
6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(1)を下に記載される通り調製する。
Figure 2010524983
<工程1−1:ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン>
ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジメチルアミド(4.27g、20.8mmol)を無水のジエチルエーテル(150ml)に溶解し、次いで、−78℃まで冷却し、続いて、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、13.5ml、21.6mmol)をゆっくりと添加する。添加完了後、反応混合物を室温まで温まるように放置し、1時間撹拌し、次いで、水を加えて終了する。沈殿を濾過して回収し、水およびエーテルで洗浄し、生成物を赤色の固体として与える(1.73g、52%)。H NMR(300MHz、CDCl):δ7.06(d、J=8.1Hz、2H、Ar−H)、6.37(d、J=7.3Hz、2H、Ar−H)、5.86(m、4H、Ar−H);MS:(m/e)320(M、100)、292、264、219、132。
<工程1−2:6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン>
ジオキサン中トリエチルシリルアセチレン(3.62g、25.8mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中2.5M、10.3ml、25.8mmol)を滴下により室温において加える。この溶液を30分撹拌し、続いて、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(1.65g、5.2mmol)を加える。結果として得られる混合物を還流で3時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却後、固体のSnCl(5g)および濃HCl溶液(10ml)を加え、結果として得られる混合物を室温において30分撹拌する。沈殿を濾過して回収し、水で洗浄し、黄色の固体を与え、それをアセトンで再結晶して黄色の結晶(2.13g、73%)を与える。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.30(dd、J=7.4および1.5Hz、2H、Ar−H)、7.92(dd、J=7.2および1.3Hz、2H、Ar−H)、7.51(m、4H、Ar−H)、1.22(t、J=7.9Hz、18H、CH)、0.88(q、J=7.9Hz、12H、CH);13C NMR(75MHz、CDCl):δ142.9、140.3、135.3、132.5、127.3、124.9、124.2、122.6、112.2、107.1、102.4、7.74、4.51;MS(m/e):566(M、100)、509、481、198、87。
化合物1の単結晶充填を、THF/アセトニトリルより成長させた単結晶のXRDによって検討する。化合物1は、密接な分子内コンタクトのヘリングボーンモチーフを示す。
<例2>
6,12−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(2)を下に記載される通り調製する。
Figure 2010524983
ジオキサン中トリイソプロピルシリルアセチレン(1.34g、7.3mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、4.5ml、7.2mmol)を滴下により室温において加える。この溶液を30分撹拌し、続いて、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(0.47g、1.5mmol)を加える。結果として得られる混合物を還流で3.5時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却後、固体のSnCl(約3g)および濃HCl溶液(10ml)を加え、結果として得られる混合物を室温において約1時間撹拌する。沈殿を濾過して回収し、水およびアセトンで洗浄し、黄色の固体を与え、それをアセトンで再結晶して黄色の結晶(0.43g、45%)を与える。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.38(dd、J=7.2および1.2Hz、2H、Ar−H)、7.93(dd、J=7.5および1.0Hz、2H、Ar−H)、7.49(m、4H、Ar−H)、1.30(m、42H、CHおよびCH);13C NMR(75MHz、CDCl):δ143.1、140.3、135.3、132.6、127.3、125.0、124.2、122.6、112.3、106.1、103.2、18.9、11.5。
<例3>
6,12−ビス(トリメチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(3)を下に記載される通り調製する。
Figure 2010524983
ジオキサン中トリメチルシリルアセチレン(0.35g、3.6mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、2.20ml、3.5mmol)を滴下により室温において加える。この溶液を30分撹拌し、続いて、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(0.22g、0.7mmol)を加える。結果として得られる混合物を還流で3時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却後、固体のSnCl(2g)および濃HCl溶液(7ml)を加え、結果として得られる混合物を室温において30分撹拌する。沈殿を濾過して回収し、水で洗浄し、黄色の固体を与える。これを、石油エーテル/酢酸エチル(10:0〜9:1)で溶出してカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色の固体を与え、それをTHF/石油エーテル(1:10)で再結晶して黄色の結晶(0.14g、42%)を与える。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.18(dd、J=7.0および1.3Hz、2H、Ar−H)、7.90(dd、J=7.5および1.1Hz、2H、Ar−H)、7.50(m、4H、Ar−H)、0.47(s、18H、CH);13C NMR(75MHz,CDCl):δ142.8、140.4、135.3、132.5、127.4、124.8、124.3、122.6、112.1、109.1、101.4、0.01。
<例4>
2,8−ビス(フェニルビニル)−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(4)を下に記載される通り調製する。
Figure 2010524983
<工程4−1:2,8−ジブロモ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン:>
5−ブロモベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジメチルアミド(5.0g、20.8mmol)を無水のジエチルエーテル(150ml)に溶解し、続いて、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、13.5ml、21.6mmol)をゆっくりと添加した。添加完了後、反応混合物を室温まで温まるように放置し、1時間撹拌し、次いで、水を加えて終了した。沈殿を濾過して回収し、水およびエーテルで洗浄し、生成物を赤色の固体として与えた(1.85g、44%)。MS:(m/e)480(M)、478(M)、398、400 281、253、207(100);IR:ν(cm−1)1651(C=O)。
<工程4−2:2,8−ジブロモ−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン:>
ジオキサン(80ml)中トリエチルシリルアセチレン(2.8g、20.0mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、10.5ml、16.8mmol)を滴下により室温において加えた。この溶液を30分撹拌し、続いて、2,8−ジブロモジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(1.83g、3.8mmol)を加えた。結果として得られる混合物を還流で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、固体のSnCl(5g)および濃HCl溶液(10ml)を加え、結果として得られる混合物を室温において30分撹拌した。沈殿を濾過して回収し、水で洗浄し、黄色の固体を与え、それをアセトンで再結晶して黄色の結晶(2.45g、88%)を与えた。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.39(d、J=1.8Hz、2H、Ar−H)、7.78(d、J=8.5Hz、2H、Ar−H)、7.62(dd、J=8.5および1.8Hz、2H、Ar−H)、1.23(t、J=7.8Hz、18H、CH)、0.91(q、J=7.8Hz、12H、CH);13C NMR(75MHz、CDCl):δ143.3、139.0、136.7、131.5、130.4、127.5、123.8、118.4、112.4、108.3、101.5、7.9、4.4;IR:ν(cm−1)2150(C≡C)。
<工程4−3:2,8−ビス(フェニルビニル)−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン:>
2,8−ジブロモ−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(0.72g、0.99mmol)を20mlマイクロ波バイアル中の乾燥THF(12ml)中に溶解し、続いて、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)−パラジウム(0)(0.1g)を添加した。混合物を5分撹拌し、次いで、トランス−2−フェニルビニルボロン酸(0.32g、2.16mmol)および炭酸カリウム溶液(1.2gのKCOを3mlの水中に溶解した)を加えた。結果として得られた混合物を5分間Nで脱気し、次いで、マイクロ波反応器内に置いて、100℃で2分、120℃で2分および140℃で20分、加熱した。冷却後、混合物を水中に注ぎ、沈殿を濾過して回収し、水で洗浄して、茶色の固体を与えた。この固体を酢酸エチルで溶出してカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色の固体を与え、それをアセトン/THFで再結晶して、黄色の結晶(0.43g、56%)を与えた。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.27(d、J=1.5Hz、2H、Ar−H)、7.88(d、J=8.3Hz、2H、Ar−H)、7.75(dd、J=8.3および1.5Hz、2H、Ar−H)、7.16〜7.56(m、14H、=CHおよびAr−H)、1.25(t、J=7.5Hz、18H、CH)、0.96(q、J=7.5Hz、12H、CH);13C NMR(75MHz、CDCl):δ143.6、139.6、137.5、135.8、134.1、132.3、128.9、128.8、128.5、127.6、126.4、125.0、123.5、122.7、112.3、107.2、102.4、7.9、4.6。
<例5>
2,8−ビス[(5’−メチル)チオエニル]−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(5)を下に記載される通り調製する。
Figure 2010524983
<工程5.1 2,8−ビス[(5’−メチル)チオエニル]−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン:>
2,8−ジブロモ−6,12−ビス(トリエチルシリルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオ−フェン(0.53g、0.73mmol)を20mlマイクロ波バイアル中の乾燥THF(10ml)中に溶解し、続いて、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)(0.1g)を添加した。混合物を5分撹拌し、次いで、5−メチル−2−チオフェンボロン酸(0.36g、1.61mmol)および炭酸カリウム溶液(0.9gのKCOを3mlの水中に溶解した)を加えた。結果として得られた混合物を5分間Nで脱気し、次いで、マイクロ波反応器内に置いて、100℃で2分、120℃で2分および140℃で20分、加熱した。冷却後、混合物を水中に注ぎ、沈殿を濾過して回収し、水で洗浄して、茶色の固体を与えた。この固体をカラムクロマトグラフィーで酢酸エチルで溶出して精製し、黄色の固体を与え、それをアセトン/THFで再結晶して、茶色の結晶(0.23g、41%)を与えた。H NMR(300MHz、CDCl):δ9.41(d、J=1.5Hz、2H、Ar−H)、7.89(d、J=8.3Hz、2H、Ar−H)、7.72(dd、J=8.3および1.5Hz、2H、Ar−H)、7.21(d、J=3.6Hz、2H、Ar−H)、6.77(dd、J=3.6および0.9Hz、2H、Ar−H)、1.20(t、J=7.5Hz、18H、CH3)、0.95(q、J=7.5Hz、12H、CH2);13C NMR(75MHz、CDCl):δ144.0、142.1、139.5、138.9、135.9、132.2、131.5、126.1、125.4、123.2、122.8、121.7、112.4、107.7、102.3、7.8、4.6。
<例6>
化合物1〜5を含むOFETのトランジスタ特性を以下の通り測定する。
標準的な技術、例えば、シャドーマスキングによってPt/Pdソースおよびドレイン電極がパターン化されたPEN基体を使用して、試験用の電界効果トランジスタを作製する。それぞれの化合物(1〜5)とポリ(トリアリール)アミンとの1:1混合のテトラリン中4重量%の混合物を、それぞれスピンコートし、続いて、ホットプレート上において30秒間100℃で乾燥して装置を製造する。絶縁体材料{Cytop 809M(登録商標)、フルオロ溶媒中におけるフルオロポリマーの配合物、旭硝子社より入手可能}を半導体上にスピンコートし、典型的には、約1μmの厚みを与える。サンプルを100℃で20分間オーブン中に再度置き、絶縁体から溶媒を蒸発させる。シャドーマスクを通して蒸発させ、装置のチャネル領域上に金製ゲートコンタクトを規定する。絶縁体層の静電容量を決定するために、パターン化されていないPt/Pd基層と、FET装置上のものと同じ方法で調製された絶縁体層と、および既知の形状のトップ電極とからなる多くの装置を調製する。静電容量は、携帯型マルチメータを使用して、絶縁体の何れか側の金属に接続して測定する。トランジスタを決定する他のパラメータは、それぞれ対向するドレインおよびソース電極の長さ(W=30mm)およびそれらのそれぞれからの距離(L=130μmまで変化させる)である。
トランジスタに印加する電圧は、ソース電極の電位に対して相対的である。p型ゲート材料の場合、負電位をゲートに印加すると、ゲート誘電体の反対側の半導体中に正の電荷キャリア(正孔)が蓄積する(nチャネルFETについては、正の電圧を印加する)。これは、蓄積モードと呼ばれる。ゲート誘電体の単位面積当たりの静電容量Ciによって、そのようにして誘発される電荷の量が決定される。負の電位VDSをドレインに印加すると、蓄積されたキャリアによってソース−ドレイン電流IDSが生じ、それは、蓄積したキャリアの密度、および、重要なことに、ソース−ドレインチャネルにおけるキャリアの移動度に主に依存する。ドレインおよびソース電極の配置、大きさおよび距離などの形状的要因も、電流に影響する。典型的には、ゲートおよびドレイン電圧の範囲を、装置の研究中に走査する。ソース−ドレイン電流は、式(1)で記述される:
Figure 2010524983
式中、Vはオフセット電圧であり、IΩはゲート電圧から独立した抵抗電流であり、材料の有限導電率によるものである。他のパラメータは、上で定義される通りである。
電気的測定のために、トランジスタサンプルをサンプルホルダーに搭載する。Karl Suss社製PH100ミニチュアプローブヘッドを使用して、ゲート、ドレインおよびソース電極にマイクロプローブを接続する。これらを、Hewlett−Packard社製4155Bパラメータアナライザに連結する。ドレイン電圧を−5Vに設定し、ゲート電圧を+20〜−60Vに1V刻みに走査し、+20Vに戻す。蓄積中、|V|>|VDS|であれば、ソース−ドレイン電流はVに対して直線的に変化する。よって、電界効果移動度は、式(2)で与えられるVに対するIDSの勾配(S)より計算できる:
Figure 2010524983
下で引用される全ての電界効果移動度は、(他に言及しなければ)この方式を使用して計算される。電界効果移動度がゲート電圧によって変化する場合、その値は、蓄積モード中で|V|>|VDS|である方式において達する最も高いレベルとする。下で引用される値は、(同一の基体上で製造された)複数の装置において得た平均である。
Figure 2010524983

Claims (12)

  1. 式Iの化合物。
    Figure 2010524983
    (式中、
    、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、置換されていてもよいシリル基、または置換されていてもよいカルビルまたはヒドロカルビル基で、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、また、隣接する基RおよびRは、それぞれと互いに、または、それらが結合するベンゼン環と環構造を形成していてもよく、および、Rおよび/またはRは、Hを表していてもよく、
    は、ハロゲンであり、
    およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜20個のC原子を含む置換されていてもよい脂肪族または芳香族ヒドロカルビル基である。)
  2. は、式SiR’R”R’”のシリル基であるか、または1個以上の基Lで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基であり、ただし
    R’、R”、R’”は、H、C〜C40−アルキル基、C〜C40−アルケニル基、C〜C40−アリール基、C〜C40−アリールアルキル基、C〜C40−アルコキシまたはオキサアルキル基、C〜C40−アリールアルキルオキシ基より選択される同一または異なる基であり、ただし、全てのこれらの基は1個以上の基Lで置換されていてもよく、または、1個以上のR’、R”およびR’”は、Si原子と共に、環状シリルアルキル基を形成しており、
    Lは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NR00、置換されていてもよいシリル、4〜40個のC原子のアリールまたはヘテロアリール、および、直鎖状または分岐状で1〜20個のC原子のアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、X、RおよびR00は請求項1で定義される通りである
    ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 以下の式より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
    Figure 2010524983
    Figure 2010524983
    (式中、R’、R”、R’”は請求項2で定義される通りであり、RはHとは異なる請求項1で与えられるRの意味の1つを有し、XはSiR’R”R’”またはArを表し、Arは、出現する毎に互いに独立に、請求項2で定義される通りのLで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基である。)
  4. 以下の式より選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2010524983
    Figure 2010524983
    Figure 2010524983
    (式中、RおよびR’は請求項3で定義される通りである。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物を含む半導体または電荷輸送材料、部品または装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、1種類以上の有機溶媒とを含む配合物。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、好ましくは、1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率εを有する1種類以上の有機バインダーまたはそれの前駆体と、任意成分として1種類以上の溶媒とを含む有機半導体配合物。
  8. 光学的、電気光学的、電子、エレクトロルミネッセンスまたはフォトルミネッセンス部品または装置における電荷輸送、半導体、導電、光導電または発光材料としての請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物および配合物の使用。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物または配合物を含む電荷輸送、半導体、導電、光導電または発光材料または部品。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物または配合物を含む光学的、電気光学的、電子、エレクトロルミネッセンスまたはフォトルミネッセンス部品または装置。
  11. 電気光学的ディスプレイ、LCD、光学フィルム、リターダー、コンペンセーター、偏光子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、非線形光学(NLO)装置、光学情報記憶装置、電子装置、有機半導体、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光起電(OPV)装置、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、照明装置、センサー装置、電極材料、光導電体、光検出器、電子写真記録装置、キャパシタ、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基材、導電性パターン、光導電体、電子写真装置、有機記憶装置、バイオセンサーまたはバイオチップより選択されることを特徴とする請求項10に記載の部品または装置。
  12. −置換されていてもよいベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジアルキルアミドまたはナフト[2,3−b]チオフェン−3−カルボン酸ジアルキルアミドを、少なくとも1当量の強塩基で低温において処理する工程と、
    −結果として生じる有機リチウム中間体を引き続いて加熱し、アリールリチウムと、もう一つの分子のカルボン酸ジアルキルアミドとの間の第一の分子内縮合反応を促進して置換されたケトンを生成する工程、および、アリールリチウムと、結果として生じるケトンのカルボン酸ジアルキルアミドとの間の第二の分子間反応により、縮合芳香族キノンを生成する工程と、
    −結果として生じる縮合芳香族キノンを、少なくとも2当量の置換されていてもよいアルキニルリチウムまたはアルキニルマグネシウム試薬と処理する工程と、
    −有機金属種をカルボニル基に求核付加させ、続いて、任意成分としての還元剤存在下において、結果として生じるジオールに酸性化操作を施す工程と
    を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。
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