JP2018177332A - 合成樹脂系袋 - Google Patents
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Abstract
Description
<01> この文献には、袋開封の際、カットテープに依存した開封操作によって予定の引き裂きラインに沿ってスムーズに引き裂くことができるという趣旨の記載がある。しかしながらカットテープを袋の内部に設けているこの文献技術の場合、カットテープの上下にあるフィルム部分を引き裂いて開口することとなるので、そのフィルム部分とカットテープとの間で摩擦が生じる。すなわち、この文献技術の場合、かかる摩擦が原因で引き裂き抵抗が大きくなるという不具合が起こりかねないほか、その引き裂き抵抗がカットテープを上回るときに当該テープの千切れが生じるおそれもある。
<02> 特許文献1に開示された袋は、また、引き裂き抵抗が大きくなるという状況下で上述のように袋内上部側のカット溝部分を引き裂いて開封するものである。このカット溝を付された部分は、テープ張り付け部分に比して相対的に肉薄であるとはいえ、相応の強度を有するフィルムからなる。このようなの袋の場合、カット溝部分をフィルム強度を上回る強い力で引き裂いたときに永久歪みが残留することとなり、その結果、引き裂き痕跡として皺が生じたりする。
<03> この文献に開示された袋は、その両側端縁のシール部に多数のノッチのような傷痕加工を施している。一般に、ノッチについては、袋の開封を容易にする点でプラス要因となり、袋の強度を低下させる点でマイナス要因となる。したがって、特許文献2にみられるような多数ノッチには、ベネフィットとリスクとが共存する。
<04> 袋に形成されたノッチについては、また、袋の破損を惹き起こす原因になることもあるが、それはレアケースであるので実用上の障害にはならない。それよりも問題なことは、「ノッチ」が「傷」とみなされることである。これは商品(ノッチ付き包装用袋)の大きなイメージダウンにつながる。その影響として、ノッチ付き袋を敬遠する袋詰め業者が出たり、袋詰め商品のノッチを忌避してその袋詰め商品の購入を断念する一般消費者が出たりすることもあり得る。
<05> 特許文献3のものは、袋を開封したときにその箇所を美麗な段差状に開口することができるが、そのために第1切目線や第2切目線を袋の所定部に形成したりしている。もちろん、この場合の切目線も傷にほかならない。しかも、この場合の切目線としては、第1切目線や第2切目線というように、袋の全幅にわたる長い傷を二本も必要とする。したがって、特許文献3の袋開封手段も、特許文献2の場合と同様、これを採用する上での十分な技術的配慮が強いられる。加えて、「傷」をもつ包装用袋というイメージダウンも免れ得ない。
<第1項>
合成樹脂系の製袋用材料からなる袋体が表側用のフィルムと裏側用のフィルムとを備えた袋状の構造を有するとともに、当該袋体の両側部にサイドシールが設けられている合成樹脂系袋において、
前記袋体の開封に際し前記一方のサイドシールから前記他方のサイドシールにわたって前記一方フィルムの一部をテープ状に引き裂さくための開封予定部が、当該一方フィルムの上方部位に設定されていること、および、
前記開封予定部の上下幅以下のテープ幅をもつものであって前記両サイドシールにわたるイージーピールテープが前記一方フィルムの開封予定部内面とこれに対応する前記他方フィルム内面との間に介在され、かつ、そのイージーピールテープの一方の片面が前記開封予定部の内面と強接着して当該イージーピールテープと当該開封予定部とが積層一体化部を形成しているとともに、そのイージーピールテープの他方の片面がこれに対応する前記他方フィルム内面と剥離可能に弱接着して当該イージーピールテープと当該他方フィルムの一部とが剥離用積層部を形成していること、および、
前記積層一体化部と前記剥離用積層部とが、前記袋体内の上方部位で流体遮断性のある封鎖構造をなしていること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁に隣接して、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在しており、かつ、前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側に隣接して、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける開封予定部両端のうちのいずれかの一端側には、摘み部分を前記サイドシールから遊離させてなるフィルム引き裂き用の摘み片が設けられており、かつ、当該引き裂き用摘み片の基部側には、前記サイドシールと接着してそのサイドシールの一部をなす接着シール部が設けられていること、および、
前記引き裂き用摘み片が、前記接着シール部を介して前記一方フィルムにおける開封予定部に連なっていること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第2項>
第1項に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムにおける開封予定部の両端側には、前記各サイドシールから摘み可能に遊離させてなる引き裂き用の摘み片がそれぞれ設けられていること、および、
前記各引き裂き用摘み片の基部側には、前記各サイドシールと接着して該各サイドシールの一部をなす接着シール部が設けられていること、および、
前記引き裂き用摘み片が、前記接着シール部を介して前記一方フィルムにおける開封予定部に連なっていること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第3項>
第1項または第2項に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる上側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の上端縁と前記上側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる下側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の下端縁と前記下側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第4項>
第1項または第2項に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける前記開封予定部が、当該一方フィルムにおけるその他部よりも弱質の材料からなる低強度のものであること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部上端縁と前記イージーピールテープ上端縁との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部下端縁と前記イージーピールテープ下端縁との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第5項>
第1項または第2項に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける前記開封予定部が、当該一方フィルムにおけるその他部よりも弱質の材料からなる低強度のものであること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる上側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の上端縁と前記上側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる下側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の下端縁と前記下側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第6項>
第1項ないし第5項のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムにおける開封予定部の表面側に引き裂き用のガイドテープが積層されていること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<第7項>
第1項ないし第6項のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムおよび/または前記他方のフィルムが単層フィルムからなること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<請求項8>
第1項ないし第6項のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムおよび/または前記他方のフィルムが積層フィルムからなること
を特徴とする合成樹脂系袋。
<請求項9>
第1項ないし第8項のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記袋体の内部には、雄開閉部材と雌開閉部材とからなる雌雄一対の両開閉部材が、前記開封予定部よりも下位の位置を保持して、かつ、前記一方のサイドシールから前記他方のサイドシールにわたって前記両フィルムの内面に備え付けられいること、および、
前記両開閉部材が互いに対面して咬み合い自在に対応していること
を特徴とする合成樹脂系袋。
本発明に係る合成樹脂系袋については、自明のとおり、袋体内の被包装物(充填物)を取り出すときに、袋体の袋口が開封されたり開封後の袋口が開閉されたりする。この際に行われる主要な操作や、それにともなう主要な作用は、以下のようなものである。
一方のフィルムにある開封予定部の内面とこれに対応する他方フィルム内面との間に介在されたイージーピールテープのテープ幅は開封予定部の上下幅以下である。典型例でいうと、イージーピールテープのテープ幅は、開封予定部と同幅かそれをわずかに下回る。イージーピールテープの場合、他方フィルムの内面に対しては剥離可能な弱接着状態であるが、一方フィルムの開封予定部内面に対しては強接着で一体化される。かかる開封予定部は、イージーピールテープが強接着されたことで層数や層厚の増し、一方フィルムにおける他部よりも高強度となる。すなわち、高強度であるところの積層一体化部がイージーピールテープと開封予定部とによって形成されるのである。開封予定部にある当該積層一体化部は、摘み片を介してその一端部(または他端部)を把持することができ、かつ、その把持状態において開封破断力を作用させることができる。このときの積層一体化部は、これが高強度であるゆえ、摘み片を介した把持状態において開封破断力を十分に作用させることができる。
上述のとおり、開封予定部の少なくとも一端側には、一方サイドシールから遊離した引き裂き用の摘み片が設けられる。開封予定部には、また、他方サイドシールから遊離した引き裂き用の摘み片がその他端側に設けられることもある。摘み片の基端部側にはサイドシールと接着してそのサイドシールの一部をなす接着シール部が設けられる。したがって摘み片は、接着シール部を通じて開封予定部と連なる。かかる摘み片の場合、これに不測の外力が作用したとしても、摘み片自身が変形しながら不測の外力を逃がす。すなわち開封予定部の場合、摘み片が不測の外力を逃がすこととなるので、不本意に開封されるようなことがない。
一方フィルムの開封予定部は既述のように切り裂き開封される。より具体的には、一方フィルムの上部側にある開封予定部が帯状に切り裂かれ、それで袋体が開口(開封)されるのである。かかる開口後、一方フィルムの実質的な上端縁は開口部位(袋口)の下端縁まで下がる。これに対し、切り裂きのない他方フィルムの上端縁は当初位置(開口部位よりも高い位置)を維持する。袋体の開口部位(袋口)を基準にしてこの開封状態をみるとき、一方フィルムの上端縁と他方フィルムの上端縁とは相対的な段差(高低差)状態を呈している。段差状態の各フィルム上端縁は自明のように、高さの揃った状態で重なり合うことがない。ゆえに、各フィルム上端縁を各別的に把持するのが容易となり、袋口の開口操作が簡単円滑に行える。
イージーピールテープの場合、一方フィルムとは開封予定部の内面で強接着一体化されているものの、他方フィルムに対しては、その内面と剥離可能に弱接着しているだけである。それで、既述のように開封予定部を引き裂き開封するときのイージーピールテープについては、開封予定部との強接着一体化を保持しつつ他方フィルムの内面から剥離されることとなる。すなわち、袋体内にある封鎖構造の流体遮断性(気密性・液密性)は、イージーピールテープが他方フィルムの内面から剥離されることで解除されるのである。これは、また、一操作で袋体の開封や気密性・液密性の解除が同時に行われるので、実用に際して袋体が取り扱いやすいものとなる。
<11> 袋体の開封については、摘み片を把持した後、一方のサイドシール側から他方のサイドシール側に向けて開封のための引張力を開封予定部に加えるだけでよく、それによって袋体の開封予定部を目標のとおり容易に引き裂き開封することができる。その理由の一つは、一方フィルムの開封予定部とその内面に強接着一体化されたイージーピールテープとで形成された積層一体化部が、一方フィルムの他部に比して相対的に高強度となったことである。それが引き裂き中の開封予定部を千切れがたいものする。他の理由の一つは、高強度の積層一体化部が、引き裂き時に自身の形状構造を維持しながらテープ状化することである。それが一方フィルムにおける、とくに、開封予定部における積層一体化部のみの引き裂き性を高める。その他の理由の一つは、イージーピールテープの上端縁や下端縁が、直線性のあるフィルム破断を誘導(案内)することである。さらにいうと、積層一体化部の上端縁や下端縁に存在する無傷型上側線状弱化部や無傷型下側線状弱化部が、直線的なフィルム破断を誘導・案内するからである。これは本発明合成樹脂系袋における適正破断開封の第一要因である。
[袋の開封容易性(2)]
<12> 一方フィルムにおいて、開封予定部の内面には強接着で一体化されたイージーピールテープがあり、そのイージーピールテープの上端縁や下端縁にはフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部や無傷型下側線状弱化部がある。このような構成を具備する袋体の望ましい一実施形態として、一方フィルムの所定部に上側線状凸部や下側線状凸部が形成される。この袋体の各部について、これには、つぎのよう強度差が生じている。
<13> 一方フィルムの開封予定部において、イージーピールテープと強接着一体化している部分は高強度の積層一体化部である。加えて、上側線状凸部や下側線状凸部も厚肉の高強度部である。これに対し、積層一体化部の上端縁と上側線状凸部との間に介在する無傷型上側線状弱化部とか、積層一体化部の上端縁と上側線状凸部との間に介在する無傷型下側線状弱化部とかは、テープのごときを積層一体化したものでなく、かつ、凸部のごとく分厚く隆起させたものでもないから、積層一体化部・上側線状凸部・下側線状凸部などに比して相対的に低強度となっている。一方フィルムにおけるこれら各部の相対関係をさらにいうと、積層一体化部と上側線状凸部との間(高強度部間)に介在する無傷型上側線状弱化部(低強度部)とか、積層一体化部と下側線状凸部との間(高強度部間)に介在する無傷型下側線状弱化部とかは、それぞれ、二つの高強度部に挟まれたことで、破断の生じやすい線状弱化部となっているのである。したがって、摘み片を把持した後、一方のサイドシール側から他方のサイドシール側に向けて開封用引張力を開封予定部に加えるという既述の開封操作をしたとき、一方フィルムの開封予定部は安定状態で直線状にフィルム破断される。この実施形態の場合は、また、上記の第一要因に加えて、上側線状凸部や下側線状凸部を加味したことによる適正破断開封の第二要因が重畳する。
<14> したがって、この実施形態において一方フィルムの開封予定部を開封するときは、上記<11>の場合に比し、より安定的で円滑容易なフィルム破断が可能となる。
[袋の開封容易性(3)]
<15> 本発明における袋体の他の望ましい一実施形態として、一方フィルムにおける開封予定部が弱質の材料からなるものもある。この弱質材料からなる開封予定部の場合、もちろん、当該一方フィルムにおけるその他部よりも低強度である。しかし、かかる弱質開封予定部のうちの特定部位、すなわち、イージーピールテープが強接着で一体化している積層一体化部については、その積層構造に基づく応分の強度があるので、一方フィルムにおけるその他部よりも高強度である。この場合の一方フィルムについてさらにいうと、開封予定部における積層一体化部の上端縁や下端縁に隣接する線状部分、すなわち、無傷型上側線状弱化部や無傷型下側線状弱化部は、イージーピールテープによる補強が及ばない部位であるばかりでなく、それが弱質の材料からなるものであるため、既述の開封操作におおける所定方向の破断性がきわめて良好なものとなる。本発明合成樹脂系袋でのこれは、一方フィルムの開封予定部が弱質の材料からなることによる適正破断開封の第三要因である。この実施形態の場合、上記第一要因に加えて適正破断開封の第三要因が重畳する。
<16> したがって、この実施形態のものについて一方フィルムの開封予定部を開封するときは、上記<11>の場合よりも、より安定的、かつ、より円滑容易なフィルム破断が可能となる。
[袋の開封容易性(4)]
<17> 本発明における袋体のさらに望ましい一実施形態として、一方フィルムの開封予定部に、イージーピールテープと強接着一体化した高強度の積層一体化部があること、その積層一体化部の上端縁側や下端縁側に無傷型上側線状弱化部や無傷型下側線状弱化部があること、この両線状凸部に隣接してや下側線状凸部があること、一方フィルムの開封予定部が弱質の材料からなることなど、これら各構成要件を具備するものがある。これは本発明合成樹脂系袋における適正破断開封の第四要因であり、しかも当該第四要因は、上記の第一要因・第二要因・第3要因をすべて満たすものである。
<18> したがって、この実施形態のものについて一方フィルムの開封予定部を開封するときは、上記<11>〜<15>の場合よりも、より安定的、かつ、より円滑容易なフィルム破断が可能となる。
[袋の開封容易性(5)]
<19> 本発明における袋体に関する上記以外の望ましい一実施形態では、一方のフィルムにおける開封予定部の表面側に引き裂き用のガイドテープが積層される。この実施形態の場合、袋体の正常な引き裂き開封が、引き裂き用のガイドテープに依拠してより安定に行うことができる。
[開封開始箇所の明示]
<20> 一般に、袋の縁などに設けられる開封用のスリットやノッチは、概して小さくて目立ちにくい。それゆえ、スリットやノッチに気付かないで別異の箇所を破断して開封することが少なからずある。これに対する本発明の場合、開封予定部の一端側および/または両端部に設けられる摘み片は、サイドシールにあってそれが判然と明示されるものであるから、開封開始箇所の見落としや見逃しがなく、摘み片の把持を促して適正な開封を誘導させることとなる。
[不本意な開封の防止]
<21> 摘み片と開封予定部については、摘み片を把持して所定方向の引張力を開封予定部に加えたときのみ、開封予定部が破断開封されるものである。ちなみに、不測の外力が摘み片に作用したとしても、摘み片は自身を変形させながらその外力を逃がすから、開封予定部にはその種の外力が及ばない。ゆえに、開封予定部の場合、摘み片に作用する不測の外力に起因して不本意に開封されるようなことがない。
[袋の健全性]
<22> 袋について、傷のないのがよいことはいうまでもないが、開封を容易にする目的で袋に傷をつけることは多々ある。かかる袋の場合、強度低下への技術的配慮を念頭に置くなどして慎重に傷が付される。しかしながら「無傷の袋」と「有傷の袋」とを対比するときは、やはり、健全性の点で「無傷の袋」が望ましい。本発明における袋体は、開封を容易するための構成として上側線状弱化部や下側線状弱化部を開封予定部に備えている。この上側線状弱化部や下側線状弱化部の場合、開封容易性の点でフィルム切り込み線に比肩できるレベルでありながらも、フィルムを切り込んだりすることのない無傷構成である。<23> したがって本発明における袋体は、袋の健全性が高いといえる。
[袋の気密性・液密性]
<24> 袋詰めされた被包装物の品質保持からすると、袋は高度の気密性や液密性を有していることが望ましい。一般的な合成樹脂系袋の場合、被包装物の袋詰め後に袋口が封印されるので、応分の気密性や液密性を発揮する。しかしながら多くの既成袋は、袋上端部側の袋口または袋下端部(袋底)側の袋口をシールするだけであるから、気密性や液密性もそれに見合う程度にとどまる。本発明における袋体も、被包装物の袋詰め後に袋口を封印したりする。本発明における袋体は、このほかに、袋体内の一部がイージーピールテープによっても封印される。すなわち、開封予定部が位置する袋体内の部位(一方フィルムの内面の一部と他方フィルムの内面の一部)が、イージーピールテープの介在状態において強弱二様の態様で接着される。この袋口の封印とイージーピールテープを主体にした封印とを合わせた場合、本発明での袋体は二段構えのシール構成を有することとなるので、袋の気密性や液密性がより高いものとなる。
[包装機能の向上]
<25> 袋体内に設けられたイージーピールテープは、気密性や液密性の点で上記のように貢献する一方、開封用のガイドテープをも兼ねる。複数機能を奏するこの兼用テープは、表裏両フィルムから浮き上がることなく所定部位に安定に定着し、異物付着などをきたすことない状態で防護バリア性を発揮する。したがって、袋の包装機能が向上する。
[外観上の好体裁(1)]
<26> 本発明における袋体には既述の開封容易性がある。本発明の場合、この開封容易性を確保するために袋体を傷つけたりはしない。よって、袋体には傷がないのである。自明のことではあるが、傷のない袋体の外観は好体裁である。
[外観上の好体裁(2)]
<27> 本発明における袋体の開封予定部には、軽快でスムーズな直線破断を可能にするための上側線状弱化部や下側線状弱化部がある。このような上側線状弱化部・下側線状弱化部に依拠して開封予定部を開封するときの破断箇所には、波線状の永久歪みとか蛇行状の永久歪みとを惹き起こすような応力集中がなく、開封予定部の上端縁や下端縁はきわめて美麗に破断される。
<28> したがって、本発明における袋体は、開封後も外観上の好体裁を維持する。
[袋に対する信頼感の醸成]
<29> 袋の開封容易性を確保するためとはいえ、袋に傷があったりする場合は、袋を購入して使用する袋詰め業者や袋詰め商品を購入する消費者に対し、不安感を与えかねない。本発明における袋体は、開封容易性を有しながらも傷がないのである。このような袋体の場合、袋詰め業者や消費者に無用の不安感を与えることがなく、袋に対する信頼感を醸成するものとなる。
[開封構成の簡潔化]
<30> 袋体における開封予定部について、その要素の一つは袋内面にイージーピールテープを接着することであり、他の要素の一つは開封予定部を弱化することである。この二つの要素は、開封容易性・気密性・液密性などについて大きな効果を奏するものでありながらも、構造を複雑化させたり嵩張らせたりすることがない。
<31> ゆえに、このような構成を具備するものは、本発明における開封構成の簡潔なものにする。
[袋の製造難易度の緩和]
<32> 本発明に係る合成樹脂系袋は、この種の技術分野で汎用されている押出成形手段・ヒートシール手段・カッティング手段などを主体にして製造できるものである。とくに袋体で枢要な開封予定部の場合、これは押出成形手段で弱化した開封予定部をつくり、そこにイージーピールテープを接着すればよいのであるから、この枢要な開封予定部も難なく形成することができる。
[製品のコストダウン(1)]
<33> 本発明について全般的にいえることは、有用で有益な高機能の合成樹脂系袋が既述のように簡単に製造できることである。したがって、この有用で有益な高機能の合成樹脂系袋について、製造面から製品のコストダウンをはかることができる。
[製品のコストダウン(2)]
<34> 開封予定部に接着されたイージーピールテープの場合、これ単独で複数の役割を果たす。その一つは開封予定部を補強する部材になることである。他の一つは気密性や液密性を確保する部材になることである。さらに他の一つは開封予定部において上側線状弱化部や下側線状弱化部をつくる部材になることである。これら以外の他の一つは開封用のガイドテープをも兼ねることである。このように一部材が複数材を兼ねるものであるとき、それによって製品のコストダウンをはかることができる。
a.アイオノマー樹脂
b.各種のポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレンなど)
c.ポリ塩化ビニルフィルム
d.ポリ塩化ビニリデンフィルム
e.ポリ塩化ビニルアルコール
f.ポリプロピレン
g.ポリエステル
h.ポリカーボネート
i.ポリスチレン
j.ポリアクリロニトリル
k.エチレン酢酸ビニル共重合体
l.エチレン−ビニルアルコール共重合体
m.エチレン−メタクリル酸共重合体
n.ナイロン(ポリイミド、ポリアミドなど)
12 一方のフィルム
12a 外層
12b 内層
13 他方のフィルム
13a 外層
13b 内層
14 サイドシール
15 サイドシール
16 トップシール
17 ボトムシール
21 開封予定部
21a 弱質材料による低強度部
22 積層一体化部
22a 無傷型上側線状弱化部
22b 無傷型下側線状弱化部
23 剥離用積層部
24a 上側線状凸部
24b 下側線状凸部
31 開閉具
32 雄開閉部材
33 基部
34 雌開閉部材
35 基部
41 イージーピールテープ
42 イージーピールテープ
43 ガイドテープ
51 摘み片
52 切り抜き部
53 接着シール部
Claims (9)
- 合成樹脂系の製袋用材料からなる袋体が表側用のフィルムと裏側用のフィルムとを備えた袋状の構造を有するとともに、当該袋体の両側部にサイドシールが設けられている合成樹脂系袋において、
前記袋体の開封に際し前記一方のサイドシールから前記他方のサイドシールにわたって前記一方フィルムの一部をテープ状に引き裂さくための開封予定部が、当該一方フィルムの上方部位に設定されていること、および、
前記開封予定部の上下幅以下のテープ幅をもつものであって前記両サイドシールにわたるイージーピールテープが前記一方フィルムの開封予定部内面とこれに対応する前記他方フィルム内面との間に介在され、かつ、そのイージーピールテープの一方の片面が前記開封予定部の内面と強接着して当該イージーピールテープと当該開封予定部とが積層一体化部を形成しているとともに、そのイージーピールテープの他方の片面がこれに対応する前記他方フィルム内面と剥離可能に弱接着して当該イージーピールテープと当該他方フィルムの一部とが剥離用積層部を形成していること、および、
前記積層一体化部と前記剥離用積層部とが、前記袋体内の上方部位で流体遮断性のある封鎖構造をなしていること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁に隣接して、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在しており、かつ、前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側に隣接して、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける開封予定部両端のうちのいずれかの一端側には、摘み部分を前記サイドシールから遊離させてなるフィルム引き裂き用の摘み片が設けられており、かつ、当該引き裂き用摘み片の基部側には、前記サイドシールと接着してそのサイドシールの一部をなす接着シール部が設けられていること、および、
前記引き裂き用摘み片が、前記接着シール部を介して前記一方フィルムにおける開封予定部に連なっていること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムにおける開封予定部の両端側には、前記各サイドシールから摘み可能に遊離させてなる引き裂き用の摘み片がそれぞれ設けられていること、および、
前記各引き裂き用摘み片の基部側には、前記各サイドシールと接着して該各サイドシールの一部をなす接着シール部が設けられていること、および、
前記引き裂き用摘み片が、前記接着シール部を介して前記一方フィルムにおける開封予定部に連なっていること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1または請求項2に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる上側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の上端縁と前記上側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる下側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の下端縁と前記下側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1または請求項2に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける前記開封予定部が、当該一方フィルムにおけるその他部よりも弱質の材料からなる低強度のものであること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部上端縁と前記イージーピールテープ上端縁との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部下端縁と前記イージーピールテープ下端縁との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1または請求項2に記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方フィルムにおける前記開封予定部が、当該一方フィルムにおけるその他部よりも弱質の材料からなる低強度のものであること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の上端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる上側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の上端縁と前記上側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型上側線状弱化部が介在していること、および、
前記一方フィルムにおける積層一体化部の下端縁側には、前記開封予定部と平行して前記両サイドシールにわたる下側線状凸部が形成されており、かつ、前記積層一体化部の下端縁と前記下側線状凸部との間には、前記開封予定部の長さ方向に沿うフィルム破断用の無傷型下側線状弱化部が介在していること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムにおける開封予定部の表面側に引き裂き用のガイドテープが積層されていること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムおよび/または前記他方のフィルムが単層フィルムからなること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記一方のフィルムおよび/または前記他方のフィルムが積層フィルムからなること
を特徴とする合成樹脂系袋。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された合成樹脂系袋であって、
前記袋体の内部には、雄開閉部材と雌開閉部材とからなる雌雄一対の両開閉部材が、前記開封予定部よりも下位の位置を保持して、かつ、前記一方のサイドシールから前記他方のサイドシールにわたって前記両フィルムの内面に備え付けられいること、および、
前記両開閉部材が互いに対面して咬み合い自在に対応していること
を特徴とする合成樹脂系袋。
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