以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である物品箱詰装置が適用されるラインの配置を示す平面図である。
物品箱詰装置10は、物品Pを整列・密着させてケースCに箱詰する装置である。本実施形態において取り扱われる物品Pは、例えばコーン(円錐体)形状を呈する。物品Pは、例えば5行×6列を1セットとしてトレーに載せられた状態で供給搬送コンベヤ(不図示)により供給され、ロボット(不図示)により、1セット毎に物品供給部12に移載される。
物品供給部12は、多列(ここでは6列)を維持したまま物品Pを保持する。物品供給部12における各列は、一対のガイドシュート12Gにより保持される。一対のガイドシュート12Gは、物品Pの最大径よりも狭い間隔で平行に配置され、円錐体形状を呈する物品Pは、頂点を下にしてガイドシュート12Gの間に嵌挿される。一対のガイドシュート12G間に嵌挿された物品Pの側面は、両側のガイドシュート12Gに係合し、ガイドシュート12Gから垂下される。
ガイドシュート12Gは、供給コンベヤ側から後述する物品列形成部16に向けて下向き傾けられ、各ガイドシュート12Gには物品Pの側面と嵌合する螺旋状の凹凸(スクリュー)が長手方向に沿って設けられる。ガイドシュート12Gは回転可能であり、物品供給部12に移載された物品Pは、ガイドシュート12Gの傾きと、ガイドシュート12Gのスクリューを用いた搬送によって、ガイドシュート12Gに沿って物品列形成部(物品列形成手段)16に向けて移動される。
また、ガイドシュート12Gの下流側の上方には、ガイドシュート12Gと直交する切出ストッパ12Sが設けられ、ガイドシュート12Gに沿って移動される物品の先頭の2個を後続の物品Pの列から分離する。分離された各列の先頭2個の物品Pは、上方に設置され、一部図示されるアームロボット14(物品供給手段)により2列1組(図では、1列6個の合計12個)を単位として吸着・保持され、ロボット14のアームの移動により物品列形成部16に移載される。
物品列形成部16は、物品供給部12から供給された2列1組の物品Pを、上方に設置され、一部図示されるアームロボット18(物品列挿入手段)と協働して箱詰に合わせた態様に配列するための装置であり、2列1組の物品Pはアームロボット18に受け渡され、アームロボット18によりケース搬送コンベヤ20上に配置されたケースCに箱詰される。
物品列形成部16は、アームロボット14から物品Pを受け取るときには、物品供給部12側の受取位置(A)に配置され、物品Pをアームロボット18に受け渡すときにはケース搬送コンベヤ20側の(物品供給部12から離れた)受渡位置(B)に配置される。すなわち物品列形成部16は、受取位置(A)、受渡位置(B)の間で往復移動(矢印C)される。図1には、物品列形成部16が両位置(A)、(B)にあるときの配置が示される。
物品列形成部16は、所定距離離間して平行に配置された一対のスプライン軸16Sを備え、スプライン軸16Sの各々には、アームロボット14から物品Pが投入され、これを保持するホルダ(物品保持部材)16Hが1列分(ここでは6個)軸に沿って摺動自在に取り付けられる。各スプライン軸16Sに設けられたホルダ16Hは、後述する機構により、受取位置(A)では略等間隔で離間され、受渡位置(B)では、互いに密接される。また、後述するように、スプライン軸16Sは回転可能であり、スプライン軸16Sを互いに逆向きに回転することにより、ホルダ16Hが逆向きに回動される。
受取位置(A)では、各ホルダ16Hは起立姿勢をとり、円錐体形状の物品Pはその頂点を下向きにした起立姿勢で各ホルダ16Hに保持される。一方、受渡位置(B)では、最終的にスプライン軸16Sが略90度回転され、起立姿勢にあった各ホルダ16Hが横臥姿勢とされ、各列の物品Pの頂点が互いに他方の列側を向くように横倒しにされる。なお、後に詳述するが、横臥姿勢の物品Pは、その後軸が少し傾けられる。なお、図1の受渡位置(B)では、ホルダ16Hおよび物品Pが未だ起立姿勢を取った状態が示される。
アームロボット18は、後述するように、物品列形成部16において各列の物品Pが密接され、かつ横臥姿勢にされると、物品Pを列毎に順次吸着し、箱詰に適した態様の配列で保持する。その後アームロボット18は、アームを移動して整列した状態の1組(ここでは12個)の物品Pをケース搬送コンベヤ20上に配置されたケースC内に投入し箱詰する。ケースCは、物品Pが所定段(所定数)箱詰されると、ケース搬送コンベヤ20により搬送され、ケース排出コンベヤ22へと図示しない移載装置により受け渡される。なお、ケース搬送コンベヤ20には、空のケースCがケース供給コンベヤ(ケース供給手段)24から供給される。
次に図2〜図9を参照して本実施形態の物品列形成部16の詳細な構成について説明する。
まず図2を参照して、物品列形成部16におけるホルダ16H(または物品P)の起立姿勢、横臥姿勢の間の姿勢変更のための構成(姿勢変更手段)およびその動作について説明する。なお図2は、図1におけるII方向からの物品列形成部の矢視図である。図2では説明の便宜のため、左側の列のホルダ16Hが起立姿勢、右側の列のホルダ16Hが横臥姿勢で描かれている。しかし、実際には両列のホルダ16Hの回動は同期しており同じ姿勢が取られる。
物品列形成部16において、スプライン軸16Sは、各々をフレーム16Fに回転自在に保持され、フレーム16Fは、ベースプレート16Bに取り付けられる。一対のスプライン軸16Sは、フレーム16Fにより互いに平行かつ水平に軸支され、エアシリンダM1、M2(図7参照)の駆動によりにより回動可能である。スプライン軸16Sには、各ホルダ16Hに対応するホルダベース26が摺動自在に取り付けられる。
ホルダ16Hは、取付プレート28を介してホルダベース26に取り付けられる。取付プレート28は、ホルダベース26に対して回動可能であり、後述するようにホルダ傾斜機構30により傾斜可能である。また各ホルダベース26にはブラケット32が取り付けられ、ブラケット32には、後述するホルダ16H同士のスプライン軸16Sに沿ったスライド運動に用いられ、両隣のホルダベース26のブラケット32とリンクする一対のリンクプレート34がそれぞれ係合される。なお、図2では、3個のリンクプレート34が描かれるが、矢視方向IIにおける一番手前のホルダベース26には、1個のリンクプレート34しか係合されていない。他の2個のリンクプレート34は、他のホルダベース26に係合されているものである。
更に矢視方向IIにおける一番手前のホルダベース26には、ブラケット36を介して例えばマグネット式ロッドレスシリンダ38(図5参照)のスライダ38Sが取り付けられている。すなわち、各列のホルダ16Hのスプライン軸16Sに沿ったスライド運動は、後述するように、マグネット式ロッドレスシリンダ38を用いた一番手前のホルダベース26の移動と、リンクプレート34を用いたリンク機構により達成される。
また、取付プレート28に設けられたホルダ16Hは、投入された物品Pの側面を支えるもので、物品Pのホルダ16Hへの固定は、ホルダ16Hの下方において取付プレート28に取り付けられたチャック40により行われる。すなわち、ホルダ16Hに投入された物品Pの先端部は、ホルダ16Hの下端においてチャック40により把持・固定される。
チャック40は、図3(図2のIII方向からの矢視図)に示されるように、開閉される左右一対の把持部材40A、40Bを備え、その開閉動作は取付プレート28に設けられたチャック開閉用エアシリンダ42により行われる。物品Pが投入されるまでは、図3(a)のように把持部材40A、40Bは左右に開かれており、物品Pが投入されると、図3(b)のように把持部材40A、40Bがチャック開閉用エアシリンダ42により閉じられ、物品Pの先端部が把持され、物品Pがホルダ16Hに固定される。なお、物品Pをアームロボット18へ受け渡すまでには、チャック40はチャック開閉用エアシリンダ42により開かれており、ホルダ16H内に収容される物品Pの固定は解除されている。
図4は物品列形成部16の平面図であり、図5は物品列形成部16の図4のV方向からの矢視図である。図4、図5を参照して、スプライン軸16Sに沿ったホルダベース26(ホルダ16H)のスライド運動、すなわちピッチ変更機構(物品保持部材移動手段)およびその動作につい説明する。なお、図4では、図2と同様に説明の便宜のため、上側の列のホルダ16Hは互いに隣接するまで寄せ集められた密接状態、下側の列のホルダベース26(ホルダ16H)は、各ホルダベース26(ホルダ16H)が一定距離で離間された離隔状態で示される。しかし、実際のホルダベース26(ホルダ16H)の状態は上下の列において同じである。また図4、図5では、説明に関連しない構成は省略されている。
図4、図5では、各スプライン軸16Sに取り付けられた6個のホルダベース26を左側から各々符号26A〜26Fで示すとともに、ホルダベース26A〜26Fに各々取り付けられたブラケット32をそれぞれ符号32A〜32Fで示す。また、ホルダベース26A、26B、ホルダベース26B、26C、ホルダベース26C、26D、ホルダベース26D、26Eの間を連絡するリンクプレート34をそれぞれ符号34A〜34Eで示す。
リンクプレート34A〜34Eは、長尺のプレート部材からなる。各リンクプレート34A〜34Eには、長手方向に沿った所定長さのスリット35A〜35Eが各々設けられる。スリット35A〜35Eは、各々のリンクプレート34A〜34Eにおいて、一方の端部寄りに形成される。図4では、各リンクプレート34A〜34Eの左側の端部寄りに設けられている。
ブラケット32A〜32Fには、スプライン軸16Sに直交するように外側から3個のピン37A、37B、37Cが各々取り付けられる。リンクプレート34Aの一端(左端)は、スリット35Aを通してブラケット32Aのピン37Bに係合され、他端(右端)はブラケット32Bのピン37Bに固定される。リンクプレート34Bの一端(左端)は、スリット35Bを通してブラケット32Bのピン37Cに係合され、他端(右端)はブラケット32Cのピン37Cに固定される。リンクプレート34Cの一端(左端)は、スリット35Cを通してブラケット32Cのピン37Aに係合され、他端(右端)はブラケット32Dのピン37Aに固定される。更にリンクプレート34Dの一端(左端)は、スリット35Dを通してブラケット32Dのピン37Bに係合され、他端(右端)はブラケット32Eのピン37Aに固定され、リンクプレート34Eの一端(左端)は、スリット35Eを通してブラケット32Eのピン37Cに係合され、他端(右端)は、ブラケット32Fのピン37Cに固定される。
ホルダベース26A〜26Fは、ホルダ16Hに物品Pが投入される前、図4の下側に示されるように、各々が互いに一定距離で離間される離隔状態に置かれている。離間状態において、スリット35A〜35Eに係合されるピン37A〜37Cは、リンクプレート34A〜34Eの一端(左端)側のスリット端に係合している。
ホルダベース26A〜26Fのホルダ16Hに物品Pが投入されると、マグネット式ロッドレスシリンダ38が作動され、ブラケット36を介してマグネット式ロッドレスシリンダ38のスライダ38Sに連結されたホルダベース26Aが、スプライン軸16Sに沿ってホルダベース26F側(図4において右側)へ移動される。
ホルダベース26Aの移動が開始されると、ブラケット32Aのピン37Bは、スリット35A内を左側から右側へと移動する。ブラケット32Aのピン37Bが右側のスリット端に当接すると、ホルダベース26Aはホルダベース26Bに密接する。ホルダベース26Aの右側への移動が更に継続されると、ホルダベース26Bがホルダベース26Aと一体的に左側へと移動し、ブラケット32Bのピン37Cがスリット35B内を左側から右側へと移動する。ブラケット32Bのピン37Cが右側のスリット端に当接すると、ホルダベース26Bはホルダベース26Cに密接する。ホルダベース26Aの右側への移動が更に継続されると、ホルダベース26B、26Cがホルダベース26Aと一体的に左側へと移動し、ブラケット32Cのピン37Aがスリット35C内を左側から右側へと移動する。以下同様にして、ホルダベース26A〜26Eが右側へと移動されホルダベース26A〜26Fが図4の上側に示されるように、各々が互いに密接させた密接状態とされる。
また、物品Pがアームロボット18によりホルダ16Hから抜き取られると、スライダ38Sが右側から左側へと移動され、ホルダベース26Aが右側から左側へと移動される。このときブラケット32Aのピン37Bは、スリット35A内を右側から左側へと移動される。ピン37Bが左側のスリット端に当接すると、リンクプレート34Aがホルダベース26Aと一体的に左側へと移動され、これによりリンクプレート34Aにブラケット32Bのピン37Bを介して固定されたホルダベース26Bが、ホルダベース26Aと所定距離を保ったまま左側へと移動される。その後リンクプレート34B〜34Eの同様動作により、ホルダベース26C、26D、26Eが、順番に左側へと相互に所定距離を確保しながら移動され、図4の下側に示される離間状態とされる。
なおマグネット式ロッドレスシリンダ38は、アーム38A、38Aを介してスプライン軸16Sに固定されており、スプライン軸16Sが回転されると、ホルダベース26A〜26F(ホルダ16H)と共に一体的に回動される。本実施形態では、ホルダベース26A〜26Fの離間状態と密接状態の間の移動は、スプライン軸16Sの回転中、ホルダ16Hが起立姿勢と横臥姿勢の間で移動している間に行われる。
次に図6〜図11を参照して、物品列形成部16における取付プレート28を傾斜させるためのホルダ傾斜機構30の構成およびその動作について説明する。
図6は、整列された1組12個の物品Pを箱詰したときの平面図である。物品箱詰装置10では、図6に示されるように円錐体形状を呈する物品Pを無駄なく直方体のケースC内に収容できるように物品Pを整列させて箱詰を行う。一対の円錐体は、頂点の向きを逆にして側面同士を密接させると、その投影図は平行四辺形となる。そのため、このような円錐体の対を頂点が交互に逆向きとなるように順次横に密接させて同じ高さで並べると、図6に示されるように、交互に並べられた先端部(頂点)を下向きにし基端部を上向きにした第1物品列P1と、先端部(頂点)を上向きにし基端部を下向きにした第2物品列P2は、全体として略長方形の投影図を形成する。
このように並べられた第1、第2物品列P1、P2を1周り大きい直方体のケースCに収めると、ケースCとの間に殆ど無駄なスペースが生じず、効率的な箱詰を行うことができる。図6の配置では、両端に位置する第1、第2物品列P1、P2の円錐の外側の母線が、ケースCの左右の辺に平行となり、同じ向きの頂点がケースCの上下の辺に平行になるように並べられる。そのため、物品列形成部16では、ホルダ傾斜機構30を用いて各列の物品Pの高さを揃えたまま、物品Pの軸の向きを傾ける。
図7(a)は、本実施形態のホルダ傾斜機構30の構造を説明するための物品列形成部16の平面図であり、図7(b)における上側の列を物品列形成部16の図7(a)のVI方向から見た矢視図である。また、図8(a)はホルダ傾斜機構30の図7(a)におけるF−F断面図、図8(b)は取付プレート28の図7(a)におけるG−G断面図、図8(c)はホルダ16Hの図7(a)におけるE方向矢視図、図8(d)は物品Pの図7(a)におけるE方向矢視図である。
ホルダ傾斜機構30は、各取付プレート28に対して設けられ、取付プレート28を軸支しつつ、同軸から偏心した位置をホルダ傾斜機構30で上下することで取付プレート28(ホルダ16H)を傾斜させている。
すなわち取付プレート28は、ホルダ傾斜機構30の固定プレート44に設けられた回転軸44Sを受ける回転軸受け28Bを備え、同軸周りに回動可能に構成され、回転軸受け28Bから離れた位置に、ホルダ傾斜機構30のピボット46Pを受け入れるピボット受け28Pを備える。ピボット46Pは、ロッド状のアーム46の下端に設けられ、アーム46の上端にはカムフォロワ46Cが設けられる。
アーム46の下側は固定プレート44に設けられたガイド44Gに挿嵌され、ピボット46Pは、ガイド44Gに設けられた開口部45から外側に突出する。アーム46の上側は状へと延出し、カムフォロワ46Cは、上方に配置されるカム48に係合される。カム48は、スプライン軸16Sに沿って延在する上下一対のロッド状部材から構成される。
カムフォロワ46Cは、これら一対のロッド状部材の間に係合され、カム48が水平を維持しながら上下するとことで、各アーム46を同時に同じストローク分上下させることできる。これによりピボット46Pが上下し、ピボット受け28Pを介してピボット46Pと係合する取付プレート28が回転軸44Sを中心に回動され、取付プレート28に取り付けられたホルダ16Hが所定角度傾けられる。なお、カム48の両端は、スプライン軸16Sの両端近くにおいて、カム48の昇降を行うカム昇降用エアシリンダ49に支持される。
図9は、ホルダ傾斜機構30によって各ホルダ16Hが傾斜された状態での図7(b)の部分拡大図に対応する。なお、図9では、6個の物品Pの列における左から1番目には、図8(a)のホルダ傾斜機構30を示し、2番目には図8(b)の取付プレート28を示した。3〜5番目にはホルダ16Hに収容される物品Pが示される。図9において、カム48は下降されており、これにより取付プレート28、すなわち物品Pは、回転軸受け28Bを中心に同じ高さで左に傾けられている。
図10、図11は、アームロボット18の先端に設けられたヘッド部50の構成および動作を説明するための図であり、ヘッド部50の状態を時系列で示す。
アーム18Aの先端には、第1物品列P1および第2物品列P2を吸着・保持するヘッド部50が設けられる。なおヘッド部50による物品列形成部16からの第1、第2物品列P1、P2の吸着は、物品列形成部16において、各物品列P1、P2が横臥姿勢され、列毎に集約・密接状態とされ、かつホルダ傾斜機構30により傾斜された状態で行われる。
ヘッド部50は、アーム18Aの先端に例えば3軸の自由度を持って回転可能に取り付けられる。ヘッド部50は、図6において、先端部が下向きに配置された第1物品列P1を吸着・保持する第1ヘッド51と、先端部が上向きに配置された第2物品列P2を吸着・保持する第2ヘッド52とを備える。第1ヘッド51は、第1エアシリンダ51Aを介して、アーム18Aに保持され、第2ヘッド52には第2エアシリンダ52Aを介してアーム18Aに保持される。第1、第2ヘッド51、52は、第1、第2エアシリンダ51A、52Aの作動により昇降可能である。
第1ヘッド51、第2ヘッド52は、それぞれ第1吸盤51S、第2吸盤52Sを備え、各々、第1、第2物品列P1、P2の側面に適合した姿勢に傾けられ、各々第1、第2物品列P1、P2の側面を吸着して保持することができる。
まず図10(a)では、第1ヘッド51の第1吸盤51Sが下降端に位置し、第2ヘッド52の第2吸盤52Sが上昇端(待機位置)に位置した状態で、第1吸盤51Sをオンして第1物品列P1の各物品の基端部側を吸着・保持する。次にヘッド部50は、図10(b)の状態となる。すなわち図10(b)では、第1ヘッド51がオンされた状態のまま第1エアシリンダ51Aが作動されて、第1ヘッド51の第1吸盤51Sが上昇端へ移動され、第1吸盤51Sに吸着された第1物品列P1が持ち上げられる。またこれに並行して、第2エアシリンダ52Aにより第2ヘッド52が下降され、5つの第2吸盤52Sが第1物品列P1の先端部の間を通過して下降端(作動位置)まで移動される。そして第2ヘッド52がオンされ第2物品列P2の各物品の基端部側が第2吸盤52Sにより吸着・保持される。
次に図10(c)において、第1ヘッド51をオンしたまま、第1エアシリンダ51Aにより第1ヘッド51の第1吸盤51Sを下降端にまで下降させる。このとき第2ヘッド52はオン状態に維持されたまま、第2吸盤52Sの位置は下降端に維持される。これにより、一方の物品列の物品の先端部は、これに隣り合う他方の物品列の物品の基端部と略隣り合わせで配置される。この後、アーム18Aが移動され、第1、第2物品列P1、P2を保持するヘッド部50が図10(d)のようにケースC内に挿入される。図10(d)では、第1ヘッド51はオン状態で、第1吸盤51Sは下降端位置に維持され、第2吸盤52Sが下降端位置において第2ヘッド52はオフされる。これにより第2物品列P2がケースCに投入される。
次に図11(e)では、第1ヘッド51がオン状態のまま、第2エアシリンダ52Aが駆動され、第2物品列P2を開放した第2ヘッド52の第2吸盤52Sが上昇端にまで移動する。図11(f)では、アーム18Aが作動され、ヘッド50全体が下降され、第1物品列P1が既に投入された物品列P2の間に押し込まれる。これにより第1、第2物品列P1、P2は、列が乱れることなく図6に示した状態でケースC内に整列される。この後、第1ヘッド51がオフされ、第1吸盤51Sが第1物品列を開放し、アーム18Aは、物品列形成部16の上方へと戻され、図10(a)〜(d)、図11(e)、(f)の動作が繰り返される。
以上のように、本実施形態によれば、物品列形成部で物品を各列において予め集約して密接状態とするとともに箱詰めに適した角度に傾けているため、アームに取り付けられたヘッドにこのような機構を設ける必要がないので装置を軽量化でき、処理速度を向上できる。またヘッドは密集した物品列を吸着・保持してケース内へと移動するが、第1物品列と第2物品列を異なる高さに保持したままヘッドを移動し、列毎にケース内へと投入するため、物品同士が接触して落下したり、箱詰めの際に列が乱れたりすることがない。
なお、本実施形態では、第2物品列を吸着する際に第1ヘッドを上昇させたが、第1ヘッドの高さを固定し、第2ヘッドのみを昇降する構成とすることもできる。この場合には、第2ヘッドを上昇端(待機位置)で待機させている間に第1ヘッドで第1物品列を保持し、その後第2ヘッドを下降端(作動位置)に移動して第2物品列を保持する。
本実施形態では、円錐体形状を呈する物品を例に説明を行ったが、物品の形状はこれに限定されるものではない。例えば円錐台形状や長手方向の一方の端部に向かって細くなるテーパ形状を有するものであればその効果が大きいが、本実施形態は、密接して整列された状態の物品を箱詰めする場合であれば他の形状の物品にも適用できる。
また、本実施形態では吸盤を用いて物品を保持する場合を例に説明したが、吸盤以外の方法で物品を保持する構成にも適用できる。