JP2018176209A - フローフォーミング成形方法及びフローフォーミング成形装置 - Google Patents
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Abstract
Description
外周方向にフランジ部が形成された円筒体は、真空装置用の部品やその他の用途に使用されている。特に、真空装置用部品の用途には、優れた耐食性と高温強度の特性を有しているSUS304やSUS316などの高合金特殊鋼が、その素材として選ばれている。このような汎用性の高いフランジ付円筒部品を成形する従来の製造方法として、図7に示すように、(1)型鍛造、(2)切削加工による削り出し、及び(3)溶接が挙げられる。
しかしながら、上記(1)型鍛造では、被加工物(ワーク)にその厚み方向の両側にて外周方向に向けてフランジを形成しようとした場合には、ワークを離型できず、この手法自体を適用できない。
また、上記(2)切削加工では、加工によって削り出されて無駄になる削り代が大きく、ワークが大型になる程、加工の際の材料ロスが増大し、とても看過できない。
また、上記(3)溶接では、加工された製品には、円筒状本体と、該本体に溶接されたフランジとの間に生じ得る局所的な未接合部(空隙)を介したリークを常に懸念しなければならない。
上述した従来の製造方法以外に、材料ロスを殆ど生まずに所望形状に加工できる(つまり、ニアネットシェイプ化を実現可能な)、「フローフォーミング」と呼ばれる成形方法が既に開発されている(例えば、特許文献1を参照)。この「フローフォーミング」(以下、単に「FF」とも呼ぶ。)は、ワークを回転させながら、ワーク側面に加工ローラーを押し当てることで、ワークの肉厚(径方向の厚み)を減肉すると同時に軸方向へ伸ばしてワークを所望の形状に塑性変形させる加工技術(逐次回転成形法)の一つである。なお、このFF技術は、塑性加工が比較的に容易な素材(アルミニウムや炭素鋼など)の加工に通常、利用される。
この既存のFF技術を用いてフランジ付円筒部品を製造する場合、目標とするフランジの幅以上の厚肉を有した円筒素材を用意する。但し、厚肉素材の外周面に対して加工ローラーの接触面を増加させると、時間当たりの変形量が増大するため、加工速度(生産性)は上がるが、加工荷重(つまり、ワークへの加工ローラーの押圧のために成形装置に掛かる負荷)も大きくなってしまう。この傾向は、ワークの素材がSUS304等の高合金特殊鋼など比較的硬いものになる程、顕著になる。
このため、成形の際、加工ローラー103,104が接触していないワークWの一部(非接触部分)に余肉、欠肉、フランジの変形や崩れが発生する不具合が発生していた。具体的には、図8(a)及び(b)に示すように、円筒状ワークWの外周面にて「被り」とも呼ばれる余肉(の倒れ・巻き込み)T3が発生する一方、その内周面に「ひけ」とも呼ばれる欠肉T1が発生していた。更に、フランジ部が全体的に変形したり、その端面が崩れたりするなどの不具合T2,T4も散見されていた。特に、ワークWが厚肉で硬い材料になる程、上述の成形不良が顕著になる。
(態様1)
第1型と第2型とにより上下方向に保持された円筒素材を用意する素材用意工程と、
前記円筒素材を、該円筒素材の中心軸を基点として回転させる回転工程と、
円錐状の外周部を備えた第1・第2ローラーを用意し、第1ローラーの外径が下方向に減少しかつ第2ローラーの外径が上方向に減少するように第1・第2ローラーの外周部を対向させつつ前記円筒素材の周方向外側に配置する配置工程と、
第1ローラーを比較的上方に移動して前記円筒素材における第1型側に近い第1フランジ形成部位と胴部形成部位との第1境界に接触させるとともに、第2ローラーを比較的下方に移動して第2型側に近い第2フランジ形成部位と胴部形成部位との第2境界に接触させる接触工程と、
第1・第2ローラーを前記円筒素材の前記中心軸に向けて移動して前記円筒素材を押圧し、第1・第2ローラーの外周部により前記円筒素材の投影断面において相補的に上下の傾斜面が拘束された拘束加工領域を形成する押圧工程と、
前記拘束加工領域が除去されるように第1・第2ローラーを上下方向に接近させる胴部作成工程と、
を含むことを特徴とする、フランジ付円筒部品のフローフォーミング成形方法。
(態様2)
前記配置工程において第1・第2ローラーが上下方向に部分的に重なるように配置し、
前記押圧工程で形成される前記拘束加工領域の上下の前記傾斜面の全てを第1・第2ローラーの外周部によって完全に拘束し、かつ、
前記胴部作成工程において前記拘束加工領域を発熱させて前記円筒素材の変形抵抗を減少させることを特徴とする態様1に記載のフローフォーミング成形方法。
(態様3)
前記素材用意工程では、第1・第2フランジ形成部位のいずれか一方をこれに対応する第1・第2型のいずれか一方で上下方向に変位しないように拘束し、かつ、第1・第2フランジ形成部位の他方をこれに対応する第1・第2型の他方で拘束しないように保持し、成形中に発生する前記円筒素材の伸びを該他方側に形成させることを特徴とする態様1又は2に記載のフローフォーミング成形方法。
(態様4)
目標の胴部厚さを予め決定し、該胴部厚さから前記押圧工程において第1・第2ローラーの進入により前記円筒素材の一部が除去される第1体積と、前記胴部作成工程において減少する前記拘束加工領域の第2体積とを求め、第1・第2体積の合計から前記円筒素材の胴部伸びを算出する予備計算工程をさらに含み、かつ、
前記素材用意工程では、目標の円筒部品の高さから、前記予備計算工程において算出された前記胴部伸びを差し引いた高さを有した前記円筒素材を用意することを特徴とする態様1〜3のいずれかに記載のフローフォーミング成形方法。
(態様5)
前記予備計算工程では、前記押圧工程又は前記胴部形成工程における第1・第2ローラーの加工パスをさらに決定し、かつ、
前記押圧工程における加工パスでは、前記円筒素材の伸びに追随するように、非拘束の前記フランジ形成部位側に設けられた前記ローラーを移動させることを特徴とする態様4に記載のフローフォーミング成形方法。
(態様6)
前記円筒素材が高合金特殊鋼であることを特徴とする態様1〜5のいずれかに記載のフローフォーミング成形方法。
(態様7)
円筒素材を上下方向から保持する第1型及び第2型と、
前記円筒素材を、該円筒素材の中心軸を基点として回転させる回転手段と、
円錐状の外周部を備えた第1・第2ローラーと、
第1・第2ローラーのモーションを制御する制御手段と、
第1・第2ローラーを前記円筒素材の周方向外側に配置し、前記制御手段の指示に応じて第1・第2ローラーを移動可能なローラー保持・移動手段と、
を備えたフランジ付円筒部品のフローフォーミング成形装置であって、
前記ローラー保持・移動手段は、第1ローラーの外径が下方向に減少しかつ第2ローラーの外径が上方向に減少するように第1・第2ローラーの外周部を対向させた状態で第1・第2ローラーを保持し、
前記制御手段は、第1ローラーを比較的上方に移動して前記円筒素材における第1型側に近い第1フランジ形成部位と胴部形成部位との第1境界に接触させるとともに、第2ローラーを比較的下方に移動して第2型側に近い第2フランジ形成部位と胴部形成部位との第2境界に接触させるよう前記ローラー保持・移動手段に指示し、
前記制御手段は、第1・第2ローラーの外周部により前記円筒素材の投影断面において相補的に上下の傾斜面が拘束された拘束加工領域を形成するために第1・第2ローラーを前記円筒素材の前記中心軸に向けて移動して前記円筒素材を押圧するよう前記ローラー保持・移動手段に指示し、
前記制御手段は、前記拘束加工領域を除去するために第1・第2ローラーを上下方向に接近させるよう前記ローラー保持・移動手段に指示することを特徴とするフローフォーミング成形装置。
先ず、本発明のフローフォーミング成形装置10(以下、単に「成形装置」や「装置」とも呼ぶ。)は、図1に示すように、被加工物(ワーク)としての円筒素材Wを上下方向(図示の上下方向)から保持する第1型1及び第2型2と、円錐状の外周部3a,4aを備えた第1・第2ローラー3,4とを備える。なお、円筒素材Wの軸方向(長手方向)のいずれかの一端(図示では、第1型1側の一端WE1)は、図示のように、第1・第2型1,2のいずれかの型(図示では、第1型1)によって当接(固定)されており、該一端WE1は軸方向に変位しないことが望ましい。
本発明の加工対象(被加工物)として、金属製の中空円筒素材Wの使用を前提とする。アルミニウムや炭素鋼など、従来のFF技術でも比較的加工が容易な材料を原料として使用しても良く、金属製であれば原料組成は限定されない。しかしながら、従来のFF技術では比較的加工が困難で、加工の際に余肉や欠肉等の不具合T1〜T4が顕著に起こりやすい高合金特殊鋼(例えば、SUS303、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS403、SUS440C、SUH660、SUH3)製の素材を被加工物として使用する場合に、本発明の長所及び作用効果をより一層享受するものと思われる。高合金特殊鋼は、例えば、鍛造(好適には、リングローリング鍛造)品を利用することが好ましい。
また、本発明の成形装置10にて成形される直前に、高周波加熱装置等の予備加熱装置20(図1を参照)の加熱部20aを用いて円筒素材Wを短時間で所望の温度(1000〜1200℃)に加熱しておくことも好ましい。これにより、加温状態で装置10内に投入された円筒素材W(例えば、上述の高合金特殊鋼)の変形抵抗が大幅に下がり、成形中の加工荷重を低減することができるようになる。
上述の被加工物Wから、本発明の成形装置10を用いて成形される製品は、上下両側にフランジが周方向外側に張り出したフランジ付きの円筒部品Pである(例えば、図2を参照)。それぞれのフランジは、図2に示すように、その張出し長さやフランジ高さが異なるよう成形されてもよいし、フランジ間の胴部(薄肉部)の厚みが上下方向に一定のものに限らず、段差が付くようにしてもよい。
第1・第2ローラー3,4は、前述のとおり、円錐状の外周部3a,4aを備える。ここで、本発明における「円錐状」の形状には、図1に示すように、通常の円錐の頂点を含む先端領域が除去され、第1・第2ローラー3,4の軸方向の断面形状が中心軸O1,O2を基点に対称な台形となるものを含んでもよい。また、円錐状の外周部3a,4aの傾斜角度θ1,θ2の勾配が、図示のように、外周部3a,4aの全長に亘って一定となる(直線状の傾斜面を有する)ものや前記勾配が全長に沿って変化する(例えば、曲線状の傾斜面を有する「お椀状」)ものを第1・第2ローラー3,4に採用しても良い。なお、図示の第1・第2ローラー3,4は、互いに対称な断面形状を成すが、この図示の例に限定されず、互いに異なる厚みや傾斜角度を有するものを採用しても良い。
成形装置10には、さらに、制御手段5と、ローラー保持・移動手段6(6a,6b)とが、設けられる。制御手段5は、第1・第2ローラー3,4の加工前後及び加工中のモーションを制御するための指示をローラー保持・移動手段6(6a,6b)に送る。なお、図1では、制御手段5やローラー保持・移動手段6の具体的な構造を省略しているが、後述の目的や役割を果たすことが可能なあらゆる公知の手段を採用可能である。
次に、本発明を成形方法(製造方法)の観点から、詳述する。図3は、本発明の成形方法の各工程を示したフローチャートである。
先ず、円筒素材Wを用意して、図1に示すように、この円筒素材Wを第1型1と第2型2とにより上下方向に保持する(素材用意工程S1)。円筒素材Wは、事前に鍛造(特に、リングローリング鍛造)されていることが好ましい。
次に、図示しない回転手段(例えば、第2型2より下方に設置された図示しない回転モーター)により、第1型1と第2型2とこれらに一体的に保持された円筒素材Wを所定の回転速度で中心軸Oを基点として回転させる(回転工程S2)。円筒素材Wに比較的高い強度を有した素材を選択した場合には、回転速度を比較的小さい100〜200rpmに設定することが好ましい。一方、円筒素材Wに比較的低い強度を有した素材を選択した場合には、回転速度を比較的大きい200〜500rpmに設定することが好ましい。
外周部3a,4aを備えた円錐状の第1・第2ローラー3,4を用意し、図1に示すように、第1ローラー3の外径D1が下方向に減少しかつ第2ローラー4の外径D2が上方向に減少するように外周部3a,4aを対向させつつ円筒素材Wの周方向外側に配置する(配置工程S3)。なお、この配置工程S3や後述の工程での第1・第2ローラー3,4の移動や保持には、前述した成形装置10の制御手段5やローラー保持・移動手段6を利用することにより、実行可能となる。
この後、図4(a)及び図5(a)に示すように、第1ローラー3を比較的上方に移動して円筒素材Wにおける第1型1側に近い第1フランジ形成部位WF1と胴部形成部位WBとの境界位置(第1境界B1)に接触させるとともに、第2ローラー4を比較的下方に移動して第2型2側に近い第2フランジ形成部位WF2と胴部形成部位WBとの境界位置(第2境界B2)に接触させる(接触工程S4)。
その後、図4(b)及び図5(b)に示すように、第1・第2ローラー3,4を円筒素材Wの中心軸Oに向けて移動して円筒素材Wを押圧し、第1・第2ローラー3,4の外周部3a,4aにより円筒素材Wの投影断面において相補的に上下の傾斜面WS1,WS2が拘束された拘束加工領域WCを形成する(押圧工程S5)。つまり、円筒素材Wが中心軸Oを基点に一回転する間に、円筒素材Wの上側傾斜面WS1が第1ローラー3の外周部3aによって接触・押圧されるとともに、下側傾斜面WS2が第2ローラー4の外周部4aによって接触・押圧される。この上下からの拘束により、押圧による素材の自由な(成形不良等の原因となる望ましくない)塑性変形を抑制できる。
次に、図4(c)及び図5(c)に示すように、拘束加工領域WCを減少(除去する)ように第1・第2ローラー3,4を上下方向に接近させる(胴部作成工程S6)。これにより、2つの外周部3a,4aによって確実に拘束された拘束加工領域WCが徐々に減少し、除去されるとともに、円筒素材Wの軸方向の一端WE1が変位しないように拘束されているので、反対の他端WE2側に(図示では下方向に)、その減少・除去の体積分だけ胴部形成部WBを目標の肉厚tのまま伸ばすことができる。なお、所望の肉厚tでもって精度良く胴部形成部WBを伸ばすためには、後述の予備計算工程S11を加工前に実行し、この予備計算工程S11で予め求められた加工パスでもって押圧工程S5及び胴部作成工程S6の第1・第2ローラー3,4を移動させることが好ましい。
上述の工程S6によって胴部形成部WBが除去されて(塑性変形により移動し)、上下方向に目標のフランジが形成されるようになる。もし、胴部形成部WBの一部が削り残しのように残存している場合は、この残存部分に対して第1・第2ローラー3,4(又は、図4(d)及び図5(d)に示すような別の加工ローラー3N,4N)を再度押し当てるか、別途、図示しない切削又は研磨等の加工技術により仕上げを行うようにしてもよい(仕上げ工程S7)。
一例としては、成形装置10に熱画像計測装置30(図1参照)を更に設けて、本発明の成形方法に、加工中の円筒素材W(特に、拘束加工領域WC)の温度を常時計測する工程(温度モニタリング工程S10)を加えることも好ましい。具体的には、加工(回転)中の円筒素材Wの外周面の計測温度が所定の温度範囲(例えば、1000〜1200℃)内であれば、加工及び温度計測を続行する一方、所定の温度範囲から逸脱した場合には、加工を停止する。この工程S10により、円筒素材Wの変形抵抗(成形装置10への負荷)の変化を常時モニタリングできるため、温度条件が適切に管理された状態で成形を実現できるだけでなく、加工による成形装置10の故障を未然に防止することができるようになる。
配置工程S3において、互い違いに配置された第1・第2ローラー3,4が上下方向に部分的に重なる(図5(a)に示すように、第1・第2ローラー3,4の投影断面がオーバーラップする)ように配置することが好ましい。これにより、その後の押圧工程S5で形成される拘束加工領域WCの上下の傾斜面全てを第1・第2ローラー3,4の外周部3a,4aによって完全に拘束することができる。加えて、胴部作成工程S6においては、第1・第2ローラー3・4が加工と拘束を同時かつ繰り返すため、加工中の拘束加工領域WCを集中的に加工発熱させることができるようになる。加工領域WCの昇温は、円筒素材Wの変形抵抗の減少、ひいては、加工荷重(成形装置10への負荷)の抑制に貢献する。
ここで、図6(a)〜(d)は、本発明の成形方法及び従来技術によって加工中の円筒素材Wの温度状態を示した画像である。より具体的には、図6(a)及び(b)は、従来のFF技術を用いて成形を開始した時点と成形が進んだ時点で計測された円筒素材の外周面の温度画像である。これらの図より、円筒素材Wの外周面(加工ローラーによって接触される加工箇所を含めた外周面全て)の温度がドラスティックに下がってしまっていることが判る。一方、図6(c)及び(d)は、本発明の成形装置10を用いて成形を開始した時点と成形が進んだ時点で計測された円筒素材Wの外周面の温度画像である。これらの図より、本発明の成形装置10では、第1・第2ローラー3,4によって完全に拘束された円筒素材W(特に、拘束加工領域WCの部分)が発熱(図6(d)では白く発光)しており、第1・第2ローラー3,4によって接触・拘束された加工箇所付近の温度が、成形開始時よりも上昇していることが確認された。
また、本発明の成形方法は、以下の予備計算工程S11をさらに含むことが好ましい。具体的には、目標の胴部厚さtを予め決定し、該胴部厚さtから押圧工程S5において第1・第2ローラー3,4の進入により円筒素材Wの一部が除去される第1体積V1a,V1b(図1参照)と、胴部作成工程S6において減少する拘束加工領域WCの第2体積V2(図1参照)と、を求め、第1・第2体積V1a,V1b,V2の合計から円筒素材Wの上下方向の胴部伸びδを算出する(予備計算工程S11)。
また、上述の予備計算工程S11では、第1・第2ローラー3,4の加工パスを以下のように予め決定しておくことが好ましい。
また、素材用意工程S1の直前(円筒素材Wが第1・第2型1,2によって保持される直前)に、高周波加熱装置等の予備加熱装置20(図1を参照)の加熱部20aを用いて円筒素材Wを短時間で所望の温度(1000〜1200℃)に加熱しておくことも好ましい(この工程S12を含んだ成形方法を「熱間FF成形」とも呼ぶ。)。これにより、加温状態で装置10内に投入された円筒素材W(例えば、上述の高合金特殊鋼)の変形抵抗が大幅に下がり、成形中の加工荷重を低減することができるようになる。
3,4 第1・第2ローラー
3a,4a 第1・第2ローラーの外周部
3N,4N 別の加工ローラー(仕上げ用のローラー)
5 制御手段
6(6a,6b) ローラー保持・移動手段
10 フローフォーミング成形装置
20 予備加熱装置
30 熱画像計測装置
B1,B2 第1境界,第2境界
D1,D2 第1・第2ローラーの外径
O 円筒素材の中心軸(回転軸)
O1,O2 第1・第2ローラーの中心軸(回転軸)
S1 素材用意工程
S2 回転工程
S3 配置工程
S4 接触工程
S5 押圧工程
S6 胴部作成工程
S7 仕上げ工程
S10 温度モニタリング工程
S11 予備計算工程
S12 予備加熱工程
t 胴部の肉厚
V1a,V1b 押圧工程によって除去される円筒素材の体積
V2 胴部作成工程において減少する拘束加工領域の第2体積
VWB 胴部形成部の体積
VWC 拘束加工領域の体積
W 円筒素材(被加工物、ワーク)
WB 円筒素材の胴部形成部
WC 拘束加工領域
WF1,WF2 円筒素材の第1・第2フランジ形成部
WS1,WS2 拘束加工領域の上下の傾斜面
θ1,θ2 第1・第2ローラーの外周部の傾斜角
δ 胴部伸び
Claims (7)
- 第1型と第2型とにより上下方向に保持された円筒素材を用意する素材用意工程と、
前記円筒素材を、該円筒素材の中心軸を基点として回転させる回転工程と、
円錐状の外周部を備えた第1・第2ローラーを用意し、第1ローラーの外径が下方向に減少しかつ第2ローラーの外径が上方向に減少するように第1・第2ローラーの外周部を対向させつつ前記円筒素材の周方向外側に配置する配置工程と、
第1ローラーを比較的上方に移動して前記円筒素材における第1型側に近い第1フランジ形成部位と胴部形成部位との第1境界に接触させるとともに、第2ローラーを比較的下方に移動して第2型側に近い第2フランジ形成部位と胴部形成部位との第2境界に接触させる接触工程と、
第1・第2ローラーを前記円筒素材の前記中心軸に向けて移動して前記円筒素材を押圧し、第1・第2ローラーの外周部により前記円筒素材の投影断面において相補的に上下の傾斜面が拘束された拘束加工領域を形成する押圧工程と、
前記拘束加工領域が除去されるように第1・第2ローラーを上下方向に接近させる胴部作成工程と、
を含むことを特徴とする、フランジ付円筒部品のフローフォーミング成形方法。 - 前記配置工程において第1・第2ローラーが上下方向に部分的に重なるように配置し、
前記押圧工程で形成される前記拘束加工領域の上下の前記傾斜面の全てを第1・第2ローラーの外周部によって完全に拘束し、かつ、
前記胴部作成工程において前記拘束加工領域を発熱させて前記円筒素材の変形抵抗を減少させることを特徴とする請求項1に記載のフローフォーミング成形方法。 - 前記素材用意工程では、第1・第2フランジ形成部位のいずれか一方をこれに対応する第1・第2型のいずれか一方で上下方向に変位しないように拘束し、かつ、第1・第2フランジ形成部位の他方をこれに対応する第1・第2型の他方で拘束しないように保持し、成形中に発生する前記円筒素材の伸びを該他方側に形成させることを特徴とする請求項1又は2に記載のフローフォーミング成形方法。
- 目標の胴部厚さを予め決定し、該胴部厚さから前記押圧工程において第1・第2ローラーの進入により前記円筒素材の一部が除去される第1体積と、前記胴部作成工程において減少する前記拘束加工領域の第2体積とを求め、第1・第2体積の合計から前記円筒素材の胴部伸びを算出する予備計算工程をさらに含み、かつ、
前記素材用意工程では、目標の円筒部品の高さから、前記予備計算工程において算出された前記胴部伸びを差し引いた高さを有した前記円筒素材を用意することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフローフォーミング成形方法。 - 前記予備計算工程では、前記押圧工程又は前記胴部形成工程における第1・第2ローラーの加工パスをさらに決定し、かつ、
前記押圧工程における加工パスでは、前記円筒素材の伸びに追随するように、非拘束の前記フランジ形成部位側に設けられた前記ローラーを移動させることを特徴とする請求項4に記載のフローフォーミング成形方法。 - 前記円筒素材が高合金特殊鋼であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフローフォーミング成形方法。
- 円筒素材を上下方向から保持する第1型及び第2型と、
前記円筒素材を、該円筒素材の中心軸を基点として回転させる回転手段と、
円錐状の外周部を備えた第1・第2ローラーと、
第1・第2ローラーのモーションを制御する制御手段と、
第1・第2ローラーを前記円筒素材の周方向外側に配置し、前記制御手段の指示に応じて第1・第2ローラーを移動可能なローラー保持・移動手段と、
を備えたフランジ付円筒部品のフローフォーミング成形装置であって、
前記ローラー保持・移動手段は、第1ローラーの外径が下方向に減少しかつ第2ローラーの外径が上方向に減少するように第1・第2ローラーの外周部を対向させた状態で第1・第2ローラーを保持し、
前記制御手段は、第1ローラーを比較的上方に移動して前記円筒素材における第1型側に近い第1フランジ形成部位と胴部形成部位との第1境界に接触させるとともに、第2ローラーを比較的下方に移動して第2型側に近い第2フランジ形成部位と胴部形成部位との第2境界に接触させるよう前記ローラー保持・移動手段に指示し、
前記制御手段は、第1・第2ローラーの外周部により前記円筒素材の投影断面において相補的に上下の傾斜面が拘束された拘束加工領域を形成するために第1・第2ローラーを前記円筒素材の前記中心軸に向けて移動して前記円筒素材を押圧するよう前記ローラー保持・移動手段に指示し、
前記制御手段は、前記拘束加工領域を除去するために第1・第2ローラーを上下方向に接近させるよう前記ローラー保持・移動手段に指示することを特徴とするフローフォーミング成形装置。
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