本明細書中にあって持玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体又は当該遊技媒体数を示すデータであって、その当日中(閉店より前の時間)のみ遊技に再度供することができるものを言う。貯玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体又は当該遊技媒体数を示すデータであって、翌日以降(閉店より後の時間)も遊技に再度供することができるものを言う。持玉は、一般遊技客および会員遊技客の双方が使用可能であり、遊技に用いる遊技機の変更(いわゆる台移動)を行った場合などに使用する。貯玉は通常、会員遊技客のみが使用可能であり、獲得した遊技媒体を翌日以降の遊技に用いる場合に使用する。貯玉の使用には所定の手数料を課すこととしてもよい。
まず、本実施例に係る各台装置の動作について説明する。図1は、実施例に係る各台装置の動作についての説明図である。図1に示すように、遊技店では遊技機20に台間カード処理機10が併設されている。台間カード処理機10は、遊技客の操作に基づいて遊技玉の貸出や再プレイなどの遊技玉に係る各種処理を行う各台装置である。
台間カード処理機10は、近距離無線通信の機能を有する。この近距離無線通信としては、通信先を特定しないデータ送信(ブロードキャスト)と、通信先を特定したデータ送受信(コネクション)とを行うことができる通信規格を用いることが望ましい。一例として、Bluetooth(登録商標)が利用可能であり、特に、消費電力の小さいBLE(Bluetooth Low Energy)が好適である。
台間カード処理機10は、近距離無線通信の機能によって遊技客が携行する携行端末である携帯端末装置90と通信を行う。携帯端末装置90は、例えばスマートフォン端末などである。台間カード処理機10は、自装置の近傍に所在する携帯端末装置90を検知してコネクションを確立し、通信を行う。なお、携帯端末装置90と台間カード処理機10とがコネクションを確立した場合に、台間カード処理機10は携帯端末装置90を特定するための通信識別情報を取得することが可能となっている。この通信識別情報は、IDmなどの携帯端末の固有IDといった端末識別情報であってもよいし、携帯端末にインストールされたアプリケーションプログラムのプログラムID(例えばインストール時に端末ごとに固有に付されるID)であってもよい。なお、通信識別情報にプログラムIDを用いる場合には、台間カード処理機10と携帯端末装置90との通信を行う場合に、対応するアプリケーションプログラムが携帯端末装置90にて起動されるようになっており、当該アプリケーションプログラムの処理によってプログラムIDが通知される構成となっていることが好ましい。
台間カード処理機10が取得した通信識別情報は、当該通信識別情報に対応する携帯端末装置90が、遊技店に会員登録した会員である場合には、当該会員に対応する会員情報を上位装置において特定するために使用されるが、会員登録していない遊技客である場合には、当該遊技客を特定するために使用され、取得した当該通信識別情報に基づいて台間カード処理機10は後述する遊技客特定状態に移行する。
台間カード処理機10は、携帯端末装置90との通信状態を監視しており、通信の切断や電波強度の低下を検知することができる。そして、台間カード処理機10は、通信の切断や電波強度の低下を検知した場合に、自装置の状態に応じて異なる動作を実行する。
まず、図1(a)に示すように、遊技中に通信の切断や電波強度の低下が発生した場合には、台間カード処理機10は、遊技客が離席したと判定し、台間カード処理機10に対する操作を制限する操作ロック状態に移行する。
一方、図1(b)に示すように、入金中に通信の切断や電波強度の低下が発生した場合には、台間カード処理機10は、入金処理の実行状況に応じて異なる動作を行う。具体的には、入金された紙幣の金種などの識別の完了前であれば、台間カード処理機10は入金された紙幣を返却し、その後に操作ロック状態に移行する。しかし、識別の完了後であれば、台間カード処理機10は紙幣の入金を受け付け、対応するプリペイド価値の加算を行った上で操作ロック状態に移行する。
このように、台間カード処理機10は、遊技客が携行する携行端末である携帯端末装置90との通信が確立されたことに基づいて自装置を操作する遊技客を特定した状態となり、その後、携帯端末装置90との通信状態が悪化して通信が確立されない状態となった場合に自装置の動作を制限する。このため、遊技客は離席時に煩雑な操作を行うことなく他の遊技客による操作を防ぎ、短時間の離席や休憩などの利便性を向上することができる。
また、台間カード処理機10は、携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合に、遊技客の操作に基づく処理を実行中であるならば、処理の進行状況に応じて動作を異ならせることで、実行途中の処理を適正に制御することができる。
次に、遊技店のシステム構成について説明する。図2は、遊技店のシステム構成を示す図である。図2に示すように、遊技店には、複数の遊技機20と、各遊技機20にそれぞれ対応して設けられた台間カード処理機10が設置される。台間カード処理機10は、島コントローラ30を介して店内のネットワークである通信回線と接続する。通信回線には、島コントローラ30と、カード管理装置40と、会員管理装置50と、賞品管理装置60と、精算機80とが接続される。
遊技機20は、遊技玉を遊技盤面に打ち込んで遊技を行う装置である。この遊技機20の遊技盤面には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域を遊技玉が通過したことに基づいて所定個数の遊技玉を賞玉として付与するようになっている。また、遊技盤面には、所定個数の始動領域(始動口)が設けられており、当該始動領域を遊技玉が通過したことに基づいて所定の抽選を行うこととなっている。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、前述の入賞領域あるいは他の始動領域への遊技玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。始動口への玉の通過による抽選の結果は、抽選の結果を表示する特別図柄表示装置にて表示される。この特別図柄表示装置の抽選結果の表示は、所定時間の変動表示後、確定表示を行う態様で行なわれる。また、遊技盤面には、抽選の結果に基づいて所定の数字等の装飾図柄を可変表示する装飾図柄表示装置が設けられており、抽選の結果が大当りとなった場合に、例えば(7,7,7)などの揃い図柄を表示して報知を行なう。なお、始動領域と入賞領域を兼ねた領域を設けることもできる。
上記入賞領域には、当該入賞領域への遊技玉の通過を検出するための入賞センサが設けられており、この入賞センサにより入賞領域へ打ち込まれた遊技玉の通過(入賞)を検知するようになっている。また、遊技機20の制御部は、入賞領域ごとに賞玉として付与する遊技玉の個数を記憶する賞玉メモリを有している。
したがって、打ち込んだ遊技玉の特定の入賞領域への通過が入賞センサにより検知されると、遊技機20は、賞玉メモリの記憶内容と、入賞領域を通過した遊技玉数とから、付与すべき賞玉数を決定し、決定した賞玉数の払出処理を行うことができる。また、打ち込んだ遊技玉は、入賞領域を通過したか否かにかかわらず、最終的に遊技盤面裏側から遊技機外部に排出される。遊技機外部に排出された遊技玉は、遊技機ごとに付設されたアウト玉検出装置によって検出されるようになっている。
台間カード処理機10は、入金の受付、遊技玉の貸し出し、カード管理装置40との通信を行う。台間カード処理機10は、遊技客により投入された紙幣を受け付けたならば、この紙幣の金額を含む入金通知データをカード管理装置40に送信し、カード管理装置40が管理するプリペイド価値に金額に応じた数を加算させる。そして、所定の玉貸操作がなされたならば、玉貸要求をカード管理装置40に送信し、カード管理装置40が管理するプリペイド価値を減算させて、減算されたプリペイド価値に対応する数の遊技玉の払出処理を行う。
また、台間カード処理機10は、カードの挿入を受け付けたならば、カード管理装置40及び会員管理装置50にカード挿入通知データを送信する。また、台間カード処理機10は、カード管理装置40及び会員管理装置50からプリペイド価値、持玉数、貯玉数を含むデータを受信したならば、受信したプリペイド価値、持玉数、貯玉数を記憶する。そして、持玉数を記憶したならば、台間カード処理機10は、カード管理装置40に対して持玉減算要求データを送信することで、カード管理装置40が管理する持玉数をゼロにクリアする。なお、台間カード処理機10は、携帯端末装置90から通信識別情報を受け付けたならば、会員管理装置50に通信識別情報を特定するための情報を送信する。
また、台間カード処理機10は、持玉再プレイ操作を受け付けると、自装置に記憶した持玉数から所定数を減算し、減算した持玉数に対応する数の遊技玉の払出処理を行う。また、台間カード処理機10は、貯玉再プレイ操作を受け付けると、カード管理装置40に対して貯玉再プレイ要求データを送信することで、会員管理装置50が管理する貯玉数から所定数を減算させ、減算させた貯玉数に対応する数の遊技玉の払出処理を行う。
また、台間カード処理機10は、カード返却操作を受け付けたならば、自装置が管理する持玉数を含む持玉加算要求データをカード管理装置40に送信し、カード管理装置40に持玉数を加算させた後、カード排出通知データをカード管理装置40に送信し、カードを排出制御する。
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。
カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカードデータとして管理する装置である。カード管理装置40は、台間カード処理機10からカード挿入通知データを受信したならば、挿入されたカードのカードIDと台間カード処理機10の装置IDとを関連づけて管理し、該カードIDに関連づけられたプリペイド価値及び持玉数を台間カード処理機10に送信する。また、カード挿入通知データに示されたカードIDが会員カードのカードIDである場合には、カード管理装置40は、カード挿入通知データを会員管理装置50に送信し、会員管理装置50から受信した貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。
また、カード管理装置40は、台間カード処理機10から持玉減算要求データを受信した場合には、持玉数をゼロクリアする。また、カード管理装置40は、台間カード処理機10から持玉加算要求データを受信した場合には、持玉加算要求データに含まれる持玉数をカード管理装置40が管理する持玉数に加算する。
また、カード管理装置40は、台間カード処理機10から玉貸要求データを受信したならば、カードIDに関連付けられたプリペイド価値を所定値減算し、玉貸許可データを台間カード処理機10に送信する。そして、貯玉再プレイ要求データを受信したならば、該貯玉再プレイ要求データを会員管理装置50に送信し、会員管理装置50が貯玉再プレイデータを出力したならば、貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。
また、カード管理装置40は、賞品管理装置60からカードIDを受信したならば、このカードIDに関連付けられた持玉数を賞品管理装置60に対して通知する。さらに、精算機80からカードIDを受信したならば、このカードIDに関連付けられたプリペイド価値を精算機80に対して通知する。
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員管理データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードID(会員ID)に関連付けて、貯玉数、ポイント数、暗証番号及び氏名等の会員情報を管理する。また、会員情報には、一部の会員について、携帯端末90の通信識別情報(IDm、プログラムID等)を含むようになっており、台間カード処理機10から通知された通信識別情報に応じて、当該通信識別情報に対応する会員IDを特定することが可能になっている。通信識別情報と会員IDの対応付けは、台間カード処理機10あるいは後述する賞品管理装置60において、会員カードを受け付け、所定の操作を受け付けた状態で通信識別情報を取得したことによって、会員管理装置50に対して対応付け要求がなされ、これに応じて会員管理装置50において会員情報に追加されるようになっている。なお、台間カード処理機10あるいは賞品管理装置60においては、通信識別情報のみを取得した状態においても所定の操作を受け付けて会員情報の作成を会員管理装置50に対して行うことも可能になっている。この場合の会員情報は、会員カードが発行されていない会員として管理されるが、このような会員情報の登録を許可するかどうかは遊技店の管理者が設定することが可能になっている。
会員管理装置50は、台間カード処理機10からカード挿入通知データを受信したならば、カード挿入通知データに示されたカードIDに関連付けられた貯玉数及び暗証番号を含む貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。また、会員管理装置50は、台間カード処理機10から貯玉再プレイ要求データを受信したならば、貯玉再プレイ要求データに示されたカードIDに関連づけられた貯玉数から所定数を減算し、減算後の貯玉数を含む貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。なお、台間カード処理機10と会員管理装置50との通信は、カード管理装置40を介して行なわれる。なお、会員管理装置50は、台間カード処理機10から通信識別情報を受信したならば、当該通信識別情報に対応する会員情報に関連づけられた貯玉数及び暗証番号を含む貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。この場合、既に台間カード処理機10から会員カードIDに対応するカード挿入通知データを受信している場合には、会員カードIDに対応する会員情報と通信識別情報に対応する会員情報が同一かどうかを判断し、同一であれば貯玉再プレイデータの送信を行わない。また、同一でない場合には、会員カードID及び通信識別情報のうち後から受け付けたものの使用を拒否する応答を送信する。つまり、通信識別情報を先に受け付けている場合には、会員カードの返却を指示し、会員カードを先に受け付けている場合には、通信識別情報の受け付け禁止を指示し、台間カード処理機が遊技客特定状態となることを制限する。なお、ここでは会員情報の同一性の判断および、会員カードおよび通信識別情報の受け付け判断を上位装置である会員管理装置50で行うことを例示しているが、これに限らず、台間カード処理機10にてこの判断を行ってもよい。
また、会員管理装置50は、賞品管理装置60から貯玉数の問い合わせを受けたならば、指定されたカードIDに対応する貯玉数を賞品管理装置60に通知する。
賞品管理装置60は、遊技店内の賞品交換カウンタに併設された賞品交換用の端末装置であり獲得玉、貯玉数及び持玉数を賞品に交換する賞品交換処理を行う。この賞品管理装置60には、カードからカードIDを読み取るカードリーダ及び賞品を払い出す賞品払出装置が接続されている。賞品管理装置60は、一般カード又会員カードからカードIDを読み出した場合(若しくは、携帯端末等からカードIDに対応する識別データを読み出した場合)には、カードIDをカード管理装置40に送信して、該カードIDの持玉数を要求する。また、貯玉数を賞品交換する場合は、会員管理装置50に対して貯玉数を要求する。
精算機80は、プリペイド価値が関連付けられたカードが挿入されると、このカードのカードIDをカード管理装置40に送信し、その応答データを受信することにより、カードに関連付けられたプリペイド価値を取得し、取得したプリペイド価値に応じて貨幣を払い出す。
次に、図2に示した遊技システムの玉貸処理について説明する。遊技客が台間カード処理機10に対して玉貸操作を行うと、台間カード処理機10は、カード管理装置40に玉貸要求データを送信する。この玉貸要求データは、台間カード処理機10に挿入されているカードのカードIDと、送信元である台間カード処理機10を特定するアドレス若しくは任意の識別データを含む。
カード管理装置40は、玉貸要求データを受信すると、玉貸要求データのカードIDに関連付けられたプリペイド価値から所定値を減算する。そして、カード管理装置40は玉貸許可データを送信元の台間カード処理機10に送信する。玉貸許可データを受信した台間カード処理機10は、減算したプリペイド価値に対応する遊技玉数の払出処理を行う。
次に、図2に示した遊技システムで持玉の再プレイを行う場合の持玉再プレイ処理について説明する。台間カード処理機10は、一般カードあるいは会員カードの挿入を受け付けたならば、カード管理装置40にカード挿入通知データを送信する。このカード挿入通知データは、台間カード処理機10に挿入されているカードのカードIDと、送信元である台間カード処理機10を特定するアドレス若しくは任意の識別データと、台間カード処理機10のレートを特定するためのデータとを含む。
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカード挿入通知データを受信したならば、該カード挿入通知データ内のカードIDに関連付けられた各レートの持玉数を台間カード処理機10に通知する。
台間カード処理機10は、カード管理装置40から受信した持玉数を記憶する。そして、カードID、レートを特定するデータ及び持玉数をゼロクリアする旨を示す持玉減算要求データをカード管理装置40に送信する。カード管理装置40は、持玉減算要求データを受信したならば、カードIDにより特定される各レートの持玉数をゼロクリアする。また、台間カード処理機10は、持玉再プレイ操作を受け付けて持玉再プレイを行う場合には、記憶した持玉数から所定数を減算し、対応する遊技玉数の払出処理を行う。払出処理を行う場合、遊技機が払出可能な単位(例えば25玉)の倍数については、遊技機に払出指示を送信することにより払出処理を行い、残りについては自機のノズルユニット18aから払い出すことにより払出処理を行う。
台間カード処理機10は、カード返却操作を受け付けたならば、カード管理装置40に対して持玉加算要求データを送信する。この持玉加算要求データは、カード返却の対象となるカードのカードIDと、送信元である台間カード処理機10を特定するアドレス若しくは任意の識別データと、各レートの持玉数とを含む。
カード管理装置40は、持玉加算要求データを受け付けたならば、カードIDに関連付けられた各レートの持玉数に持玉加算要求データに含まれる持玉数を加算する。その後、台間カード処理機10は、カード管理装置40にカード排出通知データを送信し、カードを排出制御する。
次に、図2に示した遊技システムでの貯玉再プレイ処理について説明する。台間カード処理機10は、会員カード又は会員カードとして使用可能な携帯端末からカードIDを読み取ったならば、カード管理装置40にカード挿入通知データを送信する。このカード挿入通知データは、台間カード処理機10に挿入されているカードのカードIDと、送信元である台間カード処理機10を特定するアドレス若しくは任意の識別データと、台間カード処理機10のレートを特定するためのデータとを含む。
カード管理装置40は、台間カード処理機10から受信したカード挿入通知データを会員管理装置50に送信する。会員管理装置50は、カード挿入通知データを受信したならば、該カード挿入通知データ内のカードIDに関連付けられた暗証番号と、貯玉のうち、該カード挿入通知データにより特定されたレートの貯玉数と、貯玉再プレイの可能数を含む貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。貯玉再プレイの可能数は、貯玉再プレイを行うことのできる玉数を示す。この貯玉再プレイの可能数は、貯玉再プレイにおける遊技玉の払出単位数の倍数である。貯玉再プレイに上限が設定されていれば、貯玉数と上限の範囲内で最大の値が貯玉再プレイの可能数となる。なお、貯玉再プレイの可能数の代わりに貯玉再プレイが可能な回数を貯玉再プレイ度数として用いてもよい。貯玉再プレイ度数は、貯玉再プレイにおける遊技玉の払出単位数で貯玉数を除算した商にあたる。ただし、貯玉再プレイに上限が設定されている場合には、この上限により貯玉再プレイ度数は制限される。
台間カード処理機10は、受信した貯玉再プレイデータを記憶し、貯玉再プレイデータに示された貯玉再プレイの可能数が1以上である場合には貯玉再プレイ操作を受け付け可能とする。
台間カード処理機10は、貯玉再プレイデータの記憶後、最初に貯玉再プレイ操作を受け付けた場合に、遊技客に対して暗証番号の入力を求め、入力された暗証番号が貯玉再プレイデータに示された暗証番号と一致するか否かを判定する。
台間カード処理機10は、暗証番号が一致した場合に、カード管理装置40に貯玉再プレイ要求データを送信する。この貯玉再プレイ要求データは、台間カード処理機10に挿入されているカードのカードIDと、送信元である台間カード処理機10を特定するアドレス若しくは任意の識別データと、台間カード処理機10のレートを特定するためのデータとを含む。
カード管理装置40は、貯玉再プレイ要求データを会員管理装置50に送信する。会員管理装置50は、貯玉再プレイ要求データを受信したならば、該貯玉再プレイ要求データ内のカードIDに関連付けられた貯玉のうち、該電文により特定されたレートの貯玉の残高を所定値減算し、貯玉再プレイの可能数を再計算する。そして、減算後の残高と貯玉再プレイの可能数とを含む貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。
台間カード処理機10は、記憶する貯玉数を更新し、貯玉再プレイの払出単位数分の遊技玉数の払出処理を行う。また、更新後の貯玉再プレイの可能数が1以上であるかを判定する。貯玉再プレイの可能数が0であれば、貯玉再プレイ操作を受付不可とする。更新後の貯玉再プレイの可能数が1以上であれば、再度貯玉再プレイ操作を受付可能とする。2回目以降の貯玉再プレイでは、暗証番号の確認は不要である。なお、暗証番号の確認を毎回行うようにしてもよい。また、ここでは会員管理装置50が貯玉の残高を減算した後、台間カード処理機10が遊技玉の払出処理を行う場合を例示したが、貯玉再プレイ要求に基づいて遊技玉の払出処理を行った後に、貯玉の残高を減算してもよい。貯玉再プレイ要求前の貯玉再プレイデータに、貯玉再プレイの可能数が示されており、貯玉再プレイ要求を受け付けた後に残高不足が判明する事態とはならないためである。
次に、閉店処理における持玉からの貯玉への移行について説明する。カード管理装置40は、閉店処理時にカード管理データの持玉数を確認し、ゼロより大きい持玉数が関連付けられたレコードが存在する場合には、該レコードの持玉数をカードID及びレートとともに会員管理装置50に通知する。会員管理装置50は、カードID及びレートにより特定される貯玉数にカード管理装置40から通知された持玉数を加算する。その後、カード管理装置40は、該持玉数をゼロクリアする。
次に、図2に示した台間カード処理機10の外観について説明する。図3は、台間カード処理機10の外観を示す図である。なお、図3には、遊技機20に接続された台間カード処理機10の外観を台間カード処理機10として示している。また、併設される遊技機20は、破線で図示している。また、図3では、紙幣のみを受け付ける台間カード処理機10を図示したが、硬貨受付用のユニットを設けることもできる。
図3に示すように台間カード処理機10は、状態表示部11、紙幣挿入口12a、表示操作部13、カード挿入口14a、かざし部14b、無線通信部14c、ノズルユニット18a及び計数ユニット18bを有する。
状態表示部11は、台間カード処理機10の装置の状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する。紙幣挿入口12aは、遊技玉の貸出に必要な各種紙幣の挿入口である。表示操作部13は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ等の操作ボタンの表示や操作ボタンによる入力操作を受け付けるデバイスである。
カード挿入口14aは、遊技客の所持するカードの挿入口である。かざし部14bは、会員登録に用いられた携帯端末をかざす部位であり、かざし部14bに携帯端末がかざされると、携帯端末から携帯端末の固有ID(例えばIDm)等のデータが読み取られる。無線通信部14cは、無線通信を行うユニットである。ノズルユニット18aは、遊技玉を遊技機20に投出する機構である。計数ユニット18bは、遊技機20の下皿から落下させた遊技玉を計数する機構である。
次に、図2に示した台間カード処理機10の構成について説明する。図4は、図2に示した台間カード処理機10の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、台間カード処理機10は、紙幣搬送部12と、表示操作部13と、リーダライタ14と、かざし部14bと、無線通信部14cと、通信部15と、記憶部16と、制御部17と、ノズルユニット18aと、計数ユニット18bとを有する。
紙幣搬送部12は、紙幣挿入口12aから挿入された紙幣の金種及び真偽を判別しつつ図示しない紙幣収納部に搬送する搬送部である。表示操作部13は、玉貸に使用可能なプリペイド価値、持玉数、貯玉数等の各種情報の表示と、玉貸操作等の各種操作の受付を行なうタッチパネル式の液晶ディスプレイ等の入出力装置である。
リーダライタ14は、カード挿入口14aに挿入されたカードからカードIDを読み取る装置である。なお、カード挿入口14aに挿入されたカードは、このリーダライタ14を経て図示しないカード収納部に収納される。かざし部14bは、携帯端末等がかざされた場合に、近距離無線通信により携帯端末の固有ID(例えばIDm)等の各種情報を読み取るインタフェース部である。また、リーダライタ14は、遊技客の返却操作に応じて、カード収納部に収納されたカードにカードデータ16bに示される持玉やプリペイド価値等の価値データを関連付けて新たなカードとして発行する機能も有している。ただし、カードデータ16bに示されるプリペイド価値が0であって、持玉数が一定数(最低保持個数)に満たない場合には、返却操作があってもカードを返却しないように制御する。これは、少量の持玉を関連付けたカードが破棄されることにより、遊技店に損失が生じるのを抑止するための制御である。一定数としては、例えば持玉数に玉1個あたりの貸出単価を乗算した値がカードの価額あるいは遊技店内の最低価格の賞品となるように設定することができるが、これに限らず、遊技店の方針によって自由に設定できる。また、返却操作があってもカードを返却しないように制御する場合に、記憶している持玉を払出処理することもできるが、カードが返却できない旨と持玉の再プレイを促す表示を行ってもよい。
また、台間カード処理機10は、持玉数が一定数(最低保持個数)に満たない場合に、返却操作があった場合であって、後述する遊技客特定状態にある場合には、対応する携帯端末装置90あるいは携帯端末装置90を特定可能な識別情報により特定される会員IDに対応付けて会員管理装置50等の上位装置において管理するよう要求し、持玉数をクリアする機能を備えていてもよい。このような場合、当該機能を有効とするか否かは遊技店の管理者が上位装置において設定を行い、当該設定が台間カード処理機10に配信される構成となっていることが好ましい。
通信部15は、遊技機20及び島コントローラ30との間のデータ通信を行なうためのインタフェース部である。ノズルユニット18aは、玉貸又は再プレイにより遊技玉を払い出す際に、その一部又は全ての払い出しに使用される。計数ユニット18bは、遊技玉を計数するユニットである。
記憶部16は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部16は、自装置状態データ16a、カードデータ16b、通信管理データ16c及び処理制御データ16dを記憶する。
自装置状態データ16aは、台間カード処理機10の状態を示すデータである。この自装置状態データ16aには、台間カード処理機の装置IDと、遊技設定とを含む。台間カード処理機の装置IDは、台間カード処理機10を遊技店内で一意に識別するための識別データである。遊技設定は、台間カード処理機10に設定された遊技種等を示すデータである。遊技店内で複数のレートの遊技玉を扱う場合には、4円レートの遊技玉に「玉1」、2円レートの遊技玉に「玉2」、1円レートの遊技玉に「玉3」というように、レート毎に遊技種名を設定して管理する。台間カード処理機10は、これらの遊技種から遊技に使用するレートを選択して、遊技設定として記憶する。
カードデータ16bは、遊技客が使用中のカードに係るデータである。カードデータ16bは、カードID、プリペイド価値、持玉、貯玉、貯玉再プレイの可能数等を含む。持玉、貯玉については、遊技種(レート)ごとにデータが存在する。カードIDは、リーダライタ14により読み取られたカードIDである。図示しないカード収納部からカード挿入口14aにカードが搬送され、該カードが排出される場合には、この搬送途中でリーダライタ14により読み取られたカードIDによってカードデータ16bが更新される。また、カード挿入口14aから図示しないカード収納部にカードが搬送される場合にも、この搬送途中でリーダライタ14により読み取られたカードIDによってカードデータ16bが更新される。
通信管理データ16cは、無線通信部14cによる携帯端末装置90との近距離無線通信を管理するためのデータである。通信管理データ16cには、携帯端末装置90の識別情報である端末IDや、電波強度などが含まれる。
無線通信部14cは、自装置の近傍に所在する携帯端末装置90を検知してコネクションを確立し、通信を行う。このコネクションの確立時に、携帯端末装置90の端末IDが取得され、通信管理データ16cに格納される。また、無線通信部14cは、携帯端末装置90からの電波強度を取得して通信管理データ16cに格納し、その後、電波強度を随時更新する。
処理制御データ16dは、遊技客の操作に基づく処理を実行中に携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合に、どのような動作を行うかを設定したデータである。処理制御データ16dには、処理の種類と進行状況に対して動作内容が示されている。
制御部17は、台間カード処理機10の全体を制御する制御部であり、データ管理部17a、計数処理部17b、離席判定部17c、処理制限部17d、処理状態判定部17e及び処理動作制御部17fを有する。
データ管理部17aは、カードが挿入された場合に、自装置状態データ16aの装置IDと、カードデータ16bのカードIDとを含むカード挿入通知データをカード管理装置40に送信する。また、データ管理部17aは、カード管理装置40から価値データ(プリペイド価値、持玉数及び貯玉数の少なくともいずれか)を含むデータを受信した場合に、受信した価値データによりカードデータ16bを更新する。データ管理部17aは、カードデータ16bに示されたプリペイド価値、持玉数及び貯玉数を適宜表示操作部13に表示制御する。
また、データ管理部17aは、紙幣挿入口12aに紙幣が挿入されると、挿入された紙幣の金額、カードID及び台間カード処理機IDを含む入金通知データをカード管理装置40に送信する。
また、データ管理部17aは、遊技客により玉貸操作が行なわれた場合に、カードID及び装置IDを含む玉貸要求データをカード管理装置40に送信する。この玉貸要求データへの応答として玉貸許可データを受信したならば、データ管理部17aは、所定数の遊技玉の払出処理を行う。
また、データ管理部17aは、遊技客により持玉再プレイ操作が行なわれた場合に、カードデータ16bに示された持玉数から所定数を減算し、対応する数の遊技玉の払出処理を行う。
また、データ管理部17aは、カードデータ16bに示された貯玉再プレイの可能数が1以上である場合には、表示操作部13に貯玉再プレイボタンを表示し、貯玉再プレイ操作を受付可能とする。データ管理部17aは、遊技客により貯玉再プレイ操作が行なわれた場合に、カードID及び台間カード処理機IDを含む貯玉再プレイ要求データを会員管理装置50に送信する。この貯玉再プレイ要求データへの応答として貯玉再プレイデータを受信したならば、カードデータ16bの貯玉数を更新し、貯玉再プレイの払出単位数の遊技玉の払出処理を行う。なお、初回の貯玉再プレイ操作時には、暗証番号の入力を求め、カードデータ16bに示された暗証番号と一致することを条件に貯玉再プレイ要求データを送信する。
また、データ管理部17aは、遊技客によりカード返却操作が行なわれた場合に、カードID、装置ID並びに持玉数を含む持玉加算要求データをカード管理装置40に送信して、カードデータ16bの持玉数をゼロにクリアした後、カード排出通知データをカード管理装置40に送信し、カードを排出する。
計数処理部17bは、計数ユニット18bに遊技玉が投入された場合に、計数ユニット18bに遊技玉の計数を行わせ、計数結果をカードデータ16bの持玉数に加算する処理を行う。
離席判定部17cは、無線通信の状態に基づいて遊技客の離席を判定する処理部である。具体的には、離席判定部17cは、無線通信部14cにより携帯端末装置90との通信が確立され、携帯端末装置90の端末IDが通信管理データ16cに格納された場合に、自装置を操作する遊技客を特定した遊技客特定状態に移行する。そして、離席判定部17cは、遊技客特定状態に移行した後、通信管理データ16cに示された電波強度が閾値以下となった場合に、離席が発生したと判定する。なお、当該実施例においては、遊技客特定状態においても、台間カード処理機10における一般カード発行(内部に収納したカードに価値を関連付けて発行する処理)が行いうる例を示しているが、取得した通信識別情報が、予め遊技店に登録した会員に対応するものである場合には、遊技客特定状態における一般カードの発行をできないものとし、当該状態において増加した価値あるいは遊技媒体数は受け付けた会員カードあるいは取得した通信識別情報に対応する会員情報として上位装置で管理されるようにすることもできる。
処理制限部17dは、遊技客による操作を制限する操作ロックを行う処理部である。具体的には、処理制限部17dは、離席判定部17cにより離席が発生したとの判定が行われた場合に、カードに価値があるか否かを判定する。挿入されているカードが一般カードであり、カードデータ16bに示されたプリペイド価値と持玉がともに一定数以下(例えばともにゼロ)であるならば、処理制限部17dはカードに価値なしと判定する。プリペイド価値か持玉のいずれかが一定数を超える場合、もしくは挿入されているカードが会員カードである場合には、処理制限部17dは、カードに価値ありと判定する。
そして、離席が発生し、カードに価値ありと判定した場合には、処理制限部17dは、遊技客による操作を制限する操作ロックを開始する。操作ロックは、例えば遊技客による暗証番号の入力や、通信管理データ16cに格納された端末IDを有する携帯端末装置90の再検知を条件に終了する。
離席が発生し、カードに価値なしと判定した場合には、処理制限部17dは、遊技が終了したものとしてカードの取り込みを行い、無線通信部14cによる通信を切断して、通信管理データ16cをクリアする。
ここで、通信状態によって離席が発生したと判定され、カードに価値がある状態であっても、遊技客の操作に基づく処理を実行中であるならば、実行中の処理の種類と状態に応じた動作を行った上で処理制限部17dによる操作ロックが行われる。
処理状態判定部17eは、通信状態によって離席が発生したと判定された時点で遊技客の操作に基づく処理を実行中であるか否かを判定し、実行中である場合には処理の状態を判定する処理を行う。
処理動作制御部17fは、処理状態判定部17eによる判定結果に基づいて処理制御データ16dを参照し、処理制御データ16dにより定められた動作を実行する。この処理動作制御部17fによる動作の実行後、処理制限部17dによる操作ロックが行われることになる。処理状態判定部17e及び処理動作制御部17fによる動作の具体例については後述する。
次に、台間カード処理機10の記憶部16に記憶されるデータの一例について説明する。図5及び図6は、台間カード処理機10の記憶部16に記憶されるデータの一例を説明するための説明図である。
図5(a)に示す自装置状態データ16aは、台間カード処理機10のIDが「3001」であり、台間カード処理機10の遊技種として「玉1」が設定された状態を示している。
図5(b)に示すカードデータ16bは、台間カード処理機10に挿入されたカードのIDが「2002」である状態を示している。なお、ここでは、カードIDの上1桁がカードの種別を示しており、上1桁が「1」のカードが一般カード、上1桁が「2」のカードが会員カードである。また、カードデータ16bは、プリペイド価値が「2000度数」である状態を示している。なお、ここではプリペイド価値の度数とは1度数が1円相当である。また、カードデータ16bは、玉1の持玉数が「375玉」であり、玉2の持玉数が「500玉」であり、玉3の持玉数が「2000玉」である状態を示している。
また、カードデータ16bは、貯玉再プレイ用の暗証番号が「7777」であり、貯玉再プレイの可能数が「250玉」であり、玉1の貯玉数が「250玉」であり、玉2の貯玉数が「1000玉」であり、玉3の貯玉数が「4000玉」である状態を示している。なお、ここでは再プレイが可能な玉数を再プレイの可能数として格納する構成を示したが、再プレイの可能な回数を再プレイ度数として格納してもよい。また、図示していないが、カード管理装置40では、カードIDに対応付けて、持玉、貯玉、プリペイド価値以外にカードの有効/無効を示す「ロック」フラグのON/OFFも記憶しており、カードの盗難が発覚した場合に従業員操作によってONにされる。これらのデータもカードデータ16bに含まれて記憶されている。さらに、この「ロック」フラグは機能(「貯玉使用」、「乗入」等)別にも設定できるようになっており、例えば遊技客の要望により「乗入」の機能だけを「ロック」の対象として、誤操作を防ぐことに用いることもできる。
図5(c)に示す通信管理データ16cは、端末IDが「Tm001」であり、電波強度が「−41」dBmである状態を示している。
図6(d)に示す処理制御データ16dは、入金処理を実行中に携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合において、入金された貨幣の識別が完了前の段階であれば入金処理を取り消し、識別の完了後であれば入金処理を継続する設定を示している。
ここで、入金処理を取り消す場合には、入金された貨幣を返却して操作ロックが行われる。また、入金処理を継続する場合には、入金された貨幣を収納し、対応するプリペイド価値の加算を行った上で操作ロックが行われる。
処理制御データ16dは、玉貸処理を実行中に携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合において、遊技玉の払出を開始する前の段階であれば玉貸処理を取り消し、遊技玉の払出を開始した後の段階であれば玉貸処理を継続する設定を示している。
ここで、玉貸処理を取り消す場合には、遊技玉が払い出されることなく操作ロックが行われる。また、玉貸処理を継続する場合には、遊技玉の払出の完了後に操作ロックが行われる。
処理制御データ16dは、持玉再プレイ処理を実行中に携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合において、遊技玉の払出を開始する前の段階であれば持玉再プレイ処理を取り消し、遊技玉の払出を開始した後の段階であれば持玉再プレイ処理を中断する設定を示している。
ここで、持玉再プレイ処理を取り消す場合には、遊技玉が払い出されることなく操作ロックが行われる。また、持玉再プレイ処理を中断する場合には、遊技玉の払出を中止して操作ロックが行われ、操作ロックの解除後に残りの遊技玉が払い出される。
処理制御データ16dは、貯玉再プレイ処理を実行中に携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合において、遊技玉の払出を開始する前の段階であれば貯玉再プレイ処理を取り消し、遊技玉の払出を開始した後の段階であれ貯玉再プレイ処理を継続する設定を示している。
ここで、貯玉再プレイ処理を取り消す場合には、遊技玉が払い出されることなく操作ロックが行われる。また、貯玉再プレイ処理を継続する場合には、遊技玉の払出の完了後に操作ロックが行われる。
次に、各処理の制御の具体例について説明する。図7は、入金処理及び持玉再プレイ処理の制御の具体例についての説明図である。図7(a)は、入金処理の制御の具体例を示している。まず、遊技客が紙幣挿入口12aに紙幣を挿入する入金操作を行うと、紙幣搬送部12が紙幣を搬送し、制御部17は紙幣挿入中状態となる。その後、紙幣搬送部12が紙幣を識別し、金種を制御部17に通知するまでの間は、制御部17は取込可否確認中状態となる。
紙幣搬送部12から金種の通知を受けた後、制御部17は入金確定動作を開始し、紙幣搬送部12に紙幣の取込指示を送信する。紙幣搬送部12は紙幣の取込指示を受信して紙幣を紙幣収納部に搬送し、制御部17に応答を送信する。制御部17は、紙幣搬送部12からの応答を受けるとプリペイド価値の加算を行って入金確定動作を完了する。
この入金処理の途中で携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合、制御部17の処理動作制御部17fは、紙幣挿入中又は取込可否確認中であれば入金処理を取り消して返金を行う。一方、入金確定動作を開始していれば、処理制御データ16dに基づいて入金処理の継続又は中断を行う。そして、取消、継続又は中断に係る動作を行った後、処理制限部17dが操作ロックを開始する。
図7(b)は、持玉再プレイ処理の制御の具体例を示している。まず、遊技客による持玉再プレイ操作を受け付けると、制御部17は払出可否確認中の状態となり、計数ユニット18bに持玉減算要求を送信する。計数ユニット18bは、自ユニットにおいて持玉数を管理しており、制御部17からの持玉減算要求に応じて自ユニットが管理する持玉数を減算して制御部17に応答を返す。制御部17は、計数ユニット18bからの応答を受けてカードデータ16bの持玉数を減算し、遊技玉の払出を開始する。この遊技玉の払出の開始により、制御部17は払出可否確認中の状態から払出中の状態に移行することになる。
この持玉再プレイ処理の途中で携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合、制御部17の処理動作制御部17fは、払出中に移行する前であれば持玉再プレイ処理を取り消す。一方、遊技玉の払出を開始して払出中の状態であれば、処理制御データ16dに基づいて払出の継続又は中断を行う。そして、取消、継続又は中断に係る動作を行った後、処理制限部17dが操作ロックを開始する。
図8は、玉貸処理及び貯玉再プレイ処理の制御の具体例についての説明図である。図8(a)は、玉貸処理の制御の具体例を示している。まず、遊技客による玉貸操作を受け付けると、台間カード処理機10は払出可否確認中の状態となり、カード管理装置40に玉貸要求データを送信する。玉貸要求データを受信したカード管理装置40は、玉貸要求データのカードIDに関連付けられたプリペイド価値から所定値を減算し、玉貸許可データを台間カード処理機10に送信する。玉貸許可データを受信した台間カード処理機10は、減算したプリペイド価値に対応する遊技玉数の払出を開始する。この遊技玉の払出の開始により、台間カード処理機10は払出可否確認中の状態から払出中の状態に移行することになる。
玉貸処理の途中で携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合、台間カード処理機10の処理動作制御部17fは、払出中に移行する前であれば玉貸処理を取り消す。一方、遊技玉の払出を開始して払出中の状態であれば、処理制御データ16dに基づいて払出の継続又は中断を行う。そして、取消、継続又は中断に係る動作を行った後、処理制限部17dが操作ロックを開始する。
図8(b)は、貯玉再プレイ処理の制御の具体例を示している。まず、遊技客による貯玉再プレイ操作を受け付けると、台間カード処理機10は払出可否確認中の状態となり、会員管理装置50に貯玉再プレイ要求データを送信する。貯玉再プレイ要求データを受信した会員管理装置50は、貯玉再プレイ要求データにより特定される貯玉を減算し、貯玉再プレイの可能数を再計算し、貯玉再プレイデータを台間カード処理機10に送信する。貯玉再プレイデータを受信した台間カード処理機10は、貯玉再プレイの払出単位数分の遊技玉の払出を開始する。この遊技玉の払出の開始により、台間カード処理機10は払出可否確認中の状態から払出中の状態に移行することになる。
貯玉再プレイ処理の途中で携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合、台間カード処理機10の処理動作制御部17fは、払出中に移行する前であれば貯玉再プレイ処理を取り消す。一方、遊技玉の払出を開始して払出中の状態であれば、処理制御データ16dに基づいて払出の継続又は中断を行う。そして、取消、継続又は中断に係る動作を行った後、処理制限部17dが操作ロックを開始する。
なお、貯玉再プレイに暗証番号の入力が必要である場合には、台間カード処理機10は暗証番号の入力の受付後に払出可否確認中の状態に移行する。また、持玉再プレイに暗証番号の入力を必要とする設定を行っている場合も同様に、暗証番号の入力の受付後に払出可否確認中の状態に移行することになる。
次に、継続と中断の動作例について説明する。図9は、継続と中断の動作例を説明する説明図である。図9(a)は、持玉再プレイにおいて、通信状態の悪化時に払出を継続する場合の動作を示している。具体的には、図9(a)では、まず、台間カード処理機10が携帯端末装置90との通信を確立し、その後、貯玉再プレイ操作を受け付けている。台間カード処理機10は、貯玉再プレイ操作を受けて払出可否を確認し、払出を開始する。そして、払出の開始後に携帯端末装置90との通信が切断されたならば、遊技玉の払出を継続し、払出単位数分の遊技玉の払出を完了した後に操作ロック状態となる。
図9(b)は、持玉再プレイにおいて、通信状態の悪化時に払出を中断する場合の動作を示している。具体的には、図9(b)では、まず、台間カード処理機10が携帯端末装置90との通信を確立し、その後、貯玉再プレイ操作を受け付けている。台間カード処理機10は、貯玉再プレイ操作を受けて払出可否を確認し、払出を開始する。そして、払出の開始後に携帯端末装置90との通信が切断されたならば、遊技玉の払出を中断し、操作ロック状態となる。
台間カード処理機10は、払出の中断時に払い出し済の遊技玉数を記憶する。そして、携帯端末装置90との通信が再び確立し、操作ロックが解除されたならば遊技玉の払出を再開し、中断の前後で払い出した遊技玉の合計数が払出単位数となった場合に、払出を完了する。
次に、携帯端末装置90との通信にかかる処理手順について説明する。図10は、携帯端末装置90との通信にかかる処理手順を示すフローチャートである。まず、無線通信部14cが携帯端末装置90を検知し(ステップS101)、コネクションを確立して通信を開始する(ステップS102)。このコネクションの確立時に、携帯端末装置90の端末IDが取得され、通信管理データ16cに格納される。また、無線通信部14cは、携帯端末装置90からの電波強度を取得して通信管理データ16cに格納し、その後、電波強度を随時更新する。かかるコネクションの確立により、離席判定部17cは遊技客特定状態に移行する。
離席判定部17cは、通信管理データ16cから電波強度を取得し(ステップS103)、電波強度が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS104)。電波強度が閾値を超えている場合(ステップS104;No)、遊技客特定状態が継続しているため、ステップS103に移行し、離席判定部17cは、通信管理データ16cから電波強度を取得する。
電波強度が閾値以下である場合(ステップS104;Yes)、離席判定部17cは、離席が発生したと判定する。そして、処理制限部17dが挿入されているカードに価値があるかを判定する(ステップS105)。
挿入されているカードに価値なしと判定したならば(ステップS105;No)、離席判定部17cは、無線通信部14cによる通信を切断して通信管理データ16cをクリアし、カードの取り込みを行って遊技を終了する(ステップS106)。
一方、挿入されているカードに価値ありと判定したならば(ステップS105;Yes)、処理状態判定部17eは、遊技客の操作に基づく処理を実行中であるか否かを判定する(ステップS107)。その結果、処理を実行中でなければ(ステップS107;No)、処理制限部17dが操作ロックを開始して(ステップS110)、処理を終了する。
遊技客の操作に基づく処理を実行中であるならば(ステップS107;Yes)、処理状態判定部17eは、実行中の処理の状態を判定する(ステップS108)。処理動作制御部17fは、処理状態判定部17eによる判定結果に基づいて処理制御データ16dを参照し、処理状態と処理の種別に応じた動作を実行する(ステップS109)。その後、処理制限部17dが操作ロックを開始して(ステップS110)、処理を終了する。
なお、図10では説明を省略したが、遊技客がカード返却操作を行った場合には、カードが返却されて遊技が終了する。この場合には、電波強度に関わらず無線通信部14cによる通信を切断して通信管理データ16cをクリアすることになる。
次に、離席判定の変形例について説明する。これまでの説明では、携帯端末装置90との無線通信の状態に基づいて遊技客の離席を判定する構成を示したが、顔認証や暗証番号などをさらに用いて離席判定を行ってもよい。
図11は、離席判定の変形例についての説明図である。図11(a)は、顔認証を用いた離席判定の変形例を示している。この変形例では、台間カード処理機10にカメラを内蔵、もしくは接続して遊技客を撮像し、遊技客の顔画像を記憶する。また、携帯端末装置90との通信を確立させている。
そして、携帯端末装置90との通信状態が悪化し、通信の切断などが発生した場合であっても、カメラが撮像した遊技客の顔画像が記憶した顔画像と一致するならば、離席が発生したとは判定しない。すなわち、顔認証の継続を条件に、操作ロックが回避されることになる。
図11(b)は、暗証番号を用いた離席判定の変形例を示している。この変形例では、携帯端末装置90との通信状態が悪化し、通信の切断などが発生した場合には暗証番号の入力を求める。そして、入力された暗証番号が事前に登録した暗証番号と一致したならば、離席が発生したとは判定しない。すなわち、暗証番号の入力を条件に、操作ロックが回避されることになる。
なお、暗証番号を用いる構成では、複数の台間カード処理機10に暗証番号を入力して複数の台間カード処理機10が確保される事態を防止するため、1台の携帯端末装置90は1台の台間カード処理機10のみを確保可能とする。また、携帯端末装置90が台間カード処理機10と新規に通信を確立したときに、当該携帯端末装置90の端末IDが他の台間カード処理機10で操作ロックに用いられている場合には、新規に通信を確立した台間カード処理機10で確認のためのメッセージを表示し、確認操作を受け付けた場合には、元の台間カード処理機10の操作ロックを解除する。
また、携帯端末装置90と台間カード処理機10との無線通信は、離席の判定に限らず、会員用サービスを利用するための会員認証や、台間カード処理機10からの情報の取得などに用いることが可能である。会員認証などに携帯端末装置90を利用する場合においても、通信状態の悪化時に顔認証や暗証番号を用いることで、会員サービスを継続して利用可能である。
次に、台間カード処理機10からの情報の取得について説明する。図12は、台間カード処理機10からの情報の取得についての説明図である。図12(a)に示すように、携帯端末装置90と台間カード処理機10との通信が確立している状態であれば、携帯端末装置90は台間カード処理機10から入金情報や出玉情報などを受信することができ、遊技の履歴を自動的に管理することができる。
図12(b)に示すように、通信が切断された場合には、携帯端末装置90は台間カード処理機10から入金情報や出玉情報などを受信することができない。しかし、台間カード処理機10は、入金情報や出玉情報などを上位装置(カード管理装置40やホールコンピュータなど)に送信しているので、携帯端末装置90は上位装置から入金情報や出玉情報等を取得可能とする。
図12(b)では、携帯端末装置90と台間カード処理機10との通信の切断が発生しているが(S1)、台間カード処理機10は、切断中であっても入金情報や出玉情報等を上位装置に送信して登録している(S2)。
上位装置側では、入金情報や出玉情報などをカードIDと関連付けて管理している。そこで、携帯端末装置90から上位装置に問い合せを行うことで(S3)、上位装置からの応答として入金情報や出玉情報等を取得することができる(S4)。
なお、携帯端末装置90が上位装置から情報を取得する条件として、台間カード処理機10と通信を確立した実績が必要であり、台間カード処理機10との通信を確立したときのカードIDに関連付けられた情報のみが取得可能である。
また、携帯端末装置90が上位装置に問い合せを行うときには、取得対象の期間(台間カード処理機10との通信を行っていなかった期間)を指定する。この指定は、例えば日時であってもよいし、5分前などの指定であってもよい。また、台間カード処理機10との通信を行う以前の期間を指定することもできる。
上述してきたように、本実施例では、台間カード処理機10が遊技客の携帯端末装置90と無線通信し、携帯端末装置90との通信が確立されたことに基づいて自装置を操作する遊技客を特定した状態となり、その後、携帯端末装置90との通信状態が悪化して通信が確立されない状態となった場合に自装置の動作を制限する。このため、遊技客は離席時に煩雑な操作を行うことなく他の遊技客による操作を防ぎ、短時間の離席や休憩などの利便性を向上することができる。
また、台間カード処理機10は、携帯端末装置90との通信状態が悪化した場合に、遊技客の操作に基づく処理を実行中であるならば、処理の進行状況に応じて動作を異ならせるよう構成したので、遊技客が携行する携帯端末装置との通信状態に変化が発生した場合に、実行途中の処理を適正に制御することができる。
また、処理の進行状況に応じた動作を行った後に遊技客の操作を制限する操作ロック状態に移行するので、処理を適正に完了させつつ、他の遊技客による利用を防止することができる。
また、処理の種別や処理の進行状況に応じて、取消、中断、継続を選択することができるので、種別や進行状況に適合した最適な動作を実行可能である。さらに、処理を中断して操作ロックを行ったときには、操作ロックの解除後に処理を再開して適切に完了させることができる。なお、処理を中断した場合には、台間カード処理機10で中断を行った旨を表示する、上位装置に中断を行った旨を通知する、などの動作をさらに行うように構成してもよい。
なお、本実施例では、進行状況に応じて取消か中断、または取消か継続を選択する場合について説明を行ったが、進行状況に応じて中断か継続を選択することもできる。例えば、125玉の遊技玉を払い出す処理において、払出済の玉数が100玉以下であれば中断し、100玉を超えていれば継続することが可能である。また、払出済の玉数で判断するのではなく、未払出の玉数が所定数を超えているかどうかで継続を判断することも可能である。なお、いずれの場合も遊技店の管理者によって判断の閾値を変更することを可能としてもよい。
なお、また、種別と進行状況とを組み合わせて用いる場合を例に説明を行ったが、処理状況を条件として用いず、処理の種別を条件として取消、中断、継続のいずれかを選択する構成としてもよい。
また、本実施例では、携帯端末装置90と台間カード処理機10とがBLEにより通信を行う場合を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯端末装置90と台間カード処理機10との接続は任意の方法を用いることができる。
また、上記の実施例では、プリペイド価値と持玉がともに一定数以下である場合にカードに価値なしと判定する構成について説明したが、この一定数は適宜設定でき、また,プリペイド価値と持玉とで異ならせてもよい。例えば、プリペイド価値がゼロ、持玉が最低保持個数以下である場合にカードに価値なしと判定することができる。最低保持個数としては、持玉数に玉1個あたりの貸出単価を乗算した値がカードの価額あるいは遊技店内の最低価格の賞品となるように設定することが好適である。
また、上記の実施例では、台間カード処理機10に本発明を適用する場合について説明を行ったが、賞品管理装置60や精算機80などの他の遊技用装置が携帯端末装置90と無線通信を行う場合に適用してもよい。
また、上述の実施例では、遊技媒体数を関連づける媒体であるカードの形態についての詳細な説明を省略したが、かかるカードには、磁気カード、ICカード等が含まれる。また、ここでは説明の便宜上「カード」を例にとって説明したが、かかるカード以外に、チップ、スティック、携帯端末等を用いる場合に本発明を適用することもできる。
また、上述の実施例では、遊技玉を遊技媒体として使用する場合を例に説明を行なったが、スロットマシン用のメダルを用いる場合にも適用可能である。
また、本発明は、遊技機に封入された遊技玉を用いる封入式の遊技機に適用してもよい。封入式の遊技機では、遊技玉を遊技盤面に投出可能な数を遊技可能数として管理しており、玉貸や再プレイ時等の際には、遊技玉の現物を払出処理するのではなく、遊技可能数を加算することとなる。
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。