以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る状態通知方法
2.本実施形態に係るプログラム
(本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る状態通知方法)
以下、本実施形態に係る医療用観察システムの一例を説明しつつ、本実施形態に係る状態通知方法について説明する。
なお、以下では、本実施形態に係る医療用観察装置が電子撮像式の医療用観察装置である場合を主に例に挙げるが、本実施形態に係る医療用観察装置は、電子撮像式の医療用観察装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、光学式の医療用観察装置であってもよい。本実施形態に係る医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合であっても、後述する本実施形態に係る状態通知方法を適用することが可能である。
[1]医療用観察システムの構成
図1は、本実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100と、表示装置200とを有する。
なお、本実施形態に係る医療用観察システムは、図1に示す例に限られない。
例えば、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100における各種動作を制御する制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。図1に示す医療用観察システム1000では、後述するように、医療用観察装置100が本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行う制御部(後述する)を備えることにより、医療用観察装置100が制御装置(図示せず)の機能を有している例を示している。
制御装置(図示せず)としては、例えば、“メディカルコントローラ”や、“サーバなどのコンピュータ”など、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行うことが可能な任意の機器が、挙げられる。また、制御装置(図示せず)は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、IC(Integrated Circuit)であってもよい。
また、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成であってもよい。医療用観察装置100を複数有する場合、医療用観察装置100それぞれにおいて、後述する医療用観察装置100における状態通知方法に係る処理が、行われる。また、本実施形態に係る医療用観察システムが医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成である場合、医療用観察装置100と表示装置200とが一対一に対応付けられていてもよいし、複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられていてもよい。複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられている場合、表示装置200では、例えば切り替え操作などが行われることによって、どの医療用観察装置100において撮像された撮像画像を表示画面に表示させるのかが、切り替えられる。
図2は、本実施形態に係る医療用観察システム1000が使用されるユースケースの一例を示す説明図である。
医療用観察装置100が備える撮像デバイス(後述する)によって、観察対象の患者PA(医療行為を受ける対象の患者)が撮像される。以下では、上記医療行為を受ける対象の患者が撮像された撮像画像などの、本実施形態に係る医療用観察装置が撮像した撮像画像を、「医療用撮像画像」と示す。
医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像は、表示装置200の表示画面に表示される。そして、医療用観察装置100を用いて医療行為を行う術者OP(医療用観察装置100のユーザの一例)は、表示装置200の表示画面に表示されている医療用撮像画像を見ながら、患者PAに対して医療行為を行う。
また、術者OPは、フットスイッチFSなどの医療用観察装置100の外部の操作デバイス、または、医療用観察装置100が備える操作デバイス(後述する)を操作することによって、医療用観察装置100が備えるアーム(後述する)や撮像デバイス(後述する)などを動作させ、医療用観察装置100を所望の状態にさせる。
以下、医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
[1−1]表示装置200
表示装置200は、医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100からみて外部の表示デバイスに該当する。表示装置200は、例えば、医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像(動画像、または、複数の静止画像。以下、同様とする。)や、UI(User Interface)に係る画像などの、様々な画像を表示画面に表示する。また、表示装置200は、3D表示が可能な構成であってもよい。表示装置200における表示は、例えば、医療用観察装置100、または、制御装置(図示せず)によって制御される。
医療用観察システム1000において表示装置200は、例えば、手術室の壁面や天井、床面などの、手術室内において術者などの手術に関わる者により視認されうる任意の場所に設置される。表示装置200としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが挙げられる。
なお、表示装置200は、上記に示す例に限られない。
例えば、表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイやアイウェア型の装置などのような、術者などが身体に装着して用いる任意のウェアラブル装置であってもよい。
表示装置200は、例えば、表示装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
[1−2]医療用観察装置100
医療用観察装置100は、電子撮像式の医療用観察装置である。例えば手術時に医療用観察装置100が用いられる場合、術者(医療用観察装置100のユーザの一例)は、医療用観察装置100により撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
まず、図1を参照して、医療用観察装置100のハードウェア構成の一例について、説明する。
医療用観察装置100は、例えば、ベース102と、アーム104と、撮像デバイス106と、センサ(センサ群)とを備える。
また、図1では示していないが、医療用観察装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)と、ROM(Read Only Memory。図示せず)と、RAM(Random Access Memory。図示せず)と、記録媒体(図示せず)と、通信デバイス(図示せず)とを、備えていてもよい。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
プロセッサ(図示せず)は、後述する制御部として機能する。ROM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
記録媒体(図示せず)は、後述する記憶部として機能する。記録媒体(図示せず)には、例えば、第1の閾値(後述する)を示すデータや第2の閾値(後述する)を示すデータなどの本実施形態に係る状態通知方法に係るデータや、各種アプリケーションなどの、様々なデータが記憶される。ここで、記録媒体(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100から着脱可能であってもよい。
通信デバイス(図示せず)は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と、無線または有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信デバイス(図示せず)としては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
[1−2−1]ベース102
ベース102は、医療用観察装置100の基台であり、アーム104の一端が接続されて、アーム104と撮像デバイス106とを支持する。
また、ベース102には例えばキャスタが設けられ、医療用観察装置100は、キャスタを介して床面と接地する。キャスタが設けられることにより、医療用観察装置100は、キャスタによって床面上を容易に移動することが可能である。
[1−2−2]アーム104
アーム104は、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成される。
また、アーム104は、撮像デバイス106を支持する。アーム104により支持された撮像デバイス106は3次元的に移動可能であり、移動後の撮像デバイス106は、アーム104によって、位置および姿勢が保持される。
より具体的には、アーム104は、例えば、複数の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fと、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fによって互いに回動可能に連結される複数のリンク112a、112b、112c、112d、112e、112fとから構成される。関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれの回転可能範囲は、アーム104の所望の動きが実現されるように、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
つまり、図1に示す医療用観察装置100では、アーム104を構成する6つの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fに対応する6つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6)によって、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現されている。より具体的には、図1に示す医療用観察装置100では、並進3自由度、および回転3自由度の6自由度の動きが実現される。
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれは、アクチュエータ(図示せず)の駆動によって、対応する回転軸で回転する。アクチュエータ(図示せず)の駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれが、アクチュエータ(図示せず)の駆動により対応する回転軸で回転することによって、例えばアーム104を伸ばす、縮める(折り畳む)などの、様々なアーム104の動作が、実現される。
関節部110aは、略円柱形状を有し、関節部110aの先端部分(図1における下端部分)で、撮像デバイス106(図1における撮像デバイス106の上端部分)を、撮像デバイス106の中心軸と平行な回転軸(第1軸O1)まわりに回動可能なように支持する。ここで、医療用観察装置100は、第1軸O1が撮像デバイス106における光軸と一致するように構成される。つまり、図1に示す第1軸O1まわりに撮像デバイス106を回動させることによって、撮像デバイス106により撮像された医療用撮像画像は、視野が回転するように変更される画像となる。
リンク112aは、略棒状の部材であり、関節部110aを固定的に支持する。リンク112aは、例えば、第1軸O1と直交する方向に延伸され、関節部110bに接続される。
関節部110bは、略円柱形状を有し、リンク112aを、第1軸O1と直交する回転軸(第2軸O2)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110bには、リンク112bが固定的に接続される。
リンク112bは、略棒状の部材であり、第2軸O2と直交する方向に延伸される。また、リンク112bには、関節部110bと関節部110cとがそれぞれ接続される。
関節部110cは、略円柱形状を有し、リンク112bを、第1軸O1および第2軸O2それぞれと互いに直交する回転軸(第3軸O3)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110cには、リンク112cの一端が固定的に接続される。
ここで、第2軸O2および第3軸O3まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、水平面内での撮像デバイス106の位置が変更されるように、撮像デバイス106を移動させることができる。つまり、医療用観察装置100では、第2軸O2および第3軸O3まわりの回転が制御されることにより、医療用撮像画像の視野を平面内で移動させることが可能になる。
リンク112cは、一端が略円柱形状を有し、他端が略棒状を有する部材である。リンク112cの一端側には、関節部110cの中心軸と略円柱形状の中心軸とが同一となるように、固定的に接続される。また、リンク112cの他端側には、関節部110dが接続される。
関節部110dは、略円柱形状を有し、リンク112cを、第3軸O3と直交する回転軸(第4軸O4)まわりに回動可能なように支持する。関節部110dには、リンク112dが固定的に接続される。
リンク112dは、略棒状の部材であり、第4軸O4と直交するように延伸される。リンク112dの一端は、関節部110dの略円柱形状の側面に当接するように、関節部110dに固定的に接続される。また、リンク112dの他端(関節部110dが接続される側とは反対側の端)には、関節部110eが接続される。
関節部110eは、略円柱形状を有し、リンク112dの一端を、第4軸O4と平行な回転軸(第5軸O5)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110eには、リンク112eの一端が固定的に接続される。
ここで、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106の垂直方向の位置が変わる。よって、第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106と、患者の術部などの観察対象との距離を変えることが、可能となる。
リンク112eは、一辺が鉛直方向に延伸するとともに他辺が水平方向に延伸する略L字形状を有する第1の部材と、当該第1の部材の水平方向に延伸する部位から鉛直下向きに延伸する棒状の第2の部材とが、組み合わされて構成される部材である。リンク112eの第1の部材の鉛直方向に延伸する部位には、関節部110eが固定的に接続される。また、リンク112eの第2の部材には、関節部110fが接続される。
関節部110fは、略円柱形状を有し、リンク112eを、鉛直方向と平行な回転軸(第6軸O6)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110fには、リンク112fが固定的に接続される。
リンク112fは、略棒状の部材であり、鉛直方向に延伸される。リンク112fの一端は、関節部110fが接続される。また、リンク112fの他端(関節部110fが接続される側とは反対側の端)は、ベース102に固定的に接続される。
アーム104が上記に示す構成を有することによって、医療用観察装置100では、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現される。
なお、アーム104の構成は、上記に示す例に限られない。
例えば、アーム104の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれにおける回転を規制するブレーキが設けられていてもよい。本実施形態に係るブレーキとしては、例えば、機械的に駆動するブレーキや、電気的に駆動する電磁ブレーキなど、任意の方式のブレーキが挙げられる。
上記ブレーキの駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。上記ブレーキの駆動が制御されることにより、医療用観察装置100では、アーム104の動作モードが設定される。アーム104の動作モードとしては、例えば、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
ここで、本実施形態に係る固定モードとは、例えば、アーム104に設けられる各回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される動作モードである。アーム104が固定モードとなることによって、医療用観察装置100の動作状態は、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態となる。
また、本実施形態に係るフリーモードとは、上記ブレーキが解除されることにより、アーム104に設けられる各回転軸が自由に回転可能となる動作モードである。例えば、フリーモードでは、術者による直接的な操作によって撮像デバイス106の位置および姿勢を調整することが可能となる。ここで、本実施形態に係る直接的な操作とは、例えば、術者が手で撮像デバイス106を把持し、当該撮像デバイス106を直接移動させる操作のことを意味する。
[1−2−3]撮像デバイス106
撮像デバイス106は、アーム104により支持され、例えば患者の術部などの観察対象を撮像する。撮像デバイス106における撮像は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。
撮像デバイス106は、例えば電子撮像式の顕微鏡に対応する構成を有する。
図3は、本実施形態に係る医療用観察装置100が備える撮像デバイス106の構成の一例を説明するための説明図である。
撮像デバイス106は、例えば、撮像部材120と、略円筒形状を有する筒状部材122とを有し、撮像部材120は、筒状部材122内に設けられる。
筒状部材122の下端(図3における下側の端)の開口面には、例えば、撮像部材120を保護するためのカバーガラス(図示せず)が設けられる。
また、例えば筒状部材122の内部には光源(図示せず)が設けられ、撮像時には、当該光源からカバーガラス越しに被写体に対して照明光が照射される。照明光が照射された被写体からの反射光(観察光)が、カバーガラス(図示せず)を介して撮像部材120に入射することにより、撮像部材120によって被写体を示す画像信号(撮像画像を示す画像信号)が得られる。
撮像部材120としては、各種の公知の電子撮像式の顕微鏡部に用いられている構成を適用することが可能である。
一例を挙げると、撮像部材120は、例えば、光学系120aと、光学系120aを通過した光により観察対象の像を撮像する撮像素子を含むイメージセンサ120bとで構成される。光学系120aは、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される。イメージセンサ120bとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
撮像部材120は、1対の撮像素子を有する構成、すなわち、いわゆるステレオカメラとして機能する構成であってもよい。撮像部材120には、少なくともズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)を含む、AF(Auto Focus)機能などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能が搭載される。
また、撮像部材120は、例えば4K、8Kなどの、いわゆる高解像度での撮像が可能な構成であってもよい。撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、所定の解像度(例えば、Full HD画質など)を確保しつつ、例えば50インチ以上などの大画面の表示画面を有する表示装置200に画像を表示させることが可能となるので、当該表示画面を見る術者の視認性が向上する。また、撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、撮像画像が電子ズーム機能によって拡大されて表示装置200の表示画面に表示されたとしても、所定の解像度を確保することが可能となる。さらに、電子ズーム機能を用いて所定の解像度が確保される場合には、撮像デバイス106における光学ズーム機能の性能を抑えることが可能となるので、撮像デバイス106の光学系をより簡易にすることができ、撮像デバイス106をより小型に構成することができる。
撮像デバイス106には、例えば、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが設けられる。例えば図3では、ズームスイッチ124と、フォーカススイッチ126と、動作モード変更スイッチ128とが、撮像デバイス106に設けられている。なお、ズームスイッチ124、フォーカススイッチ126、および動作モード変更スイッチ128が設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。
ズームスイッチ124とフォーカススイッチ126とは、撮像デバイス106における撮像条件を調整するための操作デバイスの一例である。
ズームスイッチ124は、例えば、ズーム倍率(拡大倍率)を大きくするズームインスイッチ124aと、ズーム倍率を小さくするズームアウトスイッチ124bとで構成される。ズームスイッチ124に対する操作が行われることによりズーム倍率が調整されて、ズームが調整される。
フォーカススイッチ126は、例えば、観察対象(被写体)までの焦点距離を遠くする遠景フォーカススイッチ126aと、観察対象までの焦点距離を近くする近景フォーカススイッチ126bとで構成される。フォーカススイッチ126に対する操作が行われることにより焦点距離が調整されて、フォーカスが調整される。
動作モード変更スイッチ128は、撮像デバイス106におけるアーム104の動作モードを変更するための操作デバイスの一例である。動作モード変更スイッチ128に対する操作が行われることにより、アーム104の動作モードが変更される。アーム104の動作モードとしては、例えば上述したように、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
動作モード変更スイッチ128に対する操作の一例としては、動作モード変更スイッチ128を押下する操作が、挙げられる。例えば、術者が動作モード変更スイッチ128を押下している間、アーム104の動作モードがフリーモードとなり、術者が動作モード変更スイッチ128を押下していないときには、アーム104の動作モードが固定モードとなる。
また、撮像デバイス106には、各種操作デバイスに対する操作を行う操作者が操作を行う際の操作性や利便性などをより高めるために、例えば、滑り止め部材130と、突起部材132とが設けられる。
滑り止め部材130は、例えば操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、操作体の滑りを防止するために設けられる部材である。滑り止め部材130は、例えば、摩擦係数が大きい材料で形成され、凹凸などのより滑りにくい構造を有する。
突起部材132は、操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、当該操作体が光学系120aの視野を遮ってしまうことや、当該操作体で操作を行う際に、カバーガラス(図示せず)に当該操作体が触れることにより当該カバーガラスが汚れることなどを、防止するために設けられる部材である。
なお、滑り止め部材130および突起部材132それぞれが設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、撮像デバイス106には、滑り止め部材130と突起部材132との一方または双方が設けれられていなくてもよい。
撮像デバイス106における撮像により生成された画像信号(画像データ)は、例えば後述する制御部として機能するプロセッサにおいて、画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理としては、例えば、ガンマ補正、ホワイトバランスの調整、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、または、画素間補正などの各種処理のうちの、1または2以上の処理が、挙げられる。なお、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用観察装置100における各種動作を制御する制御装置(図示せず)を有する場合には、本実施形態に係る画像処理は、当該制御装置(図示せず)において行われてもよい。
医療用観察装置100は、例えば、表示制御信号と、上記のような画像処理が行われた画像信号とを、表示装置200に送信する。
表示制御信号と画像信号とが表示装置200に送信されることによって、表示装置200の表示画面には、観察対象が撮像された医療用撮像画像(例えば、術部が撮像された撮像画像)が、光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方によって所望の倍率に拡大または縮小されて表示される。
[1−2−4]センサ(センサ群)
センサ(センサ群)は、医療用観察装置100が備えるセンシングのためのデバイスである。
本実施形態に係るセンサとしては、例えば、TOF(Time of Flight)方式などの任意の方式で物体との間の距離を測定することが可能な、距離センサが挙げられる。
距離センサは、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に、1または2以上設けられ、滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離を測定する。1または2以上の距離センサは、例えば、滅菌領域に対応する部分の全周囲に存在する物体との距離が測定されるように配置される。なお、1または2以上の距離センサのセンシング範囲は、例えば、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定されうる。
ここで、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分としては、“撮像デバイス106とアーム104の少なくとも一部分とを含む部分”が、挙げられる。“撮像デバイス106とアーム104の少なくとも一部分とを含む部分”とは、例えば、“撮像デバイス106、およびアーム104全体”または、“撮像デバイス106、およびアーム104の一部”である。“撮像デバイス106、およびアーム104の一部”としては、例えば、“撮像デバイス106、およびアーム104のリンク112a、112bまでの部分”や、“撮像デバイス106、およびアーム104のリンク112a、112b、112cまでの部分”などが、挙げられる。
なお、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分は、上記に示す例に限られない。例えば、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分は、医療用観察装置100全体であってもよい。
上述したように、医療用観察装置100では、例えば、医療用滅菌カバーで覆われている部分が滅菌領域となる。医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分としては、医療用滅菌カバーで覆われる部分が、該当する。つまり、上記“撮像デバイス106とアーム104の少なくとも一部分とを含む部分”は、医療用滅菌カバーが医療用観察装置100を覆っている範囲によって、変わりうる。
また、上述したように、本実施形態に係る医療用観察装置は、光学式の医療用観察装置であってもよい。本実施形態に係る医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合には、少なくとも光学式の医療用観察装置において医療用滅菌カバーで覆われている部分が、光学式の医療用観察装置における滅菌領域に対応する部分となる。そして、本実施形態に係る医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合には、上記医療用滅菌カバーで覆われている部分の周辺に存在する物体との距離が測定されるように、距離センサを含む本実施形態に係るセンサ(センサ群)が、設けられる。
なお、本実施形態に係るセンサは、距離センサに限られない。
例えば、医療用観察装置100は、ひずみゲージなどの、接触したことを任意の方式で直接的に検出することが可能な接触センサであってもよい。また、本実施形態に係る接触センサは、例えば、加速度センサなどの動きセンサであってもよい。動きセンサが接触センサとして機能する場合、検出された動きによって接触したことが推定される。
接触センサは、例えば、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に、1または2以上設けられ、滅菌領域に対応する部分に対する物体の接触を検出する。なお、接触センサは、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に設けられることに限られず、滅菌領域に対応する部分に対する物体の接触を検出することが可能な、医療用観察装置100における任意の位置に設けられていてもよい。
図4は、本実施形態に係る医療用観察装置100に設けられるセンサ(センサ群)の一例を示す説明図であり、距離センサが医療用観察装置100に設けられている例を示している。図4では、医療用観察装置100における医療用滅菌カバーSCで覆われている部分、すなわち、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分を示している。
図4に示す医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分には、距離センサDS1、DS2、DS3、…という複数の距離センサが設けられる。距離センサそれぞれは、有線または無線で、後述する制御部として機能するプロセッサと接続され、当該プロセッサは、距離センサそれぞれから取得される検出結果に基づいて、後述する本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行う。
なお、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に設けられる距離センサの位置、および距離センサの数が、図4に示す例に限られないことは、言うまでもない。
図5は、本実施形態に係る医療用観察装置100に設けられるセンサ(センサ群)の他の例を示す説明図であり、距離センサおよびひずみゲージ(接触センサの一例。以下、同様とする。)が医療用観察装置100に設けられている例を示している。図5では、図4と同様に、医療用観察装置100における医療用滅菌カバーSCで覆われている部分、すなわち、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分を示している。
図5に示す医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分には、図4に示す例と同様に、距離センサDS1、DS2、DS3、…という複数の距離センサが設けられる。距離センサそれぞれは、図4に示す例と同様に、有線または無線で、後述する制御部として機能するプロセッサと接続される。
また、図5に示す医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分には、ひずみゲージSS1、SS2…という複数のひずみゲージが設けられる。ひずみゲージそれぞれは、有線または無線で、後述する制御部として機能するプロセッサと接続され、当該プロセッサは、ひずみゲージそれぞれから取得される検出結果に基づいて、後述する本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行う。
なお、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に設けられる距離センサの位置、および距離センサの数が、図5に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に設けられるひずみゲージの位置、およびひずみゲージの数が、図5に示す例に限られないことは、言うまでもない。さらに、上述したように、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に設けられる接触センサは、ひずみゲージに限られない。
医療用観察装置100は、例えば図1、図3〜図5を参照して示したハードウェア構成を有する。
なお、本実施形態に係る医療用観察装置のハードウェア構成は、図1、図3〜図5を参照して示した構成に限られない。
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、ベース102を備えず、手術室などの天井や壁面などにアーム104が直接取り付けられる構成であってもよい。例えば、天井にアーム104が取り付けられる場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104が天井から吊り下げられる構成となる。
また、図1では、アーム104が、撮像デバイス106の駆動に関して6自由度が実現されるように構成されている例を示しているが、アーム104の構成は、撮像デバイス106の駆動に関する自由度が6自由度となる構成に限られない。例えば、アーム104は、用途に応じて撮像デバイス106を適宜移動しうるように構成されればよく、関節部およびリンクの数や配置、関節部の駆動軸の方向などは、アーム104が所望の自由度を有するように適宜設定することが可能である。
また、図1、図3では、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが、撮像デバイス106に設けられる例を示しているが、図1、図3に示す操作デバイスのうちの一部または全部は、撮像デバイス106に設けられなくてもよい。一例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、本実施形態に係る医療用観察装置を構成する撮像デバイス106以外の他の部位に設けられていてもよい。また、他の例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、フットスイッチやリモートコントローラなどの、外部の操作デバイスであってもよい。
また、図4、図5に示す距離センサやひずみゲージなどのセンサ(センサ群)は、本実施形態に係る医療用観察装置とは別体のセンサ(センサ群)であってもよい。
次に、図1に示す医療用観察装置100を、機能ブロックを用いて説明する。図6は、本実施形態に係る医療用観察装置100の構成の一例を示す機能ブロック図である。
医療用観察装置100は、例えば、アーム部152と、撮像部154と、通信部156と、検出部158と、通知部160と、制御部162とを備える。
アーム部152は、アーム104で構成され、撮像部154を構成する撮像デバイス106を支持する。
撮像部154は、撮像デバイス106で構成され、観察対象を撮像する。撮像部154における撮像は、例えば制御部162によって制御される。
通信部156は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と無線または有線で通信を行う役目を果たす。通信部156は、例えば上述した通信デバイス(図示せず)で構成される。通信部156における通信は、例えば制御部162によって制御される。
検出部158は、医療用観察装置100が備える検出手段であり、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理に係る検出値を取得する。
検出部158は、例えば1または2以上の距離センサを含んで構成される。検出部158を構成する距離センサは、“滅菌領域に対応する部分と滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離”を示す検出値を取得する。
また、検出部158は、例えば、1または2以上の接触センサをさらに含んで構成されていてもよい。検出部158を構成する接触センサは、ひずみに応じて発生する電圧差(接触センサがひずみゲージである場合における検出値の一例)などの、接触に応じて発生する検出値を取得する。
通知部160は、医療用観察装置100が備える通知手段であり、本実施形態に係る状態通知方法に係る通知内容を外部に通知する。通知部160は、通知内容を通知する通知デバイスを含んで構成される。
本実施形態に係る状態通知方法に係る通知内容としては、例えば、“滅菌領域に対応する部分へ物体が接近している状態であること”と、“滅菌領域に対応する部分へ物体が接触した状態であること”との、一方または双方が、挙げられる。以下では、滅菌領域に対応する部分へ物体が接近している状態を、「接近状態」と示す。また、以下では、滅菌領域に対応する部分へ物体が接触した状態を、「接触状態」と示す。
通知部160は、例えば、視覚的な通知、聴覚的な通知、あるいは、これらの組み合わせによって、通知内容を通知する。
通知部160は、例えば、1または2以上のランプ(通知デバイスの一例)を含んで構成され、通知内容に対応するランプが点灯することによって、通知内容を視覚的に通知する。通知内容に対応するランプが点灯することによって、術者などの医療従事者は、通知内容を視覚的に認識することができる。
ランプが設けられる位置としては、例えば、アーム104部分や撮像デバイス106部分などが挙げられる。アーム104部分にランプが設けられる場合、ランプが設けられる位置は、滅菌領域に対応する部分であってもよいし、滅菌領域に対応する部分以外であってもよい。なお、ランプが設けられる位置が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
なお、通知部160を構成する通知内容を視覚的に通知するデバイスは、ランプに限られず、通知内容に対応する文字や画像(例えばアイコンなど)を表示させることが可能な、表示デバイス(通知デバイスの一例)であってもよい。表示デバイスが設けられる位置としては、例えばランプが設けられる位置と同様に、アーム104部分や撮像デバイス106部分などが挙げられる。
また、通知部160は、例えば、スピーカなどの音声出力デバイス(通知デバイスの一例)を含んで構成され、通知内容に対応する音声(音楽も含む)を音声出力デバイスから出力することによって、通知内容を聴覚的に通知する。通知内容に対応する音声が音声出力デバイスから出力されることによって、術者などの医療従事者は、通知内容を聴覚的に認識することができる。
音声出力デバイスは、例えば、医療用観察装置100における任意の位置に設けられうる。
通知部160における通知は、制御部162(より具体的には、後述する通知制御部)により制御される。
なお、通知部160における通知は、上記に示す例に限られない。例えば、通知部160は、術者などの医療従事者が知覚することが可能な任意の方法によって、通知内容を通知することが可能である。
制御部162は、例えば上述したプロセッサ(図示せず)で構成され、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部162は、後述する状態通知方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。なお、制御部162における状態通知方法に係る処理は、複数の処理回路(例えば、複数のプロセッサなど)で分散して行われてもよい。
より具体的には、制御部162は、例えば、撮像制御部170と、アーム制御部172と、表示制御部174と、判定部176と、通知制御部178とを有する。
撮像制御部170は、撮像部154を構成する撮像デバイス106を制御する。撮像デバイス106の制御としては、例えば、少なくともズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)の制御を含む、AF機能の制御などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能の制御が、挙げられる。
アーム制御部172は、アーム部152を構成するアーム104の駆動を制御する。アーム104の駆動の制御の一例としては、例えば、“関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれに対応するアクチュエータ(図示せず)に対して、駆動を制御する制御信号を印加すること”などが挙げられる。
表示制御部174は、例えば、表示制御信号と画像信号とを通信部156を構成する通信デバイス(図示せず)に伝達し、表示制御信号と画像信号とを表示装置200に対して送信させることによって、表示装置200における表示を制御する。なお、通信部156における通信の制御は、制御部162を構成する通信制御部(図示せず)により行われてもよい。
また、表示制御部174は、後述する通知制御部178として機能してもよい。通知制御部178として機能する場合、表示制御部174は、後述する判定部176と連携して表示装置200における表示を制御し、通知内容に対応する文字、画像、あるいはこれらの組み合わせを、表示装置200の表示画面に表示させる。つまり、通知制御部178として機能する場合、表示制御部174は、通知内容(例えば、接近状態であることと、接触状態であることとの一方または双方)を視覚的に通知させる役目を果たす。
判定部176は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理における、状態判定処理(後述する)を行う役目を果たし、“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”を、判定する。
判定部176が判定する“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”としては、例えば、接近状態が挙げられる。また、判定部176は、“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”として、接触状態をさらに判定してもよい。
判定部176における判定結果は、通知制御部178に伝達され、通知制御部178では、当該判定結果に対応する処理が行われる。また、表示制御部174が通知制御部178として機能する場合、判定部176における判定結果は、表示制御部174に伝達され、表示制御部174では、当該判定結果に基づいて、表示装置200における表示を制御する。
通知制御部178は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理における、通知制御処理(後述する)を行う役目を果たし、判定部176における判定結果に基づいて、判定結果に対応する通知内容を通知させる。
判定部176において接近状態が判定される場合、通知制御部178は、下記の(a)に示すように、接近状態であることを通知させる。また、判定部176において接近状態および接触状態が判定される場合、通知制御部178は、下記の(a)に示すように接近状態であることを通知させ、下記の(b)に示すように接触状態であることを通知させる。
(a)判定部176において接近状態が判定される場合における、通知制御部178の処理の一例
判定部176において接近状態が判定される場合、通知制御部178は、接近状態の判定結果に基づいて、接近状態であることを通知させる。
通知制御部178は、例えば、通知部160を構成する通知デバイスを制御することによって、接近状態であることを通知部160に通知させる。
一例を挙げると、通知制御部178は、通知部160を構成する“接近状態であることを点灯することにより示すランプ”(通知デバイスの一例)に対して当該ランプを点灯させるための信号を伝達することによって、当該ランプを点灯させて、接近状態であることを視覚的に通知させる。他の例を挙げると、通知制御部178は、通知部160を構成する音声出力デバイス(通知デバイスの一例)に対して、“接近状態であることを示す音声”を示す音声信号を伝達することによって、当該音声出力デバイスから“接近状態であることを示す音声”を出力させて、接近状態であることを聴覚的に通知させる。さらに、通知制御部178は、上記ランプを点灯させること、および上記音声出力デバイスから音声を出力させることによって、視覚的かつ聴覚的に接近状態であることを通知させてもよい。
また、通知制御部178は、例えば、表示装置200などの外部の表示デバイスや、外部の音声出力デバイスなどの、外部の通知デバイスを制御することによって、接近状態であることを外部の通知デバイスに通知させることも可能である。表示装置200などの外部の表示デバイスに、接近状態であることを通知させる場合、表示制御部174が、通知制御部178の役目を果たしてもよい。
一例を挙げると、通知制御部178は、表示制御信号と、“接近状態であることを示す文字、画像など”を示す画像信号とを、外部の表示デバイスに対して送信させることによって、外部の表示デバイスの表示画面に画像信号に対応する通知内容を表示させて、接近状態であることを視覚的に通知させる。他の例を挙げると、通知制御部178は、外部の音声出力デバイスに対して、“接近状態であることを示す音声”を示す音声信号を送信させることによって、当該外部の音声出力デバイスから“接近状態であることを示す音声”を出力させて、接近状態であることを聴覚的に通知させる。さらに、通知制御部178は、上記外部の表示デバイスの表示画面に表示させること、および上記外部の音声出力デバイスから音声を出力させることによって、視覚的かつ聴覚的に接近状態であることを通知させてもよい。
つまり、通知制御部178は、例えば、視覚的な方法と聴覚的な方法との一方または双方によって、接近状態であることを通知させる。なお、通知制御部178は、術者などの医療従事者が身に付けている振動デバイス(外部の通知デバイスの一例)を振動させることなど、医療従事者が知覚することが可能な任意の通知方法によって、接近状態であることを通知させることも可能である。
(b)判定部176において接近状態および接触状態が判定される場合における、通知制御部178の処理の一例
判定部176において接近状態が判定される場合、通知制御部178は、上記(a)に示すように、接近状態の判定結果に基づいて、接近状態であることを通知させる。また、判定部176において接触状態がさらに判定される場合、通知制御部178は、接触状態の判定結果に基づいて、接触状態であることをさらに通知させる。
通知制御部178は、例えば、通知部160を構成する通知デバイスを制御することによって、接触状態であることを通知部160に通知させる。
一例を挙げると、通知制御部178は、通知部160を構成する“接触状態であることを点灯することにより示すランプ”(通知デバイスの一例)に対して当該ランプを点灯させるための信号を伝達することによって、当該ランプを点灯させて、接触状態であることを視覚的に通知させる。他の例を挙げると、通知制御部178は、通知部160を構成する音声出力デバイス(通知デバイスの一例)に対して、“接触状態であることを示す音声”を示す音声信号を伝達することによって、当該音声出力デバイスから“接触状態であることを示す音声”を出力させて、接触状態であることを聴覚的に通知させる。さらに、通知制御部178は、上記ランプを点灯させること、および上記音声出力デバイスから音声を出力させることによって、視覚的かつ聴覚的に接触状態であることを通知させてもよい。
また、通知制御部178は、例えば、表示装置200などの外部の表示デバイスや、外部の音声出力デバイスなどの、外部の通知デバイスを制御することによって、接触状態であることを外部の通知デバイスに通知させることも可能である。表示装置200などの外部の表示デバイスに、接触状態であることを通知させる場合、表示制御部174が、通知制御部178の役目を果たしてもよい。
一例を挙げると、通知制御部178は、表示制御信号と、“接触状態であることを示す文字、画像など”を示す画像信号とを、外部の表示デバイスに対して送信させることによって、外部の表示デバイスの表示画面に画像信号に対応する通知内容を表示させて、接触状態であることを視覚的に通知させる。他の例を挙げると、通知制御部178は、外部の音声出力デバイスに対して、“接触状態であることを示す音声”を示す音声信号を送信させることによって、当該外部の音声出力デバイスから“接触状態であることを示す音声”を出力させて、接触状態であることを聴覚的に通知させる。さらに、通知制御部178は、上記外部の表示デバイスの表示画面に表示させること、および上記外部の音声出力デバイスから音声を出力させることによって、視覚的かつ聴覚的に接触状態であることを通知させてもよい。
つまり、通知制御部178は、例えば、視覚的な方法と聴覚的な方法との一方または双方によって、接触状態であることを通知させる。なお、通知制御部178は、術者などの医療従事者が身に付けている振動デバイス(外部の通知デバイスの一例)を振動させることなど、医療従事者が知覚することが可能な任意の通知方法によって、接触状態であることを通知させることも可能である。
制御部162は、例えば、判定部176および通知制御部178(または、表示制御部174、判定部176、および通知制御部178)を有することにより、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。また、制御部162は、例えば、撮像制御部170、アーム制御部172、および表示制御部174を有することによって、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。
なお、制御部162の構成は、図6に示す例に限られない。
例えば、制御部162は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の切り分け方に応じた構成など、医療用観察装置100が有する機能の切り分け方に応じた、任意の構成を有することが可能である。
医療用観察装置100は、例えば図6に示す構成によって、後述する本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行う。
なお、本実施形態に係る医療用観察装置の構成は、図6に示す構成に限られない。
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、図6に示す撮像制御部170、アーム制御部172、表示制御部174、判定部176、および通知制御部178のうちの1または2以上を、制御部162とは個別に備える(例えば、別の処理回路で実現する)ことができる。
また、本実施形態に係る医療用観察装置において本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を実現するための構成は、図6に示す構成に限られず、例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の切り分け方に応じた構成をとることが可能である。
また、本実施形態に係る医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、撮像部154を備えていなくてもよい。
また、例えば、通信部156と同様の機能、構成を有する外部の通信デバイスを介して外部装置と通信を行う場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、通信部156を備えていなくてもよい。
また、例えば、制御部162が、検出部158と同様の機能、構成を有する外部のセンサ(センサ群)の検出結果に基づいて状態判定処理(後述する)を行う場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、検出部158を備えていなくてもよい。
また、表示装置200などの外部の通知デバイスにより通知が行われる場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、通知部160を備えていなくてもよい。
また、本実施形態に係る医療用観察システムが、制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部162を備えていなくてもよい。
ここで、制御装置(図示せず)は、例えば、制御部162と同様の機能、構成を有する制御部を備えることによって、後述する本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行い、また、本実施形態に係る医療用観察装置が備えるアーム部152や撮像部154などの各構成要素における動作を制御する。制御装置(図示せず)は、備えている通信デバイス、または、接続されている外部の通信デバイスを介して、本実施形態に係る医療用観察装置と通信を行うことによって、本実施形態に係る医療用観察装置が備える各構成要素における動作を制御する。
さらに、本実施形態に係る医療用観察システムが、制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部162の一部の機能を有さない構成をとることも可能である。
[2]本実施形態に係る状態通知方法
次に、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理について、説明する。以下では、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を医療用観察装置100(より具体的には、例えば医療用観察装置100を構成する制御部162)が行う場合を例に挙げる。なお、上述したように、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理は、制御装置(図示せず)により行われてもよい。
[2−1]本実施形態に係る状態通知方法の概要
上述したように、医療従事者の顔や頭などの滅菌状態が確保されていない部位が、滅菌領域に触れてしまった場合、医療従事者は、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置を、新しい医療用滅菌カバーで覆い直す必要がある。そして、上述したように、新しい医療用滅菌カバーで覆い直す事態が生じると、手術効率の低下を招き、また、新しい医療用滅菌カバーが使用されることによって、コストの増大が懸念される。
そこで、医療用観察装置100は、“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”を、判定する(状態判定処理)。ここで、医療用観察装置100が判定する“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”としては、上述したように、接近状態(滅菌領域に対応する部分へ物体が接近している状態)が、挙げられる。また、上述したように、医療用観察装置100は、接触状態(滅菌領域に対応する部分へ物体が接触した状態)を判定してもよい。
そして、医療用観察装置100は、“滅菌領域に対応する部分と物体との関係に関する状態”の判定結果に対応する通知内容を通知させる(通知制御処理)。医療用観察装置100は、例えば上述したように、視覚的な通知、聴覚的な通知、あるいは、これらの組み合わせなどによって、通知内容を通知する。
本実施形態に係る状態通知方法に係る処理として、上記状態判定処理、および上記通知制御処理が行われることによって、術者などの医療従事者は、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に近づいていることを、認識することができる。よって、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理が行われることにより、手術中に、術者などの医療従事者が頭などの滅菌状態が確保されていない部位を、誤って医療用滅菌カバーに接触させてしまうことを、未然に抑止することができる。
したがって、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理が行われることによって、滅菌領域に医療従事者が触れることを未然に抑止することができる。
また、滅菌領域に医療従事者が触れることが未然に抑止されることにより、医療用観察装置100を新しい医療用滅菌カバーで覆い直す事態が生じることも抑止される。よって、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理が行われることによって、手術効率の低下が防止され、また、医療用滅菌カバーに係るコストの増大も防止される。
さらに、医療用観察装置100が、接触状態を判定して接触状態であることを通知する場合には、術者などの医療従事者は、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に接触してしまったことを、認識することができる。よって、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理が行われることによって、医療従事者が知らぬうちに医療用観察装置100が滅菌状態が確保されていない状態となることを、確実に防止することができる。
なお、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が、図1に示すような電子撮像式の医療用観察装置である場合、電子撮像式の医療用観察装置を用いるユーザ(例えば、術者や術者の助手などの医療従事者)は、光学式の医療用観察装置を用いる場合のように光学式の顕微鏡を構成する接眼レンズを覗き込む必要はないので、撮像デバイスの位置をより自由に移動させることが可能である。そのため、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が電子撮像式の医療用観察装置である場合には、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合よりも、医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が、滅菌領域に触れてしまう可能性がより高いと考えられる。
上述したように、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理が行われる場合には、術者などの医療従事者は、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に近づいていることと、医療用観察装置100における滅菌領域に対応する部分に接触してしまったこととをそれぞれ認識することが可能である。よって、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が、図1に示すような電子撮像式の医療用観察装置である場合であっても、手術中に、術者などの医療従事者が頭などの滅菌状態が確保されていない部位を、誤って医療用滅菌カバーに接触させてしまうことを、未然に抑止することができる。また、仮に、医療従事者が誤って医療用滅菌カバーに接触させてしまった場合であっても、医療従事者が知らぬうちに医療用観察装置100が滅菌状態が確保されていない状態となることを、確実に防止することができる。
[2−2]本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の一例
次に、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理について、より具体的に説明する。
[2−2−1]状態通知方法に係る処理の第1の例:接近状態であることを通知する場合における処理
(1)状態判定処理
医療用観察装置100は、“滅菌領域に対応する部分と滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離”に基づいて、接近状態であるかを判定する。医療用観察装置100では、例えば判定部176により状態判定処理が行われる。以下では、接近状態であるかを判定する処理を「接近状態を判定する処理」と示す場合がある。
医療用観察装置100は、例えば、図4に示す距離センサDS1、DS2、DS3、…のような、複数の距離センサそれぞれから得られる検出結果から、“滅菌領域に対応する部分と滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離”を特定する。距離の特定に係る演算は、距離センサで行われてもよいし、制御部162として機能するプロセッサ(図示せず)で行われてもよい。以下では、“滅菌領域に対応する部分と滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離”を、単に「物体との距離」と示す場合がある。
医療用観察装置100は、特定された物体との距離と、設定されている第1の閾値とを比較することによって、接近状態であるかを判定する。設定されている第1の閾値は、例えば50[mm]などの予め設定されている固定値であってもよいし、医療従事者などの医療用観察システム1000を利用する者の操作などに基づいて変更可能な可変値であってもよい。
医療用観察装置100は、物体との距離が設定されている第1の閾値以下の場合(または、当該距離が当該第1の閾値よりも小さい場合)に、接近状態であると判定する。また、医療用観察装置100は、物体との距離が設定されている第1の閾値より大きい場合(または、当該距離が当該第1の閾値以上である場合)には、接近状態であると判定しない。
また、医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100の動作状態に基づいて、接近状態を判定する処理を行ってもよい。
後述するように、医療用観察装置100は、接近状態であると判定された場合に接近状態であることを通知させる。つまり、“医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態に基づいて接近状態を判定する処理を行うかを判定すること”は、“医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態に基づいて通知を行う状態であるかを判定すること”に該当する。
一例を挙げると、医療用観察装置100は、医療用観察装置100の動作状態が撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態である場合に、接近状態を判定する処理を行う。医療用観察装置100は、例えば、アーム104の動作モードが固定モードである場合に、動作状態が固定状態であるとして、接近状態を判定する処理を行う。
また、医療用観察装置100は、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合には、接近状態を判定する処理を行わない。医療用観察装置100は、例えば、アーム104の動作モードがフリーモードである場合など、アーム104の動作モードが固定モード以外の動作モードである場合に、動作状態が固定状態でないとして、接近状態を判定する処理を行わない。
ここで、アーム104の動作モードがフリーモードである場合など、アーム104の動作モードが固定モード以外の動作モードである場合、術者などの医療従事者が、意図的に医療用観察装置100に触れて操作を行う可能性が高い。また、医療従事者が意図的に医療用観察装置100に触れようとする際に、接近状態が通知されると、医療従事者が接近状態の通知を煩わしく感じてしまう恐れがある。
上記のように、医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合に接近状態を判定する処理を行わないことによって、医療従事者が意図的に医療用観察装置100に触れようとするときに接近状態が通知されてしまうことが、防止される。よって、医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合に接近状態を判定する処理を行わないことによって、医療従事者の利便性の向上を図ることができる。
(2)通知制御処理
医療用観察装置100は、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理における接近状態の判定結果に基づいて、接近状態であることを通知させる。医療用観察装置100では、例えば通知制御部178(または、表示制御処理部174)により通知制御処理が行われる。
医療用観察装置100は、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理において接近状態であると判定された場合に、接近状態であることを通知させる。また、医療用観察装置100は、例えば、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理において接近状態であると判定されない場合には、何らの通知も行わせない。なお、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理において接近状態であると判定されない場合に、医療用観察装置100が接近状態でないことを示す通知を行うことが可能であることは、言うまでもない。
医療用観察装置100は、例えば、通知部160を構成する通知デバイスと、表示装置200などの外部の通知デバイスとの一方または双方を制御することによって、接近状態であることを、視覚的に、聴覚的に、あるいはこれらの組み合わせなどによって、通知させる。なお、医療用観察装置100は、術者などの医療従事者が身に付けている振動デバイス(外部の通知デバイスの一例)を振動させることなど、医療従事者が知覚することが可能な任意の通知方法によって、接近状態であることを通知させることも可能である。
図7は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の一例を説明するための説明図であり、接近状態であることが視覚的に通知された例を示している。
医療用観察装置100は、例えば図7に示すように、接近状態であることを示す通知オブジェクトAOを、表示装置200の表示画面に表示させることによって、接近状態であることを通知させる。
なお、接近状態であることを視覚的に通知させる例は、図7に示す例に限られない。例えば、上述したように、医療用観察装置100は、接近状態であることを示すアイコン(画像の一例)を表示させることや、接近状態であることを点灯することにより示すランプを点灯させることなどによって、接近状態であることを通知させることが可能である。
医療用観察装置100は、例えば上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理、および上記(2)に示す第1の例に係る通知制御処理を行うことによって、接近状態であることを判定し、接近状態であることを通知させる。
次に、第1の例に係る状態通知方法に係る処理の一例を説明する。図8は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の一例を示す流れ図であり、医療用観察装置100が、接近状態であることを通知する場合における処理の一例を示している。
医療用観察装置100は、通知を行う状態であるか否かを判定する(S100)。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100の動作状態が固定状態である場合に、通知を行う状態であると判定する。上述したように、ステップS100の処理は、医療用観察装置100が医療用観察装置100の動作状態に基づいて接近状態を判定する処理を行うかを判定する処理に、該当する。
ステップS100において通知を行う状態であると判定されない場合、医療用観察装置100は、通知を行う状態であると判定されるまで処理を進めない。
また、ステップS100において通知を行う状態であると判定された場合、医療用観察装置100は、物体との距離を取得する(S102)。ここで、ステップS102における物体との距離の取得には、“1または2以上の距離センサが定期的/非定期的に検出している距離の検出結果のうち、直近に検出された検出結果に基づいて距離を得ること”(受動的な距離の取得の一例)と、“制御部162として機能するプロセッサ(図示せず)などが1または2以上の距離センサを動作させ、その結果得られた検出結果に基づいて距離を得ること”(能動的な距離の取得の一例)とが、含まれる。また、上述したように、距離の特定に係る演算は、距離センサで行われてもよいし、制御部162として機能するプロセッサ(図示せず)で行われてもよい。
医療用観察装置100は、ステップS102において取得された距離が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する(S104)。なお、ステップS104において、医療用観察装置100は、ステップS102において取得された距離が第1の閾値以上であるか否かを判定してもよい。
ステップS104において取得された距離が第1の閾値よりも大きいと判定された場合、医療用観察装置100は、ステップS100からの処理を繰り返す。
また、ステップS104において取得された距離が第1の閾値よりも大きいと判定されない場合、医療用観察装置100は、通知部160を構成する通知デバイスと、表示装置200などの外部の通知デバイスとの一方または双方を制御することによって、接近状態であることを通知する(S106)。
接近状態であることを通知する場合、医療用観察装置100は、例えば図8に示す処理を行う。なお、接近状態であることを通知する場合における処理が、図8に示す例に限られないことは、言うまでもない。
[2−2−2]状態通知方法に係る処理の第2の例:接近状態であること、および接触状態であることを通知する場合における処理
(I)状態判定処理
医療用観察装置100は、接近状態であることと、接触状態であることとをそれぞれ判定する。つまり、第2の例に係る状態判定処理では、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理に加えて、接触状態であるかがさらに判定される。医療用観察装置100では、例えば判定部176により状態判定処理が行われる。
医療用観察装置100は、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理と同様に、物体との距離に基づいて、接近状態であるかを判定する。また、医療用観察装置100は、上記(1)に示す第1の例に係る状態判定処理と同様に、医療用観察装置100の動作状態に基づいて、接近状態を判定する処理を行ってもよい。
また、医療用観察装置100は、例えば、図5に示すひずみゲージSS1、SS2…のような、滅菌領域に対応する部分に設けられる、1または2以上の接触センサの検出結果に基づいて、接触状態を判定する。
医療用観察装置100は、接触センサの検出結果が示す検出値と、設定されている第2の閾値とを比較することによって、接触状態であるかを判定する。接触センサの検出結果が示す検出値としては、例えば、ひずみに応じて発生する電圧差(接触センサがひずみゲージである場合における検出値の一例)や、加速度(接触センサが加速度センサである場合における検出値の一例)などが、挙げられる。設定されている第2の閾値は、予め設定されている固定値であってもよいし、医療従事者などの医療用観察システム1000を利用する者の操作などに基づいて変更可能な可変値であってもよい。
医療用観察装置100は、接触センサの検出結果が示す検出値が設定されている第2の閾値より大きい場合(または、当該検出値が当該第2の閾値以上の場合)に、接触状態であると判定する。また、医療用観察装置100は、接触センサの検出結果が示す検出値が設定されている第2の閾値以下の場合(または、当該検出値が当該第2の閾値より小さい場合)には、接触状態であると判定しない。
また、医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100の動作状態に基づいて、接触状態を判定する処理を行ってもよい。
後述するように、医療用観察装置100は、接触状態であると判定された場合に接触状態であることを通知させる。つまり、“医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態に基づいて接触状態を判定する処理を行うかを判定すること”は、“医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態に基づいて通知を行う状態であるかを判定すること”に該当する。
一例を挙げると、医療用観察装置100は、医療用観察装置100の動作状態が固定状態である場合に、接触状態を判定する処理を行う。医療用観察装置100は、例えば、アーム104の動作モードが固定モードである場合に、動作状態が固定状態であるとして、接触状態を判定する処理を行う。
また、医療用観察装置100は、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合には、接触状態を判定する処理を行わない。医療用観察装置100は、例えば、アーム104の動作モードがフリーモードである場合など、アーム104の動作モードが固定モード以外の動作モードである場合に、接触状態を判定する処理を行わない。
上述したように、アーム104の動作モードが固定モード以外の動作モードである場合、術者などの医療従事者が、意図的に医療用観察装置100に触れて操作を行う可能性が高い。また、医療従事者が意図的に医療用観察装置100に触れようとする際に、接触状態が通知されると、医療従事者が接触状態の通知を煩わしく感じてしまう恐れがある。
上記のように、医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合に接触状態を判定する処理を行わないことによって、医療従事者が意図的に医療用観察装置100に触れようとするときに接触状態が通知されてしまうことが、防止される。よって、医療用観察装置100が、医療用観察装置100の動作状態が固定状態でない場合に接触状態を判定する処理を行わないことによって、医療従事者の利便性の向上を図ることができる。
(II)通知制御処理
医療用観察装置100は、接近状態であることと、接触状態であることとを、それぞれ通知させる。つまり、第2の例に係る状態判定処理では、上記(2)に示す第1の例に係る通知制御処理に加えて、接近状態であることを通知させる。医療用観察装置100では、例えば通知制御部178(または、表示制御処理部174)により通知制御処理が行われる。
医療用観察装置100は、上記(2)に示す第1の例に係る通知制御処理と同様に、上記(I)に示す第2の例に係る状態判定処理における接近状態の判定結果に基づいて、接近状態であることを通知させる。
医療用観察装置100は、上記(I)に示す第2の例に係る状態判定処理において接触状態であると判定された場合に、接触状態であることを通知させる。また、医療用観察装置100は、例えば、上記(I)に示す第2の例に係る状態判定処理において接触状態であると判定されない場合には、何らの通知も行わせない。なお、上記(I)に示す第2の例に係る状態判定処理において接触状態であると判定されない場合に、医療用観察装置100が接触状態でないことを示す通知を行うことが可能であることは、言うまでもない。
医療用観察装置100は、例えば、通知部160を構成する通知デバイスと、表示装置200などの外部の通知デバイスとの一方または双方を制御することによって、接触状態であることを、視覚的に、聴覚的に、あるいはこれらの組み合わせなどによって、通知させる。なお、医療用観察装置100は、術者などの医療従事者が身に付けている振動デバイス(外部の通知デバイスの一例)を振動させることなど、医療従事者が認識することが可能な任意の通知方法によって、接触状態であることを通知させることも可能である。例えば、接近状態であることと接触状態であることとをそれぞれ振動により触覚的に通知する場合、医療用観察装置100は、振動のさせ方を変える。
図9は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の他の例を説明するための説明図であり、接触状態であることが視覚的に通知された例を示している。
医療用観察装置100は、例えば図9に示すように、接触状態であることを示す通知オブジェクトAOを、表示装置200の表示画面に表示させることによって、接触状態であることを通知させる。
なお、接触状態であることを視覚的に通知させる例は、図9に示す例に限られない。
例えば、上述したように、医療用観察装置100は、接触状態であることを示すアイコン(画像の一例)を表示させることや、接触状態であることを点灯することにより示すランプを点灯させることなどによって、接触状態であることを通知させることが可能である。
また、接触状態であることを視覚的に通知させる場合、医療用観察装置100は、物体が接触した滅菌領域に対応する部分を、視覚的に通知してもよい。医療用観察装置100は、例えば、“医療用観察装置100の3Dモデル上において、物体が接触した滅菌領域に対応する部分に色を付すこと”などによって、物体が接触した滅菌領域に対応する部分を、視覚的に通知する。物体が接触した滅菌領域に対応する部分は、例えば、接触状態であると判定された際に用いられた検出値に対応する接触センサが設けられている位置によって、推定される。
医療用観察装置100は、例えば上記(I)に示す第2の例に係る状態判定処理、および上記(II)に示す第2の例に係る通知制御処理を行うことによって、接近状態であることおよび接触状態であることをそれぞれ判定し、判定された状態を通知させる。
次に、第2の例に係る状態通知方法に係る処理の一例を説明する。
接近状態であることを通知する場合、医療用観察装置100は、例えば図8に示す処理を行う。
図10は、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理の他の例を示す流れ図であり、医療用観察装置100が、接触状態であることを通知する場合における処理の一例を示している。図10では、接触センサがひずみゲージである場合における処理の一例を示している。
医療用観察装置100は、図8に示すステップS100と同様に、通知を行う状態であるか否かを判定する(S200)。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100の動作状態が固定状態である場合に、通知を行う状態であると判定する。上述したように、ステップS200の処理は、医療用観察装置100が医療用観察装置100の動作状態に基づいて接触状態を判定する処理を行うかを判定する処理に、該当する。
ステップS200において通知を行う状態であると判定されない場合、医療用観察装置100は、通知を行う状態であると判定されるまで処理を進めない。
また、ステップS200において通知を行う状態であると判定された場合、医療用観察装置100は、ひずみの検出値を取得する(S202)。ここで、ステップS202におけるひずみの検出値の取得には、例えば、1または2以上のひずみゲージが常時検出しているひずみの検出結果を示す検出値のうち、直近に検出された検出値を得ること”(受動的なひずみの検出値の取得の一例)と、“制御部162として機能するプロセッサ(図示せず)などが1または2以上のひずみゲージを動作させ、その結果得られた検出結果を示す検出値を得ること”(能動的なひずみの検出値の取得の一例)とが、含まれる。
医療用観察装置100は、ステップS202において取得されたひずみの検出値が第2の閾値よりも大きいか否かを判定する(S204)。なお、ステップS204において、医療用観察装置100は、ステップS202において取得されたひずみの検出値が第2の閾値以上であるか否かを判定してもよい。
ステップS204において取得されたひずみの検出値が第2の閾値よりも大きいと判定されない場合、医療用観察装置100は、ステップS200からの処理を繰り返す。
また、ステップS204において取得されたひずみの検出値が第2の閾値よりも大きいと判定された場合、医療用観察装置100は、通知部160を構成する通知デバイスと、表示装置200などの外部の通知デバイスとの一方または双方を制御することによって、接触状態であることを通知する(S206)。
接触状態であることを通知する場合、医療用観察装置100は、例えば図10に示す処理を行う。なお、接触状態であることを通知する場合における処理が、図10に示す例に限られないことは、言うまでもない。
[2−2−3]状態通知方法に係る処理の第3の例:接触状態であることを通知する場合における処理
なお、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理は、上記[2−2−1]に示す第1の例に係る処理と、上記[2−2−2]に示す第2の例に係る処理とに限られない。例えば、医療用観察装置100は、接触状態であることを判定し、判定された接触状態を通知させてもよい。
(本実施形態に係るプログラム)
コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る制御装置)として機能させるためのプログラム(例えば、状態判定処理、および通知制御処理など、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を実行することが可能なプログラム)が、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、滅菌領域に医療従事者が触れることを未然に抑止することができる。ここで、本実施形態に係るコンピュータシステムとしては、単体のコンピュータ、または、複数のコンピュータが挙げられる。本実施形態に係るコンピュータシステムによって、本実施形態に係る状態通知方法に係る一連の処理が行われる。
また、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る制御装置)として機能させるためのプログラムが、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る状態通知方法に係る処理によって実現される表示によって奏される効果を、奏することができる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も、併せて提供することができる。
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
滅菌領域に対応する部分と前記滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離に基づいて、前記滅菌領域に対応する部分へ物体が接近している接近状態であるかを判定する判定部と、
前記接近状態の判定結果に基づいて、前記接近状態であることを通知させる通知制御部と、
を備える、医療用観察装置。
(2)
観察対象を撮像する撮像デバイスを含む撮像部を備え、
前記撮像デバイスは、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームにより支持され、
前記滅菌領域に対応する部分は、前記撮像デバイスと前記アームの少なくとも一部分とを含む部分である、(1)に記載の医療用観察装置。
(3)
前記判定部は、前記医療用観察装置の動作状態に基づいて、前記接近状態を判定する処理を行う、(2)に記載の医療用観察装置。
(4)
前記判定部は、
前記医療用観察装置の動作状態が、前記撮像デバイスの位置および姿勢が固定される固定状態である場合に、前記接近状態を判定する処理を行い、
前記医療用観察装置の動作状態が、前記固定状態でない場合には、前記接近状態を判定する処理を行わない、(3)に記載の医療用観察装置。
(5)
前記滅菌領域に対応する部分は、医療用滅菌カバーで覆われる部分である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(6)
前記判定部は、前記距離が設定されている第1の閾値以下の場合、または、前記距離が前記第1の閾値よりも小さい場合に、前記接近状態であると判定する、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(7)
前記距離は、前記滅菌領域に対応する部分に設けられる、1または2以上の距離センサにより検出される、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(8)
前記通知制御部は、前記接近状態であることを視覚的に通知させる、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(9)
前記通知制御部は、前記接近状態であることを聴覚的に通知させる、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(10)
前記判定部は、前記滅菌領域に対応する部分に設けられる、1または2以上の接触センサの検出結果に基づいて、前記滅菌領域に対応する部分へ物体が接触した接触状態をさらに判定し、
前記通知制御部は、前記接触状態の判定結果に基づいて、前記接触状態であることをさらに通知させる、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(11)
前記判定部は、前記医療用観察装置の動作状態に基づいて、前記接触状態を判定する処理を行う、(10)に記載の医療用観察装置。
(12)
前記判定部は、前記接触センサの検出結果が示す検出値が設定されている第2の閾値より大きい場合、または、前記検出値が前記第2の閾値以上である場合に、前記接触状態であると判定する、(10)または(11)に記載の医療用観察装置。
(13)
前記通知制御部は、前記接触状態であることを視覚的に通知させる、(10)〜(12)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(14)
前記通知制御部は、前記接触状態であることを聴覚的に通知させる、(10)〜(13)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(15)
通知内容を通知する通知デバイスを含む通知部をさらに備える、(1)〜(14)のいずれか1つに記載の医療用観察装置。
(16)
滅菌領域に対応する部分と前記滅菌領域に対応する部分の周辺に存在する物体との距離に基づいて、前記滅菌領域に対応する部分へ物体が接近している接近状態であるかを判定するステップと、
前記接近状態の判定結果に基づいて、前記接近状態であることを通知させるステップと、
を有する、医療用観察装置により実行される状態通知方法。