JP2018173724A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性と利便性とを両立しながらリスクを低減する。
【解決手段】実施形態による車両制御装置は、たとえば、車両の故障に関する故障情報を取得する故障情報取得部と、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、車両の走行中に取得される故障情報および環境情報に基づいて、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出するリスク算出部と、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する制限処理部と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】実施形態による車両制御装置は、たとえば、車両の故障に関する故障情報を取得する故障情報取得部と、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、車両の走行中に取得される故障情報および環境情報に基づいて、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出するリスク算出部と、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する制限処理部と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、車両制御装置に関する。
従来、特許文献1に示されるように車両の故障や車両の周辺の情報などを検出することで、自動運転中の車両に発生しうるリスクを判定する技術が知られている。また、特許文献2には、運転者の状態にリスクがあると判定された場合、当該リスクのレベルに関わらず、車両を(緊急で)停止させるように制御することで、安全性を確保することが示されており、特許文献3には、故障発生時に車両を停止させて自動運転操行を終了することが示されている。
しかしながら、故障などによるリスクがあると判定された場合に一律で車両を停止させると、十分に走行を継続することが可能な車両まで停止させることになるため、利便性が損なわれることがある。
そこで、実施形態の課題の一つは、安全性と利便性とを両立しながらリスクを低減することが可能な車両制御装置を提供することである。
実施形態による車両制御装置は、たとえば、車両の故障に関する故障情報を取得する故障情報取得部と、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、車両の走行中に取得される故障情報および環境情報に基づいて、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出するリスク算出部と、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する制限処理部と、を備える。これにより、リスクがあると判定された場合でも、一律で車両を停止させることなく、リスクのレベルに応じて車両の走行が継続されうるので、安全性と利便性とを両立しながらリスクを低減することができる。
上記の車両制御装置において、たとえば、制限処理部は、リスクのレベルが低い程小さい制限度合で制限を実施する。これにより、リスクのレベルに応じて必要最小限の制限度合で制限を実行することができる。
また、上記の車両制御装置において、たとえば、リスク算出部は、故障情報に基づいて特定される、車両が故障を抱えたままで発揮可能な走行性能の限界に基づいて、リスクを算出する。これにより、車両が故障を抱えたままで発揮可能な走行性能の限界を考慮して、より正確にリスクを算出することができる。
また、上記の車両制御装置において、たとえば、リスク算出部は、環境情報に基づいて特定される、車両の危険につながる特定の状況が外部の環境に起因して発生する確率に基づいて、リスクを算出する。これにより、車両の危険につながる特定の状況が外部の環境に起因して発生する確率を考慮して、より正確にリスクを算出することができる。
また、上記の車両制御装置は、たとえば、車両が走行を継続する場合に発生しうる全てのリスクと、当該全てのリスクのレベルと、の関係が登録されたリスクレベルマップと、リスクレベルマップを用いて、リスク算出部により算出されたリスクのレベルが所定のレベル以下であるか否かを判定するリスク判定部と、をさらに備え、制限処理部は、リスク判定部の判定結果に基づいて、リスクのレベルが所定のレベル以下になるように制限を実施する。これにより、リスクレベルマップを用いて、制限の実施の必要性を容易に判定し、必要な制限を容易に実施することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
まず、実施形態の構成について説明する。
図1は、実施形態による車両制御装置10を含む車両の概略的構成を示した例示的なブロック図である。実施形態による車両制御装置10は、ブレーキ機構やトランスミッション、ステアリング機構などといった、車両の走行に関する機構を統括的に制御することで、車両の自動運転を実現する。車両制御装置10は、たとえば、プロセッサやメモリなどといった通常のコンピュータと同様のハードウェアを備えたECU(Electronic Control Unit)として実現される。
図1に示されるように、車両制御装置10は、アクチュエータ20と、走行状態センサ51と、外部センサ52と、に接続されている。これにより、車両制御装置10は、走行状態センサ51や外部センサ52などといったセンサ群の出力値に基づいてアクチュエータ20を制御することで、車両の挙動を制御する。アクチュエータ20は、上述したブレーキ機構などといった車両の走行に関する機構を駆動する駆動部である。また、走行状態センサ51は、車両の走行状態を検出するセンサであり、外部センサ52は、車両の外部の環境に関する環境情報を検出するセンサである。
なお、以下では、走行状態センサ51が検出する走行状態には、車両の現在の速度や加速度などが含まれるものとする。つまり、走行状態センサ51は、車輪速センサや加速度センサなどを含むものとする。また、外部センサ52が検出する環境情報には、先行車両や並走車両、障害物の有無などといった周囲の状況や、渋滞の有無などの交通情報、天候などが含まれるものとする。つまり、外部センサ52は、カメラやミリ波レーダなどで得たデータを統合的に処理するいわゆるセンサフュージョンに対応したセンサや、クラウドやVICS(Vehicle Information and Communication System)、V2X(Vehicle to Everything)に対応した通信システムなどを含むものとする。
ところで、従来、車両の故障や車両の周辺の情報などを検出することで、自動運転中の車両に発生しうるリスクを判定する技術が知られている。このような従来の技術では、リスクがあると判定された場合、当該リスクのレベルに関わらず、車両を(緊急で)停止させるように制御することで、安全性を確保することが一般的であった。
しかしながら、リスクがあると判定された場合に一律で車両を停止させると、十分に走行を継続することが可能な車両まで停止させることになるため、利便性が損なわれることがある。
そこで、実施形態は、車両制御装置10を以下のように構成し、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、自動運転中に算出されるリスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施することで、安全性と利便性とを両立する。以下では、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、走行制限という表現を用いて記載する。走行制限には、ブレーキ機構の制御による減速または停止や、トランスミッションの制御による速度制限、ステアリング機構の制御による退避走行などが含まれる。
図2は、実施形態による車両制御装置10の機能的構成を示した例示的なブロック図である。図2に示される機能的構成は、たとえば、車両制御装置10のプロセッサがメモリに格納されたソフトウェア(プログラム)を実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図2に示される機能的構成の一部または全部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
図2に示されるように、車両制御装置10は、機能的構成として、故障情報取得部101と、環境情報取得部102と、走行状態取得部103と、性能限界算出部104と、性能限界マップ105と、暴露率算出部106と、暴露率マップ107と、リスク算出部108と、重大度マップ109と、リスク判定部110と、リスクレベルマップ111と、制限処理部112と、を備える。
故障情報取得部101は、アクチュエータ20との間の信号の送受信の不調などを検出することで、車両の故障に関する故障情報を取得する。また、環境情報取得部102は、外部センサ52の出力値に基づいて、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する。また、走行状態取得部103は、走行状態センサ51の出力値に基づいて、車両の走行状態を取得する。
性能限界算出部104は、故障情報取得部101により取得される故障情報と、性能限界マップ105と、に基づいて、車両が故障を抱えたままで発揮可能な走行性能の限界である性能限界を算出(特定)する。性能限界マップ105は、故障情報と、性能限界と、が対応付けて登録されたマップである。一般に、車両の故障の態様(部位、種類)は多岐にわたるため、実施形態では、様々な故障の態様に対応した性能限界が予め算出され、それらの情報が対応付けられた状態で性能限界マップ105に予め登録されているものとする。なお、実施形態では、性能限界算出部104が、性能限界マップ105を使用することなく、故障情報に対応した性能限界をリアルタイムで算出するように構成されていてもよい。
暴露率算出部106は、環境情報取得部102により取得される環境情報と、暴露率マップ107と、に基づいて、車両の危険につながる特定の状況が外部の環境に起因して発生する確率(頻度)である暴露率を算出(特定)する。車両の危険につながる特定の状況の例としては、たとえば、先行車両が減速する状況と、並走車両が割り込んでくる状況と、が挙げられる。前者の状況は、先行車両との衝突という危険につながり、後者の状況は、並走車両との衝突という危険につながる。なお、ここで例示した2種類の状況以外にも、車両の危険につながる特定の状況が存在しうることは、言うまでもない。たとえば、渋滞に接近しようとしている状況では、その渋滞の最後尾の車両との衝突が想定されるので、この状況も、車両の危険につながる特定の状況として含まれうる。
暴露率マップ107は、車両の危険につながる特定の状況を所定の基準でさらに細かく分類した複数の状況の発生頻度(暴露率)が登録されたマップである。以下では、暴露率マップ107の例として、先行車両が減速する状況の暴露率を先行車両の減速度別に分類した暴露率マップ107aと、並走車両が割り込んでくる状況の暴露率を並走車両の相対速度別に分類した暴露率マップ107bと、について説明する。なお、前述の通り、車両の危険につながる特定の状況は、ここで例示した2種類の状況以外にも様々に存在しうるので、以下で説明する暴露率マップ107aおよび107b以外にも暴露率マップ107が存在しうることは、言うまでもない。
図3は、実施形態において用いられうる、先行車両が減速する状況の暴露率を先行車両の減速度別に分類した暴露率マップ107aの一例を示した例示的な図である。図3に示される暴露率マップ107aには、先行車両がg1未満の減速度で減速する状況の暴露率がE4、先行車両がg1以上g2未満の減速度で減速する状況の暴露率がE3、先行車両がg2以上g3未満の減速度で減速する状況の暴露率がE2、先行車両がg3以上の減速度で減速する状況の暴露率がE1であることが登録されている(ただし、g1<g2<g3とする)。暴露率算出部106は、環境情報に基づいて先行車両が存在すると判定した場合、暴露率マップ107aを参照することで、先行車両が減速する確率を算出(特定)する。
なお、上述したE1〜E4という暴露率の分類は、自動車用の機能安全規格ISO26262で定義されているASIL(Automotive Safety Integrity Level)という指標に沿ったものである。ASILでは、E1は「可能性が非常に低い」、E2は「可能性が低い」、E3は「可能性が中程度」、E4は「可能性が高い」として定義されている。なお、ASILでは、「可能性なし」に対応したE0という分類も存在するが、図3の例では、簡単化のため、E0に関する図示が省略されている。
また、図4は、実施形態において用いられうる、並走車両が割り込んでくる状況の暴露率を並走車両の相対速度別に分類した暴露率マップ107bの一例を示した例示的な図である。図4に示される暴露率マップ107bには、並走車両がv1未満の相対速度で割りこんでくる状況の暴露率がE4、並走車両がv1以上v2未満の相対速度で割り込んでくる状況の暴露率がE3、並走車両がv2以上v3未満の相対速度で割り込んでくる状況の暴露率がE2、並走車両がv3以上の相対速度で割り込んでくる状況の暴露率がE1であることが登録されている(ただし、v1<v2<v3とする)。暴露率算出部106は、環境情報に基づいて並走車両が存在すると判定した場合、暴露率マップ107bを参照することで、並走車両が割り込んでくる確率を算出(特定)する。
なお、上記では、図3および図4に示されるような暴露率マップ107を用いて、車両の危険につながる特定の状況の暴露率を特定する技術を例示した。しかしながら、実施形態では、暴露率マップ107を用いることなく、環境情報に対応した暴露率をリアルタイムで算出する技術が用いられてよいし、環境情報に対応した暴露率を通信によって外部から取得する技術が用いられてもよい。
図2に戻り、リスク算出部108は、性能限界算出部104により算出された性能限界と、暴露率算出部106により算出された暴露率と、重大度マップ109と、に基づいて、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出する。重大度マップ109とは、上述した特定の状況に起因して車両に発生しうる危険の重大度が登録されたマップである。なお、上述した性能限界および暴露率と同様、実施形態では、重大度マップ109を用いることなく、重大度をリアルタイムで算出する技術が用いられてもよい。以下、重大度マップ109の例として、先行車両または並走車両との衝突という危険の重大度を衝突速度別に分類した重大度マップ109aについて説明する。
図5は、実施形態において用いられる重大度マップ109aの一例を示した例示的な図である。図5に示される重大度マップ109aには、v11未満の衝突速度での衝突の重大度がS0、v11以上v12未満の衝突速度での衝突の重大度がS1、v12以上v13未満の衝突速度での衝突の重大度がS2、v13以上の衝突速度での衝突の重大度がS3であることが登録されている(ただし、v11<v12<v13とする)。なお、S0〜S3という重大度の分類は、上述したASILの基準に沿ったものである。ASILにおける重大度は、ドライバまたは他の交通関係者が受ける傷害の重さの見積もりを表している。ASILでは、S0は「傷害なし」、S1は「軽度および中程度の傷害」、S2は「重度および生命を脅かす傷害(生存の可能性がある)」、S3は「生命を脅かす傷害(生存がはっきりしない)」として定義されている。
リスク算出部108は、性能限界算出部104により算出された性能限界を考慮しながら、衝突の可能性のある車両との車間距離などを環境情報に基づいて算出することで、実際に衝突が発生した場合に想定される衝突速度を算出する。たとえば、距離lbだけ前方の位置で停止している先行車両が確認された状況で、性能限界として達成可能な最大の減速度がgaであると算出された場合、リスク算出部108は、先行車両との相対速度と、距離lbと、減速度gaとから、想定される衝突速度を算出する。そして、リスク算出部108は、算出した衝突速度に基づいて重大度マップ109aを参照することで、衝突の重大度を算出(特定)し、算出した重大度と、暴露率算出部106により算出された暴露率と、の組み合わせを、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクとして算出(特定)する。
図2に戻り、リスク判定部110は、リスク算出部108により算出されたリスク(暴露率と重大度との組み合わせ)と、リスクレベルマップ111と、に基づいて、リスク算出部108により算出されたリスクのレベルを算出(特定)する。なお、実施形態において、リスクレベルマップ111を用いることなくリアルタイムでリスクのレベルを算出する技術が用いられてもよいことは、言うまでもない。以下に説明するように、リスクレベルマップ111とは、車両が走行を継続する場合に発生しうる全てのリスクと、当該全てのリスクのレベルと、の関係が登録されたマップである。
図6は、実施形態において用いられるリスクレベルマップ111の一例を示した例示的な図である。図6において、各セルに登録されたQMおよびA〜Cという分類は、上述したASILで一般的に用いられる分類であり、リスクのレベルを表している。QMは、走行制限を実施する必要が全くないレベルに対応する。A〜Cは、走行制限を実施する必要があるレベルに対応し、A、B、Cの順に、必要な制限度合が大きくなる。
また、図6において、最上段の行のC1〜C3という分類は、上述したASILで一般的に用いられる分類であり、ドライバが危険を回避することができる確率の見積もりを表している。ASILでは、C1は「容易に回避可能」、C2は「通常は回避可能」、C3は、「回避困難または回避不可」として定義されている。なお、ASILでは、「一般的に回避可能」に対応したC0という分類も存在するが、「一般的に回避可能」であれば、そもそもリスクのレベルを判定(評価)する必要が無いので、図6の例では、C0に関する図示が存在しない。
ここで、実施形態では、自動運転中の車両に発生するリスクを想定している。つまり、実施形態では、基本的に、ドライバが危険を回避するための操作の準備をしていない状況を想定している。したがって、実施形態によるリスク判定部110は、基本的に、図6のリスクレベルマップ111のうち、C3に対応した列の情報を参照して、リスクのレベルを特定する。そして、リスク判定部110は、特定したレベルが所定のレベル以下であるか否かを判定する。所定のレベルとは、たとえば走行制限の実施を必要としないQMである。
ところで、前述したように、リスクのレベルに関わらず一律で車両を(緊急で)停止させれば、安全性を確保することができる。車両の緊急停止は、最も大きい制限度合の走行制限に該当し、リスクのレベルが比較的高い場合、たとえば上述したASILの分類でリスクのレベルがCである場合に有効である。しかしながら、リスクのレベルが比較的低い場合、たとえば上述したASILの分類でAである場合には、故障の状況(性能限界)によっては、車両の緊急停止程の走行制限を実施しなくても、速度制限などといった部分的な走行制限を実施するだけで、走行を継続して利便性を確保しながら、十分にリスクを抑えることが可能である。
したがって、図2に戻り、実施形態による制限処理部112は、走行制限を、リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する。より具体的に、制限処理部112は、リスクのレベルが上述した所定のレベル以下になるように、リスクのレベルが低い程小さい制限度合で走行制限を実施する。なお、この際、制限処理部112は、リスク判定部110の判定結果と、走行状態取得部103により取得される走行状態と、を考慮する。つまり、制限処理部112は、リスク判定部110の判定結果と、走行状態取得部103により取得される走行状態と、に基づいて、安全性と利便性とを両立するために必要最小限の走行制限を実施する。
なお、上記では、リスクのレベルを判定する指標として、ASILを例示したが、実施形態では、ASIL以外の指標でリスクのレベルを判定することも可能である。この場合、走行制限の実施を必要としない所定のレベルとして、ASILのQMよりも緩い基準を用いてもよい。ただし、ここで言及しているQMよりも緩い基準は、ドライバまたは他の交通関係者が受ける傷害を確実に回避可能な基準であることが望ましい。
次に、実施形態において実行される処理について詳細に説明する。
図7は、実施形態による車両制御装置10が実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。この図7に示される一連の処理は、車両の自動運転中に繰り返し実行される。
図7に示されるように、実施形態では、まず、ステップS1において、故障情報取得部101は、故障情報を取得する。そして、ステップS2において、性能限界算出部104は、ステップS1で取得された故障情報と、性能限界マップ105と、に基づいて、性能限界を算出する。
また、ステップS3において、環境情報取得部102は、環境情報を取得する。そして、ステップS4において、暴露率算出部106は、ステップS3で取得された環境情報と、暴露率マップ107と、に基づいて、暴露率を算出する。
なお、図7では、ステップS1およびS2の処理の後にステップS3およびS4の処理が実行される例が示されているが、ステップS1およびS2の処理と、ステップS3およびS4の処理とは、同時並行的に実行されてもよいし、ステップS3およびS4の処理の後にステップS1およびS2の処理が実行されてもよい。
ステップS5において、リスク算出部108は、S2で算出された性能限界と、ステップS4で算出された暴露率と、重大度マップ109と、に基づいて、リスクを算出する。そして、ステップS6において、リスク判定部110は、ステップS5で算出されたリスクと、リスクレベルマップ111と、に基づいて、リスクのレベルを判定する。より具体的に、リスク判定部110は、リスクのレベルが、走行制限の実施を必要としない所定のレベル以下であるか否かを判定する。
ステップS7において、走行状態取得部103は、車両の(現在の)走行状態を取得する。なお、図7では、ステップS6の処理の後にステップS7の処理が実行される例が示されているが、ステップS7の処理は、ステップS6の処理と同時並行的に実行されてもよいし、ステップS6の処理よりも前に実行されてもよい。
そして、ステップS8において、制限処理部112は、ステップS6における判定結果と、ステップS7で取得された走行状態と、に基づいて、リスクのレベルに応じた走行制限を実施する。たとえば、制限処理部112は、車両を停止させなければリスクが上述した所定のレベル以下にならない場合、制限度合の最も大きい走行制限である緊急停止を実施し、速度制限などの部分的な走行制限のみを実施すればリスクが所定のレベル以下になる場合、当該部分的な走行制限を実施しながら自動運転による車両の走行を継続し、走行制限を実施しなくてもリスクがそもそも所定のレベル以下である場合には、現状の自動運転を維持する。そして、処理が終了する。
以下、緊急停止ではない走行制限が実施される状況で実行される処理につき、具体例を挙げてより詳細に説明する。
図8は、実施形態において緊急停止ではない走行制限が実施される状況の具体例を説明するための例示的な図である。図8には、車両Xと車両Yとが隣接する2車線を同方向に走行しており、車両Yが車両Xよりも距離lpだけ前方に位置している状況が例示されている。以下では、車両Xが自動運転によって低速で直進している状況を想定し、この状況で車両Xのブレーキ機構のリヤ両輪のブレーキ圧加圧機能に故障が発生した場合に車両Xの車両制御装置10によって実行される処理の具体例につき、図7のフローチャートに沿って説明する。
この場合、まず、故障の発生に伴い、故障情報取得部101は、リヤ両輪のブレーキ圧加圧機能が故障したことを示す故障情報を取得する(ステップS1)。そして、性能限界算出部104は、性能限界マップ105に基づいて、前輪のブレーキ圧加圧機能のみで発生可能な最大減速度(たとえば0.6Gとする)を、性能限界として算出する(ステップS2)。
そして、環境情報取得部102は、自身(車両X)に対して距離lpだけ前方の隣接車線の位置に、v1以上v2未満でありかつv11以上v12未満の相対速度vpで走行する車両Yが存在することを、環境情報として取得する(ステップS3)。
そして、暴露率算出部106は、環境情報取得部102により取得された環境情報と、暴露率マップ107bに基づいて、相対速度vpで走行している車両Yが自身(車両X)の走行車線に割り込んでくる確率である暴露率がE3であると算出する(ステップS4)。
さらに、リスク算出部108は、自身(車両X)がこのまま走行を継続し、車両Yが自身(車両X)の前に割り込んできて衝突した場合における衝突速度(=相対速度vp)と、重大度マップ109aと、に基づいて、車両Yとの衝突の重大度がS2であると算出する(ステップS5)。
また、リスク判定部110は、自動運転中に割り込まれた時の車両Xのドライバが危険を回避できる確率の見積もりがC3であると判断し、この見積もりC3と、上記の処理で算出された暴露率E3および重大度S2と、リスクレベルマップ111と、に基づいて、現在のリスクのレベルがAであると特定する(ステップS6)。
続いて、走行状態取得部103は、自身(車両X)が安定して減速可能な直進状態であり、かつ定速走行状態であるか否かを判断する根拠としての走行状態を取得する(ステップS7)。
そして、制限処理部112は、上記の処理で取得された走行状態と、リスクレベルマップ111とに基づいて、自身(車両X)のドライバが危険を回避することができる確率の見積もりがC3である状況で、上記の処理で特定されたリスクのレベルAをQMにするためには、減速によって車両Yとの相対速度をv11以下にして重大度をS2からS1にすることが適切であると判断する。さらに、制限処理部112は、車両Yとの距離lpに基づき、車両Yと自身(車両X)との距離が0となる前に相対速度をv11以下とするために必要な減速度(たとえば0.2Gとする)を算出する。ここで算出される減速度0.2Gは、上記の処理で算出された性能限界である0.6G以下である。したがって、この場合、制限処理部112は、緊急停止ではなく走行制限を選択し、車両Yとの相対速度がv11以下となるように自身(車両X)を減速させる減速制御を実行する(ステップS8)。
以上説明したように、実施形態による車両制御装置10は、車両の故障に関する故障情報を取得する故障情報取得部101と、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部102と、車両の走行中に取得される故障情報および環境情報に基づいて、車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出するリスク算出部108と、車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する制限処理部112と、を備える。これにより、リスクがあると判定された場合でも、一律で車両を停止させることなく、リスクのレベルに応じて車両の走行が継続されうるので、安全性と利便性とを両立しながらリスクを低減することができる。
また、実施形態による車両制御装置10において、制限処理部12は、リスクのレベルが低い程小さい制限度合で走行制限を実施する。これにより、リスクのレベルに応じて必要最小限の制限度合で制限を実行することができる。
また、実施形態による車両制御装置10において、リスク算出部108は、故障情報に基づいて特定される、車両が故障を抱えたままで発揮可能な走行性能の限界である性能限界に基づいて、リスクを算出する。これにより、性能限界を考慮して、より正確にリスクを算出することができる。
また、実施形態による車両制御装置10において、リスク算出部108は、環境情報に基づいて特定される、車両の危険につながる特定の状況が外部の環境に起因して発生する確率である暴露率に基づいて、リスクを算出する。これにより、暴露率を考慮して、より正確にリスクを算出することができる。
また、実施形態による車両制御装置10は、車両が走行を継続する場合に発生しうる全てのリスクと、当該全てのリスクのレベルと、の関係が登録されたリスクレベルマップ111と、当該リスクレベルマップ111を用いて、リスク算出部108により算出されたリスクのレベルが所定のレベル以下であるか否かを判定するリスク判定部110と、を備える。そして、制限処理部112は、リスク判定部110の判定結果に基づいて、リスクのレベルが所定のレベル以下になるように走行制限を実施する。これにより、リスクレベルマップ111を用いて、走行制限の実施の必要性を容易に判定し、必要な走行制限を容易に実施することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 車両制御装置
101 故障情報取得部
102 環境情報取得部
108 リスク算出部
110 リスク判定部
111 リスクレベルマップ
112 制限処理部
101 故障情報取得部
102 環境情報取得部
108 リスク算出部
110 リスク判定部
111 リスクレベルマップ
112 制限処理部
Claims (5)
- 車両の故障に関する故障情報を取得する故障情報取得部と、
前記車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記車両の走行中に取得される前記故障情報および前記環境情報に基づいて、前記車両が走行を継続する場合に発生しうるリスクを算出するリスク算出部と、
前記車両の走行に関する機能の少なくとも一部の制限を、前記リスクのレベルに応じて異なる制限度合で実施する制限処理部と、
を備える、車両制御装置。 - 前記制限処理部は、前記リスクのレベルが低い程小さい制限度合で前記制限を実施する、
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記リスク算出部は、前記故障情報に基づいて特定される、前記車両が前記故障を抱えたままで発揮可能な走行性能の限界に基づいて、前記リスクを算出する、
請求項1または2に記載の車両制御装置。 - 前記リスク算出部は、前記環境情報に基づいて特定される、前記車両の危険につながる特定の状況が前記外部の環境に起因して発生する確率に基づいて、前記リスクを算出する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記車両が走行を継続する場合に発生しうる全てのリスクと、当該全てのリスクのレベルと、の関係が登録されたリスクレベルマップと、
前記リスクレベルマップを用いて、前記リスク算出部により算出された前記リスクのレベルが所定のレベル以下であるか否かを判定するリスク判定部と、
をさらに備え、
前記制限処理部は、前記リスク判定部の判定結果に基づいて、前記リスクのレベルが前記所定のレベル以下になるように前記制限を実施する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
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