JP2018173349A - 表面形状測定機の校正装置 - Google Patents

表面形状測定機の校正装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度な校正を簡単に行うことができる表面形状測定機の校正装置を提供する。【解決手段】アームの第1揺動方向の揺動によって第1触針と接触する第1面であって、且つ第1軸方向及び第2軸方向の双方向に平行な第1面を有する第1ゲージと、アームの第2揺動方向の揺動によって第2触針と接触する双方向に平行な第2面であって、且つ第1面に対して双方向に垂直な第3軸方向に第1面間隔をあけて対向配置された第2面を有する第2ゲージと、を備え、アームが第1揺動方向に最も揺動した状態での第1触針の先端位置と、第2揺動方向に最も揺動した状態での第2触針の先端位置と、の第3軸方向の間隔を第1位置間隔とした場合、第1面間隔が第1位置間隔よりも狭く調整されている。【選択図】図23

Description

本発明は、アームの先端に第1触針及び第2触針を有する表面形状測定機の校正装置に関する。
回転軸を支点として揺動自在に取り付けられたアームと、アームの先端に設けられた下向き触針(第1触針)及び上向き触針(第2触針)とを有するT字型のスタイラスを用いて、ワーク(被測定物)の表面の輪郭形状及び表面粗さ等の表面形状を測定する表面形状測定機が知られている。この表面形状測定機では、下向き触針又は上向き触針をワーク表面に接触させた状態で、スタイラスとワークとを水平方向に相対移動させることにより、下向き触針又は上向き触針でワーク表面をトレースしながら、アームの揺動による変位を検出器で検出することで、ワークの表面形状を測定する。
このような表面形状測定機では、ワークの表面形状の測定精度を十分に確保するために、下向き触針及び上向き触針の双方の先端部形状(先端半径値等)、アームの支点に対する双方の先端部位置、及び双方の先端部位置間の位置ずれ(オフセット)などを校正する校正値を事前に求めておき、この校正値に基づき測定データを補正している。
例えば、特許文献1には、下向き触針で基準球(校正球又はボールゲージともいう)及びブロックゲージ等の各種ゲージの上側表面をトレースして得られた基準球の測定データと、上向き触針で各種ゲージの下側表面をトレースして得られた検出器の検出結果とを、非線形最小二乗法を用いて既知の基準球の設計情報と比較した結果に基づき、各校正値を算出する表面形状測定機が開示されている。
特開2016−151497号公報 特開2012−211891号公報 特開平10−332304号公報
図28は、従来技術の課題を説明するための説明図である。なお、図28では、不図示の揺動支点軸を支点として、T字型のスタイラス110のアーム111を第1揺動方向SW1に揺動させることで、下向き触針112をゲージ114の上面に接触させ、この下向き触針112によりゲージ114の上面を水平方向(X軸方向)トレースしている。また、アーム111を第2揺動方向SW2に揺動させることで、上向き触針113によりゲージ114の下面に接触させ、この上向き触針113によりゲージ114の下面を水平方向にトレースしている。
図28に示すように、小穴の測定に用いられるスタイラス110では、各触針112,113の長さが短くなる。このため、ゲージ114の上下面を上下方向(外側)から挟み込むようにアーム111を揺動させて、各触針112,113によりゲージ114の上下面のトレースを行う場合には、ゲージ114へのアーム111の干渉が発生する。このため、アーム111の揺動支点軸の上下方向(Z軸方向)の位置を変えることなく、アーム111の水平方向の移動だけで、各触針112,113によるゲージ114の上下面のトレースを行うことはできない。
従って、ゲージ114の上面を下向き触針112によってトレースする場合と、ゲージ114の下面を上向き触針113によってトレースする場合とにおいて、アーム111の揺動支点軸の上下方向(Z軸方向)の位置PZを変える必要が生じる。このため、スタイラス110の校正値を求める場合には、各触針112,113の上下方向の変位だけでなく、アーム111の揺動支点軸(スタイラス110を保持するホルダ等)の上下方向の変位を考慮する必要が生じる。その結果、スタイラス110の校正値に誤差が発生するおそれがあり、スタイラス110の校正を高精度に行うことができないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高精度な校正を簡単に行うことができる表面形状測定機の校正装置を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための表面形状測定機の校正装置は、第1軸方向に平行な回転軸を支点として第1揺動方向と第2揺動方向とに揺動自在に支持されたアームと、アームの先端に設けられ且つ第1揺動方向に向かって突出する第1触針及び第2揺動方向に向かって突出する第2触針と、第1触針及び第2触針の両触針の一方をワークに接触させた状態で、ワークに対してアームを第1軸方向に垂直な第2軸方向に相対移動させる移動機構と、アームの揺動による変位を検出する検出器と、を備える表面形状測定機の校正装置において、アームの第1揺動方向の揺動によって第1触針と接触する第1面であって、且つ第1軸方向及び第2軸方向の双方向に平行な第1面を有する第1ゲージと、アームの第2揺動方向の揺動によって第2触針と接触する双方向に平行な第2面であって、且つ第1面に対して双方向に垂直な第3軸方向に第1面間隔をあけて対向配置された第2面を有する第2ゲージと、を備え、アームが第1揺動方向に最も揺動した状態での第1触針の先端位置と、第2揺動方向に最も揺動した状態での第2触針の先端位置と、の第3軸方向の間隔を第1位置間隔とした場合、第1面間隔が第1位置間隔よりも狭く調整されている。
この表面形状測定機の校正装置によれば、回転軸の第3軸方向の位置を変えることなく、第1触針による第1面のトレースと、第2触針による第2面のトレースとを行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、第1面の一部と第2面の一部との間に設けられ、第1面間隔に対応する厚みを有する中央ゲージを備える。これにより、第1面と第2面との間隔を第1面間隔に調整することができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、第1面と第2面との間の中間位置が、回転軸の第3軸方向の位置に一致している。これにより、回転軸の第3軸方向の位置を変えることなく、第1触針による第1面のトレースと、第2触針による第2面のトレースとを行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、第1面に第1触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第1面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第1面検出結果取得部と、第2面に第2触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第2面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第2面検出結果取得部と、第1面検出結果取得部及び第2面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出結果に基づき、両触針の第3軸方向の触針高さの差を校正する第1校正部と、を備える。これにより、触針高さの差の校正を高精度に行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、第3軸方向の中で第1面から第2面に向かう側を第3軸方向一方側とし、第2面から第1面に向かう側を第3軸方向他方側とした場合、第1面に対して第2軸方向にずれた位置からさらに第1面に対して第3軸方向他方側に第2面間隔をあけた位置に設けられた第3面であって、アームの第1揺動方向の揺動によって第1触針と接触する双方向に平行な第3面を有する第1ベースと、第2面に対して第2軸方向にずれた位置からさらに第2面に対して第3軸方向一方側に第3面間隔をあけた位置に設けられた第4面であって、アームの第2揺動方向の揺動によって第2触針と接触する双方向に平行な第4面を有する第2ベースと、を備え、第1面間隔は、第3面と第4面との間の第3軸方向の間隔を、第1位置間隔よりも狭くする大きさに調整されている。これにより、回転軸の第3軸方向の位置を変えることなく、第1触針による第1面及び第3面のトレースと、第2触針による第2面及び第4面のトレースとを全て行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、第1面に第1触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第1面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第1面検出結果取得部と、第2面に第2触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第2面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第2面検出結果取得部と、第3面に第1触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第3面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第3面検出結果取得部と、第4面に第2触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが第4面に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器から検出結果を取得する第4面検出結果取得部と、第1面検出結果取得部及び第3面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出結果に基づき、第1触針に対応する検出器の感度を校正し、且つ第2面検出結果取得部及び第4面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出結果に基づき、第2触針に対応する検出器の感度を校正する第2校正部と、を備える。これにより、検出器の感度の校正をより高精度に行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、アームが第2揺動方向に最も揺動した状態での第1触針の先端位置と、第1揺動方向に最も揺動した状態での第2触針の先端位置と、の第3軸方向の間隔を第2位置間隔とした場合、第2位置間隔よりも直径の小さい基準球、又は第1軸方向に平行で且つ第2位置間隔よりも直径の小さいピンゲージを、校正部材として備える。これにより、回転軸の第3軸方向の位置を変えることなく、第1触針による校正部材と、第2触針による校正部材のトレースとを行うことができるので、校正値を高精度に求めることができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、校正部材の第3軸方向の中心位置が、回転軸の第3軸方向の位置に一致している。これにより、回転軸の第3軸方向の位置を変えることなく、第1触針による校正部材のトレースと、第2触針による校正部材のトレースとを行うことができる。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、校正部材に第1触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが校正部材に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器からそれぞれ検出結果を取得する第1曲面検出結果取得部と、校正部材に第2触針を接触させた状態で、移動機構によりアームが校正部材に対して第2軸方向に相対移動されている間、検出器からそれぞれ検出結果を取得する第2曲面検出結果取得部と、第1曲面検出結果取得部及び第2曲面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出器の検出結果に基づき、両触針の先端部形状と、支点に対する両触針の先端部位置と、両触針の先端部位置の第2軸方向の位置ずれと、の少なくともいずれか1つを校正する第3校正部と、を備える。これにより、両触針の先端部形状と、支点に対する両触針の先端部位置と、両触針の先端部位置の第2軸方向の位置ずれと、の少なくともいずれか1つを簡単かつ高精度に校正することができる。
本発明の表面形状測定機の校正装置は、第1軸方向に平行な回転軸を支点として第1揺動方向と第2揺動方向とに揺動自在に支持されたアームと、アームの先端に設けられ且つ第1揺動方向に向かって突出する第1触針及び第2揺動方向に向かって突出する第2触針と、第1触針及び第2触針の両触針の一方をワークに接触させた状態で、ワークに対してアームを第1軸方向に垂直な第2軸方向に相対移動させる移動機構と、アームの揺動による変位を検出する検出器と、を備える表面形状測定機の校正装置において、基準球、又は第1軸方向に平行なピンゲージを校正部材として備え、第1揺動方向及び第2揺動方向の双方向に垂直な方向を第3軸方向とし、アームが第2揺動方向に最も揺動した状態での第1触針の先端位置と、第1揺動方向に最も揺動した状態での第2触針の先端位置と、の第3軸方向の間隔を第2位置間隔とした場合、校正部材の直径が第2位置間隔よりも小さい。
本発明の他の態様に係る表面形状測定機の校正装置において、校正部材の第3軸方向の中心位置が、回転軸の第3軸方向の位置に一致している。
本発明の表面形状測定機の校正装置は、高精度な校正を簡単に行うことができる。
表面形状測定機の概略図である。 表面形状測定機の測定対象物であるワークの断面図である。 データ処理装置による測定データの生成について説明するための説明図である。 (A)は、設計値通りに形成された理想状態のスタイラスの側面図であり、(B)は製造誤差が生じているスタイラスの側面図である。 校正用ゲージユニットの外観斜視図である。 校正用ゲージユニットの側面図である。 図6に示した測定箇所P1,P2を説明するための説明図である。 図6に示した測定箇所P3,P4を説明するための説明図である。 図6に示した測定箇所P5,P6を説明するための説明図である。 (A),(B)は、ピンゲージの上側表面及び下側表面の測定する際の課題を説明するための説明図である。 (A)〜(C)は、両触針をピンゲージの上側表面及び下側表面に接触させる方法について説明するための説明図である。 (A),(B)は、表面形状測定機によるピンゲージの上側表面及び下側表面のそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。 (A)はピンゲージをX軸方向から見た側面図であり、(B)はピンゲージをZ軸方向から見た上面図である。 (A)は、基準球をX軸方向から見た側面図であり、(B)は基準球をZ軸方向から見た上面図である。 (A),(B)は、表面形状測定機によるゲージ上面及びゲージ下面のそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。 (A),(B)は、ゲージ上面及びゲージ下面の測定の効果を説明するための説明図である。 (A),(B)は、表面形状測定機によるベース上面及びベース下面のそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。 データ処理装置の構成を示すブロック図である。 評価値11を説明するための説明図である。 表面形状測定機の校正方法を示すフローチャートである。 ピンゲージの直径を調整することで得られる効果の説明図である。 ピンゲージの直径が、スタイラスのストローク幅よりも大きく形成されている比較例を説明するための説明図である。 中央ブロックゲージの厚みを調整することにより得られる効果の説明図である。 ベース間隔がストローク幅よりも大きく形成されている比較例を説明するための説明図である。 表面形状測定機の校正方法の変形例1を示すフローチャートである。 表面形状測定機の校正方法の変形例2を示すフローチャートである。 校正用ゲージユニットの変形例を示した斜視図である。 従来技術の課題を説明するための説明図である。
[表面形状測定機の構成]
図1は、表面形状測定機10の概略図である。図2は、表面形状測定機10の測定対象物であるワークWの断面図である。図1及び図2に示すように、表面形状測定機10は、ワークWに形成された小穴9の内面の表面形状(輪郭形状又は表面粗さ等)を測定する。なお、ここでいう小穴9とは、例えば直径Dが25mm以下の穴である。また、図中のX軸方向は本発明の第2軸方向に相当し、Y軸方向は本発明の第1軸方向に相当し、Z軸方向は第1軸方向及び第2軸方向の双方向に垂直な本発明の第3軸方向に相当する。
表面形状測定機10は、平板状の測定台12と、コラム14と、送り装置16と、ホルダ17と、T字型のスタイラス18と、第1検出器20と、第2検出器22と、コンピュータ24と、を有している。
測定台12の上面には、ワークW又は後述の校正用ゲージユニット45(校正冶具ともいう、図5参照)がセットされる。また、測定台12の上面には、Z軸方向(上下方向)に延びたコラム14が設けられている。このコラム14には、移動機構に相当する送り装置16がZ軸方向に移動自在に取り付けられている。
送り装置16には、ホルダ17がX軸方向に移動自在に保持されていると共に、第2検出器22が設けられている。ホルダ17には、スタイラス18及び第1検出器20が設けられている。
スタイラス18は、水平で且つY軸方向に平行な回転軸である揺動支点軸30を支点として揺動自在に支持されているアーム32と、アーム32の先端においてアーム32の揺動方向に突出して設けられた下向き触針34及び上向き触針36と、を有する。アーム32は、揺動支点軸30を支点として第1揺動方向SW1と第2揺動方向SW2とに揺動自在に支持されている。アーム32が水平状態(重力方向に直交している状態)である場合には、アーム32の軸方向はX軸方向と一致し、且つ下向き触針34及び上向き触針36の突出方向はZ軸方向と一致する。なお、下向き触針34及び上向き触針36(以下、単に両触針34,36と略す)の双方の突出方向については、アーム32の軸方向に対して垂直方向に限定されず、この垂直方向に対して傾きを有していてもよい。
下向き触針34は、本発明の第1触針に相当するものであり、第1揺動方向SW1に突出して設けられている。また、上向き触針36は、本発明の第2触針に相当するものであり、第1揺動方向SW1に突出して設けられている。両触針34,36は、小穴9の測定に対応した長さを有するものが用いられる。例えば本実施形態では、下向き触針34の先端から上向き触針36の先端までの長さLV(図2参照)は、2.4mm〜16mmである。
第1検出器20は、本発明の検出器に相当し、ホルダ17内においてアーム32の基端側に設けられている。第1検出器20は、例えば、アーム32の基端の回転軌跡に沿った形状を有する円弧状スケールと、アーム32の基端に設けられ且つ円弧状スケールを光学的又は磁気的等の各種方法で読み取る読取ヘッドとを有するスケール型検出器である(図3参照)。第1検出器20は、読取ヘッドにより円弧状スケールに形成された目盛りを読み取ることで、揺動支点軸30を支点としたアーム32の揺動による変位(例えば回転角度)を検出する。この第1検出器20の検出結果に基づき、下向き触針34及び上向き触針36のZ軸方向の変位(変位方向、変位量)を検出することができる。
なお、第1検出器20としてスケール型検出器を用いる代わりに、或いはスケール型検出器と併用して、差動変圧器型センサ、静電容量型センサ、及び渦電流型センサのいずれかを用いた変位センサを用いてもよい。
送り装置16は、ホルダ17をY軸方向に平行な揺動支点軸30(Y軸方向)に対して垂直なX軸方向(水平方向)に移動させることで、ホルダ17を介して揺動支点軸30及び第1検出器20をX軸方向に移動させ、さらに揺動支点軸30を介してアーム32をX軸方向に移動させる。
第2検出器22は、例えばX軸方向に延びたリニアスケールと、このリニアスケールを光学的又は磁気的等の各種方法で読み取る読取ヘッドとを有する。第2検出器22は、送り装置16によりX軸方向に移動されるホルダ17のX軸方向の変位(変位方向及び変位量)を検出することで、ホルダ17を介してアーム32等のX軸方向の変位を検出する。なお、第2検出器22として、スケール型検出器以外の検出器を用いてもよい。
表面形状測定機10では、スタイラス18の両触針34,36の一方を小穴9の内面に接触(当接)させた状態で、送り装置16により、ホルダ17を介してアーム32等をワークWに対してX軸方向に相対移動させる。これにより、両触針34,36の一方により小穴9の内面をX軸方向にトレースしながら、この一方のZ軸方向の変位を表すアーム32の変位を第1検出器20により検出し、且つアーム32のX軸方向の変位を第2検出器22により検出することができる。第1検出器20及び第2検出器22の検出結果はコンピュータ24へ出力される。
コンピュータ24は、データ処理装置37と、モニタ38と、キーボード及びマウス等の操作部39と、を有する。データ処理装置37は、CPU(central processing unit)を含む各演算処理回路とメモリ等の記憶媒体とを有し、第1検出器20及び第2検出器22から入力された検出結果をデータ処理して、小穴9の内面の表面形状を示す測定データを生成し、この測定データを記憶すると共にモニタ38に表示させる。
図3は、データ処理装置37による測定データの生成について説明するための説明図である。図3に示すように、データ処理装置37は、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、予め記憶されているスタイラス18等の設計値を校正した校正値とに基づき、下向き触針34の先端34A及び上向き触針36の先端36Aの各々の位置(X軸方向位置、Z軸方向位置)の変位を求めることで、高精度な測定データを生成する。
[設計値]
本実施形態におけるスタイラス18等の設計値には、下記の[表1]に示すものが含まれる。
Figure 2018173349
[校正値]
図4(A)は、設計値通りに形成された理想状態のスタイラス18の側面図である。図4(B)は、製造誤差が生じているスタイラス18の側面図である。なお、図4(B)では、スタイラス18の製造誤差を実際よりも強調表示している。
図4(A),(B)に示すように、スタイラス18には僅かなりとも製造誤差が生じているので、両触針34,36とアーム32とがなす角度が90°からずれたり、両触針34,36の中心位置がアーム32の中心軸(水平状態ではX軸)に対してZ方向にずれたりする。この場合、先端34A及び先端36Aの双方の先端部位置がX軸方向にΔHだけずれたり、或いはZ軸方向にずれたり(すなわち、両触針34,36の実際のZ軸方向の触針高さLV1a,LV2aにずれが生じたり)する。その結果、両触針34,36にそれぞれ対応する第1検出器20のZ軸方向の感度S1,S2にも差が生じる。
また、製造誤差により先端34A及び先端36Aの双方の先端部形状(先端半径値等)にも誤差が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、上記(a)〜(h)の各設計値を校正、すなわち、各設計値を校正した校正値をそれぞれ算出する。また、先端34A及び先端36AのX軸方向の位置ずれと、下向き触針34及び上向き触針36のZ軸方向の触針高さの差とをそれぞれ校正する校正値を算出する。
具体的に、本実施形態における校正値には、下記の[表2]に示すものが含まれる。
Figure 2018173349
これら各校正値は、表面形状測定機10で後述の校正用ゲージユニット45(図5参照)を測定した測定結果(第1検出器20及び第2検出器22の検出結果)に基づき、データ処理装置37によって算出される。従って、データ処理装置37は校正用ゲージユニット45と共に本発明の校正装置として機能する。なお、本発明の校正装置は、校正用ゲージユニット45単体で構成されていてもよい。
[校正用ゲージユニットの構成]
図5は校正用ゲージユニット45の外観斜視図であり、図6は校正用ゲージユニット45の側面図である。図5及び図6に示すように、校正用ゲージユニット45は、底板46と、コラム47と、天板48と、平面部49と、ピンゲージ50(本発明の校正部材に相当)と、下側ベース51(本発明の第1ベースに相当)と、下側ブロックゲージ52(本発明の第1ゲージに相当)と、中央ブロックゲージ53(本発明の中央ゲージに相当)と、上側ブロックゲージ54(本発明の第2ゲージに相当)と、上側ベース55(本発明の第2ベースに相当)と、を備える。
底板46のX軸方向一端側の上面には、Z軸方向に延びた直方体形状のコラム47が設けられている。このコラム47の上面には、天板48のX軸方向一端側の下面が固定されている。
天板48のX軸方向他端側には、水平(XY面に平行)な平面部49が延設されている。この平面部49のX軸方向の先端部には、Y軸方向に平行な円柱状のピンゲージ50が設けられて(接続されて)いる。なお、符号49aは平面部49の水平な上面であり、符号49bは平面部49の水平な下面である。また、符号50aはピンゲージ50の周面の一部をなす曲面状の上側表面であり、符号50bはピンゲージ50の周面の一部をなす曲面状の下側表面である。
後述の図21に示すように、ピンゲージ50の直径DAは、スタイラス18のストローク幅LD1(本発明の第2位置間隔に相当)よりも小さく形成されている。また、ピンゲージ50を用いた校正では、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZが、ピンゲージ50の中心位置に位置合わせされている。ストローク幅LD1は、揺動支点軸30を支点として、アーム32が第2揺動方向SW2に最も揺動した状態での下向き触針34の先端34Aの先端位置と、アーム32が第1揺動方向SW1に最も揺動した状態での上向き触針36の先端36Aの先端位置と、のZ軸方向の間隔である。
底板46と天板48との間の空間内には、平板状の下側ベース51と、平板状の下側ブロックゲージ52と、直方体状の中央ブロックゲージ53と、平板状の上側ブロックゲージ54と、平板状の上側ベース55と、が設けられている。
下側ベース51は、底板46の上面に設けられている。この下側ベース51は、本発明の第3面に相当する水平なベース上面51aを有している。
下側ブロックゲージ52は、ベース上面51aの一部上に設けられており、既知の段差量D1(本発明の第2面間隔に相当)に相当するZ軸方向の厚みを有している。この下側ブロックゲージ52は、本発明の第1面に相当する水平なゲージ上面52aを有している。このため、ベース上面51aは、ゲージ上面52aに対して平行方向(本実施形態ではX軸方向)にずれた位置において、ゲージ上面52aのZ軸方向下方側(本発明の第3軸方向他方側)に段差量D1をあけて配置される。
中央ブロックゲージ53は、ゲージ上面52aの一部上に設けられており、既知の間隔D2(本発明の第1面間隔に相当)に相当するZ軸方向の厚みを有している。この間隔D2は、前述の小穴9の直径Dに相当する厚みであり、本実施形態では例えば25mmである。なお、中央ブロックゲージ53の代わりに、間隔D2に相当するZ軸方向の厚みを有するリングゲージ等の各種ゲージを用いてもよい。
上側ブロックゲージ54は、下側ブロックゲージ52と対向するように、中央ブロックゲージ53の上面に設けられている。この上側ブロックゲージ54は、前述の段差量D1に相当するZ軸方向の厚みを有している。また、上側ブロックゲージ54は、本発明の第2面に相当し且つ中央ブロックゲージ53の上面と当接する水平なゲージ下面54aを有している。このゲージ下面54aは、既述のゲージ上面52aに対してZ軸方向上方側に間隔D2をあけて対向配置される。
上側ベース55は、上側ブロックゲージ54の上面(ゲージ下面54aとは反対側の面)の一部上に設けられており、且つ既述の下側ベース51に対して対向配置されている。この上側ベース55は、本発明の第4面に相当し且つ既述のベース上面51aに対して対向配置されたベース下面55aを有する。このため、ベース下面55aは、ゲージ下面54aに対して平行方向(本実施形態ではX軸方向)にずれた位置において、ゲージ下面54aのZ軸方向上方側(本発明の第3軸方向一方側)に段差量D1(本発明の第3面間隔に相当)をあけて配置される。そして、本実施形態では、ベース上面51a及びベース下面55aのZ軸方向の中間位置と、ゲージ上面52a及びゲージ下面54aのZ軸方向の中間位置と、中央ブロックゲージ53のZ軸方向の中間位置と、が一致する。
詳しくは後述の図23で説明するが、中央ブロックゲージ53の厚み(間隔D2)は、ベース上面51aとベース下面55aとの間のZ軸方向の間隔を、スタイラス18のストローク幅LD2(本発明の第1位置間隔に相当)よりも狭くする大きさに調整されている。また、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZは、中央ブロックゲージ53のZ軸方向の中間位置、すなわちゲージ上面52a及びゲージ下面54aのZ軸方向の中間位置に対して位置合わせされている。
なお、下側ベース51と、下側ブロックゲージ52と、中央ブロックゲージ53と、上側ブロックゲージ54と、上側ベース55とは、リンギング、接着、挟持部材によるY軸方向の挟持、ビス固定、及びピン固定等の各種方法で固定されて一体化している。
本実施形態では、上記各校正値を算出するため、図6中の点線枠で示した校正用ゲージユニット45内の測定箇所P1〜P6を表面形状測定機10で測定する。
図7は、図6に示した測定箇所P1,P2を説明するための説明図である。図8は、図6に示した測定箇所P3,P4を説明するための説明図である。図9は、図6に示した測定箇所P5,P6を説明するための説明図である。
<測定箇所P1>
図7に示すように、測定箇所P1は、ピンゲージ50の上側表面50aである。ここでは、アーム32を第1揺動方向SW1に搖動させて上側表面50aに下向き触針34を接触させた状態で、下向き触針34により上側表面50aをX軸方向にトレースする。
<測定箇所P2>
測定箇所P2は、ピンゲージ50の下側表面50bである。ここでは、アーム32を第2揺動方向SW2に搖動させて下側表面50bに上向き触針36を接触させた状態で、上向き触針36により下側表面50bをX軸方向にトレースする。
<測定箇所P3>
図8に示すように、測定箇所P3は、下側ベース51のベース上面51aである。ここでは、アーム32を第1揺動方向SW1に搖動させてベース上面51aに下向き触針34を接触させた状態で、下向き触針34によりベース上面51aをX軸方向にトレースする。
<測定箇所P4>
測定箇所P4は、下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aである。ここでは、アーム32を第1揺動方向SW1に搖動させてゲージ上面52aに下向き触針34を接触させた状態で、下向き触針34によりゲージ上面52aをX軸方向にトレースする。
<測定箇所P5>
図9に示すように、測定箇所P5は、上側ベース55のベース下面55aである。ここでは、アーム32を第2揺動方向SW2に搖動させてベース下面55aに上向き触針36を接触させた状態で、上向き触針36によりベース下面55aをX軸方向にトレースする。
<測定箇所P6>
測定箇所P6は、上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aである。ここでは、アーム32を第2揺動方向SW2に搖動させてゲージ下面54aに上向き触針36を接触させた状態で、上向き触針36によりゲージ下面54aをX軸方向にトレースする。
[ピンゲージの上側表面及び下側表面の測定]
次に、図10(A),(B)と、図11(A)〜(C)と、図12(A),(B)とを用いて、表面形状測定機10によるピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bの測定処理について具体的に説明する。図10(A),(B)は、ピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bを測定する際の課題を説明するための説明図である。図11(A)〜(C)は、両触針34,36をピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bに接触させる方法について説明するための説明図である。図12(A),(B)は、表面形状測定機10によるピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bのそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。
図10(A)に示すように、ピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bを測定する場合には、下向き触針34を上側表面50aに接触させ、上向き触針36を下側表面50bに接触させる必要がある。この際に、アーム32は揺動支点軸30に揺動自在に支持されているので、両触針34,36は円弧状の軌跡を描くようにしてそれぞれ上側表面50a及び下側表面50bに近づく。このため、両触針34,36をそれぞれ直線状のルートで上側表面50a及び下側表面50bに近づけることはできない。
従って、図10(B)に示すように、円弧状の軌跡を描くように変位する両触針34,36をそれぞれ上側表面50a及び下側表面50bに接触させることが困難となる。特に本実施形態の表面形状測定機10は、小穴9の内面を測定対象としているので、両触針34,36が小型化し、さらにピンゲージ50ついても小径のものが用いられる。このため、両触針34,36をそれぞれ上側表面50a及び下側表面50bに接触させることが一層困難となる。
そこで本実施形態では、図11(A)〜(C)及び図12(A)に示すように、平面部49を利用して両触針34,36をそれぞれ上側表面50a及び下側表面50bに接触させる。具体的には、図11(A)に示すように、ピンゲージ50の上側表面50aの測定を行う場合、最初に下向き触針34を平面部49の上面49aに接触させる(ステップS1A)。平面部49の上面49a(下面49b)は、ピンゲージ50の上側表面50a(下側表面50b)よりも面積が広いので、下向き触針34を、上側表面50aに接触させる場合よりも容易に上面49aに接触させることができる。
次いで、図11(B)に示すように、送り装置16を作動させて、スタイラス18(下向き触針34等)をピンゲージ50に向けてX軸方向に水平移動させる(ステップS2A)。また、第1検出器20及び第2検出器22による検出を開始させる(ステップS3A)。これにより、図11(C)に示すように、下向き触針34が、上面49aから上側表面50aに案内された後、上側表面50aに接触する(ステップS4A)。
そして、下向き触針34が上側表面50aに接触した状態で、送り装置16により、さらにスタイラス18をX軸方向に移動させる。これにより、下向き触針34により上側表面50aをX軸方向に沿ってトレースすることができる(ステップS5A)。そして、このトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
以下、下向き触針34による上側表面50aのX軸方向のトレースが終了するまで、送り装置16による移動が継続する(ステップS6A,S7A)。以上でピンゲージ50の上側表面50aの測定が完了する。
一方、ピンゲージ50の下側表面50bの測定は、上側表面50aの測定と同様に行うことができる。すなわち、図12(B)に示すように、平面部49の下面49bへの上向き触針36の接触(ステップS1B)、スタイラス18のX軸方向への水平移動(ステップS2B)、第1検出器20及び第2検出器22による検出(ステップS3B)、上向き触針36の下側表面50bへの接触(ステップS4B)、及び上向き触針36による下側表面50bのトレース(ステップS5B,S6B,S7B)を行う。これにより、上向き触針36による下側表面50bのトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
<平面部を設けた効果>
このように本実施形態では、ピンゲージ50のX軸方向の側方に平面部49を設けることで、下向き触針36を平面部49の上面49aに沿ってピンゲージ50の上側表面50aまで案内し、且つ上向き触針36を平面部49の下面49bに沿ってピンゲージ50の下側表面50bまで案内することができる。その結果、ピンゲージ50に両触針34,36を容易に接触させることができる。
また、両触針34,36をそれぞれ平面部49に沿って上側表面50a及び下側表面50bまで案内することで、両触針34,36による上側表面50a及び下側表面50bのX軸方向のトレース開始位置を一定位置に定めることができる。これにより、両触針34,36をそれぞれ上側表面50a及び下側表面50bにダイレクトに接触させた場合とは異なり、上側表面50a及び下側表面50bを一定角度範囲θ以上(例えば110°以上)トレースすることができる。その結果、ピンゲージ50の中心位置の測定精度が向上するので、ピンゲージ50を用いた校正を高精度に行うことができる。
<ピンゲージ測定の効果>
図13(A)はピンゲージ50をX軸方向から見た側面図であり、図13(B)はピンゲージ50をZ軸方向から見た上面図である。なお、図13(B)中の符号T1は、図13(A)中の下向き触針34で上側表面50aをトレースした際の軌跡であり、符号T2は、図13(A)中の上向き触針36で下側表面50bをトレースした際の軌跡である。
図13(A),(B)に示すように、ピンゲージ50はY軸方向に平行な円柱形状を有している。このため、両触針34,36によりそれぞれ上側表面50aと下側表面50bとをX軸方向にトレースする場合、両触針34,36の各々の先端34A,36Aの先端部位置のY軸方向の位置ずれに関係なく、両触針34,36の双方で常にピンゲージ50の最大直径部をトレースすることができる。
図14(A)は、基準球100をX軸方向から見た側面図であり、図14(B)は基準球100をZ軸方向から見た上面図である。なお、図14(B)中の符号TAは、図14(A)中の下向き触針34が基準球100の上側表面をトレースした際の軌跡であり、符号TBは、図14(A)中の上向き触針36が基準球100の下側表面をトレースした際の軌跡である。
図14(A),(B)に示すように、両触針34,36により基準球100の上側表面と下側表面とをX軸方向にトレースする際に、先端34A,36Aの先端部位置のY軸方向の位置ずれが発生していると、両触針34,36の少なくとも一方で基準球100の最大直径部をトレースすることができない場合がある。この場合には、基準球100の中心位置を高精度に測定することができないので、基準球100を用いた校正を高精度に行うことができない。
これに対して、本実施形態では、両触針34,36によりピンゲージ50の上側表面50aと下側表面50bとをそれぞれX軸方向にトレースすることにより、先端34A,36Aの先端部位置がY軸方向に位置ずれした場合でも、ピンゲージ50の中心を高精度に測定可能である。これにより、ピンゲージ50を用いた校正を高精度に行うことができる。
[ゲージ上面及びゲージ下面の測定]
次に、図15(A),(B)を用いて、表面形状測定機10による下側ブロックゲージ52のゲージ上面52a、及び上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aの測定処理について具体的に説明する。ここで図15(A),(B)は、表面形状測定機10によるゲージ上面52a及びゲージ下面54aのそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。
図15(A)に示すように、下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aの測定を行う場合、最初に下向き触針34をゲージ上面52aに接触させる(ステップS11A)。次いで、送り装置16を作動させて、スタイラス18をX軸方向に水平移動させる(ステップS12A)。また、第1検出器20及び第2検出器22による検出を開始させる(ステップS13A)。これにより、下向き触針34によりゲージ上面52aをX軸方向に沿ってトレースすることができる(ステップS14A)。そして、このトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
以下、下向き触針34によるゲージ上面52aのX軸方向のトレースが終了するまで、送り装置16による移動が継続する(ステップS15A,S16A)。以上で下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aの測定が完了する。
一方、上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aの測定は、ゲージ上面52aの測定と同様に行うことができる。すなわち、図15(B)に示すように、ゲージ下面54aへの上向き触針36の接触(ステップS11B)、上向き触針36のX軸方向への水平移動(ステップS12B)、第1検出器20及び第2検出器22による検出(ステップS13B)、及び上向き触針36によるゲージ下面54aのトレース(ステップS14B,S15B,S16B)を行う。これにより、上向き触針36によるゲージ下面54aのトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
<ゲージ上面及びゲージ下面の測定の効果>
図16(A),(B)は、ゲージ上面52a及びゲージ下面54aの測定の効果を説明するための説明図である。図16(A)に示すように、本実施形態では、中央ブロックゲージ53によりZ軸方向の間隔がD2(図6参照)に規定されているゲージ上面52a及びゲージ下面54aのうち、ゲージ上面52aを下向き触針34でX軸方向にトレースし、ゲージ下面54aを上向き触針36でX軸方向にトレースしている。これにより、図16(B)に示すような中央ブロックゲージ53の上面を下向き触針34でX軸方向にトレースし、中央ブロックゲージ53の下面を上向き触針36でX軸方向にトレースした場合と同様の測定データが得られる。
中央ブロックゲージ53のような水平ゲージの上下面をそれぞれ両触針34,36で測定した測定データからは、詳しくは後述するが、下向き触針34及び上向き触針36の触針高さの誤差(すなわち、両触針34,36によって測定した測定データの相互のZ軸方向の空間精度)を校正する校正値が算出される。しかし、中央ブロックゲージ53の上面に下向き触針34を接触させ且つ下面に上向き触針36を接触させる場合、アーム32を揺動支点軸30の軸周りに大きな角度で回転(揺動)させる必要がある。
具体的には、本実施形態のようにゲージ上面52a及びゲージ下面54aにそれぞれ両触針34,36を接触させる場合のアーム32の回転角度を「θ1」とし、中央ブロックゲージ53の上下面にそれぞれ両触針34,36を接触させる場合の回転角度を「θ2」とした場合、回転角度θ1<回転角度θ2となる。このアーム32の回転角度が大きくなるほど、両触針34,36を上下面に対して寝かせた姿勢でそれぞれ上下面に接触させることになり、測定誤差が大きくなる。
また、両触針34,36の長さが短い場合には、既述の図28で説明したように、各ブロックゲージ52,54とアーム32との干渉が発生するため、ゲージ上面52aを下向き触針34でX軸方向にトレースする場合と、ゲージ下面54aを上向き触針36でX軸方向にトレースする場合とにおいて、既述の図1に示した送り装置16(揺動支点軸30及びスタイラス18)のZ軸方向の位置PZを動かす必要が生じる。その結果、後述の校正値ΔLV(上記[表2]参照)を求める際に、送り装置16のZ軸方向の変位を考慮する必要が生じ、校正値ΔLVに誤差が生じるおそれがある。その結果、校正を高精度に行うことができない。
これに対して、本実施形態では、既述の図2に示した小穴9の内面の測定と同様に、両触針34,36でそれぞれゲージ上面52a及びゲージ下面54aを測定することで、中央ブロックゲージ53の上下面を測定する場合よりも両触針34,36を立たせた姿勢で測定を行うことができる。その結果、中央ブロックゲージ53の上下面を測定する場合よりも測定誤差を小さくすることができる。また、ゲージ上面52aを下向き触針34でX軸方向にトレースする場合と、ゲージ下面54aを上向き触針36でX軸方向にトレースする場合とにおいて、送り装置16のZ軸方向の位置PZを動かす必要が無くなるので、後述の校正値ΔLVを高精度に求めることができる。その結果、校正を高精度に行うことができる。
[ベース上面及びベース下面の測定]
次に、図17(A),(B)を用いて、表面形状測定機10による下側ベース51のベース上面51a及び上側ベース55のベース下面55aの測定処理について具体的に説明する。ここで、図17(A),(B)は、表面形状測定機10によるベース上面51a及びベース下面55aのそれぞれの測定処理の流れを示すフローチャートである。
図17(A)に示すように、下側ベース51のベース上面51aの測定は、前述のゲージ上面52aの測定と基本的に同じである。すなわち、ベース上面51aへの下向き触針34の接触(ステップS21A)、スタイラス18のX軸方向への移動(ステップS22A)、第1検出器20及び第2検出器22による検出(ステップS23A)、及び下向き触針34によるベース上面51aのトレース(ステップS24A,S25A,S26A)を行う。これにより、下向き触針34によるベース上面51aのトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
また、図17(B)に示すように、上側ベース55のベース下面55aの測定は、前述のゲージ下面54aの測定と基本的に同じである。すなわち、ベース下面55aへの上向き触針36の接触(ステップS21B)、スタイラス18のX軸方向への移動(ステップS22B)、第1検出器20及び第2検出器22による検出(ステップS23B)、及び上向き触針36によるベース下面55aのトレース(ステップS24B,S25B,S26B)を行う。これにより、上向き触針36によるベース下面55aのトレース中に、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
<ベース上面及びベース下面の測定の効果>
このように本実施形態では、下向き触針34によりベース上面51aをX軸方向にトレースすることで、前述のゲージ上面52aのX軸方向のトレースと合わせて、下向き触針34により段差量D1(図6参照)を有する段差ゲージをトレースした場合と同様の測定データが得られる。また、上向き触針36により上側ベース55のベース下面55aをX軸方向にトレースすることで、前述のゲージ下面54aのX軸方向のトレースと合わせて、上向き触針36により段差量D1を有する段差ゲージをトレースした場合と同様の測定データが得られる。
[データ処理装置の構成]
図18は、データ処理装置37の構成を示すブロック図である。図18に示すように、データ処理装置37は、駆動制御部37Aと、検出結果取得部37Bと、演算処理部37Cと、前述の設計値及び校正値を含む各種情報及びデータを記憶する記憶部37Dと、を有する。これら各部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)を含む各種の演算回路及びメモリにより実現される。
駆動制御部37Aは、送り装置16の駆動を制御して、スタイラス18(両触針34,36等)をX軸方向に移動させる。
検出結果取得部37Bは、例えば第1検出器20及び第2検出器22に有線又は無線で接続している通信インタフェースであり、第1検出器20及び第2検出器22からそれぞれ取得した検出結果を演算処理部37Cへ出力する。この検出結果取得部37Bは、本発明の第1面検出結果取得部、第2面検出結果取得部、第3面検出結果取得部、第4面検出結果取得部、第1曲面検出結果取得部、及び第2曲面検出結果取得部に相当する。
演算処理部37Cは、下向き触針34でピンゲージ50(上側表面50a)、下側ベース51(ベース上面51a)、及び下側ブロックゲージ52(ゲージ上面52a)をそれぞれトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果を、検出結果取得部37Bを介して取得する。また、演算処理部37Cは、上向き触針36でピンゲージ50(下側表面50b)、上側ブロックゲージ54(ゲージ下面54a)、及び上側ベース55(ベース下面55a)をそれぞれトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果を、検出結果取得部37Bを介して取得する。
次いで、演算処理部37Cは、検出結果取得部37Bから取得した第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき下記の評価値1〜11を算出して、各評価値1〜11と記憶部37Dに記憶されている上記各設計値とに基づき上記各校正値を算出する。また演算処理部37Cは、小穴9の内面の表面形状の測定時に得られた第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、前述の各校正値とに基づき、小穴9の内面の表面形状の測定データを生成する。
<評価値1〜3の算出>
評価値1〜3は、下向き触針34によりピンゲージ50の上側表面50aをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき算出される評価値である。
(評価値1の算出)
評価値1は、ピンゲージ50の半径値誤差を示す評価値である。この評価値1は、下記の[数1]式により算出される。なお、ここでいう指定値とは設計値を示す。
Figure 2018173349
(評価値2の算出)
評価値2は、ピンゲージ50の真円度誤差を示す評価値であり、下記の[数2]式により算出される。
Figure 2018173349
(評価値3の算出)
評価値3は、ピンゲージ50の極座標対称性誤差を示す評価値であり、下記の[数3]式により算出される。
Figure 2018173349
<評価値4〜6の算出>
評価値4〜6は、上向き触針36でピンゲージ50の下側表面50bをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき算出される評価値である。
(評価値4の算出)
評価値4は、ピンゲージ50の半径値誤差を示す評価値である。この評価値4は、下記の[数4]式により算出される。
Figure 2018173349
(評価値5の算出)
評価値5は、ピンゲージ50の真円度誤差を示す評価値であり、下記の[数5]式により算出される。
Figure 2018173349
(評価値6の算出)
評価値6は、ピンゲージ50の極座標対称性誤差を示す評価値であり、下記の[数6]式により算出される。
Figure 2018173349
<評価値7の算出>
評価値7は、下向き触針34によりベース上面51aとゲージ上面52aとをそれぞれトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき算出され、ベース上面51aとゲージ上面52aとの段差量誤差を示す評価値である。この評価値7は、下記の[数7]式により算出される。
Figure 2018173349
<評価値8の算出>
評価値8は、上向き触針36によりゲージ下面54aとベース下面55aとをそれぞれトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき算出され、ゲージ下面54aとベース下面55aとの段差量誤差を示す評価値である。この評価値8は、下記の[数8]式により算出される。
Figure 2018173349
<評価値9〜10の算出>
評価値9〜10は、下向き触針34によりゲージ上面52aをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、上向き触針36によりゲージ下面54aをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、に基づき算出される。
(評価値9の算出)
評価値9は、ゲージ上面52aとゲージ下面54aとの段差量誤差を示す評価値であり、下記の[数9]式により算出される。
Figure 2018173349
(評価値10の算出)
評価値10は、ゲージ上面52aとゲージ下面54aとの角度誤差を示す評価値であり、下記の[数10]式により算出される。
Figure 2018173349
<評価値11の算出>
評価値11は、下向き触針34でピンゲージ50の上側表面50aをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、上向き触針36でピンゲージ50の下側表面50bをトレースした際の第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、に基づき算出される評価値である。
図19は、評価値11を説明するための説明図である。図19に示すように、評価値11は、上側表面測定データから求められるピンゲージ50(実線で表示)の中心点C1と、下側表面測定データから求められるピンゲージ50(点線で表示)の中心点C2とのX軸方向の中心点誤差ΔCを評価するための評価値である。この評価値11は、下記の[数11]式により算出される。
Figure 2018173349
<演算処理部の構成>
図18に戻って、演算処理部37Cは、校正部56及び測定データ演算部57を備えている。校正部56は、本発明の第1校正部、第2校正部、及び第3校正部として機能する。
(ピンゲージを用いた校正)
校正部56は、ピンゲージ50を用いた校正を行う場合、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、記憶部37Dの設計値記憶部61に予め記憶されているピンゲージ50の設計値(指定値)とに基づき、前述の評価値1〜評価値6を算出する。そして、校正部56は、各評価値がそれぞれ最小となるように、設計値記憶部61に予め記憶されている前述の設計値LH1,LV1,R1,LH2,LV2,R2をそれぞれ校正した校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ruを算出し、算出した各校正値を記憶部37Dの校正値記憶部62に記憶させる。これにより、スタイラス18の製造誤差に起因する測定の誤差が解消される。
校正値LHd,LVd,LHu,LVuは揺動支点軸30(支点)に対する両触針34,36の先端部位置を校正する校正値であり、校正値Rd、Ruは両触針34,36の先端部形状を校正する校正値である。
なお、校正部56は、評価値1〜6以外の評価値、例えば評価値7〜8を設計値LH1,LV1,R1,LH2,LV2,R2の校正(校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ruの算出)に反映したり、或いは評価値9〜10を設計値LV1,LV2の校正(校正値LVd,LVuの算出)に反映したりしてもよい。
また、校正部56は、ピンゲージ50を使用した校正を行う場合、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき、前述の評価値11を算出する。そして、校正部56は、前述の評価値11が最小となるように、下向き触針34の先端34Aと上向き触針36の先端36Aとの先端部位置のX軸方向の位置ずれを校正する校正値ΔLHを算出し、この校正値ΔLHを校正値記憶部62に記憶させる。これにより、先端34A,36Aの先端部位置のX軸方向の原点を一致させることができるので、先端部位置のX軸方向の位置ずれに起因する測定誤差が解消される。
(ベースとブロックゲージの段差を用いた校正)
校正部56は、下側ベース51と下側ブロックゲージ52との段差、及び上側ベース55と上側ブロックゲージ54との段差を用いた校正を行う場合、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、設計値記憶部61に予め記憶されている段差量D1の設計値(指定値)とに基づき、前述の評価値7〜8を算出する。両触針34,36の触針高さに誤差があると、両触針34,36をそれぞれ用いて測定を行った際に、第1検出器20のZ軸方向(上下方向)の感度S1,S2に誤差が生じる。従って、校正部56は、評価値7〜8が最小となるように、設計値記憶部61に予め記憶されている第1検出器20のZ軸方向の感度S1,S2を校正する校正値Sd,Suを算出して、算出した校正値Sd,Suを校正値記憶部62に記憶させる。これにより、第1検出器20のZ軸方向の感度校正を行うことができる。
(ブロックゲージの上下ゲージ面を用いた校正)
校正部56は、下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aと、上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aとを用いた校正を行う場合、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、設計値記憶部61に予め記憶されている間隔D2の設計値(指定値)とに基づき、前述の評価値9〜10を算出する。
両触針34,36の触針高さに誤差がある場合、すなわち、校正値LVdと校正値LVuとに誤差がある場合、ゲージ上面52aとゲージ下面54aとの間の測定間隔がD2(25mm)にならず、且つゲージ上面52aとゲージ下面54aとの間に角度誤差が発生する。そこで、校正部56は、評価値9〜10が最小となるように、下向き触針34及び上向き触針36のZ軸方向の触針高さの差を校正する校正値ΔLVを算出して、算出した校正値ΔLVを校正値記憶部62に記憶させる。これにより、両触針34,36の触針高さの誤差に起因する測定誤差が解消される。
<測定データ演算部>
測定データ演算部57は、検出結果取得部37Bから取得した第1検出器20及び第2検出器22の検出結果に基づき、測定対象(小穴9の内面、校正用ゲージユニット45の各部)の表面形状を測定した測定データを生成する。この際に、測定データ演算部57は、校正値記憶部62に校正値が記憶されている場合には、校正値を考慮して測定データを生成、例えば校正値で補正した測定データを生成する。そして、測定データ演算部57は、測定データを記憶部37D内の測定データ記憶部63に格納する。
[表面形状測定機の作用]
次に、図20を用いて上記構成の表面形状測定機10の校正について説明する。ここで、図20は、表面形状測定機10の校正方法を示すフローチャートである。
測定台12の上に校正用ゲージユニット45をセットした後、既述の図12(A)のステップS1AからステップS7Aに示したように、ピンゲージ50の上側表面50aの測定を行う(ステップS31)。これにより、下向き触針34により上側表面50aをX軸方向にトレースしながら、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
また、既述の図12(B)のステップS1BからステップS7Bに示したように、ピンゲージ50の下側表面50bの測定を行う(ステップS32)。これにより、上向き触針36により下側表面50bをX軸方向にトレースしながら、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
このようにピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bの測定を行うことで、校正部56において、設計値LH1,LV1,R1,LH2,LV2,R2の校正、すなわち、校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ruを算出することができる。また、それぞれの測定においてピンゲージ50の中心点C1,C2が求められるため、先端34A,36Aの先端部位置のX軸方向の位置ずれの校正、すなわち、校正値ΔLHを算出することができる。
また、本実施形態では、平面部49をピンゲージ50のX軸方向の側方に設けたことにより、既述の図11(A)〜(C)に示したように、両触針34,36及びピンゲージ50のサイズが小さい場合でも、両触針34,36をピンゲージ50に確実且つ容易に接触させることができる。また、両触針34,36による上側表面50a及び下側表面50bのトレース開始位置が一定位置に定められるため、上側表面50a及び下側表面50bを一定角度範囲以上トレースすることができる。その結果、ピンゲージ50の中心位置が高精度に求められるので、校正を高精度に行うことができる。
さらに、本実施形態では、既述の図13(A),(B)に示したように、基準球100の代わりにピンゲージ50を用いて校正を行うため、両触針34,36の双方で常にピンゲージ50の最大直径部をトレースすることができ、校正を高精度に行うことができる。
ピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bの測定後、既述の図17(A)のステップS21AからステップS26Aに示したように、下側ベース51のベース上面51aの測定を行う(ステップS33)。また、既述の図15(A)のステップS11AからステップS16Aに示したように、下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aの測定を行う(ステップS34)。これにより、下向き触針34によりベース上面51a及びゲージ上面52aをそれぞれX軸方向にトレースしながら、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
次いで、既述の図17(B)のステップS21BからステップS26Bに示したように、上側ベース55のベース下面55aの測定を行うと共に(ステップS35)、既述の図15(B)のステップS11BからステップS16Bに示したように、上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aの測定を行う(ステップS36)。これにより、上向き触針36によりベース下面55a及びゲージ下面54aをそれぞれX軸方向にトレースしながら、第1検出器20及び第2検出器22の検出結果がデータ処理装置37に逐次入力される。
このように、ベース上面51a及びゲージ上面52aの測定と、ベース下面55a及びゲージ下面54aの測定と、をそれぞれ行うことで、第1検出器20のZ軸方向の感度S1,S2の校正、すなわち、校正値Sd,Suの算出を行うことができる。その結果、両触針34,36によって測定した測定データのZ値を校正することができる。
また、ゲージ上面52a及びゲージ下面54aの測定を行うことで、両触針34,36のZ軸方向の触針高さの差(両触針34,36によって測定した測定データの相互のZ軸方向の空間精度)の校正、すなわち、校正値ΔLVの算出を行うことができる。また、両触針34,36によって測定した測定データのZ値を校正することができる。
さらに、本実施形態では、既述の図16(A),(B)に示したように、中央ブロックゲージ53によりZ軸方向の間隔がD2に規定されているゲージ上面52a及びゲージ下面54aの測定を行うことで、中央ブロックゲージ53の上下面を測定する場合と比較して、測定誤差を小さくすることができる。その結果、校正を高精度に行うことができる。
そして、上記ステップS31からステップS36においてそれぞれデータ処理装置37に入力された第1検出器20及び第2検出器22の検出結果は、検出結果取得部37Bを介して演算処理部37Cに入力される。
演算処理部37Cの校正部56は、検出結果取得部37Bを介して入力された第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、設計値記憶部61に記憶されている各設計値とに基づき、前述の評価値1〜11を算出する。そして、校正部56は、算出した前述の評価値1〜11が最小となるように、上記各校正値を算出して校正値記憶部62に記憶させる(ステップS37)。
校正値記憶部62に記載された各校正値は、表面形状測定機10で小穴9の内面の表形状を測定する際に、測定データ演算部57により読み出される。測定データ演算部57は、小穴9の内面を両触針34,36でそれぞれX軸方向にトレースして得られた第1検出器20及び第2検出器22の検出結果と、校正値記憶部62に記憶された校正値とに基づき、校正値で補正された小穴9の内面の測定データを生成して測定データ記憶部63に記憶させる。
[本実施形態の効果]
<ピンゲージの直径の調整による効果>
図21は、ピンゲージ50の直径DAを調整することで得られる効果を説明するための説明図である。なお、ストローク幅LD1は、既述の通り、揺動支点軸30を支点としてアーム32が第2揺動方向SW2(図1参照)に最も揺動した状態での下向き触針34の先端34Aの先端位置と、第1揺動方向SW1に最も揺動した状態での上向き触針36の先端36Aの先端位置と、のZ軸方向の間隔である。
図21に示すように、本実施形態では、ピンゲージ50の直径DAをストローク幅LD1よりも小さくすると共に、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZをピンゲージ50の中心位置に位置合わせしている。これにより、下向き触針34による上側表面50aのX軸方向のトレースと、上向き触針36による下側表面50bのX軸方向のトレースとを行う際に、既述の図1に示した送り装置16のZ軸方向の位置(揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZ)を動かす必要がなくなる。また、ピンゲージ50の直径DAを小径にすることで、両触針34,36によりそれぞれ上側表面50aと下側表面50bとをX軸方向にトレースする際に、アーム32とピンゲージ50との干渉が防止される。
一方、図22は、ピンゲージ50の直径DAが、スタイラス18のストローク幅LD1よりも大きく形成されている比較例を説明するための説明図である。図22に示すように、ピンゲージ50の直径DAがストローク幅LD1よりも大きい場合、アーム32とピンゲージ50とが干渉するおそれがある。このため、下向き触針34による上側表面50aのX軸方向のトレースと、上向き触針36による下側表面50bのX軸方向のトレースとを行う際に、揺動支点軸30の位置PZを変える必要がある。その結果、既述の校正値ΔLH(評価値11)等を算出する際に、位置PZの変位も考慮(合算)する必要が生じるので、誤差が発生するおそれがある。
このような比較例に対して本実施形態では、ピンゲージ50の直径DAをストローク幅LD1よりも小さくすると共に、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZをピンゲージ50の中心位置に位置合わせすることで、上述のトレースを行う際にアーム32とピンゲージ50との干渉のおそれがなくなる。このため、揺動支点軸30の位置PZを動かす必要がなくなるので、校正値ΔLH等を高精度に求めることができる。その結果、ピンゲージ50を使用した校正を高精度に行うことができる。
<中央ブロックゲージの厚みを調整することにより得られる効果>
図23は、中央ブロックゲージ53の厚み(間隔D2)を調整することにより得られる効果の説明図である。なお、ベース間隔D3は、ベース上面51aとベース下面55aとの間のZ軸方向の間隔である。また、ストローク幅LD2は、既述の通り、揺動支点軸30を支点としてアーム32が、第1揺動方向SW1に最も揺動した状態での下向き触針34の先端34Aの先端位置と、第2揺動方向SW2に最も揺動した状態での上向き触針36の先端36Aの先端位置と、のZ軸方向の間隔である。
図23に示すように、中央ブロックゲージ53の厚み(間隔D2)は、ベース間隔D3をストローク幅LD2よりも狭くする大きさに調整されている。また、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZは、ゲージ上面52aとゲージ下面54aとの中間位置(ベース上面51aとベース下面55aとの中間位置、及び中央ブロックゲージ53の中間位置)に位置合わせされている。
このように中央ブロックゲージ53の厚みと揺動支点軸30の位置PZとを調整することで、両触針34,36によりベース上面51a、ゲージ上面52a、ゲージ下面54a、及びベース下面55aをX軸方向にトレースする際に、既述の図1に示した送り装置16(ホルダ17及びスタイラス18)のZ軸方向の位置を動かす必要がなくなる。
一方、図24は、ベース間隔D3がストローク幅LD2よりも大きく形成されている比較例を説明するための説明図である。図24に示すように、ベース間隔D3がストローク幅LD2よりも大きく形成されていると、下向き触針34によりベース上面51a及びゲージ上面52aをX軸方向にトレースする場合に、送り装置16(ホルダ17及びスタイラス18)のZ軸方向の位置PZを変える必要が生じるおそれがある。また、上向き触針36によりゲージ下面54a及びベース下面55aをX軸方向にトレースする場合にも、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZを変える必要が生じるおそれがある。さらに、下向き触針34によるゲージ上面52aのX軸方向のトレースと、上向き触針36によるゲージ下面54aのX軸方向のトレースとを行う際に、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZを変える必要が生じるおそれがある。
揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZの変化が生じると、既述の校正値Sd,Su(評価値7〜8)の精度に影響を及ぼしたり、既述の校正値ΔLV(評価値9〜10)の精度に影響を及ぼしたりする。
このような比較例に対して本実施形態では、ベース間隔D3をストローク幅LD2よりも狭くすると共に、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZを既述の中間位置に合わせることで、揺動支点軸30の位置PZを変えることなく、両触針34,36によりベース上面51a、ゲージ上面52a、ゲージ下面54a、及びベース下面55aをトレースすることができる。その結果、校正値Sd,Su及び校正値ΔLV等を高精度に求めることができるので、各ベース51,55と各ブロックゲージ52,54の段差を用いた校正と、ゲージ上面52a及びゲージ下面54aを用いた校正と、を高精度に行うことができる。
なお、この場合には、ベース上面51a、ゲージ上面52a、ゲージ下面54a、及びベース下面55aの順番、或いはこの順番とは逆の順番でトレースを行うことで、スタイラス18の姿勢変化が最小限に抑えられるので、校正を短時間で行うことができる。
また、校正値Sd,Su及び校正値ΔLVのうち校正値ΔLVだけを求める場合、すなわち両触針34,36によりゲージ上面52a及びゲージ下面54aのトレースだけを行い、ベース上面51a及びベース下面55aのトレースを行わない場合には、ゲージ上面52aとゲージ下面54aとを基準に中央ブロックゲージ53の厚みを調整してもよい。この場合、中央ブロックゲージ53の厚み(間隔D2)、すなわちゲージ上面52aとゲージ下面54aとの間のZ軸方向の間隔を、スタイラス18のストローク幅LD2よりも小さく調整する。これにより、ゲージ上面52a及びゲージ下面54aを用いた校正を高精度に行うことができる。
<本実施形態の効果>
以上のように本実施形態の表面形状測定機10では、ピンゲージ50の直径DAの調整と、中央ブロックゲージ53の厚み(間隔D2)の調整と、位置PZの調整とを行うことで、ピンゲージ50を用いた校正と、各ベース51,55及び各ブロックゲージ52,54を用いた校正と、をそれぞれ揺動支点軸30の位置PZを固定して行うことができる。その結果、揺動支点軸30の位置PZを変える必要がある従来の校正法(図22、図24、図28参照)よりも、各校正を高精度に行うことができる。
[その他]
上記実施形態では、図20に示したステップS31からステップS36の順番で校正用ゲージユニット45の各部の測定を行っているが、各部を測定する測定順番は適宜変更してもよい。
<変形例1及び変形例2>
図25は、表面形状測定機10の校正方法の変形例1を示すフローチャートであり、図22は、表面形状測定機10の校正方法の変形例2を示すフローチャートである。上記実施形態では、校正用ゲージユニット45の各部の測定(図20のステップS31からステップS36)が全て完了した後で各校正値の算出を行っているが、校正値の算出は適宜タイミングで行ってもよい。
例えば図25に示すように、ピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bの測定後、校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ru,ΔLHの算出を行い(ステップS32A)、これら各校正値をベース上面51a、ゲージ上面52a、ベース下面55a、及びゲージ下面54aの各測定に反映させてもよい。これにより、スタイラス18(両触針34,36)の形状の正確性を踏まえた校正値Sd,Su,ΔLVの算出(ステップS37A)を行うことができる。
また、例えば図26に示すように、最初に下側ブロックゲージ52のゲージ上面52aの測定と、上側ブロックゲージ54のゲージ下面54aの測定とを行って、校正値ΔLVを算出した上で(ステップS30A,S30B,S30C)、この校正値ΔLVをピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50bの測定等に反映させてもよい。これにより、両触針34,36のZ軸方向の触針高さ(両触針34,36によって測定した測定データの相互のZ軸方向の空間精度)を合せた状態で、ピンゲージ50の上側表面50a及び下側表面50b等の測定を行うことができる。その結果、より高精度の校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ru,ΔLHを算出することができる(ステップS37B)。
<変形例3>
図27は、校正用ゲージユニット45の変形例を示した斜視図である。図27に示すように、本発明は、ピンゲージ50を用いる場合よりは校正の精度が低下するものの、既述の基準球100(本発明の校正部材に相当)を備える校正用ゲージユニット45を用いてスタイラス18の校正を行う場合にも適用できる。なお、図中の基準球100は、天板48の端部に設けられた基準球保持部91により挟持(保持)されているが、基準球100の保持方法は特に限定されない。そして、基準球100の直径をストローク幅LD1(図21参照)よりも小さくすると共に、揺動支点軸30のZ軸方向の位置PZを基準球100の中心位置に位置合わせすることで、上記実施形態と同様の効果が得られる。
上記実施形態では、校正値LHd,LVd,Rd,LHu,LVu,Ru,Sd,Su,ΔLH,ΔLVを算出しているが、これら各校正値の中から算出する校正値を選択するようにしてもよい。例えば、ピンゲージ50を用いた校正で算出される校正値LHd,LVd,LHu,LVuと、校正値Rd、Ruと、校正値ΔHとの中から少なくともいずれか1つ以上を算出してもよい。
上記実施形態では、送り装置16によりスタイラス18をX軸方向に移動させることにより、スタイラス18(両触針34,36)と、校正用ゲージユニット45及びワークW等の測定対象とをX軸方向に相対移動させているが、例えば測定台12をX軸方向に移動させることにより、スタイラス18と測定対象とをX軸方向に相対移動させてもよい。この場合、第2検出器22は、スタイラス18(アーム32)と測定対象とのX軸方向の相対移動として、測定台12のX軸方向の変位を検出する。
上記実施形態では、第1検出器20の検出結果以外に第2検出器22の検出結果を用いて測定及び校正を行っているが、例えば、送り装置16によるスタイラス18の移動速度が一定速度である場合には第2検出器22による検出を省略してもよい。
上記実施形態では、小穴9の内面を測定する表面形状測定機10の校正について説明したが、測定対象は特に限定されず、T字型のスタイラス18を有する各種表面形状測定機の校正に本発明を適用することができる。また、上記実施形態の校正用ゲージユニット45を用いて、T字型のスタイラス18のみならず、両触針34,36のいずれか一方のみを有するスタイラス、及び各種形状の触針を1又は複数有するスタイラスの校正を行うことができる。なお、本発明の校正装置は、データ処理装置37と校正用ゲージユニット45との双方を備えるものに限定されず、校正用ゲージユニット45単体で構成されていてもよい。
9…小穴,10…表面形状測定機,16…送り装置,18…スタイラス,20…第1検出器,22…第2検出器,30…揺動支点軸,32…アーム,34…下向き触針,36…上向き触針,37…データ処理装置,37C…演算処理部,45…校正用ゲージユニット,49…平面部,50…ピンゲージ,51…下側ベース,52…下側ブロックゲージ,53…中央ブロックゲージ,54…上側ブロックゲージ,55…上側ベース,56…校正部

Claims (11)

  1. 第1軸方向に平行な回転軸を支点として第1揺動方向と第2揺動方向とに揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ且つ前記第1揺動方向に向かって突出する第1触針及び前記第2揺動方向に向かって突出する第2触針と、前記第1触針及び前記第2触針の両触針の一方をワークに接触させた状態で、前記ワークに対して前記アームを第1軸方向に垂直な第2軸方向に相対移動させる移動機構と、前記アームの揺動による変位を検出する検出器と、を備える表面形状測定機の校正装置において、
    前記アームの前記第1揺動方向の揺動によって前記第1触針と接触する第1面であって、且つ前記第1軸方向及び前記第2軸方向の双方向に平行な第1面を有する第1ゲージと、
    前記アームの前記第2揺動方向の揺動によって前記第2触針と接触する前記双方向に平行な第2面であって、且つ前記第1面に対して前記双方向に垂直な第3軸方向に第1面間隔をあけて対向配置された第2面を有する第2ゲージと、
    を備え、
    前記アームが前記第1揺動方向に最も揺動した状態での前記第1触針の先端位置と、前記第2揺動方向に最も揺動した状態での前記第2触針の先端位置と、の前記第3軸方向の間隔を第1位置間隔とした場合、前記第1面間隔が前記第1位置間隔よりも狭く調整されている表面形状測定機の校正装置。
  2. 前記第1面の一部と前記第2面の一部との間に設けられ、前記第1面間隔に対応する厚みを有する中央ゲージを備える請求項1に記載の表面形状測定機の校正装置。
  3. 前記第1面と前記第2面との間の中間位置が、前記回転軸の前記第3軸方向の位置に一致している請求項1又は2に記載の表面形状測定機の校正装置。
  4. 前記第1面に前記第1触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第1面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第1面検出結果取得部と、
    前記第2面に前記第2触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第2面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第2面検出結果取得部と、
    前記第1面検出結果取得部及び前記第2面検出結果取得部がそれぞれ取得した前記検出結果に基づき、前記両触針の前記第3軸方向の触針高さの差を校正する第1校正部と、
    を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の表面形状測定機の校正装置。
  5. 前記第3軸方向の中で前記第1面から前記第2面に向かう側を第3軸方向一方側とし、前記第2面から前記第1面に向かう側を第3軸方向他方側とした場合、
    前記第1面に対して前記第2軸方向にずれた位置からさらに前記第1面に対して前記第3軸方向他方側に第2面間隔をあけた位置に設けられた第3面であって、前記アームの前記第1揺動方向の揺動によって前記第1触針と接触する前記双方向に平行な第3面を有する第1ベースと、
    前記第2面に対して前記第2軸方向にずれた位置からさらに前記第2面に対して前記第3軸方向一方側に第3面間隔をあけた位置に設けられた第4面であって、前記アームの前記第2揺動方向の揺動によって前記第2触針と接触する前記双方向に平行な第4面を有する第2ベースと、
    を備え、
    前記第1面間隔は、前記第3面と前記第4面との間の前記第3軸方向の間隔を、前記第1位置間隔よりも狭くする大きさに調整されている請求項1から4のいずれか1項に記載の表面形状測定機の校正装置。
  6. 前記第1面に前記第1触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第1面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第1面検出結果取得部と、
    前記第2面に前記第2触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第2面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第2面検出結果取得部と、
    前記第3面に前記第1触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第3面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第3面検出結果取得部と、
    前記第4面に前記第2触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記第4面に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器から検出結果を取得する第4面検出結果取得部と、
    前記第1面検出結果取得部及び前記第3面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出結果に基づき、前記第1触針に対応する前記検出器の感度を校正し、且つ前記第2面検出結果取得部及び前記第4面検出結果取得部がそれぞれ取得した検出結果に基づき、前記第2触針に対応する前記検出器の感度を校正する第2校正部と、
    を備える請求項5に記載の表面形状測定機の校正装置。
  7. 前記アームが前記第2揺動方向に最も揺動した状態での前記第1触針の先端位置と、前記第1揺動方向に最も揺動した状態での前記第2触針の先端位置と、の前記第3軸方向の間隔を第2位置間隔とした場合、
    前記第2位置間隔よりも直径の小さい基準球、又は前記第1軸方向に平行で且つ前記第2位置間隔よりも直径の小さいピンゲージを、校正部材として備える請求項1から6のいずれか1項に記載の表面形状測定機の校正装置。
  8. 前記校正部材の前記第3軸方向の中心位置が、前記回転軸の前記第3軸方向の位置に一致している請求項7に記載の表面形状測定機の校正装置。
  9. 前記校正部材に前記第1触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記校正部材に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器からそれぞれ検出結果を取得する第1曲面検出結果取得部と、
    前記校正部材に前記第2触針を接触させた状態で、前記移動機構により前記アームが前記校正部材に対して前記第2軸方向に相対移動されている間、前記検出器からそれぞれ検出結果を取得する第2曲面検出結果取得部と、
    前記第1曲面検出結果取得部及び前記第2曲面検出結果取得部がそれぞれ取得した前記検出器の検出結果に基づき、前記両触針の先端部形状と、前記支点に対する前記両触針の先端部位置と、前記両触針の先端部位置の前記第2軸方向の位置ずれと、の少なくともいずれか1つを校正する第3校正部と、
    を備える請求項7又は8に記載の表面形状測定機の校正装置。
  10. 第1軸方向に平行な回転軸を支点として第1揺動方向と第2揺動方向とに揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ且つ前記第1揺動方向に向かって突出する第1触針及び前記第2揺動方向に向かって突出する第2触針と、前記第1触針及び前記第2触針の両触針の一方をワークに接触させた状態で、前記ワークに対して前記アームを第1軸方向に垂直な第2軸方向に相対移動させる移動機構と、前記アームの揺動による変位を検出する検出器と、を備える表面形状測定機の校正装置において、
    基準球、又は前記第1軸方向に平行なピンゲージを校正部材として備え、
    第1揺動方向及び第2揺動方向の双方向に垂直な方向を第3軸方向とし、前記アームが前記第2揺動方向に最も揺動した状態での前記第1触針の先端位置と、前記第1揺動方向に最も揺動した状態での前記第2触針の先端位置と、の前記第3軸方向の間隔を第2位置間隔とした場合、前記校正部材の直径が前記第2位置間隔よりも小さい表面形状測定機の校正装置。
  11. 前記校正部材の前記第3軸方向の中心位置が、前記回転軸の前記第3軸方向の位置に一致している請求項10に記載の表面形状測定機の校正装置。
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