JP2018173289A - 振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体 - Google Patents

振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくすることのできる振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体を提供する。
【解決手段】本発明の振動デバイスは、基体と、前記基体に対して第1方向に変位可能な可動部と、前記可動部に配置されている可動電極部と、前記可動電極部と前記第1方向に間隔を隔てて配置されている固定電極部と、前記固定電極部を支持し、前記基体に対して前記第1方向に変位可能な支持部と、前記支持部が前記可動部に対して前記第1方向に変位し、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する状態維持部と、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体に関するものである。
従来から、ジャイロセンサー(角速度センサー)として、特許文献1に記載の構成が知られている。この特許文献1に記載のジャイロセンサーは、基体と、基体に固定された素子部と、を有している。また、素子部は、X軸方向に振動可能な枠状の振動部と、振動部の外側に設けられた可動駆動電極と、前記基体に固定され、前記可動駆動電極との間に静電引力を生じさせることで振動部をX軸方向に振動させる固定駆動電極と、振動部の内側に配置され、振動部に対してY軸方向に変位可能な可動部と、可動部に設けられた可動検出電極と、基体に固定され、可動検出電極との間に静電容量を形成している固定検出電極と、を有している。このようなジャイロセンサーでは、振動部をX軸方向に振動させた状態でZ軸まわりの角速度が加わると、コリオリ力によって変位部がY軸方向に変位し、可動検出電極と固定検出電極との間の静電容量が変化する。そのため、この静電容量の変化に基づいて、Z軸まわりの角速度を検出することができる。
特開2013−213728号公報
ここで、Z軸まわりの角速度を精度よく検出するためには、可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくし、これらの間の静電容量を大きくすることが有効である。しかしながら、シリコン基板をドライエッチングによりパターニングすることで素子部を形成する場合、ドライエッチングの装置側の制約によって可動検出電極と固定検出電極との最小離間距離が定められてしまい、可動検出電極と固定検出電極とをそれ以上近づけて配置することができない。したがって、特許文献1では、可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくすることが困難である。
本発明の目的は、可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくすることのできる振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の振動デバイスは、基体と、
前記基体に対して第1方向に変位可能な可動部と、
前記可動部に配置されている可動電極部と、
前記可動電極部と前記第1方向に間隔を隔てて配置されている固定電極部と、
前記固定電極部を支持し、前記基体に対して前記第1方向に変位可能な支持部と、
前記支持部が前記可動部に対して前記第1方向に変位し、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する状態維持部と、を有することを特徴とする。
これにより、自然状態に対して、可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくすることのできる振動デバイスが得られる。
本発明の振動デバイスでは、前記可動電極部と前記固定電極部との間に生じる静電引力により、前記支持部が前記可動部に対して前記第1方向に変位することが好ましい。
これにより、例えば、振動デバイスの駆動信号を利用することができるため、簡単に、可動部を支持部に対して第1方向に変位させることができる。
本発明の振動デバイスでは、前記状態維持部は、第1部分と、前記自然状態において前記第1部分に対して前記第1方向に離間して配置されている第2部分と、を有し、
前記自然状態において、前記第1部分と前記第2部分との離間距離は、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離よりも小さく、
前記第1部分および前記第2部分の少なくとも一方が他方に対して前記第1方向に変位し、前記第1部分および前記第2部分が当接することで、前記変位状態となることが好ましい。
これにより、可動電極部と固定電極部とが離間した状態を保ったままで、可動電極部と固定電極部との変位状態における離間距離を自然状態における離間距離よりも小さくすることができる。
本発明の振動デバイスでは、前記第1部分および前記第2部分は、当接した状態で固定されていることが好ましい。
これにより、振動デバイスの駆動中に、第1部分と第2部分とが離間してしまうことを、効果的に抑制することができる。
本発明の振動デバイスでは、前記基体に固定されている固定部と、
前記支持部が前記基体に対して前記第1方向に変位可能なように、前記固定部と前記支持部とを連結する第1ばね部と、を有し、
前記固定部および前記支持部の一方が前記第1部分を有し、他方が前記第2部分を有し、
前記第1ばね部を弾性変形させることで、前記第1部分と前記第2部分とが当接することが好ましい。
これにより、支持部および固定部を有効利用することができ、状態維持部を支持部および固定部とは別体とした場合と比べて、素子部の小型化を図ることができる。
本発明の振動デバイスでは、前記可動部を支持する可動部支持部と、
前記可動部支持部に対して前記可動部が前記第1方向に変位可能なように、前記可動部と前記可動部支持部とを接続する第2ばね部と、を有し、
前記第1ばね部の前記第1方向でのばね定数は、前記第2ばね部の前記第1方向でのばね定数よりも小さいことが好ましい。
これにより、例えば、前述のような静電引力を作用させた場合に、第2ばね部を弾性変形させずに可動部を自然状態に保ったまま、第1ばね部を弾性変形させて支持部を第1方向に変位させることができる。そのため、より確実に、変位状態における可動電極部と固定電極部との離間距離を小さくすることができる。
本発明の振動デバイスでは、前記固定電極部は、
前記可動電極部に対して前記第1方向の一方側に位置する第1固定電極部と、
前記可動電極部に対して前記第1方向の他方側に位置する第2固定電極部と、を有し、
前記支持部は、
前記第1固定電極部を支持する第1支持部と、
前記第2固定電極部を支持する第2支持部と、を有し、
前記状態維持部は、
前記第1支持部が前記可動部に対して前記第1方向の前記他方側に変位し、前記可動電極部と前記第1固定電極部との離間距離が前記自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第1状態維持部と、
前記第2支持部が前記可動部に対して前記第1方向の前記一方側に変位し、前記可動電極部と前記第2固定電極部との離間距離が前記自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第2状態維持部と、を有していることが好ましい。
このような構成とすることで、例えば、加速度、角速度等の物理量を受けて可動部が第1方向に変位すると、第1可動電極部と第1固定電極部との離間距離が縮まって、第2可動電極部と第2固定電極部との離間距離が広がるか、反対に、第1可動電極部と第1固定電極部との離間距離が広がって、第2可動電極部と第2固定電極部との離間距離が縮まる。そのため、第1固定電極部から得られる第1検出信号と第2固定電極部から得られる第2検出信号とを差動演算することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく、受けた物理量を検出することができる。
本発明の振動デバイスの製造方法は、基体と、
前記基体に対して第1方向に変位可能な可動部と、前記可動部に配置されている可動電極部と、前記可動電極部と前記第1方向に間隔を隔てて配置されている固定電極部と、前記固定電極部を支持し、前記基体に対して前記第1方向に変位可能な支持部と、を有する素子部と、を準備する工程と、
前記支持部を前記可動部に対して前記第1方向に変位させ、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、自然状態に対して、可動検出電極と固定検出電極との離間距離を小さくすることのできる振動デバイスが得られる。
本発明の振動デバイスの製造方法では、前記準備する工程は、基板を準備する工程と、前記基板に前記素子部の平面視形状に対応するマスクを配置する工程と、前記マスクを介して前記基板をパターニングする工程と、を含むことが好ましい。
これにより、素子部を比較的簡単に、かつ、優れた加工精度で形成することができる。
本発明の振動デバイスモジュールは、本発明の振動デバイスを有することを特徴とする。
これにより、本発明の振動デバイスの効果を享受でき、信頼性の高い振動デバイスモジュールが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の振動デバイスを有することを特徴とする。
これにより、本発明の振動デバイスの効果を享受でき、信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の移動体は、本発明の振動デバイスを有することを特徴とする。
これにより、本発明の振動デバイスの効果を享受でき、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の第1実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 自然状態の素子部を示す部分拡大平面図である。 図1に示す振動デバイスに印加する電圧の一例を示す図である。 図3に示す素子部の部分拡大平面図である。 変位状態の素子部を示す部分拡大平面図である。 変位状態の素子部の変形例を示す部分拡大平面図である。 図1に示す振動デバイスの製造工程を示すフローチャートである。 図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。 図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第2実施形態に係る振動デバイスの自然状態を示す部分拡大平面図である。 本発明の第3実施形態に係る振動デバイスの自然状態を示す平面図である。 本発明の第4実施形態に係る振動デバイスモジュールを示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第7実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第8実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
以下、本発明の振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る振動デバイスおよび振動デバイスの製造方法について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、自然状態の素子部を示す部分拡大平面図である。図4は、図1に示す振動デバイスに印加する電圧の一例を示す図である。図5は、図3に示す素子部の部分拡大平面図である。図6は、変位状態の素子部を示す部分拡大平面図である。図7は、変位状態の素子部の変形例を示す部分拡大平面図である。図8は、図1に示す振動デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図9ないし図11は、それぞれ、図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。図12および図13は、それぞれ、図1に示す振動デバイスの製造方法を説明するための平面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側および図2中の上側を「上」、図1中の紙面奥側および図2中の下側を「下」とも言う。また、各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。
図1に示す振動デバイス1は、物理量を検出する物理量センサーとして適用することができ、特に、本実施形態では、Z軸まわりの角速度ωzを検出することのできるジャイロセンサー(角速度センサー)である。このような振動デバイス1は、基体2と、蓋体3と、素子部4と、を有している。
図1に示すように、基体2は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、基体2は、素子部4と重なり、上面側に開放する凹部21を有している。このような凹部21は、素子部4と基体2との接触を防止(抑制)するための逃げ部として機能する。そして、基体2の上面に素子部4が接合されている。
このような基体2としては、例えば、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン(可動イオン)を含有するガラス材料(例えば、テンパックスガラス(登録商標)、パイレックスガラス(登録商標)のような硼珪酸ガラス)で構成されたガラス基板を用いることができる。これにより、例えば、後述するように、シリコン基板から形成された素子部4を陽極接合法により基体2に接合することができる。そのため、素子部4を基体2に強固に接合することができる。また、光透過性を有する基体2を得ることもできる。そのため、振動デバイス1の外側から基体2を介して内部を視認することができる。
ただし、基体2としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板やセラミックス基板を用いてもよい。なお、基体2としてシリコン基板を用いる場合は、短絡を防止する観点から、高抵抗のシリコン基板を用いるか、表面に熱酸化等によってシリコン酸化膜(絶縁性酸化物)を形成したシリコン基板を用いることが好ましい。
また、図1に示すように、基体2は、上面に開放する溝部22、23、24、25、26、27、28を有している。そして、溝部22、23、24、25、26、27、28には、それぞれ、配線72、73、74、75、76、77、78が設けられている。また、配線72、73、74、75、76、77、78の一端部は、それぞれ、蓋体3の外側に露出しており、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドPとして機能する。
配線72、73、74、75、76、77、78の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、Ti(チタン)、タングステン(W)等の金属材料、これら金属材料を含む合金、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、IGZO等の酸化物系の透明導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
図1に示すように、蓋体3は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、図2に示すように、蓋体3は、下面側(基体2側)に開放する凹部31を有している。このような蓋体3は、凹部31内に素子部4を収納するようにして、基体2の上面に接合されている。そして、蓋体3および基体2によって、その内側に素子部4を収納する収納空間Sが形成されている。
また、図2に示すように、蓋体3は、収納空間Sの内外を連通する連通孔32を有している。この連通孔32を介して、収納空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、連通孔32内には封止部材33が配置され、封止部材33によって連通孔32が気密封止されている。なお、収納空間Sは、減圧状態(好ましくは真空状態)であることが好ましい。これにより、粘性抵抗が減り、素子部4を効率的に振動(駆動)させることができる。
封止部材33としては、連通孔32を封止できれば、特に限定されず、例えば、金(Au)/錫(Sn)系合金、金(Au)/ゲルマニウム(Ge)系合金、金(Au)/アルミニウム(Al)系合金等の各種合金、低融点ガラス等のガラス材料等を用いることができる。
このような蓋体3としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、蓋体3としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。また、基体2と蓋体3との接合方法としては、特に限定されず、基体2や蓋体3の材料によって適宜選択すればよいが、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基体2の上面および蓋体3の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等が挙げられる。ただし、本実施形態では、図2に示すように、接合材の一例であるガラスフリット39(低融点ガラス)を介して基体2と蓋体3とが接合されている。
図1に示すように、素子部4は、収納空間Sに配置され、基体2の上面に接合されている。また、素子部4は、2つの構造体40(40a、40b)を有している。このような素子部4は、基体2の上面に接合され、例えばリン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をドライエッチング法(特にボッシュ法)によってパターニングすることで一体的に形成することができる。なお、このようなシリコン基板の基体2への接合方法としては、特に限定されず、例えば、陽極接合法を用いることができる。
2つの構造体40a、40bは、X軸方向に並んで設けられており、Y軸に沿う仮想直線αに対して対称となっている。また、各構造体40は、駆動部411と、駆動ばね部412と、固定部413と、可動駆動電極42と、固定駆動電極431、432と、駆動モニター電極44と、可動部451と、検出ばね部452と、可動検出電極461と、固定検出電極462と、支持部471と、固定部472と、ばね部473と、状態維持部49と、を有している。
図1に示すように、駆動部411は、矩形の枠状をなしている。また、駆動部411は、その四隅において駆動ばね部412を介して固定部413に接続されている。各固定部413は、基体2の上面に接合されており、これにより、駆動部411が基体2から浮いた状態で支持された状態となる。また、各駆動ばね部412は、X軸方向に弾性を有している。そのため、駆動部411は、駆動ばね部412をX軸方向に弾性変形させつつ、固定部413に対してX軸方向に変位可能となっている。なお、複数の固定部413の少なくとも1つは、配線72と電気的に接続されている。
可動駆動電極42は、駆動部411に設けられており、本実施形態では、駆動部411のY軸方向プラス側に2つ、Y軸方向マイナス側に2つ、計4つ設けられている。これら可動駆動電極42は、それぞれ、駆動部411からY軸方向に延出する支持部と、支持部からX軸方向両側に延出する複数の電極指とを備えた櫛歯形状となっている。なお、可動駆動電極42の形状、配置、数等は、特に限定されない。
固定駆動電極431、432は、基体2に接合(固定)されている。そして、1組の固定駆動電極431、432の間に1つの可動駆動電極42が位置している。これら固定駆動電極431、432は、それぞれ、Y軸方向に延在する支持部と、支持部からX軸方向一方側(可動駆動電極42側)に延出する複数の電極指と、を備えた櫛歯形状となっている。なお、固定駆動電極431、432の形状、配置、数等は、特に限定されない。
また、各固定駆動電極431は、配線73と電気的に接続されており、各固定駆動電極432は、配線74と電気的に接続されている。
例えば、配線72を介して図4に示す電圧V1を可動駆動電極42に印加し、配線73を介して図4に示す電圧V2を固定駆動電極431に印加し、配線74を介して図4に示す電圧V3を固定駆動電極432に印加する。なお、電圧V1は、GND基準(例えば、0.9V程度の電位)よりも大きい15V程度の定電圧であり、電圧V2、V3は、GND基準を中心とした矩形波である。ただし、電圧V1、V2、V3としては、特に限定されない。
これにより、駆動ばね部412をX軸方向に伸縮(弾性変形)させつつ、駆動部411をX軸方向に振動させることができる。ここで、構造体40aと構造体40bとでは、固定駆動電極431および固定駆動電極432の配置が対称である。そのため、2つの駆動部411は、互いに接近、離間するようにX軸方向に逆位相で振動する。これにより、2つの駆動部411の振動をキャンセルすることができ、振動漏れを低減することができる。なお、以下では、この振動モードを「駆動振動モード」とも言う。
なお、前述したように、本実施形態では、静電引力によって駆動部411をX軸方向に振動させる方式(静電駆動方式)となっているが、駆動部411をX軸方向に振動させる方法は、特に限定されず、圧電駆動方式や、磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することもできる。
また、図1に示すように、駆動モニター電極44は、対をなし、間に静電容量を形成する可動モニター電極441および固定モニター電極442を有している。可動モニター電極441は、駆動部411に設けられており、本実施形態では、駆動部411のX軸方向プラス側に2つ、X軸方向マイナス側に2つ、計4つ設けられている。これら可動モニター電極441は、それぞれ、駆動部411からY軸方向に延出する支持部と、支持部からX軸方向一方側(固定モニター電極442側)に延出する複数の電極指とを備えた櫛歯形状となっている。一方、固定モニター電極442は、基体2に固定されており、可動モニター電極441と対向して複数設けられている。これら固定モニター電極442は、それぞれ、Y軸方向に延在する支持部と、支持部からX軸方向一方側(可動モニター電極441側)に延出する複数の電極指とを備えた櫛歯形状となっている。
また、構造体40aが有する4つの固定モニター電極442のうちX軸方向プラス側に位置する2つの固定モニター電極442と、構造体40bが有する4つの固定モニター電極442のうちX軸方向マイナス側に位置する2つの固定モニター電極442は、それぞれ、配線75と電気的に接続されている。また、構造体40aが有する4つの固定モニター電極442のうちX軸方向マイナス側に位置する2つの固定モニター電極442と、構造体40bが有する4つの固定モニター電極442のうちX軸方向プラス側に位置する2つの固定モニター電極442は、それぞれ、配線76と電気的に接続されている。そして、これら配線部75、76を介して固定モニター電極442は、それぞれ、GNDに接続され、配線部72を介して可動モニター電極441には電圧V1が印加されている。これにより、可動モニター電極441と固定モニター電極442との間に静電容量が形成される。
前述したように、構造体40を駆動振動モードで振動させると、駆動部411のX軸方向の変位によって可動モニター電極441と固定モニター電極442とのギャップが変化し、それに伴って、可動モニター電極441と固定モニター電極442との間の静電容量が変化する。したがって、この静電容量の変化に基づいて、駆動部411の振動状態をモニターすることができる。
また、図1に示すように、可動部451は、駆動部411の内側に位置している。そして、可動部451は、Y軸方向の両端部において検出ばね部452を介して駆動部411に接続されている。また、各検出ばね部452は、Y軸方向に弾性を有している。そのため、可動部451は、検出ばね部452をY軸方向に伸縮(弾性変形)させつつ、駆動部411に対してY軸方向に変位可能となっている。ただし、検出ばね部452の形状、配置、数等としては、特に限定されない。
また、図3に示すように、可動検出電極461は、可動部451からX軸方向両側に延出し、Y軸方向に並んで複数配置されている。また、可動検出電極461は、第1可動検出電極461aと、第2可動検出電極461bと、を有している。第1可動検出電極461aは、可動部451のY軸方向プラス側の部分からX軸方向マイナス側へ延出し、可動部451のY軸方向マイナス側の部分からX軸方向プラス側へ延出している。一方、第2可動検出電極461bは、可動部451のY軸方向プラス側の部分からX軸方向プラス側へ延出し、可動部451のY軸方向マイナス側の部分からX軸方向マイナス側へ延出している。
また、固定検出電極462は、各可動検出電極461に対してY軸方向に対向配置されている。また、固定検出電極462は、第1可動検出電極461aと対向配置された第1固定検出電極462aと、第2可動検出電極461bと対向配置された第2固定検出電極462bと、を有している。また、第1固定検出電極462aは、対応する第1可動検出電極461aに対してY軸方向プラス側に位置している。一方、第2固定検出電極462bは、対応する第2可動検出電極461bに対してY軸方向マイナス側に位置している。
ただし、可動検出電極461および固定検出電極462の構成や配置としては、これらがY軸方向に対向して配置されていれば、特に限定されない。すなわち、例えば、可動検出電極461が第1可動検出電極461aだけを有し、固定検出電極462が第1固定検出電極462aだけを有していてもよい。
また、支持部471は、Y軸方向プラス側に位置する複数の第1固定検出電極462aを支持する第1支持部471aと、Y軸方向マイナス側に位置する複数の第1固定検出電極462aを支持する第1支持部471aと、Y軸方向プラス側に位置する複数の第2固定検出電極462bを支持する第2支持部471bと、Y軸方向マイナス側に位置する複数の第2固定検出電極462bを支持する第2支持部471bと、を有している。これら第1支持部471aおよび第2支持部471bは、それぞれ、Y軸方向の両端部においてばね部473を介して固定部472に接続されている。図2に示すように、各固定部472は、凹部21の底面から突出するマウント部M3の上面に接合されており、これにより、第1支持部471aおよび第2支持部471bが基体2から浮いた状態で支持された状態となる。また、各ばね部473は、Y軸方向に弾性を有している。そのため、第1支持部471aおよび第2支持部471bは、ばね部473をY軸方向に弾性変形させつつ、基体2に対してY軸方向に変位可能となっている。
また、構造体40aが有する各第1固定検出電極462aおよび構造体40bが有する各第2固定検出電極462bは、配線77と電気的に接続されており、構造体40aが有する各第2固定検出電極462bおよび構造体40bが有する各第1固定検出電極462aは、配線78と電気的に接続されている。そのため、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの間および第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとの間にそれぞれ静電容量が形成されている。
前述した駆動振動モードで2つの駆動部411を振動させている際に、角速度ωzが加わると、コリオリ力が働き、可動部451が検出ばね部452を弾性変形させつつ駆動部411に対してY軸方向に振動する(以下、この振動モードを「検出振動モード」とも言う)。これにより、可動検出電極461と固定検出電極462とのギャップが変化し、これらの間の静電容量が変化する。そのため、この静電容量の変化量を検出することで、角速度ωzを求めることができる。
ここで、検出振動モードでは、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとのギャップが縮まると、第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとのギャップが広がり、逆に、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとのギャップが広がると、第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとのギャップが縮まる。そのため、配線77から得られる第1検出信号と配線78から得られる第2検出信号とを差動演算することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく、角速度ωzを検出することができる。
以上、素子部4の構成について簡単に説明した。次に、振動デバイス1の特徴の1つである状態維持部49について説明する。状態維持部49は、固定検出電極462が自然状態に対してY軸方向に変位した状態を維持し、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離を自然状態と比べて小さくする機能を有している。なお、自然状態とは、素子部4に実質的に変形が生じていない状態を言う。言い換えると、後述する製造方法でも説明するように、シリコン基板をドライエッチング法によってパターニングして得られたそのままの状態を言う。
図5に示すように、状態維持部49は、第1状態維持部49aと、第2状態維持部49bと、を有している。第1状態維持部49aは、第1支持部471aが自然状態に対してY軸方向マイナス側に変位した状態を維持し、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの離間距離を自然状態と比べて小さくする機能を有する。一方、第2状態維持部49bは、第2支持部471bが自然状態に対してY軸方向プラス側に変位した状態を維持し、第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとの離間距離を自然状態と比べて小さくする機能を有する。
第1状態維持部49aは、第1部分491と、自然状態において第1部分491に対してY軸方向マイナス側に離間して配置された第2部分492と、を有している。また、第1部分491および第2部分492は、第1支持部471aが固定部472に対してY軸方向に変位した際に、互いの離間距離D2が変化する場所に設けられている。後に説明するが、本実施形態では、第1部分491が第1支持部471aに設けられており、第2部分492が固定部472に設けられている。
また、図5に示すように、自然状態において、第1部分491と第2部分492との離間距離D2は、第1可動検出電極461aとこれと対をなして隣接する第1固定検出電極462a(以下同じ)との離間距離D1よりも小さい。そのため、図6に示すように、可動部451を自然状態に対してY軸方向マイナス側に変位させて第1部分491と第2部分492とを当接させ、この状態(以下「変位状態」とも言う。)を維持することで、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとが離間した状態を保ったままで、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの離間距離D1’を離間距離D1よりも小さくすることができる。なお、離間距離D1’は、D1−D2(>0)となり、自然状態の離間距離D1と比べて離間距離D2だけ小さくなる。振動デバイス1の駆動中この変位状態を維持することで、自然状態と比べて第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの間の静電容量が大きくなり、検出信号の強度も上がる。そのため、振動デバイス1によれば、精度よく角速度ωzを検出することができる。
すなわち、D1>D2であるため、D1−D2=D1’>0となり、よって、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとは接触しない。これにより、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの短絡を防止することができる。このような観点からすれば、第1部分491および第2部分492は、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの接触を防止するストッパーとしての機能を有しているとも言える。
ここで、離間距離D2としては、特に限定されず、製造時に用いるドライエッチング装置の性能によっても異なるが、例えば、1.0μm以上2.0μm程度とすることができる。これにより、離間距離D2を十分に小さくすることができ、第1支持部471aのY軸方向マイナス側への変位によって第1部分491と第2部分492とをより確実に当接させることができる。一方、離間距離D1としては、離間距離D2よりも大きければ、特に限定されないが、例えば、2.0μm以上3.0μm以下とすることができる。これにより、離間距離D1’を十分に小さくすることができ、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの間の静電容量を十分に大きくすることができる。
また、素子部4の製造に用いるドライエッチング装置で形成可能な第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの最小離間距離をD3としたとき、D3>D1−D2(=D1’)の関係を満足することが好ましい。これにより、離間距離D1’をドライエッチング装置の製造限界を超えて小さくすることができる。よって、振動デバイス1によれば、より精度よく、角速度ωzを検出することができる。
図5および図6に示すように、第1状態維持部49aの第1部分491は、第1支持部471aに設けられ、第2部分492は、固定部472に設けられている。特に、本実施形態では、第1支持部471aが第1部分491を兼ねており、固定部472が第2部分492を兼ねている。これにより、第1部分491および第2部分492を第1支持部471aおよび固定部472とは別体とした場合と比べて、素子部4の小型化を図ることができる。
また、第1状態維持部49aは、第1支持部471aのY軸方向両側に一対設けられており、これら第1状態維持部49aは、共に、第1支持部471aが自然状態からY軸方向マイナス側に変位すると、第1部分491および第2部分492が当接するようになっている。したがって、一方の第1状態維持部49aにおける第1部分491と第2部分492との当接と、他方の第1状態維持部49aにおける第1部分491と第2部分492との当接と、を同時に行うことができる。
第2状態維持部49bは、第1部分491と、自然状態において第1部分491に対してY軸方向プラス側に離間して配置された第2部分492と、を有している。また、第1部分491および第2部分492は、第2支持部471bが固定部472に対してY軸方向に変位した際に、互いの離間距離D2が変化する場所に設けられている。このような第2状態維持部49bは、前述した第1状態維持部49aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
以上、状態維持部49について説明した。次に、第1部分491と第2部分492とを当接させる方法について説明する。前述したように、振動デバイス1が駆動している状態では、固定検出電極462がGNDに接続され、可動検出電極461には15V程度の電圧V1が印加される(図4参照)。そのため、固定検出電極462と可動検出電極461との間に静電引力が生じる。この静電引力によって、第1支持部471aがY軸方向マイナス側(第1固定検出電極462a側)に変位し、図6に示すように、第1部分491が第2部分492に当接する。同様に、この静電引力によって、第2支持部471bがY軸方向プラス側(第2固定検出電極462b側)に変位し、図6に示すように、第1部分491が第2部分492に当接する。なお、振動デバイス1を駆動させている最中は、常に前記静電引力が生じているため、第1部分491と第2部分492とが当接した状態が維持される。そのため、振動デバイス1の駆動中に第1部分491と第2部分492とが離間して、可動検出電極461と固定検出電極462との間の静電容量が変化してしまうことを抑制することができる。
このような方法によれば、振動デバイス1を駆動することで第1部分491と第2部分492とが自然と当接し、かつ、その状態が維持される。そのため、第1部分491と第2部分492との当接を簡単に行うことができる。なお、このような方法を実現するには、ばね部473を、固定検出電極462と可動検出電極461との間に生じる静電引力によって弾性変形する程度に柔らかく設計することが必要である。また、検出ばね部452を、固定検出電極462と可動検出電極461との間に生じる静電引力によっては弾性変形しない程度に硬く設計することが好ましい。すなわち、ばね部473のY軸方向のばね定数が、検出ばね部452のY軸方向のばね定数よりも小さいことが好ましい。これにより、可動検出電極461を自然状態に保ったまま、固定検出電極462だけをY軸方向に変位させることができる。そのため、より確実に、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離を自然状態と比べて小さくすることができる。
ここで、振動デバイス1の駆動を停止し、前記静電引力が消滅した際に、ばね部473の復元力によって第1部分491と第2部分492とが離間して自然状態に復帰してもよい。また、第1部分491と第2部分492とが接触することで、そのままこれらが貼り付いた状態となる「スティッキング」が生じ、ばね部473の復元力に抗して第1部分491と第2部分492とが当接した状態が維持されてもよい。また、第1部分491と第2部分492とが離間しないように、これらを溶融、接着剤等によって接合してもよい。すなわち、第1部分491と第2部分492とを当接させた状態で固定してもよい。これにより、振動デバイス1の駆動中における第1部分491と第2部分492との離間が防止される。なお、この場合には、第1部分491と第2部分492とを固定した後は、ばね部473が不要となるため、図7に示すように、ばね部473の一部または全部を除去してもよい。
なお、第1部分491と第2部分492とを当接させる方法としては、前述した方法に限定されない。例えば、振動デバイス1を駆動させる際に印加する電圧とは異なる電圧を可動検出電極461と固定検出電極462との間に印加し、これらの間に生じる静電引力を利用して第1部分491と第2部分492とを当接させ、これらをスティッキングさせて固定してもよいし、溶融、接着剤等によって接合してもよい。このような方法によれば、例えば、駆動中よりも強い静電引力を発生させることができるため、第1部分491と第2部分492とをより確実に当接させることができる。
また、例えば、支持部471を直接押圧してY軸方向に変位させることで、第1部分491と第2部分492とを当接させ、これらをスティッキングさせて固定してもよいし、溶融、接着剤等によって接合してもよい。
以上、振動デバイス1について説明した。このような振動デバイス1は、前述したように、基体2と、基体2に対してY軸方向(第1方向)に変位可能な可動部451と、可動部451に配置されている可動検出電極461(可動電極部)と、可動検出電極461とY軸方向に間隔を隔てて配置されている固定検出電極462(固定電極部)と、固定検出電極462を支持し、基体2に対してY軸方向に変位可能な支持部471と、支持部471が可動部451に対してY軸方向に変位し、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離D1’が自然状態(離間距離D1)と比べて小さくなる変位状態を維持する状態維持部49と、を有している。これにより、自然状態と比べて可動検出電極461と固定検出電極462との間の静電容量が大きくなり、検出信号の強度も上がる。そのため、振動デバイス1によれば、精度よく角速度ωzを検出することができる。
また、前述したように、振動デバイス1では、可動検出電極461と固定検出電極462との間に生じる静電引力により、支持部471が可動部451に対してY軸方向に変位する。これにより、例えば、振動デバイス1の駆動信号(電圧V1、V2、V3)を利用することができるため、簡単に、支持部471を可動部451に対してY軸方向に変位させることができる。
また、前述したように、状態維持部49は、第1部分491と、自然状態において第1部分491に対してY軸方向に離間して配置されている第2部分492と、を有している。また、自然状態において、第1部分491と第2部分492との離間距離D2は、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離D1よりも小さい。また、第1部分491および第2部分492の少なくとも一方が他方に対してY軸方向に変位し、第1部分491および第2部分492が当接することで、変位状態となる。これにより、可動検出電極461と固定検出電極462とが離間した状態を保ったままで、可動検出電極461と固定検出電極462との変位状態における離間距離D1’を自然状態における離間距離D1よりも小さくすることができる。
なお、前述した構成では、第1部分491が第2部分492に対してY軸方向に変位し、第1部分491および第2部分492が当接することで、変位状態となるが、これに限定されない。例えば、第2部分492が第1部分491に対してY軸方向に変位し、第1部分491および第2部分492が当接することで、変位状態となってもよい。また、第1部分491および第2部分492が互いに接近するように共にY軸方向に変位し、第1部分491および第2部分492が当接することで、変位状態となってもよい。
また、前述したように、第1部分491および第2部分492は、当接した状態で固定されていてもよい。これにより、振動デバイス1の駆動中に、第1部分491と第2部分492とが離間してしまうことを、効果的に抑制することができる。
また、前述したように、基体2に固定されている固定部472と、支持部471が基体2に対してY軸方向に変位可能なように、固定部472と支持部471とを連結するばね部473(第1ばね部)と、を有している。また、固定部472および支持部471の一方が第1部分491を有し、他方が第2部分492を有している。そして、ばね部473を弾性変形させることで、第1部分491と第2部分492とが当接する。これにより、支持部471および固定部472を有効利用することができ、状態維持部49を支持部471および固定部472とは別体とした場合と比べて、素子部4の小型化を図ることができる。
また、前述したように、振動デバイス1は、可動部451を支持する駆動部411(可動部支持部)と、駆動部411に対して可動部451がY軸方向に変位可能なように、可動部451と駆動部411とを接続する検出ばね部452(第2ばね部)と、を有している。そして、ばね部473のY軸方向でのばね定数は、検出ばね部452のY軸方向でのばね定数よりも小さい。これにより、例えば、前述のような静電引力を作用させた場合に、検出ばね部452を弾性変形させずに可動部451を自然状態に保ったまま、ばね部473を弾性変形させて支持部471をY軸方向に変位させることができる。そのため、より確実に、変位状態における可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離を小さくすることができる。
また、前述したように、固定検出電極462は、可動検出電極461に対してY軸方向のプラス側(一方側)に位置する第1固定検出電極462a(第1固定電極部)と、可動検出電極461に対してY軸方向のマイナス側(他方側)に位置する第2固定検出電極462b(第2固定電極部)と、を有している。また、支持部471は、第1固定検出電極462aを支持する第1支持部471aと、第2固定検出電極462bを支持する第2支持部471bと、を有している。また、状態維持部49は、第1支持部471aが可動部451に対してY軸方向のマイナス側に変位し、可動検出電極461(第1可動検出電極461a)と第1固定検出電極462aとの離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第1状態維持部49aと、第2支持部471bが可動部451に対してY軸方向のプラス側に変位し、可動検出電極461(第2可動検出電極461b)と第2固定検出電極462bとの離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第2状態維持部49bと、を有している。このような構成とすることで、可動部451がY軸方向に変位すると、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの離間距離が縮まって、第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとの離間距離が広がるか、反対に、第1可動検出電極461aと第1固定検出電極462aとの離間距離が広がって、第2可動検出電極461bと第2固定検出電極462bとの離間距離が縮まる。そのため、第1固定検出電極462aから得られる第1検出信号と第2固定検出電極462bから得られる第2検出信号とを差動演算することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく、角速度ωzを検出することができる。
次に、振動デバイス1の製造方法について説明する。図8に示すように、振動デバイス1の製造方法は、素子部4を準備する素子部準備工程と、素子部4を変位状態とする支持部変位工程と、蓋体3を配置する蓋体配置工程と、を有している。なお、以下に示す図9ないし図11では、説明の便宜上、基体2に配置された溝部22、23、24、25、26、27、28および配線72、73、74、75、76、77、78の図示を省略している。
[素子部準備工程]
まず、図9に示すように、素子部4の母材であり、リン、ボロン等の不純物がドープ(拡散)されたシリコン基板からなる基板400を基体2の上面に接合する。なお、基体2と基板400との接合方法としては、特に限定されず、例えば、陽極接合法を用いることができる。次に、必要に応じてCMP(化学機械研磨)を用いて基板400を薄肉化する。
次に、図10に示すように、基板400の上面に素子部4の平面視形状に対応したマスクMを配置する。なお、マスクMの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiNO)等を用いることができる。また、マスクMの形成方法としては、特に限定されず、例えば、基板400の上面を熱酸化することでシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜を、フォトリソグラフィー技法とエッチング技法とを用いてパターニングする方法が挙げられる。
次に、図11に示すように、マスクMを介して基板400をエッチングし、素子部4を形成し、その後、マスクMを除去する。エッチング方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、シリコンディープエッチング装置を用いたドライエッチング(ボッシュ法)を用いている。具体的には、SFとCとを交互に流すことで、基板400の上面側から等方性エッチング、保護膜成膜および異方向性エッチングという工程を繰り返して、基板400を掘り進めることで素子部4を形成する。このような形成方法によれば、エッチングで形成された貫通孔の側面が基板400の上面に対して略垂直となるため、貫通孔の開口面積を小さくすることができる。また、アスペクト比の高い貫通孔を形成することができる。そのため、基板400をより細密に加工することができる。なお、以下では、このようにして得られたままの状態を素子部4の自然状態ともいう。
[支持部変位工程]
次に、可動検出電極461と固定検出電極462との間に電圧を印加し、これらの間に静電引力を発生させる。そして、この静電引力によって、第1支持部471aがY軸方向マイナス側に変位すると共に、第2支持部471bがY軸方向プラス側に変位する。これにより、図12に示すように、各状態維持部49において第1部分491と第2部分492とが当接した変位状態となる。この変位状態では、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離が自然状態と比べて小さくなる。
次に、図13に示すように、第1部分491と第2部分492との当接部分にレーザーLを照射し、当該部分を溶融することで、第1部分491と第2部分492とを接合(固定)する。これにより、第1部分491と第2部分492との離間を抑制することができる。ただし、第1部分491と第2部分492とを固定する方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤によって固定してもよいし、第1部分491と第2部分492とが貼り付く現象であるスティッキングを用いて固定してもよい。
なお、この工程では、さらに、ばね部473の少なくとも一部を除去してもよい。
[蓋体配置工程]
次に、蓋体3を準備し、ガラスフリット39を用いて蓋体3を基体2に接合する。これにより、収納空間Sが形成されると共に、収納空間Sに素子部4が収納される。次に、蓋体3の連通孔32内に球状の封止部材33を配置し、連通孔32と封止部材33との隙間を介して収納空間Sを所望の雰囲気に置換する。次に、封止部材33にレーザーを照射して、封止部材33を溶融させることで連通孔32を封止する。これにより、所望の雰囲気に置換された状態で、収納空間Sが封止される。以上により、図1に示す振動デバイス1が得られる。
以上、振動デバイス1の製造方法について説明した。このような振動デバイス1の製造方法は、前述したように、基体2と、基体2に対してY軸方向に変位可能な可動部451と、可動部451に配置されている可動検出電極461と、可動検出電極461とY軸方向に間隔を隔てて配置されている固定検出電極462と、固定検出電極462を支持し、基体2に対してY軸方向に変位可能な支持部471と、を有する素子部4と、を準備する工程と、支持部471を可動部451に対してY軸方向に変位させ、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する工程と、を含んでいる。このような製法によって製造された振動デバイス1では、自然状態と比べて可動検出電極461と固定検出電極462との間の静電容量が大きくなり、検出信号の強度も上がる。そのため、振動デバイス1によれば、精度よく角速度ωzを検出することができる。また、例えば、マスクMの配置ずれに起因して、自然状態において、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離D1や第1部分491と第2部分492との離間距離D2が設計値からずれてしまう場合がある。しかしながら、これら離間距離D1、D2の設計値からのずれ量がほぼ同じとなるため、変位状態とすることで、そのずれをキャンセルすることができる。よって、変位状態では、可動検出電極461と固定検出電極462との離間距離D1’を設計値により近づけることができる。
また、前述したように、素子部4を準備する工程(素子部準備工程)は、基板400を準備する工程と、基板400に素子部4の平面視形状に対応するマスクMを配置する工程と、マスクMを介して基板400をパターニングする工程と、を含んでいる。これにより、素子部4を比較的簡単に、かつ、優れた加工精度で形成することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る振動デバイスについて説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係る振動デバイスの自然状態を示す部分拡大平面図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態に係る振動デバイスは、第1部分491および第2部分492の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態とほぼ同様である。なお、図14では、前述した実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
図14に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、第1部分491は、支持部471からY軸方向に延出して設けられている。また、第2部分492は、固定部472と別体として設けられ、基体2に固定されていると共に、第1部分491とY軸方向に間隔を隔てて配置されている。このように、第2部分492を固定部472と別体とすることで、第1部分491および第2部分492の形状や配置の自由度が増す。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る振動デバイスについて説明する。
図15は、本発明の第3実施形態に係る振動デバイスの自然状態を示す平面図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態に係る振動デバイスは、素子部5の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態とほぼ同様である。なお、図15では、前述した実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
図15に示す振動デバイス1は、物理量を検出する物理量センサーとして適用することができ、特に、本実施形態では、Y軸方向の加速度Ayを検出することのできる加速度センサーである。このような振動デバイス1は、基体2と、蓋体3と、素子部5と、を有している。
図15に示すように、基体2は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、基体2は、上面側に開放する凹部21を有している。このような凹部21は、素子部5と基体2との接触を防止(抑制)するための逃げ部として機能する。そして、基体2の上面に素子部5が接合されている。
また、基体2は、上面に開放する溝部22、23、24を有している。そして、溝部22、23、24には、それぞれ、配線72、73、74が設けられている。また、配線72、73、74の一端部は、それぞれ、蓋体3の外側に露出しており、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドPとして機能する。
なお、本実施形態の収納空間Sは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されて、使用温度(−40℃〜120℃程度)で、ほぼ大気圧となっていることが好ましい。収納空間Sを大気圧とすることで、粘性抵抗が増してダンピング効果が発揮され、素子部5(後述する可動部52)の振動を速やかに収束させることができる。そのため、振動デバイス1の加速度Ayの検出精度が向上する。
図15に示すように、素子部5は、固定部51(可動部支持部)と、可動部52と、検出ばね部53(第2ばね部)と、可動検出電極54(可動電極部)と、固定検出電極55(固定電極部)と、支持部56と、固定部57と、ばね部58と、状態維持部59と、を有している。このような素子部5は、基体2の上面に接合され、例えばリン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をドライエッチング法(特にボッシュ法)によってパターニングすることで一体的に形成することができる。なお、このようなシリコン基板の基体2への接合方法としては、特に限定されず、例えば、陽極接合法を用いることができる。
固定部51は、素子部5のほぼ中央部に位置している。そして、固定部51は、凹部21の底面から突出するマウント部M1に固定されている。なお、固定部51は、配線72と電気的に接続されている。このような固定部51は、その両端部において、検出ばね部53を介して可動部52と接続されている。検出ばね部53は、Y軸方向に弾性変形可能であり、検出ばね部53が弾性変形することで、可動部52が固定部51に対してY軸方向に変位する。
可動部52は、枠状をなしており、その内側に素子部5の各部が配置されている。このように、可動部52を枠状とすることで、可動部52の質量をより大きくすることができる。そのため、可動部52が、受けた加速度Ayに対して敏感に反応して可動するようになり、振動デバイス1の感度を向上させることができる。
可動検出電極54は、可動部52に配置され、開口部521内に位置する第1可動検出電極541と、可動部52に配置され、開口部522内に位置する第2可動検出電極542と、を有している。また、第1、第2可動検出電極541、542は、それぞれ、X軸方向に延在しており、Y軸方向に沿って複数配置されている。なお、可動検出電極54には、配線72を介して前述した電圧V1が印加されている(図4参照)。ただし、可動検出電極54に印加する電圧としては、特に限定されない。
固定検出電極55は、各可動検出電極54に対してY軸方向に対向配置されている。また、固定検出電極55は、第1可動検出電極541と対向配置された第1固定検出電極551と、第2可動検出電極542と対向配置された第2固定検出電極552と、を有している。また、第1固定検出電極551は、対応する第1可動検出電極541に対してY軸方向マイナス側に位置している。一方、第2固定検出電極552は、対応する第2可動検出電極542に対してY軸方向プラス側に位置している。
支持部56は、各第1固定検出電極551を支持する第1支持部561と、各第2固定検出電極552を支持する第2支持部562と、を有している。また、第1支持部561および第2支持部562は、それぞれ、そのY軸方向の中央部においてばね部58を介して固定部57に接続されている。各固定部57は、凹部21の底面から突出するマウント部M2に固定されている。これにより、第1支持部561および第2支持部562が基体2から浮いた状態で支持された状態となる。また、各ばね部58は、Y軸方向に弾性を有している。そのため、第1支持部561および第2支持部562は、それぞれ、ばね部58をY軸方向に弾性変形させつつ、基体2に対してY軸方向に変位可能となっている。
また、第1支持部561を支持する固定部57は、配線73と電気的に接続されており、第2支持部562を支持する固定部57は、配線74と電気的に接続されている。また、第1固定検出電極551および第2固定検出電極552は、それぞれ、配線73、74を介してGNDに接続される(図4参照)。これにより、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551との間および第2可動検出電極542と第2固定検出電極552との間にそれぞれ静電容量が形成されている。
このような振動デバイス1に加速度Ayが加わると、その加速度Ayの大きさに基づいて、可動部52が検出ばね部53を弾性変形させながらX軸方向に変位する。このような変位に伴って、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551とのギャップおよび第2可動検出電極542と第2固定検出電極552とのギャップがそれぞれ変化し、この変位に伴って、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551との間の静電容量および第2可動検出電極542と第2固定検出電極552との間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。そのため、これら静電容量の変化に基づいて加速度Ayを検出することができる。
状態維持部59は、第1状態維持部59aと、第2状態維持部59bと、を有している。第1状態維持部59aは、第1支持部561が自然状態に対してY軸方向プラス側に変位した状態を維持し、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551との離間距離を自然状態と比べて小さくする機能を有する。一方、第2状態維持部59bは、第2支持部562が自然状態に対してY軸方向マイナス側に変位した状態を維持し、第2可動検出電極542と第2固定検出電極552との離間距離を自然状態と比べて小さくする機能を有する。
第1状態維持部59aは、第1部分591と、自然状態において第1部分591に対してY軸方向マイナス側に離間して配置された第2部分592と、を有している。また、自然状態において、第1部分591と第2部分592との離間距離D2は、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551との離間距離D1よりも小さい。そのため、第1支持部561を自然状態に対してY軸方向プラス側に変位させて第1部分591と第2部分592とを当接させ、この状態(以下「変位状態」とも言う。)を維持することで、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551とが離間した状態を保ったままで、第1可動検出電極541と第1固定検出電極551との離間距離を自然状態よりも小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第1部分591は、固定部57に設けられ、第2部分592は、第1支持部561に設けられている。ただし、第1部分591および第2部分592の配置としては、特に限定されない。
第2状態維持部59bは、第1部分591と、自然状態において第1部分591に対してY軸方向プラス側に離間して配置された第2部分592と、を有している。このような第2状態維持部59bは、前述した第1状態維持部59aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
前述したように、振動デバイス1が駆動している状態では、固定検出電極55がGNDに接続され、可動検出電極54には15V程度の電圧V1が印加される(図4参照)。そのため、固定検出電極55と可動検出電極54との間に静電引力が生じる。この静電引力によって、第1支持部561がY軸方向プラス側に変位し、第2部分592が第1部分591に当接する。同様に、この静電引力によって、第2支持部562がY軸方向マイナス側に変位し、第2部分592が第1部分591に当接する。なお、振動デバイス1を駆動させている最中は、常に前記静電引力が生じているため、第1部分591と第2部分592とが当接した状態が維持される。そのため、振動デバイス1の駆動中に第1部分591と第2部分592とが離間して、可動検出電極54と固定検出電極55との間の静電容量が変化してしまうことを抑制することができる。なお、前述した第1実施形態と同様に、第1部分591と第2部分592とを当接させる方法としては、特に限定されない。
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る振動デバイスモジュールについて説明する。
図16は、本発明の第4実施形態に係る振動デバイスモジュールを示す断面図である。
図16に示すように、振動デバイスモジュール1000は、ベース基板1010と、ベース基板1010上に設けられた振動デバイス1と、振動デバイス1上に設けられた回路素子1020(IC)と、振動デバイス1と回路素子1020とを電気的に接続するボンディングワイヤーBW1と、ベース基板1010と回路素子1020とを電気的に接続するボンディングワイヤーBW2と、振動デバイス1および回路素子1020をモールドするモールド部1030と、を有している。なお、振動デバイス1としては、例えば、前述した第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの構成のものを用いることができる。
ベース基板1010は、振動デバイス1を支持する基板であり、例えば、インターポーザー基板である。このようなベース基板1010の上面には複数の接続端子1011が配置されており、下面には複数の実装端子1012が配置されている。また、ベース基板1010内には、図示しない内部配線が配置されており、この内部配線を介して、各接続端子1011が、対応する実装端子1012と電気的に接続されている。このようなベース基板1010としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板、セラミック基板、樹脂基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板等を用いることができる。
また、振動デバイス1は、基体2を下側(ベース基板1010側)に向けてベース基板1010上に配置されている。そして、振動デバイス1は、接合部材を介してベース基板1010に接合されている。
また、回路素子1020は、振動デバイス1上に配置されている。そして、回路素子1020は、接合部材を介して振動デバイス1の蓋体3に接合されている。また、回路素子1020は、ボンディングワイヤーBW1を介して振動デバイス1の各電極パッドPと電気的に接続され、ボンディングワイヤーBW2を介してベース基板1010の接続端子1011と電気的に接続されている。このような回路素子1020には、振動デバイス1を駆動する駆動回路や、振動デバイス1からの出力信号に基づいて角速度を検出する検出回路や、検出回路からの信号を所定の信号に変換して出力する出力回路等が、必要に応じて含まれている。
また、モールド部1030は、振動デバイス1および回路素子1020をモールドしている。これにより、振動デバイス1や回路素子1020を水分、埃、衝撃等から保護することができる。モールド部1030としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、トランスファーモールド法によってモールドすることができる。
以上のような振動デバイスモジュール1000は、振動デバイス1を有している。そのため、振動デバイス1の効果を享受でき、信頼性の高い振動デバイスモジュール1000が得られる。
なお、振動デバイスモジュール1000の構成としては、上記の構成に限定されず、例えば、振動デバイス1がセラミックパッケージに収納された構成となっていてもよい。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る電子機器について説明する。
図17は、本発明の第5実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図17に示すモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100は、本発明の振動デバイスを備える電子機器を適用したものである。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、角速度センサーとして機能する振動デバイス1が内蔵されている。なお、振動デバイス1としては、例えば、前述した第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの構成のものを用いることができる。
このようなパーソナルコンピューター1100(電子機器)は、振動デバイス1を有している。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る電子機器について説明する。
図18は、本発明の第6実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図18に示す携帯電話機1200(PHSも含む)は、本発明の振動デバイスを備える電子機器を適用したものである。この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、角速度センサーとして機能する振動デバイス1が内蔵されている。なお、振動デバイス1としては、例えば、前述した第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの構成のものを用いることができる。
このような携帯電話機1200(電子機器)は、振動デバイス1を有している。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る電子機器について説明する。
図19は、本発明の第7実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図19に示すデジタルスチールカメラ1300は、本発明の振動デバイスを備える電子機器を適用したものである。この図において、ケース(ボディー)1302の背面には表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラ1300には、角速度センサーとして機能する振動デバイス1が内蔵されている。なお、振動デバイス1としては、例えば、前述した第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの構成のものを用いることができる。
このようなデジタルスチールカメラ1300(電子機器)は、振動デバイス1を有している。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態のパーソナルコンピューターおよび携帯電話機、本実施形態のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等に適用することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る移動体について説明する。
図20は、本発明の第8実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図20に示す自動車1500は、本発明の振動デバイスを備える移動体を適用した自動車である。この図において、自動車1500には、角速度センサーとして機能する振動デバイス1が内蔵されており、振動デバイス1によって車体1501の姿勢を検出することができる。振動デバイス1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。なお、振動デバイス1としては、例えば、前述した第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの構成のものを用いることができる。
このような自動車1500(移動体)は、振動デバイス1を有している。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、振動デバイス1は、他にも、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
また、移動体としては、自動車1500に限定されず、例えば、飛行機、ロケット、人工衛星、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
以上、本発明の振動デバイス、振動デバイスの製造方法、振動デバイスモジュール、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、素子部が2つの構造体を有する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、素子部が1つの構造体を有する構成であってもよい。この場合でも、1つの構造体中に、第1固定電極部および第2固定電極部が含まれるため、第1固定電極部から得られる第1検出信号と第2固定電極部から得られる第2検出信号とを差動演算することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく、受けた物理量を検出することができる。
また、前述した実施形態では、振動デバイスがZ軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサーである構成およびY軸方向の加速度を検出する加速度センサーである構成について説明したが、振動デバイスとしては、特に限定されず、例えば、X軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサーであってもよいし、Y軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサーであってもよい。また、X軸方向の加速度を検出する加速度センサーであってもよいし、Z軸方向の加速度を検出する加速度センサーであってもよい。また、振動デバイスを物理量センサーとして利用する場合、振動デバイスが検出する物理量としては、角速度および加速度に限定されず、例えば、圧力等であってもよい。また、振動デバイスは、物理量センサーに限定されず、例えば、発振器等に用いられる振動子、MEMSスイッチ等であってもよい。
1…振動デバイス、2…基体、21…凹部、22、23、24、25、26、27、28…溝部、3…蓋体、31…凹部、32…連通孔、33…封止部材、39…ガラスフリット、4…素子部、40、40a、40b…構造体、400…基板、411…駆動部、412…駆動ばね部、413…固定部、42…可動駆動電極、431、432…固定駆動電極、44…駆動モニター電極、441…可動モニター電極、442…固定モニター電極、451…可動部、452…検出ばね部、461…可動検出電極、461a…第1可動検出電極、461b…第2可動検出電極、462…固定検出電極、462a…第1固定検出電極、462b…第2固定検出電極、471…支持部、471a…第1支持部、471b…第2支持部、472…固定部、473…ばね部、49…状態維持部、49a…第1状態維持部、49b…第2状態維持部、491…第1部分、492…第2部分、5…素子部、51…固定部、52…可動部、521、522…開口部、53…検出ばね部、54…可動検出電極、541…第1可動検出電極、542…第2可動検出電極、55…固定検出電極、551…第1固定検出電極、552…第2固定検出電極、56…支持部、561…第1支持部、562…第2支持部、57…固定部、58…ばね部、59…状態維持部、59a…第1状態維持部、59b…第2状態維持部、591…第1部分、592…第2部分、72、73、74、75、76、77、78…配線、1000…振動デバイスモジュール、1010…ベース基板、1011…接続端子、1012…実装端子、1020…回路素子、1030…モールド部、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1108…表示部、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1208…表示部、1300…デジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1500…自動車、1501…車体、1502…車体姿勢制御装置、1503…車輪、Ay…加速度、BW1、BW2…ボンディングワイヤー、D1、D1’、D2…離間距離、L…レーザー、M…マスク、M1、M2、M3…マウント部、P…電極パッド、S…収納空間、V1、V2、V3…電圧、α…仮想直線、ωz…角速度

Claims (12)

  1. 基体と、
    前記基体に対して第1方向に変位可能な可動部と、
    前記可動部に配置されている可動電極部と、
    前記可動電極部と前記第1方向に間隔を隔てて配置されている固定電極部と、
    前記固定電極部を支持し、前記基体に対して前記第1方向に変位可能な支持部と、
    前記支持部が前記可動部に対して前記第1方向に変位し、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する状態維持部と、を有することを特徴とする振動デバイス。
  2. 前記可動電極部と前記固定電極部との間に生じる静電引力により、前記支持部が前記可動部に対して前記第1方向に変位する請求項1に記載の振動デバイス。
  3. 前記状態維持部は、第1部分と、前記自然状態において前記第1部分に対して前記第1方向に離間して配置されている第2部分と、を有し、
    前記自然状態において、前記第1部分と前記第2部分との離間距離は、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離よりも小さく、
    前記第1部分および前記第2部分の少なくとも一方が他方に対して前記第1方向に変位し、前記第1部分および前記第2部分が当接することで、前記変位状態となる請求項1または2に記載の振動デバイス。
  4. 前記第1部分および前記第2部分は、当接した状態で固定されている請求項3に記載の振動デバイス。
  5. 前記基体に固定されている固定部と、
    前記支持部が前記基体に対して前記第1方向に変位可能なように、前記固定部と前記支持部とを連結する第1ばね部と、を有し、
    前記固定部および前記支持部の一方が前記第1部分を有し、他方が前記第2部分を有し、
    前記第1ばね部を弾性変形させることで、前記第1部分と前記第2部分とが当接する請求項3または4に記載の振動デバイス。
  6. 前記可動部を支持する可動部支持部と、
    前記可動部支持部に対して前記可動部が前記第1方向に変位可能なように、前記可動部と前記可動部支持部とを接続する第2ばね部と、を有し、
    前記第1ばね部の前記第1方向でのばね定数は、前記第2ばね部の前記第1方向でのばね定数よりも小さい請求項5に記載の振動デバイス。
  7. 前記固定電極部は、
    前記可動電極部に対して前記第1方向の一方側に位置する第1固定電極部と、
    前記可動電極部に対して前記第1方向の他方側に位置する第2固定電極部と、を有し、
    前記支持部は、
    前記第1固定電極部を支持する第1支持部と、
    前記第2固定電極部を支持する第2支持部と、を有し、
    前記状態維持部は、
    前記第1支持部が前記可動部に対して前記第1方向の前記他方側に変位し、前記可動電極部と前記第1固定電極部との離間距離が前記自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第1状態維持部と、
    前記第2支持部が前記可動部に対して前記第1方向の前記一方側に変位し、前記可動電極部と前記第2固定電極部との離間距離が前記自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する第2状態維持部と、を有している請求項2ないし4のいずれか1項に記載の振動デバイス。
  8. 基体と、
    前記基体に対して第1方向に変位可能な可動部と、前記可動部に配置されている可動電極部と、前記可動電極部と前記第1方向に間隔を隔てて配置されている固定電極部と、前記固定電極部を支持し、前記基体に対して前記第1方向に変位可能な支持部と、を有する素子部と、を準備する工程と、
    前記支持部を前記可動部に対して前記第1方向に変位させ、前記可動電極部と前記固定電極部との離間距離が自然状態と比べて小さくなる変位状態を維持する工程と、を含むことを特徴とする振動デバイスの製造方法。
  9. 前記準備する工程は、基板を準備する工程と、前記基板に前記素子部の平面視形状に対応するマスクを配置する工程と、前記マスクを介して前記基板をパターニングする工程と、を含む請求項8に記載の振動デバイスの製造方法。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動デバイスを有することを特徴とする振動デバイスモジュール。
  11. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動デバイスを有することを特徴とする電子機器。
  12. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動デバイスを有することを特徴とする移動体。
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