JP2018173031A - タービンハウジング及びターボチャージャ - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制しつつ軽量化を実現可能なタービンハウジングを提供する。【解決手段】タービンロータを収容するためのタービンハウジングであって、排ガスの入口が形成された入口フランジと、入口から流入した排ガスをタービンロータに導くよう構成された板金製のインナーハウジングと、インナーハウジングを通過した排ガスの出口が形成された出口フランジと、タービンロータを回転可能に支持する軸受を収容する軸受ハウジングに連結される軸受連結フランジと、インナーハウジングの外側に設けられた複数の支持部を含み、入口フランジ、出口フランジ及び軸受連結フランジを複数の支持部によって連結するよう構成されたアウターフレームと、を備える。【選択図】 図1

Description

本開示は、タービンハウジング及びターボチャージャに関する。
従来、エンジンから導入される排ガスのエネルギーを利用してタービンホイールを回転させ、このタービンホイールと同軸上に設けられているコンプレッサホイールを回転させることで吸気マニホールドに加圧空気を供給し、これにより出力の向上を図るターボチャージャが知られている。
また、ターボチャージャにおけるタービンハウジングの熱容量低減(エンジン始動時における排ガス浄化用触媒の昇温時間の短縮)や軽量化等のために、板金製のタービンハウジングが提案されている。
特許文献1には、渦巻状のスクロール部が配設されたタービンハウジングを、板金製の内側ハウジングと鋳造製の外側ハウジングとの二重構造で構成することが記載されている。また、かかる構成により、ターボチャージャの剛性及びコンテイメント性(損傷した内部部品の外部への飛び出しを防止する遮蔽性)を確保するとともに、内側ハウジングから漏れた排ガスのタービン外部への流出を外側ハウジングによって防ぐことができる旨が記載されている。
特開平11‐229815号公報
特許文献1に記載のタービンハウジングによれば、二重構造における内側ハウジングを板金製とすることにより、タービンハウジングのうち排ガスに面する部分の熱容量を小さくすることができるが、内側ハウジング全体を覆うように外側ハウジングが設けられているため、タービンの重量を増大させる要因となっていた。
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制しつつ軽量化を実現可能なタービンハウジング及びこれを備えるターボチャージャを提供することである。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るタービンハウジングは、タービンロータを収容するためのタービンハウジングであって、排ガスの入口が形成された入口フランジと、前記入口から流入した前記排ガスを前記タービンロータに導くよう構成された板金製のインナーハウジングと、前記インナーハウジングを通過した前記排ガスの出口が形成された出口フランジと、前記タービンロータを回転可能に支持する軸受を収容する軸受ハウジングに連結される軸受連結フランジと、前記インナーハウジングの外側に設けられた複数の支持部を含み、前記入口フランジ、前記出口フランジ及び前記軸受連結フランジを前記複数の支持部によって連結するよう構成されたアウターフレームと、を備える。
上記(1)に記載のタービンハウジングによれば、板金製のインナーハウジングを用いることによって、タービンハウジングのうち排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制し、エンジン始動時における排ガス浄化用触媒の昇温時間を短縮することができる。
また、アウターフレームは、インナーハウジングの外側に設けられた複数の支持部によって入口フランジ、出口フランジ及び軸受連結フランジを連結しているため、特許文献1に記載されるような内側ハウジング全体を覆う外側ハウジングを設ける場合と比較して、タービンハウジングの軽量化及び低コスト化を実現することができる。
また、複数の支持部はインナーハウジングの外側に設けられていてインナーハウジングの内側を通る高温の排ガスに直接触れないため、アウターフレームの温度上昇を抑制することができ、アウターフレームの材料強度を高く保つことができる。したがって、アウターフレームの材料選択の自由度が高いというメリットもある。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のタービンハウジングにおいて、前記複数の支持部は、前記入口フランジと前記出口フランジとを連結するよう構成された第1支持部、前記入口フランジと前記軸受連結フランジとを連結するよう構成された第2支持部、及び、前記出口フランジと前記軸受連結フランジとを連結するよう構成された第3支持部、のうち、2種以上の支持部を含む。
上記(2)に記載のタービンハウジングによれば、上述の第1支持部、第2支持部及び第3支持部のうち2種以上の支持部によって、入口フランジ、出口フランジ及び軸受連結フランジを連結し、タービンハウジングの剛性を高めるとともに軽量化を実現することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のタービンハウジングにおいて、前記アウターフレームを構成する材料は、前記インナーハウジングを構成する材料よりも耐酸化性に劣る。
上記(3)に記載のタービンハウジングでは、複数の支持部はインナーハウジングの外側に設けられていてインナーハウジングの内側を通る高温の排ガスに直接触れないため、インナーハウジングを構成する材料よりも耐酸化性に劣る低級材をアウターフレームに使用しても、アウターフレームの腐食は生じにくい。したがって、タービンハウジングに要求される性能を満たしつつタービンハウジングの低コスト化を実現することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかに記載のタービンハウジングにおいて、前記インナーハウジングの外周面に沿って配置された断熱部を更に備える。
インナーハウジングは、高温の排ガスによって短時間で昇温するため、インナーハウジングから外部への輻射熱の熱量は大きくなりやすい。そこで、上記(4)に記載のように、インナーハウジングの外周面に沿って配置された断熱部を設けることにより、輻射熱に起因するタービン性能の低下を抑制することができる。また、アウターフレームとともに断熱部を設けることで、断熱部の形状や剛性の自由度が高くなり、断熱部の施工が容易となる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載のタービンハウジングにおいて、前記断熱部は、シート材を含む。
上記(5)に記載のタービンハウジングによれば、インナーハウジングの外周面の広い範囲をシート材によって容易に覆うことができ、インナーハウジングからの輻射熱を効果的に断熱することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)又は(5)に記載のタービンハウジングにおいて、前記断熱部は、繊維系の断熱材を含む。
上記(6)に記載のタービンハウジングによれば、繊維系の断熱材が内部に空気を含むため、重量の増大を抑制しつつインナーハウジングからの輻射熱を効果的に断熱することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載のタービンハウジングにおいて、前記インナーハウジングのスクロール部の少なくとも一部を覆うように構成された防護壁部を更に備える。
上記(7)に記載のタービンハウジングによれば、スクロール部の少なくとも一部を覆う防護壁部によって、ターボチャージャのコンテイメント性(損傷した内部部品の外部への飛び出しを防止する遮蔽性)を高めることができる。これにより、タービン翼がバーストしてもタービン翼の破片がタービンハウジングの外部へ飛び出すことを防止することができる。また、アウターフレームと防護壁部との併用により、防護壁部を必要な部分にのみ設けることができるため、タービンハウジングの軽量化及び低コスト化を実現することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載のタービンハウジングにおいて、前記防護壁部は、前記タービンロータの周方向における全周に亘って前記スクロール部を覆うように構成される。
上記(8)に記載のタービンハウジングによれば、全周に亘ってスクロール部を覆う防護壁部によって、ターボチャージャのコンテイメント性を一層高めることができる。これにより、タービン翼がバーストしてもタービン翼の破片がタービンハウジングの外部へ飛び出すことを効果的に防止することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)又は(8)に記載のタービンハウジングにおいて、前記防護壁部は前記支持部に支持される。
上記(9)に記載のタービンハウジングによれば、タービン翼がバーストしてタービン翼の破片が防護壁部に衝突した場合に、防護壁部が受けた荷重が支持部に伝達され、タービン翼の破片を防護壁部及びアウターフレームによって効果的に受け止めることができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載のタービンハウジングにおいて、前記アウターフレームと前記防護壁部とは、同一材料で一体的に形成される。
上記(10)に記載のタービンハウジングによれば、アウターフレームと防護壁部とを同一材料で一体的に形成することにより、タービンハウジングの部品点数を削減するとともにタービンハウジングの優れた製造性を実現することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかに記載のタービンハウジングにおいて、前記インナーハウジングのうち前記タービンロータのタービン翼の先端に対向するシュラウド部を前記インナーハウジングの外側から支持するよう構成されたシュラウド保持部を更に備える。
インナーハウジングは板金製で変形しやすいため、高速回転するタービンロータのタービン翼の先端とインナーハウジングとの接触リスクや、タービン翼の先端とシュラウド部とのクリアランスの増大によるタービン性能の低下リスクがある。そこで、上記(11)に記載のように、インナーハウジングの外側から支持するよう構成されたシュラウド保持部を設けることにより、インナーハウジングのシュラウド部の変形を抑制し、上記二つのリスクを低減することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載のタービンハウジングにおいて、前記シュラウド保持部を構成する材料は、前記アウターフレームを構成する材料よりも高温強度が高い。
上記(11)に記載の構成では、シュラウド保持部はインナーハウジングの外側からシュラウド部を支持するため、高温となるシュラウド部からの伝熱の影響を受けやすい。そこで、上記(12)に記載のように、シュラウド保持部を構成する材料の高温強度を、アウターフレームを構成する材料の高温強度より高くすることにより、シュラウド保持部の熱変形を抑制しつつ、アウターフレームに比較的安価な材料を使用して低コスト化を図ることができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)又は(12)に記載のタービンハウジングにおいて、前記シュラウド保持部は前記支持部に支持される。
上記(13)に記載のタービンハウジングによれば、タービンハウジングの構成を簡素化することができる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載のタービンハウジングにおいて、前記アウターフレームと前記シュラウド保持部とは、同一材料で一体的に形成される。
上記(14)に記載のタービンハウジングによれば、アウターフレームとシュラウド保持部とを同一材料で一体的に形成することにより、タービンハウジングの部品点数を削減するとともにタービンハウジングの優れた製造性を実現することができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボチャージャは、タービンロータと、上記(1)乃至(14)の何れかに記載のタービンハウジングとを備える。
上記(14)に記載のターボチャージャによれば、上記(1)乃至(14)の何れかに記載のタービンハウジングを備えるため、板金製のインナーハウジングを用いることによって、タービンハウジングのうち排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制し、エンジン始動時における排ガス浄化用触媒の昇温時間を短縮することができる。また、ターボチャージャの軽量化及び低コスト化を実現することができる。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制しつつ軽量化を実現可能なタービンハウジング及びこれを備えるターボチャージャが提供される。
一実施形態に係るターボチャージャ2(2A)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。 ターボチャージャ2(2A)におけるタービンハウジング6の構成例を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係るターボチャージャ2(2B)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。 一実施形態に係るターボチャージャ2(2C)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。 一実施形態に係るターボチャージャ2(2D)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。 シュラウド保持部48の構成の一例を示す拡大図である。 シュラウド保持部48の構成の他の一例を示す拡大図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係るターボチャージャ2(2A)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。図2は、ターボチャージャ2(2A)におけるタービンハウジング6の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、ターボチャージャ2は、タービンロータ4、タービンロータ4を収容するタービンハウジング6、タービンロータ4を回転可能に支持する軸受8、及び軸受8を収容する軸受ハウジング10を備える。
タービンロータ4は、ハブ12及びハブ12の外周面に設けられた複数のタービン翼14を含む。タービンハウジング6は、入口フランジ16、インナーハウジング18、出口フランジ20、軸受連結フランジ22、及びアウターフレーム24を含む。入口フランジ16には、排ガスの入口26が形成されており、不図示のエンジンの排ガスが入口26から流入するように構成されている。
インナーハウジング18は、板金製であり、入口フランジ16の入口26から流入した排ガスをタービンロータ4のタービン翼14に導くよう構成されている。インナーハウジング18は、タービンロータ4の外周側に設けられたスクロール部28と、タービン翼14の先端30に対向するシュラウド部32と、タービン翼14を通過した排ガスを出口フランジ20に形成された排ガスの出口34に導く出口側筒状部36とを含む。図示する例示的形態では、インナーハウジング18のスクロール部28は、入口フランジ16に溶接等の方法で固定されており、インナーハウジング18の出口側筒状部36は、出口フランジ20に溶接等の方法で固定されている。
上記のように、板金製のインナーハウジング18を用いることによって、タービンハウジング6のうち排ガスに面する部分の熱容量の増大を抑制し、エンジン始動時における排ガス浄化用触媒(不図示)の昇温時間を短縮することができる。
出口フランジ20には、排ガスの出口34が形成されており、インナーハウジング18を通過した排ガスが出口34から排出されるよう構成される。軸受連結フランジ22は、軸受ハウジング10に設けられた軸受側フランジ23に締結具38によって締結され、これによりタービンハウジング6と軸受ハウジング10とが連結される。
次に、図1及び図2を用いてアウターフレーム24の構成について説明する。図2は、タービンハウジング6の構成例を模式的に示す斜視図である。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、アウターフレーム24は、インナーハウジング18の外側に設けられた複数の支持部42を含み、入口フランジ16、出口フランジ20及び軸受連結フランジ22を複数の支持部42によって連結するよう構成されている。
また、アウターフレーム24は、インナーハウジング18の外側に設けられた複数の支持部42によって入口フランジ16、出口フランジ20及び軸受連結フランジ22を連結しているため、特許文献1に記載されるような内側ハウジング全体を覆う外側ハウジングを設ける場合と比較して、タービンハウジング6の軽量化及び低コスト化を実現することができる。
また、複数の支持部42はインナーハウジング18の外側に設けられていてインナーハウジング18の内側を通る高温の排ガスに直接触れないため、アウターフレーム24の温度上昇を抑制することができ、アウターフレーム24の材料強度を高く保つことができる。したがって、アウターフレーム24の材料選択の自由度が高いというメリットもある。なお、アウターフレーム24は、入口フランジ16、出口フランジ20及び軸受連結フランジ22の各々に対し、例えば鋳造によって一体的に形成してもよいし、溶接によって接合してもよいし、ボルト等の締結具によって固定してもよい。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、複数の支持部42は、入口フランジ16と出口フランジ20とを連結するよう構成された柱状の第1支持部42a、入口フランジ16と軸受連結フランジ22とを連結するよう構成された柱状の第2支持部42b、及び、出口フランジ20と軸受連結フランジ22とを連結するよう構成された柱状の第3支持部42c、のうち、2種以上の支持部42を含む。図2に示す例示的形態では、複数の支持部42は、第1支持部42a、第2支持部42b及び第3支持部42cを含む。
このように、第1支持部42a、第2支持部42b及び第3支持部42cのうち2種以上の支持部42によって、入口フランジ16、出口フランジ20及び軸受連結フランジ22を連結することで、タービンハウジング6の剛性を高めるとともに軽量化を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、複数の支持部42は、出口フランジ20と軸受連結フランジ22とを連結するよう構成された複数の柱状の第3支持部42cを含み、複数の第3支持部42cは、タービンロータ4の周方向に間隔をあけて配置されている。また、複数の支持部42は、インナーハウジング18のスクロール部28の外周面40に沿ってタービンロータ4の周方向に延在する複数の柱状の第4支持部42dを含み、第4支持部42は、互いに隣接する二つの第3支持部42cを連結するように、タービンロータ4の周方向に順に配置されている。また、複数の支持部42は、複数の第3支持部42のうち入口フランジ16に隣接する第3支持部42cと入口フランジ16とを連結するように、インナーハウジング18のスクロール部28の外周面40に沿って延在する柱状の第5支持部42eを含む。
このように、第1〜第5支持部42(42〜42e)によって入口フランジ16、出口フランジ20及び軸受連結フランジ22を連結することで、タービンハウジング6の剛性を高めるとともに軽量化を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すタービンハウジング6において、アウターフレーム24を構成する材料は、インナーハウジング18を構成する材料よりも耐酸化性及び耐熱性に劣る。例えば、インナーハウジング18を構成する材料としてオーステナイト系ステンレス鋼等の耐熱鋼を使用し、アウターフレーム24を構成する材料としてインナーハウジング18の構成材料よりもニッケル含有量の低いステンレス鋼、アルミニウム、又は樹脂等の耐熱性の低い材料を使用してもよい。
複数の支持部42を含むアウターフレーム24はインナーハウジング18の外側に設けられていてインナーハウジング18の内側を通る高温の排ガスに直接触れないため、上記のようにインナーハウジング18を構成する材料よりも耐酸化性に劣る低級材をアウターフレーム24に使用しても、アウターフレーム24の腐食は生じにくい。したがって、タービンハウジング6に要求される性能を満たしつつタービンハウジング6の低コスト化を実現することができる。
次に、図3〜図5を用いてターボチャージャ2の幾つかの変形例について説明する。図3は、一実施形態に係るターボチャージャ2(2B)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。図4は、一実施形態に係るターボチャージャ2(2C)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。図5は、一実施形態に係るターボチャージャ2(2D)の回転軸線Oに沿った模式的な概略断面図である。
以下で説明するターボチャージャ2(2B〜2D)は、上述したターボチャージャ2(2A)と基本的構成は同様であるが、タービンハウジング6が更なる付加的構成を有する点が異なる。以下の変形例では、ターボチャージャ2(2A)の各構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、各変形例の特徴的な構成を中心に説明する。
幾つかの実施形態では、図3に示すように、タービンハウジング6は、インナーハウジング18の外周面40に沿って配置された断熱部44を備える。
インナーハウジング18は、高温の排ガスによって短時間で昇温するため、インナーハウジング18から外部への輻射熱の熱量は大きくなりやすい。そこで、上記のように、インナーハウジング18の外周面40に沿って配置された断熱部44を設けることにより、輻射熱に起因するタービン性能の低下を抑制することができる。また、アウターフレーム24とともに断熱部44を設けることで、断熱部44の形状や剛性の自由度が高くなり、断熱部44の施工が容易となる。
幾つかの実施形態では、図3に示す構成において、断熱部44はステンレス又はアルミニウム等の金属製のシート材を含む。かかる構成によれば、インナーハウジング18の外周面40の広い範囲をシート材によって容易に覆うことができ、インナーハウジング18からの輻射熱を効果的に断熱することができる。
幾つかの実施形態では、図3に示す構成において、断熱部44は、セラミックファイバー等の繊維系の断熱材を含む。かかる構成によれば、繊維系の断熱材が内部に空気を含むため、重量の増大を抑制しつつインナーハウジング18からの輻射熱を効果的に断熱することができる。
幾つかの実施形態では、図4に示すように、タービンハウジング6は、インナーハウジング18のスクロール部28の少なくとも一部を覆うように構成された防護壁部46を備える。図示する形態では、タービンロータ4の軸方向における防護壁部46の存在範囲S1とタービンロータ4の軸方向におけるタービン翼14の存在範囲S2とが少なくとも部分的に重複するように、防護壁部46が設けられている。
かかる構成によれば、スクロール部28の少なくとも一部を覆う防護壁部46によって、ターボチャージャ2のコンテイメント性(損傷した内部部品の外部への飛び出しを防止する遮蔽性)を高めることができる。これにより、タービン翼14がバーストしてもタービン翼14の破片がタービンハウジング6の外部へ飛び出すことを防止することができる。また、複数の支持部42と防護壁部46との併用により、防護壁部46を必要な部分にのみ設けることができるため、タービンハウジング6の軽量化及び低コスト化を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図4に示す構成において、防護壁部46は、タービンロータ4の周方向における全周に亘ってスクロール部28を覆うように構成される。
かかる構成によれば、全周に亘ってスクロール部28を覆う防護壁部46によって、ターボチャージャ2のコンテイメント性を一層高めることができる。これにより、タービン翼14がバーストしてもタービン翼14の破片がタービンハウジング6の外部へ飛び出すことを効果的に防止することができる。
幾つかの実施形態では、図4に示すように、防護壁部46は支持部42に支持される。図示する例示的形態では、防護壁部46は、第2支持部42bに片持ち支持される。
かかる構成によれば、タービン翼14がバーストしてタービン翼14の破片が防護壁部46に衝突した場合に、防護壁部46が受けた荷重が支持部42に伝達され、タービン翼14の破片を防護壁部46及び支持部42によって効果的に受け止めることができる。
幾つかの実施形態では、図4に示す構成において、アウターフレーム24と防護壁部46とは、同一材料で一体的に形成される。かかる構成によれば、タービンハウジング6の優れた製造性を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図5に示すように、タービンハウジング6は、インナーハウジング18のうちタービンロータ4のタービン翼14の先端30に対向するシュラウド部32をインナーハウジング18の外側から支持するよう構成されたシュラウド保持部48を備える。
インナーハウジング18は板金製で変形しやすいため、高速回転するタービンロータ4のタービン翼14の先端30とインナーハウジング18のシュラウド部32との接触リスクや、タービン翼14の先端30とシュラウド部32とのクリアランスの増大によるタービン性能の低下リスクがある。そこで、上記のように、インナーハウジング18の外側から支持するよう構成されたシュラウド保持部48を設けることにより、インナーハウジング18のシュラウド部32の変形を抑制し、上記二つのリスクを低減することができる。
幾つかの実施形態では、図5に示す構成において、シュラウド保持部48を構成する材料は、アウターフレーム24を構成する材料よりも高温強度が高い。例えば、シュラウド保持部48を構成する材料としてオーステナイト系ステンレス鋼等の耐熱鋼を使用し、アウターフレーム24を構成する材料としてインナーハウジング18の構成材料よりもニッケル含有量の低いステンレス鋼、アルミニウム、又は樹脂等の耐熱性の低い材料を使用してもよい。
図5に示す構成では、シュラウド保持部48はインナーハウジング18の外側からシュラウド部32を支持するため、高温となるシュラウド部32からの伝熱の影響を受けやすい。そこで、上記のように、シュラウド保持部48を構成する材料の高温強度を、アウターフレーム24を構成する材料の高温強度より高くすることにより、シュラウド保持部48の熱変形を抑制しつつ、アウターフレーム24に比較的安価な材料を使用して低コスト化を図ることができる。
幾つかの実施形態では、図5に示すように、シュラウド保持部48は支持部42に支持される。図示する例示的形態では、シュラウド保持部48は、第1支持部42aに片持ち支持される。かかる構成によれば、タービンハウジング6の構成を簡素化することができる。
幾つかの実施形態では、図5に示す構成において、複数の支持部42とシュラウド保持部48とは、同一材料で一体的に形成される。かかる構成によれば、タービンハウジング6の部品点数を削減するとともにタービンハウジング6の優れた製造性を実現することができる。
図6は、シュラウド保持部48の構成の一例を示す拡大図である。図7は、シュラウド保持部48の構成の他の一例を示す拡大図である。
幾つかの実施形態では、図6に示すように、インナーハウジング18のシュラウド部32とシュラウド保持部48との間に断熱部50を設けて、断熱部50を構成する材料に、シュラウド保持部48を構成する材料よりも高温強度が高い材料を使用してもよい。これにより、高温となるシュラウド部32からの伝熱の影響をシュラウド保持部48が受けにくくなる。
幾つかの実施形態では、図7に示すように、シュラウド保持部48のうちシュラウド部32と当接する部分52の表面に複数の凸凹形状54を設けて、シュラウド保持部48とシュラウド部32との接触面積が小さくなるよう構成してもよい。これにより、高温となるシュラウド部32からの伝熱の影響をシュラウド保持部48が受けにくくなる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
2 ターボチャージャ
4 タービンロータ
6 タービンハウジング
8 軸受
10 軸受ハウジング
12 ハブ
14 タービン翼
16 入口フランジ
18 インナーハウジング
20 出口フランジ
22 軸受連結フランジ
23 軸受側フランジ
24 アウターフレーム
26 入口
28 スクロール部
30 先端
32 シュラウド部
34 出口
36 出口側筒状部
38 締結具
40 外周面
42 支持部
42a 第1支持部
42b 第2支持部
42c 第3支持部
42d 第4支持部
42e 第5支持部
44 断熱部
46 防護壁部
48 シュラウド保持部
50 断熱部
52 当接する部分
54 凸凹形状

Claims (15)

  1. タービンロータを収容するためのタービンハウジングであって、
    排ガスの入口が形成された入口フランジと、
    前記入口から流入した前記排ガスを前記タービンロータに導くよう構成された板金製のインナーハウジングと、
    前記インナーハウジングを通過した前記排ガスの出口が形成された出口フランジと、
    前記タービンロータを回転可能に支持する軸受を収容する軸受ハウジングに連結される軸受連結フランジと、
    前記インナーハウジングの外側に設けられた複数の支持部を含み、前記入口フランジ、前記出口フランジ及び前記軸受連結フランジを前記複数の支持部によって連結するよう構成されたアウターフレームと、
    を備えるタービンハウジング。
  2. 前記複数の支持部は、前記入口フランジと前記出口フランジとを連結するよう構成された第1支持部、前記入口フランジと前記軸受連結フランジとを連結するよう構成された第2支持部、及び、前記出口フランジと前記軸受連結フランジとを連結するよう構成された第3支持部、のうち、2種以上の支持部を含む、請求項1に記載のタービンハウジング。
  3. 前記アウターフレームを構成する材料は、前記インナーハウジングを構成する材料よりも耐酸化性に劣る、請求項1又は2に記載のタービンハウジング。
  4. 前記インナーハウジングの外周面に沿って配置された断熱部を更に備える、請求項1乃至3の何れか1項に記載のタービンハウジング。
  5. 前記断熱部は、シート材を含む、請求項4に記載のタービンハウジング。
  6. 前記断熱部は、繊維系の断熱材を含む、請求項4又は5に記載のタービンハウジング。
  7. 前記インナーハウジングのスクロール部の少なくとも一部を覆うように構成された防護壁部を更に備える、請求項1乃至6の何れか1項に記載のタービンハウジング。
  8. 前記防護壁部は、前記タービンロータの周方向における全周に亘って前記スクロール部を覆うように構成された、請求項7に記載のタービンハウジング。
  9. 前記防護壁部は前記支持部に支持された、請求項7又は8に記載のタービンハウジング。
  10. 前記複数の支持部と前記防護壁部とは、同一材料で一体的に形成された、請求項9に記載のタービンハウジング。
  11. 前記インナーハウジングのうち前記タービンロータのタービン翼の先端に対向するシュラウド部を前記インナーハウジングの外側から支持するよう構成されたシュラウド保持部を更に備える、請求項1乃至10の何れか1項に記載のタービンハウジング。
  12. 前記シュラウド保持部を構成する材料は、前記アウターフレームを構成する材料よりも高温強度が高い、請求項11に記載のタービンハウジング。
  13. 前記シュラウド保持部は前記支持部に支持された、請求項11又は12に記載のタービンハウジング。
  14. 前記アウターフレームと前記シュラウド保持部とは、同一材料で一体的に形成された、請求項11に記載のタービンハウジング。
  15. タービンロータと、請求項1乃至14の何れか1項に記載のタービンハウジングとを備えるターボチャージャ。
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