JP2018172831A - 海島型複合繊維 - Google Patents

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【課題】 優れた吸放湿性能を発揮し、かつ着色がなく、高次工程においても吸湿成分の脱離がないポリエステル複合繊維を提供する。【解決手段】 海部と2つ以上の島部とからなり、海部と島部との接合面が繊維長さ方向に連続した海島構造を有し、以下の(a)〜(d)の要件を満たす海島型複合繊維である。(a)海部ポリマーが、数平均分子量300以上、1000以下のポリアルキレングリコールを、2質量%以上、8質量%以下、共重合した共重合ポリエステル(b)島部ポリマーがポリアルキレンオキシド変性物(c)ポリアルキレンオキシド変性物にフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.3質量%以上、5質量%以下含有する(d)海/島断面積比率が70/30〜95/5【選択図】なし

Description

本発明は、吸放湿性能を有する海島型複合繊維に関する。
ポリエステル繊維は機械的強度、耐薬品性、耐熱性、染色性、加工性に優れるため、衣料用途や産業資材用途に幅広く使用されている。しかし、ポリエステル繊維は合成繊維の中でも極めて吸湿性が低いため、衣料として用いた際に発汗および衣服内湿度の上昇による、ムレやベタツキなどを生じやすく、快適性に劣る。
この欠点を解消するため、ポリエステル繊維に吸湿性や吸水性を持たせる方法が従来から提案されている。
例えば、ポリエチレンテレフタレートを海部とし、ポリエーテルブロックアミド共重合物を島部とした海島型複合繊維が開示されている(特許文献1)。
また、ポリエチレンオキサイドの架橋物からなる熱可塑性吸水性樹脂を芯成分、ポリアミド又はポリエステルを鞘成分に配した芯鞘型複合繊維が開示されている(特許文献2)。
また、芯に吸放湿成分としてポリアルキレンオキサイド変性物、鞘に繊維形成性ポリマーを用い、長期間放置しても黄変の少ない吸放湿性複合繊維が開示されている(特許文献3)。
特開2016−69770号公報 特開平8−209450号公報 特許第3883282号公報
特許文献1に記載の繊維は、染色後における吸湿成分の脱離はないものの、吸放湿性能が十分なものではなく、より優れた吸放湿性能が求められている。
また、特許文献2記載の繊維は、鞘成分をポリエステルとした場合、ポリエステルの紡糸温度ではポリエチレンオキサイドの架橋物が熱劣化によって着色してしまうという問題がある。
また、特許文献3記載の繊維は、染色などの熱水処理時に芯部の吸水率が高いために、芯部の吸水膨潤により鞘部にひずみが加わることで、繊維表面にクラックや芯部の剥離が生じやすく、それに伴う芯部ポリマーの脱離により、吸放湿性能が劣化しやすいという問題がある。
したがって、本発明は上記のような問題を解決し、優れた吸放湿性能を発揮し、かつ着色がなく、高次工程においても吸湿成分の脱離がないポリエステル複合繊維を得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、海部と2つ以上の島部とからなり、海部と島部との接合面が繊維長さ方向に連続した海島構造を有し、以下の(a)〜(d)の要件を満たす海島型複合繊維にある。
(a)海部ポリマーが、数平均分子量300以上、1000以下のポリアルキレングリコールを、2質量%以上、8質量%以下、共重合した共重合ポリエステル
(b)島部ポリマーがポリアルキレンオキシド変性物
(c)ポリアルキレンオキシド変性物にフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有する
(d)海/島断面積比率が70/30〜95/5
また、上記海島型複合繊維は、190℃の乾熱雰囲気下で乾熱処理後のΔMR保持率が80%以上であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることが好ましく、リン系酸化防止剤はが、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることが好ましい。
本発明によれば、優れた吸放湿性能を発揮し、かつ着色がなく、高次工程においても吸湿成分の脱離がない海島型複合繊維を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、海部と2つ以上の島部とからなり、海部と島部との接合面が繊維長さ方向に連続した海島構造を有する海島型複合繊維である。
本発明において、海部ポリマーは、ポリアルキレングリコール(PAG)を共重合した共重合ポリエステルである。主成分となるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸などが挙げられる。中でも、汎用性からPETが最も好ましい。本発明では、下記に記載するPAGを共重合したPETであることが好ましい。
上記PAGは、一般式HO(C2nO)H(ただし、n、mは正の整数)で表されるもので、n=2のポリエチレングリコール(以下PEG)が汎用的で最も好ましい。
また、上記PAGの数平均分子量は、300以上、1000以下であり、より好ましくは、400以上、800以下である。PAGの数平均分子量をかかる範囲とすることで、共重合が安定し、強度が良好で、染色斑のない均質な糸を得ることができる。
すなわち、PAGの数平均分子量が300未満であると、共重合時にPAGの一部が飛散するため共重合が一定化せず、得られた糸の強度、染色斑などの品質斑が多くなる。一方、PAGの数平均分子量が1000を超えると、共重合されないPAGが増大するため、繊維強度低下が生じる。
PAGの共重合量は、全ポリエステル成分に対して、2質量%以上、8質量%以下である。PAGを共重合することによって、共重合ポリエステル中の非晶部分が増加し分散染料による低温での染色が可能となる。共重合量をこの範囲とすることで、島部ポリマーであるポリアルキレンオキシド変性物との紡糸温度差を小さくすることができ、溶融紡糸時の島部ポリマーの熱劣化を防ぐことが可能であり、得られる繊維の強度低下もなく、製糸性も良好となる。すなわち、PAGの共重合率が2質量%未満であると、共重合ポリエステルの溶融温度に影響を与えることがなく、島部ポリマーのポリアルキレンオキシド変性物との紡糸温度差を小さくすることができないため、溶融紡糸時の島部ポリマーの熱劣化が生じやすくなる。一方、PAGの共重合率が8質量%を超えると、得られる繊維の強度低下、製糸性の悪化につながる。より好ましいPAGの共重合量は4質量%以上、6質量%以下である。
このようにPAGを共重合したものであれば、ポリマーに柔軟性を付与するだけでなく、染色性を高める効果があり、かつホモPETに比べて融点が低いため、ポリアルキレンオキシド変性物と組み合わせた際、繊維の着色を抑制する点で効果的である。
本発明において、島部ポリマーは、ポリアルキレンオキシド変性物である。
島部のポリアルキレンオキシド変性物は、比較的分子量の大きいポリアルキレンオキシドと、ジオール化合物およびジイソシアネート化合物を添加して製造されたものが好ましい。より具体的には、例えば、質量平均分子量500〜50万のポリアルキレンオキシドと1,4−ブタンジオールとジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを反応させることにより得られるポリアルキレンオキシド変性物等が、優れた吸水性を発揮できることから特に好適である。このようなポリアルキレンオキシド変性物としては、「アクアコーク(登録商標)TWB(商品名)」(住友精化)が市販されている。
本発明の海島型複合繊維は、上記ポリアルキレンオキシド変性物にフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤をから選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を含有する。上記フェノール系酸化防止剤としては、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(例えば、住友化学株式会社製 Sumilizer(登録商標)GA−80(商品名))、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]](例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1010(商品名))、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1076(商品名))、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)(例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1098(商品名))、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1330(商品名))、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)3114(商品名))、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール(例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1520(商品名))等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]](例えば、BASF社製 Irganox(登録商標)1010(商品名))が好ましい。リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト(ADEKA社製 アデカスタブ(登録商標)PEP−8(商品名))、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製 アデカスタブ(登録商標)PEP−36(商品名))、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製 Irgafos168(商品名))等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製 アデカスタブ(登録商標)PEP−36(商品名))が好ましい。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤は併用して用いてもよい。上記酸化防止剤を用いることで、島部ポリマーであるポリアルキレンオキシド変性物の熱劣化を抑制することが可能であり、製糸性が良好となるばかりか、繊維横断面の海島構造を均一に形成しやすくなる。
本発明の海島型複合繊維において、上記酸化防止剤の含有量としては、ポリアルキレンオキシド変性物の質量に対して、0.3質量%以上、5質量%以下である。この範囲とすることで、ポリアルキレンオキシド変性物の熱劣化を抑制することができ、かつ得られる糸の物性、製糸性が良好なものとなる。0.3質量%未満であると、熱劣化の抑制効果が得られず、5質量%を超えると繊維の物性低下や紡糸時の糸切れが生じやすくなる。上記酸化防止剤の含有量のより好適な範囲は0.9質量%以上、3質量%以下である。
本発明の海島型複合繊維は、島部の数が2個以上、40個以下が好ましい。この範囲であれば、染色後の繊維側面クラックや島部の剥離、脱離が生じにくく、糸の品質も良好で、吸放湿性能に優れるものとなる。島部の数は、7個以上、25個以下がより好ましい。
また、海/島断面積比率(繊維長手方向に垂直な繊維横断面における海部と島部との面積比率)が70/30〜95/5である。さらに好ましくは80/20〜90/10である。この範囲であれば、吸放湿性能を適度に持ちつつ、染色工程における島部ポリマーの脱離のない、製糸性が良好な糸となる。すなわち、この範囲の島部ポリマー比率の上限を超えると、吸放湿性能は向上するが、製糸性の低下や染色工程において島部ポリマーの脱離が生じやすくなる。また、島部ポリマー比率の下限未満になると、製糸性、物性は向上し、染色工程においても島部ポリマーの脱離は生じなくなるが、吸放湿性能が不十分となる。
また、繊維横断面において、島の配列は特に規定されるものではないが、繊維表面から最も近い島部が、繊維半径の5%以上、40%以下の距離に存在することが好ましい。かかる範囲とすることで、島部ポリマーを露出させずに、繊維クラックや島部ポリマーの脱離を防ぎ、衣料の快適性に関わる吸放湿速度も速くすることができる。
本発明の海島型複合繊維は、190℃の乾熱処理後におけるΔMR保持率が80%以上であることが好ましい。ΔMRの保持率が80%以上であることにより、高次工程を経ても良好な吸放湿性能を発揮できるため、衣料用途として好適に用いることができる。
本発明の海島型複合繊維において、総繊度は特に限定されないが、製糸安定性の観点から、20dtex以上、100dtex以下が好ましく、また、フィラメント数は12以上、96以下が好ましい。この範囲であれば、製糸性が良好であり、織編物等の布帛として、柔らかな衣類の製造が可能となる。
本発明の海島型複合繊維の強度は、特に限定されないが、衣料用途または産業資材用途の場合は、2cN/dtex以上、5cN/dtex以下が好ましい。高次工程での加工容易性の点から、2cN/dtex以上が好ましく、製糸安定性の点から、5cN/dtex以下が好ましい。また、毛羽の発生の観点から、伸度は20%以上が好ましく、寸法安定性の点から、50%以下が好ましい。
また、本発明の海島型複合繊維は、布帛(編織物)を形成する繊維として、どのような形態で使用されても良く、マルチフィラメント、モノフィラメント、ステープル等のいずれでもよく、また、フィラメントは仮撚り加工糸、エアー混繊糸、コアスパンヤーン等の意匠糸、カバーリング糸であってもよい。更に、ステープルは紡績糸としてもよい。
更に、本発明の海島型複合繊維で製造される布帛の形態は特定されず、編組織は緯編、経編を問わず、それぞれの変化組織でもよい。織組織も平織(プレーン)、綾織(ツイル)、朱子織(サテン)等、またはそれぞれの変化組織、さらにはドビーやジャガード等でも構わない。また、レースや不織布、フェルトとして利用することもできる。
かかる布帛の形態において、目付け、ゲージ等は特に規定しない。また、本発明の海島型複合繊維を100質量%で用いてもよいし、他の繊維と交編、交織して用いてもよい。更には天然繊維と混紡して用いてもよい。使用割合も特に規定しないが、本発明の海島型複合繊維を20質量%〜100質量%の割合で使用するのが好ましい。
次に、本発明の海島型複合繊維の製造方法の例を説明する。
まず、海部ポリマーであるPEG共重合ポリエステル等のPAG共重合ポリエステルと、島部ポリマーであるポリアルキレンオキシド変性物を準備する。さらに、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を準備する。
ポリアルキレンオキシド変性物にこれらの酸化防止剤を含有させる方法としては、特に限定されるものではなく、あらかじめポリアルキレンオキシド変性物と上記酸化防止剤を混練してマスターバッチとする方法や、溶融紡糸時にドライブレンドする方法などが挙げられる。
これらの海部ポリマーと島部ポリマーから得られる本発明の海島型複合繊維は公知の溶融紡糸装置の手法により製造する。
例えば、海部ポリマーであるPEG共重合ポリエステルと、島部ポリマーであるポリアルキレンオキシド変性物を別々に溶融し、ギヤポンプにて計量し、海島構造となるように紡糸口金より吐出する。引き続き公知の糸条冷却装置によって糸条を冷却して、油剤を付与した後、延伸・熱処理工程を経ることで、海島型複合繊維を得ることができる。
紡糸温度(紡糸口金から吐出する温度)は、PEG共重合ポリエステルとポリアルキレンオキシド変性物の耐熱性や製糸性の観点から、250℃以上、300℃以下が好ましく、260℃以上、290℃以下がより好ましい。紡糸速度(引取りローラーによって引き取られる糸条の速度)は800m/min以上、1400m/min以下が好ましい。
延伸・熱処理工程における延伸温度は、製糸性の観点から70℃以上、95℃以下が好ましく、75℃以上、90℃以下がより好ましい。熱処理温度は要求される物性の観点から、120℃以上、180℃以下が好ましく、130℃以上、170℃以下がより好ましい。また、延伸倍率は必要な強伸度や製糸性、毛羽の発生などの観点から、適切に選択され、2.5倍以上、4.0倍以下程度が好ましい。
なお、本発明の海島型複合繊維を製造する際には、溶融紡糸した後に一旦巻き取り、その後延伸する方法や、溶融紡糸した後、一旦巻き取ることなく延伸する直接紡糸延伸法や、溶融紡糸した後、延伸することなく高速で巻き取り高配向未延伸糸を得る方法など、任意の方法を採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。なお、各種物性測定及び評価方法は以下の方法である。
<処理サンプル・染色サンプルの作製、剥離・クラック有無>
染色時に一般的に使用される助剤として純水1リットルに対し三洋化成工業製均染剤イ
オネット(登録商標)RAP250(商品名)を1.0g、酢酸0.2mLを加え、分散染料(ダイアニックス(登録商標) ブルー ACE(商品名))2.0%o.w.fとし、これを染色液とした。
実施例及び比較例で得られた海島型複合繊維で作製した筒編生地の油剤を洗い落としたものを処理サンプルとした。処理サンプルの質量を測定し、50倍の質量の染色液とともにステンレスポットに密閉し、130℃の油浴中で60min処理した後、十分に水洗、風乾し、これを染色サンプルとした。
染色サンプルから糸を抜き出し、ミクロトームで繊維横断面を採取し、光学顕微鏡で撮
影し、剥離およびクラックの有無を確認した。
<吸放湿性能ΔMR>
処理サンプル4〜5g程度を50℃で12時間乾燥したときの質量を測定し(M0)、20℃65%RH環境での平衡質量を測定し(M1)、30℃90%RH環境での平衡質量を測定する(M2)。次に以下の式に従って吸放湿性ΔMRを計算した。
MR1(%)=[(M1−M0)/M0]×100
MR2(%)=[(M2−M0)/M0]×100
ΔMR=MR2−MR1
<乾熱処理後吸放湿性ΔMR>
処理サンプルを190℃で1分間乾熱処理した後、上記記載の吸放湿性を測定し計算した。
<乾熱処理後吸放湿性ΔMR保持率>
乾熱処理前後のΔMRの保持率を下記の式で算出した。
ΔMR保持率(%)=[乾熱処理後のΔMR/乾熱処理前のΔMR]×100
ΔMR保持率が80%以上の場合は、良好と判断した。
<製糸性>
20kgの糸を製造した際の糸切れ回数で製糸性を評価し、下記の基準で○を合格とした。
○:糸切れ1回以下
×:糸切れ回数が3回以上
<強度、伸度>
JIS L 1013に準じ、島津製作所製のAGS−1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定する。荷重−伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を強度(cN/dtex)とし、そのときの伸び率を伸度(%)とする。
[実施例1〜4]
数平均分子量600のPEGを4.8質量%共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートを海部ポリマー、ポリアルキレンオキシド変性物(住友精化社製、アクアコークTWB)を19個の島部ポリマーとし、海島構造を形成しうる紡糸口金を用い、溶融紡糸を行った。この時、島部ポリマーの質量に対して、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010(商品名))およびビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製 アデカスタブ(登録商標)PEP−36(商品名))を、表1に示すような割合で含有させた。各ポリマーの融点より高い温度に調整した2つのエクストルーダーでそれぞれのポリマーを押出し、ギヤポンプで計量した後紡糸口金内で会合させた。この際、紡糸温度は270℃とした。そして、吐出された糸条は油剤付与ガイドを通過させ、1050m/minの周速度で回転するプレテンションロール(PTR)を介し、1060m/minの周速度で回転する78℃に加熱した第1ゴデットローラー、3600m/minの周速度で回転する150℃に加熱した第2ゴデットローラーを経て連続的に3.4倍に延伸し、インターレースノズル装置で交絡を付与し、その後ワインダーで巻き取り、繊維横断面における海/島断面積比率が70/30である84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[実施例5]
島部の数を7個になるように紡糸し、島部ポリマーの酸化防止剤含有量を表1に示すような割合にした以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[実施例6〜10]
海/島断面積比率を80/20に、島部ポリマーの酸化防止剤含有量を表1に示すような割合になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[比較例1]
海/島断面積比率を60/40に、島部ポリマーの酸化防止剤含有量を表1に示すような割合になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[比較例2]
島部ポリマーの酸化防止剤を添加せずに紡糸した以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[比較例3]
繊維横断面の構造を同心円状の芯鞘型複合繊維に、島部ポリマーの酸化防止剤含有量を表1に示すような割合にした以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの芯鞘型複合繊維を得た。
[比較例4]
島部ポリマーをポリエーテルブロックアミド共重合体(ARKEMA社製 Pebax(登録商標)MH1657(商品名))に、島部ポリマーに酸化防止剤が含有されないように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[比較例5]
海/島断面積比率を99/1に、島部ポリマーの酸化防止剤含有量を表1に示すような割合になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
[比較例6]
海部ポリマーにホモPETを用い、紡糸温度を295℃とした以外は、実施例1と同様の方法で84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
実施例1〜10、比較例1〜6で得られた海島型複合繊維の評価結果を表1に示す。
Figure 2018172831
実施例1〜10は、海島型複合繊維の海部と島部の界面での剥離・クラックは認められず、製糸性は良好であり、原糸の着色も認められなかった。また、吸放湿性能ΔMRも6.2〜7.6%と優れた吸湿性能を有していた。さらに、190℃で1分間乾熱処理後の吸放湿性能ΔMR保持率は80%以上であり、高次工程を経ても吸放湿性能に優れるものとなった。また毛羽もなく、糸品位に優れるものであった。
比較例1で得られた海島型複合繊維は、海/島断面積比率において島部ポリマー比率が本発明の範囲より大きいものであり、製糸性不良で、強伸度も低いものとなった。また染色サンプルにて繊維横断面を観察すると、島部ポリマーの脱離、クラックが生じており、実用性のないものであった。
酸化防止剤を含有していない比較例2で得られた海島型複合繊維は、製糸性は良好でなく、毛羽が多発し、繊維横断面における海島構造も均一に形成することができなかった。
比較例3で得られた芯鞘(島数1)型複合繊維は、芯と鞘部分の剥離やクラックが生じていた。また吸放湿性能が低いものであった。
比較例4で得られた海島型複合繊維は、島部ポリマーが本発明で規定した成分と異なる。製糸性は良好で、島部ポリマーの脱離やクラックの発生もなかったが、原糸の着色が生じ、吸放湿性ΔMRが4.1%と満足のいく性能ではなかった。
比較例5で得られた海島型複合繊維は、島部が小さく、製糸性は良好だが、吸放湿性能が低いものであった。
比較例6で得られた海島型複合繊維は、紡糸温度を高く設定する必要があったため、島部ポリマーの熱劣化により製糸性が良好ではなく、また毛羽が多発した。剥離・クラックは認められなかったが、原糸に着色があり、吸放湿性能ΔMR4.5%と満足のいく性能ではなかった。
本発明によれば、原糸の着色がなく、高次工程通過後も優れた吸放湿性能を有する、快適性の良好な衣料用繊維として好適である海島型複合繊維が提供される。
上記目的を達成するため、本発明は、海部と2つ以上の島部とからなり、海部と島部との接合面が繊維長さ方向に連続した海島構造を有し、以下の(a)〜(d)の要件を満たす海島型複合繊維にある。
(a)海部ポリマーが、数平均分子量300以上、1000以下のポリアルキレングリコールを、2質量%以上、8質量%以下、共重合した共重合ポリエステル
(b)島部ポリマーがポリアルキレンオキシド変性物
(c)ポリアルキレンオキシド変性物にフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.3質量%以上、5.0質量%以下含有する
(d)海/島断面積比率が70/30〜95/5
また、上記海島型複合繊維は、190℃の乾熱雰囲気下で乾熱処理後のΔMR保持率が80%以上であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることが好ましく、リン系酸化防止剤、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることが好ましい。

Claims (4)

  1. 海部と2つ以上の島部とからなり、海部と島部との接合面が繊維長さ方向に連続した海島構造を有し、以下の(a)〜(d)の要件を満たす海島型複合繊維。
    (a)海部ポリマーが、数平均分子量300以上、1000以下のポリアルキレングリコールを、2質量%以上、8質量%以下、共重合した共重合ポリエステル
    (b)島部ポリマーがポリアルキレンオキシド変性物
    (c)ポリアルキレンオキシド変性物にフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.3質量%以上、5質量%以下含有する
    (d)海/島断面積比率が70/30〜95/5
  2. 190℃の乾熱雰囲気下で乾熱処理後のΔMR保持率が80%以上である、請求項1記載の海島型複合繊維。
  3. 前記フェノール系酸化防止剤が、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である請求項1または2記載の海島型複合型繊維。
  4. 前記リン系酸化防止剤が、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである請求項1〜3いずれか1項に記載の海島型複合型繊維。
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