JP2018171041A - ターゲット分析方法およびこれに用いるターゲット分析キット - Google Patents

ターゲット分析方法およびこれに用いるターゲット分析キット Download PDF

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Yoshihito Yoshida
嘉仁 吉田
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Abstract

【課題】バックグラウンドの上昇を抑制可能なターゲット分析方法及びこれに用いるターゲット分析キットの提供。
【解決手段】試料と、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子及び前記ターゲットが固定化された担体の複合体とを反応させる工程と、前記担体以外の画分を分離する工程と、前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程とを含むターゲット分析方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ターゲット分析方法およびこれに用いるターゲット分析キットに関する。
臨床医療、食品、環境等の様々な分野において、ターゲット分析が行なわれている。前記ターゲットの分析方法としては、例えば、イムノクロマト法を用いた分析方法が知られている。しかしながら、イムノクロマト法による分析時間は、15〜20分程度要するため、より迅速化が求められている。
迅速にターゲットを分析可能な方法として、試料と、標識化結合核酸分子と、ターゲットが固定化された担体とを混合し、得られた混合物中で前記試料中のターゲットと前記標識化結合核酸分子との複合体および前記担体上のターゲットと前記標識化結合核酸分子との複合体を形成させ、前記担体画分と、前記担体以外の画分とに分離し、前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを検出する方法(以下、「競合法」ともいう)が考えられる。しかしながら、本発明者らは、前記競合法により試料中のターゲットを検出する場合、バックグラウンドが上昇するという問題があることを見出した。
そこで、本発明は、バックグラウンドの上昇を抑制可能なターゲット分析方法およびこれに用いるターゲット分析キットを提供することを目的とする。
本発明のターゲット分析方法(以下、「分析方法」ともいう)は、試料と、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体(以下、「固定化担体」ともいう)の複合体とを反応させる工程と、
前記担体以外の画分を分離する工程と、
前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のターゲット分析キット(以下、「分析キット」ともいう。)は、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体を含み、
前記本発明のターゲット分析方法に使用することを特徴とする。
本発明によれば、例えば、前述の競合法と比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されたターゲット分析方法およびターゲット分析キットを提供できる。
図1は、実施例1および比較例1におけるターゲットとしてピーナッツタンパク質を用いた場合の発光量を示すグラフである。 図2は、実施例1および比較例1におけるターゲットとしてピーナッツタンパク質を用いた場合のシグナル/ノイズ比を示すグラフである。 図3は、実施例1および比較例1におけるターゲットとしてリゾチウムを用いた場合の発光量を示すグラフである。 図4は、実施例1および比較例1におけるターゲットとしてリゾチウムを用いた場合のシグナル/ノイズ比を示すグラフである。
本発明の分析方法および分析キットにおいて、前記標識化結合核酸分子に結合した標識の数は、例えば、前記標識化結合核酸分子1分子あたり、0.3〜3分子である。
本発明の分析方法および分析キットにおいて、前記担体に固定化されたターゲットの量は、例えば、前記担体の表面積1mmあたり、1〜100molである。
本発明の分析方法は、例えば、前記標識化結合核酸分子と、前記ターゲットが固定化された担体とを反応させることにより、前記複合体を形成する工程を含む。
本発明の分析方法は、例えば、前記複合体を分離する工程を含む。
本発明の分析方法および分析キットにおいて、前記担体は、例えば、ビーズである。前記ビーズは、好ましくは、磁性ビーズである。
本発明の分析方法は、例えば、磁性体により前記磁性ビーズを分離することで、前記磁性ビーズ以外の画分を分離する。
本発明の分析方法において、前記標識は、例えば、酵素であり、
前記担体以外における前記標識化結合核酸分子の酵素反応を検出する。
本発明の分析方法は、例えば、前記酵素の基質の存在下、前記酵素反応を検出する。
本発明の分析方法において、前記酵素は、例えば、ルシフェラーゼである。
本発明の分析方法において、前記試料は、例えば、食品由来試料である。
本発明の分析方法および分析キットにおいて、前記ターゲットは、例えば、ピーナッツアレルゲンおよび卵アレルゲンの少なくとも一方である。
本発明の分析方法および分析キットにおいて、前記アレルゲンは、例えば、未変性アレルゲンまたは加熱変性アレルゲンである。
本発明の分析キットにおいて、前記標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体は、例えば、前記標識化結合核酸分子と前記ターゲットが固定化された担体との複合体である。
本発明の分析キットにおいて、前記標識は、例えば、酵素である。前記酵素は、例えば、ルシフェラーゼである。
本発明の分析キットは、例えば、さらに、前記酵素の基質を含む。
<ターゲット分析方法>
本発明のターゲット分析方法は、試料と、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体の複合体とを反応させる工程(反応工程)と、前記担体以外の画分を分離する工程(分離工程)と、前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程(分析工程)とを含むことを特徴とする。本発明の分析方法は、前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体との複合体を用い、前記反応工程、前記分離工程、および前記分析工程を行うことが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
本発明者は、鋭意研究の結果、前記競合法におけるバックグラウンドの上昇は、結合核酸分子を標識化することで得られた標識化結合核酸分子の一部において、ターゲットに対する結合能が低下していることが原因であることを突き止めた。すなわち、前記競合法では、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子は、前記試料中のターゲットおよび前記固定化担体上のターゲットのいずれとも結合せずに、前記混合物中に存在するため、前記分離工程後は、前記担体以外の画分に分離される。そして、前記分析工程において、前記担体以外の画分に含まれる前記結合能が低下した標識化結合核酸分子の標識も検出されるため、前記競合法では、バックグラウンドの上昇という問題が生じることが分かった。そして、本発明者は、前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体との複合体を用いることにより、前記結合能が低下している標識化結合核酸分子の持ち込みを抑制できるため、前記競合法と比較して、前記バックグラウンドの上昇を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。このため、本発明によれば、前記競合法と比較して、前記バックグラウンドの上昇を抑制できる。また、本発明によれば、30秒から4分程度と極めて短時間でターゲットを分析できる。また、本発明によれば、前述のように、前記競合法と比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されているため、例えば、前記競合法と比較して、シグナル/ノイズ比が向上する。このため、本発明によれば、例えば、前記競合法と比較して、高い分析感度で前記ターゲットを分析できる。
本発明の分析方法は、例えば、前記試料中のターゲットの有無を分析する定性分析であってもよいし、前記試料中のターゲットの程度(例えば、量)を分析する定量分析であってもよい。
本発明の分析方法において、分析に供する試料は、特に制限されず、例えば、食品由来試料等があげられる。前記食品由来試料は、例えば、食品、食品原料、食品添加物、食品加工場または調理場等における付着物、洗浄後の洗浄液等があげられる。前記試料の形態は、特に制限されず、例えば、液体試料でもよいし、固体試料でもよい。前記固体試料の場合、例えば、溶媒を用いて、混合液、抽出液、溶解液等を調製し、これを前記試料として使用してもよい。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。前記試料は、例えば、前記ターゲットを含む試料でもよいし、前記ターゲットを含まない試料でもよいし、ターゲットを含むか不明の試料であってもよい。
前記ターゲットは、特に制限されず、任意のターゲットとできる。前記試料が食品由来試料の場合、前記ターゲットは、例えば、食物アレルゲンがあげられ、具体例として、ピーナッツアレルゲン、小麦アレルゲン、乳アレルゲン、卵アレルゲン、そばアレルゲン、エビアレルゲン、ダイズアレルゲン等があげられる。前記ピーナッツアレルゲンは、例えば、ピーナッツの主要アレルゲンである、コンアラキン(conarachin)またはそのサブユニット、またはそのドメインがあげられる。コンアラキンは、例えば、コンアラキンIおよびコンアラキンII(α−コンアラキン)である。前記コンアラキンのサブユニットは、例えば、Ara h1、Ara h2、Ara h6があげられる。前記小麦アレルゲンは、例えば、グルテニン、グルテン、グリアジン(gliadin)、グリアジンω5、これらのサブユニット、またはこれらのドメインがあげられる。前記乳アレルゲンは、例えば、カゼイン、αカゼイン、s1カゼイン、βラクトグロブリン、これらのサブユニット、またはこれらのドメインがあげられる。前記卵アレルゲンは、例えば、リゾチウム(Lysozyme)、および卵の主要アレルゲンである、オボムコイド、オボトランスフェリン(Ovotransferrin)、これらサブユニット、またはこれらドメインがあげられる。前記そばアレルゲンは、例えば、Fage 2、そのサブユニット、またはそのドメインがあげられる。前記エビアレルゲンは、例えば、エビの主要アレルゲンであるトロポミオシン、そのサブユニット、またはそのドメインがあげられる。具体例として、前記トロポミオシンは、例えば、Pen a 1、Pen i 1、Met e 1等があげられる。前記ダイズアレルゲンは、例えば、ダイズの主要アレルゲンである、β−コングリシニン(β-conglycinin)、そのサブユニット、またはそのドメインがあげられる。前記アレルゲンは、例えば、未変性アレルゲンでもよいし、加熱変性アレルゲンでもよい。
前記標識化結合核酸分子は、ターゲットに結合し、且つ標識された核酸分子である。前記結合核酸分子は、特に制限されず、例えば、前記ターゲットに結合するアプタマー等があげられる。前記結合核酸分子と、前記ターゲットとの結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により確認できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社製)が使用できる。
前記ターゲットがピーナッツアレルゲンである場合、前記結合核酸分子は、例えば、ダイズタンパク質と比較し、前記ピーナッツアレルゲンに対して有意に特異的に結合する核酸分子であることが好ましい。
具体例として、前記ピーナッツアレルゲンと結合する結合核酸分子は、例えば、下記(a)のポリヌクレオチドを含む核酸分子があげられる。
(a)下記(a1)〜(a3)および(a4)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチド
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(a2)前記(a1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、ピーナッツアレルゲンに結合するポリヌクレオチド
(a3)前記(a1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、ピーナッツアレルゲンに結合するポリヌクレオチド
(a4)前記(a1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、ピーナッツアレルゲンに結合するポリヌクレオチド
前記(a1)のポリヌクレオチドは、下記配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
ピーナッツ結合核酸分子(配列番号1)
5’-GGATATTGCCTCGCCACAGTTAAGTCAGGTGGTTGGTTATGGTTGGGACTGACTCTCTACAGGGAACGCTCGGATTATC-3’
前記(a2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(a2)のポリヌクレオチドが、ピーナッツアレルゲンに結合する範囲であればよい。前記「1もしくは数個」は、前記(a1)の塩基配列において、例えば、1〜16個、1〜8個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。本発明において、塩基数および配列数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1〜5塩基」との記載は、「1、2、3、4、5塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
前記(a3)において、「同一性」は、例えば、前記(a3)のポリヌクレオチドが、ピーナッツアレルゲンに結合する範囲であればよい。前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記(a4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(a1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。
前記(a4)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。
本発明において、ある配列に対して他の配列が相補的であるとは、例えば、両者間でアニーリングが生じ得る配列であることを意味する。前記(a4)において、相補的とは、例えば、2種類の配列をアラインメントした際の相補性が、例えば、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上であり、好ましくは100%、すなわち完全相補である。また、ある配列に対して他の配列が相補的であるとは、一方の5’側から3’側に向かう配列と、他方の3’側から5’側に向かう配列とを対比させた際に、互いの塩基が相補的であることを意味する。
前記標識化結合核酸分子は、例えば、前記(a1)〜(a4)のいずれかのポリヌクレオチドの塩基配列を1つ含んでもよいし、前記ポリヌクレオチドの塩基配列を複数含んでもよい。後者の場合、複数のポリヌクレオチドが連結して、一本鎖のポリヌクレオチドを形成していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれが直接的に連結してもよいし、リンカーを介して、それぞれが間接的に連結してもよい。前記リンカーについては、後述する。前記ポリヌクレオチドは、それぞれの末端において、直接的または間接的に連結していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、同じでもよいし、異なってもよい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、同じであることが好ましい。前記ポリヌクレオチドを複数含む場合、前記ポリヌクレオチドの数は、特に制限されず、例えば、2以上であり、具体的には、例えば、2〜20、2〜10、2または3である。
具体例として、前記卵アレルゲンと結合する結合核酸分子は、例えば、下記(b)のポリヌクレオチドを含む核酸分子があげられる。
(b)下記(b1)〜(b3)および(b4)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチド
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b2)前記(b1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、卵アレルゲンに結合するポリヌクレオチド
(b3)前記(b1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、卵アレルゲンに結合するポリヌクレオチド
(b4)前記(b1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、卵アレルゲンに結合するポリヌクレオチド
前記(b1)のポリヌクレオチドは、下記配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。下記配列番号2の塩基配列において、下線で示すは、天然シトシン(C)に代えて、シトシンの5位が置換された5’−メチルシトシンを有するデオキシリボヌクレオチド残基であることが好ましい。また、下記配列番号2の塩基配列において、下線で示すは、天然チミン(T)に代えて、チミンの5位が置換された、後述の5’−トリプタミノカルボニルウラシル(TrpdU)を有するデオキシリボヌクレオチド残基であることが好ましい。
卵結合核酸分子(配列番号2)
5’-GGTTAACACGACAAGCCCGTTAAGGGTTAACACGACATTTCGCTGTTGTAACAGGTCATAGTC-3’
前記(b2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(b2)のポリヌクレオチドが、卵アレルゲンに結合する範囲であればよい。前記「1もしくは数個」は、前記(b1)の塩基配列において、例えば、1〜13個、1〜6個、1〜3個、1〜2個、1個である。
前記(b3)において、「同一性」は、例えば、前記(b3)のポリヌクレオチドが、卵アレルゲンに結合する範囲であればよい。前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(b4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(b1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記ハイブリダイズおよび「ストリンジェントな条件」は、例えば、前記(a4)の説明を援用できる。
前記標識化結合核酸分子は、例えば、前記(b1)〜(b4)のいずれかのポリヌクレオチドの塩基配列を1つ含んでもよいし、前記ポリヌクレオチドの塩基配列を複数含んでもよい。後者の場合、複数のポリヌクレオチドが連結して、一本鎖のポリヌクレオチドを形成していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれが直接的に連結してもよいし、リンカーを介して、それぞれが間接的に連結してもよい。前記リンカーについては、後述する。前記ポリヌクレオチドは、それぞれの末端において、直接的または間接的に連結していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、同じでもよいし、異なってもよい。前記複数のポリヌクレオチドは、例えば、同じであることが好ましい。前記ポリヌクレオチドを複数含む場合、前記ポリヌクレオチドの数は、特に制限されず、例えば、2以上であり、具体的には、例えば、2〜20、2〜10、2または3である。
前記標識化結合核酸分子は、例えば、標識(標識物質)により標識されている。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、酵素、蛍光物質、色素、同位体等があげられる。前記酵素は、特に制限されず、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ等があげられ、分析感度が向上することから、好ましくは、ルシフェラーゼである。前記蛍光物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy(登録商標)3色素、Cy(登録商標)5色素、FAM色素、ローダミン色素、テキサスレッド色素、JOE、MAX、HEX、TYE等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa(登録商標)488、Alexa(登録商標)647等のAlexa色素等があげられる。
前記標識物質は、例えば、前記結合核酸分子の5’末端および3’末端の少なくとも一方に結合していることが好ましく、より好ましくは5’末端である。前記標識物質は、例えば、前記結合核酸分子に直接的に連結してもよいし、リンカーを介して、間接的に連結してもよい。
前記標識化結合核酸分子に結合した標識の数は、特に制限されず、例えば、前記標識化結合核酸分子1分子あたり、0.3〜3分子、1〜4分子であり、分析感度がより向上することから、好ましくは、1〜3分子、2〜3分子、2〜4分子である。前記標識の数は、例えば、複数の標識化結合核酸分子における平均値である。
前記リンカーは、特に制限されず、例えば、非核酸分子または核酸分子があげられる。前者の場合、前記非核酸分子は、例えば、アビジン−ビオチン、アミノ基を有する分子−カルボキシル基を有する分子の組合せ等があげられる。後者の場合、前記リンカーの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記リンカーは、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記リンカーの具体例として、例えば、ポリデオキシチミン(ポリdT)、ポリデオキシアデニン(ポリdA)、AとTの繰り返し配列であるポリdAdT等があげられ、好ましくはポリdT、ポリdAdTである。前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、1〜200塩基長、1〜20塩基長、3〜12塩基長、5〜9塩基長である。
前記担体は、前述のように、前記ターゲットが固定化されている。前記担体に固定されるターゲットは、例えば、その一部でもよい。前記ターゲットの一部は、前記ターゲット全体の部分を意味し、具体例として、前記ターゲットがタンパク質の場合、前記ターゲットの一部は、前記タンパク質のペプチド断片があげられる。前記ターゲットの一部は、前記標識化結合核酸分子が結合する部位を含む。
前記担体は、特に制限されず、例えば、ビーズ、プレート、容器等があげられる。前記担体の素材は、特に制限されない。前記担体は、例えば、ポリスチレン製担体、シリカ製担体、アガロース製担体、ガラス製担体、アクリル樹脂製担体、ポリビニルアルコール樹脂製担体、ポリカーボネート製担体等があげられる。前記担体の大きさは、特に制限されない。前記担体の形状は、特に制限されず、前記担体がビーズの場合、その形状は、例えば、楕円、真円等の球状があげられる。
前記ターゲットは、例えば、直接的に前記担体に固定化してもよいし、間接的に前記担体に固定化してもよい。後者の場合、例えば、前記リンカーを介して前記担体に固定化することが好ましい。前記リンカーは、例えば、前述の説明を援用できる。前記ターゲットがタンパク質の場合、前記ターゲットは、N末端およびC末端のいずれかで前記担体に固定化されてもよい。
前記担体に固定化されたターゲットの量は、特に制限されず、例えば、前記担体の表面積1mmあたり、1〜100molであり、分析感度がより向上することから、好ましくは、2.5〜20molである。前記ターゲットの量は、例えば、複数の固定化担体における平均値である。
つぎに、各工程について説明する。以下の各工程は、例えば、前記試料、前記結合核酸分子、前記担体等を含む反応系で実施できる。前記反応系は、例えば、液体中で反応が実施される液体系であることが好ましい。前記液体は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。
本発明の分析方法は、後述する反応工程に先立ち、前記複合体を形成する工程(複合体形成工程)を含んでもよい。この場合、本発明の分析方法は、さらに、前記複合体を分離する工程(複合体分離工程)を含むことが好ましい。
前記複合体形成工程は、前記標識化結合核酸分子と、前記ターゲットが固定化された担体とを反応させることにより、前記複合体を形成する工程である。前記複合体形成工程は、前記標識化結合核酸分子と、前記ターゲットが固定化された担体とを反応させることにより、前記複合体を形成する。前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体との反応は、例えば、前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体とを混合することにより実施でき、具体例として、前記標識化結合核酸分子への前記固定化担体の添加、または前記固定化担体への前記標識化結合核酸分子の添加により実施できる。このように前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体とを反応させることにより、例えば、前記標識化結合核酸分子のうち、前記ターゲットに対して結合能を有している標識化結合核酸分子が、前記固定化担体上のターゲットと結合し、前記複合体を形成する。他方、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子は、例えば、前記固定化担体上のターゲットと結合できないため、前記複合体を形成できない。このため、前記複合体を後述する反応工程に用いることにより、例えば、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子による影響(バックグラウンドの上昇)を抑制できる。
前記複合体形成工程において、複合体の形成条件は、特に制限されない。複合体の形成温度は、例えば、4〜37℃、18〜25℃である。複合体の形成時間は、例えば、1〜30分、1〜10分である。
前記複合体分離工程は、前記複合体を分離する工程である。前記複合体分離工程は、例えば、前記結合能が低下した核酸分子の量を低減できることから、例えば、前記複合体の精製工程ということもできる。本発明の分析方法は、前記複合体分離工程を含むことにより、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子の影響をより効果的に抑制できる。前記複合体分離工程は、例えば、前記複合体の画分と、前記複合体以外の画分とを分離することにより実施できる。前記複合体の画分と、前記複合体以外の画分との分離方法は、特に制限されず、例えば、公知の固液分離方法により実施できる。具体例として、前記分離方法は、例えば、ろ過処理、膜分離処理、遠心分離処理、沈殿処理等があげられる。前記ろ過処理および前記膜分離処理の場合、前記分離方法は、例えば、加圧することにより、前記ろ過処理および前記膜分離処理を促進してもよい。前記担体が磁性担体である場合、磁性体により前記磁性担体を分離することで、前記磁性担体の画分と前記磁性担体以外の画分とを分離してもよい。前記複合体分離工程において、分離された複合体の画分は、例えば、前記標識化結合核酸分子が結合していない固定化担体を含む。前記分離方法は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、前記複合体分離工程は、さらに、前記複合体の画分を回収する工程(回収工程)を含んでもよい。また、前記複合体分離工程は、さらに、回収した複合体を洗浄する工程(洗浄工程)を含んでもよい。本発明の分析方法は、前記洗浄工程を含むことで、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子の影響をさらに効果的に抑制できる。前記洗浄工程は、例えば、前記回収した複合体を前記溶媒により洗浄することで実施でき、具体例として、前記回収した複合体と前記溶媒とを混合後、前記複合体を分離することにより実施できる。前記複合体の分離は、例えば、前記複合体分離工程の分離方法の説明を援用できる。前記洗浄工程において、前記回収した複合体の洗浄回数は、特に制限されず、例えば、1〜3回、1〜2回である。
前記複合体分離工程において、前記ろ過処理または前記膜分離処理により分離する場合、例えば、ろ材または膜を通過させることにより、前記複合体の画分と前記複合体以外の画分とを分離でき、さらに、例えば、前記ろ材または膜を通過した画分を、前記複合体以外の画分として、ろ材または膜を通過しなかった画分を、前記複合体の画分として回収できる。前記ろ材および膜の孔径は、特に制限されず、例えば、前記複合体の大きさまたは担体の大きさに応じて適宜設定でき、具体的には、前記複合体の画分と前記複合体以外の画分とを分離できる孔径であればよい。また、前記遠心分離処理または沈殿処理により分離する場合、例えば、遠心処理または沈殿処理により、前記複合体の画分と前記複合体以外の画分とを分離でき、さらに、例えば、得られた沈殿物を、前記複合体の画分として、前記沈殿物以外の画分を、前記複合体以外の画分として回収できる。また、前記分離工程において、前記複合体の画分を回収する場合、例えば、前記複合体の画分の全てを回収してもよいし、その一部を回収してもよい。
前記反応工程は、前述のように、試料と、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体の複合体とを反応させる工程である。前記標識化結合核酸分子と前記複合体との反応は、例えば、前記標識化結合核酸分子と前記複合体とを混合することにより実施でき、具体例として、前記標識化結合核酸分子への前記複合体の添加、または前記複合体への前記標識化結合核酸分子の添加により実施できる。前記反応工程では、例えば、前記複合体中の前記標識化結合核酸分子の一部が、前記複合体から解離し、前記試料と前記複合体との混合物中に遊離する。このため、例えば、前記遊離した標識化結合核酸分子が、前記試料中のターゲットに結合すると推定される。ただし、本発明は、前記推定に何ら制限されない。
前記反応工程において、反応条件は、特に制限されない。反応温度は、例えば、4〜37℃、18〜25℃である。反応時間は、例えば、1〜30分、1〜10分である。
つぎに、前記分離工程は、前記担体以外の画分を分離する工程である。前記分離工程では、前記試料中のターゲットと結合した前記標識化結合核酸分子は、例えば、前記担体以外の画分に分離される。前記競合法では、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子も、前記担体以外の画分に分離されるため、後述する分析工程において、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子の標識を検出し、バックグラウンドの上昇が生じる。しかしながら、本発明の分析方法では、前記ターゲットに対する結合能を有する標識化結合核酸分子が、前記固定化担体中のターゲットに結合した複合体を用いるため、例えば、前記結合能が低下した標識化結合核酸分子の前記担体以外の画分への混入を抑制できる。このため、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、バックグラウンドの上昇を抑制できる。前記分離工程は、例えば、前記担体の画分と、前記担体以外の画分とを分離することにより実施できる。前記担体の画分と、前記担体以外の画分との分離方法は、特に制限されず、例えば、公知の固液分離方法により実施できる。具体例として、前記分離方法は、例えば、ろ過処理、膜分離処理、遠心分離処理、沈殿処理等があげられる。前記ろ過処理および前記膜分離処理の場合、前記分離方法は、例えば、加圧することにより、前記ろ過処理および前記膜分離処理を促進してもよい。前記担体が磁性担体である場合、磁性体により前記磁性担体を分離することで、前記磁性担体以外の画分を分離してもよく、具体的には、前記磁性担体の画分と前記磁性担体以外の画分とを分離してもよい。前記分離工程において、分離された担体の画分は、例えば、前記固定化担体および前記複合体を含む。前記分離方法は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、前記分離工程は、さらに、前記担体以外の画分を回収する工程を含んでもよい。
前記分離工程において、前記ろ過処理または前記膜分離処理により分離する場合、例えば、ろ材または膜を通過させることにより、前記担体の画分と前記担体以外の画分とを分離でき、さらに、例えば、前記ろ材または膜を通過した画分を、前記担体以外の画分として、ろ材または膜を通過しなかった画分を、前記担体の画分として回収できる。前記ろ材および膜の孔径は、特に制限されず、例えば、前記担体の大きさに応じて適宜設定でき、具体的には、前記担体の画分と前記担体以外の画分とを分離できる孔径であればよい。また、前記遠心分離処理または沈殿処理により分離する場合、例えば、遠心処理または沈殿処理により、前記担体の画分と前記担体以外の画分とを分離でき、さらに、例えば、得られた沈殿物を、前記担体の画分として、前記沈殿物以外の画分を、前記担体以外の画分として回収できる。また、前記分離工程において、前記担体以外の画分を回収する場合、例えば、前記担体以外の画分の全てを回収してもよいし、その一部を回収してもよい。
そして、前記分析工程は、前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である。前記分析工程は、例えば、さらに前記担体画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析してもよい。本発明の分析方法は、例えば、前記担体以外の画分および前記担体画分を分析することにより、より精度よくターゲットを分析できる。
前記分析工程において、前記標識の検出は、特に制限されず、例えば、前記標識の種類に応じて、適宜決定できる。具体例として、前記標識が酵素の場合、前記標識の検出は、例えば、酵素反応の検出であり、より具体的には、前記酵素反応により生じる光学シグナル、電気シグナル等の検出である。前記光学シグナルは、例えば、発光、蛍光、発色等を目視観察で検出してもよいし、発光強度、蛍光強度、吸光度、反射率等をシグナルとして、光学的手法で検出することもできる。前記電気シグナルは、例えば、電流等があげられる。前記電気シグナルは、例えば、電気的手法により検出できる。前記酵素反応は、特に制限されず、例えば、酸化還元反応等があげられる。前記標識が蛍光物質の場合、前記標識の検出は、例えば、前記蛍光物質に起因する蛍光の検出である。前記標識が同位体の場合、前記標識の検出は、例えば、前記同位体に起因する放射線シグナルの検出である。前記放射線シグナルは、例えば、α線、β線、γ線、陽電子線、X線等の蛍光作用、電離作用等を光学的または電気的手法により検出できる。
前記分析工程において、前記酵素反応を検出する場合、前記分析工程は、前記酵素の基質の存在下、前記酵素反応を検出することが好ましい。前記基質は、特に制限されず、例えば、前記酵素の種類に応じて適宜決定できる。具体例として、前記酵素がルシフェラーゼの場合、前記基質は、例えば、ルシフェリン、セレンテラジン等があげられる。
本発明の分析方法は、さらに、分析工程における検出結果から、前記試料中の前記ターゲットの濃度を算出する算出工程を含んでもよい。前記検出結果は、例えば、光学シグナル、電気シグナル等があげられる。前記算出工程において、前記ターゲットの濃度は、例えば、検出結果と、検出結果および試料中の前記ターゲットの濃度の相関関係とに基づき、算出できる。前記相関関係は、例えば、前記ターゲットの濃度が既知である標準試料について、前記本発明の分析方法により得られた検出結果と、前記標準試料の前記ターゲットの濃度とをプロットすることにより求めることができる。前記標準試料は、前記ターゲットの希釈系列が好ましい。このように算出を行うことによって、信頼性の高い定量が可能となる。
本発明の分析方法において、前記結合核酸分子の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。前記ポリヌクレオチドは、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基を含むDNAであり、さらに、1もしくは数個の非ヌクレオチド残基を含んでもよい。前記非ヌクレオチド残基を含む場合、「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1〜91個、1〜30個、1〜15個、1〜7個、1〜3個、1または2個である。
前記ポリヌクレオチドは、修飾塩基を含んでもよい。前記修飾塩基は、特に制限されず、例えば、天然塩基(非人工塩基)が修飾された塩基があげられ、前記天然塩基と同様の機能を有することが好ましい。前記天然塩基は、特に制限されず、例えば、プリン骨格を有するプリン塩基、ピリミジン骨格を有するピリミジン塩基等があげられる。前記プリン塩基は、特に制限されず、例えば、アデニン(a)、グアニン(g)があげられる。前記ピリミジン塩基は、特に制限されず、例えば、シトシン(c)、チミン(t)、ウラシル(u)等があげられる。前記塩基の修飾部位は、特に制限されない。前記塩基がプリン塩基の場合、前記プリン塩基の修飾部位は、例えば、前記プリン骨格の7位および8位があげられる。前記塩基がピリミジン塩基の場合、前記ピリミジン塩基の修飾部位は、例えば、前記ピリミジン骨格の5位および6位があげられる。前記ピリミジン骨格において、4位の炭素に「=O」が結合し、5位の炭素に「−CH」または「−H」以外の基が結合している場合、修飾ウラシルまたは修飾チミンということができる。
前記修飾塩基の修飾基は、特に制限されず、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基、下記式(1)のベンジルアミノカルボニル基(benzylaminocarbonyl)、下記式(2)のトリプタミノカルボニル基(tryptaminocarbonyl)およびイソブチルアミノカルボニル基(isobutylaminocarbonyl)等があげられる。
Figure 2018171041
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前記修飾塩基は、特に制限されず、例えば、アデニンが修飾された修飾アデニン、チミンが修飾された修飾チミン、グアニンが修飾された修飾グアニン、シトシンが修飾された修飾シトシンおよびウラシルが修飾された修飾ウラシル等があげられ、前記修飾チミン、前記修飾ウラシルおよび前記修飾シトシンが好ましい。
前記修飾アデニンの具体例としては、例えば、7’−デアザアデニン等があげられる。
前記修飾グアニンの具体例としては、例えば、7’−デアザグアニン等があげられる。
前記修飾チミンの具体例としては、例えば、5’−ベンジルアミノカルボニルチミン、5’−トリプタミノカルボニルチミン、5’−イソブチルアミノカルボニルチミン等があげられる。
前記修飾ウラシルの具体例としては、例えば、5’−ベンジルアミノカルボニルウラシル(BndU)、5’−トリプタミノカルボニルウラシル(TrpdU)および5’−イソブチルアミノカルボニルウラシル等があげられる。
前記ポリヌクレオチドは、例えば、いずれか1種類の前記修飾塩基のみを含んでもよいし、2種類以上の前記修飾塩基を含んでもよい。
前記ポリヌクレオチドにおいて、前記修飾塩基の個数は、特に制限されない。前記修飾塩基は、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1〜100個、1〜90個、1〜80個、1〜70個、1〜60個、1〜40個、1〜20個、1〜10個、1〜5個であり、また、全ての塩基が、前記修飾塩基でもよい。前記修飾塩基の個数は、例えば、いずれか1種類の前記修飾塩基の個数であってもよいし、2種類以上の前記修飾塩基の個数の合計であってもよい。
前記ポリヌクレオチドが前記修飾塩基を含む場合、前記修飾塩基の割合は、特に制限されない。前記修飾塩基の割合は、前記ポリヌクレオチドの全塩基数のうち、例えば、1/100以上、1/40以上、1/20以上、1/10以上、1/4以上、1/3以上である。前記修飾塩基の割合を分数で示すが、これを満たす全塩基数と修飾塩基数とは、それぞれ正の整数である。
前記結合核酸分子は、例えば、修飾ヌクレオチドを含んでもよい。前記修飾ヌクレオチドは、前述の前記修飾塩基を有するヌクレオチドでもよいし、糖残基が修飾された修飾糖を有するヌクレオチドでもよいし、前記修飾塩基および前記修飾糖を有するヌクレオチドでもよい。
前記糖残基は、特に制限されず、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基があげられる。前記糖残基における修飾部位は、特に制限されず、例えば、前記糖残基の2’位または4’位があげられ、いずれか一方でも両方が修飾されてもよい。前記修飾糖の修飾基は、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基等があげられる。
前記修飾ヌクレオチド残基において、塩基がピリミジン塩基の場合、例えば、前記糖残基の2’位および/または4’位が修飾されていることが好ましい。前記修飾ヌクレオチド残基の具体例は、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基の2’位が修飾された、2’−メチル化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−メチル化−シトシンヌクレオチド残基、2’−フルオロ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−フルオロ化−シトシンヌクレオチド残基、2’−アミノ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−アミノ化−シトシンヌクレオチド残基、2’−チオ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−チオ化−シトシンヌクレオチド残基等があげられる。
前記修飾ヌクレオチドの個数は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、1〜100個、1〜90個、1〜80個、1〜70個である。また、前記ポリヌクレオチドを含む前記結合核酸分子の全長における前記修飾ヌクレオチドも、特に制限されず、具体的には、例えば、前述の範囲と同様である。
前記結合核酸分子は、例えば、1もしくは数個の人工核酸モノマー残基を含んでもよい。前記「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、1〜100個、1〜50個、1〜30個、1〜10個である。前記人工核酸モノマー残基は、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acids)等があげられる。前記モノマー残基における核酸は、例えば、前述と同様である。
前記結合核酸分子は、例えば、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列は、例えば、前記結合核酸分子の標識化されていない末端に結合している。前記付加配列は、特に制限されない。前記付加配列の長さは、特に制限されず、例えば、1〜200塩基長、1〜50塩基長、1〜25塩基長、18〜24塩基長である。前記付加配列の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記付加配列は、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記付加配列の具体例として、例えば、ポリdT、ポリdA等があげられる。
本発明の分析方法において、前記結合核酸分子の製造方法は、特に制限されず、例えば、化学合成を利用した核酸合成方法等、遺伝子工学的手法、公知の方法により合成できる。また、前記結合核酸分子は、例えば、ターゲットを用い、いわゆるSELEX法によっても得ることができる。
<ターゲット分析キット>
本発明のターゲット分析キットは、前述のように、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体を含み、前記本発明のターゲット分析方法に使用することを特徴とする。本発明の分析キットは、前記標識化結合核酸分子と前記ターゲットが固定化された担体とを含み、前記本発明の分析方法に使用することが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の分析キットは、例えば、前記本発明の分析方法の説明を援用できる。本発明の分析キットによれば、例えば、前記本発明の分析方法を簡便に実施できる。また、本発明の分析キットによれば、前記競合法に用いるキットと比較して、前記バックグラウンドの上昇を抑制できる。また、本発明の分析キットによれば、30秒から4分程度と極めて短時間でターゲットを分析できる。また、本発明の分析キットによれば、前述のように、前記競合法に用いるキットと比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されているため、例えば、前記競合法に用いるキットと比較して、シグナル/ノイズ比が向上する。このため、本発明の分析キットによれば、例えば、前記競合法に用いるキットと比較して、高い分析感度で前記ターゲットを分析できる。
本発明の分析キットにおいて、前記標識化結合核酸分子および前記固定化担体は、例えば、それぞれ別個の容器に収容されてもよいし、同一の容器に混合または未混同で収容されてもよい。後者の場合、本発明の分析キットは、例えば、分析試薬ということもできる。また、前記標識化結合核酸分子および前記固定化担体が、同一の容器に混合して収容されている場合、前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体とは、複合体を形成していることが好ましい。この場合、本発明の分析キットにおいて、前記標識化結合核酸分子および前記固定化担体は、例えば、前記標識化結合核酸分子と前記固定化担体との複合体を含む。
前記本発明の分析キットは、例えば、さらに、その他の構成要素を含んでもよい。前記構成要素は、例えば、前記基質、緩衝液等の試薬、使用説明書等があげられる。前記試薬は、例えば、前記標識化結合核酸分子および前記担体と、別個の容器に収容されてもよいし、いずれかと同一の容器に混合または未混同で収容されてもよい。前記基質は、例えば、前記標識化結合核酸分子および前記担体と、別個の容器に収容されている。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコールに基づいて使用した。
[実施例1]
本発明の分析方法が、前記競合法と比較して、バックグラウンドが抑制されていること、すなわちシグナル/ノイズ比が上昇していることを確認した。
(1)試料
卵アレルゲンであるリゾチウム(SIGMA社製)に、0mLのSB1T緩衝液を添加し、室温(約25℃、以下同様)で16時間抽出後、遠心した。得られた上清を孔径0.8μmのフィルターでろ過することにより、リゾチウム溶液を調製した。前記SB1T緩衝液の組成は、40mmol/L HEPES(pH8.0)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl、0.05(v/v)% Tween(登録商標)20とした。
つぎに、ピーナッツアレルゲンを含むピーナッツ抽出液は、以下のように調製した。まず、ピーナッツをミルで粉砕し、粉砕したピーナッツ1000mgにヘキサン10mLを添加して、室温で30秒撹拌した後、1000rpm、5分の遠心分離により、ヘキサン画分を除去した。得られた沈殿画分を10分間風乾してから、500mmol/L NaClを含む10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.9)を添加し、2時間穏やかに撹拌した。つぎに、撹拌した前記混合液を、4000rpm、15分の条件で遠心分離して、液体画分の上清を回収し、前記上清を、0.22μmのポアサイズの下記フィルターで濾過した。得られた濾液画分を95℃で10分間沸騰させた。そして、前記濾液画分を、1000rpm、10分の条件で遠心分離して、上清をピーナッツ抽出液として回収した。
フィルター
商品:33mm マイレクス(Millex)フィルターユニット、0.22μm
製造社:ミリポア社
フィルター直径:33mm
高さ:26mm
フィルター孔径:0.22μm
湿潤性:親水性
前記リゾチウム溶液について、タンパク質濃度測定キット(Protein Assay reagent、Bio-Rad社製)を用い、リゾチウムタンパク質濃度を定量した。また、ピーナッツ抽出液について、ELISAキット(株式会社 森永生科学研究所製)を用いて、ピーナッツタンパク質濃度を定量した。
(2)標識化結合核酸分子
ピーナッツアレルゲンに結合する標識化結合核酸分子を含む結合核酸分子液は、5’末端がストレプトアビジン化された前記配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド(ピーナッツアプタマー)を含む溶液と、ビオチン標識されたルシフェラーゼ(キッコーマン社製)を含む溶液とを混合することにより、調製した。前記標識化結合核酸分子は、前記ストレプトアビジン100pmolあたりに400pmolの前記ルシフェラーゼを固定化した。前記結合核酸分子液における前記結合核酸分子の濃度は、30μLの結合核酸分子液と、30μLの後述する基質液とを混合し、得られた混合液をプレートリーダー(Plate reader infinite M1000 Pro、TECAN社製)を用いて測定した際に、前記混合液の発光量が100000RLUとなるように調製した。また、ピーナッツアプタマーに代えて、前記配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド(卵アプタマー)を用いた以外は、同様にして、ピーナッツアレルゲンまたは卵アレルゲンに結合する標識化結合核酸分子を含む結合核酸分子液を調製した。なお、前記卵アプタマーは、前記配列番号2の塩基配列において、下線で示すを、天然シトシン(C)に代えて、シトシンの5位が置換された5’−メチルシトシンを有するデオキシリボヌクレオチド残基とし、また、前記配列番号2の塩基配列において、下線で示すを、天然チミン(T)に代えて、チミンの5位が置換された、5’−トリプタミノカルボニルウラシル(TrpdU)を有するデオキシリボヌクレオチド残基とした。
(3)固定化担体
アガロースビーズに対し、5mLの5mg/mL ピーナッツ抽出液または1.25mg/mL リゾチウム溶液をリガンド溶液として、反応させ、カラムにより精製することにより、ピーナッツタンパク質固定化担体およびリゾチウム固定化担体を調製した。
(4)基質液
基質液の組成は、0.08mmol/L Luciferin、20mmol/L Tricine、1.6mmol/L ATP/Naおよび4mmol/L MgClとした。
(5)分析
前記ピーナッツ抽出液および前記リゾチウム溶液を、それぞれのタンパク質濃度が、所定濃度(0、0.2、0.625、2.5、10、40、または160ppm)となるように、前記SB1T緩衝液で希釈し、ピーナッツタンパク質サンプル溶液およびリゾチウムサンプル溶液を調製した。つぎに、フィルタープレート(MULTISCREEN HTS GV 0.22UM CLEAR NON-STERILE、Millipore社製、Cat. MSGVN2250)に、前記ピーナッツタンパク質固定化担体を50μL/wellとなるように、容量200μLの先切チップ(BM機器、ワイドポアチップ−200μL、BMT-200WRS)を用い、添加した。前記添加後、前記フィルタープレートを、3000rpm、室温、2分間の条件で遠心し、前記ピーナッツタンパク質固定化担体が含む液体を除去した。さらに、前記ピーナッツアプタマーを含む結合核酸分子液を、100μL/wellとなるように添加し、振盪機(Bioshaker iQ、Qinstruments社製)を用い、1000rpmで振盪しながら室温で15分間インキュベートすることにより、前記ピーナッツアプタマーと前記ピーナッツタンパク質固定化担体との複合体を形成した。
つぎに、前記SB1T緩衝液を100μL/wellとなるように添加後、前記フィルタープレートを、3000rpm、室温、1分間の条件で遠心した。前記SB1T緩衝液の添加および遠心を、同条件でさらに1セット実施した。
前記遠心後のフィルタープレートに、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液を100μL/wellとなるように添加後、前記振盪機を用い、1000rpmで振盪しながら室温で4分間インキュベートした。なお、各所定濃度について、サンプル数は、3とした。これにより、前記ピーナッツアプタマーと前記ピーナッツタンパク質固定化担体との複合体と、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液中のピーナッツタンパク質とを反応させ、前記複合体中のピーナッツアプタマーと前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液中のピーナッツタンパク質とを結合させた。前記結合後、前記フィルタープレートを、3000rpm、室温、1分間の条件で遠心することにより、前記担体以外の画分をフィルターで分離し、得られたろ液を回収した。
プレート(white half plate、Graner bio-one社製、Cat.675074)に、前記基質液を30μL/wellとなるように、添加した。つぎに、前記ろ液を、30μL/wellとなるように添加し、反応液を調製した。前記反応液について、3分間インキュベート後、前記プレートリーダーを用いて、各wellの発光量を測定した。また、ピーナッツタンパク濃度が0ppmのピーナッツタンパク質サンプル溶液から調製した反応液の発光量をノイズの基準値とし、各所定濃度のピーナッツタンパク質サンプル溶液から調製した反応液のシグナル/ノイズ比を算出した。さらに、各反応液の発光量の標準偏差を算出した。
また、前記ピーナッツタンパク質固定化担体、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液、および前記ピーナッツアプタマーを含む結合核酸分子液に代えて、前記リゾチウム固定化担体、前記リゾチウムサンプル溶液、および前記卵アプタマーを含む結合核酸分子液を用いた以外は、同様にして、発光量を測定し、シグナル/ノイズ比および標準偏差を算出した。
(6)比較例1(競合法)
前記ピーナッツ抽出液および前記リゾチウム溶液を、それぞれのタンパク質濃度が、所定濃度(0、0.4、1.25、5、20、80、または320ppm)となるように、前記SB1T緩衝液で希釈し、ピーナッツタンパク質サンプル溶液およびリゾチウムサンプル溶液を調製した。前記フィルタープレートに、前記ピーナッツタンパク質固定化担体を50μL/wellとなるように、前記先切チップを用い、添加した。前記添加後、前記フィルタープレートを、3000rpm、室温、2分間の条件で遠心し、前記ピーナッツタンパク質固定化担体が含む液体を除去した。つぎに、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液を50μL/wellとなるように添加後、さらに、前記ピーナッツアプタマーを含む結合核酸分子液を、50μL/wellとなるように添加した。前記添加後、前記振盪機を用い、1000rpmで振盪しながら室温で4分間インキュベートした。なお、各所定濃度について、サンプル数は、3とした。これにより、前記ピーナッツアプタマーを、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液中のピーナッツタンパク質および前記ピーナッツタンパク質固定化担体中のピーナッツタンパク質と結合させた。
つぎに、前記フィルタープレートを、3000rpm、室温、1分間の条件で遠心することにより、前記担体以外の画分をフィルターで分離し、得られたろ液を回収した。このろ液について、前記実施例1(5)と同様にして、発光量を測定し、シグナル/ノイズ比および標準偏差を算出した。
また、前記ピーナッツタンパク質固定化担体、前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液、および前記ピーナッツアプタマーを含む結合核酸分子液に代えて、前記リゾチウム固定化担体、前記リゾチウムサンプル溶液、および前記卵アプタマーを含む結合核酸分子液を用いた以外は、同様にして、発光量を測定し、シグナル/ノイズ比および標準偏差を算出した。
(7)結果
これらの結果を図1〜4および表1〜2に示す。
図1は、前記ターゲットとしてピーナッツタンパク質を用いた場合の発光量を示すグラフである。図1において、(A)は、実施例1のグラフであり、(B)は、比較例1のグラフである。また、図1において、横軸は、前記ピーナッツアプタマー、前記ピーナッツタンパク質固定化担体および前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液の混合液におけるピーナッツタンパク質濃度を示し、縦軸は、発光量(RLU)を示す。図1に示すように、実施例1の分析方法は、比較例1の競合法と比較して、ピーナッツタンパク質濃度が0.2および0.625ppmのような低濃度であっても、発光量に有意差が存在した。このため、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、高い分析感度でターゲットを分析できることが分かった。
図2は、前記ターゲットとしてピーナッツタンパク質を用いた場合のシグナル/ノイズ比を示すグラフである。図2において、(A)は、実施例1のグラフであり、(B)は、比較例1のグラフである。また、図2において、横軸は、前記ピーナッツアプタマー、前記ピーナッツタンパク質固定化担体および前記ピーナッツタンパク質サンプル溶液の混合液におけるピーナッツタンパク質濃度を示し、縦軸は、シグナル/ノイズ比を示す。図2に示すように、実施例1の分析方法は、比較例1の競合法と比較して、いずれのピーナッツタンパク質濃度においても高いシグナル/ノイズ比を示した。このため、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されていることが分かった。
下記表1AおよびBは、前記ターゲットとしてピーナッツタンパク質を用いた場合の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表である。下記表1Aは、実施例1の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表であり、下記表1Bは、比較例1の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表である。下記表1AおよびBに示すように、本発明の分析方法は、前記図1および2と同様に、前記競合法と比較して、高い分析感度でターゲットを分析でき、また、バックグラウンドの上昇が抑制されていることが分かった。また、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、ピーナッツタンパク質濃度が0ppmの場合の発光量が顕著に低下しており、前述のシグナル/ノイズ比の上昇が、バックグラウンドの上昇の抑制によるものであることが確認できた。
Figure 2018171041
Figure 2018171041
つぎに、図3は、前記ターゲットとしてリゾチウムを用いた場合の発光量を示すグラフである。図3において、(A)は、実施例1のグラフであり、(B)は、比較例1のグラフである。また、図3において、横軸は、前記卵アプタマー、前記リゾチウム固定化担体および前記リゾチウムサンプル溶液の混合液におけるリゾチウム濃度を示し、縦軸は、発光量(RLU)を示す。図3に示すように、実施例1の分析方法は、比較例1の競合法と比較して、リゾチウム濃度が0.2および0.625ppmのような低濃度であっても、発光量に有意差が存在した。このため、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、高い分析感度でターゲットを分析できることが分かった。
図4は、前記ターゲットとしてリゾチウムを用いた場合のシグナル/ノイズ比を示すグラフである。図4において、(A)は、実施例1のグラフであり、(B)は、比較例1のグラフである。また、図4において、横軸は、前記卵アプタマー、前記リゾチウム固定化担体および前記リゾチウムサンプル溶液の混合液におけるリゾチウム濃度を示し、縦軸は、シグナル/ノイズ比を示す。図4に示すように、実施例1の分析方法は、比較例1の競合法と比較して、いずれのリゾチウム濃度においても高いシグナル/ノイズ比を示した。このため、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されていることが分かった。
下記表2AおよびBは、前記ターゲットとしてリゾチウムを用いた場合の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表である。下記表2Aは、実施例1の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表であり、下記表2Bは、比較例1の発光量およびシグナル/ノイズ比をまとめた表である。下記表2AおよびBに示すように、本発明の分析方法は、前記図3および4と同様に、前記競合法と比較して、高い分析感度でターゲットを分析でき、また、バックグラウンドの上昇が抑制されていることが分かった。また、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、リゾチウム濃度が0ppmの場合の発光量が顕著に低下しており、前述のシグナル/ノイズ比の上昇が、バックグラウンドの上昇の抑制によるものであることが確認できた。
Figure 2018171041
Figure 2018171041
以上のことから、本発明の分析方法が、前記競合法と比較して、バックグラウンドが抑制されていること、すなわちシグナル/ノイズ比が上昇していることがわかった。また、本発明の分析方法は、前記競合法と比較して、高い分析感度でターゲットを分析できることが分かった。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明によれば、前記競合法と比較して、前記バックグラウンドの上昇を抑制できる。また、本発明によれば、30秒から4分程度と極めて短時間でターゲットを分析できる。また、本発明によれば、前述のように、前記競合法と比較して、バックグラウンドの上昇が抑制されているため、例えば、前記競合法と比較して、シグナル/ノイズ比が向上する。このため、本発明によれば、例えば、前記競合法と比較して、高い分析感度で前記ターゲットを分析できる。したがって、本発明は、例えば、臨床医療、食品、環境等の様々な分野における研究および検査に、極めて有用な技術といえる。

Claims (25)

  1. 試料と、ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体の複合体とを反応させる工程と、
    前記担体以外の画分を分離する工程と、
    前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程とを含むことを特徴とする、ターゲット分析方法。
  2. 前記標識化結合核酸分子に結合した標識の数は、前記標識化結合核酸分子1分子あたり、0.3〜3分子である、請求項1記載のターゲット分析方法。
  3. 前記担体に固定化されたターゲットの量は、前記担体の表面積1mmあたり、1〜100molである、請求項1または2記載のターゲット分析方法。
  4. 前記標識化結合核酸分子と、前記ターゲットが固定化された担体とを反応させることにより、前記複合体を形成する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット分析方法。
  5. 前記複合体を分離する工程を含む、請求項4記載のターゲット分析方法。
  6. 前記担体は、ビーズである、請求項1から5のいずれか一項に記載のターゲット分析方法。
  7. 前記ビーズは、磁性ビーズである、請求項6記載のターゲット分析方法。
  8. 磁性体により前記磁性ビーズを分離することで、前記磁性ビーズ以外の画分を分離する、請求項7記載のターゲット分析方法。
  9. 前記標識は、酵素であり、
    前記担体以外の画分における前記標識化結合核酸分子の酵素反応を検出する、請求項1から8のいずれか一項に記載のターゲット分析方法。
  10. 前記酵素の基質の存在下、前記酵素反応を検出する、請求項9記載のターゲット分析方法。
  11. 前記酵素は、ルシフェラーゼである、請求項9または10記載のターゲット分析方法。
  12. 前記試料は、食品由来試料である、請求項1から11のいずれか一項に記載のターゲット分析方法。
  13. 前記ターゲットは、ピーナッツアレルゲンおよび卵アレルゲンの少なくとも一方である、請求項1から12のいずれか一項に記載のターゲット分析方法。
  14. 前記アレルゲンは、未変性アレルゲンまたは加熱変性アレルゲンである、請求項13記載のターゲット分析方法。
  15. ターゲットと結合する標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体を含み、
    請求項1から14のいずれか一項に記載のターゲット分析方法に使用することを特徴とする、ターゲット分析キット。
  16. 前記標識化結合核酸分子および前記ターゲットが固定化された担体は、前記標識化結合核酸分子と前記ターゲットが固定化された担体との複合体である、請求項15記載のターゲット分析キット。
  17. 前記標識化結合核酸分子に結合した標識の数は、前記標識化結合核酸分子1分子あたり、0.3〜3分子である、請求項15または16記載のターゲット分析キット。
  18. 前記担体に固定化されたターゲットの量は、前記担体の表面積1mmあたり、1〜100molである、請求項15から17のいずれか一項に記載のターゲット分析キット。
  19. 前記担体は、ビーズである、請求項15から18のいずれか一項に記載のターゲット分析キット。
  20. 前記ビーズは、磁性ビーズである、請求項19記載のターゲット分析キット。
  21. 前記標識は、酵素である、請求項15から20のいずれか一項に記載のターゲット分析キット。
  22. 前記酵素は、ルシフェラーゼである、請求項21記載のターゲット分析キット。
  23. さらに、前記酵素の基質を含む、請求項21または22記載のターゲット分析キット。
  24. 前記ターゲットは、ピーナッツアレルゲンおよび卵アレルゲンの少なくとも一方である、請求項15から23のいずれか一項に記載のターゲット分析キット。
  25. 前記アレルゲンは、未変性アレルゲンまたは加熱変性アレルゲンである、請求項24記載のターゲット分析キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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