JP2018170221A - リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物、並びにそれを用いたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物、並びにそれを用いたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の負極活物質として結晶性の高い黒鉛材料を用いた系において、初回充電時のガス発生量を抑制することができるリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物を提供する。【解決手段】負極活物質、増粘剤及び結着剤を含有するリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物であって、前記負極活物質は、黒鉛の表面の少なくとも一部に、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が付着しており、前記増粘剤は、エーテル化度が0.80〜1.50のカルボキシメチルセルロースである、リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物、並びにそれを用いたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、電極におけるリチウムイオンの吸蔵放出反応を利用した非水電解質二次電池であり、高エネルギー密度を有することから、携帯電話、ノートパソコン等に代表されるモバイル機器用の電源として広く利用されてきた。近年では、ハイブリット車、電気自動車等の電動車両の電源、定置式の電力貯蔵システム等のサイズの大きな電池を必要とする用途への使用も積極的に進められている。
現行のリチウムイオン二次電池においては、負極活物質として炭素材料が用いられることが多い。そのなかでも結晶構造の発達した黒鉛材料は、高い容量密度を得られることから大容量が要求される電気自動車、電力貯蔵システム等の用途に好適である。
このような炭素材料からなる負極活物質を用いてシート状の電極板を作製する場合、負極活物質と電極形成を保持するための結着材を溶媒に添加して均一に混練及びスラリー化して負極活物質層形成用組成物とし、集電体へ塗布して負極板を製造する手法が一般的に知られている。
この際使用する溶媒には、塗布及び乾燥後の溶媒回収の容易さ、環境上の問題等から、水を用いることが好ましい。溶媒を水とする場合には、負極活物質及び結着材の沈降等を防止する手段として、例えばポリエチレングリコール等の合成高分子、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」と言うこともある)等の天然多糖類等を増粘材として添加し、負極活物質層形成用組成物の粘度を高めることで沈み難くスラリー濃度を安定させる手法が知られている。例えば、特許文献1には、水を溶媒とし、スチレンブタジエンゴム(SBR)からなる結着材とCMCからなる増粘材を用いて負極活物質層形成用組成物を製造する方法が知られている。
上記のような負極を用いて電池を作製した場合、例えば特許文献2に記載されているように、初回の充電時に負極に残存している水、CMC等が分解し、水素ガスが発生することがわかっている。このCMCの分解反応はリチウムの吸蔵放出とは異なる副反応の1つであり、不可逆な反応であるため、反応量が多いほど初回の充放電効率が低下し、放電容量を低下させてしまう。また、このガスは電池の内圧を上昇させるといった危険があるため、電池の製造工程には初回充電時に発生したガスをセル外に放出させる工程を経る。特に電動車両、電力貯蔵システム用途等の大型電池ではそのガス量が膨大になるため、より長時間のガス抜き工程を要し、生産性が低下するおそれがある。また、初回充電中ガスをセル内に貯留するためのスペースを別途大きく取る必要があり、必要以上にセルサイズを大きくしなければならない。
このような観点において例えば、CMCの水酸基を有機化合物と架橋させて水素ガスの発生を抑制する方法(例えば、特許文献2参照)や、CMCの水素原子をハロゲン原子に置換する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
一方、上記のような結晶性の高い黒鉛材料を負極活物質として用いた場合、高い容量密度を得られる反面、電解液との反応性が高く、電解液の分解が起こり、その結果電池の充放電効率が悪化し且つ初回充電中のガス発生量が増加する虞がある。このような性能の悪化を改善するため、例えば特許文献4に記載のように、結晶性の高い黒鉛材料の表面を低結晶性炭素で被覆した材料は、黒鉛材料の有する高い容量密度を有し且つ電解液との反応性を抑制することができる。
特開平05−074461号公報 特開2000−106189号公報 特開2003−197195号公報 特開平04−368778号公報
しかしながら、上記特許文献2の方法は電池の充放電反応に関与しない架橋剤を加えるため、負極活物質層重量当たりの放電容量が低下する。また、上記特許文献3の方法は、製造工程において非常に毒性の強いハロゲンガス(フッ素ガス、塩素ガス等)を用いるため管理が厳しく、且つ人体に悪影響がある。一方、特許文献4の方法のように黒鉛材料表面を被覆すると、電解液との反応性は一部抑制されるものの、低結晶性炭素表面においても電解液の分解は少ないながらも起こるため、ガス発生量の低減は限定的である。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の負極活物質として結晶性の高い黒鉛材料を用いた系において、初回充電時のガス発生量を抑制することができるリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、黒鉛の表面の少なくとも一部に結晶性の低い炭素材料が付着した負極活物質と、エーテル化度が0.80〜1.50のカルボキシメチルセルロースとを使用することにより、初回充電時のガス発生量を抑制することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成したものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.負極活物質、増粘剤及び結着剤を含有するリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物であって、
前記負極活物質は、黒鉛の表面の少なくとも一部に、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が付着しており、
前記増粘剤は、エーテル化度が0.80〜1.50のカルボキシメチルセルロースである、リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物。
項2.前記カルボキシメチルセルロースの含有量が、前記負極活物質100質量部に対して0.3〜5.0質量部である、項1に記載の負極活物質層形成用組成物。
項3.前記黒鉛が天然黒鉛である、項1又は2に記載の負極活物質層形成用組成物。
項4.前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が、等方性ピッチの熱処理物である、項1〜3のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
項5.前記等方性ピッチが、石炭系等方性ピッチである、項4に記載の負極活物質層形成用組成物。
項6.前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料の軟化点が240〜290℃である、項1〜5のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
項7.前記黒鉛表面の活性点が、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料により不活性化されている、項1〜6のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
項8.前記負極活物質は、前記黒鉛と前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料の前駆体との合計量を100質量%として、前記黒鉛の含有量混合比率が90〜99質量%であり、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料炭素前駆体の含有量混合比率が1〜10質量%である、項1〜7のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
項9.項1〜8のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物を用いたリチウムイオン二次電池用負極。
項10.項9に記載のリチウム二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物は、初回充電時のガス発生量を抑制することができる。このため、特に、発生ガス量を抑制することによる生産性向上のメリットが大きい大型リチウムイオン二次電池用途として有用である。
球状天然黒鉛の表面形状を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
1.リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物及びリチウムイオン二次電池用負極
本発明のリチウム二次電池の負極活物質層形成用組成物は、前記負極活物質は、黒鉛の表面の少なくとも一部に、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が付着しており、前記増粘剤は、エーテル化度が0.80〜1.50のカルボキシメチルセルロースである。
負極活物質において、黒鉛としては、特に制限はなく、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれも使用できる。なかでも、より結晶性が高く電池特性に優れる観点から、天然黒鉛が好ましい。
黒鉛の形状及び形態は、特に制限されることはなく、燐片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状、破砕状等種々多様なものを採用することができ、粒子の配向をより抑制し、電解液をより浸み込みやすくし、発生ガス量をより抑制するとともにレート特性等の電池特性をより向上させる観点から、常法で球状化処理が施された球状黒鉛が好ましい。球状とは、真球状であってもよいし、楕円形状等であってもよい。球形化処理を実施する場合、通常扁平状の黒鉛のタップ密度は0.6〜1.5g/cc程度であるが、好ましくは0.7〜1.4g/cc、より好ましくは0.8〜1.3g/cc、さらに好ましくは0.9〜1.2g/ccに調整された黒鉛を使用することができる。これにより、粒子が配向して入出力特性が低下するのをより抑制することができる。なお、黒鉛のタップ密度は、(株)セイシン企業製の「TAPDENSER KYT−4000」により測定する。
なお、黒鉛は、図1で示されるように、透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、扁平状の天然黒鉛がキャベツ状になった構造が見られ、表層には劈開部が存在していることが好ましい。なお、黒鉛は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
また、黒鉛の粒径は、特に制限されないが、電極の均一性、活物質のかさ密度、電極を作製する工程上でのハンドリング性の観点から、中心粒径(D50)が2〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、8〜25μmがさらに好ましい。天然黒鉛の中心粒径(D50)は、日機装(株)製の「MT3000EXII」により測定する。
また、黒鉛は結晶性が高いことが好ましく、例えばX線広角回折法による(002)面の平均面間隔d(002)は、結晶化度の一般的な指標であり、結晶性をより十分に高くするとともに、リチウムの溶解析出に近い低い電位部分(リチウムの電位基準で0〜0.3V)の容量を十分に大きくする観点から、0.335〜0.340nmが好ましく、0.335〜0.337nmがより好ましい。
また、黒鉛は、X線広角回折法によるc軸方向の結晶子厚みLc(004)は、結晶性をより十分に高くするとともに、リチウムの溶解析出に近い低い電位部分(リチウムの電位基準で0〜0.3V)の容量を十分に大きくする観点から、Lc(004)が10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。なお、Lc(004)の上限値は特に制限はないが、通常200nmである。
上記のような黒鉛は、通常、リチウムイオン二次電池において用いられる電解質、例えば、非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液やリチウムイオンに対する活性点、つまり、電解液と反応して電解液を分解したり、充放電時に移動するリチウムイオンと反応したりする活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細は明らかではないが、一般には、黒鉛の外側に配向している、結晶子の端面であると理解されている。
本発明において、黒鉛より結晶性の低い炭素材料は、上記黒鉛の表面の少なくとも一部に付着している。例えば、黒鉛より結晶性の低い炭素材料は、上記黒鉛の表面の少なくとも一部を覆うように存在している。上記黒鉛の表面の少なくとも一部に上記炭素材料が付着した材料(以下、「表面被覆黒鉛」と言うこともある)において、炭素材料は黒鉛の表面全体を被覆することもできる。また、表面被覆黒鉛において、炭素材料は、黒鉛の表面の一部だけを被覆していてもよく、この場合、表面被覆黒鉛において、部分的に黒鉛が露出している状態となる。より優れた充放電特性を付与できるという観点では、黒鉛の表面全体を炭素材料が被覆していることが好ましいが、黒鉛の表面の一部だけが被覆されている場合であっても、十分に充放電特性を向上させることができる。
本発明において、上記炭素材料は、黒鉛より結晶性が低い。これにより、上記黒鉛の表面の少なくとも一部に上記炭素材料が付着した材料を負極活物質として用いる場合には、電解液中の非プロトン性有機溶媒等との反応性が低いため、電解液の分解が起こりにくい。その結果、電池の充放電効率が向上し、またその安全性が改善される。一般に、黒鉛は、活性な結晶子の端面が外側に配向しているため、電解液と反応しやすいが、上記表面被覆黒鉛では、結晶化度が低い炭素材料がこの活性な結晶子端面を塞いでいるので、電解液中の非プロトン性有機溶媒との反応が抑制されると考えられる。
上記炭素材料の結晶性が前記黒鉛より結晶性が低いことは、一般的な結晶化度の指標として知られているX線回折法による(002)面の値から判断できる。つまり、上記炭素材料のd(002)が芯材となる黒鉛より大きければ、上記炭素材料は黒鉛より結晶性が低いといえる。
上記炭素材料の軟化点は、黒鉛の活性点をより十分に塞ぎ、容量を維持しつつサイクル特性をより良好にする観点から、240〜290℃が好ましく、260〜290℃がより好ましい。なお、炭素材料の軟化点は、ASTM D3461の規格に従って測定する。
上記炭素材料の種類としては特に制限はなく、石炭系又は石油系のピッチ、タール等の他に、各種セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールの各種の合成樹脂等を用いることができる。ピッチは等方性ピッチであっても異方性ピッチであってもよい。これらの炭素前駆体は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも特定範囲のラマンスペクトル物性値及び特定範囲のX線光電子分光によって測定される酸素濃度を有する炭素材料を得るため、ピッチを被覆材料として用いることが好ましい。なかでも、等方性ピッチが好ましい。等方性ピッチとしては、例えば、石炭系等方性ピッチ、石油系等方性ピッチ等を挙げることができるが、容量を維持しつつサイクル特性をより良好にする観点から、本発明では石炭系等方性ピッチを用いるのがより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質である表面被覆黒鉛は、上述のように、黒鉛の主として活性点が選択的に上記炭素材料と反応し、電解液やリチウムイオンに対して不活性化されている。つまり、この負極活物質は、黒鉛表面が、上記炭素材料を含むコーティング層で完全に被覆されている必要はなく、黒鉛表面の活性点が、上記炭素材料で被覆されることにより、不活性化されているものと考えられる。
リチウムイオン二次電池用負極活物質は、このように黒鉛の主として活性点が選択的に被覆されている材料、つまり、黒鉛の表面が少なくとも部分的に被覆されている材料であることが好ましい。黒鉛の含有量は、負極活物質が割れたり、電極から剥がれたり、活性面の露出による電解液等との副反応が起こったりして容量低下及びサイクル特性低下を引き起こすことをより抑制するために、黒鉛と炭素前駆体との混合物を熱処理して表面被覆黒鉛を作製する場合において、黒鉛と炭素前駆体の混合割合は、黒鉛と炭素前駆体との合計量を100質量%として、後者を1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。また、リチウムイオン二次電池用負極活物質中の黒鉛の含有量は、90〜99質量%が好ましく、92〜98質量%がより好ましく、93〜97質量%がさらに好ましい。また、上記炭素材料の含有量は、黒鉛と上記炭素材料との合計量を100質量%として、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
表面被覆黒鉛は、上記のような構成を有しているが、さらに、以下の種々の物性を有することが好ましい。
表面被覆黒鉛は、ラマンスペクトル測定において1540〜1590cm-1に見られるピーク位置のマッピングにおいて、ピーク位置が1572cm-1以下である割合は、サイクル特性をより向上させる観点から40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
また、表面被覆黒鉛は、ラマンスペクトル測定において1540〜1590cm-1に見られるピークのピーク幅のマッピングにおいて、ピーク幅が35cm-1以上である割合は、サイクル特性をより向上させる観点から10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
また、表面被覆黒鉛は、ラマンスペクトル測定において1540〜1590cm-1に見られるピーク強度IGと、ラマンスペクトル測定において1325〜1375cm-1に見られるピーク強度IDの強度比ID/IGは、黒鉛表面の活性点をより十分に上記炭素材料で塞ぐとともに、内部までガス成分が侵入することをより抑制し、充放電時に応力が発生して表面被覆天然黒鉛の剥離をより抑制する観点から、0.20〜0.25が好ましく、0.21〜0.23がより好ましい。
また、表面被覆黒鉛は、X線光電子分光によって測定される酸素の元素濃度は、天然黒鉛表面の劈開部が壊れることによって劈開面(内部)から酸素が出てくることによって酸素濃度が高くなることをより抑制するために、0.7原子%以下が好ましく、0.6原子%以下がより好ましい。
表面被覆黒鉛は、黒鉛の活性点が、結晶性の低い炭素材料で被覆されているために、黒鉛よりもタップ密度が大きいが、粒子が配向して入出力特性が低下するのをより抑制する観点から、0.85〜1.40g/ccが好ましく、0.95〜1.30g/ccがより好ましく、1.05〜1.20g/ccがさらに好ましい。なお、表面被覆黒鉛のタップ密度は、(株)セイシン企業製の「TAPDENSER KYT−4000」により測定する。
表面被覆黒鉛は、黒鉛の活性点が、結晶性の低い炭素材料で被覆されているために、黒鉛よりも中心粒型(D50)が大きいが、電極の均一性、活物質のかさ密度、電極を作製する工程上でのハンドリング性の観点から、5〜40μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。なお、表面被覆黒鉛の中心粒径(D50)は、日機装(株)製の「MT3000EXII」により測定する。
表面被覆黒鉛は、X線広角回折法による(002)面の平均面間隔d(002)が0.3354〜0.3380nmが好ましく、0.3354〜0.3365nmがより好ましい。このため、電解液の有機溶媒やリチウムイオンとの反応性が低く、電解液の分解や粒子の破壊等が起こりにくい。
表面被覆黒鉛は、結晶性をより十分に高くするとともに、リチウムの溶解析出に近い低い電位部分(リチウムの電位基準で0〜0.3V)の容量を十分に大きくする観点から、Lc(004)が10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。なお、Lc(004)の上限値は特に制限はないが、通常200nmである。
上記のような表面被覆黒鉛は、結晶性が高く、高容量を実現することが可能となる。
また、安価な黒鉛を原材料としているので、コスト的にも優位である。しかも、長期の充放電サイクル特性も優れており、自動車等の電源としての要求性能をも満足することができる。これは、熱処理時に黒鉛粒子表面に存在する劈開部への被覆材料から発生する揮発ガスの侵入を抑制することにより、表面被覆黒鉛の剥離を抑制することによる効果である。
上記のような表面被覆黒鉛は、常法により製造することができる。例えば、特開2016−081816号公報に準じて製造することができる。
表面被覆黒鉛は、リチウムイオン二次電池用負極の構成材料として好適に使用できる。例えば、表面被覆黒鉛、増粘剤、及び必要に応じて結着剤等を含む負極活物質層形成用組成物を成形する方法;表面被覆黒鉛、増粘剤、及び必要に応じて負極バインダ等を含む負極活物質層形成用組成物(特に負極活物質層形成用ペースト組成物)を負極集電体に塗布手段(ドクターブレード等)を用いて塗布する方法等により、負極集電体上に負極活物質層を形成し、任意の形状のリチウムイオン二次電池用負極とすることができる。負極の形成においては、必要に応じて端子と組合せることもできる。特に、負極集電体に負極活物質層形成用組成物を用いて塗布する方法が好ましい。
本発明の負極活物質層形成用組成物において、上記した負極活物質(表面被覆黒鉛)の含有量は、特に制限はなく、充放電容量、サイクル特性、初回充電時のガス発生抑制等の観点から、形成される負極活物質層の質量を100質量%として、90〜99質量%が好ましく、92〜98.5質量%がより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極形成用組成物は、エーテル化度が0.80〜1.50であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を含有する。CMCにおけるエーテル化度とは、セルロースの単位骨格に含まれるカルボキシメチル基の平均数であり、理論上は0〜3の値を取り得る。エーテル化度は元素分析により求めたCMC中の炭素含有量から求める。CMCのエーテル化度は、初回充電時のガス発生抑制の観点から、0.80〜1.50、好ましくは1.00〜1.45、より好ましくは1.20〜1.40である。なお、エーテル化度が0.80未満では、黒鉛との親和性が悪く、負極活物質層内で負極活物質、増粘剤、結着剤等の成分が不均一に分布するため初回充電時のガス発生を抑制することができない。またエーテル化度が1.50をこえると、負極集電体との相互作用が弱くなり、負極活物質層が負極集電体からはがれやすくなるため電池のサイクル特性が低下する。
このようなエーテル化度を有するCMCを使用することで初回充電時のガス発生を抑制できる理由は必ずしも明らかではないが、CMCに含まれる水素原子のうち、特に水酸基の水素原子が充電時に酸化され易く、水酸基を置換することでガス発生の原因となる水素原子の量が減少するため、ガス発生が抑制されると考えられる。また、CMCのエーテル化度が高くなることはすなわち、CMCの側鎖にある水酸基が有機基に置換され、疎水性が増すこととなる。CMCの疎水性が増すことで、負極活物質に用いられている黒鉛とCMCとの親和性が向上し、黒鉛をCMCで均一に覆うことで黒鉛の活性点を塞ぎ、初回充電時の電解液との反応性を低下させ、ガス発生を抑制していることも考えられる。
本発明の負極活物質層形成用組成物中におけるCMCの含有量は、初回充電時のガス発生抑制、電池性能、スラリー安定性等の観点から、形成される負極活物質層の質量を100質量%として、0.3〜5.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。また、CMCの含有量は、負極活物質(表面被覆黒鉛)100質量部に対して、0.3〜5.0質量部が好ましく、0.5〜3.0質量部がより好ましい。
結着剤としては、リチウムイオン二次電池に使用される結着剤であれば特に制限はないが、ゴムバインダを用いることが好ましい。ゴムバインダとは、二重結合部位を有する1種類以上の単量体混合物を重合して得られるゴムを含む結着剤を意味する。ゴムバインダの例としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)及びその変性体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体、アクリルゴム及びその変性体等が挙げられる。他にも、結着剤としては、フッ素系ポリマー(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリオレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等も使用することができる。
本発明の負極活物質層形成用組成物中に結着剤を含ませる場合、結着剤の含有量は、初回充電時のガス発生抑制、電池性能、結着性等の観点から、形成される負極活物質層の質量を100質量%として、0.3〜5.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。また、結着剤の含有量は、負極活物質(表面被覆黒鉛)100質量部に対して、0.3〜5.0質量部が好ましく、0.5〜3.0質量部がより好ましい。
さらに、本発明の負極活物質層形成用組成物には、さらに、導電材(導電性炭素材料等)を含ませてもよい。導電材としては、例えば、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。これらの導電材は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。導電材の使用割合は特に制限されず、負極活物質と導電材の総量100質量%に対して、通常、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。これにより、電極としての導電性をさらに向上させることも可能である。
リチウムイオン二次電池用負極を形成する場合は、本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物(特にリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用ペースト組成物)を負極集電体上に塗布して負極活物質層を形成することが好ましい。
負極集電体は、銅、銀、金等の金属からなる、例えば箔状、メッシュ状等の部材であり、公知の負極集電体を使用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物(特にリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用ペースト組成物)の負極集電体への塗布量は特に制限されず、通常、3〜15mg/cm2が好ましく、7〜13mg/cm2がより好ましい。また、負極集電体に塗布した膜の厚さ(前記組成物の膜厚)は、例えば、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。なお、塗布後、負極集電体には、乾燥処理(例えば、真空乾燥等)を施すこともできる。
2.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物は、上記したように負極構成材料としてリチウムイオン二次電池を構成できる。特に、本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物は、前記のように、初回充電時のガス発生を抑制できるリチウムイオン二次電池を構成できる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した本発明のリチウム二次電池の負極活物質層形成用組成物を用いた負極を備えている。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極以外に、公知のリチウムイオン二次電池に適用される正極、電解液及びこれらを収納するための容器や、ガスケット、封口板等を備えることができる。
正極は、特に制限されず、公知の正極が使用でき、正極は、例えば、正極集電体、正極活物質、導電剤などで構成できる。正極集電体として、例えば、アルミニウム等を例示することができる。正極活物質としては、例えば、金属リチウムの他、TiS2、MoS3、NbSe3、FeS、VS2、VSe2等の層状構造を有する金属カルコゲン化物;CoO2、Cr3O5、TiO2、CuO、V3O6、Mo3O、V2O5(・P2O5)、Mn2O(・Li2O)、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等の金属酸化物;ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性を有する共役系高分子物質等を用いることができる。なかでも、金属リチウム、金属酸化物(特に、V2O5、Mn2O、LiCoO2、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物)等が好ましい。
また、電解液は、非プロトン性有機溶媒に塩を溶解した電解液であって、正極と負極との間に配置されており、例えば、正極と負極との短絡を防止するための不織布等からなるセパレータ(通常使用される多孔質ポリプロピレン製不織布等のポリオレフィン系多孔質膜のセパレータ等)に含浸されて保持されている。
なお、上述の電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等のエステル;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のフラン;ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、ジエチレングリコール等のエーテル;ジメチルスルホキシド;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの非プロトン性有機溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
一方、このような非プロトン性有機溶媒に溶解される塩は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCl、LiI等の溶媒和しにくいアニオンを生成する塩が挙げられる。これらの塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。好ましい電解液には、強い還元雰囲気でも安定な溶媒テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4-メチルジオキソランのような強い還元雰囲気でも安定なエーテル系溶媒や、前記非プロトン性溶媒(好ましくは2種以上の混合溶媒)に、前記例示の塩を溶解させた溶液等が含まれる。
なお、リチウムイオン二次電池は、円筒型、角型、ボタン型等任意の形状又は形態とすることができる。
このような本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した本発明の負極を用いているため、充放電容量及びサイクル特性に優れつつ、初回充電時のガス発生を抑制することができる。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液に代えて、公知の無機固体電解質や高分子固体電解質等の他の電解質を用いた場合も同様に実施することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、CMCは市販品を用いた。
[X線回折測定法及び解析法]
実施例及び比較例において、d(002)及びLc(004)は、理学電機(株)製のX線広角回折装置(型式:MiniFlexII)により測定した。また、結晶子サイズの測定は、学振法に従って行った。その際解析ソフトとしてCarbon Analyzer G series((株)菱化システム)を用いた。標準シリコンとしては、NIST650b Silicon Powder XRD Spacing(U.S. Department of commerce National Institute of standards and Technology)を用いた。
[粒径の測定]
日機装(株)製「MT3000EXII」を用いて、粒子の粒度分布及びD50を測定した。
[比表面積の測定法]
カンタークローム社製「NOVA2000/窒素吸着BET比表面積測定装置」を用いて比表面積を測定した。
[タップ密度の測定法]
(株)セイシン企業製TAPDENSER「KYT-4000」を用いてタップ密度を測定した。シリンダーの容積は100cc、タッピング距離は50mm、タッピング回数は1200回とした。
[粘度の測定]
リチウムイオン二次電池の電極に用いるCMCの1%水溶液粘度は、東京計器社製B型粘度計を用いて温度25℃で測定した。
[初回充放電評価]
電池の作製
負極としては実施例1〜3及び比較例1〜3で得た負極を用いた。その他、正極として12×12mm角の金属Li箔を、電解液としてエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒(質量比1: 2)にLiPF6を1mol/Lの割合で溶解した電解液を用い、セパレータとしてポリプロピレン不織布を用いて、ガラスセルを作製した。
評価方法
上記電池で、25℃温度下のもと、0.3Cで0.01Vまで定電流で充電した後、0.01Vの定電圧で充電した。計8時間充電した後、0.3Cで1.2Vまで放電し、初回放電容量及び初回充放電効率を測定した。結果を表1に示す。
[ガス発生量評価]
電池の作製
負極活物質層形成用組成物としては実施例1〜3及び比較例1〜3で得た負極活物質層形成用組成物を用いた。銅箔上に負極活物質層形成用組成物をドクターブレード法で目付け9.2mg/cm2に塗布した。60℃で乾燥した後、ロールプレスにより密度が1.5g/ccとなるように圧密化し32mm×52mm角に切り出し、200℃で減圧乾燥して負極とした。
リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体93質量部に、アセチレンブラック4質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量部とN-メチルピロリドンを加え混練し、スラリーとした。アルミニウム箔にこのスラリーをドクターブレード法で目付け21.3mg/cm2に塗布した。130℃で減圧乾燥し、更に正極層の密度が2.7g/cm3となるようにロールプレスで圧密化した。これを30mm×50mm角に切り出し、150℃で乾燥して正極とした。
上記の負極と正極を用い、電解液としてはエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=3: 7(質量比)にLiPF6を1mol/Lの割合で溶解した電解液を用いた。
評価方法
初回充電時のガス発生量はアルキメデス法によって評価した。上記電池を水で満たされた容器に入れた後、上記電池で0.05Cで3.6Vまで定電流で充電した。容器から溢れた水の質量を測定し、充電前後での質量差を求めた。ここで得られた水の質量を体積に換算し、電池の体積変化量を求め、その値を初回充電時におけるガス発生量とした。結果を表1に示す。
[実施例1]
中国製球状天然黒鉛[D50= 17.9μm、比表面積= 5.5m2/g、タップ密度= 1.00g/cc、d(002)= 0.335nm]95質量部と石炭系等方性ピッチ(軟化点= 280℃)5質量部をナウタミキサーで混合した。球状天然黒鉛と等方性ピッチの混合物を窒素雰囲気中、1100℃で1時間(昇温速度200℃/hr)熱処理し、負極活物質を得た。
得られた負極活物質を98質量%、増粘剤としてエーテル化度が1.30のCMCを1質量%、結着剤としてスチレンブタジエン共重合体を1質量%と水を加えて混練しスラリーとし、負極活物質層形成用ペースト組成物を得た。銅箔上にこの負極活物質層形成用ペースト組成物をドクターブレード法で目付け9.0mg/cm2に塗布した。60℃で乾燥したのちロールプレスにより塗布密度が1.6g/ccとなるように圧密化し10mm×10mm角に切り出し、200℃で減圧乾燥して負極とした。
[実施例2]
CMCのエーテル化度を1.38とすること以外は実施例1と同様に、負極活物質、負極活物質層形成用ペースト組成物及び負極を得た。
[実施例3]
CMCのエーテル化度を0.93とすること以外は実施例1と同様に、負極活物質、負極活物質層形成用ペースト組成物及び負極を得た。
[比較例1]
CMCのエーテル化度を0.70とすること以外は実施例1と同様に、負極活物質、負極活物質層形成用ペースト組成物及び負極を得た。
[比較例2]
CMCのエーテル化度を0.62とすること以外は実施例1と同様に、負極活物質、負極活物質層形成用ペースト組成物及び負極を得た。
[比較例3]
負極活物質として、実施例1で使用した中国製球状天然黒鉛を用いた(等方性ピッチの熱処理物で覆わなかった)。負極活物質としてこの天然黒鉛を用い、増粘剤としてエーテル化度が0.70のCMCを用いたこと以外は実施例1と同様に、負極活物質、負極活物質層形成用ペースト組成物及び負極を得た。
表1の結果から、実施例で得られた負極を用いた場合はいずれも、初回放電容量及び初回充放電効率を維持したまま初回充電時のガス発生量が比較例よりも抑制されていることが理解できる。特に、特定の負極活物質と特定のCMCとを組合せて使用することで、初回放電容量及び初回充放電効率を維持したまま初回充電時のガス発生量が比較例よりも抑制することができた。この結果、本発明のリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物は、特に充電時に発生するガス量が膨大になる大型のリチウムイオン二次電池用負極として有用である。

Claims (10)

  1. 負極活物質、増粘剤及び結着剤を含有するリチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物であって、
    前記負極活物質は、黒鉛の表面の少なくとも一部に、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が付着しており、
    前記増粘剤は、エーテル化度が0.80〜1.50のカルボキシメチルセルロースである、リチウムイオン二次電池の負極活物質層形成用組成物。
  2. 前記カルボキシメチルセルロースの含有量が、前記負極活物質100質量部に対して0.3〜5.0質量部である、請求項1に記載の負極活物質層形成用組成物。
  3. 前記黒鉛が天然黒鉛である、請求項1又は2に記載の負極活物質層形成用組成物。
  4. 前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料が、等方性ピッチの熱処理物である、請求項1〜3のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
  5. 前記等方性ピッチが、石炭系等方性ピッチである、請求項4に記載の負極活物質層形成用組成物。
  6. 前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料の軟化点が240〜290℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
  7. 前記黒鉛表面の活性点が、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料により不活性化されている、請求項1〜6のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
  8. 前記負極活物質は、前記黒鉛と前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料の前駆体との合計量を100質量%として、前記黒鉛の含有量混合比率が90〜99質量%であり、前記黒鉛より結晶性の低い炭素材料炭素前駆体の含有量混合比率が1〜10質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の負極活物質層形成用組成物を用いたリチウムイオン二次電池用負極。
  10. 請求項9に記載のリチウム二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池。
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