JP2018169356A - き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ、応力拡大係数算出方法およびき裂監視方法 - Google Patents

き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ、応力拡大係数算出方法およびき裂監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定および計算が容易な応力拡大係数の測定が可能であって、且つき裂の進展状態を的確に把握し得るひずみゲージを提供する。
【解決手段】 軸中心Oを基点として円弧状の第1、第2のゲージグリッドG1,G2を内側に、円弧状の第3、第4のゲージグリッドG3、G4をその外側に配置する。第1、第2のゲージグリッドG1、G2の内側に近接して第1のき裂検知パターンL1を配置し、第3、第4のゲージリードG3、G4の内側に近接して円弧状の第2のき裂検知パターンL2を配置する。
第1のき裂検知パターンL1が断線すると、第2のひずみゲージへの通電が遮断され、第2のき裂検知パターンL2が断線すると、第3のひずみゲージへの電力供給が遮断される。
これによって、き裂の進展状態を的確に把握され健全性の評価が可能となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法に関し、より詳細には、部材中に発生したき裂(亀裂)の破壊力学パラメータの一つである応力拡大係数を簡易に測定するために煩雑なき裂長さ測定作業を不要となすと共にき裂の進展状況を監視し得るよう設計した専用のひずみゲージおよびその応力拡大係数測定用ひずみゲージを測定対象とするき裂先端部に添着し、応力拡大係数を簡単に且つ精度よく求め得る応力拡大係数算出方法およびき裂監視方法に関する。
従来、機器、構造物に存在するき裂(亀裂)に作用する応力拡大係数(「K値」と呼び、き裂を成長させる原動力となる破壊力学パラメータで、開口モードKとせん断モードKII、KIIIがある)を求める場合、多くの仮定を用いた計算となり、また、煩雑な計算が必要となる。
このような応力拡大係数測定用ひずみゲージの従来技術として、特開昭63−24103号公報(以下、「特許文献1」という)に開示された技術がある。
この特許文献1に記載された応力拡大係数計測用ひずみゲージは、図15に示すように、紙や合成樹脂等の絶縁物で形成された矩形のシート状をなすベース1の中央には、直径がdの開口2が形成されている。この開口2の中心から半径rの円周上には、それぞれ半円弧状をなすゲージグリッド3、4が形成され、これらゲージグリッド3、4の両端にはそれぞれリード線5、6が接続されている。同様に、開口2の中心から半径rの円周上には、それぞれ半円弧状をなすゲージグリッド7、8が形成され、これらゲージグリッド7、8の両端にはそれぞれリード線9、10が接続されている。
ゲージグリッド3、4の測定方向とゲージグリッド7、8の測定方向とが相互に直角をなすように、これらゲージグリッド3、4、7、8のグリッドパターンが設定されている。
このように構成された特許文献1のひずみゲージは、応力拡大係数を算出するために、煩雑な計算をしなければならず、例えば、前もってき裂長さに対応した表(またはグラフ)を作っておき、この表と測定したき裂長さを使い、計算しなければならない、という難点がある。
上記表と測定したひずみ値を使わなければ、応力拡大係数は、算出できなかった。
他の先行技術として、多数枚のロゼット型ゲージを、き裂回りに貼り付け、測定したひずみ値から応力拡大係数を算出する方法がある。
しかしながら、この多数枚のロゼット型ゲージを添着する厄介さがあると共に、採取したひずみ値のデータ量が多くなり、その処理に多大の労力を必要とするばかりでなく、小型化を図り難いため、小さな領域における測定が困難である、といった問題があった。
このような問題に対処すべく、本件出願人は、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得るパターンが形成された専用の小型の応力拡大係数測定用ひずみゲージを特開2015−138020号公報(以下、「特許文献2」という)にて提案した。
上記特許文献2に係る発明は、図16に示す構成となっている。図16に示された応力拡大係数測定用ひずみゲージは、次のような構成よりなる。
軸中心Oから放射方向に延びる基準軸OXと、前記軸中心Oから半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と、前記第1、第2の円弧部より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心Oからの半径が異なる第3の円弧部と第4の円弧部と、前記基準軸OXを対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸OR1およびOR2とを仮想したとき、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第3の円弧部と前記第4の円弧部とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4と、
前記第1のゲージグリッド部G1の各端に接続された第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と、
前記第2のゲージグリッド部G2の各端に接続された第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と、
前記第3のゲージグリッド部G3の各端と接続された第3の一対の接続端子T3−1、T3−2と、
前記第4のゲージグリッド部G4の各端と接続された第4の一対の接続端子T4−1、T4−2と、
前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2並びに前記第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4と、前記第1および第2の接続端子T1−1、T1−2およびT2−1、T2−2並びに前記第3および第4の接続端子T3−1、T3−2およびT4−1、T4−2が一体的に添着されてなる絶縁基板BPとからなるひずみゲージであって、
被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心Oを合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸OXとを合致させて前記絶縁基板BPを前記被測定対象物に添着し、前記き裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したものである。
このように構成された特許文献2によれば、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得るパターンが形成された専用の小型の応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することができる。
更に、特許文献2に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いた場合、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、簡易な測定作業で、き裂回りのひずみ値が得られ、得られたひずみ値から、現場で電卓程度の計算で、簡単に且つ制度よく応力拡大係数を求められる応力拡大係数算出方法を提供することができる。
以下に、上記特許文献2に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いた場合の、き裂の発見から対処までの流れを図17〜図19を示し、本発明で改善する課題について説明する。
(1) き裂の発見
先ず、第1に、定期的な目視検査や過流探傷試験などの非破壊検査によってき裂を発見する。
(2) 拡大応力係数算出
次いで、図16、図17(b)に示すように、発見したき裂の先端に対してひずみゲージの軸中心Oを合致させて被測定対象物に添着する。
第1〜第4のひずみゲージS1〜S4それぞれを後述する図5(a)〜(d)に示すように、一辺に挿入したホイートストンブリッジ回路BCをひずみ測定器M、例えば、本件出願人の製造・販売に係る動ひずみ測定器EDX−3000Bに接続し、構造物が受ける荷重変化〔図17(a)〕に伴って第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4に相当する第1〜第4のひずみゲージS1〜S4それぞれで検出されるひずみを測定する〔図17(b)〕。測定した4つのひずみを用いて応力拡大係数を算出する〔図17(d)〕。応力拡大係数算出の流れを図17(a)、(b)、(c)、(d)に示す。
(3) き裂進展予測
き裂進展予測には、応力拡大係数の変動幅ΔKを用いる〔図18(a)〕。応力拡大係数の変動幅ΔKと、き裂進展速度の関係は、材料ごとに例えば図18(b)のようにあらわされる。
図18(b)に示すグラフのΔKthは下限界値、ΔKcは上限界値である。ΔK<ΔKthの時、き裂は進展しない。ΔKth<ΔK<ΔKcの時、応力拡大係数の変動幅ΔKの増加に伴いき裂進展速度は増加する。そして、上限界値ΔKcをこえると一気にき裂が進展する。図18(b)に示すように、応力拡大係数の変動幅ΔKと、き裂進展速度の関係を用いることで、ある程度、き裂の進展を予測することができる。
(4) 健全性評価
上記き裂進展予測結果と、構造物ごとに定められた判定基準から健全性を評価する。一例として、き裂進展予測結果から、き裂の進展に伴う構造物の強度低下を予測し、一定の期間(構造物の耐用年数や、定期検査の間隔などから、決定される期間)経過後の強度低下と、構造物の破壊限界から定めた安全水準を比較することで構造物の健全性を評価する。健全性評価の概略図を図19に示す。
(5) 処置の判断
健全性評価結果と構造物ごとに定められた判定基準からき裂への対処を決定する。以下に判定基準を示す。
1)継続使用(第1の段階):き裂進展予測の結果、構造物の強度低下が構造物ごとに定められた安全水準を満たし、充分に余裕のあるもの。
2)継続的な検査の実施(第2の段階):き裂進展予測の結果、判断基準に定められた一定期間中の構造物の強度低下が安定基準を満たすものの十分に余裕がないもの。
3)補修・取替え(第3の段階):き裂進展予測の結果、構造物の強度低下が構造物ごとに定められた安全水準を満たさない、もしくは判断基準で定められた一定期間内に満たさなくなると予測されるもの。
(6) 処置の実施
1) については、継続使用を行い、必要に応じて定期検査などのタイミングで適宜検査を行う。
2)継続使用するが、安全性確保のために継続的な検査で、き裂進展の監視を行う。
3)補修・取替えと判断されたき裂は、判定基準に基づいて補修・取替えを行う。
上述したように、特許文献2に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージでも、き裂の進展によってゲージパターンが断線し、き裂の進展をモニタリングできる可能性はある。
しかしながら、上述した応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージパターン形状では、パターン断線位置および断線のタイミングを特定することができない、という難点がある。
また、特許文献2に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージにあっては、例えば、き裂が当該ひずみゲージを通過した場合であっても、そのき裂が偶々第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2とが隣接する隙間部分並びに第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4とが隣接する隙間部分をき裂が通過する場合にあっては、当該ひずみゲージのいずれのグリッド部も切断されないので、あたかも、き裂が生じなかった如くに誤認(誤検出)してしまい、重大な事態が生じることになる。
従って、き裂進展検知に確実性がなく、モニタリングに使用することはできない。
そのため、継続的なモニタリングの為には、例えば、実公平08−8404号公報(以下、「特許文献3」という)に示すようなクラックゲージを同じ位置に別途設置し直さなければならず、設置コストと手間が必要となる。特に、近年老朽化が進み、き裂が多数発見されているインフラ構造物において、これらのコストと手間を削減することは重要な課題である。
また、上記応力拡大係数測定用ひずみゲージにおいては、き裂の進展速度は、予測(推定)に過ぎず、即時補修または交換作業を行うべきか、経過観察による判断でよいかなど疲労き裂の厳密な評価が必ずしも容易でない面があった。
そのため、き裂がそれ程進展していない状態であっても安全性を優先して補修ないしは交換を行う傾向にあった。
このような対応の場合、経済的観点からみると、不経済であるといわざるを得ない。
き裂の進展は、被測定対象物の材質によって著しく相違し、また、被測定対象物に負荷される外力が、周期的にかかるか不規則にかかるかにより大きく変動することになり、その予測は、困難である。
特開昭63−024103号公報 特開2015−138020号公報 実公平08−008404号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的とするところは、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得ると共にき裂の進展を監視し得るパターンが形成された専用の小型のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することにある。
さらに、本発明の第2の目的とするところは、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いて、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、簡易な測定作業で、き裂回りのひずみ値が得られ、得られたひずみ値から、現場で電卓程度の計算で簡単に且つ精度よく、応力拡大係数を求められると共にき裂を監視し得る応力拡大係数算出方法を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的とするところは、前記応力拡大係数測定用ひずみゲージの問題点に鑑みて、き裂の検出を確実に行い得ると共にき裂の進展状態を的確に把握し得るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することにある。
さらに、本発明の第4の目的とするところは、被測定対象物の材質が異なっても、また、被測定対象物に負荷される外力が周期的に変化する場合であっても、不規則にかかる場合であっても、き裂の進展状態を的確に把握し得るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することにある。
第5の目的とするところは、応力拡大係数測定用ひずみゲージと、き裂検知パターンとを1つのゲージで行うことを可能として、ひずみゲージとき裂検知パターンとの張替え作業を不要化し、コストの削減を実現し得るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することにある。
請求項1に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、上述した第1〜第3の目的を達成するために、
軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心から半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と前記第1、第2の円弧部より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心からの半径が異なる第3の円弧部と第4の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第3の円弧部と前記第4の円弧部とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部と、
前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
前記第3のゲージグリッド部の各端と接続された第3の一対の接続端子と、
前記第4のゲージグリッド部の各端と接続された第4の一対の接続端子と、
前記第1の一対の接続端子と前記第1のゲージグリッド部の各端を中継接続する第1の一対の配線パターンと、
前記第2の一対の接続端子と前記第2のゲージグリッド部の各端を中継接続する第2の一対の配線パターンと、
前記第3の一対の接続端子と前記第3のゲージグリッド部の各端を中継接続する第3の一対の配線パターンと、
前記第4の一対の接続端子と前記第4のゲージグリッド部の各端を中継接続する第4の一対の配線パターンと、
前記第1の一対の配線パターンと、前記第2の一対の配線パターンの少なくとも一方の経路中に連接され、前記第1のグリッド部および前記第2のグリッド部の前記第1の円弧部の内側に沿って配設された第1のき裂検知パターンと、
前記第3の一対の配線パターンと、前記第4の一対の配線パターンの少なくとも一方の経路中に連接され、前記第3のグリッド部および前記第4のグリッド部の前記第3の円弧部の内側に沿って形成された第2のき裂検知パターンと、
前記第1および第2のゲージグリッド部と前記第3および第4のケージグリッド部と、前記第1および第2の接続端子と、前記第3および第4の接続端子と、前記第1〜第4の一対の配線パターンと、前記第1および第2のき裂検知パターンと、が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなるひずみゲージであって、
被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、
前記き裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成すると共に、
前記き裂による前記第1および第2のき裂検知パターンの段階的な破断によりき裂の進展を監視し得るように構成したことを特徴としている。
請求項2に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記第1のき裂検知パターンが、前記第2の一対の接続端子と前記第2のゲージグリッド部の各端との間に連接されていることを特徴としている。
請求項3に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記第2のき裂検知パターンが、前記第3の一対の接続端子と前記第3のゲージグリッド部の各端との間に連接されていることを特徴としている。
請求項4に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記第1〜第4の一対の接続端子が、前記第1〜第4のゲージグリッド部の各々の一端に一対一の関係でそれぞれ接続されていることを特徴としている。
請求項5に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記第3の一対の接続端子の一方と、前記第1の一対の接続端子の一方とは、共通使用され、
前記第4の一対の接続端子の一方と前記第2の一対の接続端子の一方とは共通使用されることを特徴としている。
請求項6に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記基準軸と前記第1の放射軸および前記基準軸と前記第2の放射軸とがなす角度を、それぞれ90°となしたことを特徴としている。
請求項7に記載した発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージは、前記請求項1のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの第1のゲージグリッド部〜前記第4のゲージグリッド部に相当する前記第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、前記4つのホイートストンブリッジ回路の入力端にそれぞれブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧をひずみ測定器で測定した前記第1〜第4のひずみゲージのひずみ値を、所定の演算式に代入することでせん断モードにおける応力拡大係数を測定し得ると共にき裂の進展を監視し得るように構成したことを特徴としている。
請求項8に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、前記請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおいて、前記第1および第2のひずみゲージのうち、一方のひずみゲージを前記き裂検知パターンを介して且つ他方のひずみゲージを直接一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(1):
を満足することを特徴としている。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数である。
請求項9に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、前記請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおける前記第1〜第4のゲージグリッド部に相当する第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG4、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(4):
を満足することを特徴としている。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数であり、
さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
請求項10に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、
前記請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおける前記第1〜第4のゲージグリッド部に相当する第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4組のホイートストンブリッジを形成し、
各前記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧を印加したとき、出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1〜前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1〜εG4、開口モードの材料定数をF1、前記ゲージグリッドの第1および第2の形状定数をQおよびQとして、開口モードの応力拡大係数Kが、
下記の条件式(6):
を満足することを特徴としている。
但し、前記開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(7)で与えられる定数であり、
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
前記条件式(3)で与えられる定数であり、
前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、前記条件式(5)で与えられる定数である。
請求項11に記載した発明に係るき裂の監視方法は、前記第1〜第4のひずみゲージの前記第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを、前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して、4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記4つのホイートストンブリッジ回路の入力端にそれぞれブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧を前記ひずみ測定器で測定した前記第1〜第4のひずみゲージのひずみ値を測定中にき裂が進展し、前記4つのホイートストンブリッジ回路に接続された前記第1の検知回路に接続された前記第1の検知パターンおよび前記第2のき裂検知パターンがそれぞれ破断した時点で、第1の異常出力および第2の異常出力を生じさせ、測定開始時点から、前記第1の異常出力および前記第2の異常出力の発生時点までの各時間間隔に基づき、き裂進展状態を求めて構造物の健全性評価に供し得るようにしたことを特徴としている。
請求項12に記載した発明に係るき裂の監視方法は、前記構造物の健全性評価は、継続的使用が可能か否か、構造物の補修・交替に緊急性を有するか否かを個別的に評価を行い得るものであることを特徴としている。
本発明によれば、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得ると共に、き裂の進展を的確に監視し得るパターンが形成された専用の小型のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することができる。
また、本発明によれば、き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いて、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、簡易な測定作業で、き裂回りのひずみ値が得られ、得られたひずみ値から、現場で電卓程度の計算で、簡単に且つ精度よく応力拡大係数算出方法を提供することができると共に、き裂の進展状態を的確に把握し得る応力拡大係数算出方法を提供することができる。
また、本発明によれば、測定対象物の材質が異なっても、また、被測定対象物に負荷される外力が周期的に変化する場合であっても、不規則にかかる場合でも、き裂の進展状態を正確に把握することが可能であり、例えば、健全性の評価において、安全に継続使用が可能な第1の段階にあるのか緊急に補修・取替えが必要な第3の段階にあるのか、上記2つの段階の間の第2の段階にあって、取替えの必要性を的確に把握し得るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することができる。
また、本発明によれば、応力拡大係数測定用ひずみゲージと、き裂検知パターンとを1つのゲージで行うことを可能として、ひずみゲージをき裂検知パターンに張替える作業を不要化し、コストの削減を実現し得るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンおよびき裂検知パターンの概略の配置を模式的に示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの基本をなす2つのゲージグリッドのパターンおよび1つのき裂検知パターンの配置を模式的に示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッド、き裂検知パターンおよび接続端子のパターンの形状並びに配列関係を詳細に示す拡大平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッド、き裂検知パターンおよび接続端子のパターンの形状並びに配列関係を詳細に示す拡大平面図である。 本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて各ゲージグリッド毎にひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図を示すものである。 四辺のうちの一辺にひずみゲージを回路挿入した一般的なホイーストンブリッジ回路を示す回路図である。 き裂先端から展開するxy直行座標系を示す説明図である。 き裂先端から展開するrθ極座標系を示す説明図である。 本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージの被測定体に添着した状態を示す説明図である。 本発明に係る応力拡大係数導出のための簡易フロー図である。 き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いた疲労き裂評価の流れを示すフローチャートである。 き裂が、き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの軸中心から始まって、第1のき裂検知パターンを経て、第2のき裂検知パターンまで達した状態を示す平面図である。 応力拡大係数算出と同じ測定系を使用し、第1および第2のき裂検知パターンがそれぞれ中継接続された第1および第3のひずみゲージのひずみ出力を、ひずみ測定器のインターバル機能を用い、一定のインターバル毎に測定した結果を出すタイミングチャートである。 き裂の進展と構造物の強度との関係を示す特性図であり、本発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いてき裂検知による実測の結果を太線の破線で示し、き裂進展予測の結果を細線の破線で示す。 特許文献1に係る従来の応力拡大係数測定用ひずみゲージの回路構成を示す平面図である。 特許文献2に係る従来の応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンの形状と配置を示す平面図である。 応力拡大係数算出の流れを示す説明図で、(a)は、被測定対象物に負荷される荷重の時間的変化を模式的に示す波形図、(b)は、特許文献2に係る応力拡大係数を測定する測定系を示す回路図、(c)は、ひずみ測定器からの出力であるひずみの時間的変化を模式的に示す波形図、(d)は、算出された応力拡大係数の時間的変化を模式的に示す波形図である。 応力拡大係数変動幅と、き裂進展速度の関係を示すグラフである。 き裂の進展と構造物の強度との関係から予測的な健全性評価を表すグラフである。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている各特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
〔第1の実施の形態および第2の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンおよびき裂検知パターンの概略の配置を模式的に示す平面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージの基本的な一部のゲージグリッドおよびき裂検知のパターンの配置を模式的に示す平面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッド、き裂検知パターンおよび各接続端子のパターンの形状並びに配列関係を詳細に示す拡大平面図である。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッド、き裂検知パターンおよび接続端子のパターンの形状並びに配置関係を示す拡大平面図である。
図5は、本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて、各ゲージグリッド(ひずみゲージ)毎にひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図である。
先ず、図2を参照して本発明の第1の実施の形態の基本となる部分(以下、「基本形態」という)の応力拡大係数測定用ひずみゲージを詳細に説明する。
本発明の基本形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージは、図2に示すように、
軸中心Oから放射方向に延びる基準軸OXと、前記軸中心Oからの半径rおよびrが異なる第1の円弧部C1と第2の円弧部C2と、前記基準軸OXを対称として所定の角度(この例においては90°)をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸OR1およびOR2とを仮想したとき、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と前記第1の円弧部C1と前記第2の円弧部C2とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内に形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と、を有する。
また、上記第1のゲージグリッド部G1および第2のゲージグリッドG2の第1の円弧部C1の内側近傍に沿って配設された第1のき裂検知パターンL1を有する。
さらに、図3に示すように、基本形態は、前記第1のゲージグリッド部G1の各端に接続された第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と、
前記第2のゲージグリッド部G2の各端に接続された第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と、
前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と前記第1および第2の接続端子T1−1、T1−2およびT2−1、T2−2並びに第1のき裂検知パターンL1が一体的に添着されてなる絶縁基板BPとからなる基本形態の第1および第2のひずみゲージS1およびS2が完成する。
図2に示すように、被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心Oを合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸OXとを合致させて前記絶縁基板BPを前記被測定対象物に添着し、前記き裂回りのひずみε、εを測定し、応力拡大係数を算出し得ると共に、第1のき裂検知パターンL1の破断によりき裂の進展を監視し得るように構成されている。
また、本発明に係る第1の実施の形態のき裂監視機能を有する応力拡大係数測定用ひずみゲージは、図1および図3に示すように、軸中心Oから放射方向に延びる基準軸OXと、前記軸中心Oから半径rおよびrが異なる第1の円弧部C1と第2の円弧部C2と前記第1、第2の円弧部C1、C2より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心Oからの半径rおよびrが異なる第3の円弧部C3と第4の円弧部C4と、前記基準軸OXを対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸OR1およびOR2とを仮想したとき、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第1の円弧部C1と前記第2の円弧部C2とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第3の円弧部C3と前記第4の円弧部C4とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4とが形成されている。
さらに、図3に示すように、上記第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4には、それぞれ接続端子が接続されている。
即ち、前記第1のゲージグリッド部G1の各端に接続された第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と、
前記第2のゲージグリッド部G2の各端に接続された第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と、
前記第3のゲージグリッド部G3の各端と接続された第3の一対の接続端子T3−1、T3−2と、
前記第4のゲージグリッド部G4の各端と接続された第4の一対の接続端子T4−1、T4−2とが、それぞれ接続されている。
さらに、第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と前記第1のゲージグリッド部G1の各端を中継接続する第1の一対の配線パターンと、
第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と前記第2のゲージグリッド部G2の各端を中継接続する第2の一対の配線パターンと、
第3の一対の接続端子T3−1、T3−2と前記第3のゲージグリッド部G3の各端を中継接続する第3の一対の配線パターンと、
第4の一対の接続端子T4−1、T4−2と前記第4のゲージグリッド部G4の各端を中継接続する第4の一対の配線パターンと、がそれぞれ形成されている。
前記第1の一対の配線パターンと、前記第2の一対の配線パターンの少なくとも一方(この場合、第2の配線パターン)の経路中に連接され、前記第1のゲージグリッド部G1および前記第2のゲージグリッド部G2の前記第1の円弧部C1の内側近傍に沿って配設された第1のき裂検知パターンL1と、
前記第3の一対の配線パターンと、前記第4の一対の配線パターンの少なくとも一方(この場合、第3の配線パターン)の経路中に連接され、前記第3のゲージグリッド部G3および前記第4のゲージグリッド部G4の前記第3の円弧部C3の内側近傍に沿って形成された第2のき裂検知パターンL2と、がそれぞれ形成されている。
前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と前記第3および第4のケージグリッド部G3およびG4と、前記第1および第2の接続端子T1−1、T1−2およびT2−1、T2−2と、前記第3および第4の接続端子T3−1、T3−2およびT4−1、T4−2と、前記第1〜第4の一対の配線パターンと、前記第1および第2のき裂検知パターンL1およびL2と、が一体的に添着されてなる絶縁基板BPとからなるひずみゲージであって、
被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心Oを合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸OXとを合致させて前記絶縁基板BPを前記被測定対象物に添着し、
前記き裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成すると共に、
前記き裂による前記第1および第2のき裂検知パターンL1およびL2の段階的な破断によりき裂の進展を監視し得るように構成したことを特徴としている(請求項1に対応する)。
第1の実施の形態においては、第1のき裂検知パターンL1は、第2の接続端子2−1と第2のゲージグリッド部G2の一端との間に連接されている(請求項2に対応する)。
本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージは、その基本構成として、図2に示すように、き裂先端部を中心にして90°に展開した扇型の領域内に、放射方向に展開された受感部を備える例を示している。この構成により、上記中心Oから放射方向に生ずるひずみを測定するものであるが、必ずしも90°に限定されるものではない。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るより具体的な応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドを含む平面図である。応力拡大係数の測定時には、使用者が、このひずみゲージを、その軸中心Oを、き裂先端部に合致させ、かつ基準軸OXがき裂の延長方向となるようにして貼り付ける。
本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドG1〜G4は、図3に詳しく示されているように、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを測定するための上記第1の領域内に第1のゲージグリッド部G1を備え、上記第2の領域内に第2のゲージグリッド部G2を備え、上記第3の領域内に第3のゲージグリッド部G3を備え、上記第4の領域内に第4のゲージグリッド部G4を備える。このゲージグリッド部G1、G2、G3、G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。図3では、この受感部の構造として放射方向に延び、且つ第1と第2の円弧部C1とC2、第3と第4の円弧部C3とC4の各近傍で順次複数の折り返しを有する線状の受感素子を配置している。本発明の受感部の構造は、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図3に示すものに限られるものではない。第1のゲージグリッド部G1の上記線状の受感素子の一端は、第1の配線パターンの一方を介して一方の第1の接続端子T1−1に接続され、他の一端は、第1の配線パターンの他方を介して他方の第1の接続端子T1−2に接続されている。
第2のゲージグリッド部G2の線状の受感素子の一端は、第2の配線パターンの一方と第1のき裂検知パターンL1を介して一方の第2の接続端子T2−1に、他の一端は、第2の配線パターンの他方を介して他方の第2の接続端子T2−2に、第3のゲージグリッド部G3の線状の受感素子の一端は、第3の配線パターンの一方を介して一方の第3の接続端子T3−1に、他の一端は、第3の配線パターンの他方と第2のき裂検知パターンL2を介して他方の第3の接続端子T3−2に、第4のゲージグリッド部G4の線状の受感素子の一端は、第4の配線パターンの一方を介して一方の第4の接続端子T4−1に、他の一端は、第4の配線パターンの他方を介して他方の第4の接続端子T4−2に、それぞれ接続されている。
上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の各々を形成する抵抗素材には、任意の抵抗素材を充当することができる。例えば、Cu−Ni(系)合金、Ni−Cr(系)合金、Fe−Cr(系)合金などを、用途に合わせて用いることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、図2に示す基本の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドやき裂検知パターンの配置に部分的な追加配置を加えたものである。具体的には、本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、図2に示す基本形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置に加えて、軸中心Oを中心として、それぞれ半径がrとrと異なる第3の円弧部C3と第4の円弧部C4と、第1の放射軸OR1と第2の放射軸OR2とで囲まれた扇型の領域、即ち、第3のゲージグリッド部G3と第4のゲージグリッド部G4を有する。
第1のゲージグリッド部G1、第2のゲージグリッド部G2、第3のゲージグリッド部G3および第4のゲージグリッド部G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。
図3では、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の受感部の構造として軸中心から放射方向に延び、順次、円弧部C1、C2およびC3、C4近傍にて複数の折り返し点を有する受感素子を配置しているが、本発明の受感部の構造は、一般に、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図3に示すものとは限らない。上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用のひずみゲージのゲージグリッドの配置やき裂検知パターンの配置は、上述した第1の実施の形態と同じであるが、各配線パターンとき裂検出パターンと各接続端子の形状および配置が異なっている。
例えば、接続端子についていえば、第1の実施の形態では、一対の第1の接続端子T1−1、T1−2〜一対の第4の接続端子T4−1、T4−2の8つの接続端子からなるが、第2の実施の形態では、6つの接続端子からなっている点が異なっている。
本発明の第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドG1〜G4は、図4に詳しく示されているように、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを測定するための上記第1の領域内に第1のゲージグリッド部G1を備え、上記第2の領域内に第2のゲージグリッド部G2を備え、上記第3の領域内に第3のゲージグリッド部G3を備え、上記第4の領域内に第4のゲージグリッド部G4を備える。このゲージグリッド部G1、G2、G3、G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。図4では、この受感部の構造として放射方向に延び、且つ第1と第2の円弧部C1とC2、第3と第4の円弧部C3とC4の各近傍で順次複数の折り返しを有する線状の受感素子を配置している。
本発明の受感部の構造は、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図4に示すものとは限らない。
第1のゲージグリッド部G1の上記線状の受感素子の一端は、第1の配線パターンの一方を介して一方の第1の接続端子T1−1/T3−2に接続され、他の一端は、第1の配線パターンの他方を介して他方の第1の接続端子T1−2に接続されている。第2のゲージグリッド部G2の線状の受感素子の一端は、第2の配線パターンの一方と第1のき裂検知パターンL1を介して一方の第2の接続端子T2−1に、他の一端は、第2の配線パターンの他方を介して他方の第2の接続端子T2−2/T4−1に、第3のゲージグリッド部G3の線状の受感素子の一端は、第3の配線パターンの一方を介して一方の第3の接続端子T3−1に、他の一端は、第3の配線パターンの他方と第2のき裂検知パターンL2を介して他方の第3の接続端子T1−1/T3−2に、第4のゲージグリッド部G4の線状の受感素子の一端は、第4の配線パターンの一方を介して一方の第4の接続端子T2−2/T4−1に、他の一端は、第4の配線パターンの他方を介して他方の第4の接続端子T4−2に、それぞれ接続されている。
上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の各々を形成する抵抗素材には、任意の抵抗素材を充当することができる。例えば、Cu−Ni(系)合金、Ni−Cr(系)合金、Fe−Cr(系)合金などを、用途に合わせて用いることができる。
図4に示す本発明の第2の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、図3に示す第1の実施の形態に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの配線パターンやき裂検知パターンおよび接続端子の構成に部分的な変更を加えたものである。
第1のゲージグリッド部G1、第2のゲージグリッド部G2、第3のゲージグリッド部G3および第4のゲージグリッド部G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。
図4では、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の受感部の構造として軸中心から放射方向に延び、順次、円弧部C1、C2およびC3、C4近傍にて複数の折り返し点を有する受感素子を配置しているが、本発明の受感部の構造は、一般に、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図4に示すものとは限らない。上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
〔第3の実施の形態〕
図5は、本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて各ゲージグリッドを単位としてひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1のゲージグリッド部G1〜第4のゲージグリッド部G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図を示すものである。
第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4は、それぞれ本発明に係る応力拡大係数算出方法で用いるホイートストンブリッジの一辺に挿入接続される。このホイートストンブリッジの他の三辺には、同一抵抗値の抵抗器Rが挿入接続される。より具体的には、図5(a)に示す回路では、一方の第1の接続端子T1−1と他方の第1の接続端子T1−2との間に接続された第1のゲージグリッド部G1が上記ホイートストンブリッジの一辺を構成する。同様に、図5(b)に示す回路では、一方の第2の接続端子T2−1と他方の第2の接続端子T2−2との間に接続された第2のゲージグリッド部G2が、図5(c)に示す回路では、一方の第3の接続端子T3−1と他方の第3の接続端子T3−2との間に接続された第3のゲージグリッド部G3が、図5(d)に示す回路では、一方の第4の接続端子T4−1と他方の第4の接続端子T4−2との間に接続された第4のゲージグリッド部G4が、それぞれ上記ホイートストンブリッジの一辺を構成する。
本発明の第3の実施形態に係るせん断モードの応力拡大係数算出方法は、図5(a)及び図5(b)で示す回路のみを用いる。この場合のひずみ測定方法は、まず、図5(a)に示す回路において、上記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧eを印加し、この時の出力電圧値eoG1を用いてひずみεG1を得る。次に、図5(b)に示す回路において、上記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧eを印加し、この時の出力電圧値eoG2を用いてひずみεG2を得る。最後に、このひずみεG1、εG2を、所定の演算式(本ひずみ測定方法の原理として後述する)に代入することで、せん断モードにおける応力拡大係数を算出する。上記の測定順序は逆にしても良いし、上記の測定を同時に行っても良い。
図5(a)および図5(b)で示す2つの回路を用いて、ひずみεG1、εG2を算出し、せん断モードの材料定数をJとし、ゲージグリッド部G1、G2の形状定数をQ1として、求める応力拡大係数KIIを、条件式(1)により算出する(請求項8に対応する)。
但し、条件式(1)において、せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、条件式(2)により算出する。
また、上記ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部G、Gの形状で決まる定数であり、具体的には、第1の円弧部C1の半径をrとし、第2の円弧部C2の半径をrとして、条件式(3)により算出する。
〔第4の実施の形態〕
この第5の実施の形態に係る応力拡大係数算出方法では、ひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗Rを回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成する。
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧eを印加したとき、各出力端から出力される電圧eoG1〜eoG4をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部G1で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部G2で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部G3で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部G4で測定されたひずみをεG4とする。せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2の第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(4):
を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法(請求項9に対応する)。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
また、ゲージグリッド部G1、G2の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部G1、G2の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径C1およびC2をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数であり、
さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部C3およびC4の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
〔第5の実施の形態〕
この実施の形態に係る応力拡大係数算出方法は、上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4を用いて、開口モードにおける応力拡大係数を具体的に求める算出方法である。
本発明の第5の実施の形態に係る応力拡大係数算出方法は、図5(a)〜図5(d)で示す4つの回路を用いる。
この場合のひずみ測定方法は、まず、本発明の第4の実施形態に係るせん断モードにおける応力拡大係数算出方法で用いたひずみ測定方法と同様のひずみ測定方法により、図5(a)〜図5(d)で示す4つの回路を用いて、第1〜第4のひずみεG1〜εG4を算出する。開口モードの材料定数をFとし、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の第1の形状定数をQおよび第2の形状定数をQとして、求める開口モードの応力拡大係数Kを、条件式(6)により算出する(請求項10に対応する)。
但し、条件式(6)において、開口モードの材料定数F は、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、条件式(7)により算出する。
また、上記ゲージグリッド部の第1の形状定数Q1は、第1、第2のゲージグリッド部G1、G2の形状で決まる形状定数であり、具体的には、第1の円弧部C1の半径をrとし、第2の円弧部C2の半径をrとして、前記のとおり条件式(3)により算出する。さらに、上記ゲージグリッド部の第2の形状定数Q2は、第3、第4のゲージグリッド部G3、G4の形状で決まる定数であり、具体的には、第3の円弧部C3の半径をrとし、第4の円弧部C4の半径をrとして、下記条件式(5)により算出する。
(ひずみ測定方法の原理)
以下では、上記の各実施の形態に係るホイートストンブリッジ回路を用いたひずみ測定方法の原理を説明する。
図6は、一般的なホイートストンブリッジ回路を示す回路図である。
一般に、ひずみゲージによるひずみの測定には、図6に示すようなホイートストンブリッジ回路を使用する。図6に示すホイートストンブリッジ回路では、ホイートストンブリッジ回路の一辺を占める抵抗の1つを抵抗値Rのひずみゲージに置き換え、他の三辺を占める3つの抵抗の各々を抵抗値Rの固定抵抗とする。
ひずみゲージがひずみεを受けたときの抵抗値変化ΔRとひずみεとの関係は数式(8)で表される。
ホイートストンブリッジ回路の入力端にe(E)のブリッジ電圧を印加した状態でひずみゲージがひずみを受けてΔRだけ抵抗値変化したとき、ホイートストンブリッジ回路の出力電圧eとひずみεとの関係は数式(9)で表される。
ひずみゲージによる測定では、ホイートストンブリッジ回路に任意の印可電圧e(E)を印加した時に、測定される出力電圧eと数式(9)とを用いて、該ひずみゲージが受けるひずみεを求める。
但し、図6と上記数式において、
:ひずみゲージの抵抗値、
ΔR:ひずみゲージの抵抗値変化量、
:ひずみゲージのゲージ率、
ε:ひずみゲージの受けるひずみ、
(E):ホイートストンブリッジ回路の印可電圧、e:出力電圧、
R:固定抵抗の抵抗値、とする。
(応力拡大係数の計算方法)
以下では、上記の各実施形態に係るホイートストンブリッジ回路を用いた応力拡大係数の計算方法を説明する。
ひずみゲージグリッドG1〜G4で測定されたひずみεG1〜εG4を数式(6)、数式(1)に代入することで2種類の応力拡大係数を求める。
開口モードIの応力拡大係数をK
とすると、下記(6)式:
せん断モードIIの応力拡大係数をKIIとすると、
以下、測定値は、
εG1:第1のゲージグリッド部G1で測定されたひずみ、
εG2:第2のゲージグリッド部G2で測定されたひずみ、
εG3:第3のゲージグリッド部G3で測定されたひずみ、
εG4:第4のゲージグリッド部G4で測定されたひずみ、
のうち、εG1とεG2の2つ、または、εG1、εG2、εG3およびεG4の4つとする。
また、測定対象の材料で決まる定数には、
:開口モードの材料定数、
:せん断モードの材料定数、
が有る。
さらに、ゲージグリッドの形状で決まる定数には、
:ひずみゲージグリッドの形状定数1(式3)、
:ひずみゲージグリッドの形状定数2(式5)、
が有る。
上記4つの測定値(εG1、εG2、εG3、εG4)と、測定対象の材料やひずみゲージグリッド形状によって予め決まっている上記4つの定数(F、J、Q、Q)を用いることで、2つのモードの応力拡大係数を求めることが可能である。
開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をEとし、ポアソン比をνとして、式(7)で算出する。
せん断モードの材料定数Jは、数式(2)で算出する。
ひずみゲージグリッドの形状定数1(Q)は、第1のゲージグリッド部G1と、第2のゲージグリッド部G2の第1、第2の円弧部C1、C2の軸中心Oからの半径をそれぞれr、rとし、第3のゲージグリッド部G3と第4のゲージグリッド部G4の第3、第4の円弧部C3、C4の軸中心Oからの半径をそれぞれr、rとして、数式(3)で算出する。
ひずみゲージグリッドの第2の形状定数2(Q)は、数式(5)で算出する。
(数式の導出)
図7は、き裂先端から展開するxy直交座標系を示す説明図である。
本発明のひずみゲージでは、開口モードIとせん断モードIIの2つのモードを考える。
それぞれのモードを受ける材料のき裂先端周辺のひずみ分布式は、図7に示すように、xyの直行座標系において、一般にき裂先端からの距離rの級数展開式として与えられている。応力拡大係数は、ひずみ分布式の係数として現れる。
図8は、き裂先端から展開するrθ極座標系を示す説明図である。
本発明のひずみゲージでは、従前のゲージとは異なり、き裂先端を中心とした放射方向のひずみを測定するため、図8に示すようにひずみ分布式の極座標変換を行う。
図9は、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いてひずみ測定を行う場合の説明図である。
極座標変換を行ったひずみ分布の2項目までと、図9に示す本発明に係るひずみゲージの形状とから、それぞれのモードでゲージグリッドが測定するひずみεG1〜εG4の算式は、開口モードIでは数式(10)〜数式(13)、せん断モードIIでは数式(14)〜(17)となる。
ここで、簡単化するために、以下のように置き換える。但し、Eは、縦弾性係数とし、νは、ポアッソン比とする。
上式に示すとおり、F、Jは、材料固有の縦弾性係数Eとポアソン比νによって決まる値であり、上述のとおり、Fを開口モードの材料定数、Jをせん断モードの材料定数と呼称する。
また、QとQは、ひずみゲージグリッドの形状によって決まる値であり、上述のとおり、Qをひずみゲージグリッドの形状定数1、Qをひずみゲージグリッドの形状定数2と呼称する。
、Bは、以下の導出で最終的に消去するため、詳細説明は省略する。
(開口モードIとせん断モードIIとの重ね合わせ)
一般に、き裂は、開口モードIとせん断モードIIとが合わさった混合モードとしてのひずみを受けると考えられるため、以下では、ひずみεG1〜εG4について、開口モードIとせん断モードIIとの重ね合わせを行う場合を説明する。
この場合は、数式(19)〜(22)が得られる。
εG1=F+F+JII (19)
εG2=F+F−JII (20)
εG3=F+F+JII (21)
εG4=F+F−JII (22)
開口モードIの応力拡大係数Kは、数式演算で示すと、数式(19)+数式(20)から、数式(21)+数式(22)を引き算し、その結果をKについて整理することで数式(6)のように得られる。
また、せん断モードIIの応力拡大係数KIIは、数式(19)から数式(20)を引き算し、その結果をKIIについて整理することで数式(1)が得られる。
また、せん断モードIIの応力拡大係数KIIは、数式演算で示すと、数式(19)+数式(21)から数式(20)+数式(22)を引き算し、その結果をKIIについて整理することで数式(4)のように得られる。
図10は、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法を用いて応力拡大係数を算出するまでの手順を示すフローチャート図である。
図10に示す算出手順において、各処理ブロックでの演算は、付記の図面および数式を参照して行うものとする。
本発明は、上述し且つ図面に示した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、種々に変形して実施をすることができる。
例えば、軸中心Oから半径r、rよりも、さらに外側に半径r、r、r、r・・・等のように第6ゲージグリッド部、第7ゲージグリッド部をさらに増設するようにしてもよい。
次に、本発明のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いた場合のき裂発見から対処までの流れを図11〜図14を参照して説明する。
図11は、き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いた疲労き裂評価の流れを示すフローチャートである。
図12は、き裂が、き裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの軸中心から始まって、第1のき裂検知パターンを経て、第2のき裂検知パターンまで及んだ状態を示す平面図である。
図13は、応力拡大係数算出と同じ測定系を使用し、第1および第2のき裂検知パターンがそれぞれ接続された第1および第3のひずみゲージのひずみ出力を、ひずみ測定器のインターバル機能を用い、一定のインターバル毎に測定した結果を示すタイミングチャートである。
図14は、き裂の進展と構造物の強度との関係を示す特性図であり、本発明に係るき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いてき裂検知による実測の結果を太線の破線で示し、き裂進展予測の結果を細線の破線で示す。
図11において、先ず、被測定対象物(構造物)に生じたき裂を、例えば、定期的な目視検査や渦流探傷試験などの非破壊検査によって発見する(ステップ1)。
次いで、発見したき裂の先端に対して、例えば、図1〜図4のひずみゲージの、軸中心Oを合わせて接着、その他の手段により添着する。
その状態で例えば、図5に示すように、第1〜第4のひずみゲージ(ゲージグリッド部)それぞれを一辺に挿入したホイートストンブリッジ回路BCをひずみ測定器Mに接続し、構造物が受ける荷重変化に伴って、第1のひずみゲージ〜第4のひずみゲージそれぞれで検出されるひずみを測定する。測定した4つのひずみを用いて、所定の演算式により応力拡大係数を算出する(ステップS2)。
き裂進展予測には、応力拡大係数の変動幅ΔKを用いる。
応力拡大係数の変動幅ΔKとき裂進展速度の関係は、材料毎に変わるが、その一例を示せば図18のように表れる。
図18のグラフに示すように、ΔKthは下限界値、ΔKcは、上限界値である。
ここで、ΔK<ΔKthのときは、き裂は進展しないと判断される。
また、変動幅ΔKが、ΔKth<ΔK<ΔKcのときは、ΔKの増加に伴いき裂進展速度は、逐次増加すると判断される。
そして、ΔKが、ΔK>ΔKcとなると、一気にき裂が進展するものと判断される。
このようにして、「き裂の安全性評価」が行われる(ステップS3)。
ステップS4において、上述した応力拡大係数の変動幅ΔKが、ΔKcより大きくなると、「補修が必要あり」と判断される(ステップS5)、直ちに補修が行われる(ステップS6)。
上記のステップS3で、ΔKが
ΔK<ΔKthおよびΔKth<ΔK<ΔKc
のとき、補修は、必要はなしと判断される(ステップS7)が、き裂の進展が生じるおそれがあるため経過観察が行われる(ステップS8)。
その経過観察の中で、本発明に係るき裂検知パターンL1、L2の断裂の検知も、応力拡大係数の算出に用いられたひずみ測定器を用いて、行われる。
そして、図3〜図4に示される第1のき裂検知パターンL1と、第2のき裂検知パターンL2の断裂のタイミングを計測し、き裂の進展速度を算出する(ステップS9)。
そのき裂の進展速度とき裂進展長さに応じて、補修が必要か否かの判断がなされる(ステップS9)。
上記ステップS8〜S9について、図12〜図14を参照してより詳しく説明する。
図12に示すように、き裂の先端にき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの軸中心Oを合わせて接着した時点をtとする。
図13のタイミングチャートと併せて参照して説明すると、き裂が進展し、第1のき裂パターンL1を横切ると、第1のき裂検知パターンL1が時点tで断線し、第2のひずみゲージS2のひずみ出力が断線を示す値、例えば、「ひずみ出力=999999」を示し、き裂の進展を検知することができる。
き裂検知後、第1のき裂検知パターンL1の位置寸法から求められるき裂進展長さを、モニタリング開始からき裂検知パターンL1までの時間で除すことで、き裂進展速度を求める。
同様にして、き裂が第2のき裂検知パターンL2を時点tで横切りと、第2のき裂検知パターンL2が断線し、第3のひずみ出力が断線を示す値、例えば、ひずみ測定器ではひずみ出力が「999999」を示し、き裂の進展を検知することができる。
この状態を図13で見ると、モニタリング開始時点tから第1のき裂検知パターンL1が断線する時点tまでの時間およびモニタリング開始時点tから、第2のき裂検知パターンL2の断線時点tまでの時間が計測されるので、軸中心Oから、第1のき裂検知パターンL1までの拒離および第2のき裂検知パターンL2までの拒離を上記計測された時間でそれぞれ除すことで、き裂進展速度が求められる。
モニタリングでは、応力拡大係数算出のための測定系を使用し、第1および第2のき裂検知パターンL1およびL2がそれぞれ接続された第2および第3のひずみゲージS2およびS3のひずみ出力を、ひずみ測定器のインターバル機能を使い、一定のインターバル毎(例えば、1日毎)に測定する。
上述のようにして得られたき裂進展状態から、再度健全性評価を行うことで再び処置判断を行う。
応力拡大係数の変動幅△Kのみで、き裂の進展状態を予測する場合、例えば、図14のグラフから分かるように、細い破線で示すような特性を示すが、き裂検知による実測の結果では、太線の破線で示すように異なった結果となる。
即ち、き裂検知パターンを設けることで健全性の評価をより適切に行うことができるようになる。
しかも、き裂検知パターンを応力拡大係数測定用ひずみゲージの機能を損なうことなく、共通の絶縁基板上に一体的に配列可能とし、モニタリング用のひずみゲージを張り替える手間をかけることがないので、コスト削減効果は、多大である。
また、本発明によれば、被測定対象物の材質が異なっても、さらには、負荷(外力)に周期性がない場合であっても、き裂の進展状態を正確に把握することができ、例えば、健全性の評価において、安全に継続使用が可能な第1の段階にあるのか、緊急に補修・取替えが必要な第3の段階にあるのか、それとも上記2つの段階の中間の第2の段階にあって補修・取替えの必要性を的確に把握でき、安全を重視するあまり、補修を早目に行うなどの不経済性を是正することができる。
なお、本発明は、上述し且つ図面に示した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形実施することができる。
例えば、上述した実施の形態においては、第1のき裂検知パターンL1を第2のゲージグリッドG2に連接したが、第1のゲージグリッドG1に連接するようにしてもよい。同様に、第2のき裂検知パターンL2を、第3のゲージグリッドG3に連接したが、第4のゲージグリッドG4に連接するようにしてもよい。
また、第1および第2の実施の形態においては、第1〜第4のゲージグリッドG1〜G4を備え、第1および第2のき裂検知パターンL1およびL2を備えたものについて説明したが、図2に示す基本形態のように、第1のゲージグリッドG1と第2のゲージグリッドG2および第1のき裂検知パターンL1だけで構成してもよい。
但し、健全性評価能力の面においては、上記第1および第2の実施形態の方が優れている、ということができる。
また、第1および第2のき裂検知パターンの形状や配設位置は、上述した実施の形態に示すものに限定されるものではなく、要は、第1および第2のゲージグリッドと共に絶縁基板上にあって、軸中心Oから一定の半径上にあって且つ第1および第2のゲージグリッドの内側近傍に円弧状に配置すればよい。
OR1 第1の放射軸
OR2 第2の放射軸
OX 基準軸
O 軸中心
C1 第1の円弧部
C2 第2の円弧部
C3 第3の円弧部
C4 第4の円弧部
G1〜G4 第1〜第4のゲージグリッド部
S1〜S4 第1〜第4のひずみゲージ
〜r 軸中心Oからの半径
T1−1、T1−2 第1の接続端子
T2−1、T2−2 第2の接続端子
T3−1、T3−2 第3の接続端子
T4−1、T4−2 第4の接続端子
R 固定抵抗
P1〜P3 第1〜第3の試験片
L1,L2 第1、第2のき裂検知パターン
T1−1・T3−2 第1・第3の一方の接続端子
T1−2 第1の他方の接続端子
T2−1 第2の一方の接続端子
T2−2・T4−1 第2・第4の他方の接続端子
T4−2 第4の一方の接続端子
T3−1 第3の他方の接続端子
BC ホイートストンブリッジ
M ひずみ測定器

Claims (12)

  1. 軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心から半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と前記第1、第2の円弧部より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心からの半径が異なる第3の円弧部と第4の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
    前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
    前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第3の円弧部と前記第4の円弧部とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部と、
    前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
    前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
    前記第3のゲージグリッド部の各端と接続された第3の一対の接続端子と、
    前記第4のゲージグリッド部の各端と接続された第4の一対の接続端子と、
    前記第1の一対の接続端子と前記第1のゲージグリッド部の各端を中継接続する第1の一対の配線パターンと、
    前記第2の一対の接続端子と前記第2のゲージグリッド部の各端を中継接続する第2の一対の配線パターンと、
    前記第3の一対の接続端子と前記第3のゲージグリッド部の各端を中継接続する第3の一対の配線パターンと、
    前記第4の一対の接続端子と前記第4のゲージグリッド部の各端を中継接続する第4の一対の配線パターンと、
    前記第1の一対の配線パターンと、前記第2の一対の配線パターンの少なくとも一方の経路中に連接され、前記第1のグリッド部および前記第2のグリッド部の前記第1の円弧部の内側に沿って配設された第1のき裂検知パターンと、
    前記第3の一対の配線パターンと、前記第4の一対の配線パターンの少なくとも一方の経路中に連接され、前記第3のグリッド部および前記第4のグリッド部の前記第3の円弧部の内側に沿って形成された第2のき裂検知パターンと、
    前記第1および第2のゲージグリッド部と前記第3および第4のケージグリッド部と、前記第1および第2の接続端子と、前記第3および第4の接続端子と、前記第1〜第4の一対の配線パターンと、前記第1および第2のき裂検知パターンと、が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなるひずみゲージであって、
    被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、
    前記き裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成すると共に、
    前記き裂による前記第1および第2のき裂検知パターンの段階的な破断によりき裂の進展を監視し得るように構成したことを特徴とするき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  2. 前記第1のき裂検知パターンが、前記第2の一対の接続端子と前記第2のゲージグリッド部の各端との間に連接されていることを特徴とする請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  3. 前記第2のき裂検知パターンが、前記第3の一対の接続端子と前記第3のゲージグリッド部の各端との間に連接されていることを特徴とする請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  4. 前記第1〜第4の一対の接続端子が、前記第1〜第4のゲージグリッド部の各々の一端に一対一の関係でそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  5. 前記第3の一対の接続端子の一方と、前記第1の一対の接続端子の一方とは、共通使用され、
    前記第4の一対の接続端子の一方と前記第2の一対の接続端子の一方とは共通使用されることを特徴とする請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  6. 前記基準軸と前記第1の放射軸および前記基準軸と前記第2の放射軸とがなす角度を、それぞれ90°となしたことを特徴とする請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
  7. 請求項1のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージの第1のゲージグリッド部〜前記第4のゲージグリッド部に相当する前記第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、前記4つのホイートストンブリッジ回路の入力端にそれぞれブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧をひずみ測定器で測定した前記第1〜第4のひずみゲージのひずみ値を、所定の演算式に代入することでせん断モードにおける応力拡大係数を測定し得ると共にき裂の進展を監視し得るように構成したことを特徴とする応力拡大係数算出方法。
  8. 請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおいて、前記第1および第2のひずみゲージのうち、一方のひずみゲージを前記き裂検知パターンを介して且つ他方のひずみゲージを直接一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
    前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
    下記の条件式(1):
    を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
    但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
    また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
    前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
    下記条件式(3)で与えられる定数である。
  9. 請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおける前記第1〜第4のゲージグリッド部に相当する第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
    前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG4、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
    下記の条件式(4):
    を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
    但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
    また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
    前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
    下記条件式(3)で与えられる定数であり、
    さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
  10. 請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおける前記第1〜第4のゲージグリッド部に相当する第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および前記第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4組のホイートストンブリッジを形成し、
    各前記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧を印加したとき、出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1〜前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1〜εG4、開口モードの材料定数をF1、前記ゲージグリッドの第1および第2の形状定数をQおよびQとして、開口モードの応力拡大係数Kが、
    下記の条件式(6):
    を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
    但し、前記開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(7)で与えられる定数であり、
    また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
    前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
    前記条件式(3)で与えられる定数であり、
    前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、前記条件式(5)で与えられる定数である。
  11. 請求項1に記載のき裂監視機能を備えた応力拡大係数測定用ひずみゲージにおける前記第1〜第4のひずみゲージの前記第1〜第4のひずみゲージのうち、前記第1および第2のき裂検知パターンが連接された2つのひずみゲージと他の2つのひずみゲージを、前記第1〜第4の各一対の接続端子を介して、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して、4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
    前記4つのホイートストンブリッジ回路の入力端にそれぞれブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧を前記ひずみ測定器で測定した前記第1〜第4のひずみゲージのひずみ値を測定中にき裂が進展し、前記4つのホイートストンブリッジ回路に接続された前記第1の検知回路に接続された前記第1の検知パターンおよび前記第2のき裂検知パターンがそれぞれ破断した時点で、第1の異常出力および第2の異常出力を生じさせ、測定開始時点から、前記第1の異常出力および前記第2の異常出力の発生時点までの各時間間隔に基づき、き裂進展状態を的確に把握して構造物の健全性評価に供し得るようにしたことを特徴とするき裂監視方法。
  12. 前記構造物の健全性評価は、継続的使用が可能か否か、構造物の補修・交替に緊急性を有するか否かを個別的に評価を行い得るものであることを特徴とする請求項11に記載のき裂監視方法。
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