JP2018168407A - 無電解めっき液及びその製造方法、並びに銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品及びその製造方法 - Google Patents

無電解めっき液及びその製造方法、並びに銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品及びその製造方法 Download PDF

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梨絵 橋本
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Abstract

【課題】無電解銅ニッケルめっきにおいてめっき抜けを抑制する。【解決手段】銅イオン及びニッケルイオンを含有し、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が31%以上である、無電解めっき液。【選択図】図1

Description

本発明は、無電解めっき液及びその製造方法、並びに銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品及びその製造方法に関する。
近年、樹脂基材に金属パターンを形成する方法として、樹脂基材の表面を選択的に改質し、改質された部分に選択的に無電解めっきを行う方法が提案されている(特許文献1)。
一方、樹脂基材により精細な金属パターンを形成することも求められている。例えば、電気製品の軽薄短小化及び多機能化に伴い、部品を実装するスペースは小さくなってきており、このためにより高密度に金属パターンが形成された配線板を用いることが望まれている。
特開2005−243991号公報
しかしながら、本願発明者は、銅ニッケル皮膜を無電解めっきにより形成しようとすると、めっき皮膜が十分に形成されないことがあることを見出した。より具体的には、無電解銅ニッケルめっきを行った場合に、十分に厚く不透明な銅ニッケルめっき皮膜が形成されたり、薄く半透明な銅ニッケルめっき皮膜が形成されたりする現象が見出された。以下、薄く半透明な銅ニッケルめっき皮膜が形成されることを、めっき抜けと呼ぶ。基材上の複数の改質部分に対して同時に無電解めっきを行った場合に、一部の改質部分には十分なめっき皮膜が形成される一方、その他の改質部分ではめっき抜けが発生するという現象も見出された。さらには、全ての改質部分についてめっき抜けが発生する現象も見出された。このように、無電解銅ニッケルめっきにおいてはめっき抜けが発生することがあり、特に改質部分が孤立しており面積が小さくなるほど、めっき抜けが発生しやすくなる傾向がある。
本発明は、無電解銅ニッケルめっきにおいてめっき抜けを抑制することを目的とする。
本発明の目的を達成するために、例えば、一実施形態に係る無電解めっき液は以下の構成を備える。すなわち、
銅イオン及びニッケルイオンを含有し、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が31%以上であることを特徴とする。
無電解銅ニッケルめっきにおいてめっき抜けを抑制する。
一実施形態に係る製造方法を説明する図。 一実施形態に係る製造方法のフローチャート。
以下、本発明を適用できる実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されない。
本実施形態によれば、表面に銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品を製造することができる。本実施形態に係る製造方法は、改質工程と、めっき工程とを含む。以下、これらの工程について、図2のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
(改質工程)
改質工程(S210)においては、樹脂基材の表面の一部分が選択的に改質される。この工程によれば、樹脂基材全体に対して無電解めっき処理を行った場合、すなわち樹脂基材を無電解めっき液に浸漬した場合に、樹脂基材の表面の改質された部分に選択的に無電解めっき皮膜を形成させることができる。改質工程においては、図1(A)に示すように、樹脂基材110上の無電解めっき皮膜を析出させる部分が改質され、改質部分120となる。
樹脂基材110の種類は特に限定されないが、例えばポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂又は液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、シクロオレフィンポリマー等の環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。樹脂基材110は、2種以上の樹脂の混合物により構成されていてもよい。
後述するように、樹脂基材110の吸水率が低いほど、めっき抜けが発生しやすい傾向にある。したがって、めっき抜けを防止できる本実施形態は、吸水率の低い樹脂材料を用いる場合に適している。吸水率の低い樹脂材料としては、シクロオレフィンポリマー等の環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂等を含むポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂又は液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。一実施形態において、樹脂基材110の表面は、吸水率が0.1%以下の樹脂材料で形成されている。本明細書において、吸水率はASTM D570に従う値のことを指す。
樹脂基材110の形状は特に限定されない。例えば、樹脂基材110はフィルム状でありうる。フィルム状の樹脂基材110の厚さは特に限定されないが、例えば10μm以上1.0mm以下であってもよい。
樹脂基材110の改質は、樹脂に対する無電解めっきの前処理として既に用いられている様々な方法により行うことができる。改質方法としては、光励起アッシング処理、プラズマアッシング処理、及び紫外線照射等が挙げられるが、これらには限定されない。
本実施形態においては、樹脂基材110の表面のうち、無電解めっき皮膜を析出させる部分が選択的に改質される。例えば紫外線照射による選択的な改質は、例えば、析出させるめっきパターンに対応する紫外線透過部を有するマスクを介して紫外線を照射することにより、所望の部分に選択的に紫外線を照射して改質部分120とすることができる。マスクとしては、例えば、石英基板上にクロムがパターニングされた石英クロムマスク、又は開口部を有する金属板であるメタルマスク等を用いることができる。
本実施形態では、選択的な改質を容易に行うことができる、紫外線照射により改質を行う方法が採用される。具体的には、樹脂基材110の表面の一部分に、243nm以下の波長を有する紫外線が照射され、こうして、樹脂基材110の表面が改質される。紫外線は、酸素とオゾンとの少なくとも一方を含む雰囲気下で紫外線を照射することができる。酸素を含む雰囲気下においては、243nm以下の波長を有する紫外線により、雰囲気中の酸素分子が分解されて、オゾンが発生する。更にオゾンが分解する過程で活性酸素が発生する。こうして発生した活性酸素が、同様に紫外線によって活性化された樹脂基材110の表面と反応して、樹脂基材110の表面が酸化されることにより、樹脂基材110の表面にカルボキシル基等の親水性基が形成される。このようにして、樹脂基材110の表面が、触媒イオンまたは樹脂基材110と触媒イオンを結合させるバインダー材を吸着しやすいように改質されると考えられる。
改質原理を更に詳細に述べる。特定波長のフォトンのエネルギーは次の式で表せる。
E=Nhc/λ(KJ・mol−1
N=6.022×1023mol−1(アボガドロ数)
h=6.626×10−37KJ・s(プランク定数)
c=2.988×10m・s−1(光速)
λ=光の波長(nm)
ここで、酸素分子の結合エネルギーは490.4KJ・mol−1である。フォトンのエネルギーの式から、この結合エネルギーを光の波長へと換算すると約243nmとなる。このことは、雰囲気中の酸素分子は、波長243nm以下の紫外線を吸収し分解することを示している。これによりオゾンOが発生する。さらに、オゾンが分解する過程で活性酸素が発生する。このとき、波長310nm以下の紫外線が存在すると、効率よくオゾンが分解され、活性酸素が発生する。さらには、波長254nmの紫外線がオゾンを最も効率よく分解する。
+hν(243nm以下)→O(3P)+O(3P)
+O(3P)→O(オゾン)
+hν(310nm以下)→O+O(1D)(活性酸素)
O(3P):基底状態酸素原子
O(1D):励起酸素原子(活性酸素)
具体的には、波長243nm以下の紫外線を照射すると、雰囲気中の酸素は分解されてオゾンが生成する。さらに、オゾンが分解する過程で活性酸素が発生する。また、樹脂基材110の表面において、樹脂基材110を構成する分子中の結合も切断される。このとき、樹脂基材110を構成する分子と活性酸素とが反応し、樹脂基材110の表面が酸化され、すなわち樹脂基材110の表面にC−O結合、C=O結合、C(=O)−O結合(カルボキシル基の骨格部分)等が形成される。このような親水性基は、樹脂基材110とめっき皮膜130との化学的吸着性を増大させる。また、樹脂基材110表面の酸化により、特にめっきの前処理を行った後に微細な粗面が形成されるため、投錨効果により樹脂基材110とめっき皮膜130との物理的吸着性が増大する。さらに、改質された部分については、無電解めっきを行う場合に触媒イオンまたは樹脂基材110と触媒イオンを結合させるバインダーを選択的に吸着させることができる。
一実施形態においては、243nm以下の主波長を有する紫外線が照射される。主波長とは、強度が極大となる波長であって、その強度が、強度が最大となる波長における強度の10%以上であるもののことをいう。
このような紫外線は、継続的に紫外線を放射する紫外線ランプ又は紫外線LEDを用いて照射することができる。紫外線ランプの例としては、低圧水銀ランプ及びエキシマランプ等が挙げられる。低圧水銀ランプは、波長185nm及び254nmの紫外線を照射することができる。また、参考として、大気中で使用できるエキシマランプの例を以下に挙げる。エキシマランプとしては、一般的にはXeエキシマランプが用いられている。
Xeエキシマランプ :波長172nm
KrBrエキシマランプ:波長206nm
KrClエキシマランプ:波長222nm
紫外線を樹脂基材110へと照射する際には、照射量が所望の値となるように、紫外線の照射が制御される。照射量は、照射時間を変えることにより制御することができる。また、照射量は、紫外線ランプの出力、本数、又は照射距離等を変えることにより制御することもできる。
一実施形態において、より短い時間で十分にめっきを析出させる観点から、改質工程における紫外線の強度は、243nm以下の波長において、0.1mW/cm以上、又は0.5mW/cm以上である。また、10mW/cm以下、又は5mW/cm以下である。また、改質工程における紫外線の照射量は、243nm以下の波長において、400mJ/cm以上、810mJ/cm以下である。例えば、波長185nmにおいて紫外線の照射強度が1.35mW/cmである一実施形態において、紫外線の照射時間は、十分に改質させる観点から5分間以上である。一方、一実施形態において、生産性を向上させる観点から、紫外線の照射時間は15分間以下である。
もっとも、めっきの析出条件は、めっき液の種類、樹脂の種類、樹脂表面の汚染度、めっき液の濃度、温度、pH、及び経時劣化、並びに紫外線ランプの出力の変動等により変化するかもしれない。したがって、本明細書に記載された条件を参考に、紫外線が照射された部分にのみ選択的にめっきが析出するように、紫外線ランプからの照射量を適宜決定すればよい。
また、紫外線源として紫外線レーザを用いることもできる。必要に応じて、紫外線ランプ又は紫外線LED、及び紫外線レーザを併用してもよい。例えば、無電解めっき皮膜を析出させる部分を紫外線レーザで照射した後に、樹脂基材110全体に対して紫外線ランプ又は紫外線LEDを照射してもよい。この場合、無電解めっき皮膜を析出させる部分は無電解めっき皮膜が析出する程度に改質され、その他の部分は無電解めっき皮膜が析出しない程度にしか改質されないように、紫外線レーザ、紫外線ランプ及び紫外線LEDの照射量が制御される。
(めっき工程)
無電解めっき工程(S220)においては、特定の無電解めっき液を用いて、改質工程において一部分が改質された樹脂基材110に無電解めっきが行われる。こうして、樹脂基材110の表面のうち、改質された一部分に選択的に銅ニッケルめっき皮膜130が形成される。
無電解めっきは、特定の無電解めっき液を用いることを除き、樹脂に対する無電解めっきにおいて既に用いられている方法と同様の方法を用いることができる。例えば、無電解めっき工程はJCU社製Cu−Niめっき液セット「AISL」等の無電解めっき液セットを用いて行うことができる。
本実施形態においては、無電解めっき液として、銅イオン及びニッケルイオンを含有し、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が31%以上である、無電解めっき液が用いられる。このような無電解めっき液は、例えばJCU社製Cu−Niめっき液セット「AISL」等において用いられる無電解めっき液よりも、銅イオンに対するニッケルイオンの比率が大きい。「AISL」は樹脂基材の全面に無電解めっき皮膜を形成する用途で販売されており、「AISL」において用いられる無電解めっき液を用いて選択的なめっきを行う場合、めっき抜けが生じる可能性がある。一方、このようなめっき液を用いることにより、めっき抜けを防止することができる。
無電解めっき液における、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比は、一実施形態において32%以上であり、他の実施形態において35%以上であり、さらなる実施形態において40%以上である。銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が大きいほど、めっき抜けが発生しにくくなる。一方で、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比は、一実施形態において60%以下であり、他の実施形態において55%以下であり、さらなる実施形態において50%以下である。銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が小さいほど、改質されていない部分に対するめっきの析出を抑えることができる。
無電解めっき液は、硫酸ニッケル及び硫酸銅を含むことができる。この場合、無電解めっき液における、(硫酸ニッケル+硫酸銅)に対する硫酸ニッケルの重量比は、一実施形態において25%以上であり、他の実施形態において28%以上であり、さらなる実施形態において30%以上である。一方で、(硫酸ニッケル+硫酸銅)に対する硫酸ニッケルの重量比は、一実施形態において39%以下であり、他の実施形態において37%以下であり、さらなる実施形態において34%以下である。
無電解めっき工程においては、図1(B)に示すように、樹脂基材110に無電解めっきを行うことにより、樹脂基材110の改質部分120に選択的にめっき皮膜130が析出する。本実施形態の方法によれば、十分な厚さの均一なめっき皮膜130を得ることができる。紫外線により樹脂基材110を改質する一実施形態においては、改質部分120にはナノレベルの凹凸が生じているため、析出しためっき皮膜130と樹脂基材110との間の投錨効果により高い密着が得られる。
具体的な無電解めっきの方法については、特に限定されない。採用可能な無電解めっきの例としては、ホルマリン系無電解めっき浴を用いた無電解めっき、及び析出速度は遅いが取り扱いが容易である次亜リン酸を還元剤として用いた無電解めっき等が挙げられる。また、めっき皮膜130の膜厚を増加させるために、めっき皮膜130が形成された樹脂基材110に対してさらに電解めっきを行ってもよい。電解めっきの具体的な方法は特に限定されない。
一実施形態において、無電解めっきは以下の方法で行うことができる。
1.樹脂基材をアルカリ溶液に浸漬し、脱脂を行い、親水性を高める。
2.カチオンポリマーのような、樹脂基材と触媒イオンとのバインダーを含有する溶液に浸漬する。
3.樹脂基材を触媒イオン入りの溶液に浸漬する。
4.樹脂基材を還元剤を含有する溶液に浸漬し、触媒イオンを還元及び析出させる。
5.樹脂基材を無電解めっき液に浸漬し、析出した触媒上にめっきを析出させる。
上記の工程により、表面に銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品100が得られる。所望の配線パターンに従って樹脂基材110上にめっき皮膜130を形成することにより得られた樹脂製品100は、例えば、配線板、導電膜、透明導電膜、ディスプレイ用電極、タッチパネル用電極、太陽電池用電極、電磁波シールド、又はアンテナ等として用いることができる。
一実施形態に係る樹脂製品100は、表面に銅ニッケルめっき皮膜を有しており、銅ニッケルめっき皮膜が含む銅に対するニッケルの重量比が15%以上である。銅に対するニッケルの重量比は、別の実施形態においては17%以上であり、さらなる実施形態においては19%以上である。上述したように銅に対するニッケルの比率が高い無電解めっき液を用いることにより、ニッケル比率の高い無電解ニッケルめっき皮膜を得ることができる。このようにニッケル比率の高い無電解ニッケルめっき皮膜は耐食性に優れており、例えば金めっき等の表面処理を施す場合に適している。
また、面積の小さいアイランドパターンにおいてめっき抜けが発生しやすい傾向にある。アイランドパターンとは、他のめっき皮膜又は改質部分とつながっていない孤立した部分のことを指す。したがって、面積の小さいアイランドパターンに従って樹脂基材110を改質する場合、又は面積の小さいアイランドパターン状のめっき皮膜130を形成する場合に、本実施形態に係る方法は適している。例えば、ステップS210で改質された改質部分120は、一実施形態においては250mm以下の孤立した部分を有しており、別の実施形態においては100mm以下の孤立した部分を有している。また、樹脂製品100は、250mm以下の孤立しためっき皮膜130を有しており、別の実施形態においては100mm以下の孤立しためっき皮膜130を有している。
また、一実施形態において、ステップS210で改質された改質部分120は、このような孤立した部分を5個以上有している。また、一実施形態において、樹脂製品100は、このような孤立しためっき皮膜130を5個以上有しており、これらのめっき皮膜130は均一な組成を有している。さらに、一実施形態において、樹脂製品100は、樹脂基材110の一表面において互いにつながっていない大きさの異なる2以上のめっき皮膜130を有しており、これらのめっき皮膜130は均一な組成を有している。本実施形態に係る方法は、均一な組成を有する複数のめっき皮膜130を形成するために適している。
(原理)
本実施形態に係る方法でめっき抜けを防ぐことができる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように考察している。
本願発明者らの検討によれば、シクロオレフィンポリマーのような吸水率の低い樹脂基材を用いる場合、ポリエチレンテレフタレートのような吸水率の高い樹脂基材を用いる場合と比べて、改質部分の電位が高くなり、未改質部分との表面電位差が大きくなる。これは、樹脂基材の吸水率が低いほど、電荷をためやすくなるためと考えられる。また、本願発明者らは、改質部分と未改質部分との表面電位差が大きい場合に、めっき抜けが発生しやすくなる傾向を見出している。
表面電位差とめっき抜けとの関係について、本願発明者らは以下のように考察している。すなわち、銅ニッケルめっきの初期段階においては、無電解めっき触媒(例えばパラジウム)上に、銅又はニッケルが析出する。この際には、イオン化傾向の小さい銅が析出しやすく、イオン化傾向の大きいニッケルは析出しにくい傾向にある。ここで、改質部分の電位が高いと、ニッケルはより析出しにくくなり、めっき皮膜に占める銅の割合がより高くなる。
一方、その後の無電解めっきは、析出した金属により還元剤が分解され電子が放出されることにより進行する。しかしながら、金属により、還元剤を分解する能力は異なっている。例えば、銅ニッケル無電解めっきでよく用いられる還元剤である次亜リン酸は、ニッケルを触媒として分解されて電子を放出するが、銅によっては分解されない。このため、めっき皮膜に占める銅の割合が極端に高くなると、還元剤が分解されず、めっき皮膜の成長が止まるものと考えられる。
なお、前述のように、面積の小さいアイランドパターンにおいてめっき抜けが発生しやすい傾向にある。この理由としては、面積が大きい場合、めっき皮膜の表面のどこかにニッケルが存在する可能性が高くなるため、還元剤の分解が進む一方、面積が小さい場合、めっき皮膜の全面が銅で覆わせる可能性が高くなるため、還元剤の分解が止まることが考えられる。
上記の考察により、以下のような実施形態が考えられる。一実施形態において、無電解めっき液が含む還元剤は、銅よりもニッケルを触媒として分解されやすい。例えば、無電解めっき液が含む還元剤はニッケルを触媒として分解されるが、銅を触媒としては分解されない。
別の実施形態において、第1の金属イオン及び第2の金属イオンを含む第1の無電解めっき液が用意される。第1の金属イオンは第2の金属イオンよりもイオン化傾向が大きい。そして、第1の無電解めっき液に基づいて、めっき抜けが発生しにくくなるように第1の金属イオンの比率が高められた第2の無電解めっき液が用意される。例えば、第1の無電解めっき液の組成と比較して、第1の金属イオンの比率が高くなるように、第2の無電解めっき液を用意することができる。例えば、第2の金属イオンに対する第1の金属イオンの比率(重量比又はモル比)は、第1の無電解めっき液よりも第2の無電解めっき液の方が大きい。このようにして、めっき抜けの発生が抑制される無電解めっき液を製造することができる。このような第2の無電解めっき液を用いることにより、初期段階で形成されるめっき皮膜における第1の金属の割合を増加させ、めっき皮膜中の金属比率を安定化させ、めっき抜けを防ぐことができる。この場合、第1又は第2の無電解めっき液が含む還元剤として、第2の金属よりも第1の金属を触媒として分解されやすい還元剤を選択することができる。
第2の無電解めっき液の用意は、例えば、第1の無電解めっき液、例えば市販の無電解めっき液を用いた場合にめっき抜けが発生する場合に、行うことができる。例えば、第1の無電解めっき液を用いて、表面の一部分が選択的に改質された樹脂基材に対して無電解めっきを行い、めっき抜けが発生するか否かを判定することができる。そして、めっき抜けが発生した場合に、第2の無電解めっき液を用意することができる。この際には、改質されていない部分に対するめっきの析出が発生しないよう、第1の金属イオンの比率が大きくなりすぎないようにすることができる。その後、第2の無電解めっき液を用いて、表面の一部分が選択的に改質された樹脂基材に対して無電解めっきを行うことができる。
また、第1の金属イオンの比率が高いほどめっき抜けの発生が抑制され、第2の金属イオンの比率が高いほど改質されていない部分に対するめっきの析出が抑えられる。したがって、一実施形態においては、めっき抜けが発生しないように、第1の金属イオンと第2の金属イオンとの比率が調整された無電解めっき液を調製することができる。このようにして、めっき抜けの発生を抑制できる、第1の金属と第2の金属とを含む皮膜を形成するための無電解めっき液を製造することができる。この際には、さらに改質されていない部分に対するめっきの析出が発生しないよう、第1の金属イオンと第2の金属イオンとの比率を調整することができる。
[実施例1]
[改質工程]
樹脂基材としては、シート状のシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製,ゼオノアフィルムZF−16,厚さ100μm)を用いた。
まず、紫外線マスクを樹脂基材上にセットし、紫外線マスクを介して紫外線を照射した。紫外線マスクは、紫外線不透過部と、所定のパターンを有する紫外線透過部と、を有する。本実施例で用いた紫外線マスクは、4mm×14mmの矩形形状の紫外線透過部を有している。この紫外線マスクを介して紫外線を照射することにより、樹脂基材上の4mm×14mmの矩形領域に対して紫外線が照射され、この領域が改質される。
本実施例においては、27個の矩形形状の紫外線透過部を有する紫外線マスクを介して紫外線を照射することにより、樹脂基材上の27個の矩形領域を紫外線により改質した。
本実施例で用いた紫外線ランプ(低圧水銀ランプ)の詳細について以下に示す。
低圧水銀ランプ:サムコ社製UV−300(主波長185nm,254nm)
照射距離3.5cmにおける照度:5.40mW/cm(254nm)
1.35mW/cm(185nm)
具体的には、樹脂基材に対して、上記の紫外線ランプを用いて、1.35mW/cm(185nm)の紫外線を、紫外線ランプから3.5cm離して10分間照射した。この場合、積算露光量は1.35mW/cm×600秒=810mJ/cmとなる。
[めっき工程]
次に、JCU社製Cu−Niめっき液セット「AISL」を使用して、樹脂基材に対して無電解めっきを行った。ここで、無電解Cu−Niめっきに用いる無電解めっき液は、以下のように調製した。すなわち、無電解めっき液中の(硫酸ニッケル)/(硫酸ニッケル+硫酸銅)の重量比が33.01%となるように、「AISL」で用いられるめっき液に対してさらに硫酸ニッケルを添加し、これを無電解めっき液として用いた。その他の処理液については「AISL」で用いられるものを使用した。無電解めっきの具体的な処理条件は以下の通りである。各工程の終了後には水洗を行った。
Figure 2018168407
表1に示す工程に従って無電解めっきを行ったところ、27個の矩形領域の全てに十分に厚く不透明なめっき皮膜が形成されていた。また、得られためっき皮膜の組成について、エネルギー分散型X線分析装置(堀場社製 EMAX X−Max80)で調べたところ、めっき皮膜に含まれる銅とニッケルとの重量比は、83.7%(Cu):16.3%(Ni)であった。すなわち、銅ニッケルめっき皮膜が含む銅に対するニッケルの重量比は19.5%であった。
[実施例2]
無電解Cu−Niめっきに用いる無電解めっき液を以下のように調製したことを除き、実施例1と同様に無電解めっきを行った。実施例2においては、「AISL」で用いられるめっき液をそのまま無電解めっき液として用いた。無電解めっき液中の(硫酸ニッケル)/(硫酸ニッケル+硫酸銅)の重量比は24.14%であった。
表1に示す工程に従って無電解めっきを行ったところ、27個の矩形領域のうち、33%には十分に厚く不透明なめっき皮膜が形成されていたが、67%にはめっき抜けが発生した(すなわち、半透明な薄いめっき皮膜しか形成されなかった)。また、十分に形成されためっき皮膜について、実施例1と同様に組成を調べたところ、めっき皮膜に含まれる銅とニッケルとの重量比は、88.0%(Cu):12.0%(Ni)であった。すなわち、銅ニッケルめっき皮膜が含む銅に対するニッケルの重量比は13.6%であった。一方、めっき抜けが発生しためっき皮膜にいて、実施例1と同様に組成を調べたところ、めっき皮膜に含まれる銅とニッケルとの重量比は、95.2%(Cu):4.8%(Ni)であった。
[実施例3]
無電解Cu−Niめっきに用いる無電解めっき液を以下のように調製したことを除き、実施例1と同様に無電解めっきを行った。実施例2においては、無電解めっき液中の(硫酸ニッケル)/(硫酸ニッケル+硫酸銅)の重量比が14.11%となるように、「AISL」で用いられるめっき液に対してさらに硫酸銅を添加し、これを無電解めっき液として用いた。
表1に示す工程に従って無電解めっきを行ったところ、27個の矩形領域全てについてめっき抜けが発生した。
[実施例4]
様々な無電解めっき液を用いて、実施例1と同様に無電解めっきを行った。実施例1,2を併せた実験結果を表2に示す。
Figure 2018168407
表2において、めっき抜けなしとは、矩形領域の全てに十分に厚く不透明なめっき皮膜が形成されていたことを表す。また、めっき抜けありとは、矩形領域のうち1つ以上においてめっき抜けが発生した(すなわち、半透明な薄いめっき皮膜しか形成されなかった)ことを表す。また、不要析出OKとは、照射工程において紫外線が照射された領域以外には無電解めっき皮膜が形成されなかったことを表す。また、不要析出NGとは、照射工程において紫外線が照射された領域以外にも無電解めっき皮膜が形成されたことを示す。
以上のように、無電解めっき液中の(硫酸ニッケル)/(硫酸ニッケル+硫酸銅)の重量比が24.14%を超えるように無電解めっき液を調製することにより、めっき抜けを防止できることがわかった。これは、銅に対するニッケルの重量比が29.39%を超えるように無電解めっき液を調製することを意味する。また、実施例1〜3及び表2の結果からは、無電解めっき液中での銅に対するニッケルの比率が上昇するほど、めっき抜けが発生しにくくなることが理解できる。
また、無電解めっき液中の(硫酸ニッケル)/(硫酸ニッケル+硫酸銅)の重量比が39.66%を下回るように無電解めっき液を調製することにより、改質していない部分に対する無電解めっき皮膜の析出を抑えられることがわかった。これは、銅に対するニッケルの重量比が60.70%未満となるように無電解めっき液を調製することを意味する。また、表2の結果からは、無電解めっき液中での銅に対するニッケルの比率が低下するほど、改質していない部分に対する無電解めっき皮膜の析出を抑えられることが理解できる。
[実施例5]
樹脂基材として、シクロオレフィンポリマー(ASTM D570による吸水率は0.01%未満)の代わりに、クラレ社製液晶ポリマー(製品名ベクスター、ASTM D570による吸水率は0.04%)を用いたことを除き、実施例2と同様に無電解めっきを行った。表1に示す工程に従って無電解めっきを行ったところ、めっき抜けの発生がみられた。
また、樹脂基材として、東レ社製ポリエチレンテレフタレート(製品名ルミラー、ASTM D570による吸水率は0.4%)、又は三菱ガス化学社製ポリカーボネート(製品名ユーピロン、ASTM D570による吸水率は0.24%)を用いたことを除き、実施例2と同様に無電解めっきを行った。表1に示す工程に従って無電解めっきを行ったところ、ほとんどめっき抜けは見られなかった。
この結果からは、樹脂基材の吸水率が低いほど、めっき抜けが発生しやすくなる傾向が理解できる。一方、吸水率の低い樹脂基材を用いる場合であっても、実施例1〜4の結果を踏まえると、無電解めっき液中のニッケル比率を上昇させることにより、めっき抜けの発生を抑えられることが理解できる。
100:樹脂製品
110:樹脂基材
120:改質部分
130:めっき皮膜
S210:改質工程
S220:めっき工程

Claims (8)

  1. 銅イオン及びニッケルイオンを含有し、銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が31%以上である、無電解めっき液。
  2. 銅イオンに対するニッケルイオンの重量比が60%以下である、請求項1に記載の無電解めっき液。
  3. 表面に銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品の製造方法であって、
    樹脂基材の表面の一部分を選択的に改質する工程と、
    請求項1又は2に記載の無電解めっき液を用いて前記樹脂基材に無電解めっきを行うことにより、前記樹脂基材の表面の前記一部分に選択的に銅ニッケルめっき皮膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする製造方法。
  4. 前記改質する工程において、前記樹脂基材の表面の前記一部分に243nm以下の波長を有する紫外線を照射することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂基材の表面は、吸水率が0.1%以下の樹脂材料で形成されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 表面に銅ニッケルめっき皮膜を有する樹脂製品であって、前記銅ニッケルめっき皮膜が含む銅に対するニッケルの重量比が15%以上である、樹脂製品。
  7. 第1の金属と第2の金属とを含む皮膜を形成するための無電解めっき液の製造方法であって、
    めっき抜けが発生しないように、無電解めっき液が含む第1の金属イオンと第2の金属イオンとの比率を調整する工程を有することを特徴とする、無電解めっき液の製造方法。
  8. 第1の金属イオン及び第2の金属イオンを含む第1の無電解めっき液を用いて、表面の一部分が選択的に改質された樹脂基材に対して無電解めっきを行い、めっき抜けが発生するか否かを判定する工程と、
    めっき抜けが発生した場合に、前記第1の金属イオン及び前記第2の金属イオンを含む第2の無電解めっき液を用いて、表面の一部分が選択的に改質された前記樹脂基材に対して無電解めっきを行う工程と、を有し、
    前記第1の金属イオンは前記第2の金属イオンよりもイオン化傾向が大きく、
    前記第2の金属イオンに対する前記第1の金属イオンの比率は、第1の無電解めっき液よりも第2の無電解めっき液の方が大きい
    ことを特徴とする、めっき皮膜を有する樹脂製品の製造方法。
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