JP2018168191A - 3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドおよびその一塩酸塩の結晶形 - Google Patents

3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドおよびその一塩酸塩の結晶形 Download PDF

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Abstract

【課題】慢性骨髄性白血病(CML)をはじめとする疾患の治療に有用な多標的チロシンキナーゼ阻害剤である、3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドの多形体の提供。【解決手段】A形〜K形の、新規な結晶性3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2012年12月12日に出願された米国仮特許出願第61/736,543号;2012年12月13日に出願された米国仮特許出願第61/737,007号;および2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/788,208号の優先権を主張するものであり、上記出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本願は、3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドおよび3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の新規な結晶形、このような結晶形を含む組成物ならびにその調製方法および使用方法に関する。3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドは式量532.56g/molに相当する化学式C2927Oをもつ。その化学構造を下に示す:
Figure 2018168191
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドのCAS登録番号は943319−70−8である。
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩は式量569.02g/molに相当する化学式C2928ClFOをもつ。その化学構造を下に示す:
Figure 2018168191
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩のCAS登録番号は1114544−31−8である。
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドの米国一般名(USAN)および国際一般名(INN)はポナチニブである。ポナチニブの別の化学名には、ベンズアミド、3−(2−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−[4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]および3−[2−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エチニル]−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドがある。
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の米国一般名(USAN)および国際一般名(INN)はポナチニブ塩酸塩である。ポナチニブ塩酸塩の別の化学名には、ベンズアミド、3−(2−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−[4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−,塩酸塩(1:1)および3−[2−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エチニル]−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩がある。
ポナチニブは慢性骨髄性白血病(CML)をはじめとする疾患の治療に有用な多標的チロシンキナーゼ阻害剤である。ポナチニブ塩酸塩は、これまでのチロシンキナーゼ阻害剤療法に抵抗性または不耐容性を示す慢性期、移行期もしくは急性転化期CMLまたはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)の成人患者の治療用に臨床開発中の小分子汎BCR−ABL阻害薬である。このようなCMLまたはPh+ALLの治療に関連するその他のチロシンキナーゼ阻害剤としては、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)およびTASIGNA(登録商標)(ニロチニブ)(ともにNovartis AG社)、SPRYCEL(登録商標)(ダサチニブ)(Bristol Myers Squibb社)ならびにBOSULIF(登録商標)(ボスチニブ)(Pfizer社)が挙げられる。ポナチニブ塩酸塩の新薬申請(NDA)が2012年7月30日、米国FDAに提出された。米国FDAは2012年12月14日にこのNDAを承認し、ポナチニブ塩酸塩は現在、商標名ICLUSIG(登録商標)(ポナチニブ)で市販されている。
さらに、ポナチニブ塩酸塩は、他のタンパク質キナーゼの阻害が関与するその他の障害または病態の治療に臨床的に有用である可能性がある。このようなキナーゼおよびそれによる障害または病態については、O’Hare,T.,et al、Cancer Cell、第16巻、第5号、401−412(2009)および国際公開第2011/053938号で言及されており、これらは、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
ポナチニブおよびポナチニブ塩酸塩などの医薬品有効成分に考えられる多形体を理解していれば、薬物の開発に有用である。APIに存在するまたは望まれる具体的な多形体を知らなければAPIの製造に一貫性がなくなり、その結果、薬物によって得られる結果がAPIの各種ロット間で異なってくる可能性があるからである。さらに、上とほぼ同じ理由から、多形体の安定性を長期間にわたって体系的に明らかにすることができるようにAPIの多形体を可能な限り発見することが重要である。医薬品開発に具体的な多形体を選択した後、今度はその多形体を再現可能なように調製できることが重要になってくる。このほか、不純物が薬物の性能に影響を及ぼす可能性があることから、ポナチニブおよびポナチニブ塩酸塩などのAPIを高純度で作製する工程があるのが望ましい。
本出願者の知るなかで最も早くポナチニブ塩酸塩の化学構造を開示した特許公報は、本出願者(ARIAD Pharmaceuticals社)のものでもある国際公開第2007/075869号であり、これはあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。国際公開第2007/075869号の実施例16では、生成物が533m/z(M+H)の固体として得られたことが記載されている。この質量はポナチニブの遊離塩基に相当する。実施例16ではこのほか、ポナチニブの一塩酸塩の調製について述べられている。実施例16には、得られたポナチニブ塩酸塩が結晶であったことに具体的に言及する部分はなく、ポナチニブ塩酸塩の特定の結晶形も明記されていない。
米国特許出願公開第2007/0191376号として公開されている米国特許出願第11/644,849号は国際公開第2007/075869号の対応出願であり、2012年2月14日に米国特許第8,114,874号として付与されたものであり、これはあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第13/357,745号は米国特許出願第11/644,849の継続出願であり、同様にあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
本出願者のもので、ポナチニブ塩酸塩を扱い、本願の出願日で公開されている特許出願としてはほかにも、国際公開第2011/053938号および国際公開第2012/139027号が挙げられ、これらはあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。国際公開第2007/075869号と同じく、国際公開第2011/053938号および国際公開第2012/139027号にはともに、ポナチニブ塩酸塩の特定の結晶形は明記されていない。
現在、ポナチニブおよびポナチニブ塩酸塩がともにある特定の結晶形をはじめとする多形体で存在することが可能であり、そのうちのあるものは医薬製剤開発に適していることが明らかになっている。
一態様では、本開示はポナチニブの多形に関する。本明細書ではポナチニブの多形をA形、B形、C形、D形、E形、F形、G形、H形、I形、J形およびK形と命名する。
別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示されるポナチニブの多形と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または補形剤とを含む、医薬組成物に関する。
また別の態様では、本開示は、実質的に純粋なポナチニブ塩酸塩の結晶形に関する。本明細書では、実質的に純粋なポナチニブ塩酸塩の結晶形をA形、B形、C形、D形、E形、F形、G形、H形、I形、J形およびK形と命名する。
また別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示される実質的に純粋なポナチニブ塩酸塩の結晶形と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または補形剤とを含む、医薬組成物に関する。
また別の態様では、本開示は、ポナチニブと塩酸とを接触させることによって実質的に純粋なポナチニブ塩酸塩の結晶形を調製する工程を提供する。
また別の態様では、本開示は、ヒトに治療有効量の本明細書に開示されるポナチニブの多形を投与することによって、タンパク質キナーゼの阻害が奏効するヒトの障害または病態を治療する方法に関する。ある特定の実施形態では、障害または病態は慢性骨髄性白血病(CML)である。
また別の態様では、本開示は、ヒトに治療有効量の本明細書に開示される実質的に純粋なポナチニブ塩酸塩の結晶形を投与することによって、タンパク質キナーゼの阻害が奏効するヒトの障害または病態を治療する方法に関する。ある特定の実施形態では、タンパク質キナーゼがBcr−Ablまたはその変異体である場合、障害または病態は慢性骨髄性白血病(CML)またはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)である。
以下の図面は本明細書の一部をなすものであり、本発明の特定の態様を詳細に示すために含まれる。これらの図面の1つまたは複数のものと、本明細書に示される具体的な実施形態に関する詳細な説明とを参照することにより、本発明をよりよく理解し得る。
発見されA形〜K形として識別されて本明細書に開示される、HCl多形および擬似多形を含めたポナチニブ塩酸塩の11種類の固体形のまとめである。 発見され図1で識別されて本明細書に開示される、ポナチニブ塩酸塩の特定の固体形のまとめである。図2の説明文は以下の通りである: 出発物質:凍結乾燥によって得られたHCl1形または非晶物質(Am)。 Occ:総出現率には第2段階(本明細書の実施例1に記載されている)で実施した216例の実験が含まれ、この実験では39個の試料をさらに湿式分析するか、母液を蒸発させて分析し、合計254の物質を特性評価した。例えば、「(3、1.2%)」は、その形が254回の測定のうち3回出現し、その百分率が1.2%であることに対応する。254回の測定のうち62回(9%)については、生成物の収率が低すぎて固体形が同定できなかったか、その物質が湿っていた。 Am:非晶形。 A形ポナチニブ塩酸塩の2種類のバッチの特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンであり、各バッチのデータはDVS湿度循環の前後に得られたものである。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンである。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な熱重量分析(TGA)および揮発性物質の質量分光分析と組み合わせた熱重量分析(TGMS)のスキャンである。 300KにおけるDMSO−d中のA形ポナチニブ塩酸塩から得られた溶液中のポナチニブ塩酸塩の特徴的なH−NMRスペクトル(600MHz)である。縦軸に正規化強度、横軸に化学シフト(ppm)が示されている。 300KにおけるDMSO−d中のA形ポナチニブ塩酸塩から得られた溶液中のポナチニブ塩酸塩の特徴的な19F−NMRスペクトル(564MHz)である。縦軸に正規化強度、横軸に化学シフト(ppm)が示されている。 300KにおけるDMSO−d中のA形ポナチニブ塩酸塩から得られた溶液中のポナチニブ塩酸塩の特徴的な13C−NMRスペクトル(151MHz)である。縦軸に正規化強度、横軸に化学シフト(ppm)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な質量スペクトルパターンであり、上の質量スペクトルパターンは観測されたA形の質量であり、下の質量スペクトルパターンは上のA形に示される親の娘イオンのスペクトルである。縦軸に相対存在量、横軸に原子量(m/z)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩の特徴的な質量スペクトルフラグメンテーションパターンである。縦軸に相対存在量、横軸に原子量(m/z)が示されている。 本明細書の「A形ポナチニブ塩酸塩の結晶データおよび構造精密化」という名称の表に示されるデータによるA形ポナチニブ塩酸塩の構造を示す図である。この図12の原子は原子の種類に従って、炭素が灰色、窒素が青色、酸素が赤色、水素が白色、フッ素が黄色、塩素が緑色に色分けされている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩(下)から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンとB形(中央)およびC形(上)のXRPDパターンとの比較を示す図である。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 B形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 C形ポナチニブ塩酸塩(上)から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンとA形(下)のXRPDパターンとの比較である。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 C形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 C形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な熱重量分析(TGA)のスキャンである。 C形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なTGMSサーモグラムである。 C形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 D形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンとA形およびHCl3のクラスに含まれる特定の他の結晶形のXRPDパターンとの比較である。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 D形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 D形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な熱重量分析(TGA)のスキャンである。 D形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。A形出発物質が赤色、D形(PSM1)が青色で示されている。 D形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 F形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンとA形およびHCl5のクラスに含まれる特定の他の結晶形のXRPDパターンとの比較である。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 F形ポナチニブ塩酸塩から得られた2つの特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンを示す図である。上のスキャンはVDS1のDSC曲線である。下のスキャンはVDS2のDSC曲線である。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 F形ポナチニブ塩酸塩(VDS1)から得られた特徴的な熱重量分析とSDTA(上)およびTGMS(下)のスキャンの重ね合せである。 F形ポナチニブ塩酸塩(VDS2)から得られた特徴的な熱重量分析(上)およびTGMS(下)のスキャンの重ね合せである。 F形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。A形出発物質が赤色、F形(VDS1)が緑色で示されている。 F形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。A形出発物質が紫色、F形(VDS2)が赤色で示されている。 F形ポナチニブ塩酸塩(VDS2)から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 H形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンとA形(一番下)およびHCl6のクラスに含まれる特定の他の結晶形のXRPDパターンとの比較である。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 H形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。上のスキャンはVDS3のDSC曲線である。下のスキャンはVDS4のDSC曲線である。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 H形ポナチニブ塩酸塩(VDS3)から得られた特徴的な熱重量分析(上)およびTGMS(下)のスキャンの重ね合せである。 H形ポナチニブ塩酸塩(VDS4)から得られた特徴的な熱重量分析(上)およびTGMS(下)のスキャンの重ね合せである。 H形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。A形出発物質は紫色、H形(VDS3)は赤色で示されている。 H形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的なFT−IRスペクトルである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。A形出発物質が紫色、H形(VDS4)が赤色で示されている。 H形ポナチニブ塩酸塩(VDS4)から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 図1で識別される各固体形の特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンの重ね合せであり、縦軸は相対強度(カウント数)であり、横軸は2シータ(角度)を表す。この図の固体形および溶媒は下から上に向かって以下の通りである:出発物質ポナチニブHCl(HCl1)(A形)、HCl2形(QSA12.1、溶媒:水)(B形)、HCl2b形(QSA21.1、溶媒:水)(C形)、HCl3クラス形(GRP12.1、溶媒:トルエン)(D形)、混合物HCl1+HCl4(GRP1.1、溶媒:ヘキサフルオロベンゼン)(E形)、HCl5形(VDS28.1、溶媒:酢酸ブチル)(F形)、HCl5b形(乾燥後のVDS28.2、溶媒:酢酸ブチル)(G形)およびHCl6クラス(VDS6.1、溶媒:メタノール)(H形)。 (上から下、左から右に向かって):HCl6クラス(VDS6.1、vds050.0c:E1)、HCl5形(VDS28.1、vds05.0c:B3)、HCl5b形(VDS28.2、vds05.1c:B6)、混合物HCl1+HCl4(GRP1.1、grp02.0c:A1)、HCl3クラス形(GRP12.1、grp02.1c:L1)、HCl2形(QSA12.1、qsa00.1c:A2)およびHCl2b形(QSA21.1、qsa00.1c:J2)の代表的なデジタル画像を示す図である。 J形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンである。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 K形ポナチニブ塩酸塩から得られた特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンである。縦軸に相対強度(カウント数で表示)、横軸に角度(2θ)が示されている。 A形ポナチニブ塩酸塩(下のパターン)および非晶形ポナチニブ塩酸塩(上のパターン)(溶媒:2,2,2−トリフルロエタノール(trifluroethanol))の特徴的なXRPDパターンを示す図であり、縦軸が相対強度(カウント数)、横軸が2シータ(角度)を表す。 非晶形3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の特徴的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。この非晶形の融点に相当する259.4℃をピークとする強い吸熱事象が観察された。縦軸が熱流量[mW]を表し、横軸が温度(℃)を表す。 H形ポナチニブ塩酸塩(VDS4)から得られた特徴的なHPLCスペクトルである。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。縦軸に吸光度単位(mAU)、横軸に時間(分)が示されている。 A形〜J形として識別される多形および擬似多形を含むポナチニブの固体形をまとめた表である。 A形〜J形として識別されるポナチニブの多形および擬似多形の出現率、晶析方法、物理的形態、吸熱および純度をまとめた表である。 単結晶X線解析によって決定されたA形ポナチニブ遊離塩基結晶(無水物)の分子構造および付番スキームを示す図である。 A形ポナチニブ遊離塩基結晶(無水物)のシミュレートしたXRPDパターンおよび実験的に得られたXRPDパターンを示す図である。 ポナチニブ遊離塩基のA形結晶(無水物)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 単結晶X線解析によって決定されたBクラスポナチニブ/1,4−ジオキサン(1:1)溶媒和物(B形)の分子構造および付番スキームを示す図である。 Bクラスポナチニブ/1,4−ジオキサン(1:1)溶媒和物(B形)のシミュレートしたXRPDパターンである。 単結晶X線解析によって決定されたBクラスポナチニブ/ペルフルオロベンゼン(1:1)溶媒和物(B形)の分子構造および付番スキームを示す図である。 Bクラスポナチニブ/ペルフルオロベンゼン(1:1)溶媒和物(B形)のシミュレートしたXRPDパターンおよび実験的に得られたXRPDパターンである。 B形ポナチニブ/2−メチルTHF(1:0.4)溶媒和物(上のパターン);B形ポナチニブ/シクロヘキサノン(1:1)溶媒和物(中央のパターン);およびA形(下のパターン)のXRPDパターンを示す図である。 Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 低結晶性C形ポナチニブ(GEN3.1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 低結晶性C形ポナチニブ(GEN3.1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 低結晶性C形ポナチニブ(GEN3.1)(上のパターン)およびA形(下のパターン)のXRPDパターンを示す図である。 D形ポナチニブ(GEN5.1R1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 D形ポナチニブ(GEN5.1R1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 D形ポナチニブ(中央のパターン)およびA形(下のパターン)のXRPDパターンを示す図である。このほか、Bクラスポナチニブ溶媒和物とD形ポナチニブ混合物(上のパターン)のXRPDパターンが示されている。 Eクラスポナチニブ/THF1:1溶媒和物(GEN7.1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 Eクラスポナチニブ/THF1:1溶媒和物(GEN7.1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 Eクラスポナチニブ/THF1:1溶媒和物(GEN7.1)(上のパターン);Eクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物(SLP3.1)(中央のパターン);およびA形(下のパターン)のXRPDパターンを示す図である。 F形ポナチニブ(AS16.2)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 H形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 H形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 以下の一連のXRPDパターンを示す図である:プロット1はH形(VLD2実験、2週間および乾燥後)である;プロット2はH形(VLD1実験、2週間および乾燥後)である;プロット3はH形(VLD1実験、DVS後のストック由来の乾燥固体)である;プロット4はH形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)である;プロット5はH形(VLD19)である;一番下のプロットはA形のXRPDである。 H形ポナチニブから得られた特徴的なFT−IRスペクトルとA形で得られたFT−IRスペクトルとを重ね合せた図である。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。 H形ポナチニブから得られた特徴的なFT−IRスペクトルとA形で得られたFT−IRスペクトルの波長1750〜600nmの領域を重ね合せた図である。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。 I形(GEN9.1)から得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 I形(GEN9.1)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 ポナチニブI形(上のパターン)とA形(下のパターン)とを重ね合せたXRPDパターンを示す図である。 以下のXRPDパターンの重ね合せを示す図である:プロット6はA形(VDS2、安定性試験の後)のXRPDパターンである;プロット7はJ形(VDS2)のXRPDパターンである;プロット8はJ形(スクリーニングS10010AのVDS10)のXRPDパターンである;プロット9はA形ポナチニブの別のXRPDパターンである。 A形で得られたFT−IRスペクトルと重ね合せたJ形から得られた特徴的なFT−IRスペクトルを示す図である。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。 J形から得られた特徴的なFT−IRスペクトルとA形で得られたFT−IRスペクトルの波長1750〜600nmの領域を重ね合せて示した図である。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。 選択されたポナチニブ遊離塩基多形(下から上に向かって):A形(SM);Bクラス(QSAS7.1);C形、低結晶性(GEN3.1);D形(GEN5.1);Eクラス(SLP3.1);F形(SLP10.1);G形(AS19.1);H形(VDL19.1);I形、低結晶性(GEN9.1);およびJ形、低結晶性(VDS10.1)で得られたXRPDの結果を重ね合せて示した図である。 遊離塩基出発物質のXRPDパターンの重ね合せを示す図であり、この2つのパターンは2種類のバッチ(F09−05575:下のパターン;およびF09−05576:上のパターン)を表している。 ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05575で得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05576で得られた特徴的な示差走査熱量測定(DSC)のスキャンである。縦軸に熱流量[mW]、横軸に温度(℃)が示されている。 ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05575の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05576の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。 数種類のポナチニブ固体形の物理的安定性をまとめた表である。 選択された遊離塩基形のスケールアップ実験の結果をまとめた表である。 120mgスケールで再現したポナチニブ遊離塩基形の各種特性評価をまとめた表である。
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミドおよび3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩がともに様々な固体の結晶形で得られ得ることが明らかになった。
「結晶形」、「多形体」または「多形」という用語は本明細書では互換的に使用され得るものであり、熱力学的安定性、物理パラメータ、X線構造、DSCおよび調製工程などのある特定の物理的特性によって決定されるポナチニブもしくはポナチニブ塩酸塩の非晶形またはポナチニブもしくはポナチニブ塩酸塩のその他の形態(1つもしくは複数)と異なるポナチニブまたはポナチニブ塩酸塩の結晶形を指す。
多形性が古典的には、ある化合物が2種類以上の異なる結晶種(化学構造は同じであるが物理化学的特性が全く異なる)に晶析する能力を指すのに対して、「擬似多形性」という用語は通常、溶媒和物および水和物の結晶形に適用される。しかし、本開示の目的のために、真の多形も擬似多形(すなわち、水和物および溶媒和物)もともに「結晶形」および「多形体」という用語の範囲内に含める。さらに、「非晶形」は不規則な固体を指す。
特定の結晶形の異なる試料ではXRPDの主要ピークが同じになり得るが、微小ピークに関してXRPDのパターンに差がみられる場合があることに留意するべきである。XRPDに関して、「約」という用語は、XRPDの最大値(2シータの角度で表される)に関して使用される場合は一般に、所与の値の0.3度2シータ以内を意味する。あるいは、「約」という用語は、当業者が許容される標準誤差の範囲内に収まると見なす値を意味し得る(この文脈を含めたあらゆる文脈において)。本明細書で使用される「単離された」および「実質的に純粋な」という用語は、選択された物質中に存在する他の固体形(1つまたは複数)の合計に対して、約50%超の結晶性ポナチニブまたはポナチニブ塩酸塩が、同定された結晶形で存在する(当該技術分野の方法によって決定することができる)ことを意味する。
定義および略号
溶媒の略号:
・DCM:ジクロロメタン
・DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
・DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・TFE:2,2,2−トリフルオロエタノール
・THF:テトラヒドロフラン
・2−メチルTHF:2−メチルテトラヒドロフラン
・EtOH:エタノール
・MeOH:メタノール
その他の略号(アルファベット順):
・Am:非晶形
・API:医薬品有効成分
・AS:貧溶媒
・CI:対イオン
・DSC:示差走査熱量測定
・DVS:動的蒸気収着
・GRP:粉砕実験のID
・HPLC:高速液体クロマトグラフィー
・HT−XRPD:ハイスループット粉末X線回折
・HR−XRPD:高分解能粉末X線回折
・LC:低結晶性物質
・MS:質量分光測定
・PSM:冷却/蒸発晶析実験のID
・SAS:溶解度評価
・SDTA:単一の示差熱分析
・S:溶媒
・SM:出発物質
・TGA:熱重量分析
・TGMS:質量分光測定と組み合わせた熱重量分析
・VDL:液体中への蒸気拡散実験のID
・VDS:固体上への蒸気拡散実験のID
・XRPD:粉末X線回折
分析方法
粉末X線回折
Avantium T2ハイスループットXRPD一式を用いてXRPDパターンを得た。Hi−Star面積検出器を備えたBruker GADDS回折計にプレートを載せた。長いd間隔にはベヘン酸銀を用いて、また短いd間隔にはコランダムを用いてXRPDプラットフォームを較正した。
XRPDパターンのうち最も特徴が表れやすい部分である1.5°〜41.5°の2θ領域に単色CuKα線を用いて室温にてデータ収集を実施した。各フレームの露出時間を90秒として2種類の2θの範囲(第一のフレームでは1.5°≦2θ≦21.5°、第二のフレームでは19.5°≦2θ≦41.5°)で各ウェルの回折パターンを収集した。XRPDパターンにはバックグラウンドの減算も曲線の平滑化も施さなかった。XRPD解析時に使用した担体物質はX線を透過させるものであり、バックグラウンドの生成はごくわずかであった。
熱分析
熱流束DSC822e機器(Mettler−Toledo GmbH、Switzerland)で記録したDSCサーモグラムから融解特性を把握した。インジウムの小片(m.p.=156.6℃;ΔHf=28.45J/g)を用いてDSC822eの温度およびエンタルピーを較正した。試料を40μlの標準アルミニウムパン中に密封し、小さい穴を開け、DSC中、加熱速度10℃/分で25℃から300℃に加熱した。測定中、乾燥Nガスを流速50ml/分で用いてDSC機器をパージした。
TGA/SDTAにより各種結晶試料からの溶媒または水減少による質量減少を測定した。TGA/SDTA851e機器(Mettler−Toledo GmbH、Switzerland)で加熱中に試料の重量をモニターして重量対温度曲線を得た。TGA/SDTA851eはインジウムおよびアルミニウムを用いて温度を較正した。100μlのアルミニウム製るつぼに試料を量り取って密封した。密封したものに小さい穴を開け、るつぼをTGA中、加熱速度10℃/分で25℃から300℃に加熱した。乾燥Nガスをパージングに用いた。
TGA試料から放出されたガスを質量分析計Omnistar GSD 301 T2(Pfeiffer Vacuum GmbH、Germany)で分析した。後者は0〜200amuの範囲の質量を分析する四極子質量分析計である。
デジタル撮像
Avantium Photosliderソフトウェアによって制御されたPhilips PCVC 840K CCDカメラを用いて、各ウェルプレートの全ウェルのデジタル画像を自動的に収集した。
プレス
圧縮試験にはAtlas Power Press T25(Specac)を用いた。Atlas Power T25は最大25トンまで作動する電動式水圧プレスである。
HPLC分析法
UVおよびMS検出器を備えたAgilent 1200SL HPLCシステムを以下に示す条件に従って用いてHPLC分析を実施した:
Figure 2018168191
化合物の完全性をクロマトグラム中の「注入ピーク」以外の各ピークの面積および総ピーク面積から以下のように計算されるピーク面積百分率として表す:
ピーク面積%=(ピーク面積/総面積)*100%
目的とする化合物のピーク面積百分率を試料中の成分の純度の指標として用いる。
I.ポナチニブ一塩酸塩の多形体
XRPD解析からポナチニブ塩酸塩の多形体が計11種類発見された。この11種類の新規な多形体を本明細書ではそれぞれ、HCl1(本明細書では「A形」とも呼ばれる)、HCl2(本明細書では「B形」とも呼ばれる)、HCl2b(本明細書では「C形」とも呼ばれる)、HCl3クラス(本明細書では「D形」とも呼ばれる)、HCl1+HCl4混合物(本明細書では「E形」とも呼ばれる)、HCl5クラスまたは単にHCl5(本明細書では「F形」とも呼ばれる)、HCl5bまたはHCl5脱溶媒和物(本明細書では「G形」とも呼ばれる)、HCl6クラス(本明細書では「H形」とも呼ばれる)、HCl6脱溶媒和物(本明細書では「I形」とも呼ばれる)、HCl7(本明細書では「J形」とも呼ばれる)およびHCl8(本明細書では「K形」とも呼ばれる)と呼ぶ。これら11種類の多形体の性状または起源を図1に示す。さらにこのほか、参照される多形体の特定の特徴を図2に示す。例えば、A形はポナチニブ塩酸塩の無水物であることに加えて、単結晶として得られたことが示されている。
一般に、結晶形のポナチニブ塩酸塩には、非晶形のポナチニブ塩酸塩に比べて固形剤形の市販製剤に有利な物理的特性(高い安定性など)がある。結晶性ポナチニブ塩酸塩と非晶形ポナチニブ塩酸塩との違いは、本明細書に開示されるポナチニブ塩酸塩の個々の結晶形を識別するのに用いられる同じ種類の物理化学的データ(例えば、DSC、XRPD、熱分析)から容易にわかる。
次に、上の方法論を参照しながら、発見された3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の多形それぞれに注目する。
A形(HCl1)の特徴:
無水物のHCl1(出発物質と同じ結晶形)は発見された結晶形の主要なものであった。ポナチニブ塩酸塩の化学構造は、核磁気共鳴分光測定(NMR)、質量分析(MS)ならびに単結晶X線結晶構造解析と、元素および塩化物分析、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光測定ならびに紫外(UV)分光測定法から得られた確証的データとを組み合わせることによって明確に確認されている。好ましいポナチニブ塩酸塩の固体形は無水結晶性HCl−1固体形、すなわちA形である。
図3に関して、ポナチニブHClの試料、ASIバッチ110020およびCGAMバッチF08−06057を粉末X線回折(XRPD)により分析した。各場合において、DVS湿度循環の前後に物質を分析した。ハイスループットXRPD回折計を用いてXRPDパターンを得た。XRPDパターンのうち最も特徴が表れやすい部分である1.5°〜41.5°の2θ領域に単色CuKα線を用いて室温にてデータ収集を実施した。各フレームの露出時間を90秒として2種類の2θの範囲(第一のフレームでは1.5°≦2θ≦21.5°、第二のフレームでは19.5°≦2θ≦41.5°)で各ウェルの回折パターンを収集した。XRPDパターンにはバックグラウンドの減算も曲線の平滑化も施さなかった。図3は、これらの物質それぞれのHCl−1固体形における粉末X線回折パターンを示している。この粉末パターンは、HCl−1形の単結晶X線回折実験でシミュレートされた粉末パターンと一致している。DVS湿度循環実験の前後に得られたXRPDデータから、湿度循環後にもHCl−1の固体形が維持されていることがわかる。図3に示されるA形のXRPDパターンには、角度2シータ(2θ)に以下のピーク:5.9;7.1;10.0;12.5;16.4;19.3;21.8;23.8;および26.1のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、A形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。「約」という用語は、この形および本開示で言及される他のすべての形について挙げられる各ピークに適用される。
図4は、XRPDよりも詳細にみえるA形のポナチニブ塩酸塩に特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。図4に示されるA形のXRPDパターンは、以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.9;7.1;10.0;12.5;13.6;14.1;15.0;16.4;17.7;18.6;19.3;20.4;21.8;22.3;23.8;24.9;26.1;27.0;28.4;30.3;31.7;および35.1のうちの少なくとも1つまたは複数を示している。ある特定の実施形態では、A形は、次の2シータ(2θ)のピーク:12.5;19.3;23.8;および26.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、A形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
HCl−1を用いた示差蒸気収着(DVS)実験では、25℃の一定温度、1段階当たり60分の保持時間で相対湿度を45%から95%(収着)、0%(脱着)にして45%(収着)に戻すように循環させた。ポナチニブHCl CGAMバッチF08−060507で実施したこのDVS実験の結果は湿度95%で1.1%の水取込み率を示し、ポナチニブHCl ASIバッチ110020は相対湿度95%で1.4%の水取込み率を示した。この水取込み率は湿度の低い方に循環させても可逆的であった。これらの結果はHCl−1が吸湿性化合物ではないことを示している。このほか、DVS実験の前後に粉末X線回折(XRPD)分析によって湿度循環のHCl−1に対する影響を評価した。XRPDデータから、湿度循環はこの物質の固体形に全く影響を及ぼさず、この物質がHCl−1固体形を保つことが明らかになった。
図5に関して、HCl−1固体形でのポナチニブHClの融点を示差走査熱量測定(DSC)により決定した。ポナチニブHClの試料、ASIバッチ110020を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、25℃〜300℃の温度範囲で分析した。A形の融点に相当する264.1℃をピークとする強い吸熱事象が観察された。
図6に関して、熱重量分析(TGA)および揮発性物質の質量分光分析と組み合わせた熱重量分析(TGMS)をポナチニブHCl、ASIバッチ110020で実施した。小さい穴を開けたるつぼに入れた試料をTGA機器中、パージングに乾燥Nガスを使用し、加熱速度10℃/分で25℃から300℃に加熱した。TGAから放出されたガスを四極子質量分析計を用いて分析した。HCl−1固体形のポナチニブHCl、ASIバッチ110020には放出時に0.31重量%の水および0.85重量%のエタノールが含まれていた。TGA/TGMS実験では、25〜130℃および130〜240℃の温度範囲でそれぞれ0.2%(水)および0.6%(晶析溶媒に由来するエタノール)の質量減少が観察されることが示された。この質量減少は放出時の水およびエタノールの含有量と一致する。エタノールは水よりも高い温度で物質から放出されるが、溶媒和物としてのHCl−1固体形のポナチニブHClに起因するものではない。
1Dおよび2Dの複数のNMR法の組合せを用いて、A形のポナチニブHClの液相NMR研究を徹底的に実施し、H、19Fおよび13C共鳴を完全に帰属し、それによりポナチニブHClの化学構造を確認した。重水素化DMSO(DMSO−d)溶媒に溶かしたポナチニブHCl(ASIバッチ110020)の試料の分析をARIAD Pharmaceuticals社(Cambridge、MA)で実施した。5mm BBFO z−勾配プローブを備えたBruker Avance III−600 MHz NMR分光計により温度300KでNMRスペクトルを取得した。全Hの化学シフトの基準を2.5ppmにおけるDMSOのピークとした。図7にはDMSO−d中のA形ポナチニブHClの1DH−NMRスペクトルが示されている。H共鳴32aはポナチニブHClのプロトン化ピペラジン部分から生じるものである。Hスペクトル(図7)および13Cスペクトル(図9)の両方にみられるEtOH共鳴は、ポナチニブHCl中に存在する残りのEtOHから生じるものである。図8はDMSO−d中のA形ポナチニブHClの1D19F−NMRスペクトルを示しており、57.94ppmに特徴的な化学シフトがみられる。図9はDMSO−d中のA形ポナチニブHClの1D13C−NMRスペクトルを示している。
Ηおよび13C−NMR実験から得られたA形ポナチニブ一塩酸塩の重要な化学シフトデータを表1にまとめる。シグナルの数および相対強度(integrals)からA形ポナチニブHClの構造中のプロトンおよび炭素の数が確認される。これらの化学シフトデータはすぐ下に示す原子の付番スキームに従って報告される。
Figure 2018168191
Figure 2018168191
図10に関して、それぞれ陽イオンエレクトロスプレーモードで作動するThermo Finnegan Exactive精密質量分析計およびLTQ XL イオントラップ質量分析計を用いて、A形ポナチニブHClの質量スペクトル実験および衝突活性化MS2フラグメンテーションを実施した。アセトニトリルに溶かしたA形ポナチニブHCl(ASIバッチ110020)の試料をシリンジポンプによる注入によって質量分析計に導入した。Exactive質量分析計をフルスキャンモードで用いてポナチニブHClの精密質量を得た。この注入実験で観測された質量はm/z533.2269(MH+)であり、計算精密質量が533.2271(MH+)で質量差は0.2mmu(Δppmが−0.38)である(図10、上段)。Exactive質量分析計によるポナチニブHClのフラグメンテーションスペクトルが図10に示されており、これにはm/z533.2269(ポナチニブHClの分子イオン)由来の生成イオンおよび一緒に溶出した他のすべての化合物由来のイオンが含まれている。
図11はLTQ XLイオントラップ質量分析計で得られたMSフラグメンテーションのデータを示している。図11(A)は注入時の試料のm/z533(MH)のフルスキャンMSを示している。図11(B)(MSスキャン)は選択された質量m/z533のフラグメントスペクトルを示している。図11(C)および図11(D)はそれぞれm/z433および260由来の生成イオンを示しており、イオンm/z433および260それ自体はm/z533由来の最初の生成イオン(分子イオン)である。
単結晶X線回折解析を用いてA形ポナチニブ塩酸塩の結晶構造を決定した。液体中への蒸気拡散晶析法にポナチニブHCl CGAMバッチF08−06057を用いて無水物HCl−1形のポナチニブHClの単結晶を得た。溶媒のメタノールを貧溶媒の酢酸エチルとともに用いて得られた単結晶を単結晶X線回折により分析した。これまでの実験から、この形の結晶がよく回折し、図12に示されるポナチニブHClの構造の解明が導かれることがわかっており、その結晶学的パラメータを表2にまとめた。ピペラジンの末端窒素はポナチニブHClのプロトン化部位であり、既に記載されているポナチニブHClのNMR分析と一致している。結晶構造内には塩化物対イオンがプロトン化部位にすぐ隣接して存在する。この構造解析に基づいて、A形が無水形であると判断した。
Figure 2018168191
A形ポナチニブHCl、ASIバッチ110020の減衰全反射(ATR)FT−IRスペクトルを図13に示す。図13に示されるFT−IRに基づく選択したポナチニブHClのIRバンド帰属を表3にまとめる。
Figure 2018168191
FT−IRでは官能基領域が4000〜1300cm−1にわたってみられる。3300〜2800cm−1の領域(領域A)には、水素原子と他の一部の原子との間の伸縮振動、おそらくアミドN−H伸縮振動、芳香族C−H伸縮振動(イミダゾ−ピリダジン複素環およびフェニル基に由来する)および脂肪族C−H伸縮振動(メチル基とメチレン基における)から生じたと思われる複数の重複する吸収バンドがみられ、すべてポナチニブHClの構造内に存在するものである。2100〜2260cm−1(領域B)にみられる弱いバンドは三重C−C結合の伸縮振動によるものである。1640〜1690cm−1の範囲にはアミドC=O伸縮振動(アミド1)による中程度の強さのバンドが予想され、このバンドは1669.8cm−1(領域C)に観測されるものであると思われる。強いバンドが2つ観測される1500〜1560cm−1の範囲には第二級アミドN−H変角振動による吸収バンド(アミド2)がある(領域D)。1300〜1600cm−1の範囲に観測される弱いバンドないし中程度のバンドは(ヘテロ)芳香族の共鳴安定化した二重C−C結合および二重C−N結合(環伸縮振動)ならびにC−H変角振動(メチル基およびメチレン基に由来する)によるものである(領域E)。特に1314.9cm−1における強いバンドを含め複数のバンドが観測される1250〜1335cm−1の範囲および1250〜1020cm−1の範囲には、それぞれ芳香族および脂肪族アミンC−N伸縮振動のバンドが予想される(領域F、G)。1300〜910cm−1のフィンガープリント領域は1122.6cm−1における強く広いバンドと複合したものであり(領域H)、C−F伸縮振動によるものと思われる。芳香族領域910〜650cm−1の吸収バンドは主としてヘテロ芳香環C−H結合の面外変角振動によるものであり、化合物のヘテロ芳香族性を示している(領域I)。ここに挙げたFT−IRスペクトルのデータは、提唱されるA形ポナチニブ塩酸塩の構造を裏付けるものである。
A形の純度を明らかにする実験を実施した。図14に関して、A形ポナチニブ塩酸塩の純度は99.8160%(面積パーセント)であることが明らかになった。
B形(HCl2)の特徴:
TFE/水における溶解度評価からHCl2形が得られ、特定の試料をXRPDで再び測定して確認したところ、測定プレートを周囲条件下で保管してから1日後にHCl2b形に転換した。HCl2はこのほか、本明細書に記載される第2段階で実施した実験で水性溶媒系(水およびMeOH/水)から得られ、同じく周囲条件下で保管中にHCl2b形に転換した(図2の概要を参照されたい)。
粉末X線回折(XRPD)によりB形を解析した。図15は(下から上に向かって):出発物質(A形)、HCl2形(B形)(QSA12.1、溶媒:水)およびHCl2b形(C形)(QSA12.2、周囲条件下で数日後に再測定したもの)のXRPDパターンを示している。図15に示されるXRPDパターンでは、B形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:3.1;6.5;12.4;13.8;15.4;16.2;17.4;18.0;20.4;23.2;24.4;26.1;および26.9のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。参照用に、図15に示されるXRPDパターンでは、C形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.5;12.4;13.8;17.4;18.0;20.6;22.0;23.0;25.5;26.5;および27.4のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):13.8;15.4;17.4;18.0;26.1;および26.9のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。このような実施形態では、B形およびC形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
B形の純度を明らかにする実験を実施した。図15に関して、B形ポナチニブ塩酸塩の純度は99.7535%(面積パーセント)であることが明らかになった。
C形(HCl2b)の特徴:
C形は水和形である。HCl2b形は最初、周囲条件下で何日間にもわたる溶解度評価実験からB形の転換によって、またはTFE/水溶媒混合物から直接得られた。C形はこのほか、第2段階の実験で水性溶媒系(水および水/DMSO)から得られた(図2の概要を参照されたい)。
粉末X線回折(XRPD)によりC形を解析した。図17は(下から上に向かって):出発物質(HCl1)およびHCl2b形(QSA21.1、溶媒:水)のXRPDパターンを示している。図17に示されるXRPDパターンでは、C形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:3.1;6.5;12.4;13.8;17.4;18.0;20.6;22.0;23.0;25.5;26.5;27.4;28.4;および29.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、C形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):13.8;17.4;18.0;および25.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、C形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
図18に関して、示差走査熱量測定(DSC)によりC形ポナチニブHClの融点を決定した。試料を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、25℃〜300℃の温度範囲で分析した。Tpeak=122.9℃、Tpeak=158.2℃およびTpeak=256.2℃で強い吸熱事象がみられた。
図19はQSA21.1のTGAおよびSDTGAサーモグラムを示している。図20は実験QSA21.1のC形のTGMSサーモグラムを示している。40℃〜140℃の温度区間で4.3%の質量減少(水)が観察される。API:水の比は1:1.4と評価された。
C形の純度を明らかにする実験を実施した。図21に関して、C形ポナチニブ塩酸塩の純度は99.7850%(面積パーセント)であることが明らかになった。
D形(HCl3クラス)の特徴:
HCl3クラスは図2の概要からかわるように、ほとんどがMeOH/アセトニトリル混合物を除いて芳香族溶媒から得られたものである。D形はトルエンでの冷却−蒸気晶析法を用いた120mgスケールで良好に再現された。
熱分析に基づいて、D形の代表的な試料をトルエン溶媒和形(AP:トルエン 1:0.5)と命名した。この形は199.5℃で脱溶媒和して再結晶化し、257.6℃(ほぼA形の融点に相当する)で2回目の融解が観察された。HCl3クラスはやや吸湿性であり、95%RHでの水質量取込み率が2.5%である。この過程は物理的安定性および試料の外観に関して可逆的であった。
HCl3クラスの試料は周囲条件下で8か月保管した後およびDVS循環の後でも物理的に安定であることがわかった。しかし、湿度室(40℃/75%RH)中では、HCl3クラスの試料は1週間後にHCl1に転換した。
粉末X線回折(XRPD)によりD形を解析した。図22は、(下から上に向かって):HCl1(AP24534HCl塩出発物質)、HCl3クラス(PSM17、溶媒:トルエン)、HCl3(PSM1、溶媒:トルエン)、HCl1+HCl3(40℃/75%RHで1週間後のPSM1)およびHCl3(DVS後のPSM1)のXRPDを重ね合せたXRPDパターンを示している。図22に示されるXRPDパターンでは、HCl3に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:8.2;10.1;10.9;14.9;16.0;16.3;16.8;17.7;18.7;20.2;22.9;24.0;25.6;26.7;および28.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、D形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):8.2;10.1;14.9;および25.6のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図22に示されるXRPDパターンでは、HCl3+HCl1に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.5;7.4;12.5;13.6;14.1;16.7;17.4;18.0;19.3;20.4;21.8;24.0;25.1;26.3;および28.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、HCl3+HCl1は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):12.5;19.3;および26.3のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、D形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
図23に関して、示差走査熱量測定(DSC)によりD形ポナチニブHCl(PSM1)の融点を決定した。試料を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、25℃〜300℃の温度範囲で分析した。Tpeak=199.5℃、Tpeak=204.1℃およびTpeak=257.6℃で強い吸熱事象がみられた。
図24に関して、D形(PSM1)のTGAおよびSDTGAサーモグラムが示されている。120℃〜220℃の温度区間で7.7%の質量減少(トルエン、API:溶媒の比は1:0.51)が観察された。
図25に関して、1750〜500cm−1の領域のFT−IRスペクトルが示されている。これらのデータは提唱されるD形ポナチニブ塩酸塩の構造を裏付けるものである。さらに、このスペクトルはA形と比べてD形に固有の特徴を示している。
D形(PSM1)の純度を明らかにする実験を実施した。図26に関して、D形ポナチニブ塩酸塩の純度は97.3664%(面積パーセント)であることが明らかになった。
E形(HCl4+HCl1の混合物)の特徴:
HCl4はヘキサフルオロベンゼンを用いた粉砕実験からA形との混合物としてのみ得られた(図2の概要を参照されたい)。
E形ポナチニブ塩酸塩は周囲条件下での保管時に物理的に安定でないことがわかった。8か月間の保管後に混合物HCl1+HCl4をXRPDにより再測定したところ、A形に転換していた。
F形(HCl5クラス)の特徴:
HCl5形は、本明細書に記載される酢酸ブチル中での固体上への蒸気拡散実験から得られたものである(図2の概要を参照されたい)。DSC、循環DSC、TGMS、FTIR、HPLCおよびDVSによりHCl5クラスを特性評価した。短期間の保管条件下(すなわち、40℃、75%RHで1週間)での物理的安定性を検討した。HCl5クラスの試料は、周囲条件下で8か月間保管した後もXRPDによる評価で物理的に安定であった。湿度室(40℃/75%RH)中で1週間経過した後、この物質は依然としてHCl5クラスであったが、XRPDパターンにわずかな差がみられた。
DVS実験では、HCl5クラスは吸湿性が高く、水質量吸着率が37%であることがわかった。この物質はDVS実験後のXRPDからわかるように、晶析度が失われた。
F形は、それまでに発見された多形を同定する最初の実験と同じ条件を用いて120mgスケールに良好にスケールアップされた。2種類のスケールアップ実験を実施し、対応するXRPDパターンから、HCl5と同形の形であることがわかった。これらの同形の形をHCl5およびHCl5bとともにHCl5クラス、つまりF形と命名した。
図27は、(下から上に向かって):HCl1(A形出発物質);HCl5およびHCl5b(湿式および乾式VDS28、溶媒:酢酸ブチル);HCl5クラス(VDS1、溶媒:酢酸ブチル)、低結晶性(DVS後のVDS1);HCl5クラス(VDS2、溶媒:酢酸ブチル);ならびにHCl5クラス(40°、75%RHで1週間後のVDS2)のXRPDを重ね合せたXRPDパターンを示している。図27に示されるXRPDパターンでは、HCl5に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.8;9.8;12.4;16.2;17.9;19.0;24.0;および25.1のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、HCl5は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):9.8;12.4;および25.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図27に示されるXRPDパターンでは、HCl5クラス(一番上のパターン)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:7.9;8.7;9.7;11.4;15.6;16.5;および25.8のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、HCl5クラスは、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):15.6;16.5;25.8のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、F形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
図28に関して、示差走査熱量測定(DSC)によりF形ポナチニブHCl(PSM1)の融点を決定した。2種類の異なる実験の試料を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、25℃〜300℃の温度範囲で分析した。一方の実験の試料(VDS1、上段の曲線)では、Tpeak=120.7℃、Tpeak=184.3℃およびTpeak=209.4℃で強い吸熱事象が起こることが明らかになった。もう一方の実験の試料(VDS2、下段の曲線)では、Tpeak=122.1℃、Tpeak=209.7℃およびTpeak=252.1℃で強い吸熱事象が起こることが明らかになった。
循環DSC実験では、HCl5クラスが脱溶媒和すると、約210℃で融解し「HCl5脱溶媒和物」と命名される形に転換することがわかった。
図29に関して、F形のTGA/SDTAサーモグラム(VDS1、上段)およびTGMS(下段)サーモグラムが示されている。25℃〜160℃の温度区間で17.1%の質量減少(酢酸ブチル、API:溶媒の比は1:1.01)が観察された。TG−MS分析では、HCl5クラスはAPI:酢酸ブチルの比が1:1の酢酸ブチル溶媒和物であり、約120℃で脱溶媒和することがわかった。図30は、VDS2のF形の対応するTGA/SDTA(上段)およびTGMS(下段)サーモグラムを示している。25℃〜160℃の温度区間で16.6%の質量減少(酢酸ブチル、API:溶媒の比は1:0.98)が観察された。
図31および32に関して、1750〜500cm−1の領域のFT−IRスペクトルが示されている。これらのデータは提唱されるF形ポナチニブ塩酸塩の構造を裏付けるものである。さらに、このスペクトルはA形と比べてF形に固有の特徴を示している。
F形(VDS2)の純度を明らかにする実験を実施した。図33に関して、D形ポナチニブ塩酸塩の純度は98.2833%(面積パーセント)であることが明らかになった。
G形(HCl5b)の特徴:
G形ポナチニブ塩酸塩は、完全な真空下で3日間乾燥させてHCl5が転換することによって得られたものである。HCl5b形は、周囲条件下で8か月間保管した後でも物理的に安定であることがわかった。
G形の特性評価のデータはF形との関連で本明細書に記載されている。
H形(HCl6クラス)の特徴:
HCl6は2種類の実験、それぞれMeOH/水およびMeOH溶媒系での溶液中への蒸発および固体上への蒸発から得られたものである(図2の概要を参照されたい)。物質の試料採取時点に差がみられたことから、対応するXRPDパターンがわずかに異なることがわかったが、このことは、理論に束縛されるものではないが、HCl6がおそらく同形のクラス形であることを示している。HCl6クラスは、元のスクリーニング実験のMeOHによる固体上への蒸発実験と同じ条件を用いて、120mgまで良好にスケールアップされた。
DSC、循環DSC、TGMS、FTIR、HPLCおよびDVSによりHCl6クラスを特性評価した。短期間の保管条件下(すなわち、40℃、75%RHで1週間)での物理的安定性を検討した。H形の試料は、周囲条件下で8か月間保管した後もXRPDによる評価で物理的に安定であった。湿度室(40℃/75%RH)中で1週間経過した後、物質は依然としてHCl6クラスであったが、XRPDにわずかな差がみられた。
図34は、(下から上に向かって):A形(ポナチニブ塩酸塩出発物質)、HCl6クラス(VDS6、溶媒:メタノール)、HCl6クラス(VDS3、溶媒:メタノール)、HCl6(DVS後のVDS3)、HCl6クラス(人工気候室後のVDS3)、HCl6クラス(VDS4、溶媒:メタノール)およびHCl6クラス(DVS後のVDS4)のXRPDを重ね合せたXRPDパターンを示している。図34に示されるXRPDパターンでは、HCl6(A形パターンのすぐ上)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.9;8.1;9.5;10.7;13.4;16.0;17.0;22.0;22.8;24.7;および28.3のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、HCl6は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):8.1;10.7;13.4;24.7;および28.3のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図34に示されるXRPDパターンでは、HCl6クラス(一番上のパターン)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:8.0;10.2;10.9;11.8;14.1;15.4;16.3;19.9;22.3;23.7;25.0;および28.2のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、HCl6クラスは、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):10.2;15.4;23.7;25.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、F形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。両試料のXRPD解析では、DVS実施後にほぼ同じパターンが観測されることがわかったが、VDS4のTGMS分析では、試料中にはもはやメタノール分子が存在せず、HCl6クラスに属する半水和形と思われるものを形成している水分子に置き換わっていることがわかった。
図35に関して、示差走査熱量測定(DSC)によりH形ポナチニブHClの融点を決定した。2種類の異なる実験の試料を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、25℃〜300℃の温度範囲で分析した。一方の実験の試料(VDS3、上段の曲線)では、Tpeak=219.4℃で強い吸熱事象が起こることが明らかになった。もう一方の実験(VDS4、下段の曲線)では、Tpeak=219.4℃およびTpeak=256.8℃で強い吸熱事象が起こることが明らかになった。
図36に関して、H形のTGA/SDTAサーモグラム(VDS3、上段)およびTGMS(VDS3、下段)サーモグラムが示されている。30℃〜150℃の温度区間で5.4%の質量減少(メタノール、API:溶媒の比は1:1.01)が観察され、190℃〜220℃の温度区間で0.3%の質量減少(メタノール、API:溶媒の比は1:0.05)が観察された。VDS4について、対応するH形のTGA/SDTAサーモグラム(上段)およびTGMS(下段)サーモグラムが図37に示されている。30℃〜150℃の温度区間で3.3%の質量減少(メタノール、API:溶媒の比は1:0.6)が観察され、190℃〜220℃の温度区間で0.7%の質量減少(メタノール、API:溶媒の比は1:0.12)が観察された。
図38および39に関して、1750〜500cm−1の領域のFT−IRスペクトルが示されている。これらのデータは提唱されるH形ポナチニブ塩酸塩の構造を裏付けるものである。さらに、このスペクトルはA形と比べてH形に固有の特徴を示している。
H形(VDS4)の純度を明らかにする実験を実施した。図40に関して、H形ポナチニブ塩酸塩の純度は97.9794%(面積パーセント)であることが明らかになった。
I形(HCl6脱溶媒和物)の特徴:
H形の実験に関連して実施した循環DSC実験では、HCl6クラスが脱溶媒和すると、約220℃で融解する「HCl6−脱溶媒和物」と命名される形に転換することがわかった。
J形(HCl7)の特徴:
J形はポナチニブHClの五水和物であり、単結晶解析との関連で発見されたものである。J形は、三水和物と五水和物との間での競合的な水中スラリーが示す通り、確認されたなかで最も安定な水和構造である。
n−酢酸ブチルを貧溶媒として溶媒混合物メタノール/水(20:80)で実施した蒸気拡散実験で適切な大きさの単結晶が得られた。晶析バイアルから大きさ約0.45×0.25×0.12の平行六面体の単結晶を1つ収集し、ガラス繊維上に載せた。その結晶学的データ(θ=27.5°まで収集)を表4に列記する。
Figure 2018168191
非対称単位は陽イオン、塩化物陰イオンおよび5つの水分子を含む(五水和物)。水分子は水素結合(H結合)を介して陰イオン、陽イオンおよび隣接する水分子と結合している。
親のH結合の配置による重要な結果は、この結晶中では両荷電原子(すなわち、APIのプロトン化窒素と塩化物陰イオン)が複数の水分子によって架橋/分離されているということである。
図43は、J形ポナチニブ塩酸塩の特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンを示している。図43に示されるJ形のXRPDパターンは、相対強度が20%以上の角度2シータ(2θ)のピーク:6.1;7.0;13.3;16.4;20.7;22.2;23.9;25.5;および29.1のうちの少なくとも1つまたは複数示している。ある特定の実施形態では、J形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):7.0;22.2;および25.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、J形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
K形(HCl8)の特徴:
K形は単結晶解析との関連で発見されたものである。50:50のTFE/H2O混合物で実施した穏やかな蒸発の実験で単結晶が成長した。大きさ約0.40×0.30×0.25mmの塊状単結晶を解析した。結晶は大型であったが回折が極めて少なく、このことは構造中に不規則な部分があることを示している。したがって、測定値はθ=25°までのみを記録した。結晶学的パラメータを表5に列記する。
Figure 2018168191
混合型のTFE溶媒和/水和形の構造は陽イオン、塩化物陰イオンおよび2つの中性物質、トリフルオロエタノールと水分子を含む。この構造では、水分子がH結合に関与しているが、五水和物および三水和物形とは異なり荷電原子を分離していない。TFEおよび水分子は水素結合ネットワークで供与体としてのみ役割を果たしていた。特に水分子では、水素原子のうち1つのみがドナーとしての役割を果たし、このことが水分子が不規則であること、およびAPI分子に対する水分子の比が化学量論的でないことの原因になっていると考えられる。
図44は、K形ポナチニブ塩酸塩の特徴的な粉末X線回折(XRPD)パターンを示している。図44に示されるK形のXRPDパターンは、相対強度が20%以上の角度2シータ(2θ)のピーク:6.1;7.4;13.5;17.4;18.5;20.7;23.9;および28.3のうちの少なくとも1つまたは複数を示している。ある特定の実施形態では、K形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):7.4および23.9のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、K形のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
非晶形ポナチニブ塩酸塩の特徴:
図45は、A形ポナチニブ塩酸塩(下のパターン)および非晶形ポナチニブ塩酸塩(上のパターン)(溶媒:2,2,2−トルフルロエタノール(trifluroethanol))のXRPDパターンを示している。A形では特定の角度2シータに明確に区別できるピークのセットがみられるのに対して、非晶形ポナチニブ塩酸塩には明確なピークがないことが容易に見て取れる。
さらに、非晶形ポナチニブ塩酸塩にはA形の非晶形ポナチニブ塩酸塩と比べて固有の融解温度がある。図46は、非晶形ポナチニブ塩酸塩の特徴的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。259.4℃にピークのある強い吸熱事象が観察されたが、これは非晶形の融点に相当する。この融点は、264.1℃の融点を示したA形ポナチニブ塩酸塩に観察されたものとは異なっている。
非晶形ポナチニブ塩酸塩とA形ポナチニブ塩酸塩の固有で異なる物理的特性は、それぞれの物質の純度に起因するものではないと思われる。非晶形ポナチニブ塩酸塩の場合、HPLCにより物質の純度が99.7877%(面積パーセント)であることが明らかになった(図47を参照されたい)のに対して、A形ポナチニブ塩酸塩の純度は99.8%(面積パーセント)であることが明らかになった。
実施例
実施例1
多形体の発見
ポナチニブ塩酸塩の多形を発見する最初の取組みを2つの段階に分けた。第1段階には、出発物質の特性評価、実現可能性試験および第2段階の溶媒を選択するためのデータを得る溶解度試験を含めた。第2段階には、ミリリットル(ml)スケールの多形スクリーニング実験192例を含めた。これらの最初の取組みから、A形、B形、C形、D形、E形、F形、G形およびH形の8種類の多形体が発見された。
第1段階:出発物質の特性評価
約24グラムの化合物ポナチニブ塩酸塩を淡黄色の固体として得た。この出発物質をXRPD、デジタル撮像、DSC、TGMSおよびHPLCにより特性評価した。出発物質、3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩は結晶物質(HCl1と命名される)として得られ、その化学的純度はHPLCにより99.8%と評価された。TGAおよびTGMS分析では、熱分解過程の前の25℃〜240℃の温度区間で0.7%の質量減少(残留エタノール)がみられた。DSC分析ではTpeak=264.8℃の吸熱事象がみられ、これは化合物、3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の融解および/または分解によるものと思われる。
第1段階:溶解度試験
20種類の溶媒のセットを用いてポナチニブ塩酸塩出発物質の定量的溶解度試験を実施した。平衡時間24時間でスラリーを調製した後、このスラリーをろ過した。HPLCにより飽和溶液から溶解度を決定した。XRPDにより残留固体を特性評価した。その結果を表6にまとめる。
Figure 2018168191
表6に示される実験のうち19例では、19種類の異なる溶媒で溶解度評価した後に分析した物質は、HCl1と命名される出発物質と同じ形であると思われた。2,2,2−トリフルオロエタノールで実施した実験QSA13では、選択した濃度で物質が完全に溶解し、溶媒蒸発後に得られた試料から非晶質物質が生じた。2種類の水中スラリーから得られた固体(QSA12およびQSA21)から、それぞれ2種類の異なる形、HCl2形およびHCl2b形が生じた。周囲条件下で保管して数日後、HCl2形がHCl2b形に転換したため、それ以上特性評価することはできなかった。さらに特性評価したところ、HCl2b形は水和形(API/水の比は1:1.4)であることが明らかになった。
第1段階:実現可能性試験
実現可能性試験を実施して、この研究の第2段階の部分のいくつかの晶析技術に用いることが可能な非晶形出発物質を得ることを試みた。2種類の技術、すなわち粉砕および凍結乾燥を用いた。その結果を下に示す。
粉砕
30Hzの振動数で持続時間を変えて2種類の粉砕実験を実施した。60分間粉砕した後、結晶性の出発物質が非晶形に転換した。120分後、得られた物質は非晶形のままであり、化学的純度は99.6%であった。
凍結乾燥
3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩で8種類の凍結乾燥実験を実施した。これらの実験を表7にまとめる。
Figure 2018168191
化合物ポナチニブ塩酸塩のテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびジクロロメタンへの溶解度が低すぎたため、良好な条件で凍結乾燥法を用いることはできなかった。メタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)およびTFE/水混合物のような溶媒では非晶質物質が得られた。未希釈のTFEまたはTFE含有量の高い溶媒混合物から得られた試料では、乾燥粉末中に残留溶媒が11%検出された(TGMSの結果による)。メタノールおよびTFE/水(50:50)から得られた試料では残留溶媒の含有量がこれより少なく、それぞれわずか0.9%および1.5%であった。さらに24時間乾燥させたところ、TFE/水(50:50)から生成した非晶質物質中の残留溶媒の量を1%未満まで減少させることができた。メタノールおよびTFE/水(50:50)から得られた非晶形試料ではともに、化学的純度がHPLCにより99.8%と評価された。メタノールを用いた凍結乾燥実験ではクリーピングが観察されたため、第2段階の冷却−蒸発晶析および固体上への蒸気拡散の実験に使用する非晶形ポナチニブ塩酸塩の生成にはTFE/水(50:50)を用いる方法を選択した。
第2段階:多形の発見
6種類の異なる晶析法:(1)冷却−蒸発;(2)貧溶媒添加;(3)粉砕;(4)スラリー;(5)溶液中への蒸気拡散;および(6)固体上への蒸気拡散を用いる192種類の異なる条件を用いて、ミリリットル(ml)スケールでポナチニブ塩酸塩の多形スクリーニング実験を実施した。スクリーニング実験終了後、物質を収集し、XRPDおよびデジタル撮像により解析した。
冷却−蒸発晶析実験
36種類の異なる溶媒および溶媒混合物と1種類の濃度とを用いて、表8に示されるmlスケールの冷却−蒸発実験36例を1.8mlバイアルで実施した。各バイアルに非晶形ポナチニブ塩酸塩25mgを量り取った。次いで、スクリーニング溶媒を濃度が約60mg/mlに達するまで加えた。ほかにも磁気攪拌子を入れたバイアルの蓋を閉じ、Avantium Crystal16に入れて温度プロファイルを実行した(下の表9に記載されている)。混合物を5℃に冷却し、その温度で48時間保持した後、バイアルを真空下に置いた。溶媒を200mbarまたは10mbarで数日間蒸発させた後、XRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
Figure 2018168191
貧溶媒添加による急速晶析(crash crystallization)実験
急速晶析実験には、1種類の溶媒と24種類の異なる貧溶媒とを使用し36種類の異なる晶析条件を用いた(表9を参照されたい)。貧溶媒添加実験を次のように進めた。ストック溶液を調製し、24時間の平衡化後にポナチニブ塩酸塩の濃度が周囲温度で飽和状態でその濃度に達した後、8mlバイアルにろ過しながら入れた。これらの各バイアルに溶媒と貧溶媒の比1:0.25を用いて異なる貧溶媒を加えた。沈殿が生じなかったため、添加の間に60分の待機時間を設けてこの比を1:4に増大させた。依然として沈降が生じなかったため、室温、真空下で溶媒を完全に蒸発させた。蒸発後、この実験では収量が得られないという結果になった。
Figure 2018168191
粉砕実験
液滴粉砕法では、原料の3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩に少量の溶媒を加え、これをステンレス製粉砕ボールが2個入ったステンレス製粉砕ジャーで粉砕する。このようにして、24種類の異なる溶媒(表10を参照されたい)の効果を検討した。典型的には、出発物質30mgを粉砕容器に量り取り、この容器に溶媒10μlを加えた。30Hzで120分間、粉砕実験を実施した。次いで、各湿潤物質をXRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
スラリー実験
化合物ポナチニブ塩酸塩と24種類の溶媒を用いて10℃および30℃で2週間にわたって合計48例のスラリー実験を実施した。表11に実験条件をまとめる。物質を溶媒に懸濁させた懸濁液を制御された温度で攪拌することによって実験を実施した。スラリー化時間の終了時、バイアルを遠心分離して固体と母液を分離した。固体をさらに完全な真空下、室温で乾燥させ、XRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
溶液中への蒸気拡散
この蒸気拡散実験では、ポナチニブ塩酸塩の飽和溶液を室温で2週間、溶媒蒸気に曝露した。一定体積の飽和溶液を8mlバイアルに移して蓋を開けたままにし、貧溶媒2mlを入れ蓋を閉じた40mlバイアル内に置いた(表12を参照されたい)。2週間後、試料の固体形成を確認した。試料を真空下(200mbarまたは10mbar)で乾燥させたが、収量が得られないという結果になった。この結果に基づいて、表に記載されている12種類の異なる晶析条件で新たに実験を実施した(実験ID、VDL25〜VDL36)。
Figure 2018168191
固体上への蒸気拡散
この蒸気拡散実験では、非晶形ポナチニブ塩酸塩を室温で2週間、溶媒蒸気に曝露した。非晶形APIの入った8mlバイアルの蓋を開けたままにし、貧溶媒2mlを入れ蓋を閉じた40mlバイアル内に置いた(表13を参照されたい)。2週間後、XRPDおよびデジタル撮像により固体を解析した。固体が蒸気によって液化していた場合、試料を真空下(200mbarまたは10mbar)で乾燥させた後にXRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
これらの最初の取組みの晶析実験では、得られた乾燥した(および該当する場合は湿潤した)試料のXRPD解析から、非晶質物質および出発物質A形に加えて新たに7種類の多形体の存在が明らかになった。この7種類の形をHCl2、HCl2b、HCl3クラス、HCl5、HCl5b、HCl6クラスおよび混合物HCl1+HCl4と命名する。
これらの最初の取組みの第2段階で得られた様々な形の出現率を図2に示す。これらの第2段階の実験で得られた各形の代表的なXRPDパターンおよびデジタル画像を得た。これらの最初の取組みの第1段階で得られた形の特性評価を表14にまとめる。
Figure 2018168191
これらの第1段階および第2段階の実験で同定され図2に示される多形は主としてXRPD解析により帰属させたものである。この解析の過程で、一部のパターンについては、XRPDパターンの一般的なフィンガープリントはほぼ同じであるが、ピークのシフトまたは別のより小さいピークのようなわずかな差をいくつか示しているのが観察された。このようなタイプのパターンはパターンのクラス(例えば、HCl3クラス)としてまとめた。XRPDに基づいて、クラス内でのXRPDパターンの間の類似性は、これらの固体形が同形水和物/溶媒和物である(結晶充填はほぼ同じであるが、結晶構造内への異なる溶媒および水の組込みによって単位格子パラメータにわずかな差がみられる)ことによって説明されるという結論が導かれた。
同形溶媒和物のクラスを数字(HCl3クラス)または数字と文字の組合せ(例えば、HCl2とHCl2b)により命名した。文字と数字の組合せによって命名された同形溶媒和物/水和物のクラスは、実験でこのクラスにいくつかのサブクラスが観察されたことを示している(例HCl2とHCl2b)。クラス内にサブクラスが4つ以上確認できた場合、同形溶媒和物/水和物のクラスに対応する全XRPDパターンを1つの数字で再編成した(例HCl3クラス)。
ある特定のクラス内または同じ数字が命名されたクラス間の同形溶媒和物は、異なる数字が命名された同形溶媒和物のクラスの場合よりもそのXRPDパターンに高い類似性がみられた。このような異なるクラスの同形水和物/溶媒和物の方がXRPDパターンに大きな差がみられるのは、結晶構造の充填率が有意に異なっていることを反映している。
一部のXRPDパターンには、同定された形と比較してピークが1つまたは2つ新たに観察された。このようなピークは既知の形に明確に帰属させることができなかったため、これらを「プラスピーク」と表した。
実施例2
多形体のさらなる発見
後続の取組みを実施して3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩の単結晶を解析した。このような取組みにより5種類の異なる擬似多形が発見され、この新たな多形のうち2種類がそれまで発見されていないものであった。この新たに発見された2種類の多形を本明細書ではHCl7(本明細書では「J形」とも呼ばれる)およびHCl8(本明細書では「K形」とも呼ばれる)と命名する。これらのその後の実験では、3種類の異なる晶析法:(1)晶析溶媒の穏やかな蒸発;(2)3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド一塩酸塩溶液中への貧溶媒の拡散;および(3)温度を制御した晶析を用いて、解析に適した大きさの単結晶を成長させた。これらのその後の実験では、構造決定のために計54例の晶析実験を実施して、水和形のポナチニブ塩酸塩の単結晶を成長させることを試みた。
温度を制御した晶析に関しては、アルコールと水の混合物を用いて24例の実験を準備した(表15を参照されたい)。各実験では、ポナチニブ塩酸塩10mgを用いた。APIと溶媒の混合物を最高80℃まで急速に加熱し、室温まで穏やかに冷却した(0.1℃/分)。
Figure 2018168191
溶液中への蒸発拡散に関しては、25例の実験を実施した。各実験では、ポナチニブ塩酸塩10mgをTFE/水(10:90)混合物またはMeOH/水(30:70)混合物1mlに溶かした。各溶液を6mlバイアルに入れ、これを貧溶媒3mlの入った20mlバイアルの中に入れた。このバイアルを室温で2〜4週間保管した。詳細を表16に報告する。
Figure 2018168191
溶媒の穏やかな蒸発に関しては、ポナチニブ塩酸塩10mgを8mlバイアルに入れ、溶媒(溶媒の混合物)2mlを加えた。固体が溶解しない場合、バイアルを90℃に加熱した。次いで、混合物を室温まで穏やかに放冷した(表17を参照されたい)。表17の最後に記載されている実験53については、物質を90℃で数時間保持しても完全には溶解しなかった。
Figure 2018168191
本明細書に開示される多形体はそれぞれ、ポナチニブHClを出発物質として用いた特定の晶析/溶媒の方法で作製される。ポナチニブHClの合成については既に記載されているが(例えば、国際公開第2007/075869号および同第2011/053938号)、以下のポナチニブHClの合成を実施例6に記載する。
実施例3
A形ポナチニブ塩酸塩のストレス試験
A形は、様々な溶媒から高い再現性で得られた結晶性の無水固体である。HCl−1形は本質的に化学的に安定であり、これはHCl1形の熱力学的安定性と直接相関がある。HCl−1形は温度、圧力および湿度によるストレスならびに一部の溶媒蒸気への曝露に安定であり、熱力学的に安定である。その安定性を確認する試験が、製剤化された状態(錠剤)および製剤化されていない状態(原薬)ともに多数実施されてきた。このような試験の結果を下の表18に記載する。
Figure 2018168191
HCl−1形は温度、圧力および湿度によるストレスならびに溶媒蒸気への曝露に安定であり、これまでに単離されたもののうち最も熱力学的に安定な固体形である。
結晶性HCl1形の物理的安定性を試験するため、以下のように実験を実施した。
結晶性HCl1形およびHCl1と非晶質物質の50:50の物理的混合物をエタノール蒸気に2週間曝露した(蒸気拡散実験を参照されたい)。結晶性HCl1形に50kN/cmおよび100kN/cm(または4トン/cmおよび8トン/cm)の圧力を10秒間かけることにより錠剤を調製した。A形を周囲条件下で最大17か月間、カプセルで保管した。これらの試料を高解像度XRPDにより解析した。
得られた結果を表19にまとめ、またXRPDの測定結果およびデジタル画像を得た。これらは、加えたストレス条件の範囲内では多形HCl1形が変化しないことを示し、その優れた物理的安定性を裏付けるものであった。
Figure 2018168191
実施例4
特定の多形体の安定性
HCl塩の8種類の固体形の試料を選択してその物理的安定性を試験した。得られたHCl塩の関連する多形それぞれの代表的な試料を2つ選択した。各試料をXRPDにより再び解析した。周囲条件下で8か月間保管した後の各形の物理的安定性。その結果を以下にまとめる:
HCl1、HCl2b、HCl3クラス、HCl5bおよびHCl6クラスは検討した条件下で安定である;
HCl2はHCl2bに転換した(この転換は試料を周囲条件下で1日間保管した後に既に起こったものである);
HCl5はHCl5bに転換した(この転換は完全な真空下で3日間乾燥させた後に既に起こったものである);
混合物HCl1+HCl4は周囲条件下で8か月後にHCl1に転換した。
Figure 2018168191
実施例5
A形の調製
A形ポナチニブHClは、ポナチニブ遊離塩基のエタノール溶液にHCl(1.0当量)のエタノール溶液を添加することによって結晶物質として形成される。原薬ポナチニブHClは、原薬に極めて一貫性があり特徴的な粒子の大きさおよび範囲をもたらす種晶の添加によって、原薬合成の最終段階で結晶化する。HCl−1形ポナチニブHClの最後のキログラムスケールのバッチ10個のエタノール含有量は0.8〜1.2%であった。
HCl−1形にエタノールおよび水の存在を示す証拠はみられなかったことから、A形は無水物である。さらに、HCl−1形の結晶充填にはエタノールをはじめとする有機小分子を収納することができる空隙がない。エタノール含有量および乾燥過程でのポナチニブHClからのエタノールの除去を検討した新たな試験では、エタノールがA形ポナチニブHClの結晶表面と結合しているように思われることがわかった。
HCl−1形は、全バッチの原薬中に残留エタノールが約1重量%のレベルで一貫して存在することを特徴とする。結晶学的研究をはじめとする研究から、残留エタノールが結晶表面に存在し(捕捉されており)結晶単位格子の一部ではないこと、およびHCl−1がエタノール溶媒和物またはチャネル溶媒和物ではないことがわかった。最後の10個のマルチキログラムスケールの原薬バッチのエタノールレベルは0.8〜1.2%であった。
II.ポナチニブ遊離塩基の多形体
ポナチニブ遊離塩基出発物質(AP23534)の調製については本開示の合成の節で図示し述べる(スキーム1を参照されたい)。非晶形遊離塩基の調製については、のちに記載される本開示の「ポナチニブ遊離塩基化合物の実現可能性試験」と題する節で述べる。
XRPD解析では、ポナチニブ遊離塩基出発物質を起源とし、無水物、水和物、溶媒和物および同形水和物/溶媒和物形を含めた計11種類のポナチニブの多形が発見された。この11種類の新規な多形を本明細書ではA形、B形(またはBクラス形)、C形、D形、E形(またはEクラス)、F形、G形、H形(またはHクラス形)、I形、J形およびK形と呼ぶ。
無水物A形(融点200℃前後)がスクリーニングでみられた主要な結晶形であった。B形には4種類の同形溶媒和物、すなわち、1:1ジオキサン溶媒和物、1:1ペルフルオロベンゼン溶媒和物、1:0.4 2−メチルTHF溶媒和物および1:1シクロヘキサノン溶媒和物が含まれる。E形にはクロロホルムおよびジクロロメタン同形溶媒和物が含まれる。D形は溶媒和物形(例えば、DMA)である。F形は一水和物形である。H形には2種類の同形溶媒和物、1:0.6 1−プロパノール溶媒和物および1:0.93 2−メトキシエタノール溶媒和物が含まれる。
第3段階および第4段階の実験で得られた形の帰属は主としてXRPD解析に基づくものであった。この解析から、一部のパターンが、XRPDパターンの一般的なフィンガープリントはほぼ同じであるが、ピークのシフトおよび/または別の小さいピークのようなわずかな差をいくつか示していることを観察することができた。このようなタイプのパターンはパターンのクラス(例えば、Bクラス)としてまとめた。XRPDに基づくと、クラス内でのXRPDパターンの間の類似性は、これらの固体形が同形水和物/溶媒和物である(結晶充填はほぼ同じであるが、結晶構造内への異なる溶媒および水の組込みによって単位格子パラメータにわずかな差がみられる)ことを示している可能性がある。同形溶媒和物のクラスを文字(Bクラス)により命名した。
一部のXRPDパターンには、同定された各種形と比較してピークが1つまたは複数新たに観察された。このようなピークは、必ずしも既知の形に明確に帰属させることができるわけではなかったため、必要に応じて「プラスピーク」(例えば、「F形プラスピーク」)と表した。
ポナチニブの多形スクリーニングは、ミリリットルスケールで実施する晶析方法を6種類含むものであった。これらの方法には:貧溶媒添加による急速晶析;粉砕;スラリー実験;溶液中への蒸気拡散;冷却−蒸発晶析;および固体上への蒸気拡散が含まれていた。これらの方法は、各種のポナチニブ塩酸塩多形の調製について上に述べられている。ポナチニブ遊離塩基多形に適用する場合に方法に何らかの違いがあれば以下で述べる。
A形および2種類のB形溶媒和物の結晶構造を単結晶X線データ解析により決定した。この実験から、A形が結晶構造に採用している配座および2種類のB形溶媒和物中への溶媒含有が明らかになった。
一般に、本明細書に開示されるポナチニブのこれらの各種結晶形には、非晶形ポナチニブに比べて固形剤形の市販製剤に有利な物理的特性(高い安定性など)がある。本明細書に開示される個々のポナチニブ結晶形を識別するのに使用するものと同じ種類の物理化学的データ(例えば、DSC、XRPD、熱分析)を用いれば、結晶性ポナチニブと非晶形ポナチニブとの間の差が容易にわかる。
図48および49は、本明細書に開示されるA形〜J形として同定された多形および擬似多形を含めた11種類のポナチニブの固体形のうち10種類を表にまとめたものである(K形については本明細書でのちに別途述べられ、このまとめの表の一部ではない)。図48および49にはポナチニブ多形の起源、出現率および様々な特徴がまとめて記載されている。
図48に関して、「LC」は、他の各種多形の出発物質として使用される低結晶性ポナチニブ(例えば、C形)を指す。「A」は、最も多く存在するポナチニブ結晶形であり、上に挙げた各種晶析方法による他の形を調製するのに使用することができるA形を指す。図48の表に記載されている脚注は以下の通りである:
(a)晶析実験終了後にXRPDにより分類;
(b)晶析方法:冷却−蒸発(PSM)、貧溶媒添加による急速晶析(AS)、粉砕(GRP)、スラリー(SLP)、固体上への蒸気拡散(VDS)および溶液中への蒸気拡散(VDL)。低結晶性物質の生成には凍結乾燥(FD)を用いた(第3段階の実験を参照されたい)。QSA:定量的溶解度実験(第3段階);
(c)Occ:総出現率には第4段階で実施した192例の実験が含まれ、この実験では61個の試料をさらに湿式分析するか、母液を蒸発させて分析し、合計253の物質を特徴評価した。例えば、「(6、2.4%)」は、その形が253回の測定のうち6回出現し、その百分率が2.4%であることに対応する。253回の測定のうち4回(1.6%)については、一部の生成物の収率または散乱強度が低すぎて固体形が同定できなかったか、その物質が湿っていた;
(d)PO:好ましい配向効果;ならびに
(e)出発物質:凍結乾燥によって得られたA形または低結晶性(LC)物質。
ポナチニブ塩酸塩多形を評価するのに用いた上記方法論に関しては、以下で3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド遊離塩基の多形について述べる。
A形ポナチニブの特徴
無水物A形(出発物質と同じ結晶形)はスクリーニングで発見された主要な結晶形であった。ポナチニブA形の化学構造は単結晶X線結晶構造解析により明確に確立されている。観察されたポナチニブの固体形は無水結晶性固体のA形である。
図50は、単結晶X線回折から得られたA形ポナチニブ遊離塩基化合物(無水物)の分子構造および付番スキームを示している。この構造解析に基づいて、A形が無水物形であることが明らかになった。
無水物A形の結晶学的データ(最大θ=26°まで収集)を表21に列記する。
Figure 2018168191
図51は、A形の実験的XRPDパターンと、決定された結晶構造に基づいて計算されたパターン(FWHM=0.1°とする)との比較を示している。2つのXRPDパターンが極めて類似していることから、A形の結晶構造がバルク物質の代表的なものであることがわかる。
図51に示されるXRPDパターンでは、結晶性A形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;8.8;9.9;11.2;12.3;12.9;13.5;13.8;14.2;14.4;16.0;16.4;17.2;17.6;18.0;18.2;19.3;19.5;19.8;20.6;21.5;21.9;22.2;22.6;23.1;24.0;24.4;25.1;25.6;25.9;26.8;27.4;27.8;29.1;および29.8のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、A形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;12.3;13.8;14.4;16.0;16.4;17.2;17.6;18.2;19.5;19.8;20.6;21.5;22.2;24.0;25.9;26.8;27.4;および27.8のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図51に示されるXRPDパターンでは、A形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:12.3;13.8;14.4;17.6;19.8;20.6;21.5;22.6;および24.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、A形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):12.3;13.8;17.6;19.8;20.6;21.5;22.6;および24.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、A形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、ポナチニブ遊離塩基の結晶性A形は、図51の上のXRPDパターン(得られたパターン)と実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性A形は、図51の下(シミュレートしたパターン)または上(得られたパターン)のいずれかのパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有するXRPDパターンを含む。
図52に関して、示差走査熱量測定(DSC)により無水物A形のポナチニブの融点を決定した。2種類のポナチニブの試料、AP24534ロット1285.206A(1−PrOHで処理)およびAP24524ロット1−PrOH未処理を小さい穴を開けたるつぼ中、乾燥Nガスパージを用いて、加熱速度10℃/分、30℃〜350℃の温度範囲で分析した。A形ポナチニブの融点に相当する199.6℃をピークとする吸熱事象が観察された。
B形(Bクラス)ポナチニブ多形の特徴
ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形の特徴
単結晶X線回折解析を用いて1:1の1,4−ジオキサン溶媒和B形の結晶構造を決定した。図53は、単結晶X線回折から得られた1:1の1,4−ジオキサン溶媒和B形の分子構造および付番スキームを示している。
1:1の1,4−ジオキサン溶媒和B形の結晶学的データ(最大θ=27.4°まで収集)を表22に列記する。
Figure 2018168191
図54は、決定された結晶構造に基づいて計算されたポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形のパターンを示している。
図54に示されるXRPDパターンでは、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;7.2;9.8;10.8;12.1;12.5;12.8;14.5;15.3;15.8;17.0;17.3;17.5;18.5;19.0;19.5;20.0;20.3;21.1;21.6;22.4;22.8;23.5;24.1;24.5;25.3;26.0;26.4;27.0;27.5;28.4;30.8;および32.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;10.8;12.1;14.5;15.3;15.8;17.0;17.3;18.5;19.0;20.0;20.3;21.6;22.4;24.5;および26.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図54に示されるXRPDパターンでは、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;12.1;14.5;15.3;15.8;17.3;18.5;19.0;20.3;21.6;および26.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;14.5;15.3;15.8;19.0;20.3;および26.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形は、図54のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、ポナチニブ/1,4−ジオキサン1:1溶媒和B形は結晶性である。
ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン1:1溶媒和B形の特徴
単結晶X線回折解析を用いて1:1のペルフルオロベンゼン溶媒和B形の結晶構造を決定した。図55は、単結晶X線回折から得られた11:1のペルフルオロベンゼン溶媒和B形の分子構造および付番スキームを示している。1,4−ジオキサン溶媒和物とフルオロベンゼン溶媒和物との間にみられる単位格子および結晶充填の類似性から、これらのB形クラス物質が同形溶媒和物であることが確認された。
1:1のペルフルオロベンゼン溶媒和B形の結晶学的データ(最大θ=27.6°まで収集)を表23に列記する。
Figure 2018168191
図56は、B形1:1ペルフルオロベンゼン溶媒和物の実験的XRPDパターンと、決定された結晶構造に基づいて計算されたパターン(FWHM=0.1℃とする)との比較を示している。2つのXRPDパターンが極めて類似していることから、B形1:1ペルフルオロベンゼンの結晶構造がバルク物質の代表的なものであることがわかる。
図56のXRPDパターンでは、B形1:1のポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:7.0;8.2;9.8;11.0;11.5;12.4;12.8;124.0;14.4;15.3;16.0;16.6;17.2;18.2;19.0;19.5;20.0;20.1;21.1;22.0;22.5;22.7;23.5;24.0;24.5;25.1;26.0;27.0;27.8;28.2;31.8;および35.4のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;11.0;12.4;12.8;14.4;15.3;16.0;16.6;17.2;18.2;19.0;20.1;22.0;22.5;22.7;23.5;24.5;26.0;および28.2のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図56に示されるXRPDパターンでは、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;12.4;15.3;16.0;19.0;20.1;22.0;22.5;22.7;および26.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;12.4;15.3;22.0;および26.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物のXRPDパターンは2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物は、図56の上のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/ペルフルオロベンゼン溶媒和物は、図56の下のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性B形は、図56の上または下のいずれかに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
ポナチニブ/シクロヘキサノン1:1溶媒和B形およびポナチニブ/2−メチルTHF 1:0.4溶媒和B形の特徴
図57は、2種類の他のBクラス形のXRPDパターンと、A形で得られたXRPDパターンとの比較を示している。上のパターンは1:0.4のポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(Bクラス、凍結乾燥、溶媒=2−メチルTHF)、GEN8.1で得られらものである。中央のパターンは1:1のポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(Bクラス、溶媒=シクロヘキサノン)、QSA7.1で得られたものである。下のパターンは無水物A形で得られたものである。
図57に示される上のXRPDパターンでは、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;9.5;10.5;11.2;12.0;12.5;13.5;14.0;15.0;15.5;16.2;16.8;17.0;18.1;18.8;20.1;21.2;22.1;26.0;26.1;27.5;および28.2のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;12.0;14.0;15.0;15.5;16.8;18.1;20.1;および26.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図57に示される上のXRPDパターンでは、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;12.0;14.0;20.1;22.1および26.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;14.0;20.1;および26.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、B形1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物は、図57の上のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性B形は、図57の上のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
図57に示される中央のXRPDパターンでは、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;9.5;11.0;12.0;12.9;14.0;15.2;16.2;16.8;17.0;18.1;18.8;19.5;20.1;21.8;22.3;23.0;24.5;26.1;27.5;28.0;および28.2のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;11.0;12.0;12.9;14.0;15.2;16.8;18.1;18.8;20.1;21.8;22.3;24.5;および26.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図57に示される中央のXRPDパターンでは、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.6;14.0;15.2;16.8;20.1;21.8;22.3;および26.1のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.6;14.0;15.2;16.8;20.1;22.3;および26.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、B形1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物は、図57の中央のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性B形は、図57の中央のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
図58はBクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=110.1℃およびTpeak=198.6℃で吸熱事象がみられる。
図59は、Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)のTGMSデータは、それぞれ50〜160℃および160〜210℃の温度区間内で起こる14.8%(シクロヘキサノンおよび水)および水0.2%(シクロヘキサノン)の質量減少を示した。ポナチニブ/シクロヘキサノンは、TGMSデータから約1.0/0.96であると評価された。
HPLCを用いて、Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、Bクラス1:1ポナチニブ/シクロヘキサノン溶媒和物(QSA7.1)の純度が99.7460%(面積パーセント)であることが明らかになった。
図60はBクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=67.1℃およびTpeak=197.5℃で吸熱事象がみられる。
図61は、Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)のTGMSデータは、それぞれ40〜90℃、90〜165℃および165〜215℃の温度区間内で起こる3.1%(2−メチルTHF)、1.9%および1.0%(2−メチルTHF)の質量減少を示した。ポナチニブ/2−メチルTHFの比は、TGMSデータから約1.0/0.4であると評価された。
HPLCを用いて、Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、Bクラス1:0.4ポナチニブ/2−メチルTHF溶媒和物(GEN8.1)の純度が99.5939%(面積パーセント)であることが明らかになった。
C形ポナチニブ(低結晶性)多形の特徴
低結晶性のC形は、スラリー実験で溶媒のメタノール中の結晶性A形から得ることができる。C形は、約1:0.2のポナチニブ/メタノール比で溶媒和メタノールを含有することがわかった。
図62は低結晶性C形(GEN3.1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=95.9℃で吸熱事象、Tpeak=135.3℃で発熱事象およびTpeak=198.1℃で吸熱事象がみられる。
図63は低結晶性C形(GEN3.1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
C形(GEN3.1)のTGMSデータは、40〜150℃の温度区間内で起こる1.3%の質量減少(メタノール)を示した。ポナチニブ/メタノールの比は、TGMSデータから約1.0/0.2であると評価された。
C形を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図64は、出発物質結晶性A形(下のパターン)と低結晶性C形(上のパターン)を重ね合せたXRPDのXRPDパターンを示している。
図64に示される上のXRPDパターンでは、C形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:3.2;11.1;11.7;12.8;13.3;13.5;14.2;17.1;18.2;20.8;22.3;および26.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、C形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):3.2;12.8;14.2;17.1;18.2;20.8;22.3および26.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図64に示されるXRPDパターンでは、C形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:3.2;12.8;14.2;および18.2のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、C形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、C形は、図64の上のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性C形は、図64に示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、C形(GEN3.1)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、C形ポナチニブの純度が99.5725%(面積パーセント)であることが明らかになった。
D形ポナチニブ多形の特徴
D形は、貧溶媒添加によるN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)中での急速晶析によって結晶性A形から得ることができる。このように生成したD形は、ポナチニブ/DMAの比が約1:1のDMA溶媒和物であることがわかった。
図65はD形(GEN5.1R1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=103.3℃、Tpeak=125.6℃およびTpeak=198.4℃で吸熱事象がみられる。
図66は、低結晶性D形(GEN5.1R1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
D形(GEN5.1R1)のTGMSデータは、40〜140℃の温度区間内で起こる13.8%の質量減少(N,N−ジメチルアセアミド(dimethylaceamide))を示した。ポナチニブ/DMAの比は、TGMSデータから約1.0/0.98であると評価された。
D形を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図67は、(下から上に向かって)出発物質結晶性A形;D形(GEN5.1R1);および3日後の再測定(GEN5.1R4)を重ね合せたXRPDのXRPDパターンを示しており、解析した試料はD形とともにBクラス形を含有する可能性がある。
図67に示される中央のXRPDパターンでは、D形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;8.0;10.8;11.5;12.4;13.5;13.8;14.5;15.6;16.5;17.6;18.5;19.3;19.8;20.1;20.8;21.6;22.1;23.8;26.0;27.1;および29.6のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、D形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;10.8;12.4;13.8;14.5;15.6;16.5;18.5;20.2;20.8;21.6;26.0;および27.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図67に示される中央のXRPDパターンでは、D形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;12.4;14.5;15.6;16.5;18.5;20.2;20.8;21.6;26.0;および27.1のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、D形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;15.6;16.5;18.5;20.2;21.6;26.0;および27.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、D形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、D形ポナチニブは、図67の中央のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性D形は、図67に示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、D形の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、D形ポナチニブの純度が99.5056%(面積パーセント)であることが明らかになった。
E形(Eクラス)ポナチニブ多形の特徴
Eクラス溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムおよびジクロロメタン(DCM)などの溶媒を用いたスラリー実験および溶解度実験で、または固体上への蒸気拡散によって、結晶性A形もしくは低結晶性C形のいずれかから調製される。
熱分析に基づいて、E形の代表的な1つの試料をポナチニブ/テトラヒドロフラン(THF)1:1溶媒和形とした。E形の代表的なもう1つの試料はクロロホルム溶媒和物であると思われるが、この物質はXRPDによる以外にそれ以上特性評価しなかった。
図68はEクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=95.9℃およびTpeak=198.1℃で吸熱事象がみられる。
図69は、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)のTGMSデータは、40〜130℃の温度区間内で起こる11.7%(THF)の質量減少を示した。ポナチニブ/THFの比は、TGMSデータから約1.0/0.98であると評価された。
上記2種類のクラスE多形を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図70は、(下から上に向かって)出発物質結晶性A形;Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1);およびEクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物(SLP3.1)を重ね合せたXRPDのXRPDパターンを示している。
図70に示される上のXRPDパターンでは、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;7.0;10.0;13.0;15.1;16.4;17.2;18.5;20.4;20.5;22.5;24.4;25.6;および27.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;7.0;10.0;15.1;16.4;17.2;18.5;20.4;20.5 24.4;および27.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図70に示される上のXRPDパターンでは、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;15.1;16.4;17.2;18.5;20.4;24.4;および27.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;15.1;16.4;20.4;および20.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物は、図70の上のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性E形は、図70の上のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
図70に示される中央のXRPDパターンでは、Eクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物(SLP3.1)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;7.0;8.7;9.8;12.1;12.5;13.0;15.2;16.4;17.2;18.5;20.0;21.0;23.0;24.4;25.0;および26.2のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物(SLP3.1)は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;7.0;13.0;15.2;16.4;17.2;18.5;20.0;21.0;24.4;25.0;および26.2のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物(SLP3.1)のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、Eクラスポナチニブ/クロロホルム溶媒和物は、図70の中央のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性E形は、図70の中央のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、Eクラスポナチニブ/THF 1:1溶媒和物(GEN7.1)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、ポナチニブのEクラスポナチニブTHF 1:1溶媒和物(GEN7.1)の純度が99.5120%(面積パーセント)であることが明らかになった。
F形ポナチニブ多形の特徴
F形は、極性溶媒の存在下など特定の実験条件下でA形から形成されたものである。TGMSによるF形の分析から、F形が最初の温度範囲25〜140℃で水を3.3%失うことがわかった。これらの結果から、観察された最初の吸熱事象が脱水過程に相当し、またF形が水和形、例えば水との1:1水和物であると推定することができた。
スクリーニング実験から、純粋なF形(6つの試料)およびA形とF形の混合物(6つの試料)の選択した試料を周囲温度で4か月間保管した後、XRPDにより再び解析した。その結果を下の表24に示す。
Figure 2018168191
表24の結果は、多形がほとんどん場合、変化していないことを示している。貧溶媒による急速晶析の実験(2−メトキシエタノール/水)で得られた結果は、試料が湿潤状態で回収された場合、得られたF形物質が4か月後にA形に転換することを示していた。またアセトン/水を用いた貧溶媒添加実験でも、F形が4か月後にA形とF形の混合物に転換した。
図71は、F形(AS16.2)で得られたTGAおよびSDTAのプロットを示している。F形(AS16.2)は、温度範囲130〜140℃において、最初の吸熱とそれに続く再結晶を示した。F形(AS16.2)の融点は約189℃で観察された。
上記の通り、F形(AS16.2)のTGMSデータは、25〜140℃の温度区間内で起こる3.3%の質量減少(水)を示した。F形のポナチニブ/水の比は、TGMSデータから約1.0/1.01であると評価された。
F形(SLP10.1)を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図83には多数のXRDPパターンが積み上げるような形で示されており、この図ではF形(SLP10.1)のパターンは上から5番目のパターンである。この試料(SLP10.1)は、1,2−ジメトキシエタンを溶媒としてを用いたスラリー実験で得られたものである。
図83の上から5番目のパターンとして示されるXRPDパターンでは、F形ポナチニブに以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:7.2;13.2;14.1;15.9;18.1;20.4;21.1;22.0;23.5;24.2;25.5;および26.8のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、F形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):7.2;13.2;14.1;15.9;18.1;20.4;23.5;25.5および26.8のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図83の上から5番目のパターンとして示されるXRPDパターンでは、F形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:7.2;14.1;18.1;20.4;25.5;および26.8のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、F形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、F形ポナチニブは、図83の上から5番目のXRPDパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性F形は、図83の上から5番目のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
H形(Hクラス)ポナチニブ多形の特徴
ポナチニブ/1−プロパノール1:1溶媒和H形の特徴
1−プロパノールを用いた溶解実験から回収された固体がH形の1−プロパノール溶媒和物であることが明らかになった。
Hクラスポナチニブ/1−プロパノール溶媒和物(SAS35)で得られたDSC曲線は、約93℃のTpeakおよび約192℃のTpeakで現れる吸熱事象を示した。
Hクラスポナチニブ/1−プロパノール溶媒和物(SAS35)のTGMSデータは、25〜120℃の温度区間内で起こる9.2%の質量減少(1−プロパノール)を示した。ポナチニブ/1−プロパノールの比は、TGMSデータからHクラスポナチニブ/1−プロパノール溶媒和物(SAS35)で約1.0/0.9であると評価された。また別の試料(SAS30)では1:0.6溶媒和物に対応する質量減少がみられたが、この試料は転換して一部が結晶性無水物A形に戻ったため、バルク試料で観察された全体的な溶媒減少が低下したことがのちに明らかになった。
Hクラス溶媒和物(SAS35)を粉末X線回折(XRPD)により解析したところ、以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.1;6.8;10.0;12.0;13.2;13.5;16.0;16.5;16.0;16.5;18.0;19.0;19.5;20.4;21.0;22.5;25.0;25.5;26.2;27.0;および27.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが出現した。ある特定の実施形態では、H形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):12.0;13.2;13.5;18.0;25.0および25.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、H形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
ポナチニブ/2−メトキシエタノール1:1溶媒和H形の特徴
他のアルコール中でH形の同形溶媒和物からポナチニブ遊離塩基を形成することができる。出発物質のA形から開始し、溶媒として2−メトキシエタノールを用いた液体中への蒸気拡散法によって2−メトキシエタノール溶媒和物が得られた。この形の純度は98.0%であると評価された。TGMSから、これは1:0.93のポナチニブ/2−メトキシエタノール溶媒和物であることが確認され、約96℃で脱溶媒和した。脱溶媒和後、DSCにおいてA形の融点にほぼ相当する約198.8℃の融点が観察された。
DVS実験では脱着時に約3.6%の重量減少がみられたが、45%RHへの収着時に元に戻ることはなかった。DVS実験終了時のXRPD解析では物理的変化は全く示されなかった。部分的な脱溶媒和が起こった可能性があるが、この過程が結晶構造の崩壊を引き起こすことはなかった(脱溶媒和時に約12%の重量減少がTG−MSで観察されることからわかる)。
しかし、H形は、周囲条件下で10か月間保管している間のほかにも、湿度室で1週間、ストレス条件を加速させた(40℃、75%RH)後、A形に転換した。
図72はH形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=96.1℃(脱溶媒和事象)およびTpeak=198.8℃で吸熱事象がみられる。198.8℃での吸熱事象はA形の融解事象であると思われる。
図73は、H形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)の特徴的なTGAおよびSDTAサーモグラムの重ね合せである。
H形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)のDVS実験では、25〜120℃の温度範囲で約11.7%の重量減少(2−メトキシエタノール)がみられた。これらの結果から、観察された最初の吸熱事象は脱溶媒和過程に対応するものであり、またH形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)は1:0.93のポナチニブ/2−メトキシエタノール溶媒和物であった。
図74は、H形ポナチニブの各種試料で得られた一連のXRPDパターンをA形のXRPDとともに示している。図74では:プロット1はH形(VLD2実験、2週間および乾燥後)であり;プロット2はH形(VLD1実験、2週間および乾燥後)であり;プロット3はH形(VLD1実験、DVS後のストック由来の乾燥固体)であり;プロット4はH形(VLD1、ストック由来の乾燥固体)であり;プロット5はH形(VLD19)であり;一番下のプロットはA形のXRPDである。プロット1〜5として示されるXRPDパターンは実質的にほぼ同じである。
図74のプロット5として示されるXRPDパターンでは、H形ポナチニブに以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;6.5;10.1;12.0;13.2;15.0;15.5;16.0;16.5;18.0;19.1;19.6;20.5;21.1;23.0;23.7;および25.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、H形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.2;12.0;13.2;16.0;18.0;19.1;19.6;20.5;21.1;23.0;および25.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図74のプロット5として示されるXRPDパターンでは、H形に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.2;12.0;18.0;および25.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、H形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、H形ポナチニブは、図74の1〜5のパターンのいずれか1つと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性H形は、図74の1〜5のパターンのいずれか1つに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、H形(ストック由来のVLD1乾燥固体)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、H形ポナチニブ(ストック由来のVLD1乾燥固体)の純度が98.0464%(面積パーセント)であることが明らかになった。
図75は、H形ポナチニブ(ストックから乾燥させたVLD1)から得られた特徴的なFT−IRスペクトル(プロット1)とA形から得られたFT−IRスペクトル(プロット2)とを重ね合せたものである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。
図76は、H形ポナチニブ(ストックから乾燥させたVLD1)から得られた特徴的なFT−IRスペクトル(プロット1)とA形で得られたFT−IRスペクトル(プロット2)の波長1750〜600nmの領域を重ね合せたものである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。この重ね合せにはH形に特徴的な複数のピークのほか、A形に特徴的な複数のピークが認められる。これに関して、図76のA形(プロット2)に特徴的ないくつかのピークとして:1605cm−1;1415cm−1;1295cm−1;1250cm−1;1150cm−1;1145cm−1;1110cm−1;1100cm−1;895cm−1;855;および790cm−1が挙げられる。
I形ポナチニブ低結晶性多形の特徴
低結晶性I形はジクロロメタン(DCM)での凍結乾燥技術によって得られたものである。
熱分析に基づくと、I形(GEN9.1)は、約1:0.03のポナチニブ/DCM比に相当するわずかなレベルの溶媒和DCMを含有する。
図77はI形(GEN9.1)で得られたDSC曲線であり、Tpeak=100.1℃で発熱事象がみられ、Tpeak=196.7℃で吸熱事象がみられる。
図78は、I形(GEN9.1)のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
I形(GEN9.1)のTGMSデータは、40〜175℃の温度区間内で起こる0.5%の質量減少(DCM)を示した(わずかに溶媒和されていた)。ポナチニブ/DCMの比は、TGMSデータから約1.0/0.03であると評価された。
I形(GEN9.1)を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図77は、(下から上に向かって)出発物質結晶性A形とI形(GEN9.1)のXRPDの重ね合せを示している。
図79に示される上のXRPDパターンでは、I形(GEN9.1)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.5;8.2;9.8;14.3;15.5;17.5;21.2;23.1;および26.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、I形(GEN9.1)は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):6.5;8.2;9.8;14.3;15.5;17.5;21.2;および26.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図79の上のXRPDパターンでは、I形(GEN9.1)に以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:6.5;8.2;15.5;17.5;21.2;および26.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、I形(GEN9.1)は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):8.2;および15.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、I形(GEN9.1)のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、I形ポナチニブは、図79の上のパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性I形は、図79の上のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、I形(GEN9.1)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、I形(GEN9.1)ポナチニブの純度が99.5802%(面積パーセント)であることが明らかになった。
J形ポナチニブ多形の特徴
J形は固体上への蒸気拡散法によって得られたものである。純度は96.5%であると評価された。TGMS分析(25〜130℃の区間でチオフェンの11.4%の重量減少)から、J形「低結晶性」が83.7℃で脱溶媒和する1:0.82のポナチニブ/チオフェン溶媒和物であることが確認された。脱溶媒和後、約197.3℃で融点事象が起こり、これはA形の融解である思われる。
DVS実験では脱着時に約1.3%の重量減少がみられた。収着相では少なくとも45%相対湿度(RH)まで重量が元に戻らないと思われる(質量取込みは約0.33%)。DVS実験終了時のXRPD解析では物質がA形に転換するのがわかった。
低結晶性J形はほかにも、周囲条件下で10か月間保管した後およびストレス条件下(40℃、75%RH)で1週間経過した後にA形に転換した。
2種類のJ形ポナチニブの試料(スクリーニングS10010A用にVDS2およびVDS10と命名した)を粉末X線回折(XRPD)により解析した。図78はXRPDパターンの重ね合せを示し、(上から下に向かって):プロット6はA形(VDS2、安定性試験の後)のXRPDパターンであり;プロット7はJ形(VDS2)のXRPDパターンであり;プロット8はJ形(スクリーニングS10010AのVDS10)のXRPDパターンであり;プロット9はA形ポナチニブの別のXRPDパターンである。
図80のXRPDプロット7および8では、J形ポナチニブに以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.8;7.0;12.1;15.1;16.8;18.1;18.6;19.1;19.5;20.1;21.1;21.8;22.8;25.0;25.7;および27.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、J形ポナチニブは、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.8;7.0;12.1;15.1;16.8;18.1;19.1;19.5;20.1;21.1;21.8;22.8;25.0;25.7;および27.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。図80の上のXRPDパターンでは、J形ポナチニブに以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.8;7.0;12.1;15.1;16.8;18.6;19.1;19.5;21.8;22.8;25.0;25.7;および27.0のうちの少なくとも1つまたはすべてが示されている。ある特定の実施形態では、J形ポナチニブは、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.8;7.0;12.1;15.1;18.6;19.5;21.8;25.0;25.7;および27.0のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、J形ポナチニブのXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、J形ポナチニブは、図80のプロット7および8のいずれか一方と実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性J形は、図80のプロット7および8のいずれか一方に示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
HPLCを用いて、J形(VDS2)の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCから、J形(VDS2)ポナチニブの純度が96.4509%(面積パーセント)であることが明らかになった。
図81は、A形で得られたFT−IRスペクトル(プロット2)と重ね合せたJ形(VDS2)ポナチニブから得られた特徴的なFT−IRスペクトル(プロット1)を示している。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。
図82は、J形(VDS2)ポナチニブから得られた特徴的なFT−IRスペクトル(プロット1)とA形で得られたFT−IRスペクトル(プロット2)の波長1750〜600nmの領域を重ね合せたものである。縦軸にパーセント透過率(%)、横軸に波数(cm−1)が示されている。
K形ポナチニブ多形の特徴
固体K形は、試料SAS58(MSZW実験)中に1−プロパノール/アセトニトリル(30/70)中25mg/mLでみられたものである。TGMSサーモグラムは、融解前にごくわずかな質量減少(温度区間25〜175℃において0.04%未満)を示した。SDTAシグナルから、K形の融点は184℃である。
K形ポナチニブで得られたDSC曲線は、約184℃のTpeakで現れる吸熱事象を示した。
K形ポナチニブを粉末X線回折(XRPD)により解析したところ、以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:10.0;11.0;13.4;14.6;15.2;16.0;17.0;17.5;18.0;19.6;20.9;22.1;22.8;24.1;24.8;26.5;27.1;28.5;および30.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが現れた。ある特定の実施形態では、K形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):10.0;11.0;13.4;14.6;15.2;16.0;19.6;20.9;22.1;22.8;24.1;24.8;および26.5のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、K形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):10.0;11.0;13.4;14.6;15.2;19.6;22.1;22.8;および24.1のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、K形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。
選択されたポナチニブ多形のXRPDパターンの重ね合せ
図83は、選択されたポナチニブ遊離塩基多形で得られたXRPDの結果の重ね合せである。図示されるXRPDパターンは、下から上に向かって:A形(SM);Bクラス(QSAS7.1);C形、低結晶性(GEN3.1);D形(GEN5.1);Eクラス(SLP3.1);F形(SLP10.1);本明細書でのちに述べるG形(AS19.1);H形(VDL19.1);I形、低結晶性(GEN9.1);およびJ形、低結晶性(VDS10.1)で得られたものである。
G形ポナチニブ多形の特徴
図83には急速晶析/貧溶媒工程によって得られたG形ポナチニブが図示されており、この工程では使用した溶媒は3−メチル−1−ブタノールであり、使用した貧溶媒はシクロヘキサンである。G形ポナチニブを粉末X線回折(XRPD)により解析したところ、以下に挙げる角度2シータ(2θ)のピーク:5.0;6.5;9.5;12.0;12.5;14.0;15.0;16.5;17.2;18.4;20.0;21.0;22.8;23.5;24.6;および29.5のうちの少なくとも1つまたはすべてが現れた。ある特定の実施形態では、G形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.0;6.5;9.5;14.0;15.0;16.5;17.2;18.4;20.0;および22.8のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、G形は、以下に挙げるピーク2シータ(2θ):5.0;6.5;9.5;14.0;17.2;18.4;20.0;および22.8のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、G形のXRPDパターンは、上記ピークから選択される2つのピーク、3つのピーク、4つのピークまたは5つのピークを示す。ある特定の実施形態では、G形ポナチニブは、図83の重ね合せたパターンの上から4番目のパターンと実質的にほぼ同じXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、結晶性G形は、図83の上から4番目のパターンに示される角度2シータで表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを含む。
実施例6
ポナチニブの多形体の発見
ポナチニブの多形体を発見する最初の取組みを2つの段階に分けた。第3段階には、出発物質の特性評価、実現可能性試験および第4段階の溶媒を選択するためのデータを得る溶解度試験を含めた。第4段階には、ミリリットル(ml)スケールの多形スクリーニング実験192例を含めた。これらの最初の取組みから、A形、B形、C形、D形、E形、F形、G形、H形、I形、J形およびK形の11種類のポナチニブ遊離塩基の多形が発見された。
第1段階:出発物質の特性評価
本明細書でのちに述べる合成によって化合物ポナチニブ遊離塩基が得られ、これをアミンサブユニットとメチルエステルサブユニットのアミドカップリング反応によって特性評価した。約20グラムの遊離塩基(F09−05575およびF09−05576と命名された2つのバッチの合計)が淡黄色固体として得られた。この出発物質をXRPD、デジタル撮像、DSC、TGMSおよびHPLCにより特性評価した。
図84は遊離塩基出発物質のXRPDパターンを示し、2つのパターンは上記2つのバッチ(F09−05575:下のパターン;およびF09−05576:上のパターン)を表している。
図85はポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05575のDSC曲線であり、Tpeak=182.6℃およびTpeak=199.0℃(主要)で吸熱事象がみられる。主要な吸熱は融解事象に対応し、脱溶媒和過程を伴うと思われる(このバッチのTGA/SDTAトレースに観察される)。
図86はポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05576のDSC曲線であり、Tpeak=199.6℃で吸熱事象がみられる。吸熱は融解事象に対応し、脱溶媒和過程を伴うと思われる(このバッチのTGA/SDTAトレースに観察される)。
図87は、ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05575のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
図88は、ポナチニブ遊離塩基出発物質のバッチF09−05576のTGAおよびSDTAサーモグラムを示すプロットである。
TGAおよびTGMS分析では、バッチF09−05575に1段階のみの質量減少がみられた(温度区間25〜210℃で0.9%)のに対して、バッチF09−05576には2段階の質量減少が観察された(温度区間25〜120℃で0.3%の質量減少および区間120〜210℃で0.9%の質量減少)。両バッチで観察された質量減少は2−メチルテトラヒドロフランに対応する(MSデータで観察されたm/z比によって確認された)。この溶媒が残量中に存在するのは、ポナチニブ遊離塩基化合物の最後の合成段階に由来するものであると考えられる。
HPLCを用いて、ポナチニブ遊離塩基化合物の純度を明らかにする実験を実施した。HPLCからバッチF09−05575の純度が99.5166%(面積パーセント)、バッチF09−05576の純度が99.6869%(面積パーセント)であることが明らかになった。
各種実施形態では、A形を調製する代替方法により様々な晶析度の試料が得られた。
A形ポナチニブ遊離塩基の代替的な調製方法
調製1
180g量のABL411057(2−Me−THF、1.1当量のアニリン、1.6当量のKOtBu)のM010578試料を未希釈の1−プロパノールから晶析し、次いで、1−PrOH湿潤生成物を未希釈のアセトニトリル中で研和して、純度99.39a%のA形を得た。
調製2
溶媒を2−Me−THFから1−PrOHに交換した後に得られたM010578の1−PrOH溶液から180g量のABL411060(2−Me−THF、26℃ IT、1.1当量のアニリン、1.6当量のKOtBu)の2つの試料を得た。1−PrOH溶液を9:1に分けた。
上記M010578の1−PrOH溶液779.5g(9に当たる部分)を周囲温度で一晩晶析した。ろ過後、湿潤ろ塊をアセトニトリル160g中、40℃で研和し、ろ過し、乾燥させて(50℃、3mbar)A形ポナチニブ遊離塩基211.6g(99.87a%)を得た。
上記M010578の1−PrOH溶液86.6g(1に当たる部分)にアセトニトリル260gを加えた。1時間後、懸濁液をろ過し、ろ塊をACN/1−PrOH(3:1v/v)で洗浄し、乾燥させて遊離塩基25.6g(99.27a%)を得た。1−プロパノールから晶析および単離し、次いでアセトニトリル中で研和することにより、ACN/1−PrOH混合物から沈殿させて単離するよりもHPLC純度が高い生成物が得られた。
第1段階:溶解度試験
20種類の溶媒のセットを用いてポナチニブ遊離塩基出発物質の定量的溶解度試験を実施した。平衡時間24時間でスラリーを調製した後、このスラリーをろ過した。HPLCにより飽和溶液から溶解度を決定した。XRPDにより残留固体を特性評価した。その結果を下の表25にまとめる。
Figure 2018168191
22の異なる溶解度評価のうち19から得られた物質は、A形と命名された出発物質遊離塩基と同じ多形であった。シクロヘキサノンによるスラリーから得られた固体は異なるXRPDを示し、これをBクラス形と命名した。B形は上で述べたように、さらに4種類の溶媒和物として特徴付けられた。
ポナチニブ遊離塩基化合物の実現可能性試験
実現可能性試験を実施して、第4段階のいくつかの晶析技術に用いることが可能な非晶形遊離塩基物質を得ることを試みた。2種類の技術、すなわち粉砕および凍結乾燥を用いた。その結果を下に示す。
粉砕
下の表26にまとめる通り、30Hzの振動数、2種類の異なる持続時間で2種類の粉砕実験を実施した。60分または120分間の破砕後、物質は結晶性(A形)のままであった。
Figure 2018168191
凍結乾燥
ポナチニブ遊離塩基化合物で8種類の凍結乾燥実験を実施した。これらの実験を下の表27にまとめる。
Figure 2018168191
2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)およびTFE/水混合物のような溶媒和物では非晶質物質が得られた。2−メチルテトラヒドロフラン、DMA/水(90:10)およびTHFで実施した実験では、3種類の新規な結晶形が観察され、Bクラス、DおよびEクラスと命名した。スクリーニング第4段階ではほかにもBクラス形およびEクラス形が観察され、これらはその結果から同形構造であることが示唆された。メタノールおよびジクロロメタンで実施した残りの実験では、2種類の低結晶性物質が生成した(それぞれC形低結晶性およびI形低結晶性)。
この新規な結晶形をDSC、TGMSおよびHPLCによりさらに分析して、その特徴を明らかにした。D形およびE形は溶媒和物(それぞれ1:1のAPI/DMAおよび1:1のAPI/THF)であることが確認された。
メタノールから得られた低結晶性物質(C低結晶性)およびジクロロメタンから得られた低結晶性物質(I低結晶性)は残留溶媒の量が少なかった(それぞれ、温度区間40℃〜150℃で1.3%および区間40℃〜175℃で0.5%)。
メタノールを用いて凍結乾燥させる方法は低結晶性物質の生成には最適ではなかったため、第4段階の冷却/蒸発晶析および固体上への蒸気拡散の実験に使用するこの物質を生成するのにジクロロメタンを用いる方法を選択した。
ポナチニブ遊離塩基の実現可能性試験および溶解挙動の結果を踏まえて、第4段階の実験の溶媒を選択した。
溶媒の評価
スクリーニング溶媒を選択し、スクリーニングで用いる濃度範囲を決定するため、遊離塩基出発物質のバッチF09−05575で定量的溶解度試験を実施した。このスクリーニングには20種類の溶媒のセットを用いた。各溶媒では、標準的な1.8mlスクリューキャップバイアルに出発物質40mg、溶媒200μlおよび磁気攪拌子を入れた。次いでバイアルを蓋を閉じ、攪拌しながら25℃で24時間平衡化させた。得られた混合物(スラリー)をろ過し(0.5ミクロン)、分離された母液を検量曲線に従って選択した2種類の希釈物に希釈した。希釈した溶液中のAPIの量をHPLC分析(DAD)により決定した。2,2,2−トリフルオロエタノールで別個に調製した2種類の遊離塩基化合物のストック溶液から検量曲線を得た。
溶解度が決定された後、真空下、周囲温度で各バイアル(スラリー)から残留溶媒を蒸発させた。得られた残渣をすべて粉末X線回折により解析し新規な結晶形について分析した。
実現可能性試験
遊離塩基化合物の実現可能性試験の実験条件を下の表28にまとめる。実験後、HPLC分析を実施して純度を明らかにし、熱分析を実施して各形の熱的挙動を明らかにした。
Figure 2018168191
多形スクリーニングの実験デザインおよびプロトコル
ポナチニブ遊離塩基化合物の多形スクリーニング実験を192種類の異なる条件を用いてミリリットル(ml)スケールで実施し、この実験では以下の6種類の異なる晶析方法を用いた:冷却−蒸発、貧溶媒添加、粉砕、スラリー、溶液中への蒸気拡散および固体上への蒸気拡散。
冷却−蒸発晶析実験
24種類の異なる溶媒および1種類の濃度を用いて、mlスケールの冷却−蒸発実験24例を8mlバイアルで実施した。各バイアル中、ポナチニブ遊離塩基25mgに液体(ジクロロメタン)を加えた。試料を凍結乾燥させて粉末状の低結晶性物質を得た。次いで、スクリーニング溶媒を濃度が約60mg/mlに達するまで加えた(下の表29を参照されたい)。バイアルの蓋を閉じ、下の表30に記載される温度プロファイルにした。混合物を5℃に冷却し、その温度で48時間保持した後、バイアルを真空下に置いた。溶媒を200mbarまたは10mbarで数日間蒸発させ、XRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
Figure 2018168191
貧溶媒添加による急速晶析
急速晶析実験には、23種類の異なる溶媒と18種類の異なる貧溶媒とを使用し48種類の異なる晶析条件を用いた(下の表31を参照されたい)。各溶媒では、ストック溶液を調製し、17時間平衡化後に各場合のポナチニブ遊離塩基の濃度が周囲温度で飽和状態でその濃度に達した後、1組の8mlバイアルにろ過しながら入れた。これらの各バイアルに溶媒と貧溶媒の比1:0.25を用いて異なる貧溶媒を加えた。沈殿が生じなかった場合、添加の間に60分の待機時間を設けてこの比を1:4に増大させた。貧溶媒添加の間の待機時間に沈殿した固体を遠心分離により分離した。固体が得られなかった場合、室温、真空下で溶媒を完全に蒸発させた。固体が得られた場合、これをXRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
粉砕実験
液滴粉砕法では、ポナチニブ遊離塩基原料に少量の溶媒を加え、これをステンレス製粉砕ボールが2個入ったステンレス製粉砕ジャーで粉砕する。このようにして、24種類の異なる溶媒(表32を参照されたい)の効果を検討した。典型的には、出発物質30mgを粉砕し解析した。
Figure 2018168191
スラリー実験
ポナチニブ遊離塩基と24種類の溶媒を用いて10℃および30℃それぞれで2週間にわたって合計48例のスラリー実験を実施した。下の表33に実験条件をまとめる。物質を溶媒に懸濁させた懸濁液を制御された温度で攪拌することによって実験を実施した。スラリー化時間の終了時、バイアルを遠心分離して固体と母液を分離した。固体をさらに完全な真空下、室温で乾燥させ、XRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
溶液中への蒸気拡散
蒸気拡散実験では、ポナチニブ遊離塩基の飽和溶液を室温で2週間、溶媒蒸気に曝露した。一定体積の飽和溶液を8mlバイアルに移して蓋を開けたままにし、貧溶媒2mlを入れ蓋を閉じた40mlバイアル内に置いた(下の表34を参照されたい)。2週間後、試料の固体形成を確認した。固体が存在していた場合、固体から液体を分離した。試料を真空下(200mbarまたは10mbar)で乾燥させた後、これをXRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
固体上への蒸気拡散
この蒸気拡散実験では、非晶形ポナチニブ遊離塩基を室温で2週間、溶媒蒸気に曝露した。APIを8mlバイアルに液体で加えた後、凍結乾燥させた。非晶質物質の入った8mlバイアルの蓋を開けたままにし、貧溶媒2mlを入れ蓋を閉じた40mlバイアル内に置いた(下の表35を参照されたい)。2週間後、XRPDおよびデジタル撮像により固体を解析した。固体が蒸気によって液化していた場合、試料を真空下(200mbarまたは10mbar)で乾燥させた後にXRPDおよびデジタル撮像により解析した。
Figure 2018168191
選択されたポナチニブ多形の物理的安定性およびスケールアップ
この試験の目的は、本明細書で上に述べた試験で同定されたポナチニブ固体形を再現し、さらに特性評価することであった。この試験から、D形(同形溶媒和物)およびF形(一水和物)が周囲条件下で少なくとも10か月間は物理的に安定であることが明らかになった。BクラスおよびEクラスの形ならびにG形、H形、I形(低結晶性)およびJ形(低結晶性)は周囲条件下で10か月間の間にA形に転換した。
H形およびJ形(低結晶性)のスケールアップが成功を収めた。G形のスケールアップを試みた結果、A形が生じた。スケールアッププロジェクトは以下の3つの段階で実施した:
第1段階:それまでの研究で得られた各種形を周囲条件下で8〜10か月間保管した後、XRPDによりその物理的安定性を検討する;
第2段階:選択されたポナチニブ遊離塩基の固体形をさらに特性評価するために50〜120mgまでスケールアップする;および
第3段階:第2段階で得られた物質の溶媒和状態、熱的特性および物理的安定性を明らかにする。
第1段階の結果
D形(同形溶媒和物)およびF形(一水和物)は試験期間中、安定である。B形クラスおよびE形クラスの同形溶媒和物はいずれもA形に転換した。G形、H形、I形(低結晶性)およびJ形(低結晶性)はいずれもA形に転換した。図89は、数種類のポナチニブ固体形の物理的安定性を表にまとめたものである。
第2段階:選択されたポナチニブ遊離塩基形のスケールアップ
スケールアップ試験にG形、H形およびJ形(低結晶性)を選択した。スケールアップの実験条件には本明細書に開示される多形スクリーニングのものから採用した。H形およびJ形(低結晶性)でスケールアップが成功した。図90は、選択された遊離塩基形のスケールアップ実験の結果を表にまとめたものである。
第3段階:スケールアップで得られた形の特性評価
前の段階でスケールアップされXRPDにより形が確認された固体形をDSC、TGMS、FTIR、HPLCおよびDVSによりさらに特性評価した。G形のスケールアップを試みて生じたA形については、それ以上特性評価しなかった。さらに、加速させた時効状態(40℃、75%RHで1週間)に対する物理的安定性を検討した。図91は、120mgスケールでの再現に成功したポナチニブ遊離塩基形の各種特性評価を表にまとめたものである。
医薬組成物およびそれによる生理学的状態の処置
本開示は、治療有効量の本明細書に開示されるポナチニブ塩酸塩の結晶形と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または補形剤とを含む、医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物の単位投与剤形はAPIとしてポナチニブ塩酸塩の単一の結晶形を含む。あるいは、医薬組成物の単位投与剤形は、2種類以上のポナチニブ塩酸塩の結晶形を含む。ある特定の実施形態では、組成物中に存在する単一の結晶形の約50%超、約70%超、約80%超または約90%超が、選択された形のうちの1つのものである。上記実施形態のいずれにおいても、1つまたはすべての結晶形が実質的に純粋である。例えば、ある特定の実施形態では、医薬組成物は実質的に純粋なA形ポナチニブ塩酸塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または補形剤とを含む。あるいは、医薬組成物はA形およびJ形ポナチニブ塩酸塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤または補形剤とを含む。本開示の便益を受けた当業者には、この主題のその他の変形形態が容易に明らかになるであろう。
少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補形剤は当業者によって容易に選択され得るものであり、また所望の投与方法によって決定されるものである。適切な投与方法の具体例としては、経口投与、経鼻投与、非経口投与、局所投与、経皮投与および経直腸投与が挙げられる。本明細書に開示される医薬組成物は、当業者によって適切なものとして認識される任意の医薬形態をとり得る。適切な医薬形態としては、固形剤、半固形剤、液状製剤または凍結乾燥製剤、例えば錠剤、散剤、カプセル剤、坐剤、懸濁剤、リポソームおよびエアゾール剤が挙げられる。
治療を必要とする対象に各種固体形のポナチニブおよび各種固体形のポナチニブ塩酸塩を単独で、または任意に組み合わせて、治療有効量で投与し得る。同様に、本明細書に開示される任意の固体形のポナチニブおよびポナチニブ塩酸塩を単独で、または任意に組み合わせて、のちにヒトをはじめとする動物の様々な疾患状態の治療に用いることができる医薬組成物に製剤化し得る。例えば、任意の単一の、または組み合わせたポナチニブおよび/またはポナチニブ塩酸塩の多形を含む医薬組成物を、必要とする対象に治療有効量の医薬組成物を投与することによって、必要とする対象のCMLまたはPh+ALLの治療に用い得る。
III.ポナチニブおよびポナチニブ塩酸塩の合成
ポナチニブ遊離塩基およびポナチニブHClは、スキーム1に図示される4段階の収束的合成の生成物である。段階1では、出発物質AP24595、AP28141およびAP25570から「メチルエステル」中間体AP25047が合成される。段階2では、出発物質AP29089から「アニリン」中間体AP24592が合成される。段階3は塩基触媒によるAP25047とAP24592のカップリングであり、AP24534とも呼ばれるポナチニブ遊離塩基が生成し、遊離塩基として単離される。段階4は、エタノール中でのポナチニブ一塩酸塩の形成および晶析である。
代表的なポナチニブHClの合成経路を工程Cと呼ぶ。
スキーム1:工程C
Figure 2018168191
段階1:AP25047(「メチルエステル」)中間体の合成
概要および合成スキーム
ポナチニブHCl工程の段階1は、スキーム1に図示されるように、出発物質AP24595、AP25570およびAP28141から3つの反応順序(1a、1bおよび1cと呼ぶ)で、中間体単離を省いて実施する(「短縮する」)、メチルエステル中間体AP25047の合成である。単一のアルキンリンカーによって連結されて並んだ2つの芳香環系は、2つのタンデムなパラジウム/銅触媒による薗頭カップリングおよび塩基性条件下でのin situ脱シリル反応によって構築される。次いで、粗AP25047生成物を、残留無機触媒を除去し副生成物を処理するよう設計された一連の処理段階に供する。これらの操作には、非極性溶媒トルエン(単位操作1.3)からAP25047をHCl塩として晶析すること、水性の後処理およびシリカゲルプラグによるろ過(単位操作1.4)ならびに極性溶媒2−プロパノール(単位操作1.5)からの晶析が含まれる。この2回の晶析は、極性の異なる関連物質の不純物を排除するための直交精製(orthogonal purification)となる。トルエンからのHCl塩の晶析および溶媒洗浄は、特定の工程の不純物を工程内で分析試験することによって管理される。2−プロパノールからのAP25047中間体の最後の晶析は、短縮した反応から生じる他の不純物を確実に排除する設計空間を明確にする多変量DoE試験に供されている。段階1の一連の8つの工程内試験により、反応完了の定量分析的管理、不純物の排除および残留溶媒の効果的な除去がもたらされる。
スキーム2:段階1−AP25047の合成
Figure 2018168191
単位操作1.1:第一の薗頭反応
反応器にAP24595、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(Pd(PPh)、ヨウ化銅(I)(Cul)、トリエチルアミンおよびテトラヒドロフラン(THF)を入れる。混合物を攪拌し窒素で脱気した後、予め脱気したAP28141を入れる。得られた混合物を45〜55℃にして3時間以上保持する。IPC−1(HPLC)により反応の終了を判定する。IPC−1の基準を満たしていれば、混合物を目的とする体積に濃縮し冷却する。
単位操作1.2:脱保護/第二の薗頭反応
反応器にAP25570、また別のパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(Pd(PPh)、ヨウ化銅(I)(Cul)およびテトラヒドロフラン(THF)を入れる。混合物を濃縮し、IPC−2(KF)により水含有量を決定する。IPC−2の基準を満たしていれば、混合物を45〜60℃に温め、ナトリウムメトキシドの25%メタノール溶液を徐々に加える。反応混合物を攪拌し、45〜55℃で30〜60分間保持する。IPC−3(HPLC)により反応の進行を判定する。IPC分析中は反応混合物を上記温度より低い温度で保持してもよい。IPC−3の基準を満たしていれば、単位操作1.3まで工程を継続する。
単位操作1.3:AP25047・HClの単離
冷えた反応混合物を攪拌しながら、塩化水素ガスの添加により反応を停止させる。沈殿が形成されたら、窒素パージにより懸濁液から残留塩化水素を除去する。減圧下でテトラヒドロフラン(THF)を共沸蒸留によりトルエンに置換する。得られた温かいスラリーを攪拌型のろ過乾燥機でろ過し、ろ塊をトルエンで研和し洗浄する。工程の不純物AP29116の含有量をIPC−4(HPLC)により決定する。IPC−4の基準を満たしていれば、湿ったろ塊を窒素流および減圧下、35〜45℃(ジャケット温度)で攪拌して乾燥させる。IPC−5(LOD、重量測定)により乾燥をモニターする。IPC−5の基準を満たしていれば、粗AP25047 HClを取り出してプラスチック容器内のFEP袋に詰める。単離されたAP25047 HClは次の処理まで最大7日間保管することができる。
単位操作1.4:後処理
粗AP25047 HCl固体をジクロロメタン(DCM)とともに容器に入れ、アンモニア水で洗浄する。収率を回復させる目的で水相をDCMにより逆抽出し、合わせた有機相にアンモニア水で2回目の洗浄を行う。次いで、有機層を水相がIPC−6(pH試験紙)によって示されるpH1〜2に達するまで塩酸水溶液で洗浄する。IPC−6の基準を満たしていれば、有機相を水性洗浄がIPC−7(pH試験紙)によって示されるNLT7のpHに達するまで炭酸水素ナトリウム水溶液で処理する。有機相を短時間で濃縮した後、新たなジクロロメタンを加える。有機溶液をシリカゲルパッドに通した後、生成物の回収量を増大させるためにまた新たなジクロロメタンで洗浄する。
単位操作1.5:AP25047の晶析
ジクロロメタン溶液を減圧下で濃縮し、減圧下でジクロロメタンを共沸蒸留により2−プロパノールに置換して、目的の最終体積範囲にする。次いで、得られた懸濁液を冷却し、攪拌してさらに熟成させる。
単位操作1.6:単離/乾燥
沈殿した生成物を窒素流下、攪拌型のろ過乾燥機で単離し、ろ塊を2−プロパノールで洗浄する。湿ったろ塊を窒素流および減圧下、45〜55℃(ジャケット温度)で攪拌して乾燥させる。IPC−8(LOD、重量測定)により乾燥をモニターする。IPC−8の基準を満たしていれば、生成物を採取してポリエチレン袋に詰め、熱融着したマイラー樹脂コートアルミニウムホイル袋に入れ、HDPE輸送用容器に入れる(予想される収率範囲は65〜89%)。
段階2:AP24592(「アニリン」)中間体の合成
概要および合成スキーム
ポナチニブHCl工程の段階2は、下に図示される、ニトロ−芳香族出発物質AP29089の接触水素化によるアニリン中間体AP24592の合成である。この反応は、出発物質および生成物が極めて溶解しやすい溶媒の酢酸エチル中で実施する。この反応の触媒は炭素上のパラジウムであり、水素をガスとして反応混合物中に直接導入する。反応終了時、蒸留により溶媒を酢酸エチルからn−ヘプタンに交換することによって自発的なAP24592の晶析が促進され、純度の高い物質が得られる。この晶析は、工程の不純物のほとんどがn−ヘプタン中で可溶化されたままであるため、精製効果が極めて高いことが示されている。
段階2の3つの工程内管理は、出発物質の消費を確認するための反応混合物のHPLC、n−ヘプタンへの共沸溶媒交換後の酢酸エチルのGC測定および乾燥時の溶媒減少の重量測定である。
スキーム3:段階1〜段階2:AP24592の合成
Figure 2018168191
単位操作2.1:溶解および水素パージング
AP29089、炭素上の10%パラジウムおよび酢酸エチルを反応器に入れ、懸濁液を水素圧力下で攪拌する。
単位操作2.2:水素化
反応器を安定な圧力範囲に達するまで水素で加圧した後、混合物を水素雰囲気下で少なくともさらに4時間攪拌する。反応器を減圧し、試料を採取して反応の終了を評価する(IPC−1)。IPC−1の基準を満たしていれば、単位操作2.3まで工程を継続する。
単位操作2.3:濃縮/晶析
反応混合物をフィルターカートリッジに通して触媒を除去し、新たな酢酸エチルでカートリッジを洗浄する。ろ液と洗浄溶液を合わせたものを真空下で濃縮して、目的とする体積の酢酸エチルを除去する。n−ヘプタンを加え、真空下で目標体積になるまで蒸留を継続する。IPC−2(GC)により酢酸エチル含有量を測定する。lPC−2の基準を満たしていれば、単位操作2.4まで工程を継続する。
単位操作2.4:単離/乾燥
固体生成物を真空下、目標温度範囲で乾燥させる。IPC−3(LOD、重量測定)により乾燥の終了を判定する。AP24592が80〜97%の範囲(AP29089投入量に基づく)で白色〜黄色の固体として得られる。
段階3:ポナチニブ遊離塩基の合成
概要および合成スキーム
段階3は、スキーム4に示される、AP25047とAP24592の塩基触媒反応によるポナチニブ遊離塩基の合成である。この反応は、強塩基のカリウムtert−ブトキシドの存在下、AP25047のメチルエステルから対応する非反応性カルボン酸への望ましくない加水分解を最小限に抑えるため実質的に無水条件下で実施する。この副生成物が存在すると、収率が低下するだけでなく、反応の後処理における下流処理が複雑なものになる。一連の共沸蒸留による反応混合物の乾燥では、工程内で水を検査して管理することにより、確実な反応および出発物質の量的な消費が確保される。工程の不純物が確実に排除される反応条件および晶析のパラメータについては、DoE試験を踏まえれば十分に理解される。
スキーム4:段階3−AP24534遊離塩基の合成
Figure 2018168191
単位操作3.1:反応混合物の乾燥
AP25047、AP24592および2−メチルテトラヒドロフラン(2−Me−THF)を反応器に入れる。混合物を減圧下で目標体積まで濃縮する。新たに2−メチルテトラヒドロフランを加え、再び蒸留を実施する。もう一度2−メチルテトラヒドロフランを加え、蒸留サイクルを実施した後、IPC−1(KF)で混合物の水含有量を測定する。IPC−1の基準を満たしていれば、単位操作3.2まで工程を継続する。
単位操作3.2:反応
懸濁液を13〜23℃の範囲の目標温度で攪拌して維持しながらカリウムtertブトキシド(KOtBu)を加える。3時間以上経過してから、HPLC(IPC−2)により反応の進行を判定する。IPCの基準を満たしていれば、単位操作3.3まで工程を継続する。
単位操作3.3:反応停止および抽出
反応混合物を2−メチルテトラヒドロフラン(2−Me−THF)で希釈し、塩化ナトリウム水溶液の添加により反応を停止させる。有機層を分離し、水層を2−メチルテトラヒドロフランで2回抽出する。合わせた有機層を塩化ナトリウム水溶液および水で順次洗浄する。次いで、有機層を15〜30℃で熟成させる。
単位操作3.4:濃縮/溶媒交換
熟成後(単位操作3.3を参照されたい)、混合物をカートリッジフィルターに通し、真空下で目標体積になるまで濃縮する。1−プロパノールを加え高温で攪拌して溶液とし、真空下で目標体積になるまで蒸留した後、20〜30℃の温度範囲になるまで徐々に冷却する。
単位操作3.5:晶析
生成物の1−プロパノール溶液を固体の存在が目視で観察されるまで20〜30℃の温度で攪拌しながら熟成させる。攪拌しながら懸濁液にアセトニトリルを加え、得られた懸濁液を次の単位操作で単離する前に20〜30℃で60〜120分間さらに熟成させる。
単位操作3.6:単離/乾燥
単位操作3.5で生成したスラリーを真空下、フィルター/乾燥機中で単離する。固体を1−プロパノールとアセトニトリルの混合物で2回洗浄する。次いで固体を真空下で乾燥させ、IPC−3(LOD、重量測定)によりモニターする。IPCの基準を満たしていれば、生成物をオフホワイト〜黄色の固体として取り出し、二重のポリエチレン袋に詰め周囲温度で保管する。
段階4:ポナチニブHClの合成
概要および合成スキーム
ポナチニブHCl工程の段階4は、エタノール中での等モル量のポナチニブ遊離塩基と塩酸との化合による一塩酸塩の形成および種晶添加による晶析の誘導である。この工程のパラメータについては、DoE試験で所望の固体形の生成およびこの工程の粒度分布に対する影響が検討されている。段階4の合成スキームをスキーム5に示す。
スキーム5:段階4−ポナチニブHClの合成
Figure 2018168191
単位操作4.1:溶解
AP24534遊離塩基および無水エタノール(EtOH)を反応器に入れ、60〜75℃で攪拌して溶液にする。目視観察により溶解を確認する。
単位操作4.2:清澄化
溶液をフィルターに通した後、60〜78℃のエタノールで洗浄する。
単位操作4.3:酸性化/播種
生成物の溶液を真空下で目標体積になるまで濃縮する。攪拌しながら、反応器に塩化水素の1Nエタノール溶液の最初の部分(約25%)を加える。溶液を60〜70℃の温度にて適格なAP24534HClの種晶で処理して晶析を開始する。単位操作4.4まで工程を継続する。
単位操作4.4:晶析
目視観察により反応器内に固体の存在が確認されれば、攪拌している混合物に塩化水素の1Nエタノール溶液の残り(約75%)を徐々に加える。混合物を少なくとも10分間熟成させ、IPC−1を実施して溶液のpHを測定する。IPCの基準を満たしていれば、混合物を5〜15℃の温度まで冷却し、攪拌しながら熟成させる。
単位操作4.5:単離/乾燥
ろ過により固体生成物を単離し、5〜15℃の温度のエタノールで洗浄する。周囲温度で穏やかな攪拌および窒素流により固体から過剰なエタノールを除去する。次いで、固体を真空下、60〜70℃で乾燥させる。IPC−2(LOD、重量測定)により乾燥をモニターする。IPC−2の基準を満たしていれば、ポナチニブHClをオフホワイト〜黄色の固体として取り出して二重のポリエチレン袋に詰め、20〜30℃にてプラスチックドラム内で保管する。
以上の記述は本来例示および説明を目的とし、本開示の一般的な発明の概念およびその好ましい実施形態を説明するためのものであることを理解するべきである。本開示の便益を受けた当業者であれば、ルーチンの実験により、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく明白な修正形態および変形形態を認識し得る。したがって、本開示は上の記述に限定されるのではなく、むしろ以下の特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。

Claims (1)

  1. 結晶性3−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド塩酸塩。
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