JP2018167961A - 吊り荷の振れ止め方法及びクレーン - Google Patents
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Abstract
Description
ロープでコンテナを吊り上げた時、振れがなく静止した状態から、コンテナを吊ったトロリが移動する時、移動に伴って発生するコンテナの振れを、トロリの移動速度等を制御することにより抑制することは可能であるが、ロープでコンテナを吊り上げた移動前のコンテナに振れがあると、この振れにコンテナが移動した際に発生するコンテナの振れが重なり、振れが増大し、振れの抑制が困難な場合がある。
このため、コンテナをロープで吊り上げた時、振れの大きさを検知し、振れを抑制するか否かを判定することは重要である。
トロリがロープで吊り荷を吊り上げたときに発生する吊り荷の振れによる前記吊り荷の位置の変動中、前記吊り荷の振れ角度あるいは前記吊り荷の振れ変位の計測情報と前記ロープ長の情報を取得するステップと、
前記計測情報と前記ロープ長の情報の取得後、変動中の前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に、前記吊り荷の前記計測情報と前記ロープ長の情報を用いて前記最大振れ角度を予測するステップと、
前記最大振れ角度の予測結果に応じて、前記吊り荷の振れ止めの要否を判定し、前記判定が振れ止め要の場合、前記振れを止める振れ止め制御を行うステップと、
を含む。
トロリ、吊り荷を吊り上げる前記トロリから延びるロープ、及び前記トロリの移送経路を形成するレール、を備えるクレーン本体部と、
前記吊り荷の吊り上げと前記トロリの移送を制御する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、
変動中の前記吊り荷の振れ角度あるいは前記吊り荷の振れ変位の計測情報と前記ロープ長の情報を取得する情報取得部と、
前記計測情報と前記ロープ長の情報の取得後、前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に、前記計測情報と前記ロープ長の情報を用いて前記最大振れ角度を予測する予測部と、
前記最大振れ角度の予測結果に応じて、前記吊り荷の振れ止めの要否を判定する判定部と、
前記判定が振れ止め要の場合、前記振れを止める振れ止め制御を行う振れ止め制御部と、
を含む。
本実施形態では、コンテナを吊り荷とするが、吊り荷はコンテナに限定されない。吊り荷をロープで吊り上げ、吊り上げた吊り荷を、トロリを用いて移動するものであれば、吊り荷及びクレーンはコンテナ及びコンテナクレーンに限定されない。
クレーン本体部12は、トロリ7、コンテナ3を吊り上げるトロリ7に接続されたロープ8、及びトロリ7の移送経路を形成するレール11、を備える。ロープ8はトロリ7から延びている。
トロリ7は、水平梁9に設けられたレール11上を移動する。トロリ7には、コンテナ3を吊るロープ8とコンテナのサイズに合わせて把持部を伸縮させるスプレッダ(図示されない)と、トロリ7の移動機構と、が設けられている。トロリ7は、コンテナ3を吊り上げて、コンテナ船1とコンテナヤードの間を移動する。このとき、トロリ7の目標位置xTrefに対する位置制御を含んだコンテナ3の振れ止めフィードバック制御が行なわれる。コンテナ3を吊り上げた際あるいはコンテナ3を移送する際、コンテナ3とトロリ7の位置ずれ等により、コンテナ3は、コンテナ3を吊っているロープ8のロープ長に応じた振り子振動、すなわち、振れが発生する場合がある。本実施形態では、この振れが許容される範囲にあるか否かを判定し、判定の結果、振れが許容範囲にない場合、振れ止めを行なう。
振れ角度φは、トロリ7のロープ8が鉛直方向に垂れた鉛直下方向の直線を基準とした角度である。コンテナ3の振れ変位xは、トロリ7からロープ8が延びる位置を基準とした相対的な位置(コンテナ3の移送方向における位置)であり、ロープ8のロープ長lとすると、x=l・φとして表される。トロリ7の位置xTは、所定の基準位置からのレール11に沿った方向の距離を表す。ロープ長lは、コンテナ3を吊り上げるため時間的に変化する。振れ角度φも時間的に変化する。コンテナ3の振れ速度はφ’として表されている。トロリ7は、コンテナ3の振れ止め制御を行うとき、微小に位置xTが変動する、あるいはトロリ7の速度が変動することによりコンテナ3の振れ止め抑制が行われる。
駆動装置40は、ロープ8の巻上げ及びコンテナ3の移送を行う装置であり、これらの動作は、制御装置20から送られる制御信号に基づいて行われる。
制御装置20は、コンピュータで構成されている。制御装置20は、情報取得部22、予測部24、判定部26、及び振れ止め制御部28を有する。情報取得部22、予測部24、判定部26、及び振れ止め制御部28の各部分は、コンピュータのメモリに記録したプログラムをコンピュータが呼び出し起動することにより形成されるソフトウェアモジュールである。このため、各部分の機能は、実質的には、プログラムに従がってコンピュータの中央演算ユニット(CPU)が司る。
振れ角度φは、x/lを算出することにより得られ、振れ角速度φ’は、振れ角度φの時間変化Δφ(一定のサンプリング時間間隔Δt毎の振れ角度φの隣り合う振れ角度φ1、φ2の差分)を振れ角度φのサンプリング時間間隔Δtで除算することにより得られる。
上記算出式は、コンテナ3の振れの全エネルギは、コンテナ3の運動エネルギと重力に対する位置エネルギの合計量が一定であることから求めることができる。
コンテナ3の振れ止めが必要である場合、トロリ7の現在の位置に静止するような目標位置xTrefが設定され、この設定した目標位置xTrefに基づいてロープ8による吊り上げによって生じたコンテナ3の振れを抑制する振れ止めの制御信号を生成する。
情報取得部22、予測部24、及び判定部26は、振れ止めが不要になるまで、上述の各処理を継続して行う。
ロープ8によるコンテナ3の吊り上げ時に生じる振れ止めの制御及びコンテナ3の移送中の振れ止めの制御は、後述する同一の振れ止めの制御方法で行われる。
このように、制御装置20は、コンテナ3の最大振れ角度φmaxを迅速に予測することができる。したがって、この予測結果に応じて振れを抑制する制御を短時間に開始し、振れを短時間に抑えることができる。
本実施形態では、コンテナ3の振れ変位xを計測して、制御装置20は振れ変位xを取得するが、x=l・φの関係にあることから、振れ変位xの代わりに振れ角度φを取得してもよい。
(1)トロリ7がロープ8でコンテナ3を吊り上げたときに発生するコンテナ3の振れによるコンテナ3の位置の変動中、情報取得部22が、コンテナ3の振れ角度φあるいは振れ変位xの計測情報とロープ長lの情報を取得し、
(2)上記計測情報とロープ長lの情報の取得後、変動中のコンテナ3が最初にコンテナ3の最大振れ角度φmaxの位置に到達するタイミングの前に、予測部24が、計測情報とロープ長lの情報を用いて最大振れ角度φmaxを予測し、
(3)判定部26が、最大振れ角度φmaxの予測結果に応じて、コンテナ3の振れ止めの要否を判定し、判定が振れ止め要の場合、振れ止め制御部28は、コンテナ3の振れを止める振れ止め制御を行う。
このため、本実施形態では、振れ変位xの計測情報とロープ長lの情報の取得から振れ止めの制御の開始までの時間は、コンテナ3の振れの周期の100分の1以下であることが好ましい。この時間は、例えば100m秒以下であることが好ましく、50m秒以下であることがより好ましく、40m秒以下であることがよりいっそう好ましい。例えば、20m秒である。また、この時間は、例えば、振れ変位xの計測等のサンプリングタイムと同じ時間長さである。また、振れ止めの制御は、コンテナ3の振れ角度φが最大振れ角度φmaxになるタイミングの前に開始されることが好ましい。
本実施形態で用いるコンテナ3の振れ止めの制御方法を以下説明する。
図4は、制御装置20の振れ止め制御部28の構成の一例を説明する図である。図5は、本実施形態の振れ止め制御部28の制御の一例を説明する図である。
なお、トロリ7の速度vTは、トロリ7に設けられたセンサ7bから制御装置20に継続して送られ、コンテナ3の振れ変位x、トロリ7に設けられた撮像装置7aから制御装置20に継続して送られる。制御装置20は、トロリ7が基準位置に位置する時刻からトロリ7の速度vTを積分(累積)することにより、トロリ7の位置xTを求め取得する。制御装置20は、コンテナ3の振れ変位xの時間変化を振れ変位xのサンプリング時間間隔Δtで除算することによりコンテナ3の振れ速度vを求め取得する。
速度指令値生成部28bは、位置制御補償部28aで算出した目標速度vTrefに、f1・(vTref−vT)を加算し、目標速度vTrefからf2・x及びf3・vを減算することにより、トロリ7の速度指令値uTを算出する。すなわち、下記式(1)に従がって、速度指令値生成部28bは、速度指令値uTを算出する。
なお、vTrefは、vTref= H(s)・(xTref−xT) である。
dX/dt = A・X+buT ・・・ 式(2)
ここで、dX/dtは、状態ベクトルXの時間微分を表す。Aは、クレーン本体12のシステムモデルを表す行列であり、bは、このシステムモデルに入力される速度指令値uTに係る係数を表すベクトルである。したがって、制御シミュレーションモデルは、上記式(1)及び(2)を連立させたモデルである。
連立させた制御シミュレーションモデルは下記式(3)で表される。
dX/dt = A’・X+b’vTref ・・・ 式(3)
ここで、A’は、フィードバック制御を含んだ制御シミュレーションモデルの行列であり、b’は、この制御シミュレーションに入力されるトロリ7の目標速度vTrefに係る係数を表すベクトルである。式(1)中のf1、f2、及びf3は、行列A’に含まれる。この制御シミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行うことにより、コンテナ3の振れのオーバシュートが小さく、迅速に減衰するように定めた制御パラメータに基づいて定めることができる。制御パラメータは、例えば、制御シミュレーションモデルにおける極の固有角振動数を定めるパラメータと、この固有角振動数における減衰の程度を表すパラメータ(減衰比)を含むことができる。この制御パラメータを用いて、f1、f2、及びf3を表すことができる。したがって、f1、f2、及びf3は、制御パラメータの値を設定することにより、コンテナ3の振れのオーバシュートが小さく、迅速に減衰するようなf1、f2、及びf3の値を求めることができる。
また、目標位置xTrefに0より大きい値を入力すれば、トロリ7は移送を行い、コンテナ3の移送中、コンテナ3に振れが生じないように、トロリ7の移送速度を制御することができる。
また、本実施形態のコンテナ3の振れ止めの制御は、トロリ7の速度vT、コンテナ3のトロリ7に対する振れ変位x、トロリ7の位置xT、及びコンテナ3のトロリ7に対する振れ速度vに応じて、トロリ7を駆動させる駆動装置40に与えるトロリ7の速度指令値uTを変更することで行われることが、正確な振れの抑制を行う点で好ましい。
その際、トロリ7の位置xTとトロリ7の目標位置xTrefの指令情報の差分に基づいて、トロリ7の速度指令値uTは生成されることが、トロリ7の位置を正確に制御する点で好ましい。
図7では、波形Aは振れ角度φを示し、波形Bは最大振れ角度φmaxの予測結果を示す。波形Aでは、時刻T1において、コンテナ3の振れが発生している。この後、時刻T2に到達する前に、予測部24で最大振れ角度φmaxを予測し、時刻T2で振れ止めの制御が開始されている。しかし、時刻T2におけるコンテナ3は振れ角度φが増大する状態にあるので、即座に振れは減衰せず、時刻T3で最大振れ角度となっている。そして、時刻T4で、振れが略0になっている。波形Bは、予測部24で予測される最大振れ角度φmaxの時系列波形である。このように、本実施形態では、予測部24では、コンテナ3の振れ角度φが最大振れ角度φmaxになる前に、最大振れ角度φmaxを迅速に予測することができ、この予測結果に応じてコンテナ3の振れを短時間に抑制することができる。
2 岸壁
3 コンテナ
4 コンテナクレーン
5 前脚
6 後脚
7 トロリ
9 水平梁
9a ガーダ
9b ブーム
10 バックステー
11 レール
20 制御装置
22 情報取得部
24 予測部
26 判定部
28 振れ止め制御部
28a 位置制御補償部
28b 速度指令値生成部
40 駆動装置
Claims (11)
- クレーンにおける吊り荷の振れ止め方法であって、
トロリがロープで吊り荷を吊り上げたときに発生する吊り荷の振れによる前記吊り荷の位置の変動中、前記吊り荷の振れ角度あるいは前記吊り荷の振れ変位の計測情報と前記ロープ長の情報を取得するステップと、
前記計測情報と前記ロープ長の情報の取得後、変動中の前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に、前記吊り荷の前記計測情報と前記ロープ長の情報を用いて前記最大振れ角度を予測するステップと、
前記最大振れ角度の予測結果に応じて、前記吊り荷の振れ止めの要否を判定し、前記判定が振れ止め要の場合、前記振れを止める振れ止め制御を行うステップと、
を含むことを特徴とする吊り荷の振れ止め方法。 - 前記振れ角度をφ、前記吊り荷の振れ角速度をφ’、前記ロープのロープ長をl、及び、重力加速度をg、としたとき、前記最大振れ角度は、cos−1{cosφ−(l・φ’)2/(2g・l)}として求められる、請求項1に記載の吊り荷の振れ止め方法。
- 前記計測情報と前記ロープ長の情報の取得から前記振れ止め制御の開始までの時間は、
前記吊り荷の振れの周期の100分の1以下である、請求項1または2に記載の吊り荷の振れ止め方法。 - 前記振れ止め制御は、前記タイミングの前に開始される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吊り荷の振れ止め方法。
- 前記振れ止め制御は、前記吊り荷の振れが小さくなるように、前記トロリの位置を変動させる制御により行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吊り荷の振れ止め方法。
- 前記振れ止め制御は、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を変更することで行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吊り荷の振れ止め方法。
- 前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記トロリの速度の指令情報は生成される、請求項6に記載の吊り荷の振れ止め方法。
- トロリ、吊り荷を吊り上げる前記トロリから延びるロープ、及び前記トロリの移送経路を形成するレール、を備えるクレーン本体部と、
前記吊り荷の吊り上げと前記トロリの移送を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
変動中の前記吊り荷の振れ角度あるいは前記吊り荷の振れ変位の計測情報と前記ロープ長の情報を取得する情報取得部と、
前記計測情報と前記ロープ長の情報の取得後、前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に、前記計測情報と前記ロープ長の情報を用いて前記最大振れ角度を予測する予測部と、
前記最大振れ角度の予測結果に応じて、前記吊り荷の振れ止めの要否を判定する判定部と、
前記判定が振れ止め要の場合、前記振れを止める振れ止め制御を行う振れ止め制御部と、
を含むことを特徴とするクレーン。 - 前記振れ止め制御部は、前記吊り荷の振れが小さくなるように、前記トロリの位置を変動させる制御を行う、請求項8に記載のクレーン。
- 前記振れ止め制御部は、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を変更する、請求項8または9に記載のクレーン。
- 前記振れ止め制御部は、前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記速度の指令情報を生成する、請求項10に記載のクレーン。
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