JP2018167666A - 車両用フード - Google Patents

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Abstract

【課題】インナパネルの構造によってフードの前側部分の張り剛性が向上された車両用フードを提供する。【解決手段】車両用フード1は、アウタパネル10と、インナパネル20と、を備える。インナパネル20は、外側接合面211と、複数の縦ビード部222と、複数の縦接合面212Aと、横接合面212Bと、を備える。縦ビード部222は下方に向かって窪んだ形状を有し、隣接する縦ビード部222間に縦接合面212Aが配置されている。横接合面212Bは、複数の縦接合面212Aの前端部を接続する。アウタパネル10と横接合面212Bとを接合する複数の第2接合部M2の左右方向の間隔は、アウタパネル10と複数の縦接合面212Aとを接合する複数の第1接合部M1の左右方向の間隔よりも小さく設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両を構成するとともに当該車両の前後方向における前側に配置される車両用フードに関するものである。
従来、車両を構成するとともに当該車両の前後方向における前側に配置される車両用フードが知られている。特許文献1には、アウタパネルと、当該アウタパネルの下方に配置されたインナパネルと、を備えた車両用フードが記載されている。このインナパネルは、アウタパネルに接合される接合面と、当該接合面の端縁から下方に延出した断面凹形状の複数のビードと、を有している。各ビードは、空間を介してアウタパネルから離間するように接合面よりも下方に配置された底部と、底部と接合面とを繋ぐ縦壁と、を含んでいる。
特許文献1の車両用フードでは、車両幅方向に互いに間隔をおいて配置され、それぞれ前後方向に沿って延びる複数の縦ビードが配置されている。このような複数の縦ビードによって、歩行者がアウタパネルに衝突した際、衝突初期段階でのエネルギー吸収量が増大するとともに、衝突後期の衝突加速度が小さくなる。これにより、衝突時の歩行者保護性能の向上が図られている。
特開2007−245853号公報
特許文献1に記載された技術では、隣接する縦ビード同士の間に前後方向に延びるように、複数の接合面が形成される。このため、インナパネルとアウタパネルとを接合する接合部の車両幅方向の間隔が縦ビードの間隔によって決定される。一般に、車両用フードと車両本体とをロックするためのストライカが配置される車両用フードの前端側では、高い張り剛性が求められる。上記のように、複数の縦ビードが設けられる構成の場合、車両幅方向の接合部同士の間隔が大きいために、車両用フードの張り剛性が不足するという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インナパネルの構造によってフードの前側部分の張り剛性が向上された車両用フードを提供することである。
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る車両用フードは、車両を構成するとともに当該車両の前後方向における前側に配置される車両用フードであって、アウタパネルと、前記アウタパネルの下方に配置され、前記アウタパネルに接合されるインナパネルと、を備え、前記インナパネルは、前記インナパネルの外周部を画定するとともに、前記アウタパネルに接合される環状の外側接合面と、前記環状の外側接合面の内側でそれぞれ前後方向に沿って延びるとともに、前後方向と交差する車両幅方向に互いに間隔をおいて配置される複数の縦ビード部であって、前記アウタパネルから離間するように当該アウタパネルの反対側に凹んだ複数の縦ビード部と、前記複数の縦ビード部に隣接してそれぞれ前後方向に沿って延びるように配置され、隣接する前記複数の縦ビード部同士を接続するとともに、前後方向に間隔をおいて配置された複数の第1接合部においてそれぞれ前記アウタパネルに接合される複数の縦接合面と、前記複数の縦接合面の前側において前記車両幅方向に沿って延びるとともに、前記車両幅方向に間隔をおいて配置された複数の第2接合部において前記アウタパネルに接合される横接合面と、を有し、前記複数の縦接合面は、前記インナパネルの前記車両幅方向の中央部に配置される二以上の中央縦接合面を含み、前記横接合面は、前記複数の縦接合面のうち少なくとも前記二以上の中央縦接合面の前端部を前記車両幅方向に沿って互いに接続し、前記複数の第2接合部の間隔は、前記車両幅方向において隣接する前記複数の第1接合部の間隔よりも小さく設定されている。
本構成によれば、インナパネルの前側部分は、密に形成された複数の第2接合部においてアウタパネルに接合されるため、車両用フードのフード剛性、張り剛性および耐デント性が高く維持される。また、インナパネルの構造形状によって、車両用フードの剛性を高めることが可能であるため、公知のデントリインフォースがアウタパネルとインナパネルとの間の広い領域に配置される他の形態と比較して、車両用フードの低コスト化、低重量化が実現される。
上記の構成において、前記横接合面は、全ての前記複数の縦接合面の前端部を互いに接続するように配置されていることが望ましい。
本構成によれば、車両幅方向に沿って横接合面が連続的に配置されているため、車両用フードの曲げ剛性およびねじり剛性が向上する。
上記の構成において、前記複数の第2接合部は、前記複数の第1接合部の前方にそれぞれ配置される複数の前方接合部と、前記車両幅方向において隣接する前記複数の前方接合部同士の間にそれぞれ配置される複数の中間接合部と、を含むことが望ましい。
本構成によれば、第1接合部の前方の前方接合部、および前方接合部間の中間接合部によって、アウタパネルとインナパネルとの接合部を密に配置することができる。このため、車両用フードの張り剛性を高めることができる。
上記の構成において、前記横接合面よりも後方の前記インナパネルの前記車両幅方向の両端側において、前記車両幅方向に沿って延びるようにそれぞれ配置される、少なくとも一対のクラッシュビードを更に有することが望ましい。
本構成によれば、車両用フードの前突性能を高めることができる。また、横接合面がクラッシュビードの機能を補うことができる。
上記の構成において、前記インナパネルのうち前記横接合面よりも前側の部分に配置され、前記車両を構成する車両本体と係合することが可能なストライカを更に有することが望ましい。
車両用フードのうち前側部分には、ストライカを用いた車両用フードの開閉動作に対して、高い耐デント性が求められる。上記の構成によれば、ストライカと複数の縦接合面との間に横接合面が備えられているため、車両用フードの前側部分の耐デント性が高く確保される。
以上のように、本発明によれば、インナパネルの構造によってフードの前側部分の張り剛性が向上された車両用フードを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用フードのインナパネルの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用フードのインナパネルの模式的な平面図である。 図1に示すインナパネルのA−A線での断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用フードの分解斜視図である。 本発明の変形実施形態に係る車両用フードのインナパネルの模式的な平面図である。
以下に、本発明の一実施形態の車両用フードについて、図1乃至図4を参照しながら概説する。図1は、本実施形態に係る車両用フード1のインナパネル20の斜視図である。図2は、本実施形態に係る車両用フード1のインナパネル20の模式的な平面図である。図3は、図1に示すインナパネル20のA−A線での断面図である。図4は、本実施形態に係る車両用フード1の分解斜視図である。
車両用フード1(図4)は、車両を構成する部材である。車両用フード1は、当該車両用フードが搭載される車両の前後方向におけるフロントガラスの前側において、当該車両の内蔵物を車幅方向の全体に亘って覆うように配置される。なお、本実施形態では、車両用フード1が搭載される車両の前後方向と交差する(直交する)左右方向を、車両幅方向と称する。また、各図面では、車両の不図示の運転席を基準に、前後、左右および上下方向がそれぞれ表記されている。
車両用フード1は、図4に示されるように、アウタパネル10と、アウタパネル10の下方に配置されアウタパネル10に接合されるインナパネル20と、を有している。なお、図1乃至図3では、アウタパネル10の図示は省略し、インナパネル20のみ図示している。アウタパネル10及びインナパネル20は、車両幅方向における車両の中央部を通りかつ車両幅方向と直交する平面(前後方向および上下方向を含む平面)を基準として、当該車両幅方向に対称な形状を備えている。アウタパネル10は、アルミニウム系材料により比較的平坦な形状に形成されている。
インナパネル20は、アルミニウム系材料により形成されている。インナパネル20は、アウタパネル10と同一材質により形成されてもよいし、異なる材質により形成されてもよい。本実施形態では、歩行者保護性能を向上する観点から、インナパネル20は、アウタパネル10よりも強度が小さくなるように当該アウタパネル10とは異なる材質により形成されている。このようにすれば、フードとして必要な剛性を確保した上で、インナパネル20の車両本体の内蔵物(エンジン等)への衝突時において、当該インナパネル20が潰れながら衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
インナパネル20は、図1および図2に示すように、アウタパネル10に接合される接合面210と、当該アウタパネル10の反対側に凹んだビード部220と、を有している。このビード部220は、アルミニウムからなる板状部材をプレス成形することにより形成される。
接合面210は、アウタパネル10の裏面に接合される領域を含む面である。接合面210は、外側接合面211と、内側接合面212と、を含んでいる。
外側接合面211は、インナパネル20の外周部を画定する。具体的には、外側接合面211は、車両用フード1における最外周部分として環状に形成されるインナパネル20の最外周部分である。この外側接合面211は、アウタパネル10の最外周部分をヘム加工(折り返し加工)することによって、接合面210がアウタパネル10に強固に固着される。これにより、アウタパネル10とインナパネル20との間において、外側接合面211よりも内側の空間が略密閉状態となっている。なお、外側接合面211は、構造用接着剤を併用してアウタパネル10の裏面(下面)に接着されてもよい。
内側接合面212は、環状の外側接合面211の内側に位置している。図1および図2に示すように、内側接合面212は、櫛形形状を備えている。この内側接合面212は、マスチック樹脂材料からなる接着材を介してアウタパネル10の裏面に接合されている。
ビード部220は、接合面210に連続するとともに、アウタパネル10の反対側に凹んでいる。これにより、接合面210がアウタパネル10の裏面に接合された状態において、ビード部220が空間を介してアウタパネル10から離間している。ビード部220は、複数の縦ビード部222を含む。
複数の縦ビード部222は、環状の外側接合面211の内側でそれぞれ前後方向に沿って延びるとともに、車両幅方向に互いに間隔をおいて配置されている。複数の縦ビード部222は、アウタパネル10から離間するようにアウタパネル10の反対側に凹んだ形状を有する。
前述の内側接合面212は、複数の縦接合面212Aと、一つの横接合面212Bと、を含む。
複数の縦接合面212Aは、複数の縦ビード部222に隣接してそれぞれ前後方向に沿って延びるように配置されており、隣接する複数の縦ビード部222同士を接続している。図1に示されるように、複数の縦ビード部222と複数の縦接合面212Aとが互い違いに配置されている。複数の縦接合面212Aは、前後方向に間隔をおいて配置された複数の第1接合部M1において、それぞれマスチック樹脂を含む接着材によってアウタパネル10に接合される。なお、図1では、複数の縦接合面212A上に配置された複数の破線円が第1接合部M1に相当する。
本実施形態では、複数の縦接合面212Aは、左右方向の中央に配置される3つの縦接合面212A(中央縦接合面212A1)と、その外側に配置される一対の縦接合面212Aと、を含む。換言すれば、本実施形態では、5つの縦接合面212Aが形成されている。なお、複数の縦接合面212Aの数はこれらに限定されるものではない。中央縦接合面212A1は、複数の縦接合面212Aのうち左右方向の両端部の縦接合面212Aを除く縦接合面212Aである。
横接合面212Bは、複数の縦接合面212Aの前側において車両幅方向に沿って延びている。本実施形態では、図1、図2に示すように、横接合面212Bは、5本全ての縦接合面212Aを車両幅方向に沿って互いに接続するように延びている。また、横接合面212Bは、車両幅方向に間隔をおいて配置された複数の第2接合部M2において、それぞれマスチック樹脂を含む接着材によってアウタパネル10に接合される。そして、本実施形態では、複数の第2接合部M2の間隔は、車両幅方向において隣接する複数の第1接合部M1の間隔よりも小さく設定されている(図2)。なお、図1、図2に示すように、複数の縦接合面212Aの後端側は、互いに独立して配置されている。
複数の第2接合部M2は、複数の第1接合部M1の前方にそれぞれ配置される複数の前方接合部M21と、車両幅方向において隣接する複数の前方接合部M21同士の間に配置される複数の中間接合部M22と、を含む。なお、図1および図2では、一部の接合部のみに符号を付している。
図1および図3を参照して、ビード部220は、内側環状底面31と、外側環状底面32と、を更に備える。内側環状底面31は、櫛形の内側接合面212を取り囲むように形成された環状の底面であり、縦ビード部222の底面と面一とされている。外側環状底面32は、内側環状底面31を取り囲むように形成された環状の底面である。外側環状底面32は、所定の段差をもって内側環状底面31よりも更に下方に形成された底面であり、外側接合面211の内側に配置されている。
また、インナパネル20は、ストライカ35(図3)と、一対のクラッシュビード36(図1)と、一対のヒンジ補強部材37(図1)と、を備える。
ストライカ35(図3)は、インナパネル20のうち横接合面212Bよりも前側の外側環状底面32に固定され、車両用フード1とともに車両を構成する車両本体と係合することが可能とされている。詳しくは、ストライカ35は、外側環状底面32に接合されたストライカ補強部材35S(図1)に固定されている。ストライカ35は、U字状の部材である。
一対のクラッシュビード36は、車両幅方向に延びるように外側環状底面32上に設けられている。クラッシュビード36は、外側環状底面32が部分的に上方に突出して形成されている。一対のクラッシュビード36は、車両の前方部分に衝突が生じた際に、車両幅方向に沿った屈曲線を形成する。この結果、車両用フード1を含む車両の前方部分が屈曲しやすくなり、当該前方部分が運転席に進入することが抑止される。なお、一対のクラッシュビード36は、横接合面212Bよりも後方に配置されることが望ましく、インナパネル20の前後方向の中央部に配置されることが望ましい。
一対のヒンジ補強部材37は、車両用フード1を車両本体に連結するヒンジ(図示しない)にインナパネル20を介して接合される。各ヒンジ補強部材37は、外側環状底面32のうち、ビード部220の後方部分において車両幅方向に延びる部位の両端に設けられている。
本実施形態に係る車両用フード1では、図1および図2に示すように、インナパネル20が、前後方向に沿って延びる複数の縦ビード部222を備えている。また、複数の縦ビード部222に隣接して前後方向に沿って延びる複数の縦接合面212Aが配置されており、複数の縦接合面212Aの前端部は横接合面212Bによって接続されている。複数の縦接合面212Aはそれぞれ複数の第1接合部M1においてアウタパネル10に接合され、横接合面212Bは複数の第2接合部M2においてアウタパネル10に接合される。そして、複数の第2接合部M2の間隔は、車両幅方向において隣接する複数の第1接合部M1の間隔よりも小さく設定されている。
このため、インナパネル20の前側部分は、密に形成された複数の接合部(第2接合部M2)においてアウタパネル10に接合されるため、車両用フード1のフード剛性、張り剛性および耐デント性(くぼみのような永久変形を防ぐ強度)が高く維持される。また、車両幅方向に沿って横接合面212Bが連続的に配置されているため、車両用フード1の曲げ剛性およびねじり剛性が確保される。
また、本実施形態では、インナパネル20の構造(形状)によって、車両用フード1の剛性を高めることが可能であるため、公知のデントリインフォースがアウタパネル10とインナパネル20との間の広い領域に配置される他の形態と比較して、車両用フード1の低コスト化、低重量化が実現される。
また、横接合面212Bは、全ての縦接合面212Aの前端部を接続するように配置されている。中央縦接合面212A1の前方には、ストライカ35が配置されている。このため、車両用フード1のうち中央部の前側部分には、車両用フード1の開閉動作に対して、高い耐デント性が求められる。本実施形態では、このように、ストライカ35と複数の縦接合面212Aとの間に横接合面212Bが備えられているため、車両用フード1の前側部分の耐デント性が高く確保される。
また、横接合面212Bが、車両用フード1の前側部分に配置されることで、車両用フード1の歩行者保護性能を向上することができる。歩行者保護性能は、公知のHIC値(頭部損傷基準値Head injury criteria)によって評価される。本実施形態のように、複数の縦接合面212Aの前側に横接合面212Bが配置されている場合、アウタパネル10に付与された衝撃の応力が、車両幅方向に沿って伝播しやすい。すなわち、車両用フード1の前側部分の広い範囲において、歩行者の重量を受け止めることができる。この結果、当該重量に起因する加速度一次ピークが増大しやすく、子供の歩行者保護性能が向上する。
仮に、本実施形態のような横接合面212Bがインナパネル20に備えられていない場合、複数の縦接合面212Aの前端部が、インナパネル20の前側部分に露出した状態となる。この場合、アウタパネル10に付与された衝撃を、複数の縦接合面212Aの前端部が受けることとなるため、応力が車両幅方向に沿って伝播しにくい。この結果、子供の歩行者に対する保護性能が低下することとなる。
なお、上記のような子供の歩行者保護性能の向上のために、地面から横接合面212B周辺までの車両の表面上の距離は、1000mm〜1500mmの範囲に設定されることが望ましい。
また、前述のように、本実施形態では、複数の縦接合面212Aの後端側は互いに独立して配置されている。このため、車両用フード1の後端側の曲げ剛性の低下が抑止されつつ、大人の歩行者保護性能が確保される。すなわち、大人の歩行者が車両用フード1の後端側に衝突した際には、子供が衝突する場合に比べて大きな衝突エネルギーを吸収する必要がある。子供に比べて身長が高い大人の頭部が衝突するエリアは、フードの後方側になる。このため、車両用フード1の後端側がつぶれやすい場合、衝突時のエネルギーが充分吸収されず、変形した車両用フード1が充分にエネルギーを吸収できていない状態で内部のエンジンに衝突することとなる。そのため、加速度二次ピークが増大する傾向となり、歩行者保護性能が低下してしまう。本実施形態では、縦接合面212Aの前端側が横接合面212Bによって接続され、縦接合面212Aの後端側は独立している。このため、車両用フード1の各剛性が維持されながら、歩行者衝突時に、車両用フード1の前側はつぶれやすく、車両用フード1の後側はつぶれにくいという特徴を有することができる。
ここで、車両用フード1の張り剛性を高めるために、本実施形態のように複数の縦接合面212Aの前端側が横接合面212Bによって接続される場合と、横接合面212Bが備えられず縦接合面212Aの数が増大される場合とを比較する。この場合、縦接合面212Aの数が増大されると、インナパネル20の表面積が増大するため、インナパネル20の材料コストが増大する。また、一つ一つの縦接合面212Aの幅、縦ビード部222の幅が狭くなるため、製造(プレス成型)が困難となり、インナパネル20の製造コストが増大する。一方、本実施形態では、上記のような形態と比較して、製造が容易であるとともにコストの増大を抑えながら、車両用フード1の張り剛性などが向上される。
また、本実施形態では、図1に示すように、一対のクラッシュビード36よりも前方に、車両幅方向に沿って延びる横接合面212Bが配置されている。このため、車両の前方衝突時に、横接合面212Bが屈曲線を形成し、一対のクラッシュビード36の補助的機能を担うことができる。この結果、車両用フード1の前突性能が向上する。
以上、本発明の一実施形態に係る車両用フード1について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明として、以下のような変形実施形態が可能である。
(1)上記の実施形態では、図1、図2に示すように、全ての縦接合面212Aの前端部が横接合面212Bによって接続される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図5は、本発明の変形実施形態に係る車両用フードのインナパネル20Mの模式的な平面図である。本変形実施形態では、縦接合面212Aと横接合面212Bとの接続態様において、先の実施形態と相違するため、当該相違点について説明し、その他の共通する点の説明を省略する。また、図5では、先の実施形態と同様の機能を備える部材については、図1〜図4と同じ符号を付している。
本変形実施形態では、複数の縦接合面212Aが、前後方向に延びるように配置されている。そして、複数の縦接合面212Aは、インナパネル20Mの車両幅方向(左右方向)の中央部に配置される中央縦接合面212A1を含む。また、横接合面212Bは、これらの中央縦接合面212A1の前端部を車両幅方向に沿って互いに接続している。横接合面212B上の第2接合部M2の間隔は、複数の縦接合面212A上の第1接合部M1の車両幅方向における間隔よりも小さい。
このような構成においても、インナパネル20Mの前側部分は、密に形成された複数の接合部(第2接合部M2)においてアウタパネル10(図4)に接合されるため、車両用フードのフード剛性、張り剛性および耐デント性が高く維持される。また、車両幅方向の中央部において横接合面212Bが連続的に配置されているため、車両用フード1の中央部の曲げ剛性およびねじり剛性が確保される。そして、インナパネル20Mの構造(形状)によって、車両用フードの剛性を高めることが可能であるため、車両用フードの低コスト化、低重量化が実現される。
更に、横接合面212Bは、複数の縦接合面212Aのうち車両幅方向の中央に位置する中央縦接合面212A1の前端部を接続するように配置されている。車両幅方向の中央に配置される中央縦接合面212A1の前方には、不図示のストライカが配置されている。本変形実施形態では、このようなストライカを用いた車両用フードの開閉動作に耐えうるために、車両用フードの前側部分の耐デント性が高く確保される。なお、歩行者保護性能についても、先の実施形態と同様またはこれに準ずる効果が奏される。
すなわち、本発明に係る複数の縦接合面は、インナパネルの車両幅方向の中央に配置される二以上の中央縦接合面212A1を含み、横接合面は、少なくとも二以上の中央縦接合面212A1の前端部を車両幅方向に沿って互いに接続するものであればよい。
(2)上記の実施形態では、車両用フード1のアウタパネル10とインナパネル20との間に公知のデントリインフォースが配置されていない態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。アウタパネル10とインナパネル20との間にデントリインフォースが配置されてもよい。なお、縦接合面212Aの前側部分が横接合面212Bによって接続されることで、車両用フード1の前側部分の張り剛性、耐デント性が向上するため、デントリインフォースの大きさを小さくすることができる。
(3)また、上記の実施形態および変形実施形態では、複数の縦接合面212Aの最前端部に横接合面212Bが配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。複数の縦接合面212Aの前側部分に横接合面212Bが配置され、各縦接合面212Aの前端部が横接合面212Bから僅かに前方に突き出た態様でもよい。この場合も、インナパネル20の構造によって、車両用フード1の張り剛性を向上することができる。
1 車両用フード
10 アウタパネル
20 インナパネル
210 接合面
211 外側接合面
212 内側接合面
212A 縦接合面
212A1 中央縦接合面
212B 横接合面
220 ビード部
222 縦ビード部
31 内側環状底面
32 外側環状底面
35 ストライカ
35S ストライカ補強部材
36 クラッシュビード
37 ヒンジ補強部材
M1 第1接合部
M2 第2接合部
M21 前方接合部
M22 中間接合部

Claims (5)

  1. 車両を構成するとともに当該車両の前後方向における前側に配置される車両用フードであって、
    アウタパネルと、
    前記アウタパネルの下方に配置され、前記アウタパネルに接合されるインナパネルと、
    を備え、
    前記インナパネルは、
    前記インナパネルの外周部を画定するとともに、前記アウタパネルに接合される環状の外側接合面と、
    前記環状の外側接合面の内側でそれぞれ前後方向に沿って延びるとともに、前後方向と交差する車両幅方向に互いに間隔をおいて配置される複数の縦ビード部であって、前記アウタパネルから離間するように当該アウタパネルの反対側に凹んだ複数の縦ビード部と、
    前記複数の縦ビード部に隣接してそれぞれ前後方向に沿って延びるように配置され、隣接する前記複数の縦ビード部同士を接続するとともに、前後方向に間隔をおいて配置された複数の第1接合部においてそれぞれ前記アウタパネルに接合される複数の縦接合面と、
    前記複数の縦接合面の前側において前記車両幅方向に沿って延びるとともに、前記車両幅方向に間隔をおいて配置された複数の第2接合部において前記アウタパネルに接合される横接合面と、
    を有し、
    前記複数の縦接合面は、前記インナパネルの前記車両幅方向の中央部に配置される二以上の中央縦接合面を含み、
    前記横接合面は、前記複数の縦接合面のうち少なくとも前記二以上の中央縦接合面の前端部を前記車両幅方向に沿って互いに接続し、
    前記複数の第2接合部の間隔は、前記車両幅方向において隣接する前記複数の第1接合部の間隔よりも小さく設定されている、車両用フード。
  2. 前記横接合面は、全ての前記複数の縦接合面の前端部を互いに接続するように配置されている、請求項1に記載の車両用フード。
  3. 前記複数の第2接合部は、前記複数の第1接合部の前方にそれぞれ配置される複数の前方接合部と、前記車両幅方向において隣接する前記複数の前方接合部同士の間にそれぞれ配置される複数の中間接合部と、を含む、請求項1または2に記載の車両用フード。
  4. 前記横接合面よりも後方の前記インナパネルの前記車両幅方向の両端側において、前記車両幅方向に沿って延びるようにそれぞれ配置される、少なくとも一対のクラッシュビードを更に有する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用フード。
  5. 前記インナパネルのうち前記横接合面よりも前側の部分に配置され、前記車両を構成する車両本体と係合することが可能なストライカを更に有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用フード。
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