JP2018166449A - フラワーペースト類及びその製造方法 - Google Patents

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祐里恵 伊藤
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芳子 大野
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Rumi Ikebuchi
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Abstract

【課題】
澱粉性原料及び糖類を含むフラワーペースト類において、澱粉に由来する特有の強い粘り感が極力抑えられた、口溶け、食感が良好で適度な硬さを有し、旨味とコク味に優れたフラワーペースト類を提供する。
【解決手段】
澱粉性原料及び糖類を含むフラワーペースト類において、特定の大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合が低減された特定の大豆蛋白素材を含有する乳化組成物を、有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整する。

【選択図】なし

Description

本発明はフラワーペースト類及びその製造方法に関し、詳細には旨味とコク味に優れたフラワーペースト類及びその製造方法に関する。
菓子類・パン類のフィリング用、塗布用、サンド用にフラワーペースト類が幅広く使用されている。フラワーペースト類は、小麦粉や澱粉等の澱粉性原料を主原料とし、これに糖類、油脂、乳製品、卵、その他風味原料を加え、加熱殺菌及び糊化して得られ、独特のボディを呈したものである。そのため、菓子類・パン類のフィリングやサンド材として食した場合の存在感が大きく嗜好性も高いものであるが、澱粉質特有の強い粘りを呈し、口溶けや食感の重いものが多い。
上記のフラワーペースト類の口溶けや食感を改良してさらに嗜好性を高めるべく、様々な新規なフラワーペースト類が提案されている。特許文献1は、必須成分として澱粉、糖質、油脂及び乳酸発酵乳を含むフラワーペースト類であって、当該フラワーペースト類全量に対し、油脂を15〜30重量%、乳酸発酵乳を20〜80重量%含む事を特徴とするフラワーペースト類に関する。本発明によるフラワーペースト類は、食感が非常になめらかで、爽やかでありながらコクのある、風味良好なものであるが、発酵乳に由来するムレ臭が感じられる傾向があった。
特許文献2は、豆乳固形分1.5%以上と酸性化剤及び溶解塩を含むフラワーペーストに関する。本フラワーペーストは、豆乳風味、滑らかな食感、耐熱保形性、保存性に優れたものであるが、豆乳風味がやや強く甘味系フィリングとしての風味バラエティ化が困難という問題があった。
特許文献3は、油脂を25〜55質量%、酢酸澱粉を含む澱粉を2〜10質量%、澱粉以外の糖類を25〜45質量%及び水を5〜25質量%含むことを特徴とするフラワーペーストに関する。該フラワーペーストは、油脂及び糖類の含量が高く、日持ちが良好であるにも係らず、外観、風味、食感、充填適性が良好であり、焼成等の加熱調理に適した耐熱保形性があるというものであるが、高油分のためやや油っぽい食感となる傾向があった。
特開2000−279121号公報 特開2006−223238号公報 特開2013−21964号公報
上記のように、フラワーペースト類の口溶けや食感を改良する方法が種々提案されているが、いずれも風味、食感とも完全に満足しうるものではなく、さらに改良の余地のあるものであった。
本発明の目的は、澱粉性原料及び糖類を含むフラワーペースト類において、澱粉に由来する特有の強い粘り感が極力抑えられた、口溶け、食感が良好で適度な硬さを有し、旨味とコク味に優れたフラワーペースト類を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定量の大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合が低減された特定の大豆蛋白素材を使用することで、口溶け良好で、旨味とコク味に優れたフラワーペースト類が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)に関するものである。
(1)澱粉性原料、糖類、油脂、水及び下記の大豆蛋白素材を含有するフラワーペースト類であって、該大豆蛋白素材由来の蛋白質0.05〜0.5重量%を含有することを特徴とするフラワーペースト類。
大豆蛋白素材:総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI値として40%以下であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して12重量%未満である大豆蛋白素材。
(2)pH5〜6.3である(1)記載のフラワーペースト類。
(3)油脂分3〜35重量%である(1)または(2)記載のフラワーペースト類。
(4)澱粉性原料、糖類、油脂、水及び(1)記載の大豆蛋白素材由来の蛋白質0.05〜0.5重量%を含有する乳化組成物を、有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整することを特徴とするフラワーペースト類の製造方法。
本発明によれば、澱粉に由来する特有の強い粘り感が極力抑えられた、口溶け、食感が良好で適度な硬さを有し、旨味とコク味に優れたフラワーペースト類を製造することが可能となる。
本発明は、澱粉性原料、糖類、油脂、水及び下記に詳細に説明する大豆蛋白素材を含有するフラワーペースト類及びその製造方法である。
(大豆蛋白素材)
本発明の原料として使用される大豆蛋白素材は、大豆から水抽出されるグリシニン及びβ−コングリシニンを主体とする蛋白質を主な構成成分とし、かつ総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合が少ないものである。
すなわち、総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI((Lipophilic Proteins Content Index:大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質含有割合)値として40%以下であることを特徴とする大豆蛋白素材である。ここで、LCI値は、蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合を推定する指標である。
(大豆蛋白素材の製品形態)
大豆蛋白素材の製品の形態としては上記要件を満たす限り特に限定されず、具体的には豆乳が挙げられるが、豆乳以外の形態としては、該豆乳を原料としてさらに蛋白質の純度を高めた形態が挙げられ、典型的には豆乳から糖質、灰分等の水溶性成分を除去して蛋白質の純度を高めた分離大豆蛋白や、前記豆乳あるいは分離大豆蛋白の蛋白質をさらに分画してグリシニンあるいはβ−コングリシニンの純度を高めた分画大豆蛋白の形態が挙げられる。
(大豆蛋白素材の蛋白質)
大豆蛋白素材の蛋白質含量は乾物あたりで30〜99重量%の範囲が好ましい。大豆蛋白素材が豆乳の形態の場合、通常は下限が乾物あたり45重量%以上、あるいは50重量%以上、あるいは55重量%以上であり、上限が70重量%以下、あるいは65重量%以下でありうる。蛋白質の分画や他の成分の添加など、加工方法によっては30重量%以上45重量%未満の範囲にもなりうる。また大豆蛋白素材が当該豆乳をさらに精製して蛋白質純度を高めた分離大豆蛋白の形態の場合は、下限が70重量%超、あるいは80重量%以上であり、上限は99重量%以下、あるいは95重量%以下でありうる。なお、本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
脂質親和性蛋白質(LP)は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。
LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI値を求めることにより推定することができる。
これによれば、大豆蛋白素材中の蛋白質のLCI値は通常40%以下、より好ましくは38%以下、さらに好ましくは36%以下である。
通常の未変性(水溶性窒素指数NSI:Nitrogen Solubility Index 90以上)の大豆を原料として一般的な大豆蛋白素材を製造する場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、大豆蛋白素材では、LPを原料大豆中において加熱処理によって変性させ不溶化させて製造するため、LPが抽出されにくく不溶性画分側に残る。
このように蛋白質中におけるLPの割合を低減することによって脂質の含有量を極めて低レベルに保った大豆蛋白素材を得ることがきる。
○蛋白質の各成分の組成分析
大豆蛋白素材の蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析することができる。
界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
〔LP含量の推定・LCI値の測定方法〕
(a) 各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニット及びα'サブユニット(α+α')、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質及びリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。
(b) X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。
(c) 低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量は凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。
(d) すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下
「LCI」と略する。)を算出する。
(表1)
Figure 2018166449
Figure 2018166449
大豆蛋白素材は糖質及び蛋白質が乾物の大部分を占める主成分であることができ、この場合は炭水化物(乾物から脂質、蛋白質及び灰分を除いたもの)の含量は、蛋白質との総含量で表すと乾物あたり80重量%以上が好ましく、より好ましくは85重量%以上である。乾物の残成分は灰分と微量の脂質からほぼ構成され、灰分は乾物当たり通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。食物繊維は炭水化物に含まれるものの、大豆蛋白素材は食物繊維質が除去されているので、乾物当たり3重量%以下、好ましくは2重量%以下の微量である。
(大豆蛋白素材の脂質)
大豆蛋白素材は、原料である大豆粉の脂質含量/蛋白質含量の比よりも低い値の脂質しか含まれず、中性脂質と共に極性脂質の含量も低いことが好ましい。これに対し、一般に脱脂豆乳などは大豆をヘキサンで脱脂した脱脂大豆を水抽出して得られるが、この脱脂豆乳は極性脂質が除去されておらずなお多く含まれる。
そのため、大豆蛋白素材中の脂質含量は、試料を凍結乾燥後、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
大豆蛋白素材は、脂質含量が蛋白質含量に対して12重量%未満が好ましく、より好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは8重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは4重量%以下であり、3重量%以下とすることも可能である。すなわち蛋白質よりも中性脂質と極性脂質を含めた総脂質が極めて少ない大豆蛋白素材が1つの好ましい態様である。このような素材としては、例えば特開2012−16348号に開示される「減脂大豆蛋白素材」が該当する。通常の有機溶剤を用いて脱脂された脱脂大豆から抽出した脱脂豆乳も中性脂質は殆ど含まれないが、極性脂質が一部抽されるため、蛋白質に対する脂質含量はおよそ5〜6重量%である。この態様の場合、乾物あたりでの脂質含量も6重量%以下が好ましく、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下でありうる。
(大豆蛋白素材の乾物含量)
大豆蛋白素材が豆乳の形態で、性状が液体の場合、乾物(dry matter)は通常3〜20重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水して低粘度の液状としたものや、減圧濃縮や凍結濃縮等の濃縮加工により高粘度化したものであってもよく、また噴霧乾燥や凍結乾燥等の粉末加工により粉末状としたものであってもよい。
本発明において、前記大豆蛋白素材を使用してフラワーペースト類を製造するが、該大豆蛋白素材由来の大豆蛋白質含量は0.05〜0.5重量%であり、より好ましくは0.1〜0.4重量%であり、最も好ましくは0.1〜0.3重量%である。下限未満では、フラワーペースト類の旨味とコク味の発現が不十分になる傾向にある。逆に、上限を超えると旨味とコク味がやや強すぎて嫌味に感じる傾向がある。
(澱粉性原料)
本発明に用いる澱粉性原料としては、一般のフラワーペーストにおいて使用されている小麦粉等穀粉類や小麦澱粉、コーンスターチ、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉及びこれらを加工した加工澱粉を用いることができる。
また澱粉性原料の使用量については、量が少ないとフラワーペーストが液状になり、充分にペースト化されなくなる。一方多すぎると食感のネタツキが生じ喉通りも悪くなるため、澱粉の使用量として3 〜10重量% が良好である。
(糖類)
本発明に用いる糖類としては、特に限定されるものではないが、一般のフラワーペーストにおいて使用されている糖類を用いることができ、ショ糖、グラニュー糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖をはじめ、色々な転化糖を用いることができる。糖類の含有量は好ましくは8〜30 重量% 、更に好ましくは10〜28 重量% である。
(油脂)
本発明に用いる油脂としては、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2 種以上の混合物或いはこれらのものに数々の化学処理又は物理処理を施したものが例示出来る。かかる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、乳脂、ラード、牛脂、魚油、鯨油及びそれらの加工油脂が例示される。マーガリン、ショートニング、バターであっても良い。油脂の含有量は、3〜35重量%であるのが好ましい。油脂量が3重量%未満では、フラワーペーストの食感が喉通りの悪いものとなる。また油脂量が35重量% 超えるとやや油っぽい重い食感になり、加熱により乳化破壊が生じ、油が分離しやすくなる。
(その他原材料)
本発明のフラワーペースト類には、口溶け、食感、及び風味を損なわない範囲で、安定剤、乳化剤、日持ち向上剤、塩類、香料、風味材、色素を添加することができる。安定剤としては、ガム類、例えばキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、アラビアガム、ファーセラン、CMC、微結晶セルロース類のガム類、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゼラチン、水溶性ヘミセルロース等が例示でき、これらの単独または2種以上を併用することができる。安定剤の添加量としては、概ね0.01〜2重量%である。乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが例示できる。乳化剤の添加量としては、概ね0.01〜2重量%である。日持ち向上剤としては、安息香酸、ソルビン酸、プロタミン、あるいはポリリジンなどの保存料、グリシンなどのアミノ酸、卵白リゾチームが例示できる。風味材としては、卵、チョコレート、カカオマス、ココア、アーモンド、ピーナッツ、胡麻、各種フルーツピューレ、フルーツ果汁、練乳、コーヒー、紅茶、抹茶、合成甘味料が例示できる。
(pH)
本発明のフラワーペースト類のpHは、pH5〜6.3であるのが好ましく、より好ましくはpH5.3〜6であるのが好ましい。pHが5未満になると、酸味がやや強くなる傾向にある。pHが6.3を超えると、フラワーペースト類の保存性が低下する傾向にある。
(製造方法)
本発明のフラワーペースト類の製造方法としては、各原料を混合し予備乳化を行い、次いで、均質化、殺菌(α化)、冷却の工程を経てフラワーペースト類を得ることができる。予備乳化の調合温度としては40〜70℃、好ましくは50〜60℃が望ましく、均質化圧力は0〜200Kg/cm2 、殺菌条件は80〜150 ℃、4秒〜20分が適している。また、冷却は冷蔵庫中での冷却で十分である。
前記製造工程において、予備乳化後に有機酸添加によりpHを5〜6.3にpH調整するのが好ましく、より好ましくはpH5.3〜6にpH調整するのが好ましい。pH調整に用いる有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸から選択される1種または2種以上が使用できる。有機酸の濃度は特に制限はないが、20〜70重量%の水溶液の利用が好ましい。
上記の工程で得られたフラワーペースト類は、柔らかい展延性のある半流動状〜ペースト性状を示し、かつ良好な口溶けに加え、旨味とコク味を有する。また、その硬さはレオメーター測定値として50〜800g/7.065cm2 、好ましくは80〜600g/7.065cm2 (但し、測定条件:品温5℃、直径3cmプランジャー、テーブルスピード5cm/分、不動工業(株)製)の範囲内にあるのが好ましい。
本発明のフラワーペースト類は、前記の各種風味材を添加することにより、チョコレート風味、ナッツ風味、フルーツ風味、練乳風味などの所望の風味を付与することができる。本発明のフラワーペースト類は、菓子、パン類のフィリング材、塗布材、サンド材として幅広く利用することができる。
以下に実施例及び比較例を例示して、この発明の効果をより一層明確にする。なお、各例中の部及び%は何れも重量基準である。各例の口溶け、食感、旨味、コク味は下記基準でパネラー5人の平均値により評価した。
(口溶け) ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良
(食感) ◎:非常になめらか ○:なめらか △:ややざらつく ×:ざらつく
(旨味) ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良
(コク味) ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良
また、チョコレート風味フラワーペーストの場合、チョコレート風味を下記基準でパネラー5人の平均値により評価した。
(チョコレート風味) ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良

なお、硬さは、冷蔵3日保存品について測定条件:品温5℃、直径3cmプランジャー、テーブルスピード5cm/分の条件で、レオメーターを用いて測定した。
実施例1
精製パーム油(不二製油(株)製)4部、ココアバター1.2部、砂糖12.6部、マルトース15部、脱脂粉乳4.7部、澱粉(コーンスターチの加工澱粉)5.6部、卵黄4部、ココアパウダー3部、カカオマス1.3部、生チョコレート様食品(商品名:ガナッシュアミュゼ、不二製油(株)製)7部、水38.3部及び大豆蛋白素材(商品名:「美味投入」:乾物含量10.0%、乾物あたりの蛋白質含量54.0%、乾物あたりの脂質5%、LCI値34%、不二製油(株)製)3.3部を調合し、54℃で10分間攪拌、混合して予備乳化液を得た。予備乳化液に50%乳酸を添加してpH5.5〜5.6にpH調整した。その後、100 kg/cm2 の圧力下に均質化した後、連続熱交換機に通して83℃に加熱し、澱粉をα化して糊状とし、充填後冷蔵保管により冷却してチョコレート風味フラワーペーストを得た。本例における大豆蛋白素材「美味投入」由来の大豆蛋白質含量は、0.2%であった。
比較例1
実施例1において、大豆蛋白素材「美味投入」3.3部を無添加に、生チョコレート様食品7部を7.5部に、水38.3部を41.1部に代えて、実施例1同様にチョコレート風味フラワーペーストを得た。
比較例2
実施例1において、大豆蛋白素材「美味投入」3.3部を市販の無調整豆乳(乾物含量9.2%、乾物あたりの蛋白質含量53.2%、乾物あたりの脂質40.2%、LCI値48%)3.3部に代えて、実施例1同様にチョコレート風味フラワーペーストを得た。
比較例3
実施例1において、大豆蛋白素材「美味投入」3.3部を市販の牛乳3.3部に代えて、実施例1同様にチョコレート風味フラワーペーストを得た。
表2に、実施例1及び比較例1〜2の評価結果を示す。
表2
Figure 2018166449
大豆蛋白素材「美味投入」を配合した実施例1は、口溶け、食感とも非常に良好で、旨味が強くコク味及びチョコレート風味も良好であった。生チョコ様食品の配合量をやや増加した比較例1では、口溶け、食感は非常に良好であったが、コク味、旨味とも乏しいものであった。大豆蛋白素材「美味投入」に代えて、無調整豆乳を配合した比較例2では、口溶け、食感は非常に良好であり、コク味もややあるものであったが、旨味とチョコレート風味に乏しいものであった。大豆蛋白素材「美味投入」に代えて、牛乳を配合した比較例3では、口溶け、食感は非常に良好であり、旨味、コク味とも良好であったが、チョコレート風味に乏しいものであった。
試作例1
菜種硬化油(融点10℃)15部、水75部をそれぞれ30℃に加温したものをホモミキサーで攪拌しながら脱脂粉乳10部を添加し十分分散溶解させた。ついで攪拌加熱し70℃で30分予備乳化し、次いでホモゲナイザーで100 Kg/cm2の圧力下に均質化した後、20℃まで急冷してクリームミックスを調製した。このクリームミックスの組成は油分15.1%、蛋白質3.4%、水分75.4%であった。このようにして得たクリームミックス100部に対し乳酸菌バルクスターター1部(ストレプトコッカス・クレモリス及びストレプトコッカス・ラクティスの混合菌)を添加し、20℃で発酵に供し発酵開始後、4時間後から30分毎にpH測定を行いpH5.70となった時点で5℃まで急冷、発酵停止させた。ついで直ちにこの発酵物を80℃で30分加熱殺菌後、5℃まで急冷し「発酵乳1」を得た。この「発酵乳1」の殺菌冷却後のpHは5.75であった。
実施例2
精製パームスーパーオレイン(商品名:パームエース10、不二製油(株)製)5.4部、砂糖17.8部、脱脂粉乳5.5部、澱粉(コーンスターチの加工澱粉)5.1部、卵黄0.8部、ココアパウダー2部、ホエーパウダー0.7部、カカオマス7.6部、生チョコレート様食品(商品名:ガナッシュアミュゼ、不二製油(株)製)3部、前記「発酵乳1」10部、水37.4部及び大豆蛋白素材(商品名:「美味投入」:乾物含量10.0%、乾物あたりの蛋白質含量54.0%、乾物あたりの脂質5%、LCI値34%、不二製油(株)製)4.7部を調合し、54℃で10分間攪拌、混合して予備乳化液を得た。予備乳化液に50%乳酸を添加してpH5.7〜5.8にpH調整した。その後、100 kg/cm2 の圧力下に均質化した後、連続熱交換機に通して83℃に加熱し、澱粉をα化して糊状とし、充填後冷蔵保管により冷却してチョコレート風味フラワーペーストを得た。本例における大豆蛋白素材「美味投入」由来の大豆蛋白質含量は、0.3%であった。本フラワーペーストは、バターロール生地に包あん焼成しても空洞のない良好な焼き残りを示した。
実施例3
実施例2において、澱粉5.1部を澱粉4.8部と卵白粉末0.2部に代えて、水37.4部を35.5部に代えて、さらに大豆蛋白素材「美味投入」4.7部を6.6部に代えて、実施例2同様にチョコレート風味フラワーペーストを得た。本例における大豆蛋白素材「美味投入」由来の大豆蛋白質含量は、0.4%であった。本フラワーペーストは、バターロール生地に包あん焼成しても空洞のない良好な焼き残りを示した。
比較例4
実施例2において、澱粉5.1部を澱粉4.8部と卵白粉末0.6部に代えて、水37.4部を41.8部に代えて、さらに大豆蛋白素材「美味投入」4.7部を無添加に代えて、実施例2同様にチョコレート風味フラワーペーストを得た。本フラワーペーストは、バターロール生地に包あん焼成しても空洞のない良好な焼き残りを示した。
表3に、実施例2〜3及び比較例3の評価結果を示す。
表3
Figure 2018166449
表3に示すように、大豆蛋白素材「美味投入」を配合した実施例2〜3は、口溶け、食感とも非常に良好で、旨味が強くコク味も良好であった。大豆蛋白素材「美味投入」を配合していない比較例3は、口溶け、食感がやや不良であり、コク味は良好だが旨味の乏しいものであった。
実施例4
乳脂20% の普通脂肪クリーム(四訂食品成分表に記載の普通市販クリーム類で、油分20% 、水分70% 、蛋白5.9%、糖質3.5%、灰分0.6%)30部、該普通脂肪クリームを乳酸菌で発酵させた乳酸発酵乳15部と、精製パーム油10部、砂糖15部、澱粉(コーンスターチの加工澱粉)5 部、卵黄1 部、実施例1に使用した大豆蛋白素材「美味投入」1.9部、水22.1部、レシチン0.01部、カスタードフレーバー及びミルクフレーバーを各0.1 部を添加し、60℃で10分間調合した後、混合液のpHが5.7 〜5.8 になる様に炭酸Naにて調整を行い、さらに100 kg/cm2 の圧力下に均質化した後、連続熱交換機に通して95〜100 ℃に加熱し、澱粉をα化して糊状とした。かくして得た、全油脂分19% 、水分55.3% 、BRIX38.2 のフラワーペースト類は、以下の比較例等の対比からも明らかな様に、良好な旨味とコク味のあるカスタード味で、食感、口溶けとも非常に良好であった。本例における大豆蛋白素材「美味投入」由来の大豆蛋白質含量は、0.1%であった。
実施例5
実施例4において、大豆蛋白素材「美味投入」1.9部、水22.1部を、大豆蛋白素材「美味投入」3.1部、水20.9部に代えて、実施例4同様にフラワーペースト類を得た。このようにして得られたフラワーペースト類は、全油脂分19% 、水分55.2% 、BRIX38.3であり、良好な旨味とコク味のあるカスタード味で、食感、口溶けとも非常に良好であった。本例における大豆蛋白素材「美味投入」由来の大豆蛋白質含量は、0.2%であった。
比較例4
実施例4において、大豆蛋白素材「美味投入」1.9部、水22.1部を、大豆蛋白素材「美味投入」を無添加に、水24部に代えて、実施例4同様にフラワーペースト類を得た。このようにして得られたフラワーペースト類は、全油脂分19% 、水分55.5% 、BRIX38であり、口溶け、食感は非常に良好であったが、旨味、コク味とも乏しいものであった。
表4に、実施例4〜5及び比較例4の評価結果を示す。
表4
Figure 2018166449
表4に示すように、大豆蛋白素材「美味投入」を配合した実施例4〜5は、口溶け、食感とも非常に良好で、旨味が強くコク味も良好であった。大豆蛋白素材「美味投入」を配合していない比較例4は、口溶け、食感は非常に良好であったが、旨味、コク味とも乏しいものであった。
本発明により、澱粉に由来する特有の強い粘り感が極力抑えられた、口溶け、食感が良好で適度な硬さを有し、旨味とコク味に優れたフラワーペースト類の製造が可能となる。

Claims (4)

  1. 澱粉性原料、糖類、油脂、水及び下記の大豆蛋白素材を含有するフラワーペースト類であって、該大豆蛋白素材由来の蛋白質0.05〜0.5重量%を含有することを特徴とするフラワーペースト類。
    大豆蛋白素材:総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI値として40%以下であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して12重量%未満である大豆蛋白素材。
  2. pH5〜6.3である請求項1記載のフラワーペースト類。
  3. 油脂分3〜35重量%である請求項1または2に記載のフラワーペースト類。
  4. 澱粉性原料、糖類、油脂、水及び請求項1記載の大豆蛋白素材由来の蛋白質0.05〜0.5重量%を含有する乳化組成物を、有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整することを特徴とするフラワーペースト類の製造方法。
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