本願発明者は、従来の射出成形により製造された磁性粉を樹脂により固着させたボンド磁石において、磁束密度のバラツキが生じる原因を鋭意検討した。その結果、以下の事実が判明した。即ち、ボンド磁石を成形する場合において、金型内に形成されたキャビティ内に、複数個所から磁性粉を含む溶融樹脂を射出すると、金型内に射出された磁性粉を含む溶融樹脂は、キャビティ内を下方に流れる。キャビティの底面に達した磁性粉を含む溶融樹脂は、キャビティの底面に沿って拡がりつつ流れる。そして、隣接するゲートから射出された磁性粉を含む溶融樹脂は、衝突して、いわゆる湯境面を生じる。湯境面を生じた状態で、磁性粉を含む溶融樹脂が冷却されると、ウエルドを形成する。
湯境面の近傍では、磁性粉を含む溶融樹脂が均一に混合し難く磁性粉の配向が揃い難い。この状態で磁性粉を含む溶融樹脂を冷却して製造されたボンド磁石は、ウエルドの近傍において、磁束密度のバラツキが生じやすい。
本発明は、以上の知見に基づいてなされた発明であり、キャビティにゲートを適正に配置することによりウエルドの形成を抑えて、磁束密度のバラツキを抑えて、磁束密度の変化を小さくすることにより、ボンド磁石の磁束密度が滑らかに変化するボンド磁石、及び、ボンド磁石の製造方法の発明であることを特徴とする。
(第1実施形態)
第1実施形態として、ウエルドの形成を抑えて外周の法線方向の磁束密度のバラツキを抑えたボンド磁石(ロータコア)を説明する。
ボンド磁石を構成する磁性粉の種類に制限はなく、製造されるボンド磁石において必要とする磁力が得られる磁性粉(微小磁石)を使用することができる。使用可能な磁性粉としては、例えば、フェライト系磁性粉、アルニコ系磁性粉、ネオジム、サマリウム、コバルト等を含む希土類系磁性粉が挙げられる。サマリウム系希土類磁性粉としては、例えば、サマリウム鉄窒素系磁性粉、サマリウム鉄系磁性粉、サマリウムコバルト系磁性粉が挙げられる。ネオジム系希土類磁性粉としては、例えば、ネオジム鉄ホウ素系磁性粉、ネオジム鉄窒素系磁性粉が挙げられる。
磁性粉の平均粒径についても、特に制限はなく、公知のものが使用可能である。例えば、フェライト系では1.5μm、希土類系では平均粒径1〜100μmの磁性粉が使用可能であり、10〜50μmの磁性粉が好ましい。
磁性粉を結着する樹脂の種類に制限はなく、製造されるボンド磁石において必要とする強度、密度、結着力が得られる樹脂を使用することができる。使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。使用可能な樹脂としては、例えば、ナイロン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、MMA、PS、PPS、PE、PP等の単独、又は共重合したビニル系合成樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン、ウレタン、PEEK、PBT、PET、CPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ハイパロン、SBR、NBR等の合成樹脂が使用できる。
磁性粉と樹脂の組み合わせは、目的とする磁石の性質に合わせて、射出成形が可能な範囲で適宜選択可能である。
磁性粉と樹脂の混合比率は、用途にもよるが、例えば、質量40〜90%とすることが可能である。その他、可塑剤や潤滑剤、抗酸化剤、表面処理材等適宜添加可能である。
第1実施形態において使用する金型は、中心軸を垂直方向とする円柱形、又は、中空の円柱形(横断面がOリング状の円筒形)が好ましい。
配向磁場は、磁分の磁気モーメントを一定方向にそろえて、少なくとも一対の磁極を形成する磁場である。配向磁場は、例として、中心軸に垂直な断面上のキャビティにおいて、向きが中心軸に垂直な断面と並行になるように付与する偶数極着磁が、挙げられる。
配向磁場は、例えば、キャビティに隣接してキャビティの高さ以上の作用面を有する主極、対極を配置し、主極、対極の上下に励磁コイルを配置し、さらに上にヨークを配置した磁気回路装置を使用して印加することができる。
配向磁場の配向に制限はなく、製造される磁石(使用される金型)の中心軸に垂直な断面において、磁性体(中心軸)の近傍で収束して磁束密度測定位置の区間において磁束密度の極大領域を拡げることが可能な配向であればよい。例えば、アキシャル型配向、エカトリアル型配向やラジアル型配向の磁気回路装置であってもよい。
配向磁場は、磁性粉を含む溶融樹脂をキャビティ内へ射出する前から付与してもよいし、射出の後樹脂が冷却されて固化(磁性粉が結着)する前までに付与されてもよい。
磁性粉を含む溶融樹脂を金型内のキャビティに射出する際の入口であるゲートは、一対の磁極を形成する配向磁場の向きと平行に設けるのが好ましく、一対の磁極を形成する配向磁場の向きと平行な軸上に設けるのが好ましい。ゲートは、使用される金型(製造される磁石)の中心を通る軸上に設けるのが好ましい。ゲートは、使用される金型(製造される磁石)の中心に対して対称に設けられるのが好ましく、使用される金型(製造される磁石)の中心を通る軸上に、中心に対して対称に設けられるのが好ましい。
ゲートは、金型内に形成されたキャビティの上面、又は、側面に設けるのが好ましい。ゲートは、磁石の磁極に対応する位置に設けるのが好ましく、磁石の磁極を略2等分する軸上に設けるのが好ましい。更に、ゲートは、磁石の磁極の極上に設けるのが好ましく、磁極の中心(磁束強度が0から極大又は極小を経て0となる区間の1/2の位置、磁束密度が極大又は極小の位置)に設けるのが好ましい。
ゲートは、複数設けるのが好ましく、偶数個、又は、磁極の数と同数設けるのが好ましい。
ゲートは、製造される磁石の磁極の数よりも多くキャビティに設けられてもよく、この場合、一対のゲートに加えて更に、磁石の磁極の極上に対応しない位置であって、一対のゲートを結ぶ軸に垂直な軸上に設けられてもよい。製造される磁石の磁極の数よりも多くゲートを設ける場合も、更に設ける一対のゲートを結ぶ軸は、使用される金型(製造される磁石)の中心を通ることが好ましい。更に設ける一対のゲートは、中心に対して対称に設けられるのが好ましい。
金型内に形成されたキャビティ内への磁性粉を含む溶融樹脂の射出は、ゲートを複数設けた金型を使用する場合であっても、全てのゲートを使用してキャビティに磁性粉を含む溶融樹脂を射出する必要はない。最低一対の磁極を形成する配向磁場の向きと平行となる位置に形成されたゲート2箇所からキャビティ内への磁性粉を含む溶融樹脂の射出が行われればよい。
又、各ゲートから射出する磁性粉を含む溶融樹脂の射出量、射出速度、温度等は、略同速度、略同量、略等温に限られず、適宜調節してキャビティ内の製造される磁石(金型)の中心を通る軸上で磁性粉を含む溶融樹脂が合流すればよい。
金型(磁石)の中心を通る中心軸に対して対称となる位置であって、中心軸に垂直な軸上に設けられたゲート2箇所からキャビティ内への磁性粉を含む溶融樹脂の射出が行われることが好ましい。
溶融樹脂が、金型の中心軸に対して対称となる位置に偶数個設けられた各ゲートから略同速度、略同量でキャビティ内に射出されることによって、ウエルドは、中心軸に対して対称となる位置において、垂直方向(中心軸方向)に形成される。
図1(a)を参照しながら、例として2極磁石であるボンド磁石100を製造する場合における、ゲートの配置について説明する。
図1(a)において、配向磁場は、中心軸(ボンド磁石100の中心を通る紙面に垂直な軸)を含む縦断面に対して垂直となるように印加されている。ゲート508は、一対の磁極を形成する配向磁場の向きと平行な軸上(中心を通り90°、270°を結ぶ軸上)
であって、中心Cに対して対称な位置(中心軸を含む縦断面を対称面とする位置)に偶数箇所(2箇所)設けられている。
この状態で、金型500内に形成されたキャビティ内へ、キャビティの上面に形成したゲート508から磁性粉を含む溶融樹脂を略同速度、略同量で射出すると、隣接するゲートの略中間位置(図1(a)においては中心を通り0°、180°を結ぶ軸上)で磁性粉を含む溶融樹脂が合流する。そして、湯境面が形成されて、磁性粉を含む溶融樹脂が冷却されてウエルド108が形成された場合であっても、隣接するゲート508の略中間位置(磁石の中心を通り0°、180°を結ぶ軸上)に形成されることになる。
ゲート508が、製造するボンド磁石100の極としたい位置に偶数個設けられている場合は、ウエルド108が形成される場合でも、ウエルド108は、ボンド磁石100の外周の法線方向の磁束密度が0となる位置に形成される。
例えば、ゲート2つが、金型の中心を通る中心軸に対して対称となる位置、かつ、配向磁場の向きと同一となる位置(ゲート2つを通る線分が配向磁場と並行となる位置)に形成された場合は、形成されるウエルド108は、配向磁場に直交する方向(磁束密度測定位置θ=0°、180°を結ぶ軸上)に位置する。ウエルド108が形成される場合であっても、ウエルド108は、ボンド磁石100の外周の法線方向の磁束密度が0となる位置に形成される(図1(a)参照)。
従って、金型内に形成されたキャビティにゲートを設ける位置(磁性粉を含む溶融樹脂を射出する位置)を適切に選択することにより、ウエルドの形成位置を制御することが可能となる。金型内に形成されたキャビティにゲートを設ける位置を適切に選択することにより、製造されるボンド磁石の磁束密度のバラツキを抑えることが可能となる。
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。又、第1実施形態と同様の効果についても重複する説明は省略する。
第2実施形態として、ボンド磁石(ロータコア)101と、回転軸207aとを一体成形した回転軸207aを備えた円柱状のボンド磁石(ロータ220a)を説明する。
金型501に形成されたキャビティ内に回転軸が存在する状態で、磁性粉を含む溶融樹脂を射出する(いわゆるインサート射出成形)ことが第1実施形態と異なる(図1(b)参照)。それ以外は、第1実施形態と同様である。
ボンド磁石101と、回転軸207aとを一体成形することによって製造されるロータ220aは(図1(b)参照)、磁石と、回転軸とを別々に製造した後接着したロータよりも接着強度が向上する。
又、金型の中心軸上に回転軸207aを配置して、ボンド磁石101と、回転軸207aとを一体成形することにより、ボンド磁石101の重心と、回転軸207aの重心とが同一直線上に配置されて、製造されるロータの中心軸207aを回転軸とする動的なバランスが安定する。
従って、本実施形態に係るロータ220aは、ボンド磁石(ロータコア)を切削する等のロータの動的なバランスを調整する作業を軽減することが可能となる。本実施形態に係るロータ220aは、ボンド磁石の切削量を低減することが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態として、磁性体が存在する状態で形成したボンド磁石(ロータコア)を説明する。
第3実施形態は、第1実施形態における金型を円筒形の金型502として、金型内に形成されたキャビティの中空空間内に磁性体180が存在する状態で、磁性粉を含む溶融樹脂を射出することが第1実施形態と異なる(図1(c)参照)。それ以外は、第1実施形態と同様である。
キャビティの中空空間内に磁性体180が存在する状態で、キャビティ内に磁性粉を含む溶融樹脂を射出し、溶融樹脂が軟化した状態で配向磁場を印加する。磁力線が、キャビティ内において、一方の作用面領域の外周から、磁性体に収束するように抜けて、他方の作用面領域の外周に向かい発散するように透過する。このため、溶融樹脂中の磁性粉が磁性体に収束するように配向する。
本実施形態に係るボンド磁石102の磁束密度測定位置に対して磁束密度強度を示す磁束密度の波形は、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石の磁束密度の極よりも強度が低下してなだらかになり、平坦化した、略台形状となる。
なお、本実施形態に係るボンド磁石の前記波形は、方形波とも異なる。
本願において、磁束密度測定位置とは、磁石の中心を中心点として磁石表面の磁束密度が0となる位置を始点として中心点に対して左回り(反時計回り)に一周(一回転、360°)測定した時の位置を指す。磁束密度が0となる位置から測定を開始して極大値、0、極小値となる位置を経て0となる区間を1周期とする。磁束密度が0となる位置から測定を開始して極大値、又は、極小値となる位置を経て0となる区間を0.5周期とする。
例えば、2極磁石の場合は、外周一周で1周期となり、4極磁石の場合は、外周一周で2周期となる。
具体的には、本実施形態に係るボンド磁石は、磁極の数をnとした場合に、2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む区間全域において、磁束密度の極大値又は極小値の70%以上の強度を発現し、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となる。
一方、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石は、磁極の数をnとした場合に、2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む区間全域において、磁束密度の極大値又は極小値の60%以上の強度を発現する。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する2/n周期の50%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する1/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する1/n周期の50%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
磁極の数をnとした場合に、磁石の36°/n、144°/nにおける磁束密度が、磁束密度の極大値又は極小値の70%以上とし、75%以上が好ましく、80%以上が好ましい。磁極の数をnとした場合に、磁石の36°/n、144°/nにおける磁束密度が、95%以下とし、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
磁極の数をnとした場合に、磁石の216°/n、324°/nにおける磁束密度が、磁束密度の極大値又は極小値の70%以下とし、75%以下が好ましく、80%以上が好ましい。磁極の数をnとした場合に、磁石の216°/n、324°/nにおける磁束密度が、95%以上とし、90%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
磁束密度分布は、対向する一対の磁極において中心軸に対して対称となるのが好ましい。磁束密度分布は、対向する一対の磁極全てにおいて中心軸に対して対称となるのが好ましい。
この様にすることで、本実施形態に係る磁石は、1/n周期毎に磁束密度分布が中心軸に対して対称となり、磁束密度が規則的に変化することになる。本実施形態に係る磁石が、モータのロータコアやステータコアに使用された場合に、回転軸の回転が安定し、従来の磁石よりも安定した高速回転が可能となる。
また、本実施形態に係るボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した2/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0以上0.7以下であり、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となる。
本実施形態に係るボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した1/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0以上0.7以下であり、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となることが好ましい。
一方、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した2/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0.74以上である。
(第4実施形態)
第4実施形態は、第2実施形態における回転軸207aを磁性体の回転軸207としたロータコア(ロータ)の実施形態である。それ以外は、第2実施形態と同様である((図1(d)参照))。
金型501内に形成されたキャビティ内に回転軸207が存在する点は、第2実施形態と同様であり、磁性粉を含む溶融樹脂が磁性体の回転軸207を取り囲む点は、第3実施形態と同様である。従って、本実施形態の溶融樹脂に対する配向磁場の作用は、第3実施形態と同様である。
射出成形によりボンド磁石を製造する場合は、例えば、下金型は円筒形であり、上金型と対向する面は平面であり、上金型は、中心部に穴が開けられており、回転軸が貫通するようになっており、回転軸の位置合せができる金型が使用可能である。
又、本実施形態において使用する金型は、円筒状のダイと、円筒状の上パンチ及び下パンチとを有する圧縮成形金型も使用可能である。円筒状のダイと、ダイの内側に配置された円柱状のコアと、ダイとコアの間を摺動する円筒状の上パンチ及び下パンチとを有する圧縮成形金型が好ましい。
この場合、成形は、例えば、円筒状のダイの内面と円柱状のコアの外面と円柱状の上パンチと下パンチとで構成される円筒状の隙間に磁性粉を含む溶融樹脂を配置し、そのボンド磁石材料を上パンチ及び下パンチにより圧縮して行う。成形圧力は、適宜選択可能である。そして、円筒状(中空の円柱状)のボンド磁石成形体が得られる。
本実施形態に係るボンド磁石(ロータコア)の磁束密度測定位置に対して磁束密度強度を示す磁束密度の波形は、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石の磁束密度の極よりも強度が低下して、なだらかになり平坦化した、略台形状となる。
なお、本実施形態に係るボンド磁石の前記波形は、方形波とも異なる。
具体的には、本実施形態に係るボンド磁石は、磁極の数をnとした場合に、2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む区間全域において、磁束密度の極大値又は極小値の70%以上の強度を発現し、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となる。
一方、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石は、磁極の数をnとした場合に、2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む区間全域において、磁束密度の極大値又は極小値の60%以上の強度を発現する。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する2/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する2/n周期の50%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する1/n周期の60%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ボンド磁石の磁束密度の極大値又は極小値に対する1/n周期の50%以内の区間であって、極大値又は極小値を含む連続した一区間全域における磁束密度の強度の比は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
磁極の数をnとした場合に、磁石の36°/n、144°/nにおける磁束密度が、磁束密度の極大値又は極小値の70%以上とし、75%以上が好ましく、80%以上が好ましい。磁極の数をnとした場合に、磁石の36°/n、144°/nにおける磁束密度が、95%以下とし、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
磁極の数をnとした場合に、磁石の216°/n、324°/nにおける磁束密度が、磁束密度の極大値又は極小値の70%以下とし、75%以下が好ましく、80%以上が好ましい。磁極の数をnとした場合に、磁石の216°/n、324°/nにおける磁束密度が、95%以上とし、90%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
磁束密度分布は、対向する一対の磁極において中心軸に対して対称となるのが好ましい。磁束密度分布は、対向する一対の磁極全てにおいて中心軸に対して対称となるのが好ましい。
この様にすることで、本実施形態に係る磁石は、1/n周期毎に磁束密度分布が中心軸に対して対称となり、磁束密度が規則的に変化することになる。本実施形態に係る磁石が、モータのロータコアやステータコアに使用された場合に、回転軸の回転が安定し、従来の磁石よりも安定した高速回転が可能となる。
また、本実施形態に係るボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した2/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0以上0.7以下であり、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となる。
本実施形態に係るボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した1/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0以上0.7以下であり、磁束密度測定位置に対する磁束密度分布の波形が略台形状となることが好ましい。
一方、通常の一般的な正弦波を示すボンド磁石は、極大値又は極小値を含む連続した2/n周期の60%以内の区間において、磁束密度測定位置に対する磁束密度の強度の変化の割合の絶対値が0.74以上である。
本実施形態に係るロータ220は、第2実施形態のロータ220aと同様の効果を奏する。本実施形態に係るロータのボンド磁石104は、第3実施形態のボンド磁石103と同様の効果を奏する。
本実施形態に係るロータ220は、第3実施形態のボンド磁石103と同様の効果を奏する。
本実施形態に係るロータ220(図2(a))は、ロータコアの磁束密度の極大値が抑えられたロータである。例えば、ロータ220がブラシレスモータに組み込まれた場合、ステータコアのコイルに電圧が印加されてロータが回転する状態において、ロータコアの磁場とステータコアとの磁場の重なりが広がる。このため、本実施形態に係るロータが組み込まれたモータは、回転制御が行いやすくなる。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第4実施形態に係るロータ220を組み込んだロータ組立体230である(図2(b)参照)。ロータ220の組み込みがロータ220の磁性に影響を与えることはないため、本実施形態のロータ組立体230において、ボンド磁石(ロータコア)の磁性に変化はない。
従って、本実施形態に係るロータ組立体230のロータは、第4実施形態に係るロータ220と同様の効果を奏する。
本実施形態に係るロータ組組立体230は、例えば、次の様に構成される。磁性体の回転軸207の一端にボンド磁石(ロータコア)209が形成され、ボンド磁石209よりも更に磁性体の回転軸207の一端にバランス調整用リング213が取り付けられ、ボンド磁石209から他端に向けて順に、位置決めスリーブ214(図示せず)、軸受212、スリーブ216(図示せず)及びバネ217、軸受212、遠心羽根車203が取り付けられている(図2(b)参照)。
ロータ組組立体230は、羽根の枚数を偶数枚とした遠心羽根車203と、磁極を偶数有するボンド磁石を備えた回転軸207とから構成されることで、磁石209の極位置と、遠心羽根車203の羽根3のラジアル方向の位置がどの位置で組まれても、極の位置と羽根の位置とが極ごとに回転対称となるので、重心バランスを取りやすくなる。重心バランスがとりやすくなることで、ロータ組組立体230を備えた電動送風機の動作音や振動を低減でき、電動送風機の高効率化を図ることが可能になる。ロータコアや遠心羽根車203のバランスの修正のための加工の手間や削り量を削減することが可能となる。
ロータ組組立体230を回転軸方向から見た場合に、ロータコア209の磁極の中心と遠心羽根車203の羽根の重心が重なることが好ましい。この様にすることで、よりロータ組組立体230のバランスがとりやすくなり、ロータ組組立体230を備えた電動送風機の動作音や振動をより低減でき、電動送風機の高効率化を更に図ることが可能になる。
本実施形態に係るロータ組立体230は、例えば、電動送風機200に組み込まれて、ステータコアのコイルに電圧が印加されロータが回転可能な状態において、ロータコアの磁場とステータコアとの磁場の重なりが広がった電動送風機200である。よって、本実施形態に係るロータ組立体が組み込まれた電動送風機200は、回転制御が行いやすくなる。
そして、電動送風機200は、高速回転制御が行いやすくなり、高効率化する。
(第6実施形態)
第6実施形態は、第5実施形態におけるロータ組立体230を組み込んだ電動送風機200である。
ロータ組立体230の電動送風機200への組み込みがロータ組立体230の機能、作用に影響を与えることはないため、第8実施形態は、第5実施形態におけるロータ組立体と同様の効果を奏する。
(第7実施形態)
第7実施形態は、第1実施形態のボンド磁石100、第3実施形態のボンド磁石103、第2実施形態のボンド磁石101(ロータ220a)、又は、第4実施形態のボンド磁石104(ロータ220)を組み込んだモータ270である(図3参照)。
第1、第2実施形態のボンド磁石100、101は、磁束密度分布のバラツキが抑えられている。このため、第1、第2実施形態のボンド磁石100、101がモータのロータコアに使用されると、ロータコアとステータコアとの吸引力、反発力が円滑に変化する。第3、第4実施形態のボンド磁石103、104は、磁束密度の極大値が抑えられており、磁束密度測定位置に対して磁束密度強度を示す磁束密度の波形が平坦化した略台形状を示すボンド磁石である。このため、第3、第4実施形態のボンド磁石103、104がモータのロータコアに使用されると、正弦波形を示すコアよりもロータコアの磁場とステータコアとの磁場の重なりが広がって磁場の相互作用が起こりやすくなり、ロータの回転が安定する。よって、第6実施形態に係るモータは、ロータ(回転軸)を高速回転させることが可能となる。又、ロータの高速回転に伴う異音の発生や振動の発生を抑えることが可能となる。
更に、第3、第4実施形態のボンド磁石をロータコアに使用したモータは、ボンド磁石(ロータコア)の磁束密度の極大値が抑えられて、ロータコアの磁場とステータコアとの磁場の重なりが広がっているため、モータの最大電流量も抑えることが可能となる。従って、モータに流れる電流を抑えるためにモータの端子間電圧を高くする必要がなくなり、モータに接続された電源(2次電池等)の電圧利用率が向上する。又、第6実施形態に係るモータは、弱め界磁制御が行いやすい。
なお、第1〜第4実施形態と同様に製造された磁石がステータコアに使用されてもよい。
第1〜7実施形態では、ロータコアに磁石を使用したインナーロータ型ブラシレスモータを主に例として挙げて、説明したが、適切な形状とした磁石をステータコアとして使用することも、アウターロータ型ブラシレスモータ、ブラシを有するモータ等に対して適用することも当然可能である。又、磁石の極数も2極に限られず、4極等任意の極数の磁石に適用することも当然可能である。
(実施例1)
本願発明の第4実施形態に係るウエルドを磁極の境に有し、磁束密度測定位置に対する磁束密度の変動が減少した回転軸をインサート成形したボンド磁石、及びその製造について説明する。
ゲート508が中心軸を含む縦断面を対称面とする位置に2つ設けられて、磁性体の回転軸207がキャビティ内に配置された金型501を用意した。
ボンド磁石を構成する磁性粉としてサマリウム鉄窒素系磁性粉を使用し、磁性粉を結着する樹脂としてナイロン系樹脂を使用した磁石材料(磁性粉を含む溶融樹脂)を、ゲートから金型のキャビティ内に等速度、等量となる様に射出した。
そして、冷却した後、金型501から取り出した(試験体1)。
(比較例1)
ゲートが中心軸に対して対称となる位置に3か所設けられた金型500aを使用した以外は、実施例1と同様の条件として、試験体11を製造した。
試験体1は、ウエルド508が磁石1の中心軸を通る断面上、かつ、磁極の境に形成された(図1(d)参照)。
試験体11は、ウエルド508aが中心軸を対称軸として等距離となる位置に3つ、かつ、磁極の境とは関係なく形成された(図1(e)参照)。
試験体1の磁束密度測定位置に対する磁束密度を測定した結果をそれぞれ図4(a)に示し、試験体11の磁束密度測定位置に対する磁束密度を測定した結果を図4(b)に示す。
図4(a)に示す様に、実施例の試験体1の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、90°において極大となり、270°で極小となる磁束密度分布を示した。
図4(a)に示す様に、実施例である試験体1の36°における表面磁束強度は、73であり、90°における表面磁束強度は、100である。極大値(90°)における表面磁束強度に対する36°における表面磁束強度の比は、73%である。同様に、144°における表面磁束強度は、80であり、極大値(90°)における表面磁束強度に対する144°における表面磁束強度の比は、80%である。216°における表面磁束強度は、−70であり、270°における表面磁束強度は、−87である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する216°における表面磁束強度の比は、70%である。324°における表面磁束強度は、−80であり、270°における表面磁束強度は、−100である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する324°における表面磁束強度の比は、80%である。
なお、各測定位置における表面磁束強度は、極大値(90°)における表面磁束強度を100とした相対比率で記載した。
図4(a)に示す様に、実施例である試験体1の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、36°付近から144°付近までなだらかに変化し90°において極大となり、216°付近から324°付近までなだらかに変化し270°で極小となる磁束密度分布を示した。36°から90°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、27/54=0.50であった。同様に、90°から144°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−20/54=−0.37であった。216°から270°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−17/54=−0.31であった。270°から324°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、7/54=0.13であった。
一方、図4(b)に示す様に、比較例である試験体11の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、90°付近において極大となり、240°、310°付近で極小となり、更に、ウエルドの形成位置である40°、140°付近で極小となり、270°付近で極大となる磁束密度分布を示した。
従って、本願発明に係る磁石の製造方法は、ウエルドの形成位置を制御することが可能であることを示すとともに、本願発明に係る磁石は、磁束密度の強度のバラツキを抑えることが可能である。
(実施例2)
本発明の第2実施形態に係る非磁性体の回転軸をインサート成形したボンド磁石、及びその製造について説明する。
インサート成形する回転軸を非磁性体として、非磁性体の回転軸207aがキャビティ内に存在した状態で磁性粉を含む溶融樹脂を射出した以外は(図1(b)参照)、実施例1と同様の条件として、試験体2を製造した。
試験体2の磁束密度測定位置に対する磁束密度を測定した結果を図5(a)に示す。
図5(a)に示す様に、実施例である試験体2の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、90°付近において極大となり、270°付近で極小となる正弦波状の磁束密度分布を示した。
図5(a)に示す様に、実施例である試験体2の36°における表面磁束強度は、60であり、90°における表面磁束強度は、100である。極大値(90°)における表面磁束強度に対する36°における表面磁束強度の比は、60%である。同様に、144°における表面磁束強度は、60であり、極大値(90°)における表面磁束強度に対する144°における表面磁束強度の比は、60%である。216°における表面磁束強度は、−60であり、270°における表面磁束強度は、−100である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する216°における表面磁束強度の比は、60%である。324°における表面磁束強度は、−60であり、270°における表面磁束強度は、−100である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する324°における表面磁束強度の比は、60%である。
なお、各測定位置における表面磁束強度は、極大値(90°)における表面磁束強度を100とした相対比率で記載した。
図5(a)に示す様に、実施例である試験体2の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、90°付近において極大となり、270°付近で極小となる正弦波状の磁束密度分布を示した。54°から90°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、40/54=0.74であった。同様に、90°から144°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−40/54=−0.74であった。216°から270°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−40/54=−0.74であった。270°から324°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、40/54=0.74であった。
従って、本願発明に係る磁石の製造方法は、内部に回転軸等の非磁性体を配置したインサート成形においても、ウエルドの形成位置を制御することが可能であることを示す。
(実施例3)
本発明の第4実施形態に係るウエルドの形成位置が制御され磁束密度測定位置に対する磁束密度の波形が平坦化した略台形状を示すボンド磁石、及びその製造について説明する。
磁性体の回転軸207がキャビティ内に存在した状態で磁性粉を含む溶融樹脂を射出した以外は、実施例2と同様の条件として、試験体3を製造した。
試験体3の磁束密度測定位置に対する磁束密度を測定した結果を図5(b)に示す。
図5(b)に示す様に、実施例である試験体3の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、54°付近から126°付近までなだらかに変化し90°において極大となり、234°付近から306°付近までなだらかに変化し270°で極小となる磁束密度分布を示した。つまり、試験体3は、図1(f)に示す様な磁性体により外周面の法線方向に曲げられた円弧状の磁束を有する。
図5(b)に示す様に、実施例である試験体3の36°における表面磁束強度は、70であり、90°における表面磁束強度は、90である。極大値(90°)における表面磁束強度に対する36°における表面磁束強度の比は、77.8%である。同様に、144°における表面磁束強度は、70であり、極大値(90°)における表面磁束強度に対する144°における表面磁束強度の比は、77.8%である。216°における表面磁束強度は、−70であり、270°における表面磁束強度は、−90である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する216°における表面磁束強度の比は、77.8%である。324°における表面磁束強度は、−70であり、270°における表面磁束強度は、−90である。極小値(270°)における表面磁束強度に対する324°における表面磁束強度の比は、77.8%である。
なお、各測定位置における表面磁束強度は、実施例2の表面磁束強度の測定結果である図5(a)の極大値(90°)における表面磁束強度を100とした相対比率で記載した。
図5(b)に示す様に、実施例である試験体3の磁束密度測定位置に対する表面磁束密度は、36°付近から144°付近までなだらかに変化し90°において極大となり、216°付近から324°付近までなだらかに変化し270°で極小となる磁束密度分布を示した。54°から90°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、20/54=0.37であった。同様に、90°から144°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−20/54=−0.37であった。216°から270°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、−20/54=−0.37であった。270°から324°までの区間における表面磁束の強度の変化を計算すると、20/54=0.37であった。
従って、本願発明に係る磁石の製造方法は、ウエルドの形成位置を制御することが可能であることを示し、磁束密度の強度のバラツキを抑えることが可能であることを示すとともに、磁束密度の極大領域を拡げた磁石とすることが可能であることを示す。
(実施例4)
以下、本願発明に係るロータ組立体、電動送風機の実施例として、本願発明に係るロータ組立体、電動送風機を搭載する電気掃除機について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下では、スティック型とハンディ型とを適宜切り替えて使用できる充電式の電気掃除機400に適用した場合を例に挙げて説明するが、スティック型のみ、ハンディ型のみ、など様々なタイプの電気掃除機に適用することができる。
図6は本実施例における電動送風機を搭載した電気掃除機を示し、(a)はスティック型として使用する際の斜視図、(b)は電気掃除機をハンディ型として使用する際の側面図である。
図6(a)に示すように、電気掃除機400は、塵埃を集塵する集塵室401および集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(図7)を収納する掃除機本体410、掃除機本体410に対して伸縮自在に設けられた伸縮パイプ402、伸縮パイプ402の一端に回動自在に設けられたグリップ部403、グリップ部403に設けられた電動送風機200の入切を行うスイッチ部404aおよびスイッチ部404b(図6(b)参照)を備えて構成されている。
図6(a)に示す電気掃除機400は、スティック状態であり、伸縮パイプ402が伸ばされて、グリップ部403が伸縮パイプ402と逆側に回動してロックされた状態である。また、掃除機本体410の他端には吸口体405が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体405とが接続部406で繋がれている。
図6(b)に示す電気掃除機400は、ハンディ状態であり、伸縮パイプ402が掃除機本体410内に収納され、グリップ部403が伸縮パイプ402側に回動した状態である。また、回動したグリップ部403は、掃除機本体410の上面に設けられたクランプ部材407にクランプされている。また、掃除機本体410の他端部には吸口体(隙間ノズル)408が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体408とが接続部406で繋がれている。
以上の電気掃除機400において、グリップ部403のスイッチ部404a(図6(a)参照)またはスイッチ部404b(図6(b)参照)を操作することで、掃除機本体410に収納された電動送風機200(図7参照)が作動し、吸込気流を発生させる。そして、吸口体405、408から塵埃を吸込み、接続部406を通して掃除機本体410の集塵室401に集塵する。
図7は本実施例における電動送風機を搭載した掃除機本体の縦断面図である。なお、図7は、ハンディ状態であり、掃除機本体410から吸口体408を取り外した状態である。
図7に示すように、掃除機本体410の内部には、吸引力を発生させる電動送風機200、電動送風機200に電力を供給する電池ユニット420、駆動用回路430が設けられている。
吸口体405、408(図6(a)、(b)参照)から吸い込まれた空気は、掃除機本体410に設けられた流路440(図6(a)参照)を通って電動送風機200の前方に配置された集塵室401に送られ、集塵室401内に集塵される。そして、集塵室401で塵挨が分離された後の空気は、電動送風機200、駆動用回路430を通り、掃除機本体410に形成された排気口(不図示)から外部に排出される。
図8は本実施例における電動送風機を示す分解斜視図である。
図8に示すように、電動送風機200は、DCブラシレスモータであり、ファンケーシング204、案内翼205、ハウジング208、固定ねじ218、219、ロータ組立体230、ステータ240などで構成されている。
ファンケーシング204には空気吸込口206が形成されている。案内翼205は、複数のディフューザ羽根13、略三角形状の流路18を備えたディフューザ205aと、該ディフューザ205aの裏面に複数のリターンガイド羽根14を備えたリターンガイド205bと、を備えている。また、案内翼205は、固定ねじ218を介してハウジング208に固定されている。
ステータ240は、固定ねじ219を介してハウジング208に固定されている。ロータ組立体230は、案内翼205およびハウジング208に挿通され、ロータ組立体230に設けられたロータコア209がステータ240と対向する位置に配置される。
図9は電動送風機のロータ組立体を示す分解斜視図である。
図9に示すように、ロータ組立体230は、遠心羽根車203、回転軸207、ロータコア209、軸受212、212、リング部材213、ばね217およびカバー250によって構成されている。なお、軸受212、212とばね217とで軸受部が構成されている。
遠心羽根車203は、熱可塑性樹脂製であり、回転軸207の一端(先端)に固定されている。回転軸207は、細長い円柱形状のものであり、鉄などの磁性材料によって構成されている。本実施例では、遠心羽根車203を回転軸207に圧入固定しているが、回転軸207の端部(先端)にねじを設け、遠心羽根車203を固定ナットによって固定してもよい。
また、回転軸207の軸方向Gの略中央には、軸受212、212が互いに軸方向Gに離間して設けられている(図8参照)。また、回転軸207の一端には遠心羽根車203が固定され、回転軸207の他端にはリング部材213が固定されている。
カバー250は、非磁性の薄板を筒状に形成したものであり、ロータコア209の周面に接した状態で取り付けられている。また、カバー250は、非磁性とするために、例えば、ステンレス鋼にニッケル量を多く配合した(例えば、12%以上含有させた)もので構成される。
また、カバー250は、軸方向の一端に径方向内側に折り曲げられたつば部250aが形成されている。カバー250が回転軸207の一端側から挿通されることにより、つば部250aがロータコア209の端面209aに当接して引っ掛かることで位置決めされる。このように、カバー250でロータコア209を被覆することによって、ロータコア209を高速で回転させた時に、ロータコア209が破損して飛び散るのを防止できる。
ところで、カバー250が磁性を帯びていると、ロータコア209の磁束がカバー250を通ってロータコア209に戻るため、ロータコア209に作用する力が弱くなり、電動送風機200としての効率が低下する。そこで、カバー250を非磁性の材料で形成することで、ロータコア209の磁束を、カバー250を通してステータコア210に透過させることができ、電動送風機200の効率が低下するのを防止できる。
回転軸207には、軸受212と軸受212との間にばね217が設けられている。軸受212は、例えば、外輪212a、内輪212bおよび複数の玉212cによって構成され、外輪212aがハウジング208に固定され、内輪212bが回転軸207に固定されている。ばね217は、コイルスプリングで構成され、各軸受212、212の外輪212aを互いに離間する方向に付勢している。これにより、軸受212におけるがたつきを防止することで、電動送風機200の音や振動を抑制している。
図10は本実施例における電動送風機を示す側面図である。
図10に示すように、電動送風機200は、送風機部201と電動機部202に大別される。送風機部201は、遠心羽根車203(図8参照)と、該遠心羽根車203を収納するファンケーシング204と、案内翼205(図8参照)とを含んで構成されている。
電動機部202は、ハウジング208内に収納される回転軸207(図8参照)に固定されるロータコア209(図9参照)と、ハウジング208に固定されるステータコア210とを含んで構成されている。
図11は本実施例における電動送風機の縦断面図である。
図11に示すように、ステータ240は、ステータコア210の周りに導線211が巻かれ、一緒になって相巻線を形成している。この相巻線は、電動送風機200に備わる図示しない回路部に電気的に接続されている。
ロータコア209は、回転軸207における遠心羽根車203が固定されている端部と逆側の端部に設けられている。このロータコア209は、例えば、希土類系のボンド磁石によって構成されている。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石や、ネオジム磁石等を用いることができる。また、ロータコア209は、回転軸207に一体成形されている。
このように、ロータコア209をボンド磁石で構成することで、電動送風機200を軽量化することができる。また、ボンド磁石を使用することで、リング部材213を軽量化することができ、電動送風機200の軽量化を図ることができる。
なお、本実施例では、ロータコア209に永久磁石を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば毎分80,000回転以上の高速回転を可能とする無整流子電動機の一種であるリラクタンスモータなどを使用してもよい。
回転軸207には、遠心羽根車203とロータコア209との間に、軸受212、212が設けられている。軸受212、212は、軸方向に離間して配置され、回転軸207を回転自在に支持している。
リング部材213は、バランス調整用のものであり、回転軸207におけるロータコア209側の端部(回転軸207の他端)に設けられている。また、リング部材213は、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料で構成されている。なお、リング部材213は、例えば銅材などの焼結品(燒結体)や機械加工で形成することができる。銅材の燒結品を使用することにより、寸法精度を高いものを安価に製造できる。
また、リング部材213としては、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料であれば、銅に限定されるものではなく、ステンレス鋼、金、銀、鉛などを用いることもできる。
また、回転軸207には、ロータコア209側の軸受212とロータコア209との間に、軸受212の位置決め用スリーブ214が設けられている。
ハウジング208は、合成樹脂製であり、軸受212、212を内包する軸受カバー215を固定する支持部26を有している。軸受カバー215内には、軸受212、212と、スリーブ216と、ばね217と、が設けられている。ばね217は、圧縮された状態で配置され、軸受212、212の外輪にそれぞれ当接して予圧を付与している。
軸受カバー215の外周には、軸受212の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27が設けられている。また、軸受カバー215は、非磁性金属材料製であり、樹脂製のハウジング208とインサート成形によって一体化されている。
また、ハウジング208の支持部26には、軸方向Gに延在するねじ穴28が形成されている。ねじ穴28には固定ねじ218が螺合可能で、固定ねじ218の螺合によって案内翼205がハウジング208に固定される。
また、ハウジング208には、ハウジング208内に空気が流れ込む開口34と、電動送風機200の外部に空気を排出する排気口35とが形成されている。また、ハウジング208の軸方向Gの端部に配置されるステータコア210は、固定ねじ219によってハウジング208に固定されている。
ロータコア209の磁気センタL1は、ステータコア210の磁気センタL2に対して軸方向Gにずれた状態で位置している。なお、磁気センタL1は、ロータコア209の軸方向Gの中心であり、磁気センタL2は、ステータコア210の軸方向Gの中心である。これによって、ロータコア209をステータコア210側に引っ張る力(スラスト方向の力)が作用し、これにより高速回転時にロータの軸方向Gのガタつきを防止することが可能となり音や振動を低減できる。又、遠心羽根車203により高速回転時には、ロータ組立体230が、遠心羽根車230側へ引っ張られる力が発生する。この力と、磁気センタをずらすことで発生する力が逆方向となるため、高速回転時の機械損が減り高効率化を図ることができる。更に、組立時、ロータ組立体230を軸受カバー215内へ挿入する際、ステータコア210側へと向かう力が発生するため作業性の向上を図ることができる。
図12は遠心羽根車の斜視図、図13は遠心羽根車を構成するシュラウド板の外観図を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は背面図、図14は遠心羽根車からシュラウド板を取り外した状態を示す斜視図、図15は遠心羽根車の縦断面図、図16はロータ組立体をリング部材側から見たときの斜視図である。
である。
図12に示すように、遠心羽根車203は、シュラウド板1と、ハブ板2と、複数枚の羽根3とによって構成されている。ハブ板2と羽根3は、熱可塑性樹脂で一体成形されている。
図13(a)に示すように、シュラウド板1は、中央部に空気を吸い込む円環状の吸込開口4が形成されている。この吸込開口4には、回転軸207(図11参照)と略平行に延びる直線部5が形成されている。この直線部5の先端5aは、板厚(径方向)が基端よりも薄く形成されている(図15参照)。
図13(b)に示すように、シュラウド板1は、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れに転向する曲面部6が形成されている。
図13(c)に示すように、シュラウド板1は、直線部5と曲面部6が滑らかに接続され、曲面部6から外径に向けて半径方向を向くように構成されている。また、シュラウド板1の背面には、曲面部6から外径に向けて、羽根3と対応する位置に凹状溝7が形成されている。この凹状溝7は、シュラウド板1の内径端から外形端まで延設されている。また、凹状溝7には、各羽根3に形成された爪10(図14参照)と嵌合する貫通孔8が形成されている。
図14に示すように、ハブ板2の中央には、回転軸207(図9参照)が挿入、固定される凸形状のボス9が形成されている。ハブ板2と一体成形されている羽根3は、周方向に等間隔で設置されており、径方向内側から径方向外側に向かうにつれて、回転方向に後退する羽根形状を有している。ボス9は、軸側から径方向外側に向けて曲面9aが形成されている。
羽根3の上面には、突起状の爪10が形成されるとともに、爪10から外径側に溶着用のリブ11が形成されている。また、羽根3の上面には、爪10から内径側にシュラウド板1の曲面部6と密着するように羽根3の圧力面(凸面)側に傾斜面12が形成されている。なお、溶着用のリブ11の形状(断面形状)は、三角形や、半円形や、台形としてもよい。
羽根3の爪10をシュラウド板1の貫通孔8(図13(a)参照)に挿入するとともに、シュラウド板1の凹状溝7(図13(c)参照)と羽根3とを係合させ、爪10およびリブ11をシュラウド板に溶着加工により接合することで、遠心羽根車203が形成される。
なお、シュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12には溶着加工を施していない。これにより、シュラウド板1の曲面部6から外径にかけての略軸方向からの溶着加工のみで行うことができるので、溶着加工を簡略化できる。また、リブ11は凹状溝7内で溶融するが、リブ11の体積を、凹状溝7に羽根3が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしている。そのため、溶融した樹脂材が遠心羽根車203の流路内にはみ出すことを抑制できる。
また、遠心羽根車203は、流路中央付近から出口までの圧力の高くなる流路内は、羽根3の溶着リブ11が溶融し、シュラウド板1と溶着されているため、羽根3間での漏れを防止することができる。
また、遠心羽根車203の前縁側となる、羽根3の爪10より前縁側には、シュラウド板1の曲面部6の形状と一致するように傾斜面12が形成されている。また、遠心羽根車203では、特に入口流れが重要であり、シュラウド板1の曲面部6には溶着加工を施していないため、羽根3の傾斜面12には溶着によるバリなどが発生していない。すなわち、入口側で流れを乱すことが無く、空気を羽根3にスムーズに流入させることができる。
さらに、図15に示すように、遠心羽根車203では、シュラウド板1に吸込開口4(図13(a)参照)が形成され、直線部5と曲面部6とが滑らか面となるように形成されるとともに、ハブ板2の流路面のボス9が軸方向Gから径方向に向かうように曲面9a(図14参照)が形成されている。そのため、吸込開口4から流入した軸方向Gの空気の流れを径方向流れにスムーズに転向させながら羽根3に流入させることができ、遠心羽根車203の入口での曲がり損失を低減することができる。
また、遠心羽根車203の作動時においては、遠心力により前縁側がシュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12が密着するように働くため、入口側で羽根3とシュラウド板1の隙間がなくなり、電動機部202(電動送風機200)の高効率化を図ることができる。
また、遠心羽根車203は熱可塑性樹脂製によって構成されているが、電動送風機200などから発生する熱による変形等を防ぐため、特に耐熱性が100℃以上、遠心応力に耐えるために引張強度が100MPa以上あるエンジニアリングプラスティック材料を使用することが望ましい。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、PEEKにカーボン繊維が含まれているものであるとより望ましい。これにより、金属製の遠心羽根車よりも軽量化が図られ、強度を確保し、高速回転に耐えることができる樹脂製の遠心羽根車203を実現できる。
電動機部202を駆動して遠心羽根車203を回転させると、ファンケーシング204の空気吸込口206から空気が流入し、遠心羽根車203内に流入する。流入した空気は、遠心羽根車203内で昇圧および増速され、遠心羽根車203から吐出される。遠心羽根車203から吐出された空気流は、案内翼205に導かれる。
図16に示すように、遠心羽根車203は、ハブ板2の羽根3の裏面側の外周に凸部2aが周方向に沿って形成されている(図15参照)。換言すると、遠心羽根車203の外周縁部203aは、内周側よりも軸方向Gに肉厚に形成されている。製造された各ロータ組立体230について、バランス調整が行なわれるが、このときハブ板2の凸部2aと、回転軸207の軸端に取り付けられているバランス調整用のリング部材213と、を軸方向Gから削ることで(穴P1、P2参照)、バランスを修正する。
このように、遠心羽根車203の外周縁部203a(外周側)を削ることで、内周側を削るよりも少しの削り量でバランスを修正することができる。また、リング部材213をロータコア209よりも比重の大きい材料で形成することで、リング部材213の形状を樹脂で形成する場合よりも小さくすることができ、電動送風機200の小型化が可能になる。よって、回転軸207の端部にリング部材213を設けることで、回転体(ロータ組立体230)の回転時のアンバランス量を抑制することができ、振動や騒音の低減を図ることができ、電動送風機200の高効率化を図ることができる。また、回転軸207の両端(リング部材213と遠心羽根車203)でバランスを調整することができるので、バランス調整が容易になる。このように、遠心羽根車203を含めた回転体(ロータ組立体230)のアンバランス量を小さくでき、振動や騒音の低減が図られ、毎分80,000回転以上の高速回転を可能とする電動送風機200を実現することができる。
図17は遠心羽根車の羽根とロータコアとの関係を示す模式図である。なお、図17は、ロータ組立体230のシュラウド板1を取り外した状態を示し、また遠心羽根車203の中心部分を簡略化して示している。
図17に示すように、ロータ組立体230では、遠心羽根車203の羽根3の枚数は、8枚であり、ロータコア209の極数は、N極とS極の2極である。このように、羽根3の枚数を、ロータコア209の極数のn(nは1以上の整数)倍となっている。このように構成することで、ロータコアの極位置と、遠心羽根車の羽根のラジアル方向の位置がどの位置で組まれても、極の位置と羽根の位置とが極ごとに回転対象となるので、ロータコア209で発生する力が、均一に遠心羽根車203の羽根3へ均一に掛かり、音や振動を低減できる。なお、羽根3の枚数がロータコア209の極数のn数倍であれば、本実施例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
また、ロータコア209のN極とS極との境界のウエルド209bは、回転軸207の軸中心Oを通るように構成されている。これにより、ロータコア209におけるN極、S極の磁束密度のアンバランス量を小さくすることができ、音や振動を低減でき、電動送風機200の高効率化を図ることが可能になる。
次に図18および図19を参照して、本実施例の案内翼205について説明する。図18(a)は案内翼の斜視図、(b)は案内翼の背面図、(c)は案内翼の縦断面図、図19はディフューザ内の流れを示す説明図である。
図18(a)に示すように、案内翼205は、樹脂製であり、複数枚のディフューザ羽根13と、該ディフューザ羽根13の下流側に形成された複数枚のリターンガイド羽根14と、ディフューザ羽根13とリターンガイド羽根14との間を仕切る仕切板15と、が一体に成形されている。
ディフューザ羽根13の上面には、リブ13aが形成され、このリブ13aがファンケーシング204(図11参照)の内面25a(図11参照)に当接している。ディフューザ205a側では、ファンケーシング204とディフューザ羽根13と仕切板15とでディフューザ流路R1(図11参照)を構成している。
仕切板15の中央には、ロータ組立体230を挿通する貫通孔16aが形成されている。また、仕切板15には、貫通孔16aの周囲には、貫通孔16bが複数箇所に形成されている。貫通孔16bに固定ねじ218(図8参照)を挿通し、ハウジング208のねじ穴28に螺合することによって、案内翼205がハウジング208に固定される。
図18(b)に示すように、リターンガイド205b側では、仕切板15とリターンガイド羽根14とでリターンガイド流路R2(図11参照)を構成している。また、リターンガイド205b側の貫通孔16bの外周には、円筒状の凸部17が形成されている。この凸部17とハウジング208の凹部29(図8参照)とが嵌め合わさることで送風機部201(図11参照)側への漏れを防止している。
図18(c)に示すように、ディフューザ羽根13の外径側は軸方向にゆるやかに傾斜し、軸方向(図示下方)に傾斜したディフューザ流路R3を形成している。
図19に示すように、案内翼205は、ディフューザ羽根13の外周端側にディフューザ羽根13とディフューザ羽根13との隙間から流出した空気をリターンガイド羽根14(図18(b)参照)側に流す略三角形状の流路18が形成されている。ディフューザ羽根13への流入流れ19は、隣り合うディフューザ羽根13と仕切板15とファンケーシング204とで囲まれたディフューザ流路R1(図8参照)内で減速されて、ファンケーシング204の内面204bに当たって、略三角形の形状をした流路18を通って軸方向Gに転向した流出流れ20となる。流出流れ20は旋回方向の流れ成分を有しており、リターンガイド羽根14(図18(b)参照)によって旋回流れを半径方向内向きの流れに転向する。
案内翼205のディフューザ205aは、複数のディフューザ羽根13を備え、空気流がディフューザ羽根13の羽根間で減速されることによって、空気流のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され圧力が上昇する。ディフューザ205aから吐出された空気流は、ファンケーシング204の内面とディフューザ205aの後縁間で形成された流路18(図19参照)からリターンガイド205bに流入する。なお、本実施例では羽根付ディフューザを用いているが、羽根無しディフューザとしてもよい。その場合は、案内翼の外径側に支柱を複数本設け、ファンケーシング204を支持する。
リターンガイド205bのリターンガイド羽根14を通過した空気は、ハウジング208の開口34からハウジング208内部に流入し、軸受カバー215の冷却フィン27が冷却され、軸受カバー215を介して軸受212が冷却される(図11参照)。また、空気は、ロータコア209、ステータコア210、導線211を冷却して外部へ排出される。これによって、ハウジング208内の各部が冷却される。リターンガイド羽根14を通過した空気流の一部は、ハウジング208の排気口35から外部へ排出される。
リターンガイド羽根14は、ハウジング208の開口34(図11参照)に位置するように設けられている。リターンガイド羽根14によって半径方向内向きに転向した流れは、ハウジング208の開口34から軸受カバー215の冷却フィン27に当たり、軸受212が効果的に冷却される。これによって、軸受212の信頼性が高い電動送風機200を実現できる。
ファンケーシング204とディフューザ羽根13と仕切板15とで形成されたディフューザ流路R1(図11参照)は、ゆるやかに傾斜しているため(図18(c)参照)、平面視略三角形の形状をした流路18(図19参照)からリターンガイド羽根14へスムーズに流れることができ、曲がり損失を低減することができる。これによって、電動機部202の高効率化を図ることができる。また、リターンガイド205bの円筒状の凸部17(図18(c)参照)とハウジング208の凹部29(図8参照)で十分な気密が得られるので、電動機部202の効率をさらに向上させることができる。
図20(a)はファンケーシングの斜視図、(b)はファンケーシングの縦断面図である。
図20(a)に示すように、ファンケーシング204は、遠心羽根車203(図8参照)および案内翼205(図8参照)を外方から覆う略傘形状であり、平面視円形状の上板21と、上板21の周縁部に連続して軸方向に延在する円環状の側板22とを備えている。
ファンケーシング204の側板22には、上板21側とは逆側の縁部に複数の突起23が形成されている。突起23は、周方向に間隔を置いて形成されている。また、突起23には、ファンケーシング204をハウジング208に固定する固定孔24が形成されている。なお、本実施例では、突起23が3個形成されているが、3個に限定されるものではなく、4個以上設けてもよい。
図20(b)に示すように、ファンケーシング204には、上板21の中央に、空気吸込口206が形成されている。空気吸込口206の縁部内面には、凹部204aが形成され、凹部204a内に遠心羽根車203の直線部5が配置されている(図11参照)。ファンケーシング204と直線部5の先端は小さな隙間を有するように遠心羽根車203が配置され、遠心羽根車203で昇圧された空気が遠心羽根車203の吸込開口4側へ漏れる空気量を少なくする構造となっている。これにより、シール効果を高めることができ、電動機部202の効率をさらに向上させることができる。
ファンケーシング204の上板21の内面には弾性体を用いた気密保持部材25が配置されている。気密保持部材25はゴムやエラストマー等の弾性材料からなり、ファンケーシング204に一体成形されている。本実施例では、インサート成形により気密保持部材(弾性部材)25とファンケーシング204とを一体成形している。又、ゲート方向を遠心羽根車203の配置する面とは逆側(外側)とし、内側へゲート跡が残らない様にしている。ディフューザ羽根13に設けたリブ13a(図18(a)参照)が気密保持部材25に食い込むことで、ファンケーシング204と案内翼205との気密性が保持される。これによって、案内翼205のディフューザ羽根13間での漏れを防止することができ、電動送風機200の効率を向上させることができる。
図21(a)はハウジングと軸受カバーを一体化した斜視図、(b)はハウジングと軸受カバーを一体化した背面図、図22は図10の電動送風機のA−A線での断面図、図23(a)は図21(a)のB−B線での断面図、(b)は図21(a)のC−C線での断面図、図24は軸受カバーの斜視図である。
図21(a)に示すように、ハウジング208は、合成樹脂製であり、軸受212、212(図11参照)を内包する軸受カバー215を固定する支持部26を有している。支持部26は、略2重円筒状を呈しており、ハウジング208の前部(図示上部)の内側に位置している。
図21(b)に示すように、支持部26の内側の略円筒部26aには、非磁性金属材料で製作された軸受カバー215が固定されている。軸受カバー215の外周側の略円筒部26bには軸受212の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27が設けられ、ハウジング208の支持部26と一体成形されている。軸受カバー215は、外周に冷却フィン27が設けられている複雑な形状であるため、ダイカストで製作することで生産コストを抑え、高い寸法精度を得ることができる。軸受カバー215と冷却フィン27の使用素材としては、非磁性金属で熱伝導率の高いアルミニウム合金が望ましい。
本実施例では、軸受カバー215をインサート品とするインサート成形によりハウジング208を形成している。樹脂製のハウジング208の支持部26の端部には、回転軸方向に延在するねじ穴28(図21(a)参照)が形成されている。ねじ穴28には固定ねじ218が螺合可能で、固定ねじ218の螺合によって案内翼205がハウジング208に固定設置されている。
ねじ穴28より外径側には環状の凹部29が設けられている。この凹部29とリターンガイド205b側の円筒状の凸部17(図18(b)参照)が嵌め合わされることによって、電動機部202側から送風機部201側への空気漏れを防止することができる。
支持部26の外周部はブリッジ30(図21(a)参照)によって、略円筒状のフレーム31につながれている。フレーム31のブリッジ30がある端部には、ステータコア210(図11参照)を固定するねじ穴32が設けられている。ねじ穴32には固定ねじ219が螺合可能で、固定ねじ219の螺合によってステータコア210がハウジング208に固定される。
また、フレーム31における送風機部201側の端部には爪状の突起33が設けられ、ファンケーシング204の固定孔24と嵌合接続される。接着剤による接続ではなく嵌合による接続により、ファンケーシング204の軸方向の位置決め精度を確保することができ、ファンケーシング204と案内翼205との気密性が確保できる。また、ファンケーシング204の凹部204a(図11参照)と遠心羽根車203の直線部5(図11参照)の先端隙間のばらつきを小さくすることができ、電動送風機200の性能向上を図ることができ、性能ばらつきを小さくすることができる。
ハウジング208には、ハウジング208内に空気が流れ込むようにブリッジ30間に形成される開口34(図21(a)参照)と、ロータコア209、ステータコア210、導線211を冷却せずに直接外部に空気を排出する排気口35(図21(b)参照)が複数箇所に形成されている。
フレーム31の内側には、傾斜部36(図21(a)参照)が複数箇所に設けられている。案内翼205の略三角形の形状をした流路18(図19参照)から流出した空気が、リターンガイド羽根14(図18(b)参照)と傾斜部36によって開口34に流入し易い構造となっている。開口34から流入した空気は、軸受カバー215に設けたヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27に当たって流れる。冷却フィン27は長方形の板形状である。軸受212で発生した熱は、非磁性金属材料で製作させた軸受カバー215を熱伝導で伝わり、冷却フィン27で放熱され、軸受212が効果的に冷却される。
ところで、電動機部202では、ステータコア210に巻かれた導線211で発生する銅損の割合よりも、軸受212で発生する機械損の方が大きく、軸受212を効果的に冷却することが重要である。ハウジング208を樹脂製としても、軸受212で発生した熱を軸受カバー215に設けたヒートシンク(冷却フィン27)で放熱させることで、軸受212を効果的に冷却することができ、信頼性が高い電動送風機200を提供することができる。
さらに、ハウジング208を樹脂製としているため、ハウジング208を軽量化でき、電動送風機200を軽量化することができる。本実施例では、軸受カバー215と樹脂製のハウジング208とをインサート成形で一体化しているが、樹脂製のハウジング208に軸受カバー215を圧入してもよい。
図22に示すように、軸受カバー215は、ハウジング208の開口34の位置に冷却フィン27が配置されているが、ハウジング208のブリッジ30には、冷却フィン27が配置されていない。また、ブリッジ30には、冷却フィン27ではなく、リブ26c(図21(b)参照)が設けられている。リブ26cは、ハウジング208の略2重円筒形状の略円筒部26a、26bとブリッジ30とを接続し、ハウジング208の剛性を高める効果を奏する。
略三角形の形状をした流路18(図19参照)から流出した旋回流れ成分を有している空気が、リターンガイド羽根14によって旋回流れを半径方向内向きの流れに転向され、ヒートシンクの冷却フィン27に直接あたるため十分な冷却効果が得られる。これにより、ブリッジ30に冷却フィン27を設けずとも十分な冷却効果が得られ、周方向に均等に冷却フィンの数を設けるよりも、冷却フィンの数を少なくでき、十分な放熱効果を奏しながら軽量化の効果も奏することができる。
図23(a)、(b)に示すように、ハウジング208と軸受カバー215はインサート成形によって一体化している。ハウジング208の支持部26は、略2重円筒形状をしており、内径側の略円筒部26aの軸方向の長さは、冷却フィン27の軸方向の長さとほぼ同一であるが、外径側の略円筒部26bの軸方向の長さは、冷却フィン27の軸方向の長さのおよそ半分程度となっている。
このように軸受カバー215には冷却フィン27が設けられているため剛性が高く、略2重円筒形状の支持部26の内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bにより冷却フィン27を包含するように(内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bに冷却フィン27が渡るように)ハウジング208と一体成形されている。このため、軸受カバー215とハウジング208の剛性を高くすることができ、毎分80,000回転以上の高速回転を可能とすることができる。
なお、本実施例では、外径側の略円筒部26bが冷却フィン27の長さのおよそ半分程度であるが、ハウジング208の剛性が十分高い場合は、冷却効果を高めるために、外径側の略円筒部26bの長さを短くし、冷却フィン27における冷却風があたる部分の長さを長くしてもよい。
図24に示すように、軸受カバー215の軸方向の端部には冷却フィン27が設けられていない円筒の基準面37が設けられている。基準面37は、軸受カバー215と樹脂製のハウジング208とをインサート成形するときの基準面で、軸受212(図11参照)の外輪212a(図9参照)を固定する内径切削時の基準となる。基準面37を円筒形状とすることで、旋盤などによる内径切削時の基準面を容易に構成することができる。しかも、旋盤などによる機械加工する箇所を少なくできる。これにより、寸法精度の向上が図られ、ハウジング208に取り付けられるステータコア210と、回転軸207に取り付けられるロータコア209の中心軸が一致し、電動機部202の高効率化が図られ、さらに振動や騒音の低減を図ることができる電動送風機200を得ることができる。
なお、本実施例では、基準面37を円筒形状としているが、これに限定されるものではなく、多面体形状としても良く、内径切削する基準とハウジング208とをインサート成形する基準とすることができればどのような形状でもよい。
ここで、ロータコア209が着磁された後にハウジング208に組み込まれるが、軸受カバー215は非磁性金属で製作されているため、磁石による吸引力の影響を受けることが無く、組立性に優れている。
また、本実施例では、ヒートシンクとして回転軸方向に長い複数の冷却フィン27を備えており、冷却フィン27を長方形の板形状としているが、多数の円柱形、円錐形、角柱形などのピン形状としてもよい。つまり、軸受を放熱するために内側の略円筒部26aと外側の略円筒部26bに冷却フィン27が渡るように周方向に突出する形状であれば、どのような形状でもよい。なお、冷却フィン27をピン形状とすることで、同一表面積を得るのに体積を小さくすることができ、質量を軽くすることができる。
このように構成された電動送風機200を電気掃除機400に搭載することで、電気掃除機400の出力を向上させることができる。また、電動機部202の効率が向上することで、同じ出力を得る場合は電動送風機200の入力を低くすることができ、電池ユニット420を駆動源とする充電式掃除機において運転時間を長くすることができる。
以上、本発明に係る円筒形ボンド磁石、及び、その製造方法、並びに、円筒形ボンド磁石を使用したロータ、及び、モータについて最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明した。なお、本発明の内容は、前記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。