JP2018166377A - 可変界磁回転電機 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、可変界磁回転電機として、可変界磁回転電機のロータをワイヤ式牽引装置で軸方向に引き抜くことにより、高回転時の磁石鎖交磁束を低減させて出力および効率を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、低回転の場合には、径方向内側に可動鉄心が位置するため、q軸磁路に空隙が形成される。よって、磁気抵抗が高くなり、q軸インダクタンスが小さくなる。
すなわち、低回転の場合には、可変界磁回転電機はマグネットトルクによりトルクが確保される。
すなわち、高回転の場合には、可動鉄心が径方向外側に位置するため、q軸磁路に対して可動鉄心(すなわち、鉄)の割合が増える。よって、磁気抵抗が低くなり、q軸インダクタンスが大きくなる。
これにより、高回転の場合には、q軸インダクタンスを大きくしてリラクタンストルクを向上させ、可変界磁回転電機はリラクタンストルクによりトルクが確保される。
また、可動鉄心を径方向中心側に弾性部で保持するだけの簡単な構成とすることにより、可変界磁回転電機の重量やコストの増加を抑え、可変界磁回転電機の大型化を抑えることができる。
また、収納スロットに可動鉄心を収納することにより、可変界磁回転電機の大型化を良好に抑えることができる。
これにより、ロータの回転に応じて、可動鉄心をロータの径方向に一層円滑に移動させることができる。
また、高回転において、可動鉄心が永久磁石の端部間のq軸磁路に配置される。よって、q軸磁路の鉄の割合が増えるため、q軸磁路の磁気抵抗が低くなり、q軸インダクタンスが大きくなる。これにより、可変界磁回転電機のリラクタンストルクが向上する。
さらに、可動鉄心を径方向中心側に弾性部で保持するだけの簡単な構成とすることにより、可変界磁回転電機の重量やコストの増加を抑え、可変界磁回転電機の大型化を抑えることができる。
[第1実施形態]
図1に示すように、可変界磁回転電機10は、ステータ12と、ロータ14とを備える同期電動機である。可変界磁回転電機10は、ロータ14に複数の永久磁石24が埋設されている。すなわち、可変界磁回転電機10はIPMモータである。
ステータ12は、環状のステータコア16と、ステータコア16に複数配列されたコイル17とを備えている。
スロット19は、ステータコア16の内周壁16aに沿って等ピッチで配列されている。スロット19にコイル17が取り付けられている。
ロータコア22は、例えば、プレス抜きされた複数枚の磁性体製の鋼板が積層されて構成されている。磁性体製の鋼板として珪素鋼板が挙げられる。ロータコア22は、複数の磁石収容部31と、複数の収納スロット32と、ロータ軸孔33とを有する。
ロータコア22は、複数の永久磁石24を収容する磁石収容部31をロータコア22の外周22a近傍に複数個有する。ロータコア22の中心部にはロータ軸孔33が貫通されている。ロータ軸孔33には出力軸(図示略)が貫通された状態で固定されている。
永久磁石24は、磁石収容部31に収容されることにより、ロータコア22内に埋設されている。永久磁石24は、ロータコア22の外周22a近傍において外周22aに沿って配置される。複数の永久磁石24は、ロータコア22の径方向に磁化方向が配向されている。また、複数の永久磁石24は、V字状に突き合わされる永久磁石24の極性が異なるように配置される。
極性が異なる永久磁石24間において、収納スロット32がロータコア22の径方向に延びるように形成されている。
第1側壁34の径方向内側端と、第2側壁35の径方向内側端とは、第1端部36で連結されている。第1端部36は、径方向に対して直交するように形成された径方向内側端部である。
第1側壁34の径方向外側端と、第2側壁35の径方向外側端とは、第2端部37で連結されている。第2端部37は、径方向に対して直交するように形成された径方向外側端部である。
収納スロット32は、第1側壁34、第2側壁35、第1端部36、および第2端部37で平面視矩形状に形成されている。
第1鉄心面45は、ロータコア22のうち、ロータ軸方向の一方側の面22bに面一に配置されている。第2鉄心面46は、ロータコア22のうち、ロータ軸方向の他方側の面22cに面一に配置されている。
この状態において、可動鉄心26は、極性が異なる永久磁石24(図1参照)間に径方向に延びるように配置されている。
第2弾性部材48は、第2鉄心端部44と第2端部37との間に設けられている。第2弾性部材48は、例えばコイルばねが使用される。
一方、第1弾性部材47および第2弾性部材48に磁束を通すようにした場合、渦電流損失が発生することが考えられる。
そこで、第1弾性部材47および第2弾性部材48に磁束を通さないようにすることにより、渦電流損失の発生を抑えることができる。
第1弾性部材47および第2弾性部材48は、コイルばねに代えて弾性変形可能なゴム材や樹脂材などの他の弾性部材を使用してもよい。
ロータ14が低回転の場合には、可動鉄心26に作用する遠心力は、第2弾性部材48の弾性力と第1弾性部材47の弾性力との差より小さい。よって、ロータ14が低回転の場合には、可動鉄心26が収納スロット32の低回転位置P1側(すなわち、径方向内側)に保持される。
このように、ロータ14の回転数が増すにつれて可動鉄心26に作用する遠心力で、可動鉄心26を径方向外側に徐々に移動させることができる。
ここで、IPM回転電機は、一般に、q軸インダクタンスを大きくして、d軸インダクタンスを小さくすれば、リラクタンストルクが向上することが知られている。
可動鉄心26が低回転位置P1側に保持されることにより、q軸磁路に空隙54が形成され、磁気抵抗が高くなる。これにより、q軸インダクタンスが小さくなる。空隙54は、収納スロット32のうち、ロータ14の径方向外側の部位で形成される。
すなわち、ロータ14が低回転の場合には、可変界磁回転電機10はマグネットトルクによりトルクが確保される。
一方、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持されることにより、収納スロット32のうち、ロータ14の半径方向内側の部位で空隙55が形成される。これにより、極性が異なる永久磁石24間の磁気抵抗が高くなる。
加えて、永久磁石24は、ロータ14の径方向に磁化方向が配向されている。これにより、リラクタンストルクを一層活用しやすくできる。
すなわち、ロータ14が高回転の場合には、可変界磁回転電機10はリラクタンストルクによりトルクが確保される。
図6のグラフにおいて、縦軸はトルク(Nm)を示し、横軸は回転電機の回転数(rpm)を示す。実線で示すグラフG1は、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持され、低回転から高回転まで回転する状態を示す。破線で示すグラフG2は、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持され、低回転から高回転まで回転する状態を示す。
グラフG1およびグラフG2に示すように、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持された状態の回転電機と、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持された状態の回転電機とは、低回転から高回転の範囲において、略同じトルクが得られる。
図7のグラフにおいて、縦軸は電流(A)を示し、横軸は回転電機の回転数(rpm)を示す。実線で示すグラフG3は、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持され、低回転から高回転まで回転する状態を示す。破線で示すグラフG4は、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持され、低回転から高回転まで回転する状態を示す。
グラフG3に示すように、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持された状態の回転電機は、概ね4000〜6000rpmの低回転において電流を抑えることができる。
グラフG4に示すように、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持された状態の回転電機は、概ね7500rpmを超える高回転において電流を抑えることができる。
図8のグラフにおいて、縦軸はトルク(Nm)を示し、横軸は回転電機の電流位相(deg)を示す。「−×−」で示すグラフG5は、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持され、低回転から高回転まで回転する状態を示す。「−◇−」で示すグラフG6は、可動鉄心26が高回転位置P2側に保持された状態で低回転から高回転まで回転する状態を示す。
一方、グラフG6で示すように、可動鉄心26が低回転位置P1側に保持された場合、磁石鎖交磁束が抑えられることから、リラクタンストルクが主となるモータ特性となる。これにより、電流位相が40deg程度でトルクが最大となり、高回転側において電流振幅値を小さくできる。
IPM回転電機は一般に、q軸インダクタンスを大きくして、d軸インダクタンスを小さくすることによりリラクタンストルクが向上する。すなわち、低回転の場合には、可変界磁回転電機10はマグネットトルクによりトルクが確保される。
すなわち、高回転の場合には、可動鉄心26が高回転位置P2側に位置するため、q軸磁路に対して可動鉄心26(すなわち、鉄)の割合が増える。よって、磁気抵抗が低くなり、q軸インダクタンスが大きくなる。
これにより、高回転の場合には、q軸インダクタンスを大きくしてリラクタンストルクを向上させ、可変界磁回転電機10はリラクタンストルクによりトルクが確保される。
このように、可変界磁回転電機10の回転電機特性を、可変界磁回転電機10の回転数やトルクに応じて可変できる。
すなわち、可変界磁回転電機10は、可動鉄心26をロータ14の径方向中心側に弾性部28で保持するだけの簡単な構成である。これにより、可変界磁回転電機10の重量やコストの増加を抑え、可変界磁回転電機10の大型化を抑えることができる。
これに対して、可変界磁回転電機10は、可変界磁回転電機10の回転数に応じて可動鉄心26徐々に移動する。これにより、可変界磁回転電機10は、モータパラメータが徐々に可変され、トルクショックの発生を抑えることができる。
また、収納スロット32に可動鉄心26を収納することにより、可変界磁回転電機10の大型化を良好に抑えることができる。
これにより、ロータ14の回転に応じて、可動鉄心26をロータ14の径方向に一層円滑に移動させることができる。
図9に示すように、可変界磁回転電機100は、第1実施形態の収納スロット32および第1弾性部材47を収納スロット102および第1弾性部材104に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の可変界磁回転電機10と同様である。
収納スロット102は、第1実施形態の収納スロット32の第1端部36を第1端部106に代えたものである。第1端部106は、ロータ軸の一方側の面22bとロータ軸の他方側の面22cとの中間に凹部107を有する。凹部107は、ロータ14の径方向内側に向けて凹むように形成されている。
第1弾性部材104は、コイルばねに代えて弾性変形可能なゴム材や樹脂材などの他の弾性部材を使用してもよい。
このように、ロータ14の回転数が増すにつれて可動鉄心26に作用する遠心力で、可動鉄心26を径方向外側に徐々に移動させることができる。
すなわち、可動鉄心26のロータ14の径方向(すなわち、矢印A方向)への移動量を一層大きく確保できる。これにより、可変界磁回転電機100の回転電機特性を、可変界磁回転電機10の回転数やトルクに応じて可変できる。
例えば、第1実施形態では、弾性部28を第1弾性部材47および第2弾性部材48で構成する例について説明した、これに限らない。その他の例として、弾性部28を第2弾性部材48のみで構成することも可能である。
12……ステータ
14……ロータ
22……ロータコア
24……永久磁石
24a…永久磁石の端部
26……可動鉄心
28……弾性部
32……収納スロット
36……第1端部(収納スロットの径方向内側端部)
37……第2端部(収納スロットの径方向外側端部)
47……第1弾性部材
48……第2弾性部材
Claims (4)
- ロータコアに永久磁石が埋設されたロータを備えた可変界磁回転電機において、
極性が異なる前記永久磁石間に配置され、前記ロータの径方向に移動自在に設けられた可動鉄心と、
前記可動鉄心を前記ロータの径方向中心側に保持する弾性部と、を備え、
前記ロータの回転数が増すにつれて前記可動鉄心に作用する遠心力で、前記可動鉄心を前記ロータの径方向外側に移動させる、
ことを特徴とする可変界磁回転電機。 - 前記ロータコアのうち、極性が異なる前記永久磁石間に径方向に延びるように形成された収納スロットに、前記可動鉄心が前記ロータの径方向に移動自在に収納される、
ことを特徴とする請求項1に記載の可変界磁回転電機。 - 前記弾性部は、
前記収納スロットの径方向内側端部と前記可動鉄心との間に設けられた第1弾性部材と、
前記収納スロットの径方向外側端部と前記可動鉄心との間に設けられ、前記第1弾性部材より付勢力が大きい第2弾性部材と、を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の可変界磁回転電機。 - 前記ロータが低回転において、前記可動鉄心が前記永久磁石のバックヨークを兼ねる低回転位置に保持され、
前記ロータが高回転において、前記可動鉄心が前記永久磁石の端部間に配置される、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変界磁回転電機。
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JP2017063433A JP2018166377A (ja) | 2017-03-28 | 2017-03-28 | 可変界磁回転電機 |
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