JP2018165783A - 波長変換素子、光源装置およびプロジェクター - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな光強度を有する蛍光が得られる波長変換素子を提供する。【解決手段】本発明の波長変換素子20は、励起光および励起光が波長変換された蛍光が通過する第1面22aと、第1面とは異なる第2面22bと、を有する波長変換部25と、第2面に対向する平面27aと、平面から波長変換部が設けられた側と反対側に突出する仮想曲面上に設けられた再帰反射構造体30と、を有する透光性部材27と、を備え、仮想曲面の曲率中心は、波長変換部の第2面に対向して位置し、第2面から射出された蛍光は、透光性部材の内部を進行し、再帰反射構造体によって反射する。【選択図】図3
Description
本発明は、波長変換素子、光源装置およびプロジェクターに関する。
プロジェクターにおいては、投写画像の高輝度化を実現するために、強度が大きい射出光を得られる光源装置が求められている。そこで、近年、励起光源と波長変換素子とを備えた光源装置が提案されている。この光源装置では、半導体レーザー、発光ダイオード等の励起光源から射出された励起光を波長変換素子に照射することにより蛍光を発生させ、この蛍光を照明光の一部として利用する。
例えば下記の特許文献1に、レーザーと、青色光の照射によって緑色光もしくは赤色光を発生する蛍光基板と、蛍光基板からの光が入射する四角錐体状のプリズムアレイと、を備えた光源装置が開示されている。この文献には、蛍光基板とプリズムアレイとの間で蛍光が多重反射することによって、蛍光の配光指向性が高められる、と記載されている。
また、下記の特許文献2に、青色光を射出する励起光源と、青色光の照射によって緑色光を発生する蛍光ホイールと、を備えた光源装置が開示されている。この文献には、蛍光体層に対する蛍光体の含有重量濃度および膜厚を最適化することにより、光強度が大きい蛍光が得られる、と記載されている。
蛍光基板等の波長変換素子には、励起光が入射する面と反対側の面から蛍光を射出させる透過型の波長変換素子と、励起光が入射する面と同じ面から蛍光を射出させる反射型の波長変換素子と、がある。
一般に、蛍光体は、温度の上昇により発光効率が低下するという特性を有している。特許文献1の光源装置では、透過型の波長変換素子が用いられているため、蛍光体層で発生した熱を効率良く放出することが難しい、という問題がある。したがって、たとえ蛍光の配光指向性が高められたとしても、高い発光効率が得られず、高い強度の蛍光が得られる波長変換素子を実現することが難しい。
一方、特許文献2の光源装置においては、蛍光ホイールのうち、蛍光体層の形成領域は反射型の構造を有しているが、青色光の拡散領域は透過型の構造を有しているため、蛍光ホイール全体として、蛍光体層からの放熱が難しい。
また、特許文献2の蛍光ホイールは、金属基板上に銀等の反射面、フッ化マグネシウム等の透明保護膜、蛍光体層が順次積層された構成を有している。大きな光強度を有する蛍光を得るためには、上記の反射面で反射して励起光が入射する向きと逆向きに射出する反射光を増やすことが重要である。以下、本明細書では、反射面による蛍光の反射光を反射蛍光と称する。反射蛍光を増やすためには、反射面における反射率の向上が有効である。
特許文献2のように、銀を用いて反射面を形成した場合、高い反射率が得られるが、3〜5%程度の反射損失が生じる、入射角が大きくなると反射率が低下する、等の問題がある。また、銀の光吸収により熱が発生し、熱酸化により銀が劣化する虞がある。このように、銀を用いた反射面には種々の問題があり、反射率の向上が難しいという課題がある。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、反射蛍光を従来よりも増やすことにより、大きな光強度を有する蛍光が得られる波長変換素子を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の波長変換素子を備えた光源装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の光源装置を備えたプロジェクターを提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の波長変換素子は、励起光および前記励起光が波長変換された蛍光が通過する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換部と、前記第2面に対向する平面と、前記平面から前記波長変換部が設けられた側と反対側に突出する仮想曲面上に設けられた再帰反射構造体と、を有する透光性部材と、を備え、前記仮想曲面の曲率中心は、前記波長変換部の前記第2面に対向して位置し、前記第2面から射出された前記蛍光は、前記透光性部材の内部を進行し、前記再帰反射構造体によって反射することを特徴とする。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、透光性部材の仮想曲面の曲率中心が波長変換部の第2面に対向して位置しているため、波長変換部の第2面から射出された蛍光は、再帰反射構造体によって反射した後、波長変換部に戻る。再帰反射構造体による反射は、銀等の反射面による反射と異なり、光損失を伴わない。そのため、本発明の一つの態様によれば、反射蛍光の光量を増やすことができ、大きな光強度を有する蛍光が得られる波長変換素子を実現することができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子は、前記波長変換部と前記透光性部材とを支持する基板をさらに備えてもよい。
この構成によれば、基板によって波長変換部と透光性部材とを支持できるとともに、熱伝導率が高い基板を選択することにより波長変換素子の放熱性を高めることができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記基板は、開口部を有する非透光性基板から構成され、前記波長変換部は、前記開口部に設けられていてもよい。
この構成によれば、例えば銅、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属製の基板を用いることができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記基板は、透光性基板から構成され、前記波長変換部は、前記透光性基板の一面に設けられていてもよい。
この構成によれば、基板に開口部を設ける必要がなく、基板を通して蛍光を射出させることができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記再帰反射構造体は、底面の形状が正三角形であり、3つの側面の形状が直角二等辺三角形である三角錐体から構成されていてもよい。
この構成によれば、波長変換素子を設計する際に、複数の再帰反射構造体を仮想曲面に沿って最密充填させることができる。これにより、反射蛍光の光量をさらに増やすことができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記仮想曲面は半球面であってもよい。
この構成によれば、透光性部材を製造しやすく、反射蛍光の光量を確保することができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記仮想曲面の曲率中心は、前記波長変換部の内部、もしくは前記透光性部材の内部に位置していてもよい。
この構成によれば、再帰反射構造体で反射した蛍光を波長変換部に戻すことができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子は、前記波長変換部の前記第2面と前記透光性部材の前記平面との間に設けられた接着層をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、接着層によって波長変換部と透光性部材とを固定することができる。
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記仮想曲面の曲率中心は、前記接着層の内部に位置していてもよい。
この構成によれば、再帰反射構造体で反射した蛍光を波長変換部に戻すことができる。
本発明の一つの態様の光源装置は、本発明の一つの態様の波長変換素子と、前記励起光を射出する励起光源と、を備える。
この構成によれば、反射蛍光の光量を増やすことができ、大きな光強度を有する蛍光が得られるため、光強度が大きい光源装置を提供することができる。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を投写する投写光学系と、を備える。
この構成によれば、大きな光強度を有する蛍光が得られる光源装置を用いるため、高輝度の投写画像が得られるプロジェクターを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、半導体レーザーと波長変換素子とを含む光源装置を備えた液晶プロジェクターの一例である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、半導体レーザーと波長変換素子とを含む光源装置を備えた液晶プロジェクターの一例である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
本実施形態のプロジェクターは、スクリーン(被投写面)上にカラー映像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクターは、赤色光、緑色光、青色光の各色光に対応した3つの光変調装置を用いている。プロジェクターは、光源装置の発光素子として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザー(レーザーダイオード)を用いている。
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、第1光源装置100(光源装置)と、第2光源装置102と、色分離導光光学系200と、光変調装置400Rと、光変調装置400Gと、光変調装置400Bと、合成光学系500と、投写光学系600と、を備えている。
本実施形態の第1光源装置100は、特許請求の範囲の光源装置に対応する。
図1に示すように、プロジェクター1は、第1光源装置100(光源装置)と、第2光源装置102と、色分離導光光学系200と、光変調装置400Rと、光変調装置400Gと、光変調装置400Bと、合成光学系500と、投写光学系600と、を備えている。
本実施形態の第1光源装置100は、特許請求の範囲の光源装置に対応する。
第1光源装置100は、第1発光素子10と、コリメート光学系70と、ダイクロイックミラー80と、コリメート集光光学系90と、波長変換素子20と、ホモジナイザー光学系125と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150と、を備えている。波長変換素子20については、後で詳しく説明する。
第1発光素子10は、青色の励起光Eを射出する半導体レーザーから構成されている。励起光Eの発光強度のピーク波長は、例えば445nmである。第1発光素子10は、1個の半導体レーザーから構成されていてもよいし、複数の半導体レーザーから構成されていてもよい。なお、第1発光素子10には、445nm以外の波長(例えば460nm)の青色光を射出する半導体レーザーが用いられてもよい。第1発光素子10は、第1発光素子10の光軸110axが照明光軸100axと直交するように配置されている。
本実施形態の第1発光素子10は、特許請求の範囲の励起光源に対応する。
本実施形態の第1発光素子10は、特許請求の範囲の励起光源に対応する。
コリメート光学系70は、第1レンズ72と、第2レンズ74と、を備えている。コリメート光学系70は、第1発光素子10から射出された光を略平行化する。第1レンズ72および第2レンズ74は、凸レンズから構成されている。
ダイクロイックミラー80は、コリメート光学系70からコリメート集光光学系90までの光路中に設けられている。ダイクロイックミラー80は、第1発光素子10の光軸110axおよび照明光軸100axのそれぞれに対して45°の角度で交差するように配置されている。ダイクロイックミラー80は、青色波長域の光を反射し、赤色光および緑色光を含む黄色波長域の光を透過させる。
コリメート集光光学系90は、ダイクロイックミラー80から射出された励起光Eを略集光した状態で波長変換素子20に入射させる機能と、波長変換素子20から射出された蛍光Yを略平行化する機能と、を有する。コリメート集光光学系90は、第1レンズ92と、第2レンズ94と、を備えている。第1レンズ92および第2レンズ94は、凸レンズから構成されている。
第2光源装置102は、第2発光素子710と、集光光学系760と、拡散板732と、コリメート光学系770と、を備えている。
第2発光素子710は、青色光Bを射出する半導体レーザーから構成されている。青色光Bの発光強度のピーク波長は、第1発光素子10からの励起光Eの発光強度のピーク波長と異なり、例えば460nmである。ただし、第2発光素子710として、第1発光素子10からの励起光Eの発光強度のピーク波長と同一のピーク波長を有する光を射出する半導体レーザーが用いられてもよい。
集光光学系760は、第1レンズ762と、第2レンズ764と、を備えている。集光光学系760は、第2発光素子710から射出された青色光Bを拡散板732の近傍に集光する。第1レンズ762および第2レンズ764は、凸レンズから構成されている。
拡散板732は、第2発光素子710から射出された青色光Bを拡散し、波長変換素子20から射出される蛍光Yの配光分布に類似した配光分布を有する青色光Bとする。拡散板732として、例えば光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
コリメート光学系770は、第1レンズ772と、第2レンズ774と、を備えている。コリメート光学系770は、拡散板732から射出された光を略平行化する。第1レンズ772および第2レンズ774は、凸レンズから構成されている。
第2光源装置102から射出された青色光Bは、ダイクロイックミラー80で反射された後、ダイクロイックミラー80を透過した蛍光Yと合成されて、白色の照明光Wとなる。照明光Wは、ホモジナイザー光学系125に入射する。
ホモジナイザー光学系125は、第1レンズアレイ120と、第2レンズアレイ130と、を備えている。第1レンズアレイ120は、ダイクロイックミラー80から射出された光を複数の部分光束に分割するための複数の第1レンズ122を有する。複数の第1レンズ122は、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列されている。
第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1レンズ122に対応する複数の第2レンズ132を備えている。第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150とともに、第1レンズアレイ120の各第1レンズ122の像を光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの各々の画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2レンズ132は、照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束を、直線偏光光に変換する。偏光変換素子140は、詳細な図示を省略するが、偏光分離層と、反射層と、位相差層と、を備えている。偏光分離層は、波長変換素子20からの光に含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに他方の直線偏光成分を照明光軸100axに垂直な方向に反射する。反射層は、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸100axに平行な方向に反射する。位相差層は、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する。
重畳レンズ150は、偏光変換素子140からの各部分光束を集光して光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの各々の画像形成領域の近傍で互いに重畳させる。第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、および重畳レンズ150は、波長変換素子20から射出された光の面内光強度分布を均一化する。
色分離導光光学系200は、白色の照明光Wを赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとに分離する。色分離導光光学系200は、第1ダイクロイックミラー210と、第2ダイクロイックミラー220と、第1反射ミラー230と、第2反射ミラー240と、第3反射ミラー250と、第1リレーレンズ260と、第2リレーレンズ270と、を備えている。
第1ダイクロイックミラー210は、第1光源装置100から射出された照明光Wを、赤色光Rとその他の光(緑色光Gおよび青色光B)とに分離する機能を有する。第1ダイクロイックミラー210は、赤色光Rを透過するとともに、その他の光(緑色光Gおよび青色光B)を反射する。一方、第2ダイクロイックミラー220は、その他の光を緑色光Gと青色光Bとに分離する機能を有する。第2ダイクロイックミラー220は、緑色光Gを反射し、青色光Bを透過する。
第1反射ミラー230は、赤色光Rの光路中に配置され、第1ダイクロイックミラー210を透過した赤色光Rを光変調装置400Rに向けて反射する。第2反射ミラー240および第3反射ミラー250は、青色光Bの光路中に配置され、第2ダイクロイックミラー220を透過した青色光Bを光変調装置400Bに向けて反射する。緑色光Gは、第2ダイクロイックミラー220により光変調装置400Gに向けて反射される。
第1リレーレンズ260および第2リレーレンズ270は、青色光Bの光路中における第2ダイクロイックミラー220の光射出側に配置されている。第1リレーレンズ260および第2リレーレンズ270は、青色光Bの光路長が赤色光Rや緑色光Gの光路長よりも長いことに起因した青色光Bの損失を補償する機能を有している。
光変調装置400Rは、赤色光Rを画像情報に応じて変調し、赤色光Rに対応した画像光を形成する。光変調装置400Gは、緑色光Gを画像情報に応じて変調し、緑色光Gに対応した画像光を形成する。光変調装置400Bは、青色光Bを画像情報に応じて変調し、青色光Bに対応した画像光を形成する。
光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側には、一対の偏光板(図示せず)が配置され、特定の方向の直線偏光光のみを透過させる構成となっている。
光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ300R、フィールドレンズ300G、フィールドレンズ300Bが配置されている。フィールドレンズ300R、フィールドレンズ300G、およびフィールドレンズ300Bは、それぞれ光変調装置400R、光変調装置400G、光変調装置400Bに入射する赤色光R、緑色光G、青色光Bを平行化する。
合成光学系500は、光変調装置400R、光変調装置400G、および光変調装置400Bからの画像光が入射することにより、赤色光R、緑色光G、青色光Bに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学系600に向けて射出する。合成光学系500には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
投写光学系600は、投写レンズ群6から構成されている。投写光学系600は、合成光学系500により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投写する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像(画像)が表示される。
以下、波長変換素子20の構成について説明する。
図2は、基板22の法線方向から見た波長変換素子20の平面図である。
図3は、図2のIII−III線に沿う波長変換素子20の断面図である。
図3に示すように、第1実施形態の波長変換素子20は、基板22と、蛍光体25(波長変換部)と、透光性部材27と、接着層28と、接合材29と、を備えている。
図2は、基板22の法線方向から見た波長変換素子20の平面図である。
図3は、図2のIII−III線に沿う波長変換素子20の断面図である。
図3に示すように、第1実施形態の波長変換素子20は、基板22と、蛍光体25(波長変換部)と、透光性部材27と、接着層28と、接合材29と、を備えている。
基板22は、蛍光体25と透光性部材27とを支持する板体である。図3において、基板22の上面を第1面22aとし、基板22の下面を第2面22bとする。図2に示すように、基板22は、第1面22aの法線方向(Y方向)から見た外形形状が円形であり、中央に円形の開口部22hが設けられている。蛍光体25は、基板22の開口部22hに嵌め込まれた形態で基板22に支持されている。透光性部材27は、基板22の第2面22bに貼り付けられた形態で基板22に支持されている。
基板22は、開口部22hを有する非透光性基板から構成されている。蛍光体25が励起光Eの照射によって発熱するため、蛍光体25からの放熱を促進する目的で、基板22には熱伝導率が高い材料を用いることが望ましい。基板22の材料として、例えば銅、アルミニウム等の金属材料、セラミックス材料等が用いられる。なお、第1実施形態の波長変換素子20の構成は、基板22として非透光性基板を用いる際に好適であるが、透光性基板が用いられてもよい。
蛍光体25は、基板22の開口部22hに設けられている。蛍光体25は、第1発光素子10から射出された励起光Eにより励起され、励起光Eよりも長波長の蛍光Y、例えば黄色の蛍光Yを射出する蛍光材料から構成されている。蛍光体25は、無機材料からなる(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12(YAG:Ce)からなるYAG系蛍光体と、当該YAG系蛍光体に分散された発光中心となる賦活剤と、を含んでいる。すなわち、蛍光体25は、賦活剤としてCeが分散された(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12(YAG:Ce)からなるYAG系蛍光体から構成されている。
蛍光体25は、励起光Eおよび蛍光Yが通過する第1面25aと、第1面25aとは異なる第2面25bと、を有する。蛍光体25は、必ずしもYAG系蛍光体で構成されていなくてもよいが、ガーネット系蛍光体を用いることが望ましい。その理由は、ガーネット系蛍光体は、他の蛍光体に比べて熱伝導率が高く、高熱環境下での信頼性が高いためである。なお、蛍光体25の第1面25aには、図示しない反射防止層が設けられることが望ましい。
透光性部材27は、球体の中心もしくは中心近傍を通る任意の平面で球体を半分に分割した形状(略半球状)を有する。したがって、透光性部材27は、蛍光体25の第2面25bに対向する平面27aと、平面27aから蛍光体25が設けられた側と反対側に突出する仮想曲面27s上に設けられた複数の再帰反射構造体30と、を有する。
本実施形態の場合、透光性部材27が略半球状であるため、上記の仮想曲面27sは半球面である。複数の再帰反射構造体30は、半球面からなる仮想曲面27sに沿って設けられている。また、仮想曲面27sの曲率中心27cは、蛍光体25の第2面25bの近傍に位置している。言い換えると、蛍光体25と透光性部材27とは、曲率中心27cが第2面25bの近傍に位置するように、位置合わせがなされている。曲率中心27cは、蛍光体25の第2面25bの中心と一致していることが望ましいが、蛍光体25の第2面25bの中心からずれた位置にあってもよい。その場合でも、曲率中心27cは、少なくとも蛍光体25の第2面25b上に位置していればよい。
図3において、曲率中心27cは、蛍光体25の第2面25b上に位置しているが、必ずしも蛍光体25の第2面25b上に位置していなくてもよく、図3に示す他の3つの位置のいずれかにあってもよい。曲率中心27c1は、蛍光体25の内部に位置している。曲率中心27c2は、接着層28の内部に位置している。曲率中心27c3は、透光性部材27の内部に位置している。すなわち、曲率中心27c,27c1,27c2,27c3は、蛍光体25の第2面25bに対向した位置であって、第2面25bの近傍にあればよい。よって、曲率中心27cは、透光性部材27の平面27aに位置していてもよいし、蛍光体25の第1面25aに位置していてもよい。すなわち、「曲率中心が蛍光体の内部に位置する」とは蛍光体25の表面に曲率中心27cが位置することも含む。同様に、「曲率中心が接着層の内部に位置する」とは接着層28の表面に曲率中心27cが位置することも含む。さらに、「曲率中心が透光性部材の内部に位置する」とは透光性部材27の表面に曲率中心27cが位置することも含む。要するに、蛍光体25から透光性部材27に入射した光が再帰反射構造体30で反射して再び蛍光体25に入射するように、蛍光体25と仮想曲面27sの曲率中心27cとの位置関係を設定することが望ましい。
透光性部材27は、例えばガラス、樹脂等の透光性材料で構成されている。複数の再帰反射構造体30は、成型法により透光性部材27の本体部分(半球部分)と同時に作製することができる。そのため、複数の再帰反射構造体30は、透光性部材27の本体部分と一体であることが望ましいが、透光性部材27の本体部分と別体であってもよい。ただし、別体であったとしても、再帰反射構造体30と本体部分とは、屈折率が同一の材料で構成されることが望ましい。
蛍光体25と透光性部材27とは、接着層28により接着されている。後述するように、接着層28は、蛍光体25と透光性部材27との間の蛍光Yの光路上に位置するため、少なくとも蛍光Yの波長域の光に対する透光性を有する必要がある。さらに、接着層28の屈折率は、蛍光体25および透光性部材27の屈折率と近いことが望ましい。また、蛍光体25からの放熱性を確保する目的で、熱伝導率が高い接着剤が用いられることが望ましい。以上の観点から、接着層28には、例えばシリコーン樹脂からなる接着剤が用いられる。
基板22と透光性部材27とは、接合材29により接合されている。接合材29は、接着層28と異なり、蛍光Yの光路上に位置しないため、透光性を有する必要はない。また、蛍光体25からの放熱性を確保する目的で、熱伝導率が高い接合材29が用いられることが望ましい。以上の観点から、接合材29には、例えば銀、銅等のナノ粒子を含む熱伝導接合材、はんだ等が用いられる。
以下、再帰反射構造体30について説明する。
図4は、再帰反射構造体30の斜視図である。図5は、再帰反射構造体30における蛍光Yの反射の様子を示す図である。図6は、仮想曲面27s上の複数の再帰反射構造体30を平面上に展開して示す図である。
図4は、再帰反射構造体30の斜視図である。図5は、再帰反射構造体30における蛍光Yの反射の様子を示す図である。図6は、仮想曲面27s上の複数の再帰反射構造体30を平面上に展開して示す図である。
図4に示すように、再帰反射構造体30は、立方体を、1つの頂点Aに隣接する3つの頂点B,C,Dを通る平面で切断した三角錐体の形状を有する。三角錐体の底面を△BCDとし、3つの側面を△ABC、△ABD、△ACDとすると、再帰反射構造体30は、底面△BCDの形状が正三角形であり、3つの側面△ABC、△ABD、△ACDの形状が直角二等辺三角形である三角錐体から構成されている。本実施形態の再帰反射構造体30は、いわゆるコーナーキューブ型の再帰反射構造体である。
複数の再帰反射構造体30は、各々の底面△BCDが透光性部材27の仮想曲面27sに対向し、頂点Aが透光性部材27の外側に突出する向きに、仮想曲面27s上に設けられている。図6に示すように、複数の再帰反射構造体30は、仮想曲面27s上に隙間なく最密充填状態で配置されている。なお、ここでは、説明を判りやすくするため、再帰反射構造体30の形状を4つの面を有する三角錐体としたが、実際には再帰反射構造体30は透光性部材27の本体部分と一体に形成されるため、物理的な面としての底面△BCDは存在せず、仮想的な面である。3つの側面△ABC、△ABD、△ACDは物理的な面として存在する。
再帰反射構造体30において、各側面△ABC、△ABD、△ACDは、底面△BCDに対して45度の角度をなしている。そのため、底面△BCDから再帰反射構造体30に入射した光は、各側面△ABC、△ABD、△ACDで反射し、光が入射した経路上を光が入射した向きと逆向きに辿り、底面△BCDから射出される。
ここで、具体的に説明するため、入射角0度で底面△BCDに入射した蛍光Yを想定する。
図5に示すように、入射角0度で底面△BCDに入射した蛍光Y0は、側面△ABC→側面△ABD→側面△ACDの順で、3つの側面で順次反射する。このとき、側面△ABC、△ABD、△ACDに当たった蛍光Y0は、側面同士の配置角度の関係から、同じ直交面内で入射角と等しい反射角で反射する。その結果、3つの側面で順次反射した蛍光Y0は、底面△BCDから射出角0度で射出される再帰反射光Y1となる。なお、再帰反射光Y1は、底面△BCDにおける蛍光Y0の入射位置とは僅かに離れた位置から射出される。以下、この入射位置と射出位置との変化量をシフト量と呼称する。再帰反射構造体30の寸法が小さいほどシフト量も小さい。
図5に示すように、入射角0度で底面△BCDに入射した蛍光Y0は、側面△ABC→側面△ABD→側面△ACDの順で、3つの側面で順次反射する。このとき、側面△ABC、△ABD、△ACDに当たった蛍光Y0は、側面同士の配置角度の関係から、同じ直交面内で入射角と等しい反射角で反射する。その結果、3つの側面で順次反射した蛍光Y0は、底面△BCDから射出角0度で射出される再帰反射光Y1となる。なお、再帰反射光Y1は、底面△BCDにおける蛍光Y0の入射位置とは僅かに離れた位置から射出される。以下、この入射位置と射出位置との変化量をシフト量と呼称する。再帰反射構造体30の寸法が小さいほどシフト量も小さい。
ここで、側面△ABC、△ABD、△ACDでの反射は、再帰反射構造体30を構成する媒質と空気との屈折率界面における反射であるから、光損失を伴わない全反射である。したがって、再帰反射構造体30に入射した蛍光Yは、光損失を伴うことなく、入射の向きとは逆向きに射出される。また、再帰反射構造体30を構成する媒質の屈折率が高いほど、全反射が生じる臨界角は小さくなる。そのため、底面△BCDに対する入射角が0度以外の場合であっても、所定の入射角の範囲内であれば、光損失を伴わない再帰反射が生じる。以下、この入射角の範囲を許容角度範囲と呼称する。一例として、再帰反射構造体30を構成する媒質の屈折率が1.52の場合、入射角が5.7度以下であれば、光損失を伴わない再帰反射が生じる。
励起光Eが照射されることによって、蛍光体25の内部では等方的な角度分布をもって蛍光Yが発生する。以下、蛍光体25から透光性部材27に入射した蛍光Yの挙動について、図7を用いて説明する。
蛍光体25の第2面25bの中心25cが透光性部材27の仮想曲面27sの曲率中心27cに一致していたとする。このとき、図7に示すように、蛍光体25の第2面25bの中心25cから射出された蛍光Y0、すなわち、曲率中心27cから射出された蛍光Y0は、再帰反射構造体30の三角錐体の底面△BCDに対して垂直に入射する。つまり、再帰反射構造体30に対する蛍光Y0の入射角が0度である。このとき、蛍光Y0は、再帰反射構造体30において光損失を伴うことなく再帰反射され、進行方向を反転させて再帰反射光Y1となり、蛍光体25に戻る。すなわち、第2面25bから射出された蛍光Y0は、透光性部材27の内部を進行し、再帰反射構造体30によって反射し、蛍光体25に戻る。蛍光体25に戻った再帰反射光Y1は、励起光Eが入射した向きとは逆向きに進み、蛍光体25の第1面25aから外部に射出される。
ところで、蛍光体25の第2面25bの中心25c以外の位置、例えば第2面25bの端部25tから射出された蛍光Y3は、曲率中心27cから外れた位置から射出されたことになるため、再帰反射構造体30に対して垂直に入射しない。つまり、再帰反射構造体30に対する蛍光Y3の入射角θは、0度以外の角度である。上述したように、その場合でも、入射角θが許容角度範囲内であれば、蛍光Y3は、光損失を伴うことなく反射されて再帰反射光Y4となり、蛍光体25の射出位置の近傍に戻る。
入射角θを許容角度範囲内に収め、蛍光Y3を蛍光体25の射出位置の近傍に戻すためには、蛍光体25から再帰反射構造体30までの距離は、蛍光体25の寸法に対してある程度大きいことが望ましい。すなわち、透光性部材27の寸法は、蛍光体25の寸法に対してある程度大きいことが望ましい。透光性部材27の平面27aの直径をWLとし、蛍光体25の直径をWFとしたとき、例えばWL/WF>10の関係を満たすように、透光性部材27および蛍光体25の大きさが設定されることが望ましい。
ただし、再帰反射構造体30を構成する媒質の屈折率が大きい程、許容角度範囲が広がるため、WL/WFの下限値は上記の10よりも小さくなる可能性がある。そのため、WL/WFの値は上記の10に限定されることなく、媒質の屈折率に応じて決定されることが望ましい。したがって、屈折率が高い媒質で再帰反射構造体30を構成した場合には、上記のWLの値を小さくできるため、透光性部材27を小型化することができる。
また、再帰反射構造体30の寸法は、蛍光体25の寸法よりも小さいことが望ましい。さらに、図6に示すように、再帰反射構造体30の底面△BCDの一辺の長さをWSとしたとき、例えばWS<WF/5の関係を満たすように、再帰反射構造体30および蛍光体25の大きさが設定されることが望ましい。その理由は、再帰反射構造体30の寸法が蛍光体25よりも大きくなると、蛍光Y0が再帰反射して逆向きに戻ったとしても、蛍光体25から再帰反射構造体30に向かう蛍光Y0の光路と、再帰反射構造体30から蛍光体25に向かう再帰反射光Y1の光路と、の位置の差(シフト量)が大きくなり、再帰反射しても蛍光体25に戻らない蛍光が発生し、光損失が生じるためである。
以上詳細に説明したように、第1実施形態の波長変換素子20は、透光性部材27に設けられた再帰反射構造体30によって蛍光Yを再帰反射させ、蛍光体25に戻す作用を有している。この種の再帰反射は、銀等の反射面による反射と異なり、光損失を伴わないため、従来に比べて大きな光量の反射蛍光が蛍光体25に戻り、第1面25aから外部に射出される。このようにして、第1実施形態によれば、大きな光強度を有する蛍光が得られる波長変換素子20を実現することができる。
また、第1実施形態の波長変換素子20は、非透光性基板からなる基板22を備えているため、例えば銅、アルミニウム等の熱伝導率が高い材料の選択肢が多い。この種の材料を選択することにより、波長変換素子20の放熱性を高め、蛍光体25の変換効率を高めることができる。
また、第1実施形態の波長変換素子20において、底面が正三角形の三角錐体からなる再帰反射構造体30が用いられているため、波長変換素子20を設計する際に、複数の再帰反射構造体30を仮想曲面27sに沿って最密充填状態で配置させることができる。これにより、反射蛍光の光量をさらに増やすことができる。
また、透光性部材27の仮想曲面27sが半球面であるため、透光性部材27を製造しやすく、反射蛍光の光量を確保することができる。
また、第1実施形態では、上記の波長変換素子20が用いられたことにより、光強度が大きい第1光源装置100を提供することができる。
また、第1実施形態では、上記の第1光源装置100が用いられたことにより、高輝度の投写画像が得られるプロジェクター1を提供することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図8を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図8は、第2実施形態の波長変換素子の断面図である。
図8において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
以下、本発明の第2実施形態について、図8を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図8は、第2実施形態の波長変換素子の断面図である。
図8において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態の波長変換素子40は、基板42と、蛍光体25(波長変換部)と、透光性部材27と、第1接着層44と、第2接着層45と、接合材46と、を備えている。
基板42は、蛍光体25と透光性部材27とを支持する板体である。図8において、基板42の上面を第1面42aとし、基板42の下面を第2面42bとする。基板42は、第1実施形態と同様、第1面42aの法線方向(Y方向)から見た外形形状が円形であるが、開口部は設けられていない。蛍光体25は、基板42の第2面42bに設けられている。蛍光体25および透光性部材27の構成は、第1実施形態と同様である。
基板42は、透光性基板から構成されている。基板42の材料として、例えばサファイア等の結晶材料、透明セラミックス材料、ガラス材料等が用いられる。ただし、蛍光体25が励起光Eの照射によって発熱するため、蛍光体25からの放熱を促進する目的で、基板42には熱伝導率が高い結晶材料、例えば透明セラミックス材料を用いることが望ましい。
蛍光体25は、第1接着層44により基板42に接着され、第2接着層45により透光性部材27に接着されている。第1接着層44および第2接着層45は、透光性を有する必要があり、第1実施形態の接着剤と同様、熱伝導率が高い接着剤が用いられることが望ましい。したがって、第1接着層44および第2接着層45には、例えばシリコーン樹脂からなる接着剤が用いられる。
基板42と透光性部材27とは、接合材46により接合されている。すなわち、蛍光体25の周辺に接合材46が充填されている。第2実施形態では、蛍光体25が基板42と透光性部材27との間に挟持されるため、接合材46の厚さは、第1実施形態の接合材29(図3参照)より厚くなる。そのため、放熱性の観点から、熱伝導率が高い接合材46が用いられることがさらに望ましい。接合材46には、例えば銀、銅等のナノ粒子を含む熱伝導接合材、はんだ等が用いられる。
第2実施形態においても、蛍光体25から透光性部材27に入射した蛍光の挙動については第1実施形態と同様である。ただし、蛍光体25の第1面25aから蛍光Yが射出される際には、第1実施形態と異なり、蛍光体25の第1面25aからの蛍光Yは、第1接着層44、基板42を順次透過して外部空間に射出される。その観点から、第1接着層44および基板42の光透過率が高い程、大きな光強度を有する蛍光が得られる。
第2実施形態においても、大きな光強度を有する蛍光が得られる波長変換素子40を実現できる、三角錐体からなる再帰反射構造体30が用いられたことで最密充填状態での配置が可能であり、反射蛍光の光量をさらに増やせる、光強度が大きい第1光源装置100を提供できる、高輝度の投写画像が得られるプロジェクター1を提供できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2実施形態では、透光性基板からなる基板42が用いられているため、基板42に開口部を形成する加工が不要になる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、複数の再帰反射構造体が透光性部材の仮想曲面の全域にわたって設けられた例を挙げたが、複数の再帰反射構造体は必ずしも仮想曲面の全域にわたって設けられていなくてもよい。
例えば上記実施形態では、複数の再帰反射構造体が透光性部材の仮想曲面の全域にわたって設けられた例を挙げたが、複数の再帰反射構造体は必ずしも仮想曲面の全域にわたって設けられていなくてもよい。
例えば図9に示すように、変形例の波長変換素子60においては、半球面からなる仮想曲面27sのうち、複数の再帰反射構造体30は、基板22から遠い側(図9の下側)の一部の仮想曲面27s上に設けられ、基板22に近い側(図9の上側)には設けられていない。この場合、蛍光体25の第2面25bから大きな射出角で射出され、再帰反射構造体30が設けられていない領域に到達した蛍光Y5については、再帰反射の効果が得られない。変形例の波長変換素子60においても、銀等の反射面が設けられた従来の波長変換素子に比べれば、大きな光強度を有する蛍光が得られる。
また、上記実施形態では、全てが同じ形状、同じ寸法の再帰反射構造体が設けられた例を挙げたが、この構成に代えて、互いに異なる形状、もしくは互いに異なる寸法の再帰反射構造体が設けられていてもよい。再帰反射構造体の形状や寸法によっては、複数の再帰反射構造体が最密充填状態で配置できない場合が生じ、再帰反射構造体が設けられていない箇所には仮想曲面の一部が現存する。しかし、この構成においても、従来の波長変換素子に比べれば、大きな光強度を有する蛍光を得ることができる。
また、透光性部材の平面から蛍光体が設けられた側と反対側に突出する面については、必ずしも全体が連続した滑らかな仮想曲面となっていなくてもよく、例えば一定の曲率を有する仮想曲面にこれとは曲率が異なる仮想曲面が接合された形状であってもよい。
また、上記実施形態では、三角錐体からなる再帰反射構造体の例を挙げたが、微小な球体からなる再帰反射構造体が用いられてもよい。この場合、例えば透光性部材の表面に透光性部材と略同じ屈折率を有するガラスビーズ等の複数の球体を配置し、透光性部材の仮想曲面から球体の一部が外部に露出する構成とすれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。
その他、波長変換素子および光源装置を構成する各構成要素の数、形状、材料、配置等については、適宜変更が可能である。また、本発明の波長変換素子には、上記実施形態で例示した構成要素以外の構成要素が付加されていてもよい。
また、上記実施形態では、3つの光変調装置を備えるプロジェクターを例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに本発明を適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、上述した液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイスなどを用いることもできる。
その他、プロジェクターの各種構成要素の形状、数、配置、材料等については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
また、上記実施形態では本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
また、上記実施形態では本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
1…プロジェクター、10…第1発光素子(励起光源)、20,40,60…波長変換素子、22…基板(非透光性基板)、42…基板(透光性基板)、22h…開口部、25…蛍光体(波長変換部)、25a…(蛍光体の)第1面、25b…(蛍光体の)第2面、27…透光性部材、27a…平面、27c,27c1,27c2,27c3…曲率中心、27s…仮想曲面、30…再帰反射構造体、100…第1光源装置(光源装置)、400R,400G,400B…光変調装置、600…投写光学系。
Claims (11)
- 励起光および前記励起光が波長変換された蛍光が通過する第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、を有する波長変換部と、
前記第2面に対向する平面と、前記平面から前記波長変換部が設けられた側と反対側に突出する仮想曲面上に設けられた再帰反射構造体と、を有する透光性部材と、
を備え、
前記仮想曲面の曲率中心は、前記波長変換部の前記第2面に対向して位置し、
前記第2面から射出された前記蛍光は、前記透光性部材の内部を進行し、前記再帰反射構造体によって反射することを特徴とする波長変換素子。 - 前記波長変換部と前記透光性部材とを支持する基板をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
- 前記基板は、開口部を有する非透光性基板から構成され、
前記波長変換部は、前記開口部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の波長変換素子。 - 前記基板は、透光性基板から構成され、
前記波長変換部は、前記透光性基板の一面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の波長変換素子。 - 前記再帰反射構造体は、底面の形状が正三角形であり、3つの側面の形状が直角二等辺三角形である三角錐体から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の波長変換素子。
- 前記仮想曲面は半球面であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の波長変換素子。
- 前記仮想曲面の曲率中心は、前記波長変換部の内部、もしくは前記透光性部材の内部に位置していることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の波長変換素子。
- 前記波長変換部の前記第2面と前記透光性部材の前記平面との間に設けられた接着層をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の波長変換素子。
- 前記仮想曲面の曲率中心は、前記接着層の内部に位置していることを特徴とする請求項8に記載の波長変換素子。
- 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の波長変換素子と、
前記励起光を射出する励起光源と、を備えたことを特徴とする光源装置。 - 請求項10に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、
前記画像光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。
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