JP2018164416A - 稲作農法 - Google Patents

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巧 川村
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【課題】 人の手間を掛けないで健康な稲を育成でき、規模拡大にも簡単に対応できる稲作農法を提供すること。【解決手段】 稲刈り後に、藁と一緒に田を耕す工程と、上記田に有機肥料あるいは有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒く工程と、上記田に水を入れて代かきをする工程と、田植えもしくは種籾撒きをする工程と、上記代かきをする工程より前に、土中の藁などのセルロースを分解するための微生物製剤を撒く工程とを実施し、田植えや種籾を撒く工程の前に、微生物製剤によって予めセルロースを分解して、稲の生育中に発生する上記ガスの量を少なくする。【選択図】 図1

Description

この発明は、稲作農法に関する。
稲作は、通常、5月の中旬までに田植えをして秋に稲刈りをするが、田植え前の土づくりや、稲の生育中にその状態を見ながら、肥料を追加したり、病害虫や雑草から稲を守るための対策を講じたりしなければならない。
図4を用いて、従来から行なわれている一般的な稲作農法の例を説明する。
まず、前年の稲刈りが9月〜10月くらいに終わると、土の上に残された稲藁を土に混ぜ込む作業をする。
そして、翌年の春に再度耕した田に化成肥料を撒く。
さらに、水を引いて代かきをし、通常ビニールハウスで育てた苗を、4月から5月の中旬までに田植えする。
それから秋の稲刈りまでの間、稲の生育状態を見ながら、雑草対策や病害虫対策を行なったり、肥料の追加(以降「追肥」という)をしたりする。
通常、稲刈りまでの間に、雑草対策のための除草作業や除草剤の散布が1,2回、病害虫対策のための農薬の散布が2,3回、追肥が1〜3回行なわれている。なお、上記雑草対策、病害虫対策及び追肥は、代かきから稲刈りまでの間に、稲の生育状態に合わせて適宜行う作業であって、図4はその順番を示したものではない。
また、稲の生育過程に応じて、田の水深を調整する水管理が行なわれている。
このような農法は、一般的に行なわれているものであり、先行技術文献調査は行なっていない。
上記した従来の農法では、必要な収量を得るために、田植えから稲刈りの間に、雑草対策、病害虫対策及び追肥など、手間をかけなければならなかった。
言い換えれば、従来の稲作農法は手間がかかり過ぎるという問題があった。
このように従来の稲作農法が、手間がかかる理由は以下のとおりである。
土に混ざった藁などのセルロースは、もともと土中にいる微生物によって分解され、稲の栄養素となる。このセルロースが分解される過程で、メタンガスや硫化水素ガスが発生する。これらのガスが水中で気泡となって稲の根の周囲に付着すると、ガスバリアが形成され、根が養分を吸収できなくなってしまう。その結果、稲は生育不良になってしまう。
特に、硫化水素ガスは、根を痛めて根腐れを起こさせるため、稲は十分に根を張ることができない。根の張りが悪ければ、土の深いところの養分を吸収することができなくなるので、これも稲の生育不良の原因となる。
そこで、従来は、稲が養分不足で生育不良とならないように、化成肥料の追肥を行なっていた。このように、追肥を行なうと、稲は弱った根からその養分を吸収するが、このとき稲が硝酸態窒素過多になってしまうことがある。
稲が硝酸態窒素過多になると、硝酸態窒素を好む害虫が寄ってくるので、この害虫対策として防虫剤の散布が必要になる。つまり、追肥をすることによって、害虫対策が必要になっていた。
さらに、上記のように養分を十分に吸収できない稲は軟弱になり、病気にかかる危険性も高い。したがって、病気の予防のために農薬を散布しなければならない。
特に、上記したように硝酸態窒素過多になったうえに日照不足になった場合には、いもち病になる可能性が高くなる。そのため、いもち病の予防のための農薬の散布をしなければならない。
一方、硝酸態窒素過多であって、日照が十分な場合には、細胞が肥大化して背丈が異常に伸び、倒伏の可能性が高くなる。そのため、背丈が伸びすぎないようにするための農薬の散布も必要になる。
さらにまた、軟弱な稲は雑草にも負けてしまうため、雑草対策として除草作業をしたり、除草剤を散布したりしなければならない。
そして、強い除草剤や防虫剤などは、稲にもダメージを与えてしまうため、その用法用量には注意が必要で、その作業自体も手間がかかるものである。
このように、雑草対策、病害虫対策、追肥の作業が必要なため、従来の農法は作業工数が多く、手間がかかるものになっていた。
また、従来の農法で作られた稲は穂首が細いため、風雨で倒れやすい。特に、穂が稔って重くなると、穂首が折れてしまう可能性がある。
また、上記したように根の張りが悪く、軟弱に育った稲は枯れ始めが早く、秋になって気温が下がり始めると、すぐに実を落としてしまう秋落ちが始まる。
そのため、秋になったら、稲穂の稔り具合を見て、稲が倒れたり、秋落ちしたりしないうちに、短期間で稲を刈ってしまう必要がある。つまり、従来の農法で育った稲は、稲刈りの適期が短い。言い換えれば、短期間に稲刈りを終了させなければならず、収穫時にも人手が必要であるという問題があった。
そのため、作業人数を増やさなければ、作付面積を増やすことができず、規模の拡大は難しいという問題があった。
また、稲刈り後には直ちに籾を乾燥させなければならない。そのため、収穫量に応じた乾燥設備が必要である。短期間に稲刈り及び籾の乾燥を行なう従来の農法で規模を拡大するためには、人手だけでなく、乾燥設備の増設や大型化のためのコストがかかり、規模の拡大は非常に難しくなってしまう。
この発明の目的は、人の手間を掛けないで健康な稲を育成でき、規模拡大にも簡単に対応できる稲作農法を提供することである。
第1の発明は、稲刈り後に、藁と一緒に田を耕す工程と、上記田に有機肥料あるいは有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒く工程と、上記田に水を入れて代かきをする工程と、田植えもしくは種籾撒きをする工程と、上記代かきをする工程より前に、土中の藁などのセルロースを分解するための微生物製剤を撒く工程とを実施することを特徴とする。
第2の発明は、稲刈り後に、藁と一緒に田を耕す工程と、上記田に有機肥料あるいは有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒く工程と、上記田に水を入れて代かきをする工程と、田植えもしくは種籾撒きをする工程と、上記田を弱酸性に維持するためのpH調整剤を撒く工程と、上記田に光合成細菌を撒く工程とを実施することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明を前提とし、上記田を弱酸性に維持するためのpH調整剤を撒く工程と、上記田に光合成細菌を撒く工程とを実施することを特徴とする。
第4の発明は、上記pH調整剤が、草木灰であることを特徴とする。
なお、上記混合肥料は、有機肥料と化成肥料とを混合したものであるが、有機肥料を主成分とするものである。
第1の発明によれば、セルロースを分解するための微生物製剤によって、藁の分解を促進させることができる。
特に、代かきをするより前に微生物製剤を撒くようにしているので、代かきをするまでにセルロースの分解が進み、セルロースの分解時に発生するメタンガスや硫化水素ガスは空気中に発散する。
代かき後には、未分解のセルロースがほとんどなくなっているので、セルロースの分解時に発生する上記ガスの量も少なくなる。そのため、水中に気泡となって稲の根の周りに付着するガスバリアの形成を防止できる。
また、水中の硫化水素ガスも少なくなるので、硫化水素ガスが稲の根腐れを起こさせることもなく、稲は根をしっかりと張ることができる。
このように、ガスバリアの形成が防止でき、根がしっかりと張れば、稲は根から養分を吸収しやすくなり、追肥をしなくても生育が良く、健康で丈夫な稲が育つ。つまり、追肥の手間が省ける。
また、追肥をしなければ、稲が硝酸態窒素過多になることもなく、害虫対策も必要なくなるし、硝酸態窒素過多を原因とする病気予防のための農薬の散布も必要ない。
さらに、根の張りが良く、養分を十分に吸収した稲は、雑草や様々な病気にも強くなるため、雑草対策や病気対策も不要になる。
そのため、田植えもしくは種籾を撒いてから稲刈りまでの間の作業工数が激減し、規模の拡大も容易になる。
また、上記微生物製剤を撒くことによって、もともと田の土の中にいる微生物だけで分解する場合と比べて、短時間で藁や籾殻などのセルロースを分解できるので、藁を土に混ぜ込むタイミングの自由度が増す。
例えば、微生物製剤を用いない場合には、セルロースが十分に分解されるように、早めに藁を土に混ぜ込むようにしていたが、この発明によれば、代かきの直前に藁を混ぜ込んだとしても、上記微生物製剤によって速やかにセルロースを分解することができる。
また、健康な稲は穂首も太く、穂の重量にも耐えることができ、風雨によっても倒れにくい。さらに、秋落ちしたりすることもない。
したがって、稲刈りの適期が長くなって、短期間で稲刈りをしたり、籾を乾燥させたりしなくてもよくなる。
そのため、稲刈りの作業者数を増やしたり、籾の乾燥設備の増設や大型化をしたりしなくても、規模拡大が可能になる。
さらに、雑草対策や病害虫対策のために、殺虫剤や農薬を散布する必要がなくなるため、環境汚染の心配もなく、田に、微生物や小動物、昆虫などが生息できるようになる。
第2の発明によれば、藁や籾殻などのセルロースの分解時に発生するメタンガスや硫化水素ガスを光合成細菌が吸収して、根の周囲にガスのバリアが形成されることを防止できる。特に、pH調整剤を撒いて田を弱酸性に維持し、光合成細菌が活性化する環境を整えることができるので、光合成細菌が活性化して上記メタンガスや硫化水素ガスをよりよく吸収することができる。
そのため、根の周囲にガスバリアが形成されることを防止でき、稲は、根から養分を吸収することができる。
また、硫化水素ガスが吸収されれば、硫化水素ガスによる根腐れが起こらず、稲は根を十分に張ることができる。
また、光合成細菌は、セルロースを分解するときに酸素を放出する。根の周囲に酸素があると養分の吸収が促進される。
このように、光合成細菌がセルロースの分解時に発生するメタンガスや硫化水素ガスを吸収することによって、上記ガスを原因とする様々な問題を解消でき、健康で丈夫な稲を育てることができる。
また、上記第1の発明と同様に、田植えもしくは種籾を撒いてから稲刈りまでの間の作業工数を激減できるうえ、稲刈りの適期が長くなるため、規模拡大も容易になる。
さらに、雑草対策や病害虫対策のために、殺虫剤や農薬を散布する必要がなくなるため、環境汚染の心配もなく、環境汚染もなく、田に、微生物や小動物、昆虫などが生息できるようになる。
第3の発明によれば、代かきの前に、微生物製剤を撒くことによって、代かき後に発生するメタンガスや硫化水素ガスを減らしながら、代かき後に発生した上記ガスを光合成細菌によって吸収することができる。
特に、pH調整剤によって光合成細菌が活性化する環境を維持するので、より確実にメタンガス及び硫化水素ガスが吸収される。したがって、上記ガスの発生を原因とする様々な問題を解消できる。
第4の発明によれば、草木灰が田のpHを調整して光合成細菌を活性化させるだけでなく、稲の肥料やタニシなどの栄養としても機能する。特に、草木灰に多く含まれる水溶性カリウムは稲が吸収しやすい。
また、石灰のカルシウムはタニシのエサにもなるので、タニシをエサにするホタルも田に戻ってくる。
この発明の実施形態の稲作農法の工程を示す図である。 稲穂の写真で、(a)はこの発明の実施形態の農法によって作られた稲穂で、(b)は従来の農法によって作られた稲穂である。 実施形態の農法で作られた玄米の千粒重を従来の農法で作られた玄米と比較した表である。 従来の稲作農法の工程を示す図である。
図1にこの発明の稲作農法の一実施形態を示す。
この実施形態の農法は、前年の稲刈り後に、稲藁を土に混ぜ込むようにしている点は、図4に示す従来農法と同じであるが、春先に田を耕した後、水を入れる前に、肥料だけでなく、微生物製剤及びpH調整剤を撒いて、さらに、田植え後に光合成細菌を撒く点が、従来の農法とは異なる。ただし、上記藁の混ぜ込みは、春先に田を耕す際に同時に行ない、稲刈り後には藁を放置しておいてもよい。
そして、水管理は従来と同様に行なう。
上記肥料としては有機肥料か、有機肥料をメインにして化成肥料を混合した混合肥料を用いる。有機肥料は、化成肥料と比べて、肥効の持続性に優れていることと、作物本来の味や香りを引き出すことができるという特徴がある。
この実施形態では、有機肥料を主成分とするが、有機肥料の短所である即効性の弱さを補うために、有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を用いている。混合肥料として、川合肥料株式会社製のぼかせい(川合肥料株式会社の登録商標)を1〔反〕当たり70〔kg〕使用する。
なお、1〔反〕は、約991.7〔m〕である。
また、上記微生物製剤は、稲藁などのセルロースの分解を促進するためのものである。
微生物製剤としては、ナガセケムテックス株式会社製の市エ門(商品名)を用いる。この市エ門は、有機物を分解する複数の微生物群をそれぞれ純粋培養してから混合し、撒きやすいように天然ゼオライトを混合した製剤である。この市エ門を、1〔反〕当たり15〔kg〕使用する。
さらに、pH調整剤として、川合肥料株式会社製の貝化石草木灰を使用する。
上記貝化石草木灰は、貝化石とヤシの実を燃焼させた草木灰とを約2:3の割合で混合した混合物であり、その水溶液はpH11.2である。これを撒くことで、もともと酸性に偏っている田を、pH6.5程度の弱酸性に調整することができる。
上記貝化石や、草木灰には石灰のほか様々なミネラルが含まれる。特に、草木灰には水溶性カリウムが多く含まれ、貝化石草木灰は、田のpH調整だけでなく、稲の肥料としても機能する。このような貝化石草木灰を、1〔反〕当たり20〔kg〕使用する。
上記ぼかせい、市エ門及び貝化石草木灰を撒いたら、水を入れて代かきをし、田植えをする。
そして、田植え後には、光合成細菌の溶液であるブラドミンPSB(日本バイオ肥料株式会社の登録商標)を撒くが、その使用量は1〔反〕当たり4〔l〕である。
上記ブラドミンPSBは、1〔ml〕中に1億個以上の生の光合成細菌を含有した溶液である。このブラドミンPSB中には、嫌気性の光合成細菌、好気性の光合成細菌であって、それぞれ高温で活性化するもの、低温で活性化するものが混合されている。そして、これらの光合成細菌は、弱酸性の環境下で特に活発に活動し、田の中のメタンガスや硫化水素ガスを吸収して酸素を排出する。
上記ブラドミンPSBを田に撒いたら、その後は、秋まで水管理だけを行ない、稲刈りをする。
上記したように、この実施形態では、田植えから稲刈りまでの間に、従来のような雑草対策や病害虫対策、追肥などをする必要がない。したがって、稲の生育中の手間を大幅に削減できる。
以下に、この実施形態の農法で手間がかからなくなる理由を説明する。
この実施形態の農法は、田に水を入れる工程の前に、田に微生物製剤である市エ門を撒く点が最大の特徴である。
市エ門を撒くことによって、藁などのセルロースを、急速に分解することができる。もともと土中にある微生物だけで分解する場合とは比べものにならないくらい短時間でセルロースが分解される。
そして、市エ門の微生物がセルロースを分解する際には、メタンガスや硫化水素ガスが発生するが、市エ門は水を入れる前に撒かれているので、発生した上記ガスは大気に触れ、大気中に発散する。
このように、田に水を入れる前に発生したガスは、大気中に発散するので、水を入れた田で、気泡となって稲の根の周囲にガスバリアを形成することがない。
上記したように、1〔反〕当たりの田に、市エ門を15〔kg〕撒けば、代かきをして田植えをする前にはセルロースの分解がほとんど済んだ状態となる。
仮に、未分解のセルロースが水入れ後まで残っていたとしても、その量はわずかである。
そして、水を入れてから発生したメタンガスや硫化水素ガスは、代かき工程で田から大気へ押し出されるため、水中に残ってガスバリアを形成したり、根腐れの原因になったりしない。
このように、代かき工程の後で分解されるセルロース量は非常に少なくなるので、その分解によって発生するメタンガスや硫化水素ガスの量も非常に少ない。したがって、代かき工程後にセルロースの分解によってガスが発生しても、それがガスバリアの形成や、根腐れの原因となることはほとんどない。
また、この実施形態では、pH調整剤として上記貝化石草木灰を撒くとともに、上記ブラドミンPSBを撒いている。
ブラドミンPSBは、上記したようにメタンガスや硫化水素ガスを吸収して酸素を排出する。しかも、上記貝化石草木灰を撒くことによって、田は弱酸性にpH調整され、上記光合成細菌が活性化する条件が整っている。活性化した光合成細菌は、上記メタンガスや硫化水素ガスを十分に吸収する。したがって、代かき工程の後に、残っている未分解のセルロースが分解されても、発生したガスが光合成細菌に吸収され、根の周囲にガスバリアが形成されることを防止する。
したがって、根からの養分の吸収が阻害されることがない。さらに、根の周囲に酸素があれば、根が養分をより吸収しやすくなる。
このように、この実施形態の農法では、市エ門によって代かき工程の前にセルロースの分解を促進して、水中で発生するメタンガスや硫化水素ガス量を少なくしながら、田植え以降に発生する上記ガスは、ブラドミンPSB中の光合成細菌が吸収するようにしている。
したがって、根の周りにガスバリアが形成されることも、硫化水素ガスによって根腐れが発生することもなく、根をしっかりと張ることができる。根が張れば、土の深いところからも養分も吸収できる。
このように、根から十分な養分を吸収できれば、追肥をしなくても健康で丈夫な稲を育てることができる。
そして、健康な稲は、雑草や病害虫にも強い。特に、追肥をしなければ、稲が硝酸態窒素過多になることがないため、硝酸態窒素を好む害虫が付くことも、いもち病になることもない。
したがって、この実施形態の農法では、追肥だけでなく、雑草対策や病害虫対策も不要になって手間を大幅に省くことができる。
しかも、根をしっかりと張った健康な稲は、倒れにくく、秋落ちもなく、実も充実している。
図2は、稲穂の写真であり、図2(a)はこの実施形態の農法で作られたもの、図2(b)は従来の農法で作られたものである。
これらの写真からも明らかなように、実施形態の稲の方が、穂首が太く、実付きもよい。穂首の太さは、図2(a)の実施形態の稲が2〔mm〕、図2(b)の従来農法のものは1〔mm〕であった。
また、図3は、玄米の千粒当たりの重量である千粒重を比較した表である。従来の農法で作られた玄米が21.0〔g/1000粒〕〜22.0〔g/1000粒〕であったのに対し、この発明の実施形態の農法で作られた玄米は22.5〔g/1000粒〕〜23.0〔g/1000粒〕であった。この千粒重の差は、目視でも分かる程度の粒の大きさの差に表れている。
このように、この実施形態の農法によれば、手間を掛けずに健康で丈夫な稲を育てることができる。
また、穂が重くなっても倒れにくく、秋落ちもしないため、従来のように、短期間に稲刈りを終了しなくてもよくなった。つまり、稲刈りの適期が長い。
そのため、田の面積が広くても時間をかけて刈り取ることができ、それほど人手を増やさなくても、稲作の規模拡大に対応できる。
さらに、稲刈り後の籾の乾燥も、刈り取った順に行なえばよいので、処理量が増えても、乾燥設備の増設や大型化をしなくてもよくなる。
このように、人手や設備にかけるコスト上昇を抑えることができるため、稲作の規模の拡大が容易になる。
なお、実施形態で用いた混合肥料としてのぼかせい、微生物製剤としての市エ門、貝化石草木灰、光合成細菌の溶液であるブラドミンPSBの使用量は、上記した量に限らない。
上記市エ門の使用量を多くすれば、それだけセルロースの分解速度が早くなるため、稲の生育中に発生するガス量を少なくできるが、その分コストがかかる。
市エ門の使用量は、田に混ぜ込まれた藁や籾殻などの量や、撒く時期などに応じて調整すればよい。
また、ブラドミンPSBの使用量は、市エ門を撒くことによっても分解しきれなかったセルロースの分解時に発生するガスを、速やかに吸収できる量が必要である。ブラドミンPSBの使用量が少なすぎれば、ガスの吸収が不十分になってしまうし、多い場合には、ガスの吸収が良くなるが、その分コストがかかってしまう。ただし、ブラドミンPSBが多すぎても、死んだ光合成細菌は稲の養分となるため、特に問題はない。
したがって、ブラドミンPSBは、市エ門の効果を考慮して、必要量だけ使用することが好ましい。
さらに、貝化石草木灰の使用量は田の特性によるが、1〔反〕当たり40〔kg〕使用すると、田がアルカリ性になって、稲の生育に悪影響を与えることを確認している。
なお、上記実施形態では、市エ門によって稲の生育中に発生するガス量を抑えながら、生育中に発生したガスはブラドミンPSB中の光合成細菌に吸収させるようにしているが、市エ門とブラドミンPSBは、必ずしも両方とも使用しなければならないというものではない。
例えば、藁などを早めに土に混ぜ込んで土中の微生物を利用したり、市エ門の使用量を多くしたり、早めに撒いたりすることで、代かき工程の前に、ほとんどのセルロースを分解できれば、上記ブラドミンPSBや、pH調整剤としての貝化石草木灰を使用しなくてもよい。
一方、貝化石草木灰で弱酸性を維持した田にブラドミンPSBを撒くことによって、稲の生育中に発生するメタンガスや硫化水素ガスを確実に吸収できれば、代かき工程の前に撒く市エ門の量を減らしたり、市エ門を撒くのをやめたりしてもよい。
また、上記実施形態で用いる肥料、微生物製剤、pH調整剤、光合成細菌は、上記した機能を発揮するものならば、上記した製品に限定されない。
例えば、上記川合肥料株式会社製の貝化石草木灰は、貝化石とヤシの実の灰とを約2:3の割合で混合したものであるが、貝化石とヤシの実の灰との混合割合は上記のものに限らない。また、貝化石を含まない草木灰でもよいし、ヤシの実以外の植物を燃焼させて得られた草木灰でもよい。
さらに、田のpHを調整するためだけなら、上記貝化石や草木灰以外のpH調整剤を用いてもよい。
ただし、貝化石や草木灰には、石灰と、そのほかの様々なミネラルが含まれているため、田を弱酸性に保つだけでなく、肥料としても有効に機能する。特に、草木灰には水溶性カリウムが多く含まれているため、稲の有効な肥料となる。
また、上記貝化石草木灰やブラドミンPSBを撒く時期も、上記実施形態に限らない。貝化石草木灰は光合成細菌を活性化させるためのものなので、光合成細菌の溶液を撒くのとほぼ同時か、それ以前に撒いておけば良い。
上記実施形態のように、水入れの前にpH調整剤としての貝化石草木灰を撒き、田植え後にブラドミンPSBを撒くようにすれば、先に撒いた貝化石草木灰が代かきの際に土に均一に混ぜ込まれ、田のpHが弱酸性に調整されて活性化しやすい環境が整ってから、光合成細菌が撒かれることになるので、光合成細菌はより効果的に機能する。
また、有機肥料や、有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒くタイミングも、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、田植え機を利用して、田植えと同時に有機肥料や混合肥料を撒いてもよい。
肥料を撒くタイミングにかかわりなく、微生物製剤あるいは、pH調整された田で活性化した光合成細菌が、セルロースの分解時に発生するガスによる問題を解消する点がこの発明の特徴である。
また、上記実施形態は田植えをする農法であるが、この発明の稲作農法は、直播栽培にも適用できる。
直播栽培とは、田植えをせずに、代かきされた田に直接、種籾を撒く栽培法である。この直播栽培の場合には、田に混ぜ込んだ藁などのほか、種籾の籾殻が分解される際にも、メタンガスや硫化水素ガスが発生する。これらのメタンガスや硫化水素ガスは、種籾の発芽も阻害する。
しかし、上記ブラドミンPSB中の光合成細菌が上記ガスを吸収することで、ガスバリアの形成を防止できるので、発芽が促進され、根からも十分な養分を吸収できる。
なお、種籾は代かき工程の後に撒かれるため、分解時に発生したガスは水中で気泡を形成しやすい。そのため、直播農法では、発生したガスを吸収する上記ブラドミンPSBなどの光合成細菌を使用することが好ましい。
ただし、代かき前に、市エ門などの微生物製剤によって、土中のセルロースを予め分解しておけば、種籾を撒いてからは分解すべきセルロースは籾殻だけになり、発生するガス量は少なくなる。そのため、直播栽培においても、ブラドミンPSBを使用しなくても、従来の農法と比べれば、ガスによる悪影響を少なくできる。
したがって、直播栽培においても、この発明の農法を適用すれば、雑草対策、病害虫対策及び追肥の手間を削減しながら、健康で丈夫な稲を育てることができる。
また、籾の乾燥設備の増設や大型化をしなくても、稲作の規模拡大が可能になる。
そして、上記実施形態では、殺虫剤や農薬を散布しないため、環境汚染の心配もなく、田に微生物や小動物、昆虫などが生息できる。特に、石灰分を含んだ貝化石草木灰などを撒けば、田にカルシウムが豊富になってタニシが増殖し、それをエサにするホタルも増える。
作業の手間を激減させて、稲作の規模拡大を容易にできる。

Claims (4)

  1. 稲刈り後に、藁と一緒に田を耕す工程と、
    上記田に有機肥料あるいは有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒く工程と、
    上記田に水を入れて代かきをする工程と、
    田植えもしくは種籾撒きをする工程と、
    上記代かきをする工程より前に、土中の藁などのセルロースを分解するための微生物製剤を撒く工程と、
    を実施する稲作農法。
  2. 稲刈り後に、藁と一緒に田を耕す工程と、
    上記田に有機肥料あるいは有機肥料に化成肥料を混合した混合肥料を撒く工程と、
    上記田に水を入れて代かきをする工程と、
    田植えもしくは種籾撒きをする工程と、
    上記田を弱酸性に維持するためのpH調整剤を撒く工程と、
    上記田に光合成細菌を撒く工程と、
    を実施する稲作農法。
  3. 上記田を弱酸性に維持するためのpH調整剤を撒く工程と、
    上記田に光合成細菌を撒く工程と、
    を実施する請求項1に記載された稲作農法。
  4. 上記pH調整剤が、草木灰である請求項2又は3に記載の稲作農法。
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