JP2007289095A - 水田雑草の生育抑制方法及び稲の栽培方法 - Google Patents

水田雑草の生育抑制方法及び稲の栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 労力と経費を抑えて稲の生産性を高めることができる稲の栽培方法を提供すること。
【解決手段】 稲の刈取り後の水田に入水し、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料を散布して秋期雑草の発芽及び生育を抑制し、その後入水を打ち切って乾田とした状態で冬を越し、しかる後に水田に入水して水を張った状態で稲の種子を直播きする稲の栽培方法。稲の種子の直播きと同時に、或いはこの直播きの前後に、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料又はサポニン含有量の多い有機物を散布して春期雑草の発芽及び生育を抑制するのが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、水田に生える水田雑草の発芽及び生育を抑制する生育抑制方法、及びこの水田雑草の生育抑制方法などを利用した稲の栽培方法に関する。
水田雑草の発芽及び生育を抑制するために、田植えを行った水田に澱粉含量の多い炭水化物材料、例えば米糠、屑小麦などを散布する雑草の生育抑制方法が知られている(例えば、特許文献1)。このような生育抑制方法では、田植え後の水田に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布すると、散布した炭水化物材料の微生物による分解が起こり、この分解により水田表土及び田面水中の酸素が消費され、これによって、水田の表層及び田面水中が酸素欠乏状態となって水田雑草の発芽及び生育が抑制される。また、上述した炭水化物材料を散布すると、散布した炭水化物材料の分解による水田土壌の還元により、また炭水化物材料の構成物質の一部のコロイド化及び水田土壌の土壌組織のコロイド化により、田面水の動明度が悪くなり、これによって、田面水を通過する太陽光線が遮断されて水田雑草の発芽及び生育が抑制される。
このような水田雑草の抑制方法を利用した、又は一般的な稲の栽培方法は、例えば図6に示すような作業を行って稲の栽培が行われる。秋の収穫後の10月中頃に、水田が平面に耕され(平面耕)、12月頃に水田が畦立に耕され(畦立耕)、翌年の3〜4月頃に畦立を崩すように耕される(畦崩し)。また、田植え前に水田に入水した後に代掻きが行われ、5月初め頃に稲の田植えが行われる。
上述した水田雑草の生育抑制方法を利用する場合に、この田植えと同時に、又は田植えの直後に炭水化物材料の散布が行われる。その後、稲の品種により時期が少し異なるが、稲の生育過程で病虫害防除のための農薬散布が行われ、これらの作業を経て秋に稲の収穫が行われる。
特許第3609212号公報
しかしながら、従来の稲の栽培方法では、稲の収穫後から翌年の田植えまでの間に、収穫後に生える雑草対策や田植えの準備のために、平面耕、畦立耕、畦崩し、代掻きなどの圃場耕起を行うとともに、田植えのための稲の育苗を行っており、それ故に、多くの労力と経費を必要とし、例えば水稲10アール当たりの作業労働時間は約32.6時間程度(全国の米生産調査の平成13年度の統計)であり、省力化の促進、栽培経費の削減、生産性の向上が強く望まれている。
また、従来の稲の栽培では、苗を育てるために、狭い育苗箱に多量の種子を播き、苗丈を伸ばすために高温、多湿、光線不足の環境で育てられる。そのために、病虫害に弱く、薬剤による種子消毒などが必要となり、その手間が必要となるとともに、栽培コストが上昇する。
更に、育苗箱で育てられた苗は、田植えの際に大切な根が引きちぎられ、複数本の苗が束にして地中に押し込まれるように植え付けられるために、植え付けられた苗は本来の能力を発揮することができず、生育過程においてさまざまな障害が生じるおそれがある。
本発明の目的は、労力と経費を少なく抑えて稲栽培の生産性を高めることができるとともに、無農薬有機栽培に好適である稲の栽培方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上述した稲の栽培方法に好都合に適用することができる水田雑草の生育抑制方法を提供することである。
本発明の請求項1に記載の水田雑草の生育抑制方法は、稲の刈取り後に秋雑草が生えた水田に入水し、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料を散布して秋期雑草の生育を抑制することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の水田雑草の生育抑制方法は、稲の刈取り後から水田に入水し、この入水した状態を稲栽培の水田の入水まで継続的に保ち、冬期を通して入水状態に保って水田に生える秋雑草の生育を抑制することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の水田雑草の生育抑制方法は、稲の刈取り後に水田を乾田にし、乾田状態にて冬を越し、稲栽培の水田への入水前に、この乾田に生存する秋雑草を熱風処理して枯死させることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の水田雑草の生育抑制方法では、稲の種子を直播きすると同時に、或いは直播きの前後に、入水状態の水田に、澱粉含有量の多い炭水化物材料又はサポニン含有量の多い有機物材料を散布して水田雑草の発芽及び生育を抑制することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の稲の栽培方法は、請求項1又は3に記載の水田雑草の生育抑制方法を用いて秋雑草の生育を抑制し、稲の栽培の前に水田に入水し、その後入水状態の水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の稲の栽培方法は、請求項2に記載の水田雑草の生育抑制方法を用いて秋雑草の生育を抑制し、稲刈り後から入水状態に保たれた水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載の稲の栽培方法は、稲の刈取り後に水田を乾田にし、乾田状態にて冬を越し、稲栽培の水田への入水前に、この乾田に生存する秋雑草を刈取り、その後稲の栽培の前に水田に入水し、しかる後に入水状態の水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする。
更に、本発明の請求項8に記載の稲の栽培方法では、稲の種子の直播きと同時に、或いはこの直播きの前後に、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料又はサポニンの含有量の多い有機物材料を散布して水田雑草の発芽及び生育を抑制することを特徴とする。
更にまた、本発明の請求項請9に記載の稲の栽培方法では、直播きする稲の種子は粘質土でコーティングされたコーティング種子であり、その種子の新芽及び/又は新根が前記コーティング種子の表面から外側に伸び始めていることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の水田雑草の生育抑制方法によれば、稲の刈取り後の水田に入水し、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料、例えば米糠、屑小麦、大豆油粕などを散布するので、この散布した炭水化物材料の微生物による分解が起こって田表土及び田面水中の酸素が消費され、これによって、水田の表層及び田面水中が酸素欠乏状態となり、このように酸素欠乏状態に一時的にすることによって、稲刈り後に生える秋雑草の生育を抑制することができる。
また、本発明の請求項2に記載の水田雑草の生育抑制方法によれば、稲刈り後から水田に入水し、この入水状態を稲栽培の入水まで継続的に保つので、稲刈り後に水田に生える秋雑草(水に弱い性質がある)は生育し難く、その生育を抑制することができる。
また、本発明の請求項3に記載の水田雑草の生育抑制方法によれば、稲栽培前の水田への入水の前に、冬を越して水田に残存する雑草を熱風により処理するので、前年から発生して残存する雑草を枯死させることができ、稲の生育にも支障がない。また、このように熱風処理することにより、翌年に雑草の種子を残さないことになり、翌年の雑草が少なくなる。尚、この熱風は例えば石油バーナなどの燃焼火炎などによって生成することができる。
また、本発明の請求項4に記載の水田雑草の生育抑制方法によれば、稲の種子を直播きすると同時に、或いはこの直播きの前後に、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料を散布するので、炭水化物材料の微生物による分解などによる酸素欠乏状態によって、種の直播き前後に生える水田雑草の発芽及び生育を抑制することができる。炭水化物材料に代えて、サポニン含有量の多い有機物材料、例えば椿油粕などを散布するようにしてもよく、このような有機物材料を散布することによっても水田雑草の生育を抑制することができる。
また、本発明の請求項5に記載の稲の栽培方法によれば、請求項1又は3に記載の水田雑草の抑制方法を利用して稲の栽培を行うので、秋雑草の生育を抑制し、雑草のほとんどない状態で稲の種子の直播きを行うことができる。また、春に水田に入水し、この入水状態で稲の種子を直播きするので、従来のように耕したり、田植えを行うことなく、稲の種子の直播きでもって栽培することができ、栽培に費やす労力、経費を少なくして稲の栽培の生産性を高めることができる。
また、本発明の請求項6に記載の稲の栽培方法によれば、請求項2に記載の水田雑草の抑制方法を利用して稲の栽培を行うので、雑草のほとんどない状態で稲の種子の直播きを行うことができる。また、稲刈り後から入水状態を保って稲の種子を直播きするのみでよく、上述したと同様に、栽培に費やす労力、経費を少なくして稲の栽培の生産性を高める
ことができる。
また、本発明の請求項7に記載の稲の栽培方法によれば、稲の栽培前に秋雑草を刈取り、その後水田に入水して稲の直播きを行うので、このようにしても雑草を抑えた稲の直播き栽培を行うことができる。
更に、本発明の請求項8に記載の稲の栽培方法によれば、稲の種子の直播きと同時に、或いはこの直播きの前後に、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料を散布するので、炭水化物材料の微生物による分解などによる酸素欠乏状態によって、直播きと同時に、又は直播きの前後に水田に生える水田雑草の発芽及び生育を抑制することができる。また、炭水化物材料に代えて、サポニン含有量の多い有機物材料を散布しても水田雑草の生育を抑制することができる。
更にまた、本発明の請求項9に記載の稲の栽培方法によれば、稲の種子は粘質土でコーティングされたコーティング種子を用いるので、入水した水田に直播きしたときに、コーティング種子が水中に沈んで着地し、その後吸水して崩壊するので、水田の表上に密植することができる。また、直播きされる種子は催芽し、その新芽及び/又は新根がコーティング種子の表面から外側に伸び始めているので、コーティング種子が崩壊し易く、また崩壊した後は新根が水田の土壌に根を張るようになり、直播きした種子の生育が所望の通りに行われるようになる。
以下、図1及び図2を参照して、本発明に従う水田雑草の生育抑制方法及び稲の栽培方法について説明する。図1は、本発明に従う稲の栽培方法の一実施例における各種作業を示す図であり、図2は、図1の稲の栽培方法(本発明に従う栽培方法)によって栽培した稲の茎の分げつ状態を模式的に示す説明図である。
図1において、この稲の栽培方法においては、秋の収穫後に、例えば9月末〜10月初めに稲刈りを行ったときには、10月中頃〜末頃に水田に入水が行われる。そして、水を張った水田(即ち、入水状態の水田)に澱粉含有量の多い炭水化物材料が散布される。このように炭水化物を散布すると、この散布した炭水化物材料の微生物による分解が起こって田表土及び田面水中の酸素が消費され、これによって、水田の表層及び田面水中が酸素欠乏状態となり、稲刈り後に生える秋雑草の発芽及び生育を抑制することができる。この炭水化物材料は、米糠、屑小麦、大豆油粕などであり、このように散布した炭水化物材料は稲の有機肥料となる。
稲刈り後の水田は、概ね地表が固まってひび割れ状態になって足跡もつかない状態であるが、その後の直播き後の稲の生育に伴って水圧や根圧などによって水田の土壌が膨軟となり、稲の生育に悪影響を与えることはない。尚、稲は根に必要な酸素は葉から茎を通して根に送られるために、入水後に炭水化物材料を散布して酸素欠乏状態となっても稲の生育には支障となることはない。
このように秋雑草の生育の抑制を行った後、例えば11月の中頃〜末頃に入水の打切りが行われる。その後、水田は乾田され、乾田状態(水のない状態)が冬の間にわたって保たれ、翌年の稲の直播きの準備が行われる例えば4月末頃まで保たれる。
その後に、直播きの前に、例えば4月末頃に再び入水が行われ、この入水の後に炭水化物材料の散布が行われる。このように炭水化物材料の散布を行うと、上述した同様にして水田の土壌表面で酸素欠乏状態などが生じ、直播き前において水田雑草の発芽及び生育を抑制することができる。
しかる後、例えば5月初め頃に、稲の種子の直播きが行われる。この直播きは、種子が確実に活着して生育するために、次のような状態にて直播きするのが好ましい。即ち、直播きの種子を催芽させ、催芽させた種子を粘質土の粉末で被覆してコーティング種子とする。粘質土は、粒径が例えば数ミクロン(μm)程度の小さいなものを用い、コーティング種子の長径(籾の長径側の長さ)が約1cm程度で、その重量が約1g程度となるように粘質土で被覆するのが望ましい。
このようなコーティング種子は、例えば、タライ状の容器に催芽種子を入れ、種子を入れた容器を傾斜させて所定方向に回転させながら粘質土と霧状の水分とを交互に振りかけて種子を上述した大きさまで肥大化させ、このようにして直播き用のコーティング種子を形成することができ、このようにコーティングすることによって新芽、新根を保護することができる。
このようなコーティング種子は、籾から出た新芽及び/又は新根がコーティング種子の表面から外部に伸び始めた頃のものが直播きに適している。コーティング種子は、乾燥しなければ周囲の温度次第で成長を続けて新芽及び新根が伸びるので、低温で貯蔵するか、或いは陰干しの状態に保つことによってその成長を一時的に停止させることができ、このようにして新芽及び新根の伸びを調整して適切な状態の種子を直播きする。尚、コーティング種子として、新芽や新根がコーティング種子の表面から外側に出ていないものを用いるようにしてもよい
このようなコーティング種子を直播きすると、入水状態の水田に沈んで土壌表面に着地する。そして、種子を覆う粘質土が水田の水を吸収して軟らかくなった後に崩れ、種子を覆った状態で土壌表面に密着する。従って、催芽した種子は、何等の損傷、障害を受けることなく成長を続けるようになる。
コーティング種子の散布は、作業者が手で播くようにしてもよいが、播種機を用いて条播きするのが望ましく、条播きすることによって、催芽した種子に適したバランスの良い生育の環境が与えられる。即ち、播種機により条播きする場合、播種機の車輪によって数センチメートル程度の溝が付くようにし、この溝にコーティング種子を落下せるようにするのが望ましい。このようにコーティング種子を落とすと、稲の生育後期においてこの溝が崩れて水田の表面が平面化され、成長した稲の株元が埋められるようになり、その結果、稲の倒伏に対する抵抗力が一層強化され、台風などの強風による稲の倒れを防止することができる。
このように直播きしたコーティング種子は、5〜8月を通して成長し、例えば早生種では9月の末頃に刈取りされ、このようにして稲の栽培が行われる。図1と図6とを対比することによって容易に理解される如く、この栽培方法では、水田を耕起する必要がなく、また育苗、田植え、追肥、穂肥、除草剤散布、防除薬散布なども行う必要がなく、それ故に、労力と経費を少なくして稲栽培の生産性を高めることができ、従来の栽培方法の労働時間の約半分程度で収穫を行うことが可能となる。
このように直播きした場合、稲が茎数を増加させる分げつの過程で従来の栽培方法と大きく異となり、このことが倒伏に対する抵抗力の強さ、またその収穫量に大きな影響を与えると考えられる。稲の大多数は、主茎が出穂するまでに約14枚の葉を形成するが、各葉の基部は節部であり、この節部から新たな茎が発生する(分げつする)が、低節位から発生する新茎ほど2次、3次の分げつする力が強く、これによって、大きな穂を形成するようになる。
図3は、従来の稲の栽培方法における稲の茎の分げつ状態を模式的に示す図であり、従来の栽培方法、即ち育苗箱で育てた苗を田植機で植え付けた場合、播種密度が高い、或いは1株の植付け本数が多く、このように例えば4本の苗12を植えた場合、各苗12の主茎14から図3に示すように一次茎16が分げつし、このような分げつでは、茎の低節位からの分げつが少なくなり、また分げつ茎の生育が不充分となり、有効茎の割合が少なくなる。
これに対して、上述した栽培方法(直播き栽培方法)では、図2に示すように、種子が成長するにつれて稲2の主茎4の低節位から強力に分げつが起こり、分げつの一次茎6の新芽は、一旦地中に向けて延びた後に釣針状に曲がって地表に向けて延び、このような新芽の分げつが一次茎1の低節位から二次茎8の分げつが起こり、更に二次茎8の低節位から三次茎10の分げつが起こり、これら二次茎8及び三次茎10についても一次茎6と同様に行われる。そして、一粒の種子が20数茎の親株に成長したときには、稲の株全体が地中に埋没した状態となり、このように分げつした状態の親株は倒伏に対して強い抵抗力を有し、倒れ難い丈夫な稲となる。このように直播きされた稲は、栽培初期の土壌中に可給態養分の少ない有機栽培水田で優れた能力を発揮し、後述するように充分な収穫量を得ることができる。
上述した実施例では、直播きに先だつ入水の後に(即ち、直播きの20日前後の前に)炭水化物材料を散布して直播き時期に生える水田雑草の生育抑制を行っているが、コーティング種子の直播きと同時に、或いはこの直播きの後に(即ち、直播きから数日後に)炭水化物材料を散布してもよく、このような時期に散布しても、上述したと同様に水田雑草の生育を抑制することができる。
また、この直播きの時期に炭水化物材料を頒布することに代えて、サポニンを多く含んだ有機物材料、例えば椿油粕を入水状態の水田に散布するようにしてもよい。このような有機物を散布した場合、サポニンによって雑草の発育が抑制され、炭水化物を散布したと同様に雑草の育成を抑制することができる。
また、上述した実施例では、秋雑草の生育を抑制した後に水田を乾田状態に保って冬を越しているが、これに限定されず、図4及び図5に示すようにすることもできる。図4を参照して、この稲の栽培方法では、稲刈り後に水田に入水し、この入水状態が冬の間を通して保たれ、稲の直播き前の入水まで継続して行われる。一般に、稲刈り後に水田(乾田)に生える秋雑草は水に弱く、水に浸かっただけでその生育が抑制される。従って、このように冬の間を通して入水状態に保つことによって、秋雑草の育成を抑えることができる。尚、入水状態を維持するのみでは生育抑制効果が少ない場合、稲刈り後の入水の後に、澱粉成分の多い炭水化物材料(例えば、米糠、屑小麦など)を散布するようにしてもよく、このように散布することによって、雑草の生育を一層効果的に抑制することができる。この場合においても、図4に示すように、直播きの前(例えば、直播きの20日前後の前)に入水状態の水田に澱粉含有量の炭水化物材料(又はサポニン含有量の多い有機物)の散布が行われ、その後上述したと同様にして稲の種子(上述したコーティング粒)の直播きが行われ、このような栽培方法を用いても上述したと同様の効果が達成される。
また、図5に示す稲の栽培方法では、稲刈りの後に乾田に保たれ、冬の間を通して乾田状態に維持される。この場合、稲刈り後に水田に秋雑草が生え、この秋雑草が直播き前まで残るようになるので、例えば3月末〜4月中頃に、水田に生育する雑草に対して熱風処理が行われる。熱風は、例えば石油バーナの燃焼火炎を利用することができる。尚、種子の直播き前において、水田の雑草が少ないときには、この熱風処理を省略することができる。尚、この稲の栽培方法においては、熱風処理の後に、図1の栽培方法と同様に、水田への入水及び炭水化物材料の散布が行われ、その後に稲の種子の直播きが上述した同様にして行われる。
また、上述した実施例では、稲の栽培方法に雑草の生育抑制方法を組み合わせて適用しているが、雑草の育成方法はそれ単独でもって用いることができる。
実施例
本発明の稲の栽培方法及び雑草の生育抑制方法の効果を確認するために、次の通りの栽培実験を行った。実施例の稲の栽培に用いた圃場は、滋賀県守山市小島町栗林1393番地の水田(面積:1.05アール)で、8年間継続して稲の有機栽培を行った水田を用いた。有機栽培を行った8年間、水田で刈り取った稲藁は、水田から持ち出した。
8年間継続して有機栽培を行ったことで春雑草のみならず、秋雑草まで発生が減少し、平成16年の稲刈り後放置した水田では、平成17年の春には畦畔から延びたキシユウスズメノヒエなどや点在していたススメノテッポウが目に付く程度であった。このような水田を用いて、平成17年春から上述した稲の栽培方法、即ち不耕起による種子の直播き栽培を行った。
水田への入水に先立ち、湖畔から延び出していたキシユウスズメノヒエなどの雑草及び目立って大きくなっていたススメノテッポウを取り除いた。そして、平成17年5月4日に水田に入水を行い、入水の直後に炭水化物材料のペレット(大豆油かすと米糠とを等分配合したもの)20kgを水田全域に均一とるように散布を行った。
その後、平成17年5月20日にコシヒカリのコーティング粒を水田一面に手播き散布した。このコーティング粒については、タライ状の容器を傾斜させて回転させ、回転する容器内に催芽した種子を入れ、粉末状の粘質土と霧状の水分とを交互に振りかけて肥大化させたものを用い、新芽及び新根がコーティング粒の表面から外部に伸び始めた頃のものを直播きした。直播きした種子量は、籾量でもって1.05アール当たり150gであった。
このようにして栽培した稲の生育状態を調べたところ、表1に示す通りの結果を得た。表1における「理想基準」とは、滋賀県農業試験場が掲げるコシヒカリの栽培の理想基準であり、比較例は従来の有機栽培方法(図4に示す示す栽培方法)によるコシヒカリの生育結果である。
Figure 2007289095
表1から理解されるように、慣行的栽培では、収穫量を増やす手段として穂を大きく育てるよりも、穂は小さくても穂数が多くなるように育てられ、穂数の増加が重視されている。そのために、田植え時には1株苗数及び植付け株数が多く、初期生育をよくするための肥料が必要となり、肥料を与えすぎると比較例の通りになる。
また、上位3葉の長さを調べると、穂の長さ(着籾数)に応じて長短があるが、実施例では上位3葉の合計長さが長く、理想基準及び比較例ではその合計長さが実施例よりも短い。これは、理想基準及び比較例では、実施例に比して受光能勢に問題があるものと思われる。
また、茎の分げつについて調べると、実施例では稲の茎は図2に示す状態となり、茎が短くて穂が長くなった(穂一つ当たりの籾数が多い)のに対し、理想基準及び比較例では稲の茎は図3に示す状態となり、茎が長くて穂が短く(穂一つ当たりの籾数少ない)、理想基準でも稲の有効茎が約80%で、約20%の茎が穂を付けいていないことになる。この分げつに関連し、実施例では、稲丈が短く、穂が大きいことから、光合成が効率的に行われていることが推測されるのに対し、理想基準及び比較例では、稲丈が長く、穂が小さく、更に穂にならない茎葉部が存在することから、光合成の効率が悪いこと推測される。また、稲の倒伏についても、実施例では稲が倒伏することがほとんどなかったのに対し、比較例では稲の倒伏が発生し易く、約50%程度の倒伏が生じ、実施例の栽培による稲は倒伏にも強いことが確認できた。
また、籾の収穫量について調べると、実施例では1株(種子1粒からなる)当たりの収穫量は3216粒であるのに対し、理想基準では1株(種子4粒からなる)当たりの収穫量は1242粒であり、実施例の約39%であり、種子1粒当たりの生産能力を比較した場合、実施例では3216粒であるのに対し、理想基準では311粒であり、実施例は理想基準に比して10倍以上の生産能力があり、稲の種子の本来の能力を充分に発揮することができる栽培方法であることが確認された。
本発明に従う稲の栽培方法の一実施例における各種作業を示す図。 図1の稲の栽培方法によって栽培した稲の茎の分げつ状態を模式的に示す説明図。 従来の稲の栽培方法によって栽培した稲の茎の分げつ状態を模式的に示す説明図。 本発明に従う稲の栽培方法の他の実施例における各種作業を示す図。 本発明に従う稲の栽培方法の更に他の実施例における各種作業を示す図。 従来の稲の栽培方法の一実施例における各種作業を示す図。
符号の説明
2 稲
4 主茎
6 一次茎
8 二次茎
10 三次茎

Claims (9)

  1. 稲の刈取り後に秋雑草が生えた水田に入水し、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料を散布して秋期雑草の生育を抑制することを特徴とする水田雑草の生育抑制方法。
  2. 稲の刈取り後から水田に入水し、この入水した状態を稲栽培の水田の入水まで継続的に保ち、冬期を通して入水状態に保って水田に生える秋雑草の生育を抑制することを特徴とする水田雑草の生育抑制方法。
  3. 稲の刈取り後に水田を乾田にし、乾田状態にて冬を越し、稲栽培の水田への入水前に、この乾田に生存する秋雑草を熱風処理して枯死させることを特徴とする水田雑草の生育抑制方法。
  4. 稲の種子を直播きすると同時に、或いは直播きの前後に、入水状態の水田に、澱粉含有量の多い炭水化物材料又はサポニン含有量の多い有機物材料を散布して水田雑草の発芽及び生育を抑制することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水田雑草の生育抑制方法。
  5. 請求項1又は3に記載の水田雑草の生育抑制方法を用いて秋雑草の生育を抑制し、稲の栽培の前に水田に入水し、その後入水状態の水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする稲の栽培方法。
  6. 請求項2に記載の水田雑草の生育抑制方法を用いて秋雑草の生育を抑制し、稲刈り後から入水状態に保たれた水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする稲の栽培方法。
  7. 稲の刈取り後に水田を乾田にし、乾田状態にて冬を越し、稲栽培の水田への入水前に、この乾田に生存する秋雑草を刈取り、その後稲の栽培の前に水田に入水し、しかる後に入水状態の水田に稲の種子を直播きすることを特徴とする稲の栽培方法。
  8. 稲の種子の直播きと同時に、或いはこの直播きの前後に、入水状態の水田に澱粉含有量の多い炭水化物材料又はサポニンの含有量の多い有機物材料を散布して水田雑草の発芽及び生育を抑制することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の稲の栽培方法。
  9. 直播きする種子は粘質土でコーティングされたコーティング種子であり、この種子の新芽及び/又は新根が前記コーティング種子の表面から外側に伸び始めていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の稲の栽培方法。
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