以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、実施形態の構成に限定されない。
<実施例1> 図1は、実施例1に係る無線通信システム10の概要を示す図である。図1に示す無線通信システム10は、無線通信装置100(100−1、100−2)と、設定装置200とを備える。図1に示す例において、無線通信装置100−1と無線通信装置100−2とが図示されているが、これに限定されるものではなく、1台以上の任意の台数の無線通信装置100を用いてもよい。
無線通信システム10において、無線通信装置100は、メモリに格納されたデータに基づいて、ビーコン信号を送信するように構成される。さらに、無線通信装置100は、受光素子を備えており、光源300からの光310が照射されることで、受光素子の出力レベルが第一状態(以下、高出力状態とも称される)となり、光源300からの光310の照射がなければ、受光素子の出力レベルが第一状態ではない第二状態(以下、高出力状態ではない状態、低出力状態とも称される)となるように構成される。なお、本開示において、高出力状態は、第二の状態の出力レベルよりも相対的に高い出力レベルにある状態という側面を有し、絶対的に高い値の出力レベルでなくてもよいことに留意されたい。同様に、低出力状態は、第一の状態の出力レベルよりも相対的に低い出力レベルにある状態という側面を有し、絶対的に低い値の出力レベルでなくてもよいことに留意されたい。別言すると、高出力状態は、受光素子の出力レベルが閾値よりも高い出力状態としての側面を有し、低出力状態は、受光素子の出力レベルが閾値よりも低い出力状態としての側面を有する。
無線通信装置100は、受光素子の出力レベルが第一状態の場合、接続要求を許容することを示す第一情報を含む第一信号を送信し、受光素子の出力レベルが第二状態の場合、接続要求を許容しないことを示す第二情報を含む第一信号を送信する。図1に示す例において、無線通信装置100−1は、光源300からの光310の照射を受けて、接続要求を許容することを示す第一情報を含む第一信号を送信している。一方、無線通信装置100−2は、光源300からの光310の照射を受けておらず、接続要求を許容することを示す第一情報を含む第一信号を送信していない。なお、無線通信装置100は、光源300からの光310の照射を受けていない場合、何も信号を発信しなくてもよいし、接続要求を許容しないことを示す第二情報を含む第一信号を送信してもよい。
設定装置200は、無線通信装置100からの第一信号を受信し、第一信号が接続要求を許容することを示す第一情報を含む場合、当該第一信号を送信した無線通信装置に対してデータの書込みを指示する信号(以下、第二信号とも称される)を送信する。
無線通信装置100は、受光素子の出力が高出力状態の場合、第一信号を送信した後の所定期間において受信回路を用い、設定装置200からの第二信号を受信し、受信した第二信号に基づいて、メモリにデータを書き込む。図1に示す例において、無線通信装置100−1は、光源300からの光310により受光素子の出力が高出力状態にあるため、設定装置200から受信した第二信号に基づいて、メモリにデータを書き込む。一方、無線通信装置100−2は、光源300からの光310の照射を受けておらず、受光素子の出力が高出力状態ではないため、設定装置200から第二信号が送信されても、当該第二信号に基づくデータの書込みは行われない。
これにより、作業者は、目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリにデータを書き込む無線通信装置100を限定することができ、変更対象の無線通信装置100を容易に特定することができる。なお、図1に示す例において、設定装置200と光源300とを独立して図示しているが、設定装置200が光源300を備えてもよい。例えば、設定装置200において、表示装置が設置された面(正面とも称される)とは反対側の面(背面とも称される)から光310を照射するように光源300を搭載すれば、作業者が設定装置200の画面を参照しながら、無線通信装置100に光310を照射することができ、有用である。
図2は、実施例1に係る無線通信装置100の動作の概略の一例を示す図である。図2に示す例では、無線通信装置100において時分割で実行される送信期間と受信期間とのタイミング(A100)と、受光素子の出力レベルの状態(B100)とが図示されている。
図2に示す時点t1では、光源300からの光310の照射を受けて、受光素子の出力レベルが高出力状態(H)となり、無線通信装置100は、接続要求を許容することを示す第一情報を含む第一信号(ADV1)を送信する。例えば、無線通信装置100と設定装置200との間の無線通信方式としてBluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEとも称される)を用いる場合、第一情報を含む第一信号は、ADV_INDパケットでもよい。ここで、ADV_INDパケットは、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)に、ADV_IND(0000)が設定されたAdvertisingパケットである。すなわち、ADV_INDが設定されたPDUタイプは、接続要求を許容することを示す第一情報の一例である。なお、ADV_INDパケットには、BLEのAdvertiseシーケンスを実行する上で有用な値が他にも設定され得る。例えば、無線通信装置100を識別するための情報や、無線通信装置100がBLEの通信規格に準拠した他の装置に対して提供し得るサービスに関する情報などを設定してもよい。これにより、設定装置200は、ADV_INDパケットに設定された種々の情報に基づいて、ADV_INDパケットを送信した無線通信装置100に関する情報を画面に表示することができる。
図2に示す例では、時点t1の第一信号の送信後に、設定装置200からの接続要求を待ち受ける受信期間(Rx)が図示されている。ただし、当該受信期間において、設定装置200からの接続要求は検知されない。これは、設定装置200が時点t1で送信された第一信号の受信に失敗したからかもしれないし、設定装置200が第一信号の受信に成功した後にユーザ(作業者)の指示を待機しているためかもしれない。無線通信装置100は、受信期間内に接続要求を検知しなかった場合、次の起動タイミングが到来するまでRF回路(送信回路および受信回路)を非活性にして、休止状態となる。これにより、消費電力を節約することができる。
時点t2において、無線通信装置100は、受光素子の出力が高出力状態(H)にあるため、接続要求を許容することを示す第一情報を含む第一信号(ADV1)を送信する。そして、第一信号送信後の受信期間内の時点t3において、設定装置200からの接続要求(CREQ)を受信する。例えば、無線通信装置100と設定装置200との間の無線通信方式としてBLEを用いる場合、接続要求(CREQ)は、CONNECT_REQパケットでもよい。ここで、CONNECT_REQパケットは、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)に、CONNECT_REQ(0101)が設定されたAdvertisingパケットである。CONNECT_REQパケットのPDUペイロードには、設定装置200からの第二信号を受信するための受信期間のタイミングに関する設定情報が含まれる。無線通信装置100は、接続要求に含まれる設定情報に基づく受信期間において、受信回路を用いて設定装置200からの第二信号を検知する。その結果、時点t4において、無線通信装置100は、設定装置200からの第二信号(M→S1)を受信する。図2に示す例では、無線通信装置100は、第二信号(M→S1)の受信後に、第二信号の受信に成功した旨を示す信号(ACK)を、設定装置200に送信する。
さらに、第二信号を検知した時点t4を基点として、設定情報に基づく接続間隔を経た時点t5において、無線通信装置100は、設定装置200から接続終了を示す信号(M→S2)を受信し、設定装置200との接続を終了する。ここで、例えば、無線通信装置100と設定装置200との間の無線通信方式としてBLEを用いる場合、接続終了を示す信号(M→S2)は、LL_TERMINATE_INDパケットでもよい。ここで、LL_TERMINATE_INDパケットは、LL制御PDUペイロードのOpcode(1オクテット)にLL_TERMINATE_IND(0x02)が設定されたDataチャネルPDUである。
その後、時点t6と時点t7において、無線通信装置100は、光源300からの光310の照射を受けておらず、受光素子の出力レベルが低出力状態(L)となり、接続要求を許容しないことを示す第二情報を含む第一信号(ADV2)を送信する。例えば、無線通信装置100と設定装置200との間の無線通信方式としてBLEを用いる場合、第二情報を含む第一信号(ADV2)は、ADV_NONCONN_INDパケットでもよい。ここで、ADV_INDパケットは、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)に、ADV_NONCONN_IND(0010)が設定されたAdvertisingパケットである。すなわち、ADV_NONCONN_INDが設定されたPDUタイプは、接続要求を許容することを示す第一情報の一例である。なお、ADV_NONCONN_INDパケットには、BLEのAdvertiseシーケンスを実行する上で有用な値が他にも設定され得る。例えば、無線通信装置100を識別するための情報や、無線通信装置100がBLEの通信規格に準拠した他の装置に対して提供し得るサービスに関する情報などを設定してもよい。設定装置200は、ADV_NONCONN_INDパケットに設定された種々の情報に基づいて、ADV_NONCONN_INDパケットを送信した無線通信装置100に関する情報を画面に表示してもよい。その際、ADV_INDパケットを送信している無線通信装置100、別言すると、受光素子の出力が高出力状態にある無線通信装置100との区別を容易に判別し得る表示態様にすれば有用である。あるいは、設定装置200は、ADV_NONCONN_INDパケットを送信した無線通信装置100に関する情報を画面に表示しなくてもよい。ADV_NONCONN_INDパケットを送信した無線通信装置100は、受光素子の出力レベルが高出力状態ではない状態であるため、作業者が光源300からの光310を照射している無線通信装置100ではないためである。
図2に示す例において、時点t6と時点t7では、無線通信装置100は、受光素子の出力が高出力状態ではない状態(L)のため、第二情報を含む第一信号(ADV2)を送信した後、設定装置200からの信号の受信期間を実行することなく、次回の起動タイミングが到来するまでRF回路を非活性にして、休止状態となる。これにより、設定装置200から第二信号が送信されても、無線通信装置100は、設定装置200からの第二信号に基づいてメモリにデータを書き込むことは無い。
図2に示す例では、第一情報を含む第一信号を送信した後に、設定装置200からの接続要求を受けて、その後に第二信号を受信するシーケンスを説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、無線通信装置100は、時点t2において第一情報を含む第一信号(ADV1)を送信した後に、時点t3において設定装置200からの第二信号(M→S1)を受信してもよい。
また、図2に示す例は、BLEの無線通信方式に準拠した通信シーケンスにおいてとり得る手順の全てを説明しているわけではなく、説明の簡略化のため、一部の手順が省略されていることに留意されたい。
図3は、無線通信装置100の外観を示す図である。図3に示す無線通信装置100は、受光素子110と無線通信回路120とを有する。無線通信装置100は、例えば、柔軟性を有するシリコンシートに、導電性のあるペーストを印刷して配線を形成し、導電性のある接着剤により受光素子110と無線通信回路120とが電気的に接続するように配線に接合して構成される。
受光素子110は、光を受けて電荷を、無線通信回路120に供給するように構成される。例えば、フォトダイオード、固体撮像素子、フォトレジスタ、太陽電池(光発電素子とも称される)などが、受光素子110として用いられ得る。
無線通信回路120は、メモリに記憶されたデータに基づいて第一信号を送信する送信処理と、第一信号の送信に応じて第二信号を受信する受信処理とを実行するように構成されており、内部に記憶素子を備える。また、無線通信回路120は、受光素子の出力レベルを取得できるように構成されており、受光素子の出力レベルが高出力状態の場合、受信処理で受信した第二信号に基づいて、メモリにデータを書き込むように動作する。一方、無線通信回路120は、受光素子の出力レベルが高出力状態ではない状態の場合、第二信号に基づくメモリへのデータの書込みは実行しない。
図4は、実施例1に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示す無線通信装置100は、受光素子110と無線通信回路120とを有し、受光素子と110と無線通信回路120とが配線を介して電気的に接続されている。
受光素子110は、上述のように、光を受けて電荷を出力する素子であり、例えば、フォトダイオード、固体撮像素子、フォトレジスタ、太陽電池(光発電素子とも称される)などである。図4に示す例において、受光素子110は、光を受けて電荷を、無線通信回路120に供給するように構成される。
図4に示す例では、無線通信回路120は、プロセッサ121、メモリ122、PMIC(Power Management Integrated Circuit)123、A/D(Analog/Digital)変換回路124、タイマー回路125、RF(Radio Frequency)回路126、アンテナ127を有する。無線通信回路120は、各種パーツを一つのパッケージに集約した1チップの回路として実装してもよいし、パーツの一部を分離して複数のチップの回路として実装してもよい。
プロセッサ121は、メモリ122に格納された制御プログラム1221などの各種プログラムを実行することで、実施例1に係る無線通信装置100の処理を実行するハードウェア回路として構成される。このようなプロセッサ121として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。プロセッサ121は、2以上のコアを含むマルチコアプロセッサであってもよい。また、プロセッサ121は、メモリ122やタイマー回路125などの他のパーツとともに一つの集積回路に集約したマイクロコントローラとして実装してもよい。
メモリ(記憶素子とも称される)122は、プロセッサ121で実行される制御プログラム1221などの各種プログラム、第一信号の送信処理に用いられる送信データ1222などの各種データを記憶保持するように構成される。メモリ122は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成され、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
PMIC123は、無線通信回路120に供給される電力からプロセッサ121の動作電力として適切な電力を生成してプロセッサ121に供給するように構成される。また、PMIC123は、メモリ122、A/D変換回路124、タイマー回路125、RF回路126に対する動作電力を、プロセッサ121を介して供給する。なお、PMIC123から各種パーツへ供給される動作電力は、プロセッサ121を介さずに、直接に供給されるように構成されてもよい。実施例1において、無線通信回路120への電力の供給源は、特に限定されない。実施例1に係る無線通信装置100は、無線通信回路120への電力の供給源として、バッテリーを搭載してもよいし、無線通信装置100の外部端子から電力を供給する商用電源を用いてもよい。
A/D変換回路124は、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された回路であり、受光素子110からの出力(アナログ信号)を受けて、プロセッサ121で処理可能な出力レベル値(デジタル信号)に変換し、プロセッサ121に出力レベル値を入力するように動作する。
タイマー回路125は、プロセッサ121からの計時要求を受けて、基準クロックに基づくカウントを開始し、カウント値が予め設定されたタイマー値に達した場合、プロセッサ121に割り込み信号を投入することで、プロセッサ121を省電力状態から復帰させるように構成される回路である。
RF回路126は、プロセッサ121からの指示に基づき、アンテナ127を介して所定の無線通信方式による無線信号を送信する送信回路と、アンテナ127を介して無線信号を受信する受信回路とを備える。所定の無線通信方式としては、例えば、BLEなどの近距離無線通信方式があげられる。
図5は、実施例1に係る無線通信装置100における処理の流れの一例を示す図である。図5に示す処理の流れは、例えば、タイマー回路125から割り込み信号(起動指示とも称される)がプロセッサ121に投入されたことを契機として、処理を開始してもよい。なお、図5に示す例において、六角形の箱は判定処理を示す。別言すると、六角形の箱は分岐処理としての側面を有する。例えば、処理S101、処理S109は、何らかの判定処理(分岐処理)である。以下、本開示において、同様である。
プロセッサ121は、受光素子の出力レベルが高出力状態か否かを判定する(S101)。例えば、A/D変換回路124を介して取得される受光素子の出力レベル値が閾値以上の場合、プロセッサ121は、受光素子の出力レベルが高出力状態であると判定してもよい。一方、A/D変換回路124を介して取得される受光素子の出力レベル値が閾値未満の場合、プロセッサ121は、受光素子の出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定してもよい。閾値は、無線通信装置100の動作環境において想定される受光素子の出力レベルの通常の範囲を超える値となるように決定してもよい。例えば、無線通信装置100の動作環境において、環境光の影響を受けて出力される受光素子の出力レベルの範囲を測定し、測定された環境光の影響を排除し得る値を、無線通信装置100のメモリ122に予め格納してもよい。別言すると、無線通信装置100の動作環境において想定される環境光の影響を排除し得る値を閾値として設定してもよい。
処理S101において、受光素子の出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定した場合(S101でNO)、プロセッサ121は、RF回路126が有する送信回路を活性化して(S106)、第二情報を含む第一信号の送信処理を実行し(S107)、第一信号の送信後に送信回路を非活性化する(S108)。そして、プロセッサ121は、タイマー回路125に計時要求を投入し、省電力状態に移行して図5に示す処理の流れを終了する。ここで、第二情報は、接続要求を許容しないことを示す情報としての側面を有する。例えば、プロセッサ121は、処理S107において、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)に、ADV_NONCONN_IND(0010)が設定されたAdvertisingパケット(ADV_NONCONN_INDパケットとも称される)の送信処理を実行してもよい。処理S107において、プロセッサ121は、AdvertisingチャネルPDUペイロードに、無線通信装置100に関する情報を設定してもよい。無線通信装置100に関する情報としては、例えば、無線通信装置100の識別に用いられる情報(デバイスアドレス(AdvAとも称される))や、設定装置200において作業者向けに表示される無線通信装置100の名称(Local Name)や、無線通信装置100に付与された任意の情報(Manufacture Specific Data)や、第一信号の送信電力(Tx Power Level)などが挙げられる。
一方、処理S101において、受光素子の出力レベルが高出力状態であると判定した場合(S101でYES)、プロセッサ121は、RF回路126が有する送信回路を活性化して(S102)、第一情報を含む第一信号の送信処理を実行し(S103)、第一信号の送信後に送信回路を非活性化する(S104)。ここで、第一情報は、接続要求を許容することを示す情報としての側面を有する。例えば、BLEの場合、プロセッサ121は、処理S103において、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)に、ADV_IND(0000)が設定されたAdvertisingパケット(ADV_INDパケットとも称される)の送信処理を実行してもよい。
プロセッサ121は、第一情報を含む第一信号の送信処理(S103)を実行した後、RF回路126が有する受信回路を活性化して受信処理を実行する(S105)。そして、所定期間内に、設定装置200からの接続要求の受信を検知できなかった場合(S109でNO)、受信回路を非活性化し(S113)、タイマー回路125に計時要求を投入して省電力状態に移行し、図5に示す処理の流れを終了する。
一方、所定期間内に設定装置200からの接続要求を受信した場合(S109でYES)、プロセッサ121は、接続要求に含まれる設定情報に基づいて接続処理を実行し(S110)、設定装置200からの第二信号を受信する(S111)。処理S111において、プロセッサ121は、第二信号の受信に成功した場合、RF回路126が有する送信回路を活性化して、第二信号の受信に成功した旨を示す信号(ACK信号とも称される)を送信し、ACK信号の送信後に送信回路を非活性化する処理を実行してもよい。あるいは、処理S111において、プロセッサ121は、第二信号の受信に失敗した場合、RF回路126が有する送信回路を活性化して、第二信号の受信に失敗した旨を示す信号(NACK信号とも称される)を送信し、設定装置200から再送される第二信号を受信する処理を実行してもよい。再送された第二信号の受信に成功した場合、プロセッサ121は、設定装置200に対してACK信号を送信し、ACK信号の送信後に送信回路を非活性化する処理を実行してもよい。
プロセッサ121は、第二信号に含まれるパラメータをメモリ122に格納する(S112)。これにより、設定装置200から送信された第二信号に基づいて、無線通信装置100のメモリ122にデータが書き込まれる。これにより、例えば、メモリ122に格納されている送信データ1222の内容が更新されてもよい。この場合、設定装置200からの第二信号に基づいて送信データ1222の内容が更新された後、無線通信装置100は、更新後の送信データ1222の内容に基づいて、ビーコン信号を発信してもよい。
プロセッサ121は、第二信号の受信に成功した後、RF回路126が有する受信回路を非活性化し(S113)、タイマー回路125に計時要求を投入して省電力状態に移行し、図5に示す処理の流れを終了する。
以上の処理の流れにより、無線通信装置100は、受光素子の出力レベルが高出力状態の場合に、第二信号に基づいてメモリにデータを書き込むように動作することができる。
図6は、実施例1に係る設定装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示す設定装置200は、プロセッサ201、メモリ202、PMIC203、表示装置204、入力装置205、RF回路206、アンテナ207を有する。
プロセッサ201は、メモリ202に格納された設定処理プログラム2021などの各種プログラムを実行することで、実施例1に係る設定装置200の処理を実行するハードウェア回路として構成される。
メモリ202は、プロセッサ201で実行される設定処理プログラム2021などの各種プログラム、各種データを記憶保持するように構成される。メモリ202は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成され、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
PMIC203は、設定装置200に供給される電力からプロセッサ201の動作電力として適切な電力を生成してプロセッサ201に供給するように構成される。また、PMIC203は、メモリ202、表示装置204、入力装置205、RF回路206に対する動作電力を、プロセッサ201を介して供給する。なお、PMIC203から各種パーツへ供給される動作電力は、プロセッサ201を介さずに、直接に供給されるように構成されてもよい。実施例1において、設定装置200への電力の供給源は、特に限定されない。実施例1に係る設定装置200は、設定装置200への電力の供給源として、バッテリーを搭載してもよいし、設定装置200の外部端子から電力を供給する商用電源を用いてもよい。
表示装置204は、プロセッサ201が実行する設定処理プログラム2021の処理結果などを表示するように構成され、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(OEL:Organic Electro Luminescence)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどが挙げられる。
入力装置205は、作業者による入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に応じた入力信号を、プロセッサ201へ出力するように構成される。例えば、入力装置205は、利用者の指やペンの接触を検知するセンサを備え、接触した位置に応じた座標値を含む入力信号をプロセッサ201へ出力するように構成されたタッチパネルであってもよい。また、入力装置205と表示装置204とを組み合わせたタッチパネルディスプレイとして実装してもよい。
RF回路206は、プロセッサ201からの指示に基づき、アンテナ207を介して所定の無線通信方式による無線信号を送信する送信回路と、アンテナ207を介して無線信号を受信する受信回路とを備える。所定の無線通信方式としては、例えば、BLEなどの近距離無線通信方式があげられる。
図7は、実施例1に係る設定装置200における処理の流れの一例を示す図である。図7に示す処理の流れは、例えば、設定処理プログラムの実行開始を指示する操作に応じた入力信号を入力装置205からプロセッサ201に投入されたことを契機として、処理を開始してもよい。
プロセッサ201は、RF回路206が有する受信回路を用いて、無線通信装置100からの第一信号の送信に用いられる周波数帯域を所定期間モニタリングし、無線通信装置100から発信される第一信号を受信する受信処理を実行する(S201)。無線通信方式としてBLEを用いる場合、設定装置200は、処理S201において、Advertisingチャネルをモニタリングし、無線通信装置100から発信されるAdvertisingパケットを受信してもよい。Advertisingチャネルは、例えば、中心周波数が2402MHz(チャネルインデックス:37)、2426MHz(チャネルインデックス38)、2480MHz(チャネルインデックス:39)である。処理S201において受信される第一信号には、第一情報を含む第一信号と、第二情報を含む第一信号とが混在し得ることに留意されたい。
プロセッサ201は、一以上の第一信号の受信に成功したか否かを判定する(S202)。処理S202において、一つも第一信号の受信に成功しなかった場合(S202でNO)、プロセッサ201は、第一信号の受信に失敗した旨を示すメッセージを表示装置204に表示して、図7に示す処理の流れを終了してもよい。
一方、処理S202において、一以上の第一信号の受信に成功した場合(S202でYES)、プロセッサ201は、一以上の第一信号から第一情報を含む第一信号を抽出する(S203)。例えば、処理S203において、プロセッサ201は、S201で受信したAdvertisingパケットのAdvertisingチャネルPDUヘッダを参照し、PDUタイプ(4ビット長)にADV_IND(0000)が設定されていれば、第一情報を含む第一信号として当該Advertisingパケットを抽出してもよい。一方、処理S203において、プロセッサ201は、S201で受信したAdvertisingパケットのPDUタイプ(4ビット長)にADV_NONCONN_IND(0010)が設定されていれば、当該当該Advertisingパケットを抽出しなくてもよい。
プロセッサ201は、抽出した第一信号から、当該第一信号の送信元に関する情報を取得し、接続先候補として表示装置204(設定装置200の画面とも称される)に表示する(S204)。例えば、S204において、プロセッサ201は、S201で受信したAdvertisingパケットのAdvertisingチャネルPDUペイロードから、無線通信装置100の識別に用いられる情報(アドバタイザアドレス(AdvAとも称される))や、設定装置200において作業者向けに表示される無線通信装置100の名称(Local Name)や、無線通信装置100に付与された任意の情報(Manufacture Specific Data)や、第一信号の送信電力(Tx Power Level)などを取得し得る。
プロセッサ201は、処理S204により表示装置204に表示した接続先候補に対する選択操作に応じた入力信号が入力装置205から投入されるのを待ち受ける(S205)。処理S205において、接続先候補の選択操作が行われない場合(S205でNO)、プロセッサ201は、選択操作を待ち受ける処理(S205)を継続してもよい。
一方、処理S205において、接続先候補の選択操作を受けたことを検知した場合(S205でYES)、選択された接続先候補に接続要求を送信する(S206)。処理S206において、プロセッサ201は、AdvertisingチャネルPDUヘッダのPDUタイプ(4ビット長)にCONNECT_REQ(0101)が設定された、Advertisingパケット(CONNECT_REQパケットとも称される)を送信してもよい。
処理S206において、プロセッサ201は、送信する接続要求に、設定装置200の識別に用いる情報や、接続先の無線通信装置100の識別に用いる情報や、第二信号の送信タイミングに関する情報などを含ませてもよい。例えば、プロセッサ201は、CONNECT_REQパケットのAdvertisingチャネルPDUペイロード(CONNECT_REQ PDUペイロードとも称される)に、設定装置200のデバイスアドレス(イニシエータアドレス(initA)とも称される)と、接続先の無線通信装置100のデバイスアドレス(アドバタイザアドレス(AdvA)とも称される)と、第二信号を送信し得る期間の幅(トランスミット・ウィンドウ・サイズとも称される)と、CONNECT_REQパケットを送信してから第二信号を送信し得る期間が始まるまでのオフセット時間(トランスミット・ウィンドウ・オフセット)などを含めてもよい。アドバタイザアドレスは、処理S201において受信した第一信号から取得し得る。そのほかの値は、メモリ202に格納しておいてもよいし、RF回路206内に組み込んでおいてもよい。
プロセッサ201は、処理S206で送信した接続要求に設定した送信タイミングに基づいて、無線通信装置100が有するメモリ122へのデータの書込み指示を含む第二信号を送信する(S207)。例えば、処理S207において、プロセッサ201は、アトリビュートPDUのアトリビュート・オペコード(Attribute Opcode)にライトリクエスト(0x12)を設定し、アトリビュート・バリュー(Attribute Value)に書き込むべきデータを設定した、アトリビュート・コマンド(ATTコマンドとも称される)を送信してもよい。なお、上述の例は、処理S207の一例であり、必要に応じて他の項目を設定してもよい。
以上の処理の流れにより、設定装置200は、受光素子の出力レベルが高出力状態の無線通信装置100に対して、無線通信装置100が有するメモリ122へのデータの書込み指示を含む第二信号を送信することができる。
以上が、実施例1に係る無線通信システム10の説明である。実施例1によれば、受光素子110の出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータをメモリ122に書き込むことができる。無線通信装置100の受光素子110は、光源300からの光310が照射されることで、受光素子110の出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、受光素子110の出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
<実施例2> 図8は、実施例2に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示す無線通信装置100は、受光素子110として光発電素子110Aを有し、さらに、光発電素子110Aからの電力を蓄積する蓄電素子130(キャパシタとも称される)を有する。
光発電素子110Aは、光起電力効果により光の照射を受けることで起電力を発生させる素子であり、太陽光発電素子、太陽電池とも称される。光発電素子110Aは、蓄電素子130と電気的に接続されており、光起電力効果により発生した起電力に応じて電荷を蓄電素子130に供給する。
蓄電素子130は、光発電素子110Aから供給される電荷を蓄積することで、光発電素子110Aから発電供給される不安定な電力を安定させる機能を有する。A/D変換回路124は、光発電素子110Aからの出力を直接受けるのではなく、蓄電素子130と接続される。プロセッサ121は、蓄電素子130に蓄積された電荷の量を、A/D変換回路124を介して、蓄電素子130の電圧値として測定することができる。別言すると、プロセッサ121は、蓄電素子130の電圧値を測定することで、光発電素子110Aの出力レベルを間接的に測定することができる。
光発電素子110Aの出力レベルの増加は、蓄電素子130に供給される電荷の量を増加させ、蓄電素子130の電圧値を増加させるという側面を有する。一方、実施例2に係る無線通信回路120は、光発電素子110Aから発電供給される電力で動作可能に構成されるため、無線通信回路120における消費電力の増加は、蓄電素子130に蓄積された電荷の流出量を増加させ、蓄電素子130の電圧値を低下させるという側面を有する。したがって、蓄電素子130の電圧値は、光発電素子110Aの出力レベルと無線通信回路120における消費電力量との関係に応じて、変化し得る。
図8に示す例において、光発電素子110Aの出力は、蓄電素子130を介して、無線通信回路120のPMIC123に供給される。すなわち、光発電素子110Aから発電供給される電荷は蓄電素子130に蓄積され、無線通信回路120における電力消費が発生すると、蓄電素子130に蓄積された電荷が無線通信回路120のPMIC123に供給される。
PMIC123は、蓄電素子130を介して供給される光発電素子110Aからの電力を受けて、プロセッサ121の動作に適した電力を生成し、プロセッサ121に動作電力を供給するように構成される。また、PMIC123は、メモリ122、A/D変換回路124、タイマー回路125、RF回路126に対する動作電力を、プロセッサ121を介して供給し得る。そのため、実施例2に係る無線通信装置100は、光発電素子110A及び蓄電素子130以外に、無線通信回路120に電力を供給する電源を有さなくてもよい。その様な無線通信装置100は、バッテリーレス型のビーコン装置とも称され得る。
その他の点については、図4に示す実施例1に係る無線通信装置100の構成と同様であるため、説明を省略する。
図9は、実施例2に係る無線通信装置100における処理の流れの一例を示す図である。図9に示す実施例2の処理の流れは、図5に示す状態判定処理(S101)において、受光素子110としての光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定する(S101A)、という点において実施例1と相違し、その他の点については、図5に示す処理の流れと同様であるため、説明を省略する。すなわち、図9に示す例において、プロセッサ121は、光発電素子の出力レベルが高出力状態であると判定した場合(S101AでYES)、RF回路126の送信回路を活性化し(S102)、第一情報を含む第一信号の送信処理を実行する(S103)。一方、処理S101Aにおいて、光発電素子の出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定した場合(S101AでNO)、RF回路126の送信回路を活性化し(S106)、第二情報を含む第一信号の送信処理を実行する(S107)。その他の処理については、図5に示す実施例1の処理と同様であるため、説明を省略する。
図10は、実施例2に係る無線通信装置における状態判定処理(S101A)の流れの一例を示す図である。プロセッサ121は、A/D変換回路124を介して、蓄電素子130の電圧を測定し、測定電圧値を取得する(S101−1A)。プロセッサ121は、タイマー回路125からの割り込み信号を受けるごとに図9に示す処理を実行するため、タイマー回路125に設定されたタイマー値に応じた時間間隔において、処理S101−1Aを実行し、蓄電素子130の測定電圧値を取得することになる。そして、プロセッサ121は、タイマー値に応じた時間間隔において測定電圧値を取得する都度、後述する処理S101−5Aにより、測定電圧値をメモリ122に格納する。
プロセッサ121は、前回の測定電圧値をメモリ122から取得し(S101−2A)、今回の測定電圧値と前回の測定電圧値との差分である電圧差分値dVを取得する(S101−3A)。処理S101−3Aにおいて、プロセッサ121は、例えば、今回の測定電圧値から前回の測定電圧値を減算することで、電圧差分値dVを取得してもよい。
プロセッサ121は、電圧差分値dVに基づいて、光発電素子110Aから発電供給される電流の推定値である推定発電電流値を算出する(S101−4A)。処理S101−4Aにおいて、プロセッサ121は、例えば、推定発電電流値Iを、(式1)I={dV+(Q_beacon/C)}/(t/C)を用いて算出してもよい。ここで、dVは電圧差分値を示し、Q_beaconは無線通信回路120における単位時間当たりの消費電力に応じた電荷量を示し、Cは蓄電素子130の静電容量を示し、tはタイマー値に応じた時間間隔であり前回の測定時刻と今回の測定時刻との間の時間間隔に相当する時間長を示す。電荷量Q_beaconと、静電容量Cとは、設計値であり、回路特性の温度変動などを無視すれば、回路を設計ないし実装した時点で略固定的に決まる値であり、メモリ122に格納されているものとする。時間長tは、タイマー回路125に設定されるタイマー値に基づいて定まる値である。タイマー値は、設計時に固定的に設定した値でもよいし、無線通信装置100の動作時に動的に設定した値でもよく、処理S101−4Aを実行する時点において、メモリ122に格納されているものとする。なお、時間長tは、プロセッサ121からタイマー回路125に設定されるタイマー値と同じ値であってもよいし、タイマー値に所定の係数を乗算した値であってもよい。
プロセッサ121は、今回の測定電圧値をメモリ122に格納し(S101−5A)、推定発電電流値Iが閾値未満であるか否かを判定する(S101−6A)。処理S101−6Aにおいて、推定発電電流値Iが閾値未満であると判定した場合(S101−6AでYES)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態ではないと判定してもよい(S101−7A)。一方、処理S101−6Aにおいて、推定発電電流値Iが閾値以上であると判定した場合(S101−6AでNO)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定してもよい(S101−8A)。閾値は、無線通信装置100の動作環境において想定される光発電素子110Aの推定発電電流値の通常の範囲を超える値となるように決定してもよい。例えば、無線通信装置100の動作環境において、環境光の影響を受けて出力される光発電素子110Aの推定発電電流値の範囲を測定し、測定された環境光の影響を排除し得る値を、無線通信装置100のメモリ122に予め格納してもよい。そのほか、閾値は、蓄電素子130の動作電圧の上限値に基づいて適宜調整してもよい。
以上の処理の流れにより、実施例2に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定することができる。
以上が、実施例2に係る無線通信装置100の説明である。実施例2に係る無線通信システム10の設定装置200については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例2によれば、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリ122にデータを書き込むことができる。無線通信装置100の光発電素子110Aは、光源300からの光310が照射されることで、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、光発電素子110Aの出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
さらに、実施例2によれば、光発電素子110Aから発電供給される電力を受けて、無線通信回路120を動作させることができる。そのため、光源300からの光310の照射を受けた無線通信装置100は、光発電素子110Aから安定して高出力の電力供給を受けることができ、設定装置200からの第二信号に基づくデータの書込み処理を安定して実行することができる、という側面を有する。
<実施例3> 図11は、実施例3に係る無線通信装置100における状態判定処理の流れの一例を示す図である。図11に示す状態判定処理の流れは、図9に示す状態判定処理(S101A)の一例である。したがって、実施例3に係る無線通信装置100におけるその他の処理については、図9に示す処理S102ないし処理S113と同様であるため、説明を省略する。また、実施例3に係る無線通信装置100の構成は、図8に示す構成と同様である。
プロセッサ121は、A/D変換回路124を介して、蓄電素子130の電圧を測定し、測定電圧値を取得する(S101−1B)。そして、プロセッサ121は、今回の測定電圧値をメモリ122に格納する(S101−2B)。プロセッサ121は、タイマー回路125からの割り込み信号を受けるごとに図9に示す処理を実行するため、タイマー回路125に設定されたタイマー値に応じた時間間隔において、処理S101−1B及び処理S101−2Bを実行し、取得した測定電圧値をメモリ122に格納する。その際、メモリ122に格納される測定電圧値の個数をカウントし、メモリ122に格納されている測定電圧値の個数が所定値を超える場合、最古の測定電圧値をメモリ122から削除してもよい。
プロセッサ121は、メモリ122に格納されている一以上の測定電圧値から、所定個数分の測定電圧値を取得し(S101−3B)、取得した所定個数分の測定電圧値を平均した平均電圧値を取得する(S101−4B)。処理101−4Bにおいて、プロセッサ121は、例えば、相加平均のアルゴリズムに従って平均電圧値を取得してもよいし、加重平均のアルゴリズムに従って平均電圧値を取得してもよい。加重平均に用いる係数は、取得時刻が新しい測定電圧値ほど乗算する係数を大きくしてもよい。ここで、取得時刻が新しい測定電圧値は、メモリ122に格納された順序において新しい測定電圧値としての側面を有する。
プロセッサ121は、平均電圧値が閾値未満であるか否かを判定する(S101−5B)。処理S101−5Bにおいて、平均電圧値が閾値未満であると判定した場合(S101−5BでYES)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定してもよい(S101−6B)。一方、処理S101−5Bにおいて、平均電圧値が閾値以上であると判定した場合(S101−5BでNO)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定してもよい(S101−7B)。閾値は、無線通信装置100の動作環境において想定される光発電素子110Aの推定発電電流値の通常の範囲を超える値となるように決定してもよい。例えば、無線通信装置100の動作環境において、環境光の影響を受けて出力される光発電素子110Aの推定発電電流値の範囲を測定し、測定された環境光の影響を排除し得る値を、無線通信装置100のメモリ122に予め格納してもよい。そのほか、閾値は、蓄電素子130の動作電圧の上限値に基づいて適宜調整してもよい。
以上の処理の流れにより、実施例3に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定することができる。
以上が、実施例3に係る無線通信装置100の説明である。実施例3に係る無線通信システム10の設定装置200については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例3によれば、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリ122にデータを書き込むことができる。無線通信装置100の光発電素子110Aは、光源300からの光310が照射されることで、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、光発電素子110Aの出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
さらに、実施例3によれば、光発電素子110Aから発電供給される電力を受けて、無線通信回路120を動作させることができる。そのため、光源300からの光310の照射を受けた無線通信装置100は、光発電素子110Aから安定して高出力の電力供給を受けることができ、設定装置200からの第二信号に基づくデータの書込み処理を安定して実行することができる、という側面を有する。
<実施例4> 図12は、実施例4に係る無線通信装置における状態判定処理の流れの一例を示す図である。図12に示す状態判定処理の流れは、図9に示す状態判定処理(S101A)の一例である。したがって、実施例4に係る無線通信装置100におけるその他の処理については、図9に示す処理S102ないし処理S113と同様であるため、説明を省略する。また、実施例4に係る無線通信装置100の構成は、図8に示す構成と同様である。
プロセッサ121は、A/D変換回路124を介して、蓄電素子130の電圧を測定し、測定電圧値を取得する(S101−1C)。そして、プロセッサ121は、今回の測定電圧値が閾値未満であるか否かを判定する(S101−2C)。処理S101−2Cにおいて、今回の測定電圧値が閾値未満であると判定した場合(S101−2CでYES)、プロセッサ121は、メモリ122に格納されているカウント値を0で初期化する(S101−3C)。処理S101−3Cにおいて、メモリ122にカウント値が格納されていない場合、プロセッサ121は、初期値(0値)を有するカウント値をメモリ122に格納する。閾値は、無線通信装置100の動作環境において想定される光発電素子110Aの推定発電電流値の通常の範囲を超える値となるように決定してもよい。例えば、無線通信装置100の動作環境において、環境光の影響を受けて出力される光発電素子110Aの推定発電電流値の範囲を測定し、測定された環境光の影響を排除し得る値を、無線通信装置100のメモリ122に予め格納してもよい。そのほか、閾値は、蓄電素子130の動作電圧の上限値に基づいて適宜調整してもよい。
一方、処理S101−2Cにおいて、今回の測定電圧値が閾値以上であると判定した場合(S101−2CでNO)、プロセッサ121は、メモリ122に格納されているカウント値に1を加算して更新する(S101−4C)。すなわち、処理S101−1Cないし処理S101−4Cにより、プロセッサ121は、閾値以上の測定電圧値が連続して測定された回数をメモリ122に格納することとなる。
プロセッサ121は、メモリ122に格納されているカウント値が閾値未満であるか否かを判定する(S101−5C)。処理S101−5Cにおいて、カウント値が閾値未満であると判定した場合(S101−5CでYES)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定してもよい(S101−6C)。一方、処理S101−5Cにおいて、カウント値が閾値以上であると判定した場合(S101−5CでNO)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定してもよい(S101−7C)。閾値は、光発電素子110Aへの光源からの光の照射が偶発的になされたものか、意図的になされたものかを判別できる程度の継続時間に基づいて決定してもよい。
以上の処理の流れにより、実施例4に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定することができる。
以上が、実施例4に係る無線通信装置100の説明である。実施例4に係る無線通信システム10の設定装置200については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例4によれば、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリ122にデータを書き込むことができる。無線通信装置100の光発電素子110Aは、光源300からの光310が照射されることで、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、光発電素子110Aの出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
さらに、実施例4によれば、光発電素子110Aから発電供給される電力を受けて、無線通信回路120を動作させることができる。そのため、光源300からの光310の照射を受けた無線通信装置100は、光発電素子110Aから安定して高出力の電力供給を受けることができ、設定装置200からの第二信号に基づくデータの書込み処理を安定して実行することができる、という側面を有する。
<実施例5> 図13は、実施例5に係る無線通信装置における処理の流れの一例を示す図である。図13に示す実施例5の処理の流れは、タイマー値設定処理(S100D)が追加され、状態判定処理(S101D)が変更されている、という点において、図9に示す処理の流れと相違する。その他の点については、図9に示す処理の流れと同様であるため、説明を省略する。また、実施例5に係る無線通信装置100の構成は、図8に示す構成と同様である。
図14は、実施例5に係る無線通信装置におけるタイマー値設定処理(S100D)の流れの一例を示す図である。したがって、図14に示すタイマー値設定処理(S100D)の処理の流れは、図13に示す実施例5の処理の流れと同様に、タイマー回路125から割り込み信号(起動指示とも称される)がプロセッサ121に投入される都度、実行される。
プロセッサ121は、A/D変換回路124を介して、蓄電素子130の電圧を測定し、測定電圧値を取得する(S100−1D)。上述のように、プロセッサ121は、タイマー回路125からの割り込み信号を受けるごとに図13に示す処理を実行するため、タイマー回路125に設定されたタイマー値に応じた時間間隔において、処理S100Dを実行し、蓄電素子130の測定電圧値を取得する。そして、プロセッサ121は、タイマー値に応じた時間間隔において測定電圧値を取得する都度、後述する処理S100−6Dにより、測定電圧値をメモリ122に格納する。その際、プロセッサ121は、補正後のタイマー値もメモリ122に格納する。その結果、図14に示すタイマー値設定処理(S100D)の二回目以降の実行時には、メモリ122は、前回の測定電圧値と、前回設定された補正後のタイマー値とが格納されている。
プロセッサ121は、前回の測定電圧値とタイマー値とをメモリ122から取得し(S100−2D)、今回の測定電圧値と前回の測定電圧値との差分である電圧差分値dVを取得する(S100−3D)。処理S100−3Dにおいて、プロセッサ121は、例えば、今回の測定電圧値から前回の測定電圧値を減算することで、電圧差分値dVを取得してもよい。
プロセッサ121は、電圧差分値dVに基づいて、光発電素子110Aから発電供給される電流の推定値である推定発電電流値を算出する(S100−4D)。処理S100−4Dにおいて、プロセッサ121は、例えば、推定発電電流値Iを、(式2)I={dV+(Q_beacon/C)}/(t0/C)を用いて算出してもよい。ここで、dVは電圧差分値を示し、Q_beaconは無線通信回路120における単位時間当たりの消費電力に応じた電荷量を示し、Cは蓄電素子130の静電容量を示し、t0はタイマー値に応じた時間間隔であり前回の測定時刻と今回の測定時刻との間の時間間隔に相当する時間長を示す。電荷量Q_beaconと、静電容量Cとは、設計値であり、回路特性の温度変動などを無視すれば、回路を設計ないし実装した時点で略固定的に決まる値であり、メモリ122に格納されているものとする。時間長t0は、タイマー回路125に設定されるタイマー値に基づいて定まる値である。タイマー値は、無線通信装置100の動作時に動的に設定される値であり、上述のように、処理S100Dの二回目以降の実行時において、メモリ122に格納されている。なお、時間長t0は、プロセッサ121からタイマー回路125に設定されるタイマー値と同じ値であってもよいし、タイマー値に所定の係数を乗算した値であってもよい。
プロセッサ121は、推定発電電流値Iと電圧差分値dVとに基づいて、起動用のタイマー値を補正して、補正後のタイマー値t1を取得する(S100−5D)。処理S100−5Dにおいて、プロセッサ121は、例えば、補正後のタイマー値t1を、(式3)t1=[{dV+(Q_beacon/C)}/(I/C)]+{−A*(v−v0)}を用いて算出してもよい。ここで、dVは電圧差分値を示し、Q_beaconは無線通信回路120における単位時間当たりの消費電力に応じた電荷量を示し、Cは蓄電素子130の静電容量を示し、Iは推定発電電流値を示し、vは今回の測定電圧値を示し、v0は無線通信回路110の最適動作電圧(目標電圧値とも称される)を示し、Aは状態維持係数を示す。電荷量Q_beaconと、静電容量Cと、目標電圧値v0とは、設計値であり、回路特性の温度変動などを無視すれば、回路を設計ないし実装した時点で略固定的に決まる値であり、メモリ122に格納されているものとする。式3のうち、前半の項である、[{dV+(Q_beacon/C)}/(I/C)]は、電圧差分値dVが0となるような動作間隔を意味する。式3のうち、後半の項である、{−A*(v−v0)}は、今回の測定電圧値vと目標電圧値v0との差分量に応じて、タイマー値を縮小ないし伸長することを意味する。なお、状態維持係数Aは、タイマー値を縮小ないし伸長する度合いを定める係数であり、例えば1であってもよい。
プロセッサ121は、今回の測定電圧値vと補正後のタイマー値t1とを、メモリ122に格納し(S100−6D)、補正後のタイマー値t1を起動用タイマーとしてのタイマー回路125に設定する(S100−7D)。ただし、この時点では、プロセッサ121は、タイマー回路125に計時要求を投入しなくてもよいし、休止状態に移行しなくてもよい。
以上の処理の流れにより、実施例5に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、蓄電素子130の測定電圧値が目標電圧値に近づくように、タイマー回路125に設定するタイマー値を補正することができる。
実施例5に係る無線通信回路120は、光発電素子110Aから発電供給される電力で動作可能に構成されるため、無線通信回路120における消費電力の増加は、蓄電素子130に蓄積された電荷の流出量を増加させ、蓄電素子130の電圧値を低下させるという側面を有する。タイマー値を増加させて無線通信回路120の起動間隔を伸長することは、無線通信回路120の休止状態の期間を伸長するという側面を有する。それゆえ、タイマー値の増加は、蓄電素子130に蓄積された電荷の流出量を減少させ、蓄電素子130の電圧値の低下を緩和させるという側面を有する。したがって、蓄電素子130の測定電圧値が目標電圧値よりも低い場合、プロセッサ121は、タイマー値を増加させることで、蓄電素子130からの電荷の流出量を抑え、光発電素子110Aから発電供給される電荷を蓄電素子130に蓄積させる充電作用を優先することができる。
図15は、実施例5に係る無線通信装置100における状態判定処理(S101D)の流れの一例を示す図である。プロセッサ121は、メモリ122から補正後のタイマー値t1を取得し(S101−1D)、補正後のタイマー値t1が閾値未満か否かを判定する(S101−2D)。処理S101−2Dにおいて、補正後のタイマー値t1が閾値未満であると判定した場合(S101−2DでYES)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定する(S101−3D)。一方、処理S101−2Dにおいて、補正後のタイマー値t1が閾値以上であると判定した場合(S101−2DでNO)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定する(S101−4D)。
以上の処理の流れにより、実施例5に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定することができる。
以上が、実施例5に係る無線通信装置100の説明である。実施例5に係る無線通信システム10の設定装置200については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例5によれば、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリ122にデータを書き込むことができる。無線通信装置100の光発電素子110Aは、光源300からの光310が照射されることで、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、光発電素子110Aの出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
さらに、実施例5によれば、光発電素子110Aから発電供給される電力を受けて、無線通信回路120を動作させることができる。そのため、光源300からの光310の照射を受けた無線通信装置100は、光発電素子110Aから安定して高出力の電力供給を受けることができ、設定装置200からの第二信号に基づくデータの書込み処理を安定して実行することができる、という側面を有する。
<実施例6> 図16は、実施例6に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図16に示す無線通信装置100は、過充電保護回路140が追加され、A/D変換回路124が削除されている点で、図8に示す構成と相違する。そのほかの点については、図8に示す構成と同様であるため、説明を省略する。なお、図16では、説明の簡略化のため、無線通信回路120のPMIC123、タイマー回路125、RF回路126、アンテナ127について、図示を省略していることに留意されたい。
図16に示す過充電保護回路140は、蓄電素子130の過充電を防止するための回路であり、蓄電素子130の動作電圧が予め設定された上限値を超える場合、蓄電素子130の過充電を防止する機能を作動させるように構成される。また、過充電保護回路140は、蓄電素子130の過充電を防止する機能を作動させているか否かを判別できる信号を、無線通信回路120のプロセッサ121に供給するように構成される。図16に示す例において、過充電保護回路140は、比較回路141、スイッチ回路142、インバータ回路143、抵抗素子R1、抵抗素子R2、抵抗素子R3を有する。ただし、図16に示す例は、本開示における過充電保護回路140の一例に過ぎず、本開示の趣旨に沿う範囲内で回路構成を適宜設計変更し得ることに留意されたい。
比較回路141は、抵抗素子R1と抵抗素子R2とで分圧された蓄電素子の電圧Vaが参照電圧Vrefよりも大きければ、論理レベルがHレベルの出力信号Vbを出力し、電圧Vaが参照電圧Vrefよりも小さければ、論理レベルがLレベルの出力信号Vbを出力するように構成される。
参照電圧Vrefは、例えば、蓄電素子130の動作電圧の上限値に基づいて決めてもよい。例えば、蓄電素子130の動作電圧の範囲が2.0V〜3.6Vの場合、上限値3.6Vを抵抗素子R1と抵抗素子R2とで分圧した電圧値に基づいた値を参照電圧Vrefに設定してもよい。
スイッチ回路142は、例えば、nチャネル型MOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、ゲート端子が比較回路141の出力端子と接続されており、ドレイン端子は抵抗素子R3と接続されおり、ソース端子はグランド側の配線と接続されている。
インバータ回路143は、Hレベルの入力信号を受けた場合にLレベルの出力信号を出力し、Lレベルの入力信号を受けた場合にHレベルの出力信号を出力するように構成された回路である。インバータ回路143の入力端子は、スイッチ回路142と抵抗素子R3との間から分岐した配線に接続されており、インバータ回路143の出力端子は、無線通信回路120のプロセッサ121の入力端子の何れかに接続されている。
図16に示す例では、蓄電素子130の電圧が動作電圧の上限値を超えた場合、比較回路141からHレベルの出力信号が出力される。そして、スイッチ回路142は、比較回路141からの出力信号がHレベルの場合、ドレイン端子とソース端子との間の抵抗値が減少し、いわゆるオン状態(ショート状態とも称される)となる。スイッチ回路142がオン状態の場合、蓄電素子130ないし光発電素子110Aから供給される電流は、抵抗素子R3を介して、スイッチ回路142のドレイン端子からソース端子へと流れ易くなる。その結果、抵抗素子R3における電力消費により、蓄電素子130の過充電が防止される。
一方、蓄電素子130の電圧が動作電圧の上限値未満の場合、比較回路141からLレベルの出力信号が出力される。そして、スイッチ回路142は、比較回路141からの出力信号がLレベルの場合、ドレイン端子とソース端子との間の抵抗値が増加し、いわゆるオフ状態(オープン状態とも称される)となる。スイッチ回路142がオフ状態の場合、蓄電素子130ないし光発電素子110Aから供給される電流は、スイッチ回路142のドレイン端子−ソース端子間を流れにくくなり、抵抗素子R3での電力消費が無視し得る程度になる。
また、図16に示す例において、蓄電素子130の電圧が動作電圧の上限値を超えた場合、スイッチ回路142がオン状態となることで、インバータ回路143の入力端子はLレベルとなる。その結果、インバータ回路143は、Hレベルの出力信号をプロセッサ121に入力することとなる。
一方、蓄電素子130の電圧が動作電圧の上限値未満の場合、スイッチ回路142がオフ状態となることで、インバータ回路143の入力端子はHレベルとなる。その結果、インバータ回路143は、Lレベルの出力信号をプロセッサ121に入力することとなる。
以上の構成により、プロセッサ121は、過充電保護回路140のインバータ回路143からHレベルの信号を検知することで、蓄電素子130の電圧が動作電圧の上限に達していると判定することができる。蓄電素子の動作電圧が上限値に達する要因の一つとして、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態を継続していることが挙げられる。したがって、プロセッサ121は、過充電保護回路140のインバータ回路143からHレベルの信号を検知することで、間接的に、光発電素子の110Aの出力レベルが高出力状態であることを判定することができる。
図17は、実施例6に係る無線通信装置100における状態判定処理の流れの一例を示す図である。図17に示す状態判定処理の流れは、図9に示す状態判定処理(S101A)の一例である。したがって、実施例6に係る無線通信装置100におけるその他の処理については、図9に示す処理S102ないし処理S113と同様であるため、説明を省略する。
プロセッサ121は、過充電保護回路140のインバータ回路143からの入力信号を取得し(S101−1E)、過充電保護回路140から取得した入力信号がHレベルか否かを判定する(S101−2E)。処理S101−2Eにおいて、入力信号がHレベルであると判定した場合(S101−2EでYES)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定してもよい(S101−3E)。
一方、処理S101−2Eにおいて、入力信号がLレベルであると判定した場合(S101−2EでNO)、プロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態ではない状態であると判定してもよい(S101−4E)。
以上の処理の流れにより、実施例6に係る無線通信装置100のプロセッサ121は、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であるか否かを判定することができる。
以上が、実施例6に係る無線通信装置100の説明である。実施例6に係る無線通信システム10の設定装置200については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例6によれば、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態の無線通信装置100のみが、設定装置200から送信される第二信号に基づいてメモリ122にデータを書き込むことができる。無線通信装置100の光発電素子110Aは、光源300からの光310が照射されることで、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態となり、光源300からの光310の照射がなければ、光発電素子110Aの出力レベルが低出力状態となるように構成される。そのため、作業者が目視により変更対象として認識した無線通信装置100に対して光源300の光310を照射することで、作業者が変更対象として認識した無線通信装置100と、設定装置200から送信される第二信号に基づいてデータの書込み処理を実行する無線通信装置100とを一致させることができる。
さらに、実施例6によれば、光発電素子110Aから発電供給される電力を受けて、無線通信回路120を動作させることができる。そのため、光源300からの光310の照射を受けた無線通信装置100は、光発電素子110Aから安定して高出力の電力供給を受けることができ、設定装置200からの第二信号に基づくデータの書込み処理を安定して実行することができる、という側面を有する。
また、さらに、実施例6によれば、無線通信回路120において、光発電素子110Aの状態判定のためにA/D変換回路124を用いなくても済む。そのため、無線通信回路120において、A/D変換回路124の実装を省略してもよいし、あるいは、A/D変換回路124を他の用途に用いることができる、という側面を有する。
<変形例>
実施例3において、所定個数の測定電圧値から平均電圧値を算出し、平均電圧値と閾値とを比較判定することで、光発電素子110Aの状態判定を行う例として説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、所定個数の測定電圧値の各々を閾値と比較判定し、閾値以上の測定電圧値をHレベルとし、閾値未満の測定電圧値をLレベルとして変換してもよい。閾値は、無線通信装置100の動作環境において想定される測定電圧値の通常の範囲を超える値となるように決定してもよい。例えば、無線通信装置100の動作環境において、環境光の影響を受けて出力される光発電素子110Aの電力供給を受けた蓄電素子130における電圧を測定し、測定電圧値の範囲を超えた値を、無線通信装置100のメモリ122に予め格納してもよい。別言すると、無線通信装置100の動作環境において想定される環境光の影響を排除し得る値を閾値として設定してもよい。
そして、メモリ122の格納順序に従った測定電圧値の変換後の値(HレベルまたはLレベル)のパターン(測定パターンとも称される)が、予めメモリに設定されている所定パターン(設定パターンとも称される)と一致するか否かを判定することで、光発電素子110Aの状態判定を行ってもよい。その際、測定パターンと設定パターンとのDP(Dynamic Programming)マッチングを行い、得られた尤度値が閾値以上である場合に、光発電素子110Aの出力レベルが高出力状態であると判定してもよい。
上述の変形例によれば、作業者は、所定のパターンに一致するように、例えば、変更対象の無線通信装置100に照射している光源300の光310をオン・オフすることで、変更対象の無線通信装置100のプロセッサ121にのみ、所定パターンと一致する測定パターンを検知させることができる。これにより、所定パターンを知らない第三者から、無線通信装置100のデータを不正に変更されることを防止することができる、という側面を有する。