JP2018164054A - 磁性素子 - Google Patents

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邦恭 伊藤
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Abstract

【課題】磁気抵抗効果素子の通過特性を改善する。【解決手段】磁化自由層と、磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層とに挟まれたスペーサ層とを有し、バイアス電流と磁場と高周波信号とが印加されることでスピントルク発振を行う磁気抵抗効果素子と、磁化自由層のスペーサ層と反対側の面に積層され、磁気抵抗効果素子にバイアス電流を印加する第1電極層と、磁化固定層のスペーサ層と反対側の面に積層され、磁気抵抗効果素子にバイアス電流を印加する第2電極層と、第1電極層、磁気抵抗効果素子、第の電極層を収容する磁場供給機構と、を備え、磁場供給機構の一の磁極は第1電極層と対向して接触している。【選択図】図1

Description

本発明は、磁性素子に関するものである。
電子の電荷を応用したエレクトロニクスの分野に対して、電子の電荷とスピンとを同時に利用するスピントロニクスの分野が、近年注目されている。スピントロニクスは、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistance)効果やトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto Resistance effect)に代表される磁気抵抗効果素子の急速な発達により、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)や磁気抵抗メモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)といった形態で、産業に大きく貢献している。
磁気抵抗効果素子では、一方の強磁性体のスピンが伝送されることにより、他方の強磁性体のスピンを回転させるエネルギー(スピントランスファートルク、以下、STTともいう。)が生じることが知られている。このSTTと、外部磁界によるトルクとが拮抗した際に、磁性体は固有の周期(強磁性共鳴周波数)で歳差運動を行う。この現象を利用して、高周波の発振、検波、ミキサー、フィルタといったデバイスの産業利用が提案されてきている。磁気抵抗効果素子の高周波特性は、印加磁界及びSTTによって制御されることが知られている。
磁気抵抗効果素子の高周波特性を利用する素子(以下、磁性素子という。)は、上記した印加磁界によって制御可能であるが、印加磁界の強度及び方向を広範囲かつ可変に制御可能な磁界印加機構を含んだ素子構造が求められている。
ここで、磁気抵抗効果素子とは、後述する磁化自由層・スペーサ層(中間層)・磁化固定層を持つ磁性多層膜を膜面に対し垂直方向に柱状に加工し、電流が膜面に対して垂直方向に流れる構造を持つ素子である。磁気抵抗とは、外部磁界を与えることにより、磁化自由層の磁化の方向が変化し、結果として素子の抵抗値が変化する現象である。磁化自由層の磁化による歳差運動は、磁化自由層と磁化固定層との相対磁化方向の周期的な変動となるため、磁気抵抗効果素子の抵抗値が周期的に変動する。
近年、磁気抵抗効果素子において、電流による磁化反転が起こることが見出された。これまで、磁気抵抗素子の抵抗値を変化させるためには、外部磁化を与えることにより磁化自由層の磁化の向きを変えることでしかなし得ないと考えられていたが、電流により磁化自由層の磁化の向きを変えることができるということが新たに見出された。これによれば、磁化固定層から磁化自由層にSTTが注入され、歳差運動を減衰させずに保持するといった制御や、歳差運動を増幅するといった制御を行うことができる。
スピントロニクス特有の現象を応用した製品の中で注目されている現象の一つが、図9に示すように、上部電極5と下部電極2との間に、上部電極5の下面とスペーサ層34の上面との間に積層される磁化自由層35と、スペーサ層34と、スペーサ層34の下面と下部電極2の上面との間に積層される磁化固定層33とが積層された磁気抵抗効果素子3によるスピントルク発振である。この構造を備えた磁気抵抗効果素子3に、直流電流を印加するのと同時に、磁場供給機構によって磁場を印加する。これにより、磁気抵抗効果素子3にスピントルク発振を起こさせ、スピントルク発振が発生すると磁気抵抗効果素子3の抵抗値が周期的に変化する。その結果、このスピントルク発振の周波数と同じ周波数の交流電流が磁気抵抗効果素子3から出力される。このスピントルク発振時において、磁気抵抗効果素子3に印加される磁場が強くなるにつれて、磁気抵抗効果素子3のスピントルク発振周波数は高くなる。また、スピントルク発振時において、磁気抵抗効果素子3へ流れる直流電流の電流密度が変化してスピントランスファートルクの量が変化すると、磁気抵抗効果素子3のスピントルク発振周波数が変化する。
磁気抵抗効果素子3に交流電流を印加すると、交流電流の周波数と歳差運動の周期とが一致する場合に、磁気抵抗効果素子3を電流が透過する。すなわち、所定の周波数で急激にインピーダンスが変化するデバイスである共振器としての機能を発揮する。そして、歳差運動の周期は、外部磁場の強度や磁気抵抗効果素子3へ流れる直流電流の電流密度によって変化させることができるため、外部磁場の強度に応じてインピーダンスが変化する周波数を調整することが可能となる。この性質により、周波数選択性(チューナブル性)を有するフィルタ、共振器として利用することができる。なお、歳差運動を誘起、保持するためには、外部直流磁場、直流電流によるSTT以外に、外部交流磁場、スピン起動相互作用を用いたトルクであるスピン起動トルク、高周波電流によっても制御することが可能である。
特許文献1には、磁気抵抗効果素子に十分な強度の磁界を印加する磁性素子として、図10に示す磁性素子10の平面図、及び図11に示す図10のA−A線に沿った断面図が開示されている。
図10に示すように、磁性素子10は、磁気抵抗効果素子3を挟んでX軸方向及びY軸方向に対向して配設された4つの平板状の第1軟磁性層4と、電流による磁場発生源としての機能を有するコイル7と、コイル7と磁気的に接続された環状の第2軟磁性層6とを備えている。第1軟磁性層4の各々の一部と第2軟磁性層6の一部は、磁気抵抗効果素子3の積層方向に重なるように配設されている。
また、図11に示すように、磁性素子10では、基板1上に、下部電極2、磁気抵抗効果素子3及び上部電極5がこの順で積層されている。磁気抵抗効果素子3のX軸方向両側には、第1軟磁性層4が配設されている。上部電極5のX軸方向両側には、第2軟磁性層6が配設されている。また、各層の層間には絶縁層8が配設されている。
下部電極2は、上部電極5と一対の電極としての役目を備えている。下部電極2及び上部電極5は、磁気抵抗効果素子3に対して、磁気抵抗効果素子3を構成する各層の面と交差する方向、例えば、磁気抵抗効果素子3を構成する各層の面に対して垂直な方向(磁気抵抗効果素子3の積層方向)に電流を流すための一対の電極としての機能を有している。
第1軟磁性層4は、第2軟磁性層6と磁気的に結合しており、第2軟磁性層6から放出される磁束を取り込み、磁束を集中させて所望の磁界を磁気抵抗効果素子3に印加するための層である。
このように、第1軟磁性層4の先端部の間に磁気抵抗効果素子3が配設され、第1軟磁性層4は第2軟磁性層6に磁気的に接続されており、第2軟磁性層6から発生した磁場が第1軟磁性層4を通して磁気抵抗効果素子3に印加される。
特開2015−167224号公報
高周波スピントロニクスでは、磁気抵抗効果素子にバイアス電流(又はバイアス電圧)及び高周波信号を印加すると共に外部磁界を印加することにより歳差運動が発生し、磁気抵抗効果素子から高周波信号が発生する。
磁気記録ヘッドの一例であるマイクロ波アシスト磁気記録ヘッドでは、記録ヘッドのギャップ部分に磁気抵抗効果素子を挟み込み、記録磁界を印加すると共に、磁気抵抗効果素子に磁界を印加する。そして、記録ヘッドの一部をバイアス回路として使用し、磁気抵抗効果素子にバイアス電流を印加する構造となっている。
このマイクロ波アシストヘッドについて、図12を用いて簡単に説明する。垂直磁気記録媒体50は、超平滑・耐熱非磁性基板56上に、軟磁性下地層55、磁性膜からなる第一、第二の記録層54、53、さらに保護層52、及び潤滑層51などが積層されて構成される。矢印57、58は、それぞれ垂直磁気記録媒体50に記録された上向きの磁化、下向きの磁化を示す。このように、マイクロ波アシストヘッドでは、垂直磁気記録媒体50の磁気特性を変化させることにより、記録密度が上がり、記録容量が大きいHDDを得ることができる。
記録ヘッド部29は、記録ギャップ部25での強く均一なスピントルク型高周波発振素子(STO:Spin Torque Oscillator)発振制御磁界26及び記録磁界21を発生するための第1、第2の記録磁極22、24、高周波磁界45の回転方向、発振周波数などを発振制御磁界26で制御するために記録ギャップ25内に設けられた高周波磁界発振素子部(STO)40、記録磁極を励磁するためのコイル23などから構成される。
マイクロ波アシストヘッドでは、記録磁界が記録ギャップ部25に集中するような磁極構造とすることで、STO(スピントルク型高周波発振素子)の効率的な発振に必須の、ギャップ部25内での強く均一な磁界を得ることができ、従来の磁気ヘッドに比べスピントルク型高周波発振素子部(STO)40の発振性能、記録アシスト効果を飛躍的に高めることができる。
スピントルク型高周波発振素子部(STO)40は、高周波磁界発生層FGL41と、非磁性-導電性材料などからなる中間層42と、高周波磁界発生層FGL(Field Generation Layer)41にスピントルクを与えるためのスピン注入層43などから構成される。スピントルク型高周波発振素子部(STO)40には直流電源(電圧駆動若しくは電流駆動)44により、スピン注入層43側から電流を流し、高周波磁界発生層FGL41のマイクロ波発振を駆動する。また、図12では、高周波発振素子部(STO)40の駆動電流源(若しくは電圧源)や電極部を模式的に符号44で表したが、記録磁極22、24を、例えば記録ヘッド後端部27で磁気的には結合、電気的には絶縁せしめ、さらにギャップ部25ではそれぞれを高周波発振素子部(STO)40の側面と電気的に接続することで、記録磁極22、24に電極を兼用させてもよい。
このようなマイクロ波アシストヘッドの構造に近い構造で構成される高周波スピントロニクスでは、以下に述べるような課題が存在する。まず、図12のスピントルク型高周波発振素子部(STO)40のような磁気抵抗効果素子に磁場供給を行うためには、バイアス電流を印加するバイアス回路(図12の場合、直流電源44)を磁性材料で構成する必要がある。しかしながら、磁性材料は高周波伝送特性が劣るため、磁気抵抗効果素子に印加する高周波信号の損失を小さくすることは困難である。一般的な磁性素子の場合、磁気抵抗効果素子に駆動電流を供給する電極と、磁場を印加する磁気回路との間に空間が存在し、その空間がキャパシタ(静電容量)を構成して容量結合してしまう。その結果、磁気抵抗効果素子に印加する高周波信号が、高周波帯域におけるインピーダンスが小さいキャパシタに流れてしまい、磁気抵抗効果素子3に対して十分な量の高周波信号を印加することができなくなってしまう。この点について図11、図13、及び図15を用いて説明する。
図11で説明した磁性素子10では、磁気抵抗効果素子3に対して複数の磁場供給機構(第2軟磁性層6、第1軟磁性層4)により任意の強度、方向の磁界を印加することが可能である。しかしながら、図11の上部電極5と下部電極2との間には、X方向に磁場を供給するための第1軟磁性層4が挿入されており、この第1軟磁性層4と上部電極5との間に空間が存在する。そして、この空間には、C1U、C2Uといった容量結合が発生する。同様に、第1軟磁性体層4と下部電極2との間に空間が存在する。そして、この空間には、C1L、C2Lといった容量結合が発生する。これらC1U、C2U、C1L、C2Lといったキャパシタ(静電容量)成分により、高周波信号の伝送特性が低下してしまう。この点について、図11の磁場供給機構に相当する部分を拡大した図である図13を用いて詳細に説明する。
図13において、端子Aから高周波信号と磁気抵抗効果素子3を駆動する素子駆動電流とが入力され、上部電極5、磁気抵抗効果素子3(磁化自由層35、スペーサ層34、磁化固定層33)、下部電極2を経由して端子Bに出力される。また、コイル7に電流流すことにより、磁極(第2軟磁性層)6から、磁気抵抗効果素子3に対して磁場が印加される。このとき、磁極(第2軟磁性層)6と上部電極5との間の空間に静電容量C01、C02が発生し、磁極(第2軟磁性層)6と下部電極2との間の空間に静電容量C05、C06が発生する。また、上部電極5と下部電極2との間の空間にも静電容量C03、C04が発生する。
そして、理想的なコンデンサのインピーダンスは、角周波数をω(=2πf)、コンデンサの静電容量をCとすると、Z=1/jωC=1/j(2πf)Cである。よって、コンデンサのインピーダンスZは周波数に反比例するので、図13の端子Aから入力される高周波信号の周波数が高くなるにつれてコンデンサCのインピーダンスZは低下する。すなわち、端子Aから入力された高周波信号は、図14の矢印Eで示すように磁気抵抗効果素子3と比較してインピーダンスが低いC0に流れ易くなる。その結果、端子Aから入力された高周波信号は、上記したC01、C02、C03、C04、C05、C06に流れ、磁気抵抗効果素子3に流れなくなる。その結果、磁気抵抗効果素子3に十分な高周波信号が流れないことになるため、スピントランスファートルク(STT)が発生しにくくなるという問題がある。
図15は、横軸を周波数[GHz]、縦軸をSパラメータの通過特性S21(デバイスのポート1(入力ポート)に供給された信号に対するデバイスのポート2(出力ポート)に出力された信号の伝送量の比)として、磁気抵抗効果素子3の信号伝送量を表したものである。図15に示すように、周波数が高くなるにつれて、磁気抵抗効果素子3の入力ポートに対する出力ポートの信号伝送量が低下している。これは、図14の矢印Eで示すように、インピーダンスが低いコンデンサC0のほうにデバイス電流が流れ易くなっているためである。
なお、周波数1GHzにおける通過特性S21は−20.5dB程度存在する。これは磁気抵抗効果素子3の素子インピーダンスの初期値(上記図13におけるC03、C04の静電容量に対応する。)であって、線路の容量成分やインダクタ成分によって数dB程度の変化は発生する可能性がある。ただし、磁場供給機構を持たない通常の磁性素子であれば、通過特性S21は殆ど変化しないので問題とならない。
特許文献1は、磁気抵抗効果素子3に十分な強度の磁界を印加することを目的としている。しかしながら、図11に示したように、上部電極5と下部電極2との間に、X方向に磁場を供給する第1軟磁性層4が挿入され、この第1軟磁性層4と上部電極5との間の空間にC1U、C2Uという容量結合が発生し、第1軟磁性層4と下部電極2との間の空間にC1L、C2Lという容量結合が発生する。したがって、印加される高周波信号は、高周波数帯でインピーダンスが低いコンデンサ(静電容量)側に流れてしまうため、通過特性S21が低下してしまう。その結果、磁気抵抗効果素子3に十分な高周波信号が流れず、スピントランスファートルク(STT)が発生しにくくなる可能性がある。
本発明の目的は、磁気抵抗効果素子の高周波信号における通過特性が改善された磁性素子を提供することである。
本発明の磁性素子は、磁場が印加されることによって磁化方向が変化する磁化自由層と、印加される磁場に対して磁化方向が固定された磁化固定層と、前記磁化自由層と前記磁化固定層とに挟まれたスペーサ層とを有し、バイアス電流と磁場と高周波信号とが印加されることによりスピントルク発振を行う磁気抵抗効果素子と、前記磁化自由層の前記スペーサ層と反対側の面に積層され、前記磁気抵抗効果素子に前記バイアス電流を印加する第1の電極層と、前記磁化固定層の前記スペーサ層と反対側の面に積層され、前記磁気抵抗効果素子に前記バイアス電流を印加する第2の電極層と、前記第1の電極層と、前記磁気抵抗効果素子と、前記第2の電極層とを収容する空間を有する磁場供給機構と、を備え、前記磁場供給機構の一方の磁極は前記第1の電極層と対向して接触しており、前記磁場供給機構の他方の磁極は前記第2の電極層と対向して接触している。
本発明によれば、磁気抵抗効果素子の高周波信号における通過特性が改善された磁性素子を得ることができる。
本発明の実施形態による磁性素子の全体構成を示す模式図である。 実施形態による磁性素子において、上下電極と磁極とを接触させた場合の構成を示す模式図である。 実施形態による磁性素子の磁気抵抗効果素子を含む部分の実際の回路構成を示す図である。 実施形態による磁性素子における周波数と通過特性S21との関係、及び比較例と磁場供給機構がない場合の周波数と通過特性S21の関係を表したグラフである。 実施形態による磁性素子に用いる高周波伝送線路の表皮効果について説明する図である。 実施形態による磁性素子に用いる高周波伝送線路の材料毎の周波数と表皮深さとの関係を示すグラフである。 図6の縦軸と横軸の尺度を変更したグラフである。 実施形態による磁性素子において磁場供給機構と接触する部分(磁極と電極(高周波伝送線路)とが重なる部分)を説明する図である。 磁気抵抗効果素子の詳細積層構成を示す図である。 特許文献1に記載の磁性素子の平面図である。 図10のA−A線に沿った断面図である。 マイクロ波アシストヘッドの一例を示す概念図である。 磁性素子に発生する容量結合について説明する図である。 磁性素子に発生する容量に高周波信号(電流)が流れることを説明する図である。 比較例の磁性素子における周波数と通過特性S21との関係を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
初めに、本発明の実施形態による磁性素子の全体構成を説明する。図1は、本実施形態による磁性素子の全体構成を示す模式図である。
図1を参照すると、本実施形態による磁性素子1は、上部電極5と下部電極2との間に、上部電極5の下面(電極面)とスペーサ層34の上面との間に積層される磁化自由層35と、磁化自由層35の下面と磁化固定層33の上面との間に積層されるスペーサ層34と、スペーサ層34の下面と下部電極2の上面(電極面)との間に積層される磁化固定層33とが積層された磁気抵抗効果素子3を備える。
磁化自由層35は、その磁化の方向が磁場によって変化する機能を有する。磁化自由層35は、Fe、Co、Ni、FeCo又はCoFeB等を一例とする合金である高スピン分極率材料から構成されることが好ましい。これにより、高出力のスピントルク発振を得ることができる。
スペーサ層34は、磁化固定層33の磁化と磁化自由層35の磁化を相互作用させて磁気抵抗効果を得る機能を有する。スペーサ層34は単一の材料からなってもよく、Cu又はAg等の非磁性の導電材料で構成されても良いし、AlOx(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)又はMgAl等の非磁性の絶縁材料で構成されても良い。
磁化固定層33は、その磁化の方向が磁場によって変化しない機能を有する。磁化固定層33は、Fe、Co、Ni、FeCo又はCoFeB等を一例とする合金である高スピン分極率材料から構成されることが好ましい。
また、磁性素子1は、電流が流れることにより磁場を発生させる磁場発生源としての機能を有するコイル7と、コイル7と磁気的に接続され、磁気抵抗効果素子3に対し、磁気抵抗効果素子3の積層方向(以下、「磁気抵抗効果素子3の積層方向」を単に「積層方向」と省略して表記する場合がある。)に磁場を印加する磁極6と、を備える。そして、磁極6の内側の空間60は、積層された上部電極5、磁気抵抗効果素子3、及び下部電極2を収容するように構成されている。空間60はSiO、ALなどの絶縁材料で充填されている。
磁極6は上部電極5側に位置する上部磁極6aと下部電極2側に位置する下部磁極6bに分割され、互いの磁極の間にはギャップが設けられているが、コイル7から発生した磁場が上部磁極6aから下部磁極6bに損失なく伝搬される磁気回路が構成されている。
さらに、磁気抵抗効果素子3に対して電流を流す上部電極5及び下部電極2のうち、磁気抵抗効果素子3側に延伸する電極は、磁化自由層35の上面及び磁化固定層33の下面にそれぞれ接触しており、上部電極5及び下部電極2の磁気抵抗効果素子3側と反対側に延伸する電極は、磁性素子1の外部に設けられた高周波回路30に接続されている。高周波回路30は、例えば、スマートフォンなどに内蔵されている高周波回路であり、高周波回路30から、磁気抵抗効果素子3に対して高周波信号が印加される。
また、上部磁極6aと上部電極5とは対向し、接触面UIにおいて接触している。下部磁極6bと下部電極2とは対向し、接触面LIにおいて接触している。そして、高周波信号は、上部磁極6aと接触面UIにおいて接触している上部電極5と、下部磁極6bと接触面LIにおいて接触している下部電極2とを伝送する。
さらに、図1の点線Rで囲まれているように、上部磁極6aと下部磁極6bとの間にはギャップが設けられている。また、このギャップから上部磁極6aの外側へ延びるように上部電極5が形成された上部ギャップ電極CUと、下部磁極6bの外側へ延びるように下部電極2が形成された下部ギャップ電極CLとは互いに対向している。このギャップを通じて磁性素子1の外部へ上部電極5及び下部電極2が引き出され、高周波回路30に接続される。そして、高周波回路30から印加される高周波信号は、上部ギャップ電極CUと下部ギャップ電極CLとを伝送する。この点については後述する。
なお、積層方向と直交する方向(以下、「積層方向と直交する方向」を「水平方向」と省略して表記する場合がある。)の磁場(以下、「水平方向の磁場」を「水平磁場」と省略して表記する場合がある。)を形成して磁気抵抗効果素子3に印加するハードバイアス19を備えてもよい。ハードバイアス19は、磁気抵抗効果素子3が歳差運動を行うための固定磁場を供給するものであり、例えば永久磁石であってもよい。なお、このハードバイアス19を用いて磁気抵抗効果素子3に対して磁場を印加する機構を、以下、水平磁場供給機構と表記する場合がる。
また、磁極6、コイル7からなり、磁気抵抗効果素子3の積層方向に磁場を印加する機構を、以下、垂直磁場供給機構と表記する場合がある。
磁性素子1は、コイル7が磁極6に巻回されて構成されている。コイル7の配線は、例えば、スパッタ法、IBD法又はフレームメッキ法などによりAu、Cu又はAuCuなどの高導電性材料で形成される。コイル7の配線の膜厚は0.1μm〜10μm程度とすることが好ましい。これにより、コイル7の導電性を高く設定することが可能となる。また、コイル7は磁極6を中心として巻回する構造(スパイラル構造)を有している。なお、コイル7の巻回数(ターン数)は任意に設定可能である。
コイル7は磁極6の任意の場所に巻回することが可能である。特に、同じ巻回数でより大きな磁界を磁気抵抗効果素子3に印加するには、磁界発生起源となるコイル7が磁気抵抗効果素子3のより近い位置に配置されることが望ましい。磁気抵抗効果素子3の近傍にコイルを配設すると同じ発生磁界でもコイル巻き数を減らすことが可能になり、磁場供給時に消費電力を低く抑える事が可能になる。
下部電極2は、上部電極5と一対の電極としての役目を有している。つまり、下部電極2及び上部電極5は、磁気抵抗効果素子3に対し、磁気抵抗効果素子3を構成する各層の面と交差する方向、例えば、磁気抵抗効果素子3を構成する各層の面に対して垂直な方向(磁気抵抗効果素子3の積層方向)に電流を流すための一対の電極としての機能を有している。上部電極5及び下部電極2から磁気抵抗効果素子3に対して流れる電流は、図示しないバイアス電流発生源から供給される。
下部電極2及び上部電極5としては、例えばスパッタ法又はIBD法等により形成されるTa、Cu、Au、AuCu又はRuからなる膜、若しくはこれらの材料の何れか2つ以上からなる膜で構成される。下部電極2及び上部電極5の膜厚は、0.01μm〜3μm程度とすることが好ましい。
磁気抵抗効果素子3は、上記した図9に示すように磁化固定層33、スペーサ層34及び磁化自由層35で形成される。各層は、例えばスパッタ成膜装置を用いて成膜する。なお、図9には、磁化固定層33を底側(下部電極2側)に形成した形態を示しているが、磁化固定層33を上側(上部電極5側)に形成して、磁化自由層35と磁化固定層33の位置を入れ替えた形態とすることもできる。
ここで、スピントルク発振現象について簡単に説明する。磁気抵抗効果素子3に対してバイアス電流発生源20から直流電流を印加した場合、磁化固定層33においてスピン偏極を受けた電子が、磁化自由層35へ流入することにより、スピントランスファートルク(STT)が生じ、磁化自由層35内部において磁化の反転が生じようとする。この磁化反転の方向と逆方向にトルクが生じる方向に外部から磁場を印加した場合、2つの相反するトルクが拮抗し、大きな磁化の歳差運動が起こり、歳差運動の周期に対応した周波数の高周波信号が出力される。この現象がスピントルク発振である。そして、磁性素子1に対してスピントルク発振測定を行うことにより、磁化自由層35の磁化の歳差運動の周期に対応した周波数で発振ピークを得ることが可能となる。
このスピントルク発振時において、磁気抵抗効果素子3に印加される磁場が強くなるにつれて、磁気抵抗効果素子3のスピントルク発振周波数は高くなる。また、スピントルク発振時において、磁気抵抗効果素子3へ流れる直流電流の電流密度が変化してスピントランスファートルクの量が変化すると、磁気抵抗効果素子3のスピントルク発信周波数が変化する。
本実施形態における磁性素子1は、スペーサ層34とスペーサ層34を介して配設された磁化固定層33及び磁化自由層35とを備えた磁気抵抗効果素子3と、磁気抵抗効果素子3の積層方向に磁気抵抗効果素子3を介して配設された下部電極2と上部電極5とからなる一対の電極と、磁極6と、電流による磁場発生源であるコイル7と、を備え、上部電極5と下部電極2との間に磁気抵抗効果素子3が配設されており、磁気抵抗効果素子3に対して磁極6から磁場を印加すると共に、上部電極5、下部電極2から磁気抵抗効果素子に対してバイアス電流と高周波信号を印加することにより、磁気抵抗効果素子3にスピントルク発振を起こさせようとするものである。
そして、本実施形態では、図2に示すように、上部磁極6aと接触させた上部電極5と、下部磁極6b接触させた下部電極2とが、高周波伝送線路を形成する。高周波信号は、後述するように表皮効果を有しているので、高周波信号は、上部電極5の表面と、下部電極2の表面を伝送する。要するに、上部電極5と下部電極2とが、高周波伝送線路となる。これにより、磁極6の下面と対向する上部電極5の上面との間及び下部電極2の下面と対向する磁極6の上面との間の容量結合は形成しなくなる。
したがって、バイアス電流発生源20から印加された高周波信号は、容量結合による損失なく上部電極5と下部電極2を介して磁気抵抗効果素子3に印加されることになるため、磁気抵抗効果素子3にスピントランスファートルク(STT)を十分に発生させることができる。
本実施形態で用いる上部電極5及び下部電極2とは、非磁性の材料を使用し、一例として、Cu、Au、Al、若しくはこれらの合金を用いることとする。そして、上部電極5と下部電極2とに用いる材料の電気抵抗率(ρ)は、磁極6の磁性材料(NiFe合金など)と比較して小さいものを採用する。例えば、垂直磁場供給機構の磁気回路(磁極6)を構成するNiFe合金などを一例とする軟磁性材料の電気抵抗率(ρ)は、銅(Cu)の電気抵抗率(ρ)と比較して4倍程度大きいため、上部電極5と下部電極2とに銅を用いた場合には、低周波(DC:Direct Current)信号は抵抗率の低い上部電極5、下部電極2を流れ、高周波信号は表皮効果により上部電極5、下部電極2を流れることになる。
このように、本実施形態では、上部電極5と上部磁極6aとを接触させ、下部電極2と下部磁極6bとを接触させることとしている。そうすることで、上部電極5と磁極6、及び、下部電極2と磁極6、これらの間に容量成分は形成されない。したがって、上部電極5及び下部電極2自体で発生する容量結合を除き、上部電極5と上部磁極6aとの間、及び、下部電極2と下部磁極6bとの間に容量結合は存在しなくなる。これにより、高周波回路30から供給された高周波信号は、上部電極5及び下部電極2を介して磁気抵抗効果素子3により流れ易くなる。
次に、実施形態による磁性素子を動作させるための周辺回路を含めた具体的な回路構成について説明する。図3は、実施形態による磁性素子の磁気抵抗効果素子を含む部分の構成を示す拡大図である。なお、図3において、図1と同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。
図3を参照すると、実施形態による回路は、磁極6、コイル7と、コイル7に磁場発生用の直流電流を印加する磁場発生用直流電源15と、からなる垂直磁場供給機構と、磁気抵抗効果素子3に直流電流を印加する直流電源14と、直流電源14から印加される直流電流を入力する直流電流入力端子13と、第1のポート11及び第2のポート12から高周波信号を印加する配線16と、配線16からチョークコイル18を介して接続されるグラウンド17と、磁気抵抗効果素子3に水平磁場を印加するためのハードバイアス19を含んで構成される。
[実施例1]
次に、本実施形態による上部磁極6aと上部電極5とを接触させ、下部磁極6bと下部電極2とを接触させることにより、高周波信号が、上部電極5と下部電極2とを伝送するようにした磁性素子における周波数と通過特性S21との関係(本発明)と、高周波伝送線路を設けない比較例の周波数と通過特性S21との関係(比較例)と、垂直磁場供給機構がない場合の周波数と通過特性S21との関係(磁場供給機構なし)とを、図4に示す。
図4では、上部電極5と下部電極2との間の磁気抵抗効果素子3が設けられている部分を除く部分に、誘電率が3.8の二酸化ケイ素(SiO)を装填している。
周波数に対する通過特性S21を改善させる方法としては、上部電極5と上部磁極6aとの間の距離、下部電極2と下部磁極6bとの間の距離を大きくする方法も考えられる。しかしながら、磁気抵抗効果素子3が搭載される部品は直径約100nm程度でありスマートフォンなどに搭載されるものであるから、電極と磁極との間の距離を大きくすることは物理的に困難である。また、電極と磁極との間の距離を大きくすると、その分磁場を強くする必要があり、コイル7に流す電流量が増加するので、低消費電力化に反する。さらに、強大な磁場がスマートフォンの他の部品に影響を与えかねないので妥当でない。
図4を参照すると、比較例では、周波数にほぼ比例して通過特性S21が劣化していくが、本実施形態による上部磁極6aと上部電極5とを接触させ、下部磁極6bと下部電極2とを接触させることにより、高周波信号が、上部電極5と下部電極2とを伝送するようにした場合の各周波数における通過特性S21は、垂直磁場供給機構がない場合と略同様に、周波数が高くなっても通過特性S21が比較例のように劣化せず改善されていることがわかる。磁性素子において、垂直磁場供給機構が存在しない場合とは磁極6が存在しないことであるから、磁極6と上部電極5又は下部電極2との間に容量結合が形成されない理想的な状態である。本実施形態のように、上部磁極6aと上部電極5とを接触させ、下部磁極6bと下部電極2とを接触させることにより、高周波信号が、上部電極5と下部電極2とを伝送するようにした結果、周波数と通過特性S21との関係は、垂直磁場供給機構が存在しない場合の理想的な通過特性S21と略同じ特性を得ることができた。
このように、上部電極5と上部磁極6a及び下部電極2と下部磁極6bとを接触させることにより、高周波信号が、上部電極5と下部電極2とを伝送するようにした結果、磁場供給機構がない場合と同等の通過特性S21を得ることができるようになった。
なお、周波数1GHzにおいて、通過特性S21が約−21dB程度存在するが、これは、上部電極5と下部電極2との間に元々存在する磁気抵抗効果素子の通過損失である。
次に、本実施形態による高周波伝送線路となる上部電極5と下部電極2との膜厚について説明する。一般的に、高周波伝送線路は短い方が損失は少なく、信号の周波数が高くなるほど、線路表面に電流が集中する。このことを表皮効果といい、電流が流れる線路の深さを表皮深さという。信号の周波数が高くなるほど、非常に薄い表面上にしか電流が流れず、そのため、僅かな表面の粗さが信号の伝達に影響を与えることになる。この表皮効果は、マイクロ波帯以上の周波数のみならず、VHF(Very High Frequency)帯など、意外と低い周波数においても大きく影響する。そして、マイクロ波は表皮効果を有しているため、高周波伝送線路となる上部電極5と下部電極2との距離が最も短くなるように形成されることが好ましい。本実施形態による高周波伝送線路となる上部電極5と下部電極2との距離が最も短くなる場合とは、図1の点線矢印Bに示すように、上部電極5の内側表面及び下部電極2の内側表面に沿って通る場合である。このように、高周波伝送線路となる上部電極5と下部電極2とは、磁極6の内側に沿う形で形成されることが望ましい。
表皮効果は、図5に示す線路において、
δ=√(2ρ)/√(ωμμ
で求められる。ここで、ρは電気抵抗率[Ω・m]、ωは角速度[rad/s]、μは比透磁率、μは真空の透磁率μ=4π×10−7[H/m]である。
磁性材料では透磁率μ(=μμ)[H/m]が大きくなるので、上記式の分母が大きくなり、表皮深さは浅くなる傾向になる。
次に、Ag、Cu、Au、及びAlにおける、周波数と表皮深さとの関係を図6、図7に示す。図7は、図6の縦横軸の縮尺を変えたものである。
図7によれば、垂直磁場供給機構の上部磁極6aと接触する上部電極5の電極膜厚、及び下部磁極6bと接触する下部電極2の電極膜厚は、3μm以下であれば1GHz以上の高周波信号を伝送することが可能であるが、電気抵抗の観点から、電極膜厚は0.01μm〜3μmがより好ましい。例えば、上部電極5及び下部電極2の材質をCuにした場合、表皮効果による計算により電極膜厚を2μmにすることで、磁極6に電流は略流れず、上部電極5及び下部電極2にのみ電流が流れる。
次に、実施形態による磁性素子において磁極6と電極とが接触する部分(上部磁極6aと上部電極5、下部磁極6bと下部電極2とが接触する部分)について説明する。
図8において、磁極6と上部電極5、下部電極2とが重なる部分は、図8の上部電極5、下部電極2の点線模様を付した領域である。
具体的には、高周波伝送線路21Uは、上部電極5のうち、上部磁極6aと上部電極5とが接触する面であって上部電極5と磁気抵抗効果素子3の端部とが接触する位置(LU)を始点とし、上部磁極6aと上部電極5とが接触する面であって上部電極5と上部磁極6aの端部とが接触する位置(RU)を終点とする領域に形成される。同様に、高周波伝送線路21Lは、下部電極2のうち、下部電極2と下部磁極6bとが接触する面であって下部電極2と磁気抵抗効果素子3の端部とが接触する位置(LL)を始点とし、下部電極2と下部磁極6bとが接触する面であって下部電極2と下部磁極6bの端部とが接触する位置(RL)を終点とする領域に形成される。
高周波伝送線路を形成する上部電極5と下部電極2とは、全体で同じ膜厚にしても良いし、高周波信号の影響のある部分のみ膜厚を最適化しても良い。全体的に上部電極5と下部電極2との膜厚を厚くして磁極6と接触させると、磁気抵抗効果素子3の磁極間距離が広がるため、磁気抵抗効果素子3に対して適切な量の磁場を印加することができなくなる。
磁極間距離が大きいと磁気抵抗効果素子3に印加される磁束量が小さくなるだけでなく、必要とされる磁束量を発生させるため、コイル7に流すバイアス電流を大きくする必要があるため、低消費電力化を図ることができなくなる。
図1、図8の点線Rで囲まれた部分では、磁極6のギャップを、上部磁極6aと下部磁極6bとの間に設けている。これにより、上部電極5と下部電極2とを電気的に絶縁させ、かつ、磁極6からの磁気が上部電極5、下部電極2を透過する構造にする。なお、磁極6のギャップは、上部電極5、下部電極2を設けても磁気の損失がない程度の距離(例えば、1μm以下)に抑えることが好ましい。こうすることで、磁極6のギャップを設けても対向する上部磁極6a、下部磁極6b間で磁気結合することができる。
本実施例では、図1、図8の点線Rで囲まれた部分における上部電極5と下部電極2との間は、高周波信号がそれぞれの電極に通ることを考慮して、その隙間を0.5〜5μmとし、上部電極5及び下部電極2の膜厚をそれぞれ0.01〜3μmとしている。その結果、上部電極5の上部磁極6a側の端部から下部電極2の下部磁極6b側の端部までの最大距離は11μmとなる。
そして、垂直磁場供給機構から印加される矢印Mの垂直磁場に加え、ハードバイアス19を組み込むことにより、磁気抵抗効果素子3に矢印Fの水平磁場供給機構による水平磁場を印加するようにしてもよい。ハードバイアス19は、磁気抵抗効果素子3が歳差運動を行うための固定磁場を供給するものであり、例えば永久磁石であってもよい。この場合、垂直磁場供給機構による矢印Mの垂直磁場と、水平磁場供給機構による矢印Fの水平磁場との合成磁場である右斜め下方向の磁場が磁気抵抗効果素子3対して印加されることになる。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の趣旨に反しない範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1 磁性素子
2 下部電極
3 磁気抵抗効果素子
5 上部電極
6 磁極
6a 上部磁極
6b 下部磁極
7 コイル
11 第1のポート
12 第2のポート
13 直流電流入力端子
14 直流電源(バイアス印加)
15 直流電源(磁場発生用)
16、21U、21L 高周波伝送線路
17 グラウンド
18 チョークコイル
19 ハードバイアス
20 バイアス電流発生源
22 磁場供給機構電流源
30 高周波回路
33 磁化固定層
34 スペーサ層
35 磁化自由層
60 空間(絶縁材)
CU 上部ギャップ電極
CL 下部ギャップ電極
UI、LI 接触面

Claims (5)

  1. 磁場が印加されることによって磁化方向が変化する磁化自由層と、印加される磁場に対して磁化方向が固定された磁化固定層と、前記磁化自由層と前記磁化固定層とに挟まれたスペーサ層とを有し、バイアス電流と磁場と高周波信号とが印加されることによりスピントルク発振を行う磁気抵抗効果素子と、
    前記磁化自由層の前記スペーサ層と反対側の面に積層され、前記磁気抵抗効果素子に前記バイアス電流を印加する第1の電極層と、
    前記磁化固定層の前記スペーサ層と反対側の面に積層され、前記磁気抵抗効果素子に前記バイアス電流を印加する第2の電極層と、
    前記第1の電極層と、前記磁気抵抗効果素子と、前記第2の電極層とを収容する空間を有する磁場供給機構と、
    を備え、
    前記磁場供給機構の一方の磁極は前記第1の電極層と対向して接触しており、前記磁場供給機構の他方の磁極は前記第2の電極層と対向して接触している、磁性素子。
  2. 前記磁場供給機構は、前記第1の電極層と対向する上部磁極と、前記第2の電極層と対向する下部磁極とに分割されており、前記上部磁極と前記下部磁極との間にギャップが設けられており、前記ギャップに互いに対向する前記第1の電極層と前記第2の電極層とが設けられている、請求項1に記載の磁性素子。
  3. 前記第1の電極層と前記第2の電極層とは、非磁性である、請求項1又は2に記載の磁性素子。
  4. 前記磁場供給機構の磁化方向と垂直な方向に磁場を供給する磁場供給手段をさらに含む、請求項1から3の何れか1項に記載の磁性素子。
  5. 前記第1の電極層と前記第2の電極層との膜厚は0.01μm〜3μmである、請求項1から4の何れか1項に記載の磁性素子。
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