JP2018163062A - 磁気特性測定システムおよび磁気特性測定方法 - Google Patents

磁気特性測定システムおよび磁気特性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁性材料に発生する磁束密度が正弦波でない場合でも当該磁性材料の鉄損を精度よく導出する。【解決手段】 波形修正部413は、測定試料Sに誘起される誘起電圧の測定波形と目標波形との差に応じて励磁電圧の指示波形を修正することを、収束判定部414が誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定するまで行う。収束判定部414は、誘起電圧の測定波形と目標波形との各時刻における値の差の絶対値の、一周期分の積算値を用いた値が基準値以下である場合に、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定する。そして、鉄損導出部417は、電圧計405、電流計403により測定された誘起電圧、励磁電流に基づく磁束密度、磁界強度に基づいて、測定試料Sの鉄損を導出する。【選択図】 図4

Description

本発明は、磁気特性測定システムおよび磁気特性測定方法に関し、特に、磁性材料の磁気特性を測定するために用いて好適なものである。
電気機器の鉄心(コア)に使用される電磁鋼板等の磁性材料を設計するため等の目的で、磁性材料の磁気特性(例えば、磁束密度、磁界強度、および鉄損)を測定することが行われている。非特許文献1、2には、電磁鋼板からなる試験片に発生する磁束密度の波形が正弦波に近くなる条件で試験片の磁気特性を測定することが記載されている。
しかしながら、実際の電気機器の磁性材料に発生する磁束密度の波形は、高調波成分を含む波形となっており、正弦波にならない。例えば、インバータで駆動されるモータにおいては、モータに使用されるコア(ステータコアおよびロータコア)の形状、モータの極数、およびインバータの駆動条件等に起因して、コアに発生する磁束密度の波形は、高調波成分を含む複雑な波形になる。
そこで、目標磁束密度が正弦波以外であっても、当該目標磁束密度に近い条件で磁性材料を励磁する技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、磁性材料の磁束密度を測定し、測定した磁性材料の磁束密度に対応する磁界強度を導出する。そして、導出した磁界強度と、目標磁界強度との誤差の割合に、目標励磁電圧を乗算した値を、励磁電圧の修正量とする。また、磁性材料の磁束密度と目標磁束密度とを比較した結果に基づいて磁性材料の磁束密度が収束しているか否かを判定する。この判定の結果、磁性材料の磁束密度が収束していない場合に、前記修正量を用いて更新された目標励磁電圧で磁性材料を励磁する。このような動作を、磁性材料の磁束密度が収束するまで繰り返し行う。
特開2016−114387号公報
JIS C 2550−1:2011「電磁鋼帯試験方法 第1部 エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法」 JIS C 2556:2015「単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法」 中田高義、高橋則雄著、「電気工学の有限要素法 第2版」、森北出版株式会社、1986年4月 JIS C 2552:2014「無方向性電磁鋼帯」
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、磁性材料の磁束密度と、目標磁束密度とを比較して、磁束密度が収束しているか否かを判定する。従って、磁性材料の磁気特性を正確に導出することができない慮がある(この点の詳細については、図1〜図3を参照しながら後述する)。また、特許文献1に記載の技術では、磁束密度と目標磁束密度との差の絶対値を用いた誤差率の、一周期にわたる全てのサンプリングタイミングにおける算術平均値が閾値以下である場合に、磁性材料の磁束密度が収束したと判定する。この場合、磁束密度と目標磁束密度との差の絶対値が平均化されるため、目標磁束密度の波形の形によっては、磁束密度を高精度に目標磁束密度に近づけることが容易ではない。このため、磁性材料に発生する磁束密度が正弦波でない場合に、当該磁性材料の鉄損を精度よく導出することができない慮がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、磁性材料に発生する磁束密度が正弦波でない場合でも当該磁性材料の鉄損を精度よく導出することができるようにすることを目的とする。
本発明の磁気特性測定システムは、磁性材料からなる測定試料を励磁するための励磁コイルに励磁電圧を印加する印加手段と、前記測定試料が励磁されることにより第1のコイルに誘起される誘起電圧を検出する第1の検出手段と、前記印加手段により前記励磁コイルに前記励磁電圧が印加されることにより前記励磁コイルに流れる励磁電流を検出する第2の検出手段と、前記誘起電圧の目標波形を取得する取得手段と、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束していないと判定されると、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形と、前記誘起電圧の目標波形との差に基づいて、前記励磁電圧を修正する修正手段と、前記判定手段により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されると、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧と、前記第2の検出手段により検出された前記励磁電流とに基づいて前記測定試料の鉄損を導出する鉄損導出手段と、を有し、前記印加手段は、前記修正手段により前記励磁電圧が修正されると、当該修正された前記励磁電圧を前記励磁コイルに印加し、前記判定手段により、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されるまで、前記修正手段による前記励磁電圧の修正と、前記印加手段による前記励磁電圧の印加と、前記第1の検出手段による前記誘起電圧の検出とが繰り返し行われ、前記判定手段は、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値の差、または、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、複数の周波数成分のそれぞれにおける振幅の差に基づいて、前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定することを特徴とする。
本発明の磁気特性測定方法は、磁性材料からなる測定試料を励磁するための励磁コイルに励磁電圧を印加する印加工程と、前記測定試料が励磁されることにより第1のコイルに誘起される誘起電圧を検出する第1の検出工程と、前記印加工程により前記励磁コイルに前記励磁電圧が印加されることにより前記励磁コイルに流れる励磁電流を検出する第2の検出工程と、前記誘起電圧の目標波形を取得する取得工程と、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束していないと判定されると、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形と、前記誘起電圧の目標波形との差に基づいて、前記励磁電圧を修正する修正工程と、前記判定工程により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されると、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧と、前記第2の検出工程により検出された前記励磁電流とに基づいて前記測定試料の鉄損を導出する鉄損導出工程と、を有し、前記印加工程は、前記修正工程により前記励磁電圧が修正されると、当該修正された前記励磁電圧を前記励磁コイルに印加し、前記判定工程により、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されるまで、前記修正工程による前記励磁電圧の修正と、前記印加工程による前記励磁電圧の印加と、前記第1の検出工程による前記誘起電圧の検出とが繰り返し行われ、前記判定工程は、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値の差、または、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、複数の周波数成分のそれぞれにおける振幅の差に基づいて、前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定することを特徴とする。
本発明によれば、磁性材料に発生する磁束密度が正弦波でない場合でも当該磁性材料の鉄損を精度よく導出することができる。
PWMインバータの出力電圧の波形の一例を示す図である。 磁束密度の波形の一例を示す図である。 異なる変調率でPWMインバータを動作した場合の鉄損を比較した結果の一例示す図である。 磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。 磁気特性測定方法の構成の一例を説明するフローチャートである。 IPMモータの構成の一例を示す図である。 発明例および比較例のそれぞれにおける、誘起電圧の測定波形と目標波形の一例を示す図である。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明者らが得た知見について説明する。
図1は、PWM(Pulse Width Modulation)インバータの出力電圧の波形(電圧と時間との関係)の一例を示す図である。図1において、電圧101は、電圧102よりも小さい変調率でPWMインバータを駆動させた場合のPWMインバータの出力電圧である。このような電圧101、102で同一のモータをそれぞれ駆動した。尚、電圧101、102の実効値は同じであり、モータの回転数とトルクも同じである。
図2は、電圧101、102でモータを駆動したときのステータコアの同一箇所における磁束密度の波形(磁束密度と時間との関係)の一例を示す図である。図2に示すように、何れの電圧101、102でモータを駆動しても、ステータコアの磁束密度201、202は、略同じになった。このときのモータ鉄損(ステータコアおよびロータコアで発生する鉄損の合計)を、モータに投入される電力から機械出力と銅損を減算して求めた。
図3は、その結果を示す図である。図3において、Aは、電圧101でモータを駆動したことを示し、Bは、電圧102でモータを駆動したことを示す。また、鉄損比は、電圧101でモータを駆動した場合のステータコアの鉄損を「1」とした場合の鉄損の相対的な値を示す。図3に示すように、電圧102でモータを駆動した場合(B)の方が、電圧101でモータを駆動した場合(A)よりも鉄損が大幅に低減することが分かる。なお、AよりBの方が、モータ効率は約5%、インバータ効率は約7%、それぞれ向上することを確認している。
このように、本発明者らは、磁性材料に発生する磁束密度が同じであっても励磁電圧の波形(励磁電圧と時間との関係)が異なると当該磁性材料の鉄損が異なるという知見を得た。これは、励磁電圧に含まれる高調波の違いがコアを構成する磁性材料に引き起こされる渦電流の違いとなり、鉄損の違いになっていると考えられる。一方で、磁性材料を励磁することにより誘起される誘起電圧を積分して当該磁性材料に発生する磁束密度を求めるため、この積分により、誘起電圧に含まれていた高周波成分の信号が磁束密度の波形に含まれなくなるため、磁束密度は同じになると考えられる。そこで、本発明者らは、磁束密度ではなく、磁性材料を励磁することにより誘起される誘起電圧の目標波形(目標となる波形)と、当該誘起電圧の測定波形(測定された波形)とを比較することを着想した。以下の本発明の実施形態は、以上のような知見および着想に基づいてなされたものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図4は、磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。図5は、磁気特性測定システムを用いた磁気特性測定方法の一例を説明するフローチャートである。本実施形態の磁気特性測定システムは、電気機器のコアを励磁する励磁巻線に所定の励磁電圧を印加した場合に当該コアの所定の領域(位置)に生じる磁束密度が、測定試料Sに発生するように測定試料Sを励磁する。測定試料Sとして用いられる磁性材料と電気機器のコアに使用される磁性材料は、同じ種類の磁性材料である。すなわち、製造工程において不可避的に発生するばらつきを除いて、同じ成分の原材料から同じ製造工程を経て製作されたもので、両者の違いは電気機器のコア形状に成形されているか、測定システムに応じた形状に成形されているか、のみである。従って、両者は同じ磁気特性を有する。特に、電気機器のコアに使用される磁性材料を板状とする場合、測定試料Sとして用いられる磁性材料の板厚と電気機器のコアに使用される磁性材料の板厚とを同じにする。
尚、電気機器は、例えば、モータに代表される回転電機や、変圧器や、変流器や、変成器や、リアクトル等、動作の際にコアが励磁される電気機器であれば、どのような電気機器であってもよい。また、本実施形態では、磁性材料が電磁鋼板である場合を例に挙げて説明する。ただし、磁性材料は、電磁鋼板に代表される軟磁性材料等、コアとして使用される磁性材料であればどのようなものであってもよい。
前述したように本実施形態では、誘起電圧の目標波形と測定波形とを比較し、測定波形が目標波形に合うように測定試料Sを励磁する。
測定試料Sの形状は、電気機器のコアを構成する磁性材料よりも単純な形状であるとする。例えば、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器にセットされる試験片、非特許文献2に記載の単板試験器にセットされる試験片、またはリング状の試料を、測定試料Sとすることができる。
(磁気特性測定システムの構成)
図4において、磁気特性測定システムは、励磁電源401と、励磁コイル402と、電流計403と、サーチコイル404と、電圧計405と、演算装置410と、を有する。
励磁電源401は、励磁電圧を励磁コイル402に印加する。励磁電圧の波形は、後述する演算装置410内の波形修正部413により決定された一周期分の波形を周期的にくり返す波形である。この励磁電圧により励磁コイル402には、励磁電流が流れる。励磁電源401は、例えば、任意波形発生器と、パワーアンプとを用いて構成される。
励磁コイル402は、測定試料Sを励磁するためのコイルであり、励磁コイル402は、測定試料Sを囲むように巻き回される。なお、測定試料Sが単板である場合、励磁コイル402は、測定試料Sと磁気的に結合されるヨークを囲むように巻き回しても良い。
電流計403は、励磁コイル402に流れる励磁電流を測定する。
サーチコイル404は、いわゆるBコイルと称されるものであり、測定試料Sが励磁されることにより誘起される誘起電圧を検出するためのコイルである。サーチコイル404は、測定試料Sを囲むように巻き回される。すなわち、サーチコイル404は、測定試料Sが励磁されることにより発生する磁束を囲むように巻き回される。
電圧計405は、サーチコイル404の両端の電圧(誘起電圧)を測定する。
演算装置410は、電流計403で測定された励磁電流と、電圧計405で測定された誘起電圧とを、所定のサンプリング周期に基づいて時系列データとして取得する。また、演算装置110は、励磁電圧の波形を生成して励磁電源401に指示すると共に測定試料Sの磁気特性(鉄損)を導出する。
(演算装置410の構成および磁気特性測定方法)
以下に、演算装置410が有する機能の一例を説明する。演算装置410のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<目標波形取得部411、S501>
目標波形取得部411は、誘起電圧の目標波形(誘起電圧の各時刻における目標値)として一周期分の目標波形を取得する。誘起電圧の目標波形を取得する方法の一例として、以下の2つの方法を説明する。
まず、第1の方法について説明する。
磁気特性を測定したい電気機器のコアの所定の領域(磁気特性を測定したい領域)にサーチコイルを巻き回す。そして、電気機器のコアを励磁する励磁巻線に所定の励磁電圧を印加することにより当該サーチコイルに誘起される誘起電圧(当該サーチコイルの両端の電圧)を測定する。尚、サーチコイルを巻き回す領域は、磁気特性を測定したい領域と厳密に一致している必要はない。例えば、電気機器の構造上、磁気特性を測定したい領域と厳密に一致する領域にサーチコイルを巻き回すことができないことがあるからである。この場合、磁気特性を測定したい領域に可及的に近い領域にサーチコイルを巻き回す。
ここで、誘起電圧をV(t)[V]とする。サーチコイルの巻回数をN[回]とする。磁束をφ(t)[wb]とする。磁束密度をB(t)[T]とする。サーチコイル内の電磁鋼板の断面積をS[m2]とする。そうすると、以下の(1)式および(2)式が成り立つ。
V(t)=−N×dφ(t)/dt ・・・(1)
φ(t)=B(t)×S ・・・(2)
ここで、測定試料Sに対するサーチコイル404と、電気機器に対するサーチコイルとでは、巻回数および面積が異なる(場合が多い)。従って、この違いに応じて、電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧の各時刻における値を、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧の各時刻における値に換算する必要がある。具体的には、測定試料Sに対するサーチコイル404の巻回数、サーチコイル404内の電磁鋼板の断面積をそれぞれNA、SAとする。電気機器に対するサーチコイルの巻回数、サーチコイル内の電磁鋼板の断面積をそれぞれNM、SMとする。電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧をVM(t)とする。そうすると、誘起電圧の目標波形VA(t)は、以下の(3)式により算出される。
A(t)={(NA×SA)÷(NM×SM)}×VM(t) ・・・(3)
尚、電磁鋼板の断面積は、サーチコイルの軸の方向(測定試料Sが励磁されることにより測定試料Sに発生する磁束による磁路の方向)に垂直な方向に電磁鋼板を切った断面の面積である。
ここで、測定時のノイズを低減するため、電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去した上で(3)式の計算を行うのが好ましい。例えば、電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧の波形に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)を行い、例えば20次以上の高調波成分のスペクトルを除去した上で、フーリエ逆変換を行う。これにより、電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去することができる。
目標波形取得部411は、例えば、このようにして誘起電圧の目標波形を演算する外部の演算装置から、誘起電圧の目標波形を受信することにより、誘起電圧の目標波形を取得することができる。また、目標波形取得部411は、電気機器に対するサーチコイルに誘起される誘起電圧を入力して、誘起電圧の目標波形を演算することにより、誘起電圧の目標波形を取得することもできる。この他、目標波形取得部411は、誘起電圧の目標波形のデータを記憶する記憶媒体から、誘起電圧の目標波形のデータを読み出すことにより、誘起電圧の目標波形を取得することもできる。
次に、第2の方法について説明する。
磁気特性を測定したい電気機器のコアを励磁する励磁巻線に所定の励磁電圧を印加することにより当該コアの所定の領域に発生する磁束密度ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づく二次元数値解析(コアを構成する電磁鋼板の板面に平行な方向の面に対する数値解析(即ち、二次元空間における数値解析))を実行することにより求める。尚、このようにして求められる磁束密度ベクトルは、コアを構成する電磁鋼板の板面方向の成分を有し、板厚方向の成分を有しない。数値解析は、コンピュータにより実行される。
数値解析としては、例えば、有限要素法を用いることができる。例えば、電磁鋼板の形状、微小領域(いわゆるメッシュ)の大きさ、B−H曲線(磁束密度Bと磁界強度Hとの関係を表す曲線)のデータ、および励磁条件(例えば、各時刻における励磁電圧の大きさ)を、数値解析の解を求めるための物理量のパラメータとして採用される。即ち、これらのパラメータを考慮に入れて、マックスウェルの方程式の数値解として、微小領域ごとに磁束密度ベクトルが得られる。
磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算するための基礎方程式は、一般に、以下の(4)式〜(7)式で与えられる。
Figure 2018163062
(4)式〜(7)式において、μは、透磁率[H/m]であり、Aは、ベクトルポテンシャル[T・m]であり、σは、導電率[S/m]であり、J0は、励磁電流密度[A/m2]であり、φは、スカラーポテンシャル[V]である。
(4)式および(5)式を連立して解いて、ベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシャルφを求めた後、(6)式、(7)式から、磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeが計算される。
尚、このようにして磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを求める方法は、非特許文献3に記載されているように公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
そして、以上のようにして得られた電気機器のコアの所定の領域における一周期分の磁束密度ベクトルから、(1)式および(2)式に基づいて、誘起電圧の一周期分の波形を求め、求めた波形を、誘起電圧の目標波形とする。
ここで、丸め誤差等の数値解析時の誤差を低減するため、以上のようにして演算された誘起電圧の目標波形に含まれる高次の高調波成分を除去したものを(正式な)誘起電圧の目標波形とするのが好ましい。例えば、以上のようにして演算された誘起電圧の目標波形に対して高速フーリエ変換を行い、例えば20次以上の高調波成分のスペクトルを除去した上で、フーリエ逆変換を行う。このようにすることにより、以上のようにして演算された誘起電圧の目標波形に含まれる高次の高調波成分を除去することができる。
目標波形取得部411は、以上のようにして誘起電圧の目標波形を演算することにより、誘起電圧の目標波形を取得することができる。この他、目標波形取得部411は、前述した方法と同様の方法で誘起電圧の目標波形を演算する外部の演算装置から送信された誘起電圧の目標波形のデータを受信することにより、誘起電圧の目標波形を取得することもできる。また、目標波形取得部411は、誘起電圧の目標波形のデータを記憶する記憶媒体から、誘起電圧の目標波形のデータを読み出すことにより、誘起電圧の目標波形を取得することもできる。
<目標波形記憶部412、S502>
目標波形記憶部412は、目標波形取得部411により取得された誘起電圧の目標波形を記憶する。
<波形修正部413、S503>
波形修正部413は、電圧計405で測定された誘起電圧の測定波形に含まれる高次の高調波成分を除去する。例えば、誘起電圧の測定波形に対して高速フーリエ変換を行い、例えば20次以上の高調波成分のスペクトルを除去した上で、フーリエ逆変換を行う。これにより、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去することができる。次に、波形修正部413は、高調波成分を除去した誘起電圧測定波形の或る時刻の値を、目標波形記憶部412に記憶された誘起電圧の目標波形の当該時刻に対応する時刻の値から減算した値を、一周期における各時刻において求める(以下、このようにして求めた値を差分と称する)。そして、波形修正部413は、或る時刻に対して求めた差分に緩和係数を乗算した値を、現在の励磁電圧の波形の当該時刻に対応する時刻の値に加算する。波形修正部413は、このような加算による修正を、一周期における各時刻において行う。緩和係数は、励磁電圧のハンチングを抑制するためのものであり、0(ゼロ)を上回り、1を下回る値を有する。例えば、緩和係数として0.2〜0.3の値を採用することができる。また、緩和係数を1として、現在の励磁電圧の波形に差分をそのまま加算してもよい。ここで、誘起電圧の測定波形からあらかじめ高調波成分を除去しておくことで、緩和係数を用いても抑止不可な励磁電圧の指示波形のハンチングを抑制することができる。
測定開始時には、誘起電圧の測定波形が存在しない。そこで、波形修正部413は、励磁電圧の指示波形の初期値として、目標波形記憶部412に記憶された誘起電圧の目標波形を採用する。このようにすれば、測定当初から、目標とする波形と同じ形の波形の励磁電圧が励磁電源401から出力され、後述する収束判定部414により、誘起電圧が収束したと判定されるまでの時間が早まるので好ましい。ただし、励磁電圧の指示波形の初期値は、誘起電圧の目標波形に限定されず、任意の波形でよい。
<収束判定部414、S503〜S504>
収束判定部414は、電圧計405で測定された誘起電圧の測定波形が、目標波形記憶部412に記憶された誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定する。本実施形態では、収束判定部414は、誘起電圧の目標波形と測定波形との相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値を用いて、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したか否かを判定する。具体的には、誘起電圧の目標波形をVA(t)とし、誘起電圧の測定波形をVP(t)とし、一周期の開始、終了の時刻をそれぞれts、teとすると、収束判定部414は、以下の(8)式を満たす場合に、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定し、そうでない場合に誘起電圧の測定波形が目標波形に収束していないと判定する。また、収束判定部414は、(8)式に替えて以下の(9)式を用いてもよい。
Figure 2018163062
(8)式は、誘起電圧の目標波形と測定波形の相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値を、そのまま用いる場合の例である。(9)式は、誘起電圧の目標波形と測定波形の相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値を、誘起電圧の目標波形の値の絶対値の一周期分の積算値に対する割合として表した場合の例である。
収束判定部414は、測定時のノイズを低減するため、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去した上で(8)式または(9)式の計算を行うのが好ましい。例えば、収束判定部414は、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧の波形に対して高速フーリエ変換を行い、例えば20次以上の高調波成分のスペクトルを除去した上で、フーリエ逆変換を行う。このようにすることにより、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去することができる。
波形修正部413は、収束判定部414により、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束していないと判定された場合に、前述した励磁電圧の指示波形の修正を行う。即ち、波形修正部413は、収束判定部414により、誘起電圧の測定波形が誘起電圧の目標波形に収束したと判定されるまで、前述した励磁電圧の指示波形の修正を繰り返し行う。
<磁束密度導出部415、S505>
磁束密度導出部415は、収束判定部414により誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されると、収束判定部414により誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されたときに測定された誘起電圧の測定波形をV(t)とし、測定試料Sに対するサーチコイル404の巻回数をNとし、測定試料Sに対するサーチコイル404内の電磁鋼板の断面積をSとして、(1)式および(2)式に基づいて、測定試料Sにおける磁束密度B(t)を一周期分求める。尚、測定時のノイズを低減するため、収束判定部414の項で説明したのと同様に、磁束密度導出部415は、測定試料Sに対するサーチコイル404に誘起される誘起電圧に含まれる高次の高調波成分を除去した上で、(1)式および(2)式に基づく計算を行うのが好ましい。
<磁界強度導出部416、S506>
磁界強度導出部416は、収束判定部414により、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されると、収束判定部414により誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されたときに測定された誘起電圧の測定波形と同じタイミングで電流計403により測定された励磁電流をI(t)[A]とし、励磁コイル402の巻回数をN1とし、測定試料Sの磁路長をl[m]として、以下の(10)式により、測定試料Sにおける磁界強度H(t)を一周期分求める。
H(t)=N1×I(t)÷l ・・・(10)
尚、測定時のノイズを低減するため、磁界強度導出部416は、励磁電流に含まれる高次の高調波成分を除去した上で、(10)式の計算を行うのが好ましい。例えば、磁界強度導出部416は、励磁電流の波形に対して高速フーリエ変換を行い、例えば20次以上の高調波成分のスペクトルを除去した上で、フーリエ逆変換を行う。このようにすることにより、励磁電流に含まれる高次の高調波成分を除去することができる。
<鉄損導出部417、S507>
鉄損導出部417は、磁束密度導出部415で導出された磁束密度B(t)と、磁界強度導出部416で導出された磁界強度H(t)とから、B−H曲線(ヒステリシス曲線)を作成する。尚、このようにして作成されるB−H曲線(ヒステリシス曲線)には、ヒステリシス損だけでなく渦電流損による寄与分も反映される。そこで、鉄損導出部417は、B−H曲線の面積を、測定試料Sの鉄損として導出する。鉄損導出部417は、B−H曲線を作成する際に、磁束密度B(t)と磁界強度H(t)との組みとして、同じ時刻tにおける値の組を抽出する。この場合、電圧計405で測定された誘起電圧、電流計403で測定された励磁電流として同じ時刻の値が、磁束密度導出部415、磁界強度導出部416にそれぞれ入力されるようにする。
<出力部418、S508>
出力部418は、鉄損導出部417で導出された測定試料Sの鉄損の情報を出力する。出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および演算装置410の外部または内部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
図6は、磁気特性の測定対象となる電気機器であるIPM(Interior Permanent Magnet)モータ600の構成の一例を示す図である。図6(a)は、IPMモータ600を、その回転軸に垂直な方向に沿って切った断面を示し、図6(b)は、図6(a)の破線の領域を拡大して示す図である。以下に、本実施例で使用したIPMモータ600の仕様の概略を示す。
相数:3
極数:4
ステータの外径:φ112[mm]
ステータのスロット数:24
ロータの外径:φ55[mm]
ロータの積厚:60[mm]
ステータコアおよびロータコアの材質:35A300
ここで、35A300は非特許文献4に記載の無方向性電磁鋼板である。
図6(b)に示すように、IPMモータ600のステータコアのティースの先端の領域601における磁気特性(鉄損)を発明例の手法と比較例の手法とのそれぞれで求めた。発明例の手法は、本実施形態で説明した手法である。比較例の手法は、本実施形態で説明した演算装置410において、誘起電圧の指示波形の生成と収束判定の際に、誘起電圧の目標波形および測定波形に替えて、磁束密度の目標波形および測定波形を用いる手法である。
図7は、誘起電圧の測定波形と目標波形の一例を示す図である。図7(a)は比較例を示し、図7(b)は発明例を示す。
図7(a)および図7(b)に示すように、発明例の方が比較例よりも誘起電圧の測定波形が目標波形に近いことが分かる。そして、比較例で求めた測定試料Sの鉄損は、発明例で求めた測定試料Sの鉄損よりも2[%]程度低い値になった。これは、比較例では、誘起電圧の測定波形と目標波形とのずれにより、誘起電圧の目標波形に対応する励磁電流が得られていない為に磁界強度にずれが生じていることに加え、誘起電圧に含まれていた高調波成分が磁束密度の波形に含まれていないことによると考えられる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、電気機器のコアを所定の励磁条件で励磁したときに当該コアの所定の領域において検出される誘起電圧の波形を誘起電圧の目標波形とする。波形修正部413は、測定試料Sに誘起される誘起電圧の測定波形と目標波形との差に応じて励磁電圧の指示波形を修正することを、収束判定部414により誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されるまで繰り返し行う。収束判定部414は、誘起電圧の測定波形と目標波形との各時刻における値の差の絶対値の、一周期分の積算値を用いた値が基準値以下である場合に、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定する。そして、鉄損導出部417は、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したと判定されたときに電圧計405、電流計403により測定された誘起電圧、励磁電流に基づく磁束密度、磁界強度に基づいて、測定試料Sの鉄損を導出する。従って、励磁電圧に高調波成分が含まれており、測定試料Sにおける磁束密度に高調波成分が含まれている場合でも、その高調波成分を抽出することができる。また、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したか否かを判定する際に、平均化した値を用いないので、誘起電圧の目標波形に高調波成分が含まれる場合でも、誘起電圧の測定波形を目標波形に高精度に収束させることができる。よって、電気機器のコアの局所的な領域における磁束密度が正弦波でない場合でも、当該領域における鉄損を高精度に導出することができる。
(変形例)
本実施形態では、収束判定部414は、誘起電圧の目標波形と測定波形の相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値を用いて、誘起電圧の測定波形が目標波形に収束したか否かを判定する。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。収束判定部414は、誘起電圧の目標波形と測定波形の同一の周波数成分の振幅の差(の絶対値)を複数の周波数成分のそれぞれについて求めた結果を用いて、誘起電圧の測定波形が誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定してもよい。例えば、収束判定部414は、誘起電圧の目標波形と測定波形とのそれぞれに対して高速フーリエ変換を行い、複数の周波数成分ごとのスペクトル(振幅)を求める。そして、収束判定部414は、同一の周波数成分のスペクトルの差の絶対値を、複数の周波数成分のそれぞれについて求める。尚、複数の周波数成分としては、基本波の周波数成分と、2〜n次高調波(nは3以上の整数)に対応する周波数成分とを採用することができる。そして、収束判定部414は、或る周波数成分のスペクトルの差の絶対値が、当該周波数成分に対して予め設定された基準値以下であるか否かを判定することを、複数の周波数成分のそれぞれについて行う。そして、収束判定部414は、複数の周波数成分の全てについて、スペクトルの差の絶対値が、当該周波数成分に対して予め設定された基準値以下である場合に、誘起電圧の測定波形が誘起電圧の目標波形に収束したと判定し、そうでない場合に、誘起電圧の測定波形が誘起電圧の目標波形に収束していないと判定する。
また、演算装置410の各部が複数の装置で構成されていてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態の対応関係の一例を説明する。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに記載した通りである。
<請求項1、6>
印加手段は、例えば、励磁電源401を用いることにより実現される。
第1のコイルは、例えば、サーチコイル404を用いることにより実現される。
第1の検出手段は、例えば、電圧計405を用いることにより実現される。
第2の検出手段は、例えば、電流計403を用いることにより実現される。
取得手段は、例えば、目標波形取得部411を用いることにより実現される。
判定手段は、例えば、収束判定部414を用いることにより実現される。
修正手段は、例えば、波形修正部413を用いることにより実現される。
鉄損導出手段は、例えば、磁束密度導出部415、磁界強度導出部416、および鉄損導出部417を用いることにより実現される。
前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値の差は、例えば、誘起電圧の目標波形と測定波形との相互に対応する時刻における差(の絶対値)をそのまま用いるか、誘起電圧の目標波形と測定波形の相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値を、誘起電圧の目標波形の値の絶対値の一周期分の積算値に対する割合をとることにより実現される((8)式の左辺、(9)式の左辺を参照)。
前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、複数の周波数成分のそれぞれにおける振幅の差は、例えば、誘起電圧の目標波形と測定波形とのそれぞれから複数の周波数成分のスペクトルを求め、誘起電圧の目標波形および測定波形における同一の周波数成分のスペクトルの差(の絶対値)を複数の周波数成分のそれぞれについてとることにより実現される((変形例)の項を参照)。
<請求項2>
前記コアの前記所定の領域に巻き回された第2のコイルに誘起される誘起電圧の波形は、例えば、電気機器のコアの所定の領域(磁気特性を測定したい領域)に巻き回したサーチコイルに誘起される誘起電圧の波形を用いることにより実現される。
<請求項3、5>
前記コアの二次元空間における磁束密度ベクトルの数値解は、例えば、電気機器のコアを励磁する励磁巻線に所定の励磁電圧を印加することにより当該コアの所定の領域に発生する磁束密度ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づく二次元数値解析を実行することにより求められる。
前記コアの二次元空間における磁束密度ベクトルの数値解に基づいて求められた前記コアの前記所定の領域における誘起電圧の波形は、例えば、電気機器のコアの所定の領域における一周期分の磁束密度ベクトルから、(1)式および(2)式に基づいて、誘起電圧の一周期分の波形を求めることにより求められる。
<請求項4>
前記コアの二次元空間における磁束密度ベクトルの数値解は、前記磁性材料の板面方向の成分を有し、前記磁性材料の板厚方向の成分を有していないことは、例えば、前述した磁束密度ベクトルが、コアを構成する電磁鋼板の板面方向の成分を有し、板厚方向の成分を有しないことに対応する。
401:励磁電源、402:励磁コイル、403:電流計、404:サーチコイル、405:電圧計、410:演算装置、411:目標波形取得部、412:目標波形記憶部、413:波形修正部、414:収束判定部、415:磁束密度導出部、416:磁界強度導出部、417:鉄損導出部、418:出力部、S:測定試料

Claims (7)

  1. 磁性材料からなる測定試料を励磁するための励磁コイルに励磁電圧を印加する印加手段と、
    前記測定試料が励磁されることにより第1のコイルに誘起される誘起電圧を検出する第1の検出手段と、
    前記印加手段により前記励磁コイルに前記励磁電圧が印加されることにより前記励磁コイルに流れる励磁電流を検出する第2の検出手段と、
    前記誘起電圧の目標波形を取得する取得手段と、
    前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束していないと判定されると、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形と、前記誘起電圧の目標波形との差に基づいて、前記励磁電圧を修正する修正手段と、
    前記判定手段により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されると、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧と、前記第2の検出手段により検出された前記励磁電流とに基づいて前記測定試料の鉄損を導出する鉄損導出手段と、を有し、
    前記印加手段は、前記修正手段により前記励磁電圧が修正されると、当該修正された前記励磁電圧を前記励磁コイルに印加し、
    前記判定手段により、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されるまで、前記修正手段による前記励磁電圧の修正と、前記印加手段による前記励磁電圧の印加と、前記第1の検出手段による前記誘起電圧の検出とが繰り返し行われ、
    前記判定手段は、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値の差、または、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、複数の周波数成分のそれぞれにおける振幅の差に基づいて、前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定することを特徴とする磁気特性測定システム。
  2. 前記取得手段は、前記測定試料を構成する磁性材料と同じ種類の磁性材料を用いて構成されたコアを有する電気機器の当該コアを所定の励磁条件で励磁した場合の当該コアの所定の領域における誘起電圧の波形を、前記誘起電圧の目標波形として取得し、
    前記コアの所定の領域における誘起電圧の波形は、前記電気機器に対する誘起電圧の測定波形であり、
    前記電気機器に対する誘起電圧の測定波形は、前記コアの前記所定の領域に巻き回された第2のコイルに誘起される誘起電圧の波形であることを特徴とする請求項1に記載の磁気特性測定システム。
  3. 前記取得手段は、前記測定試料を構成する磁性材料と同じ種類の磁性材料を用いて構成されたコアを有する電気機器の当該コアを所定の励磁条件で励磁した場合の当該コアの所定の領域における誘起電圧の波形を、前記誘起電圧の目標波形として取得し、
    前記コアの所定の領域における誘起電圧の波形は、前記電気機器に対する誘起電圧の解析波形であり、
    前記電気機器に対する誘起電圧の解析波形は、前記コアの二次元空間における磁束密度ベクトルの数値解に基づいて求められた前記コアの前記所定の領域における誘起電圧の波形であることを特徴とする請求項1に記載の磁気特性測定システム。
  4. 前記コアは、相互に積み重ねられた複数の板状の磁性材料を有し、
    前記測定試料を構成する磁性材料の形状は、板状であり、
    前記コアの二次元空間における磁束密度ベクトルの数値解は、前記磁性材料の板面方向の成分を有し、前記磁性材料の板厚方向の成分を有していないことを特徴とする請求項3に記載の磁気特性測定システム。
  5. 前記取得手段は、前記電気機器の前記コアを所定の励磁条件で励磁したときに前記コアの二次元空間に発生する磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルの数値解を、マックスウェルの方程式に基づく数値解析を行うことにより求め、当該求めた磁束密度ベクトルの数値解に基づいて求められた誘起電圧の波形を、前記測定試料における前記誘起電圧の目標波形として取得することを特徴とする請求項3または4に記載の磁気特性測定システム。
  6. 前記修正手段は、前記第1の検出手段により検出された前記誘起電圧の測定波形に含まれる高次の高調波成分を除去した上で、前記誘起電圧の目標波形との差に基づいて、前記励磁電圧を修正することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気特性測定システム。
  7. 磁性材料からなる測定試料を励磁するための励磁コイルに励磁電圧を印加する印加工程と、
    前記測定試料が励磁されることにより第1のコイルに誘起される誘起電圧を検出する第1の検出工程と、
    前記印加工程により前記励磁コイルに前記励磁電圧が印加されることにより前記励磁コイルに流れる励磁電流を検出する第2の検出工程と、
    前記誘起電圧の目標波形を取得する取得工程と、
    前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束していないと判定されると、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形と、前記誘起電圧の目標波形との差に基づいて、前記励磁電圧を修正する修正工程と、
    前記判定工程により、前記誘起電圧の測定波形が前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されると、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧と、前記第2の検出工程により検出された前記励磁電流とに基づいて前記測定試料の鉄損を導出する鉄損導出工程と、を有し、
    前記印加工程は、前記修正工程により前記励磁電圧が修正されると、当該修正された前記励磁電圧を前記励磁コイルに印加し、
    前記判定工程により、前記第1の検出工程により検出された前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したと判定されるまで、前記修正工程による前記励磁電圧の修正と、前記印加工程による前記励磁電圧の印加と、前記第1の検出工程による前記誘起電圧の検出とが繰り返し行われ、
    前記判定工程は、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、相互に対応する時刻における差の絶対値の、一周期分の積算値の差、または、前記誘起電圧の測定波形および前記誘起電圧の目標波形の、複数の周波数成分のそれぞれにおける振幅の差に基づいて、前記誘起電圧の測定波形が、前記誘起電圧の目標波形に収束したか否かを判定することを特徴とする磁気特性測定方法。
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