JP2018162630A - 壁面補修用作業空間形成物及び壁面補修用作業空間形成方法 - Google Patents

壁面補修用作業空間形成物及び壁面補修用作業空間形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート製の岸壁、防波堤等の水中壁面の損傷の補修作業を安全に、かつ効率良く行うことを可能にする壁面補修用作業空間形成物及び壁面補修用作業空間形成方法を提供する。【解決手段】海底地盤51に構築したコンクリート製防波堤52の補修壁面52Aとの間に作業空間Sとなる間隙を存して海底地盤51上に横長の前面閉塞パネル2を設置する。前面閉塞パネル2の長手方向両端に側面閉塞パネル6、6が設けてある。側面閉塞パネル6は補修壁面52Aに多数本の閉塞材9の先端面を当接させることにより作業空間Sを遮水状態に画成している。前面閉塞パネル2の錘格納部4に錘となるコンクリート板11を格納し、前面閉塞パネル2に重量を持たせて水中での安定性を確保している。【選択図】図1

Description

本発明は、岸壁、防波堤等のコンクリート製構造物の水中に没している壁面の損傷や損壊を補修する作業を安全に、効率良く行うことを可能にする壁面補修用作業空間形成物及び壁面補修用作業空間形成方法に関する。
コンクリート製の岸壁、防波堤等(以下、岸壁等という。)は、水中に没している壁面部分が二酸化炭素や塩分によるコンクリートの経年劣化により、また繰り返し受ける波力、氷塊、石等の衝撃によって次第に損傷し、損傷が拡大すると終には損壊する事態に至る。損壊が始まった岸壁等は損壊箇所の周囲の強度性が低下するために損壊する部位の拡大が早まり、岸壁際の道路が陥没する事故、岸壁等自体が崩れるといった幾多の問題を生じている。
特に、岸壁等には沖合いからの潮流が略直角に当り、流速の早い沿い波が横方向に流れる現象が生じる。沿い波は流速が速く、また砂を巻き込んでいることから、岸壁等の水中壁面は沿い波によって早期に損傷し、損傷の程度も激しいという問題がある。そして、この問題に対処するために、従来は沿い波の上流側に位置して岸壁等に沿って海底に多数の消波ブロックを配置し、沿い波の力を減衰させることを行っている。
見出せず。
しかし、海底に多数の消波ブロックを配置しても消波ブロック間には空隙が出来ていることから、沿い波の流動を完全に阻止することは出来ない。このため、沿い波により砂等が混入して視界が悪い水中で行う壁面の補修作業は作業効率が悪いし、作業員は波力を受けて作業中の身体の安定性を保てないため作業性が悪いという問題がある。
しかし、消波ブロックを用いる技術以外に沿い波に対処した岸壁等の補修作業のための技術は提案されていない。
本発明は従来技術の未解決の問題点に鑑みなされたもので、コンクリート製構造物である岸壁、防波堤等の水中壁面の損傷や損壊箇所の補修作業を安全に、効率良く行うことを可能にする壁面補修用作業空間形成物及び壁面補修用作業空間形成方法を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る発明の手段は、水底地盤上に構築したコンクリート製構造物の補修壁面との間に作業空間となる間隙を存して該水底地盤に設置し、内部に錘格納部を形成してある横長の前面閉塞パネルと、該前面閉塞パネルの長手方向両端に設けられ、前記補修壁面に先端面が当接することにより前記作業空間を遮水状態に画成する側面閉塞パネルと、前記前面閉塞パネルの錘格納部に格納する錘とからなる。
(2)そして、前記前面閉塞パネルには、前記作業空間に向けて突出する作業用足場を内面に設けるとよい。
(3)また、前記側面閉塞パネルは、前記前面閉塞パネルの長手方向両端に設けた閉塞材支持体と、該各閉塞材支持体に先端面を前記補修壁面に向けた状態で縦方向に列設することによりパネル状をなし、各々が進退可能で、該先端面が前記補修壁面に当接する複数本の閉塞材とから構成するとよい。
(4)そして、前記閉塞材は、縦断面四角形の角材からなり、上摺接面にほぞ又は溝、下摺接面に溝又はほぞを形成して嵌合するようにするとよい。
(5)また、前記閉塞材は、前記先端面に前記補修壁面に密接する止水用シール材を設けるとよい。
(6)また、前記錘は、鋼板、鉛板、コンクリート板、水充填タンクのいずれかであるとよい。
(7)更に、請求項7に係る発明を構成する手段は、内部に錘格納部を形成した横長の前面閉塞パネルを、水中地盤上に構築したコンクリート製構造物の補修壁面との間に作業空間となる間隙を存する状態で該水底地盤上に設置し、該前面閉塞パネルの長手方向両端に側面閉塞パネルを設け、該側面閉塞パネルを構成する多数本の閉塞材を進退させて先端面を前記補修壁面に当接させることにより前記作業空間を遮水状態に画成し、前記前面閉塞パネルの錘格納部に錘を挿入格納し、前記作業空間内から水を排出することからなる。
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)壁面補修用作業空間形成物により水中に画成する作業空間は沿い波や波力の影響を受けることがないし、作業員の視界も確保されるから、補修壁面の補修作業を安全に、効率良く行うことができる。
(2)前面閉塞パネルは、作業空間に向けて作業用足場を設けたから、高さのある補修壁面の補修作業を円滑かつ効率的に行うことができる。
(3)前面閉塞パネルは、水底地盤に設置した後に重量物である錘を格納する構成にしたから、水中での設置作業を効率的に行うことができる。
(4)側面閉塞パネルは、多数本の閉塞材の各々を進退させて補修壁面に当接する構成にしたから、作業空間は高い遮水性を有することができる。
(5)閉塞材は上摺接面にほぞ又は溝、下摺接面に溝又はほぞを形成し、上下の閉塞材は嵌合する構成にしたから、水圧に対して高い強度性を有するし、遮水性が高いので作業空間に水が浸入する事態を可及的に抑制できる。
(6)閉塞材は、先端面に補修壁面に密接する止水用シール材を設けたから、作業空間に水が浸入する事態を可及的に抑制できる。
(7)錘は、鋼板、鉛板、コンクリート板、水充填タンクのいずれかで構成すればよく、コストの節減を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る壁面補修用作業空間形成物の全体構成を示す斜視図である。 壁面補修用作業空間形成物の内側を示す部分斜視図である。 壁面補修用作業空間形成物を構成する錘の全体図である。 壁面補修用作業空間形成物の平面図である。 閉塞材の先端側を示す部分斜視図である。 閉塞材の嵌合状態を示す断面図である。 壁面補修用作業空間形成物の設置工程の説明図である。 壁面補修用作業空間形成物の変形例を示す部分斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は壁面補修用作業空間形成物で、該壁面補修用作業空間形成物1は、例えば砂地からなる海底地盤51上に構築したコンクリート製防波堤52の壁面のうち補修を要する壁面52A(以下、補修壁面52Aという。)の補修に用いるものである。
2は該壁面補修用作業空間形成物1を構成し、後述する作業空間Sを画成するための前面閉塞パネルを示す。3は該前面閉塞パネル2を構成するパネル本体で、該パネル本体3は縦長の複数枚のコンクリート板或いは鋼板を連結して横長に形成した前面パネル板3Aと、同様の構成からなる後面パネル板3Bと、該後面パネル板3Bと前面パネル板3Aを連結する仕切板3C、3C、3Cとから構成し、内部に下方が開放する複数の錘格納部4、4、・・が画成してある。なお、前面、後面パネル板3A、3Bをコンクリート板で構成する場合は、接合面を相欠きや矢はずの形状にすることで、遮水性を高めることができる。そして、後面パネル板3Bには、作業空間Sに向けて突出する作業用足場5が高さ方向略中間に位置して設けることにより作業性を高めてある。
上述の構成からなる前面閉塞パネル2は、補修壁面52Aとの間に作業空間Sとなる間隙を設けるように海底地盤51上に設置するものである。
6,6は前記前面閉塞パネル2の長手方向両端に設けた一対の側面閉塞パネルを示す。該各側面閉塞パネル6は、前記作業空間Sを沿い波の影響から防ぐと共に、周囲の海水から遮断して水圧や水流により受ける影響を可及的に小さくするためのものである。7は各側面閉塞パネル6を構成する側面支持板で、該側面支持板7は前面閉塞パネル2と同じ高さからなり、幅方向長さは前面閉塞パネル2より前方に突出する長さを有する縦長の平板からなり、前面閉塞パネル2の側端に固着してある。
8は角材を組んで構成した閉塞材支持体で、該閉塞材支持体8は縦長枠状の外側枠部8Aと、前記側面閉塞板7の先端に縦方向に固着され該外側枠部8Aとの間に後述する閉塞材9を挟持する内側支持材8Bと、該内側支持材8Bと外側枠部8Aの上端側及び下端側に固着して連結する連結材8C、8Cとから構成してある。
9、9、・・・は各側面閉塞パネル6を構成する複数本の閉塞材で、該各閉塞材9は縦断面四角形の角材からなり、図5及び図6に示すように、先端面を壁当接面9A、後端面を押動面9B、上面を上摺接面9C、下面を下摺接面9Dとしている。そして、上摺接面9Cにほぞ9E、下摺接面9Dに溝9Fを形成し、上下の閉塞材9、9はほぞ9Eと溝9Fを嵌合して密接させることにより、遮水性を高めると共に水圧に対する強度性を持たせてある。
10は各閉塞材9の壁当接面9Aに貼着したゴム製、フエルト製、不織布或いは軟質合成樹脂製等の柔軟性を有する止水用シール材で、該止水用シール材10は補修壁面52Aに密接することで作業空間S内の遮水性を保持するためのものである。
上述の構成からなる閉塞材9は、前記止水用シール材10を補修壁面52Aに向けた状態で閉塞材支持体8の外側枠部8Aと内側支持材8B及び側面閉塞板7に挟持されており、縦方向に列設することでパネル状をなしている。また、上下の閉塞材9、9はほぞ9Eと溝9Fを嵌合して積重して構成し、かつパネル状の閉塞材9の内側に側面閉塞板7を配設することで、側面閉塞パネル6、6は高い遮水性を有して作業空間Sが水圧や水流の影響を受ける事態を可及的に防止している。
更に、11、11、・・は前面閉塞パネル2の各錘格納部4に挿入するパネル状の錘で、該各錘11は前面閉塞パネル2に重量を持たせることで波力等の水圧に対する安定性を得るためのものである。そして、錘11は鋼板、鉛板、コンクリート板、水充填タンク等で製作してあり、上面11Aにはクレーンで吊下げるための一対の吊下げ用環11B、11Bが設けてある。
本実施の形態に係る壁面補修用作業空間形成物1は上述の構成からなるもので、サイズは一例として横方向長さ5,000〜7,000mm、高さ4,000〜5,000mm、作業空間Sの前後幅1,000〜1,500mmの大きさからなるが、作業現場に応じて種々の大きさのものを作製するとよい。
次に、その作用について説明する。先ず、補修壁面52Aの下方の海底地盤51を整地し、補修壁面52Aとの間に1,000〜1,500mmの間隙を存して地盤51上に前面閉塞パネル2を設置する。次に、予め閉塞材9をパネル状に列設してある側面閉塞パネル6、6を前面閉塞パネル2の両端に組付け、各閉塞材9を矢示イ、ロ方向に進退させて凹凸する補修壁面52Aに止水用シール材10を密接させる。閉塞材9を進退させる動作には、例えば特許第5985895号特許公報に記載の技術、即ち閉塞材支持枠8に設けた支持筒内でねじ軸を回動することにより進退力を得る進退調整シリンダ(図示せず。)を用いる方法がある。
このようにして壁面補修用作業空間形成体1を海底に設置したら、作業空間S内の海水を排水ポンプ等で排出し、可能な限り水の無い作業空間Sを形成する。しかし、作業空間形成物1は密閉した構造物ではなく、主に地盤51側から海水等が作業空間Sに徐々に浸入することから、適宜排水ポンプで排出して可及的に水の無い作業空間Sに維持するとよい。
なお、壁面補修用作業空間形成物が小型のサイズであれば、前面閉塞パネル2に側面閉塞パネル6を地上で組付けて一体に構成し、クレーンで一体に吊り下ろして設置するようにしてもよい。
図7は本実施の形態の変形例を示し、その特徴は前面閉塞パネル21の下端に底板22を設けたことにある。この構成によれば、海底地盤51が石や岩場のために足場が悪くて作業員が動き難い、危険性があるような場合に安全に、効率良く作業できるし、前面閉塞パネル2の強度性を高める効果と地盤51側からの海水の浸入を出来る限り抑制することができる。
なお、本実施の形態は、海の防波堤を補修する例に挙げたが、本発明は河川の堤防やダムの壁面等、コンクリート製壁面の補修作業に用いることができる。
1 壁面補修用作業空間形成物
2、21 前面閉塞パネル
4 錘格納部
5 足場
6 側面閉塞パネル
8 閉塞材支持枠
9 閉塞材
9C 上摺接面
9D 下摺接面
9E ほぞ
9F 溝
10 止水用シール材
11 錘
51 海底地盤
52A 補修壁面
S 作業空間

Claims (7)

  1. 水底地盤上に構築したコンクリート製構造物の補修壁面との間に作業空間となる間隙を存して該水底地盤上に設置し、内部に錘格納部を形成してある横長の前面閉塞パネルと、該前面閉塞パネルの長手方向両端に設けられ、前記補修壁面に先端面が当接することにより前記作業空間を遮水状態に画成する側面閉塞パネルと、前記前面閉塞パネルの錘格納部に格納する錘とから構成してなる壁面補修用作業空間形成物。
  2. 前記前面閉塞パネルは、前記作業空間に向けて突出する作業用足場を内面に設けてあることを特徴とする請求項1記載の壁面補修用作業空間形成物。
  3. 前記側面閉塞パネルは、前記前面閉塞パネルの長手方向両端に設けた閉塞材支持体と、該各閉塞材支持体に先端面を前記補修壁面に向けた状態で縦方向に列設することによりパネル状をなし、各々が進退可能で、該先端面が前記補修壁面に当接する複数本の閉塞材とから構成してある請求項1記載の壁面補修用作業空間形成物。
  4. 前記閉塞材は、縦断面四角形の角材からなり、上摺接面にほぞ又は溝、下摺接面に溝又はほぞを形成して嵌合するようにしたものである請求項3記載の壁面補修用作業空間形成物。
  5. 前記閉塞材は、前記先端面に前記補修壁面に密接する止水用シール材を設けてあることを特徴とする請求項3記載の壁面補修用作業空間形成物。
  6. 前記錘は、鋼板、鉛板、コンクリート板、水充填タンクのいずれかである請求項1記載の壁面補修用作業空間形成物。
  7. 内部に錘格納部を形成した横長の前面閉塞パネルを、水中地盤上に構築したコンクリート製構造物の補修壁面との間に作業空間となる間隙を存する状態で該水底地盤上に設置し、該前面閉塞パネルの長手方向両端に側面閉塞パネルを設け、該側面閉塞パネルを構成する多数本の閉塞材を進退させて先端面を前記補修壁面に当接させることにより前記作業空間を遮水状態に画成し、前記前面閉塞パネルの錘格納部に錘を挿入格納し、前記作業空間内から水を排出することからなる壁面補修用作業空間形成方法。
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