JP2018161759A - カートリッジおよび液体噴射システム - Google Patents

Abstract

【課題】液体噴射装置に対する装着姿勢を改善できるカートリッジを提供する。【解決手段】カートリッジ１００，１００ａは、液体噴射装置のカートリッジ収納部に挿入されるケース１０１，１０１ａと、ケース内部の収容部と、液体噴射装置の液体導入部が挿入される液体導出口１３１と、液体噴射装置の装置側電気接続部に、＋Ｚ方向の力を受けつつ電気的に接触するカートリッジ側電気接続部１４０と、液体噴射装置の装置側固定構造と係合するカートリッジ側固定構造と、を備える。ケースは、装置側固定構造とカートリッジ側固定構造との係合によって、−Ｚ方向に向かう力が付与された状態で移動が規制される。カートリッジ側固定構造とカートリッジ側電気接続部とは、Ｚ方向に見たときに少なくとも一部が互いに重なり合う。液体収容体のＺ方向における幅は、Ｙ方向、Ｘ方向における幅よりも小さい。【選択図】図６

Description

本発明は、カートリッジおよび液体噴射システムに関する。

液体噴射装置の一態様としては、印刷対象である媒体に向かって液体であるインクを噴射するインクジェットプリンター（以下、単に「プリンター」とも呼ぶ。）が知られている。プリンターには、通常、インクを収容するカートリッジが交換可能に装着される（例えば、下記の特許文献１〜３）。プリンターでは、カートリッジが装着されたときに、プリンターとカートリッジの間でインクの供給経路や、電気的な通信経路が確立される。

国際公開ＷＯ２０１３／１０５５０４号パンフレット 特開２０１４−２４０１８２号公報 特開２００５−５９３１７号公報

カートリッジは、プリンターに対して、予め決められている適切な姿勢で装着されることが望ましい。その装着姿勢が適切でないと、プリンターのインクの供給経路および電気的な通信経路の確立ができなくなる可能性がある。また、インクの供給経路および電気的な通信経路の接続状態が不安定になり、時間の経過とともに、その接続状態が悪化してしまうことも危惧される。その他にも、プリンターとの接続の際に、プリンター側の構成部に対する接触によって過度な応力が発生し、損傷・劣化が生じてしまう可能性もある。カートリッジのプリンターに対する装着姿勢を改善することについては、従来から、研究が重ねられてきているが、依然として改善の余地がある。こうした課題は、プリンター用のカートリッジに限らず、液体噴射装置に装着されるカートリッジ、および、カートリッジと液体噴射装置とを備える液体噴射システムにおいて共通する課題である。

本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。

［１］本発明の第１の形態によれば、液体噴射装置に装着されるカートリッジが提供される。容重力方向に平行な方向をＺ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と同じ方向を＋Ｚ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Ｚ方向とし、前記Ｚ方向に直交する方向をＹ方向とし、前記Ｙ方向のうちのひとつの方向を＋Ｙ方向とし、前記Ｙ方向のうちの他の方向を−Ｙ方向とし、前記Ｚ方向と前記Ｙ方向とに直交する方向をＸ方向とし、前記Ｘ方向のうちのひとつの方向を＋Ｘ方向とし、前記Ｘ方向のうちの他の方向を−Ｘ方向と定義する。
前記液体噴射装置は、カートリッジ収納部が内部に設けられているハウジングと；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から−Ｙ方向に向かって延びる装置側固定構造と；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する液体導入部と；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する装置側電気接続部と；を備える。
前記カートリッジは、前記＋Ｙ方向に沿って移動することによって前記カートリッジ収納部に挿入されるケースと；前記ケースの内部に設けられ、液体を収容する収容部と；前記カートリッジが前記液体噴射装置に装着された装着状態において前記＋Ｙ方向に前記液体導入部が挿入される液体導出口と；前記装着状態において前記装置側電気接続部から少なくとも前記＋Ｚ方向の成分を有する力を受けつつ、前記装置側電気接続部に電気的に接触するカートリッジ側電気接続部と；前記装着状態において前記装置側固定構造と係合するカートリッジ側固定構造と；を備える。前記ケースは、前記装着状態において、前記装置側固定構造と、前記カートリッジ側固定構造と、が係合することによって、前記−Ｚ方向に向かう力が付与された状態で、前記−Ｙ方向への移動が規制される。前記カートリッジ側固定構造と前記カートリッジ側電気接続部とは、前記装着状態の姿勢にある前記カートリッジを前記Ｚ方向に見たときに、少なくとも一部が互いに重なり合う位置に形成されている。前記装着状態の姿勢において、前記カートリッジの前記Ｚ方向における幅は、前記Ｙ方向における幅、および、前記Ｘ方向における幅よりも小さい。
この形態のカートリッジによれば、カートリッジ側電気接続部が装置側電気接続部から受ける＋Ｚ方向の力の少なくとも一部が、ケースの係合状態を形成するために装置側固定構造がカートリッジ側固定構造に付与する−Ｚ方向の力によって低減される。よって、カートリッジに付与されるＺ方向の力の成分が低減され、カートリッジの配置姿勢が、適正な姿勢からＺ方向にずれてしまうことが抑制され、液体噴射装置に対するカートリッジの接続状態が改善される。また、カートリッジの配置姿勢の悪化によって液体噴射装置とカートリッジとの接続部位に無駄な応力が生じてしまうことが抑制されるため、当該接続部位の損傷・劣化が抑制される。この形態のカートリッジによれば、装着状態の姿勢において、Ｚ方向における幅が他のＸ方向およびＹ方向における幅よりも小さいため、カートリッジの液体噴射装置内での配置姿勢が、より安定化する。よって、液体噴射装置に対するカートリッジの接続状態がさらに改善される。

［２］上記形態のカートリッジにおいて、前記カートリッジ側電気接続部は、前記装着状態において前記装置側電気接続部に接触する接触面を有し、前記接触面の法線ベクトルは、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記−Ｚ方向のベクトル成分と前記＋Ｙ方向のベクトル成分とを有してよい。
この形態のカートリッジによれば、ケースが＋Ｙ方向に移動するときの力を利用して、カートリッジ側電気接続部と装置側電気接続部との間の電気的な接続状態を形成することができ、カートリッジ側電気接続部と装置側電気接続部との電気的な接続性を高めることができる。

［３］上記形態のカートリッジにおいて、前記液体噴射装置は、前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延び、前記Ｘ方向において前記液体導入部を挟んで互いに離間した位置に設けられている第１位置決め部および第２位置決め部を備え、前記ケースは、前記装着状態において、前記第１位置決め部を受け入れる第１受入部と、前記第２位置決め部を受け入れる第２受入部と、を備えてよい。
この形態のカートリッジによれば、各位置決め部を対応する各受入部が受け入れることによって、カートリッジ収納部への装着時におけるカートリッジの位置決めが適切になされる。従って、液体噴射装置内でのカートリッジの配置姿勢が改善される。特に、２つの位置決め部に挟まれる位置にある液体導入部に対する液体導出口の位置決めが適正化されるため、液体導入部に対する液体導出口の接続状態が改善される。

［４］上記形態のカートリッジにおいて、前記装着状態の姿勢にされたときに、前記第１受入部は、前記液体導出口に対して前記−Ｘ方向側に位置し、前記第２受入部は、前記液体導出口に対して前記＋Ｘ方向側に位置してよい。この形態のカートリッジによれば、液体噴射装置に対するカートリッジの装着時に、一対の位置決め部と一対の受入部とによって、液体噴射装置の液体導入部に対するカートリッジの液体導出口のＸ方向における位置決め精度が高められる。よって、液体導入部と液体導出口との接続性が改善される。

［５］上記形態のカートリッジにおいて、前記カートリッジ側電気接続部および前記カートリッジ側固定構造は、前記装着状態の姿勢にされたときに、前記Ｘ方向において、前記液体導出口と前記第１受入部との間に位置してよい。この形態のカートリッジによれば、一対の位置決め部と一対の受入部とによって、液体導入部に対する液体導出口のＸ方向における位置決め精度とともに、装置側電気接続部に対するカートリッジ側電気接続部の位置決め精度が高められる。よって、液体導入部との接続性および装置側電気接続部およびカートリッジ側電気接続部の電気的接続性が改善される。また、液体導出口と第１受入部との間にカートリッジ側電気接続部およびカートリッジ側固定構造が設けられている分だけ、第１受入部と第２受入部との間のＸ方向における距離が大きくなり、一対の位置決め部と一対の受入部とによる位置決め精度がより高められる。

［６］上記形態のカートリッジにおいて、前記第１受入部は前記第１位置決め部が挿通する第１開口部を有し、前記第２受入部は前記第２位置決め部が挿通する第２開口部を有し、前記装着状態の姿勢において、前記第２開口部の前記Ｘ方向における開口幅は、前記第１開口部の前記Ｘ方向における開口幅よりも大きくてよい。この形態のカートリッジによれば、第２受入部に第２位置決め部が挿入され、位置決めが開始されるときのＸ方向の角度に余裕を持たせることができるため、液体噴射装置に対するカートリッジの装着のしやすさを改善することができる。また、そうした余裕によって、液体噴射装置とカートリッジとの接続の際に、それらの接触部位に生じる応力を緩和することもできる。

［７］本発明の第２の形態によれば、液体噴射システムが提供される。この液体噴射システムは、液体噴射装置と、カートリッジと、を備える。重力方向に平行な方向をＺ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と同じ方向を＋Ｚ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Ｚ方向とし、前記Ｚ方向に直交する方向をＹ方向とし、前記Ｙ方向のうちのひとつの方向を＋Ｙ方向とし、前記Ｙ方向のうちの他の方向を−Ｙ方向とし、前記Ｚ方向と前記Ｙ方向とに直交する方向をＸ方向とし、前記Ｘ方向のうちのひとつの方向を＋Ｘ方向とし、前記Ｘ方向のうちの他の方向を−Ｘ方向と定義する。
前記液体噴射装置は、カートリッジ収納部が内部に設けられているハウジングと；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延びる装置側固定構造と；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する液体導入部と；前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する装置側電気接続部と；を備える。前記カートリッジは、前記液体噴射装置に対して着脱可能に構成されている。前記カートリッジは、前記＋Ｙ方向に沿って移動することによって、前記カートリッジ収納部に挿入されるケースと；前記ケースの内部に設けられ、液体を収容する収容部と；前記カートリッジが前記液体噴射装置に装着された装着状態において前記＋Ｙ方向に前記液体導入部が挿入される液体導出口と；前記装着状態において前記装置側電気接続部から少なくとも前記＋Ｚ方向の成分を有する力を受けつつ、前記装置側電気接続部に電気的に接触するカートリッジ側電気接続部と；前記装着状態において前記装置側固定構造と係合するカートリッジ側固定構造と、を備える。前記ケースは、前記装着状態において、前記装置側固定構造と、前記カートリッジ側固定構造と、が係合することによって、前記−Ｚ方向に向かう力が付与された状態で、前記−Ｙ方向への移動が規制される。前記装置側固定構造と前記カートリッジ側電気接続部とは、前記装着状態の姿勢において前記Ｚ方向に見たときに少なくとも一部が互いに重なり合う位置に形成されている。前記装着状態の姿勢において、前記カートリッジの前記Ｚ方向における幅は、前記Ｙ方向における幅、および、前記Ｘ方向における幅よりも小さい。
この形態の液体噴射システムによれば、カートリッジにおいてカートリッジ側電気接続部が装置側電気接続部から受ける＋Ｚ方向の力の少なくとも一部が、ケースの係合状態を形成するために装置側固定構造がカートリッジ側固定構造に付与する−Ｚ方向の力によって低減される。よって、カートリッジに付与されるＺ方向の力の成分が低減され、カートリッジの配置姿勢が、適正な姿勢からＺ方向にずれてしまうことが抑制され、液体噴射装置に対するカートリッジの接続状態が改善される。また、カートリッジの配置姿勢の悪化によって液体噴射装置と液体収容体との接続部位に無駄な応力が生じてしまうことが抑制されるため、当該接続部位の損傷・劣化が抑制される。また、この形態の液体噴射システムによれば、装着状態の姿勢にあるときのカートリッジのＺ方向における幅が、他のＸ方向およびＹ方向における幅よりも小さいため、液体噴射装置内でのカートリッジの配置姿勢が、より安定化する。よって、液体噴射装置に対するカートリッジの接続状態がさらに改善される。

［８］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記カートリッジ側電気接続部は、前記装着状態において前記装置側電気接続部に接触する接触面を有し、前記接触面の法線ベクトルは、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記−Ｚ方向のベクトル成分と前記＋Ｙ方向のベクトル成分とを有してよい。この形態の液体噴射システムによれば、ケースが＋Ｙ方向に移動するときの力を利用して、カートリッジ側電気接続部と装置側電気接続部との間の電気的な接続状態を形成することができ、カートリッジ側電気接続部と装置側電気接続部との電気的な接続性を高めることができる。

［９］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記液体噴射装置は、前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延び、前記Ｘ方向において前記液体導入部を挟んで互いに離間した位置に設けられている第１位置決め部および第２位置決め部を備え、前記カートリッジは、前記装着状態において、前記第１位置決め部を受け入れる第１受入部と、前記第２位置決め部を受け入れる第２受入部と、を備えてよい。
この形態の液体噴射システムによれば、液体噴射装置の各位置決め部を、カートリッジの対応する各受入部が受け入れることによって、カートリッジ収納部への装着時におけるカートリッジの位置決めが適切になされる。従って、液体噴射装置内でのカートリッジの配置姿勢が改善される。特に、２つの位置決め部に挟まれる位置にある液体噴射装置の液体導入部に対するカートリッジの液体導出口の位置決めが適正化されるため、液体導入部に対する液体導出口の接続状態が改善される。

［１０］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記第１受入部は、前記液体導出口に対して前記−Ｘ方向側に位置し、前記第２受入部は、前記液体導出口に対して前記＋Ｘ方向側に位置してよい。
この形態の液体噴射システムによれば、液体噴射装置に対するカートリッジの装着時に、一対の位置決め部と一対の受入部とによって、液体噴射装置の液体導入部に対するカートリッジの液体導出口のＸ方向における位置決め精度が高められる。よって、液体導入部と液体導出口との接続性が改善される。

［１１］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記カートリッジ側電気接続部および前記カートリッジ側固定構造は、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記Ｘ方向において、前記液体導出口と前記第１受入部との間に位置してよい。
この形態の液体噴射システムによれば、一対の位置決め部と一対の受入部とによって、液体導入部に対する液体導出口のＸ方向における位置決め精度とともに、装置側電気接続部に対するカートリッジ側電気接続部の位置決め精度が高められる。よって、液体導入部との接続性および装置側電気接続部およびカートリッジ側電気接続部の電気的接続性が改善される。また、液体導出口と第１受入部との間にカートリッジ側電気接続部およびカートリッジ側固定構造を設けるために、第１受入部と第２受入部との間のＸ方向における距離を大きくとることによって、一対の位置決め部と一対の受入部とによるＸ方向における位置決め精度がより高められる。

［１２］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記第１受入部は前記第１位置決め部が挿通する第１開口部を有し、前記第２受入部は前記第２位置決め部が挿通する第２開口部を有し、前記装着状態における前記カートリッジの姿勢において、前記第２開口部の前記Ｘ方向における開口幅は、前記第１開口部の前記Ｘ方向における開口幅よりも大きくてよい。
この形態の液体噴射システムによれば、第２受入部に第２位置決め部が挿入されるときのＸ方向の角度に余裕を持たせることができるため、液体噴射装置に対するカートリッジの接続性を改善することができる。また、そうした余裕によって、液体噴射装置とカートリッジとの接続の際に、それらの接触部位に生じる応力を緩和することもできる。

［１３］上記形態の液体噴射システムにおいて、前記装置側固定構造と前記カートリッジ側固定構造とは、互いに係合した係合状態にあるときに、前記ケースが前記＋Ｙ方向に押されることによって、前記係合状態を解除し、前記ケースの前記−Ｙ方向への移動を許容するように構成されてよい。この液体噴射システムによれば、液体噴射装置に対するカートリッジの着脱操作が簡易化されるため、ユーザーの利便性が高められる。

上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。

本発明は、液体収容体および液体噴射システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体噴射装置や液体噴射装置における液体収容体の接続方法および接続構造等の形態で実現することができる。なお、本明細書においては、「システム」は、複数の構成要素が１つまたは複数の機能を発揮するために互いに連携している構成態様を意味する。「システム」には、複数の構成要素の一部または全部が離れた場所に配置されて連携している態様だけでなく、単一の装置内において、複数の構成要素が互いに連携している態様も含まれる。

液体噴射装置の外観構成を示す概略斜視図。 液体噴射装置の内部構成を示す第１の概略図。 液体噴射装置の内部構成を示す第２の概略図。 液体供給部を抜き出して示す概略斜視図。 液体供給部が備える接続受入部を抜き出して示す概略斜視図。 第１カートリッジの上面側の構成を示す概略斜視図。 第１カートリッジを＋Ｙ方向に見たときの概略図。 第１カートリッジの下面側の構成を示す概略斜視図。 第１カートリッジの接続部近傍を示す概略斜視図。 カートリッジ側電気接続部の形成領域を抜き出して示す概略斜視図。 第２カートリッジを示す概略斜視図。 第２カートリッジを−Ｙ方向に見たときの概略図。 第２カートリッジの前面壁部を示す概略図。 第２カートリッジの底面壁部の下面側の構成を示す概略斜視図。 接続受入部に対するカートリッジの装着メカニズムを説明するための概略図。 被係合部に対する係合部の係合が完了するまでのメカニズムを説明するための第１の概略図。 係合部と係合部との係合状態を解除するときのメカニズムを説明するための第２の概略図。 第２実施形態のカートリッジの構成を示す概略斜視図。 第２実施形態のカートリッジの構成を示す概略図。 第３実施形態のカートリッジの構成を示す概略分解斜視図。 第４実施形態のカートリッジを示す概略斜視図。 第５実施形態のカートリッジを示す概略斜視図。

A．第１実施形態：
図１〜図５を参照して、第１実施形態のカートリッジ１００が装着される液体噴射装置１０の構成を説明し、図６〜図１６を参照して、カートリッジ１００の構成を説明する。なお、本明細書では、カートリッジ１００が装着された状態の液体噴射装置１０を「液体噴射システム１１」とも呼ぶ。

A1．液体噴射装置の構成：
［液体噴射装置の外観構成］
図１は、液体噴射システム１１を構成する液体噴射装置１０の外観構成を示す概略斜視図である。図１には、互いに直交する３つの方向を示す矢印Ｘ，Ｙ，Ｚが図示されている。なお、矢印Ｘ，Ｙ，Ｚは、本明細書において参照される他の各図においても、図１に対応するように、適宜、図示されている。

矢印Ｘ，Ｙ，Ｚが示す方向は、通常の使用状態にあるときの液体噴射装置１０の配置姿勢に対応している。液体噴射装置１０の通常の使用状態とは、液体噴射装置１０が水平面に配置されて使用されるときの状態を意味している。以下では、矢印Ｘ，Ｙ，Ｚが示す方向をそれぞれ「Ｘ方向」、「Ｙ方向」、「Ｚ方向」と呼ぶ。各Ｘ方向のうち、ひとつの方向を「＋Ｘ方向」と呼び、他の方向を「−Ｘ方向」と呼ぶ。Ｙ，Ｚ方向についても、同様に、ひとつの方向を「＋Ｙ方向」および「＋Ｚ方向」と呼び、他の方向を「−Ｙ方向」および「−Ｚ方向」と呼ぶ。

Ｘ，Ｙ，Ｚ方向について、Ｚ方向、Ｙ方向、Ｘ方向の順で説明する。Ｚ方向は、重力方向に平行な方向を示している。＋Ｚ方向は重力方向であり、−Ｚ方向は、重力方向とは反対の方向である。Ｚ方向は、液体噴射装置１０の上下方向（高さ方向）に一致している。以下の説明において、液体噴射装置１０に関して「上」あるいは「下」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Ｚの方向を基準とする上下方向を意味しており、「上」は−Ｚ方向を意味し、「下」は＋Ｚ方向を意味している。

Ｙ方向は、液体噴射装置１０の前後方向（奥行き方向）に平行な方向を示している。＋Ｙ方向は、液体噴射装置１０の前面側から背面側に向かう方向であり、−Ｙ方向は、逆に、液体噴射装置１０の背面側から正面側に向かう方向である。以下の説明において、液体噴射装置１０に関して「前」あるいは「後」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Ｙの方向を基準とする前後方向を意味しており、「前」は−Ｙ方向を意味し、「後」は＋Ｙ方向を意味している。

Ｘ方向は、液体噴射装置１０の左右方向（幅方向）に平行な方向を示している。＋Ｘ方向は、液体噴射装置１０の前面に正対したときに右側から左側に向かう方向に一致し、−Ｘ方向は、逆に、左側から右側に向かう方向に一致する。以下の説明において、液体噴射装置１０に関して「右」あるいは「左」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Ｘの方向を基準とする左右方向を意味しており、「右」は−Ｘ方向を意味し、「左」は＋Ｘ方向を意味している。

なお、以下のカートリッジ１００に関する説明におけるＸ，Ｙ，Ｚ方向は、いずれも通常の使用状態にあるときの液体噴射装置１０に適切に装着された装着状態での姿勢を基準とするものである。

本実施形態では、液体噴射装置１０は、インクジェットプリンターであり、液体噴射システム１１は、インクジェット方式の印刷システムである。本実施形態の液体噴射装置１０において噴射によって消費される液体はインクである。液体噴射装置１０は、インク滴を吐出して、処理対象である媒体にインクドットを記録することによって画像を形成する。前記の媒体は、例えば、印刷用紙である。本実施形態の液体噴射装置１０は、液体噴射装置１０の外装を構成する樹脂製の中空箱体であるハウジング１０ｃを備えている。ハウジング１０ｃは、略直方体形状を有する。ハウジング１０ｃは、−Ｙ方向側に向き、ユーザーが液体噴射装置１０を操作するときに正対することが想定されている前面部１２を有する。前面部１２には、操作部１３と、媒体排出口１４と、媒体受部１５と、媒体収納口１６と、媒体収納部１７と、カバー部材１８と、が設けられている。

操作部１３は、ユーザーに対する情報を表示する表示部１３ｉと、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタン１３ｂと、を有する。媒体排出口１４は、液体噴射装置１０の内部から繰り出される媒体の出口である。媒体排出口１４は、Ｘ方向に幅の広いスリット状の開口部として形成されており、−Ｙ方向に開口している。媒体受部１５は、媒体排出口１４の下側において−Ｙ方向に庇状に張り出しており、媒体排出口１４から排出された媒体を受け止める。

媒体収納口１６は、ユーザーが液体噴射装置１０に対して媒体を補給するための開口部である。本実施形態では、媒体収納口１６は、媒体受部１５の下方において、−Ｙ方向に開口しており、Ｘ方向に幅の広い略長方形の開口形状を有している。媒体収納部１７は、媒体のストックを収納するトレー状の部材である。媒体収納部１７は、その前面が媒体収納口１６を介して液体噴射装置１０の外部から見える状態で、媒体収納口１６に収納されている。ユーザーは、媒体収納口１６を介して液体噴射装置１０から−Ｙ方向に引き出した媒体収納部１７に媒体を収納し、再び、媒体収納口１６から媒体収納部１７を、媒体収納口１６に装填することによって、液体噴射装置１０に媒体を補給することができる。

カバー部材１８は、液体噴射装置１０の外装の一部を構成する樹脂製の板状部材である。本実施形態では、カバー部材１８は、Ｘ方向に幅が広い略長方形形状を有しており、媒体収納口１６の下に配置されている。カバー部材１８は、その外周縁に爪部（図示は省略）を有し、ハウジング１０ｃに対して着脱可能に取り付けられている。カバー部材１８は、液体噴射装置１０の内部に収納されている複数のカートリッジ１００を被覆して保護する。

［液体噴射装置の内部構成］
図２〜図５を順に参照して液体噴射装置１０の内部構成の概要を説明する。図２は、ハウジング１０ｃおよびカバー部材１８を取り除いて液体噴射装置１０を＋Ｙ方向に見たときの概略図である。図２には、液体噴射装置１０の主要な構成要素のうち、制御部２０と、噴射実行部３０と、媒体搬送部３５と、液体供給部４０と、カートリッジ収納部６０と、を抜き出して図示してある。図３は、ハウジング１０ｃおよびカバー部材１８を取り除いて液体噴射装置１０を＋Ｚ方向に見たときの概略図である。図３では、図２に図示されている制御部２０と噴射実行部３０と媒体搬送部３５の図示は省略されている。また、図３では、便宜上、複数のカートリッジ１００をそれぞれ、液体噴射装置１０に対する装着が完了している装着位置である配置領域ＬＡから−Ｙ方向に引き出した状態を図示してある。

液体噴射装置１０は、制御部２０と、噴射実行部３０と、媒体搬送部３５と、液体供給部４０と、カートリッジ収納部６０と、を備えている（図２）。液体噴射装置１０では、液体供給部４０の供給配管４２を介して、カートリッジ収納部６０に収納されているカートリッジ１００から噴射実行部３０に液体が供給される。そして、媒体搬送部３５が媒体収納部１７から繰り出して搬送している媒体ＭＰに噴射実行部３０が液体を吐出することによって、媒体ＭＰに印刷画像が形成される。制御部２０、噴射実行部３０、媒体搬送部３５、液体供給部４０およびカートリッジ収納部６０について順に説明する。

［制御部］
制御部２０は、液体噴射装置１０における各構成部の駆動を制御する。制御部２０は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成される。制御部２０は、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。制御部２０の機能については、順次、説明する。

［噴射実行部］
噴射実行部３０は、ヘッド部３１と、複数のチューブ３２と、を備える（図２）。ヘッド部３１は、複数のチューブ３２を介して、液体供給部４０から液体の供給を受ける。液体供給部４０からの液体の供給機構については後述する。ヘッド部３１は、液体供給部４０から供給された液体を収容する液体室（図示は省略）を備える。当該液体室の底面には、下方に向かって開口するノズル３３が設けられている。ヘッド部３１は、制御部２０の制御下において、例えば、ピエゾ素子によるインクへの圧力の印加などの公知の方法によって、液体室の液体をノズル３３から吐出する。

本実施形態では、ヘッド部３１は、キャリッジ３４に搭載されており、制御部２０の制御下において、Ｘ方向に直線的に往復移動するように構成されている。図２には、ヘッド部３１の移動方向および移動範囲を示す両矢印ＰＳが図示されている。本実施形態では、液体噴射装置１０の主走査方向はＸ方向に一致する。噴射実行部３０は、ヘッド部３１を移動させるための駆動機構として、キャリッジ３４が移動するためのガイド軸と、駆動力を発生するモーターと、その駆動力を伝達するプーリーと、を備える。なお、それらについての図示および詳細な説明は省略する。

ヘッド部３１に接続されている複数のチューブ３２は可撓性を有している。複数のチューブ３２はＹ方向に並列に配列されている。複数のチューブ３２は、後述する液体供給部４０の供給配管４２との接続部位である継手部４３からヘッド部３１の走査経路に沿って＋Ｘ方向に略直線状に配置されるとともに、上方に向かって湾曲して−Ｘ方向に折り返してヘッド部３１に接続されている。複数のチューブ３２の湾曲部位３２ｒは、ヘッド部３１の移動に伴ってＸ方向に変位する。これによって、ヘッド部３１の主走査が複数のチューブ３２に阻害されてしまうことが抑制され、ヘッド部３１の移動動作が円滑化されている。

［媒体搬送部］
媒体搬送部３５は、制御部２０の制御下において、処理対象である媒体ＭＰを搬送する（図２）。媒体搬送部３５は、ヘッド部３１の下方においてＸ方向に架設された搬送ローラー３６を備える。搬送ローラー３６の下方には、上述した媒体収納部１７が配置されている。媒体搬送部３５は、媒体収納部１７から搬送ローラー３６の外周側面上に媒体ＭＰを１枚ずつ繰り出す繰出機構（図示は省略）を備えている。媒体搬送部３５は、駆動モーター（図示は省略）によって搬送ローラー３６を回転させ、その回転駆動力によって、媒体ＭＰをヘッド部３１の下方において−Ｙ方向に移動させる。本実施形態では、液体噴射装置１０の副走査方向は、−Ｙ方向に一致する。ヘッド部３１の下方領域を通過した媒体ＭＰは、媒体排出口１４（図１）を介して液体噴射装置１０の外部に排出される。

液体噴射装置１０における印刷処理の実行時には、制御部２０は、媒体搬送部３５によって、媒体ＭＰを上述した副走査方向に搬送する。そして、搬送ローラー３６の上方において、ヘッド部３１を、搬送ローラー３６に沿って主走査方向に往復移動させ、印刷データに基づいて決定したタイミングで、媒体ＭＰの印刷面に向かって、ヘッド部３１からインク滴を吐出させる。これによって、媒体ＭＰ上には、印刷データに基づいて決定された位置にインクドットが記録され、印刷データに基づく画像が形成される。

［液体供給部］
図４を、図２および図３とともに参照し、液体供給部４０について説明する。図４は、液体供給部４０を抜き出して示す概略斜視図である。液体供給部４０は、上述した複数の供給配管４２と継手部４３に加えて、複数の接続受入部５０と、変動圧力発生部４５と、圧力伝達配管４６と、を備える（図３，図４）。まず、複数の接続受入部５０の構成について説明し、次に、供給配管４２および継手部４３について説明する。そして、液体の吸引・送出機構を構成する変動圧力発生部４５および圧力伝達配管４６について説明する。

［接続受入部］
液体供給部４０は、複数の接続受入部５０を介して、カートリッジ収納部６０に収納される複数のカートリッジ１００のそれぞれに接続される。本実施形態の液体噴射装置１０では、後述するように、色インクごとの４つのカートリッジ１００が装着される。そのため、本実施形態では、液体供給部４０は、４つのカートリッジ１００のそれぞれに対応するように、４つの接続受入部５０を備えている。

また、本実施形態の液体噴射装置１０では、４つのカートリッジ１００には、液体を収容可能な容量が互いに等しい３つの第１カートリッジ１００ａと、液体を収容可能な容量が第１カートリッジ１００ａより大きいひとつの第２カートリッジ１００ｂと、が含まれている。そのため、複数の接続受入部５０には、第１カートリッジ１００ａに対応する３つの第１接続受入部５０ａと、第２カートリッジ１００ｂに対応するひとつの第２接続受入部５０ｂと、が含まれている。第１接続受入部５０ａおよび第２接続受入部５０ｂは、特に区別する必要がない限り、「接続受入部５０」と総称する。第１カートリッジ１００ａおよび第２カートリッジ１００ｂについても、同様に、特に区別する必要がない限り、「カートリッジ１００」と総称する。なお、本実施形態では、第１接続受入部５０ａと第２接続受入部５０ｂとは、カートリッジ１００との接続のための構成に関しては、構成上の実質的な相違はほとんどない。

複数の接続受入部５０は、カートリッジ収納部６０の＋Ｙ方向側の端部に設置されている（図３）。各接続受入部５０は、液体噴射装置１０において背面側の最も奥まった位置の最下段において、Ｘ方向に一列に配列されている。各接続受入部５０は、対応するカートリッジ１００の−Ｙ方向側からの接続を受け入れることができるように設置されている。３つの第１接続受入部５０ａは、右側からほぼ等間隔で３つ並列に設置されている。第２接続受入部５０ｂは最も左側に設置されている。

図５を参照して、各接続受入部５０の概略構成を説明する。図５は、複数の接続受入部５０のうちの第１接続受入部５０ａの一部を抜き出して示す概略斜視図である。以下の説明は、特に断らない限り、第１接続受入部５０ａと第２接続受入部５０ｂとに共通である。接続受入部５０は、液体導入部５１と、装置側電気接続部５２と、第１位置決め部５３ａと、第２位置決め部５３ｂと、装置側固定構造５４と、嵌合構造５５とが一体化された一部品として構成されている。

液体導入部５１には、カートリッジ１００からの液体が流入する。本実施形態では、液体導入部５１は、カートリッジ収納部６０の＋Ｙ方向側の端部に位置している。液体導入部５１は、−Ｙ方向に直線的に延びた形状を有する管部によって構成されており、−Ｙ方向側の先端部５１ｔにおいて開口している。液体導入部５１は、その先端部５１ｔが、カートリッジ１００の液体導出口（後述）に挿入されることによって、カートリッジ１００に接続される。本実施形態では、液体導入部５１は、Ｘ方向における接続受入部５０のほぼ中央において、−Ｙ方向に突出している。

液体導入部５１の＋Ｙ方向側の後端部は、接続受入部５０の内部に設けられたポンプ室（図示は省略）に連通している。液体導入部５１に流入した液体はポンプ室に流入する。なお、接続受入部５０の内部には、ポンプ室に流入した液体が再び液体導入部５１へと逆流することを抑制するための逆止弁構造が設けられている（図示は省略）。

本実施形態の接続受入部５０では、液体導入部５１の下に、液体受部５６が設けられている。液体受部５６は、液体導入部５１に沿って−Ｙ方向に延び出ている。液体受部５６は、液体導入部５１の下側の側面形状に沿うように下にわずかに湾曲しており、液体導入部５１とカートリッジ１００との接続部位から漏洩した液体を受け止める受け皿として機能する。液体受部５６は、省略されてもよい。

液体導入部５１および液体受部５６の＋Ｙ方向側の後端部には、基端部材５７が設けられている。基端部材５７は、液体導入部５１が挿通される貫通孔５７ｐを有する樹脂部材である。基端部材５７は、Ｙ方向への移動が可能なように取り付けられている。基端部材５７の背面側には付勢部材である弦巻ばねが、液体導入部５１の周囲を囲むように配置されており、基端部材５７に−Ｙ方向の弾性力を付与している。これによって基端部材５７は、矢印ＳＤで示されているように、Ｙ方向に弾性的に移動する。液体噴射装置１０にカートリッジ１００が装着されるときには、カートリッジ１００には、基端部材５７から−Ｙ方向への力が付与される。

装置側電気接続部５２は、カートリッジ１００に対して電気的に接続されるコネクターである。装置側電気接続部５２は、カートリッジ収納部６０の＋Ｙ方向側の端部に位置する（図３）。装置側電気接続部５２は、Ｘ方向に配列された複数の端子部５２ｔを有している。各端子部５２ｔは、装置側電気接続部５２の表面から突出しており、カートリッジ１００のカートリッジ側電気接続部（後述）に接触して電気的に接続される。各端子部５２ｔは、板バネなどの弾性部材によって、その突出方向に付勢されていることが望ましい。本実施形態では、装置側電気接続部５２は、カートリッジ１００のカートリッジ側電気接続部の配置角度に対応する傾斜角度で配置されている。装置側電気接続部５２は、その表面の法線ベクトルが、−Ｙ方向のベクトル成分と、−Ｚ方向のベクトル成分と、を有するように、斜め上方を向いて配置されている。

装置側電気接続部５２は、配線（図示は省略）を介して、制御部２０（図２）に接続されている。配線は、例えば、フレキシブルフラットケーブルによって構成される。装置側電気接続部５２とカートリッジ側電気接続部とが電気的に接続されることによって、制御部２０は、カートリッジ１００との間で電気信号をやりとりする。これによって、制御部２０は、カートリッジ１００に収容されている液体に関する情報を取得する。「液体に関する情報」には、例えば、インクの色や、インクの種類、カートリッジ１００における液体の収容量を表すパラメータなどが含まれる。また、制御部２０は、カートリッジ１００の接続状態を電気的に検出する。

第１位置決め部５３ａおよび第２位置決め部５３ｂは、互いに離間した位置において突出している。本実施形態では、第１位置決め部５３ａおよび第２位置決め部５３ｂは、−Ｙ方向に延びている軸状部位として構成されており、液体導入部５１と並列に配列されている。第１位置決め部５３ａは、液体導入部５１の−Ｘ方向側に位置しており、第２位置決め部５３ｂは、液体導入部５１の＋Ｘ方向側に位置している。第１位置決め部５３ａは、装置側電気接続部５２よりも−Ｘ方向側に位置している。本実施形態では、第１位置決め部５３ａと第２位置決め部５３ｂとは、Ｙ方向における先端部の位置がほぼ揃っている。また、第１位置決め部５３ａと第２位置決め部５３ｂとは、ほぼ同じ高さ位置に設けられており、液体導入部５１および装置側電気接続部５２よりも低い位置に設けられている。

カートリッジ１００が装着されたときには、第１位置決め部５３ａおよび第２位置決め部５３ｂはともに、カートリッジ１００に設けられている対応する受入部（後述）内に挿入される。第１位置決め部５３ａおよび第２位置決め部５３ｂは、カートリッジ１００の装着時に、カートリッジ１００のＸ方向における配置位置と、水平方向における配置角度と、を規定する機能を有する。

第１位置決め部５３ａおよび第２位置決め部５３ｂは、液体導入部５１の先端部５１ｔよりも−Ｙ方向側に突出していることが望ましい。これによって、一対の位置決め部５３ａ，５３ｂによってカートリッジ１００の装着姿勢を規定した上で、カートリッジ１００に対して液体導入部５１を接続することができる。各位置決め部５３ａ，５３ｂの外周側面には、図示されているように、Ｙ方向に並列に延びる溝部５３ｇが設けられていることが望ましい。これによって、カートリッジ１００の受入部に対する挿入が円滑化される。

装置側固定構造５４は、カートリッジ１００が備えるカートリッジ側固定構造（後述）と協働して、液体噴射装置１０に装着されているカートリッジ１００のＹ方向への移動を規制する。

本実施形態では、装置側固定構造５４は、装着されるカートリッジ１００の下側に入り込めるように、−Ｙ方向側に向かって延び出ている。装置側固定構造５４は、アーム状の部材部として構成されている。装置側固定構造５４は、液体導入部５１よりも−Ｘ方向側に位置しており、装置側電気接続部５２の下方に位置している。装置側固定構造５４の−Ｙ方向側の先端部５４ｔは、液体導入部５１の先端部５１ｔよりも−Ｙ方向側に突出している。また、先端部５４ｔは、各位置決め部５３ａ，５３ｂの先端部よりも−Ｙ方向側に突出している。先端部５４ｔには、突起部５４ｐが設けられている。突起部５４ｐは先端部５４ｔの中央において−Ｚ方向に突出している。突起部５４ｐは、カートリッジ１００がカートリッジ収納部６０に装着された装着状態において、カートリッジ側固定構造に設けられた被係合部と係合する。以下の説明においては、突起部５４ｐを「係合部５４ｐ」とも呼ぶ場合もある。突起部５４ｐが、カートリッジ側固定構造に設けられた被係合部に係止されることによってカートリッジ１００の−Ｙ方向への移動が規制される。

装置側固定構造５４は、両矢印ＥＸによって示されているように、＋Ｙ方向側の後端部を支点として、横方向への回動が許容された状態で取り付けられている。装置側固定構造５４は、接続受入部５０の内部に配置された弾性部材（図示は省略）によって、＋Ｘ方向に付勢されており、−Ｘ方向に外力を受けたときに−Ｘ方向に弾性的に回動する。また、装置側固定構造５４は、両矢印ＥＺによって示されているように、＋Ｙ方向側の後端部を支点として、高さ方向への回動が許容された状態で取り付けられている。装置側固定構造５４は、接続受入部５０の内部に配置された弾性部材（図示は省略）によって−Ｚ方向に付勢されており、＋Ｚ方向に外力を受けたときに＋Ｚ方向に弾性的に回動する。装置側固定構造５４とカートリッジ１００のカートリッジ側固定構造との係合のメカニズムについては後述する。

嵌合構造５５は、液体導入部５１よりも＋Ｘ方向側に設けられている。嵌合構造５５は、第２位置決め部５３ｂの上方に位置しており、＋Ｚ方向に同じ高さで突出するとともに、−Ｙ方向に並列に延びている略矩形状の複数の突起部５５ｃが配列された凹凸構造を有している。嵌合構造５５の凹凸構造における突起部５５ｃの配列パターンは、接続受入部５０ごとに異なっている。各接続受入部５０の対応するカートリッジ１００には、その凹凸構造の配列パターンに対応し、嵌合可能な凹凸構造を有する嵌合構造受入部（後述）が設けられている。これによって、対応していない間違ったカートリッジ１００が、接続受入部５０に接続されてしまうことが抑制される。

［供給配管および継手部］
複数の供給配管４２は、可撓性を有する樹脂製のチューブ部材によって構成されている（図４）。各供給配管４２は、各接続受入部５０の内部に設けられた上述したポンプ室（図示は省略）にそれぞれ１本ずつ接続されている。各供給配管４２は、接続受入部５０からカートリッジ１００が収容される領域の上方を通って−Ｘ方向側の端部に集められた後、−Ｙ方向に並列に引き回されている（図３，図４）。そして、液体噴射装置１０の前方側の端部において−Ｚ方向へと引き回されて、媒体搬送部３５よりも高い位置に設置されている継手部４３に接続されている（図２，図４）。上述したように、各供給配管４２は、継手部４３を介して、噴射実行部３０の複数のチューブ３２のうちの対応する１本に接続されている。

［液体供給部における液体の吸引・送出機構］
変動圧力発生部４５は、液体の吸引・送出のための圧力変動を発生させる発生源であり、例えば、ポンプによって構成される（図２，図３）。変動圧力発生部４５は、液体噴射装置１０の前面部１２に寄った位置においてカートリッジ収納部６０よりも上方に設置されている。変動圧力発生部４５は、第１カートリッジ１００ａの装着位置の上に位置する。圧力伝達配管４６は、変動圧力発生部４５に接続されており、変動圧力発生部４５が発生させた圧力変動を伝達する。圧力伝達配管４６は、各接続受入部５０の内部に設けられた圧力室（図示は省略）に接続されている。

各接続受入部５０の圧力室は、可撓膜を挟んで、カートリッジ１００から液体が流入する上述したポンプ室に隣接している。そのため、変動圧力発生部４５が圧力室の圧力を低下させたときには、可撓膜が圧力室側に撓み、ポンプ室の容積が増加して、カートリッジ１００の液体が液体導入部５１を介してポンプ室へと吸引される。一方、変動圧力発生部４５が圧力室の圧力を上昇させたときには、可撓膜がポンプ室側に撓み、ポンプ室の容積が低下して、ポンプ室に流入していた液体が、供給配管４２へと押し出される。このように、液体供給部４０では、変動圧力発生部４５が圧力室における圧力の上昇と下降とを繰り返すことによって、噴射実行部３０への液体の供給が実現される。

［カートリッジ収納部］
本実施形態の液体噴射装置１０では、カートリッジ収納部６０は、最下段に設けられている（図２，図３）。カートリッジ収納部６０には、複数のカートリッジ１００がＸ方向に一列に配列されて収納される。図３では、カートリッジ収納部６０におけるカートリッジ１００の装着時の配置位置である配置領域ＬＡを一点鎖線で図示してある。

カートリッジ収納部６０では、＋Ｘ方向側の端には第２カートリッジ１００ｂが収納され、その−Ｘ方向側に３つの第１カートリッジ１００ａが収納される（図２）。各カートリッジ１００の配置領域ＬＡの＋Ｙ方向側には、対応する接続受入部５０がひとつずつ設置されている（図３）。上述したとおり、本実施形態では、カートリッジ１００にはそれぞれ異なる色インクが収容されている。各カートリッジ１００に収容される色インクの組み合わせは特に限定されることはない。例えば、３つの第１カートリッジ１００ａにはそれぞれ、シアン、マゼンタ、イエローが収容され、第２カートリッジ１００ｂには、最も消費量が多いことが見込まれるブラックが収容されるものとしてもよい。なお、カートリッジ１００の一部または全部が同じ色インクを収容していてもよい。カートリッジ１００の液体噴射装置１０に対する着脱の詳細については後述する。

カートリッジ収納部６０は、開口部材６２を備えている（図２）。開口部材６２は、略長方形形状を有する板状部材であり、厚み方向に貫通する４つの貫通孔６３を備えている。開口部材６２は、その厚み方向がＹ方向に一致し、その長手方向がＸ方向に一致する状態で、カートリッジ収納部６０の−Ｙ方向側の端部に固定的に設置されている。各貫通孔６３は、カートリッジ１００が挿通される挿入口である。各貫通孔６３は、対応するカートリッジ１００をＹ方向に見たときの外周輪郭形状に対応する開口形状を有している。開口部材６２によって、液体噴射装置１０へのカートリッジ１００の挿入・引き出しがガイドされる。また、ユーザーが、第１カートリッジ１００ａと第２カートリッジ１００ｂとを間違った場所に挿入してしまうことが抑制される。なお、開口部材６２は省略されてもよい。

カートリッジ収納部６０の床面には、複数のレール溝６４が形成されている（図２）。各レール溝６４は、各カートリッジ１００の配置領域ＬＡごとに、カートリッジ収納部６０のＹ方向の全域にわたって直線状に形成されている。各レール溝６４には、カートリッジ１００の下面に設けられたレールリブ（後述）が嵌合する。レール溝６４によって、液体噴射装置１０の内部におけるカートリッジ１００のＹ方向の移動がガイドされ、Ｘ方向において隣り合うカートリッジ１００同士の接触が抑制される。また、接続受入部５０に対するカートリッジ１００の接続が簡易化される。なお、レール溝６４およびそれに対応するレールリブの構成は、誤装着の防止のために、カートリッジ１００ごとに異なっていてもよい。また、レール溝６４の一部または全部は省略されてもよい。

カートリッジ収納部６０の床面には、複数のローラー６５が設置されている（図２）。各ローラー６５は、各カートリッジ１００の配置領域ＬＡごとに、Ｙ方向に適宜、分散して配列されている。カートリッジ収納部６０では、各ローラー６５の回転によって、カートリッジ１００をＹ方向へ移動させるときの移動抵抗が低減され、ユーザーによるカートリッジ１００の移動操作が円滑化される。ローラー６５は省略されてもよい。

［カートリッジの構成］
図６〜図１０を、適宜、参照して、第１カートリッジ１００ａの構成を説明する。その後、図１１〜図１４を参照して、第２カートリッジ１００ｂの構成を説明する。

［第１カートリッジ］
図６は、第１カートリッジ１００ａの上面側の構成を示す概略斜視図である。図７は、第１カートリッジ１００ａを＋Ｙ方向に見たときの概略図である。図８は、第１カートリッジ１００ａの下面側を示す概略斜視図である。本実施形態では、カートリッジ１００は、Ｙ方向を長手方向とする略直方体形状を有している（図６）。以下では、第１カートリッジ１００ａの−Ｚ方向を向く側の面を「上面」と呼び、＋Ｚ方向を向く側の面を「下面」と呼ぶ。後述する第２カートリッジ１００ｂについても同様である。

第１カートリッジ１００ａのＺ方向における幅は、Ｘ方向における幅およびＹ方向における幅よりも小さい。この「幅」は、各方向において第１カートリッジ１００ａの最も外側に位置する部位同士の間の当該方向における距離を意味している。第１カートリッジ１００ａは、厚みの薄い平板な形状を有している。そのため、第１カートリッジ１００ａによれば、液体噴射装置１０に装着されたときの配置姿勢について高い安定性を得ることができる（図６）。

第１カートリッジ１００ａは、第１ケース１０１ａと、収容部１１０ａと、接続部１２０ａと、を備える（図６）。第１ケース１０１ａは、第１カートリッジ１００ａの筐体を構成する中空の箱体である。第１ケース１０１ａは、第１カートリッジ１００ａが液体噴射装置１０に装着されるときには、カートリッジ収納部６０に対して、＋Ｙ方向に移動することによって、カートリッジ収納部６０に挿入される。収容部１１０ａは、液体を収容する。収容部１１０ａは、第１ケース１０１ａの内部に収納されている。図６，図７では、収容部１１０ａは第１ケース１０１ａの外からは見えないため、便宜上、破線で模式的に図示してある。接続部１２０ａは、第１カートリッジ１００ａの装着方向における先端部（＋Ｙ方向側の端部）に設けられており、収容部１１０ａの＋Ｙ方向側に位置している。第１カートリッジ１００ａは、接続部１２０ａにおいて、液体噴射装置１０の第１接続受入部５０ａに接続される。以下、第１ケース１０１ａ，収容部１１０ａ，接続部１２０ａのそれぞれについて順に説明する。

［第１ケース］
第１ケース１０１ａは、Ｙ方向を長手方向とする略直方体形状を有している。第１ケース１０１ａは、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。第１ケース１０１ａは、トレー１０２ａと、蓋部材１０３ａと、を有する。トレー１０２ａは、−Ｚ方向に開口している中空の箱体として形成されている。接続部１２０ａは、トレー１０２ａの＋Ｙ方向側の壁部を構成している。本実施形態では、トレー１０２ａの−Ｚ方向に開口している開口部の全体が、蓋部材１０３ａによって閉塞されている。蓋部材１０３ａは、略長方形形状の板状の部材によって構成され、トレー１０２ａに対して着脱可能に取り付けられている。蓋部材１０３ａは、トレー１０２ａの開口部の一部のみを覆う構成であってもよい。また、第１カートリッジ１００ａでは、蓋部材１０３ａは省略されてもよい。

トレー１０２ａは、底面壁部２００と、２つの側壁部２０１，２０２と、前面壁部２０５と、を備える。底面壁部２００は、トレー１０２ａの底面部を構成する略長方形形状の壁部であり、Ｘ方向およびＹ方向に延在している（図８）。本明細書において「延在する」とは、ある方向に切れ間なく延びている構成を意味する。本実施形態では、収容部１１０ａは、底面壁部２００の上に配置される（図６，図７）。底面壁部２００は、少なくとも収容部１１０ａの全体が収まる程度のサイズを有している。

第１側壁部２０１は、底面壁部２００の−Ｘ方向側の長辺に交差するとともに連結されている略長方形形状の壁部であり、トレー１０２ａの右側の側壁部を構成している（図７）。第２側壁部２０２は、底面壁部２００の＋Ｘ方向側の長辺に交差するとともに連結されている略長方形形状の壁部であり、トレー１０２ａの左側の側壁部を構成している（図６，図７，図８）。第１側壁部２０１および第２側壁部２０２は互いに並列にＹ方向のほぼ全域にわたって延在している。第１側壁部２０１と第２側壁部２０２とは、収容部１１０ａをＸ方向に挟んでいる（図７）。

前面壁部２０５は、−Ｙ方向側の端部において、底面壁部２００と第１側壁部２０１と第２側壁部２０２のそれぞれに交差する略長方形形状を有する壁部である（図７）。本実施形態では、前面壁部２０５の上端部は、蓋部材１０３ａによって構成されている。前面壁部２０５は、第１カートリッジ１００ａが液体噴射装置１０に装着された装着状態において、液体噴射装置１０の前面部１２側に配置され、開口部材６２の貫通孔６３をほとんど塞ぐ（図２）。

図８を参照して、底面壁部２００の下面側の構成を説明する。底面壁部２００の＋Ｚ方向側の面には、＋Ｙ方向側の端部に、溝部２１５が設けられている。本実施形態では、溝部２１５は、リブ２１６によって囲まれることによって形成されている。溝部２１５は、カートリッジ側固定構造２２０を構成している。

上述したように、カートリッジ側固定構造２２０は、装置側固定構造５４と協働して、装着状態にある第１カートリッジ１００ａのＹ方向への移動を規制する。カートリッジ側固定構造２２０には、第１カートリッジ１００ａがカートリッジ収納部６０の所定の配置領域ＬＡ（図３）に配置された装着状態において、装置側固定構造５４（図５）の突起部５４ｐ（係合部５４ｐ）と係合する被係合部（後述）が設けられている。突起部５４ｐが被係合部に係止されることによって、第１カートリッジ１００ａの−Ｙ方向への移動が規制される。本実施形態では、カートリッジ側固定構造２２０を構成する溝部２１５は、後述するループ状の溝構造であるハートカム溝構造を有するように構成されている。カートリッジ側固定構造２２０の構成およびカートリッジ側固定構造２２０の被係合部と装置側固定構造５４の突起部５４ｐ（係合部５４ｐ）の係合のメカニズムについては後述する。

底面壁部２００の＋Ｚ方向側の面には、さらに、複数のレールリブ２３０と、複数の脚部２３１と、が設けられている。レールリブ２３０は、＋Ｚ方向に突出する凸壁部として構成されており（図７）、Ｙ方向にほぼ一定の幅で直線状に延びている（図８）。上述したように、レールリブ２３０は、カートリッジ収納部６０の床面に設けられているレール溝６４（図３）に嵌合し、第１カートリッジ１００ａのＹ方向の移動をガイドする。複数の脚部２３１は、＋Ｚ方向に突出しており、それぞれ同じ高さを有している（図７）。複数の脚部２３１によって、第１カートリッジ１００ａは、カートリッジ収納部６０の配置領域ＬＡ（図３）での配置姿勢が適切に保持される。

［収容部］
本実施形態では、収容部１１０ａは、可撓性を有する袋状の部材によって構成されている（図６，図７）。収容部１１０ａは、Ｙ方向を長手方向とする略長方形形状を有している（図６）。収容部１１０ａは、２枚のシート部材１１１，１１２を重ね合わせて、それらの外周端部１１３を溶着することによって構成される（図７）。第１シート部材１１１は−Ｚ方向側に配置され、収容部１１０ａの上側の面を構成する。第２シート部材１１２は＋Ｚ方向側に配置され、収容部１１０ａの下側の面を構成する。

各シート部材１１１，１１２は、可撓性とガスバリア性、液不透過性を有する素材で形成されている。各シート部材１１１，１１２は、例えば、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ），ナイロン，ポリエチレンなどのフィルム部材によって構成されてもよい。各シート部材１１１，１１２は、前記の素材で構成されたフィルムを複数枚、積層して構成されていてもよい。この場合には、例えば、外層を耐衝撃性に優れたＰＥＴ又はナイロンのフィルムによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンのフィルムによって形成してもよい。さらに、その積層構造には、アルミニウムなどを蒸着した層が追加されてもよい。

［接続部］
図９および図１０を参照図として加えて、接続部１２０ａの構成を説明する。図９は、接続部１２０ａの近傍を示す概略斜視図である。図１０は、図９において一点鎖線で囲まれたカートリッジ側電気接続部１４０の形成領域Ｘを抜き出して示す概略斜視図である。

接続部１２０ａは、第１接続受入部５０ａに接続するための構成要素として、液体導出口１３１と、カートリッジ側電気接続部１４０と、第１受入部１５０ａと、第２受入部１５０ｂと、嵌合構造受入部１５５と、入口凹部２１１と、を有する（図９）。接続部１２０ａにおいては、それらの構成要素は、＋Ｙ方向側に向く先端面１２１にまとめられている。以下、それらの構成要素について順に説明する。

［液体導出口］
液体導出口１３１は、＋Ｙ方向に開口している開口部である（図９）。液体導出口１３１は、第１接続受入部５０ａの液体導入部５１（図５）が＋Ｙ方向に挿入される。液体導出口１３１は、接続部１２０ａの先端面１２１において、Ｘ方向におけるほぼ中央の位置に設けられている。

液体導出口１３１は、第１ケース１０１ａに収納されている収容部１１０ａ（図７）の内部空間に連通している。本実施形態では、接続部１２０ａの先端面１２１において液体導出口１３１の周縁部１３２の全体が−Ｙ方向に窪んでおり、液体導出口１３１は、−Ｙ方向側に奥まった位置において開口している。これによって、液体導出口１３１は、周縁部１３２によって形成された壁部に周囲が囲まれた状態になっており、液体導出口１３１の保護性が高められている。具体的には、例えば、ユーザーが液体導出口１３１に誤って触れてしまうことが抑制される。また、第１カートリッジ１００ａが誤って落下してしまったときなどに液体導出口１３１の衝突による損傷や変形などの劣化が抑制される。

本実施形態では、液体導出口１３１の周縁部１３２は、＋Ｙ方向に突出している周縁リブ１３３によって囲まれている。周縁リブ１３３は、液体導出口１３１に第１接続受入部５０ａの液体導入部５１が接続されたときに、液体導入部５１の周囲に設けられている基端部材５７に接触して押され、−Ｙ方向に弾性力を受ける。なお、第１カートリッジ１００ａが液体噴射装置１０に装着された装着状態においては、第１カートリッジ１００ａが第１接続受入部５０ａに対して係合される（後述）。そのため、周縁リブ１３３が基端部材５７によって−Ｙ方向に付勢されても、第１カートリッジ１００ａが配置領域ＬＡから−Ｙ方向に移動してしまうことは抑制される。

［カートリッジ側電気接続部］
カートリッジ側電気接続部１４０は、装置側電気接続部５２に接続するための基板部１４１を備えている（図９，図１０）。カートリッジ側電気接続部１４０は、第１接続受入部５０ａの装置側電気接続部５２（図５）に電気的に接触する。基板部１４１の表面１４１ｓには、複数の端子部１４２が配置されている（図１０）。複数の端子部１４２は、装置側電気接続部５２の端子部５２ｔ（図５）に対応する位置に配置されている。基板部１４１の表面１４１ｓとは反対側の面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気接続部５２の接続を検出するための回路などが設けられていてもよい（図示および詳細な説明は省略）。

本実施形態では、各端子部１４２は、装置側電気接続部５２の端子部５２ｔが接触する略平坦な接触面を有している。図１０には、各端子部１４２において、装置側電気接続部５２の端子部５２ｔが接触する接触部位ＣＰの位置を破線で例示してある。各端子部１４２の接触部位ＣＰは基板部１４１の表面１４１ｓにおいて上段および下段のそれぞれにおいて、Ｘ方向に平行な配列方向で配列されている。なお、端子部１４２や接触部位ＣＰの配列パターンは、図１０において例示されているものに限定されることはない。

本実施形態では、カートリッジ側電気接続部１４０は、第１カートリッジ１００ａの−Ｘ方向側の端部に寄った位置に設けられている（図９）。接続部１２０ａには、カートリッジ側電気接続部１４０の基板部１４１を配置するための基板配置部１４４が−Ｙ方向および＋Ｚ方向に窪んだ凹部として形成されている。基板配置部１４４には、＋Ｙ方向と−Ｚ方向との間の斜め上方の方向に向いている傾斜面１４４ｓが形成されている（図１０）。カートリッジ側電気接続部１４０は、その傾斜面１４４ｓ上に、傾斜面１４４ｓとほぼ平行な配置角度で傾斜配置されている。つまり、基板部１４１の表面１４１ｓおよび端子部５２ｔの接触面の法線ベクトルは、＋Ｙ方向のベクトル成分と、−Ｚ方向のベクトル成分と、を有している。

このように、基板部１４１は、表面１４１ｓが−Ｚ方向側を向くように配置されている。そのため、装置側電気接続部５２が電気的に接続されるときには、カートリッジ側電気接続部１４０は、装置側電気接続部５２から少なくとも下方に向かう＋Ｚ方向の力を受けつつ、装置側電気接続部５２に電気的に接触することになる。この下方に向かう力によって、カートリッジ側電気接続部１４０と装置側電気接続部５２との間の接触状態が良好になり、カートリッジ側電気接続部１４０の電気的な接続性が高められる。

本実施形態では、上記のように基板部１４１が傾斜配置されて、その表面１４１ｓが＋Ｙ方向側にも向いている。そのため、第１カートリッジ１００ａを液体噴射装置１０に装着するときの第１カートリッジ１００ａを＋Ｙ方向に押し込む力を利用して、カートリッジ側電気接続部１４０と装置側電気接続部５２との間の電気的な接続状態を形成することができる。従って、カートリッジ側電気接続部１４０と装置側電気接続部５２との電気的な接続性が高められる。

また、装置側電気接続部５２との接続の際には、装置側電気接続部５２の端子部５２ｔが、カートリッジ側電気接続部１４０の端子部１４２の接触面を擦りつつ移動することになる。これによって、カートリッジ側電気接続部１４０の端子部１４２の接触面に付着した異物などが装置側電気接続部５２の端子部５２ｔによって除去されるため、カートリッジ側電気接続部１４０の電気的な接続性が、さらに高められる。

加えて、第１カートリッジ１００ａをカートリッジ収納部６０から取り出す際には、装置側電気接続部５２から受けている−Ｙ方向の力によって、第１カートリッジ１００ａの−Ｙ方向への移動が補助される。従って、第１カートリッジ１００ａの取り出しが簡易化される。

基板部１４１は、基板配置部１４４の奥まった位置に設置されている（図９）。基板部１４１は、そのＸ方向における両側において、基板部１４１の表面１４１ｓよりも−Ｚ方向および＋Ｙ方向に突出している２つの壁部１４５によって挟まれている。これらの壁部１４５は基板部１４１の保護部として機能する。そのため、例えば、ユーザーが基板部１４１に誤って触れてしまうことや、第１カートリッジ１００ａが誤って落下してしまったときなどに基板部１４１が損傷してしまうことなどが抑制される。

［第１受入部および第２受入部］
第１カートリッジ１００ａが液体噴射装置１０に装着されるときには、第１受入部１５０ａは、第１接続受入部５０ａの第１位置決め部５３ａ（図５）を受け入れ、第２受入部１５０ｂは、第２位置決め部５３ｂ（図５）を受け入れる。これによって、カートリッジ収納部６０における第１カートリッジ１００ａの装着位置が適切に規定される。

本実施形態では、第１受入部１５０ａおよび第２受入部１５０ｂは、−Ｙ方向に延びる孔部として形成されており、それぞれ第１開口部１５１ａおよび第２開口部１５１ｂを有している。第１受入部１５０ａおよび第２受入部１５０ｂのそれぞれの開口部１５１ａ,１５１ｂは、対応する位置決め部５３ａ，５３ｂの＋Ｙ方向側からの挿入を受け入れる。なお、本実施形態では、第１受入部１５０ａの第１開口部１５１ａと第２受入部１５０ｂの第２開口部１５１ｂとで、その開口形状が異なっているが、その詳細については後述する。

第１受入部１５０ａは、液体導出口１３１よりも−Ｘ方向側に位置している。第１カートリッジ１００ａでは、第１受入部１５０ａは接続部１２０ａにおける−Ｘ方向側の下側の角部に設けられている。一方、第２受入部１５０ｂは、液体導出口１３１よりも＋Ｘ方向側に位置している。第１カートリッジ１００ａでは、第２受入部１５０ｂは接続部１２０ａにおける＋Ｘ方向側の下側の角部に設けられている。

本実施形態では、液体導出口１３１は、一対の受入部１５０ａ，１５０ｂによってＸ方向に挟まれている。これによって、液体噴射装置１０に対する第１カートリッジ１００ａの装着時に、液体導入部５１（図５）に対する液体導出口１３１のＸ方向における位置決め精度が高められる。よって、液体導入部５１と液体導出口１３１との接続性が改善される。また、本実施形態では、一対の受入部１５０ａ，１５０ｂの間のＸ方向における距離が大きくなっているため、その位置決め精度がさらに高められている。

［嵌合構造受入部］
嵌合構造受入部１５５は、液体導出口１３１よりも＋Ｘ方向側に設けられている。嵌合構造受入部１５５は、接続部１２０ａにおいて、＋Ｘ方向側の端部に寄った位置に設けられている。嵌合構造受入部１５５は、−Ｚ方向に同じ高さで突出するとともに、−Ｙ方向に並列に延びている略矩形状の複数の突起部１５６が配列された凹凸構造を有している。嵌合構造受入部１５５における突起部１５６とその間に形成される凹部である谷間部１５７のＸ方向における配列パターンは、接続対象である嵌合構造５５の凹凸構造における配列パターンとは凹凸が逆になっている。

第１カートリッジ１００ａを＋Ｙ方向に移動させて、対応する第１接続受入部５０ａに接続させるときには、嵌合構造５５の凹凸構造と嵌合構造受入部１５５の凹凸構造との嵌合が許容される。一方、第１カートリッジ１００ａと第１接続受入部５０ａとの組み合わせが適切でない場合には、嵌合構造５５の凹凸構造が嵌合構造受入部１５５の凹凸構造に適合せず、嵌合することができない。従って、対応していない間違った第１カートリッジ１００ａが、第１接続受入部５０ａに接続されてしまうことが抑制される。

［入口凹部］
接続部１２０ａには、−Ｚ方向に窪み、＋Ｙ方向に開口している凹部である入口凹部２１１が設けられている。本実施形態では、入口凹部２１１は、略矩形形状を有している。入口凹部２１１は、第１ケース１０１ａの底面壁部２００に設けられたカートリッジ側固定構造２２０を構成する溝部２１５の入口を構成している（図８）。入口凹部２１１は、第１カートリッジ１００ａが液体噴射装置１０に装着されるとき、第１接続受入部５０ａの装置側固定構造５４（図５）を受け入れる。入口凹部２１１は、Ｚ方向に見たときに、カートリッジ側電気接続部１４０の少なくとも一部と互いに重なり合う位置に形成されている。この理由については後述する。

［第１カートリッジについてのその他の説明］
第１カートリッジ１００ａでは、上記のように、第１接続部１２０ａが第１ケース１０１ａのトレー１０２ａと一体化されており、第１ケース１０１ａに対して第１接続部１２０ａが固定されている。そのため、第１接続部１２０ａに設けられているカートリッジ側電気接続部１４０の第１ケース１０１ａに対する配置姿勢や配置位置が、第１ケース１０１ａと第１接続部１２０ａとが分離可能に構成されている場合よりも安定している。従って、液体噴射装置１０に対する第１カートリッジ１００ａの装着の際に、カートリッジ側電気接続部１４０の配置姿勢が不安定になってしまうことが抑制され、装置側電気接続部５２（図５）に対する電気的接続性が高められている。よって、第１カートリッジ１００ａと液体噴射装置１０との間のより正確な電気通信を実現することができる。

第１カートリッジ１００ａでは、第１ケース１０１ａに収容部１１０ａが一体化されている。そのため、収容部１１０ａの運搬のための把持部や第１ケース１０１ａに対する収容部１１０ａの位置決め部など、収容部１１０ａを第１ケース１０１ａに対して着脱するための構成を省略することができる。よって、その構成を省略する分だけ、第１カートリッジ１００ａの構成を小型化・軽量化・簡素化・部品点数の低減が可能である。また、その構成を省略する分だけ、収容部１１０ａの容積を増大させて、収容可能な液体の量を増大させることも可能である。

第１ケース１０１ａと収容部１１０ａとが一体化されていれば、液体噴射装置１０への液体の補充工程において、ユーザーが第１ケース１０１ａに対して収容部１１０ａを装着する工程を省略することができる。よって、ユーザーの利便性が高められる。その他に、例えば、ユーザーが誤って第１カートリッジ１００ａを落下させてしまうなどして、第１カートリッジ１００ａに予期せぬ衝撃が加えられたとしても、第１ケース１０１ａから収容部１１０ａが脱落してしまうことが抑制される。また、第１カートリッジ１００ａが、第１ケース１０１ａを筐体とする一体的な構成を有していることによって、前述したような予期せぬ衝撃に対する第１カートリッジ１００ａの耐久性が高められる。

［第２カートリッジ］
図１１〜図１４を参照して、第２カートリッジ１００ｂの構成を説明する。なお、以下の説明および参照図においては、上述した第１カートリッジ１００ａの各種の構成部と同じ、または、対応する構成部には、同じ符号、あるいは、末尾のアルファベットのみが異なり、数字が共通する符号を用いている。そうした対応する符号が付された構成部は、第２カートリッジ１００ｂにおいて、第１カートリッジ１００ａにおける対応する構成部と同様な機能を奏する。よって、上記の第１カートリッジ１００ａにおいて説明した種々の効果は、そうした対応している構成によって、第２カートリッジ１００ｂにおいても得ることができる。後述する他の実施形態においても同様である。

図１１は、第２カートリッジ１００ｂの上面側を示す概略斜視図である。図１２は、第２カートリッジ１００ｂを−Ｙ方向に見たときの概略図である。図１２の下段には、比較のために、同じ方向に見たときの第１カートリッジ１００ａを同じ縮尺で図示してある。図１２には、第１カートリッジ１００ａおよび第２カートリッジ１００ｂのそれぞれにおけるＸ方向における中心軸ＣＬを一点鎖線で図示してある。図１３は、第２カートリッジ１００ｂを＋Ｙ方向に見たときの概略図である。図１４は、第２カートリッジ１００ｂの下面側の構成を示す概略斜視図である。

第２カートリッジ１００ｂは、第１カートリッジ１００ａと同様に、収容部１１０ｂと、収容部１１０ｂを内部に収納している第２ケース１０１ｂと、接続部１２０ｂと、を備える（図１１〜図１４）。第２ケース１０１ｂの構成は、Ｘ方向における幅が第１カートリッジ１００ａの第１ケース１０１ａよりも大きい点以外は、第１ケース１０１ａの構成と実質的に同じであり、トレー１０２ｂと、蓋部材１０３ｂと、を有する。

第２カートリッジ１００ｂの収容部１１０ｂは、Ｘ方向における幅が大きい点以外は、第１カートリッジ１００ａの収容部１１０ａとほぼ同じ構成を有している（図１１，図１３）。なお、図１１および図１３では、収容部１１０ｂは、第２ケース１０１ｂの外からは見えないため破線で模式的に図示してある。第２カートリッジ１００ｂの収容部１１０ｂは、収容できる液体の量が第１カートリッジ１００ａの収容部１１０ａよりも多い。

第２カートリッジ１００ｂの接続部１２０ｂは、第２接続受入部５０ｂに接続するための構成要素として、第１カートリッジ１００ａの接続部１２０ａと同様の構成要素を備える（図１１，図１２）。接続部１２０ｂは、液体導出口１３１と、カートリッジ側電気接続部１４０と、２つの受入部１５０ａ，１５０ｂと、嵌合構造受入部１５５と、入口凹部２１１と、を有する。

接続部１２０ｂの上記の各構成要素の中心軸ＣＬに対する位置は、第１カートリッジ１００ａの接続部１２０ａの各構成要素とほぼ同じである（図１２）。第２カートリッジ１００ｂの接続部１２０ｂは、第１カートリッジ１００ａの接続部１２０ａに対する変更点が小さいため、部品を共通化することができ、その製造コストを低減することができる。また、第２カートリッジ１００ｂの接続部１２０ｂに対応する第２接続受入部５０ｂも、第１カートリッジ１００ａの接続部１２０ａに対応する第１接続受入部５０ａとほぼ同様な構成とできるため、接続部１２０の製造コストを低減できる。

以下の説明では、第１カートリッジ１００ａの第１ケース１０１ａと、第２カートリッジ１００ｂの第２ケース１０１ｂと、を特に区別する必要がない場合には、第１ケース１０１ａと第２ケース１０１ｂとを「ケース１０１」と総称する。トレー１０２ａ，１０２ｂ、蓋部材１０３ａ，１０３ｂについてもそれぞれ同様に、「トレー１０２」、「蓋部材１０３」と総称する。第１カートリッジ１００ａの収容部１１０ａと第２カートリッジ１００ｂの収容部１１０ｂとを特に区別する必要がない場合には、収容部１１０ａ，１１０ｂを「収容部１１０」と総称する。第１カートリッジ１００ａの接続部１２０ａと第２カートリッジ１００ｂの接続部１２０ｂとを特に区別する必要がない場合には、接続部１２０ａ，１２０ｂを「接続部１２０」と総称する。

［カートリッジの装着メカニズム］
図１５を参照して、接続受入部５０に対するカートリッジ１００の装着メカニズムを説明する。図１５の上段には、−Ｙ方向に見たときの第１カートリッジ１００ａを図示してある。また、図１５の下段には、−Ｚ方向に見たときの第１接続受入部５０ａの一部が、上段の第１カートリッジ１００ａに対応させて図示してある。なお、以下の説明は、第２接続受入部５０ｂに対する第２カートリッジ１００ｂの装着に共通する。

カートリッジ収納部６０（図３）において、カートリッジ１００が配置領域ＬＡに向かって＋Ｙ方向に移動されると、まず、カートリッジ１００の一対の受入部１５０ａ，１５０ｂに、接続受入部５０の一対の位置決め部５３ａ，５３ｂが挿入されて、カートリッジ１００の液体導出口１３１が位置決めされる。

そして、カートリッジ１００の液体導出口１３１に、接続受入部５０の液体導入部５１が挿入されて、カートリッジ１００の液体導出口１３１と接続受入部５０の液体導入部５１とが接続される。なお、液体導出口１３１と液体導入部５１との接続が完全に完了する前に、液体導出口１３１の周囲に設けられている周縁リブ１３３は、液体導入部５１の周囲にある基端部材５７に接触する。液体導出口１３１と液体導入部５１との接続が完了するまでカートリッジ１００が＋Ｙ方向に押し込まれると、基端部材５７は＋Ｙ方向に変位する。カートリッジ１００は、基端部材５７の内部に設けられている付勢部材（図示は省略）によって−Ｙ方向に付勢される。

上記の液体導出口１３１と液体導入部５１との接続に並行して、接続受入部５０の装置側電気接続部５２が、カートリッジ１００の基板配置部１４４に挿入されて、カートリッジ側電気接続部１４０の基板部１４１に電気的に接触する。液体導出口１３１と液体導入部５１との接続が完了したときには、カートリッジ側電気接続部１４０と装置側電気接続部５２との電気的な接続が確立された状態になる。

接続受入部５０の装置側固定構造５４は、一対の受入部１５０ａ，１５０ｂに一対の位置決め部５３ａ，５３ｂが挿入されるより前に、ケース１０１の底面壁部２００に設けられた溝部２１５の入口を構成している入口凹部２１１に挿入される。装置側固定構造５４の突起部５４ｐは、液体導出口１３１と液体導入部５１との接続が完了するときには、後述する係合メカニズムによって、カートリッジ１００のケース１０１に設けられたカートリッジ側固定構造２２０（図８，図１４）の被係合部に係合する。この係合によって、カートリッジ１００の位置が、所定の配置領域ＬＡ（図３）に固定された状態が、「カートリッジ１００がカートリッジ収納部６０に装着された装着状態」である。

本実施形態のカートリッジ１００では、カートリッジ側電気接続部１４０は、Ｘ方向において、液体導出口１３１と第１受入部１５０ａとの間に位置している。そのため、一対の位置決め部５３ａ，５３ｂと一対の受入部１５０ａ，１５０ｂとによって、液体導出口１３１とともに、装置側電気接続部５２に対するカートリッジ側電気接続部１４０のＸ方向における位置決め精度が高められている。

また、本実施形態のカートリッジ１００では、Ｙ方向に見たときに、カートリッジ側固定構造２２０がＸ方向において、液体導出口１３１と第１受入部１５０ａとの間に位置している。そのため、一対の位置決め部５３ａ，５３ｂと一対の受入部１５０ａ，１５０ｂとによって、装置側固定構造５４が溝部２１５内に挿入された後の装置側固定構造５４のＹ方向への移動がガイドされ、カートリッジ側固定構造２２０に対する装置側固定構造５４の位置決め精度が高められている。

加えて、本実施形態のカートリッジ１００では、液体導出口１３１と第１受入部１５０ａとの間にカートリッジ側電気接続部１４０とカートリッジ側固定構造２２０とが設けられている。そのため、その分だけ、一対の受入部１５０ａ，１５０ｂ同士の間のＸ方向における距離が大きくなっており、一対の位置決め部５３ａ，５３ｂと一対の受入部１５０ａ，１５０ｂとによる上述した位置決めの精度がより高められている。

上述したように、本実施形態のカートリッジ１００においては、第１受入部１５０ａの第１開口部１５１ａと第２受入部１５０ｂの第２開口部１５１ｂとで、その開口形状が異なっている。第２開口部１５１ｂのＸ方向における開口幅Ｗ_２は、第１開口部１５１ａのＸ方向における開口幅Ｗ_１より大きい。この構成によって、第２受入部１５０ｂに第２位置決め部５３ｂが挿入されるときの第２位置決め部５３ｂの水平方向におけるＹ方向に対する角度に余裕を持たせることができる。そのため、接続受入部５０に対するカートリッジ１００の接続操作が容易化される。また、そうした余裕が設けられていることによって、接続受入部５０に対するカートリッジ１００の接続の際に、第２受入部１５０ｂに第２位置決め部５３ｂが挿入されるときに生じる応力が低減される。なお、本実施形態では、第１開口部１５１ａと第２開口部１５１ｂのＺ方向における開口幅はほぼ等しいが、第１開口部１５１ａと第２開口部１５１ｂのＺ方向における開口幅は異なっていてもよい。

［カートリッジ固定構造に対する装置側固定構造の係合メカニズム］
図１６Ａおよび図１６Ｂを参照して、カートリッジ側固定構造２２０に対する装置側固定構造５４の係合メカニズムを説明する。図１６Ａおよび図１６Ｂにはそれぞれ、−Ｚ方向に見たときのカートリッジ側固定構造２２０を図示してある。また、図１６Ａおよび図１６Ｂでは、溝部２１５内における装置側固定構造５４の突起部５４ｐの移動軌跡を示すために、それぞれ異なるタイミングでの突起部５４ｐの位置Ｐ１〜Ｐ６が破線によって示してある。

まず、図１６Ａを参照して、カートリッジ側固定構造２２０の構成を説明する。カートリッジ側固定構造２２０は、＋Ｙ方向側の端部に位置する入口凹部２１１よりも−Ｙ方向側の奥まった領域内の中央に、＋Ｚ方向に突出している中央凸部２２１を有している。Ｚ方向に見たときに中央凸部２２１の外周壁面は、略三角形状の外周輪郭線を構成する。中央凸部２２１の内部は肉抜きされている。

中央凸部２２１の外周壁面は、第１壁面２２２と、第２壁面２２３と、第３壁面２２４と、を含む。第１壁面２２２は、Ｘ方向とＹ方向の間の斜め方向に延在している。第１壁面２２２の少なくとも一部は、Ｙ方向において入口凹部２１１と重なる。第２壁面２２３は、Ｘ方向に延在しており、第１壁面２２２に交差している。第３壁面２２４は、Ｙ方向に延在しており、第１壁面２２２と第２壁面２２３とに交差している。第３壁面２２４は、Ｙ方向において入口凹部２１１と重なる。

中央凸部２２１は、第１突出壁部２２５と、第２突出壁部２２６と、を有する。第１突出壁部２２５は、第２壁面２２３の−Ｘ方向側の端部において、第２壁面２２３から第１壁面２２２が延在している方向に沿って−Ｙ方向側に、第２壁面２２３からわずかに延び出ている。第２突出壁部２２６は被係合部として機能する壁部である。以下では、第２突出壁部２２６を被係合部２２６と呼ぶ場合もある。第２突出壁部２２６は、第２壁面２２３の＋Ｘ方向側の端部において、第３壁面２２４が延在している方向に沿って、−Ｙ方向側に第２壁面２２３からわずかに延び出ている。

カートリッジ側固定構造２２０は、さらに、第３突出壁部２２７を有する。第３突出壁部２２７はリブ２１６の一部として形成されている。第３突出壁部２２７は、中央凸部２２１の第２壁面２２３にＹ方向に対向する位置において、リブ２１６から第２壁面２２３に向かって＋Ｙ方向に突出している。

説明の便宜上、溝部２１５を、第１溝部２１５ａと、第２溝部２１５ｂと、第３溝部２１５ｃと、第４溝部２１５ｄと、に区分ける。第１溝部２１５ａは、入口凹部２１１によって形成されたＹ方向に延びている部位である。第２溝部２１５ｂは、第１壁面２２２に面し、Ｘ方向とＹ方向との間の斜め方向に延びている部位である。第３溝部２１５ｃは、第２壁面２２３に面する部位を含み、３つの突出壁部２２５〜２２７によってＸ方向に略ジグザグに蛇行するように形成されている部位である。第４溝部２１５ｄは、第３壁面２２４に面し、第１溝部２１５ａに向かって＋Ｙ方向に延びている部位である。

第１溝部２１５ａの底面である第１底面２２８ａは、−Ｙ方向に向かって次第に＋Ｚ方向へとせり上がる傾斜面を構成している。第２溝部２１５ｂの第１溝部２１５ａに連結している部位の底面である第２底面２２８ｂは、略水平な水平面を構成している。第２溝部２１５ｂの中央あたりに位置する第３底面２２８ｃは、第２底面２２８ｂから−Ｚ方向に落ち込む傾斜面を構成している。第２溝部２１５ｂの−Ｙ方向側の端部部位の底面および第３溝部２１５ｃの底面を含む第４底面２２８ｄは、略水平な水平面を構成している。第４溝部２１５ｄの底面である第５底面２２８ｅは、＋Ｙ方向側ほど第４底面２２８ｄから＋Ｚ方向にせり上がる傾斜面を構成している。第１底面２２８ａと第５底面２２８ｅとの間の底面である第６底面２２８ｆは、略水平な水平面を構成している。

図１６Ａを参照して、カートリッジ側固定構造２２０の第２突出壁部２２６（被係合部２２６）と、装置側固定構造５４の突起部５４ｐ（係合部）と、の係合が完了するまでのメカニズムを説明する。装置側固定構造５４の先端部５４ｔが第１溝部２１５ａに対して−Ｙ方向に挿入された時点では、先端部５４ｔの＋Ｘ方向側の端面が第１溝部２１５ａの＋Ｘ方向側の側壁面２２９に接触して、装置側固定構造５４の突起部５４ｐは、側壁面２２９から離れた位置に位置する（Ｐ１）。このとき、装置側固定構造５４は、先端部５４ｔの端面が側壁面２２９によって−Ｘ方向に押されているため、水平方向への外力が付与されていないときよりも−Ｘ方向側に回動した状態である。装置側固定構造５４の突起部５４ｐは、位置Ｐ１から＋Ｙ方向に移動していく過程において、傾斜面である第１底面２２８ａに接触し、第１底面２２８ａによって＋Ｚ方向に押される。

カートリッジ１００が、さらに＋Ｙ方向に押し込まれると、装置側固定構造５４の突起部５４ｐが第１底面２２８ａに＋Ｚ方向に押されて、装置側固定構造５４の先端部５４ｔはリブ２１６の＋Ｚ方向側の端面よりも＋Ｚ方向側に位置してリブ２１６から離間する。そして、装置側固定構造５４の突起部５４ｐが第１壁面２２２に接触するとともに、水平な第２底面２２８ｂに乗り上がる（位置Ｐ２）。

装置側固定構造５４の突起部５４ｐは、第１壁面２２２によって−Ｘ方向側に押されつつ、第１壁面２２２に沿って−Ｙ方向側に移動し、第３底面２２８ｃを下って、水平な第３底面２２８ｃに到達し、第１突出壁部２２５に接触する位置まで到達する（位置Ｐ３）。その後、装置側固定構造５４の突起部５４ｐは、さらに−Ｙ方向側に移動して第１突出壁部２２５との接触状態が解除されると、装置側固定構造５４に＋Ｘ方向側に向かって付与されている付勢力によって、＋Ｘ方向側に瞬発的に移動して、第３突出壁部２２７に対して衝突する（位置Ｐ４）。この衝突によって、クリック音が生じる。

そのクリック音を合図に、ユーザーがカートリッジ１００に対して＋Ｙ方向に付与している力を解除すると、基端部材５７（図１５）による＋Ｙ方向への付勢力によって、カートリッジ１００は＋Ｙ方向にわずかに移動する。これによって、装置側固定構造５４の突起部５４ｐは第３突出壁部２２７に沿って＋Ｙ方向に移動し、第３突出壁部２２７に対する突起部５４ｐの接触状態が解除される。すると、突起部５４ｐは、装置側固定構造５４に＋Ｘ方向側に向かって付与されている付勢力によって、＋Ｘ方向側に瞬発的に移動し、第２壁面２２３および第２突出壁部２２６に衝突して受け止められる（位置Ｐ５）。

このように、位置Ｐ５において、装置側固定構造５４の突起部５４ｐがカートリッジ側固定構造２２０の第２突出壁部２２６に係止され、カートリッジ側固定構造２２０の第２突出壁部２２６と装置側固定構造５４の突起部５４ｐとが係合する。以下では、第２突出壁部２２６を、「被係合部２２６」以外にも、「係止部２２６」と呼ぶ場合もある。カートリッジ側固定構造２２０の第２突出壁部２２６と装置側固定構造５４の突起部５４ｐとの係合によって、カートリッジ１００は、−Ｙ方向への移動が規制された状態となり、カートリッジ１００はカートリッジ収納部６０に装着された装着状態となる。この状態においては、装置側固定構造５４の突起部５４ｐが第４底面２２８ｄに接触している。先に説明したとおり、装置側固定構造５４は、接続受入部５０の内部に配置された弾性部材（図示は省略）によって−Ｚ方向に付勢されており、＋Ｚ方向に外力を受けたときに＋Ｚ方向に弾性的に回動する。この＋Ｚ方向への付勢力は、突起部５４ｐを通じて第４底面２２８ｄ（図２０Ａ）に伝達される。すなわち、カートリッジ１００がカートリッジ収納部６０に装着された装着状態において、突起部５４ｐは、カートリッジ１００のケース１０１に対して、−Ｚ方向に力を付与した状態となる。

ここで、カートリッジ側固定構造２２０の被係合部２２６と装置側固定構造５４の係合部５４ｐとが係合している状態では、カートリッジ側電気接続部１４０は、装置側電気接続部５２に電気的に接続されており、装置側電気接続部５２から少なくとも＋Ｚ方向の力を受けた状態にある。本実施形態のカートリッジ１００であれば、上述したように、カートリッジ側固定構造２２０と、カートリッジ側電気接続部１４０とは、Ｚ方向に見たときに少なくとも一部が重なり合う位置関係にある（図１２）。そのため、カートリッジ側電気接続部１４０が装置側電気接続部５２から受ける＋Ｚ方向の力の少なくとも一部は、カートリッジ１００が突起部５４ｐから−Ｚ方向に受ける力によって打ち消される。よって、カートリッジ１００が＋Ｙ方向側において受ける力のＺ方向の成分が低減され、カートリッジ１００のＺ方向における配置姿勢が、想定されている適正な姿勢からずれてしまうことが抑制される。従って、接続受入部５０に対するカートリッジ１００の配置姿勢の悪化が抑制され、その接続状態が改善される。また、カートリッジ１００の配置姿勢の低下に伴って、接続受入部５０とカートリッジ１００との接続部位に無駄な応力が生じてしまうことが抑制されるため、接続受入部５０とカートリッジ１００とを接続するための上述した各種の構成部の損傷・劣化が抑制される。

図１６Ｂを参照して、カートリッジ側固定構造２２０と装置側固定構造５４との係合状態を解除するときのメカニズムを説明する。本実施形態の液体噴射装置１０では、以下に説明するように、カートリッジ側固定構造２２０と装置側固定構造５４とは、ユーザーによってカートリッジ１００が＋Ｙ方向に押し込まれると、その係合状態を解除するように構成されている。ユーザーが、ケース１０１の前面壁部２０５（図２）を押して、カートリッジ１００を＋Ｙ方向に押し込むと、装置側固定構造５４の突起部５４ｐは位置Ｐ５から＋Ｙ方向に移動し、＋Ｘ方向に第２突出壁部２２６に係っていた状態から外れる。そのため、付勢部材によって＋Ｘ方向側に向かって装置側固定構造５４に付与されている付勢力によって、突起部５４ｐは＋Ｘ方向側に瞬発的に移動し、リブ２１６の＋Ｘ方向側の側壁面２２９に衝突する（位置Ｐ６）。

これによって、突起部５４ｐは、第４溝部２１５ｄに位置することになるため、＋Ｙ方向への移動が許容された状態となる。つまり、カートリッジ側固定構造２２０と装置側固定構造５４との係合状態が解除された状態となる。上述したリブ２１６への突起部５４ｐの衝突によって生じるクリック音によって、ユーザーは、カートリッジ側固定構造２２０と装置側固定構造５４との係合状態が解除されたことを知ることができる。突起部５４ｐの＋Ｙ方向への移動が許容されると、基端部材５７（図１５）によって＋Ｙ方向に付与される力によって、カートリッジ１００は自動的に−Ｙ方向に移動する。基端部材５７が接続受入部５０から離れた後は、ユーザーは、カートリッジ１００を引き出して取り出すことができる。以上の説明からもわかるとおり、溝部２１５は、突起部５４ｐを案内するループ状の案内経路を構成している。当該案内経路の入口部分と出口部分とは共通である。案内経路は、途中に設けられている突起部５４ｐを係止する係止部２２６と、入口側案内路と、出口側案内路と、によって構成される。入口側案内路は、前述した入口部分から係止部２２６までの経路部分である。出口側案内路は、係止部２２６から前述した出口部分までの経路部分である。

［第１実施形態のまとめ］
以上のように、本実施形態のカートリッジ１００によれば、液体噴射装置１０に装着された状態において、カートリッジ側電気接続部１４０が装置側電気接続部５２から受けるＺ方向の力の少なくとも一部が、カートリッジ１００のケース１０１が装置側固定構造５４の突起部５４ｐ、つまり、係合部５４ｐから受ける力によって低減される。よって、カートリッジ１００の配置姿勢が、適正な姿勢からＺ方向にずれてしまうことが抑制される。また、カートリッジ１００のＺ方向における幅は、カートリッジ１００のＸ方向における幅およびＹ方向における幅よりも小さい。そのため、液体噴射装置１０に装着された状態でのカートリッジ１００の配置姿勢が安定化され、液体噴射装置１０に対するカートリッジ１００の接続状態が改善される。その他に、ケース１０１と収容部１１０と接続部１２０とが一体化されたカートリッジ１００であれば、液体噴射装置１０に対する接続性の改善や、構成の簡素化、耐久性の向上など、上記実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。こうした作用効果は、カートリッジ１００が液体噴射装置１０に装着されている液体噴射システム１１においても同様に得ることができる。

B．第２実施形態：
図１７および図１８を参照して、第２実施形態におけるカートリッジ１００Ｂの構成を説明する。図１７は、第２実施液体のカートリッジ１００Ｂの上面側を示す概略斜視図である。図１８は、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂを−Ｙ方向に見たときの概略図である。第２実施形態のカートリッジ１００Ｂの構成は、以下に説明する点以外は、第１実施形のカートリッジ１００の構成とほぼ同じである。

第２実施形態のカートリッジ１００Ｂが装着される液体噴射装置は、単色印刷を実行するインクジェットプリンターである点以外は、第１実施形態で説明した液体噴射装置１０（図１〜図５）とほぼ同じである。第２実施形態の液体噴射装置では、カートリッジ収納部６０のほぼ全域が、１つのカートリッジ１００Ｂによって占められる。接続受入部５０は、カートリッジ収納部６０の＋Ｙ方向側の領域において、Ｘ方向のほぼ中央あたりに１つ設置されている。

第２実施形態のカートリッジ１００Ｂおよびそのケース１０１Ｂは、第１実施形態のカートリッジ１００よりも、Ｘ方向における幅が延長されており、Ｙ方向における幅よりも大きくなっている。ケース１０１Ｂの内部に設けられている収容部１１０Ｂも、ケース１０１Ｂに合わせて、Ｘ方向における幅が延長されている。これによって、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂに収容可能な液体量は、第１実施形態のカートリッジ１００よりも多くなっている。カートリッジ１００Ｂの接続部１２０Ｂは、第１実施形態で説明したのと同じ構成の接続受入部５０に接続可能に構成されている。そのため、接続部１２０Ｂでは、接続受入部５０への接続のための構成部である液体導出口１３１、カートリッジ側電気接続部１４０、第１受入部１５０ａ、第２受入部１５０ｂ、嵌合構造受入部１５５、入口凹部２１１の配置レイアウトが、第１実施形態の接続部１２０とほぼ同じである（図１８）。

カートリッジ１００Ｂの下面には、第１実施形態のカートリッジ１００と同様な位置に、溝部２１５によって構成されているカートリッジ側固定構造２２０が設けられている。また、カートリッジ１００Ｂの接続部１２０Ｂが有する＋Ｙ方向に向く先端面１２１には、第１受入部１５０ａおよび第２受入部１５０ｂに加えて、＋Ｙ方向に開口している開口部１５２が設けられている。開口部１５２は、カートリッジ収納部６０において先端面１２１に向かって−Ｙ方向に突起している構造物（図示は省略）を内部に収容し、当該構造物とカートリッジ１００Ｄとの接触を避けるために設けられている。本第２実施形態では、開口部１５２は、略円形形状の開口形状を有しており、Ｘ方向に複数個が配列されている。複数の開口部１５２のそれぞれは、カートリッジ収納部６０の前述した構造物を１つずつ収容する。

第２実施形態のカートリッジ１００Ｂによれば、液体の収容量を増大させることができる。また、Ｘ方向の幅が拡大されていることによって、液体噴射装置におけるカートリッジ１００Ｂの配置姿勢の安定性が高められている。その他に、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂや、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂが液体噴射装置に装着された液体噴射システムによれば、第１実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。

C．第３実施形態：
図１９は、第３実施形態におけるカートリッジ１００Ｃの構成を示す分解斜視図である。図１９では、カートリッジ１００Ｃのトレー１０２から蓋部材１０３を取り外した状態が図示されている。第３実施形態のカートリッジ１００Ｃは、ケース１０１Ｃの内部に、第１実施形態で説明した収容部１１０に代えて、異なる構成の収容部１１０Ｃが設けられている点以外は、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂの構成と実質的には同じである。

カートリッジ１００Ｃの収容部１１０Ｃは、可撓性を有する袋状の部材によって構成されておらず、トレー１０２の開口部を蓋部材１０３によって封止したときに形成されるケース１０１Ｃの内部空間ＳＰに、液体ＬＱが直に収容される構成を有している。トレー１０２と蓋部材１０３との境界には、内部空間ＳＰからの液体ＬＱの漏洩を防止するためのシール部が設けられている（図示は省略）。また、蓋部材１０３には、液体ＬＱの消費に伴って内部空間ＳＰに空気を導入するための大気開放口が設けられている（図示は省略）。内部空間ＳＰには、液体ＬＱを内部に吸収して保持する液体保持部材や、液体導出口１３１と内部空間ＳＰとを連通する配管部材が配置されていてもよい。

第３実施形態のカートリッジ１００Ｃによれば、ケース１０１Ｃ内の全体を収容部１１０Ｃとして利用できるため、収容できる液体ＬＱの量を、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂよりも増大させることができる。その他に、第３実施形態のカートリッジ１００Ｃによれば、上記の第１実施形態および第２実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。

D．第４実施形態：
図２０は、第４実施形態のカートリッジ１００Ｄの構成を示す概略斜視図である。第４実施形態のカートリッジ１００Ｄは、蓋部材１０３の代わりに、トレー１０２の開口部がフィルム部材１０４によって封止されている点以外は、第４実施形態のカートリッジ１００Ｃの構成とほぼ同じである。

カートリッジ１００Ｄは、トレー１０２の開口部にフィルム部材１０４が溶着されたケース１０１Ｄを備える。ケース１０１Ｄの内部には、気密に封止された内部空間ＳＰが形成される。カートリッジ１００Ｄでは、そのケース１０１Ｄの内部空間ＳＰが、直に液体が収容される収容部１１０Ｄを構成する。なお、フィルム部材１０４は可撓性を有しており、収容部１１０Ｄ内の液体の消費に伴って、内部空間ＳＰに負圧が発生したときに内部空間ＳＰ側に撓む。

第４実施形態のカートリッジ１００Ｄによれば、トレー１０２とフィルム部材１０４とでケース１０１が構成されているため、ケース１０１の構成の簡素化や軽量化が可能であり、カートリッジ１００Ｄの製造コストの低減も可能である。その他に、上記の各実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。

E．第５実施形態：
図２１は、第５実施形態におけるカートリッジ１００Ｅの構成を示す概略斜視図である。第５実施形態のカートリッジ１００Ｅの構成は、開口部１５２に代えて、開口部１５２Ｅを有している点以外は、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂの構成と実質的には同じである。開口部１５２Ｅは、接続部１２０Ｅの先端面１２１において、＋Ｙ方向に開口している。開口部１５２Ｅは、Ｘ方向を長手方向とする略長方形の開口形状を有している。開口部１５２Ｅは、カートリッジ１００ＥのＸ方向における中央に寄った位置から、Ｘ方向における端部に寄った位置にわたって形成されている。開口部１５２Ｅは、カートリッジ１００Ｅが液体噴射装置に装着されたときに、カートリッジ収納部６０（図３）において、Ｘ方向に配列して設けられ、それぞれが−Ｙ方向に突起している複数の構造物（図示は省略）を収容する。第５実施形態のカートリッジ１００Ｅによれば、液体噴射装置への装着の際に、カートリッジ収納部６０の前述した構造物との接触を避けることができる。その他に、第５実施形態のカートリッジ１００Ｅによれば、上述した各実施形態において説明した種々の作用効果を奏することができる。

F．各実施形態の変形例：
上記の各実施形態の構成の変形態様を、変形例として説明する。以下に説明する変形例はいずれも、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。なお、以下の説明では、参照する実施形態を特に区別する必要がない場合には、各実施形態を区別するために各構成部の符号の末尾に付したアルファベットは省略する。

F1．変形例１：
上記各実施形態では、カートリッジ収納部６０におけるカートリッジ１００（ケース１０１）の移動方向であるＹ方向は、液体噴射装置１０の前後方向に一致している。これに対して、カートリッジ収納部６０におけるカートリッジ１００の移動方向であるＹ方向は、液体噴射装置１０の前後方向に一致していなくてもよい。カートリッジ収納部６０におけるカートリッジ１００の移動方向であるＹ方向は、例えば、液体噴射装置１０の横方向であってもよい。つまり、カートリッジ１００の装着口が、液体噴射装置１０の右側または左側の側面に設けられていてもよい。また、上記各実施形態では、カートリッジ収納部６０は液体噴射装置１０において最下段の位置に設けられている。これに対して、カートリッジ収納部６０は他の高さ位置に形成されていてもよい。カートリッジ収納部６０はＺ方向における中央部に設けられていてもよい。

F2．変形例２：
上記第１実施形態の液体噴射装置１０は、４つのカートリッジ１００を装着しており、第２実施形態、第３実施形態、第４実施形態、第５実施形態の液体噴射装置は、１つのカートリッジ１００Ｂ，１００Ｃ，１００Ｄ，１００Ｅを装着している。液体噴射装置に装着されるカートリッジ１００の個数は、上記の各実施形態の個数に限定されることはない。例えば、液体噴射装置は、第１実施形態の第１カートリッジ１００ａまたは第２カートリッジ１００ｂを１つのみ装着可能に構成されていてもよいし、液体噴射装置は、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂを２つ以上収納可能に構成されていてもよい。また、上記の第１実施形態では、液体噴射装置１０には、２種類のカートリッジ１００ａ，１００ｂが装着されている。これに対して、液体噴射装置１０には、構成の異なる３種類以上のカートリッジが装着されてもよい。また、第２実施形態のカートリッジ１００Ｂが装着される液体噴射装置は、複数のカートリッジ１００ＢをＺ方向に積層して並列に装着する構成を有していてもよい。この場合には、第２実施形態の液体噴射装置はカラー印刷を実行するインクジェットプリンターとして構成されてもよい。第３実施形態、第４実施形態、第５実施形態の液体噴射装置においてもその構成が適用されてもよい。

F3．変形例３：
上記の各実施形態において、カートリッジ側固定構造２２０は、ハートカム溝構造を有している。これに対して、カートリッジ側固定構造２２０は、ハートカム溝構造を有していなくてもよい。カートリッジ側固定構造２２０は、例えば、係合状態において、装置側固定構造５４の突起部５４ｐが−Ｙ方向に係合する段差部を有するのみの構成であってもよい。この場合には、装置側固定構造５４は、ユーザーの操作などによって、Ｘ方向に移動させて係合状態を解除できるように構成されていることが望ましい。

F4．変形例４：
上記の各実施形態において、第１受入部１５０ａと第２受入部１５０ｂはそれぞれ、対応する位置決め部５３ａ，５３ｂが挿入される孔部として構成されている。これに対して、第１受入部１５０ａと第２受入部１５０ｂとは孔部として構成されていなくてもよく、例えば、Ｚ方向に延びるスリットとして形成されていてもよい。また、各位置決め部５３ａ，５３ｂの先端が接触する接触部として構成されていてもよい。

F5．変形例５：
上記の各実施形態では、カートリッジ側電気接続部１４０は基板部１４１を備えている。これに対して、カートリッジ側電気接続部１４０は基板部１４１を備えていなくてもよい。カートリッジ側電気接続部１４０は、例えば、装置側電気接続部５２が電気的に接触する電極部のみを有する構成であってもよい。上記の各実施形態では、カートリッジ側電気接続部１４０の基板部１４１は、斜め上方を向くように配置されている。これに対して、カートリッジ側電気接続部１４０の基板部１４１は、斜め上方を向くように配置されていなくてもよい。基板部１４１は、少なくとも装置側電気接続部５２から＋Ｚ方向側に向かう力を受ける状態で装置側電気接続部５２に電気的に接続できる角度で配置されていればよい。基板部１４１は、例えば、−Ｚ方向を向くように略水平に配置されていてもよい。

F6．変形例６：
カートリッジ１００の構成は、上記の各実施形態で説明した構成には限定されない。例えば、カートリッジ１００のケース１０１は、略円盤形状を有していてもよい。また、接続受入部５０において、液体導出口１３１は、Ｘ方向における中央に位置していなくてもよく、カートリッジ側電気接続部１４０がＸ方向における中央に設けられていてもよい。液体導出口１３１は、Ｘ方向において一対の受入部１５０ａ，１５０ｂの間に設けられていなくてもよい。また、一対の受入部１５０ａ，１５０ｂは同じ高さ位置に設けられていなくてもよいし、ほぼ同じ開口形状や開口サイズを有していてもよい。カートリッジ側電気接続部１４０は、−Ｙ方向側に奥まった位置に形成されていなくてもよく、＋Ｙ方向側に突出した位置に形成されていてもよい。ケース１０１の構成は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されることはない。ケース１０１のトレー１０２は、箱体として構成されていなくてもよく、例えば、複数の柱状の部材を組み合わせたフレーム状の部材によって構成されていてもよい。第１実施形態で説明した蓋部材１０３は着脱可能に構成されていなくてもよいし、開閉可能に構成されてもよい。また、第１実施形態においても説明したように、ケース１０１は、蓋部材１０３の全体が省略された構成を有していてもよいし、蓋部材１０３がトレー１０２の開口部の一部のみを閉塞する構成を有していてもよい。

F7．変形例７：
カートリッジ１００が接続される接続受入部５０は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されることはない。接続受入部５０は、単一の部品として構成されていなくてもよく、液体導入部５１や、装置側電気接続部５２、一対の位置決め部５３ａ，５３ｂがそれぞれ異なる部材として独立に分離配置されている構成を有していてもよい。

F8．変形例８：
上記第１実施形態の第１カートリッジ１００ａおよび第２カートリッジ１００ｂに対して、可撓性の袋状部材で構成された収容部１１０ａ，１１０ｂの代わりに、第３実施形態や第４実施形態で説明した収容部１１０Ｃ，１１０Ｄ（図１９，図２０）の構成が適用されてもよい。上記第１実施形態のカートリッジ１００では、収容部１１０がケース１０１に一体化されている。これに対して、カートリッジ１００において、収容部１１０は、ケース１０１から着脱可能に構成されていてもよい。この場合には、収容部１１０の交換によってカートリッジ１００に液体が補充されるものとしてもよい。また、上記の各実施形態の液体噴射装置において、装着されている各カートリッジ１００の収容部１１０に対して、カートリッジ収納部６０の外部からチューブなどの配管部材を介して液体を補充する構成が適用されてもよい。

F9．変形例９：
上記各実施形態の液体噴射装置１０は、プリンターであり、液体噴射システム１１はインクジェット方式の印刷システムである。これに対して、液体噴射装置１０は、プリンターでなくてもよいし、液体噴射システム１１は印刷システムでなくてもよい。液体噴射装置１０は、例えば、液体洗剤を噴射する洗浄装置として構成されてもよい。この場合には、液体噴射システムは、洗浄システムである。

本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、本明細書中において、省略されてもよい、と説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

１０…液体噴射装置、１０ｃ…ハウジング、１１…液体噴射システム、１２…前面部、１３…操作部、１３ｂ…操作ボタン、１３ｉ…表示部、１４…媒体排出口、１５…媒体受部、１６…媒体収納口、１７…媒体収納部、１８…カバー部材、２０…制御部、３０…噴射実行部、３１…ヘッド部、３２…チューブ、３２ｒ…湾曲部位、３３…ノズル、３４…キャリッジ、３５…媒体搬送部、３６…搬送ローラー、４０…液体供給部、４２…供給配管、４３…継手部、４５…変動圧力発生部、４６…圧力伝達配管、５０…接続受入部、５０ａ…第１接続受入部、５０ｂ…第２接続受入部、５１…液体導入部、５１ｔ…先端部、５２…装置側電気接続部、５２ｔ…端子部、５３ａ…第１位置決め部、５３ｂ…第２位置決め部、５３ｇ…溝部、５４…装置側固定構造、５４ｐ…突起部（係合部）、５４ｔ…先端部、５５…嵌合構造、５５ｃ…突起部、５６…液体受部、５７…基端部材、５７ｐ…貫通孔、６０…カートリッジ収納部、６２…開口部材、６３…貫通孔、６４…レール溝、６５…ローラー、１００，１００ａ，１００ｂ，１００Ｂ，１００Ｃ，１００Ｄ，１００Ｅ…カートリッジ、１０１，１０１ａ，１０１ｂ，１０１Ｂ，１０１Ｃ，１０１Ｄ…ケース、１０２，１０２ａ，１０２ｂ…トレー、１０３，１０３ａ，１０３ｂ…蓋部材、１０４…フィルム部材、１１０，１１０ａ，１１０ｂ，１１０Ｂ，１１０Ｃ，１１０Ｄ…収容部、１１１…第１シート部材、１１２…第２シート部材、１１３…外周端部、１２０，１２０ａ，１２０ｂ，１２０Ｂ，１２０Ｅ…接続部、１２１…先端面、１３１…液体導出口、１３２…周縁部、１３３…周縁リブ、１４０…カートリッジ側電気接続部、１４１…基板部、１４１ｓ…表面、１４２…端子部、１４４…基板配置部、１４４ｓ…傾斜面、１４５…壁部、１５０ａ…第１受入部、１５０ｂ…第２受入部、１５１ａ…第１開口部、１５１ｂ…第２開口部、１５２，１５２Ｅ…開口部、１５５…嵌合構造受入部、１５６…突起部、１５７…谷間部、２００…底面壁部、２０１…第１側壁部、２０２…第２側壁部、２０５…前面壁部、２１１…入口凹部、２１５…溝部、２１５ａ…第１溝部、２１５ｂ…第２溝部、２１５ｃ…第３溝部、２１５ｄ…第４溝部、２１６…リブ、２２０…カートリッジ側固定構造、２２１…中央凸部、２２２…第１壁面、２２３…第２壁面、２２４…第３壁面、２２５…第１突出壁部、２２６…第２突出壁部（被係合部、係止部）、２２７…第３突出壁部、２２８ａ…第１底面、２２８ｂ…第２底面、２２８ｃ…第３底面、２２８ｄ…第４底面、２２８ｅ…第５底面、２２８ｆ…第６底面、２２９…側壁面、２３０…レールリブ、２３１…脚部、ＣＬ…中心軸、ＣＰ…接触部位、ＬＡ…配置領域、ＬＱ…液体、ＭＰ…媒体、Ｐ１〜Ｐ６…位置、ＳＰ…内部空間

Claims (13)

1. 重力方向に平行な方向をＺ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と同じ方向を＋Ｚ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Ｚ方向とし、前記Ｚ方向に直交する方向をＹ方向とし、前記Ｙ方向のうちのひとつの方向を＋Ｙ方向とし、前記Ｙ方向のうちの他の方向を−Ｙ方向とし、前記Ｚ方向と前記Ｙ方向とに直交する方向をＸ方向とし、前記Ｘ方向のうちのひとつの方向を＋Ｘ方向とし、前記Ｘ方向のうちの他の方向を−Ｘ方向とするとき、
   カートリッジ収納部が内部に設けられているハウジングと、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から−Ｙ方向に向かって延びる装置側固定構造と、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する液体導入部と、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する装置側電気接続部と、
   を備える液体噴射装置に対して着脱可能なカートリッジであって、
   前記＋Ｙ方向に沿って移動することによって前記カートリッジ収納部に挿入されるケースと、
   前記ケースの内部に設けられ、液体を収容する収容部と、
   前記カートリッジが前記液体噴射装置に装着された装着状態において前記＋Ｙ方向に前記液体導入部が挿入される液体導出口と、
   前記装着状態において前記装置側電気接続部から少なくとも前記＋Ｚ方向の成分を有する力を受けつつ、前記装置側電気接続部に電気的に接触するカートリッジ側電気接続部と、
   前記装着状態において前記装置側固定構造と係合するカートリッジ側固定構造と、
   を備え、
   前記ケースは、前記装着状態において、前記装置側固定構造と、前記カートリッジ側固定構造と、が係合することによって、前記−Ｚ方向に向かう力が付与された状態で、前記−Ｙ方向への移動が規制され、
   前記カートリッジ側固定構造と前記カートリッジ側電気接続部とは、前記装着状態の姿勢にある前記カートリッジを前記Ｚ方向に見たときに、少なくとも一部が互いに重なり合う位置に形成されており、
   前記装着状態の姿勢において、前記カートリッジの前記Ｚ方向における幅は、前記Ｙ方向における幅、および、前記Ｘ方向における幅よりも小さい、カートリッジ。
2. 請求項１記載のカートリッジであって、
   前記カートリッジ側電気接続部は、前記装着状態において前記装置側電気接続部に接触する接触面を有し、
   前記接触面の法線ベクトルは、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記−Ｚ方向のベクトル成分と前記＋Ｙ方向のベクトル成分とを有する、カートリッジ。
3. 請求項１または請求項２記載のカートリッジであって、
   前記液体噴射装置は、前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延び、前記Ｘ方向において前記液体導入部を挟んで互いに離間した位置に設けられている第１位置決め部および第２位置決め部を備え、
   前記ケースは、前記装着状態において、前記第１位置決め部を受け入れる第１受入部と、前記第２位置決め部を受け入れる第２受入部と、を備える、カートリッジ。
4. 請求項３記載のカートリッジであって、
   前記装着状態の姿勢にされたときに、前記第１受入部は、前記液体導出口に対して前記−Ｘ方向側に位置し、前記第２受入部は、前記液体導出口に対して前記＋Ｘ方向側に位置する、カートリッジ。
5. 請求項４記載のカートリッジであって、
   前記装着状態の姿勢にされたときに、前記カートリッジ側電気接続部および前記カートリッジ側固定構造は、前記Ｘ方向において、前記液体導出口と前記第１受入部との間に位置する、カートリッジ。
6. 請求項３から請求項５のいずれか一項に記載のカートリッジであって、
   前記第１受入部は前記第１位置決め部が挿通される第１開口部を有し、
   前記第２受入部は前記第２位置決め部が挿通される第２開口部を有し、
   前記装着状態の姿勢において、前記第２開口部の前記Ｘ方向における開口幅は、前記第１開口部の前記Ｘ方向における開口幅よりも大きい、カートリッジ。
7. 液体噴射装置と、カートリッジと、を備える液体噴射システムであって、
   重力方向に平行な方向をＺ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と同じ方向を＋Ｚ方向とし、前記Ｚ方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Ｚ方向とし、前記Ｚ方向に直交する方向をＹ方向とし、前記Ｙ方向のうちのひとつの方向を＋Ｙ方向とし、前記Ｙ方向のうちの他の方向を−Ｙ方向とし、前記Ｚ方向と前記Ｙ方向とに直交する方向をＸ方向とし、前記Ｘ方向のうちのひとつの方向を＋Ｘ方向とし、前記Ｘ方向のうちの他の方向を−Ｘ方向とするとき、
   前記液体噴射装置は、
   カートリッジ収納部が内部に設けられているハウジングと、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延びる装置側固定構造と、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する液体導入部と、
   前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部に位置する装置側電気接続部と、
   を備え、
   前記カートリッジは、前記液体噴射装置に対して着脱可能に構成されており、
   前記カートリッジは、
   前記＋Ｙ方向に沿って移動することによって、前記カートリッジ収納部に挿入されるケースと、
   前記ケースの内部に設けられ、液体を収容する収容部と、
   前記カートリッジが前記液体噴射装置に装着された装着状態において前記＋Ｙ方向に前記液体導入部が挿入される液体導出口と、
   前記装着状態において前記装置側電気接続部から少なくとも前記＋Ｚ方向の成分を有する力を受けつつ、前記装置側電気接続部に電気的に接触するカートリッジ側電気接続部と、
   前記装着状態において前記装置側固定構造と係合するカートリッジ側固定構造と、
   を備え、
   前記ケースは、前記装着状態において、前記装置側固定構造と、前記カートリッジ側固定構造と、が係合することによって、前記−Ｚ方向に向かう力が付与された状態で、前記−Ｙ方向への移動が規制され、
   前記装置側固定構造と前記カートリッジ側電気接続部とは、前記装着状態の姿勢において前記Ｚ方向に見たときに少なくとも一部が互いに重なり合う位置に形成されており、
   前記装着状態の姿勢において、前記カートリッジの前記Ｚ方向における幅は、前記Ｙ方向における幅、および、前記Ｘ方向における幅よりも小さい、液体噴射システム。
8. 請求項７記載の液体噴射システムであって、
   前記カートリッジ側電気接続部は、前記装着状態において前記装置側電気接続部に接触する接触面を有し、
   前記接触面の法線ベクトルは、前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記−Ｚ方向のベクトル成分と前記＋Ｙ方向のベクトル成分とを有する、液体噴射システム。
9. 請求項７または請求項８記載の液体噴射システムであって、
   前記液体噴射装置は、前記カートリッジ収納部の前記＋Ｙ方向側の端部から前記−Ｙ方向側に向かって延び、前記Ｘ方向において前記液体導入部を挟んで互いに離間した位置に設けられている第１位置決め部および第２位置決め部を備え、
   前記カートリッジは、前記装着状態において、前記第１位置決め部を受け入れる第１受入部と、前記第２位置決め部を受け入れる第２受入部と、を備える、液体噴射システム。
10. 請求項９記載の液体噴射システムであって、
    前記カートリッジが前記装着状態の姿勢にされたときに、前記第１受入部は、前記液体導出口に対して前記−Ｘ方向側に位置し、前記第２受入部は、前記液体導出口に対して前記＋Ｘ方向側に位置する、液体噴射システム。
11. 請求項１０記載の液体噴射システムであって、
    前記装着状態の姿勢にされたときに、前記カートリッジ側電気接続部および前記カートリッジ側固定構造は、前記Ｘ方向において、前記液体導出口と前記第１受入部との間に位置する、液体噴射システム。
12. 請求項９から請求項１１のいずれか一項に記載の液体噴射システムであって、
    前記第１受入部は前記第１位置決め部が挿通される第１開口部を有し、
    前記第２受入部は前記第２位置決め部が挿通される第２開口部を有し、
    前記装着状態における前記カートリッジの姿勢において、前記第２開口部の前記Ｘ方向における開口幅は、前記第１開口部の前記Ｘ方向における開口幅よりも大きい、液体噴射システム。
13. 請求項９から請求項１２のいずれか一項に記載の液体噴射システムであって、
    前記装置側固定構造と前記カートリッジ側固定構造とは、互いに係合した係合状態にあるときに、前記ケースが前記＋Ｙ方向に押されることによって、前記係合状態を解除し、前記ケースの前記−Ｙ方向への移動を許容するように構成されている、液体噴射システム。

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