JP2018159403A - チェーンテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることが可能なチェーンテンショナを提供する。
【解決手段】シリンダ10内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ11と、プランジャ11に挿入されたスクリュロッド12と、スクリュロッド12の外周に形成された雄ねじ20と、雄ねじ20にねじ係合するようにプランジャ11の内周に形成された雌ねじ21と、スクリュロッド12とプランジャ11の間に組み込まれた第1のコイルスプリング14と、スクリュロッド12のプランジャ11から突出する部分の外周を囲むように組み込まれた第2のコイルスプリング15とを備えるチェーンテンショナ1において、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向を、雄ねじ20の巻き方向とは反対の巻き方向とする。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダ10内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ11と、プランジャ11に挿入されたスクリュロッド12と、スクリュロッド12の外周に形成された雄ねじ20と、雄ねじ20にねじ係合するようにプランジャ11の内周に形成された雌ねじ21と、スクリュロッド12とプランジャ11の間に組み込まれた第1のコイルスプリング14と、スクリュロッド12のプランジャ11から突出する部分の外周を囲むように組み込まれた第2のコイルスプリング15とを備えるチェーンテンショナ1において、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向を、雄ねじ20の巻き方向とは反対の巻き方向とする。
【選択図】図2
Description
この発明は、内燃機関のチェーン伝動装置に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるチェーン伝動装置として、例えば、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するものや、クランクシャフトの回転をオイルポンプやウォーターポンプやスーパーチャージャー等の補機に伝達するものや、クランクシャフトの回転をバランサシャフトに伝達するものや、ツインカムエンジンの吸気カムと排気カムを互いに連結するものなどがある。これらのチェーン伝動装置のチェーンの張力を適正範囲に保つために、チェーンテンショナが使用される。
このチェーンテンショナとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1のチェーンテンショナは、シリンダと、そのシリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入された筒状のプランジャと、一方の端部がプランジャ内に収容され、他方の端部がプランジャのシリンダへの挿入端から突出した状態にプランジャに挿入されたスクリュロッドと、そのスクリュロッドのプランジャから突出する側の端面を支持するようにシリンダ内に設けられたロッドシートと、スクリュロッドの外周に形成された雄ねじと、その雄ねじにねじ係合するようにプランジャの内周に形成された雌ねじと、スクリュロッドとプランジャの間に組み込まれた第1のコイルスプリングとを有する。ここで、第1のコイルスプリングは、プランジャのシリンダからの突出端を押圧することで、プランジャをシリンダから突出させる方向に付勢している。
このチェーンテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、プランジャがシリンダ内に押し込まれる方向に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、プランジャの内周の雌ねじとスクリュロッドの外周の雄ねじとが互いに摺動しながら、プランジャとスクリュロッドが相対回転するので、雄ねじと雌ねじの摩擦抵抗によってダンパ作用が生じる。一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、プランジャがシリンダから突出する方向に移動し、チェーンの弛みを吸収する。
ここで、上記チェーンテンショナは、プランジャをシリンダから突出させる方向の付勢力を高めるため、スクリュロッドのプランジャから突出する部分の外周を囲むように、第2のコイルスプリングを組み込んでいる。この第2のコイルスプリングは、プランジャのシリンダ内への挿入端を押圧することで、プランジャをシリンダから突出させる方向の付勢力を補っている。
ところで、プランジャがシリンダに大きく押し込まれ、第2のコイルスプリングを大きく圧縮した位置でチェーンテンショナを使用する場合、第2のコイルスプリングに胴曲がりや芯ずれが生じる場合がある。このとき、第2のコイルスプリングが、スクリュロッドのプランジャからの突出部分に接触すると、第2のコイルスプリングを構成する線材がプランジャの外周の雄ねじに引っ掛かり、プランジャをシリンダから突出させる方向の付勢力が不安定になるおそれがある。
そこで、特許文献1の構成のチェーンテンショナにおいては、第2のコイルスプリングが、スクリュロッドのプランジャからの突出部分に接触するのを防止するため、第2のコイルスプリングの内径とスクリュロッドの外周の雄ねじの外径との間に、十分に大きな半径方向隙間を設定している。そして、この半径方向隙間を確保するため、第2のコイルスプリングとして太い線材で構成されたもの(すなわち、プランジャをシリンダから突出させる方向の付勢力が大きいもの)を採用することが難しかった。
この発明が解決しようとする課題は、大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることが可能なチェーンテンショナを提供することである。
特許文献1のチェーンテンショナは、スクリュロッドの雄ねじとして、一般的な右ねじを採用し、同様に、第1のコイルスプリングおよび第2のスプリングとして、一般的な右巻きのコイルスプリング(すなわち、第2のコイルスプリングを構成する線材が右ねじと同じ巻き方向をもつコイルスプリング)を採用している。ここで、本願の発明者らは、第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向と、プランジャの外周の雄ねじの巻き方向が同方向(ここでは右ねじの方向)であることが原因で、第2のコイルスプリングを構成する線材が雄ねじのねじ溝に入り込み、第2のコイルスプリングが雄ねじに引っ掛かることに気付いた。そして、雄ねじの巻き方向と第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向とを反対方向にすれば、第2のコイルスプリングが、スクリュロッドのプランジャからの突出部分に接触したときに、第2のコイルスプリングがプランジャの外周の雄ねじに引っ掛かるのを防止できるという着想を得た。
この着想に基づき、この発明では、以下の構成のチェーンテンショナを提供する。
シリンダと、
前記シリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入され、前記シリンダ内への挿入端が開口し、前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、
一方の端部が前記プランジャ内に収容され、他方の端部が前記プランジャの前記シリンダへの挿入端から突出した状態に前記プランジャに挿入されたスクリュロッドと、
前記スクリュロッドの外周に形成された雄ねじと、
前記雄ねじにねじ係合するように前記プランジャの内周に形成された雌ねじと、
前記スクリュロッドと前記プランジャの間に組み込まれ、前記プランジャの前記シリンダからの突出端を押圧する第1のコイルスプリングと、
前記スクリュロッドの前記プランジャから突出する部分の外周を囲むように組み込まれ、前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端を押圧する第2のコイルスプリングと、を備えるチェーンテンショナにおいて、
前記第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向が、前記雄ねじの巻き方向とは反対の巻き方向であることを特徴とするチェーンテンショナ。
シリンダと、
前記シリンダ内に軸方向に摺動可能に挿入され、前記シリンダ内への挿入端が開口し、前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、
一方の端部が前記プランジャ内に収容され、他方の端部が前記プランジャの前記シリンダへの挿入端から突出した状態に前記プランジャに挿入されたスクリュロッドと、
前記スクリュロッドの外周に形成された雄ねじと、
前記雄ねじにねじ係合するように前記プランジャの内周に形成された雌ねじと、
前記スクリュロッドと前記プランジャの間に組み込まれ、前記プランジャの前記シリンダからの突出端を押圧する第1のコイルスプリングと、
前記スクリュロッドの前記プランジャから突出する部分の外周を囲むように組み込まれ、前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端を押圧する第2のコイルスプリングと、を備えるチェーンテンショナにおいて、
前記第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向が、前記雄ねじの巻き方向とは反対の巻き方向であることを特徴とするチェーンテンショナ。
このようにすると、第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向と、スクリュロッドの外周の雄ねじの巻き方向とが互いに反対方向なので、第2のコイルスプリングが、スクリュロッドのプランジャからの突出部分に接触しても、第2のコイルスプリングを構成する線材がプランジャの外周の雄ねじのねじ溝に入り込みにくく、第2のコイルスプリングがプランジャの外周の雄ねじに引っ掛からず、動作が安定する。また、第2のコイルスプリングの内径とスクリュロッドの外周の雄ねじの外径との間に、大きな半径方向隙間を設ける必要がなく、第2のコイルスプリングとして太い線材で構成されたもの(すなわち、大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることができるもの)を採用することができ、大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることが可能となる。
前記スクリュロッドの前記プランジャから突出する側の端面を支持するロッドシートを前記シリンダ内に設けることができる。
前記第2のコイルスプリングを構成する線材として、方形の断面形状を有するものを採用することができる。
このようにすると、前記第2のコイルスプリングを構成する線材の断面積が大きくなるので、プランジャをシリンダから突出させる付勢力を、特に効果的に大きくすることができる。
前記第2のコイルスプリングを構成する線材の材質としては、SWP−A、SWP−B、SWP−Vのいずれかを採用することができる。
このようにすると、プランジャをシリンダから突出させるための第2のコイルスプリングの付勢力を十分に大きくするとともに、第2のコイルスプリングの高い耐久性を得ることができる。
また、前記第2のコイルスプリングを構成する線材の材質として、SWO−V、SWOCV−V、SWOSC−Vのいずれかを採用することもできる。
このようにすると、プランジャをシリンダから突出させるための第2のコイルスプリングの付勢力を、特に効果的に大きくすることが可能となる。
前記雌ねじと前記雄ねじは、前記プランジャを前記シリンダ内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける押込側フランクのフランク角が、前記プランジャを前記シリンダから突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける突出側フランクのフランク角よりも大きい鋸歯状とすることができる。
このようにすると、雄ねじと雌ねじの押込側フランク同士の摺動抵抗が大きくなるので、高いダンパ作用を発揮することが可能となる。
このとき、前記押込側フランクのフランク角を72°〜78°の範囲に設定し、前記突出側フランクのフランク角を12°〜18°の範囲に設定することができる。
この発明のチェーンテンショナは、第2のコイルスプリングを構成する線材の巻き方向と、スクリュロッドの外周の雄ねじの巻き方向とが互いに反対方向なので、第2のコイルスプリングが、スクリュロッドのプランジャからの突出部分に接触しても、第2のコイルスプリングを構成する線材がプランジャの外周の雄ねじのねじ溝に入り込みにくく、第2のコイルスプリングがプランジャの外周の雄ねじに引っ掛からない。そのため、第2のコイルスプリングの内径とスクリュロッドの外周の雄ねじの外径との間に、大きな半径方向隙間を設ける必要がなく、第2のコイルスプリングとして太い線材で構成されたもの(すなわち、大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることができるもの)を採用することができ、大きな付勢力でプランジャをシリンダから突出させることが可能である。
図1に、この発明の実施形態のチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、そのチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉を行なう。
チェーン6には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触しており、チェーンテンショナ1は、そのチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2、図3に示すように、チェーンテンショナ1は、横向きに配置されるシリンダ10と、シリンダ10内に軸方向に摺動可能に挿入された筒状のプランジャ11と、一方の端部がプランジャ11内に収容され、他方の端部がプランジャ11のシリンダ10への挿入端から突出した状態にプランジャ11に挿入されたスクリュロッド12と、そのスクリュロッド12のプランジャ11から突出する側の端面を支持するようにシリンダ10内に組み込まれたロッドシート13と、第1のコイルスプリング14および第2のコイルスプリング15とを有する。
シリンダ10は一端が開口し、他端が閉塞した有底筒状に形成されている。シリンダ10は、シリンダ10の外周に一体に形成された複数の取り付け片16にボルト17を締め込むことによって、エンジンブロックの側面に固定されている。ここで、シリンダ10は、横向きに固定されている。シリンダ10が横向きとは、シリンダ10の中心軸が上下方向に対して交差する向きをいう。
シリンダ10の上面には、シリンダ10の外部の飛沫オイル(例えば、エンジン内部で回転するチェーン6等によって飛散される飛沫オイル)をシリンダ10の内部に導入するオイル導入孔18が設けられている。シリンダ10の下面には、シリンダ10の内部のオイルをシリンダ10の外部に排出するオイル排出孔19が設けられている。
プランジャ11は、シリンダ10内への挿入端が開口し、シリンダ10からの突出端が閉塞する筒状に形成されている。プランジャ11の材質は、鉄系材料(例えばSCMやSCr等の鋼材)である。プランジャ11の外周は円筒面であり、シリンダ10の内周も円筒面である。プランジャ11の外周とシリンダ10の内周の間の隙間の大きさは微小であり、半径差で0.015〜0.080mmの範囲に設定されている。
スクリュロッド12の外周には雄ねじ20が形成されている。雄ねじ20は、プランジャ11の内周に形成された雌ねじ21とねじ係合している。スクリュロッド12の材質は、鉄系材料(例えばSCMやSCr等の鋼材)である。雄ねじ20は、冷間鍛造でスクリュロッド12のブランク(有底筒状素材)を形成した後、そのブランクの外周に転造を施すことで形成することができる。
スクリュロッド12の外周の雄ねじ20と、プランジャ11の内周の雌ねじ21は、プランジャ11をシリンダ10内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける押込側フランク22のフランク角θ1(図5参照)が、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける突出側フランク23のフランク角(図5参照)よりも大きい鋸歯状に形成されている。
図5に示すように、雄ねじ20と雌ねじ21の押込側フランク22のフランク角θ1は、72°〜78°の範囲に設定されている。押込側フランク22のフランク角θ1を72°以上とすることにより、プランジャ11をシリンダ10内に押し込む方向の軸方向荷重がスクリュロッド12とプランジャ11の間に静的に負荷されたときに、雄ねじ20と雌ねじ21の押込側フランク22間で滑りが生じるのを確実に防止することができる。また、押込側フランク22のフランク角θ1を78°以下とすることにより、プランジャ11をシリンダ10内に押し込む方向の軸方向荷重がスクリュロッド12とプランジャ11の間に負荷されたときに、雄ねじ20と雌ねじ21が楔のように噛み込んでロックする事態を防止することができる。
雄ねじ20と雌ねじ21の突出側フランク23のフランク角θ2は、12°〜18°の範囲に設定されている。突出側フランク23のフランク角θ2を18°以下とすることにより、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向の軸方向荷重がスクリュロッド12とプランジャ11の間に静的に負荷されたときに、雄ねじ20と雌ねじ21の突出側フランク23間に滑りを生じさせ、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向にスクリュロッド12とプランジャ11を円滑に相対移動させることができる。
図3に示すように、第1のコイルスプリング14は、プランジャ11のシリンダ10からの突出端とスクリュロッド12との間に組み込まれている。第1のコイルスプリング14の一方の端部は、スクリュロッド12のプランジャ11に収容される側の端面に開口して形成されたスプリング収容穴24に収容され、そのスプリング収容穴24の底面で支持されている。第1のコイルスプリング14の他方の端部は、スプリングシート25を介して、プランジャ11のシリンダ10からの突出端を押圧している。この押圧によって、第1のコイルスプリング14は、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向に付勢している。プランジャ11のシリンダ10からの突出端は、チェーンガイド8に当接している。
図4に示すように、第2のコイルスプリング15は、スクリュロッド12のプランジャ11から突出する部分の外周を囲むように組み込まれている。第2のコイルスプリング15の一方の端部は、ロッドシート13で支持され、他方の端部は、プランジャ11のシリンダ10内への挿入端を押圧している。この押圧によって、第2のコイルスプリング15は、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向の付勢力を補っている。
第2のコイルスプリング15を構成する線材の材質としては、SWP−A、SWP−B、SWP−V等のピアノ線(日本工業規格G3522:2014)を採用することができる。このようにすると、プランジャ11をシリンダ10から突出させるための第2のコイルスプリング15の付勢力を十分に大きくするとともに、第2のコイルスプリング15の高い耐久性を得ることができる。また、第2のコイルスプリング15を構成する線材の材質として、SWO−V、SWOCV−V、SWOSC−V等の弁ばね用オイルテンパー線(日本工業規格G3561−1994)を採用することもできる。このようにすると、プランジャ11をシリンダ10から突出させるための第2のコイルスプリング15の付勢力を、特に効果的に大きくすることが可能となる。
雄ねじ20は、右ねじとされている。一方、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向は、雄ねじ20の巻き方向とは反対の巻き方向(ここでは、左ねじの巻き方向)とされている。
次に、このチェーンテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、プランジャ11がシリンダ10内に押し込まれる方向に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、プランジャ11の内周の雌ねじ21の押込側フランク22とスクリュロッド12の外周の雄ねじ20の押込側フランク22とが互いに摺動しながら、プランジャ11とスクリュロッド12が相対回転するので、雄ねじ20と雌ねじ21の押込側フランク22同士の摩擦抵抗によってダンパ作用が生じる。
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなったときは、第1のコイルスプリング14の付勢力と、第2のコイルスプリング15の付勢力とによって、プランジャ11がシリンダ10から突出し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、第1のコイルスプリング14の付勢力によって、プランジャ11の内周の雌ねじ21の突出側フランク23が、スクリュロッド12の外周の雄ねじ20の突出側フランク23に当接し、その雄ねじ20と雌ねじ21の突出側フランク23間の滑りによってスクリュロッド12が回転する。
また、エンジン停止時に、カムシャフト4の停止位置によってチェーン6の張力が大きくなる場合がある。この場合、チェーン6が振動しないので、プランジャ11の内周の雌ねじ21の押込側フランク22とスクリュロッド12の外周の雄ねじ20の押込側フランク22との間に滑りが生じず、スクリュロッド12の位置が固定される。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーン6の弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
ところで、プランジャ11がシリンダ10に大きく押し込まれ、第2のコイルスプリング15を大きく圧縮した位置でチェーンテンショナ1を使用する場合、第2のコイルスプリング15に胴曲がりや芯ずれが生じる場合がある。このとき、第2のコイルスプリング15が、スクリュロッド12のプランジャ11からの突出部分に接触すると、第2のコイルスプリング15を構成する線材がプランジャ11の外周の雄ねじ20に引っ掛かり、プランジャ11をシリンダ10から突出させる方向の付勢力が不安定になる可能性がある。
これに対し、この実施形態のチェーンテンショナ1は、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向と、スクリュロッド12の外周の雄ねじ20の巻き方向とが互いに反対方向なので、第2のコイルスプリング15が、スクリュロッド12のプランジャ11からの突出部分に接触しても、第2のコイルスプリング15を構成する線材がプランジャ11の外周の雄ねじ20のねじ溝に入り込みにくく、第2のコイルスプリング15がプランジャ11の外周の雄ねじ20に引っ掛からない。そのため、第2のコイルスプリング15の内径とスクリュロッド12の外周の雄ねじ20の外径との間として、小さな半径方向隙間sを設定することができる。このとき、第2のコイルスプリング15として太い線材で構成されたもの(すなわち、大きな付勢力でプランジャ11をシリンダ10から突出させることができるもの)を採用することができ、大きな付勢力でプランジャ11をシリンダ10から突出させることが可能である。
上記実施形態では、スクリュロッド12の外周の雄ねじ20を右ねじとし、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向を、左ねじの巻き方向としたが、この両者の巻き方向を入れ替えてもよい。すなわち、スクリュロッド12の外周の雄ねじ20を左ねじとし、第2のコイルスプリング15を構成する線材の巻き方向を、右ねじの巻き方向としてもよい。
また、上記実施形態では、第2のコイルスプリング15を構成する線材として断面円形のものを例に挙げて説明したが、図6に示すように、第2のコイルスプリング15を構成する線材として、方形の断面形状を有するものを採用することも可能である。このようにすると、第2のコイルスプリング15を構成する線材の断面積が大きくなるので、プランジャ11をシリンダ10から突出させる付勢力を、特に効果的に大きくすることが可能となる。
また、上記実施形態では、シリンダ10に形成したオイル導入孔18からシリンダ10の内部に油を供給するタイプのチェーンテンショナ1(つまり、オイルポンプによる油圧の供給を必要としないタイプのもの)を例に挙げて説明したが、この発明は、シリンダ10にオイル導入孔18を設けず、シリンダ10とプランジャ11の間に囲まれる空間にオイルポンプの油圧を供給するタイプのチェーンテンショナ1に適用することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 チェーンテンショナ
10 シリンダ
11 プランジャ
12 スクリュロッド
13 ロッドシート
14 第1のコイルスプリング
15 第2のコイルスプリング
20 雄ねじ
21 雌ねじ
22 押込側フランク
23 突出側フランク
s 半径方向隙間
d 外径
θ1,θ2 フランク角
10 シリンダ
11 プランジャ
12 スクリュロッド
13 ロッドシート
14 第1のコイルスプリング
15 第2のコイルスプリング
20 雄ねじ
21 雌ねじ
22 押込側フランク
23 突出側フランク
s 半径方向隙間
d 外径
θ1,θ2 フランク角
Claims (7)
- シリンダ(10)と、
前記シリンダ(10)内に軸方向に摺動可能に挿入され、前記シリンダ(10)内への挿入端が開口し、前記シリンダ(10)からの突出端が閉塞した筒状のプランジャ(11)と、
一方の端部が前記プランジャ(11)内に収容され、他方の端部が前記プランジャ(11)の前記シリンダ(10)への挿入端から突出した状態に前記プランジャ(11)に挿入されたスクリュロッド(12)と、
前記スクリュロッド(12)の外周に形成された雄ねじ(20)と、
前記雄ねじ(20)にねじ係合するように前記プランジャ(11)の内周に形成された雌ねじ(21)と、
前記スクリュロッド(12)と前記プランジャ(11)の間に組み込まれ、前記プランジャ(11)の前記シリンダ(10)からの突出端を押圧する第1のコイルスプリング(14)と、
前記スクリュロッド(12)の前記プランジャ(11)から突出する部分の外周を囲むように組み込まれ、前記プランジャ(11)の前記シリンダ(10)内への挿入端を押圧する第2のコイルスプリング(15)と、を備えるチェーンテンショナにおいて、
前記第2のコイルスプリング(15)を構成する線材の巻き方向が、前記雄ねじ(20)の巻き方向とは反対の巻き方向であることを特徴とするチェーンテンショナ。 - 前記スクリュロッド(12)の前記プランジャ(11)から突出する側の端面を支持するロッドシート(13)を前記シリンダ(10)内に設けた請求項1に記載のチェーンテンショナ。
- 前記第2のコイルスプリング(15)を構成する線材が、方形の断面形状を有する請求項1または2に記載のチェーンテンショナ。
- 前記第2のコイルスプリング(15)を構成する線材の材質が、SWP−A、SWP−B、SWP−Vのいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
- 前記第2のコイルスプリング(15)を構成する線材の材質が、SWO−V、SWOCV−V、SWOSC−Vのいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
- 前記雌ねじ(21)と前記雄ねじ(20)は、前記プランジャ(11)を前記シリンダ(10)内に押し込む方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける押込側フランク(22)のフランク角(θ1)が、前記プランジャ(11)を前記シリンダ(10)から突出させる方向の荷重を負荷したときに圧力を受ける突出側フランク(23)のフランク角(θ2)よりも大きい鋸歯状とされている請求項1から5のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
- 前記押込側フランク(22)のフランク角(θ1)が72°〜78°の範囲に設定され、前記突出側フランク(23)のフランク角(θ2)が12°〜18°の範囲に設定されている請求項6に記載のチェーンテンショナ。
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