JP2018159134A - 鋼板表面疵の抑制方法及び連続焼鈍炉 - Google Patents

鋼板表面疵の抑制方法及び連続焼鈍炉 Download PDF

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昌平 中久保
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重人 小泉
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Abstract

【課題】冷間圧延鋼板のピックアップ疵(表面疵)を抑制する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼板ストリップをロール送給しながら焼鈍する連続焼鈍炉において、前記炉内の酸素分圧が、Fe/FeOの平衡酸素分圧以下であり、少なくとも一つの送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素分圧PO2(atm)と、前記送給ロールの表面温度T(℃)が下記(1)式を満たす鋼板表面疵の抑制方法である。
T≦36.4×ln(10×PO2)+1020・・・(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、連続焼鈍炉(Continuous Annealing Line、CAL)、又は連続溶融亜鉛めっきライン(Continuos Galvanizing Line、CGL)で製造する鋼板の表面疵抑制方法及び該方法を実施するために用いられる連続焼鈍炉に関する。より詳細には、自動車、家電、建材等の分野で使用され、外観が美麗で、年々増加する加工に耐え得る鋼板の表面疵抑制方法及び該方法に用いられる連続焼鈍炉に関する。
近年、自動車、家電等の軽量化の目的で、強度、延性、加工性に優れた鋼板の需要が急増している。冷間圧延鋼板は一般的に、スラブを熱間圧延及び冷間圧延して所望の製品厚さまで加工し、その後鋼板の組織を制御するために連続焼鈍ライン又は連続溶融亜鉛めっきラインにて焼鈍、焼入れ処理を施すことによって得られる。
鋼板は通常Mnを含み、CAL又はCGL内のハースロール(送給ロール)上に何らかの反応物が形成され、それが鋼板に転写されることで押し疵が発生することがある。この反応物の形成現象はロールピックアップ、該反応物の転写により発生する押し疵はピックアップ(又はピックアップ疵)とも呼ばれる。ピックアップは、種々の文献で見られるビルドアップと同じ現象である。このようなピックアップの不良が発生した場合、ロール交換のためにラインを停止せざるを得ないため、生産性が著しく悪化する。
ピックアップを抑制するため、例えば特許文献1〜3では、ロール表面の溶射皮膜の改質が検討されている。しかし、特許文献1〜3の技術では、Mn添加量が0.2質量%以上の鋼板に対してはピックアップ抑制の効果が少なく、所望の表面品質が得られない。
さらに、特許文献4では、連続焼鈍炉内の雰囲気の露点と水素濃度を、所定の関係を満たすように調整して炉内で生成する酸化物を抑制している。Mnの添加量が多い鋼板では、Mn酸化物を抑制する必要があるところ、Mn/MnOの平衡酸素分圧は非常に低いため、Mn酸化物を完全に抑制することは困難である。従って特許文献4に基づいてピックアップを完全に防止することは困難である。
特開2000−291635号公報 特開2002−256363号公報 特開2006−283105号公報 特開平11−158559号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は冷間圧延鋼板のピックアップ疵(表面疵)を抑制する方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成した本発明は、
鋼板ストリップをロール送給しながら焼鈍する連続焼鈍炉において、
前記炉内の酸素分圧が、Fe/FeO平衡酸素分圧以下であり、
少なくとも一つの送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素分圧PO2(atm)と、前記送給ロールの表面温度T(℃)が下記(1)式を満たすことを特徴とする鋼板表面疵の抑制方法である。
T≦36.4×ln(10×PO2)+1020・・・(1)
上記の鋼板表面疵の抑制方法では、前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部に酸化性ガスを吹きつけて、前記(1)式を満たすように該接近部の酸素分圧を前記炉内の酸素分圧よりも高めることや、前記送給ロールが表面温度を調整する機能を有することなどが好ましい。
また本発明は、連続焼鈍炉も包含し、該連続焼鈍炉は、
鋼板ストリップを送給するためのロールを備えた連続焼鈍炉であって、
送給ロールの表面温度T(℃)の計測手段と、
前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部に向かうガス吹き出し部を有する酸素供給手段と、
前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素濃度測定手段とを有する。
本発明によれば、連続焼鈍炉内の酸素分圧がFe/FeOの平衡酸素分圧以下に調整されるとともに、送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素分圧PO2(atm)が、前記送給ロールの表面温度T(℃)と所定の関係を満たすように調整されているため、鋼板のピックアップ疵を有効に抑制できる。
図1は、Mn酸化物とAlとの反応条件を、熱力学計算ソフトにて計算した結果を示すグラフである。 図2は、本発明に係る鋼板表面疵の抑制方法を実施するために用いられる連続焼鈍炉の一例を示した概略図である。
鋼板の表面疵(ピックアップ疵)の原因としては、金属酸化物の生成が挙げられる。鋼板はFeが主成分であり、また通常Mnを含むため、Fe酸化物とMn酸化物を形成する。本発明では、鋼板の表面疵の原因として、特にFe酸化物とMn酸化物に着目した。Fe酸化物の生成は、焼鈍炉内の酸素分圧をFe/FeOの平衡酸素分圧以下とすることによって抑制できる。しかし、Mn/MnOの平衡酸素分圧は非常に低く、焼鈍炉内の酸素分圧をFe/FeOの平衡酸素分圧以下とすることのみでは、Mn酸化物の生成を抑制することはできない。更に、Fe/FeO平衡酸素分圧以下であるような酸素分圧の低い環境では、送給ロール上の溶射皮膜表面に存在するAlとMn酸化物との間に、AlとMnの複合酸化物が生成し、これがピックアップの原因の一つとなっていることが判明した。そこで、本発明者らが更に検討し、上述のAlとMnの複合酸化物の生成を抑制できる条件、詳細には酸素濃度と送給ロール表面温度との関係を見出し、本発明を完成した。以下、Fe酸化物の生成を抑制する条件、及びAlとMnの複合酸化物の生成を抑制する条件について順に説明する。
鋼板ストリップの表面にFe酸化物が形成すると、Fe酸化物と送給ロール上の皮膜との反応によって金属Feを主成分とする突起物が送給ロール上に非常に速い速度で形成され、鋼板にピックアップ疵を形成する。そこで、本発明では、連続焼鈍炉内の酸素分圧をFe/FeOの平衡酸素分圧以下とすることによってFe酸化物を抑制する。このような酸素分圧は、例えばN2やArなどの不活性ガスを用いることで実現でき、焼鈍炉内の酸素分圧がFe/FeOの平衡酸素分圧以下である限り、前記不活性ガスに酸素、水素、水蒸気などが含まれていても良い。
なお、CAL又はCGLで焼鈍された鋼板は、化成処理等により耐食性を付与されて最終製品となるため、化成処理性を確保するため、焼鈍工程で生成する表面酸化物は酸洗で除去される。従って、酸洗負荷を低減する観点からもFe酸化物を低減することは有効である。
しかし、前記炉内の酸素分圧をFe/FeO平衡酸素分圧以下としたのみでは、Mn酸化物の生成を抑制することができない。というのも、Mn/MnOの平衡酸素分圧は非常に低く、Mn酸化物の生成を抑制すべく、炉内の酸素分圧をMn/MnOの平衡酸素分圧以下とすることは工業的に制御が困難だからである。
そこで、本発明者らが検討した結果、Mn酸化物に起因するピックアップは、Mn酸化物そのものよりもむしろ、鋼板ストリップ表面のMn酸化物と、(Ni,Co)CrAlYなどの溶射皮膜の表面のAlとの反応により、AlとMnの複合酸化物が形成されることが原因であることを突き止めた。この反応を抑制するため、熱力学計算ソフト(「Factsage」、株式会社計算力学研究センター社製)を用いて計算したところ、送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素分圧PO2(atm)と、送給ロールの表面温度T(℃)が下記(1)式を満たすようにすれば、ピックアップ疵を抑制できることを見出した。図1は、前記熱力学計算ソフトでの計算結果を示したグラフであり、下記(1)式の範囲でAlとMnの複合酸化物が抑制できることが分かる。
T≦36.4×ln(10×PO2)+1020・・・(1)
上記(1)式の条件を満たすのは、焼鈍炉内の少なくとも一つの送給ロールと鋼板ストリップの接近部であり、特に鋼板ストリップが該送給ロールに接する手前の接近部であることが好ましい。該接近部とは、具体的には以下の領域を意味する。まず、対象となる送給ロールの軸方向に垂直な断面において、送給ロールと鋼板ストリップが初めて接触する位置をaとし、送給ロールの中心からの距離が√2×r(rは送給ロールの半径)である鋼板ストリップ上の位置であって、前記aよりも鋼板ストリップの進行方向に対して後方である位置をbとする。次に、線分abと垂直に交わる線が送給ロールと接する位置をcとする。前記接近部とは、線分abと、送給ロール外周と、線分bcで囲まれる領域を意味する。
前記接近部には酸化性ガスを吹きつけることが好ましく、これによって該接近部の酸素分圧を前記した炉内の酸素分圧よりも高めて、上記(1)式を満たすように調整することができる。酸化性ガスとしては、酸素、水蒸気などの、酸素分圧を上昇可能なガスを、窒素ガス又はアルゴンガスなどの不活性ガスで希釈したガスを用いることができる。酸化性ガスは、上記した酸素、水蒸気などの他に更に二酸化炭素などを含んでいても良い。
また、送給ロールの表面温度は、送給ロールに表面温度を調整する機能を備えることによって調整すれば良い。焼鈍炉の雰囲気温度は鋼板の到達温度よりも高く、またその炉内雰囲気に晒されている送給ロールの温度も雰囲気温度の影響を受けて同等の温度となるが、炉内雰囲気温度を下げるわけにはいかないため、送給ロールを冷却するのが好ましい。送給ロールの表面温度を調整する機能は、冷却機能とすれば良く、例えば冷却水や空気などの冷却媒体を送給ロール内部に循環させる方法が挙げられる。該冷却機能は、鋼板ストリップが通板している間常に作用させる必要はなく、例えばピックアップが大きくなってピックアップ起因の表面疵が見え始めた段階で冷却を開始しても良い。また、ピックアップ起因の表面疵が所定のレベルまで改善してきた時点でロールの冷却を止めても良い。
上記(1)式を調整する効果は、送給ロールの表面温度が高いほど大きい。従って、上記(1)式は、該表面温度が800℃以上となる炉域の少なくとも一つの送給ロールにて満足するようにすればよく、好ましくは3つ以上、より好ましくは5つ以上である。一方、このような条件を満たす送給ロールを12個より多く設けても効果が飽和するため、上限は12個以下とすれば良い。また、上記(1)式を満たす送給ロールは、均熱帯に設けることが好ましく、必要に応じて更に加熱帯、予熱帯、冷却帯に設けても良い。なお、均熱温度は鋼板の組成により異なるが、本発明では、対象となる送給ロールの表面温度を調整することが重要であり、均熱温度は限定されない。
本発明で用いられる送給ロールとしては、例えば耐熱鋼で作製された送給ロールや、表面にMCrAlY(Mは、(Ni,Co)などの金属元素)などの溶射皮膜が形成された送給ロールなどが挙げられる。
本発明は、上記した鋼板表面疵の抑制方法を実施するための連続焼鈍炉も包含する。該連続焼鈍炉は、鋼板ストリップを送給するためのロールを備えた連続焼鈍炉であって、送給ロールの表面温度T(℃)の計測手段と、前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部に向かうガス吹き出し部を有する酸素供給手段と、前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素濃度測定手段とを有している。
前記した送給ロールの表面温度の計測手段は、例えば熱電対、サーミスタなどの接触式温度計が挙げられる。前記計測手段は、送給ロール内に設けられていても良いし、ロール表面から1cm程度離れた送給ロールの外側に設けられていても良い。
前記酸素供給手段は、送給ロールと鋼板ストリップの接近部に向かうガス吹出し部を有している。該酸素供給手段は少なくとも酸素供給配管、不活性ガス供給配管を有している。この配管の上流部にはガス(酸素及び不活性ガス)ボンベ、加圧手段(コンプレッサーなど)、ガス流量制御手段(バルブ、レギュレーターなど)を有しており、酸素量(酸素濃度)の制御を可能にしている。該酸素供給手段は、必要に応じて水蒸気、二酸化炭素の供給配管を有していても良い。
前記酸素濃度測定手段は、該接近部にガス採取部を有する配管を有しており、該配管は焼鈍炉外に設けられた酸素濃度検出手段に接続され、この酸素濃度検出手段で酸素濃度を測定する。前記酸素濃度検出手段としては、磁気式、ジルコニア式、限界電流式などが挙げられる。前記配管には、適宜、送ガス手段(ポンプ、ファンなど)が備えられていても良い。
また、本発明の焼鈍炉は、更に送給ロール表面の温度調整手段を備えていても良い。該温度調整手段は、冷却手段とすれば良く、例えば送給ロール内の配管に、冷却水や空気などの冷却媒体を循環させる方法が挙げられる。
本発明の連続焼鈍炉は、必要に応じて、前記酸素濃度測定手段で測定された酸素濃度に基づいて、酸素量制御手段による供給酸素量を制御するための演算手段を備えていても良い。この演算手段では、上記(1)式を満足するのに必要な酸素量を算出し、制御信号を酸素量制御手段に送信する。
本発明で用いられる鋼板の化学組成は特に限定されないが、例えば以下の組成の鋼板を用いることができる。
C:0.04〜0.20%(質量%の意味。化学組成について以下同じ。)
Cは鋼材の強度を高めるために必要な元素であり、C量は0.04%以上が好ましい。一方、C量が過剰になると冷間加工性が低下するため、0.20%以下が好ましい。
Si:0.1〜3.0%
Siは鋼材の強度を高めつつ、延性や加工性を確保できる重要な元素である。高強度鋼板に必要な強度を考慮すれば、Si量は0.1%以上が好ましい。しかしSi量が過剰になると延性が損なわれるため、3.0%以下が好ましい。
Mn:0.1〜3.0%
Mnは、強度及び靭性を確保できる重要な元素であり、高強度鋼板に必要な強度を考慮すれば、Mn量は0.1%以上が好ましい。しかしMn量が過剰になると延性を損なうため、Mn量は3.0%以下が好ましい。
Al:0.06%以下(0%を含まない)
Alは、脱酸のため及び焼ならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するため、鋼材に添加することが好ましい。Al量は好ましくは0.01%以上である。一方、Al量が過剰になると前述の効果が飽和することに加えて、結晶粒が不安定になるため0.06%以下が好ましく、より好ましくは0.05%以下である。
P:0.02%以下(0%を含まない)
Pは不可避的に含まれる元素であるが、微量のPの存在はセメンタイトの析出を遅延し変態を抑制する。このような作用を発揮させるために、P量は0.001%以上としても良い。しかし、P量が過剰になると延性の劣化とめっき密着性の悪化を招くため、P量は0.02%以下が好ましい。
S:0.004%以下(0%を含まない)
Sは不可避的に含まれる元素であり、硫化物系介在物であるMnSを形成し、これが鋼材の熱間圧延時に偏析することにより鋼材を脆化させる。そこで、S量は0.004%以下にすることが好ましい。Sは少なければ少ない程好ましいが、通常0.001%程度含まれる。
N:0.01%以下(0%を含まない)
Nは、粗大な窒化物を形成して曲げ性や穴拡げ性を劣化させ、かつ溶接時のブローホールの原因となることから、N量は0.01%以下が好ましい。Nは少なければ少ない程好ましく、下限は特に定める必要はないが、通常0.001%程度含まれる。
本発明に好ましく用いられる鋼板の基本成分は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し、原材料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が鋼中に含まれることは当然に許容される。さらに、必要に応じて以下の任意元素を含有していることも好ましい。
Ni:2%以下(0%を含まない)
Niは焼入れ性を向上させる元素である。Niを適量添加することで連続焼鈍、冷却時点でのマルテンサイト比率の増大とマルテンサイトのラス構造を微細化する作用があり、この作用を通じて、次工程のCGL焼鈍時における2相域再加熱−冷却処理時の焼入れ性を良好にすることができる。その結果、冷却後の最終的な複合組織を良好にでき、各種成形加工性を向上できる。このような効果を有効に発揮させるため、Ni量は0.1%以上が好ましく、より好ましくは0.2%以上である。しかし、Niは高価な元素であるため、製造コストの観点から、Ni量は2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。
Cu:2%以下(0%を含まない)
CuもNiと同様に焼入れ性を向上させる元素であり、Niと同様の作用により各種成形加工性を向上できる。このような効果を有効に発揮させるため、Cu量は0.1%以上が好ましく、より好ましくは0.2%以上である。しかし、Cuは高価な元素であるため、製造コストの観点から、Cu量は2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下である。
Mo:2%以下(0%を含まない)
Moは、めっき性を損ねることなく、固溶強化を図る上で重要な元素である。また、Ni、Cuと同様に焼入れ性を向上させる元素であり、Niと同様の作用により各種成形加工性を向上できる。このような効果を有効に発揮させるため、Mo量は0.1%以上が好ましく、より好ましくは0.2%以上である。しかし、Moは高価な元素であるため、製造コストの観点から、Mo量は2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下である。
B:0.01%以下(0%を含まない)
Bは焼入れ性を向上する効果があり、必要に応じて添加することが好ましい。このような効果を有効に発揮させるため、B量は0.0001%以上が好ましく、より好ましくは0.0002%以上である。しかし、B量が過剰になるとめっき性が劣化するため、0.01%以下が好ましく、より好ましくは0.005%以下であり、更に好ましくは0.001%以下である。
Ni、Cu、Mo、Bは、それぞれ単独で用いても良いし、これらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
Cr:2%以下(0%を含まない)
Crは、鋼材及び冷間鍛造品に強度を付与するために必要に応じて添加できる。このような効果を有効に発揮するため、Cr量は0.01%以上が好ましい。一方、Cr量が過剰になると延性が損なわれるため、Cr量は2%以下が好ましい。
Nb:1%以下(0%を含まない)
Nbは、微量の添加で微細組織を得ることができ、靭性を損なわずに高強度化を図れる元素である。このような効果を有効に発揮するため、Nb量は0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.005%以上である。しかし、Nb量が過剰になると炭化物が過剰に生成し、マルテンサイト分率の減少により、又は炭化物の析出強化により、強度と加工性のバランスを劣化させる。そのため、Nb量は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。
V:1%以下(0%を含まない)
VもNbと同様に炭化物を生成する元素であり、鋼板の強度向上に寄与する。このような効果を有効に発揮させるため、V量は0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.005%以上である。しかし、V量が過剰になると、コスト高となるだけでなく、降伏点(降伏比)を上昇させて加工性を低下させてしまう。そこで、V量は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。
W:0.3%以下(0%を含まない)
Wは、析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化、及び再結晶の抑制を通じた転位強化により、鋼板の強度上昇に寄与する元素である。このような効果を有効に発揮させるため、W量は0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.005%以上である。しかし、W量が過剰になると、炭窒化物の析出を過剰にし、成形性の劣化を招く。そこで、W量は0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.2%以下、更に好ましくは0.1%以下である。
Cr、Nb、V、Wは、それぞれ単独で用いても良いし、これらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
Ti:0.1%以下(0%を含まない)
Tiは脱酸剤として作用し、好ましいTi量は0.01%以上である。しかし、Ti量が過剰になると靭性が低下するため、Ti量は0.1%以下が好ましい。
Ca:0.03%以下(0%を含まない)、Mg:0.03%以下(0%を含まない)、REM:0.03%以下(0%を含まない)
Ca、Mg、REMはいずれも脱散剤として作用し、これらの効果を有効に発揮させるため、Ca量、Mg量、REM量はそれぞれ0.002%以上が好ましく、より好ましくは0.003%以上が好ましい。しかし、Ca量、Mg量、REM量が過剰になると成形性が低下するため、Ca量、Mg量、REM量はそれぞれ0.03%以下が好ましく、より好ましくは0.02%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。
Ti、Ca、Mg、REMは、それぞれ単独で用いても良いし、これらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の鋼板表面疵の抑制方法は、美しい外観が要求される自動車、家電、建材等の分野で使用される鋼板に好適に採用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
C:0.17%、Si:1.3%、Mn:2.0%を含む鋼板を連続焼鈍ライン(CAL)にて焼鈍した。詳細には、炉内雰囲気は、窒素希釈のAXガス雰囲気、すなわちN−5%H雰囲気とし(酸素分圧は3×10−22(露点-40℃、900℃)atm程度。900℃でのFe/FeO平衡酸素分圧:3×10−17atm)、予熱帯−加熱帯にて150秒で900℃まで昇温し、均熱帯にて900℃で300秒保持し、その後冷却帯で45秒で400℃まで冷却した。
但し、前記均熱帯の最後の送給ロールには、送給ロールと鋼板ストリップの接近部に磁気式酸素濃度計及び酸化性ガス吹きつけノズルを設置した。そして、送給ロールの表面温度と前記接近部の酸素濃度の測定値に基づいて、下記方法で前記表面温度と前記酸素濃度を表1に示す通りに調整した。
送給ロールの表面温度は、ロール内部に冷却水の配管と熱電対を設け、冷却水の水量を制御することでロールの表面温度を調整した。また、前記接近部の酸素濃度は、該接近部に向けて酸化性ガスを吹きつけるノズルを設置し、所定の酸素濃度の酸化性ガス(酸素と窒素の混合ガス)を吹きつけることによって調整した。なお、送給ロールの表面は通常の(Ni,Co)AlCrY系の溶射皮膜である。
鋼板ストリップの通板開始から表面疵が発生するまでの時間を計測した。結果を表1に示す。なお、表1に記載の酸素濃度(ppm)は、10−6倍することによって酸素分圧(atm)に換算できる。
Figure 2018159134
送給ロールと前記接近部の酸素濃度が、上記(1)式の関係を満たすNo.3〜9は、表面疵発生までの時間が100時間以上であり、表面疵の発生を抑制できた。一方、上記(1)式の関係を満たさないNo.1、2は、表面疵発生までの時間が100時間未満と短く、また送給ロール表面を確認したところ、AlとMnの複合酸化物の形成が確認できた。

Claims (4)

  1. 鋼板ストリップをロール送給しながら焼鈍する連続焼鈍炉において、
    前記炉内の酸素分圧が、Fe/FeOの平衡酸素分圧以下であり、
    少なくとも一つの送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素分圧P02(atm)と、前記送給ロールの表面温度T(℃)が下記(1)式を満たすことを特徴とする鋼板表面疵の抑制方法。
    T≦36.4×ln(10×PO2)+1020・・・(1)
  2. 前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部に酸化性ガスを吹きつけて、前記(1)式を満たすように該接近部の酸素分圧を前記炉内の酸素分圧よりも高める請求項1に記載の鋼板表面疵の抑制方法。
  3. 前記送給ロールが表面温度を調整する機能を有する請求項1又は2に記載の鋼板表面疵の抑制方法。
  4. 鋼板ストリップを送給するためのロールを備えた連続焼鈍炉であって、
    送給ロールの表面温度T(℃)の計測手段と、
    前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部に向かうガス吹き出し部を有する酸素供給手段と、
    前記送給ロールと鋼板ストリップの接近部の酸素濃度測定手段とを有する連続焼鈍炉。
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