JP2018159034A - 反射材用ポリエステル樹脂組成物及びそれを含む反射材 - Google Patents

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真理子 木田
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航 牧口
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Abstract

【課題】長期加熱後の反射率の低下が少なく、且つ使用環境下で光源から受ける光に長時間曝されてもクラックを高度に抑制できる反射板を付与する反射材用ポリエステル樹脂組成物の提供。
【解決手段】示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上であるポリエステル樹脂Aを30〜80質量%と、白色顔料Bを5〜50質量%と、無機充填材Cを1〜50質量%と、式(1)で表される化合物Dの少なくとも一種を0.01〜3質量%と、置換されていてもよいピペリジン環とアミド基とを有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤Eを0.1〜1.5質量%とを含む反射材用ポリエステル樹脂組成物(但し、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計は100質量%)。
Figure 2018159034

【選択図】なし

Description

本発明は、反射材用ポリエステル樹脂組成物及びそれを含む反射材に関する。
発光ダイオード(LED)や有機EL等の光源は、低電力や高寿命等の特徴を活かして、照明やディスプレイのバックライト等に幅広く使用されている。それらの光源からの光を効率的に利用するために、反射材が種々の局面で利用されている。
例えば、LEDパッケージは、基板とそれに一体的に成形された反射板とからなるハウジング部と、ハウジング内部に配置されたLEDと、LEDを封止する透明な封止部材とで主に構成されうる。このようなLEDパッケージは、基板上に成形された反射板からなるハウジング部を得る工程;ハウジング部内にLEDを配置し、LEDと基板とを電気的に接続する工程;LEDを封止剤で封止する工程を経て製造されうる。封止工程では、封止剤を熱硬化させるために100〜200℃の温度で加熱することから、そのような加熱下においても反射板は、反射率を維持できることが求められる。さらに、LEDパッケージをプリント基板に実装する際のリフローはんだ工程では、LEDパッケージが250℃以上もの高温に曝されることから、そのような加熱下においても、反射板の反射率を維持できることが求められる。さらに、使用環境下において、LEDから発生する熱や光に長時間曝されても、反射率を維持できることが求められる。
これに対して反射板用の材料として、例えば特許文献1には、ポリエステルとしてポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)と、白色顔料として酸化チタンと、安定剤として芳香族環を含有するヒンダードアミン化合物及びリン化合物と、無機充填材としてガラス繊維とを含むポリマー組成物が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステル樹脂(A1)としてポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)と、白色顔料(B)として酸化チタンと、化合物(C)として特定のベンゾエート系化合物と、強化材(D)としてガラス繊維とを含む反射材用樹脂組成物が開示されている。
特開2013−127067号公報 国際公開第2016/002192号
しかしながら、特許文献1に示されるポリマー組成物の成形体は、耐熱性が低く、長期加熱後の反射率が低下しやすいという問題があった。
一方、特許文献2に示される反射材用樹脂組成物の成形体は、化合物(C)として特定のベンゾエート系化合物を含むので、良好な耐熱性を有し、長期加熱後でも高い反射率を維持しうる。しかしながら、特許文献2に示される反射材用樹脂組成物の成形体は、使用環境下で光源から受ける光に長時間曝されると、クラックを生じる虞があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長期加熱後の反射率の低下が少なく、且つ使用環境下で光源から受ける光に長時間曝されてもクラックを高度に抑制できる反射板を付与する反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
[1] 示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上であるポリエステル樹脂Aを30〜80質量%と、白色顔料Bを5〜50質量%と、無機充填材Cを1〜50質量%と、下記一般式(1)で表される化合物Dの少なくとも一種を0.01〜3質量%と、置換されていてもよいピペリジン環とアミド基とを有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤Eを0.1〜1.5質量%とを含む(但し、前記ポリエステル樹脂A、前記白色顔料B、前記無機充填材C、前記化合物D及び前記光安定剤Eの合計は100質量%である)、反射材用ポリエステル樹脂組成物。
Figure 2018159034
(一般式(1)のXは、有機基を示す)
[2] 前記化合物Dと前記光安定剤Eの含有比率E/Dは、0.5〜4.0である、[1]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[3] 前記光安定剤Eの分子量は、1000以下である、[1]又は[2]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[4] 前記光安定剤Eは、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカンである、[1]〜[3]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[5] 前記化合物Dの有機基Xが、炭素原子数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、又は炭素原子数6〜20の置換若しくは未置換のアリール基であり、前記アルキル基、前記シクロヘキシル基、及び前記アリール基が有する置換基は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基、メトキシ基、及びオキサジアゾール基からなる群より選ばれる、[1]〜[4]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[6] 前記ポリエステル樹脂Aが、テレフタル酸に由来する成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位0〜70モル%とを含むジカルボン酸成分単位と、炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位および/または脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含むジアルコール成分単位と、を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[7] 前記脂環族ジアルコールに由来する成分単位が、シクロヘキサン骨格を有する、[6]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[8] 前記ジアルコール成分単位が、シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位30〜100モル%と、前記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位0〜70モル%とを含む、[6]又は[7]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[9] 前記白色顔料Bは、酸化チタンである、[1]〜[8]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる、反射材。
[11] 発光ダイオード素子用の反射材である、[10]に記載の反射材。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、長期加熱後の反射率の低下が少なく、且つ使用環境下で光源から受ける光に長時間曝されてもクラックを高度に抑制できる反射板を付与する反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
前述の通り、PCT等のポリエステル樹脂Aと、特定のベンゾエート系化合物(化合物D)とを含むポリエステル樹脂組成物の成形物は、加熱後の反射率の低下は少ないものの、長時間光が照射されたときに、樹脂の劣化に起因するクラックが発生する場合があった。
これに対して、本発明者らは、種々の光安定剤の中でも、「置換されていてもよいピペリジン環とアミド基とを有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤E」(特定の光安定剤E)を添加することで、加熱後の反射率を維持しつつ、長時間光が照射されたときのクラックの発生を高度に抑制できることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。特定の光安定剤Eは、置換されていてもよいピペリジン環を有する化合物であることから、ラジカル捕捉機能を有しうる。それにより、光が長時間照射されたときに、樹脂の分解反応時に生成するラジカルを捕捉し、樹脂の分解を抑制しうる。
また、光安定剤Eは、分子内にアミド基を有するので、ポリエステル樹脂Aとの親和性が良好である。従って、光安定剤Eがポリエステル樹脂Aの分子間に均一に分散しやすく、効率的にラジカルを捕捉しうると考えられる。
さらに、光安定剤Eは、分子内に芳香族環を有しないので、それ自体の光吸収が抑制され、光安定剤Eの分解や着色を抑制できる。従って、成形物の長期加熱後の反射率の低下を抑制しうる。
一方で、光安定剤Eを多く添加しすぎると、光安定剤E自体の分解に起因する着色が生じやすく、成形物の加熱後の反射率が低下しやすい。従って、光安定剤Eの添加量を一定以下とすることで、成形物の長期加熱後の反射率の低下を抑制しうる。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
1.反射材用ポリエステル樹脂組成物
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂Aと、白色顔料Bと、無機充填材Cと、特定の化合物Dと、特定の光安定剤Eとを含む。
1−1.ポリエステル樹脂A
ポリエステル樹脂Aは、少なくとも芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を含むジカルボン酸成分単位(a1)と、脂環族ジアルコールに由来する成分単位及び/又は脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含むジアルコール成分単位(a2)とを含むことが好ましい。
ジカルボン酸成分単位(a1)は、テレフタル酸に由来する成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位0〜70モル%とを含むことが好ましい。ジカルボン酸成分単位(a1)中の各ジカルボン酸成分単位の合計量を100モル%とする。
ジカルボン酸成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは40〜100モル%であり、さらに好ましくは60〜100モル%でありうる。テレフタル酸に由来する成分単位の含有割合が一定以上であると、ポリエステル樹脂Aの耐熱性を高めやすい。ジカルボン酸成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは0〜60モル%であり、さらに好ましくは0〜40モル%でありうる。
テレフタル酸に由来する成分単位は、テレフタル酸又はテレフタル酸エステルに由来する成分単位でありうる。テレフタル酸エステルは、好ましくはテレフタル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルであり、その例にはジメチルテレフタレート等が含まれる。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位の例には、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらの組み合わせに由来する成分単位、並びに当該芳香族ジカルボン酸のエステル(好ましくは芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル)に由来する成分単位が含まれる。
ジカルボン酸成分単位(a1)は、上記成分単位とともに、少量の脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位や多価カルボン酸に由来する成分単位をさらに含んでもよい。ジカルボン酸成分単位(a1)に含まれる脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位と多価カルボン酸に由来する成分単位の合計割合は、例えば10モル%以下としうる。
脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位の炭素原子数は、特に制限されないが、4〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位の例には、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等に由来する成分単位が含まれ、好ましくはアジピン酸由来の成分単位でありうる。多価カルボン酸に由来する成分単位の例には、トリメリット酸やピロメリット酸等の三塩基酸及び多塩基酸に由来する成分単位が含まれる。
ジアルコール成分単位(a2)は、炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコール成分単位及び/又は脂肪族ジアルコール成分単位を含む。
脂環族ジアルコール成分単位は、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性を高め、且つ吸水性を低減しうる。脂環族ジアルコールに由来する成分単位は、炭素数4〜20の脂環式炭化水素骨格を有する脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含むことが好ましい。そのような脂環族ジアルコールに由来する成分単位の例には、1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘプタンジメタノール等に由来する成分単位が含まれる。中でも、耐熱性や吸水性、入手容易性等の観点から、シクロヘキサン骨格を有するジアルコールに由来する成分単位が好ましく、シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位がさらに好ましい。
脂環族ジアルコールには、シス/トランス構造等の異性体が存在するが、耐熱性の観点ではトランス構造のほうが好ましい。従って、シス/トランス比は、好ましくは50/50〜0/100であり、さらに好ましくは40/60〜0/100である。
脂肪族ジアルコール成分単位は、ポリエステル樹脂組成物の溶融流動性を高めうる。脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の例には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等に由来する成分単位が含まれる。
中でも、ジアルコール成分単位(a2)は、炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含むことが好ましい。具体的には、ジアルコール成分単位(a2)は、脂環族ジアルコールに由来する成分単位(好ましくはシクロヘキサン骨格を有するジアルコール成分単位)を30〜100モル%、脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を0〜70モル%含むことが好ましい。ジアルコール成分単位(a2)中の各ジアルコール成分単位の合計量を100モル%とする。
ジアルコール成分単位(a2)における脂環族ジアルコールに由来する成分単位(シクロヘキサン骨格を有するジアルコール成分単位)の割合は、好ましくは50〜100モル%であり、さらに好ましくは60〜100モル%でありうる。ジアルコール成分単位(a2)における脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の割合は、好ましくは0〜50モル%であり、より好ましくは0〜40モル%でありうる。
ジアルコール成分単位(a2)は、上記構成単位とともに、少量の芳香族ジアルコールに由来する成分単位をさらに含んでもよい。芳香族ジアルコールの例には、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類等の芳香族ジオール等が含まれる。
ポリエステル樹脂Aの、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)若しくはガラス転移温度(Tg)は、250℃以上である。融点やガラス転移温度が250℃以上であると、リフローはんだ工程での反射板(ポリエステル樹脂組成物の成形物)の変色や変形等が抑制される。ポリエステル樹脂Aの融点(Tm)若しくはガラス転移温度(Tg)は、270〜350℃であることが好ましく、380〜335℃であることがより好ましい。融点若しくはガラス転移温度が350℃以下であると、溶融成形の際に、ポリエステル樹脂Aの分解を抑制しやすい。
ポリエステル樹脂Aの融点は、示差走査熱量計(DSC)により、JIS-K7121に準拠して測定されうる。具体的には、測定装置としてX−DSC7000(SII社製)を準備する。この装置に、ポリエステル樹脂Aの試料を封入したDSC測定用パンをセットし、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で320℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の降温測定で30℃まで降温する。そして、昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度を「融点」とする。
ポリエステル樹脂Aの極限粘度[η]は、0.3〜1.2dl/gであることが好ましい。極限粘度がこのような範囲にある場合、反射材用ポリエステル樹脂組成物の成形時の流動性が優れる。ポリエステル樹脂Aの極限粘度は、ポリエステル樹脂Aの分子量を調整する等して調整されうる。例えば、ポリエステル樹脂Aの分子量の調整方法は、重縮合反応の進行度合いや単官能のカルボン酸や単官能のアルコール等を適量加える等の公知の方法を採用することができる。
ポリエステル樹脂Aの極限粘度は、以下の手順で測定することができる。
ポリエステル樹脂Aをフェノールとテトラクロロエタンの50/50質量%の混合溶媒に溶解させて試料溶液とする。得られた試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を用いて25℃±0.05℃の条件下で測定し、下記式に当てはめて極限粘度[η]を算出する。
[η]=ηSP/[C(1+kηSP)]
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:溶媒の流下秒数(秒)
k:定数(溶液濃度の異なるサンプル(3点以上)の比粘度を測定し、横軸に溶液濃度、縦軸にηsp/Cをプロットして求めた傾き)
ηSP=(t−t0)/t0
ポリエステル樹脂Aは、例えば反応系内に分子量調整剤等を配合して、ジカルボン酸成分単位(a1)とジアルコール成分単位(a2)とを反応させて得ることができる。上述のように、反応系内に分子量調整剤を配合することで、ポリエステル樹脂Aの極限粘度を調整しうる。
分子量調整剤は、モノカルボン酸やモノアルコールでありうる。モノカルボン酸の例には、炭素原子数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸が含まれる。なお、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有していてもよい。脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ−ル酸等が含まれる。また、芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸等が含まれ、脂環族モノカルボン酸の例には、シクロヘキサンカルボン酸が含まれる。
分子量調整剤の添加量は、ジカルボン酸成分単位(a1)とジアルコール成分単位(a2)とを反応させる際のジカルボン酸成分単位(a1)の合計量1モルに対して0〜0.07モル、好ましくは0〜0.05モルとしうる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂Aの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して30〜80質量%であることが好ましい。ポリエステル樹脂Aの含有量が30質量%以上であると、成形性を損なうことなく、リフローはんだ工程等に耐えうる耐熱性に優れた反射材用ポリエステル樹脂組成物が得られやすい。ポリエステル樹脂Aの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して40〜70質量%であることがより好ましく、50〜60質量%であることがさらに好ましい。
1−2.白色顔料B
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる白色顔料Bは、ポリエステル樹脂組成物を白色化し、光反射機能を向上できるものであればよい。具体的には、白色顔料Bは、屈折率が2.0以上であることが好ましい。白色顔料Bの屈折率の上限値は、例えば4.0でありうる。そのような白色顔料Bの例には、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミナ等が含まれる。これらの白色顔料Bは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。中でも、成形物の反射率や隠蔽性を高くしやすい点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは、ルチル型であることが好ましい。
白色顔料Bは、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等のカップリング剤で処理されていてもよい。例えば、白色顔料Bは、ビニルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン系化合物で表面処理されていてもよい。
白色顔料Bは、反射率を均一化させる観点等から、アスペクト比の小さい、即ち球状に近いものが好ましい。
白色顔料Bの平均粒子径は、0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.15〜0.3μmであることがより好ましい。白色顔料Bの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真をもとに画像回折装置(ルーゼックスIIIU)等で測定される。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における白色顔料Bの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して5〜50質量%であることが好ましい。白色顔料Bの含有量が5質量%以上であると、成形物の白色度を十分に高めやすく、且つ反射率を高めやすい。白色顔料Bの含有量が50質量%以下であると、成形性が損なわれにくい。白色顔料Bの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらにより好ましい。
白色顔料Bのポリエステル樹脂Aに対する含有量は、例えば25〜90質量%、好ましくは60〜80質量%、より好ましくは65〜80質量%としうる。
1−3.無機充填材C
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる無機充填材Cの形状は、球状、繊維状、又は板状のいずれであってもよく、成形物に良好な強度や靱性を付与しやすい観点では、好ましくは繊維状である。
繊維状の無機充填材の例には、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー、ミルドファイバー、カットファイバー等が含まれる。これらのうちの1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、平均繊維径が比較的小さく、成形物の表面平滑性を高めやすいこと等から、ワラストナイト、ガラス繊維及びチタン酸カリウムウィスカーからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ワラストナイト又はガラス繊維がより好ましい。光遮蔽効果が高い点ではワラストナイトが好ましく、機械強度が高い点ではガラス繊維が好ましい。
反射材用ポリエステル樹脂組成物中の繊維状の無機充填材の平均繊維長(l)は、通常、2μm〜5mmであることが好ましい。平均繊維長(l)が5mm以下であると、繊維状の無機充填材が成形時に折れにくいだけでなく、繊維状の無機充填材が樹脂中に微分散するため、表面平滑性が高まりやすい。また、平均繊維長(l)が2μm以上であると、成形物に良好な強度を付与しうる。繊維状の無機充填材の平均繊維長(l)は、8μm〜300μmであることが好ましく、8μm〜100μmであることがより好ましく、8μm〜50μmであることがさらに好ましい。
反射材用ポリエステル樹脂組成物中の繊維状の無機充填材の平均繊維径(d)は、成形時に繊維状の無機充填材を微分散させやすくし、且つ成形物の表面平滑性を高める観点から、一定以下であることが好ましく、具体的には0.05〜30μmであることが好ましい。平均繊維径(d)を0.05μm以上とすることで、成形時に繊維状の無機充填材が折れるのを抑制しやすく、30μm以下とすることで、成形物の表面平滑性を高めやすく、高い反射率が得られやすい。繊維状の無機充填材の平均繊維径(d)は、2〜7μmであることがより好ましい。
反射材用ポリエステル樹脂組成物(例えばペレット等のコンパウンド)中の繊維状の無機充填材の平均繊維長(l)及び平均繊維径(d)は、以下の方法で測定されうる。
1)反射材用ポリエステル樹脂組成物をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム溶液(0.1/0.9体積%)に溶解させた後、濾過して得られる濾過物を採取する。
2)得られた濾過物のうち任意の100本の繊維状の無機充填材を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率:50倍)で観察し、それぞれの繊維長及び繊維径を計測する。繊維長の平均値を平均繊維長(l)とし;繊維径の平均値を平均繊維径(d)としうる。
繊維状強化材の平均繊維長(l)を平均繊維径(d)で除して得られるアスペクト比(l/d)は、2〜20であることが好ましく、7〜12であることがより好ましい。アスペクト比が一定以上であると、成形物に一定以上の強度や剛性を付与しやすい。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における無機充填材Cの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して1〜50質量%であることが好ましい。無機充填材Cの含有量が1質量%以上であると、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性や強度を高めやすく、50質量%以下であると、ポリエステル樹脂組成物の成形性や成形物の表面平滑性を高めやすい。無機充填材Cの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して5〜40質量%であることがより好ましく、7〜25質量%であることがさらに好ましい。
1−4.化合物D
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる化合物Dは、分子内に下記一般式(A)で表される構造を1以上有する化合物でありうる。
Figure 2018159034
1分子あたりの一般式(A)で表される構造の数は、例えば1〜4でありうるが、好ましくは1である。即ち、化合物Dは、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2018159034
一般式(1)のXは、有機基を示す。有機基Xは、炭素原子数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、又は炭素原子数6〜20の置換若しくは未置換のアリール基を示し;好ましくは炭素原子数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、又は炭素原子数6〜20の置換若しくは未置換のアリール基を示す。
炭素原子数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−オクチル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基等が含まれる。炭素原子数6〜20の置換若しくは未置換のアリール基の例には、2,4-ジ-t-ブチルフェニル基、2,4-ジ-t-ペンチルフェニル基等が含まれる。
有機基Xで表されるアルキル基、シクロヘキシル基、及びアリール基が有しうる置換基は、メチル基、エチル基等の炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基等の炭素原子数6〜12のアリール基;ヒドロキシ基;メトキシ基;及びオキサジアゾール基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。
化合物Dの分子量は、200〜2000であることが好ましく、200〜1000であることがより好ましい。化合物Dの分子量が上記範囲にあると、溶融時の揮発が少なく、且つ他の成分と良好に混合しやすく、ポリエステル樹脂組成物の流動性も損なわれにくい。化合物Dの分子量は、例えば質量分析計により分子の相対質量として測定することができる。
化合物Dは、ラジカル捕捉作用を有しうる。それにより、ポリエステル樹脂組成物の製造時や成形時、成形物の使用環境下で受ける熱や光で発生するラジカルを捕捉し、当該製造時や成形時のポリエステル樹脂Aの熱分解や、熱や光による成形物中のポリエステル樹脂Aの分解を抑制しうる。特に、化合物Dは、一般式(1)で示されるようにオキシカルボニル基がベンゼン環に直接結合した構造を有するので、良好なラジカル捕捉性を有しうる。また、化合物Dは、フェニルエステル構造を有するので、テレフタル酸由来のフェニルエステル構造を有するPCT等のポリエステル樹脂Aと良好に相溶しやすい。従って、高温で溶融混錬すると、当該樹脂中に化合物Dが均一に分散しやすいので、樹脂の分解反応を効率的に抑制できる。それにより、成形物の変色を均一に抑制でき、且つ成形時や使用環境下での成形物の加熱後の反射率の低下を抑制しうる。
さらに、化合物Dは、紫外線吸収作用も有しうる。それにより、成形物中のポリエステル樹脂Aの光による分解を抑制しうるので、成形物の変色を抑制でき、且つ光照射後の反射率の低下も少なくしうる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における化合物Dの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.01〜3質量%であることが好ましい。化合物Dの含有量が0.01質量%以上であると、熱による成形物中の樹脂の劣化を抑制して十分な白色度が得られやすく、加熱後の反射率の低下を低減しやすい。化合物Dの含有量が3質量%以下であると、化合物Dの分解物に起因する着色や色相悪化による成形物の加熱後の反射率の低下を少なくしうる。化合物Dの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.05〜1.5質量%であることが好ましく、0.1〜1.1質量%であることがより好ましい。
化合物Dのポリエステル樹脂Aに対する含有量は、0.25〜2質量%、好ましくは0.27〜1質量%でありうる。化合物Dの含有量が一定以上であると、熱や光を長時間受けたときの成形物中のポリエステル樹脂Aの分解反応を好ましく抑制しうる。化合物Dの含有量が一定以下であると、化合物Dの分解物に起因する着色や色相悪化による成形物の反射率の低下を少なくしうる。
1−5.光安定剤E
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる光安定剤Eは、分子内に置換されていてもよいピペリジン環とアミド基(−CONR−、Rは水素原子又はアルキル基)とを有し、且つ芳香族環を含まない化合物である。このように、光安定剤Eは、分子内にアミド基を有するので、ポリエステル樹脂Aとの相溶性が良好となり、成形物に長時間光が照射されたときの樹脂の分解に起因するクラックを高度に抑制しやすい。また、光安定剤Eは、分子内に芳香族環を含まないので、それによる光吸収を少なくし、加熱後の反射率の低下を抑制しうる。
「置換されていてもよいピペリジン環」とは、ピペリジン環の窒素原子と結合する水素原子又はピペリジン環の2位と6位の炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部が置換基で置換されていてもよいピペリジン環をいう。1分子あたりの、置換されていてもよいピペリジン環の数は、1つであってもよいし、複数あってもよい。光安定剤Eは、一般式(2)で表される化合物又はそれとエピクロロヒドリンとの反応生成物であることが好ましい。
Figure 2018159034
一般式(2)のXは、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数1〜15のアルコキシ基であり、好ましくは水素原子である。
一般式(2)のRは、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基である。中でも、光安定剤Eの反応性が過剰になるのを抑制する観点では、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
一般式(2)のRは、水素原子、又は芳香族環を含有しない1価の有機基であり、好ましくは芳香族環を含有しない1価の有機基である。Rは、芳香族環を含有しない1価の有機基である。但し、RとRの少なくとも一方は、アミド基(−CONR−、Rは水素原子又はアルキル基)を含有している。RとRがいずれも芳香族環を含有しない1価の有機基であるとき、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。RとRが互いに形成する環は、4員環、5員環、6員環又は7員環であり、好ましくは5員環であり、好ましくは5員環である。
一般式(2)で表される化合物とエピクロロヒドリンとの反応生成物は、単量体であってもよいし、重合体であってもよい。
一般式(2)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2018159034
一般式(3)のXは、一般式(2)のXと同義であり、好ましくは水素原子である。一般式(3)のRは、一般式(2)のRと同義であり、好ましくはメチル基である。
一般式(3)のRは、−O−、−CH−、−CO−又は−NR−(Rは、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基)であり、好ましくは−O−である。
一般式(3)のRは、−CH−、−CR’R’’−(R’は、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基、R’’は、炭素原子数1〜15のアルキル基)、−NR−(Rは、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基)、又は−CO−であり、好ましくは−CR’R’’−である。R’とR’’がいずれも炭素原子数1〜15のアルキル基であるとき、R’とR’’は互いに結合して環(例えば4〜15員環)を形成してもよい。つまり、−CR’R’’−における炭素原子は、4級炭素原子(スピロ原子)となりうる。
一般式(3)のRは、−NR−(Rは、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基)又は−CO−であり、好ましくは−NR−である。
一般式(3)のRは、−CO−又は−NR−(Rは、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基)であり、好ましくは−CO−である。
一般式(2)又は(3)で表される化合物の例には、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカン(クラリアントケミカルズ社製Hostavin 3051P)や、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン等が含まれる。一般式(2)又は(3)で表される化合物とエピクロロヒドリンとの反応生成物の例には、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4,5]デカンと、エピクロロヒドリンとの反応生成物(クラリアントケミカルズ社製Hostavin N30)等が含まれる。一般式(2)で表される化合物の他の例には、トリス(2−ヒドロキシ−3−(アミノ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)プロピル)ニトリロトリアセテート、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、無水マレイン酸−C18〜C22−α−オレフィンコポリマーと、2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物等も含まれる。
光安定剤Eの分子量は、例えば200〜10000でありうる。光安定剤Eは、低分子量タイプであってもよいし、高分子量タイプであってもよい。低分子量タイプの光安定剤Eの分子量は、200〜1000であることが好ましく;高分子量タイプの光安定剤Eの分子量は、1000超10000以下であることが好ましい。中でも、ポリエステル樹脂Aに対する均一に分散しやすく、クラック防止効果が得られやすい観点等から、低分子量タイプの光安定剤Eが好ましい。光安定剤Eの分子量は、例えばGC−MSやLC−MS等により測定することができる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における光安定剤Eの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.1〜1.5質量%であることが好ましい。光安定剤Eの含有量が0.1質量%以上であると、長時間光が照射されたときの成形物中の樹脂の劣化を抑制し、クラックを十分に抑制しやすい。光安定剤Eの含有量が1.5質量%以下であると、光安定剤Eの分解物に起因する着色や色相悪化による成形物の反射率の低下を少なくしうる。光安定剤Eの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.1〜0.3質量%であることが好ましく、0.15〜0.3質量%であることがより好ましい。
化合物Dと光安定剤Eの含有比率E/Dは、0.5〜4であることが好ましい。含有比率E/Dが0.5以上であると、光安定剤Eの含有割合が適度に多いので、長時間光が照射されたときの樹脂の分解に起因するクラックの発生を高度に抑制しやすい。含有比率E/Dが4以下であると、化合物Dの含有割合が適度に多い(光安定剤Eの含有割合が適度に少ない)ので、熱による成形物中の樹脂の分解を抑制し、光安定剤Eの熱分解による着色も生じにくく、加熱後の反射率を高度に維持しやすい。含有比率E/Dは、長時間光が照射されたときのクラックの発生をより高度に抑制する観点から、0.7〜3であることがより好ましい。
1−6.その他の成分F
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて、前述のA〜E成分以外の他の成分、例えば、化合物D以外の他の酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類、リン類等)、光安定剤E以外の他の光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ヒンダードアミン類、オギザニリド類等)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、他の重合体(ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、LCP等)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系、無機系等)蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、結晶核剤、滑剤等の添加剤をさらに含んでもよい。他の成分の合計含有量は、反射材用ポリエステル樹脂組成物の全質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下としうる。
1−6−1.酸化防止剤
酸化防止剤は、化合物Dとは異なる酸化防止剤でありうる。そのような酸化防止剤の好ましい例には、リンを含む酸化防止剤が含まれる。リンを含む酸化防止剤は、P(OR)構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。Rは、アルキル基、アルキレン基、アリール基、アリーレン基等であり、3個のRは同一でも異なっていてもよく、2個のRが環構造を形成していてもよい。
リンを含む酸化防止剤の例には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が含まれる。ポリエステル樹脂組成物にリンを含む酸化防止剤が含まれると、高温雰囲気下(特に、リフロー工程のように250℃を超える条件下)において、ポリエステル樹脂Aの分解反応が抑制される。その結果、ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる反射材の変色等が抑制される。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。酸化防止剤の含有量が上記範囲内であると、成形物の耐候性や耐熱性を十分に高めやすい。
1−6−2.結晶核剤
結晶核剤の例には、リン酸2,2−メチレンビス(4,6ジt−ブチルフェニル)ナトリウム、トリス(p−t−ブチル安息香酸)アルミニウム、ステアリン酸塩等の金属塩系化合物;ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4−エチルベンジリデン)ソルビトール等のソルビトール系化合物;タルク、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト等の無機物等が含まれる。中でも、成形物の結晶化度を高めやすい点から、タルクが好ましい。これらの結晶核剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における結晶核剤の含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。結晶核剤の含有量が上記範囲内であると、成形物の結晶化度を十分に高めやすく、十分な機械的強度が得られやすい。
1−6−3.滑剤
滑剤の例には、変性ポリオレフィンワックスが含まれる。変性ポリオレフィンワックスは、ポリオレフィン(例えばエチレン(共)重合体やプロピレン(共)重合体等)の、不飽和カルボン酸(例えば無水マレイン酸)やスチレン類(例えばスチレン)による変性物、又は空気酸化による酸化変性物でありうる。本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物が変性ポリオレフィンワックスをさらに含むことで、成形時の流動性が高められやすく、金型からの離型性も向上しうる。滑剤の例には、ハイワックス1120H(三井化学社製)等が含まれる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における変性ポリオレフィンワックスの含有量は、ポリエステル樹脂A、白色顔料B、無機充填材C、化合物D及び光安定剤Eの合計に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。変性ポリオレフィンワックスの含有量が上記範囲内であると、成形時の流動性を十分に高めやすい。
2.反射材用ポリエステル樹脂組成物の製造方法
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、上記の各成分を、公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法により製造することができる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは上記各成分を一軸押出機や多軸押出機等で混合後、溶融混練し、造粒あるいは粉砕して得られるペレット等のコンパウンドでありうる。コンパウンドは、成形用材料として好ましく用いられる。溶融混練は、ポリエステル樹脂Aの融点より5〜30℃高い温度で行うことが好ましい。溶融混練温度の好ましい下限値は、255℃、好ましくは275℃、より好ましくは295℃とすることができ、好ましい上限値は、360℃、より好ましくは340℃とすることができる。
3.反射材
本発明の反射材は、本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形物である。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物の成形物は、反射材として良好に機能させる観点から、成形物の、波長450nmの光の反射率が90%以上であることが好ましく、94%以上であることがより好ましい。反射率は、コニカミノルタ社製CM3500dを用いて測定することができる。測定時の成形物の厚みは、0.5mmとしうる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物の成形物は、熱や光を受けても反射率の低下が少ないことが好ましい。具体的には、当該成形物の、150℃で500時間加熱後に測定される波長450nmの光の反射率は、例えば90%以上でありうる。測定時の成形物の厚みは、0.5mmとしうる。加熱後の反射率を維持するためには、前述の化合物Dを一定量以上含有させることが好ましい。
本発明の反射材は、少なくとも光を反射させる面を有するケーシングやハウジング等でありうる。光を反射させる面は、平面、曲面または球面でありうる。例えば、反射板は、箱状または函状、漏斗状、お椀形状、パラボラ形状、円柱状、円錐状、ハニカム状等の形状の光反射面を有する成形物でありうる。
本発明の反射材は、有機ELや発光ダイオード(LED)などの各種光源の反射材として用いられる。中でも、発光ダイオード(LED)の反射材として用いられることが好ましく、表面実装に対応した発光ダイオード(LED)の反射材として用いられることがより好ましい。
本発明の反射材は、本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物を、射出成形、特にフープ成形等の金属のインサート成形、溶融成形、押出し成形、インフレーション成形、ブロー成形等の加熱成形により、所望の形状に賦形することによって得ることができる。
本発明の反射材を備えたLEDパッケージは、例えば基板上に成形された、LEDを搭載するための空間を有するハウジング部と、当該空間に搭載されたLEDと、LEDを封止する透明な封止部材とを有しうる。このようなLEDパッケージは、1)基板上に反射板を成形してハウジング部を得る工程と;2)ハウジング部内にLEDを配置し、LEDと基板とを電気的に接続する工程と;3)LEDを封止剤で封止する工程とを経て製造されうる。封止工程では、封止剤を熱硬化させるために100〜200℃の温度で加熱する。さらに、LEDパッケージをプリント基板に実装する際のリフローはんだ工程では、LEDパッケージが250℃以上もの高温に曝される。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物から得られる反射材は、特定の化合物Dと特定の光安定剤Eとを含むので、上記工程で高温の熱に曝されたり、使用環境下でLEDから発生する可視光や紫外光等の光を長時間受けたりしても、高い反射率を維持しつつ、クラックの発生を抑制しうる。
本発明の反射材は、種々の用途に用いることができ、例えば各種電気電子部品、室内照明、屋外照明、自動車照明等の反射板として用いることができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.材料の調製
<ポリエステル樹脂A>
ポリエステル樹脂A−1:下記方法で合成したポリエステル樹脂
(ポリエステル樹脂A−1の合成)
ジメチルテレフタレートl06.2質量部と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス比:30/70)(東京化成工業社製)94.6質量部とを混合した。当該混合物に、テトラブチルチタネート0.0037質量部を加え、150℃から300℃まで3時間30分かけて昇温し、エステル交換反応をさせた。
前記エステル交換反応終了時に、1,4−シクロヘキサンジメタノールに溶解した酢酸マグネシウム・四水塩0.066質量部を加え、引き続きテトラブチルチタネート0.1027質量部を導入して重縮合反応を行った。重縮合反応は常圧から1Torrまで85分かけて徐々に減圧し、同時に所定の重合温度300℃まで昇温した。温度と圧力を保持したまま撹拌を続け、所定の撹拌トルクに到達した時点で反応を終了させた。その後、得られた重合体を取り出し、260℃、1Torr以下で3時間固相重合させてポリエステル樹脂A−1を得た。
得られたポリエステル樹脂A−1の極限粘度[η]は0.6dl/gであり、融点は290℃であった。極限粘度[η]と融点は、以下の方法で測定した。
(極限粘度)
得られたポリエステル樹脂A−1を、フェノールとテトラクロロエタンの50/50質量%の混合溶媒に溶解して試料溶液とした。得られた試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を用いて25℃±0.05℃の条件下で測定し、下記式に当てはめて極限粘度[η]を算出した。
[η]=ηSP/[C(1+kηSP)]
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:溶媒の流下秒数(秒)
k:定数(溶液濃度の異なるサンプル(3点以上)の比粘度を測定し、横軸に溶液濃度、縦軸にηsp/Cをプロットして求めた傾き)
ηSP=(t−t0)/t0
(融点)
ポリエステル樹脂A−1の融点の測定は、JIS−K7121に準じて行った。測定装置としてX−DSC7000(SII社製)を準備した。これに、ポリエステル樹脂A−1の試料を封入したDSC測定用パンをセットし、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分で、320℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の降温測定で30℃まで降温させた。そして、昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度を「融点」とした。
<白色顔料B>
酸化チタン:粉末状、平均粒径0.21μm
酸化チタンの平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真をもとに画像回折装置(ルーゼックスIIIU)にて画像解析して求めた。
<無機充填材C>
ガラス繊維:平均繊維長(l)3mm、平均繊維径(d)6.5μm(日本電気硝子社製ECS03T−171DE/P9W、シラン化合物処理品)
<化合物D>
D−1:KEMISORB114(ケミプロ化成(株)、下記式参照)
Figure 2018159034
<光安定剤E>
E−1:Hostavin N 30(クラリアントケミカルズ社製、融点148℃、下記式参照)
Figure 2018159034
E−2:Hostavin 3051P(クラリアントケミカルズ社製、分子量364.5、融点225℃、下記式参照)
Figure 2018159034
<他の光安定剤>
R−1:Nylostab S−EED(クラリアントケミカルズ社製、融点272℃、下記式参照)
Figure 2018159034
R−2:アデカスタブLA−57(株式会社ADEKA製、分子量791、融点125〜135℃、下記式参照)
Figure 2018159034
<その他の成分F>
PEP−36(酸化防止剤):ビス(2,6−ジ-t-ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールージーフォスファイト(株式会社ADEKA製、分子量633、融点234〜240℃)
ハイワックス1120H(滑剤):特殊モノマー変性ポリエチレンワックス(三井化学社製、分子量1200、融点107℃、溶融粘度(140℃)40mPa・s)
ET−5(核剤):タルク(松村産業社製)
2.反射材用ポリエステル樹脂組成物の作製と評価
[実施例1]
ポリエステル樹脂Aとして上記合成したポリエステル樹脂A−1を51.88質量部、白色顔料Bとして上記酸化チタンを35質量部、無機充填材Cとして上記ガラス繊維を10質量部、化合物Dとして上記D−1を0.16質量部、光安定剤として上記E−1を0.25質量部と、他の酸化防止剤として上記PEP−36を0.08質量部と、ワックス剤として上記1120Hを2質量部と、核剤として上記ET−5を0.63質量部とをタンブラーブレンダーを用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX30α)にてシリンダー温度300℃で原料を溶融混錬した後、ストランド状に押出した。押出物を水槽で冷却後、ペレタイザーでストランドを引き取り、カットして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
[実施例2〜4、及び比較例1〜4]
表1に示される組成に変更した以外は実施例1と同様にしてペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリエステル樹脂組成物の、反射特性(各種反射率)、成形性(流動長)、曲げ特性(靱性、曲げ強度、曲げ弾性率、たわみ)及び耐候性(クラック発生日)を、以下の方法で評価した。
<反射特性>
(初期反射率)
得られたポリエステル樹脂組成物を、下記の成形機を用いて、下記の成形条件で射出成形して、長さ30mm、幅30mm、厚さ0.5mmの試験片を調製した。
成形機:住友重機械工業(株)社製、SE50DU
シリンダー温度:融点(Tm)+10℃、
金型温度:150℃
得られた試験片を、ミノルタ(株)CM3500dを用いて、波長領域360nm〜740nmの反射率を求めた。波長450nmの反射率を代表値として初期反射率とした。
(リフロー試験後の反射率)
初期反射率を測定した試料片を、170℃のオーブンに2時間放置した。次いで、この試料片を、エアーリフローはんだ装置(エイテックテクトロン(株)製AIS−20−82−C)を用いて、試料片の表面温度が260℃となり、かつ20秒保持する温度プロファイルの熱処理(リフローはんだ工程と同様の熱処理)を施した。この試料片を徐冷後、初期反射率と同様の方法で反射率を測定し、リフロー試験後の反射率とした。
(加熱後の反射率)
初期反射率を測定した試験片を、150℃のオーブンに504時間放置した。その後、得られた試料片の反射率を、初期反射率と同様の方法で測定し、加熱後の反射率とした。
(紫外線照射後の反射率)
初期反射率を測定した試験片を、下記の紫外線照射装置に250時間放置した。その後、得られた試料片の反射率を、初期反射率と同様の方法で測定し、紫外線照射後の反射率とした。
紫外線照射装置:ダイプラ・ウィンテス(株) スーパーウィンミニ
出力:16mW/cm
<成形性>
(流動長)
得られたポリエステル樹脂組成物を、幅10mm、厚み0.5mmのバーフロー金型を用いて、以下の条件で射出成形し、金型内の樹脂の流動長(mm)を測定した。
射出成形機:(株)ソディック プラステック、ツパールTR40S3A
射出設定圧力:2000kg/cm
シリンダー設定温度:融点(Tm)+10℃
金型温度:30℃
<曲げ特性>
得られたポリエステル樹脂組成物を、下記の成形機を用いて、下記成形条件で成形し、試験片を得た。試験片は、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmとした。
成形機:射出成形機((株)ソディック プラステック、ツパールTR40S3A)
シリンダー温度:300℃
金型温度:150℃
得られた試験片を、温度23℃、窒素雰囲気下に24時間放置した。次いで、温度23℃、湿度50%Rhの雰囲気下で、曲げ試験機:NTESCO社製 AB5、スパン26mm、曲げ速度5mm/分で曲げ試験を行い、このときの強度、弾性率、靱性及びたわみを測定した。
<耐候性>
得られたポリエステル樹脂組成物を、下記の成形機を用い、下記の成形条件で射出成形して、長さ30mm、幅30mm、厚さ0.5mmの試験片を作製した。
成形機:住友重機械工業(株)社製、SE50DU
シリンダー温度:融点(Tm)+10℃
金型温度:150℃
作製した試験片を、下記の環境試験器に下記の条件で静置し、2.5WのLEDライトを試験片表面から0.4mmの位置に置いて照射した。1日毎に試験片表面を光学顕微鏡によりクラックの有無を観察し、クラックが発生するまでに要する日数をカウントした。
環境試験器:エスペック社製 PWL−3KP
環境試験器の条件:85℃、85%RH
光学顕微鏡:オムロン社製 VC4500
光学顕微鏡の条件:500倍
実施例1〜4及び比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
Figure 2018159034
表1に示されるように、一般式(1)で表される化合物Dと、アミド基を有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤Eとをそれぞれ所定量以上含む実施例1〜4のポリエステル樹脂組成物は、長期加熱後や長期UV照射後の反射率の低下が少なく、且つクラック発生日が長く、耐候性に優れることがわかる。
特に低分子量の光安定剤Eを用いた実施例4のポリエステル樹脂組成物は、長期加熱後や長期UV照射後の反射率を良好に維持しつつ、クラックをより高度に抑制できることがわかる。
一方、光安定剤自体を含まない比較例2のポリエステル樹脂組成物や、アミド基を有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤Eを含むが、その含有量が少ない比較例1のポリエステル樹脂組成物、アミド基を有しない光安定剤を含む比較例4のポリエステル樹脂組成物は、いずれも短期間でクラックが発生しやすく、耐候性が十分ではないことがわかる。また、芳香族環を含む光安定剤を含む比較例3のポリエステル樹脂組成物は、クラックは発生しにくいものの、長期加熱後や長期UV照射後の反射率の低下が大きいことがわかる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、長期加熱後の反射率の低下が少なく、且つ使用環境下で光源から受ける光に長時間曝されてもクラックを高度に抑制できる反射材を付与する反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。

Claims (11)

  1. 示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上であるポリエステル樹脂Aを30〜80質量%と、
    白色顔料Bを5〜50質量%と、
    無機充填材Cを1〜50質量%と、
    下記一般式(1)で表される化合物Dの少なくとも一種を0.01〜3質量%と、
    置換されていてもよいピペリジン環とアミド基とを有し、且つ芳香族環を含まない光安定剤Eを0.1〜1.5質量%と
    を含む(但し、前記ポリエステル樹脂A、前記白色顔料B、前記無機充填材C、前記化合物D及び前記光安定剤Eの合計は100質量%である)、反射材用ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2018159034
    (一般式(1)のXは、有機基を示す)
  2. 前記化合物Dと前記光安定剤Eの含有比率E/Dは、0.5〜4.0である、請求項1に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記光安定剤Eの分子量は、1000以下である、請求項1又は2に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記光安定剤Eは、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記化合物Dの有機基Xが、炭素原子数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、又は炭素原子数6〜20の置換若しくは未置換のアリール基であり、
    前記アルキル基、前記シクロヘキシル基、及び前記アリール基が有する置換基は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基、メトキシ基、及びオキサジアゾール基からなる群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記ポリエステル樹脂Aが、
    テレフタル酸に由来する成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位0〜70モル%とを含むジカルボン酸成分単位と、
    炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位および/または脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含むジアルコール成分単位と、
    を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記脂環族ジアルコールに由来する成分単位が、シクロヘキサン骨格を有する、請求項6に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  8. 前記ジアルコール成分単位が、シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位30〜100モル%と、前記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位0〜70モル%とを含む、請求項6又は7に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  9. 前記白色顔料Bは、酸化チタンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる、反射材。
  11. 発光ダイオード素子用の反射材である、請求項10に記載の反射材。
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