JP2018158980A - 高反応性コークス - Google Patents

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Abstract

【課題】外部から衝撃が加わっても、反応性が低下しにくい高反応性コークスを実現する。【解決手段】高反応性コークス(1)は、還元反応を促進する触媒物質(30)がバインダー(20)によってコークス(10)の表面に付着しており、当該バインダー(20)は高分子物質を含んでいるとともに、粘着性を有しており、高反応性コークス(1)は耐衝撃性を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉に装入される高反応性コークスに関する。
高炉においては、炉頂から鉄鉱石(焼結鉱)およびコークスを層状に装入し、当該鉄鉱石(焼結鉱)を炉内で還元して、溶融状態にある銑鉄が製造されている。溶銑の製造コスト削減およびCO排出量削減を実現するためにはコークスの使用量を低減することが重要である。コークスの使用量を低減する方法としては、高炉内での還元効率を向上させることが有効である。
高炉内での還元効率を向上させるための代表的な方法としては、例えばコークスの反応性を向上させることが知られており、当該反応性を向上させるための様々な技術の研究・開発が進められている。
例えば、特許文献1には、アルカリ土類金属・アルカリ土類金属化合物等の触媒を溶解または分散させた水溶液に接着機能を有する物質を添加した後、当該液体をコークスと接触させて触媒をコークスに付着させる高反応性コークスの製造方法が開示されている。また例えば、特許文献2には、成型炭に、触媒物質を溶媒に溶解または分散させた液体(触媒液)を接触させて、成型炭の表面部に触媒物質を担持させた後、成型炭をシャフト炉に装入して加熱、乾留する高炉用高反応性成型コークスの製造方法が開示されている。
特許第3936574号明細書(2007年6月27日発行) 特許第4383075号明細書(2009年12月16日発行)
ここで、特許文献1に開示された製造方法では、接着機能を有する水溶性接着剤としてポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等を用いることで、高反応性コークスにおける、触媒粒子のコークス表面への残存率を向上させている。しかしながら、これらの水溶性接着剤では接着機能が十分ではなく、例えば高反応性コークスを高炉に装入した際、当該高反応性コークスが落下して一定以上の衝撃が加わった場合には、コークス表面から多くの触媒粒子が剥離してしまう。その結果、高反応性コークスの反応性が低下するという問題点があった。
また、特許文献2に開示された製造方法についても、触媒液の粘性を増加させる添加剤として上記のポリビニルアルコール等が用いられていることから、特許文献1の製造方法にて製造された高反応性コークスと同様の問題点があった。
本発明の一態様は、外部から衝撃が加わっても、反応性が低下しにくい高反応性コークスを実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る高反応性コークスは、還元反応を促進する触媒物質がバインダーによってコークスの表面に付着しており、前記バインダーは高分子物質を含んでいるとともに、粘着性を有しており、前記高反応性バインダーは耐衝撃性を有している。
上記構成によれば、高分子物質を含むバインダーが粘着性を有していることから、本発明の一態様に係る高反応性コークスを構成するコークスの表面には、バインダーとして水を用いた場合に比べて、より多くの触媒物質が付着することとなる。また、バインダーの水分の乾燥後も高分子物質がコークスの表面に残存することから、当該乾燥後も触媒物質の付着率が低下しにくい。
さらには、本発明の一態様に係る高反応性コークスが耐衝撃性を有していることから、例えば、上記高反応性コークスが高炉内を落下して焼結鉱等に衝突しても触媒物質がコークスの表面から剥離しにくく、その結果、付着率が低下しにくい。以上より、本発明の一態様に係る高反応性コークスは、外部から衝撃が加わっても反応性が低下しにくい。
また、本発明の一態様に係る高反応性コークスにおいて、前記バインダーは、前記高分子物質としてリグニンスルホン酸塩を含んでいることが好ましい。上記構成によれば、触媒物質が、リグニンスルホン酸塩以外の高分子物質を含むバインダーよりも粘着性が高いバインダーによってコークスの表面に付着していることから、触媒物質の付着率が向上する。それゆえ、より高い反応性を有するとともに、外部から衝撃が加わっても当該反応性が低下しにくい高反応性コークスを実現することができる。
また、本発明の一態様に係る高反応性コークスにおいて、前記触媒物質は、酸化鉄を含んでいることが好ましい。上記構成によれば、本発明の一態様に係る高反応性コークスを高炉に装入した場合、触媒物質に酸化鉄が含まれていない場合に比べてより低温で還元反応が生じ始める。それゆえ、より高い反応性を有するとともに、外部から衝撃が加わっても当該反応性低下しにくい高反応性コークスを実現することができる。
また、本発明の一態様に係る高反応性コークスにおいて、前記コークスの粒径は、10mm〜35mmであることが好ましい。上記構成によれば、例えば平均粒径が約45mmのコークス(いわゆる「大塊コークス」)の重量と上記高反応性コークスの重量とが同一の場合を比較すると、大塊コークスに比べて上記高反応性コークスの方が表面積が大きく、その分触媒物質がより多く付着する。また、COガスとの接触面積も大きくなることから還元反応(C+CO=2CO)がより低温から活発に行われ、結果、還元反応がより促進される。
さらには、大塊コークスに比べて上記高反応性コークスの方が一粒当りの重量が軽いことから、高炉内を落下して焼結鉱等に衝突した時に受ける衝撃は、大塊コークスよりも上記高反応性コークスの方が小さい。したがって、大塊コークスよりも上記高反応性コークスの方がコークスの表面から触媒物質が剥離しにくく、付着率が低下しにくい。それゆえ、より高い反応性を有するとともに、外部から衝撃が加わっても当該反応性が低下しにくい高反応性コークスを実現することができる。
また、本発明の一態様に係る高反応性コークスにおいて、前記耐衝撃性を有しているとは、1mの高さから前記高反応性コークスを落下させてアルミニウム製の板に衝突させる動作を5回繰り返した場合における、前記触媒物質の前記コークスに対する付着率が50%以上であることを意味するものであってもよい。
本発明の一態様によれば、外部から衝撃が加わっても触媒物質がコークスの表面から剥離しにくく、反応性が低下しにくい高反応性コークスを実現することができる。
本発明の一実施形態に係る高反応性コークスの構造の概略を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るコークスの前処理および装入方法を示す工程図である。 高炉内の温度と、本発明の一実施形態に係る高反応性コークス等の各重量減少との関係を示すグラフである。 バインダーの濃度とミルスケールの付着率との関係を示すグラフである。 バインダーの有無とミルスケールの付着率との関係を示す表である。 バインダーの乾燥温度とミルスケールの付着率との関係を示すグラフである。 ミルスケールの付着率に関し、計算付着率と実測値との関係を示すグラフである。 上記高反応性コークスの使用割合と、還元材比およびガス利用率との関係を示すグラフである。
<高反応性コークスの構造>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る高反応性コークス1の構造について説明する。図1は、高反応性コークスの構造の概略を示す断面図である。高反応性コークス1は、高炉(不図示)の還元効率を向上させるために、ガス化反応性(反応性)を高める処理が施されたコークスである。高反応性コークス1は、図1に示すように、コークス10、バインダー20およびミルスケール30により構成されている。
コークス10は、高炉に装入された焼結鉱(不図示、鉄鉱石であってもよい)を還元して、当該焼結鉱の酸化を防止するために使用される。また、コークス10は、高炉内の通気性確保のため、あるいは熱源としても使用される。具体的には、コークス10は、高炉内で熱を発散しながら燃焼する際、同時に還元ガスである一酸化炭素ガスを発生する(C+CO=2CO)。この還元ガスに、酸化した焼結鉱の酸素が吸着することにより、焼結鉱を還元する。コークス10として、本実施形態では、平均粒径(粒径)が10mm〜35mmの小中塊コークスを使用している。なお、本明細書では、10mm〜35mmなどと記載した場合、10mm以上35mm以下の数値範囲を意味している。
高炉には、高反応性コークス1とともに大塊コークス(平均粒径約45mm)が装入される。大塊コークスは、高炉内の通気を確保するために粒径を大きく保つことが好ましい。仮に大塊コークスの反応性を向上させると、反応に伴って当該大塊コークスの強度が低下してしまう。大塊コークスの強度の低下は高炉内での大塊コークスの粉化を促進し、通気悪化の要因となる。それゆえ、本実施形態に係るコークスは小中塊コークスのみで構成されており、大塊コークスが混入しないようにしている。
なお、本発明の一態様に係るコークスは、平均粒径が35mmより大きく45mm未満のコークスであってもよい。但し、コークスの表面積を大きくして、当該コークスをCOガスにより多く接触させる観点からは、本発明の一態様に係るコークスとして上記の小中塊コークスを用いることが好ましい。
バインダー20として、本実施形態では液体の有機系バインダー(商品名:サンエキスM100(登録商標)、販売元:日本製紙株式会社)を水で希釈し、バインダー20に対する液体の有機系バインダーの濃度(以下、「バインダー20の濃度」と略記する)が20%(重量%)以上になるものを用いた。また、バインダー20の主成分はリグニンスルホン酸塩であり、リグニンスルホン酸塩は高い粘着性(粘結性)を有する高分子物質である。
バインダー20の濃度を20%以上とすることにより、当該濃度が20%より低い場合に比べて、高炉への装入時に高反応性コークス1を落下させてもミルスケール30の付着率が低下しにくくなる(詳細は後述)。そのため、高炉の操業時においても確実に高反応性コークス1の反応性を低下しにくくすることが可能である。なお、ミルスケール30の付着率が顕著に低下しない範囲において、バインダー20の濃度を20%より低くしてもよい。
仮に水のみをバインダー20として用いた場合、コークス10は水との濡れ性が悪いことから、バインダー20がコークス10の表面の凹凸全体に浸透しない。それゆえ、水をバインダー20として用いても、コークス10に対するミルスケール30の付着率を向上させる効果は小さい。また、水のみをバインダー20として用いた場合、乾燥によって水がコークス10の表面から蒸発してしまうため、ミルスケール30がコークス10の表面から剥離してしまう。
一方、本実施形態に係るバインダー20はコークス10との濡れ性がよく、上記表面の凹凸全体に浸透する。また、本実施形態に係るバインダー20は乾燥後でもその成分(リグニンスルホン酸塩等)が残存することから、残存した成分によって、ミルスケール30の付着率が低下しにくい。
さらに、詳細については後述するが、本実施形態に係るバインダー20を用いることで高反応性コークス1が耐衝撃性を有することとなる。したがって、高反応性コークス1が高炉内を落下して焼結鉱等に衝突しても、ミルスケール30がコークス10の表面から剥離しにくくなる。それゆえ、高反応性コークス1を高炉に装入する時の衝撃によって当該高反応性コークス1の反応性が低下することを防止できる。
なお、本発明の一態様に係るバインダーとして、バインダー20(リグニンスルホン酸塩を主成分とする有機系バインダー)以外のバインダーを用いてもよい。換言すれば、本発明の一態様に係るバインダーは高分子物質を含むとともに粘着性を有するものであればよく、当該バインダーを用いることで高反応性コークス1が耐衝撃性を有するに至るものであればよい。
ミルスケール30は還元反応を促進する触媒物質であって、製鉄所の圧延工程で生じる、いわゆる黒皮である。すなわち、ミルスケール30は酸化鉄を主成分とするリサイクル品である。なお、触媒効果はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等によっても得ることができることから、本発明の一態様に係る触媒物質として、鉄以外の金属を主成分とする触媒物質を用いてもよい。
しかしながら、鉄以外の金属を主成分とする触媒物質をミルスケール30に代えて用いた場合、高炉内の耐火煉瓦損傷の要因になる、スラグ比が上昇する等の問題が生じる可能性がある。一方、本実施形態のように触媒物質としてミルスケール30を用いた場合、ミルスケール30の主成分である酸化鉄が高炉内で溶融して溶銑となるため上記の問題が生じることなく、有効である。したがって、本発明の一態様に係る触媒物質としては、ミルスケールまたはその他の、酸化鉄を含む触媒物質を用いることが好ましい。
<コークスの前処理および装入方法>
次に、図2を参照して、コークス10の前処理および装入方法について説明する。図2は、コークス10の前処理および装入方法を示す工程図である。
ます、コークス10にバインダー20を散布し、コークス10の表面をバインダー20で湿らせる(ステップ(以下、「S」と略記する)100:散布工程)。次に、バインダー20で表面が濡れたコークス10をミルスケール30と混合することにより、ミルスケール30を当該コークス10の表面に付着させる(S200:混合工程)。
ここで、多くの製鉄所において、焼結鉱の製造およびリサイクル品・スラグの処理等が可能な混合設備、特に、大量生産が可能な連続式ドラム型ミキサーを備えた混合設備が設置されている。本実施形態においても、上述のコークス10とミルスケール30との混合は、この連続式ドラム型ミキサーを使用して行われてもよい。
次に、バインダー20によって表面にミルスケール30が付着したコークス10、すなわち高反応性コークス1を高炉に装入し、当該高炉内において焼結鉱と混合する(S300:挿入工程)。これにより、高炉の還元効率を向上させつつ、高反応性コークス1とともに高炉に装入される大塊コークスの強度を保つことができ、高炉内の通気悪化を防止することができる。
なお、本実施形態に係るコークス10の前処理方法には、散布工程S100および混合工程S200が含まれている。すなわち、高反応性コークス1は、最低限、散布工程S100および混合工程S200の2つの工程を踏むだけで製造することができる。装入工程S300が上記前処理方法に含まれると見なす必要はない。
<高反応性コークスの特性>
次に、図3〜図8を参照して、高反応性コークス1の特性について説明する。図3は、高炉内の温度と、高反応性コークス1等の各重量減少との関係を示すグラフである。図4は、バインダー20の濃度とミルスケール30の付着率との関係を示すグラフである。図5は、バインダーの有無とミルスケールの付着率との関係を示す表である。図6は、バインダーの乾燥温度とミルスケールの付着率との関係を示すグラフである。図7は、ミルスケール30の付着率に関し、計算付着率と実測値との関係を示すグラフである。図8は、高反応性コークス1の使用割合と、還元材比およびガス利用率との関係を示すグラフである。
(触媒物質の有無、および触媒物質の種類による反応性の違い)
まず、以下に説明する試験を行って、触媒物質の有無、および触媒物質の種類による反応性の違いを調査した。すなわち、(i)コークス10、(ii)コークス10の表面に触媒物質としてMIXダストを付着させた高反応性コークス(以下、「比較用高反応性コークス」とする)、および(iii)高反応性コークス1のそれぞれを電子天秤に載せた。電子天秤は竪型の電気炉(COの雰囲気が100%)に備えられており、この電気炉で上記(i)〜(iii)の各コークスを加熱した。
そして、還元反応に伴う各コークスの重量減少(−ΔC(%))を測定するとともに、当該重量減少の起こりはじめる温度についても測定した。上記の重量減少の測定に関し、重量と成分から炭素当量を換算した。ここで、MIXダストは、ミルスケール30よりも含有鉄分の含有率が低い触媒物質であり、比較用高反応性コークスは、図2に示すコークス10の前処理方法と同様の処理方法で製造した。
上記の試験を行った結果、図3に示すように、コークス10(「付着無」と表記)および比較用高反応性コークス(「MIXダスト13.9%」と表記)については、900℃を超えたあたりから重量が減少し始めるのに対し、高反応性コークス1(「スケール8.4%」と表記)については、800℃より若干低い温度から重量が減少し始めた。
ここで、図中の「13.9%」の表記は、比較用高反応性コークスにおけるMIXダストの付着割合(%)を示しており、この付着割合(%)は、(付着したMIXダストの重量)/(付着したMIXダストの重量+コークス10の重量)の計算式で求めた。また、図中の「8.4%」の表記は高反応性コークス1におけるミルスケール30の付着割合(%)を示しており、この付着割合(%)は、(付着したミルスケール30の重量)/(付着したミルスケール30の重量+コークス10の重量)の計算式で求めた。
重量が減少し始めた温度を反応開始温度と見なすと、コークス10および比較用高反応性コークスよりも、高反応性コークス1のほうが低温で還元反応が生じ始めたと考えられる。このことから、触媒物質としてMIXダストを付着させた場合よりも、ミルスケール30を付着させた場合のほうが、還元反応の効率が高いことがわかった。
(バインダーの濃度とミルスケールの付着率との関係)
次に、以下に説明する試験を行って、バインダーの濃度とミルスケールの付着率との関係を調査した。すなわち、(A)バインダー20として水を用いた場合(バインダー20の濃度が0%)、バインダー20の濃度がそれぞれ(B)10%、(C)20%、(D)30%の場合について、高反応性コークス1を1mの高さから落下させる動作を繰り返す。そして、落下毎に高反応性コークス1の重量測定を行って付着率を計算した。高反応性コークス1の落下位置には、アルミニウム製の板が配置されており、高反応性コークス1は、落下動作毎に上記アルミニウム製の板に衝突する。
ここで、上記(A)〜(D)の高反応性コークス1のそれぞれについて、製造直後(ミルスケール30を付着させた直後)の初期状態を付着率100%とした。また、重量測定によって判明した高反応性コークス1の重量の減少分は、すべてコークス10の表面から剥離したミルスケール30の重量に相当するものと見なし、付着したミルスケール30の重量を付着後のコークス10の重量で除した値を付着率とした。
上記の試験を行った結果、図4に示すように、(A)バインダー20として水を用いた場合、特に5回目の落下(合計落下距離5m)までは落下毎に付着率が大きく減少した。具体的には、最初の落下によって付着率が約20%減少し、5回目の落下後には付着率が約20%となった。また、20回目の落下(合計落下距離20m)後には付着率が0%となった。すなわち、コークス10の表面に付着していたミルスケール30がすべて剥離した状態となった。
(B)バインダー20の濃度が10%の場合、(A)の場合ほどではないものの、特に5回目の落下までは落下毎に付着率が大きく減少した。具体的には、最初の落下によって付着率が約12%減少し、5回目の落下後には付着率が約62%となった。また、20回目の落下後には付着率が約22%となった。すなわち、コークス10の表面に付着しているミルスケール30の量が初期状態の約5分の1にまで減少した。
バインダー20の濃度が(C)20%および(D)30%の場合では付着率の変化の仕方に大きな差が見られず、ともに(A)および(B)の場合に比べて緩やかに付着率が減少した。また、両場合とも、20回目の落下後においても付着率が約65%であった。すなわち、初期状態の約3分の2の量のミルスケール30が、コークス10の表面に付着していた。
以上のことから、バインダー20の濃度が20%以上であれば、初期状態においてコークス10の表面に付着していたミルスケール30がより剥離しにくくなることがわかった。すなわち、バインダー20の濃度が20%以上であれば、高反応性コークス1に衝撃が複数回加わってもミルスケール30の付着率が低下しにくいことがわかった。
(バインダーの乾燥温度とミルスケールの付着率との関係)
次に、以下に説明する試験を行って、バインダーの乾燥温度とミルスケールの付着率との関係を調査した。すなわち、(I)バインダー20として水を用いた場合(乾燥温度100℃:以下、「バインダー20無し」と表現する)、所定濃度のバインダー20につき(II)乾燥させなかった場合、および乾燥温度が(III)105℃、(IV)200℃、(V)300℃、(VI)400℃、(VII)600℃、(VIII)800℃でそれぞれ乾燥させた場合について、高反応性コークス1を1mの高さから落下させる動作を繰り返す。
高反応性コークス1の製造直後の初期状態を付着率100%とする点、落下毎に高反応性コークス1の重量測定を行って付着率を計算する点、高反応性コークス1が落下動作毎にアルミニウム製の板に衝突する点は、上記の落下試験と同様である。なお、高反応性コークス1の落下によって上記板に発生した鉄分はすべて、コークス10に付着していたミルスケール30と見なした。
この落下試験を行った結果、図5に示すように、(I)バインダー20無しの場合、コークス10に付着していたミルスケール30が16回目の落下ですべて剥離した。一方、所定濃度のバインダー20を用いると、(II)乾燥させなかった場合、および乾燥温度が(III)〜(VIII)のいずれの場合においても、16回目の落下後の付着率は高い値となった。具体的には、付着率が最も低い(VIII)乾燥温度が800℃の場合でも付着率は76.4%であり、コークス10の表面に付着しているミルスケール30の量は初期状態から約24%しか減少していない。一方、付着率が最も高い(III)乾燥温度が105℃の場合では付着率は86%であり、ミルスケール30の量は初期状態から14%しか減少していない。また、両場合の付着率の差は約10%であり、あまり差がない。
また、上記(II)〜(VIII)のいずれの場合においても、17回目以降の落下後の付着率は、16回目の落下後の付着率からほとんど低下していない。さらに、20回目の落下後の付着率を見ても、上記(III)の場合の付着率と上記(VIII)場合の付着率との差は約10%である。これらのことから、バインダー20の乾燥温度の高低に拘らず、高反応性コークス1に衝撃が複数回加わってもミルスケール30の付着率が低下しにくいことがわかった。
また、図5および図6に示すように、(VIII)乾燥温度が800℃の場合でも、落下試験終了後の付着率が約76%と高い数値を示す。このことから、(I)バインダー20無しの場合と比較してバインダー20を用いる方が、高反応性コークス1に衝撃が複数回加わっても、ミルスケール30が高い付着率でコークス10に付着することがわかった。さらに、バインダー20を高温で乾燥しても、付着率がなお高い値を示すことがわかった。
上記の2つの落下試験の結果から、高反応性コークス1の「耐衝撃性」は、所定の高さ(例えば、1mの高さ)から高反応性コークス1を落下させてアルミニウム製の板に衝突させる動作を所定回数(例えば、5回)繰り返した場合における、ミルスケール30の付着率により定義することができる。高反応性コークス1は、1mの高さからの落下動作を5回繰り返した後のミルスケール30の付着率が、バインダー20の濃度に拘らず50%以上であることから、「耐衝撃性」を有しているといえる。
(付着率の調整)
次に、以下に説明する試験を行って、高反応性コークス1の好ましい前処理方法の検討を行った。すなわち、図2に示すコークス10の前処理方法を実施する際、混合工程S200において、スケールの割合α(wt%)、バインダーの割合β(%)およびバインダー20中における希釈用の水の割合γ(%)のそれぞれを適宜変化させ、各割合を変化させる毎に、下記式(1)を用いてミルスケール30の計算付着率を算出した。また、上記各割合を変化させた毎にミルスケール30の付着率の実測値を求め、計算付着率との関係がどのようになるか調査した。ここで、下記式(1)は、スケールの割合α(wt%)、バインダーの割合β(%)およびバインダー20中における希釈用の水の割合γ(%)のそれぞれを適宜変化させた上で試行錯誤した結果、見出された式である。
付着率(%)=18.4α+265.9β−42.2γ+1.3 ・・・(1)
上記の試験結果に基づいて横軸を計算付着率、縦軸を実測値としたグラフを作成すると、図7に示すように計算付着率と実測値とがほぼ等しくなった。言い換えれば、計算付着率と実測値とは、Y(実測値)≒X(計算付着率)の関係になった。
このように上記式(1)が適切な式であることが実証されたことから、スケールの割合α、バインダーの割合βおよび上記水の割合γのそれぞれを適宜変化させることで、コークス10の表面に付着するミルスケール30の付着率を調整できることがわかった。
このように、高反応性コークス1は、その製造過程でミルスケール30の付着率を調整することができる。それゆえ、例えば、一旦製造した高反応性コークス1について所望の付着率が得られなかった場合に、スケールの割合α、バインダーの割合βまたは上記水の割合γのいずれかを適宜変更して、意図する数値まで付着率を上昇させることができる。これにより、所望の反応性を有する高反応性コークス1を製造することができる。
(還元効率の変化)
高炉に装入するコークス10の総量のうち所定の割合の量を高反応性コークス1に振り替えて、還元効率の変化を測定した。本実験において、コークス10および高反応性コークス1とともに、PC(Pulverised Coal:微粉炭)および大塊コークスを高炉に装入した。
そして、振り替える高反応性コークス1の量を適宜変化させた場合における、RAR(Reduction Agent ratio:還元材比(kg/t−pig))およびηCO(ガス利用率)をそれぞれ求めた。ここで、RARは、PC、大塊コークス、高反応性コークス1およびコークス10の各使用量(kg/t−pig)を合計することによって求めた。また、ηCOは、CO(%)/(CO+CO(%))の計算式で求めた。単位(kg/t−pig)は、溶銑1トン当りの使用量を表す。
なお、ηCOを求める計算式には、高炉炉頂において測定されたCOおよびCOの各値を使用した。また、この試験を行った際のミルスケール30の付着率は、約6.0wt%(σ=2.2)であった。この付着率の数値(約6.0wt%)は、コークス10の成分分析値およびミルスケール30の成分分析値に基づいて、付着率を9サンプル分算出し、9サンプル分の付着率を平均したものである。
次に、上記の実験結果に基づいて、図8に示すような横軸を使用割合、縦軸をベース条件との比(高反応性コークス1を使用していないときを1としたときの、RARおよびηCOの各比率)とした、RARおよびηCOの各グラフを求めた。ここで、使用割合は、RARを構成するコークス10のうち高反応性コークス1に振り替えた割合を示すものである。例えば、使用割合0%は、RARに高反応性コークス1が全く含まれていないことを表し、使用割合100%は、RARにコークス10が全く含まれていないことを表す。
図8に示すように、上記使用割合が約30%を超えた辺りから、RARが急激に減少し始めるとともに、ηCOが急激に上昇し始めた。これは、上記使用割合が約30%を超えると還元反応がより促進され、その結果、使用している高反応性コークス1の総重量の減少量が急増することに起因する。また、上記使用割合が約50%以上になると、RARに関するベース条件との比が約0.995で一定となり、ηCOに関するベース条件との比が約1.01で一定となった。
RARの減少およびηCOの上昇は、それぞれ高炉内での還元反応の効率(すなわち、ガス利用率)が向上したことを表すことから、上記使用割合を50%以上にすることにより、還元反応の効率を向上させることができることがわかった。
<付記事項>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 高反応性コークス
10 コークス
20 バインダー
30 ミルスケール(触媒物質)

Claims (5)

  1. 還元反応を促進する触媒物質がバインダーによってコークスの表面に付着しており、
    前記バインダーは高分子物質を含んでいるとともに、粘着性を有しており、
    耐衝撃性を有している高反応性コークス。
  2. 前記バインダーは、前記高分子物質としてリグニンスルホン酸塩を含んでいる請求項1に記載の高反応性コークス。
  3. 前記触媒物質は、酸化鉄を含んでいる請求項1または2に記載の高反応性コークス。
  4. 前記コークスの粒径は、10mm〜35mmである請求項1から3のいずれか1項に記載の高反応性コークス。
  5. 前記耐衝撃性を有しているとは、1mの高さから前記高反応性コークスを落下させてアルミニウム製の板に衝突させる動作を5回繰り返した場合における、前記触媒物質の前記コークスに対する付着率が50%以上であることを意味している請求項1から4のいずれか1項に記載の高反応性コークス。
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