JP2018158978A - 樹脂組成物、成形体及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、成形体及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リン系難燃剤を用いた樹脂組成物であって、高い難燃性と機械特性を有し、ブリードを発生しにくい成形体を製造することができ、かつ成形性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)成分及び(B)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。(A)ポリオレフィン 50〜95質量%;(B)リン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有珪藻土、及びリン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分 5〜50質量%
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体及び樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリオレフィンは、その優れた特性から成形材料として広範な分野で使用されているが、可燃性であるため、工業材料としての使用には難燃性の付与が要求される場合が多い。
従来、ポリオレフィンの難燃化の方法として、デカブロモジフェニルオキシドに代表されるハロゲン系難燃剤を配合することが行われている。一方、ハロゲン系難燃材料は燃焼時及び成形時に有毒有害なガスや黒煙を発生する懸念があるため、最近は、毒性が低く低排煙のリン系難燃剤(ノンハロゲン系難燃剤)に段階的に移行している。
しかしながら、リン系難燃剤はポリオレフィンとの親和性が低く、例えば、熱溶融するリン酸エステルは、難燃性に必要な量をポリオレフィンに混合することができない。また、少量であっても成形品にリン酸エステルのブリードが発生することがあり、製品化は困難であった。そのため、ポリオレフィン用難燃剤として未溶融タイプのリン系難燃剤が使用されているが、当該リン系難燃剤は機械的物性や耐溶剤性等のポリオレフィン特性を低下させる問題があった。また、ポリオレフィン用難燃剤は高価なものが多く、工業的に多量生産される安価なリン酸エステルの利用が望まれていた。
特許文献1には、ポリオレフィンに、リン酸アミン塩、ポリテトラフルオロエチレン、及びリン酸エステルを配合する技術が開示されている。
特許文献2には、ポリオレフィンに、リグノフェノール、ポリヒドロキシアルカノエート、及びリン酸エステルを配合する技術が開示されている。
特許文献3には、熱可塑性樹脂と無機化合物とのマスターバッチに難燃剤等を混合する製造方法が記載されている。
特開2015−113365号公報 特開2016−186025号公報 特開2003−335868号公報
リン系難燃剤を用いた従来の樹脂組成物では、難燃性及び機械特性が高く、ブリードが発生しにくいという要求を全て満たす成形体を製造することはできなかった。
本発明の目的は、リン系難燃剤を用いた樹脂組成物であって、高い難燃性と機械特性を有し、ブリードを発生しにくい成形体を製造することができ、かつ成形性に優れる樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、多孔質体に注目して検討を行った。即ち、リン酸エステルはポリオレフィンとの混合が困難であるが、リン酸エステルを多孔質体に含浸(吸着)させて粉状のリン酸エステル含有物とすることでポリオレフィンと問題なく混合でき、これにより所望量のリン酸エステルを樹脂組成物に添加することが可能となるという知見を見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の樹脂組成物等が提供される。
1.下記(A)成分及び(B)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。
(A)ポリオレフィン 50〜95質量%
(B)リン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有珪藻土、及びリン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分 5〜50質量%
2.前記リン酸エステル含有珪藻土が、前記リン酸エステルを35〜65質量%含有する1に記載の樹脂組成物。
3.前記リン酸エステルが、80℃以下で液体である1又は2に記載の樹脂組成物。
4.前記(A)成分が、ポリプロピレンである1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて作製した成形体。
6.リン酸エステル17〜70質量%と珪藻土30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有珪藻土を調製する工程、及びリン酸エステル17〜70質量%とパーライト発泡体30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有パーライト発泡体を調製する工程からなる群から選択される1以上の工程、並びに
前記リン酸エステル含有珪藻土及びリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分5〜50質量%と、ポリオレフィン50〜95質量%とを混合する工程
を含む樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、リン系難燃剤を用いた樹脂組成物であって、高い難燃性と機械特性を有し、ブリードを発生しにくい成形体を製造することができ、かつ成形性に優れる樹脂組成物が提供できる。
[樹脂組成物]
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、下記(A)成分及び(B)成分を下記の割合で含む。
(A)ポリオレフィン 50〜95質量%
(B)リン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有珪藻土、及びリン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分 5〜50質量%
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、珪藻土及び/又はパーライト発泡体を用いることにより、所望量のリン酸エステルを樹脂組成物に添加することが可能となる。これにより、得られる成形体は難燃性と機械特性に優れ、さらにブリードを発生しにくい。また、安価なリン酸エステルにより難燃性を付与できるため、結果として安価な難燃材料(樹脂組成物)を提供することができる。さらに、例えば液状のリン酸エステルを用いる場合であっても混練機に液添設備等を設ける必要がなく、既存の設備で樹脂組成物を製造することができるため経済的である。
以下、各成分について説明する。尚、本明細書において、「x〜y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。
((A)成分:ポリオレフィン)
ポリオレフィンとしては、特に制限はないが、ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、及びプロピレンを主成分とする共重合体等が挙げられる。ポリプロピレンは、これらのうち1種又は2種以上で構成することができる。
プロピレンの単独重合体としては、特に制限はないが、樹脂組成物の軽量さと成形性の観点から、230℃でのメルトインデックスが0.1〜200g/10分であると好ましく、樹脂組成物の剛性や耐衝撃性の観点から、230℃でのメルトインデックスが0.2〜60g/10分であるとより好ましい。
プロピレンを主成分とする共重合体としては、特に制限はないが、例えば、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとプロピレン以外の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びプロピレンとプロピレン以外の1種又は2種以上のα−オレフィンとのブロック共重合体等が挙げられる。これら共重合体の中でも、樹脂組成物の軽量さと成形性の観点から、230℃でのメルトインデックスが0.1〜200g/10分であるものが好ましく、樹脂組成物の剛性や耐衝撃性の観点から230℃でのメルトインデックスが0.2〜60g/10分であるものがより好ましい。
プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
(ポリエチレン)
ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、及びエチレンを主成分とする共重合体等が挙げられる。ポリエチレンは、これらのうち1種又は2種以上で構成することができる。
エチレンの単独重合体としては、特に制限はないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。樹脂組成物の軽量さと成形性の観点から、密度が0.910〜0.965g/cmであり、190℃でのメルトインデックスが0.01〜200g/10分であるエチレン単独重合体が好ましい。190℃でのメルトインデックスが上記範囲内であれば、樹脂組成物の流動性が高く、また成形体の表面外観に不具合を生じるおそれがない。190℃でのメルトインデックスは0.01〜60g/10分であるとより好ましい。
エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体等が挙げられる。これらの共重合体の中でも、樹脂組成物の軽量さと成形性の観点から、190℃でのメルトインデックスが0.01〜200g/10分であるものが好ましい。190℃でのメルトインデックスが上記範囲内であれば、樹脂組成物の流動性が高く、また成形体の表面外観に不具合を生じるおそれがない。190℃でのメルトインデックスは0.01〜60g/10分であるとより好ましい。
エチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
市販のポリオレフィンとしては、プライムポリマー株式会社製のポリプロピレン「プライムポリプロ」、「ポリファイン」、「プライムTPO」等の各シリーズ(例えば、品番「J−700GP」、「E105GM」);出光興産株式会社製のポリプロピレン(例えば、品番「J−966HP」);プライムポリマー株式会社製の各種ポリエチレン樹脂「ハイゼックス」、「ネオゼックス」、「ウルトゼックス」、「モアテック」、「エボリュー」等の各シリーズ(例えば、高密度ポリエチレン樹脂、品番「2200J」);東ソー株式会社製の低密度ポリエチレン(例えば、品番「ペトロセン190」)等が挙げられる。
(A)成分は、成形体の耐熱性及び耐久性の観点からポリプロピレンであると好ましい。
本発明の一態様に係る樹脂組成物における(A)成分の割合は、50〜95質量%である。50質量%以上であれば得られる成形体が衝撃強度に優れ、95質量%以下であれば得られる成形体が難燃性及び弾性特性に優れる。
(A)成分の割合は、好ましくは、60〜95質量%であり、より好ましくは70〜95質量%である。
((B)成分:リン酸エステル含有珪藻土、リン酸エステル含有パーライト発泡体)
上述したように、リン酸エステル(難燃剤)はポリオレフィンとの混合が困難であるが、多孔質体(好ましくは粉体)に含浸(吸着)させて粉状のリン酸エステル含有物とすることで、ポリオレフィンと問題なく混合できるようになる。これにより、所望量のリン酸エステルを樹脂組成物に添加することができるようになり、難燃性や機械特性に優れた成形体を製造することができる。
本発明の一態様において、当該多孔質体として珪藻土及び/又はパーライト発泡体を用いる。即ち、樹脂組成物の(B)成分として、リン酸エステルを珪藻土に含有させたリン酸エステル含有珪藻土、及び/又はリン酸エステルをパーライト発泡体に含有させたリン酸エステル含有パーライト発泡体を用いる。
(リン酸エステル)
リン酸エステルとしては、特に制限はないが、ハロゲンを含まないか、ハロゲン含有量が少ないリン酸エステルが好ましい。ハロゲンの量が少なければ、成形時の有害ガスの発生、金型腐食、成形体の焼却時の有害物質の排出等を抑制することができ、環境汚染、安全性の観点から好ましい。
リン酸エステルのハロゲン含有量は、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下としてもよい。
ハロゲンを含まないリン酸エステルとしては、ハロゲン非含有有機リン酸エステル等が挙げられる。ハロゲン非含有有機リン酸エステルとしては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば特に制限なく用いることができる。中でも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステルが好ましい。ハロゲン非含有有機リン酸エステル以外のハロゲン非含有化合物としては、赤リン等がある。
ハロゲン非含有有機リン酸エステルとしては、例えば、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2018158978
(式(1)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であり、Xは2価の有機基であり、mは0又は1であり、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数である。)
式(1)において、R11〜R14の有機基としては、アルキル基(炭素数は例えば1〜20)、シクロアルキル基(炭素数は例えば3〜20)、アリール基(炭素数は例えば6〜20)等が挙げられる。これらは置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合の置換基としては、アルキル基(炭素数は例えば1〜20)、アルコキシ基(炭素数は例えば1〜20)、アリール基(炭素数は例えば6〜20)、アリールオキシ基(炭素数は例えば6〜20)、アリールチオ基(炭素数は例えば6〜20)等が挙げられる。これら置換基を組み合わせた基であるアリールアルコキシアルキル基等、又はこれら置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等により結合して組み合わせたアリールスルホニルアリール基等であってもよい。
Xの2価以上の有機基としては、上記の有機基から水素原子を1個除いて得られる2価の基が挙げられる。例えば、アルキレン基、(置換)フェニレン基、多核フェノール類であるビスフェノール類から誘導される基が挙げられる。好ましい基としては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニル及びジヒドロキシナフタレン等から誘導される基が挙げられる。
mは、好ましくは1であり、nは好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1であり、rは好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1である。
リン酸エステルは、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート(例えばビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートが挙げられ、これらの置換体、縮合物等であってもよい。
市販のハロゲン非含有有機リン酸エステルとしては、例えば、大八化学工業株式会社製「TPP」(トリフェニルホスフェート)、「TXP」(トリキシレニルホスフェート)、「CR−733S」(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、「PX−200」(1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル)、「PX−201」(1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル)、「PX−202」((4,4’−ビフェニレン−テスラキス)2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル)等;アデカ株式会社製「FP800」(4,4’−ビス(ジフェニルホスホリル)−1、1’−ビフェニル)等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、好ましくは80℃以下で液体のものを用いる。80℃以下で液体であると、多孔質体(珪藻土、パーライト発泡体)への含浸が容易となる。リン酸エステルは、例えば80℃又は60℃で液体のものである。
上述した例示のうち80℃以下で液体である好ましいものとして、「TPP」、「TXP」、「CR−733S」、「CR741」等が挙げられる。
(珪藻土)
珪藻土は藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)であり、珪藻の殻は二酸化珪素(SiO)を主成分とする。珪藻土には特有の細孔と殻相互の空隙とによる大きな空隙率があり、この多孔質が高い液体保持性をもたらす。また、珪藻土の主成分はシリカであるため、薬剤に対して不活性であり耐熱性に優れる。
珪藻土は、例えば、平均粒径100μm以下のものが使用できる。珪藻土の平均粒径は、好ましくは2〜50μmであり、さらに好ましくは3〜30μmである。
平均粒径は、1mm角の領域における粒径0.1〜1000μmの粒子を、電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名「JSM−6390LA」)により撮影した写真を用いて、目視により無差別に100個選択し、当該100個の粒子の粒径の単純平均(算術平均)を求めることで算出する。粒径として、粒子の長径を用いる。当該電子顕微鏡は5%の誤差を有することが知られているため、単純平均も5%の誤差を有すると考えられる。
市販の珪藻土としては、昭和化学工業株式会社製「ラヂオライト」シリーズ等が挙げられ、「ラヂオライト」シリーズは、通常、平均粒径5〜50μmの粒子からなり、通常、各粒子は直径0.1μm〜3μmの細孔を有する。
(パーライト発泡体)
パーライトはガラス質火山岩であり、加熱によって膨張する性質を有する。例えば、600〜1000℃で加熱すると4〜20倍の体積に膨張し、ガラス質の岩石中に含まれる構造水がガス化して発泡し、パーライト発泡体となる。
パーライトの種類は、含まれる水分量によって黒曜石、真珠岩、松脂岩等に分類される。
パーライト発泡体として、通常、パーライト発泡体を粉砕した粉砕物を用いる。当該粉砕物は、平均粒径100μm以下のものが使用でき、平均粒径は好ましくは2〜50μmであり、さらに好ましくは3〜30μmである。平均粒径の測定方法は上述した通りである。
市販のパーライト発泡体の粉砕物としては、昭和化学工業株式会社製「トプコ」シリーズ等があり、これらは、通常、平均粒径5〜50μmの粒子からなる。
リン酸エステル含有珪藻土中のリン酸エステルの含有量は、17〜70質量%が好ましく、35〜65質量%が好ましい。17質量%以上であれば十分な難燃性が得られ、70質量%以下であればリン酸エステル含有珪藻土が粉体状態を維持でき、固まったり、べとついたりすることがない。これにより、樹脂組成物を問題なく製造でき、また成形体のブリード発生を抑制することができる。リン酸エステル含有パーライト発泡体も同様である。
(リン酸エステル含有珪藻土等の製造方法)
リン酸エステル含有珪藻土は、例えば、液体のリン酸エステル、熱溶融させたリン酸エステル、又は溶媒に溶かしたリン酸エステルを珪藻土に配合し、60℃〜100℃(例えば80℃)で、ミキサー等の混合機(例えばヘンシェルミキサー)により、1分〜1時間撹拌することで製造できる。これにより、珪藻土の多孔中にリン酸エステルが含浸、吸着したリン酸エステル含有珪藻土が得られる。リン酸エステル含有パーライト発泡体も同様である。
リン酸エステルを溶媒に溶かす場合の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
本発明の一態様に係る樹脂組成物における(B)成分の含有割合は、5〜50質量%である。5質量%以上であれば十分な難燃性が得られ、50質量%以下であれば成形体の機械的物性の低下を抑制できる。
(B)成分の含有割合は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。
(B)成分として、リン酸エステル含有珪藻土又はリン酸エステル含有パーライト発泡体を単独で用いてもよいし、これらを併用してもよい。併用する場合、これらの合計量が上記の含有割合になるようにする。
(その他の添加剤)
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、軟化剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、抗菌・抗カビ剤、顔料等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸金属塩系滑剤等が挙げられる。
結晶核剤としては、特に限定されないが、ソルビトール類、リン系核剤、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。
軟化剤としては、特に限定されないが、流動パラフィン、鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)、非芳香族系ゴム用鉱物油系軟化剤(プロセスオイル)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類が挙げられる。
金属不活性化剤としては、特に限定されないが、ヒドラジン系金属不活性化剤、窒素化合物系金属不活性化剤、亜リン酸エステル系金属不活性化剤等が挙げられる。
抗菌・抗カビ剤としては、特に限定されないが、有機化合物系抗菌・抗カビ剤、天然物有機系抗菌抗カビ剤、無機物系抗菌・抗カビ剤等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、酸性染料レーキ、塩基性染料レーキ、縮合多環顔料等が挙げられる。
上記の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の配合量は、樹脂組成物の特性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。
本発明の一態様に係る樹脂組成物の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、(A)成分及び(B)成分、又は(A)成分、(B)成分及び上記の1以上の添加剤であってもよい。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、本質的に(A)成分及び(B)成分、又は(A)成分、(B)成分及び上記の1以上の添加剤からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分のみ、又は(A)成分、(B)成分及び上記の1以上の添加剤のみからなってもよい。
また、本発明の一態様に係る樹脂組成物のハロゲン含有量は、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下としてもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて各種添加剤とを配合し、熱溶融混合(混練)することで製造できる。例えば、通常用いられる機器(例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等)により上記成分を配合、予備混合し、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等により混練することができる。混練時の加熱温度は、通常、160〜250℃である。
また、(B)成分の製造から行う場合、以下の製造方法を採用することができる。即ち、リン酸エステル17〜70質量%と珪藻土30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有珪藻土を調製する工程、及びリン酸エステル17〜70質量%とパーライト発泡体30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有パーライト発泡体を調製する工程からなる群から選択される1以上の工程、並びにリン酸エステル含有珪藻土及びリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分5〜50質量%と、ポリオレフィン50〜95質量%とを混合する工程を含む樹脂組成物の製造方法である。
各成分及び各工程は、上述した通りである。
[成形体]
例えば、本発明の一態様に係る樹脂組成物をペレット化して得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等により各種成形体を製造することができる。特に、上記溶融混練方法によってペレット状の成形原料を製造し、次いでこのペレットを用いて射出成形又は射出圧縮成形による射出成形体の製造、及び押出成形による押出成形体の製造を行うことができる。また、押出成形にて押出シートにした後に加圧・熱成形して成形体としてもよい。
当該成形体は、自動車、産業資材、建材、電子・電気機器、OA機器、機械分野の各種材料に好適に用いることができる。
製造例1
[リン酸エステル含有物A〜Iの製造]
表1に示す各成分を表1に示す配合割合で混合し、リン酸エステル含有物(リン酸エステル含有珪藻土又はリン酸エステル含有パーライト発泡体)A〜Iを製造した。具体的に、80℃に加温したヘンシェルミキサー(株式会社三井三池製作所「FM20B」)に珪藻土又はパーライト発泡体を投入し、回転数100rpmで撹拌しながらリン酸エステルを配合し、回転数1000rpmで3分間予備ブレンドして、リン酸エステル含有物A〜Iとした。
表1における数値は、リン酸エステル含有物A〜I中の各成分の含有割合(質量%)を示す。
用いた成分を以下に示す。
・珪藻土1:昭和化学工業株式会社製「ラヂオライトF」、平均粒径6.4μm
・珪藻土2:昭和化学工業株式会社製「ラヂオライト#600」、平均粒径29.3μm
・パーライト発泡体1:昭和化学工業株式会社製「トプコNo.31」、平均粒径28.5μm
・パーライト発泡体2:昭和化学工業株式会社製「トプコNo.54」、平均粒径5.0μm
・リン酸エステル1:大八化学工業株式会社製「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、ハロゲン含有量:0質量%、80℃で液体)
Figure 2018158978
実施例1〜8及び比較例1〜6
[樹脂組成物及び成形体の製造]
表2に示す各成分を、表2に示す配合割合で、2軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEM−30」)により、200℃、300rpmで溶融混合し、ペレット(樹脂組成物)とした。得られたペレットを80℃で乾燥後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製「NEX110III」)により200℃で成形し、成形体(テストピース)とした。
表2における「樹脂組成物」の各数値は、樹脂組成物中の各成分の含有割合(質量%)を示す。
比較例3及び4では2軸押出機によって樹脂組成物を製造することができなかった。
用いた成分を以下に示す。
((A)成分)
・ポリプロピレン1:株式会社プライムポリマー製「E105GM」、ホモポリプロピレン、230℃でのメルトインデックス(MI):0.5g/10分
((B)成分)
・製造例1で製造したリン酸エステル含有物A〜G
(他の成分)
・製造例1で製造したリン酸エステル含有物H及びI
・珪藻土1、パーライト発泡体2及びリン酸エステル1
[成形体の評価]
得られた成形体について以下の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)IZOD衝撃強度
ASTM規格D256に準拠する方法により、23℃でノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した(単位:kJ/m)。
(2)引張弾性率
ダンベル状3号形の形状とした成形体を、72時間、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下で状態調整した後、引張試験機(株式会社東洋精機製作所製「STROGRAPH」)にて、引張速度50mm/分で引張弾性率を測定した(単位:MPa)。
(3)メルトインデックス(MI)
ASTM D-1238に準拠し、230℃、2.16kg/10分の条件で測定した(単位:g/10分)。
(4)限界酸素指数(LOI)
ASTM D2863に準拠して測定した(単位:%)。
(5)難燃性評価(UL94試験)
難燃性評価試験機(Atlas社製、HVULプラスチックUL燃焼テストチャンバー)を用いて、厚さ3mmの試験片について、UL94規格に従って垂直燃焼試験を行った。具体的に、5本の試験片について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL94規格に従って難燃性のランクを付けた。
難燃性のランクは「V−0」が最高であり、「V−1」、「V−2」の順に低下する。「V−0」〜「V−2」のいずれにも該当しないものは「NG」とした。
(6)ブリードの有無
平板の形状とした成形体を鉄板の上に置き、100℃の環境に300時間暴露した。その後、成形品及び鉄板の表面を目視で観察し、ブリードの有無を確認した。
Figure 2018158978
本発明の一態様に係る樹脂組成物から得られる成形体は、難燃性が高く、ブリードの発生がなく、機械的物性が高いことが分かった。
珪藻土やパーライトを単独で使用した場合、難燃性が得られないことが分かった(比較例1及び2)。リン酸エステルを単独で使用した場合や、リン酸エステルを珪藻土に含浸させずにこれらを用いた場合は、2軸押出機で樹脂組成物を製造できないことが分かった(比較例3及び4)。また、(B)成分中のリン酸エステルの含有率が低すぎると難燃性が得られず、高すぎると機械的物性の低下やブリードが発生することが分かった(比較例5及び6)。

Claims (6)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。
    (A)ポリオレフィン 50〜95質量%
    (B)リン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有珪藻土、及びリン酸エステルを17〜70質量%含有するリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分 5〜50質量%
  2. 前記リン酸エステル含有珪藻土が、前記リン酸エステルを35〜65質量%含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記リン酸エステルが、80℃以下で液体である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分が、ポリプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて作製した成形体。
  6. リン酸エステル17〜70質量%と珪藻土30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有珪藻土を調製する工程、及びリン酸エステル17〜70質量%とパーライト発泡体30〜83質量%とを混合してリン酸エステル含有パーライト発泡体を調製する工程からなる群から選択される1以上の工程、並びに
    前記リン酸エステル含有珪藻土及びリン酸エステル含有パーライト発泡体からなる群から選択される1以上の成分5〜50質量%と、ポリオレフィン50〜95質量%とを混合する工程
    を含む樹脂組成物の製造方法。
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