JP2018158666A - ハンドル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品を容易に配置可能としつつ、樹脂層内の気泡の残留を抑制できるステアリングホイール及びその製造方法を提供する。【解決手段】リム芯金28と電子部品20との間にスペーサ19を介在することで、電子部品20を容易に配置可能となる。樹脂層の成形型41に設けた流体状の合成樹脂原料Rのオーバーフロー部45に対応する位置にてスペーサ19に開口部32を設ける。スペーサ19と芯金18との間で合成樹脂原料Rに仮に気泡Vが発生しても、オーバーフロー部45へとオーバーフローする合成樹脂原料Rが開口部32を介して気泡Vをオーバーフロー部45へと容易に排出でき、樹脂層21内の気泡Vの残留を抑制できる。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品を備えたハンドル及びその製造方法に関する。
近年、地球環境を保全し温室効果ガスの発生を抑制する取り組みの一環として、ガソリンエンジン車に代わる環境負荷の少ない、電気自動車(EV)の普及が進んできている。このような電気自動車の場合、蓄電池とモータとの組み合わせにより構成されており、基本的に外部充電器からエネルギーを補充しなければならないことから、蓄電力の消費を抑制する施策が必須であり、その中でも消費電力が大きい暖房(エアコン)用の電力消費を抑制することが最も有効な手段である。
そこで、乗員(運転手)が直接触れるステアリングホイールによって直接暖かさを伝える手段をとることが進められてきており、その一つとして、ステアリングホイールに発熱体としてのヒータ線を埋め込む構成が知られている。
すなわち、ステアリングホイールにヒータ装置を組み込み、始動から間もない、まだ各種機関が充分に温まらないときでもステアリングホイールを温めることで、例えば冬季の屋外に駐車していた車両である自動車を始動して運転するとき、ハンドルすなわちステアリングホイールが冷たいことに起因する操作のしづらさや不快感を軽減しつつ、暖房の使用を抑制して電力の消費を抑制可能な構成が知られている。
このような構成として、例えば芯金のリム芯金部を覆う筒状のスペーサを設け、このスペーサの外部にヒータ線をジグザグ状などに引っ掛けて保持した状態で成形型のキャビティにセットし、ウレタンなどの合成樹脂原料を成形型のキャビティ内で反応させて樹脂層を成形することにより、ヒータ線を埋設したステアリングホイールのリム部を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2013−139203号公報 (第4−6頁、図1−5)
上記のようなスペーサを用いる場合、スペーサと芯金との間で合成樹脂原料に気泡(ボイド)が発生する場合がある。このため、気泡が残留したまま樹脂層が成形されないように、この気泡を逃がしやすくする構成が求められている。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電子部品を容易に配置可能としつつ、樹脂層内の気泡の残留を抑制できるハンドル及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載のハンドルは、把持操作用の把持部を備えたハンドルであって、前記把持部に対応する把持部芯金を有する芯金と、電子部品と、前記把持部芯金と前記電子部品との間に介在されたスペーサと、少なくとも前記把持部芯金、前記電子部品、及び前記スペーサを一体的に覆って形成された樹脂層とを備え、前記スペーサは、前記樹脂層の成形型にて流体状の樹脂原料の一部をオーバーフローさせるオーバーフロー部に対応する位置に開口部を有しているものである。
請求項2記載のハンドルは、請求項1記載のハンドルにおいて、スペーサは、把持部芯金側である内方とその反対側である外方とを連通する連通孔を有しているものである。
請求項3記載のハンドルは、請求項1または2記載のハンドルにおいて、電子部品は、孔部を有するシート状に設けられ、前記孔部が少なくとも開口部に対応して位置するようにスペーサの外部に巻き付けられているものである。
請求項4記載のハンドルは、請求項1ないし3いずれか一記載のハンドルにおいて、把持部は、円弧状に設けられ、開口部は、前記把持部の周方向に沿ってスリット状に設けられているものである。
請求項5記載のハンドルの製造方法は、把持操作用の把持部と、この把持部に対応する把持部芯金を有する芯金と、電子部品と、開口部を有するスペーサと、樹脂層とを備えたハンドルの製造方法であって、キャビティと、このキャビティとそれぞれ連通するゲート及びオーバーフロー部とを備えた成形型を用い、前記把持部芯金を前記スペーサで覆うとともにこのスペーサの外部に前記電子部品を配置した中間体を、前記開口部が前記オーバーフロー部に対応する位置となるように前記成形型の前記キャビティにセットし、前記ゲートから流体状の樹脂原料を前記キャビティに充填し、前記樹脂原料の一部を前記オーバーフロー部からオーバーフローさせることにより、少なくとも前記把持部芯金、前記電子部品、及び前記スペーサを一体的に覆って前記樹脂層を形成するものである。
請求項1記載のハンドルによれば、把持部芯金と電子部品との間にスペーサを介在させることで、電子部品を容易に配置可能となるとともに、樹脂層の成形型に設けられた流体状の樹脂原料のオーバーフロー部に対応する位置にてスペーサに開口部を設けることで、スペーサと芯金との間で樹脂原料に仮に気泡が発生しても、オーバーフロー部へとオーバーフローする樹脂原料が開口部を介して気泡をオーバーフロー部へと容易に排出でき、樹脂層内の気泡の残留を抑制できる。
請求項2記載のハンドルによれば、請求項1記載のハンドルの効果に加えて、スペーサに連通孔を設けることで、スペーサの内方に流体状の樹脂原料を容易に流入させることができ、樹脂層を容易に成形できる。
請求項3記載のハンドルによれば、請求項1または2記載のハンドルの効果に加えて、孔部を有するシート状の電子部品を、孔部が少なくとも開口部に対応して位置するようにスペーサの外部に巻き付けることで、開口部からの気泡のオーバーフロー部への排出を電子部品により妨げにくくなる。
請求項4記載のハンドルによれば、請求項1ないし3いずれか一記載のハンドルの効果に加えて、開口部を把持部の周方向に沿ってスリット状とすることで、操作者が把持部を把持したときに樹脂層の内部に位置する開口部を感じ取りにくくなり、把持部の手触りが良好となる。
請求項5記載のハンドルの製造方法によれば、把持部芯金をスペーサで覆うとともにこのスペーサの外部に電子部品を配置して中間体を形成することで、電子部品を容易に配置可能となるとともに、この中間体を、開口部がオーバーフロー部に対応する位置となるように成形型のキャビティにセットし、ゲートから流体状の樹脂原料をキャビティに充填し、樹脂原料の一部をオーバーフロー部からオーバーフローさせることにより樹脂層を形成することで、スペーサと芯金との間で樹脂原料に仮に気泡が発生しても、オーバーフロー部へとオーバーフローする樹脂原料が開口部を介して気泡をオーバーフロー部へと容易に排出でき、樹脂層内の気泡の残留を抑制できる。
(a)は本発明の一実施の形態のハンドルの製造方法の射出工程中の一部を拡大して示す正面図、(b)は同上射出工程中の(a)に続く状態を示す正面図である。 (a)は同上ハンドルの成形型を開いた状態を模式的に示す正面図、(b)は同上ハンドルの製造方法のセット工程を模式的に示す正面図、(c)は同上ハンドルの製造方法の射出工程を模式的に示す正面図である。 (a)は同上ハンドルの製造方法の脱型工程を模式的に示す正面図、(b)は同上ハンドルの製造方法の仕上げ工程を模式的に示す正面図である。 (a)は同上ハンドルのハンドル本体の一部を示す正面図、(b)は(a)のX矢視図である。 (a)は図4(a)のI−I断面図、(b)はリム部の斜視断面図である。 同上ハンドルを示す正面図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
図6において、10は例えば車両としての自動車の(ステアリング)ハンドルであるステアリングホイールで、このステアリングホイール10は、ハンドル本体であるステアリングホイール本体11、このステアリングホイール本体11の乗員側に装着されるパッド体としてのセンタパッドであるエアバッグ装置(エアバッグモジュール)12などを備えている。なお、ステアリングホイール10は、通常傾斜した状態で車両に備えられるステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置12の乗員側すなわち正面側を上側(矢印U方向)、ステアリングシャフト側すなわち背面側を下側(矢印D方向)、車両の前側すなわち前側上方のフロントガラス側を前側、車両の後側すなわち後側下方を後側あるいは手前側として説明する。
そして、ステアリングホイール本体11は、少なくとも一部が円周に沿って形成された、本実施の形態では円弧状(円環状(ドーナツ状))をなす把持部としてのリム部(グリップ部)15と、このリム部15の内側に位置するボス部16と、これらリム部15とボス部16とを連結する複数の、本実施の形態では3本のスポーク部17とから構成されている。また、このステアリングホイール本体11は、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示すように、金属製の芯金18を備えている。さらに、このステアリングホイール本体11は、スペーサ19を備えている。また、このステアリングホイール本体11は、電子部品20を備えている。さらに、このステアリングホイール本体11は、樹脂層21を備えている。そして、このステアリングホイール本体11は、図示しないが、被覆部材としてのカバー体を備えている。なお、このステアリングホイール本体11は、樹脂層21を覆う表皮部を備えていてもよい。
芯金18は、例えばマグネシウムアルミニウム(MgAl)合金や鉄などにより形成され、ボス部16の車体側となる下部に、ステアリングシャフトと歯合するセレーション構造を備えた略円筒状のボス25を備えているとともに、このボス25に、芯体を構成するボスプレート26が一体的に固着されている。そして、ボスプレート26から、スポーク部17に対応するスポーク芯金27が一体に延設され、あるいは溶接などして固着されている。さらに、このスポーク部17のスポーク芯金27に、リム部15に対応する把持部芯金としてのリム芯金28が溶接などして固着されている。
スポーク芯金27は、放射状に設けられている。このスポーク芯金27は、必ずしもすべてのスポーク部17に対応していなくてもよく、一部のスポーク部17は、スポーク芯金27を備えずに被覆部材(フィニッシャ)などにより構成されていてもよい。
リム芯金28は、本実施の形態において、円弧状(円環状)に形成されている。
スペーサ19は、シェルなどとも呼ばれ、リム芯金28の周囲に電子部品20を配置するためのものである。すなわち、このスペーサ19は、リム芯金28と電子部品20との間に介在されている。このスペーサ19は、例えば合成樹脂により形成されている。また、このスペーサ19は、リム芯金28全周を覆うように円弧状(円環状)に形成されている。さらに、このスペーサ19は、筒状(円筒状)に形成されている。したがって、このスペーサ19は、中空なドーナツ状に設けられている。このスペーサ19には、連通孔31が設けられている。さらに、このスペーサ19には、開口部32が設けられている。そして、このスペーサ19は、例えば複数の部材に分割され、リム芯金28の周囲に組み付けられている。すなわち、このリム芯金28の周囲に組み付けられた状態で、スペーサ19の内方にリム芯金28が位置している。このリム芯金28は、スペーサ19に対して離れた位置でリム芯金28を覆うように配置されている。すなわち、このスペーサ19とリム芯金28との間には、空間部が形成されている。
連通孔31は、後述する樹脂層21の成形時に、反応してポリウレタンとなる反応混合液としての液状の樹脂原料である合成樹脂原料Rが通過する部分である。この連通孔31は、スペーサ19の外周面を貫通して設けられ、スペーサ19のリム芯金28側である内方とその反対側、すなわち電子部品20側である外方とを連通している。この連通孔31は、複数設けられている。例えば、この連通孔31は、周方向に複数設けられている。本実施の形態において、連通孔31には、例えば長穴状の第1連通孔31aと、角穴状の第2連通孔31bとが設定されている。第1連通孔31aは、リム部15の周方向に沿って長穴状にスペーサ19に設けられている。これら第1連通孔31aは、スペーサ19(リム部15)の緯線L(周方向)に沿って、経線M(断面の円周)方向に複数列設けられ、隣接する列同士の第1連通孔31a,31aが周方向に互いにずれて配置されている。また、第2連通孔31bは、第1連通孔31aに対して経線M方向にずれて配置されている。そして、第1連通孔31a、及び第2連通孔31bは、それぞれスペーサ19(リム部15)の周方向に略等間隔に、スペーサ19全体に亘って配置されている。
開口部32は、後述する樹脂層21の成形時の合成樹脂原料Rに含まれる気泡(ボイド)V(図1(a)及び図1(b))を排出するためのものである。この開口部32は、本実施の形態において、例えば正面から見てリム部15の上部、すなわちアナログ時計の12時位置に設けられている。換言すれば、この開口部32は、本実施形態において、リム部15の頂部に設けられている。また、この開口部32は、スペーサ19の最長緯線(最大径部)に沿って設けられている。したがって、このスペーサ19の最長緯線部分(最大径部)は、開口部32を除いて開口を有さずに閉塞された、非開口部34となっている。さらに、この開口部32は、リム部15の周方向、すなわち長手方向に沿って長手状のスリット状に設けられている。
電子部品20は、例えばリム部15の温度を調整するためのものである。具体的に、この電子部品20は、本実施の形態において例えば通電により発熱する電熱線が設けられたシート部材、通電により発熱するヒータ線、あるいはリム部15の温度を検出するセンサ部材などが用いられるが、リム部15を乗員が把持していることを確認するためのセンサ(圧力センサや静電容量センサなど)でもよい。この電子部品20は、例えばシート状に形成され、多孔質材となっている。例えば、上記のシート部材を、不職布やメッシュなどとすることができる。したがって、この電子部品20には、孔部20aが多数設けられている。そして、この電子部品20は、図示しない制御回路と接続され、この制御回路により通電されることでリム部15の温度を検出し、この温度に応じて発熱するように構成されている。また、この電子部品20は、スペーサ19の外部、すなわち外周面に例えば巻き付けられ、スペーサ19の全体を覆って配置されている。このため、この電子部品20は、孔部20aが少なくとも開口部32に対応(対向)する位置にてスペーサ19の外部に巻き付けられている。
樹脂層21は、リム芯金28全体、及びスポーク芯金27の一部を覆って設けられている。したがって、この樹脂層21は、断面略円形状で、正面から見て円環状(円弧状)に形成されている。より詳細に、この樹脂層21は、リム部15の位置で、リム芯金28、スペーサ19、及び電子部品20を一体的に覆って設けられ、スポーク部17の位置で、スポーク芯金27のリム芯金28と連続する側の端部を覆って設けられている。すなわち、リム芯金28とスペーサ19との間の空間部、及びスペーサ19と電子部品20との間の空間部は、それぞれ樹脂層21により充填されている。換言すれば、樹脂層21の内部に、リム芯金28、スペーサ19、及び電子部品20が埋設されている。この樹脂層21は、本実施の形態において、例えば軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたものを使用する。そして、この樹脂層21は、図2(a)などに示す成形型(金型)41を用いて成形されている。
ここで、成形型41は、概略として、一の半型と、他の半型とを備え、これら一の半型と他の半型との間に、キャビティ43、ゲート44、及びオーバーフロー部45などが形成される。そして、本実施の形態において、この成形型41は、ゲート44を下部(正面から見てアナログ時計の6時方向)、オーバーフロー部45を上部(正面から見てアナログ時計の12時方向)として使用される。しがって、樹脂層21は、ステアリングホイール10(図6)の使用状態と略等しい位置のまま成形される。
キャビティ43は、例えばリム部15(樹脂層21)の形状に対応した、断面円形状で正面視円環状の(第1の)空間である。このキャビティ43には、ゲート44から注入された合成樹脂原料Rが充填されるようになっている。
ゲート44は、合成樹脂原料Rがキャビティ43へと注入される部分である。このゲート44は、例えばファンゲートなどとも呼ばれるもので、キャビティ43と連通し、このキャビティ43に向かって徐々に拡開するように形成されている。このゲート44には、合成樹脂原料Rを混合攪拌し吐出するための図示しないミキサ部が接続されている。
オーバーフロー部45は、キャビティ43に充填された合成樹脂原料Rの一部をオーバーフローさせることでキャビティ43内のガスを排出するものである。このオーバーフロー部45は、キャビティ43と連通し、例えばこのキャビティ43から離れる方向に向かって徐々に拡開するように形成されている。このオーバーフロー部45は、キャビティ43において、正面から見てゲート44とは反対側の位置に配置されている。すなわち、このオーバーフロー部45は、ゲート44からキャビティ43に注入された合成樹脂原料Rの流れの末端部に位置している。換言すれば、このオーバーフロー部45は、キャビティ43に対して合成樹脂原料Rが最後に充填する位置、すなわち成形時のウェルドとなる位置に設けられている。また、図1(a)及び図1(b)に示すように、このオーバーフロー部45は、スペーサ19の開口部32と同等の幅を有する開口45aによりキャビティ43と連通している。
また、カバー体は、裏カバー、下部カバーあるいはボディカバーとも呼ばれ、合成樹脂などにより形成され、ボス部16の下側部を覆っている。
図6に示すエアバッグ装置12は、袋状のエアバッグ、折り畳んだエアバッグを覆う樹脂製のカバー体、ガスを噴射するインフレータなどを備えており、自動車が衝突した際などに、インフレータからエアバッグの内部にガスを急速に噴射し、折り畳んで収納したエアバッグを急激に膨張させ、カバー体を開裂させて、エアバッグを乗員の前側に膨張展開させて、乗員を保護するようになっている。なお、このエアバッグ装置12は、スイッチ装置としてのホーンスイッチ機構などを一体的に組み込んでもよい。
そして、ステアリングホイール10を製造する際には、まず、図2(b)に示すように、予めボスプレート26などと一体化された芯金18のリム芯金28の外周をスペーサ19で覆うとともに、このスペーサ19の外面に電子部品20を巻き付けて中間体である第1中間体51を予め形成し、この第1中間体51を一及び他の半型を開いた成形型41にセットした後、一の半型と他の半型とを型合わせ(型閉)してキャビティ43を形成する(セット工程)。この状態で、キャビティ43内にリム芯金28、及びスポーク芯金27の一部が位置するとともに、スペーサ19の開口部32が、成形型41のオーバーフロー部45に対応(対向)して位置する(図1(a))。すなわち、第1中間体51は、スペーサ19の開口部32がオーバーフロー部45に対応する位置となるように成形型41のキャビティ43にセットする。
次いで、図2(c)に示すように、合成樹脂原料Rをミキサ部により攪拌混合して成形型41のゲート44からキャビティ43内に射出する(射出工程)。このとき、合成樹脂原料Rは、ゲート44からキャビティ43内の左右両側に略均等に分流し、電子部品20の孔部20aに含浸されさらにスペーサ19の連通孔31(第1連通孔31a及び第2連通孔31b)を通過してスペーサ19の外方から内方に入り込んで、発泡を伴いながら反応してポリウレタンとなりつつ流動末端であるオーバーフロー部45に向かって流れていく。
そして、図1(a)及び図1(b)に示すように、オーバーフロー部45近傍では、キャビティ43内で左右両側に分流していた合成樹脂原料Rが合流しながら、その一部がキャビティ43からオーバーフロー部45へと開口45aから拡開状に流出する。このとき、この合成樹脂原料Rは、スペーサ19の内方にてリム芯金28とスペーサ19との間の空間部を流れる際に、この空間部に位置する気泡Vを開口部32からオーバーフロー部45へと押し出す。この結果、キャビティ43内に気泡Vが残留することなく合成樹脂原料Rが充填される。
この後、キャビティ43内で樹脂層21がリム芯金28、スペーサ19、及び電子部品20を一体的に覆って形成された、図3(a)に示す第2中間体52を、一の半型と他の半型とを型開きして成形型41から脱型する(脱型工程)。そして、この第2中間体52から、成形型41のゲート44の位置に残留して形成されたばり53、及びオーバーフロー部45(図2(a))の位置ではみ出して形成されたばり54を、図3(b)に示すようにカットなどにより除去する(仕上げ工程)ことで、ステアリングホイール本体11が完成する。このステアリングホイール本体11は、図1(a)などに示す電子部品20を制御回路と電気的に接続し、図6に示すようにエアバッグ装置12などを取り付けて、ステアリングホイール10が完成する。すなわち、本実施の形態では、リム部15の表面に表皮体を巻き付けることなく、また、複数回の成形工程を要することなく、ステアリングホイール10を形成できる。
上述したように、上記一実施の形態によれば、リム芯金28と電子部品20との間にスペーサ19を介在させる、すなわち、リム芯金28をスペーサ19で覆うとともにこのスペーサ19の外部に電子部品20を配置して第1中間体51を形成することで、電子部品20をリム芯金28の周囲に容易に配置可能となるとともに、樹脂層21の成形型41に設けられた流体状の合成樹脂原料Rのオーバーフロー部45に対応(対向)する位置にてスペーサ19に開口部32を設けることで、換言すれば、第1中間体51を、開口部32がオーバーフロー部45に対応する位置となるように成形型41のキャビティ43にセットし、ゲート44から流体状の合成樹脂原料Rをキャビティ43に充填し、合成樹脂原料Rの一部をオーバーフロー部45からオーバーフローさせることにより樹脂層21を形成することで、スペーサ19と芯金18(リム芯金28)との間で合成樹脂原料Rに仮に気泡Vが発生しても、オーバーフロー部45へとオーバーフローする合成樹脂原料Rが開口部32を介して気泡Vをオーバーフロー部45へと容易に排出でき、樹脂層21内の気泡の残留を抑制できる。このため、気泡Vの残留に起因して樹脂層21に発生する穴部や凹部などを抑制でき、不良率の改善を見込むことができるとともに、流体状の合成樹脂原料Rを成形型41のキャビティ43に円滑に充填させることができ、成形サイクルの短縮が可能になり、生産性が向上し、かつ、より複雑なリム部15の形状にも対応できる。
また、スペーサ19に連通孔31を設けることで、スペーサ19の内方に流体状の合成樹脂原料Rを容易に流入させることができ、樹脂層21を容易に成形できる。
さらに、孔部20aを有するシート状の電子部品20を、孔部20aが少なくとも開口部32に対応して位置するようにスペーサ19の外部に巻き付けることで、開口部32からの気泡のオーバーフロー部45への排出を電子部品20により妨げにくくなる。
しかも、シート状の電子部品20を、連通孔31を閉塞するようにスペーサ19に取り付けることで、連通孔31の位置で、スペーサ19の内方と外方との双方から電子部品20に対して樹脂層21が密着するので、スペーサ19、電子部品20、及び樹脂層21をより強固に一体化できる。
そして、開口部32をリム部15の周方向に沿ってスリット状とすることで、操作者がリム部15を把持したときに樹脂層21の内部に位置する開口部32を感じ取りにくくなり、リム部15の手触りが良好となる。
なお、上記一実施の形態において、開口部32は、オーバーフロー部45に対応(対向)する位置であれば、リム部15のアナログ時計12時方向に限らず、その他の任意の位置に設けることができる。
また、ステアリングホイール10は、3本のスポーク部17を備えた構成に限られず、少なくとも両側に2本を備える構成に適用できる。
さらに、ステアリングホイール10は、自動車などの車両だけでなく、任意の乗物のステアリング用のハンドルとして用いることができる。
そして、エアバッグ装置12に代えて、例えば衝撃吸収体を収納したパッド体などを用いることもできる。
本発明は、例えば電気自動車などの自動車のステアリングホイールとして好適に用いることができる。
10 ハンドルであるステアリングホイール
15 把持部としてのリム部
18 芯金
19 スペーサ
20 電子部品
20a 孔部
21 樹脂層
28 把持部芯金としてのリム芯金
31 連通孔
32 開口部
41 成形型
43 キャビティ
44 ゲート
45 オーバーフロー部
51 中間体である第1中間体
R 樹脂原料である合成樹脂原料

Claims (5)

  1. 把持操作用の把持部を備えたハンドルであって、
    前記把持部に対応する把持部芯金を有する芯金と、
    電子部品と、
    前記把持部芯金と前記電子部品との間に介在されたスペーサと、
    少なくとも前記把持部芯金、前記電子部品、及び前記スペーサを一体的に覆って形成された樹脂層とを備え、
    前記スペーサは、前記樹脂層の成形型にて流体状の樹脂原料の一部をオーバーフローさせるオーバーフロー部に対応する位置に開口部を有している
    ことを特徴とするハンドル。
  2. スペーサは、把持部芯金側である内方とその反対側である外方とを連通する連通孔を有している
    ことを特徴とする請求項1記載のハンドル。
  3. 電子部品は、孔部を有するシート状に設けられ、前記孔部が少なくとも開口部に対応して位置するようにスペーサの外部に巻き付けられている
    ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドル。
  4. 把持部は、円弧状に設けられ、
    開口部は、前記把持部の周方向に沿ってスリット状に設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のハンドル。
  5. 把持操作用の把持部と、この把持部に対応する把持部芯金を有する芯金と、電子部品と、開口部を有するスペーサと、樹脂層とを備えたハンドルの製造方法であって、
    キャビティと、このキャビティとそれぞれ連通するゲート及びオーバーフロー部とを備えた成形型を用い、
    前記把持部芯金を前記スペーサで覆うとともにこのスペーサの外部に前記電子部品を配置した中間体を、前記開口部が前記オーバーフロー部に対応する位置となるように前記成形型の前記キャビティにセットし、
    前記ゲートから流体状の樹脂原料を前記キャビティに充填し、前記樹脂原料の一部を前記オーバーフロー部からオーバーフローさせることにより、少なくとも前記把持部芯金、前記電子部品、及び前記スペーサを一体的に覆って前記樹脂層を形成する
    ことを特徴としたハンドルの製造方法。
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