JP2013147165A - ヒータ付把持部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 把持されるグリップ部を備えるヒータ付把持部材であって、グリップ部にヒータ線である骨格構造体であるツインループ状発熱体1が組み込まれ、グリップ部は、分割された成形型部材の集合によって定義される金型に流動性材料を注入して成形され、ヒータ線1は、略グリップ部の外面形状に沿って引き回された骨格構造体であるツインループ状発熱体1をなし、骨格構造体であるツインループ状発熱体1は、グリップ部の表面部側に位置する突出部12と、突出部12より所定内側に位置する本体部13とよりなるヒータ付把持部材。
【選択図】図1
Description
これらの把持部材は、自動車の搭乗者により触れられかつ/または操作される部材であるが、特に寒冷地では、屋外に長時間駐車されるなどにより表面温度が下がり、触れると冷たいため、改善が求められている。
冬季の朝など、ステアリングホイールが冷えていて、始動後暫くの間、運転操作が心地よくない。EVなどでは、暖機され温水となったエンジンの冷却水に相当するものがなく、専らバッテリーの電気エネルギーを利用して、室内を暖房するが、暖房にエネルギーを利用することで航続距離が短縮されるとの問題がある。室内の昇温を抑えてなお運転者に暖かさを感じさせる手段として、ステアリングホイールの昇温がある。直接触れる部位の暖かさは暖気感を高めるのに効果的である、といわれている。
上述のとおり、EVにヒータを組み込んだステアリングホイールを適用するニーズがある。EVを普及させる上で、車両価格をいかに下げるかが重要である。ヒータを組み込まないステアリングホイールに対して大幅なコストアップは避けるべきである。
従来技術としては、車両用ステアリングホイールにおいて、同ステアリングホイールを加熱すべく装備された発熱体をそなえ、同発熱体が、上記ステアリングホイールの握り頻度の高い円弧状領域のみにおいて、同ステアリングホイールの表面近傍に一体に埋設されたことを特徴とする、発熱体付きステアリングホイール(例えば、特許文献1参照)が存在している。
しかしながら、ヒータ線は、表面に近いほうが、温かな触感が容易に得られる点で、当然好ましい。一方、ヒータ線を芯金に沿って配置すれば、位置決めが容易であり、量産性に優れる。しかし、なかなか表面に熱が伝わらないので、芯金に沿ったヒータ配置は考えられない。その点について、前記先行技術文献は、図5、図6を使用して従来技術の課題に触れているが、課題解決手段として、具体的にどのようにして、グリップ近傍にヒータ線を位置させるか言及しておらず、その部分に関しては単なる願望の表明でしかない。
本発明は、上記の課題を解決した昇温性能がよいヒータ内蔵式ステアリングホイールを安価に提供することを目的としている。
把持されるグリップ部を備えるヒータ付把持部材であって、グリップ部にヒータ線が組み込まれ、グリップ部は、分割された成形型部材の集合によって定義される金型に流動性材料を注入して成形され、ヒータ線は、略グリップ部の外面形状に沿って引き回された骨格構造体をなし、骨格構造体は、グリップ部の表面部側に位置する突出部と、突出部より所定内側に位置する本体部とよりなる構成である。
請求項1に記載の発明に加えて、骨格構造体は、予め、突出部をグリップ部の外面形状より突出するように大きく形成され、突出部が外面形状に強制されグリップ部に埋設され一体に成形される構成である。
請求項1、または請求項2に記載の発明に加えて、骨格構造体は、芯金に取付けられる位置決め脚部を有する構成である。
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明に加えて、骨格構造体は、内部に湾曲する湾曲部を備え、金型に押されて湾曲部で変形して強制されグリップ部に埋設され一体に成形される構成である。
請求項4に記載の発明に加えて、湾曲部は、成形型部材の合わせ部に対向して配置される構成である。
(1)突出部が金型により位置規制され、他の骨格構造体が埋設されるので、グリップ部表面の直近の位置にヒータ線を容易に配置させることができる。また、直近に(浅い位置に)ヒータ線を配置できるため、温感が迅速に得られる。さらに、容易に配置できるため量産性が良く、製造コスト低減が可能である。
(2)骨格構造体の形状として予め金型より若干大きくしてあり、突出部がグリップ部外面より突出する形状とすると、金型で強制されて金型内部に位置決めされる。そのため、位置の安定化につながり、歩留まりが向上する。
(3)芯金である芯金への位置決めができる。そのため、芯金にヒータの骨格構造体をセットしておき、それを金型に置けばよいので、作業性が良く、製造コスト低減につながり、さらにエラーが少なくなるため、歩留まりが向上する。
(4)湾曲部で変形させるため、他の骨格構造体(ヒータ)部分の変形が少なくなり、性能のばらつきを防止することが可能である。
(5)湾曲部を成形型部材の合わせ部(PL)に対向させるため、型閉め時にPLに挟み込まなくなり、型の破損防止や歩留まりの向上につながり、PLの仕上げでヒータ線を切ってしまうという問題も発生しなくなる。
本実施例のステアリングホイール10は、金型開閉方向に対して垂直方向のくびれ2を有しているヒータ線の一例として骨格状の構造を有する骨格構造体であるツインループ状発熱体1を使用したことを特徴としている(図1を参照)。
すなわち、図1の左手前側から見て、上側に位置するU字状のターン部分13aと、下側に位置する逆U字状のターン部分13bとを有し、1本のヒータ線15を折り曲げて形成している。
従って、この骨格構造体は、ただ単に芯金5の周りをヒータ線がグルグルと巻きついているという形状ではなく、乗員がステアリングホイール10を握る際に、より多くの部位が乗員に触れるグリップ面の裏面側により広範囲に亘って温められる本体部13が設置されるようにして、グリップ部20の表面部に突出部12が位置するように、略グリップ部20の外面形状に沿って、行って戻って、というように引き回されたものである。
金型3、4で押されて変形する発熱体1は、突出部12とは反対の側である反突出部13cの湾曲を増加させるように反突出部13cが変形され、ターン部分13a、13bの湾曲を増加させるようにターン部13a、13bが変形され、くびれ部2は湾曲が戻されるように、すなわち湾曲を減少させるように変形される。
このようにして、金型3と金型4とが型締めされてその内部に形成されるキャビティ30の内面に当接して発熱体1が位置決めされ、発熱体1の前記キャビティ30に当接した部分に近接して連続する部分はキャビティ30の内面にきわめて少ない距離で近接して配置される。
くびれ2は対向面31、41の形成するパーティングライン34から、他の発熱体1のどの部分よりも離間されつつ、芯金5からも相当の離間距離を持っている。
芯金5は、例えばマグネシウム合金をダイカスト成形により成形したものを利用する。芯金5に設けたボス6、7、8、9に発熱体1のヒータ線を引掛けて取り付けられる。
図3の形態では、左右一対をなす上側スポーク5aの付け根に近いリム部5cに、ボス6、7を、下側スポーク5bの左右両側の付け根に近いリム部5cにボス8、9を設けてある。ヒータ線は例えばナイロン樹脂をコーティングしてあり、図示しないリード線との接続部分を除いて、電気的に絶縁状態にカバーされている。
従って、そのままボス6〜9に引掛けても、発熱体1が車体のアース側に接続されることはないが、比較的薄い保護膜である樹脂コーティング層を介して伝熱がされるので、ボス6〜9を伝わって車体側に熱ロスが発生することがある。
この熱ロスは決して大きいものではないが、とりわけ電気自動車では、継続的に好ましくないエネルギーロスを発生させることを避けるべく、ボス6〜9に図示しない樹脂スリーブを被せて、断熱性を高めるようにするのがよい。
ここで使用する樹脂材料は、キャビティ内で化学反応してクッション性あるポリウレタン樹脂層となる、ポリオールとイソシアネートの混合液を使用する、いわゆる射出反応成形法(RIM法)によっている。混合液には、触媒、着色剤、酸化防止剤、内部離型剤などを適宜必要に応じて配合する。樹脂材料は、GPの位置から左右に、図3の矢印の方向に流れ、頂部であるOFまで到達する。樹脂材料の流動先端部分で成形時キャビティ30内に存在した空気を押し流し、矢印方向に押し上げる。この流動先端部分は気泡を巻き込む場合があるので、キャビティ外の、OF位置に設けた図示しないタブ状のオーバフロー部に排出する。樹脂材料は、芯金5と十分離間してキャビティ30内にある発熱体1の間を流動する。
従って、樹脂材料の流れを乱すことが抑制され、より均質で気泡(ボイド)等を含まないクッション層を形成できる。
バリは後工程で一部分が遊離等して異物となり製品外観を悪化させることがあるので、成形後に、昇温されあるいは超音波振動を加えられたカミソリ等を使用して切除するが、この時くびれ2とパーティングライン34が近い位置にあるので、ヒータ線がパーティングライン34を避けるように内部に湾曲しており、バリを切除する際にヒータ線を傷めないための厳重な注意を必要としない。バリ切除作業時に、ゲートとオーバフロー部の樹脂片も併せて除去するが、これについても同様にヒータ線が湾曲して内部にあるため、切除作業時にヒータ線を傷めないための厳重な注意を必要としない。
最外面にコラーゲンやパウダ状の皮革粉を添加した半光沢塗料をスプレーコートして塗膜21を形成し、天然皮革に近似の外観及び触感を得ている。塗膜のすぐ内部に発熱体1が位置しているので、発熱体1の熱が乗員の掌に有効に伝わるから、乗員に暖かさを感じさせることが、より少ないエネルギー消費条件下で可能になる。
また、発熱体1の骨格形状を上記実施例のように予め有意に大きく形成しておき型締めにおいて変形されるようにするほか、キャビティ形状とほぼ等しい径寸法としておき、ちょうどキャビティに収まり流動性の樹脂材料の流れに対して許容範囲の位置ズレレベルで一体に成形されるようにしてもよい。
ステアリングホイール中間体は、ちょうど実施例1の半光沢塗料を吹き付ける前の状態のものである。
第2のRIM成形金型は、図2と実質的に異なるところはないが、第1のポリウレタン樹脂の外面とキャビティ内面との間に第2のポリウレタン樹脂により形成される表皮層のための、ほぼ一定厚みの薄い空間が存在するようになっている。第1のポリウレタン樹脂表面以下に発熱体1が完全に埋没しているので、第2のポリウレタン樹脂は極薄い膜層とすることができ、例えば厚さ0.5mm〜2.0mmの範囲を選択することができる。
このような形態とすれば、ヒータを組み込んでありながら、多くの車両で適用されているヒータのないポリウレタン製ステアリングホイールと外観上の差異はない。
天然皮革などの巻き付け作業は、通常縫製などを伴うため、機械化、自動化に適さない。ヒータ線を皮革等の付与で隠蔽する従来よく知られたステアリングホイールにおいては、ヒータ線を隠すために、やむを得ず皮革等を使用する場合もあるが、上記第2のポリウレタン樹脂によれば、手作業による工程が大幅に削減され、その分、製造コストを抑えることができる。
2・・・・くびれ
3・・・・金型
4・・・・金型
5・・・・芯金
5a・・・・上側スポーク
5b・・・・下側スポーク
5c・・・・リム部
6・・・・ボス
7・・・・ボス
8・・・・ボス
9・・・・ボス
10・・・・ステアリングホイール
11・・・・ウレタン層
12・・・・突出部
13・・・・本体部
13a・・・・U字状のターン部分
13b・・・・逆U字状のターン部
13c・・・・反突出部
15・・・・ヒータ線
20・・・・グリップ部
21・・・・塗膜
30・・・・キャビティ
31・・・・対向面
34・・・・パーティングライン
41・・・・対向面
Claims (5)
- 把持されるグリップ部を備えるヒータ付把持部材であって、グリップ部にヒータ線が組み込まれ、グリップ部は、分割された成形型部材の集合によって定義される金型に流動性材料を注入して成形され、ヒータ線は、略グリップ部の外面形状に沿って引き回された骨格構造体をなし、骨格構造体は、グリップ部の表面部側に位置する突出部と、突出部より所定内側に位置する本体部とよりなることを特徴とするヒータ付把持部材。
- 骨格構造体は、予め突出部を、グリップ部の外面形状より突出するように大きく形成され、突出部が外面形状に強制されグリップ部に埋設され一体に成形されることを特徴とする請求項1に記載のヒータ付把持部材。
- 骨格構造体は、芯金に取付けられる位置決め脚部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータ付把持部材。
- 骨格構造体は、内部に湾曲する湾曲部を備え、金型に押されて湾曲部で変形して強制されグリップ部に埋設され一体に成形されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1項に記載のヒータ付把持部材。
- 湾曲部は、成形型部材の合わせ部に対向して配置されることを特徴とする請求項4に記載のヒータ付把持部材。
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