JP2018158379A - バルブシート合金 - Google Patents
バルブシート合金 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018158379A JP2018158379A JP2017236774A JP2017236774A JP2018158379A JP 2018158379 A JP2018158379 A JP 2018158379A JP 2017236774 A JP2017236774 A JP 2017236774A JP 2017236774 A JP2017236774 A JP 2017236774A JP 2018158379 A JP2018158379 A JP 2018158379A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal powder
- layer
- comparative example
- powder
- laser
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Laser Beam Processing (AREA)
Abstract
【課題】簡便な方法でもって、肉盛層の始端部における割れを確実に低減することのできるバルブシート合金の提供。【解決手段】Niが5.0%〜20%、Siが2.4%〜4.0%、Moが0%〜40%、残部がCuの金属粉末で肉盛りされた12%以下のアルミニウム成分を含むバルブシート合金で、各成分の濃度が相対的に低い第1金属粉末で、始端部を形成し、各成分の濃度が相対的に高い第2金属粉末で、一般部及び摺端部をレーザ肉盛し、始端部のアルミ希釈率が高くなることを防止する。【選択図】図8
Description
本発明は、バルブシート合金に係り、特に、アルミニウム製の基材の表面に銅基の金属粉末を供給して形成される肉盛層のバルブシート合金に関する。
例えばエンジン用シリンダヘッドのバルブシートの耐久性を向上させるとともにその設計自由度を高めるために、バルブシートに対し、例えば粉末状の肉盛り材料を供給しながらレーザビームを照射し、バルブシートとレーザビームを相対回転させることによって肉盛層(クラッド層)を形成するレーザ加工が知られている。このレーザ加工は、エンジンの燃焼室に必要な機械加工、例えばバルブ孔形成加工等がおこなわれたシリンダヘッドに対し、そのバルブシートとなるべき領域に銅合金等からなる耐摩耗性を有する粉末状の肉盛り材料を供給しつつレーザ照射を実行し、最終的にバルブシートとなるべきリング状の肉盛層、すなわち肉盛ビード部を形成するという技術であり、一般にレーザクラッド加工や肉盛加工と称されている。
ところで、前記のようなリング状の肉盛層を形成する場合、肉盛層の肉盛り作業開始部となる始端部に終端部を重ね合わせてオーバーラップ部を形成して肉盛量を確保する必要があるが、そのオーバーラップ部において、未溶着部やクラックなどの欠陥が発生しやすいという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1には、肉盛り層の肉盛り作業開始部となる始端部に、肉盛り作業終了部となる終端部を重ねて肉盛り層を形成する際に、始端部表面の金属母材表面に対する傾斜角度が所定範囲となるように調整する技術が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に所載の提案技術のように、肉盛層の始端部表面の傾斜角度を精緻に調整することは極めて難しい。また、排気側は、吸気側に比べて、高温環境下で耐摩耗性を確保しなければならない。この排気側バルブシートに適した肉盛り材料として、マトリックス(硬質粒子以外の基地の部分)の硬度を上げたり、硬質粒子の面積率を上げて、バルブとバルブシート表面間で生じる凝着摩耗を抑制した材料(例えば、Ni、Si、Mo、Alを多く含む材料)を使用して肉盛層を形成すると、依然として、前述の始端部で多数の割れ(クラック)が生じるという問題があった。
より詳しくは、NiやSiの含有量が多くなると、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすくマトリックスの硬度が向上する。また、Moの含有量が多くなると、Mo-Si-FeとMo-Ni-Siで構成される硬質粒子の面積率が増加する。また、Alの含有量が多くなると、Cu-Ni-Alの固溶強化組織が生じやすくマトリックスの硬度が向上する。
しかし、前記レーザクラッド加工では、Cu基の粉末状の肉盛り材料をAl製のシリンダヘッド上で溶融させて溶け込ませるため、クラッド組織へのAl成分の混入が避けられない(この現象を、Al希釈という)。Al成分の混入量が規定値(CuのAl固溶限)を超えると金属間化合物(AlNi、CuAl等)が形成され、材料伸びの低下や残留引張応力の増加を引き起こす。この部位に2層目(終端部)クラッド時の熱収縮が加わると、その負荷により割れ(クラック)が発生する可能性がある。特に、肉盛層の始端部は体積もしくは断面積が小さいため、他の部位に比べてAl希釈成分が高くなり(例えば、一般部のAl希釈成分は0〜1%程度に対し、始端部のAl希釈成分は3〜5%程度)、材料伸びの低下や残留引張応力の増加が大きくなるので、割れ(クラック)がより生じやすくなる。
すなわち、前記のようなリング状の肉盛層を形成する場合、肉盛層の作業開始部である始端部は、始端部形成後の部分である一般部に比べて肉盛層の体積もしくは断面積が小さいため、Al基材からのAl希釈の影響を受けやすい。Al濃度が高くなると金属間化合物(CuAl等)が形成されやすくなり、肉盛層に割れが発生しやすくなるので、バルブシートの耐久性が低下してしまうというものである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便な方法でもって、前述の肉盛層の始端部における割れを確実に低減することのできるバルブシート合金を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるバルブシート合金は、Niが5.0%〜20%、Siが2.4%〜4.0%、Moが0%〜40%、残部がCuの金属粉末で肉盛りされた12%以下のアルミニウム成分を含むものである。
本発明によれば、前記始端部におけるAl固溶限を高めることができる。そのため、基材からのAl希釈による金属間化合物の形成を低減できるため、前述の肉盛層の始端部における割れを確実に低減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、図1〜図3A、Bを参照して、本発明の肉盛層の製造方法が適用されるレーザクラッド加工装置の一例を概説する。
図1は、本発明の肉盛層の製造方法が適用されるレーザクラッド加工装置の主要構成を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1で示すレーザクラッド加工装置による肉盛層の製造方法を模式的に示す要部拡大図である。また、図3A、Bは、図2に示す同軸ノズルの内部構造および金属粉末の供給経路を概略的に説明する図であり、図3Aは始端部加工時、図3Bは始端部加工後の一般部及び終端部加工時を説明する図である。
図1で示すレーザクラッド加工装置1は、例えばアルミニウム(Al)ないしアルミニウム合金製のシリンダヘッドH(以下、基材もしくはAl基材ということがある)のバルブシート部Sにレーザクラッド加工(肉盛加工)を行う装置であって、主に、シリンダヘッドHを傾動して保持するシリンダヘッド保持装置9と、加工部位(基材表面)にレーザビームを照射しながら金属粉末(銅を主成分とする金属材料)を吐出するレーザ加工ヘッド(レーザ照射部及び粉末供給部)2と、レーザ加工ヘッド2を鉛直方向に傾斜して保持して鉛直軸線周りに回転させることにより、加工部位におけるレーザ加工ヘッド2からの金属粉末の供給位置及びレーザビームの照射位置を周方向(回転方向)で移動させる回転装置3と、レーザ加工ヘッド2に金属粉末を供給する2つの供給装置(第1供給部、第2供給部)10、14と、供給装置10、14からのレーザ加工ヘッド2への金属粉末の供給状態を制御する制御装置(制御部)20とを備えている。
シリンダヘッド保持装置9は、バルブシート部Sの中心軸線が鉛直方向となるようにシリンダヘッドHを傾動したり、バルブシート部Sの中心軸線とレーザ加工ヘッド2の回転軸線とが一致するようにシリンダヘッドHを水平方向へ二次元的に移動させるものである。
レーザ加工ヘッド2は、主に、金属粉末の加熱手段としてのレーザビームを発生するレーザ発振部5と、レーザビームを集光する集光レンズ等が内蔵された光学系部6と、レーザビームを通過させるとともにそのレーザビームの周囲から金属粉末を吐出する二重管構造の同軸ノズル7と、を有している。
また、各供給装置10、14は、主に、レーザ加工ヘッド2に供給する金属粉末を貯留するフィーダ11、15を有し、各フィーダ11、15とレーザ加工ヘッド2の同軸ノズル7とは、供給チューブ18および該供給チューブ18に設けられた切替えバルブ(切替え部)19を介して接続されている(詳細構造は後述)。
このレーザクラッド加工装置1では、加工部位に形成される肉盛層(クラッド層)に応じた量の金属粉末が供給チューブ18等を介して各フィーダ11、15から同軸ノズル7へ供給され、レーザ発振部5によってその金属粉末に応じた出力のレーザビームが生成され、同軸ノズル7を介して加工部位にレーザビームを照射しながら該レーザビームの周囲から該レーザビームへ向かって金属粉末を吐出することにより、シリンダヘッドHのバルブシート部Sに環状の肉盛層を形成することができる(図2参照)。
なお、環状の肉盛層を形成すべく、回転装置3は、レーザ加工ヘッド2を360°以上(例えば450°程度)回転させ、加工部位の始点と終点との間にオーバーラップ部(例えば約90°分のオーバーラップ部)を形成するようになっている。
より詳しくは、図3A、Bで示すように、前記同軸ノズル7は、主に、レーザビームが通過するためのレーザ通路を有する略円管状のインナノズル部材7aと、インナノズル部材7aに外嵌されるアウタノズル部材7bとを備えている。アウタノズル部材7bの内周面は、インナノズル部材7aの外周面と相補的な形状を有し、インナノズル部材7aとアウタノズル部材7bとは同軸上に配置され、インナノズル部材7aとアウタノズル部材7bとの間に金属粉末が通過する略円環状の吐出空間8が画成されている。なお、インナノズル部材7aやアウタノズル部材7bは、その先端側へ向かって縮径している。
前記吐出空間8には、周方向で略等間隔に複数(図示例では、90°間隔で4個)の供給パイプ8a〜8dが連設されており、各供給パイプ8a〜8dが接続チューブ4を介して切替えバルブ19に接続されている。
なお、図示例では、前記吐出空間8が一空間として形成されているが、例えば、前記吐出空間8を、周方向で略等間隔(例えば90°間隔)に設けられた分割壁によって複数(例えば4個)の小空間に分割し、各小空間に、各小空間へ金属粉末を供給するための供給パイプを連設しても良い。
一方、供給装置(第1供給部)10のフィーダ11は、接続チューブ12を介して前記切替えバルブ19に接続されるとともに、供給装置(第2供給部)14のフィーダ15は、接続チューブ16を介して前記切替えバルブ19に接続されている。
そして、前記制御装置20により前記回転装置3等と連動して前記切替えバルブ19の切替えを制御することにより、例えば、以下の連通状態が形成され、各フィーダ11、15から同軸ノズル7の供給パイプ8a〜8dへの金属粉末の供給経路の切替えが行われるようになっている。
[第1連通状態]
肉盛層の始端部加工時(つまり、レーザ加工ヘッド2(の同軸ノズル7)の加工始点からの回転角度が所定角度(例えば約45°)以下である時)において、フィーダ11(に連結された接続チューブ12)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)とが連通し、フィーダ11に貯留された金属粉末が供給パイプ8a〜8dを介して吐出空間8に供給され、フィーダ15(に連結された接続チューブ16)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)との連通は遮断される状態(図3Aに示される状態)。[第2連通状態]
肉盛層の始端部加工後の一般部及び終端部加工時(つまり、レーザ加工ヘッド2(の同軸ノズル7)の回転角度が所定角度(例えば約45°)より大きい時)において、フィーダ11(に連結された接続チューブ12)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)との連通は遮断され、フィーダ15(に連結された接続チューブ16)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)とが連通し、フィーダ15に貯留された金属粉末が供給パイプ8a〜8dを介して吐出空間8に供給される状態(図3Bに示される状態)。
[第1連通状態]
肉盛層の始端部加工時(つまり、レーザ加工ヘッド2(の同軸ノズル7)の加工始点からの回転角度が所定角度(例えば約45°)以下である時)において、フィーダ11(に連結された接続チューブ12)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)とが連通し、フィーダ11に貯留された金属粉末が供給パイプ8a〜8dを介して吐出空間8に供給され、フィーダ15(に連結された接続チューブ16)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)との連通は遮断される状態(図3Aに示される状態)。[第2連通状態]
肉盛層の始端部加工後の一般部及び終端部加工時(つまり、レーザ加工ヘッド2(の同軸ノズル7)の回転角度が所定角度(例えば約45°)より大きい時)において、フィーダ11(に連結された接続チューブ12)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)との連通は遮断され、フィーダ15(に連結された接続チューブ16)と供給パイプ8a〜8d(に連結された接続チューブ4)とが連通し、フィーダ15に貯留された金属粉末が供給パイプ8a〜8dを介して吐出空間8に供給される状態(図3Bに示される状態)。
なお、図3A、Bに示す例では、一つの切替えバルブ19を利用して各フィーダ11、15からの同軸ノズル7の供給パイプ8a〜8dへの金属粉末の供給状態(供給経路)の切替えを実施したが、例えば、図4A、Bで示すように、各フィーダ11、15に供給パイプ8a〜8dに繋がる供給チューブを別個に接続し、各供給チューブに切替えバルブ19a、19bを装備し、二つの切替えバルブ19a、19bを利用して(つまり、制御装置20で二つの切替えバルブ19a、19bを同時に制御して)各フィーダ11、15からの同軸ノズル7の供給パイプ8a〜8dへの金属粉末の供給状態(供給経路)の切替えを実施するようにしても良い。また、切替えバルブを省略し、各フィーダ11、15に設けられた流量制御用の開閉バルブを利用して(つまり、制御装置20で各フィーダ11、15の開閉バルブを同時に制御して)各フィーダ11、15からの同軸ノズル7の供給パイプ8a〜8dへの金属粉末の供給状態(供給経路)の切替えを実施するようにしても良い。
また、各フィーダ11、15には、窒素ガスなどの不活性ガスからなるキャリアガスが通過するキャリアガス配管(不図示)が設けられ、当該キャリアガスを用いて該キャリアガスとともに金属粉末を当該フィーダ11、15から供給チューブ18(接続チューブ12、16等)を通して同軸ノズル7へ圧送して供給するようになっている。
なお、アウタノズル部材7bには、窒素ガスなどの不活性ガスが通過するガス供給路が設けられ、そのガス供給路を介して供給された不活性ガスが、インナノズル部材7aとアウタノズル部材7bとの間に画成されたガス充填空間と、該ガス充填空間に連通するようにインナノズル部材7aに形成された複数のガス吐出路を介してインナノズル部材7aのレーザ通路に供給される。
シリンダヘッドHのバルブシート部Sへの肉盛層の形成に当たり、各フィーダ11、15から同軸ノズル7へ金属粉末を供給する際には、キャリアガス配管に設けられた開閉バルブが開弁され、各フィーダ11、15に貯留された金属粉末が、キャリアガス配管から供給されるキャリアガスの圧力によって該キャリアガスとともに供給チューブ18を構成する各接続チューブ12、16へ送出され、前述の切替えバルブ19および接続チューブ4を通って同軸ノズル7の各供給パイプ8a〜8dへ供給される。各供給パイプ8a〜8dへ供給された金属粉末は、吐出空間8へ導入されて周方向へ拡散もしくは分散しながら、当該吐出空間8の先端側の吐出口から外部へ吐出される。
吐出口を介して吐出された金属粉末は、レーザ加工ヘッド2のレーザ発振部5から出射されてインナノズル部材7aのレーザ通路を通過したレーザビームにより溶融され、溶融された金属粉末が加工部位であるシリンダヘッドHのバルブシート部Sに溶着され、溶着された金属粉末が冷却固化されて、加工部位に所定の厚さ及び外形を有する肉盛層(クラッド層)が形成される。なお、インナノズル部材7aのレーザ通路は、上記したように、ガス供給路等を介して供給された不活性ガスの通路も兼ねており、レーザクラッド加工に際して不活性ガスがレーザ通路を通って被加工部材の加工部位へ噴射されるようになっている。
なお、各フィーダ11、15から各接続チューブ12、16(つまり、同軸ノズル7)へ送出される金属粉末の量や、キャリアガスの流量や圧力(フィーダ内圧)は、各フィーダ11、15により管理されている。
次に、図1で示すレーザクラッド加工装置による肉盛層の製造(形成)方法、およびそれにより形成される肉盛層の内部構造について、より詳細に説明する。
本実施形態では、前述の供給装置(第1供給部)10のフィーダ11に、Ni、Si、Mo、Alのうち少なくとも一つ(好ましくは、Ni、Si、Mo、Alの全て)の濃度(言い換えれば、添加率)が相対的に低い銅基の金属粉末(第1金属粉末)が貯留され、供給装置(第2供給部)14のフィーダ15に、Ni、Si、Mo、Alのうち少なくとも一つ(好ましくは、Ni、Si、Mo、Alの全て)の濃度が相対的に高い銅基の金属粉末(第2金属粉末)が貯留されている。
前記制御装置20は、前述のように、レーザ加工ヘッド2の同軸ノズル7の回転角度に応じて切替えバルブ19の切替えを行うことにより、シリンダヘッドHのバルブシート部Sにおける肉盛層の始端部加工時には、同軸ノズル7の各供給パイプ8a〜8dが前記フィーダ11と連通し、前記フィーダ11から前記第1金属粉末が同軸ノズル7(の吐出空間8)に供給される(図3Aも併せて参照)。また、肉盛層の一般部及び終端部加工時には、同軸ノズル7の各供給パイプ8a〜8dが前記フィーダ15と連通し、前記フィーダ15から前記第2金属粉末が同軸ノズル7(の吐出空間8)に供給されるようになっている(図3Bも併せて参照)。
これにより、本実施形態のレーザクラッド加工装置1にて肉盛層を形成する場合、図5A〜5Cおよび図6に示されるように、まず(図6に示す例では、加工始点である回転角度0°から回転角度45°程度まで)、前記フィーダ11から同軸ノズル7に供給された第1金属粉末(Ni、Si、Mo、Alの濃度が相対的に低い金属粉末)が同軸ノズル7(のインナノズル部材7a)を通過したレーザビームにより溶融されてシリンダヘッドHのバルブシート部Sに溶着・肉盛りされて始端部が形成される。その後(図6に示す例では、回転角度45°程度から回転角度450°まで)、同軸ノズル7に対するフィーダ11、15からの供給経路が切り替えられ、前記フィーダ15から同軸ノズル7に供給された第2金属粉末(Ni、Si、Mo、Alの濃度が相対的に高い金属粉末)が前記レーザビームにより溶融されてシリンダヘッドHのバルブシート部Sに溶着・肉盛りされて一般部および終端部が形成されることになる。
なお、本例では、図6に示すように、始端部形成時の第1金属粉末に対するレーザ出力が、始端部形成後の第2金属粉末に対するレーザ出力より小さく設定されている。言い換えれば、前記制御装置20は、レーザ加工ヘッド2の同軸ノズル7の回転角度に応じてレーザ加工ヘッド2(のレーザ発振部5)のレーザ出力も同時に制御している。
なお、本実施形態で、肉盛層の「始端部」とは、加工の始点(肉盛層の加工開始位置)から肉盛りされた層の高さが製品時のシート面の高さ未満の領域を意味する(特に、図5C参照)。また、肉盛層の「一般部」とは、前記始端部形成後の、肉盛りされた層の高さが製品時のシート面の高さ以上の領域を意味する。また、肉盛層の「終端部」とは、少なくとも前記始端部にオーバーラップする部分以降の領域を意味している(特に、図5C、図6参照)。
ここで、上記第1金属粉末(始端部形成に用いられる金属材料)および第2金属粉末(一般部及び終端部形成に用いられる金属材料)の粉末合金成分の組成は、以下の考えに基づき決定されたものである。
《Ni成分について》
Niは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するが、20%を超えると、割れが発生しやすくなり、溶着性が低下する。一方で、含有量(率)が少ないと、NiSi(ニッケル珪化物)の形成やAl固溶限の増加によるAlNi化合物の形成が抑制され、クラックを抑制できるが、5%未満ではマトリックスの強化が不十分となるため、燃焼圧等のエンジン負荷に耐えられない。そのため、5.0%〜20.0%の範囲内で、第1金属粉末でのNi量を相対的に少なくし、第2金属粉末でのNi量を相対的に多くする。
Niは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するが、20%を超えると、割れが発生しやすくなり、溶着性が低下する。一方で、含有量(率)が少ないと、NiSi(ニッケル珪化物)の形成やAl固溶限の増加によるAlNi化合物の形成が抑制され、クラックを抑制できるが、5%未満ではマトリックスの強化が不十分となるため、燃焼圧等のエンジン負荷に耐えられない。そのため、5.0%〜20.0%の範囲内で、第1金属粉末でのNi量を相対的に少なくし、第2金属粉末でのNi量を相対的に多くする。
《Si成分について》
Siは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するとともに、Alへの溶着性が向上するが、過度に多くなると、Cu-Ni-Si組織のCu-Ni結晶粒の粒界に形成されたニッケル珪化物(Ni3Si等)が増加するため、延性が低下し、これに希釈した基材成分(Al成分)がCuのAl固溶限を超えて混入すると粒界に金属間化合物(AlNi等)を形成し、伸びが著しく低下する。また、低いAl濃度でも高い残留引張応力が生じるためクラックが発生しやすくなる。より詳しくは、2.4%以下では、未溶着が発生しやすくなり、4.0%以上では、上記理由により、肉盛層の一般部にクラックが生じやすくなる。そのため、2.4%〜4.0%の範囲内で、第1金属粉末でのSi量は、第2金属粉末でのSi量未満とする。
Siは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するとともに、Alへの溶着性が向上するが、過度に多くなると、Cu-Ni-Si組織のCu-Ni結晶粒の粒界に形成されたニッケル珪化物(Ni3Si等)が増加するため、延性が低下し、これに希釈した基材成分(Al成分)がCuのAl固溶限を超えて混入すると粒界に金属間化合物(AlNi等)を形成し、伸びが著しく低下する。また、低いAl濃度でも高い残留引張応力が生じるためクラックが発生しやすくなる。より詳しくは、2.4%以下では、未溶着が発生しやすくなり、4.0%以上では、上記理由により、肉盛層の一般部にクラックが生じやすくなる。そのため、2.4%〜4.0%の範囲内で、第1金属粉末でのSi量は、第2金属粉末でのSi量未満とする。
《Mo成分について》
Moは、含有量(率)が多いほど、Mo-Si-FeとMo-Ni-Siで構成される硬質粒子の面積率が増加し、硬質粒子が多く晶出し、耐摩耗性が向上するが、マトリックスに比べて靱性がないため、破断歪が低下してクラックが発生しやすくなる。より詳しくは、40.0%を超えると硬質粒子が過剰となり靱性が低下し、クラックが発生しやすくなる。そのため、0%〜40.0%の範囲内で、第1金属粉末でのMo量は、第2金属粉末でのMo量未満とする。
Moは、含有量(率)が多いほど、Mo-Si-FeとMo-Ni-Siで構成される硬質粒子の面積率が増加し、硬質粒子が多く晶出し、耐摩耗性が向上するが、マトリックスに比べて靱性がないため、破断歪が低下してクラックが発生しやすくなる。より詳しくは、40.0%を超えると硬質粒子が過剰となり靱性が低下し、クラックが発生しやすくなる。そのため、0%〜40.0%の範囲内で、第1金属粉末でのMo量は、第2金属粉末でのMo量未満とする。
《Al成分について》
Alは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Alの固溶強化組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するが、過度に多くなると、希釈した基材成分(Al成分)によりAlNiやCuAlといった延性が低い金属間化合物相が増加し、クラックが生じやすくなる。つまり、Al成分が僅かでも入ると引張強度は向上するが(図7参照)、12%を上回ると、破断歪(低いと割れやすい)がAl濃度0%の場合を下回ることになる(図8参照)。そのため、0%〜12.0%の範囲内で、第1金属粉末でのAl量を相対的に少なくし、第2金属粉末でのAl量を相対的に多くする。
Alは、含有量(率)が多くなると、Cu-Ni-Alの固溶強化組織が生じやすく、マトリックスの強度が向上するが、過度に多くなると、希釈した基材成分(Al成分)によりAlNiやCuAlといった延性が低い金属間化合物相が増加し、クラックが生じやすくなる。つまり、Al成分が僅かでも入ると引張強度は向上するが(図7参照)、12%を上回ると、破断歪(低いと割れやすい)がAl濃度0%の場合を下回ることになる(図8参照)。そのため、0%〜12.0%の範囲内で、第1金属粉末でのAl量を相対的に少なくし、第2金属粉末でのAl量を相対的に多くする。
すなわち、上記のようにして本実施形態のレーザクラッド加工装置1にて肉盛層を形成することで、前記フィーダ11から同軸ノズル7に供給された第1金属粉末で構成される肉盛層の始端部は、Al固溶限が相対的に高い組織となる。
また、前記フィーダ15から同軸ノズル7に供給された第2金属粉末で構成される肉盛層の一般部及び終端部は、耐摩耗性に優れた組織となる。詳しくは、本実施形態のレーザクラッド加工装置1にて形成される肉盛層の製品時におけるシート面は、第2金属粉末により形成される組織となり、NiやSiをより多く含む組織となるため、Cu-Ni-Siの網目状の組織が生じやすくマトリックスの硬度が向上し、マトリックスが剥がれてバルブに付着して進行する凝着摩耗が抑制されることが期待される。また、Moをより多く含む組織となるため、Mo-Si-FeとMo-Ni-Siで構成される硬質粒子の面積率が増加し、耐摩耗性が向上することが期待される。また、Alをより多く含む組織となるため、Cu-Ni-Alの固溶強化組織が生じやすくマトリックスの硬度が向上し、マトリックスが剥がれてバルブに付着して進行する凝着摩耗が抑制されることが期待される。
以上で説明したように、本実施形態によれば、肉盛層の始端部に供給される第1金属粉末は、前記始端部形成後の一般部に供給される第2金属粉末に比べてSi、Ni、Mo、Alのうち少なくとも一つの濃度が相対的に低いので、前記始端部におけるAl固溶限を高めることができる。そのため、基材からのAl希釈による金属間化合物の形成を低減できるため、前述の肉盛層の始端部における割れを確実に低減することが可能となる。
また、本実施形態では、肉盛層の加工過程での切替えバルブ19(あるいは、各フィーダ11、15に配備された流量制御用の開閉バルブなど)の切替えにより各供給装置10、14のフィーダ11、15から同軸ノズル7への金属粉末の供給経路の切替えが行われるので、生産性を確保できるといった効果もある。
なお、上記実施形態では、レーザビームを通過させるとともにそのレーザビームの周囲から金属粉末を吐出する二重管構造の同軸ノズル7を利用したが、例えば、レーザビームと金属粉末を別個のノズルを使用して基材(シリンダヘッドHのバルブシート部S)の表面に供給しても良い。言い換えれば、上記実施形態では、基材の表面に金属粉末を供給する粉末供給部と、該粉末供給部から供給された金属粉末にレーザビームを照射して当該金属粉末を溶融させるレーザ照射部とを兼ね備えたレーザ加工ヘッド2(の同軸ノズル7)を利用したが、例えば、前記粉末供給部と前記レーザ照射部を別個の装置で構成しても良い。また、上記実施形態では、各供給装置10、14から供給される異なる成分の金属粉末を一つの同軸ノズル7から順次吐出(供給)したが、例えば、各供給装置10、14から供給される異なる成分の金属粉末を別個の(二つの)ノズルを使用して基材(シリンダヘッドHのバルブシート部S)の表面に向けて順次供給しても良い。
また、前記同軸ノズル7の吐出空間8に金属粉末を供給する供給パイプの数や位置等は、適宜に変更できることは言うまでも無い。
さらに、上記実施形態では、構成を明確化するために、所定の時間(図6に示す例では、約45°の回転角度)で、同軸ノズル7に対するフィーダ11からの第1金属粉末の供給とフィーダ15からの第2金属粉末の供給とを完全に切り替え、フィーダ11からの第1金属粉末のみを供給して始端部を形成し、フィーダ15からの第2金属粉末のみを供給して一般部と終端部を形成するものとしたが、肉盛層の始端部加工に用いられる金属粉末のAl固溶限が一般部及び終端部加工に用いられる金属粉末のAl固溶限より高くなるとともに、製品時のシート面の耐摩耗性等が確保できれば、所定の時間幅(所定の回転角度の範囲内)で、フィーダ11から供給される第1金属粉末とフィーダ15から供給される第2金属粉末とを混合して使用しても良いことは勿論である。
<肉盛層(クラッド層)の機能面・品質面を評価した実験とその結果>
本発明者等は、前記したレーザクラッド加工装置1を利用し(加工条件は、例えば図6を参照)、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例1〜8、比較例1〜8)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層の機能面・品質面の評価実験を実施した。
本発明者等は、前記したレーザクラッド加工装置1を利用し(加工条件は、例えば図6を参照)、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例1〜8、比較例1〜8)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層の機能面・品質面の評価実験を実施した。
{実施例1による肉盛層(クラッド層)の断面を観察した実験とその結果}
まず、本発明者等は、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例1、比較例1)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層の断面観察実験を実施した。
まず、本発明者等は、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例1、比較例1)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層の断面観察実験を実施した。
≪実施例1と比較例1の対比≫
図9は、実施例1、比較例1における金属粉末の粉末合金成分を示している。図9から分かるように、実施例1における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Ni、Si、Mo、Alの全ての濃度が低く設定されている。また、比較例1における金属粉末は、実施例1における第2金属粉末とほぼ同じ(Al量が僅かに異なる)粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例1は、実施例1における第2金属粉末とほぼ同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛層加工したものである。
図9は、実施例1、比較例1における金属粉末の粉末合金成分を示している。図9から分かるように、実施例1における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Ni、Si、Mo、Alの全ての濃度が低く設定されている。また、比較例1における金属粉末は、実施例1における第2金属粉末とほぼ同じ(Al量が僅かに異なる)粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例1は、実施例1における第2金属粉末とほぼ同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛層加工したものである。
図10Aは、本実験で作製された実施例1による肉盛層の、加工方向に対して垂直な断面(図5AのX−X矢視断面に相当)および加工方向に沿う断面(図5BのY−Y矢視断面に相当)の断面観察結果を示す組織写真図である。また、図10Bは、比較例1による肉盛層の、加工方向に対して垂直な断面および加工方向に沿う断面の断面観察結果を示す組織写真図である。
図10Bで示す比較例1では、始端部にて金属間化合物相が多く析出しているため、一般部や終端部に比べてやや白く見え、クラックの発生が確認された。
なお、比較例1による組織のクラック発生部の組織をクラック無し部の組織と比較するために拡大組織を調査したところ、Al希釈が10%あり、その結果、延性な(クラックに強い)Cu-Ni金属相が減少し、Al濃度の増加によりAlとNiが結合して延性の低い金属間化合物相AlNiが生じていることが分かった。
一方、図10Aで示す実施例1では、始端部の色目が一般部や終端部に近く、白くなっていないことから、クラックが生じやすい金属間化合物相があまり析出していないことが確認された。
{実施例2〜8による肉盛層(クラッド層)のマトリックスの硬度、硬質粒子の面積率、クラックの有無を測定した実験とその結果}
次に、本発明者等は、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例2〜8、比較例1〜8)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層のマトリックスの硬度、硬質粒子の面積率、クラックの有無(発生数)の測定実験を実施した。
次に、本発明者等は、異なる粉末合金成分の金属粉末(実施例2〜8、比較例1〜8)を使用してAl基材(Al製のシリンダヘッドのバルブシート部)に肉盛層を形成し、その肉盛層のマトリックスの硬度、硬質粒子の面積率、クラックの有無(発生数)の測定実験を実施した。
上述の比較例1による組織のクラック発生部の考察(図10B参照)から、Al成分のCuへの混入量が規定値(固溶限)を超えると金属間化合物(AlNi、CuAl)が形成され、延びの低下を引き起してクラックが生じやすい組織になるという知見が得られた。そこで、本実験では、CuのAl固溶限を定義し、第1金属粉末と第2金属粉末の粉末合金成分組成のSi量、Ni量、Mo量、Al量の大小関係を制御因子とし、結果指標として、凝着摩耗を抑制するマトリックス硬さ(Hv0.1)、耐摩耗性を向上させる硬質粒子の面積率、クラックの有無(亀裂発生数)を選定して評価した。なお、機能面としてのマトリックス硬さ、硬質粒子の面積率は、いずれも高いほど凝着摩耗に対して有利であり、品質面としての始端部に見られる亀裂発生数は、低いほど(つまり、ゼロが)望ましい。
ここで、「CuのAl固溶限」とは、Al成分のCuへの混入量がその値を超えるとCu中に金属間化合物(AlNi、CuAl)が形成され、延びの低下を引き起してクラックが生じやすくなる限界値で、金属粉末中のNi、Si、Mo成分の値で決まる値である。
≪実施例2と比較例1の対比≫
図11は、実施例2、比較例1の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図11から分かるように、実施例2における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Ni、Si、Mo、Alの全ての濃度が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例1における金属粉末は、実施例2における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例1は、実施例2における第2金属粉末と同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛加工したものである。
図11は、実施例2、比較例1の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図11から分かるように、実施例2における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Ni、Si、Mo、Alの全ての濃度が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例1における金属粉末は、実施例2における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例1は、実施例2における第2金属粉末と同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛加工したものである。
実施例2では、比較例1と同等の機能が亀裂ゼロで実現できる一方で、比較例1では、亀裂が19個発生していることが確認された。
≪実施例2と比較例2の対比≫
図12は、実施例2、比較例2の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図12から分かるように、比較例2における金属粉末は、実施例2における第1金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例2は、実施例2における第1金属粉末と同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛加工したものである。
図12は、実施例2、比較例2の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図12から分かるように、比較例2における金属粉末は、実施例2における第1金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。つまり、比較例2は、実施例2における第1金属粉末と同じ粉末合金成分を持つ単一の金属粉末を使用して肉盛加工したものである。
比較例2では、Si量、Ni量、Mo量、Al量が少ない(実施例2の第2金属粉末より少なく、第1金属粉末と同じ)ので、亀裂はゼロであるが、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率がともに実施例2より低く、機能面で実施例2より劣ることが確認された。
≪実施例3と比較例3の対比≫
図13は、実施例3、比較例3の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図13から分かるように、実施例3における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Siの濃度(Si量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例3における金属粉末は、実施例3における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図13は、実施例3、比較例3の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図13から分かるように、実施例3における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Siの濃度(Si量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例3における金属粉末は、実施例3における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例3の第2金属粉末と比較例3の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例3と比較例3は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例3の第1金属粉末のSi濃度(Si量)が相対的に低いので、実施例3では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例3では、亀裂が2個発生していることが確認された。
≪実施例4と比較例4の対比≫
図14は、実施例4、比較例4の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図14から分かるように、実施例4における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Moの濃度(Mo量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例4における金属粉末は、実施例4における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図14は、実施例4、比較例4の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図14から分かるように、実施例4における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Moの濃度(Mo量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例4における金属粉末は、実施例4における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例4の第2金属粉末と比較例4の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例4と比較例4は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例4の第1金属粉末のMo濃度(Mo量)が相対的に低いので、実施例4では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例4では、亀裂が1個発生していることが確認された。
≪実施例5と比較例5の対比≫
図15は、実施例5、比較例5の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図15から分かるように、実施例5における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Alの濃度(Al量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例5における金属粉末は、実施例5における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図15は、実施例5、比較例5の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図15から分かるように、実施例5における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、Alの濃度(Al量)のみが低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例5における金属粉末は、実施例5における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例5の第2金属粉末と比較例5の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例5と比較例5は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例5の第1金属粉末のAl濃度(Al量)が相対的に低いので、実施例5では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例5では、亀裂が15個発生していることが確認された。
≪実施例6と比較例6の対比≫
図16は、実施例6、比較例6の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図16から分かるように、実施例6における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとMoの濃度(Si量とMo量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例6における金属粉末は、実施例6における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図16は、実施例6、比較例6の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図16から分かるように、実施例6における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとMoの濃度(Si量とMo量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例6における金属粉末は、実施例6における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例6の第2金属粉末と比較例6の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例6と比較例6は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例6の第1金属粉末のSi濃度とMo濃度(Si量とMo量)が相対的に低いので、実施例6では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例6では、亀裂が5個発生していることが確認された。
≪実施例7と比較例7の対比≫
図17は、実施例7、比較例7の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図17から分かるように、実施例7における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとNiの濃度(Si量とNi量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例7における金属粉末は、実施例7における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図17は、実施例7、比較例7の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図17から分かるように、実施例7における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとNiの濃度(Si量とNi量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例7における金属粉末は、実施例7における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例7の第2金属粉末と比較例7の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例7と比較例7は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例7の第1金属粉末のSi濃度とNi濃度(Si量とNi量)が相対的に低いので、実施例7では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例7では、亀裂が5個発生していることが確認された。
≪実施例8と比較例8の対比≫
図18は、実施例8、比較例8の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図18から分かるように、実施例8における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとNiとMoの濃度(Si量とNi量とMo量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例8における金属粉末は、実施例8における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
図18は、実施例8、比較例8の金属粉末の粉末合金成分、および、その機能面と品質面での実験結果を示している。図18から分かるように、実施例8における第1金属粉末は、第2金属粉末と比べて、SiとNiとMoの濃度(Si量とNi量とMo量)が低く設定されている。また、尺度となる第1金属粉末のCuのAl固溶限は、第2金属粉末のCuのAl成分固溶限より高い。また、比較例8における金属粉末は、実施例8における第2金属粉末と同じ粉末合金成分に設定されている。
実施例8の第2金属粉末と比較例8の金属粉末は同じ粉末合金成分であるので、実施例8と比較例8は、機能面では等しい(つまり、マトリックス硬さ、硬質粒子の面積率はともに同じである)。一方で、実施例8の第1金属粉末のSi濃度とNi濃度とMo濃度(Si量とNi量とMo量)が相対的に低いので、実施例8では、亀裂がゼロであるのに対し、比較例8では、亀裂が4個発生していることが確認された。
すなわち、この実験結果より、肉盛層を形成する第1金属粉末のSi、Ni、Mo、Alのうち少なくとも一つの濃度を第2金属粉末に比べて低くすることにより、機能(マトリックスの硬度や硬質粒子の面積率)を維持しながら、品質に関連する肉盛層の始端部における割れを確実に低減できることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…レーザクラッド加工装置(肉盛層の製造装置)、2…レーザ加工ヘッド(粉末供給部、レーザ照射部)、3…回転装置、5…レーザ発振部、6…光学系部、7…同軸ノズル、7a…インナノズル部材、7b…アウタノズル部材、8…吐出空間、8a〜8d…供給パイプ、9…シリンダヘッド保持装置、10、14…供給装置(第1供給部、第2供給部)、11、15…フィーダ、18…供給チューブ、19…切替えバルブ(切替え部)、20…制御装置(制御部)
Claims (1)
- Niが5.0%〜20%、Siが2.4%〜4.0%、Moが0%〜40%、残部がCuの金属粉末で肉盛りされた12%以下のアルミニウム成分を含むバルブシート合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017236774A JP2018158379A (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | バルブシート合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017236774A JP2018158379A (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | バルブシート合金 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017055701A Division JP6729461B2 (ja) | 2017-03-22 | 2017-03-22 | 肉盛層の製造方法及びその製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018158379A true JP2018158379A (ja) | 2018-10-11 |
Family
ID=63796194
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017236774A Pending JP2018158379A (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | バルブシート合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018158379A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210157552A (ko) | 2020-06-22 | 2021-12-29 | 현대자동차주식회사 | 밸브 시트용 구리 합금 |
KR20210158659A (ko) | 2020-06-24 | 2021-12-31 | 현대자동차주식회사 | 레이저 클래딩으로 제조된 엔진 밸브시트용 구리합금 |
US11624103B2 (en) | 2019-12-16 | 2023-04-11 | Hyundai Motor Company | Copper alloy for laser cladding valve seat |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04246142A (ja) * | 1991-01-28 | 1992-09-02 | Toyota Motor Corp | 肉盛用耐摩耗性銅基合金 |
JPH0732173A (ja) * | 1993-07-13 | 1995-02-03 | Komatsu Ltd | レーザクラッディング方法 |
JPH08224680A (ja) * | 1995-02-22 | 1996-09-03 | Nissan Motor Co Ltd | レーザによる肉盛り方法 |
JPH09285884A (ja) * | 1996-04-22 | 1997-11-04 | Nissan Motor Co Ltd | レーザ肉盛り材及びレーザ肉盛り加工方法 |
JPH1096037A (ja) * | 1996-09-20 | 1998-04-14 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 耐摩耗性に優れた銅合金 |
JPH10158766A (ja) * | 1996-11-29 | 1998-06-16 | Miyoshi Gokin Kogyo Kk | 耐熱・耐摩耗性銅合金 |
US20050031892A1 (en) * | 2003-02-21 | 2005-02-10 | Jyoti Mazumder | Wear-resistant alloys particularly suited to aluminum-engine head-valve seats |
JP2006098085A (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-13 | Toyota Motor Corp | 肉盛層の組織予測方法 |
JP2008264842A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Sanyo Special Steel Co Ltd | レーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたバルブシート |
JP2017036470A (ja) * | 2015-08-07 | 2017-02-16 | トヨタ自動車株式会社 | 耐摩耗性銅基合金 |
-
2017
- 2017-12-11 JP JP2017236774A patent/JP2018158379A/ja active Pending
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04246142A (ja) * | 1991-01-28 | 1992-09-02 | Toyota Motor Corp | 肉盛用耐摩耗性銅基合金 |
JPH0732173A (ja) * | 1993-07-13 | 1995-02-03 | Komatsu Ltd | レーザクラッディング方法 |
JPH08224680A (ja) * | 1995-02-22 | 1996-09-03 | Nissan Motor Co Ltd | レーザによる肉盛り方法 |
JPH09285884A (ja) * | 1996-04-22 | 1997-11-04 | Nissan Motor Co Ltd | レーザ肉盛り材及びレーザ肉盛り加工方法 |
JPH1096037A (ja) * | 1996-09-20 | 1998-04-14 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 耐摩耗性に優れた銅合金 |
JPH10158766A (ja) * | 1996-11-29 | 1998-06-16 | Miyoshi Gokin Kogyo Kk | 耐熱・耐摩耗性銅合金 |
US20050031892A1 (en) * | 2003-02-21 | 2005-02-10 | Jyoti Mazumder | Wear-resistant alloys particularly suited to aluminum-engine head-valve seats |
JP2006098085A (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-13 | Toyota Motor Corp | 肉盛層の組織予測方法 |
JP2008264842A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Sanyo Special Steel Co Ltd | レーザー肉盛バルブシート用原料粉末およびこれを用いたバルブシート |
JP2017036470A (ja) * | 2015-08-07 | 2017-02-16 | トヨタ自動車株式会社 | 耐摩耗性銅基合金 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11624103B2 (en) | 2019-12-16 | 2023-04-11 | Hyundai Motor Company | Copper alloy for laser cladding valve seat |
KR20210157552A (ko) | 2020-06-22 | 2021-12-29 | 현대자동차주식회사 | 밸브 시트용 구리 합금 |
US11560610B2 (en) | 2020-06-22 | 2023-01-24 | Hyundai Motor Company | Copper alloy for valve seats |
KR20210158659A (ko) | 2020-06-24 | 2021-12-31 | 현대자동차주식회사 | 레이저 클래딩으로 제조된 엔진 밸브시트용 구리합금 |
US11427889B2 (en) | 2020-06-24 | 2022-08-30 | Hyundai Motor Company | Copper alloy for engine valve seats manufactured by laser cladding |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6729461B2 (ja) | 肉盛層の製造方法及びその製造装置 | |
Pouranvari et al. | Dissimilar gas tungsten arc weld-brazing of Al/steel using Al-Si filler metal: Microstructure and strengthening mechanisms | |
JP2018158379A (ja) | バルブシート合金 | |
US10786871B2 (en) | Wear-resistant member and wear-resistant member production method | |
CA2865658A1 (en) | Method of cladding and fusion welding of superalloys using composite filler powder | |
JP2890658B2 (ja) | アルミ鋳物部品の局部強化方法 | |
US11180840B2 (en) | High gamma prime nickel based superalloy, its use, and method of manufacturing of turbine engine components | |
JP7287916B2 (ja) | 積層造形物の製造方法、及び積層造形物 | |
US20220226893A1 (en) | Superalloy powder mixture for liquid assisted additive manufacturing of a superalloy component | |
US10871124B2 (en) | Coated valve seat region of an internal combustion engine | |
KR102244939B1 (ko) | 용융 용접물 내의 금속 탄화물/질화물 침전물의 제어 | |
Venukumar et al. | Cold metal transfer (CMT) welding of dissimilar materials: an overview | |
US20030116234A1 (en) | Consumable welding filler metal for cladding alloys | |
WO2013046002A1 (en) | Electrode for gmaw hybrid laser arc welding | |
EP3587614A1 (en) | Laser brazing method and production method for lap joint member | |
US8809724B2 (en) | Strategically placed large grains in superalloy casting to improve weldability | |
JP2018138307A (ja) | 肉盛層の製造方法 | |
CN114393309A (zh) | 激光与电弧复合制备钛-钢梯度结构用焊接材料及方法 | |
Kosturek et al. | Research on the microstructure of laser beam welded Sc-modified AA2519-F extrusion | |
JP2009285675A (ja) | 肉盛方法 | |
JP2016159335A (ja) | 肉盛り方法 | |
JPH11138293A (ja) | 極低温用鋼のtig溶接用ワイヤおよび溶接方法 | |
JP2023553255A (ja) | パイプラインチューブを製造するためのニッケル基合金 | |
Shanthi et al. | Material characterization of CMT welded joints of AA6082-T4 alloys | |
CN116761690A (zh) | 用于对超合金部件进行液体辅助增材制造的超合金粉末混合物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181009 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190402 |