JP2016159335A - 肉盛り方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 銅母材の上に純ニッケルやニッケル基合金等の中間層を介在させることなく鉄基合金、特に耐磨耗性鉄基合金を直接に且つ健全に肉盛りして、中間層の介在による熱電導性の悪化及び経済性の悪化を回避する。
【解決手段】 純銅又は銅合金からなる銅母材の表面に鉄基合金を溶接肉盛りする際に、溶接肉盛り金属より融点が高く溶接溶融金属より比重が大きい高融点大比重金属粒子を内包する溶接棒を作製する。溶接中に高融点大比重金属粒子が溶接溶融金属中に投入され、溶接溶融金属中の銅母材との境界面近傍に沈降して粒子層を形成する。形成された粒子層はバリア層となることにより、銅母材から溶接溶融金属中への銅元素の溶け込みを防止する。また、溶接溶融金属から銅母材への鉄元素の溶け込みを防止する。更に、銅母材の磨耗抑制に寄与する。好ましくは、高融点大比重金属粒子の表面に純Ni又はNi合金からなるNi材を被覆しておく。
【選択図】 図4

Description

本発明は、純銅又は銅合金からなる母材の表面に、鉄基合金を、ニッケル基合金等の中間層の介在なしに、直接溶接肉盛りする肉盛り方法に関する。なお、本明細書では、銅は特にことわりのない限り、純銅又は銅合金を意味する。同様に、ニッケルは特にことわりのない限り、純ニッケル又はニッケル基合金を意味する。
従来、耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性を持つ鉄基合金を純銅又は銅合金からなる銅母材の上に直接肉盛りすると、銅元素及び鉄元素の固溶限が低いために、溶着金属中の鉄元素や溶着金属に溶け込んだ銅元素が析出して、溶着金属に割れが発生しやすいことが知られている。これに関連して、銅ワイヤによる軟鋼母材上へのサブマージドアーク肉盛り溶接においては、溶着金属中の銅含有量が10%になると溶着金属が最も硬くなり、6−7〜55−60%の範囲では溶着金属にビード横割れが発生することが、非特許文献1により報告されている。
軟鋼への銅の肉盛りとは逆に、鉄基合金による銅母材表面への肉盛りにおいては、最も有害な現象は、銅母材との融合線やその近傍からの肉盛り合金の剥離割れである。肉盛り合金が剥離してしまうと、肉盛りの効果がなくなる。溶着金属の横割れや縦割れの方が、剥離とは直接繋がらないので未だしも許容される。銅母材への鉄基合金の肉盛りは、銅と軟鋼の異材接合の場合と異なり、溶接構造体の接合強度を求めるものではなく、銅母材表面の磨耗を防止するために行う施工であるため、欠陥を厳格に皆無にする必要性はない。あくまで銅母材と鉄基肉盛り合金との間の剥離を防止できれば良い。即ち、溶着金属へ銅元素が侵入しても、剥離を生じなければ良いのである。
従来、銅母材への鉄基合金の肉盛りにおいては、この肉盛り合金の剥離を防止するために、純ニッケルもしくはニッケル基合金が銅母材の表面に溶着され、その上に鉄基合金が肉盛りされていた。すなわち、鉄基肉盛り合金と銅母材との間にニッケルの中間層が介在されていた。通常、銅にはタフピッチ銅、脱酸銅が使用されており、特別な場合に無酸素銅が使用されている。ニッケル又はニッケル基合金は、銅と全率固溶体を形成し、割れを発生し難いことから、異材溶接の場合、しばしば銅と鋼との間の中間材として用いられていた。
しかしながら、ニッケルはモリブデン、コバルトなどと同様、産業界では産業機械装置の寿命延命等を目的として多用されているが、希少価値金属類であるので、その使用量を極力減らすことが求められる。この観点から、本発明者はニッケル基溶接材料に代わる鉄基合金溶接材料を特許文献1及び2により先に提示した。
ところで、銅は加工性、耐腐食性、導電性、熱伝導性、殺菌性等の優れた特性を持つため、様々な用途に使用されており、われわれの生活に欠かせない存在になっている。ここで取り上げようとしている銅の特性は熱伝導性であり、例えば、製鉄所で使用される諸々の装置のなかで高炉羽口は高炉内に微粉炭を吹き込む装置であり、炉内温度が1000℃以上あることから、その銅製羽口は内部を冷却水で冷却されて使用されている。
銅の室温付近での熱伝導率は398W・m−1・K−1である。これに対して、炭素含有量が0.5%以下の炭素鋼の室温付近での熱伝導率は53W・m−1・K−1であり、銅の熱伝導率の約7.5分の1に過ぎない。また、50%ニッケル鋼の熱伝導率は約14W・m−1・K−1であり、銅の熱伝導率の約28分の1に過ぎない。
一方、銅の融点は1084℃であり、他の金属、例えば鉄の融点(約1539℃)と比較すれば、かなり低い。このため、銅は高炉内では水冷しない限り溶融してしまうが、その優れた熱伝導性のため一旦水冷されると、外部の熱を速やかに吸収して冷却水に熱を伝え、その冷却効果は著しく優れている。従って、製鉄所における銅の用途は、主として、羽口、連続鋳造機の水冷鋳型、高炉炉体鉄皮を保護する水冷ステーブクーラー、製鋼所における転炉用ランスノズルやセメント工場のキルンバーナー、バーナークーラのような高温用途である。
しかし、銅は非常に柔らかい金属なので耐摩耗性はほとんど無く、高炉炉内における羽口等の用途において、鉄鉱石やコークス、石炭等による高温磨耗を受け、早期磨耗を発生し易く、短寿命であった。
このため、銅製諸装置の表面に高温耐摩耗性や耐熱性に優れた鉄基合金やコバルト基合金を肉盛りすることにより、銅の磨耗を防止する対応が取られるようになった。しかし、銅製装置の表面に鉄基合金を直接肉盛することが出来ないので、その下盛り金属としてニッケルやニッケル基合金が肉盛りされているが、その下盛り合金の熱伝導度が銅に比べ著しく劣り、その優れた熱伝導性が大きく損なわれることは前述のとおりである。
しかも、下盛り層の上に硬化肉盛り合金として、銅の約1/7.5の熱伝導性を持つ鉄基合金が肉盛りされることにより、銅本来の熱伝導性が異種金属の2層肉盛により大きく損なわれることになる。
溶接学会誌 第33巻(1964年)第3号 163
特許第3343576号公報 特許第4310368号公報
本発明の目的は、銅母材の上に純ニッケルやニッケル基合金等の中間層を介在させることなく鉄基合金、特に耐磨耗性鉄基合金を直接に且つ健全に肉盛りして、中間層の介在による熱電導性の悪化及び経済性の悪化を回避する肉盛り方法を提供することにある。
銅母材の上に鉄基合金を直接溶接したときの問題は、前述したとおり溶着金属の剥離割れであり、その原因は溶着金属への銅元素の溶け込みである。本発明者は、鉄基肉盛り合金の耐磨耗性を高めるために、その肉盛り合金へタングステンカーバイト粒子を添加することの有効性を先に知見した。そして今回、その肉盛り合金の品質を確認する過程で、溶着金属へのタングステンカーバイト粒子の添加が、剥離割れの防止に有効なことを知見した。
TIG溶接を例にして説明すると、軟鋼製パイプの内部に鉄粉や、ブローホール発生の抑制剤としてのFe−Si粉、タングステン炭化物粒子等が充填されたTIG溶接棒を作製する。例えば、マトリックスが軟鋼で、その中にタングステンカーバイト粒子が25〜50%含有された溶着金属が形成されるTIG溶接棒である。この溶接棒をTIGアークで溶融した場合、比重の重いタングステンカーバイト粒子は、溶接溶融金属と母材銅との境界部に速やかに沈殿し、タングステンカーバイト粒子からなるバリア層を形成して、母材銅が溶接溶融金属中へ拡散侵入するのを防止すると共に、溶接溶融金属が母材銅中へ拡散侵入するのを防止する。
即ち、比重の重いタングステンカーバイト粒子をビード幅全幅に沿って、故意に沈殿させることにより、タングステンカーバイト粒子からなるバリア層を銅母材と肉盛り金属との境界線近傍に形成させるのである。ここで重要なことは、相互の溶融金属が拡散侵入する以前に、タングステンカーバイト粒子のバリア層が形成されることである。銅の比重は8.96g/cm3であり、軟鋼の比重は7.87g/cm3で、銅の比重より若干大きい程度であるが、タングステンカーバイト粒子の比重は約15.77g/cm3で、軟鋼や銅の比重に比べて著しく大きく、母材銅が軟鋼溶着金属中へ拡散侵入する前に、タングステンカーバイト粒子がその比重差により速やかに沈降して銅母材との境界面近傍に沈殿する。
更に重要なことは、タングステンカーバイトの融点が約2870℃と高いために、TIGアークを受熱しても他の金属に比べ溶融し難く、そのままの形状で沈殿することである。即ちバリア材料としては、溶接溶融金属より比重が大きいこと、融点が溶接金属の融点より高いことが重要であり、WCもしくはWCが最も好ましい。WCの比重は約17.34g/cmであり、その融点は約2750℃である。
加えて、肉盛り金属の耐摩耗性の見地から、タングステンカーバイト粒子は、WC粒子でHVが2400、WC粒子でHVが3000というように、高い硬度を持ち、タングステンカーバイト粒子が銅母材との肉盛り界面近傍に沈殿することにより、耐摩耗層を形成し、銅母材の磨耗を防止することにも貢献するものである。このように、タングステンカーバイト粒子は、銅の拡散浸入を防止するバリア層として、また優れた耐磨耗性を与える機能材料として、2種類の重要な機能を発揮することが出来る。
タングステンカーバイト粒子は、上述のとおり、比重が大きいので、溶融溶着金属中で速やかに沈殿して銅の拡散浸入を防止するバリア層としての機能を充分に発揮することが期待されるが、その一方で、タングステンカーバイト粒子を単独で添加した場合、アーク熱で一部溶融し、溶着金属に多量のタングステンが溶け込んで、溶着金属を硬化させ、脆くする欠点が予測された。この欠点を解消するためには、タングステンカーバイト粒子の表面に純Ni粉、Ni基合金粉等を予め被覆しておくのが有効であることが判明した。この被覆は、タングステンカーバイト粒子の溶融を妨げ、更にNiが銅との溶接境界線に拡散浸入して、溶着金属の剥離を防止出来るほどの靭性を与えることが出来るのである。
前掲の非特許文献1を参照すると、Cuが6〜7%以上になると、遊離銅が鉄基結晶粒界に浸入して、ビード横割れを発生することが述べられていることから、銅母材への鉄基合金の肉盛りでは、溶融金属中に沈殿したタングステンカーバイト粒子層と銅境界面との間に剥離を発生することが危惧される。
しかしながら、溶接溶融金属に投入されるタングステンカーバイト粒子表面にNi粉又はNi合金粉が被覆されていると、被覆したNi粉やNi基合金粉の全部もしくは一部分が比重の重いタングステンカーバイト粒子と共に速やかに銅境界面近傍まで沈殿して、タングステンカーバイト粒子と銅境界面との間に多量のNiが溶融することが期待される。そうなると、冶金学的見地からは、溶接溶融中に一部拡散浸入した遊離CuがNi元素と反応して、Cuと全率固溶体を形成し、遊離Cuの含有量を減少させることが期待できる。その結果、Cuの鉄基結晶粒界浸入を減少させることができ、ビード剥離割れの防止が可能となる。Cuと合金を形成しやすい元素としてはNiの他にはCr,Fe、Si等があり、これら元素が単独または合金の形(例えばCu−Ni−Si,Cu−Mn−Si,Cu−Fe−Cr等)で遊離Cuと結合する。
本発明の肉盛り方法はかかる知見を基礎として開発されたものであり、純銅又は銅合金からなる銅母材の表面に鉄基合金を溶接肉盛りする際に、溶接肉盛り金属より融点が高く溶接溶融金属より比重が大きい高融点大比重金属粒子からなる粒子層を、溶接溶融金属中の銅母材との境界面近傍に形成するものである。
溶接溶融金属中の銅境界面近傍に形成された粒子層がバリア層となることにより、銅母材から溶接溶融金属中への銅元素の溶け込みが防止されると共に、溶接溶融金属から銅母材への鉄元素の溶け込みが防止されることにより、溶着金属の剥離割れが防止される。
高融点大比重金属粒子に対しては、その表面に純Ni又はNi合金からなるNi材を被覆するのがよい。そうすることにより、溶接溶融中に拡散浸入した遊離CuがNi元素と反応して、Cuとの全率固溶体を形成し、遊離Cuの含有量が減少することにより、Cuの鉄基結晶粒界浸入が抑制され、溶着金属の剥離割れが一層効果的に防止される。
本発明の肉盛り方法における溶接方法としては、サブマージドアーク法、TIG法、ガス溶着法等が適用可能である。TIG法、ガス溶着による手動肉盛り法では、溶接棒中にタングステンカーバイト粒子を内包させることができる。サブマージアーク溶接でも、複合ワイヤを使用することにより溶接棒中にタングステンカーバイト粒子を内包させることができる。それ以外の例えば通常のサブマージドアーク自動肉盛り方法等では、タングステンカーバイト粒子を予め肉盛り線上に散布しておくか、或いは外部から自動供給する必要があり、溶接ノズルの左右揺動による肉盛り方法が最善となる。TIG法、ガス溶着法においても溶接棒を左右に揺動させることにより、広幅ビードが得られ、溶け込みを減少させることが出来る。TIG棒をコイル状に巻き取り、TIGアークに自動送給することにより、自動肉盛りが可能である。自動複合ワイヤはタングステンカーバイト粒子のみを含有するものとマトリックスを形成するものの2種類を同時に供給すれば、好みのマトリックス合金が形成可能となる。
母材銅としては純銅の他、タフピッチ銅、脱酸銅、無酸素銅、キュープロニッケル、アルミ青銅、ニッケル青銅、シリコン青銅、リン青銅、銅−ニッケル、マンガン青銅等の溶接可能な銅合金ならば全て使用可能である。
高融点大比重金属粒子としては、タングステンカーバイト粒子(WC又はW2C)が代表的である。タングステンカーバイトの代用品として、各種炭化物、窒化物、ケイ化物、鉄複ホウ化物系サーメット、ニッケル基サーメットや各種サーメット等の使用が可能であるが、いずれの場合も比重が溶接溶融金属より大きく、溶接溶融金属中を速やかに沈殿することが重要であり、その融点も溶接金属の融点より高いことが重要である。炭化物やサーメットの単独添加だけでは、これらの要求が満たされない場合には数種類をバインダーで結合して使用しても良い。
高融点大比重金属粒子の形状は球の他、多面体でも良く、相互に混ざり合い易い形状が好ましい。球のみとすると、銅母材との界面近傍に沈殿した球粒子は銅界面から剥離し易い。沈殿した球粒子は界面で一段に並び易く、物理的に境界面から剥離し易い応力線を形成するのである。その中に多面体の粒子が介在すると、配列が不規則になり、応力が分散されて剥離し難くなる。
高融点大比重金属粒子の粒径は0.1〜2.5mmが好ましい。その粒径が0.1mm未満になると、溶接溶融金属のマトリックス中に融けてしまい、粒子の形状で存在できない。その粒径が2.5mmより大きくなると、沈殿した粒子間のマトリックスに割れが形成され易くなり、タングステンカーバイト粒子がマトリックスから脱落しやすくなる。すなわち、粒子径が大きくなると、その間に介在するマトリックスの粒子間に形成される収縮応力が小径に比べ大きくなり、マトリックス金属に割れを発生させるのである。大径の粒子を使用する場合には、予め粒子の表面に純ニッケル又はニッケル合金を被覆して使用すると、マトリックスの硬度上昇が抑制されて、マトリックスの靭性が改善される。その結果、粒子間のマトリックスに割れを生じる危険性が大幅に減少し、高融点大比重金属粒子の脱落や剥離が防止可能となる。特に重要なことは、大きい粒子と小さい粒子とを適宜に混ぜ合わせ使用するのが大きな収縮応力の形成を軽減できて重要ということである。最も適切な粒径範囲は0.2mm〜2.0mmである。
高融点大比重金属粒子のマトリックス中への添加量は重量比で20〜50%が好ましい。添加量が10%では少な過ぎてバリア層の形成には不十分であり、少なくとも20〜25%は必要になる。すなわち、溶接ビードを溶着した場合、ビードの中央部には高融点大比重金属粒子が存在するが、ビード左右のビード止端部に高融点大比重金属粒子が介在しないことがあるので、バリア層としての機能が不十分になり、溶融鉄と銅とが拡散侵入して割れを発生し易くなる。最大添加量としては50%までが限界である。これより多くなると、マトリックスとなる合金の含有量が減少して、マトリックスと粒子含有量とのバランスが崩れ、マトリックスの銅母材に対する接合強度が悪影響を受ける。
タングステンカーバイト粒子の熱伝導度による影響を調査したが、タングステンカーバイト粒子の含有量が多いと、バリア層が逆に熱流を遮断して銅による冷却効果を損なう危険性がある。この観点からも、高融点大比重金属粒子の含有量は低目が好ましい。しかし、20%以下になると、タングステンカーバイト粒子間に間隙が生じて、熱流がその間隙を縫って流出し、銅の冷却効果を向上させる方向に働くものの、銅の鉄基溶着金属結晶粒界への拡散浸入が危惧される。
この場合、高融点大比重金属粒子の表面に被覆された純Ni又はNi合金が遊離Cuの無害化に有効であるが、鉄基マトリックスのNi含有量をある程度高めに含有させることにより、補助的な効果を持たせることができる。その最大Ni含有量は20%で良い。因みに、市販されているニッケル基のタングステンカーバイドTIG溶接棒は、マトリッスがNi−Si−Cr合金で構成され、タングステンカーバイト粒子を約65%含有する。その粒子サイズは0.1mm〜0.6mmである。
高融点大比重金属粒子の表面にNi材を被覆することにより、アーク熱による高融点大比重金属粒子の溶融が回避されると共に、溶接溶融金属中に拡散溶融した遊離銅とNi元素とが冶金反応して全率固溶体のNi−Cu相を形成することが期待され、これにより銅の無害化を行う。被覆用Ni材としては、純ニッケル、50%以上のニッケルを含有するニッケル合金(例えばインコネル合金、ハステロイC合金、ハステロイB合金、ハステロイG合金、ハステロイX合金、50Cr−50Ni、モネル等)が好ましく、溶射に使用されるNi基自溶性合金の粉末が特に好ましい。
Ni材の形態としては、被覆操作を含めた取り扱いが容易な粉末が好ましい。ここにおける粉末の粒度は、高融点大比重金属粒子のサイズからか考えて、200メッシュに近い粒度が好ましい。10kgのタングステンカーバイト粒子(粒径は0.15〜0.4mm)に対して被覆できるNi粉の重量は最大で約2.0kgであり、この比率で被覆処理を行うことが望ましい。粉末の被覆は振動ミルにより可能である。機能発揮のために低融点Ni合金が好ましいが、その場合のタングステンカーバイト粒子への被覆可能な重量比は約20%である。
Ni粉末の被覆は、例えばタングステンカーバイト粒子とNi粉末とを、固着剤である水ガラスと共に振動装置に投入し、振動させることにより行う。振動装置としては、例えばバレル研磨機を用いる。
Ni粉末が被覆されたタングステンカーバイト粒子を重量比で25〜50%含有させる場合、残り(75〜50%)がマトリックス合金となる。マトリックス合金としては、軟鋼、クロム鋼、ステンレス鋼、高クロム鋳鉄、ニッケル基合金、コバルト基合金、耐熱鋳鋼などの溶接可能な鉄基合金は全て含まれる。特に、特に特許文献1及び2により提示された鉄基合金の使用が好ましい。マトリックスに安価な鉄基合金を使用しても、550〜650℃の時効処理を受けると、Cu,Wが溶着金属に析出して硬度が上昇すると共に、タングステンカーバイト粒子がアーク熱で溶融して、鉄基マトリックスに含有されるタングステン量が27%の場合にはHV900の高硬度が付与され、非常に安価な肉盛り金属が提供されることになる。
本発明の肉盛り方法は、純銅又は銅合金からなる銅母材の表面に鉄基合金を溶接肉盛りする際に、溶接肉盛り金属より融点が高く溶接溶融金属より比重が大きい高融点大比重金属粒子からなる粒子層を、溶接溶融金属中の銅母材との境界面近傍に形成することにより、溶接溶融金属中の銅境界面近傍に形成された粒子層がバリア層となることにより、銅母材から溶接溶融金属中への銅元素の溶け込みを防止する。また、溶接溶融金属から銅母材への鉄元素の溶け込みを防止する。これらにより、溶着金属の剥離割れを防止して、中間層を排除することにより、中間層の介在による熱電導性の悪化及び経済性の悪化を回避する。更に、高融点大比重金属粒子からなる粒子層は銅母材の磨耗抑制に寄与する。
この際、高融点大比重金属粒子の表面に純Ni又はNi合金からなるNi材を被覆しておくことにより、溶接溶融中に拡散浸入した遊離CuがNi元素と反応して、Cuとの全率固溶体を形成し、遊離Cuの含有量を減少させことが期待できる。これにより、Cuの鉄基結晶粒界浸入を抑制して、溶着金属の剥離割れを一層効果的に防止する。また、高融点大比重金属粒子をその溶融を抑制して保護する点からも、溶着金属の剥離割れを防止する。これらにより、中間層の排除による熱電導性の改善効果及び経済性の改善効果を高める。
(a)及び(b)は溶接肉盛り材の曲げ試験後の側面図及び平面図で従来例を示す。 (a)及び(b)は溶接肉盛り材の曲げ試験後の側面図及び平面図で本発明例を示す。 (a)及び(b)は溶接肉盛り材の曲げ試験後の側面図及び平面図で本発明例を示す。 溶接肉盛り材の母材との界面近傍を示す断面ミクロ写真である。 溶接肉盛り材の曲げ試験後の側面図で(a)は従来例を示し、(b)及び(c)は本発明例を示す。 溶接肉盛り材の母材との界面近傍における成分分布を示すカラーマッピング図である。
以下の本発明の実施形態を説明する。
第1実施形態は、手動肉盛り方法の一つとしてのTIG溶接法である。第1実施形態のTIG溶接法では、TIG溶接棒の本体となるパイプの内部にタングステンカーバイト粒子、又は表面に純Ni又はNi基合金からなるNi粉末が被覆されたタングステンカーバイト粒子を重量比で25〜50%充填し、残りとしてマトリックス成分を構成する軟鋼成分、更には所望の耐摩耗性、耐熱性、耐食性等を与える合金元素粉末を充填して、TIG肉盛り棒を作製する。そして、そのTIG肉盛り棒を用いて銅母材上に手動肉盛りを行う。
第2実施形態は自動肉盛り方法である。ここでは、タングステンカーバイト粒子、又は表面に純Ni又はNi基合金からなるNi粉末が被覆されたタングステンカーバイト粒子を、純銅又は銅合金からなる銅母材の上に、重量比25〜50%で散布(被覆)し、その上から、適切な肉盛りワイヤを使用して、サブマージドアーク自動溶接肉盛り施工を行う。
以下にこれらを順に説明する。なお、前者の方法は小物部材を肉盛りする場合に適し、後者の方法は大表面積を肉盛りする装置の場合に適する。
1)TIG手動溶接肉盛り(第1実施形態)
TIG肉盛り棒は、タングステンカーバイト粒子を軟鋼パイプ内部に充填し易い特徴があり、また溶接肉盛り施工においては、TIGタングステン電極により単独アークを発生させ、外部からアーク点にTIG肉盛り棒を手動もしくは自動供給で送り込むことができるので、溶接熱源と溶接棒の供給が独立して制御可能であり、それぞれの単独制御の利点により、溶け込みのコントロールやタングステンカーバイト粒子の銅界面近傍への供給も行い易い利点がある。ちなみに、手溶接棒であると、アーク熱と棒の溶融の独立制御が困難であり、融け込みやタングステンカーバイト粒子のコントロールが難しくなる。
〔TIG溶接棒の製作〕
溶接肉盛り実験を行うにあたり、3種類の実験用TIG溶接棒を製造した。
No.1溶接棒:軟鋼性ソリッドワイヤ
No.2溶接棒:軟鋼製パイプ内に重量比で3%のメタルシリコンと、重量比で約50% のタングステンカーバイト粒子(WC粒子で粒径は0.3〜0.5mm )とを充填した複合ワイヤ
No.3溶接棒:軟鋼製パイプ内に重量比で3%のメタルシリコンと、重量比で約50% のタングステンカーバイト粒子(WC粒子で粒径は0.3〜0.5mm )とを充填した複合ワイヤ
タングステンカーバイト粒子の表面にNi合金粉末(200メッシュ) をタングステンカーバイト粒子10kgに対し2.0kgの割合でコー ティング。
軟鋼製パイプの外径は4.0mm、パイプ肉厚は、0.5mm、長さ500mmである。メタルシリコンは、溶着肉盛り金属のブローホールの発生を防止するための脱酸剤である。タングステンカーバイト粒子の添加量を約50%まで増加した理由は、TIG棒の場合、タングステンカーバイト粒子を銅界面近傍に自重による沈降で配列する必要があるので、多い程、配列が旨く行く可能性が高いことによる。ただし、銅界面近傍にタングステンカーバイト粒子があまりにも多量に存在した場合、銅界面と溶着金属との融着強度が確保できなくなり、剥離を生じる危険性がある。
〔肉盛り実験〕
銅板の上に、30mm幅に亘り、TIG溶接棒を左右に揺動しつつ1層肉盛りで肉盛り施工を行った。1層肉盛り金属の高さは3〜4mmであった。
母材金属: タフピッチ銅 9mm×30mm×260mm
肉盛り条件: TIG(DCSP 200A 予熱:600℃)
〔表曲げ試験〕
肉盛りビードの銅界面との健全性を評価するために、肉盛りビードを外側にして表曲げ試験を行った。すなわち、溶着金属中に沈殿したタングステンカーバイト粒子からなるバリア層の銅境界面からの剥離、同バリア層と銅境界面との間に存在する溶着金属の延性度、タングステンカーバイト粒子と溶着金属との密着強度等を確認するために過酷な外曲げ試験を採用した。
もしタングステンカーバイト粒子とマトリックスとの密着強度が低く、銅界面との密着不良や延性低下を生じている場合には、溶着金属と銅母材との間に簡単に剥離が発生することが想定される。タングステンカーバイト粒子の銅境界面での分布が良好な配列であるならば、Cuの拡散浸入が少なく、表曲げ試験により良好な曲げ性能が得られるものと推定される。実際の用途では、硬化肉盛り合金に機械的または熱衝撃を受ける場合が想定されるが、表曲げ試験のような過酷な曲げ応力を受けることは無い。
ちなみに、表曲げとは、肉盛り金属を外側にして、銅の母材側から曲げ冶具で押し曲げる曲げ試験であり、外側の肉盛り金属に割れが発生したときの曲げ角度を調査する。これに対して、肉盛り金属を内側にして銅母材を外側にした裏曲げ試験は銅が著しく延性に優れており、曲げ加工により銅自体が伸びるので、溶接棒の種類に関係なく180度の曲げ角度を示し、溶着金属の密着強度を調査することが出来なかった。従って、表曲げ試験のみにより密着強度を判定した。曲げ試験機におけるオス型(上型)の曲率は30mmR、雌型(下型)の曲率は50mmRである。
〔曲げ試験結果〕
表曲げ試験結果として、曲げ試験後の試験片の外観を図1〜図3に示す。図1(a)(b)はNo.1溶接棒を使用したNo.1試験片の平面及び側面を示し、図2(a)(b)はNo.2溶接棒を使用したNo.2試験片の平面及び側面を示し、図3(a)(b)はNo.3溶接棒を使用したNo.3試験片の平面及び側面を示す。
No.1試験片は肉盛り硬化金属に延びがないためか直角に折れ曲がり(曲げ角度は88.5度)、曲げの外側では肉盛り硬化金属が破断して大きく開口し、銅母材の約3mmの深さにまで割れが進展した。評価は不可である。No.2試験片は、曲げ角度が131度に達したが、曲げの外側では銅母材の深さが約3mmにまで割れが進展し、開口した。また、曲げの外側で硬化金属の脱落はないものの、開口部で銅母材が約5mmの幅で剥離を生じた。評価は不可である。これらに対し、No.3試験片の曲げ角度は120度であった。No.2試験片より11度ほど曲げ角度が少ないが、曲げの外側では硬化金属に割れが発生したのみで、銅母材に割れが伝搬することはなく、健全な曲げ性能を示した。
No.1試験片〜No.3試験片における溶着金属の化学成分を分析(SEM−EDS分析)した結果を、先の表曲げ試験結果と共に表1に示す。表1中のW含有量はタングステンカーバイト粒子が一部溶融して鉄基溶着金属中に含有された値である。また、No.1試験片〜No.3試験片における溶着金属の硬度と銅母材の溶接熱影響部の硬度とを調査した結果を表2に示す。
これらの調査結果から、No.1試験片〜No.3試験片における曲げ部の割れのメカニズムは以下のように説明される。
No.1試験片では、母材銅が溶着金属の結晶粒界に浸入し、脆化して1ヵ所の割れが一気に銅母材まで進展した。No.2試験片では、溶着金属における母材銅の含有量が割れを発生する限界値の7%であったが、タングステンカーバイト粒子からWが多量に溶け込んだため硬化が生じ脆化が生じた。結果、No.1試験片と同様に、割れが母材銅にまで進展し、割れの一部は銅母材との肉盛境界線での剥離に進展した。
No.3試験片では、溶着金属における母材銅の含有量が5%と少なく、結晶粒界への銅元素の浸入が減少して、溶着金属の延性度が増加したために、溶着金属から母材銅への割れの進展が生じなかった。また、タングステンカーバイト粒子にNiを被覆したために、タングステンカーバイト粒子の溶融量が減少し、溶着金属の硬化がNo.2試験片に比べ緩和され、HVで約132低下した。
タングステンカーバイト粒子にNiを被覆したNo.3試験片では、溶着金属中の銅含有量が6−7%以下になり、耐割れ性が良好となった。これは、非特許文献1に記載された説明と符合する。タングステンカーバイト粒子の銅界面近傍における配列が、母材銅の浸入を防止するバリアとしての機能を効果的に発揮した結果と考えられる。
銅界面近傍におけるタングステンカーバイト粒子の沈殿状態及び配列状態を図4に示す。第1実施形態のTIG溶接法では、TIG手動溶接肉盛りで施工を行ったが、タングステンカーバイト粒子の配列は良好である。
本実験を総括して、タングステンカーバイト粒子のバリア層としての機能が最も大きく、次いでタングステンカーバイト粒子の表面に被覆したNi合金粉がタングステンカーバイト粒子の溶融を妨げる機能が大きいことが分かった。結果、本発明の肉盛り方法、特にTIGアーク肉盛り方法によって母材銅の表面に直接肉盛り溶接ができることが明らかとなった。
〔No.3試験片に関する熱処理の影響〕
No.3試験片に関し、熱処理による影響を調査した。試験時間は550〜650℃、試験時間は200時間とした。ここにおける試験温度は当然、銅本体が水冷却を受けていることを前提とし、実際に表面肉盛りされた銅製装置が受ける最高温度を想定して定めた。タングステンカーバイトは550℃以上の温度になると高温酸化を受けることが報告されているが、幸いにもNo.3試験片でのタングステンカーバイト粒子は鉄基の溶着金属内部で母材銅との溶融界面近傍に沈殿しており、肉盛り当初は溶着金属の表面には露呈しない。ただし、使用装置の磨耗進行の最終段階に至ると、タングステンカーバイト粒子は磨耗面に表れるようになる。
No.3試験片の硬度を調査した表面にはタングステンカーバイト粒子が露呈しており、熱処理を受けた場合、どのような変化を生じるかを調査した。具体的には、No.3試験片における溶着金属(鉄基合金)の硬度を、溶接のままと熱処理後について調査した。調査結果を表3に示す。硬度は15点の平均硬度値である。
No.3試験片における溶着金属の合金成分はC−Fe59%、W27%、Cu5%、Ni8%であり、熱処理後の平均硬度は約HV900までに上昇し、溶接のままの硬度と比較してHV300も上昇した。これは、熱処理温度によるCu及びWの析出硬化現象に依存すると想定される。試験片には当初よりタングステンカーバイト粒子が露呈しており、熱処理により酸化されたが、極度に硬度が低下した状況はみられなかった。その理由は次のように考えられる。
タングステンカーバイト粒子がアーク熱で溶融され、Fe−C−WーNiの複炭化物が鉄マトリックスに形成され、溶接のままの状態では平均硬度がHV601であったが、これを550〜650℃で熱処理すると、鉄に時効性を与える金属であるW及びCuが共に鉄基に析出して、高硬度を与えたと想定される。
市販の高価な溶接棒であるC3%−W57%−Feの常温における硬度はHV950を与えるが、本実施形態で使用した溶接棒は、応力除去焼鈍を兼ねた時効熱処理を受けるとHV900〜HV1000の高硬度を付与し、上記溶接棒と比較しても遜色が無い性能を安価に提供できる特徴がある。銅と溶着金属との境界線から約0.3mm母材側に入った溶接熱影響部の硬度がHV140と高い値を示したが、それ以降の母材硬度はHV57であり、正常な硬度値であった。境界剥離を生じるような現象は認められなかった。
2)サブマージドアーク自動溶接肉盛り(第2実施形態)
大型装置の肉盛りで水平面の場合、自動溶接肉盛り方法を使用するとき、溶接能率の向上及び肉盛り施工のために銅を高温予熱するが、自動ウイービング溶接の高入熱により予熱温度を低く抑え得る利点がある。更に大型装置の手動での肉盛り施工は予熱温度が高温であるために作業者に深刻な熱疲労を与えるのに対し、自動溶接肉盛りは作業難度の大幅な軽減につながる。
使用した肉盛りワイヤは、特許文献1に記載された成分範囲の鉄基D合金(FREA−METAL−D)を採用した。D合金は1000℃以上の高温用途に使用されるオーステナイト系高温耐熱鉄基合金であり、主成分は重量比で次のとおりである。C:0.5〜3.0% Si:3.5〜7.0% Mn:1.0〜10%、Cr:25〜45% Ni:10〜13% Fe:残
〔肉盛り実験〕
タフピッチ銅からなる母材銅板(20mm×50mm×350mm)の上に、サブマージド溶接ヘッドを左右に揺動することにより、280〜300A−35V(予熱:600℃)の条件で30mm幅×200mm長の溶接ビード1層を肉盛りした。1層肉盛り金属の高さは5〜6mm、溶接ビード重量は230gである。溶接肉盛り材料の組み合わせは以下のとおりである。
No.4試験:D合金ワイヤ(1.6mm径)を使用して銅に直接肉盛り
No.5試験:D合金ワイヤ(1.6mm径)を使用し、40%タングステンカーバイト 粒子を銅表面に散布して肉盛り
No.6試験:D合金ワイヤ(1.6mm径)を使用し、表面にNi粉を被覆した40% タングステンカーバイト粒子を銅表面に散布して肉盛り
各試験片の性能はTIG溶接実験と同じく表曲げ性能で評価した。試験結果を図5(a)〜(c)に表曲げ試験後の試験片の側面形状にて示す。TIG溶接棒のタングステンカーバイト粒子添加量は50%としたが、今回の自動溶接ではこれを40%とした。自動溶接はTIG手動溶接肉盛りと比較して、溶け込みが少ないため、タングステンカーバイト粒子添加量を10%少なくしたわけである。
図5(a)〜(c)から分かるように、No.4試験片は157度曲げで母材銅を含め完全破綻した。硬化金属(溶着金属)中にタングステンカーバイト粒子を含むNo.5試験片は、曲げ角度94度で母材銅の深さ約10mmまで割れが進展した。ただし硬化金属の剥離はなかった。Ni被覆を施したタングステンカーバイト粒子を含むNo.6試験片は、曲げ角度90度に至ってようやく銅母材の深さ約3mmまで割れが進展した程度であり、硬化金属の剥離も認められなかった。
これから分かるように、表曲げ試験結果は、TIG肉盛り溶接と同様に、サブマージドアーク自動溶接肉盛りの場合に関しても、Ni粉を被覆したタングステンカーバイト粒子を用いる方法が最も良好な結果を示した。
No.4試験片〜No.6試験片につき、溶着金属の硬度、主要化学成分の蛍光X線分析、及び母材銅の溶け込み率の調査結果を表4に示す。
自動溶接肉盛りでは、溶け込み深さが浅く、溶け込み率が14〜17%であったためか、母材銅の溶け込み量が非常に少なく、非特許文献1に記載されたビード横割れ発生の限界量に近い数値を示した。Ni被覆のないタングステンカーバイト粒子を用いたNo.5試験片でさえ、タングステンカーバイト粒子の溶融量が少なく、No.6試験片での硬度に比べ約HV26高い程度であり、W溶融の影響は少なかった。
従って、自動サブマージドアーク溶接方法を使用するならば、Ni被覆のないタングステンカーバイト粒子を用いたNo.5試験片でも、銅表面への直接肉盛りも可能と考えられる。ただし、鉄基マトリックスのNi含有量が10%以上あったので、それによる好影響の可能性も含まれると考えられる。
3種類の試験片における溶着金属内のNi含有量、Cu含有量、Cr含有量及びFe含有量の各分布をカラーマッピングにより調査した。結果を図6に示す。
溶着金属内のNi含有量の分布をカラーマッピングで調査すると、Ni含有量が色具合により変化し、赤色、次いで黄色、緑色、青色の順に含有量が減少する。タングステンカーバイト粒子層と銅界面間には、黄色、緑色が多く見られ、想定していた以上にNiが均一に多量分布されており、Niが銅界面の全体を覆うように介在することが分かる。EDS分析によれば、Ni含有量は約14%〜15%であった。特に、タングステンカーバイト粒子間にはNi含有量が最も多い赤色が点在して見られ、粒子間に存在するマトリックスの靭性を強化しており、その結果、タングステンカーバイト粒子とマトリックスとの密着強度が向上し、脱落防止に有効であると考えられる。
タングステンカーバイト粒子間にNiが多く存在する理由は、タングステンカーバイト粒子に予めNi粉を被覆していたためであり、タングステンカーバイト粒子が肉盛り溶融金属中に沈殿してからNiの大半が溶融したと想定される。更に、Niが銅界面から銅内部に不規則な幅ではあるが最大約250μ拡散浸入していた。
溶着金属中のCuについては、銅100%の色具合がピンクであるが、溶着金属に含有されている銅の色具合は濃紺と淡青色との混在であり、銅の含有量が非常に微量であることが分かる。EDS分析によれば、銅界面近辺における銅含有量は約3.7〜6.7%である。これは、タングステンカーバイト粒子のバリア層が有効であったこと、及び自動溶接による溶け込みが少ないことが効果を発揮したためである。銅界面近傍において、タングステンカーバイト粒子がアーク熱により溶融してWが約9.5%〜17.0%含有されていた。
〔タングステンカーバイト粒子の銅の熱伝導度への影響〕
タングステンカーバイト粒子の熱伝導度は84.02W・m−1・K−1であり、Cuに比べ約5倍程度劣る。純ニッケルの熱伝導度が90.9W・m−1・K−1であるので、これと同程度である。タングステンカーバイト粒子のバリア層が熱伝導度を阻害しては、本発明の肉盛り方法は有効性を失う。そこで、タングステンカーバイト粒子のバリア層がどの程度、熱伝導性に影響を与えるかを調査した。
すなわち、試験片の裏面を一定熱量で加熱しながら、1分から15分まで1分刻みで表面温度を測定して、供試した試験片の表面温度の上昇度の違いを比較することにより、熱伝導性を評価した。供試した試験片は以下の3種類である。
A(No.4相当のタフピッチ銅)
20mmt×50mm×50mm(全厚 20mmt)
B(No.5相当のインコネル下盛り品)
タフピッチ銅(20mt×50mm×50mm)の上にインコネル82を3mm t肉盛り後、FREA−METAL−D(No.5合金)を5mmt肉盛り(全 厚28mmt)
※インコネル82の化学成分:Cr15%−Mn6.5−Nb2%−Fe7%− Ni69.5%
C(No.6相当の40%WC品)
タフピッチ銅(20mmt×50mm×50mm)の上にタングステンカーバイ ト粒子40%を含有するFREA−METAL−D(No.6合金)を5mmt 肉盛り(全厚 25mmt)
試験片AはNo.4試験片に対応し、試験片BはNo.5試験片に対応し、試験片CはNo.6試験片に対応する。結果を表5に示す。
試験結果を総括すると、No.6試験片における溶接合金〔No.6合金(40%WC粒子含有)〕はインコネル下盛り金属に比べ表面温度が幾分高位を示したが、ほぼ同程度の表面温度であると判断される。No6.合金のWC粒子含有量は40%であったが、この含有量を減少すれば、表面温度はさらに上昇して、熱伝導性は改善される方向に進展すると想定された。タフピッチ銅と比較して、受熱温度によって多少異なるが、400℃までは約100〜110℃の差異があり、500℃以上では60〜80℃の差異に減少した。通常、銅装置が使用される温度条件は800〜1400℃の高温雰囲気で使用されるので、その熱伝導性の差異は少なくなる傾向にある。これらの結果から、タングステンカーバイト粒子の熱伝導性は、ニッケル、ニッケル基合金の下盛り金属の場合と比較しても、同等か幾分優れた効果を発揮することが想定される。従って、本発明の根幹の一つを成す熱伝導性の改善に貢献出来ることが判明した。
〔耐磨耗性〕
No.6合金は、800〜1000℃かそれ以上の高温雰囲気に晒され、粉体による高温エロージョン磨耗を受ける用途に開発された。この合金の性能を各種高温耐磨金属耗材料との性能比較により評価した。No.6合金との比較材料としては、高温で使用される構造材料や耐摩耗性材料を主として選択した。表6は各種材料の室温における低応力研摩耗試験、表7は高温エロージョン磨耗試験の各結果を示す。
低応力研摩耗試験とは、エンドレスベルトグラインダを使用して、15mm角の試験片を荷重14.7N(1.5Kgf)で研磨ベルトに一定時間押しつけて、その磨耗容積を測定するものである。標準資料としてSS400を使用し、その磨耗容積と比較することにより、各材料の磨耗係数を算出した。研磨ベルトの材質としてはアルミナ(硬度HV2100)の含有量96.5%、アルミナ粒度120#である。表5からは、例えば常温において、No.6合金はSS400と比較して約23倍、ステライトNo.6と比較して約20倍の耐摩耗性があることがわかる。
温耐摩耗性を評価する試験としては高温エロージョン磨耗試験を行った。試験条件は以下のとおりである。
ブラスト材料: SiO2 37.7%、酸化鉄 40.5%、マグネシア 1.0%
アルミナ:4.1%、酸化カルシウム 6.5%
ブラス粒度: 1.0〜1.5mmφ
試験片の寸法: 50mm×50mm
加熱方法: 試験片の裏面を加熱
照射距離: 200mm
照射量: 2.6Kg/分
照射速度: 40m/秒
照射時間: 10分/回×3回行い、平均値を採用
入射角度: 30度一定
母材金属: 試験片1〜試験片8までSUS310S母材(9mmt)を使用
試験片9及び試験片10は母材銅(9mmt)を使用
試験結果を評価すれば、600〜700℃の高温エロージョン性能に関し、No.6合金は鉄基合金にも拘わらず,高価なコバルト基合金のステライトNo.1と同じ性能を与える。試験結果から判断して、No.6合金は高温環境におけるエロージョン磨耗やアブレージョン磨耗に充分対応出来ることが確認できた。
従来、銅母材上に耐磨耗性鉄基合金を溶接肉盛りする場合、母材上に中間層として純ニッケルやニッケル基合金を溶着して、その上に適切な耐磨耗性合金が肉盛りされていたが、本発明により、銅母材上への鉄基合金の直接肉盛りが可能になった。これにより、銅が持つ優れた熱伝導性を必要とする産業用諸装置において、純ニッケルやニッケル基合金の肉盛り溶接が不要になり、その溶接材料費の低減や施工コストの低減により、大幅なコスト低減が可能になる。銅の拡散浸入を防止するのに使用されたタングステンカーバイト粒子(WC粒子又はW2 C粒子)はバリア層の形成材料としてだけではなく、銅本体の磨耗防止材料として大きな効果を発揮する。
即ち、比重の重いタングステンカーバイト粒子をビード幅全幅に沿って、故意に沈殿させることにより、タングステンカーバイト粒子からなるバリヤ層を銅母材と肉盛り金属との境界線近傍に形成させるのである。ここで重要なことは、相互の溶融金属が拡散侵入する以前に、タングステンカーバイト粒子のバリヤ層が形成されることである。銅の比重は8.96g/cm3 であり、また軟鋼の比重は7.87g/cm3 で、銅の比重より若干小さい程度であるが、タングステンカーバイト粒子の比重は約15.77g/cm3 で、軟鋼や銅の比重に比べて著しく大きく、母材銅が軟鋼溶着金属中へ拡散侵入する前に、タングステンカーバイト粒子がその比重差により速やかに沈降して銅母材との境界面近傍に沈殿する。
高融点大比重金属粒子のマトリックス中への添加量は重量比で10%超50%以下が好ましい。添加量が10%では少な過ぎてバリヤ層の形成には不十分であり、少なくとも10%超は必要になる。すなわち、溶接ビードを溶着した場合、ビードの中央部には高融点大比重金属粒子が存在するが、ビード左右のビード止端部に高融点大比重金属粒子が介在しないことがあるので、バリヤ層としての機能が不十分になり、溶融鉄と銅とが拡散侵入して割れを発生し易くなる。最大添加量としては50%までが限界である。これより多くなると、マトリックスとする合金の含有量が減少して、マトリックスと粒子含有量とのバランスが崩れ、マトリックスの銅母材に対する接合強度が悪影響を受ける。
Ni粉末がコーティングされたタングステンカーバイト粒子を重量比で10%超50%以下含有させる場合、残り(90%未満50%以下)がマトリックス合金となる。マトリックス合金としては、軟鋼、クロム鋼、ステンレス鋼、高クロム鋳鉄、ニッケル基合金、コバルト基合金、耐熱鋳鋼などの溶接可能な鉄基合金は全て含まれる。特に、特に特許文献1及び2により提示された鉄基合金の使用が好ましい。マトリックスに安価な鉄基合金を使用しても、550〜650℃の時効処理を受けると、Cu,Wが溶着金属に析出して硬度が上昇すると共に、タングステンカーバイト粒子がアーク熱で溶融して、鉄基マトリックスに含有されるタングステン量が27%の場合にはHV900の高硬度が付与され、非常に安価な肉盛り金属が提供されることになる。
第1実施形態は、手動肉盛り方法の一つとしてのTIG溶接法である。第1実施形態のTIG溶接法では、TIG溶接棒の本体となるパイプの内部にタングステンカーバイト粒子、又は表面に純Ni又はNi基合金からなるNi粉末がコーテイングされたタングステンカーバイト粒子を重量比で10%超50%以下充填し、残りとしてマトリックス成分を構成する軟鋼成分、更には所望の耐摩耗性、耐熱性、耐食性等を与える合金元素粉末を充填して、TIG肉盛り棒を作製する。そして、そのTIG肉盛り棒を用いて銅母材上に手動肉盛りを行う。
第2実施形態は自動肉盛り方法である。ここでは、タングステンカーバイト粒子、又は表面に純Ni又はNi基合金からなるNi粉末がコーテイングされたタングステンカーバイト粒子を、純銅又は銅合金からなる銅母材の上に、重量比10%超50%以下で散布(被覆)し、その上から、適切な肉盛りワイヤを使用して、サブマージドアーク自動溶接肉盛り施工を行う。

Claims (6)

  1. 純銅又は銅合金からなる銅母材の表面に鉄基合金を溶接肉盛りする際に、溶接肉盛り金属より融点が高く溶接溶融金属より比重が大きい高融点大比重金属粒子からなる粒子層を、溶接溶融金属中の銅母材との境界面近傍に形成する肉盛り方法。
  2. 請求項1に記載の肉盛り方法において、高融点大比重金属粒子はタングステンカーバイト粒子である肉盛り方法。
  3. 請求項1又は2に記載の肉盛り方法において、高融点大比重金属粒子は予め溶接棒中に内包させておき、溶接中に溶接溶融金属中の銅母材との境界面近傍に沈降させて粒子層を形成する肉盛り方法。
  4. 請求項1又は2に記載の肉盛り方法において、高融点大比重金属粒子は予め母材銅上の溶接線に沿って散布しておく肉盛り方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の肉盛り方法において、高融点大比重金属粒子の表面に、純Ni又はNi合金からなるNi材を予め被覆しておく肉盛り方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の肉盛り方法において、溶接方法は手動肉盛り方法又は自動肉盛り方法であり、手動肉盛り方法はTIG法又はガス溶着法であり、自動肉盛り方法はサブマージドアーク法又はTIGアーク法である肉盛り方法。

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