JP2018158282A - 流動接触分解用触媒の賦活方法 - Google Patents

流動接触分解用触媒の賦活方法 Download PDF

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Abstract

【課題】廃棄される平衡触媒を、簡単にかつ接触分解処理の一連の工程内として、再活性化させる賦活方法を提供する。【解決手段】ゼオライトを主成分とする触媒に原料油を接触させて分解することによって分解生成物を生成する流動接触分解反応で使用される触媒の賦活方法であって、反応塔内から抜出した平衡触媒、または、使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、触媒質量に対し水分を1〜10質量%の範囲で含有させたのち、再生塔に戻す、流動接触分解用触媒の賦活方法。【選択図】なし

Description

本発明は、触媒に原料油を接触させて原料油を分解する流動接触分解で使用された触媒の賦活方法および流動接触分解方法に関する。
流動接触分解(FCC)はゼオライト等の活性成分を含む固体酸触媒を用いて減圧蒸留軽油や常圧蒸留残渣等の重質油を分解し、LPG、ガソリン、灯油、軽油等の付加価値の高い製品を製造するプロセスである。FCCでは、反応塔と再生塔とを備えた流動接触分解装置(FCC装置)が使用され、反応塔内で触媒に原料油を接触させて原料油を分解し、分解生成物と使用済触媒とを分離し、分離した触媒を再生塔へ移送し、再生塔内で触媒上のコークを燃焼させて、触媒を再生し、再生した再生触媒は、原料油の分解に再び使用される。このようなFCC反応に使用される接触分解触媒としてゼオライト(以下、結晶性アルミノシリケートともいう。)とマトリックス成分とからなる流動接触分解触媒が知られている。
再生塔内部の温度は650〜800℃程度であるが、コーク燃焼時に水分が発生し、FCC触媒は高温の水熱雰囲気に晒される。触媒の主な活性成分であるゼオライトは高温水熱雰囲気に晒されると結晶構造が破壊されるため、装置内の滞留時間が長くなるにつれて触媒の活性が低下することが知られている。このためにFCC装置では一定の活性を維持する目的で、装置内の一部の触媒を抜出し、高活性な新触媒に入れ替えている。このようにして反応塔内では滞留時間が長い触媒から短い触媒までが混在し、活性が一定の状態に保たれた触媒を平衡触媒と呼ぶ。
FCC装置より抜出された平衡触媒は、通常廃棄処分されるが、新触媒使用量および廃棄物排出量は、コストダウンや廃棄物処理の観点で低減することが望ましい。
このため、抜出された平衡触媒を再利用することが試みられている。この平衡触媒は活性が低いため、再利用の際に再活性化するための処理(賦活処理)が必要となる。
平衡触媒の再活性化処理としては、特許文献1(特表2001−506538号公報)には、ゼオライトの気孔を塞いだ汚染物質を除去するために酸、洗浄剤および界面活性剤などの活性化剤を使用して、スラリー化して、汚染物質を除去することで、触媒を再活性化している。この方法では、汚染物質が少ない場合は活性化の効果が得られにくい。また、活性化剤を使用するため賦活に要するコストが高い、環境負荷が大きいなどの問題がある。
また、本出願人による特許文献2(特開2008−149288号公報)には、リン成分とペンタシル型ゼオライトを含む低級オレフィン製造用触媒の再生方法が開示されているが、リン成分を含まない場合は賦活することができない旨が明記されている。
特表2001−506538号公報 特開2008−149288号公報
廃棄される平衡触媒を、簡単にかつ接触分解処理の一連の工程内として、再活性化させる賦活方法は、従来には知られていなかった。
そこで、本発明者ら鋭意検討した結果、ゼオライトがリンを含まない場合に、水分を吸湿させる方法を採用し、再生塔から一部の触媒を抜出し、吸湿処理して賦活した後に再び再生塔へ触媒を戻すことで、平衡触媒の固体酸量を増加させることが可能となり、活性が向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]ゼオライトを主成分とする触媒に原料油を接触させて分解することによって分解生成物を生成する流動接触分解反応で使用される触媒の賦活方法であって、
反応塔内の平衡触媒、または、使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、触媒質量に対し水分を1〜10質量%の範囲で含有させたのち、再生塔に戻す、流動接触分解用触媒の賦活方法。
[2]水分を含有させる平衡触媒または再生触媒の温度を1〜30℃の範囲に調整することを特徴とする[1]の賦活方法。
[3]水分を、下記(1)〜(3)の少なくとも1つの方法で吸湿させることを特徴とする[1]または[2]の賦活方法;
(1)大気中に平衡触媒または再生触媒を放置して大気中の水分を吸湿させる、
(2)加湿雰囲気下で平衡触媒または再生触媒に置いて吸湿させる、
(3)水と、平衡触媒または再生触媒を接触させる。
[4]触媒が、再生触媒であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の流動接触分解用触媒の賦活方法。
[5]前記[1]〜[4]の賦活方法で賦活された触媒を、原料油と接触させることを特徴とする、原料油の流動接触分解方法。
[6]反応塔内の平衡触媒または使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、触媒質量に対し水分を1〜10質量%の範囲で含有させる吸湿工程、および
再生塔内で使用済触媒を脱コークする際に、吸湿させた触媒を加えて再生処理を行う工程、
再生処理後の再生触媒を、反応塔内に移して、平衡触媒として原料油と接触させる工程を含むことを特徴とする、原料油の流動接触分解方法。
本発明の賦活方法によれば、FCC平衡触媒の活性が、1〜4%向上できる。
また本発明によれば、汚染物質の量に関わらずFCC平衡触媒の賦活が可能である。さらに活性化剤などの特殊な材料を使用しないため、経済的で環境負荷も小さい。
FCC平衡触媒を再利用することができるようになり、新触媒の使用量および廃棄物の排出量を削減することができる。
FCC装置を示す概略構成図である 実施例6の触媒について、NH3プローブの昇温脱離法で評価した、吸湿処理前後の触媒の固体酸量分析結果を示す。
以下、本発明の実施の態様について説明するが、本発明はこれらに限定的に解釈されるものではない。
流動接触分解(FCC)はゼオライト等の活性成分を含む固体酸触媒を用いて減圧蒸留軽油や常圧蒸留残渣等の重質油を分解し、LPG、ガソリン、灯油、軽油等の付加価値の高い製品を製造するプロセスである。
分解反応はライザーと呼ばれる反応器中で行われ、セパレータで反応生成物と使用済触媒に分離される。使用済触媒は反応中に生成したコークで被毒されて失活しているため、反応後は再生塔に移送され、コークを燃焼除去して再生される。
このようなFCC装置の一態様を、図1を参照して、説明する。図1は、本発明の一実施形態のFCC装置を示す概略構成図である。
流動接触分解(FCC)装置は重質油を処理して、ガソリンや灯油・軽油などの付加価値の高い分解油を得る装置である。原料となる重質油はプレヒーター5で予熱されライザー1に供給される。ライザー1内で原料油は触媒と接触し分解される。触媒としては、たとえば、ゼオライトおよび活性アルミナを主成分として含む、固体酸触媒(FCC触媒)が使用される。
分解された生成物と触媒はセパレータ2に移送され、分解生成物と使用済触媒とに分離される。さらに、使用済触媒はストリッパー3で触媒上に残った反応生成物を十分に除去された後、再生塔4に移送され、空気流通下、700℃程度でコークを燃焼除去することによって触媒活性が再生される。
コークを燃焼除去した後の触媒は再びライザー1に移送され、接触分解反応に用いられる。
(FCC触媒)
本発明で使用される触媒は、ゼオライトを主成分とする触媒が使用される。ゼオライトとして好ましくはY型ゼオライト、超安定性Y型ゼオライト、βゼオライトおよびZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48などのゼオライトが例示される。
本発明の方法で使用される触媒は、リンを含まないゼオライト触媒が使用される。
具体的には、WO2014/027537号に記載ものものが使用される。本発明で使用される触媒は、所定のフォージャサイト型ゼオライト(A)とマトリックス成分と希土類とを含んでなるものである。以下、これらの各成分について詳細に説明する。
〔フォージャサイト型ゼオライト(A)〕
フォージャサイト型ゼオライトとは、SiO2とAl23からなる骨格を有するものである。骨格を構成するSiO2のモル数(MS)とAl23のモル数(MA)とのモル比(MS)/(MA)は5〜20であることが好ましく、6〜15の範囲にあることがより好ましい。モル比(MS)/(MA)がこの範囲にあると、耐水熱性(高温で再生処理した際の活性の維持率)がより高くなり、また活性やガソリン選択性もより高くなる。
モル比(MS)/(MA)が低いと、耐水熱性、活性およびガソリン選択性が不充分となるおそれがある。この場合、流動接触分解プロセスでは分解反応後、再生塔で触媒に析出した炭素質を燃焼除去して再生するが、燃焼熱によって高温となるほか、炭素質が水素を含むため水分が生成し、この結果高温で水熱処理されることとなり、この際、ゼオライトの結晶性が低下することが知られている。
一方、モル比(MS)/(MA)が高すぎても、耐水熱性は高いものの活性点が少なくなるためか、活性が不充分となる場合がある。
フォージャサイト型ゼオライト(A)の格子定数は2.435〜2.455nmであり、好ましくは、2.440〜2.450nmである。このような格子定数の範囲にあると、ガソリン選択性が非常に高くなる。この格子定数が小さすぎると、活性が不充分となる場合がある。一方、この格子定数が大きすぎると、耐水熱性や耐メタル性が不充分となる場合がある。
上述の格子定数を求めるには、X線回折法により、アナターゼ型TiO2を標準物質とし、ゼオライトの回折面(553)と(642)の面間隔により測定すればよい。
このようなフォージャサイト型ゼオライト(A)としては、NaY型ゼオライトをNH4イオン交換したNH4Yゼオライトを好ましく使用することができるが、これを水熱処理して得られる超安定性ゼオライト(USY)であることが特に好ましい。
触媒中のフォージャサイト型ゼオライト(A)の含有量(CZA)は固形分(主にSiO2とAl23)として10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
フォージャサイト型ゼオライト(A)の含有量が固形分として10質量%未満の場合は、ゼオライトが少ないために活性が不充分となる場合がある。
フォージャサイト型ゼオライトの含有量が固形分として50質量%を越えると、活性が高すぎて過分解となり、選択性が低下する場合があり、また、ゼオライト以外のマトリックス成分の含有量が少なくなるために耐摩耗性が不充分となり、流動触媒として使用した場合、容易に粉化して触媒が飛散する場合がある。これを補うために触媒の補充量を増加することもできるが経済性が問題となる。
〔マトリックス成分〕
触媒を構成するマトリックス成分とは前記したフォージャサイト型ゼオライト(A)以外のものを意味し、このようなマトリックス成分には、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナなどの従来公知の無機酸化物、無機化合物を使用することができる。これらには、結合材やフィラーと呼ばれるものも含まれる。
具体的には、シリカゲル、シリカゾル、シリカヒドロゾル、アルミナゲル、アルミナゾル、シリカ・アルミナゲル、シリカ・アルミナゾル等に由来する従来公知の無機酸化物、無機化合物を使用することができる。なかでも、シリカゾル、シリカヒドロゾル、アルミナゾル、シリカ・アルミナゾル等は、フォージャサイト型ゼオライトの担体(母材)あるいは結合材としても機能し、活性、耐摩耗性等に優れる他、残油分解活性、耐メタル性等にも優れた炭化水素接触分解用触媒が得られるので好適に用いることができる。
触媒は、アルミナを含むことが好ましく、このときアルミナの含有量は固形分(Al23)として1〜30質量%、さらには2〜20質量%の範囲にあることが好ましい。
前記範囲でアルミナを含んでいると、ガソリン選択性の向上効果が大きく、さらに残油分解活性、耐メタル性にも優れるようになる。
さらに、触媒では、カオリン、メタカオリン、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト等の従来公知の粘土鉱物等を、フィラーとして用いることができる。これらは活性がなく、増量剤として作用する。
触媒におけるマトリックス成分の含有量は、固形分として50〜90質量%、さらには60〜85質量%の範囲にあることが好ましい。
マトリックス成分の含有量が固形分として少ないと、フォージャサイト型ゼオライト(A)の割合が多くなりすぎて、活性は高いものの嵩密度が低くなりすぎたり、耐摩耗性、流動性等が不充分となることがあり、炭化水素接触分解用触媒とくに炭化水素流動接触分解用触媒として実用的でない。
一方、マトリックス成分の含有量が固形分として多すぎても、主要な活性成分であるフォージャサイト型ゼオライトの割合が少なくなり、分解活性が不充分となる場合がある。
〔希土類RE〕
触媒は、さらに希土類(Rare Earth)を成分として含む。この希土類の含有量(CREA)は、触媒基準でRE23として0.5〜5質量%であることが好ましく、1.0〜3.0質量%であることがより好ましい。希土類を含むことで、分解活性、ガソリンなどの選択性に優れた触媒とすることができる。
希土類としては、ランタン、セリウム、ネオジムなどの希土類金属およびこれらの混合物などが挙げられる。通常、ランタン、セリウムを主成分とする混合希土類が用いられる。
希土類の含有量が少ないと、分解活性、選択性、耐水熱性、耐メタル性等が不充分となるおそれがあるが、本触媒では、従来の炭化水素接触分解用触媒にくらべ、希土類の量が少なくとも十分な効果を発揮する。
なお、希土類の含有量が多すぎても、本発明の方法では担持することが困難であり、担持できたとしても希土類を担持する効果、すなわち、分解活性、選択性、耐水熱性、耐メタル性等がさらに向上することもなく、希土類の担持効率が大きく低下するので好ましくない。
触媒の形状は制限されるものでは無く、微小球状粒子や略球状粒子であればよく、流動層で分散性が確保される形状であれば特に制限されるものではない。触媒の平均粒子径は、発明の効果の観点より、40〜100μm、さらには50〜80μmの範囲にあることが好ましい。
原料炭化水素を接触分解する炭化水素流動接触分解装置(FCC装置)で使用するのに好適である。
再生塔で再生処理された触媒は、主な活性成分であるゼオライトは高温水熱雰囲気に晒されると結晶構造が破壊されるため、装置内の滞留時間が長くなるにつれて触媒の活性が低下する。また前記したように、FCC装置では一定の活性を維持する目的で、反応塔から平衡触媒を抜出し触媒を抜出し、高活性な新触媒に入れ替えている。
(賦活処理)
本発明では、反応塔から抜出された平衡触媒や、使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つを抜出し、賦活処理を行う。賦活処理は、抜出した触媒に、吸湿処理を行う。
本発明では賦活処理される触媒が、再生触媒であることが好ましい。再生触媒を処理すると、効率的にFCC装置の活性を向上できる。なお平衡触媒の場合、たとえばコークが1%程度触媒上に残ったものもあり、水分をはじくこともあるため、処理効率が若干劣ることがある。
以下の賦活処理によって、失活したゼオライト触媒の活性が向上する理由は明確でないものの、水によって、ゼオライト気孔の閉塞を解消したり、ゼオライト自体の脱水が解消されるものと考えられる。
吸湿処理は、水分量が吸湿前の触媒質量に対し、1〜10質量%となるように行う。水分量が1質量%よりも少ない場合は十分な効果を得ることができない。水分量が10質量%を超えても再活性化はできるが、活性は10質量%の場合と大差ない上に、水分蒸発に熱量が余計にかかることになる。好ましい、水分量の範囲は3〜9質量である。
水分量は、強熱減量を基に算出する。強熱減量は、測定試料である触媒を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から算出する。
水分を含有させる平衡触媒または再生触媒の温度は1〜30℃が好ましい。
触媒の温度が1℃よりも低い場合は水分が固化し、触媒が吸湿しない。触媒の温度が30℃よりも高い場合は触媒表面から水分が脱離しやすくなり、十分な効果が得られない。より好ましい温度は1〜20℃である。
水分を吸湿させる方法は特に制限されないが、下記(1)〜(3)の少なくとも1つの方法で吸湿させると効率的である。
(1)大気中に平衡触媒または再生触媒を放置して大気中の水分を吸湿させる、
(2)加湿雰囲気下で平衡触媒または再生触媒に置いて吸湿させる、
(3)水と、平衡触媒または再生触媒を接触させる。
FCC装置に設ける場合、たとえばライザー内や再生塔、再生触媒トランスファーラインなどに取り出し口を設け、取り出し口から触媒を取り出し、吸湿処理を行い、再生塔内への投入口から投入したり、使用済触媒トランスファーラインに合流させればよい。
賦活処理によって、平衡触媒または再生触媒の固体酸量を増加させ、活性を向上できる。また平衡触媒または再生触媒を再利用して活性を高めるので新触媒の使用量および廃棄物の排出量を削減する効果が得られる。
(原料油の流動接触分解方法)
以上の賦活方法で賦活された触媒を、原料油と接触させることで原料油の流動接触分解を行う。かかる方法で原料油を処理すると、触媒活性が高いのでNiおよびVのような汚染物質の量にかかわらず転換効率を高めることが可能となる。汚染物質があると、ゼオライトに存在する気孔を閉塞させて、失活を促進することがあるが本発明の賦活方法を使用すると、触媒活性を高く保つことができる。
本発明の原料油の流動接触分解方法は、反応塔内の平衡触媒または使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、水分を1〜10質量%の範囲で含有させる吸湿工程、および
再生塔内で使用済触媒を脱コークする際に、吸湿させた触媒を加えて再生処理を行う工程、
再生処理後の再生触媒を、反応塔内に移して、平衡触媒として原料油と接触させる工程とを含む。
たとえば、図1に示すように反応装置を使用し、上記工程で原料油の流動接触を行う。
原料油は、一般的なFCC装置で使用されるもの特に制限されることなく使用可能である。処理される原料油は、通常、重質油である。重質油は、予め、水素化脱硫および水素化分解されているものが好ましい。かかる重質油には、たとえば、間接脱硫重油および直接脱硫重油などが挙げられる。
間接脱硫重油には、たとえば、原油の常圧蒸留にて得られる重質軽油および減圧軽油などを間接脱硫装置(VH)にて脱硫処理して得られる脱硫減圧軽油(DSVGO)などが挙げられる。また、間接脱硫重油と溶剤脱れき装置から得られる脱れき油(DAO)を原料油として併用してもよい。
一方、直接脱硫重油には、たとえば、原油の常圧蒸留残油(AR)および減圧蒸留残油(VR)、重質軽油、接触分解残油、ビスブレーキング油ならびにビチューメンなどの密度の高い石油留分を重油直接脱硫装置(RH)において水素化脱硫及び水素化分解して得られた脱硫重油(DSAR)などが挙げられる。
原料油に対する触媒の質量比(触媒/原料油)は、好ましくは5以上20以下であり、より好ましくは5.5以上18以下であり、さらに好ましくは6以上15以下である。原料油Bに対する触媒の質量比(触媒/原料油)が5以上20以下であると、原料油を触媒に十分に接触させることができるとともに、原料油の処理量を増やすことができる。
反応塔から排出された分解生成物は、たとえば、主蒸留塔によって洗浄および精留されて、最終的なエチレン、プロピレン等の低級オレフィンやガソリン留分を製造することができる。このような本発明によれば、高い活性を維持でき、廃棄物量が少なく、活性低下に伴う定修・再運転などの間隔をあけることも可能であり、原料油の転化率が高いので、生産性改善に大きく寄与できる。
[実施例]
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例および比較例の平衡触媒には、一般的なFCC触媒を使用しているFCC実装置の再生塔から抜出された触媒を用いた。ここで言う一般的なFCC触媒とは、Y型ゼオライト、活性アルミナ、シリカバインダー、カオリンを含むスラリーを噴霧乾燥して造粒し、洗浄工程、レアアースイオン交換工程、乾燥工程を経て製造された触媒である。
(下表で記載のAl,RE以外の残成分はSiO2である)
(実施例1)
平衡触媒A(14.0g)と純水(1.0g)を100mLポリ容器に採取した後、室温で、触媒の塊がなくなるまで良く混合した。
(実施例2)
平衡触媒A(14.0g)を容量30mLの上部が開放した容器1に採取した。水200gを容量250mLの上部が開放した容器2に採取した。容量15Lの容器3の中に平衡触媒Aが入った容器1と水が入った容器2を入れて密閉し、容器3内を20℃として8日間放置した。
(実施例3)
平衡触媒A(14.0g)を加湿器で発生した湯気に、室温で、10時間晒した。
(実施例4)
平衡触媒B(14.0g)を加湿器で発生した湯気に、室温で、10時間晒した。
(実施例5)
平衡触媒C(14.0g)を加湿器で発生した湯気に、室温で、10時間晒した。
(実施例6)
平衡触媒D(14.0g)を加湿器で発生した湯気に、室温で、10時間晒した。
(比較例1)
平衡触媒A(14.0g)を容量30mLの上部が開放した容器4に採取した。水200gを容量250mLの上部が開放した容器5に採取した。容量15Lの容器6の中に平衡触媒Aが入った容器4と水が入った容器5を入れて密閉し、容器6内を20℃として2日間放置した。
(比較例2)
平衡触媒A(14.0g)を容量30mLの上部が開放した容器7に採取した。水200gを容量250mLの上部が開放した容器8に採取した。容量15Lの容器9の中に平衡触媒Aが入った容器7と水が入った容器8を入れて密閉し、容器9内を70℃として2日間放置した。
(比較例3)
平衡触媒A(14.0g)を容量30mLの上部が開放した容器10に採取した。水200gを容量250mLの上部が開放した容器11に採取した。容量15Lの容器12の中に平衡触媒Aが入った容器10と水が入った容器11を入れて密閉し、容器12内を40℃として4日間放置した。
評価前処理
吸湿処理した後の触媒を600℃で1時間、空気中で焼成して水分および残存する炭化水素を除去した後、ACE−MATで評価した。
なお強熱減量は、揮発性物質(主に有機物や水)の質量を指す。強熱減量は、質量の減少率から算出される。
実施例1〜6および比較例1〜3で処理された触媒を用いて、原料油(脱硫常圧残油(DSAR)と脱硫減圧蒸留軽油(DSVGO)とを1:1で混合した油)の転化率を評価した。
試験条件
流動接触分解用触媒の試験装置(Kayser社製:ACE−MAT、モデルR+)の反応器に実施例1と同様にして擬平衡化した触媒9gを充填し、以下の条件で反応を行った。
反応器内温度を520℃とし、原料炭化水素油として脱硫常圧残油(DSAR)と脱硫減圧蒸留軽油(DSVGO)とを1:1で混合した油を0.02g/secの通油速度で90秒間供給した。このとき、触媒/原料炭化水素油比(C/O):5、空間速度(WHSV):8hr-1とし、ガソリンカット温度を216℃とした。
Figure 2018158282
本発明の実施例によれば、NiおよびVのような汚染物質の量に関わらず、賦活することができている。一方、水分賦活量の少ない比較例では、同じ平衡触媒内で転化率が低くなった。
また、NH3−TPDによる固体酸量分析結果を図2示す。
図2は実施例6の吸湿処理前後でのNH3−TPD分析結果したものであり、吸湿処理によって、固体酸量が増加していることが示された。
1 ライザー
2 セパレータ
3 ストリッパー
4 再生塔
5 原料油プレヒーター
6 エアブロワー

Claims (6)

  1. ゼオライトを主成分とする触媒に原料油を接触させて分解することによって分解生成物を生成する流動接触分解反応で使用される触媒の賦活方法であって、
    反応塔内から抜出した平衡触媒、または、使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、触媒質量に対し水分を1〜10質量%の範囲で含有させたのち、再生塔に戻す、流動接触分解用触媒の賦活方法。
  2. 水分を含有させる平衡触媒または再生触媒の温度を1〜30℃の範囲に調整することを特徴とする請求項1の賦活方法。
  3. 水分を、下記(1)〜(3)の少なくとも1つの方法で吸湿させることを特徴とする請求項1または2に記載の賦活方法;
    (1)大気中に平衡触媒または再生触媒を放置して大気中の水分を吸湿させる、
    (2)加湿雰囲気下で平衡触媒または再生触媒に置いて吸湿させる、
    (3)水と、平衡触媒または再生触媒を接触させる。
  4. 触媒が、再生触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流動接触分解用触媒の賦活方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の賦活方法で賦活された触媒を、原料油と接触させることを特徴とする、原料油の流動接触分解方法。
  6. 反応塔内の平衡触媒または使用済触媒の表面を脱コーク化した再生触媒の少なくとも1つに、触媒質量に対し水分を1〜10質量%の範囲で含有させる吸湿工程、および
    再生塔内で使用済触媒を脱コークする際に、吸湿させた触媒を加えて再生処理を行う工程、
    再生処理後の再生触媒を、反応塔内に移して、平衡触媒として原料油と接触させる工程とを含むことを特徴とする、原料油の流動接触分解方法。
JP2017055924A 2017-03-22 2017-03-22 流動接触分解用触媒の賦活方法 Active JP6857060B2 (ja)

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