JP2018157610A - モータシステム及びこれを備える機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】少数のスイッチング素子を低減しつつ可動子の制御性を改善する。【解決手段】スイッチング素子を直列に接続した第一、第二及び第三上下アームを備える電力変換部と、電力変換部の出力を受ける第一巻線及び第二巻線を有する電機子と、永久磁石を有する可動子と、を備え、可動子は、第一巻線及び第二巻線が生ずる磁束に応じて、電機子に対して第一の方向に相対移動可能であり、第一巻線及び第二巻線は、第二の方向に空隙を介して対向し、可動子の一方側及び他方側それぞれに位置するモータシステムであって、電力変換部は、第一巻線及び第二巻線それぞれへの出力を独立して制御可能。【選択図】図11

Description

本発明は、モータシステム及びこれを備える機器に関する。
特許文献1は、磁気軸受4を利用してシャフト2を浮上させる構成を開示している(図1)。
特許文献2は、電磁石6,7に印加する電流を6つのトランジスタ(スイッチング素子)で制御する構成を開示している(図1,2)。電磁石6,7は、鉄心9を挟んで対になっている(0008)。
特開平7−4763号公報 特開平8−145056号公報
駆動中のシャフト(可動子)は往復動方向に直交する方向に変位又は傾くことがある。このため、何らかの姿勢制御を行わなければ、シャフトがステータ(固定子)に接触して破損等するおそれがある。しかし、特許文献1は、シャフト2を安定させて浮上させ、往復動させる構成や、シャフトの姿勢制御の具体的な態様について何ら記載していない。
特許文献2の電磁石6,7は同じ座標軸上に働く第一の方向の力を制御しているが、鉄心9に付与する第一の方向の力の制御をトランジスタの使用数を低減しつつ実現し、かつ、鉄心9の第二の方向の位置を検出したり、鉄心9に付与する第二の方向の力を制御する構成について何ら記載していない。
上記事情に鑑みてなされた本発明は、スイッチング素子を直列に接続した第一、第二及び第三上下アームを備える電力変換部と、該電力変換部の出力を受ける第一巻線及び第二巻線を有する電機子と、永久磁石を有する可動子と、を備え、前記可動子は、前記第一巻線及び前記第二巻線が生ずる磁束に応じて、前記電機子に対して第一の方向に相対移動可能であり、前記第一巻線及び前記第二巻線は、第二の方向に空隙を介して対向し、前記可動子の一方側及び他方側それぞれに位置するモータシステムであって、前記電力変換部は、前記第一巻線及び前記第二巻線それぞれへの出力を独立して制御可能なことを特徴とする。
実施例1のリニアモータシステムの構成の模式図。 実施例1の電機子の斜視図。 図2のA−A’平面での断面図。 実施例1の可動子が受ける推力を示す図。 実施例1のリニアモータの巻線の接続関係を表す図。 実施例1のリニアモータの電流と磁気浮上力の関係を示す図。 実施例1のリニアモータの電流と推力の関係を示す図。 実施例1の電力変換部の一例として採用できるフルブリッジ回路を用いたリニアモータの模式図。 可動子が偏心した場合を示す図。 可動子の電気角位置に応じた誘導起電圧の一例を示す図。 実施例1の電力変換部の一例である電力変換回路をリニアモータに接続した模式図。 電力変換回路に設ける電流検出部の配置例を示す図。 PWMキャリア信号と電圧指令値との関係を示す図。 PWMキャリア信号と電流検出タイミングの関係を示す図。 実施例1の電力変換部の各スイッチング状態における電流経路を示す図。 実施例1の制御部の一例を示す図。 実施例1の電圧指令値作成器の一例を示す図。 実施例1の電圧振幅作成器の一例を示す図。 実施例1の(a)電力変換部の電圧指令値、(b)電圧指令値による電圧に応じて生じる推力及び磁気浮上力、を示す図。 実施例1のシングルシャント抵抗を付加した場合の電流経路を示す図。 実施例2の電機子の斜視図。 実施例2の電機子の断面斜視図。 実施例2のリニアモータの巻線の接続関係を表す図。 実施例2のリニアモータの巻線の第2の接続関係を表す図。 実施例2のリニアモータの巻線の第3の接続関係を表す図。 実施例3の密閉型圧縮機の縦断面図。 実施例3の密閉型圧縮機の斜視図。 実施例4の密閉型圧縮機の水平断面の斜視図。 実施例3に係る電動要素とフルブリッジ回路の構成図 図29の直列接続された巻線を1つとして表示した簡略巻線接続図 リニアモータ又は密閉型圧縮機を搭載した機器の一例である冷蔵庫の縦断面図。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施例を詳細に説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、また、同一の説明は繰り返さない。
各実施例では、説明の便宜のため、互いに直交する前後方向、上下方向及び左右方向という語を用いるが、重力方向は必ずしも上下方向と平行である必要はない。特に言及のない限り、重力方向は、上下方向、左右方向、前後方向又はその他の方向と平行にできる。
本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、或る構成要素が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
本実施例によれば、モータシステムについて、電力変換回路に接続した電機子を用いて、可動子の偏心の有無又は偏心量を検知しつつ推力を制御できる。また、この検知及び制御に要するスイッチング素子の個数を低減できる。なお、本実施例と同様の構成要素を用いて、リニアモータシステムに限らず回転式モータシステムにも適用可能である。
<リニアモータ制御装置101>
図1は、リニアモータシステム100の模式図である。リニアモータシステム100は、リニアモータ制御装置101とリニアモータ104とから構成される。
リニアモータ制御装置101は、位置検出部106と、偏心/傾き検出器135と、制御部102と、電力変換回路105と、を有する。図1中に示した上下方向及び前後方向は、リニアモータ104の構成要素の位置関係の説明に用いられるためのものである。
位置検出部106は、後述する電機子9に対する可動子6の前後方向の相対位置を検出する。
偏心/傾き検出器135は、電機子9に対する可動子6の上下方向の相対位置(以下、偏心量という。)や前後方向を軸とした場合の可動子6の傾きを検出する。
制御部102は、位置検出部106や偏心/傾き検出器135の検出結果に応じて、電力変換回路105への出力電圧指令値、又は電力変換回路105を駆動するドライブ信号(パルス信号)を出力する。
詳細は後述するが、電力変換回路105は、直流電圧源120の電圧を変換して交流電圧を出力する電力変換部の一例である。なお、直流電圧源120に代えて直流電流源を用いても良い。
<リニアモータ104>
図1中のリニアモータ104は、側面断面の模式図である。リニアモータ104は、電機子9に対して前後方向に相対移動可能な可動子6を有する。電機子9はそれぞれ、空隙を介して2つが上下方向に並んで対向する磁極7を有している。可動子6は、この空隙に配されている。
電機子9は、可動子6に対して前後方向の力(以下、推力という。)に加えて上下方向の力(以下、浮上力という。)を付与できる。例えば、後述するように、可動子6が前後方向に往復動するように推力を制御し、可動子6が空隙に保持されるように磁力を利用した浮上力(以下、磁気浮上力という。)を制御できる。例えば下方向が重力方向下流と平行である場合、重力を考慮した上で可動子6が2つの磁極7の間に浮上するように磁気浮上力を付与できる。
[可動子6]
可動子6は、上下方向に磁化した平板状の永久磁石2を1つ又は2つ以上並べて有している。永久磁石2としては、少なくとも電機子9に対向する永久磁石2a,2bを有しており、主面(永久磁石2について表面積の大きい面。例えば、寸法a×b×c(但し、a>b>c)の直方体状の永久磁石2であれば、a×bの面。)が磁極7に対向するように配されている。なお、少なくとも永久磁石2a,2bの並びは、N極とS極が交互になるようにされており、本実施例では2つの永久磁石2a,2bが、互いに反対方向の磁化で前後に並んで配置されている。すなわち、永久磁石2aは上面をS極、永久磁石2bは上面をN極として配されている。
制御部102は、可動子6を永久磁石2a、2bの一方又は両方が電機子9に対向する範囲で往復動させるようにドライブ信号を出力できる。なお、永久磁石2a、2bが電機子9に略正対した位置では、可動子6に付与される推力が小さいため、そのような場合でも効果的に可動子6に推力を与えるべく、可動子6に接続されたばね等の弾性体を含む外部機構を設けて、可動子6が戻される機構としても良い。弾性体は、可動子6の前後方向位置に応じて、推力を与えることができればよい。
[電機子9]
図2は電機子9の斜視図、図3は図2のA−A’線に沿った平面での断面図である。図2,3には、可動子6に配した永久磁石2も示している。図3の矢印線は、2つの巻線8の一方又は両方に電流を流したときの磁束線の一例を示している。磁束の流れの向きは、巻線8に流れる電流の向きにより逆方向になり得るため、図に示す限りではない。
電機子9は、磁性体の磁極7を有している。磁極7は、上側巻線8uを巻回した上側磁極歯70uと、下側巻線8dを巻回した下側磁極歯70dと、磁極歯70の左右方向外側に位置し、上側磁極歯70u及び下側磁極歯70dを繋ぐ、上下方向に延びる鉄心7eとを有している。可動子6は、対向する2つの磁極歯70(上側磁極歯70u及び下側磁極歯70d)の間の空隙に配されている。2つの磁極歯70の上下方向の間隔は、永久磁石2の左右方向の長さより小さくできる。以下、対向する2つの磁極歯70を、磁極歯組と呼ぶ。
なお、電機子9を1つ又は2つ以上例えば前後方向に並べ、任意で電機子9同士の間に磁性体や非磁性体のスペーサを設けてもよい。電機子9の数は1以上の任意である。
[可動子6に付与する推力及び磁気浮上力]
図4は磁極歯70の磁化により可動子6が受ける推力を説明する図である。巻線8に流れる電流により生じる磁極歯70の極性を、図中の磁極歯70近傍に記した「N」、「S」で表している。図5は、磁極歯組に設けた巻線8の接続関係を表した図であり、巻線8を「インダクタンス」の回路記号で示し、磁極歯70の極性を図4と同様に、図中の巻線8近傍に記した「N」、「S」で表している。図5の白抜き矢印は巻線8を流れる電流を表している。ここで、巻線8に流す電流の方向の一方を「正」と、他方を「負」と呼ぶことにする。
巻線8に電圧や電流を印加することで、2つの磁極7を含む磁気回路に磁束を供給して、磁極歯組を磁化できる。電圧や電流として、例えば正弦波電圧や矩形波電圧といった交流電圧を与えることで、可動子6を往復動させる推力を与えることができる。これにより可動子6の運動を制御できる。巻線8に与える電圧や電流については、例えば種々公知の同期式モータの制御方法を採用できる。
推力を前後方向交互に印加して可動子6を往復動させる場合、それぞれの電機子9は、往復動を通じて1つ又は2つ以上の永久磁石2a,2bに対向する。なお、可動子6の往復運動は必ずしも永久磁石2a,2bが電機子9に対向するまで移動する必要はない。また、巻線8の極性は、最も近い永久磁石2の極性に対して異極となるように制御できる。それぞれの時刻で永久磁石2の中心位置及び電機子9の中心線が成す角度(可動子6と電機子9の前後方向の相対位置)に応じて磁極歯70の極性を制御することで、可動子6に推力を与えることができる。また、各巻線8の巻方向は、同相電流が印加されたときに、磁極歯組の2つの磁極歯70が互いに逆の極性になるように設けられている。
図4(a)に例示するように、正の電流により上側の磁極歯70uがS極、下側の磁極歯70dがN極に磁化したとき、磁極歯組の中心線に対して、磁極歯組に対向する永久磁石2bの中心線が紙面右側に位置していると、可動子6は紙面左方向に推力を受ける。同様に、図4(b)の場合は紙面右方向に力を受ける。
磁極歯組の2つの磁極歯70に巻かれた2つの巻線8は、図5に示すように、2つの巻線8の一端それぞれが異なる上下アーム(第一、第二の上下アーム)に接続し、さらに2つの巻線8の他端それぞれが同じ上下アーム(第三の上下アーム)に接続するとともに、空隙を挟んで対向に位置する2つの巻線8が並列接続している。第一、第二の上下アームから略同じ電圧を印加することにより、2つの巻線8に同相の電流を流すことができる。言い換えると、2つの巻線8の一端が接続されている上下アームのスイッチングデューティは略同じである。ここで、例えば第一、第二の上下アームそれぞれのスイッチングデューティを異なるものにすることで、偏心を制御できる。
例えば、永久磁石2bが磁極歯70に対向する時刻に可動子6が偏心した場合を考える。可動子6が下方向に偏心した場合、図6(a)に示すように、コイル8dよりも大きい電圧をコイル8uに印加する。すると、コイル8uに流れる電流の方が大きくなり、相対的に上側の磁極歯70uの磁化が強くなる。これにより、空隙の上下で磁束のアンバランスが生じ、磁束密度の高い方に可動子6は吸引される。すなわち、可動子6に磁気浮上力を付与できる。同様に、可動子6が上方向に偏心した場合、図6(b)に示すように、コイル8dに流れる電流の方を大きくすることで、可動子6を下方向に吸引できる。
次に、永久磁石2aが磁極歯70に対向する時刻に可動子6が偏心した場合を考える。公知の同期式モータの制御を採用すれば、このとき、巻線8に流れる電流は、永久磁石2bが磁極歯70に対向するときと逆方向になっている。可動子6が下方向に偏心した場合、図6(c)に示すように相対的にコイル8uに大きい電流を流し、可動子が上方向に偏心した場合、図6(d)に示すように相対的にコイル8dに大きい電流を流す。
なお、図6は、相対的な電流の大小を矢印の幅で、相対的な磁化の強さを巻線8近傍に示した「N」、「S」の大きさで、それぞれ概念的に示している。
以上のように、合計3つの上下アームを用いることで、対向する2つの巻線8に出力する電圧を制御でき、可動子6への推力及び磁気浮上力を制御できる。すなわち、例えば同期式モータの制御を採用して、可動子6の前後方向位置と交流電圧の位相を同期させるとともに、可動子6の偏心が生じた場合は、可動子6の前後方向位置の情報を利用して上側巻線8u及び/又は下側巻線8dに印加する電圧の大きさを変える制御を行える。
なお、2つの巻線8の一端を同一の上下アームに接続した場合は、コイル8u,8dに流れる電流は互いに略等しくなるが、これでも偏心を一定程度制御し得る。
図7(a)は電機子9に印加する電流と時間の関係、図7(b)は可動子6及び電機子9の前後方向の相対位置と時間の関係を示す図である。図7では、可動子6の永久磁石2aの中央点と、電機子9の中央点の前後方向位置が一致する時点をゼロとしている。巻線8に交流の電流あるいは電圧を印加することで、可動子6に推力を付与できる。なお、可動子6に付与する推力は、印加する電流あるいは電圧の振幅を変更することで制御できる。例えば、印加する電流或いは電圧の振幅を大きくすると、可動子6の前後方向振幅を大きくできる。
磁極歯組はそれぞれ逆の極性になるため、可動子6が空隙の上下方向の中心位置(本明細書で、軸心という。)にある場合、可動子6は上下方向への力を略相殺できる。一方、可動子6が軸心から上下方向にずれる(本明細書で、偏心という。)と、可動子6は上側磁極歯70u又は下側磁極歯70dに近づくが、上記のように制御することで、偏心を補償して可動子6を軸心に維持させるように磁気浮上力を制御できる。
なお、磁極歯70は磁性体であるため、永久磁石2を吸引する磁気吸引力がはたらく。本実施例では可動子6を介して2つの磁極歯70を対向配置しているため、可動子6にはたらく磁気吸引力の合力を低減できる。
[循環電流の検出による偏心の検出]
偏心/傾き検出器135は、検出した循環電流から可動子6の偏心量と偏心方向(上方向か下方向か)を推定する。この推定方法について、磁極歯組に設けた2つの巻線8のインピーダンスの差を0と仮定して説明する。
図8は、電力変換回路105の一例として採用できるフルブリッジ回路126をリニアモータ104に接続した模式図である。循環電流の検出は、図5に示したように2つの巻線8の一端が異なる上下アーム(第一及び第二上下アーム)に必ずしも接続していなくても良く、図8に示すように、2つの巻線8の一端が同一の上下アームに接続していてもよい。ここでは、2つの巻線8の一端は、第一上下アームに接続しており、2つの巻線8の他端が第三上下アームに接続しているとして説明する。
フルブリッジ回路126は、制御部102により入力されたドライブ信号に応じて直流電圧源120をスイッチングして、リニアモータ104に電圧を出力する。フルブリッジ回路126は4つのスイッチング素子122を備えており、直列接続されたスイッチング素子122a,122bを持つ第一上下アーム(以下、U相という。)と、スイッチング素子122e,122fを持つ第三上下アーム(以下、W相という。)とを構成している。直流電圧源120、U相及びW相は並列接続しており、直流電圧源120の低圧側と各相の下アームとの間には、電流検出部の一例であるシャント抵抗125が接続している。
スイッチング素子122の導通状態(オン/オフ)を制御することにより、直流電圧源120の直流電圧を交流電圧等に変換して巻線8に出力できる。なお、直流電圧源120に代えて直流電流源を用いても良い。スイッチング素子122としては、例えば、IGBTやMOS−FETなどの半導体スイッチング素子を採用できる。スイッチング素子122がIGBTの場合は還流ダイオードを備えていると好ましい。
フルブリッジ回路126に接続した対向する2つの巻線8u,8dは並列接続している。U相を構成するスイッチング素子122a,122bの間には、磁極歯組が有する2つの巻線8それぞれの一端が電気的に接続している。W相を構成するスイッチング素子122e,122fの間には、2つの巻線8それぞれの他端が電気的に接続している。このため、2つの巻線8を含む閉ループが形成されている。以下、図8で例示するように、上側の巻線8uをコイルUuと、下側の巻線8dをコイルUdとも呼ぶことにする。
フルブリッジ回路126が電圧を出力すると、電流は2つの巻線8に略2等分されて流れる。コイルUuに出力された電流をIUu、コイルUdに出力された電流をIUdとすると、インピーダンスの差を0としていることから、可動子6が軸心にある場合、IUu=IUdとなる。可動子6が軸心にある状態では、各コイルUに対して永久磁石2の磁束により誘起される電圧は同等となることから循環電流は発生しない。
一方、可動子6が軸心からずれる(偏心する)と、永久磁石2からコイルU内部を通過する磁束が異なる値になる。このため、並列回路を構成している同相コイルU間に電位差ΔEが発生し、これを打ち消すため閉ループに循環電流が発生して、IUu≠IUdの関係となる。ここで、並列回路(コイルUu、コイルUdで構成される回路)の循環電流をICIR,uとすれば、
CIR,u=(IUu−IUd )/2 ・・・(1)
の関係が成立する。
[循環電流値と偏心量の関係]
図9は偏心した可動子6を示す図、図10は図9のように偏心した場合の誘導起電力を示す図である。可動子6が磁極歯組の空隙においてAだけ偏心したときの循環電流ICIR,Uは、定数α、κを用いて
ακ(1/(δ―A)−1/(δ+A))=ICIR,u1_2=ΔE・・・(2)
で与えられる。但し、δは可動子6が軸心にある状態における永久磁石2の表面と磁極歯70との空隙長であり、Z1_2は循環電流ICIR,uが流れる閉回路のインピーダンスである。
ここで、δ及びZ1_2は既知であるから、循環電流ICIR,uを検出又は推定することにより、変位量Aを求めることができる。
また、インピーダンスZ1_2は、電力変換部が出力する電圧の周波数fに略比例し、各コイルに誘起される電圧もfに比例する。そのため、循環電流は周波数依存性がほとんどないといえる。そのため、低速回転領域でも高精度に変位量を推定することが可能となる。図10は、コイルUu、コイルUdに流れる電圧と、誘導起電力ΔEの関係を示す図である。両者の位相は略等しいことが分かる。
このように、コイルUu及びUdそれぞれの電流を検出するシャント抵抗125等の電流検出部及び2つの上下アームを持つフルブリッジ回路126等の回路を利用することで、循環電流を検出して可動子6の偏心を検出できる。
[検出した偏心量を利用した制御]
フルブリッジ回路126を利用する場合、検出した可動子6の偏心量に応じて、可動子6への浮上力をより高精度に制御できる機構を別に用意しておくことができる。浮上力を付与する機構は、後述する3相インバータ121を用いた機構でも良いし、その他機械的に可動子6に力を与えることで浮上させるものでもよい。
次に、図5に示した様に、2つの巻線8の一端をそれぞれ異なる上下アームに接続する場合の電力変換回路の一例を図11に示す。
図11は、電力変換回路105の別の一例をリニアモータ104に接続した模式図である。電力変換回路105は、3相インバータ121、直流電圧源120、ゲートドライバ回路123、シャント抵抗125を有している。
3相インバータ121は、6つのスイッチング素子122を有しており、スイッチング素子122a,122bを持つ第一上下アーム(U相)と、スイッチング素子122c,122dを持つ第二上下アーム(以下、V相という。)と、スイッチング素子122e,122fを持つ第三上下アーム(W相)とのそれぞれが直列に接続されて3つの上下アームを構成している。直流電圧源120、U相、V相及びW相は並列接続しており、直流電圧源120の低圧側と各相の下アームとの間にはシャント抵抗125が接続している。
各相の2つのスイッチング素子122の間に位置する接続点は、リニアモータ104の磁極歯組の巻線8へ配線されて電気的に接続している。2つのスイッチング素子122a,122bの間に位置するU相の接続点は上側巻線8uの一端に、2つのスイッチング素子122c,122dの間に位置するV相の接続点は下側巻線8dの一端に、2つのスイッチング素子122e,122fの間に位置するW相の接続点は上側巻線8u及び下側巻線8dの他端に、それぞれ電気的に接続している。
スイッチング素子122は、制御部102で生成される電圧指令値を基に、ゲートドライバ回路123が出力するパルス状のドライブ信号(124a〜124f)に応じてスイッチング動作できる。後述するように、U相及びV相のスイッチング動作のデューティ比を異ならせることで、可動子6への磁気浮上力を効果的に制御できる。
電力変換回路105には、図8のフルブリッジ回路126と比較して、スイッチング素子122c,122dを持つ第二上下アーム(以下、V相という。)が追加されている。
上側巻線8uの一端に接続するU相と、下側巻線8dの一端に接続するV相が存在するため、U相とV相が出力する電圧の大きさを異ならせることで、可動子6の偏心をより効果的に制御できる。
このように、コイルUu及びUdそれぞれの電流を検出するシャント抵抗125等の電流検出部及び3つの上下アームを持つ3相インバータ回路等の回路を利用することで、循環電流を検出して可動子6の偏心を検出するとともに、可動子6の偏心を制御できる。
[電流検出部の種々の構成例]
巻線8を流れる電流を検出する電流センサ(電流検出部)を付加することで、循環電流量を検出できる。例えば、図11に示すように電力変換回路105のU相とV相に、カレントトランス、シャント抵抗、ホール素子等から成る電流センサを付加できる。U相およびV相スイッチング状態が同じ状態となっているタイミングの両者の電流検出値を比較あるいは差分を取ることで、循環電流を検出できる。前述の通り、U相およびV相のスイッチング状態が同じタイミングにおいて、可動子6が軸心にある状態では、各コイルに対して永久磁石の磁束により誘起される電圧は同等であるため、循環電流は発生しない。すなわち、U相およびV相の電流検出値は同値である。一方、可動子6が偏心すると、両コイルに電位差ΔEが発生し、その影響により、U相およびV相から同じ電圧が出力されていても(U相およびV相のスイッチング状態が同じでも)、U相とV相の電流検出値に差が生じる。なお、U相またはV相と、W相の2相の電流検出値を用いて循環電流を検出することも可能である。このように、循環電流を検出することにより可動子6の偏心量を求める(推定する)ことが可能になるため、配線を簡素化できる効果がある。なお、W相にも電流検出部を設けても良いが、U相及びV相の電流情報を利用してキルヒホッフの法則から算出するようにしても良い。
循環電流検出手段の別な構成例として、例えば、図12に示すように、下アーム122b,122d、122fの何れか二つと直流電圧源120の低圧側との間にシャント抵抗125を付加できる。制御の行い易さの観点から、各アームに取付ける抵抗値を等しくすると好ましいため、シャント抵抗125を全てのアームに設けるか、二つにシャント抵抗を設け、残りの相の下アームに略同値の抵抗を設けると良い。シャント抵抗125は必ずしも下アームにつける必要は無く、図12(b)に示すように、各相上アームに付加しても良い。電力変換回路の各相アームにシャント抵抗を付加して電流検出を行う場合、各スイッチング素子122のオンオフ状態の影響を受けるため、ドライブ信号生成方法と共に説明する。
[ドライブ信号]
図13に標準的な三角波比較方式によるドライブ信号の生成方法を示す。図13は、交流の電圧指令値と、ドライブ信号を生成するための三角波キャリア信号を示している。両者を比較し、大小関係により図中のように上アームのドライブ信号Gpおよび下アームのドライブ信号Gnを生成する。
ゲートドライバ回路123やスイッチング素子122自体の遅れに起因して、上下アームのスイッチング素子122が短絡する恐れがあるため、実際には上下アームの両方がスイッチングオフとなるデッドタイム(数マイクロ秒〜十数マイクロ秒程度)を付加して最終的なドライブ信号とする。しかしながら、本明細書においては理想的なドライブ信号を仮定して示しているが、この仮定は上述した可動子6への推力や磁気浮上力の制御の本質に影響しない。もちろん、デッドタイムを付加した構成としてもよい。
図14は、図13の三角波キャリア信号の1周期分の詳細を説明する図である。なお、簡略化のため、図14の各相の電圧指令値は、三角波キャリア信号1周期中は一定値として示し、ゲート信号は各相の上アームのドライブ信号のみ示している。三角波キャリア信号と各相電圧指令値の大小関係により、各相のドライブ信号を生成する。各相ドライブ信号の組合せ、すなわち各相のスイッチング素子の状態に応じて区間を分け、それぞれ区間A〜区間Gと呼ぶ。
[スイッチング状態に応じた電流の詳細]
図15は、推力制御における基本的な各スイッチング素子122の状態と電流経路を示す図である。図中の矢印は電流の向きを示している。図14も参照しながら、図15を説明する。図15(a)は、図14の区間Aおよび区間Gに対応している。同様に、図15(b)は区間Bおよび区間F、図15(c)は区間Cおよび区間E、図15(d)は区間Dにそれぞれ対応している。
図15(a)および(d)は、還流モードと言われているモードである。上下アームのいずれかにシャント抵抗を付加して電流検出を行う場合、この期間において電流検出を行うことで循環電流を検出できる。図15はU相およびV相の下アームにシャント抵抗を付加した図である。この場合、図15(d)のタイミングで、U相およびV相の電流を検出し、両者の差電流から循環電流が検出でき、その結果、可動子6の偏心量を推定できる。
このように、シャント抵抗を付加して循環電流を検出することにより可動子6の偏心量を求める(推定する)ことが可能になるため、配線を簡素化できる効果がある。
[制御部]
図16は、本実施例の制御部102の構成例である。制御部102には、位置検出手段106による位置検出値と、偏心/傾き検出器135による偏心あるいは傾きの値と、相電流検出値を入力する。後に説明する電圧指令値作成器103で作成した3相の電圧指令値をPWM信号生成機133に入力し、図14の説明の様に、各相の電圧指令値と三角波キャリア信号を比較して、各相上下アーム用の6つのドライブ信号を出力する。
図17は、電圧指令値作成器103の構成例である。電圧振幅作成器131は、図示はしていない上位制御から与えられる推力指令値または位置指令値と相電流検出値から、電圧振幅指令値を作成する。比例積分微分制御器133は、偏心/傾き検出器135による偏心あるいは傾きの値を基に、磁気浮上力を制御するための磁気浮上力電圧指令値Vs*を出力する。
交流電圧指令値作成器132は、電圧振幅指令値と磁気浮上力電圧指令値Vs*を入力し、(3)式〜(5)式のように、可動子の位置θdに応じて3相の正弦波電圧指令値(Vu*、Vv*、Vw*)を出力する。(5)式から明らかなように、W相は、他の2相と180度位相がずれた波形となる。
Figure 2018157610
ここで、磁気浮上力電圧指令値Vs*をゼロとした場合を考えると、U相とV相は同じ電圧指令値となる。このとき、W相と他の2相間の線間電圧は、正弦波状となる。正弦波電圧を巻線8に印加すると、正負の推力が可動子6に付与され、前後方向に駆動させることができる。一方、磁気浮上力電圧指令値Vs*を非ゼロとすると、推力と共に磁気浮上力を与えることができる。
図18は、電圧振幅作成器131の構成例である。推力指令値を推力定数KNで除することで相電流指令値を得る。相電流指令値と相電流検出値を用いて、比例積分制御器等から構成される電流制御器により電流制御を行い、リニアモータ104の抵抗設定値と乗じて電圧振幅指令値Vm*を生成する。
図19は、各相電圧指令値と、磁気浮上力および推力の時間変化の例を示す図である。図中に矢印とローマ数字で示したタイミングで、可動子6に付与する磁気浮上力を変えている。可動子6に外力が加わらず、通常の推力制御をしている間は、Vs*がゼロであり、各相の電圧指令値は正弦波や矩形波となっている。(i)までは、U相とV相の電圧が同一であるため磁気浮上力がゼロである。
例えば、(i)のタイミングで可動子6に外力が加わり、下方向に偏心した場合、誘導起電力が変化して上側巻線8uに流れる電流と下側巻線8dに流れる電流とが変化する。これにより磁気浮上力電圧指令値Vs*が非ゼロに変化し、U相とV相の電圧指令値が変化する。これにより、正(上方向)の磁気浮上力を付与することができる。なお、(3)〜(5)式のように指令値を設定することで、U相とV相の平均電圧と、W相の電圧差を正弦波状で保てるため、正負の推力を継続的に可動子6に付与できる。すなわち、Vs*に応じて、U相の電圧指令値を大きくするとともにV相の電圧指令値を同量小さくするように制御できる。
一方、(ii)のタイミングで、(i)のタイミングと異なる方向の推力および磁気浮上力を可動子6に付加することができる。(i)と(ii)では、U相とV相の電圧指令値の絶対値の大小関係が反対になっている。(ii)の制御は、(i)の後にさらに別の外力が付与されたことに応じた制御であっても良いし、(i)の外力に応じた制御により生じるオーバーシュートを抑制するための制御であっても良い。
このようにすることにより、任意の方向組合せの推力および磁気浮上力を可動子6に付与することができる。
なお、図19(a)の縦軸をドライブ信号のオンオフの比率(デューティ比)とみなしても問題ない。また、図19の横軸は時間としているが、電気角位相あるいは前後方向変位とみなしても問題ない。
本実施例では、各相の上下アームのいずれかにシャント抵抗を付加する例を示したが、例えば、電力変換回路の直流側に付加されるシングルシャント抵抗に流れる電流を用いても良い。図20は、V相の下アームと、電力変換回路の直流側にシャント抵抗を付加した例である。図20は、図15(c)と同じタイミングの各スイッチング素子122の状態と電流経路を示す図である。図から分かるように、シングルシャント抵抗に流れる電流は、U相の電流と等価である。したがって、図14の区間Bまたは区間FにV相下アームに流れる電流と、区間Cまたは区間Eにシングルシャント抵抗に流れる電流の差が循環電流を推定することが可能である。シングルシャント抵抗は、電力変換回路の保護のためについているため、部品点数削減という効果が得られる。
実施例2の構成は、以下の点を除き実施例1と同様にできる。本実施例によれば、モータシステムについて、電力変換部に接続した2つの磁極歯組(4つの磁極歯)を用いて、可動子の偏心の有無又は偏心量を検知しつつ可動子の推力及び磁気浮上力を制御できる。また、この検知及び制御に要するスイッチング素子の個数を低減できる。なお、本実施例と同様の構成要素を用いて、リニアモータシステムに限らず回転式モータシステムにも適用可能である。
[電機子9a]
図21は実施例2に係る電機子9aの構成例の斜視図である。図22は実施例2に係る電機子9aの構成例の側面断面斜視図である。
電機子9aは、前後に並んだ2つの磁極7と、2つの磁極7の間に挿入されるブリッジ10により構成される。2つの磁極7の間隔はブリッジ10の厚みにて規定することができる。ブリッジ10は、磁性体でも非磁性体でも良いが、ブリッジを磁性体で構成すると後述する立体的な磁束経路が成し得るため、好ましい。このため、以下ではブリッジ10が磁性体である場合について説明する。
磁極7は2つの磁極歯70を有しており、この2つの対向した磁極歯70は磁極歯をつなぐ鉄心7eによって接続している。各磁極歯70には巻線8が設置されており、巻線8に電流を流すことにより磁極歯70に磁性が生じる。以下、上側の巻線8を巻線8a,8cとし、下側の巻線8を巻線8b、8dとする。また、巻線8a,8b,8c,8dをそれぞれ、第一、第二、第三及び第四巻線と定義する。
磁極歯70に巻かれた各巻線8は、対向あるいは隣接する磁極歯70の極性が異なり、斜向かいの磁極歯70と同じ極性になるように、接続されている。例えば、図22を参考にすると、磁極歯70aがN極の場合、対向する磁極歯70bはS極と隣接する磁極歯70cはS極、斜向かいの磁極歯70cはN極ができるようになっている。
各磁極歯70の極性が上述したような関係となるように巻線8に電流を流すと、磁極7内には主に図22に実線矢印で示すような磁束の流れが生じる。磁束は上下の対向する磁極歯70内を貫通するループと、両側に位置している磁極歯をつなぐ鉄心7e内を貫通するループとなっている。この磁束の流れ(ループ)は可動子6の移動方向に対して直交する平面内である。
本実施例ではブリッジ10を磁性体とすることで、図22に示すように図中破線矢印のような磁束の流れ(ループ)も構成することができる。このように立体的な磁気回路を構成することで、磁極の磁束飽和を防止することができる。したがって、高推力を発生することが可能になる。
[巻線8の接続方法」
図23は、偏心を検出するのに好適な巻線接続方法を示す図である。図23では、上側の2つの巻線8aの他端と巻線8cの一端とが直列接続されるとともに、巻線8aの一端が電力変換回路のU相に、巻線8cの他端がW相に接続されている。同様に、下側の2つの巻線8bの他端と巻線8dの一端とが直列接続され、巻線8bの一端が電力変換回路のV相に、巻線8dの他端がW相に接続されている。この接続は、可動子6を挟んで上下に並列回路を構成している。この場合は、可動子6が上下方向に偏心した時に循環電流が流れる。すなわち、循環電流から、上下方向の偏心量を検出できると共に、U相およびV相の電圧指令値を制御することで、前後方向の推力と上下方向の磁気浮上力とを可動子6に付与することができる。
図24は、傾きを検出するのに好適な巻線接続方法を示す図である。図24では、後側の2つの巻線8aの他端と巻線8bの一端とが直列接続され、巻線8aの一端が電力変換回路のU相に、巻線8bの他端がW相に接続されている。同様に、前側の2つの巻線8cの他端と巻線8dの一端とが直列接続され、巻線8cの一端が電力変換回路のV相に、巻線8dの他端がW相に接続されている。この接続は、可動子6の前後で並列回路を構成している。この場合は、可動子6が前後方向に傾いた時に循環電流が流れる。すなわち、循環電流から、可動子6の傾き量を検出できると共に、U相およびV相の電圧指令値を制御することで、前後方向の推力と傾きを戻すための磁気浮上力とを可動子6に付与することができる。図24の巻線接続方法は、特に可動子6が片持ちの(一端には支持機構が付いている)構成に特に好適である。
図25は、傾きを検出するのに好適な巻線接続方法を示す図である。図25では、後上と前下の2つの巻線8aの他端と巻線8dの一端とが直列接続され、巻線8aの一端が電力変換回路のU相に、巻線8dの他端がW相に接続されている。同様に、前上と後下の2つの巻線8cの他端と巻線8bの一端とが直列接続され、巻線8cの一端が電力変換回路のV相に、巻線8bの他端がW相に接続されている。この接続は、可動子6の斜めで並列回路を構成している。この場合は、可動子6が前後方向に傾いた時に循環電流が流れる。すなわち、循環電流から、可動子6の傾き量を検出できると共に、U相およびV相の電圧指令値を制御することで、前後方向の推力と傾き方向の磁気浮上力とを可動子6に付与することができる。図25の巻線接続方法は、特に可動子6の中央を中心として、可動子6の端部が傾く場合に特に好適である。例えば、可動子6の一端側と他端側がともに支持されない自由端の場合に好適である。
実施例3は、リニアモータシステム100を搭載した密閉型圧縮機に関する。実施例3は、以下の点を除き、実施例1又は2と同様の構成にできる。
図26は、リニアモータ104を有する密閉型圧縮機50の縦断面図の一例である。密閉型圧縮機50は、圧縮要素20と電動要素30とが密閉容器3内に配置するレシプロ圧縮機である。圧縮要素20及び電動要素30は支持ばね49によって密閉容器3内に弾性的に支持されている。本実施例によれば、実施例1,2と同様の効果を奏することができ、また、密閉容器3にリニアモータ104を設置する場合でも、ハーメチックコネクタやハーメチックシールと呼ばれる、気密性を持ったコネクタの必要性を低減できる。
圧縮要素20はシリンダ1aを形成するシリンダブロック1と、シリンダブロック1の端面に組み立てられるシリンダヘッド16と、吐出室空間を形成するヘッドカバー17とを備えている。シリンダ1a内に供給された作動流体はピストン4の往復動によって圧縮され、圧縮された作動流体は圧縮機外部に連通する吐出管へと送られる。
図27は密閉型圧縮機50の斜視図、図28は密閉型圧縮機50の水平断面の斜視図である。図28も図29も密閉容器3を省略して示している。
可動子6の片端には、1つのピストン4を連結して可動子6を支持している。電動要素30の片端には圧縮要素20を配置し、その反対側にはエンドフレーム25を配置している。シリンダブロック1及びエンドフレーム25はガイドロッド24を有している。可動子6は、磁気浮上力が弱く、空隙に保持することが困難になった場合等に、ガイドロッド24に沿って往復運動できる。ガイドロッド24を設けることで、可動子6が磁極7と接触することをさらに抑制できる。ガイドロッド24を省略してもよい。
[電動要素30]
図29は、実施例3に係る電動要素30とフルブリッジ回路126の構成図である。図30は、図29の直列接続された巻線8を1つとして表示した簡略巻線接続図である。図29および図30の電動要素30は、6つの磁極歯組(12の磁極歯)を用いて、可動子の偏心の有無又は偏心量を検知しつつ可動子の推力及び磁気浮上力を制御できる。
なお、電動要素の相数に制約は無く、N相のリニアモータの内、少なくとも1相の巻線が並列になっていて、電力変換回路が(N+1)以上の相数の構成となっている場合においても本実施例と同じ効果を得ることができる。より具体的には、少なくとも1相の巻線が並列であると、差電流を利用して可動子6の偏心や傾きを検出できる。また、電力変換回路が(N+1)以上の相数であると、上側巻線8uと下側巻線8dとへの出力電圧を制御して可動子6の偏心や傾きを制御できる。
シリンダブロック1は、結果的にピストンを位置決めする効果を成す。したがって、並列になっている相がシリンダブロック1から遠くに位置すると、偏心量または傾きの検出精度向上という効果が得られる。例えば、2つの巻線8が並列接続する電機子を、N個の電機子のうち、シリンダブロック1からX(≧2)番目に近い位置にしたり、好ましくは最も遠い位置にできる。
図31は、リニアモータ104又は密閉型圧縮機50を搭載した機器の一例である冷蔵庫60の縦断面図である。密閉形圧縮機50はリニアモータ104を容器内に有している。冷蔵庫60はさらに冷却器66を備え、例えば冷媒R600aを用いた冷凍サイクルを搭載している。冷蔵室62、上段冷凍室63、下段冷凍室64、野菜室65からなる庫内空間は、密閉形圧縮機50の駆動により冷凍サイクル(不図示)を動作させることにより冷却される。
リニアモータ104又は密閉型圧縮機50を搭載可能な機器は冷蔵庫に限られず、ルームエアコンや冷凍機等の冷凍空調機器をはじめとする各種の機器に適用できる。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手続き等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成や機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。
1…シリンダブロック
1a…シリンダ
2…永久磁石
3…密閉容器
4…ピストン
6…可動子
7…磁極
7e…磁極歯をつなぐ鉄心
8…巻線
9…電機子(電機子,推力供給部,浮上力供給部)
16…シリンダヘッド
17…ヘッドカバー
20…圧縮要素
22…トップパッキン
23…共振ばね
24…ガイドロッド
25…エンドフレーム
30…電動要素
40…吐出弁装置
49…支持ばね
50…密閉型圧縮機
70…磁極歯
100…リニアモータシステム
101リニアモータ駆動装置
102…制御部
104…リニアモータ
105…電力変換回路(電力変換部)
121…3相インバータ
122…スイッチング素子
125…シャント抵抗(電流検出部)
126…フルブリッジ回路
131…電圧振幅作成器
132…交流電圧指令値作成器
135…偏心/傾き検出器

Claims (10)

  1. スイッチング素子を直列に接続した第一、第二及び第三上下アームを備える電力変換部と、
    該電力変換部の出力を受ける第一巻線及び第二巻線を有する電機子と、
    永久磁石を有する可動子と、を備え、
    前記可動子は、前記第一巻線及び前記第二巻線が生ずる磁束に応じて、前記電機子に対して第一の方向に相対移動可能であり、
    前記第一巻線及び前記第二巻線は、第二の方向に空隙を介して対向し、前記可動子の一方側及び他方側それぞれに位置するモータシステムであって、
    前記電力変換部は、前記第一巻線及び前記第二巻線それぞれへの出力を独立して制御可能なことを特徴とするモータシステム。
  2. 前記電力変換部は、
    交流電圧又は交流電流を出力して、第一の方向の力である推力を前記可動子に付与し、
    前記第一巻線及び前記第二巻線の一方又は両方への出力電圧又は出力電流の大きさの制御を通じて、前記可動子に付与する第二の方向の力である磁気浮上力を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータシステム。
  3. 前記第一巻線の一端を前記第一上下アームに電気的に接続し、
    前記第二巻線の一端を前記第二上下アームに電気的に接続し、
    前記第一巻線及び前記第二巻線の他端を前記第三上下アームに電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータシステム。
  4. 前記可動子に対して、前記第一巻線と同一側に位置する第三巻線と、
    前記可動子に対して、前記第二巻線と同一側に位置する第四巻線と、を有し、
    前記第一巻線の一端を前記第一上下アームに電気的に接続し、
    前記第二巻線の一端を前記第二上下アームに電気的に接続し、
    前記第三巻線の他端及び前記第四巻線の他端を前記第三上下アームに接続し、
    前記第一巻線の他端を前記第三巻線の一端に電気的に接続し、
    前記第二巻線の他端を前記第四巻線の一端に電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータシステム。
  5. 前記可動子に対して、前記第一巻線と同一側に位置する第三巻線と、
    前記可動子に対して、前記第二巻線と同一側に位置する第四巻線と、を有し、
    前記第一巻線の一端を前記第一上下アームに電気的に接続し、
    前記第三巻線の一端を前記第二上下アームに電気的に接続し、
    前記第二巻線の他端及び前記第四巻線の他端を前記第三上下アームに接続し、
    前記第一巻線の他端を前記第二巻線の一端に電気的に接続し、
    前記第三巻線の他端を前記第四巻線の一端に電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータシステム。
  6. 前記可動子に対して、前記第一巻線と同一側に位置する第三巻線と、
    前記可動子に対して、前記第二巻線と同一側に位置する第四巻線と、を有し、
    前記第一巻線の一端を前記第一上下アームに電気的に接続し、
    前記第三巻線の一端を前記第二上下アームに電気的に接続し、
    前記第二巻線の他端及び前記第四巻線の他端を前記第三上下アームに接続し
    前記第一巻線の他端を前記第四巻線の一端に電気的に接続し、
    前記第二巻線の他端を前記第三巻線の一端に電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータシステム。
  7. 前記第一巻線及び前記第二巻線に流れる電流それぞれ、又は前記第一巻線に流れる電流及び前記第二巻線に流れる電流の差を検出する電流検出部を有し、
    前記第一、第二及び第三上下アーム全ての上アーム又は下アームが同時にオンになっているタイミングで、前記電流検出部の検出値を取得することを特徴とする請求項1乃至6何れか一項に記載のモータシステム。
  8. 請求項4に記載のモータシステムを備える機器であって、
    前記可動子を支持する支持機構を前記可動子の一端側に設けたことを特徴とする機器。
  9. 請求項5に記載のモータシステムを備える機器であって、
    前記可動子の両端が自由端であることを特徴とする機器。
  10. スイッチング素子を直列に接続した第一及び第三上下アームを備える電力変換部と、
    永久磁石を有する可動子と、
    空隙を介して対向し、前記可動子の一方側及び他方側それぞれに設けた第一巻線及び第二巻線と、を備えるモータシステムであって、
    前記第一巻線に流れる電流及び前記第二巻線それぞれ、又は前記第一巻線に流れる電流及び前記第二巻線に流れる電流の差を検出する電流検出部と、
    前記可動子に対して、前記第一巻線の側又は前記第二巻線の側への力を付与する浮上力付与部と、を有し、
    前記電流検出部の検出量に応じて前記浮上力付与部の出力を制御することを特徴とするモータシステム。
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