JP2018155946A - 光波長変換部材、バックライト装置、および画像表示装置 - Google Patents

光波長変換部材、バックライト装置、および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】歩留まりを向上させることができ、かつ構造を簡略化することができる光波長変換部材、このような光波長変換シートを備えたバックライト装置、および画像変換装置を提供する。【解決手段】本発明の一の態様によれば、入光面11Aおよび出光面11Bを有する光学部材11と、光学部材11の入光面11A側に設けられ、かつ光波長変換粒子およびバインダ樹脂14を含む光波長変換層12と、を備え、光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子16と、樹脂粒子16に内包された量子ドット15とを含む第1の光波長変換粒子13、および光透過性のバリア粒子23と、バリア粒子23に内包された量子ドット15とを含む第2の光波長変換粒子22の少なくともいずれかである、光波長変換部材が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、光波長変換部材、バックライト装置、および画像表示装置に関する。
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネル等の透過型画像表示パネルの背面側に配置され、透過型画像表示パネルを照明するバックライト装置を備えている。
現在、色再現性を高めるために、量子ドットを含む光波長変換部材を画像表示装置に組み込むことが検討されている。量子ドットは、光(一次光)を吸収して異なる波長の光(二次光)を放出することができる。量子ドットが放出する光の波長は、主として量子ドットの粒子径に依存する。したがって、光波長変換部材が組み込まれた画像表示装置では、単一の波長域の光を投射する光源を用いながら、種々の色を再現することができる。例えば、青色光を発する光源を用いる場合、光波長変換部材が青色光を吸収して緑色光および赤色光を放出することもできる。このような光波長変換部材が組み込まれた画像表示装置は色純度に優れるので、優れた色再現性を有する。
光波長変換部材をバックライト装置に組み込む方式として、光源と導光板との間に光波長変換部材を組み込むオンエッジ方式がある(例えば、特許文献1参照)。量子ドットは水分や酸素によって劣化してしまい、発光効率が低下するおそれがあるので、現在、オンエッジ方式の光波長変換部材においては、量子ドットをガラスチューブに封入している。
特開2013−218953号公報
しかしながら、上記のように量子ドットをガラスチューブに封入する構造の光波長変換部材においては、ガラスチューブが破損しやすく、歩留まりが劣る。また、現在、光波長変換部材の構造を簡略化することが望まれている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、歩留まりを向上させることができ、かつ構造を簡略化することができる光波長変換部材、このような光波長変換シートを備えたバックライト装置、および画像変換装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を重ねたところ、量子ドットを、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子に内包させ、またはバリア粒子に内包させた場合には、量子ドットの劣化を抑制できるので、これによりガラスチューブ等の封入容器が不要になることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
本発明の一の態様によれば、入光面および出光面を有する光学部材と、前記光学部材の入光面側に設けられ、かつ光波長変換粒子およびバインダ樹脂を含む光波長変換層と、を備え、光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子と、前記樹脂粒子に内包された量子ドットとを含む第1の光波長変換粒子、および光透過性のバリア粒子と、前記バリア粒子に内包された量子ドットとを含む第2の光波長変換粒子の少なくともいずれかである、光波長変換部材が提供される。
上記光波長変換部材において、前記光波長変換層が前記光学部材の前記入光面に接し、かつ前記バインダ樹脂の屈折率が、前記光学部材の屈折率とは異なっていてもよい。
上記光波長変換部材において、前記光波長変換層と前記光学部材の前記入光面との間に設けられ、前記光波長変換層および前記入光面に接し、かつ前記バインダ樹脂の屈折率および前記光学部材の屈折率とは異なる光透過層をさらに備えていてもよい。
上記光波長変換部材において、前記光学部材の前記入光面が、前記出光面と前記出光面とは反対側の裏面との間に位置する側面であり、前記光学部材の前記出光面が、前記入光面側に凹凸形状を有していてもよい。
上記光波長変換部材において、前記光学部材が、導光板であってもよい。
上記光波長変換部材において、前記第1の光波長変換粒子が、前記樹脂粒子の表面を覆う被覆層をさらに備えていてもよい。
上記光波長変換部材において、前記被覆層が、水分および酸素の透過を抑制するバリア層であってもよい。
上記光波長変換部材において、前記バリア粒子が、無機酸化物粒子であってもよい。
上記光波長変換部材において、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m・24h)以上および23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm/(m・24h・atm)以上の少なくともいずれかを満たしていてもよい。
本発明の他の態様によれば、光源と、前記光源からの光を受ける上記光波長変換部材と、を備え、前記光波長変換層が、前記光学部材よりも前記光源側に位置している、バックライト装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記バックライト装置と、前記バックライト装置の出光側に配置された表示パネルとを備える、画像表示装置が提供される。
本発明の一の態様によれば、歩留まりを向上させることができ、また構造を簡略化することができる光波長変換部材を得ることができる。本発明の他の態様によれば、このような光波長変換部材を備えたバックライト装置、および画像表示装置を提供することができる。
実施形態に係る光波長変換部材の概略構成図である。 図1の光波長変換部材の一部拡大図である。 図1の光波長変換部材の光線追跡図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 図4の光波長変換部材の一部拡大図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 図6の光波長変換部材の光線追跡図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 図8の光波長変換部材の光線追跡図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図である。 実施形態に係る光波長変換部材の製造工程を模式的に示す図である。 実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図である。 図14に示されるレンズシートの斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る光波長変換部材、バックライト装置、および画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る光波長変換部材の概略構成図であり、図2は図1の光波長変換部材の一部拡大図であり、図3は図1の光波長変換部材の光線追跡図である。図4、図6、図8、図10〜図12は、本実施形態に係る他の光波長変換部材の概略構成図であり、図5は、図4の光波長変換部材の一部拡大図であり、図7は、図6の光波長変換部材の光線追跡図であり、図9は、図8の光波長変換部材の光線追跡図であり、図13は、本実施形態に係る光波長変換部材の製造工程を模式的に示す図である。
<<<<光波長変換部材>>>>
図1に示される光波長変換部材10は、入光面11Aおよび出光面11Bを有する光学部材11と、光学部材11の入光面11A側に設けられた光波長変換層12とを備えている。図1に示される光波長変換層12は、光学部材11の入光面11Aに接しているが、光波長変換層と光学部材の入光面との間には光透過性を有する光透過層が介在していてもよい。
光波長変換部材10においては、後述する樹脂粒子16によって量子ドット15の劣化を抑制できるため、任意箇所での、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)が0.1g/(m・24h)以上となっていてもよい。水蒸気透過率はJIS K7129:2008に準拠した手法で得られる数値である。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。水蒸気透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
光波長変換部材10においては、後述する樹脂粒子16によって量子ドット15の劣化を抑制できるため、任意箇所での、23℃、相対湿度90%での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)が0.1cm/(m・24h・atm)以上となっていてもよい。光波長変換部材10は、上記水蒸気透過率および上記酸素透過率を同時に満たすものであってもよい。酸素透過率はJIS K7126:2006に準拠した手法で得られる数値である。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。酸素透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
光波長変換部材10における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m・24h)以上となっていてもよく、また光波長変換部材10における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm/(m・24h・atm)以上となっていてもよい。
<<<光学部材>>>
本明細書における「光学部材」とは、入光面および出光面を有し、かつ光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性など)を有する部材を意味し、光学的特性を有するシート(フィルム)状または板状の部材であれば、特に限定されない。光学部材としては、導光板、レンズシート、光拡散板、反射型偏光分離シート、偏光板等が挙げられる。本実施形態においては、光学部材11が導光板である場合について説明する。
導光板としての光学部材11は、平面視の形状が四角形形状に形成されている。光学部材11は、一方の主面が出光面11Bとなっており、出光面11Bとは反対側の主面が裏面11Cとなっており、出光面11Bおよび裏面11Cの間の2つの側面のうち一方の側面が入光面11Aとなっている。入光面11Aから光学部材11内に入射した光は、入光面11Aと、入光面11とは反対側の側面11Dとを結ぶ方向(導光方向)に光学部材11内を導光され、出光面11Bから出射される。
<<<光波長変換層>>>
光波長変換層12は、第1の光波長変換粒子としての光波長変換粒子13と、バインダ樹脂14とを含んでいる。光波長変換粒子13は、入射する光の波長を他の波長に変換する粒子である。光波長変換層12は、入射する全部の光の波長を他の波長に変換してもよいが、入射する光のうち一部の光の波長を他の波長に変換してもよい。光波長変換層12は、光波長変換粒子13およびバインダ樹脂14の他、後述する第2の光波長変換粒子としての光波長変換粒子22や光散乱性粒子を含んでいてもよい。
光波長変換層12の膜厚は、200μm以上5mm以下となっていることが好ましい。光波長変換層12の膜厚がこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および小型化に適している。光波長変換層12の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換層12の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換層12の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。光波長変換層12の平均膜厚の上限は3mm未満であることがより好ましい。
図1に示される光波長変換層12は光学部材11の入光面11Aに接しているが、この場合、バインダ樹脂14の屈折率は、光学部材11の屈折率とは異なるものであることが好ましい。具体的には、バインダ樹脂14と光学部材11の屈折率差の絶対値は、0.1以上0.2以下であってもよい。バインダ樹脂14の屈折率は、光学部材11の屈折率と異なっていれば、光学部材11の屈折率よりも大きくてもよいが、光学部材11の屈折率よりも小さい場合には、光漏れが少なくなり、観察者側に出射する光の割合が増えるので、バインダ樹脂14の屈折率は、光学部材11の屈折率よりも小さい方が好ましい。
量子ドットは、等方的に発光するので、様々な方向に光が放射される。ここで、バインダ樹脂の屈折率が光学部材の屈折率と同じ場合、量子ドット15によって波長変換され、かつ出光面11Bに向かう斜め方向の光は、図3(A)に示されるように光波長変換層12と光学部材13の界面で屈折しないので、出光面11Bに対する入射角が臨界角より小さい場合には、光学部材11の出光面11Bから出射して、漏れ光となってしまうおそれがある。これに対し、バインダ樹脂14の屈折率が光学部材11の屈折率よりも小さい場合には、量子ドット15によって波長変換され、かつ出光面11Bに向かう方向の斜めの光は、図3(B)に示されるように光波長変換層12と光学部材11の界面で屈折するので、出光面11Bに対する入射角が大きくなり、出光面11Bで全反射させることができ、これにより漏れ光を低減させることができる。一方、バインダ樹脂14の屈折率が光学部材11の屈折率よりも大きい場合には、量子ドット15によって波長変換され、かつ出光面11Bに向かう方向の斜めの光は、図3(C)に示されるように入射角が臨界角よりも大きい場合には、光波長変換層12と光学部材11の界面で反射され、光源側に向かう方向の光になり、光源の反射部材等によって反射されて、光波長変換層12を介して光学部材11に入射させることができる。
バインダ樹脂14の屈折率は、例えば、光波長変換層12中からバインダ樹脂14の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法によりバインダ樹脂14の屈折率をそれぞれ測定し、測定したバインダ樹脂14の屈折率の10個の平均値として求めることができる。ベッケ法とは、屈折率が既知の屈折率標準液を用い、上記欠片をスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に屈折率標準液を滴下し、屈折率標準液で欠片を浸漬し、その様子を顕微鏡観察によって観察し、バインダ樹脂や光散乱性粒子の表面と屈折率標準液の屈折率が異なることによってバインダ樹脂や光散乱性粒子の表面に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる屈折率標準液の屈折率を、バインダ樹脂とする方法である。光学部材11の屈折率も、バインダ樹脂14と同様の方法にもって求めることができる。
<<光波長変換粒子>>
光波長変換粒子13は、図2に示されるように、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素(以下、この元素を「特定の元素」と称する。)およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子16と、樹脂粒子16に内包された1以上の量子ドット15とを含む。図2に示される光波長変換粒子13は、樹脂粒子16の表面を覆う被覆層17をさらに備えている。光波長変換粒子13は、量子ドット15および樹脂粒子16を備えていれば、被覆層17を備えていなくともよい。
光波長変換粒子13においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子13中の特定の元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。特定の元素の含有量が0.5質量%以上であれば、量子ドット15の劣化をより抑制できる。特定の元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。特定の元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とする。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子13中の特定の元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、特定の元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。特定の元素の含有量が20質量%以下であれば、光波長変換粒子の形成時に充分な硬化を行うことができる。なお、光波長変換粒子が2種以上の特定の元素を含む場合には、上記含有量は特定の元素の合計の含有量を意味するものとする。
光波長変換粒子13の平均粒子径は、量子ドット15の平均粒子径の2倍以上であることが好ましい。光波長変換粒子13の平均粒子径が、量子ドット15の平均粒子径の2倍以上であると、量子ドット15からの光波長変換粒子1の表面までの距離を充分に確保できるので、水分や酸素による量子ドット15の劣化をより抑制できる。光波長変換粒子13の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)による光波長変換粒子の観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることができる。また、量子ドット15の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡による光波長変換粒子の断面観察において量子ドット20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることができる。
光波長変換粒子13の平均粒子径は、10nm以上100μm以下であることが好ましい。光波長変換粒子の平均粒子径が、10nm以上であれば、量子ドットの劣化をより抑制でき、また100μm以下であれば、分散性の悪化や光波長変換部材の加工時に欠点となることもない。光波長変換粒子13の平均粒子径の下限は、20nm以上であることが好ましく、光波長変換粒子13の平均粒子径の上限は30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
光波長変換粒子13の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光波長変換粒子13の粒子径は、光波長変換粒子1の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光波長変換粒子13は、1個あたり1個以上の量子ドット15を含んでいることが好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個以上であれば、輝度が低くなることもない。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することにより求めるものとする。
光波長変換粒子13は、1個あたり2個以上の量子ドット15を含んでおり、かつ1個の光波長変換粒子13に含まれる量子ドット15における量子ドット15間の平均距離が1nm以上であることが好ましい。量子ドット間の平均距離が1nm以上であれば、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれもない。量子ドット間の平均距離は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から量子ドット間の距離を算出し、算出した量子ドット間の距離の平均値を算出することにより求めるものとする。量子ドット15間の平均距離の上限は100nm以下であることがより好ましい。
<量子ドット>
量子ドット15は、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有するナノサイズの半導体粒子である。量子ドット15の粒子径および平均粒子径は、例えば、1nm以上20nm以下となっている。量子ドット15は、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドット15のエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドット15の粒子径又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドット15は、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。
具体的には、量子ドット15は粒子径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドット15の発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドット15の粒子径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドットが後述するCdSe/ZnSから構成されている場合には、量子ドットの粒子径が2.0nm以上4.0nm以下の場合は青色光を発し、量子ドットの粒子径が3.0nm以上6.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドットの粒子径が4.5nm以上10.0nm以下の場合は赤色光を発する。本明細書における「青色光」とは、380nm以上480nm未満の波長域を有する光であり、「緑色光」とは、480nm以上590nm未満の波長域を有する光であり、「赤色光」とは、590nm以上750nm以下の波長域を有する光である。また、上記各光の光強度は、分光放射輝度計(例えば、製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて測定することができる。なお、上記においては、青色光を発する量子ドットの粒子径と緑色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しており、また緑色光を発する量子ドットの粒子径と赤色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しているが、同じ粒子径を有する量子ドットであっても、量子ドットのコアの大きさによっても発光色が異なる場合があるので、何ら矛盾するものではない。
量子ドット15としては、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒子径または材料等が異なることにより、それぞれ単独の波長域の発光帯を有する2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。例えば、青色光を発する光源を用いる場合には、青色光を緑色光に変換する量子ドットと、青色光を赤色光に変換する量子ドットを用いてもよく、また、紫外光を発する光源を用いる場合には、紫外光を青色光に変換する量子ドット、紫外光を緑色光に変換する量子ドットと、紫外光を赤色光に変換する量子ドットを用いてもよい。図2に示される量子ドット15は、第1の量子ドット15Aと、第1の量子ドット15Aとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドット15Bとを含んでいる。
量子ドット15は、所望の狭い波長域で強い蛍光を発生することができる。このため、光波長変換シートを用いたバックライト装置は、色純度の優れた三原色の光で、表示パネルを照明することができる。この場合、表示パネルは、優れた色再現性を有することになる。
量子ドット15は、例えば、第1の半導体化合物からなるコアと、およびこのコアを覆い、かつ第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、シェルの表面に結合したリガンドとから構成されている。
コアを構成する第1の半導体化合物としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶が挙げられる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。これらの中でも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒子径の制御性等の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
シェルを構成する第2の半導体化合物としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを構成する第1の半導体化合物よりもバンドギャップの高い半導体化合物を用いることが好ましい。これにより、量子ドットの発光効率を高めることができる。シェルを構成する第2の半導体化合物としては、例えば、ZnS、ZnSe、CdS、GaN、CdSSe、ZnSeTe、AlP、ZnSTe、ZnSSe等が挙げられる。
コアとシェルからなるコアシェル構造(コア/シェル)の具体的な組み合わせとしては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InP/ZnSSe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
リガンドは、不安定な量子ドットを安定化させるためのものである。リガンドとしては、チオール等の硫黄系化合物、ホスフィン系化合物またはホスフィン酸化物等のリン系化合物、アミン等の窒素系化合物、カルボキシル基含有化合物等が挙げられる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒子径は、量子ドットの形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットの粒子径、平均粒子径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡により得ることができる。また、量子ドットは粒子径によって発光色が変化するので、量子ドットの発光色の確認から量子ドットの粒子径を求めることも可能である。また、量子ドットの結晶構造、結晶子サイズについては、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒子径等に関する情報を得ることもできる。
<樹脂粒子>
樹脂粒子16は、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むものである。樹脂粒子16は、2種以上の特定の元素を含んでいてもよく、また特定の元素とカルボン酸の両方を含んでいてもよい。特定の元素やカルボン酸は、樹脂粒子16中に固定されていなくともよいが、特定の元素やカルボン酸の溶出を防ぐ観点から、樹脂粒子16を構成する樹脂との結合によって樹脂粒子16中に固定されていることが好ましい。樹脂粒子16を構成する樹脂に特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを固定する場合には、特定の元素を含む化合物(以下、この化合物を「特定の化合物」と称する。)およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基を有することが好ましい。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基、エポキシ基、イソシアネート基、または水酸基が挙げられる。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基としてイソシアネート基を含む場合、樹脂粒子16を構成する樹脂の形成に用いられる重合性化合物は水酸基を含み、また特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが、重合性官能基として水酸基を含む場合、樹脂粒子16を構成する樹脂の形成に用いられる重合性化合物はイソシアネート基を含むことが好ましい。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが重合性官能基を含むことにより、重合性化合物と重合し、樹脂粒子16中に特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを固定することができる。特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかが重合性官能基を含む場合、特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれかは重合性官能基を1以上含んでいればよいが、2以上含んでいてもよい。
樹脂粒子16が、特定の元素やカルボン酸を含んでいるか否かは、以下のようにして確認することができる。まず、後述するように量子ドットのシェルの表面には、硫黄系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、またはカルボキシル基含有化合物等からなるリガンドが結合しているので、光波長変換粒子から特定の元素やカルボン酸が検出された場合であっても、検出された特定の元素やカルボン酸は、樹脂粒子に含まれる特定の元素やカルボン酸であるとは限らない。一方で、量子ドットのリガンドはシェルの表面に結合しており、またリガンドの配位部位の大きさは通常1nm以内程度であるので、シェルの表面から3nm以上離れた位置には存在しない。したがって、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、X線光電子分光分析(XPS)やエネルギー分散型X線分析(EDS)によって特定の元素が検出されれば、または顕微赤外分光分析(IR)によってカルボン酸が検出されれば、樹脂粒子が特定の元素やカルボン酸を含んでいると判断できる。
樹脂粒子16は、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかと、重合性化合物とを含む混合物の硬化物の粒子である。特定の元素は、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素であるが、特定の元素を組み込む場合には、特定の化合物を用いることが好ましい。特定の化合物としては、例えば、硫黄系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(硫黄系化合物)
硫黄系化合物は、硫黄を含む化合物である。硫黄系化合物としては、特に限定されないが、チオール化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物、チオフェン化合物等が挙げられる。硫黄化合物として、チオール化合物を用いた場合には、樹脂粒子中においては、チオール化合物と重合性化合物は、チオール−エン反応により共重合体を形成していることが好ましい。チオールと重合性化合物が共重合することにより、チオール化合物を樹脂粒子中に固定することができる。なお、本実施形態では、チオール化合物と重合性化合物は別々の化合物であるが、1分子中にチオール基とラジカル重合性官能基を有するチオール化合物を用いてもよい。チオール化合物を用いる場合には、塗工時のポットライフや臭気抑制の観点から、特に2級チオール化合物または3級チオール化合物を用いるのが好ましい。
2級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に2つの炭化水素基が結合している化合物をいう。3級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に3つの炭化水素基が結合している化合物をいう。2級チオール化合物および3級チオール化合物においては、1分子中にチオール基が1以上であればよいが、量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、2以上であることが好ましい。
2級チオール化合物または3級チオール化合物としては、特に限定されないが、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 2018155946
式中、Rは置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Rは置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、Rは炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のn価の脂肪族基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜30の整数である。
のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
のアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。Rのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。
のアルキル基やRのアルキレン基が置換されている場合、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびフェニル基等から選択される基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が挙げられる。
のアルキル基中またはRのアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−N=CH−および−CH=CH−からなる群から選択された少なくとも1つの基で置換されていてもよい(式中、Rはそれぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
の脂肪族基に含まれても良い炭素原子以外の原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
これらのうち、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、Rが置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Rが置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、Rが炭素原子数1〜10の脂肪族基であり、mが1〜10であり、nが1〜15である2級チオール化合物が好ましい。ここでのRのアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基も、上記と同様の基によって置換されていてもよい。
2級チオール化合物の具体例としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。3級チオール化合物の具体例としては、tert−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
(リン系化合物)
リン系化合物は、リンを含む化合物である。リン系化合物としては、特に限定されないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、およびホスフィン系化合物が挙げられる。これらの中でも、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、下記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
Figure 2018155946
式中、qは0または1の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、水酸基、置換されていてもよい炭素原子数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいビフェニル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよいフェノキシ基、または置換されていてもよい複素環基、または水酸基を表す。
〜Rのいずれかが置換基を有している場合、置換基としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、または複素環基等が挙げられる。
複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、ピラジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピロール基、ピラゾリル基、またはテトラゾリル基が挙げられる。
リン化合物としては、具体的には、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ブチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、アシッドホスフォキシエチルメタクリレート、ジブチルホスフェート、ジメチルビニルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルハイドロゼンホスファイト、ジオレイルハイドロゼンホスファイト等が挙げられる。
(窒素系化合物)
窒素系化合物は、窒素を含む化合物である。窒素系化合物としては、特に限定されないが、光波長変換粒子の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、アミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物および3級アミン化合物、ジアミン化合物のいずれであってもよい。
アミン化合物としては、具体的には、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、オレイルプロピレンジアミン等が挙げられる。
(カルボン酸)
カルボン酸は、カルボキシル基を少なくとも1以上含む化合物である。カルボン酸は、カルボキシル基を2以上含んでいてもよく、また重合性官能基を含んでいてもよい。
上記カルボン酸の重量平均分子量は、揮発性し難く、分散性に優れ、また作業性が容易である観点から、150以上50000以下であることが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。上記カルボン酸の重量平均分子量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸のカルボキシル基当量(重量平均分子量/カルボキシル基数)は、量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、150以上50000以下であることが好ましい。上記カルボン酸のカルボキシル基当量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸の具体例としては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ペンタエリスリトールとアクリル酸の反応物と無水コハク酸の反応物、3−ブテン酸、10−ウンデセン酸、n−オクタン酸、ステアリン酸、アジピン酸、ドデカニン酸、4,4‘−ジカルボキシジフェニルエーテル、オクタデカンニ酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂粒子16を構成する樹脂中へのカルボン酸の固定および量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートや2−アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましい。
(重合性化合物)
重合性化合物(硬化性化合物)は、重合可能な化合物であり、例えば、電離放射線重合性化合物(電離放射線硬化性化合物)や熱重合性化合物(熱硬化性化合物)が挙げられる。本明細書における電離放射線としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物は、分子内に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーがより好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光波長変換部材の外観が悪化するおそれがある。このため、重量平均分子量が8万を超える電離放射線重合性プレポリマーを用いている場合には、上記重合性モノマーや上記重合性オリゴマーを混合して用いることが好ましい。多官能重合性プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物は、分子内に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。熱重合性官能基としては、例えば、エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
エポキシ化合物は、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、ノボラックフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、これらの変性物等の芳香族系、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレンオキサイド等の脂肪族系が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等の脂肪族系エポキシ化合物、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の分子内に1個以上のエポキシ基と1個以上のエステル基を含有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
<被覆層>
被覆層17は、樹脂粒子16の表面を被覆するものである。被覆層17は、容易に樹脂粒子3の表面全体を覆うことができる点から、コート層であることが好ましい。被覆層4の機能は、特に限定されないが、例えば、被覆層17は、樹脂粒子の形状保持機能、樹脂粒子中の成分の粒子外への溶出防止機能、樹脂粒子内への分散液や組成物中の成分の浸透防止機能、酸素や水蒸気に対するバリア性付与機能、樹脂粒子に入射する励起光の反射防止機能、および分散液や組成物としたときの樹脂粒子分散性付与機能の少なくともいずれかの機能を有する。
被覆層17の膜厚は、被覆層17が発揮する機能にもよるが、製造のしやすさおよび樹脂粒子を適度な大きさとする観点から、10nm以上5000nm以下となっていることが好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましい。特に被覆層17がバリア性付与機能を発揮する場合には、バリア性を保ちつつ、被覆層のクラック等を防止する観点から被覆層17の膜厚は50nm以上1000nm以下となっていることがより好ましい。また、被覆層17が反射防止機能を発揮し、かつ屈折率が後述するバインダ樹脂<被覆層<樹脂粒子の関係またはバインダ樹脂>被覆層>樹脂粒子の関係を満たす場合には、光波長変換粒子13表面での反射を抑制し、励起光を効率よく樹脂粒子16内に取り込む観点から被覆層17の膜厚は50nm以上300nm以下となっていることがより好ましい。被覆層17の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換粒子13の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換粒子13の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
被覆層17の機能にもよるが、被覆層17が樹脂粒子の形状保持機能を有する場合には、被覆層17は、例えば、重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが可能である。重合性化合物は、樹脂粒子16の形成に用いる重合性化合物と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。これらの中でも、樹脂粒子と被覆層の密着性向上の観点から、例えば、樹脂粒子を電離放射線重合性化合物から形成する場合には電離放射線重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが好ましく、樹脂粒子を熱重合性化合物で形成する場合には熱重合性化合物を含む被覆層用組成物を用いて形成することが好ましい。
被覆層17として、水分や酸素の透過を抑制するバリア層を形成する場合には、バリア層の構成材料としては、例えば、無機酸化物が挙げられる。具体的には、上記無機酸化物としては、例えば、シリカ等の酸化ケイ素(SiO)、アルミナ等の酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiO)等が挙げられ、これらの中でも、酸素や水蒸気の透過性が低いという観点からガラス等のシリカまたはアルミナが好ましい。これらの材料は、単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、酸化物半導体を除く無機酸化物を用いることも可能である。
バリア層は、バインダ樹脂14との密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤で表面修飾されていることが好ましい。シランカップリング剤としては、硬化後にバインダ樹脂14となる重合性化合物の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、重合性化合物としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
光波長変換粒子の表面が樹脂粒子の表面である場合、光波長変換層用組成物において光波長変換粒子は凝集しやすいので、分散性に劣るおそれがあるが、光波長変換粒子の表面がバリア層の表面である場合、光波長変換層用組成物中において光波長変換粒子は凝集しにくいので、分散性を向上させることができる。
光波長変換粒子13は、例えば、以下の方法によって作製することができる。まず、量子ドット、上記特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれか、および上記重合性化合物を含む光波長変換粒子用組成物を硬化させて、光波長変換粒子用組成物の硬化物を得る。そして、この硬化物を、例えば、ビーズミルによって、粉砕する。これにより、表面が樹脂粒子の表面となった光波長変換粒子を得ることができる。光波長変換粒子用組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。なお、被覆層を備える光波長変換粒子は、上記樹脂粒子の表面に被覆層を形成することによって、得ることができる。
光波長変換粒子13は、以下の方法によっても作製することもできる。まず、量子ドット、上記特定の化合物およびカルボン酸の少なくともいずれか、および上記重合性化合物を含む光波長変換粒子用組成物を、水等の貧溶媒中で粒状に分散させる。そして、光波長変換粒子用組成物を粒状に分散させた状態で、光波長変換粒子用組成物中の重合性化合物を、例えば懸濁重合または乳化重合などによって重合させて、表面が樹脂粒子の表面となった光波長変換粒子を得ることができる。「貧溶媒」とは、光波長変換粒子用組成物がほぼ溶解しない溶媒を意味し、水等の極性溶媒が挙げられる。光波長変換粒子用組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。なお、この場合も、被覆層を備える光波長変換粒子は、上記と同様に上記樹脂粒子の表面に被覆層を形成することによって、得ることができる。
上記樹脂粒子の表面に被覆層としてバリア層を形成する場合、バリア層はゾルゲル法を用いて作製することができる。具体的には、まず、樹脂粒子に、適量の例えばテトラエトキシシラン等の金属アルコキシド(1)を添加して、適度に加水分解させることで、樹脂粒子の表面を金属アルコキシド(1)の加水分解物で置換する。このような液体を有機溶剤Aとする。一方で、水溶液中に例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド(2)を分散させ、部分的に加水分解することで水溶液Bを得る。ここで、金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解速度が遅いものを選択する。そして、有機溶液Aと水溶液Bを混合することで、金属アルコキシド(1)が覆われた樹脂粒子の表面にさらに金属アルコキシド(2)の層が形成される。樹脂粒子は、水相に沈殿する。表面付近にある金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解の速度が遅いので、水相に沈殿したときに樹脂粒子の表面のアルコキシドが一気に脱水縮合し、大きな塊となることを防ぐ。水相中の樹脂粒子にさらにシリカガラス層等の無機酸化物層を堆積させる。これは、通常のストーバー法により、アルカリ性領域でわずかな量の金属アルコキシド(3)を、大量の水とアルコールで加水分解し、核となる樹脂粒子に堆積させることで行える。これにより、バリア層を形成することができる。
<<バインダ樹脂>>
バインダ樹脂14としては、特に限定されないが、重合性化合物の硬化物(重合物、架橋物)が挙げられる。重合性化合物としては、樹脂粒子の欄で説明した重合性化合と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<光散乱性粒子>>
光散乱性粒子は、光波長変換層に進入した光を散乱させることによって光の進行方向を変化させる作用を有する粒子である。
光散乱性粒子の平均粒子径は、量子ドットの平均粒子径の20倍以上2000倍以下であることが好ましく、50倍以上1000倍以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の20倍以上であれば、光波長変換層において充分な光散乱性能を得ることができ、光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2000倍以下であれば、2000倍を超える場合よりも、添加量が同じ場合に光散乱性粒子の数が多くなるため、散乱点の数が多くなり、充分な光散乱効果を得ることができる。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドットの平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、光散乱性粒子の平均粒子径は、光波長変換層の平均膜厚の1/300以上1/20以下であることが好ましく、1/200以上1/30以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/300以上であれば、光波長変換層において充分な光散乱性能が得ることができ、光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/20以下であれば、1/20を超える場合よりも、添加量が同じ場合に、光波長変換層に対する光散乱性粒子の割合が多くなるため、散乱点の数が多く、充分な光散乱効果を得ることができる。
具体的には、光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、光波長変換部材の光波長変換効率が充分となる。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が10μm以下であれば、光散乱性粒子の平均粒子径が10μmを超える場合よりも、添加量(質量%)が同じ場合に光散乱粒子の数が多くなるため、散乱点の数が多くなり、充分な光散乱効果を得ることができる。
光散乱性粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光散乱性粒子の粒子径は、光散乱性粒子の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で表面処理されることによって、後述するバインダ樹脂と化学結合させることができる。
シランカップリング剤としては、用いる重合性化合物の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、チオール基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、チオール基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、重合性化合物としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、チオール基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
光散乱性粒子は、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、およびウレタン樹脂粒子等の有機粒子であってもよいが、耐熱性試験の前後における輝度変化率を小さくことができ、また光波長変換層への入射光を好適に散乱させることが可能となり、この入射光に対する光波長変換効率の向上を好適に図ることできることから、無機粒子が好ましい。
無機粒子は、Al等のアルミニウム含有化合物、ZrO等のジルコニウム含有化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)や酸化インジウムスズ(ITO)等のスズ含有化合物、MgOやMgF等のマグネシウム含有化合物、TiOやBaTiO等のチタン含有化合物、Sb等のアンチモン含有化合物、SiO等のケイ素含有化合物、およびZnO等の亜鉛含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、バインダ樹脂との屈折率差を大きくすることができるので、大きなミー散乱強度を得ることができる観点からも好ましい。光波長変換層による入射光に対する光波長変換効率の向上をより好適に図ることができることから、光散乱性粒子は、2種以上の材料からなるものであってもよい。
<<<<他の光波長変換部材>>>>
図1に示される光波長変換部材10においては、光波長変換粒子13を用いているが、光波長変換部材としては、光波長変換粒子13に代えて、または光波長変換粒子13とともに、量子ドットと、量子ドットを包み、かつ水分および酸素の透過を抑制する光透過性のバリア粒子とを含む光波長変換粒子を用いた光波長変換部材であってもよい。
図4に示される光波長変換部材20は、入光面11Aおよび出光面11Bを有する光学部材11と、光学部材11の入光面11A側に設けられた光波長変換層21とを備えている。なお、図4およびそれ以降の図面に示される部材のうち、図1に示される部材と同じ符号を付してあるものは、図1に示される部材と同様のものであるので、説明を省略するものとする。
<<<光波長変換層>>>
光波長変換層21は、図4に示されるように、第2の光波長変換粒子としての光波長変換粒子22と、バインダ樹脂14とを含んでいる。光波長変換層21は、光波長変換粒子22およびバインダ樹脂14の他、光散乱性粒子を含んでいてもよい。
<<光波長変換粒子>>
光波長変換粒子22も、入射する光の波長を他の波長に変換する粒子である。光波長変換粒子22は、図5に示されるように、水分および酸素の透過を抑制する光透過性のバリア粒子23と、バリア粒子23に内包された量子ドット15とを含んでいる。量子ドット15とバリア粒子23との間には空気層は存在せず、量子ドット15の表面はバリア粒子23に密着している。
光波長変換粒子22は、1個あたり1個以上50個以下の量子ドット15を含んでいることが好ましく、1個あたり1個以上40個以下または1個以上35個以下の量子ドット15を含んでいることがより好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個を下回ると、輝度が低くなるおそれがあり、また光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が50個を上回ると、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれがある。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することで求めることができる。
光波長変換粒子22の平均粒子径は、10nm以上500nm以下であることが好ましい。光波長変換粒子の平均粒子径が、10nm以上であれば、量子ドットに対し充分にバリア性を付与することができ、また500nm以下であれば、理由は定かではないがバリア粒子のバリア性が不安定になるおそれもない。光波長変換粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡による光波長変換シートの断面観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めることができる。光波長変換粒子22の平均粒子径の下限は、20nm以上であることが好ましく、光波長変換粒子22の平均粒子径の上限は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
<バリア粒子>
バリア粒子23は、量子ドット15を包み、光透過性を有し、かつ水分および酸素の透過を抑制するバリア性を有するものである。量子ドット15をバリア粒子23で包むことにより、量子ドット15が水分や酸素に接触することを抑制できるので、量子ドット15が水分や酸素によって劣化することを抑制できる。これにより、バリア層を設けなくとも量子ドット15の発光効率の低下を抑制できる。本明細書において、「光透過性」とは、光を透過させる性質を有することを意味し、「光透過性」には透明も含まれる。本発明においては量子ドットがバリア粒子で包まれているので、光波長変換シートから出射される量子ドットからの発光を確認することができれば、バリア粒子は光透過性を有すると言える。量子ドットの発光は蛍光光度計を用いて確認することができる。
バリア粒子23の形成材料としては、光透過性を有し、かつバリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、無機酸化物が挙げられる。具体的には、上記無機酸化物としては、例えば、シリカ等の酸化ケイ素(SiO)、アルミナ等の酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiO)等が挙げられ、これらの中でも、酸素や水蒸気の透過性が低いという観点からガラス等のシリカまたはアルミナが好ましい。これらの材料は、単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、酸化物半導体を除く無機酸化物を用いることも可能である。
量子ドット15がCdを含んでいる場合、量子ドット15に含まれるCdの溶出を防ぐために、バリア粒子23の厚み(量子ドットの表面からバリア粒子の外表面までの距離)が2nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましい。光波長変換粒子13の平均粒子径が50nm程度である場合には、バリア粒子23の厚みは10nm以上とすることも可能である。また、光波長変換粒子13の平均粒子径が100nm程度である場合には、バリア粒子23の厚みは20nm以上とすることも可能である。バリア粒子の厚みは、透過型電子顕微鏡観察において量子ドットを含まない外側の部分として容易に測定できる。バリア粒子の周縁の位置によって厚みが異なる場合には、バリア粒子周縁全体の平均によりバリア粒子の厚みとする。
バリア粒子23は、バインダ樹脂14との密着性を向上させる観点から、バインダ樹脂12と化学結合していることが好ましい。この化学結合は、シランカップリング剤で表面修飾されたバリア粒子23によって行うことが可能である。
シランカップリング剤としては、用いる硬化性バインダ樹脂前駆体の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。硬化性バインダ樹脂前駆体として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、硬化性バインダ樹脂前駆体としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
バリア粒子23をシランカップリング剤で表面処理する方法としては、バリア粒子23にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、バリア粒子23を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
光波長変換粒子22は、例えば、ゾルゲル法を用いて作製することができる(特許第5682069号参照)。具体的には、まず、量子ドットを用意し、量子ドットに、適量の例えばテトラエトキシシラン等の金属アルコキシド(1)を添加して、適度に加水分解させることで、量子ドットの表面を金属アルコキシド(1)の加水分解物で置換する。このような液体を有機溶剤Aとする。一方で、水溶液中に例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド(2)を分散させ、部分的に加水分解することで水溶液Bを得る。ここで、金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解速度が遅いものを選択する。そして、有機溶液Aと水溶液Bを混合することで、金属アルコキシド(1)が覆われた量子ドットの表面にさらに金属アルコキシド(2)の層が形成される。水に触れた量子ドットは、その表面の金属アルコキシドの加水分解が進むので親水性となり、水相に移動する。このとき、量子ドット同士が集合体を作る。表面付近にある金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解の速度が遅いので、水相に移動したときに量子ドットの表面のアルコキシドが一気に脱水縮合し、大きな塊となることを防ぐ。水相中の集合体にさらにシリカガラス層等の無機酸化物層を堆積させる。これは、通常のストーバー法により、アルカリ性領域でわずかな量の金属アルコキシド(3)を、大量の水とアルコールで加水分解し、核となる量子ドットの集合体に堆積させることで行える。これにより、光波長変換粒子22を得ることができる。
<<<<他の光波長変換部材>>>>
図1に示される光波長変換部材10においては、光波長変換層12が光学部材11の入光面11Aに接しているが、光波長変換部材としては、光波長変換層と光学部材の入光面との間に、光波長変換層および光学部材の屈折率とは異なる屈折率を有する光透過層を介在させた光波長変換部材であってもよい。
図6に示される光学部材30は、入光面11Aおよび出光面11Bを有する光学部材11と、光学部材11の入光面11A側に設けられた光波長変換層21と、光波長変換層12と光学部材11の入光面11Aとの間に設けられた光透過層31とを備えている。
<光透過層>
光透過層31は、光透過性を有する層である。光透過層31は、バインダ樹脂14の屈折率および光学部材11の屈折率とは異なる屈折率を有し、光波長変換層12および入光面11Aに接している。光透過層31とバインダ樹脂14や光透過層31と光学部材11の屈折率差の絶対値は、それぞれ0.1以上0.2以下であってもよい。光透過層31の屈折率は、バインダ樹脂14の屈折率や光学部材11の屈折率と異なっていれば、バインダ樹脂14の屈折率や光学部材11の屈折率よりも大きくてもよいが、バインダ樹脂14の屈折率および光学部材11の屈折率よりも小さい場合には、光漏れが少なくなり、観察者側に出射する光の割合が増えるので、光透過層31の屈折率は、バインダ樹脂14の屈折率および光学部材11の屈折率よりも小さい方が好ましい。光透過層31の屈折率は、バインダ樹脂14と同様の方法にもって求めることができる。
光透過層の屈折率が光学部材の屈折率と同じ場合、量子ドットによって波長変換され、かつ出光面側に向かう斜め方向の光は、光透過層と光学部材の界面で屈折しないので、出光面に対する入射角が臨界角より小さい場合には、光学部材の出光面から出射して、漏れ光となってしまうおそれがある。これに対し、光透過層31の屈折率が光学部材11の屈折率よりも小さくなっている場合には、図7(A)に示されるように、量子ドット15によって波長変換され、かつ出光面11Bに向かう方向の斜めの光は、光透過層31と光学部材11の界面で屈折し、出光面11Bに対する入射角が大きくなるので、出光面11Bで全反射させることができ、これにより漏れ光を低減させることができる。一方、光透過層31の屈折率がバインダ樹脂14の屈折率よりも小さくなっている場合には、量子ドット15によって波長変換され、かつ光透過層31に向かう方向の斜めの光であって、入射角が臨界角よりも大きい光は、光波長変換層12と光透過層31の界面で反射され、光源側に向かう方向の光になり、光源の反射部材等によって反射されて、光波長変換層12および光透過層31を介して光学部材11に入射させることができる。
<<<<他の光波長変換部材>>>>
図1に示される光波長変換部材10においては、出光面11Bが平坦な光学部材11を用いているが、光波長変換部材は、出光面が凹凸形状を有する光学部材を備えた光波長変換部材であってもよい。
図8に示される光波長変換部材40は、入光面41Aおよび出光面41Bを有する光学部材41と、光学部材41の入光面41A側に設けられた光波長変換層12とを備えている。光学部材41の出光面41Bのうち入光面41側には、凹凸形状が形成されている。
凹凸形状は、断面が三角形状の1以上、好ましくは2以上の単位プリズム42から構成されている。単位プリズム42は、入光面41Cに沿う方向に線状に設けられている。単位プリズム42の高さhは、一定でとなっている。単位プリズムの幅pは、入光面41Aから入光面41Aとは反対側の側面41Cにかけて徐々に広くなっている。
光波長変換部材の屈折率が光学部材の屈折率と同じ場合、量子ドットによって波長変換され、かつ出光面側に向かう斜め方向の光は、光透過層と光学部材の界面で屈折しないので、出光面に対する入射角が臨界角より小さい場合には、光学部材の出光面から出射して、漏れ光となってしまうおそれがある。これに対し、図8に示される光学部材においては、光学部材41の出光面41Bのうち入光面41側には、凹凸形状が形成されているので、図9に示されるように、同じ角度の光であっても出光面が平坦面である場合に比べて出光面41Bに対する入射角が大きくなるので、凹凸形状によって全反射させることができる。これにより、漏れ光を低減させることができる。
図8においては、単位プリズムの幅pは、入光面41Aから入光面41Aとは反対側の側面41Cにかけて徐々に広くなっているが、図10に示されるように単位プリズム42の幅pは一定であってもよい。また、出光面41Aの全反射条件を改善する目的のために、図11に示されるように、単位プリズム42の深さdを変化させてよく、さらに、同様の目的のために、図12に示されるように、単位プリズム42の幅pを入光面41Aから入光面41Aとは反対側の側面41Cにかけて徐々に広くし、かつ単位プリズム42の高さを一定としながら、単位プリズム42の頂部が平坦面42Aとしてもよい。この場合、単位プリズム42は断面が台形状となる。また、光学部材41の出光面41Bとは反対側の背面にも、漏れ光を低減する観点から、凹凸形状を形成してもよい。
<<<光波長変換部材の製造方法>>>
光波長変換部材10は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、図13(A)に示されるように、光学部材11の入光面11Aに、光波長変換粒子13と、硬化後にバインダ樹脂となる重合性化合物とを含む光波長変換層用組成物をディスペンサー等の塗工装置(例えば、製品名「SHOT MINI 100S」、武蔵エンジニアリング社製)によって塗工して、乾燥させて、光波長変換層用組成物の塗膜18を形成する。光波長変換層用組成物は、光波長変換粒子および重合性化合物の他、光散乱性粒子、重合開始剤、溶剤等を含んでいてもよい。
光波長変換層用組成物の粘度は、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。光波長変換層用組成物の粘度が、10mPa・s未満であると、充分な膜厚を形成することが困難な場合があり、また10000mPa・sを超えると、光波長変換層用組成物を塗布する際に塗出が困難となり、レベリング性が悪くなるおそれがある。光波長変換層用組成物の粘度の下限は10mPa・s以上であることが好ましく、光波長変換層用組成物の粘度の上限は10000mPa・s以下であることが好ましい。
光波長変換層用組成物の全固形分質量に対する光波長変換粒子の含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光波長変換粒子の含有量が1質量%以上であれば、充分な発光強度が得られ、また、光波長変換粒子の含有量が40質量%以下であれば、製膜時の加工が容易となる。
光波長変換層用組成物の全固形分質量に対する重合性化合物の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上99質量%以下であることが好ましい。重合性化合物の含有量が30質量%以上であれば、光波長変換層用組成物を硬化させる際に充分な硬化性が得られる。なお、光波長変換層用組成物が電離放射線重合性化合物および熱重合性化合物の両方を含む場合には、上記含有量は電離放射線重合性化合物および熱重合性化合物の合計の含有量を意味するものとする。
<<重合開始剤>>
重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルやイオン種を発生させて重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。重合開始剤としては、光重合開始剤(例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤)、熱重合開始剤(例えば、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤)、またはこれらの混合物が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO(いずれもBASFジャパン社製)、NCI−930(ADEKA社製)、SPEEDCURE EMK(日本シーベルヘグナー社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。これらの中でも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の各種オニウム塩類等が挙げられる。上記熱カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(いずれもADEKA社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(いずれも三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)等が挙げられる。
光波長変換層用組成物中における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量が、0.3質量部以上であれば、重合性化合物が確実に硬化させることができ、また、5.0質量部以下であれば、光波長変換層が黄変するおそれもない。
<<溶剤>>
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコ−ル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられる。
塗膜18を形成した後、図13(B)に示されるように塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、重合性化合物を硬化させて、光学部材11の入光面11Aに光波長変換層12を形成する。これにより、図1に示される光波長変換部材10が得られる。
量子ドットが劣化しやすいのは、以下のことが原因であると考えられる。まず、上記したように、量子ドットの表面には硫黄系化合物やリン系化合物等からなるリガンドが配位しているが、このリガンドは光や熱で脱離しやすい。リガンドが量子ドットから脱離すると、量子ドットに水分や酸素が付着しやすくなるので、量子ドットは、酸化され、劣化してしまう。これにより、量子ドットが劣化してしまうものと考えられる。これに対し、本実施形態においては、光波長変換層12に、量子ドット15を包む樹脂粒子16が硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光波長変換粒子13を用いているので、量子ドット15の近傍に硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかを存在させることができ、これにより量子ドット15の劣化を抑制することができる。これは、リガンドが量子ドットから脱離した場合であっても、樹脂粒子16中に存在する硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかがリガンドの役割を補助するような機能(例えば、リガンドの代わりに量子ドットに結合して、リガンドを代替する機能および酸素を捕捉する機能の少なくともいずれかの機能)を発揮するためであると考えられる。また、光波長変換層21においては、量子ドット15を包むバリア粒子23を含む光波長変換粒子22を用いているので、バリア粒子23によって量子ドット15を水分や酸素から保護することができるので、量子ドット15の劣化を抑制することができる。いずれの場合も、量子ドット15の劣化を抑制できるので、オンエッジ方式においては、光波長変換粒子13、22をガラスチューブ等の容器に封入する必要がない。これにより、ガラスチューブにおける割れの問題も生じないので、歩留まりを向上させることができる。また、単に光波長変換層12、23を光学部材11の入光面11A側に設ければよいので、構造を簡略化することができる。
上述したように、本実施形態においては、量子ドット15を包む樹脂粒子16が硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むので、このような元素やカルボン酸を含まない樹脂粒子に比べて、量子ドット15の劣化を抑制することができるが、量子ドットの中には、量子ドットの表面の一部が樹脂粒子の表面に露出しているものも存在する。被覆層17が、水分や酸素の透過を抑制するバリア層である場合には、量子ドット15の一部が樹脂粒子16の表面に露出している場合であっても、バリア層によって樹脂粒子16から一部が露出している量子ドット15と水分や酸素との接触を抑制することができるので、量子ドット15の劣化をより抑制できる。
光波長変換部材10、20、30、40は、バックライト装置および画像表示装置に組み込んで使用することができる。以下、光波長変換部材10をバックライト装置および画像表示装置に組み込んだ例について説明する。なお、光波長変換部材20、30、40も下記と同様のバックライト装置および画像表示装置に組み込むことが可能である。図14は本実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図であり、図15は図14に示されるレンズシートの斜視図である。
<<<画像表示装置>>>
図14に示される画像表示装置50は、バックライト装置60と、バックライト装置60の出光側に配置された表示パネル90とを備えている。画像表示装置50は、画像を表示する表示面50Aを有している。図14に示される画像表示装置50においては、表示パネル90の表面が表示面50Aとなっている。
バックライト装置60は、表示パネル90を背面側から面状に照らすものである。表示パネル90は、バックライト装置60からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面60Aに像を表示するように構成されている。
<<表示パネル>>
図14に示される表示パネル90は、液晶表示パネルであり、入光側に配置された偏光板91と、出光側に配置された偏光板92と、偏光板91と偏光板92との間に配置された液晶セル93とを備えている。偏光板91、92は、入射した光を直交する二つの直線偏光成分(S偏光およびP偏光)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P偏光)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収する機能を有している。
<<バックライト装置>>
図14に示されるバックライト装置60は、エッジライト型のバックライト装置として構成され、光源65と、光源65の側方に配置された光波長変換部材10と、光波長変換部材10の出光側に配置されたレンズシート70と、レンズシート70の出光側に配置されたレンズシート75と、レンズシート75の出光側に配置された反射型偏光分離シート80と、光学部材11の裏面11Cに配置された反射シート85とを備えている。バックライト装置60は、レンズシート70、75、反射型偏光分離シート80、反射シート85を備えているが、これらのシート等は備えられていなくともよい。本明細書において、「出光側」とは、各部材においてバックライト装置から出射する方向に向かう光が出射される側を意味する。
バックライト装置60は、面状に光を発光する発光面60Aを有している。図14に示されるバックライト装置60においては、反射型偏光分離シート80の出光面がバックライト装置60の発光面60Aとなっている。
光波長変換部材10は、光波長変換層12側が光源65側となり、光学部材11の出光面11A側がレンズシート70側となるように配置されている。
<光源>
光源65は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の発光ダイオード(LED)や白熱電球等の発光体を備えている。本実施の形態において、光源65は、光波長変換部材10に沿って線状に並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。
バックライト装置60においては光波長変換部材10が配置されていることに伴い、光源65は、単一の波長域の光を放出する発光体のみを用いることができる。例えば、光源は、色純度の高い青色光を発する青色発光ダイオードのみを用いることができる。
<レンズシート>
レンズシート70、75は、入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させる機能を有する。本実施形態においては、入射角度が大きい光の進行方向を変化させて出光側から出射させて、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)とともに、入射角度が小さい光を反射させて、光学部材11側に戻す機能(再帰反射機能)を有している。レンズシート70、75は、光透過性基材71と、光透過性基材71の一方の面に設けられたレンズ層72とを備えている。
(光透過性基材)
光透過性基材71の構成材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン、またはシクロオレフィンポリマー(COP)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。光透過性基材71の構成材料としては、好ましくは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。
光透過性基材71は、単一の基材から構成されていてもよいが、複数の基材から構成される積層基材であってもよい。このような積層基材は、用途に応じて、同種の構成材料の層からなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成材料の層からなる複数の層から構成されていてもよい。
(レンズ層)
レンズ層72は、図15に示されるように、シート状の本体部73、および本体部73の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ74を備えている。
本体部73は、単位レンズ74を支持するシート状部材として機能する。図15に示されるように、本体部73上には、単位レンズ74が隙間をあけることなく並べられている。
図15に示されるように単位レンズ74は、単位レンズ74の配列方向ADと交差する方向に線状、とりわけ本実施の形態においては直線状に、延びている。また本実施の形態において、一つのレンズシート70、75に含まれる多数の単位レンズ74は、互いに平行に延びている。また、レンズシート70、75の単位レンズ74の長手方向LDは、レンズシート70、75における単位レンズ74の配列方向ADと直交している。
単位レンズ74は、三角柱状であってもよいし、波状や例えば半球状のような椀状であってもよい。具体的には、単位レンズとしては、単位プリズム、単位シリンドリカルレンズ、単位マイクロレンズ等が挙げられる。なお、そのような単位レンズ形状を有するレンズシートとしては、プリズムシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシート等が挙げられる。本実施形態では、単位レンズとして、出光側に向けて幅が狭くなる三角柱状の単位プリズムについて説明する。レンズシート70、75のシート面の法線方向および単位レンズ104の配列方向ADの両方に平行な断面(レンズシートの主切断面とも呼ぶ)の形状は、出光側に突出する三角形形状となっている。とりわけ、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、主切断面における単位レンズ74の断面形状は二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が出光側に突出するように、各単位レンズ74が構成されている。
単位レンズ74は、光の利用効率を向上させる観点から、80°以上100°以下の頂角を有することが好ましく、約90°の頂角を有することがより好ましい。ただし、レンズシートの巻き取りの際における単位レンズの先端の破損を考慮すると、単位レンズ74の先端は曲面であってもよい。
レンズシート70、75の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位レンズ74の具体例として、単位レンズ74の配列ピッチ(図示された例では、単位レンズ74の幅に相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位レンズ74の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位レンズ74の配列ピッチを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。また、レンズシート70、75のシート面への法線方向に沿った本体部73からの単位レンズ74の突出高さを5μm以上100μm以下とすることができる。さらに、単位レンズ74の頂角θを60°以上120°以下とすることができる。
図14から理解され得るように、レンズシート70の単位レンズ74の配列方向とレンズシート75の単位レンズ74の配列方向とは交差、さらに限定的には直交している。
<反射型偏光分離シート>
反射型偏光分離シート80は、レンズシート75から出射される光のうち、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光分離シート80で反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光分離シート80に入射する。よって、反射型偏光分離シート80は再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。このような過程を繰り返す事により、レンズシート75から出光した光の70〜80%程度が第1の直線偏光成分となった光源光として出光される。したがって、更なる光の利用効率の改善を期待することができる。
反射型偏光分離シート80としては、3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」やワイヤーグリッド偏光子等を、反射型偏光分離シート80として用いることができる。
<反射シート>
反射シート85は、光波長変換部材10の裏面11Cから漏れ出した光を反射して、再び光学部材11内に入射させる機能を有する。反射シート85は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。反射シート85での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート85での反射が拡散反射の場合には、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<光波長変換粒子の製造>
下記の手順に従って、光波長変換粒子を得た。
(光波長変換粒子1)
攪拌装置を有する重合容器内に、まず、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物1を調整し、そこに貧溶媒として、分散剤であるポリビニルアルコール10質量部をイオン交換水900質量部に溶解させたものを投入した。その後、撹拌装置によって攪拌速度400rpmで10分間攪拌して、光波長変換粒子用組成物1を貧溶媒中に液滴として微分散させた。続いて、攪拌装置による攪拌を攪拌速度400rpmで継続させ、光波長変換粒子用組成物1および貧溶媒を含む反応液の温度を50℃になるまで昇温し、反応液の温度が50℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行い、その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子1を得た。光波長変換粒子1においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子1の平均粒子径は3μmであった。光波長変換粒子1の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により20個の光波長変換粒子1の粒子径を測定し、その平均値を算出することによって求めた。なお、以下の光波長変換粒子2〜12の平均粒子径も、光波長変換粒子1と同様の方法と求めた。
(光波長変換粒子2)
光波長変換粒子1の樹脂粒子の表面にバリア層としてのシリカガラス層を形成して、光波長変換粒子2を得た。バリア層の形成は以下のようにして行われた。まず、光波長変換粒子1の表面をドデシルアミンで覆った後、トルエン(0.4mL)と混合した。次いで、この混合液にテトラエトキシシラン(TEOS、10μL)を添加し、3時間攪拌して、有機混合液1を作製した。一方で、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS、1μL)をエタノール(25mL)とアンモニア水(4mL、アンモニア濃度10wt%)に混合して水溶液2を作製した。そして、有機混合液1と水溶液2を混合し、3時間攪拌したところ、樹脂粒子は水相に沈殿した。この樹脂粒子を遠心分離によって取り出した。最後に、上記の樹脂粒子を含む水溶液0.5mLを取り出し、エタノール(8mL)とアンモニア水(0.1mL、25wt%)を加え、さらにTEOS(14μL)を添加した。これにより、光波長変換粒子1の樹脂粒子の表面を膜厚50nmのシリカガラス層で覆った光波長変換粒子2を得た。光波長変換粒子2の平均粒子径は3.1μmであった。
(光波長変換粒子3)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)90質量部、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製)10質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物2を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子3を得た。光波長変換粒子3においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子3の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子4)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、tert−ブチルメルカプタン50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物3を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子4を得た。光波長変換粒子4においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子4の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子5)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(製品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物4を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子5を得た。光波長変換粒子5においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子5の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子6)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、アシッドホスフォキシエチルメタクリレート(製品名「ホスマーM」、ユニケミカル株式会社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物5を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子6を得た。光波長変換粒子6においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子6の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子7)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ステアリルアミン(製品名「ファーミン80」、花王社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物6を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子7を得た。光波長変換粒子7においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子7の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子8)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ジステアリルアミン(製品名「ファーミンD86」、花王社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物7を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子8を得た。光波長変換粒子8においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子8の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子9)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(製品名「M−5300」、東亞合成社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物8を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子9を得た。光波長変換粒子9においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子9の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子10)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(製品名「NKエステル A−SA」、新中村化学工業社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物9を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子10を得た。光波長変換粒子10においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子10の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子11)
まず、0.2質量部の緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒子径3.3nm)および0.2質量部の赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒子径5.2nm)を用意した。緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットを用意した後、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットの表面をドデシルアミンで覆い、これらの量子ドットをトルエン溶液(0.4mL、1.5μM/L)に分散させた。次いで、この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS、10μL)を添加し、3時間攪拌して、有機溶液1を作製した。
一方で、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS、1μL)をエタノール(25mL)とアンモニア水(4mL、アンモニア濃度10wt%)に混合して水溶液2を作製した。
そして、有機溶液1と水溶液2を混合し、3時間攪拌したところ、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットは水相に移動し、さらに水相で緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットの集合体が形成された。この集合体を遠心分離によって取り出した。
最後に、上記の集合体が分散した水溶液0.5mLを取り出し、エタノール(8mL)とアンモニア水(0.1mL、25wt%)を加え、さらにTEOS(14μL)を添加した。これにより、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットからなる集合体がシリカガラスで包まれ、平均粒子径50nmの光波長変換粒子11を得た。
(光波長変換粒子12)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)100質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物10を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子12を得た。光波長変換粒子12においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子12の平均粒子径は12μmであった。
<光波長変換層用組成物の調整>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換層用組成物を得た。
(光波長変換層用組成物1)
・光波長変換粒子1:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物2)
・光波長変換粒子2:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物3)
・光波長変換粒子3:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物4)
・光波長変換粒子4:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物5)
・光波長変換粒子5:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物6)
・光波長変換粒子6:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物7)
・光波長変換粒子7:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物8)
・光波長変換粒子8:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物9)
・光波長変換粒子9:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物10)
・光波長変換粒子10:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物11)
・光波長変換粒子11:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物12)
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物13)
・光波長変換粒子12:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例1>
Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置の導光板の入光面に光波長変換層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して、塗膜を硬化させて、導光板の入光面に膜厚2mmの光波長変換層が形成された実施例1に係る光波長変換部材を得た。
<実施例2〜11および比較例1、2>
実施例2〜11および比較例1、2においては、光波長変換層用組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光波長変換部材を作製した。
<樹脂粒子中の特定の元素およびカルボン酸の確認>
光波長変換粒子1〜10および12において、樹脂粒子から上記特定の元素またはカルボン酸が検出されるか否か確認した。具体的には、光波長変換粒子1〜8、12においては、エネルギー分散型X線分析装置(製品名「JEM−2800」(100mmシリコンドリフト検出器(SDD)搭載)、日本電子社製)を用いて、加速電圧100kVおよび測定時間30秒の条件下で、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、硫黄元素、リン元素、および窒素元素の少なくともいずれかが検出されるか否か確認した。また、光波長変換粒子9、10、12においては、赤外顕微鏡(製品名「Nicolet iN10」、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、カルボン酸が検出されるか否か確認した。確認基準は以下の通りとした。
○:硫黄元素、リン元素、窒素元素およびカルボン酸のいずれかが検出された。
×:硫黄元素、リン元素、窒素元素およびカルボン酸のいずれも検出されなかった。
<特定の元素の含有量測定>
光波長変換粒子1〜8、12において、光波長変換粒子に含まれる特定の元素の含有量を、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いて測定した。特定の元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とした。
<水蒸気透過率および酸素透過率測定>
上記実施例1〜11および比較例1、2に係る光波長変換部材において、水蒸気透過率および酸素透過率をそれぞれ測定した。光波長変換部材の水蒸気透過率は、光波長変換部材の任意箇所において、JIS K7129:2008に準拠して、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。また、光波長変換部材の酸素透過率は、光波長変換部材の任意箇所において、JIS K7126:2006に準拠して、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて23℃、相対湿度90%の条件下で測定した。水蒸気透過率および酸素透過率は、それぞれ3回測定して得られた値の平均値とした。
<耐熱性試験後における輝度維持率測定>
上記実施例および比較例に係る光波長変換部材において、光波長変換部材を80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行い、光波長変換部材における耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後における輝度の維持率を調べた。具体的には、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置を用意した。このバックライト装置は、発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード、導光板、第1のプリズムシート、および第2のプリズムシートをこの順に備えているものであった。そして、このバックライト装置の導光板に代えて耐熱性試験前の光波長変換部材を同じ箇所に組み込んだ。なお、光波長変換部材を、光波長変換層が青色発光ダイオード側となるように組み込んだ。
そして、光波長変換部材を組み込んだバックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させ、青色光を光波長変換部材の光波長変換層に照射して、導光板の出光面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
次いで、バックライト装置から耐熱性試験前の光波長変換部材を外し、この光波長変換部材に、光波長変換部材を80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行った。そして、耐熱性試験後の光波長変換部材を上記と同様に上記バックライト装置に組み込んだ。この状態で、上記と同様に、青色光を光波長変換部材の光波長変換層に照射して、導光板の出光面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、バックライト装置の厚み方向におけるバックライト装置の発光面から400mm離れた位置において、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
測定したこれらの輝度から、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率をAとし、耐熱性試験前のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をBとし、耐熱性試験後のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をCとし、下記式によって求めた。
A=C/B×100
以下、結果を表1および表2に示す。
Figure 2018155946
Figure 2018155946
以下、結果について述べる。表2から分かるように、実施例1〜11に係る光波長変換部材においては、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む樹脂粒子中に量子ドットが内包された光波長変換粒子1〜10やバリア粒子中に量子ドットが内包された光波長変換粒子11を用いているので、樹脂粒子自体やバリア粒子自体を用いていない比較例1に係る光波長変換部材や量子ドットを内包する樹脂粒子を用いているが、樹脂粒子が特定の元素およびカルボン酸のいずれも含まない比較例2に係る光波長変換部材に比べて、耐熱性試験後の輝度維持率が高かった。
光波長変換粒子1〜8においては、蛍光X線分析により測定された特定の元素の含有量が、0.5質量%以上であった。これに対し、光波長変換粒子12においては、蛍光X線分析により測定された特定の元素の含有量が、0.5質量%未満であった。なお、光波長変換粒子12において、光波長変換粒子12を形成する際に用いた光波長変換粒子用組成物10に特定の元素が含まれていないにも関わらず、特定の元素の含有量が0.478質量%となっているのは、量子ドット自体に硫黄成分が含まれていたためであると考えられる。
上記実施例においては、緑色発光量子ドットや赤色発光量子ドットのコア材料としてCdSeを用いているが、コア材料としてInP、InAs等の非Cd系材料を用いても、上記実施例と同様の結果が得られた。
10、20、30、40…光波長変換部材
11、41…光学部材
11A、41A…入光面
11B、41B…出光面
12、21…光波長変換層
13、22…光波長変換粒子
15…量子ドット
16…樹脂粒子
17…被覆層
23…バリア粒子
50…画像表示装置
60…バックライト装置
90…表示パネル

Claims (11)

  1. 入光面および出光面を有する光学部材と、
    前記光学部材の入光面側に設けられ、かつ光波長変換粒子およびバインダ樹脂を含む光波長変換層と、を備え、
    光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子と、前記樹脂粒子に内包された量子ドットとを含む第1の光波長変換粒子、および光透過性のバリア粒子と、前記バリア粒子に内包された量子ドットとを含む第2の光波長変換粒子の少なくともいずれかである、光波長変換部材。
  2. 前記光波長変換層が前記光学部材の前記入光面に接し、かつ前記バインダ樹脂の屈折率が、前記光学部材の屈折率とは異なる、請求項1に記載の光波長変換部材。
  3. 前記光波長変換層と前記光学部材の前記入光面との間に設けられ、前記光波長変換層および前記入光面に接し、かつ前記バインダ樹脂の屈折率および前記光学部材の屈折率とは異なる光透過層をさらに備える、請求項1に記載の光波長変換部材。
  4. 前記光学部材の前記入光面が、前記出光面と前記出光面とは反対側の裏面との間に位置する側面であり、前記光学部材の前記出光面が、前記入光面側に凹凸形状を有する、請求項1に記載の光波長変換部材。
  5. 前記光学部材が、導光板である、請求項1に記載の光波長変換部材。
  6. 前記第1の光波長変換粒子が、前記樹脂粒子の表面を覆う被覆層をさらに備える、請求項1に記載の光波長変換部材。
  7. 前記被覆層が、水分および酸素の透過を抑制するバリア層である、請求項6に記載の光波長変換部材。
  8. 前記バリア粒子が、無機酸化物粒子である、請求項1に記載の光波長変換部材。
  9. 40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m・24h)以上および23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm/(m・24h・atm)以上の少なくともいずれかを満たす、請求項1に記載の光波長変換部材。
  10. 光源と、
    前記光源からの光を受ける請求項1に記載の光波長変換部材と、を備え、
    前記光波長変換層が、前記光学部材よりも前記光源側に位置している、バックライト装置。
  11. 請求項10に記載のバックライト装置と、
    前記バックライト装置の出光側に配置された表示パネルと
    を備える、画像表示装置。
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