JP2018155579A - 弾性波センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】反応部と基板との密着性を向上できる弾性波センサを提供すること。【解決手段】弾性波を伝搬可能な基板2と、基板上に設けられ、基板に弾性波を励振し、励振された弾性波を受信する弾性波送受信手段と、弾性波の伝搬経路上に配置され、検知対象と反応する反応部5と、を有し、基板と反応部との間に、基板と反応部とを接着する接着部6が形成され、接着部は、シロキサン結合を主骨格として有する化合物を含むことを特徴とする弾性波センサ1である。【選択図】図1

Description

本発明は、弾性波センサに関する。本発明は、特に、弾性表面波を利用するセンサに関する。
センサは、センサ周囲に存在する物質等の物理的または化学的性質に関する情報を電気信号に変換して出力する装置である。センサは、あらゆる分野において、膨大な数が用いられており、現代社会には欠かせないものとなっている。
センサの1種として、弾性波を利用する弾性波センサが知られている。弾性波として、弾性表面波素子の表面を伝搬する弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いる場合、弾性表面波素子上に形成された反応膜と検知対象物質との反応の程度を、弾性表面波の伝搬特性の変化として取り出し、検知対象物質の種類、濃度等を測定することができる。検知対象物質としては、ガス、液体に含まれる生体物質等が例示され、すなわち、弾性波センサは、ガスセンサ、バイオセンサとして用いられている。
たとえば、特許文献1には、弾性表面波ガスセンサとして、圧電性基板上に2つの送受波器が設けられ、2つの送受波器の間に、ゲッター材料を含むガス感知材料が配置されたセンサが記載されている。特許文献1によれば、ゲッター材料により吸着された分子、たとえば水素が、2つの送受波器の間で送信された信号の周波数を変化させることにより、当該分子を検出して、ガスセンサとして機能することが記載されている。
特表2008−518201号公報
特許文献1に記載された弾性表面波センサを含め、上述した弾性波センサにおいては、弾性波が伝搬される基板上に、検知対象物質と反応することにより弾性波の伝搬特性を変化させる反応膜が形成される。
しかしながら、このような反応膜は基板との密着性が悪く、弾性波センサの製造時、または、弾性波センサの作動時において、反応膜の一部または全部が剥離してしまうことがあった。反応膜の一部または全部が剥離してしまうと、検知感度が極めて低下する、または、検知が不可能となってしまい、センサとしての役割を果たすことができないという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、反応部と基板との密着性を向上できる弾性波センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の弾性波センサは、
[1]弾性波を伝搬可能な基板と、
基板上に設けられ、基板に弾性波を励振し、励振された弾性波を受信する弾性波送受信手段と、
弾性波の伝搬経路上に配置され、検知対象と反応する反応部と、を有し、
基板と反応部との間に、基板と反応部とを接着する接着部が形成され、
接着部は、シロキサン結合を主骨格として有する化合物を含むことを特徴とする弾性波センサである。
[2]化合物が、二酸化ケイ素であることを特徴とする[1]に記載の弾性波センサである。
[3]反応部が、グラフェンおよび/または酸化グラフェンを含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の弾性波センサである。
[4]弾性波送受信手段が、弾性波励振用電極および弾性波受信用電極を含むことを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の弾性波センサである。
本発明によれば、反応部と基板との密着性を向上できる弾性波センサを提供することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性波センサの一例を示す模式的な斜視図である。図1(b)は、図1(a)において、Ib−Ib線に沿った弾性波センサの模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る弾性波センサの別の例を示す模式的な斜視図である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.弾性波センサ
1.1 弾性表面波センサの全体構成
1.2 反応部
1.3 接着部
1.4 基板
1.5 弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極
1.6 弾性表面波センサの動作原理
2.弾性表面波センサの製造方法
3.本実施形態における効果
4.変形例
(1.弾性波センサ)
本実施形態に係る弾性波センサは、弾性表面波センサである。このセンサを接着剤等により基板上に実装して用いてもよいし、測定雰囲気と連通する公知のパッケージ内に収容して用いてもよい。また、このセンサのみで検知対象を検知してもよいし、補償用のセンサ素子、別種の検知対象を検知するための他のセンサ素子等とともに検知対象を検知してもよい。
(1.1 弾性表面波センサの全体構成)
図1(a)に示すように、本実施形態に係る弾性表面波センサ1は、基板2、弾性表面波励振電極3、弾性表面波受信電極4および反応部5を有している。また、図1(b)に示すように、基板2と反応部5との間には、接着部6が形成されている。弾性表面波励振電極3、弾性表面波受信電極4、反応部5および接着部6は、いずれも基板2の一方の主面上に設けられている。また、反応部5および接着部6は、平面視略同一形状を有しており、弾性表面波励振電極3と弾性表面波受信電極4との間に配置されている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
(1.2 反応部)
反応部5は、基板2の一方の主面上に設けられている。反応部5は検知対象と反応して、反応部上を伝搬する弾性表面波の伝搬速度を変化させることができる。弾性表面波の伝搬速度の変化は、後述する弾性表面波受信電極4において、弾性表面波の周波数変化として検出される。したがって、検知対象の有無、質量、濃度等を、周波数変化量として取り出すことができ、検知対象に関する情報を検出することができる。
本実施形態では、「反応」とは、反応部5が、検知対象を可逆的に捕捉および解放できることを意味しており、たとえば、可逆的な吸着および脱着が例示される。
反応部5は、検知対象と反応して、反応部上を伝搬する弾性表面波の伝搬速度を変化させることができる物質を含んでいれば、特に制限されない。本実施形態では、反応部5は、修飾されたグラフェンおよび/または酸化グラフェンを含んでいることが好ましく、酸化グラフェンを含んでいることがより好ましい。
グラフェンは、炭素原子から構成される2次元シートが積層された層構造を有するグラファイトから、1層分の2次元シート構造が取り出された構成を有している。修飾されたグラフェンは、検知対象と反応可能な修飾官能基が導入されたグラフェンである。また、酸化グラフェンは、検知対象と反応可能な酸素または酸素を含む官能基が結合している構成を有している。
グラフェンは1層分の2次元シートなので、グラフェン中の修飾官能基および酸化グラフェン中の酸素のほぼ全てが外部に露出している。したがって、検知対象が微量であっても、検知対象を吸着しやすいので、検知対象を高感度で検知できる。また、反応部5の面積が小さくても、吸着および脱着に関与する修飾官能基または酸素が多く存在しているので、効率よく検知対象を吸着および脱着できる。したがって、当該弾性表面波センサを小型化しても精度よく検知対象を検知できる。
また、グラフェンおよび酸化グラフェンは熱的にも化学的にも安定であることから、修飾されたグラフェンおよび/または酸化グラフェンを、反応部を構成する材料として用いることにより、種々の環境下に置かれた際の経時変化が少なく、検知対象の反応の再現性が高いセンサを得ることができる。
なお、酸化グラフェンの酸化度は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。一方、酸化グラフェンの酸化度の上限は80%である。また、反応部5が、グラフェンおよび酸化グラフェンの両方を含んでいる場合、酸化度は、グラフェンおよび酸化グラフェンの合計を100%とした場合の酸素含有量である。
本実施形態では、反応部5の検知対象は、修飾分子の種類、酸素を含む官能基の種類に応じて、設定することができる。たとえば、検知対象がガスである場合、水素ガス(Hガス)、水蒸気(HOガス)、一酸化炭素ガス(COガス)、二酸化炭素ガス(COガス)、一酸化窒素ガス(NOガス)、二酸化窒素ガス(NOガス)、アンモニアガス(NH)等が例示される。なお、検知対象が水蒸気である場合には、当該センサは湿度センサとして機能する。
反応部5は、検知対象の検知を阻害しない程度において、グラフェンおよび酸化グラフェン以外の物質を含んでもよい。本実施形態では、グラフェンおよび酸化グラフェン以外の物質として、グラファイトが例示される。グラファイトは、グラフェンおよび酸化グラフェンを製造するための原料となる場合があり反応部に含まれやすい。
反応部5の厚みは、検知対象を十分に検知でき、反応部上を伝搬する弾性表面波の伝搬損失が抑制されていれば、特に制限されない。本実施形態では、1nm〜2μm程度である。
(1.3 接着部)
接着部6は、基板2と反応部5との間に形成され、基板2と反応部5とを接着し、これらの密着性を向上させる役割を果たしている。本実施形態では、接着部6と反応部5とは、平面視した場合に、略同一形状を有している。また、本実施形態では、接着部6は、シロキサン結合を主骨格として有する化合物を少なくとも含んでいる。
シロキサン結合は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合であり、シロキサン結合を主骨格とする化合物としては、二酸化ケイ素(シリカ)、シリコーン樹脂等が例示される。したがって、接着部6は樹脂成分を含んでいてもよいが、本実施形態では、接着部6はシロキサン結合のみから構成される二酸化ケイ素から構成されることが好ましい。
しかしながら、接着部6を二酸化ケイ素で構成しようとする場合、たとえば、シリカ自体を用いて、基板2と反応部5とを接着する接着部6を形成することは困難である。そこで、本実施形態では、接着部6を二酸化ケイ素で構成しようとする場合、シロキサン結合を有する化合物を用いて、最終的に、シロキサン結合のみから構成される二酸化ケイ素を接着部6として形成する。
具体的には、シロキサン結合を有する化合物を加熱することにより、シロキサン結合のみから構成される二酸化ケイ素を残存させて、接着部6とすることができる。
本実施形態では、二酸化ケイ素を形成可能なシロキサン結合を有する化合物としては、シラノールおよびその誘導体が好ましい。シラノールの誘導体としては、シラノールにメチル基、フェニル基等の官能基が導入されたものが例示される。シラノールの誘導体を用いて二酸化ケイ素を形成した場合には、接着部6には、二酸化ケイ素以外に樹脂成分が含まれ得る。
シラノールを加熱すると、以下に示す主反応が生じて、基板2と反応部5との密着性を向上させる役割を果たす二酸化ケイ素が接着部6に残存する。
2SiHOH + 3O → 2SiO + 4H
接着部6の厚みは、基板2と反応部5との密着性が向上できる程度の厚みを有していれば、特に制限されない。本実施形態では、0.05〜5μm程度である。
(1.4 基板)
図1に示す基板2は、反応部5、接着部6、弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4を支持可能な強度を有し、基板上で励振される弾性表面波を所定の方向に伝搬可能な基板であれば、特に制限されない。本実施形態では、圧電性を有する材料で構成され、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、水晶等が例示され、LiTaOが好ましい。伝搬する弾性表面波の周波数温度特性が優れ、高い機械結合係数を有しているからである。
これらの基板2の結晶方位は、励振される弾性表面波の種類に応じて決定すればよい。本実施形態において、励振される弾性表面波としては、レイリー波、リーキー波、ラブ波等が例示される。たとえば、リーキー波を励振する場合には、LiTaOの結晶方位は、カット角が36°回転Yカットであり、LiNbOの結晶方位は、カット角が64°回転Yカットであり、水晶の結晶方位は、カット角が−7.5°回転Yカットである。
(1.5 弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極)
図1に示すように、弾性波送受信手段としての弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4は、基板2の反応部5が形成されている主面上に、反応部5を挟むように配置されている。
弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4は、それぞれ、一対の櫛歯状電極が所定の間隔で、かつ接触せずに交差するよう配置されている。電極の配置状態、電極の間隔および交差長は、励振する弾性表面波の周波数、弾性表面波の伝搬方向等に応じて決定される。
弾性表面波励振電極3は、外部回路から所定の周波数を有する電気信号として入力された電気的エネルギーを基板に入力する。電気的エネルギーが与えられた基板は、逆圧電効果により振動し、基板上に入力された周波数を有する弾性表面波を励振することができる。
弾性表面波受信電極4は、弾性表面波励振電極3により励振され伝搬されてきた弾性表面波を受信し、その周波数に応じた弾性表面波のエネルギーを、電気的エネルギーに変換して、所定の周波数を有する電気信号として外部回路に出力する。
弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4を構成する材料は、導電性の材料であって、弾性表面波センサ素子の製造時の処理温度に耐えうる材料であれば特に制限されない。本実施形態では、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)または、これらを2つ以上含む合金が例示され、Auが好ましい。弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4を構成する材料として、Auを用いる場合、基板との密着性を向上させるためにAuと基板との間にチタン(Ti)等の密着層を形成してもよい。
また、弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4の上に、カバー電極を形成してもよい。カバー電極を構成する材料としては、たとえば、アルミニウム(Al)等が例示される。
弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4の厚みは、基板上に弾性表面波を励振でき、励振された弾性表面波を受信可能であれば、特に制限されない。本実施形態では、厚みは、50〜200nm程度である。
(1.6 弾性表面波センサの動作原理)
本実施形態では、検知対象がガスであり、反応部5が酸化グラフェンから構成される場合について説明する。弾性表面波センサ1において、弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4は図示しない外部回路に接続される。弾性表面波センサ1を所定の雰囲気に配置し、弾性表面波励振電極3に所定の周波数を有する高周波電圧を印加すると、基板上に弾性表面波が励振される。すなわち、印加された電気的エネルギーが、弾性表面波のエネルギーに変換される。励振された弾性表面波は、弾性表面波受信電極4に向けて伝搬し、弾性表面波受信電極4において受信され、電気的エネルギーに変換され、高周波電圧として取り出される。
雰囲気中に、弾性表面波センサ1の反応部5と反応する物質が存在しない場合には、印加される高周波電圧の周波数fと、取り出される高周波電圧の周波数fとは同じである。この雰囲気に検知対象であるガスを導入すると(ガス濃度が増加すると)、ガスの分子が、反応部5を構成する酸化グラフェン中の酸素に吸着する。その結果、酸化グラフェンを構成する炭素原子の電子軌道が変化し、酸化グラフェンの導電率が変化する。
反応部5の導電率が変化すると、基板の特性が変化し、基板に形成された反応部5上を伝搬する弾性表面波の伝搬速度(v=fλ)が変化するので、その周波数も変化する。その結果、弾性表面波受信電極4において取り出される高周波電圧の周波数f’は、印加される高周波電圧の周波数fと異なっており、導電率の変化に起因する周波数変化量(Δf)を検出することができる。この周波数変化量は、反応部5において吸着されたガス分子量と所定の相関関係を有しているので、この周波数変化量をガス濃度として検出することができる。
一方、ガス濃度が減少すると、酸化グラフェン中の酸素に吸着されているガスの分子が濃度の減少に応じて酸素から脱着する。その結果、反応部5の導電率が変化し、この導電率の変化に起因する周波数変化量(Δf)が検出され、ガス濃度が減少したことが出力される。
なお、反応部5上を伝搬する弾性表面波の伝搬速度を変化させる要因としては、反応部5の導電率変化に限らず、反応部5の質量変化であってもよい。この場合には、検知対象が酸化グラフェン中の酸素に吸着することにより、反応部5の質量が増加するので、反応部5上を伝搬する弾性表面波の伝搬速度が変化し、取り出される高周波電圧の周波数が変化する。
同様に、反応部5がグラフェンで構成されている場合には、グラフェンに導入された修飾官能基中の原子が、検知対象と吸着および脱着することにより、反応部5の導電率変化、または、質量変化が生じる。したがって、この導電率変化、または、質量変化を、反応部5上を伝搬する弾性表面波の周波数変化量として取り出し、検知対象に関する情報を得ることができる。
検知対象が液体であっても、上記と同じ原理により、検知対象に関する情報を弾性表面波の周波数変化量として取り出すことができる。
(2.弾性表面波センサの製造方法)
次に、図1に示す弾性表面波センサの製造方法の一例について以下に説明する。
まず、基板を準備する。準備した基板上に、公知の成膜法を用いて、弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4を構成する導電性材料の薄膜を形成する。電極3,4が、複数の導電性材料を積層して構成される場合には、複数の薄膜を形成して積層すればよい。次に、電極3,4が図1に示す櫛歯状電極パターンとなるように薄膜をエッチングする。エッチングとしては、ウェットエッチングでもよいし、ドライエッチングでもよい。ドライエッチングとしては、たとえば、イオンミリングが例示される。
弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4上にカバー電極を形成する場合には、カバー電極は、露光および現像されたレジストパターン上に蒸着膜を形成した後、リフトオフすることにより形成される。
本実施形態では、弾性表面波励振電極3および弾性表面波受信電極4が形成された基板2上に、基板2と反応部5との密着性を向上させるための接着部6を形成する。
まず、基板2上にレジストを形成し、反応部形成予定領域が露出するレジストパターンが形成されるように、レジストを露光および現像する。レジストとしては、ポジ型レジストでもよいし、ネガ型レジストでもよいが、本実施形態では、ネガ型レジストを用いることが好ましい。
レジストを露光および現像することにより、反応部形成予定領域が露出し、反応部形成予定領域がパターニングされる。パターニング後、シロキサン結合を有する化合物の溶液を反応部形成予定領域に塗布する。塗布する方法としては、特に制限されないが、本実施形態では、スピンコート、スプレーコートであることが好ましい。塗布後、乾燥して接着部6を形成する。本実施形態では、乾燥条件は、温度80〜150℃、保持時間30秒〜5分とすることが好ましい。
また、本実施形態では、乾燥後の当該化合物をエネルギー線照射により硬化させることが好ましい。このようにすることにより、接着部6と基板2および反応部5との接着力を高めることができる。接着部6を形成後、接着部6の上に反応部5を形成する。
反応部5は公知の成膜法により形成することができる。接着部6を形成した後、基板2上に、反応部5を構成する物質を含むペーストを塗布して形成する。塗布する方法としては、特に制限されないが、本実施形態では、スプレーコート、超音波ノズル噴霧コート、刷毛等を用いた塗布コート等が例示される。
ペースト塗布後、加熱して反応部5を構成する物質を硬化させる。本実施形態では、反応部5を構成する物質が酸化グラフェンである場合には、加熱条件は、温度80〜200℃、保持時間5〜120分とすることが好ましい。
加熱後、当該物質は冷却されるが、本実施形態では、加熱後の冷却速度が10℃/分以下であることが好ましい。このような徐冷を行うことにより、反応部5に含まれる物質の冷却時のひび割れを抑制することができる。冷却後、剥離液を用いてレジストパターンをリフトオフすることにより、基板上の反応部形成予定領域に接着部および反応部をこの順序でパターニングすることができる。
以上の工程を経ることにより、基板2上に、弾性表面波励振電極3、弾性表面波受信電極4、反応部5および接着部6が形成された弾性表面波センサを得ることができる。
(3.本実施形態における効果)
本実施形態では、弾性表面波を利用するセンサにおいて、反応部と基板との間に、シロキサン結合を主骨格として有する化合物を含む接着部を形成している。この接着部において、シロキサン結合が反応部と基板との双方に対して強固に固着しており、反応部と基板との密着性を向上させ、反応部の剥離を効果的に抑制することができる。特に、当該化合物が、シロキサン結合のみから構成される二酸化ケイ素である場合に、密着性がより向上する。
接着部を二酸化ケイ素で構成する場合には、シラノールおよびシラノール誘導体を加熱して、二酸化ケイ素を残存させることにより接着部を形成することにより、接着部6に二酸化ケイ素が含まれることにより得られる効果を確実に得ることができる。
また、反応部を構成する物質が、グラフェンおよび/または酸化グラフェンである場合に、上記の効果をより高めることができる。
(4.変形例)
上述の実施形態では、基板上に、弾性表面波励振電極、弾性表面波受信電極、反応部および接着部を有するセンサについて説明したが、弾性表面波励振電極、弾性表面波受信電極、反応部および接着部が形成されている主面上の別の領域に、補償用の弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極が形成されていてもよい。補償用の弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極の間には、反応部が形成されていないので、周波数変化量を算出する基準となる周波数を校正することができる。
また、検出感度を上げる為に、図2に示すように、弾性表面波励振電極3及び弾性表面波受信電極4の外側に反射器7を設置してもよい。反射器7を設置することによって、弾性表面波の共振が起こり、急峻な立ち上がりで挿入損失の低いフィルタ特性、共振特性が得られる。その結果、センサとしてのガス検知感度が向上する。
また、上述した実施形態では、弾性波として弾性表面波を例示したが、弾性表面波以外の弾性波であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、カット角が36°の回転Yカットのタンタル酸リチウム(LiTaO)ウェハの主面にスパッタリング法を用いてチタン薄膜(膜厚20nm)及び金薄膜(膜厚80nm)を順次堆積し、弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極となるAu/Ti膜を成膜した。その後、Au/Ti膜にイオンミリングを施し、対数32、電極間隔9.4μm、交差長2730μmの弾性表面波励振電極および弾性表面波受信電極を形成した。次に、カバー電極として、Alをリフトオフ法により形成した。
続いて、電極が形成されたLiTaOウェハ上にネガ型レジストを形成し、当該レジストを露光および現像して、反応部形成予定領域が露出したレジストパターンを形成した。さらに、反応部形成予定領域に対しUV照射を5分行い、LiTaOウェハ接着面を活性化させた。レジストパターンが形成され、活性化されたLiTaOウェハ上に、シロキサン結合を有する化合物をスピンコートにより塗布し、オーブンで80℃、180秒間加熱して乾燥させ、接着部を形成した。
乾燥後、LiTaOウェハ上に、反応部としての酸化グラフェンをスプレーコートにより塗布し、オーブンで150℃、30分加熱した後、オーブンにて、冷却速度が10℃/分以下となるように炉冷を行って酸化グラフェンを硬化させ、反応部を形成した。酸化グラフェンの硬化後、剥離液を用いてレジストパターンをリフトオフすることにより、パターニングされた反応部を得た。
次に、電極および反応部としての酸化グラフェンが形成されたLiTaOウェハを個片化して、センサを得た。
得られたセンサについて、基板と反応部との密着性を評価するために、ピーリング試験および超音波洗浄試験を以下のようにして行った。
ピーリング試験は、JIS H 8504に規定される引きはがし試験方法のテープ試験方法に準拠して行った。まず、試験用テープとして、JIS Z 1522に規定された粘着テープを用いた。粘着力は、幅25mm当たり約8Nとした。
試験用テープの一部を、反応部に10秒間指で押さえつけて貼り付け、試験用テープの貼り付けられていない部分を持って、反応部に対して垂直になるように強く引張り、試験用テープを瞬間的に引きはがした。引きはがした後の試験用テープには、反応部は付着していないことが確認できた。すなわち、本実施例に係るセンサは、基板と反応部との密着性が良好であることが確認できた。
超音波洗浄試験は、超音波洗浄機W−113の容器内にセンサを載置して、出力100W、試験時間10分、発信周波数28kHz、45kHz、100kHzの各条件で行い、試験後のセンサの反応部の剥離について評価した。いずれの周波数においても、反応部の剥離が生じていないことが確認できた。すなわち、本実施例に係るセンサは、基板と反応部との密着性が良好であることが確認できた。
密着性の評価として、異なる2つの試験を行ったが、いずれの試験でも反応部の剥離は生じず、基板と反応部との密着性が良好であることが確認できた。
続いて、得られたセンサについて、流量が500sccmでドライエアーを60分流した後、水素濃度を、それぞれ、0.1%、0.2%、0.5%、0.75%、1.0%とした水素ガスを流し、入力周波数を109.5MHzとした場合における周波数変化量を評価した。その結果、水素濃度が変わるにつれて、周波数変化量が大きくなることが確認できた。すなわち、周波数変化量を測定することにより、水素ガスを検知対象とした場合に、水素ガスの濃度を検出可能であることが確認できた。
本発明に係る弾性波センサは、基板と反応部との間の密着性に優れるので、センサとして好適に用いることができる。
1… 弾性表面波センサ
2… 基板
3… 弾性表面波励振電極
4… 弾性表面波受信電極
5… 反応部
6… 接着部
7… 反射器

Claims (4)

  1. 弾性波を伝搬可能な基板と、
    前記基板上に設けられ、前記基板に弾性波を励振し、励振された前記弾性波を受信する弾性波送受信手段と、
    前記弾性波の伝搬経路上に配置され、検知対象と反応する反応部と、を有し、
    前記基板と前記反応部との間に、前記基板と前記反応部とを接着する接着部が形成され、
    前記接着部は、シロキサン結合を主骨格として有する化合物を含むことを特徴とする弾性波センサ。
  2. 前記化合物が、二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の弾性波センサ。
  3. 前記反応部が、グラフェンおよび/または酸化グラフェンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波センサ。
  4. 前記弾性波送受信手段が、弾性波励振電極および弾性波受信電極を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の弾性波センサ。
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