JP2018155316A - ブラインドナット - Google Patents

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牧野 敬範
Takanori Makino
敬範 牧野
寛司 迫田
Kanji Sakota
寛司 迫田
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Abstract

【課題】被取付部材に高い圧着力で、回転しないように取付けるブラインドナット。【解決手段】ブラインドナット(20)は、内側に雌ねじ(25)が形成された雌ねじ部(30)と、雌ねじ部に隣接する中空の管状部(21)と、雌ねじ部と反対側の端部に形成された開口付きのフランジ(24)とを備える。被取付部材(41)の取付孔(43)に、ブラインドナットの雌ねじ部と管状部とを挿入し、管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部(27)とフランジとの間に被取付部材を把持する。フランジの下面は、フランジの外周部が被取付部材の表面に近くなるように傾斜した傾斜面(24k)である。フランジの外周部で被取付部材に強く圧着され、被取付部材に回転しないように取付けられる。又は、フランジの下面は傾斜面でなく、下面に凹部が形成されていてもよい。フランジと、管状部と雌ねじ部とは、別材料で形成されていることが好ましい。【選択図】図7

Description

本発明は、ブラインドナットに関する。特に、被取付部材に対して回転しないように高い圧着力で取付けることのできるブラインドナットに関する。
ブラインドナットは、一端部のフランジと、フランジから延びる管状部と、管状部に続く雌ねじ部とを備える。被取付部材の取付孔に雌ねじ部と管状部を挿通した状態で、締結工具を用いて管状部を座屈させて拡径させ、拡径した管状部とフランジとの間に被取付部材を挟む。このブラインドナットの雌ねじ部にボルトの雄ねじを螺合させて、被取付部材に取付部材を取付けることができる。
ブラインドナットは、被取付部材の一方の側からの作業で取り付けることが出来るので、裏側から作業できない部材、例えばパネル等の被取付部材に物品等の取付部材を締結するのに便利である。
ブラインドナットは、高張力鋼板等の硬質の材料で出来た被取付部材に対して回転しないように強い圧着力で取付けることが要求される。そのため、管状部の周りにローレットが形成されたブラインドナットが使用される。しかし、高張力鋼板には、ローレット付のブラインドナットを使用してもローレットが食い込まないことが多い。そのため、ブラインドナットが回転しないようにするためには、座屈させて成形する拡径部が四角、六角等の異形のブラインドナットを使用することが出来る。
しかし、拡径部が異形のブラインドナットを取付けるときは、被取付部材の取付孔も、拡径部に合わせて異形とし、拡径部の方向と取付孔の方向とを合わせて取り付ける必要があり、組立の手間がかかる。
そのため、拡径部が丸形状で、高い圧着力で取付けることが出来、回転しにくいブラインドナットが求められていた。
特許文献1は、第1管状部(フランジ)と、第2管状部(管状部)と、第3管状部(雌ねじ部)とを備えるリベット(ブラインドナット)を開示する。第2管状部を変形させて、第1管状部と、第2管状部を拡径させた突起部との間に胴縁受部材を挟持することが出来る。第1管状部と第2管状部は、一体成形されてもよく、溶接などにより接合されていてもよい。胴縁受部材は、リベットとは独立して回転する。
胴縁受部材を第1管状部と突起部との間に挟持した後に、工具を第1管状部に嵌合させて回転させることにより、胴縁受部材の不陸調整(壁面の方線方向に沿った凹凸の調整)を小さな力で容易に行うことが出来る。
しかし、特許文献1の発明は、胴縁受部材の不陸調整を小さな力で容易に行い、作業性を高めることを目的とするものであり、リベットを取り付けた後も容易に回ることが重要である。本発明と異なり、高い圧着力で取付け、回転しにくいブラインドナットを得ようとするものではない。
特許文献2は、フランジと、管状部と、雌ねじ部とを有するリベットと;板状体と、環突状と、3つの立設片とを有するナット機能付きワッシャと;を備えるリベットナットを開示する。ナット機能付きワッシャの貫通孔にリベットが挿通され、板状体の面にフランジが係止されている。フランジと、リベットの管状部をかしめて形成した突起部との間に、ナット機能付きワッシャと、胴縁受部材と、回転板とが挟持される。
ナット機能付きワッシャの3つの立設片に回転工具を嵌め合わせ、リベットナットを回転させることが出来、また、回転板を回転させることもできる。これらを回転させることにより、胴縁受部材の不陸調整を小さな力で行うことが出来る。
特許文献2の発明は、特許文献1の関連発明であり、胴縁受部材の不陸調整を小さな力で容易に行い、作業性を高めることを目的とするものである。リベットのフランジと管状部の突起部との間に、ナット機能付きワッシャと、胴縁受部材と、回転板と3つの部材がが挟持され、リベットを取り付けた後も容易に回るようにしている。高い圧着力で取付け、回転しにくいブラインドナットを得ようとするものではない。
特許文献3は、弾力性を有する半球状のつば(フランジ)を有するリベットを開示する。特許文献3のリベットは、かしめが緩んだ場合でもつばの弾力性によって締め付ける力を確保することが出来るとしている。
しかし、特許文献3のリベットは、半導体を放熱板に取り付ける等の用途に使用するものであり、高い圧着力で取付け、回転しにくいブラインドナットを得ようとするものではない。
そのため、拡径部が丸形状で、高い圧着力で取付けることが出来、被取付部材に対して回転しないブラインドナットが求められていた。
特開2006‐125557号公報 特開2007−32691号公報 実開平3‐115206号のマイクロフィルム
従って、本発明の目的は、拡径部が丸形状で、高い圧着力で取付けることが出来、被取付部材に対して回転しないように取付けることが出来るブラインドナットを提供することである。
この目的を達成するため、本発明では、フランジの下面は外周部で被取付部材の表面に近づく傾斜面としてある。フランジのばね性を働かせることが出来る。より強い圧着力を得られ、被取付部材に対して回転しにくい。
本発明の第1の態様は、内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して取付けるブラインドナットであって、
前記フランジの下面は、前記フランジの外周部が前記被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面であることを特徴とするブラインドナットである。
フランジの下面が、外周部が被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面であると、外周部で被取付部材に強く圧着され、フランジのバネ性により被取付部材に対して回転しないように取り付けられる。
前記フランジは、中心軸の周りに軸対称であることが好ましい。
フランジの傾斜面が、中心軸の周りに軸対称であると、ブラインドナットは、被取付部材に任意の方向で取り付けることが出来る。
前記フランジの上面も傾斜面であることが好ましい。
フランジの上面と下面が共に傾斜面であっても、フランジは十分なバネ性を有する。
本発明の第2の態様は、内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して取付けるブラインドナットであって、
前記フランジの下面の外周部は平面であり、前記外周部の内側には凹部が形成されていることを特徴とするブラインドナットである。
フランジの下面の外周部が平面であり、外周部の内側には凹部が形成されていると、フランジの下面が斜面である場合と同様に、フランジのばね性が作用する。ブラインドナットは、被取付部材に対して回転しないように取り付けられる。
前記フランジは、中心軸の周りに軸対称であることが好ましい。
フランジの凹部が、中心軸の周りに軸対称であると、ブラインドナットは、被取付部材に任意の方向で取り付けることが出来る。
前記フランジと、前記管状部及び前記雌ねじ部とは、別材料で形成されていることが好ましい。
前記フランジは、前記管状部と前記雌ねじ部より、バネ性のある材料で形成されていることが好ましい。
フランジと、管状部及び雌ねじ部とが、別材料で形成されていて、フランジが、管状部と雌ねじ部より、バネ性のある材料で形成されていると、ブラインドナットをより強い圧着力で取り付けることが出来、被取付部材に対して回転しないブラインドナットを実現することが出来る。
前記フランジの中央部に中央孔が形成され、前記管状部の頂部は、前記フランジの前記中央孔に配置されることが好ましい。
前記管状部の頂部は、前記フランジの上面と同一平面にあることが好ましい。
フランジの中央部に中央孔が形成され、管状部の頂部は、フランジの中央孔に配置され、管状部の頂部は、フランジの上面と同一平面にあると、締結するとき、管状部の頂部を直接押圧することが出来、フランジへの影響を少なくすることが出来る。
前記フランジの前記中央孔の頂部は面取りされ、前記管状部の前記頂部は、前記フランジの前記中央孔の前記面取り形状と合うように外径が大きくなっていることが好ましい。
フランジの中央孔の頂部は面取りされ、管状部の頂部は、フランジの中央孔の面取り形状と合うように外径が大きくなっていると、締結するとき、フランジが管状部から外れることがない。
前記管状部の外周には、円周方向に一定の間隔で縦方向に延びるローレット溝が形成されていることが好ましい。
管状部の外周に、円周方向に一定の間隔で縦方向に延びるローレット溝が形成されていると、ローレットの溝と溝の間の凸部が、被取付部材の取付孔の内面に係合し、いっそう回転しにくくなる。
前記管状部は、前記フランジに隣接する円筒形のストレート部と、前記ストレート部から前記雌ねじ部に向かって次第に細くなるテーパ部とを有し、前記ストレート部と、前記テーパ部とは、同じ肉厚であることが好ましい。
管状部が、円筒形のストレート部と、ストレート部から雌ねじ部に向かって次第に細くなるテーパ部とを有し、筒状部のストレート部とテーパ部とが同じ肉厚であると、ストレート部とテーパ部の境界部の上と下で同じように拡径するので、拡径開始位置が一定になり、被取付部材に確実に固定される。
本発明の第3の態様は、内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備えるブラインドナットを、前記ブラインドナットの表面を押さえるためのノーズピースと、前記雌ねじ部の前記雌ねじと螺合可能な雄ねじを有し、回転可能なスクリューマンドレルとを備える締結工具を使用して、被取付部材の取付孔に取り付ける取付方法であって、
前記フランジと、前記管状部及び前記雌ねじ部とは、別材料で形成され、
前記フランジの中央部に中央孔が形成され、前記管状部の頂部は、前記フランジの前記中央孔内に配置され、
前記締結工具の前記ノーズピースの先端部の外径は、前記管状部の前記頂部の外径と等しいかそれより小さく、
前記締結工具の前記ノーズピースの先端部で前記管状部の頂部を押さえ、前記スクリューマンドレルを回転させ、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじを前記ブラインドナットの前記雌ねじに螺合させ、
前記スクリューマンドレルを回転させずに引き付け、前記管状部を拡径させ、
拡径した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を挟持して取付ける、ことを特徴とする取付方法である。
ブラインドナットのフランジと、管状部及び雌ねじ部とが別材料で形成されていると、フランジをバネ性のある材料で形成することが出来る。
締結工具のノーズピースの先端部の外径が、管状部の頂部の外径とほぼ等しいかそれより小さいと、ノーズピースの先端部で管状部を押圧し、フランジの内周部と、ブラインドナットの拡径部とで、強く把持することが出来る。
前記ブラインドナットの前記フランジの下面は、前記フランジの外周部が前記被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面であることが好ましい。
又は、前記フランジの下面の外周部は平面であり、前記外周部の内側には凹部が形成されていることが好ましい。
ブラインドナットのフランジの下面が、外周部が被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面であると、ノーズピースの先端部で管状部を押圧するとき、フランジの内周部が下方に撓み、フランジのばね性を生かすことが出来る。
フランジの下面の外周部の内側に凹部が形成されている場合も、同様の効果を得ることが出来る。
本発明によれば、拡径部が丸形状で、高い圧着力で取付けることが出来、被取付部材に対して回転しないブラインドナットを提供することができる。
本発明の第1の実施形態によるブラインドナットの正面図である。 図1のブラインドナットの上面図である。 図1のブラインドナットのA−A線に沿った断面図である。 図1のブラインドナットを被取付部材の取付孔に挿入した状態の断面図である。 締結工具の先端部を示す正面図である。 図1のブラインドナットを締結装置により被取付部材に締結した段階を示す一部を断面とした正面図である。 図6の段階から、被取付部材に締結したブラインドナットから締結装置を取り外した段階を示す一部を断面とした正面図である。 第2の実施形態によるブラインドナットの断面図である。 第3の実施形態によるブラインドナットの正面図である。 図9のブラインドナットの上面図である。 図9のブラインドナットのB−B線に沿った断面図である。 第4の実施形態によるブラインドナットの正面図である。 先端部が大きい外径のノーズピースを使用して、第3の実施形態のブラインドナットを締結する場合の締結部の拡大断面図である。 先端部が小さい外径のノーズピースを使用して、第3の実施形態のブラインドナットを締結する場合の締結部の拡大断面図である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるブラインドナット20の正面図、図2は上面図である。図3は、ブラインドナット20の図1のA−A線に沿った断面図である。本明細書の説明において、図1、図3の上を上方向という。
ブラインドナット20は、全体として中心軸の周りに軸対称で円筒形であり、一端部に雌ねじ部30を有する。雌ねじ部30の内側には雌ねじ25が形成されている。雌ねじ25には、締結装置のスクリューマンドレルの雄ねじを螺合させることが出来る。また、ブラインドナット20を取付けた後、ボルトの雄ねじを螺号させ、取付部材を取付けることが出来る。
ブラインドナット20は、雌ねじ部30に隣接して、管状部21を有する。管状部21は、雌ねじ部30に隣接するテーパ部22と、テーパ部22に隣接する円筒形のストレート部23とからなる。テーパ部22は、雌ねじ部30より薄い一定の肉厚で、上方へ行くに従って徐々に外径と内径が大きくなる。テーパ部22に隣接するストレート部23は、テーパ部22と同じ一定の肉厚で、円筒形である。
このように、テーパ部22とストレート部23とは同じ肉厚であることが好ましい。こうすると、テーパ部22とストレート部23との境界部の上下で同じように拡径する。
ストレート部23の被取付部材41の取付孔43から出た部分と、テーパ部22とは、被取付部材41に取付けるときに座屈する。
ブラインドナット20は、雌ねじ部30の反対側にストレート部23に隣接してフランジ24を有する。フランジ24の外径は、ストレート部23の外径より大きく、被取付部材41の取付孔43の内径より大きい。
フランジ24の上面とは、ストレート部23から遠い側の面である。フランジ24の下面とは、ストレート部23に近い側の面である。フランジ24の上面は中心軸方向に垂直な平面である。フランジ24の下面は、中心軸方向に垂直な水平面に対して、外側が低くなるように傾斜した(テーパが付いた)傾斜面24kである。フランジ24は、中心軸に対して軸対称である。第1の実施形態では、フランジ24の断面で、下面の傾斜角faは5度である。
フランジ24の下面の傾斜面24kに傾斜角faが付いていると、ブラインドナット20を締結した後、フランジ24が撓み、強い圧着力で締結することが出来る。フランジ24の外周側に強い圧着力がかかるので、被取付部材41に対して回転しにくくなる。
フランジ24の上面は水平面で、下面は傾斜面とした。しかし、フランジ24の上面、下面とも傾斜面とすることもできる。
ブラインドナット20は、フランジ24側の端部から雌ねじ部30側の端部まで貫通孔26が形成されている。フランジ24側の端部からストレート部23まで貫通孔26の内径は一定であり、テーパ部22では雌ねじ部30に向かって内径が徐々に小さくなる。雌ねじ部30は内径が更に小さく一定であり、内面に雌ねじ25が形成されている。ストレート部23の外径は一定で、テーパ部22の外径は雌ねじ部30に向かって徐々に小さくなる。
雌ねじ部30は、雌ねじ部30の全長に亘って、内側に一定の内径の雌ねじ25が形成されている。
雌ねじ部30は、テーパ部22に隣接しテーパ部22の下端部と同じ外径の第1のストレート部31と、第1のストレート部に隣接し、テーパが付いた第1のテーパ部32と、第1のテーパ部32に隣接し第1のストレート部31より小さい外径を有する第2のストレート部33と、第2のストレート部33に隣接する第2のテーパ部34と、第2のテーパ部34に隣接し第2のストレート部より小さい外径を有する第3のストレート部35とを有する。
雌ねじ部30にボルトの雄ねじを螺合させると、第1のストレート部31に高い張力(軸力)がかかる。第1のストレート部31は、肉厚が厚く、雌ねじ部にかかる中心軸方向の張力に十分耐えることができる。
雌ねじ部30にかかる中心軸方向の張力は、第2のストレート部33、第3のストレート部35においては、第1のストレート部31にかかる張力より小さい。第1のストレート部31より、肉厚が薄くなっている。
第1の実施形態では、第1のテーパ部32、第2のテーパ部34は、中心軸に対して15°のテーパが付いている。
第1の実施形態では、雌ねじ部30は、第1のテーパ部32と、第2のストレート部33と、第2のテーパ部34と、第3のストレート部35とを有する。ストレート部とテーパ部との数は、これに限定されない。ストレート部又はテーパ部のどちらか一方のみでもよい。
ブラインドナット20は、管状部21を座屈させ拡径して締結するので、塑性変形可能な比較的柔らかな金属で形成される。
図4は、ブラインドナット20を被取付部材41の取付孔43に挿入した状態を示す断面図である。
ブラインドナット20を雌ねじ部30を先頭にして、被取付部材41の取付孔43に上側から挿入すると、フランジ24の下面の外周部が被取付部材41の上面に当接して止まるようになっている。フランジ24の下面は傾斜角faが付いているので、フランジ24の下面の外周部が被取付部材41の上面に当接し、内周部は被取付部材41の上面とは少し隙間が空いている。
(締結工具)
図5は、本発明の実施形態に使用する締結工具50の先端部を示す正面図である。締結工具50は、締結する被取付部材を支持するためのノーズピース52と、先端部の雄ねじを有するスクリューマンドレル53とを備える。回転体(図示せず)を回転させ、先端部のスクリューマンドレル53を正逆方向に回転させることができるようになっている。また、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引き込むことができるようになっている。
スクリューマンドレル53の外径は、ブラインドナット20のテーパ部22とストレート部23の貫通孔26の内径より小さく、貫通孔26に挿入することができる。スクリューマンドレル53の雄ねじは、ブラインドナット20の雌ねじ部30の雌ねじ25と螺合することができる外径である。締結工具50は、スクリューマンドレル53を正逆方向に回転させて、スクリューマンドレル53の雄ねじを、ブラインドナット20の雌ねじ部30の雌ねじ25と螺合させ、また螺合を解除することができるようになっている。また、ブラインドナット20のフランジ24をノーズピース52の先端部52eで支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引きこむことができるようになっている。
(取付動作)
図6を参照して、被取付部材41にブラインドナット20を取付ける動作を説明する。図6は、被取付部材41の取付孔43にブラインドナット20をセットし、締結した段階の一部を断面とした正面図である。
締結工具50のスクリューマンドレル53をブラインドナット20の貫通孔26に挿通して、スクリューマンドレル53を正回転させて、スクリューマンドレル53の雄ねじを雌ねじ部30の雌ねじ25に螺合させていく。スクリューマンドレル53の雄ねじが、所定の長さだけ雌ねじ25に螺合したところで、締結工具50のノーズピース52の先端部52eの下面が、ブラインドナット20のフランジ24の上面に当接して、スクリューマンドレル53の回転を停止する。
ブラインドナット20は、被取付部材41の取付孔43に、雌ねじ部30から挿入され、フランジ24の下面が被取付部材41の上面に当接する。締結工具50のノーズピース52の先端部52eの下面を、ブラインドナット20のフランジ24の上面に当接させ支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに本体側に強く引き付ける。このとき、ノーズピース52の先端部52eの下面は、ブラインドナット20のフランジ24を下方に押して支持し、スクリューマンドレル53は、雌ねじ部30を上方へ引き上げる。
ストレート部23は被取付部材41の取付孔43の中にある部分は取付孔43により外径を規制されるので、取付孔43の内径より大きくは拡径することができない。
管状部21は、ストレート部23とテーパ部22の境界が変形しやすいので、ここから拡径していく。
ストレート部23は、被取付部材41の下面の位置から下側の部分が拡径する。ストレート部23とテーパ部22との塑性変形が進み、塑性変形した部分は拡径部27となって、拡径部27とフランジ24との間に被取付部材41が挟まれて固定される。
締結工具50により締結が終わった後、スクリューマンドレル53を逆回転させ、スクリューマンドレル53の雄ねじと、雌ねじ部30の雌ねじ25との螺合を解除していく。ねじの螺合を解除した後、締結工具50を上方へ退避させる。
図7は、ブラインドナット20の取付けが完了し、ブラインドナット20を取付けた被取付部材41から、締結工具50を取り外した状態を示す一部を断面とした正面図である。
フランジ24の下面は傾斜面24kであり、内周部では、フランジ24の下面の傾斜面24kと被取付部材41の上面との間に隙間がある。そのため、ブラインドナット20を締結するとき、フランジ24の外周部が上方に撓む。フランジ24のばね性を生かすことが出来る。ブラインドナット20を強い圧着力で締結することが出来る。被取付部材に対して回転しないブラインドナットが得られる。
ストレート部23とテーパ部22とを有するブラインドナット20を用いると、テーパ部22とストレート部23との境界部から拡径するように塑性変形する。境界部は、被取付部材の表面より下方にあるので、拡径部27は十分大きな外径となるように拡径し、座屈浮きが生じにくい。ストレート部23とテーパ部22があると、拡径の開始位置が決まり、被取付部材41を確実に固定することができる。
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態によるブラインドナット20aの断面図である。ブラインドナット20aについては、第1の実施形態によるブラインドナット20と同じ部分は同じ参照番号により示し、異なる部分のみ参照番号に「a」をつけて示す。
ブラインドナット20aは、フランジ24aの下面に傾斜はついていない。フランジ24aの下面は、外周部はリング状の平面であり、フランジ24aの下面の外周部とストレート部23の間の内周部にはリング状の凹部28aが形成されている。凹部28aは円周方向に沿って一様に形成されている。フランジ24aは、中心軸方向の周りに軸対称である。
フランジ24aの下面に凹部28aが形成されていると、ブラインドナット20aを締結した時、フランジ24aが撓み、第1の実施形態によるブラインドナット20と同様に、強い圧着力で締結することが出来る。
(第3の実施形態)
図9〜11は、本発明の第3の実施形態によるブラインドナット20bを示す。図9はブラインドナット20bの正面図、図10は上面図、図11は図9のB−B線に沿った断面図である。
第3の実施形態によるブラインドナット20bについては、第1の実施形態によるブラインドナット20と同じ部分は同じ参照番号により示し、異なる部分のみ参照番号に「b」をつけて示す。第1の実施形態によるブラインドナット20と異なる部分について説明する。図11に示すように、第3の実施形態によるブラインドナット20bは、フランジ24bと、他部分(管状部21bと雌ねじ部30)とは別の材料で成形され、レーザ溶接により接合されている。
第1の実施形態の一体型のブラインドナット20は、管状部21を塑性変形させて拡径させるとき、割れないようにするため、硬質の金属で形成することが出来ない。そのため、フランジに十分な強度を持たせるためには、フランジ24の厚さを厚くしなければならない。
第3の実施形態のブラインドナット20bは、フランジ24bとそれ以外の部分とを別体で形成し、接合する。そのため、フランジ24bは締結時に塑性変形させないので、硬質金属で形成することが出来、強いバネ性を得ることが出来る。フランジ24bの厚さを薄くすることができ、ブラインドナットの重量を軽くすることができる。
フランジ24bは、ドーナツ形の形状であり、第1の実施形態によるブラインドナット20と同様に、上面は平面、下面は外周部が低くなる傾斜が付いている。フランジ24bの中央部には、断面円形の中央孔が形成され、上部は面取りされて、孔径が大きくなっている。
フランジ24bとは別体である管状部21bと雌ねじ部30について説明する。ストレート部23bの外形は、フランジ24bの中央孔に適合する形状である。ストレート部23bは、円筒形で、上部は外径が広がっている。ストレート部23bの頂部は、フランジ24bの中央孔の面取り形状と合う。ストレート部23bの頂部の外径は23gである。ストレート部23bは、フランジ24bの中央孔内に入り、フランジ24bの上面と、ストレート部23bの上面とは、ほぼ同一平面となる。
ストレート部23bの頂部の外径が広がり、フランジ24bの面取り形状と合っている。ストレート部23bの頂部は、上面まで出ているので、ノーズピース52で直接押すことが出来る。ブラインドナット20bを締結するとき、ストレート部23bをノーズピース52で押すと、押圧力は、フランジ24bにも伝わる。そのため、フランジ24bと、管状部21bと雌ねじ部30とが、外れることはない。
管状部21bと雌ねじ部30は、比較的軟質でバネ性のない金属で形成され、管状部21bを拡径させて拡径部を形成することが出来るようになっている。
フランジ24bは、硬質で強いバネ性を有する金属で形成されている。フランジ24bは、例えば鉄、ステンレス鋼で形成されるのが好ましい。
フランジ24bは、強いばね性を有するので、高い圧着力で、被取付部材に取り付けることが出来る。
フランジ24bと、管状部21bと雌ねじ部30とは、レーザ溶接により接合されている。又は、ろう付け、接着剤等により接合することもできる。
第3の実施形態のブラインドナット20bは、フランジ24bがバネ性のある硬質金属で形成されている。そのため、より強いバネ性を得ることが出来る。ブラインドナット20bを強い圧着力で締結することが出来る。その結果、被取付部材に対して回転しないブラインドナットが得られる。
第3の実施形態のブラインドナット20bについても、第2の実施形態のブラインドナット20aにように、フランジ24bの下面に傾斜をつけず、凹部を形成することもできる。
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態によるブラインドナット20cの正面図である。ブラインドナット20cは、ストレート部23cの外周部にローレット溝29cが形成されている。ローレット溝29cは、凹状の溝であり、外周方向に一定の間隔で、縦方向に延びる。締結装置により締結すると、ローレット溝29c、又は、隣接するローレット溝29cの間の凸部が、被取付部材41の取付孔43の内面、及び、被取付部材41の下面と係合し、ブラインドナット20cは回転しないように保持される。
ブラインドナット20cは、第1の実施形態のブラインドナット20と同様に、フランジ24の下面の傾斜角faが付いている。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の被取付部材に締結する場合は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の被取付部材41の取付孔43のなかで、金属製のストレート部23cは滑りにくく、回転しにくい。そのため、ストレート部23cの外周部にローレット溝29cが形成されているブラインドナット20cを使用すると、特に有効である。
第4の実施形態のブラインドナット20cは、第1の実施形態のブラインドナット20について、ストレート部23cの外周部にローレット溝29cを形成するものである。
第2の実施形態によるフランジ24aの下面に凹部28aが形成されているブラインドナット20aについても、ストレート部23cの外周部にローレット溝29cを形成することが出来る。
第3の実施形態によるフランジ24bと、管状部21bと雌ねじ部30とが別の材料で成形されたブラインドナット20bについても、ストレート部23bの外周部にローレット溝29cを形成することが出来る。
(ノーズピース先端部の形状)
締結工具のノーズピース52の先端部52eの外径が、フランジ24bの外径に近い場合と、フランジ24bの外径より小さい場合について、締結力がどのように異なるか検討する。
図13、図14は、第3の実施形態のフランジ24bと、管状部21bと雌ねじ部30とが別の材料で成形されたブラインドナット20bを締結する場合の締結部の拡大断面図である。図13はフランジ24の外径に近い大きい外径のノーズピース52の先端部52eを使用して締結する場合、図14はフランジ24の外径より小さい外径のノーズピース52の先端部52eを使用して締結する場合を示す。
図13では、ノーズピース52の先端部52eの外径は、フランジ24bの上面の外径とほぼ等しい。ノーズピース52の先端部52eは、フランジ24bの外周部で、力Fwでフランジ24を下方に押す。フランジ24bの下面は傾斜面24kである。フランジ24bの外周部は肉厚が厚く、被取付部材41の取付孔43に当接している。フランジ24bの外周部で、被取付部材41の上面を押しても、フランジ24bはあまり撓まない。
一方、拡径部27は、被取付部材41の取付孔43に近い内周部で、被取付部材41を力Fkで上方へ押す。
ノーズピース52の先端部52eがフランジ24bを下方に押す力Fwと、拡径部27が被取付部材41を上方へ押す力Fkは、作用する場所が異なる。フランジ24bは、ばねとして作用しないので、ブラインドナット20bの圧着力は低い。ブラインドナット20は、被取付部材に対して回転しやすくなる。
図14では、ノーズピース52の先端部52eの外径は、フランジ24bの上面の外径より小さい。ノーズピース52の先端部52e、ストレート部23bを力Fnで下方へ押す。フランジ24bの下面は傾斜面24kである。フランジ24の内周部では、傾斜面24kと、被取付部材41の上面とは隙間があいているので、締結時にフランジ24の内周部を下方へ押すと内周部は下方に撓む。そのため、フランジ24bのばね性を生かすことができる。
一方、ブラインドナット20の拡径部27は、被取付部材41の取付孔43に近い内周部で、被取付部材41を力Fkで上方へ押す。この力Fnと力Fkとは、中心軸から半径方向にほぼ同じ距離の位置で作用するので、強い圧着力で締結することが出来る。
そのため、締結したブラインドナット20bは、回転しにくい。
第1の実施形態の一体のブラインドナット20、第2の実施形態のフランジ24aに凹部28aが形成されたブラインドナット20a、第3の実施形態のストレート部23cの外周部にローレット溝29cが形成されたブラインドナット20cの場合も、フランジ24,24aの外径より小さい外径のノーズピース52の先端部52eを使用すると、フランジ24,24aのばね性を生かすことが出来る。そのため、強い圧着力が働き、締結したブラインドナット20、20a、20cは、回転しにくい。
フランジの上面が斜面の場合は、ノーズピース52の先端部52eの外径がフランジ外径とほぼ等しくても、フランジ24,24aのばね性を生かすことが出来る。そのため、強い圧着力が働き、締結したブラインドナット20、20a、20cは、回転しにくい。
20 ブラインドナット
21 管状部
22 テーパ部
23 ストレート部
23g ストレート部外径
24 フランジ
24k 傾斜面
25 雌ねじ
26 貫通孔
27 拡径部
28a 凹部
29 ローレット溝
30 雌ねじ部
31 第1のストレート部
32 第1のテーパ部
33 第2のストレート部
34 第2のテーパ部
35 第3のストレート部
41 被取付部材
43 取付孔
50 締結装置
52 ノーズピース
52e 先端部
53 スクリューマンドレル

Claims (15)

  1. 内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して取付けるブラインドナットであって、
    前記フランジの下面は、前記フランジの外周部が前記被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面であることを特徴とするブラインドナット。
  2. 請求項1に記載のブラインドナットであって、前記フランジは、中心軸の周りに軸対称であるブラインドナット。
  3. 請求項1又は2に記載のブラインドナットであって、前記フランジの上面も傾斜面であるブラインドナット。
  4. 内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して取付けるブラインドナットであって、
    前記フランジの下面の外周部は平面であり、前記外周部の内側には凹部が形成されていることを特徴とするブラインドナット。
  5. 請求項4に記載のブラインドナットであって、前記フランジは、中心軸の周りに軸対称であるブラインドナット。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載のブラインドナットであって、前記フランジと、前記管状部及び前記雌ねじ部とは、別材料で形成されているブラインドナット。
  7. 請求項6に記載のブラインドナットであって、前記フランジは、前記管状部と前記雌ねじ部より、バネ性のある材料で形成されているブラインドナット。
  8. 請求項6又は7に記載のブラインドナットであって、
    前記フランジの中央部に中央孔が形成され、前記管状部の頂部は、前記フランジの前記中央孔内に配置されるブラインドナット。
  9. 請求項8に記載のブラインドナットであって、
    前記管状部の頂部は、前記フランジの上面と同一平面にあるブラインドナット。
  10. 請求項8又は9に記載のブラインドナットであって、
    前記フランジの前記中央孔の頂部は面取りされ、前記管状部の前記頂部は、前記フランジの前記中央孔の前記頂部の前記面取り形状と合うように外径が大きくなっているブラインドナット。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載のブラインドナットであって、
    前記管状部の外周には、円周方向に一定の間隔で縦方向に延びるローレット溝が形成されているブラインドナット。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のブラインドナットであって、前記管状部は、前記フランジに隣接する円筒形のストレート部と、前記ストレート部から前記雌ねじ部に向かって次第に細くなるテーパ部とを有し、前記ストレート部と、前記テーパ部とは、同じ肉厚であるブラインドナット。
  13. 内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備えるブラインドナットを、前記ブラインドナットの表面を押さえるためのノーズピースと、前記雌ねじ部の前記雌ねじと螺合可能な雄ねじを有し、回転可能なスクリューマンドレルとを備える締結工具を使用して、被取付部材の取付孔に取り付ける取付方法であって、
    前記フランジと、前記管状部及び前記雌ねじ部とは、別材料で形成され、
    前記フランジの中央部に中央孔が形成され、前記管状部の頂部は、前記フランジの前記中央孔内に配置され、
    前記締結工具の前記ノーズピースの先端部の外径は、前記管状部の前記頂部の外径より小さく、
    前記締結工具の前記ノーズピースの先端部で前記管状部の頂部を押さえ、前記スクリューマンドレルを回転させ、前記スクリューマンドレルの前記雄ねじを前記ブラインドナットの前記雌ねじに螺合させ、
    前記スクリューマンドレルを回転させずに引き付け、前記管状部を拡径させ、
    拡径した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を挟持して取付ける、ことを特徴とする取付方法。
  14. 請求項13に記載した取付方法であって、
    前記ブラインドナットの前記フランジの下面は、前記フランジの外周部が前記被取付部材の表面に近づくように傾斜した傾斜面である取付方法。
  15. 請求項13に記載した取付方法であって、
    前記フランジの下面の外周部は平面であり、前記外周部の内側には凹部が形成されている取付方法。
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