JP2018155309A - 温度式膨張弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性の悪化を招くことなく、絞り開度を精度良く調整可能な温度式膨張弁を提供する。【解決手段】内部に高圧冷媒を減圧させる絞り通路50aおよび弁体部53を収容する弁室50bを形成する第1ボデー部51を金属で形成し、内部に低圧冷媒を流通させる低圧冷媒通路50cを形成する第2ボデー部52を樹脂で形成し、低圧冷媒の温度および圧力に応じて弁体部53を変位させるエレメント部54と第1ボデー部51とを互いに固定する固定部材55を第1ボデー部51と同種の金属で形成する。さらに、第1ボデー部51とエレメント部54との間に第2ボデー部52を配置して、固定部材55の一部が低圧冷媒通路50cを貫通するように配置する。これにより、第1ボデー部51および第2ボデー部52を介して外気温がエレメント部54へ伝達させてしまうことを抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクル装置に適用される温度式膨張弁に関する。
従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用される冷媒減圧装置として、ボックス型の温度式膨張弁が知られている。
この種の温度式膨張弁は、ボデー部、弁体部、エレメント部等を備えている。ボデー部は、温度式膨張弁の外殻を形成するとともに、内部に複数の冷媒通路等を形成するものである。弁体部は、ボデー部の内部に収容されて、ボデー部に形成された絞り通路の通路断面積(すなわち、絞り開度)を変化させるものである。エレメント部は、ボデー部に固定されて、弁体部を変位させるものである。
より詳細には、エレメント部は、ボデー部に形成された低圧冷媒通路を流通する低圧冷媒の温度および圧力に応じて変形するダイヤフラムを有している。そして、このダイヤフラムの変形を作動棒等を介して弁体部に伝達することによって、弁体部を変位させる。従って、低圧冷媒の温度および圧力に応じて絞り開度を精度良く調整するためには、エレメント部に低圧冷媒の温度および圧力を適切に伝達する必要がある。
これに対して、特許文献1には、金属よりも熱伝導率の低い樹脂にて形成されたボデー部を備える温度式膨張弁が開示されている。この特許文献1の温度式膨張弁では、樹脂製のボデー部を採用することで、ボデー部を介してエレメント部に雰囲気温度が伝達されてしまうことを抑制して、エレメント部に低圧冷媒の温度を適切に伝達しようとしている。
特開平11−325308号公報
しかしながら、特許文献1の温度式膨張弁のように、樹脂で形成されたボデー部を採用すると、クリープ等の経年劣化によってボデー部に寸法変化が生じてしまうことがある。このような寸法変化は、絞り通路の形状の変化や、絞り通路とエレメント部との相対位置の変化等を招いてしまうので、温度式膨張弁の流量特性を変化させてしまう原因となる。
すなわち、絞り開度を精度良く調整するために、樹脂で形成されたボデー部を採用すると、温度式膨張弁としての耐久性を悪化させてしまう。
本発明は、上記点に鑑み、耐久性の悪化を招くことなく、絞り開度を精度良く調整可能な温度式膨張弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用される温度式膨張弁であって、
高圧冷媒を減圧させる絞り通路(50a)が形成された第1ボデー部(51)と、低圧冷媒を流通させる低圧冷媒通路(50c)が形成された第2ボデー部(52)と、第1ボデー部内に収容されて絞り通路(50a)の通路断面積を変化させる弁体部(53)と、弁体部を変位させるエレメント部(54)と、第1ボデー部とエレメント部とを互いに固定する固定部材(55)と、を備え、
エレメント部は、低圧冷媒通路を流通する低圧冷媒の温度および圧力に応じて弁体部を変位させるものであり、第1ボデー部および固定部材は、金属で形成されており、第2ボデー部は、第1ボデー部および固定部材よりも熱伝達率の低い樹脂で形成されており、
第2ボデー部は、エレメント部と第1ボデー部との間に配置されており、固定部材の少なくとも一部は、低圧冷媒通路内に配置されている温度式膨張弁である。
これによれば、第1ボデー部(51)と固定部材(55)が金属で形成されているので、経年劣化によって絞り通路(50a)の形状が変化してしまうことや、絞り通路(50a)とエレメント部(54)との相対位置が変化してしまうことを抑制することができる。従って、温度式膨張弁の耐久性の悪化を抑制することができる。
さらに、低圧冷媒通路(50c)が形成される第2ボデー部(52)が樹脂にて形成されているので、低圧冷媒通路(50c)を流通する低圧冷媒に外気温が伝達されてしまうことや、第2ボデー部(52)を介して外気温がエレメント部(54)に伝達されてしまうことを抑制することができる。
これに加えて、固定部材(55)の少なくとも一部が、低圧冷媒通路(50c)内に配置されているので、固定部材(55)の少なくとも一部を低圧冷媒の温度に近づけることができる。従って、第1ボデー部(51)および固定部材(55)を介して外気温がエレメント部(54)に伝達されてしまうことを抑制することができる。
その結果、外気温の影響を受けにくく、低圧冷媒の温度および圧力に応じて、絞り通路(50a)の絞り開度を精度良く調整することができる。
すなわち、本請求項に記載の発明によれば、耐久性の悪化を招くことなく、絞り開度を精度良く調整可能な温度式膨張弁を提供することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対向関係を示す一例である。
第1実施形態の温度式膨張弁の断面図である。 図1のII−II断面の一部断面図である。 防振バネの外観斜視図である。 第2実施形態の温度式膨張弁の断面図である。 第2実施形態の変形例の温度式膨張弁の断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る温度式膨張弁5を、空調装置に用いられる蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置1に適用している。冷凍サイクル装置1は、図1に示すように、圧縮機2、放熱器3、レシーバ4、温度式膨張弁5、蒸発器6を環状に接続して構成されたものである。
圧縮機2は、冷媒を吸入し、高圧冷媒となるまで圧縮して吐出するものである。放熱器3は、圧縮機2から吐出された高圧冷媒と外気とを熱交換させ、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる放熱用熱交換器である。レシーバ4は、放熱器3から流出した冷媒の気液を分離して、サイクルの余剰な液冷媒を蓄える受液器である。
温度式膨張弁5は、レシーバ4から流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる減圧装置である。蒸発器6は、温度式膨張弁5にて減圧された低圧冷媒と空調対象空間へ送風される送風空気とを熱交換させて、低圧の液冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
冷凍サイクル装置1では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、圧縮機11から吐出された吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
次に、本実施形態の温度式膨張弁5の詳細構成を説明する。温度式膨張弁5は、第1ボデー部51、第2ボデー部52、弁体部53、エレメント部54等を備えている。温度式膨張弁5は、内部に低圧冷媒の温度および圧力を検知するための低圧冷媒通路50cが形成された、いわゆるボックス型の温度式膨張弁として形成されている。
第1ボデー部51および第2ボデー部52は、温度式膨張弁5の外殻を形成するとともに、内部に複数の冷媒通路等を形成するものである。第1ボデー部51は、角柱状の金属(本実施形態では、アルミニウム)で形成されている。第1ボデー部51は、内部に絞り通路50a、弁室50b等を形成するものである。
絞り通路50aは、冷媒通路の通路断面積を縮小させることによって、レシーバ4から流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させるオリフィスとして機能する冷媒通路である。絞り通路50aは、円柱状あるいは円錐台状等の回転体形状に形成されている。
弁室50bは、絞り通路50aの冷媒流れ上流側に配置されて、弁体部53を収容する空間である。弁室50bは、絞り通路50aよりも径の大きい円柱状に形成されている。絞り通路50aの中心軸と弁室50bの中心軸は、同軸上に配置されている。
弁体部53は、絞り通路50aの中心軸方向へ変位することによって、絞り通路50aの通路断面積を変化させる球体弁である。弁室50bの内部には、弁体部53に対して、絞り通路50aの通路断面積を縮小させる側の荷重をかける弾性部材であるコイルバネ53aが収容されている。
第1ボデー部51の外表面には、レシーバ4から流出した高圧冷媒を弁室50bへ流入させる高圧側入口51a、および絞り通路50aで減圧された低圧冷媒を流出させる蒸発器側出口51bが開口している。さらに、第1ボデー部51には、弁室50bに弁体部53およびコイルバネ53aを収容するための収容穴51cが形成されている。収容穴51cは、コイルバネ53aの荷重を調整する調整ネジ53bによって閉塞されている。
第1ボデー部51と調整ネジ53bとの間には、Oリング等のシール部材が配置されており、第1ボデー部51と調整ネジ53bとの隙間から冷媒が漏れることはない。
第2ボデー部52は、角柱状の樹脂(本実施形態では、PPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂)で形成されている。従って、第2ボデー部52は、第1ボデー部51よりも熱伝達率の低い部材で形成されている。第2ボデー部52は、内部に低圧冷媒通路50c等を形成するものである。
第2ボデー部52は、第1ボデー部51に接触するように配置されている。第1ボデー部51と第2ボデー部52との間には、Oリング等のシール部材が配置されており、第1ボデー部51と第2ボデー部52との隙間から冷媒が漏れることはない。
低圧冷媒通路50cは、蒸発器6から流出した低圧冷媒を流通させる冷媒通路である。低圧冷媒通路50cは、円柱状に形成されている。図1、図2に示すように、低圧冷媒通路50cの中心軸と絞り通路50aの中心軸は、互いに直交するように配置されている。
第2ボデー部52の外表面には、蒸発器6から流出した低圧冷媒を低圧冷媒通路50cへ流入させる低圧側入口52a、および低圧冷媒通路50cを流通した低圧冷媒を圧縮機11の吸入側へ流出させる圧縮機側出口52bが開口している。さらに、第2ボデー部52には、エレメント部54の一部が嵌め込まれる取付穴52c等が形成されている。
エレメント部54は、弁体部53を変位させるための駆動力を出力するものである。エレメント部54は、ケース54a、ダイヤフラム54b等を有している。ケース54aは、椀状(カップ状)の金属(本実施形態では、ステンレス合金)で形成されている。ケース54aは、内部に封入空間541および導入空間542を形成している。
封入空間541は、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入された空間である。本実施形態では、感温媒体として、サイクルを循環する冷媒を主成分とするものを採用している。導入空間542は、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の圧力を導入させる空間である。
ダイヤフラム54bは、ケース54aの内部に配置されて、ケース54aの内部を封入空間541および導入空間542に区画している。換言すると、ダイヤフラム54bは、ケース54aとともに、封入空間541を形成している。
ダイヤフラム54bは、円形薄板状の金属(本実施形態では、SUS304)で形成されており、封入空間541内の感温媒体の圧力と導入空間542内の冷媒圧力との圧力差に応じて変形する。前述の如く、感温媒体の圧力は、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の温度に応じて変化するので、ダイヤフラム54bは、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材である。
ダイヤフラム54bの導入空間542側の面には、円板状のプレート部材を介して、作動棒54cが連結されている。作動棒54cは、円柱状の金属(本実施形態では、ステンレス合金)で形成されている。作動棒54cは、ダイヤフラム54bの変形を弁体部53へ伝達して、弁体部53を変位させるものである。
作動棒54cは、防振バネ54dによって、絞り通路50aの中心軸方向へ摺動可能に支持されている。防振バネ54dは板状の金属(本実施形態では、ステンレス合金)を円筒状に湾曲させることによって形成されたものである。防振バネ54dは、図3に示すように、円環状部54e、および複数(本実施形態では3つ)の腕部54fを有している。
円環状部54eは、弾性的に外径を変化させることができ、圧入等の手段によって第1ボデー部51に固定されている。さらに、本実施形態の防振バネ54dは、防振バネ54dの中心軸と絞り通路50aの中心軸が同軸上に配置されるように、第1ボデー部51に固定されている。
腕部54fは、円環状部54eに形成された切り起こし部を内周側(すなわち、中心軸側)へ折り曲げることによって形成されている。腕部54fは、中心軸方向から見たときに等角度間隔に配置されている。そして、作動棒54cを防振バネ54dの中心部へ挿入すると、それぞれの腕部54fの先端部が作動棒54cの外周面に接触する。
このように作動棒54cが、それぞれの腕部54fに接触することによって、作動棒54cの中心軸径方向への変位が規制される。その結果、作動棒54cは、絞り通路50aの中心軸方向へ摺動可能に支持される。
さらに、防振バネ54dは、作動棒54cの中心軸方向の変位に伴って、弁体部53も絞り通路50aの中心軸方向へ変位する時に、腕部54fと作動棒54cが摺動することによって、変位を抑制する方向に荷重を発生させる。この荷重により、弁体部53が軸方向に微小振動してしまうことを抑制することができる。
また、エレメント部54のケース54aの導入空間542側を形成する部位には、ネジ部が形成されている。このネジ部は、第1ボデー部51に連結された固定部材55にネジ締結されている。これにより、エレメント部54と第1ボデー部51が互いに固定されている。本実施形態の固定部材55は、第1ボデー部51と一体的に形成されている。従って、固定部材55は、第1ボデー部51と同じ種類の金属で形成されている。
固定部材55は、円筒状に形成されている。固定部材55は内部に作動棒54cを収容するように、作動棒54cの周囲に配置されている。さらに、固定部材55は、図1、図2に示すように、低圧冷媒通路50cを貫通するように配置されている。換言すると、固定部材55の少なくとも一部は、低圧冷媒通路50c内に配置されている。
固定部材55の外周面には、その内外を連通させる複数(本実施形態では、等角度間隔に4つ)の均圧穴55aが形成されている。固定部材55の内部には、均圧穴55aを介して流入した低圧冷媒を、エレメント部54の導入空間542側へ導く連通路55bが形成されている。これにより、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒が導入空間542へ導かれる。
そして、導入空間542へ導かれた低圧冷媒の温度が、ダイヤフラム54bを介して、封入空間541内の感温媒体に伝達される。
さらに、エレメント部54は、固定部材55に固定されることによって、第2ボデー部52に接触する。このため、第2ボデー部52は、エレメント部54と第1ボデー部51との間に挟まれるように配置されている。エレメント部54と第2ボデー部52との間には、Oリング等のシール部材が配置されており、エレメント部54と第2ボデー部52との隙間から冷媒が漏れることはない。
次に、本実施形態の温度式膨張弁5の製造方法について説明する。まず、上述した第1ボデー部51、第2ボデー部52、弁体部53、エレメント部54を用意する。この際、第1ボデー部51として、固定部材55が固定あるいは一体化されているものを用意する。また、エレメント部54として、作動棒54cが連結されているものを用意する。
次に、第1ボデー部51の弁室50b内に、弁体部53、コイルバネ53a等を収容する。その後、調整ネジ53bをネジ止めすることによって、第1ボデー部51の収容穴51cを閉塞する(弁体部収容工程)。
次に、第1ボデー部51に連結された固定部材55が、第2ボデー部52の低圧冷媒通路50c内を貫通するように、第2ボデー部52に固定部材55を嵌め込む(第2ボデー部取付工程)。
次に、エレメント部54の作動棒54cを固定部材55の内部に挿入する。そして、エレメント部54のケース54aを、固定部材55の先端部に形成されたネジ部にネジ締結する。この際、エレメント部54のケース54aの一部が、第2ボデー部52の取付穴52cに嵌め込まれるようにネジ止めする(エレメント部取付工程)。
これにより、第1ボデー部51とエレメント部54が互いに固定されるだけでなく、第2ボデー部52が、第1ボデー部51とエレメント部54との間に挟持される。従って、第1ボデー部51、第2ボデー部52、およびエレメント部54が互いに固定される。その後、調整ネジ53bによって、コイルバネ53aが弁体部53に付勢する荷重を適切な値に調整する(荷重調整工程)。これにより、温度式膨張弁5が製造される。
次に、本実施形態の作動について説明する。圧縮機2が作動すると、圧縮機2にて圧縮された高圧冷媒が放熱器3へ流入する。放熱器3では、高圧冷媒が外気に放熱して凝縮する。放熱器3にて凝縮した高圧液相冷媒は、レシーバ4を介して、温度式膨張弁5の高圧側入口51aへ流入する。この際、サイクルの余剰な液冷媒は、レシーバ4に蓄えられる。
温度式膨張弁5では、蒸発器6出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度(本実施形態では、5℃)となるように、エレメント部54が弁体部53を変位させて、絞り通路50aの通路断面積(すなわち、絞り開度)を変化させる。
より具体的には、蒸発器6出口側冷媒の過熱度の上昇に伴って、低圧冷媒通路50cを流通する冷媒の温度(過熱度)が上昇すると、固定部材55の均圧穴55aおよび連通路55bを介して、導入空間542内へ流入する冷媒温度が上昇する。これにより、封入空間541内の感温媒体の圧力が上昇する。
このため、蒸発器6出口側冷媒の過熱度が上昇すると、ダイヤフラム54bが封入空間541を拡大させる側に変形する。この変形に伴って、作動棒54cが変位すると、弁体部53が絞り通路50aの入口部から離れる側へ変位する。換言すると、弁体部53が絞り通路50aの絞り開度を増加させる側へ変位する。
一方、蒸発器6出口側冷媒の過熱度の低下に伴って、低圧冷媒通路50cを流通する冷媒の温度(過熱度)が低下すると、固定部材55の均圧穴55aおよび連通路55bを介して、導入空間542内へ流入する冷媒温度が低下する。これにより、封入空間541内の感温媒体の圧力が低下する。
このため、蒸発器6出口側冷媒の過熱度が低下すると、ダイヤフラム54bが封入空間541を縮小させる側に変形する。この変形に伴って、作動棒54cが変位すると、コイルバネ53aの荷重によって、弁体部53が絞り通路50aの入口部へ近づく側へ変位する。換言すると、弁体部53が絞り通路50aの絞り開度を減少させる側へ変位する。
つまり、温度式膨張弁5では、蒸発器6から流出した冷媒の温度および圧力に応じて、弁体部53を変位させることができる。そこで、本実施形態の温度式膨張弁5では、蒸発器6から流出した冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように、弁体部53を変位させている。基準過熱度は、調整ネジ53bによって、コイルバネ53aの荷重を調整することで変更することもできる。
温度式膨張弁5にて減圧された低圧冷媒は、温度式膨張弁5の蒸発器側出口51bから流出して蒸発器6へ流入する。蒸発器6へ流入した低圧冷媒は、送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。蒸発器6から流出した冷媒は、温度式膨張弁5の低圧側入口52aから低圧冷媒通路50cへ流入する。低圧冷媒通路50cを流通した冷媒は、圧縮機側出口52bから流出して圧縮機11へ吸入され、再び圧縮される。
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、以上の如く作動して、送風空気を冷却することができる。この際、本実施形態の温度式膨張弁5によれば、蒸発器6出口側冷媒の過熱度を適切な値に調整することができる。これにより、蒸発器6にて冷媒を充分に蒸発させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができるとともに、圧縮機2の液圧縮の発生を抑制することができる。
ここで、温度式膨張弁5の絞り開度を、蒸発器6から流出した低圧冷媒の温度および圧力に応じて精度良く調整するためには、エレメント部54の封入空間541内の感温媒体に、蒸発器6から流出した低圧冷媒の温度および圧力を適切に伝達する必要がある。
そこで、例えば、第1ボデー部51および第2ボデー部52を、金属よりも熱伝導率の低い樹脂にて形成することが考えられる。その理由は、第1ボデー部51および第2ボデー部52の双方を樹脂にて形成することで、第1ボデー部51および第2ボデー部52を介して外気温が感温媒体に伝達されてしまうことを抑制することができるからである。
ところが、第1ボデー部51および第2ボデー部52の双方を樹脂にて形成してしまうと、クリープ等の経年劣化によって第1ボデー部51および第2ボデー部52に寸法変化が生じてしまうことがある。このような寸法変化は、温度式膨張弁5の流量特性を変化させてしまい、温度式膨張弁5の耐久性を悪化させてしまう原因となる。
これに対して、本実施形態の温度式膨張弁5によれば、第1ボデー部51と固定部材55が金属で形成されているので、経年劣化によって絞り通路50aの形状が変化してしまうことや、絞り通路50aとエレメント部54との相対位置が変化してしまうことを抑制することができる。従って、温度式膨張弁5の耐久性の悪化を抑制することができる。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、低圧冷媒通路50cが形成される第2ボデー部52が樹脂にて形成されているので、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒に外気温が伝達されてしまうことや、第2ボデー部52を介して外気温がエレメント部54の感温媒体に伝達されてしまうことを抑制することができる。
これに加えて、固定部材55の少なくとも一部が、低圧冷媒通路50c内に配置されているので、固定部材55の少なくとも一部を低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の温度に近づけることができる。
より詳細には、第1ボデー部51から固定部材55を介してエレメント部54へ外気温を伝達する伝達経路の少なくとも一部を、低圧冷媒通路50cを流通する低圧冷媒の温度に近づけることができる。従って、第1ボデー部51および固定部材55を介して外気温がエレメント部54の感温媒体に伝達されてしまうことを抑制することができる。
その結果、本実施形態の温度式膨張弁5によれば、耐久性の悪化を招くことなく、蒸発器6から流出した冷媒の温度および圧力に応じて絞り開度を精度良く調整することができる。
また、本実施形態の温度式膨張弁5では、樹脂で形成された第2ボデー部52に、低温の低圧冷媒が流通する低圧冷媒通路50cが形成されている。このため、第2ボデー部52の温度上昇が少なく、第2ボデー部52に要求される耐熱性も低くなる。従って、第2ボデー部52として、比較的安価で加工し易い樹脂材料で形成されたものを採用することができる。
また、本実施形態の温度式膨張弁5では、第2ボデー部52を第1ボデー部51とエレメント部54との間に配置している。従って、固定部材55を介して、第1ボデー部51とエレメント部54を固定することによって、第2ボデー部52を挟持することができ、第2ボデー部52を容易に固定することができる。
また、本実施形態の温度式膨張弁5では、筒状の固定部材55を採用して、作動棒54cの外周側に配置している。従って、固定部材55を設けても、温度式膨張弁5全体としての大型化を招くことがない。さらに、固定部材55を、容易に低圧冷媒通路50cを貫通するように配置することができる。
また、本実施形態では、固定部材55の筒状側面に均圧穴55aを形成するとともに、固定部材55の内部に連通路55bを形成している。従って、導入空間542内の冷媒圧力および冷媒温度を速やかに変化させることができる。そして、封入空間541内の感温媒体に低圧冷媒の温度を速やかに伝達することができる。その結果、絞り開度をより一層精度良く調整することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図4に示すように、固定部材55および第2ボデー部52を変更した例を説明する。なお、図4では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
本実施形態の固定部材55は、第1ボデー部51に対して別部材で形成されている。本実施形態の固定部材55は、第1ボデー部51と同じ種類の金属で形成されている。本実施形態の固定部材55は、エレメント部54の反対側の端部が第1ボデー部51にネジ締結されている。
また、本実施形態の防振バネ54dは、固定部材55の連通路55b内に配置されている。また、本実施形態の第2ボデー部52では、低圧冷媒通路50c、低圧側入口52a、および圧縮機側出口52bの内径が、第1実施形態と異なるもの(本実施形態では、小さいもの)を採用している。
その他の構成および作動は、第2実施形態と同様である。従って、本実施形態の温度式膨張弁5においても、耐久性の悪化を招くことなく、蒸発器6から流出した冷媒の温度および圧力に応じて絞り開度を精度良く調整することができる。
また、本実施形態では、連通路55b内に防止バネ54dを配置しているので、連通路55b内の空間を有効に活用することができる。さらに、図5に示すように、連通路55b内に防止バネ54dを複数個(図5に示す変形例では、2個)配置してもよい。これによれば、絞り通路50aの中心軸と作動棒54cの中心軸との同軸度を向上させることができ、絞り開度をより一層精度良く調整することができる。
また、本実施形態では、第2ボデー部52を変更しているので、第1ボデー部51、エレメント部54等を変更することなく、低圧側入口52aおよび圧縮機側出口52の内径を変更することができる。つまり、温度式膨張弁5では、第1ボデー部51と第2ボデー部52が別部材で形成されているので、いずれか一方を変更することによって、配管径の異なる幅広い冷凍サイクル装置に適用することができる。
さらに、本実施形態の低圧冷媒通路50cは円柱状に形成されているので、低圧側入口52aへ流入する冷媒の流入方向(すなわち、低圧側入口52aを形成する開口穴の軸線方向)と圧縮機側出口52bから流出する冷媒の流出方向(すなわち、圧縮機側出口52bを形成する開口穴の軸線方向)が一致している。
これに対して、低圧冷媒通路50cを湾曲した形状に形成することで、低圧側入口52aへ流入する冷媒の流入方向と圧縮機側出口52bから流出する冷媒の流出方向とを異なる方向とすることができる。従って、温度式膨張弁5は、配管取付位置の異なる幅広い冷凍サイクル装置に適用することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、冷凍サイクル装置の冷媒として、冷媒としてR134aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R1234yf、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用してもよい。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
従って、感温媒体の主成分もR134aに限定されない。例えば、感温媒体として、複数種の冷媒を混合したものを採用してもよいし、冷媒に、ヘリウムや窒素等の不活性ガスを加えたものを採用してもよい。
(2)上述の実施形態では、温度式膨張弁5の製造方法の一例を説明したが、第2ボデー部取付工程の後に、エレメント部取付工程を実施することで、第1ボデー部51、第2ボデー部52、およびエレメント部54を容易に固定することができる。従って、各工程の順序は、上述の実施形態に開示した順序に限定されない。例えば、弁体部収容工程は、エレメント部取付工程の後に実行してもよい。
(3)上述の第2実施形態では、固定部材55と第1ボデー部51とをネジ締結によって固定した例を説明したが、固定部材55と第1ボデー部51との固定態様はこれに限定されない。例えば、固定部材55を第1ボデー部51に圧入によって固定してもよいし、接着、溶接等の接合手段を用いて固定してもよい。
(4)本発明に係る温度式膨張弁5の適用は、上述の実施形態に開示された冷凍サイクル装置1に限定されない。
例えば、圧縮機にて昇圧過程の冷媒に中間圧冷媒を合流させる、いわゆるガスインジェクションサイクルを構成する冷凍サイクル装置に適用してもよい。この場合は、例えば、高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる高段側減圧装置として用いてもよいし、中間圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる低段側減圧装置として用いてもよい。
また、冷媒減圧装置としてエジェクタを備える、いわゆるエジェクタ式冷凍サイクルを構成する冷凍サイクル装置に適用してもよい。この場合は、例えば、エジェクタのノズル部へ流入させる冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる中間圧減圧装置として用いてもよい。
5 温度式膨張弁
51 第1ボデー部
52 第2ボデー部
53 弁体部
54 エレメント部
54a ダイヤフラム(変形部材)
54c 作動棒
55 固定部材
55a 均圧穴
55b 連通路

Claims (3)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用される温度式膨張弁であって、
    高圧冷媒を減圧させる絞り通路(50a)が形成された第1ボデー部(51)と、
    低圧冷媒を流通させる低圧冷媒通路(50c)が形成された第2ボデー部(52)と、
    前記第1ボデー部内に収容されて前記絞り通路の通路断面積を変化させる弁体部(53)と、
    前記弁体部を変位させるエレメント部(54)と、
    前記第1ボデー部と前記エレメント部とを互いに固定する固定部材(55)と、を備え、
    前記エレメント部は、前記低圧冷媒通路を流通する低圧冷媒の温度および圧力に応じて前記弁体部を変位させるものであり、
    前記第1ボデー部および前記固定部材は、金属で形成されており、
    前記第2ボデー部は、前記第1ボデー部および前記固定部材よりも熱伝達率の低い樹脂で形成されており、
    前記第2ボデー部は、前記エレメント部と前記第1ボデー部との間に配置されており、
    前記固定部材の少なくとも一部は、前記低圧冷媒通路内に配置されている温度式膨張弁。
  2. 前記エレメント部は、前記低圧冷媒通路を流通する低圧冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材(54b)、および前記変形部材の変形を前記弁体部に伝達する柱状の作動棒(54c)を有し、
    前記固定部材は、筒状に形成されて前記作動棒の周囲に配置されている請求項1に記載の温度式膨張弁。
  3. 前記固定部材の外周面には内外を連通させる均圧穴(55a)が形成されており、
    前記固定部材の内部には、前記低圧冷媒を前記エレメント部側へ導く連通路(55b)が形成されている請求項2に記載の温度式膨張弁。
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