JP2018155282A - ネジシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】雄ネジと雌ねじを利用したネジ締結システムにおいて、雄ネジと雌ねじの螺合開始から締結力が生じるまでの空回しを減らし、締結完了までまでの作業と、緩めて雄ネジから雌ねじを取り外すまでの締結解除の作業のいずれも最小の空回しで完了させるネジシステムを実現する。
【解決手段】ナット1と雄ネジ体2とを有し、ナット1は中央にナット孔を有し、ナット孔は円周方向のn箇所に第1の領域と第2の領域とが交互に形成され、雄ネジ体2は、円周方向のn箇所に第3の領域と第4の領域とが交互に形成され、ナット孔に雄ネジ体を挿入する場合、第1の領域は第4の領域を挿入させると共に、第2の領域は第3の領域を挿入させ、第1の領域と第3の領域領域は、互いに螺合する雌ネジ部と雄ネジ部が造成された、ネジシステム。
【選択図】図1

Description

雄ネジと雌ネジによって所望の締結力で固定し、着脱可能を求められる用途に広く一般的に使用される。
しかし、所定の締結状態を得る前に締結位置に被締結体3の厚みまで螺合距離Dを縮め移動させるための空回しが必要で、締結動作に入る前の面倒な作業であった。
特に野外で夜の雨天時などで自動車のタイヤの交換が必要な場合は、特に速やかな締結解除と再締結が求められる。
また、振動衝撃が激しい環境で使用されると、ネジの締結が緩みが生じる場合が有り、自動車の使用環境もこの部類にあたり、事故の危険がある。ネジの締結の緩みへの対応として、順ネジ締結後に逆ネジ締結することを元にした緩み防止締結システムの発明があった。これはネジの締結が緩み対策として優れた効果が期待できるが、ナットが増え、締結状態以前の空回りがそれだけ多く必要とされる。
特許番号 P5406168 両ネジ体及び雌ネジ体
雄ネジと雌ネジとの相対的な回動を最小とし、ネジの締結作業や締結解除作業を完了できるネジ締結システムを提供する。緩み防止に効果が期待できる順ネジナットと逆ネジナット逆ネジ締結システムにも適用できる。
第1の発明は、ナット1と雄ネジ体2とを有し、
ナット1は中央にナット孔10を有し、ナット孔10は円周方向のn箇所(n=1,2,3,・・・)に第1の領域11と第2の領域12とが交互に形成され、雄ネジ体2は、円周方向のn箇所(n=1,2,3,・・・)に第3の領域21と第4の領域22とが交互に形成され、
ナット孔10に雄ネジ体を挿入する場合、第1の領域11は第4の領域22を挿入させると共に第2の領域12は第3の領域21を挿入され、第1の領域11と第3の領域21は、互いに螺合する雌ネジ部11sと雄ネジ部21sが造成される、ネジシステム。
第2の発明は第1の発明を基に、ナット1を所定位置まで雄ネジ体2に挿入した後回動により螺合を開始させた時の雄ネジ体の頭2fとの螺合距離Dと、ナット1を裏返して雄ネジ体2に差挿入した後回動により螺合を開始させた時の雄ネジ体の頭2fとの螺合距離dと、において、螺合距離Dと螺合距離dとの差がピッチの整数倍でない、ネジシステム。
第3の発明は 第1、2の発明を基に、第3の領域21及び第4の領域22は雄ネジ体2の先端部2eから所定の位置Seまで造成され、雄ネジ体2の頭2f近傍より前記所定の位置Seまで雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが造成され、雄ネジ部21sと雌ねじ部11sが螺合すると共に雄ネジ部2aとも螺合する、ネジシステム。
第4の発明は第1、2,3の発明を基に、ナット1は順ネジナット1aと逆ネジナット1bの対であって、前記順ネジナット1aは第1の領域11に造成された 順雌ネジ部11aを有し、逆ネジナット1bは第1の領域11に造成された逆雌ネジ部11bを有し、雄ネジ体2は順雄ネジ部1aと緩衝部21cと逆雄ネジ部21bとを有し、順雄ネジ部21aは順雌ネジナット1aと螺合し、逆雄ネジ部1bは前記逆ネジナット1bと螺合する、ネジシステム。
第5の発明は第4の発明を基に、雄ネジ体2は雄ネジ体2の頭2f近傍より所定の位置Seまで雄ネジ部2aが造成されていて、雄ネジ部21aと雌ねじ部11aと螺合すると共に雄ネジ部2aとも螺合する 、ネジシステム。
第6の発明は第1、2,3,4,5の発明を基に、ナット1と雄ネジ体2は、互いに螺合する多条ネジを有する、ネジシステム。
第1の発明により、ナット1を雄ネジ体2に被締結体3の厚さt近傍まで回動無しに挿入できる。回動すると螺合が得られ、僅かな空回りの後に締結動作に入り、締結作業が速やかに完了する。締結解除作業も同様に速やかに完了する。
第2の発明により、螺合後の空回しが多すぎる時にナットを裏返して再締結作業をすることで、空回しを少なく出来、螺合適正位置で螺合が完了とできる。
第3の発明により、雄ネジの条の実効的な全長が長く出来るので、大きな締結力が必要な時の締結に優れた能力を発揮する。
第4の発明により、順ネジでの締結後に逆ネジでの締結が可能となり、ネジの緩み防止効果が期待でき、悪環境での使用が可能となる。
第5の発明により、大きな締結力を有する順ネジでの締結後に逆ネジでの締結が可能となり、ネジの緩み防止効果が期待でき、悪環境での使用が可能となる。
第6の発明により、1/(多条ねじの条数q)回転で1ピッチだけ螺合間距離Dが増減するので、螺合が確実に完了とできる。
発明の第1の形態を説明する図 (a)ナットと雄ネジ体の斜視図 (b)ナットを雄ネジ体の組図 (c)ナットを雄ネジ体の立面図 ナット孔で表すネジの曲げモーメントが生じない例 (a)繰り返し数n=2、点対照径 (b)繰り返し数n=3、回転対照径, (c)繰り返し数n=3、線対称 ナット孔で表すネジの曲げモーメントを発生させる例 (a)繰り返し数n=1 (b)繰り返し数n=2、非対照 (c)繰り返し数n=3、非対照 ネジの厚さjとkで空回り量が変わる図 (a)ナット雄ネジの模式図 (b) ナットを裏返した時の雄ネジの模式図 発明の第3の形態を説明する図 (a)Seから根本の雄ネジ部2a 発明の第4の形態を説明する図 (a)対ナットと雄ネジ体と被締結体の図 (b)締結完了時の組付け図 発明の第5の形態を説明する図 (a)対ナットと雄ネジ体と被締結体の図 (b)組付け途中の想像図 (b)締結完了時の組付け図 発明の第6の形態を説明する図 (a)2条ネジの締結完了図 (b)3条ネジの締結完了図 自動車のタイヤ交換作業を説明する図 (a)タイヤ交換のためのハブに取り付けられたタイヤを示す自動車の図 (b)ハブから出ているスタッドボルトの図 スタッドボルトとナットの具体的な角度の例 (a)スタッドボルトとナットの領域1,2,3,4の角度の図 第3の領域に設けられる緩衝部21cが両ネジ体である例 (a)締結に関わる主要部品の図 (b)緩衝部21cが両ネジ体である雄ネジ体の図
[発明を実施するための第1の形態]
図1が本発明の第1の実施の形態のネジシステムである。ナット1と雄ネジ体2とを使用したネジシステムである。図1(a)に示すように、ナット1は中央にナット孔10を有し、ナット孔10は円周方向に第1の領域11と第2の領域12とが形成されている。雄ネジ体2は、円周方向に第3の領域21と第4の領域22とが形成されている。ナット孔10に雄ネジ体2を挿入する場合、第1の領域11に第4の領域22を挿入させると共に、第2の領域12に第3の領域21を挿入させる。第1の領域11と第3の領域領域21には、互いに螺合する雌ネジ部11sと雄ネジ部21sが造成される。
このような大きさ関係と位置関係により、雄ネジ体2は被締結体3を介してナット1をはめて、締結位置直前までナット1を回動なしに移動させることができる。これをず(b)に示す。その後回動すると螺合が開始し、螺合距離Dが縮んで行き被締結体の厚さtに達すると締結動作が始まる。更に回動が進むと所定の締結力Fbが生じ締結完了となる。これを示したものが図1(c)である。
図1(c)に示す様に螺合が安全に完了したことを簡単に目視で確認できる。即ち、領域12が領域21から完全に別々の領域になったことが目視で簡単にわかる。この状態を安全領域と呼ぶ。
この一連の動作は、螺合が始まってから1回転未満所定の回転で所望の締結状態に達する必要がある。1回転した位置は螺合が外れた位置となる。そのためには空回し量φ0が少ないことが求められる。また、螺合開始位置が最適でなかった時、ピッチの整数倍の位置にしか変更できない、という特徴がある。
加えて、被締結体3は剛性の高いものが望ましい。剛性の高い被締結体3の場合は締結力発生から所望の締結力Fbが得られるまでの回動は数分の1回転とすることはできる。柔らかい被締結体3の締結を行うと、ネジの1回転では所望の締結力が得られない場合があり、適用できない場合がとなる。
よって、被締結体3の厚さに合った適正な螺合開始位置を有する雄ネジシステムを設計製造することが求められる。
図1(b)のネジシステムは締結力がFbであるとき、同時に雄ネジには曲げモーメントMが生じている。締結力Fbがネジの軸から離れている寸法に応じて雄ネジの曲げモーメントMは変わる。
曲げモーメントMをなくす方法が図2に示すように第1,2,3,4の領域を繰り返し設けて対称に配置する方法が有効である。繰り返し数n=2,3,4の場合を図2(a)、(b),(c)に示す。図2では雌ネジのナット孔10だけを示している。このようにすることでねじ山を介して伝達される合成された締結力はネジの中心軸と同じ位置と出来、結果として曲げモーメントMをゼロとできる。
図2(a)、(b)に示すように、螺合が外れるのは繰り返し数n=2の時は1/2回転、繰り返し数n=3の時は1/3回転となる。図2(c)に示す例では、N=3であるが、螺合が3箇所とも外れるのは1回転で、回動途中は3箇所のうち1つが外れることしかないが特徴の1つである。
ネジの締結力が中心から移動することで曲げモーメントMを生じさせることもできる。例として図3に示す。図3でも図2と同様に、雌ネジのナット孔10だけを示している。図3(a)が繰り返し数n=1であり図1の例がこれの含まれる。図3(b)はn=2の場合、図3(c) n=3の場合の例である。繰り返し数nが複数であっても、螺合が3箇所とも外れるのは、1回転で回動途中は1つしか外れるが全部は外れない様にできる。
[発明を実施するための第2の形態]
第2の実施の形態のネジシステムは第1の形態の構成を基にしているが、ナット1の厚さを適切にしすることで、締結動作に入る前の空回し量φ0を1/2回転未満とできる。これを図4に示す雌ネジと雄ネジの螺合図を用いて説明する。図にあるネジは普通のネジで描かれている。図4(a)でナットの厚さがjのものが良く、kのものになる場合との比較をする。図に示す様にナット1の厚さがjとkでは1/2ピッチ違う。ナット1を裏返して螺合させた時が図4(b)である。2つの図で明らかなように、jの厚さの時は螺合距離Dとdでは1/2ピッチ違っている。kの厚さの時は螺合距離Dは同じ又はピッチの整数倍の差となる。即ち、ナットの空回し量φ0が1/2回転以上で締結完了時に安全領域からずれる時に、ナットを裏返すだけで、空回し量φ0を1/2回転未満とでき、締結完了時に安全領域内とできる。
[発明を実施するための第3の形態]
図5が本発明の第3の実施の形態である。第1の形態の構成を基にし、第3の領域21及び第4の領域22は雄ネジ体2の先端部2eから所定の位置Seまで造成されている。雄ネジ体2の頭2f近傍より所定の位置Seまで雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが造成され、雌ねじ部11sは雄ネジ部21sと螺合すると共に雄ネジ部2aとも螺合する。
これにより、雄ネジ体2は被締結体3を介してナット1をはめて、雄ネジ体の端部体より所定の場所Seまでナット1を回動なしに移動させることができる。そののちナット1を回動すると、雄ネジ体2の雄ネジ条を設ける第3の領域21のネジ部21sが螺合を開始し、速やかに雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが螺合を開始する。螺合距離Dが縮んで行き被締結体の厚さに達すると締結力の発生が始まる。更に回動が進むと所定の締結力Fbが生じ締結完了となる。
この一連の動作は、螺合が始まってから速やかに雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが螺合を始めるので、1回転未満所定の回転で所望の締結状態に達する必要が無くなる。締結力を与えるネジの接触面積を増やすことが出来、より大きな締結力が得られる。図1に示す発明の第1の形態より空回しの量は増えるが、それでも従来よりも空回し量は格段に少なく、大きな締結力を得たいときに有用である。
[発明を実施するための第4の形態]
図6が本発明の第4の実施の形態である。第1の形態の構成を基にし、ナット1は、右ネジナット1aと左ネジナット1bの対である。右ネジナット1aは第1の領域11に右雌ネジが造成された右ネジナット部11aを有している。左ネジナット1bは第1の領域11に左雌ネジが造成された左ネジナット部11bを有している。雄ネジ体2の第3の領域21に設けられる雄ネジ部21sは、右雄ネジ部21aと緩衝部21cと左雄ネジ部21bとを有する。右雌ネジナット1aは右雄ネジ部21aと螺合し、左ネジナット1bは左雄ネジ部21bと螺合する。緩衝部21cは右雄ネジ部21aと左雄ネジ部21bの間に位置し、右ネジナット1aと左ネジナット1bのいずれの動作も妨げない。
これにより、雄ネジ体2に被締結体3を介して右ネジナット1aを回動なしに締結力発生前まで移動できる。この位置で回動すると直ちに螺合が開始する。ここからは第1図の時と同様に所定の締結力を発生さた後、左ネジナット1bで同様に締結作業を完了させる。第1図の時と同様に締結作業は1回転未満で終了することが求められる。
右ネジナット1aの締結作業で所定の締結力Fbが得られた時、左ネジナット1bの締結作業で締結力Fbの半分以下の力で良い。もし、左ネジナット1bの締結作業で締結力Fbとすると、右ネジナット1aは締結力=0になり効率的に働いていない。後から締め付けるナットは、所定の締結力Fbの半分程度以下とするなどで、各部位部品が十分な働きを分担するようになる。
これにより、確かなネジの緩み防止効果が得られる。
[発明を実施するための第5の形態]
図7が本発明の第5の実施の形態である。第3の発明の形態を基にしている点を除けば、動作と構成と効果は第4の発明の形態と概ね同様である。即ち、右ネジナット1aの締結作業において所定の締結力Fbを発生させるまでの回動数が増える点である。しかし、第3の発明の形態を基としているので、右ネジナット1aの締結作業完了は1回転未満の必要がない。そののちの左ネジナット1bの締結作業は、1回転未満で完了する必要は残っているが、第2の発明の形態を適用することで解決できる。
発明を実施するための第4の形態でも説明したが、右ネジナット1aは左ネジナット1bより大きい締結力を受け持つほうが各部品が十分な働きを持つようになるので、右ネジナット1aのほうがネジ条の螺合長が長く、それだけ左ネジナットより大きい力を発生できる。
これにより、ネジの緩み防止効果がより確実に得られる。悪環境に適用した場合、衝撃などが原因でネジがゆるもうとする力が発生するが、右ネジナット1aと左ネジナット1bは、緩む回転方向が互いに逆であるのでお互いが動きを相殺する効果がある。
第4あるいは第5の発明の実施形態いおいて、右ネジナット1aと前記左ネジナット1bは互いに接近させて結合させる結合手段が設けることは有益である。ナット間の距離を一定に保つ手段が有効であるし、2つのナットで一体となって回動を拘束する手段も有効である。
[発明を実施するための第6の形態]
発明を実施するための第6の形態は、第1,2,3,4あるいは第5の発明を基にしている。ナット1と雄ネジ体2は、ネジの条がq本有り1回転するとqピッチ移動する多条ネジを有する。
雄ネジ止めねじの螺合完了時を図8に示す。これにより、螺合開始より締結完了までの総回転数が1回転の場合は螺合がはずれて締結作業が失敗となったが、必要だった回動量を1/Q回動と出来、螺合の解除は起きない。図8(a)条数q=2の場合、図8(b)に条数q=3の場合を示す。 螺合開始位置が1ピッチずれた場合、図8(a)の場合では180度、図8(b)の場合では120度 づつ螺合完了位置がずれていく。これにより、締結完了時に安全領域からはみ出した時でも螺合開始位置を1ピッチずらすことで安全領域内での螺合完了とできる。さらに、締結作業完了前に螺合が解除される場合であっても、そのまま再度回動を与え螺合を開始させれば、初期の騾合位置ではなくqピッチ進んだ位置からとなるので、位置訂正動作とみなすことが出来、そのまま続ければ螺合完了とできる。また、回動に対する螺合距離Dの移動量がq倍となるので、締結作業がより効率的にできる。
[発明を実施するための第7の形態]
自動車のタイヤ取り付けに適用したネジシステムの例を図9に示す。図9(a)は、車両4において、タイヤ5のホイール42がハブ41に設けられた4本のスタッドボルト43に1条右ネジナット44と3条左ネジナット45で固定されている。図10(b)はハブ41から突き出ているスタッドボルト43の構造を示している。突き出たスタッドボルト43に雄ネジ条を設ける第3の領域21が先端部2eから所定の場所Seまで続いている。領域21の雄ネジ部21sには雄ネジ先端部2eから所定の位置Seまで連続して3条左雄ネジ部47、緩衝部21c、1条雄ネジ部46が造成されている。
所定の位置Se先から雄ネジ体2の頭2f近傍までには全周に渡る雄ネジ部2aが続いている。雄ネジ部2aには1条雄ネジ部46と同じ1条ネジが切られている。ハブ41にホイール42を圧接した時、所定の位置Seは目視可能な位置で、且つ1条右ネジナット44で締結作業に入り締結力発生時に1条右ネジナット44の下に隠れる位置である。
スタッドボルト43と1条右ネジナット44並びに3条左ネジナット45の螺合図として図10(a)に先端部2eの方向から見た示す。図10(a)でわかるように領域21と領域22の繰り返し数n=1である。第1の領域11間の中心角θ111=90度(故にθ121=270度)、第3の領域21間の中心角θ121=85度(故にθ121=275度)とした例である。
3条左ネジナット45と領域21の3条左雄ネジ部47との螺合完了を図10(b)に示す。3条ネジなので、螺合開始位置が1ピッチずれるごとに螺合完了の位置も120度づつずれる。即ち、螺合完了位置が螺合適正領域でなくても1ピッチずらせば必ず螺合適正領域にできることを示している。
図9の自動車を例にタイヤのパンクなど、不意に路上でタイヤ交換する作業を説明する。まず、4本のスタッドボルト43に締結されている3条左ネジナット45を所定の工具で外す。3条ネジであるので、1/3回転以下で螺合が解除され、螺合解除後は回動なしに工具なしで引きぬくことができる。次に1条右ネジナット44を外す。工具での回動数は、全周に渡る雄ネジ部2aがあるので、1回転以上となるかもしれないが、従来に比べれば速やかに螺合が解除され、螺合解除後は手動で回動なしに引きぬくことができる。以上でタイヤ取り外しが完了となる。
スペアタイヤを持ち出し、タイヤ5のホイール42をスタッドボルト43に差し込む。この時、タイヤのホイール42がスタッドボルト43の根本まで押し込まれていることを確認する。雄ネジ条を設けない第4の領域22が終わっている所を目で確認することで所定の場所Seよりタイヤを押しこんだ確認とできる。4つの1条右ネジナット44を差し込むとSeのところで止まる。1条右ネジナット44を回動させると、領域21の1条右雄ネジ部46との螺合が始まるが速やかに雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aとの螺合が加わる。そののち所定の回動で所望の締結力Fbとなり、次の作業へ移る。3条左ネジナット45を1条右ネジナット44のところまで差し込み回動させ、3条左雄ネジ部47との螺合により所定の締結力Frを発生させたところでタイヤの取り換え全作業の終了となる。
以上のように、4つの1条右ネジナット44を差し込むとSeのところで止まることを確認して1条右ネジナット44を回動させるので、速やかに雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが螺合に入り、1回転以上回しても螺合が外れることはない。また、3条左ネジナット45を1条右ネジナット44のところまで差し込み回動させるので、空回りの最大値は1/3回転未満である。ナットとナットの間は剛性の高い締結なので、あと僅かな回転で所望の締結力Frが生まれ、3条左ネジナット45の締結作業は1回転未満の所定域とできる。
3条左ネジナット45のの螺合開始位置が適正な螺合位置からずれて、数ピッチ手前で螺合が起こり3条左ネジナット45を1回転させても所望の締結力Frとなる前に螺合が解除されたとしても、初回の動作より3条左ネジナット45の位置がより1条右ネジナット44に近づいて螺合解除となるので、位置訂正動作と見ることが出来る。よって、更に続けて回動動作をすることで、所望の締結力Frを有する締結動作が得られ締結完了とできる。
1条右ネジナット44の締結完了時の締結力Fbは、3条左ネジナット45の締結完了時には3条左ネジナット45からの締結力Fbを減じた値に変わっている。3条左ネジナット45の螺合するネジ条の長さは左雄ネジ部21bだけだが、1条右ネジナット44は1条右雄ネジ部46に加えて全周に渡る雄ネジ部2aが増えているので、それだけ螺合時に力を多く受け持つことができる。この意味で、締結力は主に1条右ネジナット44の羅号で受け持ち、3条左ネジナット45の締結力は従とするのが良い。
例えば、Fbの1/3程度のFrを与える3条左ネジナット45は極めて軽負荷用のナットでよい。
又、1条右ネジナット44は締結完了時の締結力Fbを発生させるが、実稼働時は2/3Fbとなっているので、このような事情も考慮して全周に渡る雄ネジ部2aの条の長さを決めるのが良い。
一般に一条ネジより多条ネジのほうがリード角が大きくなることを利用して、ナットの締付トルクを同じにして、右ネジ締結完了時の締結力Fbとその後の左ネジ締結完了時の締結力Frを所望の割合とすることは有益である。これにより、締結作業の指示手順が簡単とでき、ミスが少なくできる。
1条右雄ネジ部46と3条左雄ネジ部47の間の緩衝部21cは雄ネジ谷径の円柱として描いているが、右雄ネジの切削加工後に左雄ネジの切削加工した形の両ネジ体であっても良い。第5の実施形態の右ネジナット1a並びに第7の実施例では1条右ネジナット44は1回転を超える可能性が有り、それに応じて1条右雄ネジ部を短くして緩衝部21cを長くする必要があるが、それだけ左ネジの実効長さが少なくなる。図11に示すように、緩衝部21cが両ネジ体であると、右ネジナット44と左ネジナット45の回動を妨げない点に加えて、緩衝部21cは締結力を有すので、左ネジナット45を薄くしてナットがほとんど緩衝部に入っても締結力が無くなることはなく、左ネジナットを薄く出来る。
なお、ナットの形状を6角で示したが、形状はこれにこだわらない。また、頭2fなども同様に図示されたものに限定されない。
ネジ造成には切削加工を念頭に置いて説明したが、最終的な諸形状を形容する手段としただけであって、塑性加工の鍛造や転造であっても良いし、モールディングなどの型成形であっても何ら本発明と異ならない。
1 ナット
1a 右ネジナット
1b 左ネジナット
10 ナット孔
11 ナット孔の雌ネジ条を設ける第1の領域
11s 第1の領域に設けた雌ネジ部
11a 第1の領域に右雌ネジ条を設けた右ネジナット部
11b 第1の領域に左雌ネジ条を設けた左ネジナット部
12 ナット孔の雌ネジ条を設けない第2の領域
13 雌ネジの仮想谷径
14 雌ネジの仮想山径
2 雄ネジ体
2a 雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部
2e 雄ネジ体2の先端部
2f 雄ネジ体2の頭
21 雄ネジ体の雄ネジ条を設ける第3の領域
21s 第3の領域に設けた雌ねじ部
21a 雄ネジ体2の領域21の順(右)雄ネジ部
21b 雄ネジ体2の領域21の逆(左)雄ネジ部
21c 右雄ネジ部と左雄ネジ部の間の緩衝部
22 雄ネジ体の雄ネジ条を設けない第4の領域
3 被締結体
4 車両
41 ハブ
42 ホイール
43 スタッドボルト
44 1条右ネジナット
45 3条左ネジナット
46 スタッドボルト43の領域21に設けられた1条右雄ネジ部
47 スタッドボルト43の領域21に設けられた3条左雄ネジ部
n 第1■第4の領域の繰り返し数(n=1,2,3,・・・)
P ネジのピッチ
Se 雄ネジ体の所定の場所
q 多条ネジの条数 (Q=2,3,・・・)
Fb 被締結体への所望の締結力
D ナットと雄ネジの頭の螺合距離
d ナットを裏返した時の雄ネジの頭との螺合距離
t 被締結体の厚さ
φ0 螺合が開始してから締結動作が始まるまでの空回し角
M 雄ネジと雌ネジが発生する曲げモーメント
θ11m( n=1,2,・・,n ) ナット1の第1の領域11のm番目の中心角
θ12m( n=1,2,・・,n ) ナット1の第2の領域12のm番目の中心角
θ21m( n=1,2,・・,n ) ネジ体2の第3の領域21のm番目の中心角
θ22m( n=1,2,・・,n ) ネジ体2の第4の領域22のm番目の中心角

Claims (6)

  1. ナット1と雄ネジ体2とを有し、
    前記ナット1は中央にナット孔10を有し、
    前記ナット孔10は円周方向のn箇所(n=1,2,3,・・・)に第1の領域11と第2の領域12とが交互に形成され、
    前記雄ネジ体2は、円周方向のn箇所(n=1,2,3,・・・)に第3の領域21と第4の領域22とが交互に形成され、
    前記ナット孔10に前記雄ネジ体2を挿入する場合、前記第1の領域11は前記第4の領域22を挿入させると共に、前記第2の領域12は前記第3の領域21を挿入させ、
    前記第1の領域11と前記第3の領域領域21は、互いに螺合する雌ネジ部11sと雄ネジ部21sが造成された、ことを特徴とするネジシステム。
  2. 前記ナット1を前記雄ネジ体2に挿入した後、回動により螺合を始めた時の前記雄ネジ体2の頭2fと前記ナット1の螺合距離Dと、
    前記ナット1を裏返した後、前記ナット1を前記雄ネジ体2に挿入した後、回動により螺合を始めた時の前記雄ネジ体2の頭2fと前記ナット1の螺合距離dと、
    において、前記Dと前記dとの差がピッチの整数倍でない、ことを特徴とする請求項1のネジシステム。
  3. 前記第3の領域21及び前記第4の領域22は前記雄ネジ体2の先端部2eから所定の位置Seまで造成され、
    前記頭2f近傍より前記所定の位置Seまで前記雄ネジ体2の全周に渡る雄ネジ部2aが造成され、
    前記雌ねじ部11sは、前記雄ネジ部21sと螺合すると共に前記雄ネジ部2aとも螺合する、ことを特徴とする請求項1、2のネジシステム。
  4. 前記ナット1は、順ネジナット1aと逆ネジナット1bの対であって、
    前記順ネジナット1aは前記第1の領域11に造成された順雌ネジ部11aを有し、
    前記逆ネジナット1bは前記第1の領域11に造成された逆雌ネジ部11bを有し、
    前記雄ネジ体2の前記第3の領域21に設けられた前記雄ネジ部21sは、前記頭2fから前記先端部2eに渡り順次順雄ネジ部21aと緩衝部21cと逆雄ネジ部21bとを有し、
    前記順雄ネジ部21aは前記順雌ネジナット1aと螺合し、
    前記逆雄ネジ部21bは前記逆ネジナット1bと螺合し、
    前記緩衝部21cは前記順雌ネジナット1aと並びに前記逆ネジナット1bの双方の回動を妨げない、ことを特徴とする請求項1、2、3のネジシステム。
  5. 前記雄ネジ体2は、前記頭2f近傍より前記所定の位置Seまで前記雄ネジ部2aが造成されていて、
    前記雌ねじ部11aは、前記雄ネジ部21aと螺合すると共に前記雄ネジ部2aとも螺合する 、ことを特徴とする請求項4のネジシステム。
  6. 前記ナット1と前記雄ネジ体2は、互いに螺合する多条ネジを有することを特徴とする請求項1,2,3,4,5のネジシステム
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