JP2018155257A - 摩擦係合装置 - Google Patents

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武史 鳥居
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武史 鳥居
真二郎 山倉
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Abstract

【課題】より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持する。【解決手段】摩擦係合装置は、ピストンまたはキャンセル油室画成部材の一方に取り付けられるリップ部材を備える。リップ部材は、吐出孔からキャンセル油室へ向かって油が吐出されるときには、吐出される油がキャンセル油室に流入するのを許容し、吐出孔からキャンセル油室へ向かって油が吐出されないときには、キャンセル油室内の油の流出を規制する。これにより、キャンセル油室内に流入した油の流出を規制して、キャンセル油室内に油を確保しておくことができる。このため、係合油室内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。【選択図】図5

Description

本開示の発明は、係合油室内に発生する遠心油圧をキャンセルするためのキャンセル油室を有する摩擦係合装置に関する。
従来、この種の摩擦係合装置の遠心油圧キャンセル機構としては、加圧室内の油圧により軸方向に移動可能なピストンに対して加圧室の反対側に設けられてピストンと共にキャンセラ室を規定する隔壁と、ピストンをその中立位置に向けて付勢するリターンスプリングと、回転シャフトに形成されてキャンセラ室に作動油を供給するオイル供給孔と、隔壁に形成されてキャンセラ室から作動油を排出させるオイル排出孔と、オイル排出孔に設けられた弁機構とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。オイル排出孔は、貫通孔として形成され、キャンセラ室側の端部に位置する大径部と、大径部と隣接しキャンセラ室から離れるにつれて縮径するテーパ部と、テーパ部に隣接する小径部とを含む。弁機構は、テーパ部に当接するチェックボールと、オイル排出孔を閉じる方向にチェックボールを付勢すると共にチェックボールに作用する遠心力によりオイル排出孔を開くように変形可能なスプリングとを含む。これにより、回転シャフトの回転時にはキャンセラ室からの作動油の出口であるオイル排出孔が開かれるため、オイル供給孔から供給された作動油がオイル排出孔から排出され、ピストンの動きを円滑にすることができる。他方、回転シャフトの停止時には、オイル排出孔が弁機構によって閉じられるため、オイル供給孔から作動油は供給されないが、キャンセラ室からの作動油の漏出は抑制され、内燃機関の再始動直後(回転シャフトの回転再開直後)から十分な遠心油圧キャンセル機能を果たすことが可能となる。なお、特許文献1には、弁機構の他の例として、回転シャフトの径方向に対して傾斜する傾斜部に形成されたオイル排出孔を覆う弁体を含むものや、隔壁の面内方向に回動可能な弁体を含むものが開示されている。
特開2010−091083号公報
しかしながら、上述した遠心油圧キャンセル機構の弁機構は、構成が複雑であり、テーパ部の加工や弁体の組み付け等に伴いコスト増を招いてしまう。また、上述した遠心油圧キャンセル機構では、回転シャフトの停止時に、オイル排出孔が閉じられても、キャンセラ室の作動油がオイル供給孔に逆流してキャンセラ室から排出され、回転シャフトの回転再開直後にキャンセラ室の作動油の量が不足する場合も考えられる。
本開示の発明は、より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持することを主目的とする。
本開示の発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の摩擦係合装置は、
係合油室に供給される油圧により移動して複数の摩擦係合プレートを押圧可能なピストンと、内部に形成された油路から油を径方向に吐出する吐出孔を有する回転部材に支持され前記係合油室内に発生する遠心油圧をキャンセルするためのキャンセル油室を前記ピストンと共に画成するキャンセル油室画成部材と、前記ピストンを前記キャンセル油室画成部材から離間するよう付勢するリターンスプリングとを有する摩擦係合装置であって、
前記ピストンまたは前記キャンセル油室画成部材の一方に取り付けられ、
前記吐出孔から前記キャンセル油室へ向かって油が吐出されるときには、該吐出される油が前記キャンセル油室に流入するのを許容し、
前記吐出孔から前記キャンセル油室へ向かって油が吐出されないときには、前記キャンセル油室内の油の流出を規制するリップ部材、
を備えることを要旨とする。
この本開示の摩擦係合装置では、ピストンまたはキャンセル油室画成部材の一方に取り付けられるリップ部材を備える。リップ部材は、吐出孔からキャンセル油室へ向かって油が吐出されるときには、吐出される油がキャンセル油室に流入するのを許容し、吐出孔からキャンセル油室へ向かって油が吐出されないときには、キャンセル油室内の油の流出を規制する。これにより、本開示の摩擦係合装置では、キャンセル油室内に流入した油の流出を規制して、キャンセル油室内に油を確保しておくことができる。このため、係合油室内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。この結果、より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持することができる。
本実施形態の摩擦係合装置としてのクラッチ1の構成の概略を示す構成図である。 リップ部材50を示す断面斜視図である。 クラッチ1のキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ1のキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ1のキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 他の実施形態の摩擦係合装置としてのクラッチ1Bの構成の概略を示す構成図である。 クラッチ1Bのキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ1Bのキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ1Bのキャンセル油室9に対する油の給排状態を示す断面図である。 他の実施形態の摩擦係合装置としてのクラッチ101の構成の概略を示す構成図である。 クラッチ101のキャンセル油室109に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ101のキャンセル油室109に対する油の給排状態を示す断面図である。 クラッチ101のキャンセル油室109に対する油の給排状態を示す断面図である。 他の実施形態のリップ部材150Bを示す断面図である。 図14の二点鎖線部分を拡大した部分拡大図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施形態の摩擦係合装置としてのクラッチ1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、リップ部材50を示す断面斜視図である。クラッチ1は、車両に搭載されてエンジン(内燃機関)からの動力を駆動輪に伝達する自動変速機に適用されるものであり、自動変速機の2つの回転要素間で動力が伝達されるように両者を互いに接続したり、両者の接続を解除したりする。
本実施形態のクラッチ1は、図示するように、何れも両面に摩擦材が貼着された環状部材である複数の摩擦プレート2と、何れも両面が平滑に形成された環状部材であって摩擦プレート2と交互に配設される複数のセパレータプレート3およびバッキングプレート3bと、自動変速機の第1の回転要素に連結または一体化されるクラッチドラム(第1回転部材)4と、自動変速機の第2の回転要素に連結または一体化されるクラッチハブ(第2回転部材)5とを有する。また、クラッチ1は、摩擦プレート2およびセパレータプレート3を押圧して摩擦係合させるピストン6と、環状のキャンセルプレート(キャンセル油室画成部材)7と、ピストン6を摩擦プレート2およびセパレータプレート3から離間するように付勢する複数のリターンスプリングSPとを有する。
クラッチ1のクラッチドラム4は、内側部材41と、当該内側部材41の外周部に接合(溶接)される外側部材42とから構成される。内側部材41は、軸方向に延びる長尺の内筒部43と、当該内筒部43の軸方向における中央部付近から径方向外側に延出された環状壁部45と、当該環状壁部45の外周部から軸方向における一方側に延出された短尺の外筒部47とを有する。外側部材42は、概ね円筒状の筒状部44と、当該筒状部44の開口端とは反対側の端部から径方向内側に延出された環状の側壁部46とを有する。筒状部44の内周面には、スプラインが形成されており、当該スプラインには、複数のセパレータプレート3およびバッキングプレート3bの外周部が嵌合される。側壁部46の内周部は、内側部材41の環状壁部45の外周部に溶接される。また、クラッチハブ5は、複数の摩擦プレート2の内周部が嵌合されるスプラインを外周面に有する筒状部材である。
ピストン6は、それに近接したセパレータプレート3を押圧するように外周部に形成された環状の押圧部60と、押圧部60からクラッチドラム4の内面形状に倣うように径方向内側に延出された環状延出部61と、環状延出部61の中央付近において軸方向に突出する突出部62と、環状延出部61の内周部から軸方向に延出された内筒部63とを有する。押圧部60の外周部は、クラッチドラム4(外側部材42)の筒状部44に形成されたスプラインに遊嵌されている。突出部62は、突出方向に窪む環状の凹部を形成する。内筒部63は、その内周面がクラッチドラム4の内筒部43の外周面に支持されている。
ピストン6は、その内筒部63がクラッチドラム4の内側部材41の内筒部43に支持されることにより、クラッチドラム4に対して軸方向に移動自在となっている。ピストン6の内筒部63とクラッチドラムの内側部材41の内筒部43との間にはDリング等のシール部材が配置される。また、ピストン6の突出部62により形成される凹部には、内側部材41の外筒部47が嵌合され、突出部62の内周面と外筒部47の外周面との間には、Oリング等のシール部材が配置される。これにより、クラッチドラム4(環状壁部45および外筒部47)とピストン6との軸方向における間には、係合油室8が画成される。
更に、クラッチドラム4の内筒部43には、複数の係合油圧供給孔43eが周方向に間隔をおいて係合油室8に連通するように形成されている。係合油室8内には、複数の係合油圧供給孔43eを介して図示しない油圧制御装置により調圧されたクラッチ1への係合油圧(作動油)が供給される。係合油室8に係合油圧が供給されると、ピストン6は、係合油圧の作用によりキャンセルプレート7に向けて移動して押圧部60により摩擦プレート2およびセパレータプレート3を押圧し、それによりクラッチ1が係合する。なお、油圧制御装置には、エンジンにより駆動される機械式オイルポンプや、電動オイルポンプから作動油が供給される。
キャンセルプレート7は、ピストン6に対してクラッチドラム4(内側部材41)の環状壁部45とは反対側に配置され、外周部に形成されクラッチドラム4に向けて軸方向に延出する外筒部70と、外筒部70から径方向内側に延出された環状延出部71と、ピストン6の内筒部63が軸方向に移動可能な空間を画成するよう環状延出部71の内周部からピストン6とは反対側に軸方向に延出された筒状部72と、筒状部72の延出端から径方向内側に延出されスナップリングを用いてクラッチドラム4(内側部材41)の内筒部43に固定される固定部73とを有する。キャンセルプレート7の外筒部70内には、ピストン6の突出部62が嵌合され、当該外筒部70の内周面と突出部62の外周面との間には、リップシール等のシール部材が配置される。これにより、ピストン6とキャンセルプレート7との軸方向における間には、係合油室8内で発生する遠心油圧をキャンセルするためのキャンセル油室9が画成される。
更に、クラッチドラム4の内筒部43には、複数のキャンセル油供給孔43cが周方向に間隔をおいてキャンセル油室9に連通するように形成されている。キャンセル油室9内には、図示しない油圧制御装置からドレンされてクラッチドラム4の内側に流入した潤滑・冷却用の作動油が当該クラッチドラム4および図示しない回転軸の回転に伴って発生する遠心力によって複数のキャンセル油供給孔43cを介して供給される。
また、本実施形態では、クラッチ1のリターンスプリングSPとして、コイルスプリングが用いられており、キャンセル油室9内には、複数のリターンスプリングSPが周方向に間隔をおいて配設される。各リターンスプリングSPの一端(図1における右端)は、キャンセルプレート7のピストン6と対向する表面に形成された複数のスプリング保持凹部75の対応する何れかに嵌合され、各リターンスプリングSPの他端は、ピストン6により保持される環状のスプリングシート10により支持される。これにより、ピストン6は、複数のリターンスプリングSPによりキャンセルプレート7から軸方向に離間するように付勢され、それにより摩擦プレート2およびセパレータプレート3から離間する。
キャンセルプレート7の筒状部72の内周面には、リップ部材50が固定されている。リップ部材50は、樹脂やゴム等の弾性材料により形成された環状部材であり、筒状部72の内周面に固定される外周部51と、外周部51から径方向内側に延出されて遊端部をなす内周部52とを有する。リップ部材50の内周部52は、図1,2に示すように、外周部51から径方向に対してキャンセル油室9への油の流入側(係合油室8側)に傾斜(湾曲)しながら延出されている。また、リップ部材50の内周部52は、ピストン6の内筒部63の対向する外周面に対して若干のクリアランスを有するように延出されている。
ピストン6の内筒部63の延出端(キャンセルプレート7側の端部)には、径方向外側に屈曲・延出される環状のリップ止め部(当接部)55が形成されている。リップ止め部55は、その外周部がリップ部材50の内周部(遊端部)52よりも径方向外側に位置するように延出されており、ピストン6がリターンスプリングSPの付勢力によってキャンセルプレート7から離間しているときにリップ部材50の内周部52と当接するように形成されている。
次に、こうして構成されたクラッチ1において、図3〜図5を参照しながら、キャンセル油室9に対する作動油の給排について説明する。
エンジンからの動力が自動変速機の入力部材に伝達されてクラッチドラム4が回転し、当該クラッチドラム4の回転に伴って発生する遠心力により内筒部43に形成されたキャンセル油供給孔43cから作動油が吐出されると、吐出された作動油によってリップ部材50の内周部(遊端部)52が押し広げられてリップ部材50とリップ止め部55の対向する面との間に隙間が形成される。これにより、図3に示すように、キャンセル油室9への作動油の流入が許容され、キャンセル油室9の径方向外側に作動油が流れ込む。したがって、クラッチ1は、クラッチドラム4が回転して遠心力が発生するのに応じてキャンセル油室9に作動油を良好に流入させることができる。また、リップ部材50は、内周部(遊端部)52が径方向に対して作動油の流入方向に傾斜(湾曲)するように形成されているため、作動油の流入をスムーズに行なうことができ、キャンセル油室9に必要十分な油を流入させることができる。
また、クラッチ1の係合に際して係合油室8に供給される係合油圧の作用によりピストン6がキャンセルプレート7に向けて移動した際には、ピストン6の移動に伴ってリップ止め部55が軸方向に移動し、リップ部材50がリップ止め部55から軸方向に離間する。リップ部材50の内周部52とピストン6の内筒部63の対向する面(外周面)との間には、クリアランスが形成されているから、図4に示すように、キャンセル油室9の容積変化(容積減少)に応じた作動油の流出が許容される。これにより、クラッチ1の係合に際して、ピストン6の円滑な移動を確保することができる。
更に、エンジンの運転停止等に伴ってクラッチドラム4の回転が停止し、遠心力が発生しなくなってキャンセル油供給孔43cから作動油が吐出されなると、ピストン6がキャンセルプレート7に対して離間しているときには、リップ部材50がリップ止め部55に当接される。このため、リップ部材50とリップ止め部55との間には隙間がなく、キャンセル油室9からの作動油の流出が規制される。これにより、クラッチドラム4の回転再開に伴って再度遠心力が発生して係合油室8内で遠心油圧が発生する際に、必要十分な量の油をキャンセル油室9内に確保することができる。この結果、クラッチ1では、キャンセル油室9内の作動油の量を常時適正に維持することが可能となり、クラッチ1の非係合時に係合油室8内で発生する遠心油圧により当該クラッチ1が係合したり、引き摺りを生じたりするのを抑制することができる。
以上説明した本実施形態のクラッチ1によれば、キャンセルプレート7の筒状部72の内周面にリップ部材50を固定し、筒状部72よりも径方向内側にあるピストン6の内筒部63に径方向外側に延出するようにリップ止め部55を形成する。リップ部材50は、弾性材料により形成された環状部材とし、外周部51を筒状部72の内周面に固定し、内周部52を径方向内側に延出された遊端部とする。これにより、遠心力によりリップ部材50の遊端部が弾性変形して油をキャンセル油室へ良好に流入させることができる。また、係合油室8に供給される油圧によりピストン6が移動したときには、リップ部材50の遊端部がリップ止め部55から離間してキャンセル油室内の油を流出させ、ピストンを円滑に移動させることができる。さらに、遠心力が発生しなくなると、リップ部材50の遊端部がリップ止め部55に当接してキャンセル油室9内の油の流出が規制されるため、キャンセル油室9内に油を確保しておくことができる。このため、遠心力が再度発生して係合油室8内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室9内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。この結果、より簡易な構成でキャンセル油室9内の油の量を適切に維持することができる。
上述した実施形態では、キャンセルプレート7の筒状部72の内周面にリップ部材50を固定し、ピストン6の内筒部63の外周面に径方向外側に延出されたリップ止め部55を形成するものとした。しかしながら、図6の他の実施形態に係るクラッチ1Bに示すように、ピストン6の内筒部63の外周面にリップ部材50Bを固定し、キャンセルプレート7の筒状部72の内周面に径方向内側に延出されたリップ止め部55Bを形成するものとしてもよい。リップ部材50Bは、リップ部材50と同様の弾性材料により形成された環状部材であり、内周部52Bがピストン6の内筒部63の外周面に固定される固定部となり、外周部51Bが内周部52Bから径方向外側へ延出される遊端部となっている。リップ部材50Bの外周部51Bは、内周部52Bから径方向に対してキャンセル油室9への油の流入側(係合油室8側)へ傾斜(湾曲)しながら延出されている。また、リップ部材50Bの外周部51Bは、キャンセルプレート7の筒状部72の対向する内周面に対して若干のクリアランスを有している。キャンセルプレート7の筒状部72の内周面には、リップ部材50Bの外周部(遊端部)51Bよりも内周部が径方向内側に位置するように延出される環状のリップ止め部55Bが形成されている。リップ止め部55Bは、ピストン6がリターンスプリングSPの付勢力によってキャンセルプレート7から離間しているときにリップ部材50Bの外周部51と当接するように形成されている。
こうして構成された他の実施形態のクラッチ1Bにおいて、図7〜図9を参照しながら、キャンセル油室9に対する作動油の給排について説明する。
遠心力により内筒部43に形成されたキャンセル油供給孔43cから作動油が吐出されると、吐出された作動油によってリップ部材50Bの外周部(遊端部)51Bが押し広げられてリップ部材50Bとリップ止め部55Bとの間に隙間が形成される。これにより、図7に示すように、キャンセル油室9への作動油の流入が許容され、キャンセル油室9の径方向外側に作動油が流れ込む。したがって、クラッチ1Bは、クラッチドラム4が回転して遠心力が発生するのに応じてキャンセル油室9に作動油を良好に流入させることができる。また、リップ部材50Bは、外周部(遊端部)51Bが径方向に対して作動油の流入方向に傾斜(湾曲)するように形成されているため、作動油の流入をスムーズに行なうことができ、キャンセル油室9に必要十分な油を流入させることができる。
また、クラッチ1Bの係合に際して係合油室8に供給される係合油圧の作用によりピストン6がキャンセルプレート7に向けて移動した際には、リップ部材50Bの外周部(遊端部)51Bがリップ止め部55Bを乗り越えて軸方向に移動し、リップ止め部55Bから離間する。リップ部材50Bは、係合油室8側に傾斜(湾曲)しているため、ピストン6の移動によりリップ止め部55Bを容易に乗り越えることができる。リップ部材50Bがリップ止め部55Bから離間すると、リップ部材50Bの外周部51Bとキャンセルプレート7の筒状部72の対向する内周面との間には、クリアランスが形成されているから、図8に示すように、キャンセル油室9の容積変化(容積減少)に応じた作動油の流出が許容される。これにより、クラッチ1の係合に際して、ピストン6の円滑な移動を確保することができる。
更に、遠心力が発生しなくなってキャンセル油供給孔43cから作動油が吐出されなると、ピストン6がキャンセルプレート7に対して離間しているときには、リップ部材50Bがリップ止め部55Bに当接される。このため、リップ部材50Bとリップ止め部55Bとの間には隙間がなく、キャンセル油室9からの作動油の流出が規制される。これにより、クラッチドラム4の回転再開に伴って再度遠心力が発生して係合油室8内で遠心油圧が発生する際に、必要十分な量の油をキャンセル油室9内に確保することができる。
本実施形態のクラッチ1では、キャンセルプレート7の筒状部72にリップ部材50を設けるものとした。しかしながら、図10の他の実施形態に係るクラッチ101に示すように、リターンスプリングSPよりも径方向内側にリップ部材を設けるための内筒部を有しないキャンセルプレート107に対してリップ部材150を設けることもできる。これにより、クラッチ101の軸長を短縮することが可能となる。このクラッチ101のクラッチドラム104は、内筒部143と、内筒部143の開口端とは反対側の端部から径方向外側へ延出された環状壁部145と、環状壁部145の外周部付近から軸方向に延出された外筒部144とを有する。外筒部144の内周面にはスプラインが形成され、複数のセパレータプレート103およびバッキングプレートの外周部が嵌合される。クラッチ101のクラッチハブ105は、複数の摩擦プレート102の内周部が嵌合されるスプラインを外周面に有する筒状部材として構成されている。ピストン106は、内周部がクラッチドラム104の内筒部143に軸方向に移動自在に支持されており、クラッチドラム104と共に係合油室108を画成する。キャンセルプレート107は、ピストン106に対して環状壁部145とは反対側に配置される。キャンセルプレート107は、内周部がスナップリングを用いてクラッチドラム104の内筒部143に固定され、ピストン106と共にキャンセル油室109を画成する。また、クラッチドラム104の内筒部143には、係合油室108と連通するように複数の係合油圧供給孔143eが形成され、キャンセル油室109と連通するように複数のキャンセル油供給孔143cが形成されている。キャンセル油室109内にはリターンスプリングSPが配置され、リターンスプリングSPの一端を支持するスプリングシート110がキャンセルプレート107側に配置されている。スプリングシート110は、キャンセルプレート107に内面に沿って径方向内側に延出され、その内周部にリップ部材150が固定されている。
リップ部材150は、弾性材料により形成された筒状部材として構成されている。リップ部材150は、キャンセルプレート107からピストン106へ向かって軸方向に縮径され、大径側の端部151がスプリングシート110の内周部に固定され、小径側の端部152が遊端部とされて複数のキャンセル油供給孔143cを覆うようにクラッチドラム104の内筒部143に当接されている。
こうして構成された他の実施形態のクラッチ101において、図11〜図13を参照しながら、キャンセル油室109に対する作動油の給排について説明する。
遠心力により内筒部143に形成されたキャンセル油供給孔143cから作動油が吐出されると、吐出された作動油によってリップ部材150の小径側の端部(遊端部)152が押し広げられてリップ部材150と内筒部143との間に隙間が形成される。これにより、図11に示すように、キャンセル油室109への作動油の流入が許容され、キャンセル油室109の径方向外側に作動油が流れ込む。したがって、クラッチ101は、クラッチドラム104が回転して遠心力が発生するのに応じてキャンセル油室109に作動油を良好に流入させることができる。
また、クラッチ101の係合に際して係合油室108に供給される係合油圧の作用によりピストン106がキャンセルプレート107に向けて移動した際には、キャンセル油室109の容積減少に応じて生じる油圧によりリップ部材150の小径側の端部(遊端部)152が弾性変形してキャンセル油供給孔143cが開放され、図12に示すように、キャンセル油室109の容積減少に応じた作動油の流出が許容される。これにより、クラッチ101の係合に際して、ピストン106の円滑な移動を確保することができる。
更に、遠心力が発生しなくなってキャンセル油供給孔143cから作動油が吐出されなくなると、リップ部材150の小径側の端部(遊端部)152は、弾性復帰してクラッチドラム104の内筒部143に当接してキャンセル油供給孔143cを塞ぐため、図13に示すように、キャンセル油室109からの作動油の流出が規制される。これにより、クラッチドラム104の回転再開に伴って再度遠心力が発生して係合油室108内で遠心油圧が発生する際に、必要十分な量の油をキャンセル油室109内に確保することができる。
他の実施形態のクラッチ101において、リップ部材150の一方(大径側)の端部151をキャンセルプレート107側に固定すると共に他方(小径側)の端部152を内筒部143に弾性的に当接させるものとした。しかしながら、これに限定されるものではなく、リップ部材の一方(小径側)の端部を内筒部143に固定すると共に他方(大径側)の端部をキャンセルプレート107側に弾性的に当接させるものとしてもよい。
また、他の実施形態のクラッチ101において、リップ部材150に代えて図14,図15に示すリップ部材150Bを用いてもよい。リップ部材150Bは、図14に示すように、固定側の端部151Bの固定方法と遊端側の端部152Bの形状とが異なる点を除いて、リップ部材150と同様に構成されている。リップ部材150の固定側の端部151Bは、端面に環状溝が形成されており、環状溝がスプリングシート110Bの内周部に形成された環状突起に嵌合されることによって当該スプリングシート110Bに固定される。リップ部材150の遊端側の端部152Bは、図15に示すように、中央部に比して厚肉化されており、その端面は凸状に湾曲した凸曲面により形成されている。リップ部材150の端部152Bが当接される内筒部143の当接面143xは、端部152Bの端面(凸曲面)に倣って凹状に湾曲した凹曲面により形成されている。これにより、リップ部材150Bの端部152Bの端面(凸曲面)と内筒部143の当接面143x(凹曲面)との接触面積を十分に確保することができ、キャンセル油室109からの油漏れを効果的に抑制することができる。また、図15に示すように、当接面143xの端縁(図中、上端部および下端部)は、リップ部材150Bの遊端側の端部152Bがスムーズに移動できるように、R面取りが施されている。
なお、上述のクラッチ1,1B,101は、クラッチドラム4,104とピストン6,106とにより係合油室8,108が画成されると共にピストン6,106とキャンセルプレート7,107とによりキャンセル油室9が画成されるものとした。しかしながら、クラッチ1,1B,101の構成は、これに限られるものではない。すなわち、クラッチ1,1B,101は、ピストンとクラッチハブに固定または一体化される油室画成部材とにより係合油室が形成されると共にピストンとクラッチドラムとによりキャンセル油室が画成されるものであってもよい。また、本開示の摩擦係合装置は、キャンセル油室を有するものであれば、自動変速機等の回転要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、回転要素と静止部材との接続を解除するブレーキであってもよい。また、クラッチ1,1B,101において、リターンスプリングSPは、単一の板バネであってもよい。
以上説明したように、本開示の摩擦係合装置(1,1B,101)は、係合油室(8,108)に供給される油圧により移動して複数の摩擦係合プレート(2,102)を押圧可能なピストン(6,106)と、内部に形成された油路から油を径方向に吐出する吐出孔(43c,143c)を有する回転部材(43,143)に支持され前記係合油室(8,108)内に発生する遠心油圧をキャンセルするためのキャンセル油室(9,109)を前記ピストン(6,106)と共に画成するキャンセル油室画成部材(7,107)と、前記ピストン(6,106)を前記キャンセル油室画成部材(7,107)から離間するよう付勢するリターンスプリング(SP)とを有する摩擦係合装置(1,1B,101)であって、前記ピストン(6,106)または前記キャンセル油室画成部材(7,107)の一方に取り付けられ、前記吐出孔(43c,143c)から前記キャンセル油室(9,109)へ向かって油が吐出されるときには、該吐出される油が前記キャンセル油室(9,109)に流入するのを許容し、前記吐出孔(43c,143c)から前記キャンセル油室(9,109)へ向かって油が吐出されないときには、前記キャンセル油室(9,109)内の油の流出を規制するリップ部材(50,50B,150,150B)を備えることを要旨とする。
この本開示の摩擦係合装置では、リップ部材を備えることで、キャンセル油室内に流入した油の流出を規制して、キャンセル油室内に油を確保しておくことができる。このため、係合油室内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。この結果、より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持することができる。
こうした本開示の摩擦係合装置において、前記ピストン(6)および前記キャンセル油室画成部材(7)の一方に設けられる環状の当接部(55,55B)を備え、リップ部材(50、50B)は、前記ピストン(6)および前記キャンセル油室画成部材(7)の他方に固定される固定部(51,52B)と該固定部(51,52B)とは反対側の遊端部(52,51B)とを有して環状に形成され、前記リターンスプリング(SP)の付勢力により前記ピストン(6)が前記キャンセル油室画成部材(7)から離間しているときに前記遊端部(52,51B)が当接部(55,55B)に当接して前記キャンセル油室(9)内の油の流出を規制し、前記係合油室(8)の油圧により前記ピストン(6)が前記キャンセル油室画成部材(7)に近接するときに前記遊端部(52,51B)が当接部(55,55B)から離間して前記キャンセル油室(9)内の油の流出を許容し、遠心力による前記遊端部(52,51B)の弾性変形により前記キャンセル油室(9)への油の流入を許容するものとしてもよい。これにより、本開示の摩擦係合装置では、遠心力によりリップ部材の遊端部が弾性変形するため、油をキャンセル油室へ良好に流入させることができる。また、係合油室に供給される油圧によりピストンが移動したときには、リップ部材の遊端部が当接部から離間するため、キャンセル油室内の油をリップ部材と当接部との間の隙間から流出させて、ピストンを円滑に移動させることができる。さらに、遠心力が発生しなくなると、リップ部材の遊端部が当接部に当接することにより、キャンセル油室内の油の流出が規制されるため、キャンセル油室内に油を確保しておくことができる。このため、遠心力が再度発生して係合油室内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。この結果、より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持することができる。
また、本開示の摩擦係合装置において、前記ピストン(6)は、軸方向に延在する筒状部(63)を有し、前記キャンセル油室画成部材(7)は、前記ピストン(6)の筒状部(63)に対して径方向に所定間隔を隔てて軸方向に延在する筒状部(72)を有し、前記当接部(55,55B)は、前記ピストン(6)の筒状部(63)および前記キャンセル油室画成部材(7)の筒状部(72)の一方から他方に向けて径方向に延出され、前記リップ部材(50,50B)は、前記固定部(51,52B)が前記ピストン(6)の筒状部(63)および前記キャンセル油室画成部材(7)の筒状部(72)の前記他方に固定されると共に前記遊端部(52,51B)が前記ピストン(6)の筒状部(63)および前記キャンセル油室画成部材(7)の筒状部(72)の前記他方から前記一方へ向けて延出されるものとしてもよい。こうすれば、キャンセル油室(9)に対する油の流入出をよりスムーズに行なうことができる。
この場合、前記リップ部材(50,50B)の前記遊端部(52,51B)は、前記ピストン(6)の筒状部(63)および前記キャンセル油室画成部材(7)の筒状部(72)の前記一方の対向する面に対してクリアランスを有するように形成されるものとしてもよい。こうすれば、ピストン(6)がキャンセル油室画成部材(7)に近接する際に、キャンセル油室(9)内の油の流出をよりスムーズにすることができる。
更にこれらの場合、前記リップ部材(50,50B)の前記遊端部(52,51B)は、径方向に対して前記キャンセル油室(9)への油の流入側に向かって傾斜または湾曲するように形成されているものとしてもよい。こうすれば、遠心力によりリップ部材(50,50B)が弾性変形してキャンセル油室(9)へ油が流入する際に、その流入をよりスムーズにすることができる。
また、本開示の摩擦係合装置(101)において、リップ部材(150,150B)は、前記回転部材(143)および前記キャンセル油室画成部材(107)の一方に固定される固定部(151,151B)と該固定部(151,151B)とは反対側の遊端部(152,152B)とを有して筒状に形成され、前記リターンスプリング(SP)の付勢力により前記ピストン(106)が前記キャンセル油室画成部材(107)から離間しているときに前記遊端部(152,152B)が前記吐出口(143c)を塞いで前記キャンセル油室(109)内の油の流出を規制し、前記係合油室(108)の油圧により前記ピストン(106)が前記キャンセル油室画成部材(107)に近接するときに前記キャンセル油室(109)の容積減少に伴って生じる油圧により前記遊端部(152,152B)が弾性変形して前記吐出口(143c)を開放して前記キャンセル油室(109)内の油の流出を許容し、遠心力により前記遊端部(152,152B)が弾性変形して前記吐出口(143c)を開放して前記キャンセル油室(109)への油の流入を許容するものとしてもよい。これにより、遠心力によりリップ部材の遊端部が弾性変形するため、油をキャンセル油室へ良好に流入させることができる。また、係合油室の油圧によりピストンがキャンセル油室画成部材に近接するときには、キャンセル油室内の容積変化に応じて生じる油圧により遊端部が弾性変形するため、キャンセル油室内の油の流出させて、ピストンを円滑に移動させることができる。さらに、遠心力が発生しなくなると、リップ部材の遊端部が弾性復帰して回転部材の吐出口を塞いでキャンセル油室内の油の流出が規制されるため、キャンセル油室内に油を確保しておくことができる。このため、遠心力が再度発生して係合油室内で遠心油圧が発生する際にキャンセル油室内に確保されている油により遠心油圧を良好にキャンセルすることができる。この結果、より簡易な構成でキャンセル油室内の油の量を適切に維持することができる。
この場合、前記回転部材(143)および前記キャンセル油室画成部材(107)の他方に形成され、前記遊端部(152B)の端面が当接する当接面(143x)を有し、前記リップ部材(150B)は、前記遊端部(152B)の端面が凸曲面により形成され、前記当接面(143x)は、前記凸曲面に倣う凹曲面により形成されるものとしてもよい。こうすれば、リップ部材の遊端部の端面(凸曲面)と当接面(凹曲面)との接触面積を十分に確保することができ、キャンセル油室からの油漏れを効果的に抑制することができる。
本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、摩擦係合装置の製造産業等において利用可能である。
1,1B,101 クラッチ、2,102 摩擦プレート、3,103 セパレータプレート、3b バッキングプレート、4,104 クラッチドラム、5,105 クラッチハブ、6,106 ピストン、7,107 キャンセルプレート、8,108 係合油室、9,109 キャンセル油室、10,110,110B スプリングシート、41 内側部材、42 外側部材、43 内筒部、43c キャンセル油供給孔、43e 係合油圧供給孔、44 筒状部、45 環状壁部、46 側壁部、47 外筒部、50,50B,150 リップ部材、51,51B 外周部、52,52B 内周部、55,55B リップ止め部、60 押圧部、61 環状延出部、62 突出部、63 内筒部、70 外筒部、71 環状延出部、72 筒状部、73 固定部、75 スプリング保持凹部、143 内筒部、143c キャンセル油供給孔、143e 係合油圧供給孔、143x 当接面、144 外筒部、145 環状壁部、151,152 端部、SP リターンスプリング。

Claims (7)

  1. 係合油室に供給される油圧により移動して複数の摩擦係合プレートを押圧可能なピストンと、内部に形成された油路から油を径方向に吐出する吐出孔を有する回転部材に支持され前記係合油室内に発生する遠心油圧をキャンセルするためのキャンセル油室を前記ピストンと共に画成するキャンセル油室画成部材と、前記ピストンを前記キャンセル油室画成部材から離間するよう付勢するリターンスプリングとを有する摩擦係合装置であって、
    前記ピストンまたは前記キャンセル油室画成部材の一方に取り付けられ、
    前記吐出孔から前記キャンセル油室へ向かって油が吐出されるときには、該吐出される油が前記キャンセル油室に流入するのを許容し、
    前記吐出孔から前記キャンセル油室へ向かって油が吐出されないときには、前記キャンセル油室内の油の流出を規制するリップ部材、
    を備える摩擦係合装置。
  2. 請求項1記載の摩擦係合装置であって、
    前記ピストンおよび前記キャンセル油室画成部材の一方に設けられる環状の当接部を備え、
    前記リップ部材は、前記ピストンおよび前記キャンセル油室画成部材の他方に固定される固定部と該固定部とは反対側の遊端部とを有して環状に形成され、前記リターンスプリングの付勢力により前記ピストンが前記キャンセル油室画成部材から離間しているときに前記遊端部が前記当接部に当接して前記キャンセル油室内の油の流出を規制し、前記係合油室の油圧により前記ピストンが前記キャンセル油室画成部材に近接するときに前記遊端部が前記当接部から離間して前記キャンセル油室内の油の流出を許容し、遠心力による前記遊端部の弾性変形により前記キャンセル油室への油の流入を許容する、
    摩擦係合装置。
  3. 請求項2記載の摩擦係合装置であって、
    前記ピストンは、軸方向に延在する筒状部を有し、
    前記キャンセル油室画成部材は、前記ピストンの筒状部に対して径方向に所定間隔を隔てて軸方向に延在する筒状部を有し、
    前記当接部は、前記ピストンの筒状部および前記キャンセル油室画成部材の筒状部の一方から他方に向けて径方向に延出され、
    前記リップ部材は、前記固定部が前記ピストンの筒状部および前記キャンセル油室画成部材の筒状部の前記他方に固定されると共に前記遊端部が前記ピストンの筒状部および前記キャンセル油室画成部材の筒状部の前記他方から前記一方へ向けて延出される、
    摩擦係合装置。
  4. 請求項3記載の摩擦係合装置であって、
    前記リップ部材の前記遊端部は、前記ピストンの筒状部および前記キャンセル油室画成部材の筒状部の前記一方の対向する面に対してクリアランスを有するように形成される、
    摩擦係合装置。
  5. 請求項3または4記載の摩擦係合装置であって、
    前記リップ部材の前記遊端部は、径方向に対して前記キャンセル油室への油の流入側に向かって傾斜または湾曲するように形成されている、
    摩擦係合装置。
  6. 請求項1記載の摩擦係合装置であって、
    前記リップ部材は、前記回転部材および前記キャンセル油室画成部材の一方に固定される固定部と該固定部とは反対側の遊端部とを有して筒状に形成され、前記リターンスプリングの付勢力により前記ピストンが前記キャンセル油室画成部材から離間しているときに前記遊端部が前記吐出口を塞いで前記キャンセル油室内の油の流出を規制し、前記係合油室の油圧により前記ピストンが前記キャンセル油室画成部材に近接するときに前記キャンセル油室の容積減少に伴って生じる油圧により前記遊端部が弾性変形して前記吐出口を開放して前記キャンセル油室内の油の流出を許容し、遠心力により前記遊端部が弾性変形して前記吐出口を開放して前記キャンセル油室への油の流入を許容する、
    摩擦係合装置。
  7. 請求項6記載の摩擦係合装置であって、
    前記回転部材および前記キャンセル油室画成部材の他方に形成され、前記遊端部の端面が当接する当接面を有し、
    前記リップ部材は、前記遊端部の端面が凸曲面により形成され、
    前記当接面は、前記凸曲面に倣う凹曲面により形成される、
    摩擦係合装置。
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