JP2018155218A - 鞍乗型車両 - Google Patents

鞍乗型車両 Download PDF

Info

Publication number
JP2018155218A
JP2018155218A JP2017054332A JP2017054332A JP2018155218A JP 2018155218 A JP2018155218 A JP 2018155218A JP 2017054332 A JP2017054332 A JP 2017054332A JP 2017054332 A JP2017054332 A JP 2017054332A JP 2018155218 A JP2018155218 A JP 2018155218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst layer
catalyst
upstream
heat reduction
exhaust gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017054332A
Other languages
English (en)
Inventor
明彦 大久保
Akihiko Okubo
明彦 大久保
昌登 西垣
Masataka Nishigaki
昌登 西垣
敏一 小沢
Toshiichi Ozawa
敏一 小沢
敬一 品田
Keiichi Shinada
敬一 品田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Motor Co Ltd filed Critical Yamaha Motor Co Ltd
Priority to JP2017054332A priority Critical patent/JP2018155218A/ja
Publication of JP2018155218A publication Critical patent/JP2018155218A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Exhaust Silencers (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

【課題】触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置の自由度を高める。【解決手段】自動二輪車1に搭載されたエンジンユニット11は、エンジン本体20と、露出排気通路部51と、消音器52と、上流触媒53と、触媒層到達熱低減部54と、上流酸素センサ55とを有する。露出排気通路部51は、エンジン本体20に接続され、車両を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出する。上流触媒53は、露出排気通路部51内に配置されており、貴金属を含む触媒層62を有する。触媒層到達熱低減部54は、貴金属以外の金属を含み、エンジン本体20と触媒層62の間の位置に配置されて、触媒層62に到達する排ガスの熱量を低減させる。触媒層到達熱低減部54から触媒層62までの経路長は、エンジン本体20の燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長よりも短い。【選択図】図1

Description

本発明は、鞍乗型車両に関する。
鞍乗型車両のエンジンユニットは、排ガスを浄化する触媒を有する。触媒は、基材と、貴金属を含み、基材の表面に設けられる触媒層とを有する。エンジンユニットの始動時、触媒層は、排ガスにより加熱されて、不活性状態から活性化状態に変化する。触媒層は、活性化状態になることで、浄化性能を発揮できる。ここで、触媒層が不活性状態から活性状態に変化するまでの時間を、触媒層の活性化に要する時間という。
従来、エンジンユニットの始動時に触媒層の活性化に要する時間を短縮するための構成を備えた鞍乗型車両が提案されている。例えば特許文献1では、触媒層の活性化に要する時間を短縮するために、触媒層をエンジン本体の燃焼室に近い位置に配置するレイアウトが提案されている。
国際公開第2016/002955号
スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で鞍乗型車両が走行しているとき、燃焼室から排出される排ガスの温度は特に高温となる。この場合、触媒層に到達する排ガスの温度も特に高温となる。それにより、触媒層の温度が高くなりすぎる場合がある。そのため、触媒層が熱劣化する恐れがある。触媒層が燃焼室に近いほど、触媒層が熱劣化する可能性は高くなる。つまり、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を最も短縮することができる触媒層の位置は限られる。しかし、鞍乗型車両のレイアウト上の制約から、その位置に触媒層を配置できない場合がある。
本発明は、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置の自由度を高めることを目的とする。
本願発明者らは、鞍乗型車両の触媒層のレイアウトを検討する中で、以下の点に気付いた。
触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を吸収する金属製の熱吸収体を設ければ、触媒層に到達する排ガスの熱量を低減できる。よって、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を吸収する金属製の熱吸収体を設ければ、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で鞍乗型車両が走行しているときであっても、触媒層の温度が高くなりすぎることを防止できる。したがって、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を吸収する金属製の熱吸収体を設ければ、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で鞍乗型車両が走行することがあっても、触媒層の熱劣化を防止することができる。
よって、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を吸収する金属製の熱吸収体を設ければ、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。つまり、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
触媒層を燃焼室により近い位置に配置することで、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を奪う熱吸収体があっても、触媒層に到達する排ガスの熱量を低下させすぎない。触媒層を燃焼室により近い位置に配置することで、燃焼室と触媒層との間に排ガスの熱を奪う熱吸収体があるにも関わらず、触媒層の活性化に要する時間の短縮を維持できる。
このように、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に熱吸収体を設けることで、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置の自由度を向上できることがわかった。
<1>本発明の鞍乗型車両は、燃焼室を有するシリンダ部を備えるエンジン本体と、車両を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出し、前記エンジン本体に接続され、前記燃焼室から排出された排ガスが流れる露出排気通路部と、前記露出排気通路部に接続され、大気に前記排ガスを放出する放出口を有し、排ガスにより生じる音を低減する消音器と、前記露出排気通路部内に配置されており、排ガスを浄化する貴金属を含む触媒層を有し、露出排気通路部において前記排ガスの流れ方向の最も上流の触媒である上流触媒と、貴金属以外の金属を含み、前記露出排気通路部に支持されて、前記エンジン本体と前記触媒層の間の位置に配置されて、前記露出排気通路部に支持されて、前記触媒層に到達する前記排ガスの熱量を低減させる触媒層到達熱低減部であって、前記触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長が前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長よりも短くなるような位置に配置される触媒層到達熱低減部と、前記露出排気通路部に設けられ、前記エンジン本体と前記触媒層との間の位置であって且つ前記触媒層到達熱低減部の位置と異なる位置に配置され、前記排ガスの酸素濃度を検出する上流酸素センサと、を備えるエンジンユニットが搭載されたことを特徴とする。
この構成によると、鞍乗型車両は、エンジンユニットが搭載されている。エンジンユニットは、エンジン本体と、露出排気通路部と、消音器と、上流触媒と、触媒層到達熱低減部と、上流酸素センサとを備える。エンジン本体は、燃焼室を有するシリンダ部を備える。露出排気通路部は、鞍乗型車両を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出する。露出排気通路部は、エンジン本体に接続される。露出排気通路部は、燃焼室から排出された排ガスが流れる。消音器は、露出排気通路部に接続される。消音器は、大気に排ガスを放出する放出口を有する。消音器は、排ガスにより生じる音を低減する。上流触媒は、露出排気通路部内に配置される。上流触媒は、露出排気通路部において排ガスの流れ方向の最も上流の触媒である。つまり、上流触媒より上流に別の触媒が配置されることはない。上流触媒は、触媒層を有する。触媒層は排ガスを浄化する貴金属を含む。上流酸素センサは、露出排気通路部に設けられる。上流酸素センサは、エンジン本体と触媒層との間の位置であって且つ触媒層到達熱低減部の位置と異なる位置に配置される。つまり、上流酸素センサは、触媒層到達熱低減部ではない。上流酸素センサは、排ガスの酸素濃度を検出する。
触媒層到達熱低減部は、露出排気通路部に支持される。触媒層到達熱低減部は、エンジン本体と触媒層の間の位置に配置される。触媒層到達熱低減部は、貴金属以外の金属を含む。つまり、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、貴金属以外の金属を含む触媒層到達熱低減部が設けられる。この構成により、触媒層到達熱低減部は、触媒層に到達する排ガスの熱量を低減させる。よって、触媒層到達熱低減部を設けたことで、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で鞍乗型車両が走行しているときであっても、触媒層の温度が高くなりすぎることを防止できる。したがって、触媒層到達熱低減部を設けたことで、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で鞍乗型車両が走行することがあっても、触媒層の熱劣化を防止することができる。
よって、触媒層到達熱低減部を設けたことで、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。つまり、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
触媒層を燃焼室により近い位置に配置することで、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を奪う触媒層到達熱低減部があっても、触媒層に到達する排ガスの熱量を低下させすぎない。触媒層を燃焼室により近い位置に配置することで、エンジン本体と触媒層との間に排ガスの熱を奪う触媒層到達熱低減部があるにも関わらず、触媒層の活性化に要する時間の短縮を維持できる。
このように、触媒層の排ガスの流れ方向の上流に触媒熱量低減部を設けることで、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
上述したように、触媒層到達熱低減部は、露出排気通路部に支持される。つまり、触媒層到達熱低減部は、露出排気通路部に直接または間接的に接している。よって、触媒層到達熱低減部の熱が、露出排気通路部に伝わりやすい。つまり、触媒層到達熱低減部の放熱性が高くなる。それにより、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。よって、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
露出排気通路部は、鞍乗型車両を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出する。そのため、露出排気通路部は放熱性が高い。また、露出排気通路部の露出した部分は、鞍乗型車両の走行時に生じた気流を受ける場合がある。この場合には、露出排気通路部は放熱性がより高くなる。露出排気通路部の放熱性が高いことで、露出排気通路部に支持される触媒層到達熱低減部の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。よって、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
一般的に、触媒の断面積は、排気通路部の触媒が配置されていない箇所の断面積よりも大きい。ここでの断面積とは、排ガスの流れ方向に直交する断面の面積のことである。そのため、露出排気通路部の上流触媒が配置される箇所は、他の箇所に比べて太くなる。よって、触媒層の上流と下流には空きスペースが生じやすい。触媒層到達熱低減部から触媒層までの経路長は、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長よりも短い。つまり、触媒層到達熱低減部は、触媒層に近い位置に配置される。よって、触媒層到達熱低減部は、触媒層の上流の空きスペースを利用して配置することができる。よって、触媒層の上流に触媒層到達熱低減部を配置しても、鞍乗型車両の大型化を抑制できる。
触媒層到達熱低減部の材質や大きさ等を変更した場合には、触媒層到達熱低減部の熱容量が変更される。触媒層到達熱低減部の熱容量が変更されると、触媒層に到達する排ガスの熱量が変更される。よって、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立できる触媒層の配置位置が変更される。したがって、触媒層到達熱低減部の熱容量を変更するという容易な方法によって、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置を自由に変更することができる。
<2>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部は、前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長が前記触媒層到達熱低減部から前記消音器の前記放出口までの経路長よりも短くなるような位置に配置される。
この構成によると、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長が、触媒層到達熱低減部から消音器の放出口までの経路長よりも長い場合に比べて、触媒層到達熱低減部は、燃焼室により近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部の下流に配置される触媒層を、燃焼室に近い位置に配置できる。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<3>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層は、前記燃焼室から前記触媒層までの経路長が前記触媒層から前記消音器の前記放出口までの経路長よりも短くなるような位置に配置される。
この構成によると、燃焼室から触媒層までの経路長が、触媒層から消音器の放出口までの経路長よりも長い場合に比べて、触媒層は、燃焼室により近い位置に配置される。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<4>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部は、前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長が前記触媒層到達熱低減部から前記消音器までの経路長よりも短くなるような位置に配置される。
この構成によると、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長が、触媒層到達熱低減部から消音器までの経路長よりも長い場合に比べて、触媒層到達熱低減部は、燃焼室により近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部の下流に配置される触媒層を、燃焼室に近い位置に配置できる。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<5>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層は、前記燃焼室から前記触媒層までの経路長が前記触媒層から前記消音器までの経路長よりも短くなるような位置に配置される。
この構成によると、燃焼室から触媒層までの経路長が、触媒層から消音器までの経路長よりも長い場合に比べて、触媒層は、燃焼室により近い位置に配置される。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<6>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含む。車両を左右方向に見て、前記触媒層到達熱低減部は、前記クランク軸の前記中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線の前方に配置される。
車両を左右方向に見て、クランク軸の中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線を、直線L1とする。一般的に、排気管はエンジン本体の前面に接続される。車両を左右方向に見て、触媒層到達熱低減部は、この直線L1の前方に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部が直線L1の後方に配置される場合に比べて、触媒層到達熱低減部は、燃焼室に近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部の下流に配置される触媒層を、燃焼室に近い位置に配置できる。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<7>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含む。車両を左右方向に見て、前記触媒層の少なくとも一部は、前記クランク軸の前記中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線の前方に配置される。
車両を左右方向に見て、クランク軸の中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線を、直線L1とする。一般的に、排気管はエンジン本体の前面に接続される。車両を左右方向に見て、触媒層の少なくとも一部は、この直線L1の前方に配置される。そのため、触媒層全体が直線L1の後方に配置される場合に比べて、触媒層は、燃焼室に近い位置に配置される。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<8>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含む。前記シリンダ部は、前記燃焼室の一部を形成するシリンダ孔を有する。車両を左右方向に見て、前記触媒層到達熱低減部の少なくとも一部は、前記シリンダ孔の中心軸線に直交し且つ前記クランク軸の前記中心軸線を通る直線の車両の前後方向の前方に配置される。
車両を左右方向に見て、シリンダ孔の中心軸線に直交し且つクランク軸の中心軸線を通る直線を、直線L2とする。一般的に、排気管はエンジン本体の前面に接続される。車両を左右方向に見て、触媒層到達熱低減部の少なくとも一部は、この直線L2の前方に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部全体が直線L2の後方に配置される場合に比べて、触媒層到達熱低減部は、燃焼室に近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部の下流に配置される触媒層を、燃焼室に近い位置に配置できる。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<9>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部が、前記上流触媒の一部である。
この構成によると、触媒層到達熱低減部と上流触媒との間に隙間を設けなくて済む。よって、触媒層到達熱低減部および上流触媒の配置スペースを小さくできる。よって、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
<10>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記上流触媒は、前記触媒層に加えて、基材を有する。前記触媒層は、前記基材における排ガスの流れ方向の下流の部分に付着している。前記触媒層到達熱低減部は、前記基材における前記排ガスの流れ方向の上流の部分であって前記触媒層が設けられていない部分を含む。
この構成によると、上流触媒は、基材と触媒層とを有する。触媒層は、基材における下流の部分に付着している。触媒層到達熱低減部は、基材における触媒層が設けられていない部分を含む。つまり、触媒層到達熱低減部は、基材における上流の部分を含む。上流触媒の製造時に、基材を形成することで、触媒層到達熱低減部の一部を形成できる。よって、触媒層到達熱低減部を容易に形成できる。
<11>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部は、前記上流触媒の前記排ガスの流れ方向の上流であって且つ前記上流触媒から離れた位置に配置されている。
この構成によると、触媒層到達熱低減部が上流触媒の一部である場合に比べて、触媒層到達熱低減部の配置位置の自由度が高い。触媒層の上流側の近傍に触媒層到達熱低減部を配置する空きスペースが無い場合であっても、触媒層到達熱低減部を配置できる。よって、触媒層の配置維持の自由度を向上できる。
<12>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部は、前記排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。
この構成によると、触媒層到達熱低減部は、多孔質構造体である。そのため、触媒層到達熱低減部は、排ガスの熱を吸収しつつ、排ガスの流れを大きく妨げない。そのため、鞍乗型車両の排ガスの浄化性能を維持できる。
さらに、触媒層到達熱低減部を排ガスが通過することで、排ガスの流れの偏りを軽減できる。よって、触媒層到達熱低減部の下流に配置される触媒層に対して、排ガスをより均一的に接触させることができる。その結果、触媒層による排ガスの浄化効率を向上できる。
<13>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記上流酸素センサの検出素子は、貴金属を含み、前記排ガスを浄化する酸素センサ用触媒層を有する。前記上流酸素センサは、前記露出排気通路部における前記触媒層到達熱低減部と前記触媒層との間の位置に設けられる。
この構成によると、上流酸素センサの検出素子は、貴金属を含む酸素センサ用触媒層を有する。酸素センサ用触媒層は、排ガスを浄化する。それにより、上流酸素センサの検出素子が排ガスの影響を受けることを防止できる。つまり、酸素センサ用触媒層を設けたことで、上流酸素センサの検出精度を向上できる。
また、上流酸素センサは、露出排気通路部における触媒層到達熱低減部と触媒層との間の位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部は、上流酸素センサに到達する熱量を低減させる。よって、酸素センサ用触媒層の熱劣化を防止しつつ、上流酸素センサを燃焼室により近い位置に配置できる。上流酸素センサが燃焼室に近い位置に配置されることで、触媒層を燃焼室により近い位置に配置できる。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<14>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジンユニットは、前記露出排気通路部における前記触媒層と前記消音器との間の位置、または、前記消音器に設けられて、前記排ガスの酸素濃度を検出する下流酸素センサを備える。
この構成によると、下流酸素センサは、触媒層の下流に配置される。上述したように、触媒層到達熱低減部を設けたことで触媒層の配置位置の自由度を向上できる。触媒層の配置位置の自由度が高いことにより、下流酸素センサの配置位置の自由度を向上できる。
<15>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
車両を前から、左から、または右から見たときに、前記露出排気通路部における前記エンジン本体から前記触媒層までの領域は、少なくとも部分的に露出している。
この構成によると、露出排気通路部におけるエンジン本体から触媒層までの領域は、少なくとも部分的に露出している。鞍乗型車両において、露出排気通路部の露出している部分は、放熱性が高い。触媒層到達熱低減部は、エンジン本体と触媒層との間に配置される。よって、触媒層到達熱低減部の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。よって、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
<16>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含む。前記シリンダ部は、前記燃焼室の一部を形成するシリンダ孔を有する。車両を左右方向に見て、前記触媒層の少なくとも一部は、前記シリンダ孔の中心軸線に直交し且つ前記クランク軸の前記中心軸線を通る直線の車両の前後方向の前方に配置される。
車両を左右方向に見て、シリンダ孔の中心軸線に直交し且つクランク軸の中心軸線を通る直線を、直線L2とする。一般的に、排気管はエンジン本体の前面に接続される。車両を左右方向に見て、触媒層の少なくとも一部は、この直線L2の前方に配置される。そのため、触媒層全体が直線L2の後方に配置される場合に比べて、触媒層は、燃焼室に近い位置に配置される。よって、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層の活性化に要する時間を短縮できる。
<17>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含む。前記シリンダ部は、前記燃焼室の一部を形成するシリンダ孔を有する。車両を左右方向に見て、前記触媒層の少なくとも一部は、前記シリンダ孔の中心軸線に直交し且つ前記クランク軸の前記中心軸線と交差する直線の車両の前後方向の後方に配置される。
車両を左右方向に見て、シリンダ孔の中心軸線に直交し且つクランク軸の中心軸線を通る直線を、直線L2とする。一般的に、排気管はエンジン本体の前面に接続される。車両を左右方向に見て、触媒層の少なくとも一部は、この直線L2の後方に配置される。そのため、シリンダ孔の中心軸線の方向が前後方向に近い場合であっても、燃焼室から触媒層までの経路長が短くなりすぎない。つまり、触媒層の熱劣化を防止できるように、燃焼室から触媒層までの経路長を確保できる。
<18>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向の最大長さは、前記触媒層の前記排ガスの流れ方向の最大長さよりも短い。
この構成によると、触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向の最大長さが、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部は、比較的小さいスペースに配置できる。つまり、触媒層到達熱低減部の配置位置の自由度が高い。それにより、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
<19>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向の最大長さは、前記触媒層の前記排ガスの流れ方向の最大長さよりも長い。
<20>本発明の1つの観点によると、上述の<11>の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長は、前記触媒層到達熱低減部の前記排ガスの流れ方向の最大長さよりも短い。
この構成によると、触媒層到達熱低減部から触媒層までの経路長が、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部および上流触媒は、比較的小さいスペースに配置できる。よって、触媒層の配置位置の自由度が高い。
<21>本発明の1つの観点によると、上述の<11>の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記触媒層到達熱低減部の前記排ガスの流れ方向の最大長さは、前記触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長よりも短い。
この構成によると、触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向の最大長さが、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部は、比較的小さいスペースに配置できる。つまり、触媒層到達熱低減部の配置位置の自由度が高い。それにより、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
<22>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
前記上流酸素センサは、前記露出排気通路部における前記エンジン本体と前記触媒層到達熱低減部との間の位置に設けられる。
<23>本発明の1つの観点によると、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を有することが好ましい。
車両を前から、左から、または右から見たときに、前記露出排気通路部における前記触媒層到達熱低減部の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出する。
この構成によると、露出排気通路部における前記触媒層到達熱低減部の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。鞍乗型車両において、露出排気通路部の露出している部分は、放熱性が高い。よって、触媒層到達熱低減部の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層の熱劣化を防止しつつ、触媒層を燃焼室により近い位置に配置することができる。よって、触媒層の配置位置の自由度を向上できる。
以上のように、本発明によると、触媒層の活性化に要する時間の短縮と触媒層の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層の配置位置の自由度を高めることができる。
[触媒層到達熱低減部の定義]
本発明において、「触媒層到達熱低減部が貴金属以外の金属を含む」とは、触媒層到達熱低減部が、貴金属以外の金属だけで形成される場合を含む。また、「触媒層到達熱低減部が貴金属以外の金属を含む」とは、触媒層到達熱低減部が、貴金属以外の金属と、金属以外の物質で形成される場合を含む。触媒層到達熱低減部の材質となる金属以外の物質は、排ガスを浄化する機能を有する物質を含んでいてもよい。
本発明において、「触媒層到達熱低減部が前記触媒層に到達する排ガスの熱量を低減させる」とは、触媒層到達熱低減部が設けた場合に、触媒層到達熱低減部を設けない場合に比べて、前記触媒層に到達する排ガスの熱量が低減することをいう。
具体的には、例えば以下の場合をいう。触媒層到達熱低減部を設けた場合と設けない場合で、同じ条件でエンジンユニットを運転して、それぞれ、触媒層の同じ位置の温度を温度センサで測定する。そして、触媒層到達熱低減部を設けた場合に測定された温度が、触媒層到達熱低減部を設けない場合に測定された温度に比べて所定温度以上低ければ、触媒層到達熱低減部が触媒層に到達する排ガスの熱量を低減させたといえる。ここでの所定温度は、誤差を除外できるよう、30〜50℃程度とする。測定は1回だけでなく、複数回行うことが好ましい。そして、複数の測定値の平均値を比較する。なお、触媒層の温度を測定する代わりに、触媒層の上流の排ガスの温度を温度センサで測定してもよい。排ガスの温度を測定する位置は、露出排気通路部における触媒層と触媒層到達熱低減部との間の位置であれば、どの位置でもよい。但し、触媒層到達熱低減部を設けた場合と設けない場合で、燃焼室からの経路長が同じになる位置の温度を測定する。
本発明において、「触媒層到達熱低減部が露出排気通路部に支持される」とは、露出排気通路部に直接支持される場合を含む。また、「触媒層到達熱低減部が露出排気通路部に支持される」とは、他の部品を介して間接的に露出排気通路部に支持される場合を含む。
本発明において、「触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長が前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長よりも短くなる」とは、触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長がゼロの場合を含む。
[エンジンユニットの定義]
本発明において、「エンジンユニットのエンジン本体が、燃焼室を有するシリンダ部を備える」とは、エンジンユニットが単気筒エンジンであることを限定するものではない。本発明のエンジンユニットは、単気筒エンジンであっても、多気筒エンジンであってもよい。請求項1で規定された燃焼室を、第1の燃焼室とする。本発明のエンジンユニットは、第1の燃焼室に加えて、1つまたは複数の第2の燃焼室を有していてもよい。この場合、本発明のエンジンユニットは、多気筒エンジンである。燃焼室の数は特に限定されない。第2の燃焼室は、本発明の燃焼室に置き換えることが可能であってもよく、可能でなくてもよい。第2の燃焼室が複数の場合、一部の第2の燃焼室だけが、本発明の燃焼室に置き換えることが可能であってもよい。第2の燃焼室が複数の場合、全ての第2の燃焼室が、本発明の燃焼室に置き換えることが可能であってもよい。
[鞍乗型車両の定義]
本発明の鞍乗型車両は、自動二輪車に限定されるものではない。
なお、本発明の鞍乗型車両とは、ライダーが鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指している。本発明の鞍乗型車両は、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、水上バイク、スノーモービル等を含む。自動二輪車は、スポーツタイプ、オンロードタイプ、およびおオフロードタイプの自動二輪車を含む。また、鞍乗型車両に含まれる自動二輪車は、スクータ、原動機付き自転車、モペット等を含む。鞍乗型車両の前輪部は、1つの前輪で構成されていてもよく、複数の前輪で構成されていてもよい。鞍乗型車両の後輪部は、1つの後輪で構成されていてもよく、複数の後輪で構成されていてもよい。
[その他の用語の定義]
本発明において、通路部とは、経路を囲んで経路を形成する壁体等を意味する。また、経路とは対象が通過する空間を意味する。排気通路部とは、排気経路を囲んで排気経路を形成する壁体等を意味する。排気経路とは、排ガスが通過する空間を意味する。
本発明において、露出排気通路路の任意の部分の経路長とは、露出排気通路部の中心のラインの長さを言う。また、消音器の膨張室内の経路長は、膨張室の流入口の中心から膨張室の流出口の中心を最短で結んだ経路の長さである。
本発明において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
本発明において、特に限定しない限り、直線Aの直線Bに対する傾斜角度とは、直線Aと直線Bのなす角度のうち、小さい方の角度を意味する。この定義は、「直線」に限らず「方向」にも適用される。
本明細書において、A方向に沿った方向とは、A方向と平行な方向に限らない。A方向に沿った方向とは、A方向に対して±45°の範囲で傾斜している方向を含む。本発明において、A方向に沿った直線とは、A方向と平行な直線に限らない。A方向に沿った直線とは、A方向に対して±45°の範囲で傾斜している直線を含む。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向や前後方向に置き換えることができる。
本明細書において、AとBがX方向に並ぶとは、以下の状態を示す。X方向に垂直ないずれの方向からAとBを見た場合であっても、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上にある状態である。
また、本明細書において、Y方向から見てAとBがX方向に並ぶとは、以下の状態を示す。Y方向からAとBを見たときに、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上にある状態である。Y方向とは異なるW方向からAとBを見たとき、AとBがX方向に並んでいなくてもよい。
なお、上述の2つの定義において、AとBは、接触していてもよい。また、AとBは、離れていてもよい。AとBの間に、Cが存在していてもよい。
本明細書において、AがBより前方にあるとは、以下の状態を指す。Aが、Bの最前端を通り前後方向に直交する平面の前方にある状態である。AとBは、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。なお、AがBより後方にある、AがBより上方または下方にある、AがBより右方または左方にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
本明細書において、AがBの前にあるとは、以下の状態を指す。AがBより前方にあり、且つ、AとBが前後方向に並んでいる状態である。なお、AがBの後ろにある、AがBの上または下にある、AがBの右または左にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
本明細書において、前後方向と異なる方向であるX方向に見て、AがBの前にあるとは、以下の状態を指す。AがBより前方にあり、且つ、X方向に見て、AとBが前後方向に並んでいる状態である。X方向とは異なるY方向からAとBを見たとき、AとBがX方向に並んでいなくてもよい。なお、X方向に見て、AがBの後ろにある、AがBの上または下にある、AがBの右または左にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテム及びその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記<1>の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記<1>の構成により得られる上記効果を奏する。
本発明の鞍乗型車両は、特許請求の範囲において数を特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される要素を、複数有していてもよい。本発明の鞍乗型車両は、特許請求の範囲において数を特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される要素を、1つだけ有していてもよい。
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
本発明の実施形態の自動二輪車の右側面図である。 本発明の実施形態の具体例1の自動二輪車の右側面図である。 図2に示すエンジンユニットの模式図である。 図2に示す消音器の断面図である。 図2に示す上流触媒の排ガスの流れ方向に直交する断面図と、その一部の拡大図である。 (a)および(b)は、図2に示す上流触媒の部分拡大断面図である。 図2に示す触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向に直交する断面図と、その一部の拡大図である。 図2に示す酸素センサの一部断面図と、その一部の拡大図である。 図2に示す自動二輪車の制御ブロック図である。 本発明の実施形態の具体例2の自動二輪車の右側面図である。 図10に示すエンジンユニットの模式図である。 図10に示す上流触媒および触媒層到達熱低減部の断面図である。 図10に示すエンジンユニットと、比較例のエンジンユニットとの比較図である。 本発明の実施形態の具体例3の自動二輪車の右側面図である。 図14に示す上流触媒および触媒層到達熱低減部の部分拡大断面図である。 本発明の実施形態の他の具体例のエンジンユニットの部分断面図である。 本発明の実施形態の他の具体例の露出排気通路部の断面図である。 本発明の実施形態の他の具体例のエンジンユニットの模式図である。
以下、本発明の実施形態について図1を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の鞍乗型車両を自動二輪車1に適用した一例である。
なお、本願の各図に示す符号FおよびBは、車両の前後方向における前方と後方をそれぞれ表している。符号Lと符号Rは、車両の左右方向における左方と右方をそれぞれ表している。符号Uと符号Dは、上方と下方をそれぞれ表している。
図1に示すように、自動二輪車1は、エンジンユニット11が搭載されている。エンジンユニット11は、エンジン本体20と、露出排気通路部51と、消音器52と、上流触媒53と、触媒層到達熱低減部54と、上流酸素センサ55とを備える。エンジン本体20は、燃焼室30を有するシリンダ部22を備える。露出排気通路部51は、自動二輪車1を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出する。露出排気通路部51は、エンジン本体20に接続される。露出排気通路部51は、燃焼室30から排出された排ガスが流れる。消音器52は、露出排気通路部51に接続される。消音器52は、大気に排ガスを放出する放出口52bを有する。消音器52は、排ガスにより生じる音を低減する。上流触媒53は、露出排気通路部51内に配置される。上流触媒53は、露出排気通路部51において排ガスの流れ方向の最も上流の触媒である。つまり、上流触媒53より上流に別の触媒が配置されることはない。上流触媒53は、触媒層62を有する。触媒層62は排ガスを浄化する貴金属を含む。上流酸素センサ55は、露出排気通路部51に設けられる。上流酸素センサ55は、エンジン本体20と触媒層62との間の位置であって且つ触媒層到達熱低減部54の位置と異なる位置に設けられる。つまり、上流酸素センサ55は、触媒層到達熱低減部54ではない。上流酸素センサ55は、排ガスの酸素濃度を検出する。
触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51に支持される。触媒層到達熱低減部54は、エンジン本体20と触媒層62の間の位置に配置される。触媒層到達熱低減部54は、貴金属以外の金属を含む。つまり、触媒層62の排ガスの流れ方向の上流に、貴金属以外の金属を含む触媒層到達熱低減部54が設けられる。この構成により、触媒層到達熱低減部54は、触媒層62に到達する排ガスの熱量を低減させる。よって、触媒層到達熱低減部54を設けたことで、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で自動二輪車1が走行しているときであっても、触媒層62の温度が高くなりすぎることを防止できる。したがって、触媒層到達熱低減部54を設けたことで、スロットルバルブの開度がほぼ全開の状態で自動二輪車1が走行することがあっても、触媒層62の熱劣化を防止することができる。
よって、触媒層到達熱低減部54を設けたことで、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することができる。つまり、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することで、触媒層62の排ガスの流れ方向の上流に、排ガスの熱を奪う触媒層到達熱低減部54があっても、触媒層62に到達する排ガスの熱量を低下させすぎない。触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することで、エンジン本体20と触媒層62との間に排ガスの熱を奪う触媒層到達熱低減部54があるにも関わらず、触媒層62の活性化に要する時間の短縮を維持できる。
このように、触媒層62の排ガスの流れ方向の上流に触媒熱量低減部を設けることで、触媒層62の活性化に要する時間の短縮と触媒層62の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
上述したように、触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51に支持される。つまり、触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51に直接または間接的に接している。よって、触媒層到達熱低減部54の熱が、露出排気通路部51に伝わりやすい。つまり、触媒層到達熱低減部54の放熱性が高くなる。それにより、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することができる。よって、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
露出排気通路部51は、自動二輪車1を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出する。そのため、露出排気通路部51は放熱性が高い。また、露出排気通路部51の露出した部分は、自動二輪車1の走行時に生じた気流を受ける場合がある。この場合には、露出排気通路部51は放熱性がより高くなる。露出排気通路部51の放熱性が高いことで、露出排気通路部51に支持される触媒層到達熱低減部54の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することができる。よって、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
なお、自動車を前から、左から、および右から見たとき、自動車のエンジン本体20と消音器52に接続される排気通路部は露出しない。そのため、自動車のエンジン本体20と消音器52に接続される排気通路部の放熱性は、露出排気通路部51に比べて低い。
一般的に、触媒の断面積は、排気通路部の触媒が配置されていない箇所の断面積よりも大きい。ここでの断面積とは、排ガスの流れ方向に直交する断面の面積のことである。そのため、露出排気通路部51の上流触媒が配置される箇所は、他の箇所に比べて太くなる。よって、触媒層62の上流と下流には空きスペースが生じやすい。触媒層到達熱低減部54から触媒層62までの経路長は、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長よりも短い。つまり、触媒層到達熱低減部54は、触媒層62に近い位置に配置される。よって、触媒層到達熱低減部54は、触媒層62の上流の空きスペースを利用して配置することができる。よって、触媒層62の上流に触媒層到達熱低減部54を配置しても、自動二輪車1の大型化を抑制できる。
触媒層到達熱低減部54の材質や大きさ等を変更した場合には、触媒層到達熱低減部54の熱容量が変更される。触媒層到達熱低減部54の熱容量が変更されると、触媒層62に到達する排ガスの熱量が変更される。よって、触媒層62の活性化に要する時間の短縮と触媒層62の熱劣化の防止を両立できる触媒層62の配置位置が変更される。したがって、触媒層到達熱低減部54の熱容量を変更するという容易な方法によって、触媒層62の活性化に要する時間の短縮と触媒層62の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層62の配置位置を自由に変更することができる。
また、試験の結果、触媒層到達熱低減部54を設けることで、自動二輪車1の排ガスの浄化性能を向上できることがわかった。
[実施形態の具体例1]
次に、上述した本発明の実施形態の具体例1について、図2〜図9を用いて説明する。以下の説明では、上述した本発明の実施形態と同じ部位についての説明は省略する。基本的に、本発明の実施形態の具体例1は、上述した本発明の実施形態を全て包含している。以下の説明において、特に限定が無い限り、前後方向とは、車両の前後方向のことである。車両の前後方向とは、自動二輪車1の後述するシート9に着座したライダーから見た前後方向のことである。以下の説明において、左右方向とは、車両の左右方向のことである。車両の左右方向とは、自動二輪車1の後述するシート9に着座したライダーから見た左右方向のことである。車両の左右方向は、自動二輪車1の車幅方向でもある。以下の説明において、特に限定が無い限り、上下方向とは、車両の上下方向のことである。車両の上下方向とは、自動二輪車1を水平な路面に直立させた状態における上下方向である。
<1>自動二輪車1の全体構成
図2に示すように、具体例1の自動二輪車1は、いわゆるスポーツタイプの自動二輪車1である。自動二輪車1は、前輪部2と、後輪部3と、車体フレーム4とを有する。車体フレーム4は、その前部にヘッドパイプ4aを有する。ステアリングシャフト(図示せず)は、回転可能にヘッドパイプ4aに挿通されている。ステアリングシャフトの上端部は、ハンドルユニット5に連結されている。一対のフロントフォーク6の上部は、ハンドルユニット5に固定されている。一対のフロントフォーク6の下端部は、前輪部2を支持する。フロントフォーク6は、上下方向の衝撃を吸収するように構成される。前輪部2は、1つの前輪で構成される。前輪は、タイヤとホイールを含む。前輪部2の上部はフェンダー12で覆われる。このフェンダー12は前輪部2に含まれない。
ハンドルユニット5の右部には、アクセルグリップ5aが設けられている。アクセルグリップ5aは、エンジンの出力を調整するために操作される。ハンドルユニット5には、各種スイッチが設けられている。ハンドルユニット5には、表示装置(図示せず)が取り付けられている。表示装置は、車速、エンジン回転速度、ギヤ位置、各種の警告などを表示する。
車体フレーム4は、一対のスイングアーム7を揺動可能に支持している。一対のスイングアーム7の後端部は、後輪部3を回転可能に支持している。後輪部3は、1つの後輪で構成される。後輪は、タイヤとホイールを含む。リアサスペンション8の一端部が、各スイングアーム7の揺動中心よりも後方の位置に取り付けられている。リアサスペンション8の他端部は、車体フレーム4に取り付けられている。リアサスペンション8は、上下方向の衝撃を吸収するように構成される。
車体フレーム4は、シート9と燃料タンク10を支持する。燃料タンク10は、シート9の前にある。なお、シート9は、ライダー(運転者)が座る部位であって、ライダーの腰または背中がもたれかかる部位は含まない。また、シート9は、タンデムライダー(乗員)が座る部位は含まない。
車体フレーム4は、エンジンユニット11を支持する。エンジンユニット11は、車体フレーム4に直接連結されていても、間接的に連結されていてもよい。エンジンユニット11の少なくとも一部は、燃料タンク10の下にある。エンジンユニット11は、シート9の上端9aより下方にある。左右方向に見て、エンジンユニット11の少なくとも一部は、前輪部2の後方で、且つ、後輪部3の前方に配置される。つまり、左右方向に見て、エンジンユニット11は、少なくとも一部が前輪部2と後輪部3との間にある。
車体フレーム4は、バッテリー(図示せず)を支持する。バッテリーは、エンジンユニット11を制御するECU90(図9参照)や各種センサなどの電子機器に電力を供給する。自動二輪車1は、自動二輪車1の車速を検出する車速センサ(図示せず)などの各種センサを有する。
<2>エンジンユニット11の構成
エンジンユニット11は、自然空冷式エンジンである。エンジンユニット11は、単気筒エンジンである。エンジンユニット11は、4ストロークエンジンである。4ストロークエンジンとは、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)、及び排気行程をこの順で繰り返すエンジンである。図2および図3に示すように、エンジンユニット11は、エンジン本体20と、吸気装置40と、排気装置50とを有する。吸気装置40および排気装置50は、それぞれエンジン本体20に接続されている。
<2−1>エンジン本体20の構成
図2および図3に示すように、エンジン本体20は、クランクケース部21と、シリンダ部22とを有する。クランクケース部21は、エンジン本体20の下部を構成する。シリンダ部22は、エンジン本体20の上部を構成する。シリンダ部22は、クランクケース部21の上端部に接続されている。
図2および図3に示すように、クランクケース部21は、クランクケース23を有する。図3に示すように、クランクケース23は、クランク軸24を収容している。クランク軸24の中心軸線Crを、クランク軸線Crと称する。図2に示すように、クランク軸線Crは、左右方向に沿っている。より詳細には、クランク軸線Crは、左右方向と平行である。図示は省略するが、クランクケース23は、変速機、クラッチ、スターターモーター、および発電機を収容している。クランクケース23は、複数の部品で構成されていてもよい。例えば、クランクケース23は、上下に並んだ複数の部品で構成されていてもよい。クランクケース23は、左右に並んだ複数の部品で構成されていてもよい。
図示は省略するが、クランクケース23の下部には、潤滑オイルが貯留されている。クランクケース23は、潤滑オイルを圧送するオイルポンプ(図示せず)を収容している。潤滑オイルは、エンジン本体20を循環する。潤滑オイルは、クランクケース部21の各摺動部およびシリンダ部22の各摺動部を潤滑する。
図2に示すように、シリンダ部22は、シリンダボディ25と、シリンダヘッド26と、ヘッドカバー27とを有する。シリンダボディ25は、クランクケース23の上端部に接続されている。シリンダヘッド26は、シリンダボディ25の上端部に接続されている。ヘッドカバー27は、シリンダヘッド26の上端部に接続されている。なお、シリンダボディ25、シリンダヘッド26およびヘッドカバー27のうちいずれか2つまたは3つは、一体成形されていてもよい。また、シリンダボディ25は、クランクケース23と一体成形されてもよい。
シリンダボディ25およびシリンダヘッド26の外面には、フィン部22fが設けられている。フィン部22fは、複数のフィンで構成される。自動二輪車1の走行時に発生した空気流は、フィン部22fと接触する。フィン部22fは、エンジン本体20の熱を大気に放出するために設けられている。
図3に示すように、シリンダボディ25は、シリンダ孔25aを有する。シリンダ孔25aの内部にはピストン28が摺動自在に収容される。ピストン28は、コネクティングロッド29を介してクランク軸24に連結される。
シリンダ孔25aの中心軸線Cyを、シリンダ軸線Cyと称する。図2に示すように、シリンダ軸線Cyは、上下方向に沿っている。左右方向に見て、シリンダ軸線Cyは、上下方向に対して前後方向に傾斜している。より詳細には、シリンダ軸線Cyは、シリンダ部22が前傾するように傾斜している。つまり、シリンダ軸線Cy上の第1の点は、第1の点より下方にあるシリンダ軸線Cy上の第2の点よりも前方にある。左右方向に見て、シリンダ軸線Cyの上下方向に対する傾斜角度を傾斜角度θcyとする。傾斜角度θcyは図2に示す角度に限定されない。傾斜角度θcyは、0度以上45度以下の角度でよい。シリンダ軸線Cyは、クランク軸線Crと交差しない。なお、シリンダ軸線Cyは、クランク軸線Crと交差してもよい。
図3に示すように、シリンダ部22は、燃焼室30を有する。燃焼室30は、シリンダヘッド26の下面と、シリンダ孔25aと、ピストン28の上面によって形成される。つまり、燃焼室30の一部は、シリンダ孔25aによって形成される。
図2に示すように、左右方向に見て、クランク軸線Crを通り、上下方向と平行な直線を、直線La1とする。左右方向に見て、燃焼室30は、直線La1の前に配置される。つまり、左右方向に見て、燃焼室30は、クランク軸線Crよりも前方に配置される。
図3に示すように、燃焼室30には、点火プラグ31の先端部が配置される。点火プラグ31の先端部は、火花放電を発生させる。この火花放電によって、燃焼室30内の混合気は点火される。なお、本明細書において、混合気とは、空気と燃料とが混合した気体である。点火プラグ31は、イグニッションコイル85(図9参照)に接続されている。イグニッションコイル85は、点火プラグ31の火花放電を生じさせるための電力を蓄える。
図3に示すように、シリンダヘッド26は、内部吸気通路部32および内部排気通路部33を有する。なお、本明細書において、通路部とは、経路を形成する構造物を意味する。経路とは、ガスなどが通過する空間を意味する。内部吸気通路部32は、燃焼室30に接続されている。内部排気通路部33は、燃焼室30に接続されている。内部吸気通路部32は、燃焼室30に空気を導入するために設けられる。内部排気通路部33は、燃焼室30で発生した排ガスを燃焼室30から排出するために設けられる。
シリンダヘッド26の燃焼室30を形成する面には、燃焼室吸気口32aおよび燃焼室排気口33aが設けられる。燃焼室吸気口32aは、内部吸気通路部32の下流端である。燃焼室排気口33aは、内部排気通路部33の上流端である。シリンダヘッド26の外面には、吸気口32bおよび排気口33bが設けられる。吸気口32bは、内部吸気通路部32の上流端である。排気口33bは、内部排気通路部33の下流端である。図2に示すように、吸気口32bは、シリンダヘッド26の前面に設けられる。排気口33bは、シリンダヘッド26の前面に設けられる。
図3に示すように、内部吸気通路部32には、燃焼室吸気口32aを開閉する吸気バルブ34が配置される。内部排気通路部33には、燃焼室排気口33aを開閉する排気バルブ35が配置される。吸気バルブ34および排気バルブ35は、シリンダヘッド26に収容された動弁装置(図示せず)によって駆動される。動弁装置は、クランク軸24と連動して作動する。
エンジン本体20は、インジェクタ36を有する。インジェクタ36は、燃焼室30に燃料を供給する燃料供給装置である。インジェクタ36は、内部吸気通路部32内で燃料を噴射するように配置されている。インジェクタ36は、燃料タンク10に接続されている。燃料タンク10の内部には、燃料ポンプ86(図9参照)が配置される。燃料ポンプ86は、燃料タンク10内の燃料をインジェクタ36に向けて圧送する。なお、インジェクタ36は、燃焼室30内で燃料を噴射するように配置されていてもよい。また、インジェクタ36は、吸気装置40の後述する吸気通路部41内で燃料を噴射するように配置されていてもよい。エンジン本体20は、燃料供給装置として、インジェクタ36の代わりに、キャブレターを有していてもよい。キャブレターは、燃焼室30の負圧を利用して、燃焼室30内に燃料を供給する。
<2−2>吸気装置40の構成
吸気装置40は、吸気通路部41を有する。吸気通路部41の一端は、エンジン本体20の後面に設けられた吸気口32bに接続されている。吸気通路部41の他端は、大気を吸入するための吸入口41aを構成している。吸入口41aから吸気通路部41に吸い込まれた空気は、エンジン本体20の燃焼室30に供給される。吸気通路部41には、空気を浄化するエアクリーナ42が設けられる。吸気通路部41には、スロットル弁43が設けられる。スロットル弁43の開度は、ライダーがアクセルグリップ5aを操作することで変更される。
<2−3>排気装置50の構成
図2および図3に示すように、排気装置50は、露出排気通路部51と、消音器52を有する。排気装置50は、露出排気通路部51に、上流触媒53と、触媒層到達熱低減部54と、上流酸素センサ55と、下流酸素センサ56とを有する。以下の排気装置50の説明において、上流とは、空気の流れ方向の上流のことである。また、下流とは、空気の流れ方向の下流のことである。
<2−3−1>露出排気通路部51の構成
露出排気通路部51は、エンジン本体20に接続されている。詳細には、露出排気通路部51の上流端は、エンジン本体20の前面に設けられた排気口33bに接続されている。エンジン本体20の燃焼室30から排出された排ガスは、露出排気通路部51を流れる。露出排気通路部51は、消音器52に接続されている。露出排気通路部51を通過した排ガスは、消音器52に流入する。
図2に示すように、露出排気通路部51の上流端における排ガスの流れ方向は、前後方向に沿った方向である。より詳細には、後方向に沿った方向である。露出排気通路部51は、上流側から順に、第1曲がり部51aと、第2曲がり部51bを有する。第1曲がり部51aは、排ガスの流れ方向を、前後方向に沿った方向から、上下方向に沿った方向に変える。より詳細には、第1曲がり部51aは、排ガスの流れ方向を、後方向に沿った方向から、下方向に沿った方向に変える。第2曲がり部51bは、排ガスの流れ方向を、上下方向に沿った方向から、前後方向に沿った方向に変える。より詳細には、第2曲がり部51bは、排ガスの流れ方向を、下方向に沿った方向から、後方向に沿った方向に変える。
露出排気通路部51および消音器52は、自動二輪車1の右部に配置されている。なお、露出排気通路部51および消音器52は、自動二輪車1の左部に配置されていてもよい。なお、図2に示すように、自動二輪車1を右から見たときに、露出排気通路部51は、少なくとも一部が露出する。詳細には、自動二輪車1を右から見たときに、露出排気通路部51は、ほぼ全体が露出する。図示は省略するが、自動二輪車1を左から見たとき、露出排気通路部51は、少なくとも一部が露出する。図示は省略するが、自動二輪車1を前から見たとき、露出排気通路部51は、少なくとも一部が露出する。露出排気通路部51は、複数の部品で構成されている。
<2−3−2>消音器52の構成
消音器52は、排ガスによる騒音を低減する装置である。消音器52は、大気に排ガスを放出するための放出口52bを有する。消音器52を通過した排ガスは、放出口52bから大気に放出される。
図4に示すように、消音器52は、外筒70と、外筒70に収容された2つのパイプ71、72と、テールパイプ73とを有する。外筒70の内部空間は、2つのセパレータ74、75によって3つの膨張室70a、70b、70cに仕切られている。露出排気通路部51の下流端部は、消音器52の内部に配置されている。露出排気通路部51のうち消音器52の内部に配置される部分を、下流部51dと称する。露出排気通路部51の下流部51dは、2つのセパレータ74、75を貫通している。露出排気通路部51の下流部51dの下流端は、第1膨張室70a内に配置されている。パイプ71は、2つのセパレータ74、75を貫通している。パイプ71は、第1膨張室70aと第2膨張室70bを連通させる。パイプ72は、セパレータ74を貫通している。パイプ72は、第2膨張室70bと第3膨張室70cを連通させる。露出排気通路部51の下流部51dは、パイプ72の内側に挿通されている。露出排気通路部51の下流部51dの外周面とパイプ72の内周面との間には隙間が形成されている。つまり、露出排気通路部51の下流部51dとパイプ72との間の隙間が、第2膨張室70bと第3膨張室70cを連通させる。テールパイプ73は、外筒70を貫通している。テールパイプ73は、第3膨張室70cと外筒70の外部の空間とを連通させる。テールパイプ73の一端が、大気に排ガスを放出する放出口52bを構成している。消音器52内には、露出排気通路部51の下流部51d、第1膨張室70a、パイプ71、第2膨張室70b、パイプ72と露出排気通路部51の下流部51dの隙間、第3膨張室70c、テールパイプ73の順で排ガスが流れる経路が形成されている。消音器52内に形成される排ガスの経路の長さは、消音器52の最大長さよりも長い。外筒70の内面と下流部51dの外面の間、および、外筒70の内面とパイプ71、72の外面の間には、例えばグラスウール等の吸音材が配置されていてもいなくてもよい。なお、消音器52の内部の構造は、図4に示す模式図の構造に限らない。
図2に示すように、左右方向に見て、消音器52の放出口52bは、直線La1の後ろに配置される。つまり、左右方向に見て、消音器52の放出口52bは、クランク軸線Crよりも後方に配置される。
<2−3−3>上流触媒53の構成および位置
上流触媒53は、露出排気通路部51内に配置されている。上流触媒53は、略円柱状である。上流触媒53は、露出排気通路部51に固定されている。上流触媒53は、露出排気通路部51に直接固定されていてもよい。上流触媒53は、部材を介して露出排気通路部51に固定されていてもよい。具体的には、例えば、上流触媒53の外周面に装着された筒状部材を介して、露出排気通路部51に固定されていてもよい。筒状部材は、上流触媒53の外周面の一部だけを覆うものであってもよく、外周面全体を覆うものであってもよい。
図5に示すように、上流触媒53は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。燃焼室30から排出された全ての排ガスは、上流触媒53を通過する。排ガスは、上流触媒53を通過することで浄化される。露出排気通路部51に配置される触媒は、上流触媒53だけである。よって、上流触媒53は、露出排気通路部51において最も上流の触媒である。上流触媒53は、いわゆる三元触媒である。三元触媒とは、排ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物の三物質を酸化または還元することで除去する触媒である。三元触媒は、酸化還元触媒の1種である。上流触媒53は、酸化だけで有害物質を除去する酸化触媒であってもよい。上流触媒53は、還元だけで有害物質を除去する還元触媒であってもよい。
図5に示すように、上流触媒53は、基材61と、触媒層62とを有する。触媒層62は、基材61の表面に設けられる。触媒層62の温度が所定の活性温度以上の場合、触媒層62は活性化状態である。触媒層62は、活性化状態のときに、浄化性能を発揮できる。触媒層62の温度が所定の活性温度より低い場合、触媒層62は不活性状態である。このときは、触媒層62は、浄化性能を発揮できない。
基材61は、主に金属で形成されている。基材61は、金属だけで形成されていてもよい。基材61は、金属以外の物質を含んでいてもよい。基材61は、貴金属を含まない。基材61は、耐熱性の高い合金で形成されていることが好ましい。基材61は、略円柱状である。基材61は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔構造体である。言い換えると、基材61は、基材61の上流端から下流端までそれぞれ一直線状に形成された複数の隙間を有する。具体的には、基材61は、金属製の波板61aと金属製の平板61bによって構成される。基材61は、波板61aと平板61bを交互に重ねて巻回することで形成される。波板61aおよび平板61bの厚みは、例えば数十μmである。基材61は、波板61aと平板61bの間に、略三角形状の隙間(孔)を有する。略三角形状の隙間は、基材61の上流端から下流端まで一直線状に形成されている。波板61aおよび平板61bの少なくとも一方は、多数の打ち抜き孔を有していてもよい。打ち抜き孔は、上述の略三角形状の隙間よりも小さい。波板61aまたは平板61bが打ち抜き孔を有することで、略三角形状の隙間から別の略三角形状の隙間に排ガスが移動できる。よって、上流触媒53を排ガスが通過する際に、排ガスを拡散させることができる。それにより、上流触媒53による排ガスの浄化性能を向上できる。また、波板61aまたは平板61bが打ち抜き孔を有することで、基材61の熱容量を低減できる。よって、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。触媒層62の活性化に要する時間とは、触媒層62が不活性状態から活性状態に変化するまでに要する時間をという。なお、基材61の製造方法および形状は、上記に限定されない。
触媒層62は、基材61の表面に付着している。詳細には、触媒層62は、基材61の排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔の内面に付着している。触媒層62は、基材61の外周面には設けなくてもよい。触媒層62は、基材61の上流端から下流端まで設けられている。言い換えると、触媒層62は、排ガスの流れ方向において基材61の全域に設けられている。触媒層62は、排ガスの流れ方向において基材61の全域に設けられていなくてもよい。触媒層62の厚みは、例えば、5〜30μm程度である。
図6(a)および図6(b)は、触媒層62の3つの例を示す上流触媒53の模式的な部分断面図である。なお、触媒層62の構成は図6(a)および図6(b)に示す構成に限らない。図6(a)および図6(b)に示すように、触媒層62は、担体62aと、貴金属62bを有する。担体62aは、基材61に貴金属62bを付着させるために設けられている。貴金属62bは、例えば、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどである。貴金属62bは、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のいずれかを酸化または還元することで除去する。
担体62aは、基材61の表面に付着している。担体62aは、基材61の排ガスの流れ方向の全域に設けられている。担体62aは、膜状である。担体62aは、微細な孔を有する多孔質構造体である。担体62aの微細孔は、基材61の上述した排ガスの流れ方向に貫通する孔よりも大幅に小さい。また、担体62aの微細孔は、波板61aまたは平板61bの打ち抜き孔よりも大幅に小さい。担体62aは、耐熱性の高い材質で形成されることが好ましい。担体62aは、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア化合物などの無機酸化物で形成される。担体62aは、排ガスを浄化する作用を有する物質を含んでいてもよい。担体62aは、貴金属を含まない。担体62aは、例えば、ウォッシュコートと呼ばれる塗装法によって形成される。
貴金属62bは、担体62aに付着している。貴金属62bは、貴金属合金の形態で触媒層62に含まれていてもよい。貴金属62bは、担体62aに直接付着していてもよく、貴金属以外の物質を介して担体62aに付着していてもよい。貴金属62bは、担体62aと化学的に結合していてもよい。貴金属62bは、担体62aの微細孔をほとんど塞がない。
図6(a)に示すように、貴金属62bは、担体62aの表面層にのみ配置されていてもよい。具体的には、例えば、基材61に担体62aを形成した後、担体62aの表面に貴金属62bを含む溶液を塗布する。または、担体62aが形成された基材61を、貴金属62bを含む溶液に浸漬する。そのようにして、担体62aの表面層に貴金属62bを浸み込ませて、触媒層62を形成してもよい。また、図6(b)に示すように、貴金属62bは、担体62aの内部に分散して配置されていてもよい。具体的には、例えば、担体62aを構成する材料と貴金属62bとを含む溶液に、基材61を浸漬させることで、触媒層62を形成してもよい。なお、この場合、貴金属62bは担体62aの内部だけでなく、触媒層62の表面上にも存在してもよい。また、図示は省略するが、貴金属62bは、担体62aの内部にのみ配置されていてもよい。排ガスは、担体62aの微細な孔を通って担体62aの内部まで侵入する。そのため、担体62aの内部の貴金属62bは、排ガスを浄化できる。
図3に示すように、上流触媒53の排ガスの流れ方向の最大長さをd1とする。上流触媒53の排ガスの流れ方向に直交する方向の最大長さをw1とする。長さw1は、上流触媒53の触媒層62の排ガスの流れ方向に直交する方向の最大長さでもある。上流触媒53の長さd1は、上流触媒53の長さw1より長い。なお、上流触媒53の長さd1は、上流触媒53の長さw1以下であってもよい。
上流触媒53の長さw1は、露出排気通路部51の上流触媒53が配置されていない位置の径より大きい。露出排気通路部51は、上流触媒53の上流且つ近傍において、上流に向かって先細り状となっている。露出排気通路部51は、上流触媒53の下流且つ近傍において、下流に向かって先細り状となっている。
上流触媒53の排ガスの流れ方向に直交する断面の形状は、例えば円形状である。なお、上流触媒53の排ガスの流れ方向に直交する断面の形状は、上下方向長さよりも左右方向長さが長い楕円形状であってもよい。これにより、エンジン本体20の下方に、上流触媒53を配置した場合であっても、地面と上流触媒53との間の距離を確保することができる。そして、自動二輪車1の大型化を抑制することができる。
上流触媒53は、触媒層到達熱低減部54の下流に配置されている。図3に示すように、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長を、D1とする。経路長D1は、内部排気通路部33の経路長と、露出排気通路部51の上流端から触媒層到達熱低減部54までの経路長とを合わせた長さである。触媒層到達熱低減部54の排ガスの排ガスの流れ方向の最大長さを、d2とする。触媒層到達熱低減部54から上流触媒53の触媒層62までの経路長を、D2とする。触媒層62は、上流触媒53の上流端から下流端まで設けられている。燃焼室30から触媒層62までの経路長は、D1+d2+D2である。触媒層62から消音器52までの経路長を、D3とする。なお、消音器52までとは、消音器52の外筒70の入口52aまでを指す。消音器52の入口52aから放出口52bまでの経路長を、D4とする。なお、消音器52の膨張室70a〜70c内の経路長は、以下のように定義される。第2膨張室70b内の経路長を例に挙げて説明する。第2膨張室70bの経路長は、パイプ71の下流端の中心からパイプ72の上流端の中心までを最短で結んだ経路の長さである。つまり、消音器52の膨張室70a〜70c内の経路長は、膨張室の流入口の中心から膨張室の流出口の中心を最短で結んだ経路の長さである。触媒層62から消音器52の放出口52bまでの経路長は、D3+D4である。燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2+D2)は、触媒層62から消音器52の放出口52bまでの経路長(D3+D4)よりも短い。燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2+D2)は、触媒層62から消音器52までの経路長D3よりも長い。
図2に示すように、上流触媒53は、露出排気通路部51における第2曲がり部51bより下流の位置に配置されている。左右方向に見て、上流触媒53は、エンジン本体20の下に配置されている。左右方向に見て、上流触媒53の触媒層62の少なくとも一部は、直線La1の前に配置される。つまり、左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、クランク軸線Crよりも前方に配置される。左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、クランク軸線Crよりも後方に配置される。より詳細には、左右方向に見て、触媒層62の一部だけが、直線La1の前に配置される。
図2に示すように、左右方向に見て、シリンダ孔25aの中心軸線に直交し、且つ、クランク軸線Crを通る直線を、直線La2とする。左右方向に見て、触媒層62は、直線La2の後ろに配置される。
図2に示すように、自動二輪車1を右から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車1を前から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車1を前から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。
<2−3−4>触媒層到達熱低減部54の構成および位置
触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51内に配置されている。触媒層到達熱低減部54は、上流触媒53の上流に配置されている。触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51おけるエンジン本体20と触媒層62の間の位置に配置される。触媒層到達熱低減部54は、上流触媒53の上流であって且つ上流触媒53から離れた位置に配置される。触媒層到達熱低減部54は、略円柱状である。触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51に支持されている。触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51に直接固定されていてもよい。触媒層到達熱低減部54は、他の部品を介して露出排気通路部51に固定されていてもよい。具体的には、例えば、触媒層到達熱低減部54の外周面に装着された筒状部材を介して、露出排気通路部51に固定されていてもよい。筒状部材は、触媒層到達熱低減部54の外周面の一部だけを覆うものであってもよく、外周面全体を覆うものであってもよい。
図7に示すように、触媒層到達熱低減部54は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。燃焼室30から排出された全ての排ガスは、触媒層到達熱低減部54を通過する。触媒層到達熱低減部54は、排ガスの流れの抵抗となる。排ガスの温度が触媒層到達熱低減部54の温度より高い場合、排ガスは触媒層到達熱低減部54を通過することで熱が奪われる。触媒層到達熱低減部54は、触媒層62に到達する排ガスの熱量を低減させる。それにより、触媒層62の熱劣化を防止できる。
触媒層到達熱低減部54は、金属を含む。触媒層到達熱低減部54は、金属だけで形成されていてもよい。触媒層到達熱低減部54は、金属以外の物質を含んでいてもよい。触媒層到達熱低減部54は、貴金属を含まない。触媒層到達熱低減部54は、耐熱性の高い材料で形成されていることが好ましい。
図7に示すように、触媒層到達熱低減部54は、基材65と、コート層66とを有する。基材65は、主に金属で形成されている。基材65は、金属だけで形成されていてもよい。基材65は、金属以外の物質を含んでいてもよい。基材65は、貴金属を含まない。基材65は、耐熱性の高い合金で形成されていることが好ましい。基材65は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔構造体である。つまり、基材65は、触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までそれぞれ一直線状に形成された複数の隙間を有する。触媒層到達熱低減部54の基材65の構造は、上流触媒53の基材61の構造と同様である。基材61は、金属製の波板65aと金属製の平板65bで形成されている。触媒層到達熱低減部54の基材65の構造は、上流触媒53の基材6の構造と異なっていてもよい。触媒層到達熱低減部54の基材65の材質は、上流触媒53の基材61の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。
コート層66は、基材65の表面に付着している。コート層66は、耐熱性の高い材質で形成されることが好ましい。コート層66は、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア化合物などの無機酸化物で形成されてもよい。コート層66は、排ガスを浄化する作用を有する物質を含んでいてもよい。コート層66は、貴金属を含まない。コート層66の材質は、触媒層62の担体62aの材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。コート層66の材質は、触媒の担体に用いられない材質であってもよい。コート層66は、微細な孔を有する多孔質構造体であってもよい。コート層66の微細孔は、基材65の上述した排ガスの流れ方向に貫通する孔よりも大幅に小さい。
図3に示すように、触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向に直交する方向の最大長さを、w2とする。触媒層到達熱低減部54の長さw2は、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の近傍の内径とほぼ同じである。上述したように、触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向の最大長さは、d2である。触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層到達熱低減部54の長さw2よりも長い。触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層到達熱低減部54の長さw2よりも短くてもよい。触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層到達熱低減部54から触媒層62までの経路長(D2)よりも短い。
触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層62の長さd1よりも短い。触媒層到達熱低減部54の長さw2は、上流触媒53の長さw1よりも短い。
触媒層到達熱低減部54から触媒層62までの経路長D2は、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長D1よりも短い。つまり、触媒層到達熱低減部54は、燃焼室30よりも触媒層62に近い。燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長D1は、触媒層到達熱低減部54から消音器52の放出口52bまでの経路長(D2+d1+D3+D4)よりも短い。燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長(D1)は、触媒層到達熱低減部54から消音器52までの経路長(D2+d1+D3)よりも短い。
図2に示すように、触媒層到達熱低減部54は、露出排気通路部51における第1曲がり部51aと第2曲がり部51bの間の位置に配置されている。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54は、エンジン本体20の前に配置される。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54は、直線La1の前に配置される。つまり、左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54は、クランク軸線Crよりも前方に配置される。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54の少なくとも一部は、直線La2の前に配置される。より詳細には、左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54の一部が、直線La2の前に配置される。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54全体が、直線La2の前に配置されてもよい。
図2に示すように、自動二輪車1を右から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部54の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車1を前から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部54の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車1を前から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部54の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。この構成により、触媒層到達熱低減部54の放熱性を高めることができる。
図2に示すように、自動二輪車1を右から見たときに、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車1を左から見たときに、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出していてもよい。図示は省略するが、自動二輪車1を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。この構成により、触媒層到達熱低減部54の放熱性を高めることができる。
<2−3−5>上流酸素センサ55の構成および位置
上流酸素センサ55は、露出排気通路部51に設けられる。上流酸素センサ55は、露出排気通路部51内の排ガスの酸素濃度を検出する。上流酸素センサ55は、排ガス中の酸素濃度に応じた電圧信号を出力する。上流酸素センサ55は、混合気がリッチのときは電圧値の高い信号を出力し、混合気がリーンのときは電圧値の低い信号を出力する。混合気がリッチであるとは、理論空燃比と比べて燃料が過剰な状態をいう。混合気がリーンであるとは、理論空燃比と比べて空気が過剰な状態をいう。つまり、上流酸素センサ55は、混合気がリッチとリーンのどちらで有るかを検出する。上流酸素センサ55の検出素子は、ジルコニアを主体とした固体電解質体を有する。上流酸素センサ55の検出素子が、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検出できる。
上流酸素センサ55の構成の一例を図8に基づいて説明する。図8は、上流酸素センサ55の一部断面図である。図8に示すように、上流酸素センサ55は、検出素子67と、ハウジング68と、カバー69を有する。カバー69は、ハウジング68に固定されている。検出素子67は、ハウジング68に挿通されて、ハウジング68に固定されている。検出素子67の先端部は、カバー69内に配置される。検出素子67の先端部は、カバー69によって保護される。カバー69には、排ガスを通過させる通過口(図示せず)が設けられている。検出素子67は、固体電解質体67aと、内側電極67bと、外側電極67cと、酸素センサ用触媒層67dを備える。固体電解質体67aは、有底の円筒状に形成される。内側電極67b及び外側電極67cは、一対の電極である。一対の電極67b、67cは、固体電解質体67aの両面に設けられる。固体電解質体67aの内表面は、内側電極67bで覆われる。固体電解質体67aの外表面は、外側電極67cで覆われる。酸素センサ用触媒層67dは、外側電極67cの外表面に設けられる。酸素センサ用触媒層67dは、水素を燃焼させる能力の高いPt−Rh等の貴金属合金を含む。酸素センサ用触媒層67dは、排ガス中の水素を除去することで、排ガスを浄化する。酸素センサ用触媒層67dは、水素による影響が抑えられる。検出素子67は、その内部に大気室67eを有する。大気室67eには、大気が導入される。内側電極67bは、大気室67e内の大気に曝される。大気は、排ガスの酸素濃度を検出するための基準となるガスである。外側電極67cは、露出排気通路部51内の排ガスに曝される。
なお、上流酸素センサ55は、リニアA/Fセンサであってもよい。リニアA/Fセンサは、排ガスの酸素濃度に応じたリニアな検出信号を出力する。言い換えると、リニアA/Fセンサは、排ガス中の酸素濃度の変化を連続的に検出する。上流酸素センサ55がリニアA/Fセンサの場合、上流酸素センサ55の検出素子は、貴金属を含む酸素センサ用触媒層を有していてよい。
上流酸素センサ55は、ヒータを内蔵していてもよい。エンジンユニット11の冷間始動時に、ヒータにより検出素子67を加熱する。それにより、検出素子67の活性化に要する時間を短縮できる。なお、エンジンユニット11の冷間始動とは、エンジン本体20の温度が外気温かそれよりも低い状態で、エンジンユニット11を始動することである。
上流酸素センサ55は、露出排気通路部において、触媒層62より上流に配置される。言い換えると、上流酸素センサ55は、露出排気通路部51におけるエンジン本体20と触媒層62との間の位置に設けられる。上流酸素センサ55は、触媒層到達熱低減部54の位置と異なる位置に設けられる。上流酸素センサ55は、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54と触媒層62との間の位置に設けられる。上流酸素センサ55の配置位置は、触媒層62に近いことが好ましい。燃焼室30から排出された時点の排ガスは、気体の未燃燃料と酸素を含む。排ガスは、露出排気通路部51内で、未燃燃料の酸化を続けながら移動する。酸化が進むに従って、排ガス中の酸素濃度が減少する。上流酸素センサ55が触媒層62に近いほど、上流酸素センサ55で検出された排ガスの酸素濃度が、触媒層62に到達する排ガスの酸素濃度に近くなる。
<2−3−6>下流酸素センサ56の構成および位置
下流酸素センサ56は、露出排気通路部51に設けられる。下流酸素センサ56は、露出排気通路部51内の排ガスの酸素濃度を検出する。下流酸素センサ56の具体的な構成は、上流酸素センサ55の構成と同じである。下流酸素センサ56は、リニアA/Fセンサであってもよい。下流酸素センサ56は、ヒータを内蔵していてもよい。下流酸素センサ56は、露出排気通路部において、触媒層62より下流に配置される。言い換えると、下流酸素センサ56は、露出排気通路部51における触媒層62と消音器52との間の位置に配置される。下流酸素センサ56の配置位置は、触媒層62に近いことが好ましい。下流酸素センサ56が触媒層62に近いほど、下流酸素センサ56で検出された排ガスの酸素濃度が、触媒層62から排出された時点の排ガスの酸素濃度に近くなる。
<3>エンジンユニット11の制御
次に、エンジンユニット11の制御について説明する。図9は、実施形態の具体例1の自動二輪車1の制御ブロック図である。
図9に示すように、エンジンユニット11は、エンジン本体20の動作を制御するECU90を備えている。図9に示すように、エンジンユニット11は、エンジン回転速度センサ80、スロットル開度センサ(スロットルポジションセンサ)81、エンジン温度センサ82、吸気圧センサ83、および吸気温センサ84を有する。エンジン回転速度センサ80は、クランク軸24の回転速度、即ち、エンジン回転速度を検出する。エンジン温度センサ82は、エンジン本体20の温度を検出する。スロットル開度センサ81は、スロットル弁43の位置を示す信号、つまり、スロットル弁43の開度を示す信号を検出する。吸気圧センサ83は、吸気通路部41内の圧力を検出する。吸気温センサ84は、吸気通路部41内の空気の温度を検出する。
ECU90は、エンジン回転速度センサ80、スロットル開度センサ81、エンジン温度センサ82、吸気圧センサ83、吸気温センサ84、上流酸素センサ55、上流酸素センサ55、および車速センサ(図示せず)等の各種センサと接続されている。また、ECU90は、イグニッションコイル85、インジェクタ36、燃料ポンプ86、表示装置(図示せず)等と接続されている。
ECU90は、制御部91と、作動指示部92とを有する。制御部91は、例えばマイクロコンピュータである。制御部91は、エンジン駆動制御部91aと、触媒劣化判定部91bを有する。作動指示部92は、点火駆動回路92aと、インジェクタ駆動回路92bと、ポンプ駆動回路92cを有する。
点火駆動回路92a、インジェクタ駆動回路92b、および、ポンプ駆動回路92cは、エンジン駆動制御部91aからの信号を受けて、イグニッションコイル85、インジェクタ36、燃料ポンプ86をそれぞれ駆動する。イグニッションコイル85が駆動されると、点火プラグ31で火花放電が生じて、混合気が点火される。燃料ポンプ86が駆動されると、燃料タンク10(図2)内の燃料がインジェクタ36へ圧送される。
エンジン駆動制御部91aは、上流酸素センサ55、エンジン回転速度センサ80等の信号に基づいて、点火駆動回路92a、インジェクタ駆動回路92b、および、ポンプ駆動回路92cを制御する。エンジン駆動制御部91aは、点火駆動回路92aを制御することで、点火時期を制御する。エンジン駆動制御部91aは、インジェクタ駆動回路92bおよびポンプ駆動回路92cを制御することで、燃料噴射量を制御する。エンジン駆動制御部91aは、燃料噴射量の制御に、下流酸素センサ56の信号を使ってもよく、使わなくてもよい。エンジン駆動制御部91aは、点火時期の制御に、下流酸素センサ56の信号を使ってもよく、使わなくてもよい。
燃焼効率と、上流触媒53の浄化効率を高めるには、燃焼室30内の混合気の空燃比は、理論空燃比(ストイキオメトリ)であることが好ましい。エンジン駆動制御部91aは、必要に応じて、燃料噴射量を増減させる。
以下、エンジン駆動制御部91aによる燃料噴射量の制御の一例について説明する。ここでは、燃料噴射量の制御に、下流酸素センサ56の信号を使わない場合について説明する。エンジン駆動制御部91aは、まず、エンジン回転速度センサ80、スロットル開度センサ81、エンジン温度センサ82、吸気圧センサ83の信号に基づいて、基本燃料噴射量を算出する。具体的には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップと、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを用いて、吸入空気量を求める。そして、マップから求められた吸入空気量に基づいて、目標空燃比を達成できる基本燃料噴射量を決定する。スロットル開度が小さい場合には、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。一方、スロットル開度が大きい場合には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。
エンジン駆動制御部91aは、上流酸素センサ55の信号に基づいて、基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック補正値を算出する。具体的には、まず、上流酸素センサ55の信号に基づいて、混合気がリーンであるかリッチであるかを判定する。
エンジン駆動制御部91aは、混合気がリーンであると判定すると、次回の燃料噴射量が増えるようにフィードバック補正値を算出する。一方、エンジン駆動制御部91aは、混合気がリッチであると判定すると、次回の燃料噴射量が減るようにフィードバック補正値を求める。
また、エンジン駆動制御部91aは、エンジン温度、外気温度、外気圧等に基づいて、基本燃料噴射量を補正するための補正値を算出する。さらに、エンジン駆動制御部91aは、加速および減速時の過渡特性に応じた補正値を算出する。
エンジン駆動制御部91aは、基本燃料噴射量と、フィードバック補正値などの補正値に基づいて、燃料噴射量を算出する。こうして求められた燃料噴射量に基づいて、燃料ポンプ86およびインジェクタ36が駆動される。このように、エンジン駆動制御部91aは、上流酸素センサ55の信号に基づいて、燃料噴射量を制御する。
次に、エンジン駆動制御部91aが、上流酸素センサ55の信号と下流酸素センサ56の信号に基づいた燃料噴射量の制御の一例について説明する。エンジン駆動制御部91aは、上流酸素センサ55の信号と下流酸素センサ56の信号に基づいて、基本燃料噴射量を補正する。より具体的に説明すると、まず、上流酸素センサ55の信号に基づいて基本燃料噴射量を補正する。算出された燃料噴射量でインジェクタ36から燃料を噴射させる。この燃料の燃焼によって発生する排ガスを下流酸素センサ56で検出する。そして、下流酸素センサ56の信号に基づいて基本燃料噴射量を補正する。これにより、目標空燃比に対する混合気の空燃比のずれをより低減できる。
触媒劣化判定部91bは、下流酸素センサ56の信号に基づいて、上流触媒53の浄化能力を判定する。以下、具体的な判定方法を説明する。まず、エンジン駆動制御部91aは、一定期間(例えば数秒間)、混合気がリッチとリーンを繰り返すように燃料噴射量を制御する。そして、触媒劣化判定部91bは、燃料噴射量の変化に対する下流酸素センサ56の信号の変化の遅れの程度に基づいて、上流触媒53の浄化能力を判定する。触媒劣化判定部91bは、この変化の遅れが大きい場合には、上流触媒53の浄化能力が所定のレベルより低下したと判定する。つまり、上流触媒53が劣化したと判定する。触媒劣化判定部91bが上流触媒53の劣化を検出した場合には、ECU90から表示装置(図示せず)に信号が送られる。そして、表示装置は、文字や図柄等を表示する。これにより、ライダーに上流触媒53の交換をライダー等に促すことができる。なお、ライダーに上流触媒53の劣化を報知するための報知手段は、表示装置に限らない。音や振動を発生させる装置によって、ライダーに報知してもよい。
触媒劣化判定部91bは、上流酸素センサ55の信号と下流酸素センサ56の信号に基づいて、上流触媒53の浄化能力を判定してもよい。例えば、触媒劣化判定部91bは、上流酸素センサ55の信号の変化と下流酸素センサ56の信号の変化を比較して、上流触媒53の浄化能力を判定してもよい。上流酸素センサ55と下流酸素センサ56の信号を使うことで、上流触媒53の劣化の程度をより精度よく検出できる。
本発明の実施形態の具体例1は、図1に示す本発明の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。
燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長(D1)は、触媒層到達熱低減部54から消音器52の放出口52bまでの経路長(D2+d1+D3+D4)よりも短い。そのため、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長(D1)が、触媒層到達熱低減部54から消音器52の放出口52bまでの経路長(D2+d1+D3+D4)よりも長い場合に比べて、触媒層到達熱低減部54は、燃焼室30により近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54の下流に配置される触媒層62を、燃焼室30に近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)は、触媒層62から消音器52の放出口52bまでの経路長(D3+D4)よりも短い。そのため、燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)が、触媒層62から消音器52の放出口52bまでの経路長(D3+D4)よりも長い場合に比べて、触媒層62は、燃焼室30により近い位置に配置される。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長(D1)は、触媒層到達熱低減部54から消音器52までの経路長(D2+d1+D3)よりも短い。そのため、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長(D1)が、触媒層到達熱低減部54から消音器52までの経路長(D2+d1+D3)よりも長い場合に比べて、触媒層到達熱低減部54は、燃焼室30により近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54の下流に配置される触媒層62を、燃焼室30に近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)は、触媒層62から消音器52までの経路長(D3)よりも短い。そのため、燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)が、触媒層62から消音器52までの経路長(D3)よりも長い場合に比べて、触媒層62は、燃焼室30により近い位置に配置される。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車1を左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54は、直線La1の前方に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54が直線La1の後方に配置される場合に比べて、触媒層到達熱低減部54は、燃焼室30に近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54の下流に配置される触媒層62を、燃焼室30に近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車1を左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、直線La1の前方に配置される。そのため、触媒層62全体が直線La1の後方に配置される場合に比べて、触媒層62は、燃焼室30に近い位置に配置される。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車1を左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54の少なくとも一部は、直線La2の前方に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54全体が直線La2の後方に配置される場合に比べて、触媒層到達熱低減部54は、燃焼室30に近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54の下流に配置される触媒層62を、燃焼室30に近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車1を左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、直線La2の前方に配置される。そのため、触媒層62全体が直線La2の後方に配置される場合に比べて、触媒層62は、燃焼室30に近い位置に配置される。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車1を左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、直線La2の後方に配置される。そのため、シリンダ軸線Cyの方向が前後方向に近い場合であっても、燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)が短くなりすぎない。つまり、触媒層62の熱劣化を防止できるように、燃焼室30から触媒層62までの経路長(D1+d2)を確保できる。
触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向の最大長さd2は、触媒層62の排ガスの流れ方向の最大長さd1よりも短い。つまり、触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向の最大長さd2が、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部54は、比較的小さいスペースに配置できる。つまり、触媒層到達熱低減部54の配置位置の自由度が高い。それにより、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
触媒層到達熱低減部54は、上流触媒53の排ガスの流れ方向の上流であって且つ上流触媒53から離れた位置に配置されている。そのため、触媒層到達熱低減部54が上流触媒53の一部である場合に比べて、触媒層到達熱低減部54の配置位置の自由度が高い。触媒層62の上流側の近傍に触媒層到達熱低減部54を配置する空きスペースが無い場合であっても、触媒層到達熱低減部54を配置できる。よって、触媒層62の配置維持の自由度を向上できる。
触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向の最大長さd2は、触媒層到達熱低減部54から触媒層62までの経路長(D2)よりも短い。そのため、触媒層到達熱低減部54の排ガスの流れ方向の最大長さd2が、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部54は、比較的小さいスペースに配置できる。つまり、触媒層到達熱低減部54の配置位置の自由度が高い。それにより、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
触媒層到達熱低減部54は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。そのため、触媒層到達熱低減部54は、排ガスの熱を吸収しつつ、排ガスの流れを妨げない。そのため、自動二輪車1の排ガスの浄化性能を維持できる。さらに、触媒層到達熱低減部54を排ガスが通過することで、排ガスの流れの偏りを軽減できる。よって、触媒層到達熱低減部54の下流に配置される触媒層62に対して、排ガスをより均一的に接触させることができる。その結果、触媒層62による排ガスの浄化効率を向上できる。
上流酸素センサ55の検出素子67は、貴金属を含む酸素センサ用触媒層67dを有する。酸素センサ用触媒層67dは、排ガスを浄化する。それにより、上流酸素センサ55の検出素子67が排ガスの影響を受けることを防止できる。つまり、酸素センサ用触媒層67dを設けたことで、上流酸素センサ55の検出精度を向上できる。また、上流酸素センサ55は、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54と触媒層62との間の位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部54は、上流酸素センサ55に到達する熱量を低減させる。よって、酸素センサ用触媒層67dの熱劣化を防止しつつ、上流酸素センサ55を燃焼室30により近い位置に配置できる。上流酸素センサ55が燃焼室30に近い位置に配置されることで、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
エンジンユニット11は、下流酸素センサ56を備える。下流酸素センサ56は、露出排気通路部51における触媒層62と消音器52との間の位置に設けられる。つまり、下流酸素センサ56は、触媒層62の下流に配置される。上述したように、触媒層到達熱低減部54を設けたことで触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。触媒層62の配置位置の自由度が高いことにより、下流酸素センサ56の配置位置の自由度を向上できる。
自動二輪車1を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部51におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。
自動二輪車1において、露出排気通路部51の露出している部分は、放熱性が高い。触媒層到達熱低減部54は、エンジン本体20と触媒層62との間に配置される。よって、触媒層到達熱低減部54の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することができる。よって、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
自動二輪車1を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。そのため、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。自動二輪車1において、露出排気通路部51の露出している部分は、放熱性が高い。よって、触媒層到達熱低減部54の放熱性がより高くなる。それにより、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62を燃焼室30により近い位置に配置することができる。よって、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
[実施形態の具体例2]
次に、上述した本発明の実施形態の具体例2について、図10〜図12を用いて説明する。以下の説明では、上述した本発明の実施形態およびその具体例1と同じ部位についての説明は省略する。基本的に、本発明の実施形態の具体例2は、上述した本発明の実施形態を全て包含している。
図10に示すように、具体例2の自動二輪車101のエンジンユニット111の排気装置150は、具体例1の自動二輪車1のエンジンユニット11の排気装置50と異なる。排気装置150は、以下の点で、排気装置50と異なる。触媒層到達熱低減部154の配置位置および形状が、触媒層到達熱低減部54の配置位置及び形状と異なる。上流触媒53、上流酸素センサ55、下流酸素センサ56の配置位置が、具体例1と異なる。排気装置150は、下流触媒157を有する。下流触媒157は、上流触媒53の下流に配置される。露出排気通路部151の形状が、露出排気通路部51の形状と異なる。これら以外の構成は、具体例1とほぼ同じである。以下、詳細に説明する。
<1>露出排気通路部151の構成
露出排気通路部151における排ガスの流れは、具体例1とほぼ同じである。露出排気通路部151は、上流側から順に、第1曲がり部51aと、第2曲がり部51bを有する。露出排気通路部151において、触媒層到達熱低減部154、上流触媒53、および下流触媒157が配置されている領域の径は、その他の領域の径よりも大きい。さらに、露出排気通路部151において、触媒層到達熱低減部154と上流触媒53との間の領域の径は、触媒層到達熱低減部154および上流触媒53が配置されている領域の径とほぼ同じである。露出排気通路部151は、触媒層到達熱低減部154の上流且つ近傍において、上流に向かって先細り状となっている。露出排気通路部151は、上流触媒53の下流且つ近傍において、下流に向かって先細り状となっている。
<2>上流触媒53の配置位置
図12に示すように、上流触媒53は、露出排気通路部151内に配置されている。上流触媒53は、露出排気通路部151に配置された複数の触媒のうち最も上流の触媒である。上流触媒53は、触媒層到達熱低減部154の下流に配置されている。図11に示すように、燃焼室30から触媒層到達熱低減部154までの経路長を、D11とする。触媒層到達熱低減部154の排ガスの排ガスの流れ方向の最大長さを、d12とする。触媒層到達熱低減部154から触媒層62までの経路長を、D12とする。燃焼室30から触媒層62までの経路長は、D11+d12+D12である。触媒層62から消音器52までの経路長を、D13とする。燃焼室30から触媒層62までの経路長(D11+d12+D12)は、触媒層62から消音器52の放出口52bまでの経路長(D13+D4)よりも短い。燃焼室30から触媒層62までの経路長(D11+d12+D12)は、触媒層62から消音器52までの経路長D13よりも短い。
図10に示すように、上流触媒53は、露出排気通路部151における第1曲がり部51aと第2曲がり部51bの間の位置に配置されている。左右方向に見て、上流触媒53は、エンジン本体20の前に配置されている。左右方向に見て、上流触媒53の触媒層62の少なくとも一部は、直線La1の前に配置される。より詳細には、左右方向に見て、触媒層62全体が、直線La1の前に配置される。
図10に示すように、左右方向に見て、触媒層62の少なくとも一部は、直線La2の前に配置される。詳細には、左右方向に見て、触媒層62の一部が、直線La2の前に配置される。
図10に示すように、自動二輪車101を右から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車101を前から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車101を前から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層62までの領域は、少なくとも部分的に露出している。
<3>触媒層到達熱低減部154の構成および配置位置
触媒層到達熱低減部154は、露出排気通路部151内に配置されている。触媒層到達熱低減部154は、露出排気通路部151おけるエンジン本体20と触媒層62の間の位置に配置される。触媒層到達熱低減部154は、上流触媒53の上流であって且つ上流触媒53から離れた位置に配置される。触媒層到達熱低減部154は、露出排気通路部151に支持されている。触媒層到達熱低減部154は、露出排気通路部151に直接または間接的に固定されている。
触媒層到達熱低減部154は、略円柱状である。触媒層到達熱低減部154は、多孔質構造体である。触媒層到達熱低減部154の材質は、具体例1の触媒層到達熱低減部54の材質と同じである。触媒層到達熱低減部154の構造は、具体例1の触媒層到達熱低減部54の構造とほぼ同じである。但し、触媒層到達熱低減部154の形状は、具体例1の触媒層到達熱低減部54の形状と異なる。
触媒層到達熱低減部154の排ガスの流れ方向に直交する方向の最大長さを、w12とする。具体例1と異なり、触媒層到達熱低減部154の長さd12は、触媒層到達熱低減部154の長さw12よりも短い。具体例1と異なり、触媒層到達熱低減部154の長さd12は、触媒層到達熱低減部154から触媒層62までの経路長(D12)よりも長い。触媒層到達熱低減部154の長さd12は、触媒層到達熱低減部154から触媒層62までの経路長(D12)以下であってもよい。
具体例1と同じく、触媒層到達熱低減部154の長さd12は、触媒層62の長さd1よりも短い。具体例1と異なり、触媒層到達熱低減部154の長さw12は、上流触媒53の長さw1とほぼ同じである。
具体例1と同じく、触媒層到達熱低減部154から触媒層62までの経路長D12は、燃焼室30から触媒層到達熱低減部154までの経路長D11よりも短い。つまり、触媒層到達熱低減部154は、燃焼室30よりも触媒層62に近い。燃焼室30から触媒層到達熱低減部154までの経路長D11は、触媒層到達熱低減部154から消音器52の放出口52bまでの経路長(D12+d1+D13+D4)よりも短い。燃焼室30から触媒層到達熱低減部154までの経路長(D11)は、触媒層到達熱低減部154から消音器52までの経路長(D12+d1+D13)よりも短い。
図10に示すように、触媒層到達熱低減部154は、露出排気通路部151における第1曲がり部51aと第2曲がり部51bの間の位置に配置されている。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部154は、エンジン本体20の前に配置される。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部154は、直線La1の前に配置される。左右方向に見て、触媒層到達熱低減部154の少なくとも一部は、直線La2の前に配置される。より詳細には、左右方向に見て、触媒層到達熱低減部154全体が、直線La2の前に配置される。
図10に示すように、自動二輪車101を右から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部154の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車101を前から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部154の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車101を前から見たときに、露出排気通路部151におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部154の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。この構成により、触媒層到達熱低減部154の放熱性を高めることができる。
図10に示すように、自動二輪車101を右から見たときに、露出排気通路部151における触媒層到達熱低減部154の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車101を左から見たときに、露出排気通路部151における触媒層到達熱低減部154の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出していてもよい。図示は省略するが、自動二輪車101を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部151における触媒層到達熱低減部154の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。この構成により、触媒層到達熱低減部154の放熱性を高めることができる。
<4>下流触媒157の構成および配置位置
下流触媒157は、露出排気通路部151内に配置されている。下流触媒157は、露出排気通路部151おける上流触媒53と消音器52の入口52aの間の位置に配置される。なお、下流触媒157は、消音器52内に配置されてもよい。
下流触媒157は、略円柱状である。下流触媒157は、露出排気通路部151に直接または間接的に固定されていている。燃焼室30から排出された全ての排ガスは、下流触媒157を通過する。排ガスは、下流触媒157を通過することで浄化される。下流触媒157は、三元触媒である。下流触媒157は、酸化だけで有害物質を除去する酸化触媒であってもよい。下流触媒157は、還元だけで有害物質を除去する還元触媒であってもよい。図5に示すように、下流触媒157の構造は、上流触媒53の構造とほぼ同じである。下流触媒157は、基材と、触媒層とを有する。
図10に示すように、下流触媒157は、露出排気通路部151における第2曲がり部51bより下流の位置に配置されている。左右方向に見て、下流触媒157は、エンジン本体20の下に配置されている。上流触媒53、253から下流触媒157までの経路長は、触媒層62の長さd1よりも長い。
<5>酸素センサ55、66の配置位置
上流酸素センサ55は、露出排気通路部151における触媒層到達熱低減部154と触媒層62との間の位置に設けられる。下流酸素センサ56は、露出排気通路部151における触媒層62と消音器52との間の位置に配置される。より詳細には、下流酸素センサ56は、露出排気通路部151における上流触媒53と下流触媒157との間の位置に配置される。
図13は、本発明の実施形態の具体例2のエンジンユニット111と、比較例のエンジンユニット911を示す図面である。比較例のエンジンユニット911は、触媒層到達熱低減部54を有さない。比較例のエンジンユニット911は、触媒層62の活性化に要する時間が具体例2とほぼ同じになるように上流触媒953が配置されている。燃焼室30から上流触媒953までの経路長を、D9とする。燃焼室30から上流触媒53までの経路長(D11+d12+D12)は、経路長D9よりも短い。つまり、具体例2の上流触媒53は、比較例の上流触媒953よりも燃焼室30により近い位置に配置される。したがって、具体例2は触媒層到達熱低減部54を設けない場合に比べて、触媒層62の活性化に要する時間の短縮と触媒層62の熱劣化の防止を両立しつつ、触媒層62の配置位置の自由度を向上できる。
本発明の実施形態の具体例2は、本発明の実施形態の具体例1と同じ構成については、具体例1と同じ効果を奏する。本発明の実施形態の具体例2は、さらに以下の効果を奏する。
自動二輪車101を左右方向に見て、触媒層62全体が、直線La1の前方に配置される。そのため、触媒層62の少なくとも一部が直線La1の後方に配置される場合に比べて、触媒層62は、燃焼室30に近い位置に配置される。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
自動二輪車101を左右方向に見て、触媒層到達熱低減部154全体が、直線La2の前方に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部154の少なくとも一部が直線La2の後方に配置される場合に比べて、触媒層到達熱低減部154は、燃焼室30に近い位置に配置される。そのため、触媒層到達熱低減部154の下流に配置される触媒層62を、燃焼室30に近い位置に配置できる。よって、触媒層62の熱劣化を防止しつつ、触媒層62の活性化に要する時間を短縮できる。
触媒層到達熱低減部154から上流触媒53までの経路長(D12)は、触媒層到達熱低減部154の排ガスの流れ方向の最大長さd2よりも短い。そのため、触媒層到達熱低減部154から上流触媒53までの経路長(D12)が、比較的短い。よって、触媒層到達熱低減部154および上流触媒53は、比較的小さいスペースに配置できる。よって、触媒層62の配置位置の自由度が高い。
[実施形態の具体例3]
次に、上述した本発明の実施形態の具体例3について、図14および図15を用いて説明する。以下の説明では、上述した本発明の実施形態およびその具体例1、2と同じ部位についての説明は省略する。基本的に、本発明の実施形態の具体例3は、上述した本発明の実施形態を全て包含している。
図14に示すように、具体例3の自動二輪車のエンジンユニット211の排気装置250は、具体例2の自動二輪車101のエンジンユニット111の排気装置150と異なる。排気装置250は、以下の点で、排気装置150と異なる。上流触媒253および触媒層到達熱低減部254の構成が、具体例2の上流触媒53および触媒層到達熱低減部154と異なる。露出排気通路部251の形状が、具体例2の露出排気通路部151と異なる。上流酸素センサ55の配置位置が、具体例2と異なる。その他の構成は、具体例2とほぼ同じである。
図14に示すように、上流触媒253は、触媒層到達熱低減部254を含んでいる。触媒層到達熱低減部254は、上流触媒253における上流側の部分を構成している。
上流触媒253は、排ガスを浄化する触媒層262を有する。触媒層262は、触媒層到達熱低減部254より下流にある。つまり、上流触媒253の触媒層262は、上流触媒253における下流側の部分にのみ設けられている。上流触媒253の触媒層262の配置位置は、具体例2の上流触媒53の触媒層62の配置位置と同じである。触媒層到達熱低減部254は、具体例2の触媒層到達熱低減部154よりも燃焼室30に近い。
図15は、上流触媒253の2つの例を示す模式的な部分断面図である。なお、上流触媒253の構成は、図15に示す構成に限らない。図15に示すように、上流触媒253は、基材261と、触媒層262と、コート層266とを有する。触媒層到達熱低減部254は、基材261の一部と、コート層266で構成される。触媒層到達熱低減部254は、触媒層262を含まない。触媒層262およびコート層266は、基材261の排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔の内面に付着している。触媒層262は、基材261における下流の部分に付着している。言い換えると、触媒層262は、基材261の途中から基材261の下流端までの領域に付着している。コート層266は、基材261における上流の部分に付着している。言い換えると、コート層266は、基材261の途中から基材261の上流端までの領域に付着している。基材261の材質は、具体例1、2の基材61の材質と同じである。基材261の構成は、排ガス排ガスの流れ方向の長さ以外、具体例1、2の基材61の構造と同じである。触媒層262の材質は、具体例1、2の触媒層62の材質と同じである。
上流触媒253は、基材261と、担体262aと、貴金属62bとを有する。触媒層262は、担体262aの一部と、貴金属62bを含む。コート層266は、担体262aの一部で構成される。コート層266は、貴金属62bを含まない。担体262aの材質は、具体例1、2の担体62aの材質と同じである。担体262aの構造は、排ガスの流れ方向の長さ以外、具体例1、2の担体62aの構造と同じである。
図15に示すように、貴金属62bは、担体262aの表面層にのみ配置されていてもよい。具体的には、例えば、基材261に担体262aを形成した後、担体262aの一部の表面層に貴金属62bを浸み込ませる。それにより、触媒層262を形成してもよい。また、貴金属62bは、担体262aに分散して配置されていてもよい(図6(b)参照)。また、図示は省略するが、貴金属62bは、担体262aの内部にのみ配置されていてもよい。また。コート層266の厚みは、触媒層262の厚みとほぼ同じであってもよく、それより薄くてもよい。
図14に示すように、燃焼室30から触媒層到達熱低減部254までの経路長を、D21とする。触媒層到達熱低減部254の排ガスの排ガスの流れ方向の最大長さを、d22とする。触媒層到達熱低減部254の排ガスの流れ方向に直交する長さは、w1である。触媒層到達熱低減部254の長さd22は、触媒層到達熱低減部254の長さw1よりも短い。触媒層到達熱低減部254の長さd22は、触媒層262の長さd1よりも短い。
触媒層到達熱低減部254から触媒層262までの経路長はゼロである。燃焼室30から触媒層到達熱低減部254までの経路長D21は、触媒層到達熱低減部254から消音器52の放出口52bまでの経路長(d1+D13+D4)よりも短い。燃焼室30から触媒層到達熱低減部254までの経路長(D21)は、触媒層到達熱低減部254から消音器52までの経路長(d1+D13)よりも短い。
図示は省略するが、自動二輪車を右から見たときに、露出排気通路部251におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部254の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車を前から見たときに、露出排気通路部251におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部254の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車を前から見たときに、露出排気通路部251におけるエンジン本体20から触媒層到達熱低減部254の下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。
図示は省略するが、自動二輪車を右から見たときに、露出排気通路部251における触媒層到達熱低減部254の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。図示は省略するが、自動二輪車を左から見たときに、露出排気通路部251における触媒層到達熱低減部254の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出していてもよい。図示は省略するが、自動二輪車を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部251における触媒層到達熱低減部254の上流端から下流端までの領域は、少なくとも部分的に露出している。この構成により、触媒層到達熱低減部254の放熱性を高めることができる。
上流酸素センサ55は、露出排気通路部251における触媒層到達熱低減部254より上流の位置に設けられる。
本発明の実施形態の具体例3は、本発明の実施形態の具体例1と同じ構成については、具体例1と同様の効果を奏する。本発明の実施形態の具体例3は、本発明の実施形態の具体例2と同じ構成については、具体例2と同様の効果を奏する。本発明の実施形態の具体例3は、さらに以下の効果を奏する。
触媒層到達熱低減部254は、上流触媒253の一部である。そのため、触媒層到達熱低減部254と上流触媒253との間に隙間を設けなくて済む。よって、触媒層到達熱低減部254および上流触媒253の配置スペースを小さくできる。よって、触媒層262の配置位置の自由度を向上できる。
上流触媒253は、基材261と触媒層262とを有する。触媒層262は、基材261における下流の部分に付着している。触媒層到達熱低減部254は、基材261における触媒層262が設けられていない部分を含む。つまり、触媒層到達熱低減部254は、基材261における上流の部分を含む。上流触媒253の製造時に、基材261を形成することで、触媒層到達熱低減部254の一部を形成できる。よって、触媒層到達熱低減部254を容易に形成できる。
以上、本発明の実施形態の具体例として、具体例1〜3を説明したが、本発明の実施形態の具体例は、これらに限られない。以下、本発明の実施形態の他の具体例について説明する。後述する変更例は、適宜組み合わせて実施可能である。
[上流触媒の位置の変更例]
具体例1〜3において、燃焼室30から触媒層62、262までの経路長は、触媒層62、262から消音器52の放出口52bまでの経路長よりも短い。しかし、本発明において、燃焼室から触媒層までの経路長は、触媒層から消音器の放出口までの経路長よりも長くてもよい。
具体例2において、左右方向に見て、触媒層62の一部は、直線La2の前に配置されている。しかし、本発明において、左右方向に見て、触媒層は、直線La2の前に配置されてもよい。つまり、左右方向に見て、触媒層の少なくとも一部が、直線La2の前に配置されてもよい。また、左右方向に見て、上流触媒の触媒層全体が、エンジン本体の前で、且つ、直線La2の後ろに配置されてもよい。
[上流触媒および下流触媒の構造の変更例]
具体例1、2において、上流触媒53は触媒層到達熱低減部54、154を含んでおらず、且つ、触媒層62は、上流触媒53における排ガスの流れ方向の全域に設けられている。しかし、本発明において、上流触媒が触媒層到達熱低減部を含まない場合に、触媒層は、上流触媒の排ガスの流れ方向の一部にのみ設けられていてもよい。
具体例1〜3において、上流触媒53、253の基材61、261は、金属製である。しかし、本発明において、上流触媒の基材は、セラミック製であってもよい。また、また、具体例2、3において、下流触媒157の基材は、金属製である。しかし、本発明において、上流触媒の下流に下流触媒が設けられる場合、下流触媒の基材は、セラミック製でもよい。
なお、金属製の基材は、セラミック製の基材に比べて、下記の点で好ましい。金属製の基材は、外形の大きさが同程度のセラミック製の基材に比べて、重量が大きい。そのため、上流触媒の基材が金属製の場合、鞍乗型車両の走行時に、エンジンユニットの振動が大きくても、上流触媒の振動を抑えることができる。また、金属製の基材は、基材の断面積に対して隙間の割合が大きい。そのため、排ガスの圧損が少なくて済む。
具体例1〜3において、上流触媒53、253の排ガスの流れ方向に貫通する孔の形状は、略三角形状である。しかし、本発明において、上流触媒は、ハニカム構造体であってもよい。つまり、上流触媒の排ガスの流れ方向に貫通する孔の形状は、六角形状であってもよい。具体例2、3において、下流触媒157の排ガスの流れ方向に貫通する孔の形状は、略三角形状である。しかし、本発明において、上流触媒の下流に下流触媒が設けられる場合、下流触媒は、ハニカム構造体であってもよい。
具体例1〜3において、上流触媒53、253は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。しかし、本発明において、上流触媒は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体でなくてもよい。例えば、上流触媒は、露出排気通路部の内面に付着された触媒層だけで構成されていてもよい。また、例えば、上流触媒は、板状の基材と、触媒層で構成されていてもよい。排ガスの流れ方向に見て、板状の基材は、円形状、S字状、またはC字状であってもよい。上流触媒が、触媒層だけ、または、板状の基材と触媒層で構成される場合、上流触媒は、排ガスの流れの抵抗が小さい。具体例2、3において、下流触媒157は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。しかし、本発明において、上流触媒の下流に下流触媒が設けられる場合、下流触媒は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体でなくてもよい。
具体例1〜3において、上流触媒53、253は、独立した1つの部材である。しかし、本発明において、上流触媒は、複数の部材で構成されていてもよい。この部材同士は、直接接しているものとする。具体例2、3において、下流触媒157は、独立した1つの部材である。しかし、本発明において、上流触媒の下流に下流触媒が設けられる場合、下流触媒は、複数の部材で構成されていてもよい。
[下流触媒の変更例]
具体例2、3において、上流触媒53、253から下流触媒157までの経路長は、触媒層62の長さd1よりも長い。しかし、本発明において、上流触媒から別の触媒までの経路長は、上流触媒の触媒層の排ガスの流れ方向の最大長さよりも短くてもよい。
具体例2、3において、下流触媒157は設けられなくてもよい。具体例1において、上流触媒53の下流に、下流触媒が設けられてもよい。
[触媒層到達熱低減部の変更例]
具体例1、2の触媒層到達熱低減部54、154は、上流触媒53とは独立した部材であって、且つ、上流触媒53から離れている。しかし、本発明の触媒層到達熱低減部は、上流触媒とは独立した部材であって、且つ、上流触媒に直接接触していてもよい。
具体例1において、触媒層到達熱低減部54の長さw2は、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の近傍の内径とほぼ同じである。しかし、触媒層到達熱低減部54の長さw2は、露出排気通路部51における触媒層到達熱低減部54の近傍の内径より大きくてもよい。それにより、露出排気通路部51は、触媒層到達熱低減部54の上流且つ近傍において、上流に向かって先細り状となっていてもよい。露出排気通路部51は、触媒層到達熱低減部54の下流且つ近傍において、下流に向かって先細り状となっていてもよい。触媒層到達熱低減部54の長さw2は、上流触媒53の長さw1と同じであってもよい。
具体例2において、露出排気通路部151における触媒層到達熱低減部154と上流触媒53との間の領域は、ストレート形状である。つまり、径が一定である。
しかし、本発明において、露出排気通路部151のこの領域は、ストレート形状でなくてもよい。この領域の排ガスの流れ方向の中央部の径が、この領域の両端部の径よりも小さくてもよい。
具体例1において、触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層到達熱低減部54の長さw2よりも長い。しかし、触媒層到達熱低減部54の長さd2は、触媒層到達熱低減部54の長さw2よりも短くてよい。
具体例2において、触媒層到達熱低減部154の排ガスの流れ方向の長さd12は、触媒層到達熱低減部154のw12よりも短い。しかし、触媒層到達熱低減部154の長さd12は、触媒層到達熱低減部154の長さw12よりも長くてもよい。
具体例1〜3において、触媒層到達熱低減部54、154、254の長さd2、d12、d22は、触媒層62、262の長さd1よりも短い。しかし、本発明において、触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向の最大長さは、触媒層の排ガスの流れ方向の最大長さよりも長くてもよい。
具体例1〜3において、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54、154、254までの経路長は、触媒層到達熱低減部54、154、254から消音器52の放出口52bまでの経路長よりも短い。しかし、本発明において、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長は、触媒層到達熱低減部から消音器の放出口までの経路長よりも長くてもよい。
具体例1〜3において、燃焼室30から触媒層到達熱低減部54までの経路長は、触媒層到達熱低減部54から消音器52までの経路長よりも短い。しかし、本発明において、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長は、触媒層到達熱低減部から消音器までの経路長よりも長くてもよい。
具体例1〜3では、左右方向に見て、触媒層到達熱低減部54、154、254の少なくとも一部は、直線La2の前に配置されている。なお、直線La2は、左右方向に見て、シリンダ孔25aの中心軸線に直交し、且つ、クランク軸線Crを通る直線である。しかし、本発明において、左右方向に見て、触媒層到達熱低減部は、直線La2に相当する直線の後ろに配置されていてもよい。
具体例1〜3において、触媒層到達熱低減部54、154、254は、金属を含む基材と、コート層で構成されている。しかし、本発明において、触媒層到達熱低減部は、基材だけで構成されていてもよい。また、触媒層到達熱低減部は、金属だけで構成されていてもよい。
具体例1〜3において、触媒層到達熱低減部54、154、254の排ガスの流れ方向に貫通する孔の形状は、略三角形状である。しかし、本発明において、触媒層到達熱低減部は、ハニカム構造体であってもよい。つまり、触媒層到達熱低減部の排ガスの流れ方向に貫通する孔の形状は、六角形状であってもよい。
具体例1〜3において、触媒層到達熱低減部54、154、254は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体である。しかし、本発明の触媒層到達熱低減部は、排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体でなくてもよい。例えば図16に示す触媒層到達熱低減部354Aのように、板状であってもよい。触媒層到達熱低減部354Aは、排ガスの流れ方向に見て、露出排気通路部351の内部空間の一部に配置される。触媒層到達熱低減部354Aは、排ガスの流れ方向に交差するように配置される。また、本発明において、触媒層到達熱低減部は、排ガスの流れ方向に見て、例えば、円形状、S字状、またはC字状の板状であってもよい。
本発明において、触媒層到達熱低減部は、1つの上流触媒に対して、複数設けられていてもよい。例えば図16に示すように、上流触媒53の触媒層62の上流に、4つの触媒層到達熱低減部354A、354B、354C、354Dが設けられていてもよい。本発明において、触媒層到達熱低減部が複数ある場合、複数の触媒層到達熱低減部は、それぞれ、触媒層到達熱低減部から触媒層までの経路長が、燃焼室から触媒層到達熱低減部までの経路長よりも短くなる位置に配置される。図16において、燃焼室30から触媒層到達熱低減部354Aまでの経路長を、D301とする。また、触媒層到達熱低減部354Aから触媒層62までの経路長を、D302とする。経路長D302は、経路長D301よりも短い。
[露出排気通路部の変更例]
具体例1〜3において、触媒層到達熱低減部は、全体が、露出排気通路部の内側に配置されている。しかし、本発明において、触媒層到達熱低減部は、露出排気通路部に支持されていれば、触媒層到達熱低減部の一部が、外部に露出していてもよい。例えば図17に示すように、触媒層到達熱低減部454が、露出排気通路部451の途中に介在していてもよい。図17では、触媒層到達熱低減部454は、露出排気通路部451に直接支持されているが、他の部品を介して間接的に露出排気通路部451に支持されていてもよい。
具体例1〜3において、自動二輪車を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部51、151、251におけるエンジ本体20から触媒層62までの領域の少なくとも一部は、外部に露出している。しかし、本発明において、車両を前から見たときに、露出排気通路部におけるエンジン本体から触媒層までの領域は、外部に露出していなくてもよい。車両を左から見たときに、露出排気通路部におけるエンジン本体から触媒層までの領域は、外部に露出していなくてもよい。車両を右から見たときに、露出排気通路部におけるエンジン本体から触媒層までの領域は、外部に露出していなくてもよい。
具体例1〜3では、車両を前から、左から、または右から見たときに、露出排気通路部51、151、251における触媒層到達熱低減部54、154、254の上流端から下流端までの領域の少なくとも一部は、外部に露出している。しかし、本発明において、車両を前から見たときに、露出排気通路部における触媒層到達熱低減部の上流端から下流端までの領域は、外部に露出していなくてもよい。車両を左から見たときに、露出排気通路部における触媒層到達熱低減部の上流端から下流端までの領域は、外部に露出していなくてもよい。車両を右から見たときに、露出排気通路部における触媒層到達熱低減部の上流端から下流端までの領域は、外部に露出していなくてもよい。
具体例1〜3において、露出排気通路部51、151、251は、単管である。しかし、本発明において、露出排気通路部の少なくとも一部は、多重管であってもよい。多重管は、内管と内管を覆う少なくとも1つの外管で構成される。露出排気通路部において、触媒層到達熱低減部より上流の領域の少なくとも一部が、多重管であってもよい。露出排気通路部において、触媒より上流の領域の少なくとも一部が、多重管であってもよい。多重管は、内部の排ガスの熱を放熱しにくい。露出排気通路部の放熱性が低くても、放熱性の高い媒層到達熱低減部を設けることで、触媒層に到達する熱量を低減できる。
[上流酸素センサの変更例]
具体例1、2において、上流酸素センサ55は、上流触媒53と離れており、且つ、触媒層到達熱低減部54、154より下流に設けられている。しかし、例えば図18に示すエンジンユニット511のように、上流酸素センサ55は、上流触媒53と離れており、且つ、触媒層到達熱低減部154より上流に設けられてもよい。
[下流酸素センサの変更例]
具体例1〜3において、下流酸素センサ56は、消音器52に設けられてもよい。
具体例2、3において、下流酸素センサ56は、上流触媒53、253と下流触媒157の間に設けられる代わりに、下流触媒157より下流に設けられてもよい。また、上流触媒53、253と下流触媒157の間に下流酸素センサ56を設けつつ、下流触媒157より下流に別の酸素センサを設けてもよい。
本発明の鞍乗型車両は、下流酸素センサを有さなくてもよい。
[エンジンユニットのその他の変更例]
具体例1〜3において、シリンダ軸線Cyは、上下方向に沿っている。しかし、本発明において、シリンダ孔の中心軸線は、前後方向に沿っていてもよい。なお、前後方向に沿っているとは、前後方向に平行な場合に限らない。
具体例1〜3において、エンジンユニット11、111、211は、自然空冷式のエンジンである。しかし、本発明のエンジンユニットは、強制空冷式のエンジンであってもよい。また、本発明のエンジンユニットは、水冷式のエンジンであってもよい。
具体例1〜3において、エンジンユニット11、111、211は、4ストロークエンジンである。しかし、本発明のエンジンユニットは、2ストロークエンジンであってもよい。また、本発明のエンジンユニットは、過給機を備えた過給エンジンであってもよい。
具体例1〜3において、エンジンユニットの運転時、露出排気通路部51、151、251を流れるガスは、燃焼室30から排出された排ガスだけである。しかし、本発明のエンジンユニットは、露出排気通路部に空気を供給する二次空気供給機構を備えていてもよい。二次空気供給機構の具体的な構成は、公知の構成が採用される。二次空気供給機構は、エアポンプによって強制的に露出排気通路部に空気を供給する構成であってもよい。また、二次空気供給機構は、露出排気通路部の負圧によって空気を露出排気通路部に引き込む構成であってもよい。
具体例1〜3のエンジンユニット11、111、211は、単気筒エンジンである。しかし、本発明のエンジンユニットは、多気筒エンジンであってもよい。多気筒エンジンは複数の燃焼室を有する。複数の燃焼室は、車両の左右方向に並んでいてもよい。燃焼室の数が2つ以上の偶数の場合、複数の燃焼室のうちの2つの燃焼室は、車両の前後方向に並んでいてもよい。つまり、本発明のエンジンユニットは、いわゆるV型エンジンであってもよい。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、露出排気通路部は、複数の燃焼室から排出された排ガスを集合させる集合部を有していてもいなくてもよい。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、エンジン本体が、このような集合部を有していてもよい。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、燃焼室ごとに、スロットル弁が設けられることが好ましい。
本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、複数の燃焼室に対して1つの触媒層到達熱低減部が設けられてもよい。ここでの「複数の燃焼室」は、エンジンユニットが有する全ての燃焼室であってもよく、その一部の燃焼室であってもよい。また、燃焼室ごとに触媒層到達熱低減部が設けられてもよい。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、複数の燃焼室に対して1つの上流触媒が設けられてもよい。また、燃焼室ごとに上流触媒が設けられてもよい。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、複数の触媒層到達熱低減部に対して1つの上流触媒が設けられてもよい。ここでの「複数の燃焼室」は、エンジンユニットが有する全ての燃焼室であってもよく、その一部の燃焼室であってもよい。また、触媒層到達熱低減部ごとに上流触媒が設けられてもよい。
本発明のエンジンユニットがV型エンジンの場合、前後方向に並んで配置された2つの燃焼室から排出された排ガスが、1つの触媒層到達熱低減部を通過してもよい。この場合、この触媒層到達熱低減部を通過する排ガスは、この2つの燃焼室以外の燃焼室から排出された排ガスを含んでいてもよい。また、前後方向に並んで配置された2つ以上の燃焼室から排出された排ガスが、1つの上流触媒を通過してもよい。この場合、この上流触媒を通過する排ガスは、この2つの燃焼室以外の燃焼室から排出された排ガスを含んでいてもよい。
本発明において、燃焼室は、主燃焼室と、主燃焼室につながる副燃焼室とを有する構成であってもよい。
本発明のエンジンユニットは、1つの上流触媒に対して2つの消音器を有していてもよい。本発明において、上流触媒から消音器までの経路長を使った条件で、触媒層または触媒層到達低減部の位置を特定する場合、2つの消音器の一方だけが、この条件を満たしていればよい。2つの消音器の両方が、この条件を満たしてもよい。
1、101 自動二輪車(鞍乗型車両)
11、111、211、511 エンジンユニット
20 エンジン本体
22 シリンダ部
24 クランク軸
25a シリンダ孔
50、150、250 排気装置
51、151、251、351、451 露出排気通路部
52 消音器
52b 放出口
53、253 上流触媒
54、154、254、354A〜354D、454 触媒層到達熱低減部
55 上流酸素センサ
56 下流酸素センサ
61、65、261 基材
62、262 触媒層
62a、262a 担体
62b 貴金属
66、266 コート層
67 検出素子
67d 酸素センサ用触媒層
157 下流触媒

Claims (15)

  1. 燃焼室を有するシリンダ部を備えるエンジン本体と、
    車両を前から、左から、または右から見たときに少なくとも一部が露出し、前記エンジン本体に接続され、前記燃焼室から排出された排ガスが流れる露出排気通路部と、
    前記露出排気通路部に接続され、大気に前記排ガスを放出する放出口を有し、排ガスにより生じる音を低減する消音器と、
    前記露出排気通路部内に配置されており、排ガスを浄化する貴金属を含む触媒層を有し、露出排気通路部において前記排ガスの流れ方向の最も上流の触媒である上流触媒と、
    貴金属以外の金属を含み、前記露出排気通路部に支持されて、前記エンジン本体と前記触媒層の間の位置に配置されて、前記触媒層に到達する前記排ガスの熱量を低減させる触媒層到達熱低減部であって、前記触媒層到達熱低減部から前記触媒層までの経路長が前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長よりも短くなるような位置に配置される触媒層到達熱低減部と、
    前記露出排気通路部に設けられ、前記エンジン本体と前記触媒層との間の位置であって且つ前記触媒層到達熱低減部の位置と異なる位置に配置され、前記排ガスの酸素濃度を検出する上流酸素センサと、を備えるエンジンユニットが搭載されたことを特徴とする鞍乗型車両。
  2. 前記触媒層到達熱低減部は、前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長が前記触媒層到達熱低減部から前記消音器の前記放出口までの経路長よりも短くなるような位置に配置されることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
  3. 前記触媒層は、前記燃焼室から前記触媒層までの経路長が前記触媒層から前記消音器の前記放出口までの経路長よりも短くなるような位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
  4. 前記触媒層到達熱低減部は、前記燃焼室から前記触媒層到達熱低減部までの経路長が前記触媒層到達熱低減部から前記消音器までの経路長よりも短くなるような位置に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  5. 前記触媒層は、前記燃焼室から前記触媒層までの経路長が前記触媒層から前記消音器までの経路長よりも短くなるような位置に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  6. 前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含み、
    車両を左右方向に見て、前記触媒層到達熱低減部は、前記クランク軸の前記中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線の前方に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  7. 前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含み、
    車両を左右方向に見て、前記触媒層の少なくとも一部は、前記クランク軸の前記中心軸線を通り且つ上下方向に平行な直線の前方に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  8. 前記エンジン本体は、車両の左右方向に沿った中心軸線を有するクランク軸を含み、
    前記シリンダ部は、前記燃焼室の一部を形成するシリンダ孔を有し、
    車両を左右方向に見て、前記触媒層到達熱低減部の少なくとも一部は、前記シリンダ孔の中心軸線に直交し且つ前記クランク軸の前記中心軸線を通る直線の車両の前後方向の前方に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  9. 前記触媒層到達熱低減部が、前記上流触媒の一部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  10. 前記上流触媒は、前記触媒層に加えて、基材を有し、
    前記触媒層は、前記基材における排ガスの流れ方向の下流の部分に付着しており、
    前記触媒層到達熱低減部は、前記基材における前記排ガスの流れ方向の上流の部分であって前記触媒層が設けられていない部分を含むことを特徴とする請求項9に記載の鞍乗型車両。
  11. 前記触媒層到達熱低減部は、前記上流触媒の前記排ガスの流れ方向の上流であって且つ前記上流触媒から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  12. 前記触媒層到達熱低減部は、前記排ガスの流れ方向に貫通する複数の孔を有する多孔質構造体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  13. 前記上流酸素センサの検出素子は、貴金属を含み、前記排ガスを浄化する酸素センサ用触媒層を有し、
    前記上流酸素センサは、前記露出排気通路部における前記触媒層到達熱低減部と前記触媒層との間の位置に設けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  14. 前記エンジンユニットは、前記露出排気通路部における前記触媒層と前記消音器との間の位置、または、前記消音器に設けられて、前記排ガスの酸素濃度を検出する下流酸素センサを備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の鞍乗型車両。
  15. 車両を前から、左から、または右から見たときに、前記露出排気通路部における前記エンジン本体から前記触媒層までの領域は、少なくとも部分的に露出していることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の鞍乗型車両。
JP2017054332A 2017-03-21 2017-03-21 鞍乗型車両 Pending JP2018155218A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017054332A JP2018155218A (ja) 2017-03-21 2017-03-21 鞍乗型車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017054332A JP2018155218A (ja) 2017-03-21 2017-03-21 鞍乗型車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018155218A true JP2018155218A (ja) 2018-10-04

Family

ID=63716218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017054332A Pending JP2018155218A (ja) 2017-03-21 2017-03-21 鞍乗型車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018155218A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020162002A1 (ja) * 2019-02-04 2020-08-13 ヤマハ発動機株式会社 鞍乗型車両
WO2024071032A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 本田技研工業株式会社 鞍乗型車両
JP7514879B2 (ja) 2022-03-29 2024-07-11 本田技研工業株式会社 排気装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020162002A1 (ja) * 2019-02-04 2020-08-13 ヤマハ発動機株式会社 鞍乗型車両
EP3922835A4 (en) * 2019-02-04 2022-03-30 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha SADDLE TYPE VEHICLE
JP7514879B2 (ja) 2022-03-29 2024-07-11 本田技研工業株式会社 排気装置
WO2024071032A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 本田技研工業株式会社 鞍乗型車両

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016098902A1 (ja) 鞍乗型車両
US10677151B2 (en) Straddled vehicle
JP6348180B2 (ja) ビークルおよびv型多気筒4ストロークエンジンユニット
WO2016002955A1 (ja) ビークルおよび単気筒4ストロークエンジンユニット
WO2016002952A1 (ja) 鞍乗型車両および単気筒4ストロークエンジンユニット
WO2016002962A1 (ja) ビークルおよび単気筒4ストロークエンジンユニット
TWI611096B (zh) 跨坐型車輛
JP2018155218A (ja) 鞍乗型車両
TWI700429B (zh) 跨坐型車輛及單缸四衝程引擎單元
WO2017159713A1 (ja) 鞍乗型車両
WO2016002953A1 (ja) 鞍乗型車両
WO2016002957A1 (ja) 鞍乗型車両、及び、単気筒4ストロークエンジンユニット
WO2016002951A1 (ja) ビークルおよび単気筒4ストロークエンジンユニット
WO2016002954A1 (ja) 鞍乗型車両
WO2017164166A1 (ja) 鞍乗型車両
WO2017164163A1 (ja) 鞍乗型車両