JP2018155183A - エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンのシリンダブロックを挟んで一方側と他方側との間で、温度条件のバランスや重量バランスを均等に近づける。【解決手段】複数の燃焼室2を形成するシリンダブロック12と、シリンダブロック12に接続され燃焼室2に通じる吸気通路13及び排気通路14を備えるエンジン1において、複数の燃焼室2は、吸気通路13がシリンダブロック12を挟んで一方側から接続され且つ排気通路14がシリンダブロック12を挟んで他方側から接続される第一の燃焼室Aと、吸気通路13がシリンダブロック12を挟んで他方側から接続され且つ排気通路14がシリンダブロック12を挟んで一方側から接続される第二の燃焼室Bとを備える構成とした。【選択図】図1

Description

この発明は、排気ガスのエネルギをタービンで回収して吸気を過給する機械式過給機を備えるエンジンに関する。
排気ガスのエネルギを利用して、燃焼室に導入される吸気を過給する機械式過給機を備えたエンジンが広く採用されている。
この種の機械式過給機はターボチャージャとも呼ばれ、エンジンの吸気通路の途中にコンプレッサを配置し、排気通路の途中にタービンを配置し、排気通路を流れる排気ガスでタービンを回転させることによりコンプレッサを作動させ、燃焼室への吸入空気量を増大させてエンジンのトルクの向上を図っている(特許文献1)。
特開 2004−245104号公報
従来の機械式過給機付きのエンジンでは、複数の気筒が並列するシリンダブロックを挟んで、一方の側に各々の気筒へ通じる吸気通路が接続され、他方の側に各々の気筒からの排気通路が引き出されている。すなわち、シリンダブロックを挟んで一方の側が吸気側、他方の側が排気側となっている。
ところで、排気通路の途中に介在する機械式過給機のタービンは、通常、シリンダブロックの排気側に設けられる。ここで、吸気通路の途中に介在する機械式過給機のコンプレッサは、タービンと連結する必要があるため、そのタービンに併設して排気側に設けざるを得ない。したがって、エアクリーナからの吸気通路は、コンプレッサを配置するために、まずは、シリンダブロックの排気側を経由し、その後、シリンダブロックの吸気側へと導かれることとなる。
しかし、コンプレッサをシリンダブロックの排気側に配置すると、コンプレッサから燃焼室に至る吸気通路の長さが長くなる傾向がある。コンプレッサから燃焼室までの吸気通路の長さが長いと、コンプレッサによる吸気の過給を開始してから、実際に吸気が目標過給圧に至るまでのタイムラグ、いわゆるターボラグと呼ばれる過給遅れの問題が生じやすくなる。
そこで、吸気通路の長さを短くするために、逆に、コンプレッサをシリンダブロックの吸気側に配置する手法も考えられる。しかし、コンプレッサをシリンダブロックの吸気側に配置すると、タービンを吸気側に配置せざるを得なくなる。そうすると、燃焼室からタービンに至る排気通路の長さが長くなる傾向がある。燃焼室からタービンまでの排気通路の長さが長いと、排気ロスに伴う圧力低下や温度低下によって、排気エネルギが低下してしまうという問題がある。また、併せて、タービンの下流側に配置する触媒の温度も低下し、排気浄化性能が低下するという問題もある。このため、コンプレッサをシリンダブロックの吸気側に配置することは好ましくない。
また、機械式過給機を備えないエンジンにおいても、シリンダブロックを挟んで排気側は吸気側よりも高温になるので、エンジンルーム内における温度条件のバランスが悪いという問題がある。冷却水の水温安定とエンジン性能向上の観点から、エンジンルーム内における温度条件は、できる限り均等に近いことが好ましい。
さらに、シリンダブロックの吸気側は、吸気通路を構成する部材等において、樹脂製品等の軽量な素材が多用されているのに対し、シリンダブロックの排気側は、排気通路を構成する部材等において、鋳造品等の重い素材が多用されており、重量バランスが悪いという問題がある。車両の走行性能向上の観点から、シリンダブロックを挟んで吸気側と排気側との重量バランスは、できるだけ均等であることが好ましい。特に、縦置きのエンジンでは、車体の左右の重量バランスの確保は重要である。
そこで、この発明の第一の課題は、エンジンのシリンダブロックを挟んで一方側と他方側との間で、温度条件のバランスや重量バランスを均等に近づけることであり、第二の課題は、機械式過給機を備えたエンジンにおいて、吸気に対する過給遅れを抑制することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、複数の燃焼室を形成するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに接続され前記燃焼室に通じる吸気通路及び排気通路を備えるエンジンにおいて、前記複数の燃焼室は、前記吸気通路が前記シリンダブロックを挟んで一方側から接続され且つ前記排気通路が前記シリンダブロックを挟んで他方側から接続される第一の燃焼室と、前記吸気通路が前記シリンダブロックを挟んで他方側から接続され且つ前記排気通路が前記シリンダブロックを挟んで一方側から接続される第二の燃焼室と、を備えるエンジンを採用した。
このとき、前記燃焼室は偶数備えられ、前記第一の燃焼室と前記第二の燃焼室は同数であることが望ましい。
これらの各態様において、前記吸気通路に配置されるコンプレッサと前記排気通路に配置されるタービンとによって構成される機械式過給機を備え、前記機械式過給機は、前記第一の燃焼室又は前記第二の燃焼室のいずれか一方からの排気エネルギをいずれか他方への吸気の過給に活用するものである構成を採用することができる。
また、これらの各態様において、前記吸気通路に配置されるコンプレッサと前記排気通路に配置されるタービンとによって構成される機械式過給機を備え、前記機械式過給機は、前記第一の燃焼室に通じる前記吸気通路に配置された前記コンプレッサと、前記第二の燃焼室に通じる前記排気通路に配置された前記タービンとが連結された第一の機械式過給機と、前記第二の燃焼室に通じる前記吸気通路に配置された前記コンプレッサと、前記第一の燃焼室に通じる前記排気通路に配置された前記タービンとが連結された第二の機械式過給機とを備える構成を採用することができる。
このとき、前記第一の機械式過給機による吸気の過給と、前記第二の機械式過給機による吸気の過給とは、その過給圧の制御を別々に行う構成を採用することができる。
機械式過給機を備えるこれらの各態様において、前記第一の燃焼室が排気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含む時に、前記第二の燃焼室は吸気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含んでいる構成を採用することができる。
さらに、前記第一の燃焼室が排気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含む時に、前記第二の燃焼室は排気行程後半と吸気行程前半との間のバルブオーバーラップ期間中である前記燃焼室を少なくとも一つ含んでいる構成を採用することができる。
また、前記吸気通路の前記コンプレッサの下流側に液冷式インタークーラを備える構成を採用することができる。
この発明によれば、吸気通路がシリンダブロックを挟んで一方側から接続され且つ排気通路が他方側から接続される第一の燃焼室と、吸気通路がシリンダブロックを挟んで他方側から接続され且つ排気通路が一方側から接続される第二の燃焼室とを備えるエンジンを採用したので、エンジンのシリンダブロックを挟んで一方側と他方側との間で、温度条件のバランスや重量バランスを均等に近づけることができる。
また、この発明によれば、機械式過給機が、第一の燃焼室又は第二の燃焼室のいずれか一方からの排気エネルギをいずれか他方への吸気の過給に活用するようにしたので、吸気に対する過給遅れを抑制することができる。
この発明の実施形態を示すエンジンの制御装置の模式図である。 この発明のエンジンの制御を示し、(a)は従来例の吸排気構造の模式図、(b)は吸気バルブや排気バルブの動作を示すグラフ図、(c)はこの実施形態の吸排気構造の模式図である。 この発明の他の実施形態を示すエンジンの制御装置の模式図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、この実施形態のエンジン1、及び、そのエンジン1の制御装置を概念的に示す模式図である。
この実施形態のエンジン1は自動車用4サイクルガソリンエンジンである。エンジン1の構成は、図1に示すように、内部に燃焼室2を形成するシリンダブロック12やシリンダヘッド等で構成されるエンジン本体と、そのエンジン本体内の燃焼室2に吸気を送り込む吸気ポート3、その吸気ポート3に通じる吸気通路13、燃焼室2からの排気ガスが送り出される排気ポート4、その排気ポート4に通じる排気通路14、吸気ポート3又は燃焼室2内に燃料を噴射する燃料噴射装置等を備えている。吸気ポート3及び排気ポート4は、それぞれ吸気バルブ、排気バルブによって開閉される。
この実施形態では、4つの気筒を備えた4気筒エンジンを想定しているが、気筒の数が複数であれば、気筒の数に関わらずこの発明を適用可能である。
各気筒の燃焼室2へ通じる吸気通路13には、燃焼室2への接続部である吸気ポート3から上流側に向かって、流路面積を調節するスロットルバルブ8、機械式過給機(ターボチャージャ)10,11の機械式コンプレッサ10b,11b、エアクリーナ5等が設けられる。
燃焼室2から引き出された排気通路14には、燃焼室2への接続部である排気ポート14から下流側に向かって、機械式過給機10,11のタービン10a,11a、排気中の有害物等を除去する触媒等を備えた排気浄化部6,7、消音器等が設けられる。
このように、複数の燃焼室2を備えるエンジン1において、この発明では、燃焼室2を二つの燃焼室2に分類し、その分類に応じて、シリンダブロック12に対して吸気通路13及び排気通路14を接続する側を、互いに異なる側に設定している。
具体的には、図1に示すように、燃焼室2は、吸気通路13と排気通路14の接続方向によって、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bとに分類される。
第一の燃焼室Aは、吸気通路13が、シリンダブロック12の気筒の中心、すなわちボアの中心を結ぶ並列中心線pを挟んで一方側(図1中の上方)から接続され、且つ、排気通路14が、シリンダブロック12の気筒の並列中心線pを挟んで他方側(図1中の下方)から接続される。また、第二の燃焼室Bは、吸気通路13が、シリンダブロック12の気筒の中心を結ぶ並列中心線pを挟んで他方側(図1中の下方)から接続され、且つ、排気通路14がシリンダブロック12の気筒の中心を結ぶ並列中心線pを挟んで一方側(図1中の上方)から接続される。
この実施形態では、燃焼室2は四つ備えられているので、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bは二つずつとなっている。仮に、燃焼室2が六つ備えられている場合は、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bは三つずつとなっていることが望ましい。また、燃焼室2は偶数備えられ、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bは同数ずつであることが望ましい。
機械式過給機10,11は二つ備えられ、これらを、第一の機械式過給機10と第二の機械式過給機11と称する。第一の機械式過給機10及び第二の機械式過給機11は、それぞれ、第一の燃焼室A又は第二の燃焼室Bのいずれか一方からの排気エネルギを、いずれか他方への吸気の過給に活用するものである。
第一の機械式過給機10は、第一の燃焼室Aに通じる吸気通路13に配置されるコンプレッサ10bと、第二の燃焼室Bに通じる排気通路14に配置されたタービン10aとが軸によって回転伝達可能に連結されて構成されている。第二の機械式過給機11は、第二の燃焼室Bに通じる吸気通路13に配置されたコンプレッサ11bと、第一の燃焼室Aに通じる排気通路14に配置されたタービン11aとが、軸によって回転伝達可能に連結されて構成されている。
第一の機械式過給機10と第二の機械式過給機11では、排気通路14を流れる排気ガスによってタービン10a,10bが回転すると、その回転が、吸気通路13のコンプレッサ10b,11bに伝達される。コンプレッサ10b,11bの回転によって、吸気通路13内を流れる吸気に過給が行われる。
吸気通路13におけるコンプレッサ10b,11bの下流側には、冷媒として水等を用いた液冷式インタークーラ15を備えられている。液冷式インタークーラ15によって、吸気は燃焼室2に導入される前に冷却される。
この液冷式インタークーラ15について説明すると、コンプレッサ10b,11bを出た吸気は比較的高温になるため、燃焼室2に至るまでに冷却する必要がある。しかし、通常の空冷式インタークーラは、エンジン1の前面側や上面側など配置できる場所が限定される。このため、この発明では、液冷式インタークーラ15を採用することにより、コンプレッサ10b,11bから燃焼室2に至るまでの限られたスペースに、吸気の冷却装置を配置できるようになる。また、液冷式インタークーラ15であれば、装置がコンパクトであるので、コンプレッサ10b,11bから燃焼室2に至る限られたスペースに配置できる。さらに、第一の燃焼室Aに通じる吸気通路13と第二の燃焼室Bに通じる吸気通路13が別々であることから、液冷式インタークーラ15は、全ての気筒に対する吸気ではなく、一部の気筒に対する吸気を冷却すれば足りる。この点においても、装置のコンパクト化が可能である。
なお、第一の機械式過給機10と第二の機械式過給機11のそれぞれにおいて、排気通路14におけるタービン10a,11aの上流側と下流側とを接続する排気バイパス通路20a,21aと、その排気バイパス通路20a,21aを開閉する排気バイパスバルブ20b,21bとを備えた排気バイパス装置20,21、いわゆるウェイストゲートバルブ装置が設けられている。排気バイパスバルブ20b,21bを開放すれば、タービン10a,11aに流れている排気ガスの一部が、排気バイパス通路20a,21a側に分流され、タービン10a,11aに加わる排気エネルギが低減される。
排気バイパスバルブ20b,21bは、エンジンで発生する負圧によって動作する負圧式ウェイストゲートバルブとしてもよいし、電動機で開閉制御される電制式ウェイストゲートバルブとしてもよい。
また、吸気通路4には、コンプレッサ10b,11bの上流側と下流側とを接続する吸気バイパス通路と、その吸気バイパス通路を開閉する吸気バイパスバルブを備えた吸気バイパス装置22,23が設けられている。排気バイパス装置20,21を開放した場合、この吸気バイパス装置22,23も開放することにより、コンプレッサ10b,11bを迂回して吸気を燃焼室2側へ導入し、流れの抵抗を低減することができる。
この実施形態では、第一の燃焼室Aに通じる吸気通路13と、第二の燃焼室Bに通じる吸気通路13に対して、共通のエアクリーナ5を通過した新気を導入するようにしているが、第一の燃焼室Aに通じる吸気通路13と、第二の燃焼室Bに通じる吸気通路13に対して、別々のエアクリーナ5を配置して新気の導入ルートを完全に分けてもよい。
このエンジン1を搭載する車両は、エンジン1を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit)30を備える。電子制御ユニット30は、燃料噴射装置による燃料噴射や、スロットルバルブ8や吸排気バルブ等のバルブ類の開閉の制御、機械式過給機10,11や排気バイパスバルブ20b,21b、その他、エンジンの制御全般を行う。
さらに、吸気ポート3付近には吸気圧を検出する吸気圧センサ、排気通路14には、排気ガスの温度を検出する排気温度センサや、排気ガスの成分を検知する各種センサ、その他、エンジン1の各部には、エンジン1の制御に必要な情報を取得するセンサ類が設けられている。これらの各種センサ類の情報は、ケーブルを通じて電子制御ユニット30が取得できるようになっている。なお、図1では、センサ類の図示は省略している。
一般に、機械式過給機では、タービン送られる排気の量で、吸気の過給に用いることができる排気エネルギの大きさが決定する。この実施形態の4気筒エンジンでは、気筒間の位相差が720度÷4=180度であるので、例えば、1番気筒(図2(c)中の符号No.1参照)の燃焼から180度遅れて、3番気筒(図2(c)中の符号No.3参照)が燃焼することとなる。すなわち、3番気筒の排気のタイミングで、1番気筒の吸気が行われる。
ここで、例えば、1番気筒が排気上死点にある時点で、3番気筒は膨張行程の下死点付近であり、3番気筒は既に排気バルブが開弁状態であるから、排気通路14へ排気を放出している状態である。このとき、従来のエンジンでは、図2(a)に示すように、3番気筒の排気は矢印aのように圧力波で1番気筒に達する。圧力波は、図2(b)に矢印x、y、zで示すように、エンジンの回転数に応じて1番気筒に達するタイミングが異なるが、仮にそのタイミングが、1番気筒における吸気バルブと排気バルブの両方が開弁したバルブオーバーラップ期間W中である場合は、排気が1番気筒の排気通路14から燃焼室2を通じて吸気通路13へと逆流してしまう問題があった。排気の逆流は、混合気の温度上昇をもたらし、ノッキングの原因をもなり得るので、バルブタイミングを遅角する等の種々の対策が必要であった。
これに対し、この発明では、図2(c)に示すように、3番気筒の排気は矢印bのように、排気通路14を通じて第一の機械式過給機10のタービン10aへ向かうので、1番気筒に至ることはない。このため、3番気筒の排気のタイミングが、1番気筒のバルブオーバーラップ期間Wであるかどうかにかかわらず、排気の逆流を生じさせることがない。また、3番気筒からの排気エネルギは、第一の機械式過給機10のタービン10aに伝達されて、そのエネルギはコンプレッサ10bを通じて、矢印cのように吸気の過給に用いられる。
このことは、3番気筒が吸気行程、1番気筒が排気行程である場合にも同様である。また、2番気筒(図2(c)中の符号No.2参照)と4番気筒(図2(c)中の符号No.4参照)との関係においても同様である。
このように、シリンダブロック12を中心とするエンジン本体を挟んで、吸気通路13と排気通路14を交互配置としたことによって、或る一つの燃焼室2の吸気通路13と、それとは別の燃焼室2の排気通路14とを近接させやすい。このため、第一の燃焼室A又は第二の燃焼室Bに分類されるいずれか一方の分類の燃焼室2からの排気エネルギを、いずれか他方の分類の燃焼室2への吸気の過給に活用することができる。これにより、コンプレッサ10b、11bから燃焼室2までの吸気通路13及び吸気ポート3の長さが短く設定できるので、吸気に対する過給遅れを抑制することができる。
すなわち、上記の制御では、第一の燃焼室Aが排気行程中である燃焼室2を少なくとも一つ含む時に、第二の燃焼室Bが吸気行程中である燃焼室2を少なくとも一つ含んでいる構成であれば、排気エネルギの活用と吸気に対する過給遅れの抑制の効果が期待できる。
さらに、第一の燃焼室Aが排気行程中である燃焼室2を少なくとも一つ含む時に、第二の燃焼室Bが排気行程後半と吸気行程前半との間のバルブオーバーラップ期間中である燃焼室2を少なくとも一つ含んでいる構成であれば、従来のエンジンで起こり得た排気の逆流を防止する効果が期待できる。
また、この実施形態では、吸気通路13、排気通路14のそれぞれは、シリンダブロック12への接続部から第一の機械式過給機10、第二の機械式過給機11への接続部へ向かって、2−1レイアウトの排気管構造になっている。このため、吸気マニホールドや排気マニホールドを、全ての気筒(この実施形態では4気筒)に対応して4−2−1レイアウトのように一体に製造するのではなく、気筒の一部(この実施形態では半数の2気筒ずつ)に分割して製造できる。したがって、一点当たりの部品の大きさ、重量が小さくなり、その製造面で有利である。また、一つの部品に介在する分岐部分が少なくなるという点も、製造面では有利である。さらに、シリンダヘッドやマニホールドを鋳造で製造する際における中子の小型化による誤差の縮小、製作精度の向上も期待できる。
また、第一の機械式過給機10による吸気の過給と、第二の機械式過給機11による吸気の過給とは、その過給圧の制御を別々に行うように設定することもできる。電子制御ユニット30が備える制御装置が、第一の機械式過給機10と第二の機械式過給機11とを別々に制御できるようにすれば、例えば、第一の機械式過給機10と第二の機械式過給機11のいずれか一方による吸気の過給圧を、いずれか他方による吸気の過給圧よりも小さく設定したり、あるいは、いずれか一方による吸気の過給を完全に停止して、いすれか他方のみによる吸気の過給を設定することもできる。
他の実施形態を図3に示す。図3に示すエンジン1は、狭角V型エンジンと呼ばれる自動車用4サイクルガソリンエンジンである。この形式のエンジン1は、一つのシリンダブロック12及び一つのシリンダヘッドによって、千鳥状に配置された複数の燃焼室2が形成されたものである。クランクシャフトの一本のピンに、筒軸方向の向きが異なる二つの燃料室2に対応する二本のコンロッドが接続されている。この形式は、一般的なV型エンジンのバンク角よりも相対的に小さいバンク角が設定されるので、狭角V型エンジンとも呼ばれる。燃焼室2を千鳥配置としたことにより、燃焼室2を一直線上に並列して備える直列エンジンよりも、シリンダ・ボア中心間隔を詰めることができる。
この実施形態の狭角V型エンジンは6気筒である。6つの燃焼室2は、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bとに分類される。第一の燃焼室Aの気筒の中心、すなわちボアの中心を結ぶ並列中心線と、第二の燃焼室Bの気筒の中心を結ぶ並列中心線との間の中間線を、シリンダブロック12の燃焼室2の並列中心線pとする。
前述の実施形態と同様、第一の燃焼室Aは、吸気通路13が、シリンダブロック12の気筒の並列中心線pを挟んで一方側(図3中の右側)から接続され、且つ、排気通路14が、シリンダブロック12の気筒の並列中心線pを挟んで他方側(図3中の左側)から接続される。また、第二の燃焼室Bは、吸気通路13が、シリンダブロック12の気筒の並列中心線pを挟んで他方側(図3中の左側)から接続され、且つ、排気通路14がシリンダブロック12の気筒の並列中心線pを挟んで一方側(図3中の右側)から接続される。
この実施形態では、燃焼室2は六つ備えられているので、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bは三つずつとなっている。
6気筒エンジンでは、気筒間の位相差が720度÷6=120度であるので、例えば、1番気筒(図中の符号No.1参照)の燃焼から120度遅れて、4番気筒(図中の符号No.4参照)が燃焼することとなる。すなわち、4番気筒の排気のタイミングで、1番気筒の吸気が行われる。
4番気筒の排気は、排気通路14を通じて第一の機械式過給機10のタービン10aへ向かうので、1番気筒に至ることはない。このため、4番気筒の排気のタイミングが、1番気筒のバルブオーバーラップ期間Wであるかどうかにかかわらず、排気の逆流を生じさせることがない。また、4番気筒からの排気エネルギは、第一の機械式過給機10のタービン10aに伝達されて、そのエネルギはコンプレッサ10bを通じて吸気の過給に用いられる。
このことは、4番気筒が吸気行程、1番気筒が排気行程である場合にも同様である。また、2番気筒(図中の符号No.2参照)と6番気筒(図中の符号No.6参照)との関係、3番気筒(図中の符号No.3参照)と5番気筒(図中の符号No.5参照)との関係においても同様である。
これらの実施形態では、機械式過給機10,11を備えるエンジン1を例に、この発明の構成及び効果を説明したが、機械式過給機10,11を備えない自然吸気式のエンジン1においても、この発明を適用できる。
自然吸気式のエンジン1においても、吸気通路13が、シリンダブロック12の燃焼室2の並列中心線pを挟んで一方側から接続され、且つ、排気通路14が他方側から接続される第一の燃焼室Aと、吸気通路13が、シリンダブロック12の燃焼室2の並列中心線pを挟んで他方側から接続され、且つ、排気通路14が一方側から接続される第二の燃焼室Bとを備えるエンジンを採用することにより、エンジン1のシリンダブロック12を挟んで一方側と他方側との間で、温度条件のバランスや重量バランスを均等に近づけることができる。
また、これらの実施形態では、燃焼室2が偶数備えられ、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bが同数設定された例を説明したが、全ての燃焼室2における安定した燃焼状態が確保される限りにおいて、燃焼室2の数が奇数であり、且つ、第一の燃焼室Aと第二の燃焼室Bが同数でない実施形態も考えられる。
これらの実施形態のエンジン1は自動車用4サイクルガソリンエンジンとしたが、この実施形態には限定されず、他の形式のガソリンエンジンでも、この発明を適用できる。また、ディーゼルエンジン等の他の方式のエンジンでも、この発明を適用できる。
1 エンジン
2 燃焼室
3 吸気ポート
4 排気ポート
5 エアクリーナ
6,7 排気浄化部
10,11 機械式過給機
10a,11a タービン
10b,11b コンプレッサ
12 シリンダブロック
13 吸気通路
14 排気通路
15 液冷式インタークーラ
20,21 排気バイパス装置
20a,21a 排気バイパス通路
20b,21b 排気バイパスバルブ
22,23 吸気バイパス装置
30 電子制御ユニット
A 第一の燃焼室
B 第二の燃焼室

Claims (8)

  1. 複数の燃焼室を形成するシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックに接続され前記燃焼室に通じる吸気通路及び排気通路を備えるエンジンにおいて、
    前記複数の燃焼室は、
    前記吸気通路が前記シリンダブロックを挟んで一方側から接続され且つ前記排気通路が前記シリンダブロックを挟んで他方側から接続される第一の燃焼室と、
    前記吸気通路が前記シリンダブロックを挟んで他方側から接続され且つ前記排気通路が前記シリンダブロックを挟んで一方側から接続される第二の燃焼室と、
    を備えるエンジン。
  2. 前記燃焼室は偶数備えられ、
    前記第一の燃焼室と前記第二の燃焼室は同数である
    請求項1に記載のエンジン。
  3. 前記吸気通路に配置されるコンプレッサと前記排気通路に配置されるタービンとによって構成される機械式過給機を備え、
    前記機械式過給機は、
    前記第一の燃焼室又は前記第二の燃焼室のいずれか一方からの排気エネルギをいずれか他方への吸気の過給に活用するものである
    請求項1又は2に記載のエンジン。
  4. 前記吸気通路に配置されるコンプレッサと前記排気通路に配置されるタービンとによって構成される機械式過給機を備え、
    前記機械式過給機は、
    前記第一の燃焼室に通じる前記吸気通路に配置された前記コンプレッサと、前記第二の燃焼室に通じる前記排気通路に配置された前記タービンとが連結された第一の機械式過給機と、
    前記第二の燃焼室に通じる前記吸気通路に配置された前記コンプレッサと、前記第一の燃焼室に通じる前記排気通路に配置された前記タービンとが連結された第二の機械式過給機と、
    を備える請求項1又は2に記載のエンジン。
  5. 前記第一の機械式過給機による吸気の過給と、前記第二の機械式過給機による吸気の過給とは、その過給圧の制御を別々に行う
    請求項4に記載のエンジン。
  6. 前記第一の燃焼室が排気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含む時に、
    前記第二の燃焼室は吸気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含んでいる
    請求項3〜5のいずれか1項に記載のエンジン。
  7. 前記第一の燃焼室が排気行程中である前記燃焼室を少なくとも一つ含む時に、
    前記第二の燃焼室は排気行程後半と吸気行程前半との間のバルブオーバーラップ期間中である前記燃焼室を少なくとも一つ含んでいる
    請求項3〜5のいずれか1項に記載のエンジン。
  8. 前記吸気通路の前記コンプレッサの下流側に液冷式インタークーラを備える
    請求項3〜7のいずれか1項に記載のエンジン。
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