JP2018154579A - 抗体フラグメントとグルコース脱水素酵素との融合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

【課題】グルコース脱水素酵素のサイクリング反応による高感度検出が可能になるイムノアッセイ用酵素標識融合抗体を提供する。【解決手段】一本鎖抗体分子と真菌由来のFADを補酵素とするグルコース脱水素酵素とを含む融合タンパク質。【選択図】なし

Description

本発明は、例えばイムノアッセイ用酵素標識融合抗体として有用な抗体フラグメントとグルコース脱水素酵素とを含む融合タンパク質に関する。
従来において、免疫反応(抗原抗体反応)を利用したイムノアッセイによる疾患マーカー等の抗原の検出・定量が行われている。現在においても、イムノアッセイの高感度検出に利用できる抗体の開発が望まれている。
例えば、特許文献1は、高感度免疫測定法として、抗体あるいは抗原又はそれらの酵素的及び/又は化学的加工処理物とNAD合成酵素とを直接あるいは架橋剤を介して化学的手段により結合せしめた結合体を利用した免疫測定法を開示する。
また、特許文献2は、遺伝子工学的手法による抗体の製造法として、機能性抗体フラグメントFv又は機能性抗体領域と他のタンパク質との融合タンパク質の製造法を開示する。
ところで、グルコース脱水素酵素は、グルコースからD-グルコノ-1,5-ラクトンへの酸化反応を触媒する酵素である。例えば、特許文献3は、グルコース脱水素酵素活性を利用してタンパク質を効果的に検出するために、グルコース脱水素酵素と他のタンパク質とを含む融合タンパク質を使用することを開示する。
特開昭64-63862号公報 特開平2-799号公報 特表2002-538782号公報
本発明は、上述した実情に鑑み、高感度検出が可能になるイムノアッセイ用酵素標識融合抗体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、一本鎖抗体分子と真菌由来のFADを補酵素とするグルコース脱水素酵素(以下、「GDH」と称する)とを含む融合タンパク質が、GDHのサイクリング反応を利用したイムノアッセイの高感度検出に利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)一本鎖抗体分子と真菌由来のFADを補酵素とするGDHとを含む融合タンパク質。
(2)一本鎖抗体分子がVHH(variable domain of heavy chain of heavy chain antibody)抗体又はscFv(single-chain variable fragment)である、(1)記載の融合タンパク質。
(3)一本鎖抗体分子が上皮増殖因子受容体(以下、「EGFR」と称する)に特異的に結合する、(1)又は(2)記載の融合タンパク質。
(4)一本鎖抗体分子が配列番号2記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つEGFRに特異的に結合するVHH抗体である、(3)記載の融合タンパク質。
(5)GDHが、配列番号4記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ真菌由来のFADを補酵素とする、GDH活性を有するタンパク質である、(1)〜(4)のいずれか1記載の融合タンパク質。
(6)タグ及び/又はリンカーをさらに含む、(1)〜(5)のいずれか1記載の融合タンパク質。
(7)(1)〜(6)のいずれか1記載の融合タンパク質を含む、イムノアッセイ用試薬キット。
本発明によれば、GDHのサイクリング反応を利用したイムノアッセイにおいて検出を高感度に行うことができる。
実施例1において作製した構築物を示す。 図1−1の続きである。 図1−2の続きである。 図1−3の続きである。 図1−4の続きである。 図1−5の続きである。 図1−6の続きである。 実施例1において使用した抗EGFR VHH配列(塩基配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)を示す。 実施例1において構築した2種類のGDH融合抗体発現ベクターを示す。 実施例1における酵素活性測定の方法を示す。 実施例1における酵素活性測定の結果を示す。 実施例1におけるELISAの原理を示す。 実施例1におけるELISAの方法を示す。 実施例1におけるELISAの結果を示すグラフである。 実施例1における形質転換体の培養方法を示す。 実施例1における融合抗体の精製方法(Ni-affinity chromatography)を示す。 実施例1における精製後の融合抗体のSDS-PAGE結果を示す。 実施例1における酵素比活性の測定結果を示す。 実施例1におけるフローサイトメトリーの方法を示す。 実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示す。
本発明に係る融合タンパク質は、一本鎖抗体分子と真菌由来のFADを補酵素とするGDHとを含むものである。本発明に係る融合タンパク質を用いることで、GDHのサイクリング反応を利用したイムノアッセイにおいて高感度検出が可能になる。また、抗体分子として一本鎖抗体分子を使用することにより、本発明に係る融合タンパク質は、以下の特徴を有する:
1)大腸菌での発現が容易になる;
2)融合タンパク質の構造がシンプルである;
3)分子量が小さくなるので反応性が上がる。
GDHのサイクリング反応は、以下に示す反応である。
Figure 2018154579
GDHは、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素としてグルコースからD-グルコノ-1,5-ラクトン(グルコノ-δ-ラクトン)への酸化反応を触媒する。この際、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)及びジクロロインドフェノール(DCIP)を用いることで、酸化(Ox)還元(Red)反応によりグルコ−スと酸化型PMSからグルコノ-δ-ラクトンと還元型PMSが生じ、さらに、還元型PMSと酸化型DCIPから酸化型PMSと還元型DCIPが生じる。この一連の反応が、GDHのサイクリング反応である。当該酸化型DCIPの消失を呈色反応により、又は吸光度の変化量として測定することで、GDHの酵素活性を求めることができる。
本発明に係る融合タンパク質における一本鎖抗体分子としては、例えばVHH抗体を代表とする単ドメイン抗体、及びそれらを連結させた分子、scFv、及びそれらを連結させた分子等が挙げられる。VHH抗体は、ラクダ科動物に由来する重鎖のみから成る重鎖抗体の可変領域から成る抗体である。またVHHの様に単ドメインで機能する抗体は見つかっている他、人工的にも調製可能である。scFvは、重鎖と軽鎖の各可変領域のみをリンカーで連結したフラグメントである。VHH、単ドメイン抗体、scFvは同一、若しくは異なる分子を縦列に連結させることで親和性の向上が期待できる多価化抗体や多重特異性抗体を創出可能である。
一本鎖抗体分子が特異的に結合する抗原は、イムノアッセイによる測定対象となる抗原であり、例えば腫瘍マーカー(EGFR、CA19-9、CEA、PSA等)、ウイルス抗原(HBs、HBs抗体、HCV抗体、TP抗体等)、ヘモグロビン等が挙げられる。例えば、EGFRは、様々な癌で過剰発現がみられるため、腫瘍マーカーとして癌の診断や治療の経過観察の指標に用いられる。
一実施形態においては、本発明に係る融合タンパク質における一本鎖抗体分子としては、配列番号2記載のアミノ酸配列(対応する塩基配列:配列番号1)と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、特に好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は当該アミノ酸配列から成る、EGFRに特異的に結合するVHH抗体(抗EGFR VHH抗体)が挙げられる。
一方、本発明に係る融合タンパク質におけるGDHは、真菌(例えば、Aspergillus flavus)由来のFADを補酵素とする、GDH活性を有するタンパク質であればいずれのタンパク質であってもよく、例えばAspergillus flavus由来GDH(熱安定性向上変異体Afl599CC、塩基配列:配列番号3、アミノ酸配列:配列番号4)等が挙げられる。
一実施形態においては、本発明に係る融合タンパク質におけるGDHとしては、配列番号4記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、特に好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は当該アミノ酸配列から成り、且つ真菌由来のFADを補酵素とする、GDH活性を有するタンパク質が挙げられる。
また、本発明に係る融合タンパク質は、当該タンパク質の精製用タグ(例えば、His tag(塩基配列:配列番号5、アミノ酸配列:配列番号6))やC-myc tag(塩基配列:配列番号7、アミノ酸配列:配列番号8)等のタグ、一本鎖抗体分子とGDHとを連結するためのリンカー(例えば、配列番号10記載のアミノ酸配列を含むか又は当該アミノ酸配列から成るリンカー(塩基配列:配列番号9))をさらに含むことができる。
本発明に係る融合タンパク質における一本鎖抗体分子とGDHとは、機能的に連結され、N末端からC末端の方向に、一本鎖抗体分子、GDHの順、又はGDH、一本鎖抗体分子の順のいずれに配置してもよい。また、タグは、融合タンパク質においてN末端やC末端に配置することができる。さらに、リンカーは、融合タンパク質において一本鎖抗体分子とGDHとの間に配置することができる。
一実施形態において、本発明に係る融合タンパク質としては、実施例及び図1に示す融合タンパク質His-EgA1-Afl599CC(塩基配列:配列番号11、アミノ酸配列:配列番号12)や融合タンパク質Afl599CC-EgA1-myc-His(塩基配列:配列番号13、アミノ酸配列:配列番号14)が挙げられる。
本発明に係る融合タンパク質は、例えば以下のように調製することができる。具体的には、本発明に係る融合タンパク質をコードする遺伝子を適当なベクターに挿入する。本発明に係る融合タンパク質をコードする遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミド等が挙げられる。
ベクターに本発明に係る融合タンパク質をコードする遺伝子を挿入するには、先ず、精製された本発明に係る融合タンパク質をコードする遺伝子を含むDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法等が採用される。
次いで、本発明に係る融合タンパク質をコードする遺伝子を含むベクターを常法により宿主中に導入することにより形質転換体を得る。ここで、宿主としては、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、又はシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、出芽酵母、分裂酵母、アスパルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)をはじめとする真菌、COS細胞等の動物細胞、Sf9等の昆虫細胞、アブラナ科等に属する植物等が挙げられる。
細菌へのベクターの導入方法としては、例えばカルシウムイオンを用いる方法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。酵母へのベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。動物細胞や昆虫細胞へのベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。植物を宿主とする場合は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞等が用いられる。植物へのベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法及びPEG法等が挙げられる。
形質転換体の培養後、形質転換体の培養物をそのまま本発明に係る融合タンパク質として使用してもよく、また形質転換体の培養物から本発明に係る融合タンパク質を常法により単離、精製してもよい。例えば、本発明に係る融合タンパク質がHis tagを有する場合には、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により本発明に係る融合タンパク質を精製することができる。
以上に説明した本発明に係る融合タンパク質を用いて、本発明に係る融合タンパク質における一本鎖抗体分子が特異的に結合する抗原をイムノアッセイにより検出、測定又は定量することができる。上述のGDHのサイクリング反応を利用したイムノアッセイとして、グルコース、PMS及びDCIPの存在下で本発明に係る融合タンパク質と測定対象の抗原を含む生物学的サンプル(例えば、細胞、全血、血清、血漿等の血液サンプル、組織等)とを接触させることで本発明に係る融合タンパク質と抗原とを結合させ、酸化型DCIPの消失の呈色反応により当該複合体を検出するか、当該消失を吸光度(例えば、600 nmにおける吸光度)の変化量として測定することで当該複合体を定量することができる。例えば、ELISAにより、測定対象の抗原に対する他の抗体(一次抗体)を固定したプレート上に測定対象の抗原を含む生物学的サンプルを添加し、当該他の抗体によって抗原を捕捉し、次いで、グルコース、PMS及びDCIPの存在下で二次抗体として本発明に係る融合タンパク質を反応させることで、酸化型DCIPの消失を吸光度の変化量として測定することで当該複合体を定量することができる。
さらに、本発明に係る融合タンパク質を用いて、本発明に係る融合タンパク質における一本鎖抗体分子が特異的に結合する抗原を電気化学的に検出することができる。例えば、電極表面へ測定対象の抗原に対する他の抗体(一次抗体)を固定化させた後、測定対象の抗原を含む生物学的サンプルを加え、当該他の抗体によって抗原を捕捉する。次いで、グルコース及び電子伝達体であるフェリシアンイオン([Fe(III)(CN)6]3-)の存在下で二次抗体として本発明に係る融合タンパク質を反応させる。この際、グルコースは、本発明に係る融合タンパク質におけるGDHによってグルコノ-δ-ラクトンに変換され、同時にフェリシアンイオンに電子を与えて、フェロシアンイオン([Fe(II)(CN)6]4-)に変換する。上記電極に電圧を印加すると、生じたフェロシアンイオンは作用極に電子を与え、フェリシアンイオンに戻る。一方、対極では、水素イオンが電子を受け取り、酸素と共に水を生じる。この時、生じた電流量から抗原量を定量することができる。
また、本発明に係るイムノアッセイ用試薬キットは、本発明に係る融合タンパク質を含むものである。本発明に係るイムノアッセイ用試薬キットは、本発明に係る融合タンパク質以外に、GDHのサイクリング反応を利用したイムノアッセイにおいて使用する試薬(例えば、グルコース、PMS、DCIP等)、ELISA等で使用する一次抗体又は一次抗体を固定化したプレート、使用説明書等をさらに含むことができる。あるいは、本発明に係るイムノアッセイ用試薬キットは、本発明に係る融合タンパク質以外に、上記の電気化学的検出に使用する試薬(電子伝達体等)、一次抗体又は一次抗体を固定化した電極、使用説明書等をさらに含むことができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕EgA1(抗EGFR VHH抗体(ラクダ一本鎖))とGDHとを含む融合タンパク質
図1は、本実施例において作製した以下の構築物を示す:
EgA1単独発現タンパク質(塩基配列:配列番号15、アミノ酸配列:配列番号16);
融合タンパク質His-EgA1-Afl599CC(塩基配列:配列番号11、アミノ酸配列:配列番号12);
融合タンパク質Afl599CC-EgA1-myc-His(塩基配列:配列番号13、アミノ酸配列:配列番号14)。
1−1.EgA1配列(抗EGFR VHH抗体(ラクダ一本鎖))
使用した抗EGFR VHH配列(塩基配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)を図2に示す。
全合成したEgA1遺伝子を鋳型としてPCRにてEgA1遺伝子に制限酵素サイトを付加した。PCR増幅したEgA1遺伝子はPCR産物精製を行い、37℃で1時間NcoIとNdeIで制限酵素消化し、20分間80℃で制限酵素を熱失活させた。
制限酵素消化後のEgA1遺伝子及び各ベクター2.5 μLずつとTAKARA Ligation solution I 5 μLを混合し、16℃でオーバーナイトインキュベートすることでライゲーション反応させた。
ライゲーション産物5 μLで大腸菌DH5α 5 μLを形質転換し、アンピシリン入り寒天培地で16時間37℃で培養した。得られたコロニー7つをアンピシリン入りLB培地1.5 mLに植菌し、37℃で16時間培養した後、プラスミド抽出を行った。
抽出したプラスミドは37℃で1時間 NcoIとSacIIで制限酵素消化し、ゲル電気泳動を行うことでバンドを確認した。
1−2.GDH
Aspergillus flavus由来GDHで、熱安定性を向上させるために分子内にジスルフィド結合を導入した変異体(塩基配列:配列番号3、アミノ酸配列:配列番号4)を用いた。
1−3.リンカー
リンカーは柔軟性に富み、またある程度の親水性が期待できる共に、プロテアーゼの影響を最小限とするため5アミノ酸から成るGGGGS(配列番号10)を採用した。
1−4.融合タンパク質発現用発現ベクター
2種類のGDH融合抗体発現ベクターを作製した(図3)。
具体的には、抗体の下流にGDHを融合させたpET28a(His-EgA1-Afl599CC)、GDHの下流に抗体を融合させたpET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)を作製した。
1−4−1.pET28a(His-EgA1-Afl599CC)の作製
pET28a(His-EgA1-Afl599CC)の作製は2段階でライゲーションを行い、pET28aにEgA1遺伝子(配列番号1)を挿入した後、Afl599CC遺伝子(配列番号3)を挿入することで作製した。
pET28aと全合成したEgA1遺伝子を37℃で2時間NcoIとNdeIで制限酵素消化し、20分間80℃で制限酵素を熱失活させた。制限酵素消化の際にセルフライゲーションを防ぐため、ベクター側にはTSAPを加えて5'末端の脱リン酸化をさせた。インサートとなるEgA1遺伝子は制限酵素消化後にゲル電気泳動を行い、ゲル抽出を行った。EgA1遺伝子及びpET28a 2.5 μLずつとTAKARA Ligation solution I 5 μLを混合し、16℃でインキュベートすることでライゲーション反応させた。
こうして作製したライゲーション産物5 μLで大腸菌DH5α 5 μLを形質転換し、得られたコロニーに対してコロニーPCRを行い、PCR 産物をゲル電気泳動することでEgA1遺伝子が挿入されていることを確認した。
EgA1遺伝子が挿入されたプラスミドによる形質転換体をカナマイシン入りLB培地1.5 mLに植菌し、37℃で16時間培養した後、プラスミド抽出をし、シーケンス解析によってEgA1遺伝子の塩基配列を確認した。
次に、pET28a(Afl599CC)を鋳型としてT7プライマーを用いてPCRを行い、Afl599CC遺伝子を増幅しPCR産物精製を行った。EGA1遺伝子が挿入されたpET28aとPCR増幅したAfl599CC遺伝子をNdeI、HindIIIで制限酵素処理し、インサートとなるAfl599CC遺伝子は制限酵素消化後にゲル電気泳動とゲル抽出した。ベクターとインサートを2.5 μLずつとTAKARA Ligation solution I 5μLを混合し16℃でライゲーション反応させた。
1−4−2.pET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)の作製
Afl599CC(配列番号3)が挿入されたpET30c(pET30c(Afl599CC))とEgA1遺伝子(配列番号1)をPCR増幅し、制限酵素サイトとAfl599CCとEgA1間にリンカー配列を付加した。その後オーバーラップPCRでAfl599CC遺伝子とEgA1遺伝子をつなげてインサートを作製した。
その後、pET30cとオーバーラップPCR産物(Afl599CC-EgA1)を37℃で2時間NdeIとHindIIIを用いて制限酵素消化し、20分間80℃で制限酵素を熱失活させた。制限酵素消化の際にセルフライゲーションを防ぐため、ベクター側にはTSAPを加え、インサートは制限酵素消化後にゲル電気泳動を行い、ゲル抽出を行った。制限酵素消化後のオーバーラップPCR産物及びpET30c 2.5 μLずつとTAKARA Ligation solution I 5 μLを混合し、16℃でオーバーナイトインキュベートすることでライゲーション反応させた。
1−5.酵素活性測定
1−5−1.酵素活性測定方法
融合ベクターpET28a(His-EgA1-Afl599CC)とpET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)を用いて、BL21(DE3)、BL21(DE3) star、origami2(DE3)の3種類の大腸菌を形質転換した。
形質転換した大腸菌はオートインダクション用LB培地3 mL(LB培地:50x 5052:20x NPS:1000x MgSO4:Amp(100mg/mL) = 93:2:5:0.1:0.1)で18時間28℃で振盪培養した。
培養液は1mLずつチューブに取り分け、4℃,12000rpmで5分間遠心し、培地上清と沈殿に分離した。沈殿はPBSを200μL加えて超音波破砕を行い、4℃,15000rpmで5分間遠心して破砕上清と破砕沈殿に分離した。
こうして得られた培地上清、破砕上清をサンプルとして用いて酵素活性の有無を確認した(図4)。96穴プレートにPBS 60 μL、60 mM PMS 10 μL、6 mM DCIP 10 μL、300 mMグルコース10 μL、培地上清又は破砕上清10 μLを加え、退色反応(酵素反応)を確認した。
1−5−2.酵素活性測定結果
酵素活性測定結果を図5に示す。
pET28a(His-EgA1-Afl599CC)形質転換体の破砕上清をサンプルに用いたとき、反応開始から10分後、BL21(DE3)、BL21(DE3) star、origami2(DE3)のいずれを宿主とした場合でも退色が見られ、GDH活性の発現が確認された。
pET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)形質転換体の破砕上清においても、反応開始から10分後、BL21(DE3)、origami2(DE3)の破砕上清で退色が見られ、30分後ではBL21(DE3) starの破砕上清でも退色が見られ、GDH活性発現が確認された。
1−6.ELISA
1−6−1.ELISAの原理及び方法
ELISAの原理及び方法を、それぞれ図6及び7に示す。
抗EGFR IgG抗体528(EgA1とサンドイッチ可能な抗体)を1 well当たり1μg/100 μL添加して96穴プレート上に固定し、BSAでブロッキング後、抗原であるsEGFRを2 μg/well添加して室温にて1時間反応させた。
洗浄後、二次反応として、His-EgA1-Afl599CC、Afl599CC-EgA1-myc-His発現大腸菌ライゼート及びそのHis-tag精製サンプル100 μLを室温にて3時間反応させた。洗浄後、1.2mM PMS 50μL、0.12mM DCIP 50μL、及び2 Mグルコースを添加し室温にて一晩反応させた。600nmの測定し、その退色からGDH活性を測定した。
1−6−2.ELISAの結果
ELISAの結果を図8に示す。
ELISAの二次抗体としてpET28a(His-EgA1-Afl599CC)、pET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)による形質転換体の破砕上清を用いたとき、いずれの破砕上清でもGlucose依存的な退色が認められた(左・中央)。pET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)による形質転換体では、精製によりさらに大きな退色が認められた(右)。融合抗体はELISAの二次抗体として使用可能であることが示唆された。
1−7.精製された融合抗体
1−7−1.形質転換体の培養
形質転換体の培養方法を図9に示す。
pET28a(His-EgA1-Afl599CC)で大腸菌BL21(DE3)を、pET30c(Afl599CC-EgA1-myc-His)で大腸菌Origami2(DE3)を形質転換した。
LB培地3 mLにおいて37℃で前培養を行い、前培養液を2 mLずつオートインダクション用LB培地200 mLに加え、バッフル付きフラスコで20℃でそれぞれ42時間、26時間培養を行った。
1−7−2.融合抗体精製(Ni-affinity chromatography)
融合抗体の精製方法(Ni-affinity chromatography)を図10に示す。
培養後、遠心分離で湿菌体を回収し、20 mM P.P.B (pH7.0)で懸濁後、超音波破砕を行った。破砕液は4℃、10000gで20分間遠心分離し、上清をさらに4℃、100000gで1時間遠心分離した。
得られた上清を用いてHis-tag精製を行った。His-tag精製は、20 mM P.P.B (pH7.0)で平衡化したHis Trap HPカラムにサンプルを添加し、20 mM P.P.B (pH7.0)と1M イミダゾール/20 mM P.P.B (pH7.0)でイミダゾール濃度でのグラジュエント溶出を行った。
溶出画分を20 mM P.P.B (pH6.5)で透析し、さらに遠心分離(7,000×g 4℃ 20分)で凝集タンパク質を除去してその上清を精製画分とした。
1−7−3.融合抗体精製度
精製後の融合抗体のSDS-PAGE結果を図11に示す。
SDS-PAGEの結果、溶出・精製画分(枠のレーン)は約70kDaのシングルバンドであり、GDHとEgA1それぞれの分子量から予想される大きさであった。
1−7−4.精製融合抗体の比活性
脱水素酵素活性測定は、サンプル20 μL、0.6 mM DCIP 20 μL、6 mM PMS 20 μL、20 mM P.P.B (pH 6.5) 120 μL、グルコース(終濃度0, 40, 200 mM)20 μLを混合し、600 nmの吸光度を測定した。
酵素比活性測定結果を図12に示す。
精製His-EgA1-Afl599CC及びAfl599CC-EgA1-myc-Hisの比活性はそれぞれ、180U/mg protein及び150U/mg proteinであった。
1−8.フローサイトメトリー
1−8−1.フローサイトメトリーの方法
フローサイトメトリーの方法を図13に示す。
EGFRを発現するTFK-1細胞(5.0×105個)に一次抗体として200pmol Afl599CC-EgA1-myc-Hisを100 μL加えて30分間静置した。
PBSを1 mL加えて300×g、4℃で5分間遠心分離し上清を除去した後、二次抗体として抗c-Myc FITCを1 μg加えて30分間静置した。
再びPBSを1 mL加えて300×g、4℃で5分間遠心分離し上清を除去した後、500 μLのPBSで再懸濁し、フィルターにかけた。ポジティブコントロールとしてGDHを融合していないEgA1のみを反応させたもの(EgA1:EgA1単独発現)、ネガティブコントロールとして一次抗体を加えずに抗c-Myc FITCを加えたもの(N.C.)も用意した。これらのサンプルを用いてフローサイトメトリーを行った。
1−8−2.フローサイトメトリーの結果
フローサイトメトリーの結果を図14に示す。
Afl599CC-EgA1-myc-Hisを一次抗体として用いた場合において、TFK-1細胞はN.C.と比較して高い蛍光強度を示した(右下)。ポジティブコントロールであるEgA1のみと同等の蛍光強度を示したことから(中央の上下)、Afl599CC-EgA1-myc-HisがTFK-1表面のEGFRに結合したことが示唆された。

Claims (7)

  1. 一本鎖抗体分子と真菌由来のFADを補酵素とするグルコース脱水素酵素とを含む融合タンパク質。
  2. 一本鎖抗体分子がVHH抗体又はscFvである、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. 一本鎖抗体分子が上皮増殖因子受容体に特異的に結合する、請求項1又は2記載の融合タンパク質。
  4. 一本鎖抗体分子が配列番号2記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上皮増殖因子受容体に特異的に結合するVHH抗体である、請求項3記載の融合タンパク質。
  5. グルコース脱水素酵素が、配列番号4記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ真菌由来のFADを補酵素とする、グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項記載の融合タンパク質。
  6. タグ及び/又はリンカーをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の融合タンパク質。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の融合タンパク質を含む、イムノアッセイ用試薬キット。
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